JP2004250499A - 塗料用プライマー組成物およびその製造方法 - Google Patents

塗料用プライマー組成物およびその製造方法 Download PDF

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博樹 中村
Toru Tokimitsu
亨 時光
Atsunori Koshirai
厚典 小白井
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Abstract

【課題】吸水などが影響する使用環境下でも、ポリオレフィン系樹脂などの難密着性の基材およびアクリル系樹脂などを含む極性塗料に対する密着性が良好な塗料用プライマー組成物およびその製造方法を提供する。
【解決手段】変性ポリオレフィン樹脂を含有する塗料用プライマー組成物において、変性ポリオレフィン樹脂として、ポリオレフィン樹脂(A)を不飽和カルボン酸およびその無水物を含まないビニル系単量体(B)でグラフト変性したものを用いる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリオレフィン系樹脂からなる基材に塗装を行う際に、塗料の下地として用いられるプライマー組成物およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
オレフィン系単量体の重合体であるポリオレフィン系樹脂は、機械的性質、耐薬品性に優れる上に、低コストで成形加工が容易であることから、多種の用途に幅広く利用されている。さらに、ポリオレフィン系樹脂は、リサイクル性にも優れることから、近年の地球環境問題を背景としてその用途はさらに拡大しつつある。
しかしながら、ポリオレフィン系樹脂は非極性であることから、ポリオレフィン系樹脂の成形物等の基材の表面への塗装や接着が困難であることが知られている。
【0003】
よって、ポリオレフィン系樹脂成形物の表面に塗装や接着を行う場合には、該樹脂成形物の表面にプラズマ処理、火炎処理、紫外線照射処理、クロム酸処理などの表面処理を施して、ポリオレフィン系樹脂成形物の表面を活性化させて、その付着性を改良する方法が一般に採用されている。
しかしながら、このような表面処理を行うことは、その付加的な処理のため、塗装工程が複雑で多大な設備費や時間的なロスを伴い、また、成形物の形や大きさ、樹脂中に含まれる顔料や添加物の影響により、表面処理効果にバラつきが生じやすいという欠点を有していた。
【0004】
無処理のポリオレフィン系樹脂に塗装する方法としては、ポリオレフィン系樹脂に対して強い付着力を有する塩素化ポリオレフィンをプライマー(塗装の下側の層)として用い、トップコート(塗装の上側の層)としてアクリル系樹脂などを使用する方法も知られている。例えば、特公昭63−24628号公報には、塩素化ポリオレフィンに(メタ)アクリル酸エステルおよび不飽和カルボン酸をグラフト重合させたグラフト共重合体を含む塗料用樹脂組成物が開示されている。
しかしながら、含塩素化合物は、環境問題への関心の高まりから、その使用が回避される傾向にある。そのため、近年では、塩素を含まないプライマーに対する要求が急速に高まっている。
【0005】
塩素を含まないプライマー組成物としては、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂をはじめとする種々の酸変性ポリオレフィン樹脂からなるプライマー組成物が提案されている。例えば、特開平11−217537号公報には、ポリオレフィン樹脂にアクリル酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸をグラフト共重合させた後、さらにポリエステルまたはアルコールなどを反応させた変性共重合体を含むプライマー組成物が開示されている。また、特開2002−173514号公報には、ポリオレフィン樹脂が不飽和カルボン酸および特定の(メタ)アクリレートでグラフト変性された変性ポリオレフィン樹脂を含むプライマーが開示されている。
【0006】
しかしながら、これら酸変性ポリオレフィン樹脂を含有するプライマー組成物は、ポリオレフィン系樹脂のような難密着性低極性樹脂への密着性を有するものの、その使用環境によっては、吸水によりポリオレフィン系樹脂や極性塗料に対する密着性が低下してしまう問題を有していた。
【0007】
【特許文献1】
特公昭63−24628号公報(第1−5頁)
【特許文献2】
特開平11−217537号公報(第2−8頁)
【特許文献3】
特開2002−173514号公報(第2−12頁)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
よって、本発明の目的は、吸水などが影響する使用環境下でも、ポリオレフィン系樹脂などの難密着性の基材およびアクリル系樹脂などを含む極性塗料に対する密着性が良好な塗料用プライマー組成物およびその製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の塗料用プライマー組成物は、変性ポリオレフィン樹脂を含有する塗料用プライマー組成物であり、前記変性ポリオレフィン樹脂が、ポリオレフィン樹脂(A)を、不飽和カルボン酸およびその無水物を含まないビニル系単量体(B)でグラフト変性したものであることを特徴とするものである。
【0010】
また、前記変性ポリオレフィン樹脂は、ポリオレフィン樹脂(A)を、ビニル系単量体(B)の総量100質量%に対して、アルキル基の炭素数が1〜7であるアルキル(メタ)アクリレートを5質量%以上、かつアルキル基の炭素数が8以上であるアルキル(メタ)アクリレートを5質量%以上含むビニル系単量体(B)で変性したものであることが望ましい。
また、前記ポリオレフィン樹脂(A)は、塩素原子を含まないものであることが望ましい。
【0011】
また、本発明の塗料用プライマー組成物の製造方法は、ポリオレフィン樹脂(A)をビニル系単量体(B)でグラフト変性して変性ポリオレフィン樹脂を得る工程を有する塗料用プライマー組成物の製造方法において、ビニル系単量体(B)として、不飽和カルボン酸およびその無水物を含まないものを用いることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の塗料用プライマー組成物の製造方法においては、前記ビニル系単量体(B)として、ビニル系単量体(B)の総量100質量%に対して、アルキル基の炭素数が1〜7であるアルキル(メタ)アクリレートを5質量%以上、かつアルキル基の炭素数が8以上であるアルキル(メタ)アクリレートを5質量%以上含むものを用いることが望ましい。
また、本発明の塗料用プライマー組成物の製造方法においては、前記ポリオレフィン樹脂(A)として、塩素原子を含まないものを用いることが望ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
<ポリオレフィン樹脂(A)>
本発明におけるポリオレフィン樹脂(A)とは、オレフィン系単量体のラジカル重合、イオン重合等で得られるオレフィン系単独重合体または共重合体;優位量のオレフィン系単量体と劣化量のビニル系単量体との共重合体;オレフィン系単量体とジエン系単量体との共重合体等を主成分とするものであり、かつ、不飽和カルボン酸単位および不飽和カルボン酸無水物単位を含有しないものである。
【0014】
ポリオレフィン樹脂(A)の具体例としては、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、超々低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリメチルペンテン、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレンと炭素数5〜12のα−オレフィンとからなる共重合体、エチレン−非共役ジエン共重合体、プロピレン−非共役ジエン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、ポリブテン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルトリメトキシシラン共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体等を挙げることができる。これらは、単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0015】
本発明の塗料用プライマー組成物を、ポリプロピレン等の難密着性ポリオレフィン系樹脂からなる基材に用いる場合は、ポリオレフィン樹脂(A)として低極性もしくは非晶性ポリオレフィン樹脂を用いることが好ましい。低極性もしくは非晶性ポリオレフィンの具体例としては、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体が挙げられる。
また、ポリオレフィン樹脂(A)は、環境への影響を考慮した場合、塩素原子を含むポリオレフィン樹脂、すなわち塩素化されたポリオレフィンを含有しないことが好ましい。
【0016】
<ビニル系単量体(B)>
本発明におけるビニル系単量体(B)は、不飽和カルボン酸およびその無水物以外のもの、すなわちカルボン酸を含まないものであれば特に限定されない。このようなビニル系単量体(B)の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類;N−フェニルマレイミド,N−シクロヘキシルマレイミド、N−t−ブチルマレイミド等のマレイミド誘導体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有単量体;(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、ジアセトンアクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリレート等の窒素含有物;アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有単量体;ブタジエン、イソプレン等のジエン系単量体;スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体などが挙げられる。これらは、単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0017】
ここで、(メタ)アクリレートは、アクリレートまたはメタクリレートを意味し、(メタ)アクリルアミドは、アクリルアミドまたはメタクリルアミドを意味し、(メタ)アクリロニトリルは、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルを意味する。
ビニル系単量体(B)は、環境への影響を考慮した場合、分子内に塩素原子を含有しないものであることが好ましい。
【0018】
<変性ポリオレフィン樹脂>
本発明における変性ポリオレフィン樹脂は、ポリオレフィン樹脂(A)を、不飽和カルボン酸およびその無水物を含まないビニル系単量体(B)でグラフト変性したものである。
ここで、「グラフト変性」とは、変性対象樹脂(本発明におけるポリオレフィン樹脂(A))の存在下で、ビニル系単量体(B)をラジカル重合してグラフト共重合体を生成させることをいう。ポリオレフィン樹脂(A)をビニル系単量体(B)でグラフト変性して得られる変性ポリオレフィン樹脂には、通常、グラフト共重合体とともに、未変性のポリオレフィン樹脂(A)、およびビニル系単量体(B)の単独重合体またはランダム共重合体が含まれるが、本発明においては、発明の趣旨を損なわない限り、これらを含めて変性ポリオレフィン樹脂という。
【0019】
また、「不飽和カルボン酸およびその無水物を含まないビニル系単量体(B)」とは、ビニル系単量体(B)に不飽和カルボン酸およびその無水物が実質的に含まれていないことを意味し、本発明においては、不純物などとしてビニル系単量体(B)に不飽和カルボン酸およびその無水物が本発明の効果を損なわない量、具体的には0.1質量%以下含まれていても構わないものとする。
【0020】
本発明の塗料用プライマー組成物が極性塗料に良好な密着性を示し、かつ変性ポリオレフィン樹脂が塗膜を形成するに必要な凝集力を有するためには、変性ポリオレフィン樹脂は、ポリオレフィン樹脂(A)を、ビニル系単量体(B)の総量100質量%に対して、アルキル基の炭素数が1〜7であるアルキル(メタ)アクリレートを5質量%以上、かつアルキル基の炭素数が8以上であるアルキル(メタ)アクリレートを5質量%以上含むビニル系単量体(B)で変性したものであることが好ましい。
【0021】
変性ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量は、得られる塗料用プライマー組成物の強度および固形分濃度の点から、10000〜300000が好ましく、20000〜200000がより好ましい。ここで、重量平均分子量は、クロロホルムを溶媒として用い、35℃の条件下ででゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定される。
【0022】
<変性ポリオレフィン樹脂の製造>
変性ポリオレフィン樹脂は、例えば、ポリオレフィン樹脂(A)をキシレン等の芳香族炭化水素溶媒中に高温下で溶解させ、これにビニル系単量体(B)を加えてグラフト重合させる溶液法;ポリオレフィン樹脂(A)とビニル系単量体(B)とを過酸化物存在下で、バンバリーミキサー、ニーダー、押出機などを用いて溶融混練する混練法;ポリオレフィン樹脂(A)とビニル系単量体(B)との混合物に放射線を照射する放射線法;ポリオレフィン樹脂(A)にビニル系単量体(B)を含浸せしめた後、過酸化物でビニル系単量体(B)をラジカル重合させる含浸重合法など、公知の方法により製造することができる。
【0023】
グラフト変性は、ポリオレフィン樹脂(A)とビニル系単量体(B)との質量比(A/B)が50/50〜95/5の範囲で行われることが好ましい。ポリオレフィン樹脂(A)が50質量%未満では、ポリプロピレンなどの難密着低極性樹脂からなる基材への密着性が低下する場合がある。また、ビニル系単量体(B)が5質量%未満では、極性塗料への密着性が低下する場合がある。
【0024】
ビニル系単量体(B)は、ポリオレフィン樹脂(A)の存在下、ラジカル重合開始剤を用いて加熱重合される。ラジカル重合開始剤としては、通常、有機化酸化物あるいはアゾ化合物が使用される。有機過酸化物の具体例としては、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、o−メチルベンゾイルパーオキサイド、ビス−3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、シクロヘキサノンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等が挙げられる。他方、アゾ化合物の具体例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)等が挙げられる。これらの中でも、ポリオレフィン樹脂(A)にグラフト点を発生させるために、有機過酸化物を使用するのが好ましい。これらラジカル重合開始剤は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0025】
ラジカル重合開始剤は、ビニル系単量体(B)100質量部に対し、通常、0.001〜20質量部の範囲で使用される。ラジカル重合開始剤が0.001質量部未満では、重合反応が円滑に進まない場合があり、20質量部を超えると、ポリオレフィン樹脂(A)の分子開裂が生じやすくなる場合がある。ラジカル重合開始剤の使用量は、好ましくは0.01〜10質量部であり、さらに好ましくは0.1〜5質量部である。
【0026】
ビニル系単量体(B)を重合させる温度は、使用したラジカル重合開始剤が分解する範囲であれば特に制限ないが、通常50〜150℃である。
本発明においては、グラフト変性の際、必要に応じて連鎖移動剤を添加することができる。連鎖移動剤としては、通常ラジカル重合に用いられるものの中から選択して用いればよく、好ましくは、炭素数2〜20のアルキルメルカプタン、メルカプト酸類、チオフェノールあるいはそれらの混合物などのメルカプタン系連鎖移動剤が用いられる。
【0027】
本発明の塗料用プライマー組成物が極性塗料に良好な密着性を示し、かつ変性ポリオレフィン樹脂が塗膜を形成するに必要な凝集力を有するためには、ビニル系単量体(B)が、ビニル系単量体(B)の総量100質量%に対して、少なくとも1種のアルキル基の炭素数1〜7のアルキル(メタ)アクリレートを5質量%以上、かつ少なくとも1種のアルキル基の炭素数8以上のアルキル(メタ)アクリレートを5質量%以上含むことが好ましい。
【0028】
<塗料用プライマー組成物>
次に、本発明の塗料用プライマー組成物について説明する。
本発明において、塗料用プライマー組成物を基材に均一に塗布するためには、変性ポリオレフィン樹脂、および必要に応じて他の成分を適当な有機溶剤に溶解することが好ましい。
【0029】
有機溶剤としては、変性ポリオレフィン樹脂、および他の成分が溶解すればよく、例えば、トルエン、キシレン、スワゾール#1000(丸善石油化学(株)製、商品名)、ソルベッツ#150(エクソン化学(株)製、商品名)などのような芳香族系炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどのような脂環式炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンのようなケトン類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、DBE(デュポン(株)製、商品名)などのようなエステル類;n−ブタノール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノールなどのようなアルコール類;エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコール系溶剤;ヘプタン、ヘキサン、オクタン、ミネラルターペン、アイソパーE(エクソン化学(株)製、商品名)などのような脂肪族炭化水素類が挙げられる。中でも、作業性の点から芳香族系炭化水素類、脂環式炭化水素、脂肪族炭化水素が特に好ましい。
変性ポリオレフィン樹脂は、取り扱い性の点から通常、塗料用プライマー組成物中において60質量%以下になるように、有機溶剤に溶解されることが好ましい。
【0030】
本発明の塗料用プライマー組成物は、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等の各種安定剤;無機顔料、有機顔料等の着色剤;カーボンブラック、フェライト等の導電性付与剤などをさらに含有していてもよい。
本発明の塗料用プライマー組成物を用いた塗装は、公知慣用の方法で実施される。例えば、塗料用プライマー組成物を適当な上述の有機溶剤で希釈した後、乾燥膜厚1〜80μm程度の範囲となるようにスプレーガンにより基材に吹き付け塗装する方法などが挙げられる。
【0031】
以上説明したような塗料用プライマー組成物にあっては、組成物中に、ビニル系単量体(B)でグラフト変性された変性ポリオレフィン樹脂を含有しているので、ポリオレフィン系樹脂などの難密着性の基材およびアクリル系樹脂などを含む極性塗料に対する密着性が良好である。また、ビニル系単量体(B)には、不飽和カルボン酸およびその酸無水物が含まれていないので、吸水により難密着性低極性樹脂や極性塗料に対する密着性が低下することがない。
【0032】
このような塗料用プライマー組成物は、ポリオレフィン系樹脂などの難密着性低極性樹脂からなる成形品の表面への極性塗料の密着性を改善するのに有効である。例えば、高圧法ポリエチレン、中低圧法ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、ポリスチレン等のポリオレフィン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体等のポリオレフィン系樹脂からなる自動車部品用成形品、家電製品用成形品などに好適に用いることができる。
【0033】
さらに、本発明の塗料用プライマー組成物は、ポリオレフィン系樹脂以外にも、ポリメチルメタクリレートなどからなるアクリル樹脂板、ポリプロピレンと合成ゴムからなる成形品、ポリアミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂等からなる自動車用バンパー等の自動車部品用成形品、家電製品用成形品などにも用いることができる。
また、本発明の塗料用プライマー組成物が適用される成形品は、上記の各種重合体あるいは樹脂が、射出成形、圧縮成形、中空成形、押し出し成形、回転成形等の公知の成形法のいずれの方法によって成形されたものであってもよい。
【0034】
【実施例】
以下、実施例および比較例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例によって制限されるものではない。各記載中「部」および「%」はすべて「質量部」および「質量%」を示す。
また、実施例で得られた塗料用プライマー組成物の評価は下記方法に従って実施した。
【0035】
[密着性試験]
実施例1〜3、比較例1〜2で調製した塗料用プライマー組成物を、基材であるポリプロピレン射出成形板(3mm厚、日本ポリケム(株)製、ノバテックTX−1810A)上に、乾燥膜厚10μmとなるようにスプレー塗装し、15分間室温放置させてプライマー層を形成した後、この上にアクリル系塗料(三菱レイヨン(株)製、LR162)を乾燥膜厚30μmとなるようにスプレー塗装した。15分間室温放置し、次いで80℃で30分加熱乾燥してアクリル塗料塗装板を得た。
基材上の塗膜をゴバン目(1mm間隔、100マス)にカットし、塗膜のセロハンテープによる剥離テストを行い、付着率(基材に残ったマスの数)により密着性を評価した(JIS K 5400)。
【0036】
[実施例1]
冷却管、温度計、滴下ロートおよび撹拌機を備えたフラスコに、トルエン700部と、プロピレン−1−ブテン共重合体(宇部興産(株)製、ウベタックUT2780)35部を加え、内温85℃にてプロピレン−1−ブテン共重合体を溶解させた。次いで、メチルメタクリレート10.5部とラウリルメタクリレート4.5部とt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.15部の混合液を20分にわたって滴下した後、内温85℃にて7時間保持して重合反応させた。反応物を、室温に冷却した後、大量のメタノール中に投入して精製し、重量平均分子量が77000の変性プロピレン−1−ブテン樹脂を得た。得られた変性ポリプロピレン−1−ブテン樹脂を5質量%でトルエン中に溶解し、塗料用プライマー組成物とした。塗料用プライマー組成物の密着性試験の結果を表1に示した。
【0037】
[実施例2]
メチルメタクリレート10.5部とラウリルメタクリレート4.5部とt−ブチルパーオキシベンゼート0.15部の混合物を、メチルメタクリレート7.5部とトリデシルメタクリレート7.5部とt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.15部の混合物に変更した以外は、実施例1と全く同様に操作して重量平均分子量が75000の変性プロピレン−1−ブテン樹脂を得た。得られた変性ポリプロピレン−1−ブテン樹脂を5質量%でトルエン中に溶解し、塗料用プライマー組成物とした。塗料用プライマー組成物の密着性試験の結果を表1に示した。
【0038】
[実施例3]
冷却管付1リットルフラスコに、メチルメタクリレート420部とラウリルメタクリレート180部とt−ブチルパーオキシベンゼート6部と、プロピレン−1−ブテン共重合体(宇部興産(株)製、ウベタックUT2780)50部を加え、40℃にて60分撹拌した後、ろ過によりプロピレン−1−ブテン共重合体を回収した。プロピレン−1−ブテン共重合体100部に対し、メチルメタクリレートとラウリルメタクリレートとt−ブチルパーオキシベンゼートの混合物が35部含浸されていた。
上記で回収されたプロピレン−1−ブテン共重合体60部を冷却管付1リットルフラスコに移し、イオン交換水600部と、リン酸三カルシウム4部と、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.06部を仕込んだ後、昇温を行い、内温85℃にて6時間保持し、重合反応させた。室温に冷却した後、ろ過により回収、次いで水洗、乾燥させ、重量平均分子量が120000の変性プロピレン−1−ブテン樹脂を得た。得られた変性ポリプロピレン−1−ブテン樹脂を5質量%でトルエン中に溶解し、塗料用プライマー組成物とした。塗料用プライマー組成物の密着性試験の結果を表1に示した。
【0039】
[実施例4]
プロピレン−1−ブテン共重合体を、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体(デグサ・ヒュルスジャパン製、VESTOPLAST708)に変更した以外は、実施例1と全く同様に操作して重量平均分子量が72000の変性プロピレン−エチレン−1−ブテン樹脂を得た。得られた変性ポリプロピレン−1−ブテン樹脂を5質量%でトルエン中に溶解し、塗料用プライマー組成物とした。塗料用プライマー組成物の密着性試験の結果を表1に示した。
【0040】
[比較例1]
メチルメタクリレートとラウリルメタアクリレートのランダム共重合体(メチルメタクリレート成分70%、ラウリルメタクリレート成分30%、重量平均分子量50000)30部とプロピレン−1−ブテン共重合体70部の混合物を5質量%となるようにトルエンに溶解して塗料用プライマー組成物とした。塗料用プライマー組成物の密着性試験の結果を表1に示した。
【0041】
[比較例2]
メチルメタクリレートとトリデシルメタクリレートのランダム共重合体(メチルメタクリレート成分50%、トリデシルメタクリレート50%、重量平均分子量62000)30部とプロピレン−1−ブテン共重合体70部の混合物を5質量%となるようにトルエンに溶解して塗料用プライマー組成物とした。塗料用プライマー組成物の密着性試験の結果を表1に示した。
【0042】
【表1】
Figure 2004250499
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の塗料用プライマー組成物は、変性ポリオレフィン樹脂を含有する塗料用プライマー組成物であり、前記変性ポリオレフィン樹脂が、ポリオレフィン樹脂(A)を、不飽和カルボン酸およびその無水物を含まないビニル系単量体(B)でグラフト変性したものであるので、吸水などが影響する使用環境下でも、ポリオレフィン系樹脂などの難密着性の基材およびアクリル系樹脂などを含む極性塗料に対する密着性が良好である。
【0044】
また、前記変性ポリオレフィン樹脂が、ポリオレフィン樹脂(A)を、ビニル系単量体(B)の総量100質量%に対して、アルキル基の炭素数が1〜7であるアルキル(メタ)アクリレートを5質量%以上、かつアルキル基の炭素数が8以上であるアルキル(メタ)アクリレートを5質量%以上含むビニル系単量体(B)で変性したものであれば、極性塗料に対してさらに良好な密着性を示し、かつ変性ポリオレフィン樹脂が塗膜を形成するに必要な凝集力を有する。
また、前記ポリオレフィン樹脂(A)が、塩素原子を含まないものであれば、環境にやさしい塗料用プライマー組成物となる。
【0045】
また、本発明の塗料用プライマー組成物の製造方法は、ポリオレフィン樹脂(A)をビニル系単量体(B)でグラフト変性して変性ポリオレフィン樹脂を得る工程を有する塗料用プライマー組成物の製造方法において、ビニル系単量体(B)として、不飽和カルボン酸およびその無水物を含まないものを用いる方法であるので、吸水などが影響する使用環境下でも、ポリオレフィン系樹脂などの難密着性の基材およびアクリル系樹脂などを含む極性塗料に対する密着性が良好な塗料用プライマー組成物を得ることができる。
【0046】
また、本発明の塗料用プライマー組成物の製造方法において、前記ビニル系単量体(B)として、ビニル系単量体(B)の総量100質量%に対して、アルキル基の炭素数が1〜7であるアルキル(メタ)アクリレートを5質量%以上、かつアルキル基の炭素数が8以上であるアルキル(メタ)アクリレートを5質量%以上含むものを用いれば、極性塗料に対してさらに良好な密着性を示し、かつ変性ポリオレフィン樹脂が塗膜を形成するに必要な凝集力を有する塗料用プライマー組成物を得ることができる。
また、本発明の塗料用プライマー組成物の製造方法において、前記ポリオレフィン樹脂(A)として、塩素原子を含まないものを用いれば、環境にやさしい塗料用プライマー組成物を得ることができる。

Claims (6)

  1. 変性ポリオレフィン樹脂を含有する塗料用プライマー組成物であり、
    前記変性ポリオレフィン樹脂が、ポリオレフィン樹脂(A)を、不飽和カルボン酸およびその無水物を含まないビニル系単量体(B)でグラフト変性したものであることを特徴とする塗料用プライマー組成物。
  2. 前記変性ポリオレフィン樹脂が、ポリオレフィン樹脂(A)を、ビニル系単量体(B)の総量100質量%に対して、アルキル基の炭素数が1〜7であるアルキル(メタ)アクリレートを5質量%以上、かつアルキル基の炭素数が8以上であるアルキル(メタ)アクリレートを5質量%以上含むビニル系単量体(B)で変性したものであることを特徴とする請求項1記載の塗料用プライマー組成物。
  3. 前記ポリオレフィン樹脂(A)が、塩素原子を含まないものであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の塗料用プライマー組成物。
  4. ポリオレフィン樹脂(A)をビニル系単量体(B)でグラフト変性して変性ポリオレフィン樹脂を得る工程を有する塗料用プライマー組成物の製造方法において、
    前記ビニル系単量体(B)として、不飽和カルボン酸およびその無水物を含まないものを用いることを特徴とする塗料用プライマー組成物の製造方法。
  5. 前記ビニル系単量体(B)として、ビニル系単量体(B)の総量100質量%に対して、アルキル基の炭素数が1〜7であるアルキル(メタ)アクリレートを5質量%以上、かつアルキル基の炭素数が8以上であるアルキル(メタ)アクリレートを5質量%以上含むものを用いることを特徴とする請求項4記載の塗料用プライマー組成物の製造方法。
  6. 前記ポリオレフィン樹脂(A)として、塩素原子を含まないものを用いることを特徴とする請求項4または請求項5記載の塗料用プライマー組成物の製造方法。
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