JP2003239175A - 植物性蛋白質によるセルロース系繊維材料の改質加工法 - Google Patents

植物性蛋白質によるセルロース系繊維材料の改質加工法

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JP2003239175A
JP2003239175A JP2002079686A JP2002079686A JP2003239175A JP 2003239175 A JP2003239175 A JP 2003239175A JP 2002079686 A JP2002079686 A JP 2002079686A JP 2002079686 A JP2002079686 A JP 2002079686A JP 2003239175 A JP2003239175 A JP 2003239175A
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water
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protein
cellulosic
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Eiji Yamada
英二 山田
Toshio Hagiwara
敏夫 萩原
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Consumer Product End Use Research Institute Co Ltd
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  • Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】従来、セルロース系繊維に対し、動物性蛋白質
類の物理的保持が知られている。しかし、これは風合
い、耐久性等に問題があり、更に繊維の強度低下という
欠点があった。本発明者等は、高価で生産量にも制約の
多い動物性蛋白質に代わる植物性蛋白質に着目して、本
発明に至った。 【解決手段】本発明者等は保湿性や着用快適性に優れ、
採算性、生産性、安全性に勝る方法を見出した。即、水
溶性のジクロルトリアジン系化合物の架橋反応に際し、
植物性蛋白質の単独を用いるか或いは動物性蛋白質並び
にアミン類を植物性蛋白質と併用してセルロース系繊維
を加工する。この場合、ジクロルトリアジン系化合物、
蛋白質類、アミン類の同時反応と、逐次段階的に反応さ
せる方法があり、これによりトリアジン環を介してセル
ロース系繊維材料と蛋白質類を結合し、保湿性、着用快
適性並びに強度の優れた機能性セルロース系繊維を得
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は水溶性のジクロルト
リアジン系化合物を用いてセルロース系繊維材料を改質
加工するに当たって、植物性蛋白質の単独を用いるか或
いは動物性蛋白質、水溶性のジアミン、アルカノールア
ミンを植物性蛋白質と共存させ、これらの蛋白質類及び
アミン類をトリアジン環を介して共有結合により繊維材
料に結合させる事によってセルロース系繊維材料を改質
する事を特徴とする保湿性と強度の優れたセルロース系
機能性繊維材料の改質加工法である。更に詳しくは本発
明は、水溶性のジクロルトリアジン系化合物を用いてセ
ルロース系繊維材料と反応させる際に、植物性蛋白質の
単独を用いるか或いは動物性蛋白質、水溶性のジアミ
ン、アルカノールアミンを植物性蛋白質と共存させ、こ
れらの蛋白質類及びアミン類をトリアジン環を介して共
有結合により繊維材料に結合させるに当って、水溶性の
ジクロルトリアジン系化合物と植物性蛋白質、動物性蛋
白質並びにアミン類を同時に反応させるか、或いはジク
ロルトリアジン系化合物を事前に付与した後、植物性蛋
白質、動物性蛋白質、水溶性のアミン類を逐次セルロー
ス系繊維材料に付与して反応させることを特徴とする保
湿性と強度の優れた機能性セルロース系繊維材料の改質
加工法である。
【0002】
【従来の技術】近年、生活の質の向上と環境・安全・健
康問題への関心の高まりに伴って、形状記憶繊維、難燃
・防炎繊維、紫外線遮蔽繊維、防虫・防ダニ繊維、抗菌
繊維、消臭繊維、高質感・高風合繊維等の機能性繊維が
次々と開発されており、繊維業界の注目を集めている。
その様な中で、絹フィブロインやセリシンの様な動物性
蛋白質をセルロース系繊維材料に付着させて、絹や動物
性蛋白質の特徴を持たせる加工、即ち、さらりとした風
合いの良い肌ざわり感、保湿性、消臭性、静電気防止
性、抗酸化性、紫外線遮蔽性、抗菌性等の機能を付与す
る加工法が研究されており、一部は実用化されている。
しかるに従来の加工法は「繊維加工」Vol.50 N
o.8 358頁(1998)にも記載があるように、
主としてグリオキザール系樹脂、ウレタン系樹脂等の樹
脂を用いて樹脂加工と同時にセリシンや絹フィブロイン
を接着させたり、特許公報第2588445号公報に記
載があるように固着剤を用いてセリシンや絹フィブロイ
ンを不溶化させたり、或いは特開平11−350352
号公報に記載があるように熱時水溶性の高分子量セリシ
ンを高温で繊維に吸収させて冷却する事によって不溶性
となったセリシンを繊維に付着させる方法などが記載さ
れている。これら公知方法によって加工された繊維材料
の加工効果を調べると、樹脂加工法による場合は、加工
目的に反して繊維の風合いが粗硬になり易いという問題
が生じやすい上に、洗濯を数回繰り返すことによって、
セリシンや絹フィブロイン等の蛋白質が脱落しやすく、
加工効果の持続性が乏しいという問題がある。また、ホ
ルマリンや各種樹脂加工用モノマーなど、毒性問題や環
境問題を起こす可能性のある薬剤を用いる点も問題点と
して指摘されている。
【0003】更にもう一つの重要な問題点は水溶性の高
分子動物性蛋白質、中でも最近注目を集めているセリシ
ンや絹フィブロインは生産量に限りがあり、高価である
点、実用化に障害となっている。
【0004】また、繊維材料と加工薬剤とが化学反応を
伴う改質加工法の場合は、一般的に引裂強度、破裂強
度、引張強度、磨耗強度などの強度が低下するという問
題がある。例えば「繊維加工」Vol.50 No.8
358頁(1998)に記載があるようにグリオキザ
ール系或いはブタンテトラカルボン酸を用いて加工され
た繊維は、未加工品に比べて大幅に引裂強度が低下する
事を示している。また、特開平5−59664号公報に
見られるように、ホルマリン加工法の場合、引裂強度、
破裂強度共に未加工品に比べて大きく低下するので、強
度改良法としての特許が出願され公開されている。強度
低下を問題視して出された改良特許は、特開平6−15
8550号公報、特開平7−279042号公報、特開
平7−324281号公報、特開平8−302567号
公報、特開平8−144176号公報、特開2000−
96442号公報など多数にあがっている。これらの例
にみる通りセルロース系繊維材料に形態安定加工を初め
とする機能性加工法によって、20〜50%程度の著し
い強度低下をきたすという新たな問題がクローズアップ
され、解決が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記した動
物性蛋白質例えばセリシン或いは絹フィブロインを用い
る公知加工法の大きな欠点である風合いが劣る事、加工
効果の耐久性が不十分であること、加工薬剤に危険で有
害な物質を多用すること、著しい強度低下が起こる事及
び高価で生産数量に制限がある蛋白質を用いる事等の多
くの問題点に着目して、経済性と安全性並びに強度や保
湿性等の着用快適性と耐久性に優れた改良加工法の研究
を行った。我々の目的は、絹やセリシンのような高価で
生産量に制約のある蛋白質を使用しないで、或いは使用
しても極少量使用して、セリシンを使用した場合に比べ
て、よりすぐれた加工効果をもたらす事であり、その目
的を達成するために植物性蛋白質を使用する事である。
特に大豆から抽出された水溶液の植物性蛋白質をセルロ
ース系繊維材料の高付加価値加工の原料として活用する
と同時に、必要に応じて動物性蛋白質や水溶性のジアミ
ン類、アルカノールアミン類を併用する事によって強固
な架橋反応を促進して、強度と保湿性の優れた新しい機
能性セルロース系繊維材料を開発することである。
【0006】植物性蛋白質と動物性蛋白質はその成分に
著しい差異がある。例えば大豆蛋白質に多く含まれてい
るのは低脂肪、低コレステロールの蛋白質グリシニン
で、そのアミノ酸組成はグルタミン酸とアスパラギン酸
が主成分である。小麦、大麦、とうもろこしにはプロラ
ミン、グルテリンを多く含んでいる。そして大豆ペプチ
ドは保湿性と共に発ガン抑制作用、抗酸化作用、抗アレ
ルギー作用が期待され、その面からの研究も多い。特に
大豆蛋白質は多くのプロテインの中で最も抗酸化作用が
強いと言われている。一方動物性蛋白質例えば絹フィブ
ロインのアミノ酸組成はセリン、アラニン、グリシンが
主成分で、この3つを合計すると90%に近づく。従っ
て繊維に対する加工効果に差が現れるのは当然であり、
我々が目指すもう一つの目的は、高価な動物性蛋白質の
使用量を代替或いは削減する代わりに安価な植物性蛋白
質を使用する事によって経済性と実用的価値を高めると
同時に、両蛋白質の長所を活かし、欠点を補完して新た
な機能性を繊維に付与する事である。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者はかかる経済
性、環境・安全性の諸問題並びに強度、耐久性を初めと
する品質上の諸問題を解決し、環境に優しい機能性繊維
の開発研究を推進した結果、セルロース系繊維材料に対
して水溶性のジクロルトリアジン系化合物を適用して架
橋反応させる際に、植物性蛋白質の単独を用いるか或い
は必要に応じて水溶性の動物性蛋白質、水溶性のジアミ
ン類、アルカノールアミン類とを併用して酸結合剤共存
下、共有結合或いは架橋結合反応させてやれば強度と保
湿性の優れた機能性セルロース系繊維材料を製造出来る
事を見出した。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明はトリアジン環を介して植
物性蛋白質の単独、或いは植物性蛋白質と動物性蛋白
質、水溶性のジアミン類、アルカノールアミン類(ジア
ミン類とアルカノールアミン類を総称してアミン類と呼
ぶ事がある)を共有結合で繊維に強固に結合させる事に
よって繊維材料を改質する加工法であるが、この繊維に
蛋白質類を共有或いは架橋結合させるに当たって、水溶
性のジクロルトリアジン系化合物を用いる加工法は、手
順の異なる幾つかの方法が考えられる。
【0009】その内の一つは、先ず水溶性のジクロルト
リアジン系化合物を染浴或いはパディング浴に加え、セ
ルロース系繊維に付与したあと、次いで植物性蛋白質
類、動物性蛋白質類、アミン類を付与して逐次反応を完
結させる段階的加工法である。
【0010】二つ目の方法は、これら多種類の原材料・
素材を同時に染浴或いはパディング浴に加えて、繊維、
ジクロルトリアジン類、蛋白質類、アミン類の4種の同
族体を同時に反応させて結合させる方法である。この同
時加工法は単純な操作である点、加工法としては有利で
ある。ただ、架橋反応薬剤であるジクロルトリアジン誘
導体の反応性は、一般的にセルロース系繊維材料よりは
蛋白質類或いはアミン類との反応性が高く、優先的に反
応する可能性があるので、その点に配慮した加工条件を
設定する必要がある。
【0011】本発明の実施形態をより詳しく説明する。
段階的加工法の場合は、第一工程として繊維に水溶性ジ
クロルトリアジン系化合物を付与する際、可能な限り繊
維に密着させるか或いは一次反応させておき、第二工程
として蛋白質類或いは必要に応じてアミン類を付与して
反応を完結させ、トリアジン環を介して繊維に共有結合
させる方法である。アミン類はこの時、架橋結合を促進
する薬剤として働き、強度を向上すると推定される。繊
維材料を浴比1:5〜1:50の水中に加え、水溶性の
ジクロルトリアジン系化合物を純度換算0.5〜20%
o.w.f.と、ぼう硝0〜120g/lを分割して加
え、炭酸ソーダ及び/又は重炭酸ソーダ等でPHを弱ア
ルカリ性として昇温する。第一工程として30〜70℃
で10分〜5時間保温するが、その間PHが下がってく
る場合はアルカリ性物質を少しずつ加えてPHを弱アル
カリ性に保つ。そのあと、植物性蛋白質及び必要に応じ
て動物性蛋白質並びにアミン類を純度換算0.5〜20
%o.w.f.添加して70〜100℃に昇温し、数分
間〜数時間熱処理する。その後水洗して80〜100℃
でソーピング、水洗、乾燥して仕上げる。パッデイング
法の場合は、上記のような染浴に尿素などを追加したパ
ッド浴を作り、布をパッドして絞り、一旦ドライアップ
するか、半乾燥或いは湿状のまま50〜120℃で数分
〜数時間スチーミングして一次反応させ、次いで0.5
〜20%の蛋白質類とアミン類を含有する水溶液に布を
パッド、シャワリング或いは刷毛などで塗布して一旦乾
燥するか、半乾燥のまま或いは湿状のまま60〜150
℃で数分〜数時間スチーミングすればよい。
【0012】同時加工法の場合は繊維を浴比1:5〜
1:50の水中に加え、水溶性のジクロルトリアジン系
化合物を純度換算0.5〜20%o.w.f.と炭酸ソ
ーダ及び/又は重炭酸ソーダ等の酸結合剤を理論量或い
はそれよりもやや多めに加えてPHをアルカリ性とす
る。次いで蛋白質類及びアミン類を純度換算0.5〜2
0%o.w.f.添加したあと、徐々に昇温して、50
〜100℃に数分間〜数時間攪拌熱処理する。その間、
ぼう硝10〜100g/lを分割して加え、PHも弱ア
ルカリ性に保つ。その後水洗して80〜100℃でソー
ピング、水洗、乾燥して仕上げる。パッデイング法の場
合は、上記のような薬剤、蛋白質類、アミン類、酸結合
剤、必要に応じて尿素及び湿潤剤を混合した染浴に布を
パッドして絞り、そのまま60〜120℃で数分〜数時
間スチーミングするか、或いは一旦乾燥したあと60〜
120℃で数分〜数時間スチーミングすればよい。な
お、熱処理条件はいずれの場合も、必ずしも段階的昇温
を必要とせず、一定温度、例えば105℃で数分間或い
は数時間保温しても良い。
【0013】セルロース系繊維材料と植物性蛋白質、動
物性蛋白質及びアミン類との架橋結合薬剤として有利に
使用できる水溶性のジクロルトリアジン系化合物の具体
例をあげると次のような化合物をあげる事が出来るが、
要は2個以上の反応性塩素原子を有する水溶性のジクロ
ルトリアジン系化合物であって、安定性(経変性)のよ
い薬剤であれば良いのであり、これらの具体例に制約さ
れるものではない。 2,6−ジクロル−4−(α−カルボキシエチルアミ
ノ)−S−トリアジン 2,6−ジクロル−4−(β−カルボキシエチルアミ
ノ)−S−トリアジン 2,6−ジクロル−4−(γ−カルボキシプロピルアミ
ノ)−S−トリアジン 2,6−ジクロル−4−(3−スルフォアニリノ)−S
−トリアジン 2,6−ジクロル−4−(4−スルフォアニリノ)−S
−トリアジン 2,6−ジクロル−4−(2−スルフォアニリノ)−S
−トリアジン 2,6−ジクロル−4−(2,5−ジスルフォアニリ
ノ)−S−トリアジン 2,6−ジクロル−4−(3,5−ジスルフォアニリ
ノ)−S−トリアジン 2,6−ジクロル−4−(3−カルボキシアニリノ)−
S−トリアジン 2,6−ジクロル−4−(4−カルボキシアニリノ)−
S−トリアジン 2,6−ジクロル−4−(2−カルボキシアニリノ)−
S−トリアジン 2,6−ジクロル−4−カルバミド−S−トリアジン 2,6−ジクロル−4−チオカルバミド−S−トリアジ
ン 2,6−ジクロル−4−(4−カルボキシフェノキシ)
−S−トリアジン 2,6−ジクロル−4−(3−スルフォフェニルチオ)
−S−トリアジン 2,6−ジクロル−4−オキシ−S−トリアジンNa塩 2,6−ジクロル−4−オキシ−S−トリアジンLi塩 2,6−ジクロル−4−オキシ−S−トリアジンK塩 2,6−ジクロル−4−チオ−S−トリアジンNa塩 2,6−ジクロル−4(3−オキシフェニルオキシ)−
S−トリアジン 4,4−ビス(4,6−ジクロロ−S−トリアジン−2
−イルアミノ)−スチルベン−2,2−ジスルフォニッ
クアシッドNa塩などを挙げることが出来る。
【0014】本発明で用いることができる植物性蛋白質
は、豆類、特に大豆を磨砕する事によって溶出してくる
蛋白質が最も重要である。この大豆蛋白質は希薄なアル
カリに溶解するのでジクロルトリアジン系化合物をセル
ロース系繊維に反応させる時の加工条件と一致するので
好都合である。大豆のほかに利用できるものは小麦、大
麦、ライ麦、トウモロコシ等の穀類蛋白質があり、更に
ひまわり、コットン、菜種、かぼちゃ、ごま等種子蛋白
質と呼ばれる蛋白質が利用可能である。
【0015】本発明で植物性蛋白質と併用して用いる事
ができる動物性蛋白質としては、絹から得られる絹フィ
ブロイン或いはセリシンが重要であり、更に羊毛を還元
法により溶解、透析後プロテアーゼで加水分解して低分
子量化した羊毛ケラチンが挙げられる。また、コラーゲ
ンを酵素で加水分解した水溶性の低分子量コラーゲン、
ゼラチン等を挙げる事が出来る。
【0016】本発明で用いる事ができる水溶性ジアミン
類或いはアルカノールアミン類とは、脂肪族直鎖、分枝
鎖或いは環状のアルキレンジアミン、アルキレントリア
ミン、アルキレンテトラミン等であるが、置換基として
カルボキシル基等の水溶性置換基を有しても良い。ま
た、芳香族の水酸基、アミノ基、チオール基等で置換さ
れたアリーレンアミン、アルコール性水酸基或いはチオ
ール基1個以上とアミノ基或いはイミノ基を1個以上有
するアルカノールアミン類の単独或いは混合物でもよ
い。具体的には次のような化合物を挙げることが出来る
が、要はアミノ基、イミノ基、水酸基、チオール基等の
反応基を合計で2個以上有するアミン類であればよく、
これらの具体例に制約されるものではない。例えばエチ
レンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレ
ンジアミン、オクタメチレンジアミン、ジエチレントリ
アミン、トリエチレンテトラミン、アルギニン、リジ
ン、ヒスチジン、シスチン、ピペラジン、1,4−ジア
ミノシクロヘキサン、メタフェニレンジアミンスルフォ
ン酸、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエ
タノールアミン、イソプロパノールアミン、1−(2−
アミノエチル)ピペラジン等のアミン類を挙げる事がで
きるが特にこれらに限定されるものではない。なお、ア
ミン類に多価アルコール類或いは尿素を加えると更に強
度や風合いが向上する事がある。
【0017】本発明の加工対象繊維材料とは、木綿、
麻、ビスコースレーヨン、キュプラレーヨン、リヨセ
ル、酢酸セルロース等のセルロース系繊維或いは半合成
繊維と呼ばれる繊維材料である。要はジクロルトリアジ
ン系化合物と共有結合できる水酸基を有する繊維材料、
例えばポリビニルアルコール等にも適用できる。これら
の繊維材料は単独でも良いし、他の天然繊維或いは合成
繊維材料との混紡、交織繊維でもよい。また、糸、織
物、編物或いは不織布などあらゆる形態の繊維材料に適
用できる。本発明方法によって加工・改質された繊維材
料は特に保湿性に優れ、動植物蛋白質の持つ様々な特
徴、例えば、暖かみのある風合い、保湿性、抗酸化性、
抗菌性、消臭性等が付与されるだけでなく、強度及び耐
久性も優れている。
【0018】
【実施例】以下実施例によって本発明を詳しく説明する
が、本発明はこれらの実施例に制約されるものではな
い。なお、例中、部及び%は重量部及び重量%を意味す
る。
【0019】実施例1 水500部の中に2,6−ジクロル−4−オキシ−S−
トリアジンNa塩10%水溶液15部を溶解し、テンセ
ル・ポリウレタン7%混紡ニット25部を加え、ぼう硝
20部、炭酸ソーダ2.6部、重炭酸ソーダ0.7部、
ノニオン系浸透剤0.5部を室温で加えてよく攪拌混合
する。次いで60℃に向けて徐々に昇温しながらぼう硝
40部を分割して少しずつ加える。60〜65℃で60
分間保温攪拌した後、大豆蛋白質2.5部を水50部と
炭酸ソーダ2.0部に溶解した水溶液を滴下して加え
る。その後90℃に昇温して90〜95℃で60分間保
温攪拌する。次いでニットを取り出し水洗した後、90
〜95℃で10分間ソーピングして更に水洗し、乾燥し
て仕上げる。この様な条件で加工されたテンセルニット
のJIS L 0217 105法による洗濯試験での
寸法変化率はタテ−0.5%、ヨコ−1.5%と良好な
ウォッシャブル性を示した。磨耗強度はマンデール法1
000回で未加工生地は明らかにフィブリル化を生じた
が、本実施例の加工生地は全くフィブリル化を生じなか
った。破裂強度はほぼ同等の値を示した。保湿性は20
±2℃、65±5%RH(標準状態)での平衡水分率を
測定した結果、10.2%であり未加工品より約1%強
優れており保湿性、着用快適性とも改良された。
【0020】実施例2 水300部、重炭酸ソーダ15部、2,6−ジクロル−
4−オキシ−S−トリアジンNa塩10%水溶液100
部、尿素15部、ノニオン系浸透剤0.6部を室温でよ
く攪拌混合し、パディング浴を作製する。この浴に綿1
00%(100/2ローン)生地をパッディングして絞
り、100℃で約10分間乾燥する。次いで水100部
に大豆蛋白質2.0部、分子量1〜2万のセリシンパウ
ダー1.0部を溶解した浴に上記の乾燥生地を浸漬して
絞り、105℃で20分間スチーミングする。そのあと
水洗し、90〜95℃で10分間ソーピングして水洗し
乾燥して仕上げる。この様な条件で加工された綿布の寸
法変化率はタテ0.0%、ヨコ0.0%と良好なウォッ
シャブル性を示した。引張強度は未加工品とほぼ同等で
あった。また、保湿性は20±2℃、65±5%RHで
の平衡水分率を測定したところ、8.2%で未加工品に
比べて1%以上優れており保湿性、風合共改良された。
【0021】実施例3 水480部、重炭酸ソーダ13部、2,6−ジクロル−
4−カルバミド−S−トリアジン10%水溶液120
部、ノニオン系浸透剤0.6部、大豆蛋白質8部、セリ
シンパウダー4部、ジエタノールアミン6部をよく攪拌
混合してパディング浴を作る。この浴に綿100%ブロ
ード生地をパッディングして絞り、120℃で2〜3分
間乾燥する。次いで105℃で20分間スチーミングす
る。そのあと水洗し、水の沸点で10分間ボイルしなが
らソーピングして水洗し乾燥して仕上げる。この様な条
件で加工された綿布の寸法変化率はほぼゼロ%で良好な
ウォッシャブル性を示した。また、引張強度は引張速度
300mm/min、つかみ間隔200mmで測定した
ところ430(N)で、未加工品に比べて約10%向上
した。また、保湿性は20±2℃、65±5%RHでの
平衡水分率を測定したところ、実施例2と同様に未加工
品より優れており、保湿性、風合共改良された。
【0022】
【発明の効果】本発明によれば植物性蛋白質をセルロー
ス系繊維材料に強固に共有結合させることが可能となる
ので、従来のように単に繊維にコーティングしたり、樹
脂化したり、不溶化することによって蛋白質類を物理的
に繊維に保持させる方法に比べると、風合い、耐久性並
びに強度の優れた形態安定性の良い繊維素材を得る事が
できる。その結果、ジクロルトリアジン系の誘導体と反
応する事ができるあらゆるセルロース系繊維素材を、保
湿性と風合いに優れ、肌荒れなどの皮膚障害性が軽減さ
れた肌に優しい、強度の優れたセルロース系機能性繊維
素材に改質することができる。また、植物性蛋白質の活
用によって、高価で生産量に制約がある動物性蛋白質の
代替或いは使用量の削減を実現する事が可能となり、経
済性と実用性を高めると同時に、両蛋白質を併用する場
合は、動・植物両蛋白質の特徴を補完しあう事により、
着用快適性のより優れた機能性繊維材料に改質する事が
出来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 萩原 敏夫 大阪府河内長野市清見台5丁目12番17号 Fターム(参考) 4L033 AA02 AB01 AB03 AB04 AC07 AC10 CA08 CA70

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水溶性のジクロルトリアジン系化合物を用
    いてセルロース系繊維材料を改質するに当たって、植物
    性蛋白質の単独を用いるか或いは動物性蛋白質、水溶性
    のジアミン、アルカノールアミンを植物性蛋白質と共存
    させ、これらの蛋白質類とアミン類をトリアジン環を介
    して共有結合により繊維材料に結合させる事によってセ
    ルロース系繊維材料を改質する事を特徴とする保湿性と
    強度の優れたセルロース系機能性繊維材料の改質加工
    法。
  2. 【請求項2】水溶性のジクロルトリアジン系化合物を用
    いてセルロース系繊維材料を改質するに当たって、植物
    性蛋白質の単独を用いるか或いは動物性蛋白質、水溶性
    のジアミン、アルカノールアミンを植物蛋白に共存さ
    せ、これらの蛋白質類或いはアミン類をトリアジン環を
    介して共有結合により繊維材料に結合させる事によって
    改質加工された保湿性と強度の優れたセルロース系機能
    性繊維材料。
  3. 【請求項3】水溶性のジクロルトリアジン系化合物を架
    橋薬剤として用いてセルロース系繊維材料と植物性蛋白
    質の単独を反応させるか或いは動物性蛋白質、水溶性の
    ジアミン、アルカノールアミンを植物蛋白と併用して反
    応させ、共有結合により繊維材料に結合させることによ
    ってセルロース系繊維材料を改質加工するに当たって、
    水溶性のジクロルトリアジン系化合物を繊維材料に事前
    に付与しておき、次いで植物性蛋白質の単独を付与する
    か或いは動物性蛋白質、水溶性のジアミン、アルカノー
    ルアミンを植物性蛋白質と併用して逐次段階的に反応さ
    せる事によって、主たる成分として植物性蛋白質をトリ
    アジン環を介して共有結合させることを特徴とする保湿
    性と強度の優れたセルロース系機能性繊維材料の改質加
    工法。
  4. 【請求項4】水溶性のジクロルトリアジン系化合物を用
    いて、セルロース系繊維材料と植物性蛋白質の単独を反
    応させるか或いは動物性蛋白質、水溶性のジアミン、ア
    ルカノールアミンを植物性蛋白質に併用使用して共有結
    合により繊維材料に結合させることによってセルロース
    系繊維材料を改質加工するに当たって、水溶性のジクロ
    ルトリアジン系化合物と植物性蛋白質の単独を同時に反
    応させるか或いは動物性蛋白質、水溶性のジアミン、ア
    ルカノールアミンを植物性蛋白質と共存した状態で同時
    に反応させる事によって、主たる成分として植物性蛋白
    質をトリアジン環を介して共有結合させることを特徴と
    する保湿性と強度の優れたセルロース系機能性繊維材料
    の改質加工法。
  5. 【請求項5】請求項1、請求項2、請求項3及び請求項
    4において、水溶性ジクロルトリアジン系化合物を用い
    て、植物性蛋白質の単独或いは動物性蛋白質類、水溶性
    のジアミン類、アルカノールアミン類を併用して共有結
    合により繊維材料に結合させることによってセルロース
    系繊維材料を改質加工するに当たって、酸結合剤として
    アルカリ金属或いはアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸
    塩、リン酸塩、酢酸塩、珪酸塩、水酸化物等のアルカリ
    性物質を用いる事を特徴とする保湿性と強度の優れたセ
    ルロース系機能性繊維材料の改質加工法。
  6. 【請求項6】請求項1、請求項2、請求項3及び請求項
    4における加工対象繊維材料として木綿、麻、ビスコー
    スレーヨン、キュプラレーヨン、リヨセル、酢酸セルロ
    ース等のセルロース系繊維材料を用いる事を特徴とする
    保湿性と強度の優れたセルロース系機能性繊維材料の改
    質加工法。
  7. 【請求項7】請求項1、請求項2、請求項3及び請求項
    4において使用される植物性蛋白質として、大豆を原料
    として得られる水溶性の大豆蛋白質を使用する事を特徴
    とする保湿性と強度の優れたセルロース系機能性繊維材
    料の改質加工法。
  8. 【請求項8】請求項1、請求項2、請求項3及び請求項
    4において植物性蛋白質類と併用使用する事が出来る水
    溶性ジアミン類、アルカノールアミン類として、脂肪族
    の置換或いは非置換鎖状或いは環状のアルキレンジアミ
    ン、アルキレントリアミン、アルキレンテトラミン、水
    酸基及び/又はチオール基1個以上とアミノ基を1個以
    上有するアルカノールアミン類の単独或いは混合物を使
    用する事を特徴とする強度の優れた機能性セルロース系
    繊維材料の改質加工法。
  9. 【請求項9】請求項1、請求項2、請求項3及び請求項
    4において植物性蛋白質類と併用使用される動物性蛋白
    質として水溶性のセリシン或いは絹フィブロインの単独
    或いは混合物を使用する事を特徴とする保湿性と強度の
    優れた機能性セルロース系繊維材料の改質加工法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009527654A (ja) * 2006-02-20 2009-07-30 サントル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシェサイアンティフィク(セエヌエールエス) 繊維にグラフトするために表面を改質したカプセル
JP2010248134A (ja) * 2009-04-16 2010-11-04 Rheology Kino Shokuhin Kenkyusho:Kk ペプチド組成物
CN104722277A (zh) * 2015-02-16 2015-06-24 浙江理工大学 一种纤维素&丝胶绿色金属吸附材料的制备方法
CN112609461A (zh) * 2020-12-17 2021-04-06 宜宾惠美纤维新材料股份有限公司 一种纤维素基羊奶蛋白纤维及其制备方法

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