JP2005120154A - 変性ポリオレフィン樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 含塩素化合物を使用しなくとも、ポリオレフィン系樹脂などの難密着性を示す低極性または非極性の樹脂からなる基材に対する密着性が良好であり、溶剤への溶解性に優れた非塩素系変性ポリオレフィン樹脂組成物、およびその用途を提供する。
【解決手段】 環状ポリオレフィン樹脂(A)を、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が2級炭素原子または3級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体(b)を含むビニル系単量体(B)でグラフト変性した変性ポリオレフィン樹脂を含有する変性ポリオレフィン樹脂組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】 環状ポリオレフィン樹脂(A)を、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が2級炭素原子または3級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体(b)を含むビニル系単量体(B)でグラフト変性した変性ポリオレフィン樹脂を含有する変性ポリオレフィン樹脂組成物。
【選択図】 なし
Description
本発明は、難密着性を示す低極性または非極性の熱可塑性樹脂からなる基材表面に対する密着性と、溶剤への溶解性とが改善された変性ポリオレフィン樹脂組成物、およびその用途に関するものである。
ポリオレフィン系樹脂は、機械的性質、耐薬品性に優れる上に、低コストで成形加工が容易であることから、多種の用途に幅広く利用されている。さらに、ポリオレフィン系樹脂は、リサイクル性にも優れることから、近年の地球環境問題を背景としてその用途はさらに拡大しつつある。
しかしながら、ポリオレフィン系樹脂は非極性であることから、これからなる基材表面に塗料、接着剤、印刷インキを強固に密着させることが困難である。
しかしながら、ポリオレフィン系樹脂は非極性であることから、これからなる基材表面に塗料、接着剤、印刷インキを強固に密着させることが困難である。
よって、ポリオレフィン系樹脂からなる成形物の表面に塗装や接着を行う場合には、該成形物の表面にプラズマ処理、火炎処理、紫外線照射処理、クロム酸処理などの表面処理を施して、成形物の表面を活性化させて、ポリオレフィン系樹脂への密着性を改良する方法が一般に採用されている。
しかしながら、このような表面処理を行うことは、その付加的な処理のため、塗装工程が複雑で多大な設備費や時間的なロスを伴い、また、成形物の形や大きさ、樹脂中に含まれる顔料や添加物の影響により、表面処理効果にバラつきが生じやすいという欠点を有していた。
しかしながら、このような表面処理を行うことは、その付加的な処理のため、塗装工程が複雑で多大な設備費や時間的なロスを伴い、また、成形物の形や大きさ、樹脂中に含まれる顔料や添加物の影響により、表面処理効果にバラつきが生じやすいという欠点を有していた。
また、無処理のポリオレフィン系樹脂に対して、密着性を有する樹脂として塩素化ポリオレフィンが知られている。しかしながら、近年の環境問題への関心の高まりから含塩素化合物は、その使用が回避される傾向にある。また、塩素化ポリオレフィンは、トルエン、キシレン、ベンゼン以外の溶剤には溶解しづらく、密着性を維持したまま非芳香族溶剤に溶解させることが困難であった。
ポリオレフィン系樹脂に密着性を有する非塩素系樹脂として、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂をはじめとする種々の酸変性ポリオレフィン樹脂が提案されている。例えば、ポリオレフィン樹脂にアクリル酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸をグラフト共重合させた後、さらにポリエステルまたはアルコールなどを反応させた変性共重合体が開示されている(例えば、特許文献1)。また、ポリオレフィン樹脂が不飽和カルボン酸および特定の(メタ)アクリレートでグラフト変性された変性ポリオレフィン樹脂が開示されている(例えば、特許文献2)。
しかしながら、これら酸変性ポリオレフィン樹脂を含有する組成物は、ポリオレフィン系樹脂のような難密着性を示す低極性または非極性の樹脂への密着性を有するものの、トルエン、キシレン、ベンゼン以外の溶剤への溶解性が未だ不十分という問題があった。
特開平11−217537号公報
特開2002−173514号公報
よって、本発明の目的は、含塩素化合物を使用しなくとも、ポリオレフィン系樹脂などの難密着性を示す低極性または非極性の樹脂からなる基材に対する密着性が良好であり、溶剤への溶解性に優れた非塩素系変性ポリオレフィン樹脂組成物、およびその用途を提供することにある。
すなわち、本発明の変性ポリオレフィン樹脂組成物は、環状ポリオレフィン樹脂(A)を、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が2級炭素原子または3級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体(b)を含むビニル系単量体(B)でグラフト変性した変性ポリオレフィン樹脂を含有することを特徴とするものである。
また、前記(メタ)アクリル酸エステル単量体(b)は、(メタ)アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシルであることであることが望ましい。
また、本発明の変性ポリオレフィン樹脂組成物は、塗料用プライマー用途に適する。
また、本発明の変性ポリオレフィン樹脂組成物は、接着剤用途に適する。
また、本発明の変性ポリオレフィン樹脂組成物は、印刷インキ用途に適する。
また、本発明の変性ポリオレフィン樹脂組成物は、塗料用プライマー用途に適する。
また、本発明の変性ポリオレフィン樹脂組成物は、接着剤用途に適する。
また、本発明の変性ポリオレフィン樹脂組成物は、印刷インキ用途に適する。
本発明の変性ポリオレフィン樹脂組成物は、環状ポリオレフィン樹脂(A)を、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が2級炭素原子または3級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体(b)を含むビニル系単量体(B)でグラフト変性した変性ポリオレフィン樹脂を含有するものであるので、溶剤への溶解性とポリオレフィン系樹脂などの難密着性の基材に対する密着性が良好である。
また、本発明の変性ポリオレフィン樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂からなる非極性基材だけではなく、上塗り塗料やクリアーとの密着性に優れるので、塗料用プライマーの用途に適する。
また、本発明の変性ポリオレフィン樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂からなる非極性基材だけではく、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド等の極性樹脂との密着性を有するので、接着剤や印刷インキの用途に適する。
また、本発明の変性ポリオレフィン樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂からなる非極性基材だけではく、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド等の極性樹脂との密着性を有するので、接着剤や印刷インキの用途に適する。
以下、本発明について詳細に説明する。
<環状ポリオレフィン樹脂(A)>
本発明における環状ポリオレフィン樹脂(A)は、重合体の主鎖または側鎖に飽和炭化水素環構造を有する非晶性のものである。環状ポリオレフィン樹脂(A)としては、例えば、ノルボルネン環を有するモノマーの開環重合体およびその水素添加物、ノルボルネン環を有するモノマーとエチレンおよび/またはα−オレフィン類との付加重合体、特開平6−136057号公報や特開平7−258362号公報に開示されている環状オレフィンや環状ジエンの付加重合体やその水素添加物などを挙げることができる。
<環状ポリオレフィン樹脂(A)>
本発明における環状ポリオレフィン樹脂(A)は、重合体の主鎖または側鎖に飽和炭化水素環構造を有する非晶性のものである。環状ポリオレフィン樹脂(A)としては、例えば、ノルボルネン環を有するモノマーの開環重合体およびその水素添加物、ノルボルネン環を有するモノマーとエチレンおよび/またはα−オレフィン類との付加重合体、特開平6−136057号公報や特開平7−258362号公報に開示されている環状オレフィンや環状ジエンの付加重合体やその水素添加物などを挙げることができる。
ノルボルネン環を有するモノマーの具体例としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(慣用名ノルボルネン)、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−ドデカ−3−エン、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名ジシクロペンタジエン)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカ−3,10−ジエン、ペンタシクロ[7.4.0.13,6.110,13.02,7]ペンタデカ−4,11−ジエン、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカ−3,10−ジエン、ペンタシクロ[7.4.0.13,6.110,13.02,7]ペンタデカ−4,11−ジエン;並びにこれらの誘導体などが挙げられる。
誘導体の具体例としては、2−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、2,2−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、2−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、2−ブチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、2−ヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、2−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、2−オクチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、2−オクタデシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、2−エチリデン−2−ノルボルネンなどの2環体のノルボルネン誘導体;8−メチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−ドデカ−3−エン、8−エチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−ドデカ−3−エン、8−メチリデン−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−ドデカ−3−エン、8−エチリデン−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−ドデカ−3−エン、8−ビニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−ドデカ−3−エン、8−プロペニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−ドデカ−3−エンなどのテトラシクロドデセン構造を有する4環体の誘導体;5−メトキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−シアノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、3−メチル−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−ドデカ−3−エンなどの水酸基、エステル基、アルコキシ基、シアノ基、アミド基、イミド基、シリル基などの極性基により置換された誘導体などが挙げられる。これらは、1種を単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
付加重合されるエチレンおよび/またはα−オレフィンの具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどが挙げられる。これらは、1種を単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
環状オレフィンの具体例としては、シクロブテン、1−メチルシクロペンテン、3−メチルシクロブテン、3,4−ジイソプロペニルシクロブテン、シクロペンテン、3−メチルシクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、1−メチルシクロオクテン、5−メチルシクロオクテン、シクロオクタテトラエン、シクロドデセンなどの単環シクロオレフィンや、前述のノルボルネン環を有するモノマーのうち不飽和結合が一つのものが挙げられる。これらは、1種を単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
環状ジエンの具体例としては、シクロペンタジエン、1、3−ジクロヘキサジエン、1,4−シクロヘキサジエンなどの単環ジエンや、前述のノルボルネン環を有するモノマーのうち不飽和結合を2個有するものが挙げられる。これらは、1種を単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
これら環状ポリオレフィン樹脂の中でも、ポリオレフィン基材への密着性、溶剤への溶解性を考慮した場合、ノルボルネン環を有するモノマーとエチレンおよび/またはα−オレフィン類との付加重合体、並びにこれらの水素添加物を用いることが好ましい。ノルボルネン環を有するモノマー単位/(エチレン単位および/またはα−オレフィン類単位)の質量比は10/90〜60/40が好ましく、20/80〜50/50がより好ましい。具体的には、エチレン−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンランダム共重合体が挙げられる。
また、本発明における環状ポリオレフィン樹脂(A)は、環境への影響を考慮した場合、塩素原子を含有しないことが好ましい。
また、本発明における環状ポリオレフィン樹脂(A)は、環境への影響を考慮した場合、塩素原子を含有しないことが好ましい。
<ビニル系単量体(B)>
本発明におけるビニル系単量体(B)は、アクリロイルオキシ基(CH2 =CHCOO−)またはメタクリロイルオキシ基(CH2 =C(CH3 )COO−)が2級炭素原子または3級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体(b)を含むことを特徴とするものである。
ここで、2級炭素原子または3級炭素原子とは、アクリロイルオキシ基(CH2 =CHCOO−)またはメタクリロイルオキシ基(CH2 =C(CH3 )COO−)を除く、水素原子以外の任意の基を2つまたは3つ有する炭素原子であり、これら任意の基は互いに結合して環を形成していてもよいものである。また、(メタ)アクリル酸エステルは、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルを意味する。
本発明におけるビニル系単量体(B)は、アクリロイルオキシ基(CH2 =CHCOO−)またはメタクリロイルオキシ基(CH2 =C(CH3 )COO−)が2級炭素原子または3級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体(b)を含むことを特徴とするものである。
ここで、2級炭素原子または3級炭素原子とは、アクリロイルオキシ基(CH2 =CHCOO−)またはメタクリロイルオキシ基(CH2 =C(CH3 )COO−)を除く、水素原子以外の任意の基を2つまたは3つ有する炭素原子であり、これら任意の基は互いに結合して環を形成していてもよいものである。また、(メタ)アクリル酸エステルは、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルを意味する。
(メタ)アクリル酸エステル単量体(b)の具体例としては、メタクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘプチル、メタクリル酸シクロオクチル、メタクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル、メタクリル酸3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、メタクリル酸トリシクロデカニル、メタクリル酸シクロペンタジエニル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸アダマンチル等の脂環式炭化水素基を有するメタクリル酸エステル単量体;メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸t−アミル、メタクリル酸ジプロピルメチル、メタクリル酸トリプロピルメチル、メタクリル酸ジイソプロピルメチル、メタクリル酸トリイソプロピルメチル、メタクリル酸ジブチルメチル、メタクリル酸トリブチルメチル、メタクリル酸ジイソブチルメチル、メタクリル酸トリイソブチルメチル、メタクリル酸ジt−ブチルメチル、メタクリル酸トリt−ブチルメチル等の分岐状炭化水素基を有するメタクリル酸エステル単量体;アクリル酸シクロペンチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸シクロヘプチル、アクリル酸シクロオクチル、アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル、アクリル酸3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、アクリル酸トリシクロデカニル、アクリル酸シクロペンタジエニル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸アダマンチル等の脂環式炭化水素基を有するアクリル酸エステル単量体;アクリル酸イソプロピル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸t−アミル、アクリル酸ジプロピルメチル、アクリル酸トリプロピルメチル、アクリル酸ジイソプロピルメチル、アクリル酸トリイソプロピルメチル、アクリル酸ジブチルメチル、アクリル酸トリブチルメチル、アクリル酸ジイソブチルメチル、アクリル酸トリイソブチルメチル、アクリル酸ジt−ブチルメチル、アクリル酸トリt−ブチルメチル等の分岐状炭化水素基を有するアクリル酸エステル単量体等が挙げられる。
これらは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でもポリオレフィン基材への密着性、溶剤への溶解性を考慮した場合、メタクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル、アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシルを用いることが好ましい。
本発明におけるビニル系単量体(B)は、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が2級炭素原子または3級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体(b)以外に、その他の単量体を含んでいてもよい。
その他の単量体は、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が2級炭素原子または3級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体(b)とラジカル共重合できるものであれば特に限定されない。
その他の単量体は、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が2級炭素原子または3級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体(b)とラジカル共重合できるものであれば特に限定されない。
その他の単量体の具体例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシブチル、メタクリル酸3−ヒドロキシブチル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸ポリエチレングリコール、メタクリル酸ポリプロピレングリコール、プラクセルFM(ダイセル化学(株);カプロラクトン付加単量体)、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸エトキシエチル、メタクリル酸ノルマルブトキシエチル、メタクリル酸イソブトキシエチル、メタクリル酸tーブトキシエチル、メタクリル酸フェノキシエチル、メタクリル酸ノニルフェノキシエチル、メタクリル酸3−メトキシブチル、ブレンマーPME−100、ブレンマーPME−200(日本油脂(株))、ブレンマー50POEP−800B(日本油脂(株))、ブレンマー20ANEP−600(日本油脂(株))等のメタクリル酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アタクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシブチル、アクリル酸3−ヒドロキシブチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリル酸ポリエチレングリコール、アクリル酸ポリプロピレングリコール、プラクセルFA(ダイセル化学(株);カプロラクトン付加単量体)、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸エトキシエチル、アクリル酸ノルマルブトキシエチル、アクリル酸イソブトキシエチル、アクリル酸t−ブトキシエチル、アクリル酸フェノキシエチル、アクリル酸ノニルフェノキシエチル、アクリル酸3−メトキシブチル、ブレンマーAME−100、200(日本油脂(株))、ブレンマー50AOEP−800B(日本油脂(株))等のアクリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、ビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水物等のα,β−不飽和カルボン酸類;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−t−ブチルマレイミド等のマレイミド類;カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル等のビニルエステル類;ブタジエン、イソプレン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ペンタジエン等のジエン類;スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o,p−ジメチルスチレン等のモノもしくはポリアルキルスチレン等の芳香族ビニル化合物;メタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、ブトキシメタクリルアミド、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ブトキシアクリルアミド等重合性アミド類、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート類、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等の不飽和有機シラン化合物等が挙げられる。
これらの中でも、入手のし易さ、密着性の面から、メタクリル酸エステル類、アクリル酸エステル類、α,β−不飽和カルボン酸類が好ましい。さらに、これらの中でも、メタクリル酸メチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリル酸がより好ましい。
これら、その他の単量体は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらアクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が2級炭素原子または3級炭素原子に結合した構造を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体(b)の単独重合体および、その他の単量体とのラジカル共重合体は低極性となるため、環状ポリオレフィン樹脂(A)との相溶性が向上する。
また、ビニル系単量体(B)は、環境への影響を考慮した場合、分子内に塩素原子を含有しないものであることが好ましい。
これら、その他の単量体は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらアクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が2級炭素原子または3級炭素原子に結合した構造を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体(b)の単独重合体および、その他の単量体とのラジカル共重合体は低極性となるため、環状ポリオレフィン樹脂(A)との相溶性が向上する。
また、ビニル系単量体(B)は、環境への影響を考慮した場合、分子内に塩素原子を含有しないものであることが好ましい。
ビニル系単量体(B)中の(メタ)アクリル酸エステル単量体(b)の含有量は特に制限されないが、ポリオレフィン基材への密着性、溶剤への溶解性、極性樹脂などへの密着性を考慮すれば、ビニル系単量体(B)100質量%中、5〜99.5質量%であることが好ましい。さらに好ましくは10〜95質量%である。
<変性ポリオレフィン樹脂>
本発明における変性ポリオレフィン樹脂は、環状ポリオレフィン樹脂(A)を、ビニル系単量体(B)でグラフト変性したものである。
ここで、「グラフト変性」とは、変性対象樹脂(本発明における環状ポリオレフィン樹脂(A))の存在下で、ビニル系単量体(B)をラジカル重合してグラフト共重合体を生成させることをいう。環状ポリオレフィン樹脂(A)をビニル系単量体(B)でグラフト変性して得られる変性ポリオレフィン樹脂には、通常、グラフト共重合体とともに、未変性の環状ポリオレフィン樹脂(A)、およびビニル系単量体(B)の単独重合体またはランダム共重合体が含まれるが、本発明においては、発明の趣旨を損なわない限り、これらを含めて変性ポリオレフィン樹脂という。
本発明における変性ポリオレフィン樹脂は、環状ポリオレフィン樹脂(A)を、ビニル系単量体(B)でグラフト変性したものである。
ここで、「グラフト変性」とは、変性対象樹脂(本発明における環状ポリオレフィン樹脂(A))の存在下で、ビニル系単量体(B)をラジカル重合してグラフト共重合体を生成させることをいう。環状ポリオレフィン樹脂(A)をビニル系単量体(B)でグラフト変性して得られる変性ポリオレフィン樹脂には、通常、グラフト共重合体とともに、未変性の環状ポリオレフィン樹脂(A)、およびビニル系単量体(B)の単独重合体またはランダム共重合体が含まれるが、本発明においては、発明の趣旨を損なわない限り、これらを含めて変性ポリオレフィン樹脂という。
本発明の変性ポリオレフィン樹脂組成物が、ポリオレフィン基材および極性樹脂に良好な密着性を示し、かつ溶剤への良好な溶解性を有するためには、変性ポリオレフィン樹脂は、環状ポリオレフィン樹脂(A)を、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が2級炭素原子または3級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体(b)を含むビニル系単量体(B)でグラフト変性したものである必要がある。
また、変性ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量は、強度、形態保持性の観点から1000〜300000が好ましく、5000〜200000がより好ましい。ここで、重量平均分子量は、クロロホルムを溶媒として用い、35℃の条件下ででゲルパーミエーションクロマトグラフィー(Waters製、GPC150−C、ポリメチルメタクリレート換算)を用いて測定される。
<変性ポリオレフィン樹脂の製造>
変性ポリオレフィン樹脂は、例えば、環状ポリオレフィン樹脂(A)をキシレン等の芳香族炭化水素溶媒中に高温下で溶解させ、これにビニル系単量体(B)を加えてグラフト重合させる溶液法;環状ポリオレフィン樹脂(A)とビニル系単量体(B)とを有機過酸化物存在下で、バンバリーミキサー、ニーダー、押出機などを用いて溶融混練する混練法;環状ポリオレフィン樹脂(A)とビニル系単量体(B)との混合物に放射線を照射する放射線法;環状ポリオレフィン樹脂(A)にビニル系単量体(B)を含浸せしめた後、有機過酸化物でビニル系単量体(B)をラジカル重合させる含浸重合法など、公知の方法により製造することができる。
変性ポリオレフィン樹脂は、例えば、環状ポリオレフィン樹脂(A)をキシレン等の芳香族炭化水素溶媒中に高温下で溶解させ、これにビニル系単量体(B)を加えてグラフト重合させる溶液法;環状ポリオレフィン樹脂(A)とビニル系単量体(B)とを有機過酸化物存在下で、バンバリーミキサー、ニーダー、押出機などを用いて溶融混練する混練法;環状ポリオレフィン樹脂(A)とビニル系単量体(B)との混合物に放射線を照射する放射線法;環状ポリオレフィン樹脂(A)にビニル系単量体(B)を含浸せしめた後、有機過酸化物でビニル系単量体(B)をラジカル重合させる含浸重合法など、公知の方法により製造することができる。
グラフト変性は、環状ポリオレフィン樹脂(A)とビニル系単量体(B)との質量比(A/B)が5/95〜99/1の範囲で行われることが好ましい。環状ポリオレフィン樹脂(A)が少なすぎると、ポリプロピレンなどの難密着性を示す低極性または非極性の樹脂からなる基材への密着性が低下する場合がある。また、ビニル系単量体(B)が少なすぎると、溶剤への溶解性、極性樹脂への密着性が低下する場合がある。さらに好ましくは、質量比(A/B)=10/90〜95/5の範囲である。
ビニル系単量体(B)を、環状ポリオレフィン樹脂(A)の存在下、ラジカル重合する際には、ラジカル重合開始剤を用いることが好ましい。ラジカル重合開始剤としては、通常、有機化酸化物あるいはアゾ化合物が使用される。有機過酸化物の具体例としては、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、o−メチルベンゾイルパーオキサイド、ビス−3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、シクロヘキサノンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等が挙げられる。他方、アゾ化合物の具体例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)等が挙げられる。これらの中でも、環状ポリオレフィン樹脂(A)にグラフト点を発生させるために、有機過酸化物を使用するのが好ましい。これらラジカル重合開始剤は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
ラジカル重合開始剤は、ビニル系単量体(B)100質量部に対し、通常、0.001〜20質量部の範囲で使用されることが好ましい。ラジカル重合開始剤が少なすぎると、重合反応が円滑に進まない場合があり、多すぎると、環状ポリオレフィン樹脂(A)の分子開裂が生じやすくなる場合がある。ラジカル重合開始剤の使用量は、より好ましくは0.01〜10質量部であり、さらに好ましくは0.1〜5質量部である。
ビニル系単量体(B)を重合させる温度は、使用したラジカル重合開始剤が分解する範囲であれば特に制限ないが、通常50〜150℃である。
本発明においては、グラフト変性の際、必要に応じて連鎖移動剤を添加することができる。連鎖移動剤としては、通常ラジカル重合に用いられるものの中から選択して用いればよく、好ましくは、炭素数2〜20のアルキルメルカプタン、メルカプト酸類、チオフェノールあるいはそれらの混合物などのメルカプタン系連鎖移動剤が用いられる。
本発明においては、グラフト変性の際、必要に応じて連鎖移動剤を添加することができる。連鎖移動剤としては、通常ラジカル重合に用いられるものの中から選択して用いればよく、好ましくは、炭素数2〜20のアルキルメルカプタン、メルカプト酸類、チオフェノールあるいはそれらの混合物などのメルカプタン系連鎖移動剤が用いられる。
<変性ポリオレフィン樹脂組成物>
本発明の変性ポリオレフィン樹脂組成物は、上述の変性ポリオレフィン樹脂を含有するものであり、塗料用プライマー、接着剤、印刷インキ等いろいろな用途に使用できる。本発明の変性ポリオレフィン樹脂組成物は、これ自身を塗料用プライマー、接着剤、印刷インキ等として使用することができる。あるいは、本発明の変性ポリオレフィン樹脂組成物は、塗料用プライマー樹脂組成物、接着剤樹脂組成物、印刷インキ用樹脂組成物における、密着性付与のための成分としても使用することができる。
本発明の変性ポリオレフィン樹脂組成物は、上述の変性ポリオレフィン樹脂を含有するものであり、塗料用プライマー、接着剤、印刷インキ等いろいろな用途に使用できる。本発明の変性ポリオレフィン樹脂組成物は、これ自身を塗料用プライマー、接着剤、印刷インキ等として使用することができる。あるいは、本発明の変性ポリオレフィン樹脂組成物は、塗料用プライマー樹脂組成物、接着剤樹脂組成物、印刷インキ用樹脂組成物における、密着性付与のための成分としても使用することができる。
本発明の変性ポリオレフィン樹脂組成物は、用途に応じて、溶液、粉末、ペースト、シート等の形態とすることができる。また、その際に、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等の各種安定剤;無機顔料、有機顔料等の着色剤;カーボンブラック、フェライト等の導電性付与剤などをさらに含有することができる。
溶液として使用する場合、その溶剤としては、トルエン、キシレン、スワゾール#1000(丸善石油化学(株)製、商品名)、ソルベッツ#150(エクソン化学(株)製、商品名)などのような芳香族系炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどのような脂環式炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンのようなケトン類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、DBE(デュポン(株)製、商品名)などのようなエステル類;n−ブタノール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノールなどのようなアルコール類;エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコール系溶剤;ヘプタン、ヘキサン、オクタン、ミネラルターペン、アイソパーE(エクソン化学(株)製、商品名)などのような脂肪族炭化水素類が挙げられる。中でも、作業性の点から芳香族系炭化水素類、脂環式炭化水素類、脂肪族炭化水素類が特に好ましい。
また、変性ポリオレフィン樹脂は、取り扱い性の点から通常、溶液中においてその含有量が60質量%以下になるように、有機溶剤に溶解されることが好ましい。
また、変性ポリオレフィン樹脂は、取り扱い性の点から通常、溶液中においてその含有量が60質量%以下になるように、有機溶剤に溶解されることが好ましい。
本発明の変性ポリオレフィン樹脂組成物を印刷インキとして用いる場合は、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステルポリオール、セルロースアセテートブチレート、硝化綿等の、他の印刷インキ用樹脂を加えてもよい。
<基材>
本発明の変性ポリオレフィン樹脂組成物は、特に、従来の塗料、接着剤、印刷インキでは密着性が良好でなかったポリオレフィン系樹脂からなる基材の表面に対して塗布する場合に好適である。ポリオレフィン系樹脂からなる基材としては、例えば、高圧法ポリエチレン、中低圧法ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、ポリスチレン等のポリオレフィン、あるいはエチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体等のポリオレフィン系樹脂からなる自動車部品用成形品、家電製品用成形品等が挙げられる。
本発明の印刷インキ用樹脂組成物を用いて塗装を施す成形品は、射出成形、圧縮成形、中空成形、押出成形、回転成形など、公知のいずれの成形法によって成形されたものであっても良い。
本発明の変性ポリオレフィン樹脂組成物は、特に、従来の塗料、接着剤、印刷インキでは密着性が良好でなかったポリオレフィン系樹脂からなる基材の表面に対して塗布する場合に好適である。ポリオレフィン系樹脂からなる基材としては、例えば、高圧法ポリエチレン、中低圧法ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、ポリスチレン等のポリオレフィン、あるいはエチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体等のポリオレフィン系樹脂からなる自動車部品用成形品、家電製品用成形品等が挙げられる。
本発明の印刷インキ用樹脂組成物を用いて塗装を施す成形品は、射出成形、圧縮成形、中空成形、押出成形、回転成形など、公知のいずれの成形法によって成形されたものであっても良い。
以上説明した変性ポリオレフィン樹脂組成物は、組成中に、環状ポリオレフィン樹脂(A)を、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が2級炭素原子または3級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体(b)を含むビニル系単量体(B)でグラフト変性した変性ポリオレフィン樹脂を含有するので、塩素を含む化合物を使用しなくとも、ポリオレフィン系樹脂などの難密着性を示す低極性樹脂からなる基材に対する密着性が良好であり、しかも、溶剤への溶解性に優れる。
また、本発明における変性ポリオレフィン樹脂は、ポリオレフィン樹脂からなる非極性基材だけではなく、上塗り塗料やクリアーとの密着性に優れるため、本発明の変性ポリオレフィン樹脂組成物は、塗料用プライマーの用途に適する。プライマーとして用いる際には、その厚みは1〜80μmの範囲内であることが好ましい。
接着剤や印刷インキを成形物に使用した場合、その成形物には、ポリオレフィン樹脂からなる非極性基材だけでなく、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド等の極性樹脂が併用されていることが多い。本発明における変性ポリオレフィン樹脂は、このような極性樹脂への密着性を有することから、本発明の変性ポリオレフィン樹脂組成物は、接着剤、印刷インキの用途に適する。印刷インキとして用いる際には、その厚みは0.1〜1000μmの範囲内であることが好ましい。
接着剤や印刷インキを成形物に使用した場合、その成形物には、ポリオレフィン樹脂からなる非極性基材だけでなく、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド等の極性樹脂が併用されていることが多い。本発明における変性ポリオレフィン樹脂は、このような極性樹脂への密着性を有することから、本発明の変性ポリオレフィン樹脂組成物は、接着剤、印刷インキの用途に適する。印刷インキとして用いる際には、その厚みは0.1〜1000μmの範囲内であることが好ましい。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例によって制限されるものではない。各記載中「部」および「%」はすべて「質量部」および「質量%」を示す。
(実施例1)
冷却管、温度計、滴下ロートおよび撹拌機を備えたフラスコに、トルエン400部と、エチレン−ノルボルネンランダム共重合体(Ticoa製、TOPAS−TM)30部を加え、内温85℃にてエチレン−ノルボルネンランダム共重合体を溶解させた。次いで、メタクリル酸メチル42部とアクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル21部と4−ヒドロキシブチル7部とt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.7部の混合物を30分にわたって滴下した後、内温85℃にて6時間保持して重合反応させた。反応物を、室温に冷却した後、大量のメタノール中に投入して精製し、重量平均分子量が11000の変性エチレン−ノルボルネン樹脂を得た。
冷却管、温度計、滴下ロートおよび撹拌機を備えたフラスコに、トルエン400部と、エチレン−ノルボルネンランダム共重合体(Ticoa製、TOPAS−TM)30部を加え、内温85℃にてエチレン−ノルボルネンランダム共重合体を溶解させた。次いで、メタクリル酸メチル42部とアクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル21部と4−ヒドロキシブチル7部とt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.7部の混合物を30分にわたって滴下した後、内温85℃にて6時間保持して重合反応させた。反応物を、室温に冷却した後、大量のメタノール中に投入して精製し、重量平均分子量が11000の変性エチレン−ノルボルネン樹脂を得た。
(比較例1)
エチレン−ノルボルネンランダム共重合体(Ticoa製、TOPAS−TM)30部と、メタクリル酸メチルとアクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシルと4−ヒドロキシブチルのランダム共重合体(メチルメタクリレート成分60%、アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル成分30%、4−ヒドロキシブチル成分10%、重量平均分子量15000)70部の混合物をトルエン400部中に加え、85℃の温度条件下で完全に溶解した。室温に冷却した後、大量のメタノール中に投入して生成し、エチレン−ノルボルネンランダム共重合体とメタクリル酸メチルとアクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシルと4−ヒドロキシブチルのランダム共重合体のブレンド物を得た。
エチレン−ノルボルネンランダム共重合体(Ticoa製、TOPAS−TM)30部と、メタクリル酸メチルとアクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシルと4−ヒドロキシブチルのランダム共重合体(メチルメタクリレート成分60%、アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル成分30%、4−ヒドロキシブチル成分10%、重量平均分子量15000)70部の混合物をトルエン400部中に加え、85℃の温度条件下で完全に溶解した。室温に冷却した後、大量のメタノール中に投入して生成し、エチレン−ノルボルネンランダム共重合体とメタクリル酸メチルとアクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシルと4−ヒドロキシブチルのランダム共重合体のブレンド物を得た。
[試験1(PP基材への密着性)]
実施例1で調製した変性ポリオレフィン樹脂組成物、および比較例1で調製したブレンド物をそれぞれ、酢酸ブチル/シクロヘキサン(30%/70%)混合溶剤にポリマー濃度5%となるように加え、60℃の温度条件下にて完全に溶解した。室温に冷却した後、このポリマー溶液を、基材であるポリプロピレン射出成形板(3mm厚、日本ポリケム(株)製、ノバテックTX−1810A)(PP基材)上に、乾燥膜厚10μmとなるようにスプレー塗装した。15分間室温で放置し、次いで80℃で30分加熱乾燥して塗装板を得た。基材上の塗膜をゴバン目(1mm間隔、100マス)にカットし、塗膜のセロハン粘着テープによる剥離テストを行い、付着率(基材に残ったマスの数)により密着性を評価した(JIS K 5400)。表1に試験結果を示す。
実施例1で調製した変性ポリオレフィン樹脂組成物、および比較例1で調製したブレンド物をそれぞれ、酢酸ブチル/シクロヘキサン(30%/70%)混合溶剤にポリマー濃度5%となるように加え、60℃の温度条件下にて完全に溶解した。室温に冷却した後、このポリマー溶液を、基材であるポリプロピレン射出成形板(3mm厚、日本ポリケム(株)製、ノバテックTX−1810A)(PP基材)上に、乾燥膜厚10μmとなるようにスプレー塗装した。15分間室温で放置し、次いで80℃で30分加熱乾燥して塗装板を得た。基材上の塗膜をゴバン目(1mm間隔、100マス)にカットし、塗膜のセロハン粘着テープによる剥離テストを行い、付着率(基材に残ったマスの数)により密着性を評価した(JIS K 5400)。表1に試験結果を示す。
[試験2(プライマーとしての密着性)]
実施例1で調製した変性ポリオレフィン樹脂組成物、および比較例1で調製したブレンド物をそれぞれ、酢酸ブチル/シクロヘキサン(30%/70%)混合溶剤にポリマー濃度5%となるように溶解させ、プライマー溶液を調整した。基材であるポリプロピレン射出成形板(3mm厚、日本ポリケム(株)製、ノバテックTX−1810A)上に、プライマー溶液を塗布して厚み10μmのプライマー層を形成した後、この上にウレタン系塗料を乾燥膜厚30μmとなるようにスプレー塗装した。15分間室温で放置し、次いで90℃で40分加熱乾燥してウレタン塗料塗装板を得た。
基材上の塗膜をゴバン目(1mm間隔、100マス)にカットし、塗膜のセロハン粘着テープによる剥離テストを行い、付着率(基材に残ったマスの数)により密着性を評価した(JIS K 5400)。表1に試験結果を示す。
実施例1で調製した変性ポリオレフィン樹脂組成物、および比較例1で調製したブレンド物をそれぞれ、酢酸ブチル/シクロヘキサン(30%/70%)混合溶剤にポリマー濃度5%となるように溶解させ、プライマー溶液を調整した。基材であるポリプロピレン射出成形板(3mm厚、日本ポリケム(株)製、ノバテックTX−1810A)上に、プライマー溶液を塗布して厚み10μmのプライマー層を形成した後、この上にウレタン系塗料を乾燥膜厚30μmとなるようにスプレー塗装した。15分間室温で放置し、次いで90℃で40分加熱乾燥してウレタン塗料塗装板を得た。
基材上の塗膜をゴバン目(1mm間隔、100マス)にカットし、塗膜のセロハン粘着テープによる剥離テストを行い、付着率(基材に残ったマスの数)により密着性を評価した(JIS K 5400)。表1に試験結果を示す。
[試験3(接着剤試験)]
実施例1で調製した変性ポリオレフィン樹脂組成物、および比較例1で調製したブレンド物をそれぞれ、トルエンにポリマー濃度20%となるように溶解させ、接着剤溶液を調製した。得られた接着剤溶液をポリプロピレン製基材(日本ポリケム(株)製、ノバテックFA3DA、ISO棒、64×12.6×6mm)の中央部分に、20μl塗布し、図1のように、ポリプロピレン製基材1同士を十字になるよう重ね合わせた(接着面3のサイズ:1.26cm×1.26cm)。500gの荷重下、室温で15分間放置後、80℃に設定した乾燥機で30分乾燥させ、ポリプロピレン基材の接着試験片(1)を作製した。
実施例1で調製した変性ポリオレフィン樹脂組成物、および比較例1で調製したブレンド物をそれぞれ、トルエンにポリマー濃度20%となるように溶解させ、接着剤溶液を調製した。得られた接着剤溶液をポリプロピレン製基材(日本ポリケム(株)製、ノバテックFA3DA、ISO棒、64×12.6×6mm)の中央部分に、20μl塗布し、図1のように、ポリプロピレン製基材1同士を十字になるよう重ね合わせた(接着面3のサイズ:1.26cm×1.26cm)。500gの荷重下、室温で15分間放置後、80℃に設定した乾燥機で30分乾燥させ、ポリプロピレン基材の接着試験片(1)を作製した。
また、前記と同様な操作により、図2に示すように、ポリプロピレン製基材1とアクリル樹脂(三菱レイヨン(株)製、アクリペットVH3、ISO棒、64×12.6×6mm)からなるアクリル樹脂製基材2との接着試験片(2)を作製した。
上記試験片の接着強度測定をテンシロンUTM−1−2500(東洋ホールディング(株))を用いて行った。具体的には、図3に示すように、接着試験片の上側の基材の両端を固定治具4,4上に載せ、下側の基材の2箇所に力を加え、その際の接着強度を測定した。剥離速度は2mm/minに設定した。表2に試験結果を示す。
[試験4(印刷インキとしての密着性)]
実施例1で調製した変性ポリオレフィン樹脂組成物、および比較例1で調製したブレンド物それぞれ1部に、印刷インキ用ウレタン樹脂(三洋化成工業(株)製、サンプレンIB−422)9部と顔料(石原産業(株)製、白色顔料 TiO2 タイペークR−820)40部とトルエン50部を加え、これらを混合し、ペイントシェーカーで練肉し、白色印刷インキを調製した。
実施例1で調製した変性ポリオレフィン樹脂組成物、および比較例1で調製したブレンド物それぞれ1部に、印刷インキ用ウレタン樹脂(三洋化成工業(株)製、サンプレンIB−422)9部と顔料(石原産業(株)製、白色顔料 TiO2 タイペークR−820)40部とトルエン50部を加え、これらを混合し、ペイントシェーカーで練肉し、白色印刷インキを調製した。
得られた白色印刷インキを、基材であるポリプロピレン射出成形板(3mm厚、日本ポリケム(株)製、ノバテックPP・FA3DA)上に#12マイヤーバーで塗工した。室温で15分間放置後、80℃設定した乾燥機で30分乾燥させ、厚み30μmの塗膜を形成した。この塗膜をゴバン目(1mm間隔、100マス)にカットし、塗膜のセロハン粘着テープによる剥離テストを行い、付着率(基材に残ったマスの数)により密着性を評価した(JIS K 5400)。表3に試験結果を示す。
本発明の塗料用水性プライマー組成物は、含塩素化合物を使用しなくとも、ポリオレフィン系樹脂などの難密着性を示す低極性または非極性の樹脂からなる基材に対する密着性が良好であり、溶剤への溶解性に優れているので、環境への配慮がなされた塗料用プライマー、接着剤、印刷インキとして大変有用である。
Claims (5)
- 環状ポリオレフィン樹脂(A)を、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が2級炭素原子または3級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体(b)を含むビニル系単量体(B)でグラフト変性した変性ポリオレフィン樹脂を含有する変性ポリオレフィン樹脂組成物。
- 前記(メタ)アクリル酸エステル単量体(b)が、(メタ)アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシルである請求項1記載の変性ポリオレフィン樹脂組成物。
- 請求項1または請求項2記載の変性ポリオレフィン樹脂組成物を含有する塗料用プライマー樹脂組成物。
- 請求項1または請求項2記載の変性ポリオレフィン樹脂組成物を含有する接着剤樹脂組成物。
- 請求項1または請求項2記載の変性ポリオレフィン樹脂組成物を含有する印刷インキ用樹脂組成物。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018070713A (ja) * | 2016-10-27 | 2018-05-10 | 三菱ケミカル株式会社 | インキ組成物及び塗膜 |
KR101925264B1 (ko) * | 2014-09-17 | 2018-12-04 | 디아이씨 가부시끼가이샤 | 라미네이트용 접착제, 그것을 사용한 적층체 및 이차 전지 |
-
2003
- 2003-10-14 JP JP2003354117A patent/JP2005120154A/ja not_active Withdrawn
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