JP2003238889A - 塗料用プライマー組成物およびその製造方法 - Google Patents

塗料用プライマー組成物およびその製造方法

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JP2003238889A
JP2003238889A JP2002035663A JP2002035663A JP2003238889A JP 2003238889 A JP2003238889 A JP 2003238889A JP 2002035663 A JP2002035663 A JP 2002035663A JP 2002035663 A JP2002035663 A JP 2002035663A JP 2003238889 A JP2003238889 A JP 2003238889A
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primer composition
olefin
chlorine atom
resin
polymer
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JP2002035663A
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Hiroki Nakamura
博樹 中村
Atsunori Koshirai
厚典 小白井
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塩素原子を含む化合物を配合することなく、
ポリオレフィン系樹脂などの難密着性の基材に対する接
着が良好な塗料用プライマー組成物およびその製造方法
を提供する。 【解決手段】 塩素原子を含まないオレフィン系重合体
に塩素原子を含まないビニル系単量体をグラフト重合さ
せた改質オレフィン系重合体を含有する塗料用プライマ
ー組成物、および塩素原子を含まないオレフィン系重合
体に塩素原子を含まないビニル系単量体を含浸させた
後、ビニル系単量体を重合させる工程を有する塗料用プ
ライマー組成物の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主にポリオレフィ
ン系樹脂からなる基材に塗装を行う際に、塗料の下地と
して用いられるプライマー組成物およびその製造方法に
関し、具体的には塩素原子を有する化合物を含まないプ
ライマー組成物およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】オレフィン系単量体の重合体であるポリ
オレフィン系樹脂は、機械的性質や耐薬品性に優れる上
に、低コストで成形加工が容易であることから、多種の
用途に幅広く利用されている。さらに、ポリオレフィン
系樹脂は、リサイクル性にも優れることから、近年の地
球環境問題を背景としてその用途はさらに拡大しつつあ
る。
【0003】しかしながら、ポリオレフィン系樹脂は非
極性であることから、ポリオレフィン系樹脂の成形物等
の基材の表面への塗装や接着が困難であることが知られ
ている。よって、ポリオレフィン系樹脂成形物の表面に
塗装や接着を行う場合には、該樹脂成形物の表面にプラ
ズマ処理、火炎処理、紫外線照射処理、クロム酸処理な
どの表面処理を施して、ポリオレフィン系樹脂成形物の
表面を活性化させて、その付着性を改良する方法が一般
に採用されている。
【0004】しかしながら、このような表面処理を行う
ことは、その付加的な処理のため、塗装工程が複雑で多
大な設備費や時間的なロスを伴い、また、成形物の形や
大きさ、樹脂中に含まれる顔料や添加物の影響により、
表面処理効果にバラつきが生じやすいという欠点を有し
ていた。
【0005】無処理のポリオレフィン系樹脂に塗装する
方法としては、ポリオレフィン系樹脂に対して強い付着
力を有する塩素化ポリオレフィンをプライマー(塗装の
下側の層)として用い、トップコート(塗装の上側の
層)としてアクリル系樹脂などを使用する方法も知られ
ている。例えば、特公昭63−24628号公報には、
塩素化ポリオレフィンとアクリル系共重合体との重量比
が10:90〜90:10である樹脂組成物が開示され
ている。
【0006】しかしながら、含塩素化合物は、環境問題
への関心の高まりから、その使用が回避される傾向にあ
る。そのため、近年では、塩素を含まないプライマーに
対する要求が急速に高まっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】よって、本発明の目的
は、塩素原子を含む化合物を配合することなく、ポリオ
レフィン系樹脂などの難密着性の基材に対する接着が良
好な塗料用プライマー組成物およびその製造方法を提供
することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の塗料
用プライマー組成物は、塩素原子を含まないオレフィン
系重合体に塩素原子を含まないビニル系単量体をグラフ
ト重合させた改質オレフィン系重合体を含有することを
特徴とする。
【0009】また、本発明の塗料用プライマー組成物の
製造方法は、塩素原子を含まないオレフィン系重合体に
塩素原子を含まないビニル系単量体を含浸させた後、ビ
ニル系単量体を重合させる工程を有することを特徴とす
る。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の塗料用プライマー組成物は、塩素原子を含まな
いオレフィン系重合体に塩素原子を含まないビニル系単
量体をグラフト重合させた改質オレフィン系重合体(グ
ラフト共重合体)を含有するものである。
【0011】<改質オレフィン系重合体>改質オレフィ
ン系重合体に用いられるオレフィン系重合体は、塩素原
子を含まないものであれば特に限定はされず、オレフィ
ン系重合体としては、例えば、塩素原子を含まないオレ
フィン系単量体のラジカル重合、イオン重合等で得られ
るオレフィン系単独重合体または共重合体;優位量のオ
レフィン系単量体と劣化量のビニル系単量体との共重合
体;オレフィン系単量体とジエン系単量体との共重合体
等を主成分とするものが挙げられる。オレフィン系重合
体の重合触媒としてはチークラー触媒、クロム触媒、メ
タロセン触媒など公知のものが用いられる。
【0012】オレフィン系重合体の具体例としては、例
えば、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、超
々低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、高密
度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピ
レン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリメチルペン
テン、プロピレン−ブテン−1ランダム共重合体、プロ
ピレン−エチレン−ブテン−1ランダム共重合体、プロ
ピレンと炭素数5〜12のα−オレフィンとからなる共
重合体、エチレン−非共役ジエン共重合体、プロピレン
−非共役ジエン共重合体、エチレン−プロピレン−非共
役ジエン共重合体、ポリブテン、エチレン−酢酸ビニル
共重合体、エチレン−ビニルトリメトキシシラン共重合
体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−
アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メ
チル共重合体等を挙げることができる。また、これらの
オレフィン系重合体は、単独でまたは2種以上組み合わ
せて使用される。
【0013】また、オレフィン系重合体に用いられるオ
レフィン系単量体は、塩素原子を含まないものであれば
特に限定はされず、オレフィン系単量体としては、例え
ば、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−
1、デセン−1、オクテン−1、4−メチル−ペンテン
−1等の鎖状オレフィン;シクロペンテン、シクロヘプ
テン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、
テトラシクロドデセン、2−メチル−1,4,5,8−
ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オク
タヒドロナフタレン等の環状オレフィン等が挙げられ
る。また、これらのオレフィン系単量体は、単独でまた
は2種以上組み合わせて用いることができる。また、本
発明においては、ポリオレフィン系樹脂からなる基材と
の良好な密着性を得るためには、基材のポリオレフィン
系樹脂を構成するオレフィン系単量体単位と同様なオレ
フィン系単量体を用いることが好ましい。
【0014】改質オレフィン系重合体中におけるオレフ
ィン系単量体単位の割合は、50〜99質量%の範囲で
あることが好ましい。50質量%未満では、プライマー
のポリオレフィン系樹脂の基材への密着性(接着性)が
低下する場合があるため好ましくなく、99質量%を超
えると、塗料への密着性が低下する場合があるため好ま
しくない。オレフィン系単量体単位の割合は、より好ま
しくは60〜95質量%であり、さらに好ましくは70
〜90質量%である。
【0015】改質オレフィン系重合体に用いられるビニ
ル系単量体は、オレフィン系単量体以外の単量体であ
り、ラジカル重合できるものであって、かつ塩素原子を
含まないものであれば特に限定はされない。このような
ビニル系単量体としては、例えば、メチル(メタ)アク
リレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル
(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレー
ト、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メ
タ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2
−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メ
タ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル
(メタ)アクリレート、トリシクロデシル(メタ)アク
リレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル
(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類;ア
クリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等の
不飽和カルボン酸;無水マレイン酸、無水イタコン酸等
の酸無水物;N−フェニルマレイミド,N−シクロヘキ
シルマレイミド、N−t-ブチルマレイミド等のマレイミ
ド誘導体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2
−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロ
キシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチ
ル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシ
プロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有単
量体;(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニト
リル、ジアセトンアクリルアミド、ジメチルアミノエチ
ルメタクリレート等の窒素含有物;アリルグリシジルエ
ーテル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリ
レート等のエポキシ基含有単量体;ブタジエン、イソプ
レン、クロロプレン、等のジエン系単量体;スチレン、
α−メチルスチレン等のスチレン系単量体などが挙げら
れる。これらは、単独で、または2種以上組み合わせて
用いることができる。また、塗料と良好な密着性を得る
には、塗料を構成する樹脂中のビニル系単量体単位と同
様なビニル系単量体を用いることが好ましい。
【0016】改質オレフィン系重合体中におけるビニル
系単量体単位の割合は、1〜50質量%の範囲であるこ
とが好ましい。1質量%未満では、プライマーの塗料へ
の密着性が低下する場合があるため好ましくなく、50
質量%を超えると、ポリオレフィン系樹脂の基材への密
着性(接着性)が低下する場合があるため好ましくな
い。ビニル系単量体単位の割合は、より好ましくは5〜
40質量%であり、さらに好ましくは10〜30質量%
である。
【0017】改質オレフィン系重合体の重量平均分子量
は、得られる塗料用プライマー組成物の強度および固形
分濃度の点から、10000〜300000が好まし
く、20000〜200000がより好ましい。ここ
で、重量平均分子量は、クロロホルムを溶媒として用
い、35℃の条件下ででゲルパーミエーションクロマト
グラフィーを用いて測定される。
【0018】次に、改質ポリオレフィン系重合体の製造
方法について説明する。本発明における改質ポリオレフ
ィン系重合体は、例えば、オレフィン系重合体をキシレ
ン等の芳香族炭化水素溶媒中に高温下で溶解させ、これ
にビニル系単量体を加えてグラフト重合させる溶液法;
オレフィン系重合体とビニル系単量体を過酸化物存在下
で溶融混練する混練法;オレフィン系重合体とビニル系
単量体の混合物に放射線を照射する放射線法など、公知
の方法により製造することができる。中でも特に、オレ
フィン系重合体にビニル系単量体を含浸せしめた後、ビ
ニル系単量体をラジカル重合させる含浸重合法がオレフ
ィン系重合体に対するビニル系単量体のグラフト率を操
作しやすいという点から好ましい。
【0019】ここで、含浸重合法における含浸とは、固
体状あるいはゲル状のオレフィン系重合体の内部にビニ
ル系単量体が存在する状態をいう。オレフィン系重合体
にビニル系単量体を含浸させる方法は、特に限定はされ
ない。例えば、ビニル系単量体の混合物とオレフィン系
重合体とを高温下にて所定時間攪拌することで含浸させ
ることができる。この時、さらに水または含浸助剤もし
くはその両者が共存していてもよい。含浸助剤とは含浸
を促進する有機系媒体のことであり、例えばクロロベン
ゼン、ジクロロベンゼン、トルエン、キシレンまたはこ
れらの混合物が挙げられる。
【0020】ビニル系単量体は、オレフィン系重合体1
00質量部に対して0.05質量部から1000質量部
の範囲で含浸させることが好ましい。ビニル系単量体を
1000質量部を超えて一度に含浸させると、オレフィ
ン系重合体の可塑化により、オレフィン系重合体の融
着、変形などが生じ、取り扱い性が低下する場合があ
る。含浸量の上限の好ましくは400質量部であり、さ
らに好ましくは200質量部である。
【0021】ビニル系単量体は、オレフィン系重合体に
含浸された状態で、ラジカル重合開始剤を用いて加熱重
合される。ラジカル重合開始剤としては、通常、有機過
酸化物あるいはアゾ化合物が使用される。有機過酸化物
の具体例としては、2,4−ジクロロベンゾイルパーオ
キサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、o−メチ
ルベンゾイルパーオキサイド、ビス−3,5,5−トリ
メチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパー
オキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサ
ノエート、シクロヘキサノンパーオキサイド、ベンゾイ
ルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイ
ド、ジクミルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイ
ド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、
t―ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパ
ーオキサイド等が挙げられる。他方、アゾ化合物の具体
例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メ
トキシバレロニトリル)等が挙げられる。これらの中で
も、オレフィン系重合体中にグラフト点を発生させるた
めに、有機過酸化物を使用するのが好ましい。これらラ
ジカル重合開始剤は、単独でまたは2種以上を組み合わ
せて用いることができる。
【0022】ラジカル重合開始剤の添加方法としては、
オレフィン系重合体に含浸させる前のビニル系単量体中
にあらかじめ溶解させておく方法;オレフィン系重合体
に含浸されたビニル系単量体を重合する際の媒体中に加
える方法が挙げられる。前者の場合には、ビニル系単量
体の含浸は、ラジカル重合開始剤が実質的に分解しない
条件にて行うことが好ましい。
【0023】ラジカル重合開始剤は、ビニル系単量体1
00質量部に対し通常0.001〜10質量部の範囲で
使用される。ラジカル重合開始剤が0.001質量部未
満では、重合反応が円滑に進まない場合があり、10質
量部を超えると、オレフィン系重合体の分子開裂が生じ
やすくなる場合がある。ラジカル重合開始剤の使用量
は、好ましくは0.01〜5質量部であり、さらに好ま
しくは0.1〜3質量部である。
【0024】ビニル系単量体を加熱重合させる方法とし
ては、ビニル系単量体が含浸したオレフィン系重合体を
空気浴中で静置もしくは流動させた状態で加熱する方
法;ビニル系単量体が含浸したオレフィン系重合体を懸
濁水溶液中に分散させ攪拌しながら加熱する方法が挙げ
られる。温度制御がしやすい点から後者が好ましい。
【0025】懸濁水溶液は、適当な懸濁安定剤を水中に
溶解もしくは分散させることにより調整される。懸濁安
定剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチル
セルロース、ヒドロキシセルロース等の水溶性高分子;
アルキルベンゼンスルホネートなどのような陰イオン性
界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル等の
非イオン性界面活性剤;酸化マグネシウム、リン酸カル
シウムなどの水不溶性の無機塩などが挙げられる。これ
らは、単独で、または2種以上の組み合わせで使用され
る。
【0026】また、オレフィン系重合体へのビニル系単
量体の含浸と、これに続くビニル系単量体のラジカル重
合とからなる一連の操作は、2回以上繰り返して行うこ
ともできる。重合温度は、使用したラジカル開始剤が分
解する範囲であれば特に制限はないが、通常50〜15
0℃である。
【0027】<塗料用プライマー組成物>次に、本発明
の塗料用プライマー組成物について説明する。本発明に
おいて、塗料用プライマー組成物を基材に均一に塗布す
るためには、改質オレフィン系樹脂、および必要に応じ
て他の成分を適当な有機溶剤に溶解することが好まし
い。
【0028】有機溶剤としては、改質オレフィン系樹
脂、および他の成分が溶解すればよく、例えば、トルエ
ン、キシレン、スワゾール#1000(丸善石油化学
(株)製、商品名)、ソルベッツ#150(エクソン化
学(株)製、商品名)などのような芳香族系炭化水素
類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シ
クロヘキサノンのようなケトン類;酢酸エチル、酢酸n
−ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルア
セテート;DBE(デュポン(株)製、商品名)などの
ようなエステル類;n−ブタノール、イソプロピルアル
コール、シクロヘキサノールなどのようなアルコール
類;エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレ
ングリコールモノメチルエーテルなどのグリコール系溶
剤;ミネラルターペン、アイソパーE(エクソン化学
(株)製、商品名)などのような脂肪族炭化水素類が挙
げられる。中でも、作業性の点から芳香族系炭化水素類
が特に好ましい。改質オレフィン系重合体は取り扱い性
の点から通常、有機溶剤に対して50質量%以下になる
ように溶解されることが好ましい。
【0029】本発明の塗料用プライマー組成物は、必要
に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等の各
種安定剤;無機顔料、有機顔料等の着色剤;カーボンブ
ラック、フェライト等の導電性付与剤などのをさらに含
有していてもよい。
【0030】本発明の塗料用プライマー組成物を用いた
塗装は、公知慣用の方法で実施される。例えば、塗料用
プライマー組成物を適当な上述の有機溶剤で希釈した
後、乾燥膜厚1〜80μ程度の範囲となるようにスプレ
ーガンにより基材に吹き付け塗装する方法などが挙げら
れる。
【0031】このような塗料用プライマー組成物にあっ
ては、組成物中に、塩素原子を含まないオレフィン系重
合体に塩素原子を含まないビニル系単量体をグラフト重
合させた改質オレフィン系重合を含有しているので、ポ
リオレフィン系樹脂などの難密着性の基材および塗料に
対する密着性(接着性)が良好であり、また、塩素を含
まないので環境にも優しい。
【0032】このような塗料用プライマー組成物は、ポ
リオレフィン系樹脂からなる成形品の表面への塗料の付
着性を改善するのに有効である。例えば、高圧法ポリエ
チレン、中低圧法ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
4−メチル−1−ペンテン、ポリスチレン等のポリオレ
フィン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブ
テン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体等のポリオ
レフィン系樹脂からなる自動車部品用成形品、家電製品
用成形品などに好適に用いることができる。
【0033】さらに、本発明の塗料用プライマー組成物
は、ポリオレフィン系樹脂以外にも、ポリメチルメタク
リレートなどからなるアクリル樹脂板、ポリプロピレン
と合成ゴムからなる成形品、ポリアミド樹脂、不飽和ポ
リエステル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポ
リカーボネート樹脂等からなる自動車用バンパー等の自
動車部品用成形品、家電製品用成形品などにも用いるこ
とができる。また、本発明の塗料用プライマー組成物が
適用される成形品は、上記の各種重合体あるいは樹脂
が、射出成形、圧縮成形、中空成形、押し出し成形、回
転成形等の公知の成形法のいずれの方法によって成形さ
れたものであってもよい。
【0034】
【実施例】以下、実施例および比較例により本発明をさ
らに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例によって
制限されるものではない。各記載中「部」および「%」
はすべて「質量部」および「質量%」を示す。また、実
施例で得られた改質プロピレン系重合体の評価は下記方
法に従って実施した。
【0035】[グラフト率]プロピレン系重合体のペレ
ットへのビニル系単量体の含浸操作の後、ろ過により回
収したペレットの一部(サンプル)を真空乾燥させ、含
浸したビニル系単量体を揮発除去した。乾燥前のペレッ
ト質量Aおよび乾燥後のペレット質量Bを測定し、式1
よりビニル系単量体の含浸率Cを算出した。 C={(A−B)/A} ・・・式1
【0036】サンプル以外の残りのペレットを用い、こ
れに含浸されたビニル系単量体を重合させ、改質プロピ
レン系重合体を得た。この重合体M(g)をアセトンも
しくはテトラヒドロフランに加え、70℃にて12時間
還流させた後、ろ過により不溶分を回収した。回収分を
真空乾燥により乾燥させた後の質量N(g)を測定し、
式2よりグラフト率を算出した。 [{N/M×(1−C)}−1]×100 (%) ・・・式2
【0037】[密着性試験]ゴバン目(1mm間隔、1
00マス)にカットした基材上の塗膜のセロハンテープ
剥離テストによる付着率(基材に残ったマスの数)によ
り評価した(JISK 5400)。
【0038】[実施例1]1リットル冷却管付フラスコ
に、メチルメタクリレート600部と、ポリプロピレン
ペレット(日本ポリケム(株)製、ノバテックFA3D
A)50部を加え、100℃にて120分撹拌した後、
ろ過によりペレットを回収した。このペレットにはポリ
プロピレン100部に対し、メチルメタクリレートが1
4部含浸されていた。上記で得られたペレット60gを
1リットル耐圧密閉型反応層に移し、イオン交換水60
0部と、リン酸三カルシウム4部と、ドデシルベンゼン
スルホン酸ナトリウム0.06部と、重合開始剤t−ブ
チルパーオキシベンゼート0.13部を仕込み、装置を
密閉した。次いで、昇温を行い、内温110℃にて6時
間保持し重合を完結させた。重合後のペレットを回収、
水洗、乾燥させ改質ポリプロピレン樹脂(A)を得た。
【0039】改質ポリプロピレン樹脂(A)をアセトン
中に加え、70℃で12時間還流させ、グラフトしてい
ないホモ−ポリメチルメタクリレートを除去し、改質ポ
リプロピレン樹脂(B)を得た。改質ポリプロピレン樹
脂に対するメチルメタクリレートのグラフト率は15.
7%であった。改質ポリプロピレン樹脂(B)をトルエ
ン中に溶解し、これを射出成形により作製したポリプロ
ピレン樹脂板(PP基材)(日本ポリケム(株)製、ノ
バテックFA3DA、平板、3mm厚)、およびポリメ
チルメタクリレート樹脂板(PMMA基材)(三菱レイ
ヨン(株)製、アクリペットVH、平板、3mm厚)上
にキャストして改質ポリプロピレン樹脂(B)の塗布を
行った。基材に対する密着性評価の結果を表1に示す。
【0040】[実施例2]1リットル冷却管付フラスコ
に、スチレン600部と、ポリプロピレンペレット(日
本ポリケム(株)製、ノバテックFA3DA)50部を
加え、110℃にて60分撹拌した後、ろ過によりペレ
ットを回収した。このペレットにはポリプロピレン10
0部に対し、スチレンが28部含浸されていた。上記で
得られたペレット60gを1リットル耐圧密閉型反応層
に移し、イオン交換水600部と、リン酸三カルシウム
4部と、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.0
6部と、重合開始剤t−ブチルパーオキシベンゼート
0.13部を仕込み、装置を密閉した。次いで、昇温を
行い、内温120℃にて6時間保持し重合を完結させ
た。重合後のペレットを回収、水洗、乾燥させ改質ポリ
プロピレン樹脂(C)を得た。
【0041】改質ポリプロピレン樹脂(C)をテトラヒ
ドロフラン中に加え、70℃で12時間還流させ、グラ
フトしていないホモ−ポリスチレンを除去し、改質ポリ
プロピレン樹脂(D)を得た。改質ポリプロピレン樹脂
に対するスチレンのグラフト率は13.8%であった。
改質ポリプロピレン樹脂(D)を実施例1と同様な操作
にて、ポリプロピレン樹脂板およびポリメチルメタクリ
レート樹脂板上にキャストして改質ポリプロピレン樹脂
(D)の塗布を行った。基材に対する密着性評価の結果
を表1に示す。
【0042】[比較例1]ポリメチルメタクリレート
(三菱レイヨン(株)製、アクリペットVH)をトルエ
ンに5質量%となるように溶解した後、実施例1と全く
同様な操作にてポリプロピレン樹脂およびポリメチルメ
タクリレート樹脂上にキャストしてポリメチルメタクリ
レートの塗布を行った。基材に対する密着性評価の結果
を表1に示す。
【0043】[比較例2]ポリプロピレン(日本ポリケ
ム(株)製、ノバテックFA3DA)を130℃のキシ
レンに5質量%となるように溶解した後、実施例1と全
く同様な操作にてポリプロピレン樹脂およびポリメチル
メタクリレート樹脂上にキャストしてポリメチルメタク
リレートの塗布を行った。基材に対する密着性評価の結
果を表1に示す。
【0044】[比較例3]エチレン−アクリル酸メチル
共重合体(住友化学(株)製、アクリフトWH401)
をトルエンに5質量%となるように溶解した後、実施例
1と全く同様な操作にてポリプロピレン樹脂およびポリ
メチルメタクリレート樹脂上にキャストしてポリメチル
メタクリレートの塗布を行った。基材に対する密着性評
価の結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の塗料用プ
ライマー組成物は、塩素原子を含まないオレフィン系重
合体に塩素原子を含まないビニル系単量体をグラフト重
合させた改質オレフィン系重合体を含有するものである
ので、ポリオレフィン系樹脂などの難密着性の基材に対
する接着が良好であり、かつ環境に優しい。
【0047】また、本発明の塗料用プライマー組成物の
製造方法は、塩素原子を含まないオレフィン系重合体に
塩素原子を含まないビニル系単量体を含浸させた後、ビ
ニル系単量体を重合させる工程を有する方法であるの
で、難密着性の基材に対する接着性に優れ、かつ環境に
やさしい塗料用プライマー組成物を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J026 AA11 AA12 AA13 AA14 AA38 AA45 AA48 AA49 AA50 BA05 BA15 BA25 BA27 BA30 BA34 BA35 BA38 DB01 DB02 DB07 DB09 DB12 DB13 GA08 4J038 CA021 CB001 CC021 CC081 CE051 CG031 CG071 CG141 CG161 CG171 CH031 CH041 CH071 CH121 CH171 CH201 CP021 NA27 PA07

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩素原子を含まないオレフィン系重合体
    に塩素原子を含まないビニル系単量体をグラフト重合さ
    せた改質オレフィン系重合体を含有することを特徴とす
    る塗料用プライマー組成物。
  2. 【請求項2】 塩素原子を含まないオレフィン系重合体
    に塩素原子を含まないビニル系単量体を含浸させた後、
    ビニル系単量体を重合させる工程を有することを特徴と
    する塗料用プライマー組成物の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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