JP2004339318A - 印刷インキ用樹脂組成物 - Google Patents

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哲也 野田
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Abstract

【課題】含塩素化合物を使用することなく、溶剤溶解性に優れ、尚且つ、ポリオレフィン系樹脂等からなる基材に対する密着性に優れた印刷インキ用樹脂組成物を提供する。
【解決手段】印刷インキ用樹脂として、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が2級炭素原子または3級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)単位を少なくとも有する重合体(A)を、印刷インキ用樹脂組成物に含有させる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主にポリオレフィン系樹脂からなる基材に被覆が可能な印刷インキ用樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
オレフィン系基材用の印刷インキとしては、印刷インキ用樹脂として塩素化ポリオレフィンを含むものが知られている。塩素化ポリオレフィンは、トルエン等の芳香族溶媒以外の溶剤には溶解しづらいが、ポリオレフィン系基材への密着性に優れることから、印刷インキに限らず様々な用途で使用されていることが知られている。しかしながら、塩素化ポリオレフィンは含塩素化合物であるため、ポリオレフィン系基材に対する密着性は高いものの、昨今の環境問題への関心の高まりから、その使用が回避される傾向にある。そのため、近年では、塩素を含まない化合物を用いた印刷インキ用樹脂に対する要求が急速に高まっている。
【0003】
上記の課題を解決するため、塩素化ポリオレフィンの代替として、ポリオレフィン樹脂に(メタ)アクリレートや酸無水物をグラフトしたアクリル/酸変性ポリオレフィン樹脂が提案されている(例えば、特許文献1)。これらアクリル/酸変性ポリオレフィンは、ポリオレフィン系基材に対する密着性に優れるものの、溶剤への溶解性が低いという問題があった。
そのため近年では、ポリオレフィン系基材への密着性が良好で、塩素を含まない化合物からなり、かつ溶剤への溶解性に優れた印刷インキ用樹脂に対する要求が急速に高まっている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−173514号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
よって、本発明の目的は、ポリオレフィン系樹脂などの基材に対する密着性が良好であり、溶剤への溶解性に優れた、塩素原子を含む化合物を使用しない印刷インキ用樹脂組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の印刷インキ用樹脂組成物は、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が2級炭素原子または3級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)単位を有するアクリル系重合体(A)を含有することを特徴とするものである。
前記アクリル系重合体(A)は、前記(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)単位と、これ以外の他の単量体(b)単位とを有する共重合体であってもよい。
【0007】
また、前記(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)は、脂環式炭化水素基を有するものであることが望ましい。
また、前記(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)は、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル、および(メタ)アクリル酸t−ブチルからなる群より選ばれた少なくとも1種であることが望ましい。
【0008】
また、前記アクリル系重合体(A)が共重合体の場合、前記アクリル系重合体(A)中、前記(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)単位の含有量は、30〜99質量%であることが望ましい。
また、前記アクリル系重合体(A)は、塩素原子を含まないものであることが望ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
[アクリル系重合体(A)]
アクリル系重合体(A)は、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が2級炭素原子または3級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)単位が構成成分として含まれる重合体である。
【0010】
<(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)>
本発明における(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)は、アクリロイルオキシ基(CH =CHCOO−)またはメタクリロイルオキシ基(CH =C(CH )COO−)が、2級炭素原子または3級炭素原子に結合したものである。ここで、2級炭素原子または3級炭素原子とは、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基を除く、水素原子以外の任意の基を2つまたは3つ有する炭素原子であり、これら任意の基は互いに結合して環を形成していてもよいものである。
また、本発明において(メタ)アクリル酸エステルは、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルを意味する。
【0011】
(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)としては、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が2級炭素原子または3級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体であれば特に限定されないが、例えば、メタクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘプチル、メタクリル酸シクロオクチル、メタクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル、メタクリル酸3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、メタクリル酸トリシクロデカニル、メタクリル酸シクロペンタジエニル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸アダマンチル等の脂環式炭化水素基を有するメタクリル酸エステル単量体;メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸t−アミル、メタクリル酸ジプロピルメチル、メタクリル酸トリプロピルメチル、メタクリル酸ジイソプロピルメチル、メタクリル酸トリイソプロピルメチル、メタクリル酸ジブチルメチル、メタクリル酸トリブチルメチル、メタクリル酸ジイソブチルメチル、メタクリル酸トリイソブチルメチル、メタクリル酸ジt−ブチルメチル、メタクリル酸トリt−ブチルメチル等の分岐状炭化水素基を有するメタクリル酸エステル単量体;アクリル酸シクロペンチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸シクロヘプチル、アクリル酸シクロオクチル、アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル、アクリル酸3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、アクリル酸トリシクロデカニル、アクリル酸シクロペンタジエニル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸アダマンチル等の脂環式炭化水素基を有するアクリル酸エステル単量体;アクリル酸イソプロピル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸t−アミル、アクリル酸ジプロピルメチル、アクリル酸トリプロピルメチル、アクリル酸ジイソプロピルメチル、アクリル酸トリイソプロピルメチル、アクリル酸ジブチルメチル、アクリル酸トリブチルメチル、アクリル酸ジイソブチルメチル、アクリル酸トリイソブチルメチル、アクリル酸ジt−ブチルメチル、アクリル酸トリt−ブチルメチル等の分岐状炭化水素基を有するアクリル酸エステル単量体等が挙げられる。
これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0012】
中でも耐熱性や基材への密着性の観点から、メタクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘプチル、メタクリル酸シクロオクチル、メタクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル、メタクリル酸3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、メタクリル酸トリシクロデカニル、メタクリル酸シクロペンタジエニル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸アダマンチル等の脂環式炭化水素基を有するメタクリル酸エステル単量体;アクリル酸シクロペンチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸シクロヘプチル、アクリル酸シクロオクチル、アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル、アクリル酸3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、アクリル酸トリシクロデカニル、アクリル酸シクロペンタジエニル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸アダマンチル等の脂環式炭化水素基を有するアクリル酸エステル単量体;メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸t−アミル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸t−アミル等が好ましい。
【0013】
さらに、これらの中でも特に、炭化水素基にシクロヘキシル基、4−t−ブチルシクロヘキシル基、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル基、イソボルニル基、トリシクロデカニル基、シクロペンタジエニル基等を有する脂環式炭化水素基含有単量体や、t−ブチル基を有する単量体が好ましい。
具体的には、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル、メタクリル酸3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸トリシクロデカニル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル、アクリル酸3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸トリシクロデカニル、メタクリル酸t−ブチル、アクリル酸t−ブチル等が好ましい。
なお、得られる(メタ)アクリル酸エステル(a)のみからなる重合体(A)の塗工性、強度及び形態保持性の観点から、その数平均分子量が5000〜500000であることが好ましく、10000〜300000であることがより好ましい。
【0014】
<他の単量体(b)>
また、アクリル系重合体(A)は、(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)単位の他に、(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)単位とは異なる他の単量体(b)単位を有する共重合体であっても良い。かかるアクリル系重合体(A)は、(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)と、他の単量体(b)とを共重合することにより得られる。
【0015】
他の単量体(b)は、(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)以外の単量体である。
他の単量体(b)としては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシブチル、メタクリル酸3−ヒドロキシブチル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸ポリエチレングリコール、メタクリル酸ポリプロピレングリコール、プラクセルFM(ダイセル化学(株);カプロラクトン付加単量体)、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸エトキシエチル、メタクリル酸ノルマルブトキシエチル、メタクリル酸イソブトキシエチル、メタクリル酸t−ブトキシエチル、メタクリル酸フェノキシエチル、メタクリル酸ノニルフェノキシエチル、メタクリル酸3−メトキシブチル、ブレンマーPME−100、ブレンマーPME−200(日本油脂(株))、ブレンマー50POEP−800B(日本油脂(株))、ブレンマー20ANEP−600(日本油脂(株))等のメタクリル酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アタクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシブチル、アクリル酸3−ヒドロキシブチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリル酸ポリエチレングリコール、アクリル酸ポリプロピレングリコール、プラクセルFA(ダイセル化学(株);カプロラクトン付加単量体)、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸エトキシエチル、アクリル酸ノルマルブトキシエチル、アクリル酸イソブトキシエチル、アクリル酸tーブトキシエチル、アクリル酸フェノキシエチル、アクリル酸ノニルフェノキシエチル、アクリル酸3−メトキシブチル、ブレンマーAME−100、200(日本油脂(株))、ブレンマー50AOEP−800B(日本油脂(株))等のアクリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、ビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水物等のα,β−不飽和カルボン酸類;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−t−ブチルマレイミド等のマレイミド類;カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル等のビニルエステル類;ブタジエン、イソプレン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ペンタジエン等のジエン類;スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o,p−ジメチルスチレン等のモノもしくはポリアルキルスチレン等の芳香族ビニル化合物;メタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、ブトキシメタクリルアミド、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ブトキシアクリルアミド等重合性アミド類;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート類;3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等の不飽和有機シラン化合物等が挙げられる。
【0016】
これらの中でも、入手のし易さ、密着性の面から、メタクリル酸エステル類、アクリル酸エステル類、α,β−不飽和カルボン酸類が好ましい。さらに、これらの中でも、メタクリル酸メチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリル酸がより好ましい。
これら他の単量体(b)は1種を単独でもしくは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0017】
アクリル系重合体(A)が(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)単位及び他の単量体(b)単位を有する共重合体である場合、アクリル系重合体(A)はランダム共重合体、グラフト共重合体、ブロック共重合体等のいかなる重合構造を有するものであっても良い。但し、得られる組成物の塗工性、強度及び形態保持性の観点から、その数平均分子量が5000〜500000であることが好ましく、10000〜300000であることがより好ましい。
【0018】
アクリル系重合体(A)が共重合体である場合、アクリル系重合体(A)中の(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)単位の含有量は、特に制限されないが、基材密着性、機械強度の観点から、30〜99質量%(他の単量体(b)単位の含有量は70〜1質量%)であることが好ましい。
【0019】
アクリル系重合体(A)を得るための重合方法としては、バルク重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等のラジカル重合、アニオン重合、グループトランスファー重合(GTP)、配位アニオン重合等の公知の重合方法を採用できる。
重合温度については特に制限はなく、例えば、−100〜250℃、好ましくは0〜200℃の温度で重合できる。
【0020】
アクリル系重合体(A)を重合するに際しては、連鎖移動剤やラジカル重合開始剤を用いても良い。
連鎖移動剤としては、水素、メルカプタン等が挙げられる。連鎖移動剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。連鎖移動剤として用いられる好適なメルカプタンの具体例としては、n−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等が挙げられる。
【0021】
ラジカル重合開始剤としては、有機過酸化物やアゾ化合物等が挙げられる。ラジカル重合開始剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ラジカル重合開始剤として用いられる好適な有機過酸化物の具体例としては、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、o−メチルベンゾイルパーオキサイド、ビス−3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、シクロヘキサノンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等が挙げられる。
【0022】
また、アゾ化合物の具体例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)等が挙げられる。
これらの中でも、ベンゾイルパーオキサイド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)等が好ましい。ラジカル重合開始剤の添加量は、用いる単量体の合計100質量部に対して0.0001〜10質量部にすることが好ましい。
【0023】
[他の重合体(B)]
本発明の印刷インキ用樹脂組成物は、基材に対する密着性を損なわない範囲で、前記アクリル系重合体(A)とは異なる、他の重合体(B)を含んでいても良い。
他の重合体(B)としては、(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)とは異なる単量体から構成された重合体であれば特に限定されないが、例えば、ポリスチレン等のポリ芳香族ビニル化合物、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリエステル等が挙げられる。
【0024】
中でも、(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)とは異なる(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を有する重合体が好ましい。(メタ)アクリル酸エステル単量体単位は、塗膜を形成するための基本的性能、すなわち塗装作業性、乾燥性、硬度、耐溶剤性、耐候性、耐水性等の向上に有効な成分である。
さらに、(メタ)アクリル酸エステル単量体の中でも、特に耐候性や塗膜硬度が優れることから、アルキル基の炭素数が4個以下で構成される直鎖または分岐状アルキル基をもつものが好ましい。それらの中でも特に入手の容易さの観点から、メタクリル酸メチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチル等が好ましく、特にメタクリル酸メチルが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル単量体は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0025】
この印刷インキ用樹脂組成物において、アクリル系重合体(A)の含有量は、所望とする性能によって適宜決定されるが、基材やトップコートに対する密着性の観点から、全固形分中の30〜100質量%(他の重合体(B)の含有量が全固形分中の70〜0質量%)である。なお、アクリル系重合体(A)の含有量が100質量%である場合には、他の重合体(B)は含まれない。
ここで、全固形分とは、アクリル系重合体(A)、他の重合体(B)、後述するその他の成分の合計量のことである。
【0026】
[その他の成分]
この印刷インキ用樹脂組成物には、必要に応じて、アルミペースト、マイカ等の光輝剤;酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤、耐放射線剤、熱安定剤等の各種安定剤;無機顔料、有機顔料、染料等の着色剤;カーボンブラック、フェライト等の導電性付与剤;無機充填剤、滑剤、可塑剤、有機過酸化物、中和剤;アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、繊維素樹脂等のアクリル系以外の樹脂;表面調整剤、架橋剤、硬化触媒、顔料沈降防止剤等の補助的添加剤等を一般的な配合法で添加することができる。
【0027】
[有機溶剤]
この印刷インキ用樹脂組成物には、インキ製造時の取り扱い性や塗工性を良好にするため、アクリル系重合体(A)および他の重合体(B)が可溶であり、その他の成分が可溶もしくは分散可能な有機溶剤を配合することが好ましい。その場合、取り扱い性の観点から、有機溶剤を含む印刷インキ用樹脂組成物中におけるアクリル系重合体(A)及び他の重合体(B)の合計濃度は10〜70質量%であることが好ましい。
なお、本発明の印刷インキ用樹脂組成物は固形成分のみから構成されるものでもよい。その場合、使用前に有機溶剤と混合して印刷インキを調製する。
【0028】
本発明の印刷インキ用樹脂組成物はアクリル系重合体(A)を含有することから以下の溶剤に対する溶剤溶解性に優れる。
好適な有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、スワゾール#1000(丸善石油化学(株)製)、ソルベッツ#150(エクソン化学(株)製)、スーパーゾール1500(新日本石油化学(株)製)等の芳香族系炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート;DBE(デュポン(株)製)等のエステル類;n−ブタノール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール等のアルコール類;エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコール系溶剤;ミネラルターペン、アイソパーE(エクソン化学(株)製)等の脂肪族炭化水素類等が挙げられる。中でも、作業性の観点から、芳香族炭化水素類や脂環式炭化水素類、エステル類が特に好ましい。
また、これら有機溶剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0029】
[架橋剤]
また、印刷インキ用樹脂組成物が、水酸基を有する成分を含有する場合には、架橋剤成分としてメラミン樹脂やイソシアネート化合物を混合することにより、耐溶剤性、耐水性、耐候性等塗膜性能の向上を達成できる。
メラミン樹脂の具体例としては、n−ブチル化メラミン樹脂やメチル化メラミン樹脂等が挙げられる。
【0030】
また、イソシアネートとしては、フリーのイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物、ブロック化されたものが挙げられる。具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネートやトリメチルヘキサメチレンジイソシアネートのような脂肪族ジイソシアネート類;イソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,4−(ないしは2,6−)ジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,3−ジ(イソシアネートメチル)−シクロヘキサンのような環状脂肪族ジイソシアネート類;トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネートのような芳香族ジイソシアネート類;これらの有機ジイソシアネート自体、またはこれらの有機ジイソシアネートの過剰量と多価アルコールや水等との付加物、前記各有機ジイソシアネートの重合体、さらにはイソシアネート・ビューレット体等が挙げられる。
イソシアネート化合物は、印刷インキ用樹脂組成物中の水酸基含有成分との当量比で、NCO/OH=0.1/1〜3/1の範囲で含まれることが好ましい。
尚、上記の成分を混合して得られる印刷インキ用樹脂組成物は基材に対し、乾燥後の膜厚が0.1〜1000μmになるよう塗工されることが好ましい。
【0031】
[基材]
この印刷インキ用樹脂組成物は特に、従来の印刷インキ用樹脂組成物では密着性が良好でなかったポリオレフィン系樹脂からなる基材表面に対して塗装する場合に好適である。ポリオレフィン系樹脂からなる基材としては、例えば、高圧法ポリエチレン、中低圧法ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、ポリスチレン等のポリオレフィン、あるいはエチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体等のポリオレフィン系樹脂からなる自動車部品用成形品、家電製品用成形品等が挙げられる。
【0032】
さらに、この印刷インキ用樹脂組成物は、ポリオレフィン系樹脂だけでなく、ポリメチルメタクリレートや、メタクリル酸メチル単位を含む共重合体等のアクリル系樹脂からなる樹脂板;ポリプロピレンと合成ゴムからなる成形品;ポリアミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂等からなる自動車用バンパー等の自動車部品用成形品、家電製品用成形品等の基材に対しても好適に用いることができる。
なお、本発明の印刷インキ用樹脂組成物を用いて塗装を施す成形品は、射出成形、圧縮成形、中空成形、押出成形、回転成形など、公知のいずれの成形法によって成形されたものであっても良い。
【0033】
以上説明した印刷インキ用樹脂組成物は、(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)単位を構成成分として含むアクリル系重合体(A)を含有しているので、表面処理やプライマー塗装等の前処理工程を必要とせず、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂等からなる基材に対する密着性(接着性)に優れている。また、印刷インキ用樹脂組成物が、アクリル系重合体(A)を全固形分の30〜100質量%の含有量で含有していれば、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂等からなる基材に対する密着性(接着性)がさらに優れる。この印刷インキ用樹脂組成物は、含塩素化合物を必須としないため、環境に優しい樹脂組成物である。
また、溶剤への溶解性にも優れる樹脂組成物である。
【0034】
【実施例】
次に、本発明に係る合成例、実施例、及び比較例について説明する。
ここで、合成例において合成した重合体の組成及び数平均分子量は、以下の方法により評価した。
・重合体の組成
H−NMR(日本電子製、JNM−EX270)により求めた。
・重合体の数平均分子量
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)(Waters製、GPC150−C)を用い、ポリメタクリル酸メチルをスタンダードとして測定した。
【0035】
合成例1〜16において、アクリル系重合体(A)を合成した。
(合成例1)
1L冷却管付フラスコに、メタクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル100質量部とトルエン50質量部とを仕込み、窒素バブリングにより雰囲気を窒素置換した。次いで、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.5質量部を加えた後、内温が80℃になるまで昇温させ、同温度で8時間保持し重合を完結させた。得られた重合溶液にトルエン150質量部を添加して、重合体を完全に溶解させた後、メタノール3000質量部中に投じ、沈殿物をろ過して白色固体を得た。この白色固体をメタノールで洗浄した後、減圧乾燥して精製し、重合体(A−1)を得た。この重合体の数平均分子量は39000であった。
【0036】
(合成例2)
メタクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル100質量部の代わりに、アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル100質量部を仕込んだ以外は合成例1と同様にして、重合体(A−2)を得た。この重合体の数平均分子量は12000であった。
【0037】
(合成例3)
メタクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル100質量部の代わりに、メタクリル酸シクロヘキシル100質量部を仕込んだ以外は合成例1と同様にして、重合体(A−3)を得た。この重合体の数平均分子量は35000であった。
【0038】
(合成例4)
メタクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル100質量部の代わりに、アクリル酸トリシクロデカニル(日立化成(株)製ファンクリル513A)100質量部を仕込み、添加する2,2’−アゾビスイソブチロニトリル量を1.5質量部とした以外は合成例1と同様にして、重合体(A−4)を得た。この重合体の数平均分子量は12000であった。
【0039】
(合成例5)
メタクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル100質量部の代わりに、メタクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル70質量部と、メタクリル酸ラウリルおよびメタクリル酸ドデシルの混合物(三菱レイヨン(株)製アクリエステルSL)30質量部とを仕込んだ以外は合成例1と同様にして、共重合体(A−5)を得た。得られた共重合体の組成は、メタクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル/メタクリル酸ラウリルおよびメタクリル酸ドデシルの混合物=59/41(質量%)であった。また、数平均分子量は40000であった。
【0040】
(合成例6)
メタクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル100質量部の代わりに、アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル60質量部と、メタクリル酸ラウリルおよびメタクリル酸ドデシルの混合物(三菱レイヨン(株)製アクリエステルSL)40質量部とを仕込んだ以外は合成例1と同様にして、共重合体(A−6)を得た。得られた共重合体の組成は、アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル/メタクリル酸ラウリルおよびメタクリル酸ドデシルの混合物=64/36(質量%)であった。また、数平均分子量は42000であった
【0041】
(合成例7)
メタクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル100質量部の代わりに、アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル65質量部と1−ヘキセン35質量部とを仕込んだ以外は合成例1と同様にして、共重合体(A−7)を得た。得られた共重合体の組成は、アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル/1−ヘキセン=84/16(質量%)であった。また、数平均分子量は14000であった。
【0042】
(合成例8)
メタクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル100質量部の代わりに、メタクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル90質量部とメタクリル酸メチル(MMA)10質量部とを仕込んだ以外は合成例1と同様にして、共重合体(A−8)を得た。得られた共重合体の組成は、メタクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル/MMA=84/16(質量%)であった。また、数平均分子量は39000であった。
【0043】
(合成例9)
メタクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル100質量部の代わりに、アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル80質量部とメタクリル酸メチル(MMA)15質量部とスチレン(St)3質量部とメタクリル酸ドデシル2質量部とを仕込んだ以外は合成例1と同様にして、共重合体(A−9)を得た。得られた共重合体の組成は、アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル/MMA/St/メタクリル酸ドデシル=80/14/4/2(質量%)であった。また、数平均分子量は41000であった。
【0044】
(合成例10)
メタクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル100質量部の代わりに、メタクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル80質量部とメタクリル酸メチル(MMA)15質量部とスチレン(St)3質量部とメタクリル酸ドデシル2質量部とを仕込んだ以外は合成例1と同様にして、共重合体(A−10)を得た。得られた共重合体の組成は、メタクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル/MMA/St/メタクリル酸ドデシル=80/14/4/2(質量%)であった。また、数平均分子量は38000であった。
【0045】
(合成例11)
メタクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル100質量部の代わりに、メタクリル酸3,5,5−トリメチルシクロヘキシル100質量部を仕込んだ以外は合成例1と同様にして、重合体(A−11)を得た。この重合体の数平均分子量は28000であった。
【0046】
(合成例12)
メタクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル100質量部の代わりに、メタクリル酸3,5,5−トリメチルシクロヘキシル70質量部と、メタクリル酸ラウリルおよびメタクリル酸ドデシルの混合物(三菱レイヨン(株)製アクリエステルSL)30質量部とを仕込んだ以外は合成例1と同様にして、共重合体(A−12)を得た。得られた共重合体の組成は、メタクリル酸3,5,5−トリメチルシクロヘキシル/メタクリル酸ラウリルおよびメタクリル酸ドデシルの混合物=71/29(質量%)であった。また、数平均分子量は32000であった。
【0047】
(合成例13)
メタクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル100質量部の代わりに、アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル80質量部とメタクリル酸メチル(MMA)20質量部とを仕込んだ以外は合成例1と同様にして、共重合体(A−13)を得た。得られた共重合体の組成は、アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル/MMA=80/20(質量%)であった。また、数平均分子量は35000であった。
【0048】
(合成例14)
メタクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル100質量部の代わりに、アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル80質量部とアクリル酸n−ブチル(BA)20質量部とを仕込んだ以外は合成例1と同様にして、共重合体(A−14)を得た。得られた共重合体の組成は、アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル/BA=79/21(質量%)であった。また、数平均分子量は38000であった。
【0049】
(合成例15)
メタクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル100質量部の代わりに、アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル95質量部とアクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEA)5質量部とを仕込んだ以外は合成例1と同様にして、共重合体(A−15)を得た。得られた共重合体の組成は、アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル/HEA=95/5(質量%)であった。また、数平均分子量は21000であった。
【0050】
(合成例16)
メタクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル100質量部の代わりに、アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル80質量部とスチレン(St)20質量部とを仕込んだ以外は合成例1と同様にして、共重合体(A−16)を得た。得られた共重合体の組成は、アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル/St=80/20(質量%)であった。また、数平均分子量は36000であった。
【0051】
(合成例17)
比較のため、メタクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル100質量部の代わりに、メタクリル酸ベンジル100質量部を仕込んだ以外は合成例1と同様にして、アクリル系重合体(A)とは異なる重合体(E−1)を得た。この重合体の数平均分子量は48000であった。
【0052】
(合成例18)
比較のため、メタクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル100質量部の代わりに、メタクリル酸イソブチル100質量部を仕込んだ以外は合成例1と同様にして、アクリル系重合体(A)とは異なる重合体(E−2)を得た。この重合体の数平均分子量は32000であった。
【0053】
(合成例19)
比較のため、メタクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル100質量部の代わりに、メタクリル酸2−フェニルエチル100質量部を仕込んだ以外は合成例1と同様にして、アクリル系重合体(A)とは異なる重合体(E−3)を得た。この重合体の数平均分子量は42000であった。
【0054】
(実施例1〜70)
合成例1〜16で得た(共)重合体(A−1)〜(A−16)のうちいずれかと、他の重合体(B)とを合計で15質量部、更には顔料(石原産業(株)製、白色顔料 TiO タイペークR−820)25質量部をシクロヘキサン/トルエン=75/25(質量%)の混合溶剤60質量部に混合し、ペイントシェーカーで練肉し、本発明の印刷インキ用樹脂組成物を得た。用いた重合体各成分の配合量を表1〜表16に示す。
【0055】
(比較例1〜12)
合成例17〜19で得た重合体(E−1)〜(E−3)のうちいずれかと、他の重合体(B)とを合計で15質量部、更には顔料(白色顔料 タイペークR−820)25質量部をシクロヘキサン/トルエン=75/25(質量%)の混合溶剤60質量部に混合し、ペイントシェーカーで練肉し、比較用の印刷インキ用樹脂組成物を得た。用いた重合体各成分の配合量を表17に示す。
【0056】
(比較例13)
市販のアクリル樹脂15質量部、更には顔料(白色顔料 タイペークR−820)25質量部をシクロヘキサン/トルエン=75/25(質量%)の混合溶剤60質量部に混合し、ペイントシェーカーで練肉し、比較用の印刷インキ用樹脂組成物を得た。組成を表18に示す。
【0057】
(比較例14)
市販のポリプロピレン15質量部、更には顔料(白色顔料 TiO タイペークR−820)25質量部をシクロヘキサン/トルエン=75/25(質量%)の混合溶剤60質量部部に混合し、ペイントシェーカーで練肉し、比較用の印刷インキ用樹脂組成物を得た。組成を表18に示す。
【0058】
表1〜表18において、各略号は以下の重合体を示す。
・B1:アクリル系樹脂である三菱レイヨン(株)製アクリペットVH(登録商標)
・B2:メタクリル酸メチル/スチレン/メタクリル酸ドデシル=70/10/20(質量%)の共重合体(数平均分子量 50000)
・PP:ポリプロピレン(日本ポリケム(株)製ノバテックFA3DA)
【0059】
(評価)
各実施例、比較例において得られた組成物について、以下のようにして基材密着性を評価した。
得られた白色印刷インキ(印刷インキ用樹脂組成物)を基材上にスプレー塗工し、室温で15分間放置後、80℃に設定した乾燥機で30分乾燥させ、膜厚30μmの塗膜を形成した。この塗膜を碁盤目(1mm間隔、100マス)にカットし、JIS K 5400に基づくセロハンテープ(登録商標)剥離テストによる付着率(基材に残ったマスの数)により、基材密着性を評価した。
基材としては、日本ポリケム(株)製ノバテックFA3DAを射出成形により成形したポリプロピレン樹脂板(PP基材)(平板、3mm厚)と、アクリル系樹脂である三菱レイヨン(株)製アクリペットVH(登録商標)を射出成形により成形したアクリル樹脂板(アクリル樹脂基材)(平板、3mm厚)とを用いた。
【0060】
(結果)
結果を表1〜表18に合わせて示す。表には、PP基材密着性及びアクリル樹脂基材密着性の評価結果として、分母に試験を行ったマスの総数(100)、分子に基材に残ったマスの数を記載してある。
表1〜表16に示すように、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が2級炭素原子または3級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)単位を有する(共)重合体(A−1)〜(A−16)のうちいずれか、もしくは(共)重合体(A)と、(共)重合体(A)とは異なる他の重合体(B)とを配合して印刷インキ用樹脂組成物を調製した実施例1〜70では、得られた組成物はいずれもPP基材に対してもアクリル樹脂基材に対しても良好な基材密着性を示した。
【0061】
これに対して、表17に示すように、(共)重合体(A)の代わりに重合体(E−1)〜(E−3)のうちいずれかを配合して印刷インキ用樹脂組成物を調製した比較例1〜12では、得られた組成物はいずれもPP基材に対する基材密着性は全く不良であった。
また、表18に示すように、アクリル樹脂を溶解し、印刷インキ用樹脂組成物を調製した比較例13では、比較例1〜12と同様、PP基材に対する基材密着性は全く不良であった。
また、表18に示すように、PPを用いて印刷インキ用樹脂組成物を調製した比較例14では、PP基材に対しては良好な基材密着性を示したが、アクリル樹脂基材(三菱レイヨン(株)製アクリペットVH(登録商標)を成形した板)に対する基材密着性は全く不良であった。
【0062】
【表1】
Figure 2004339318
【0063】
【表2】
Figure 2004339318
【0064】
【表3】
Figure 2004339318
【0065】
【表4】
Figure 2004339318
【0066】
【表5】
Figure 2004339318
【0067】
【表6】
Figure 2004339318
【0068】
【表7】
Figure 2004339318
【0069】
【表8】
Figure 2004339318
【0070】
【表9】
Figure 2004339318
【0071】
【表10】
Figure 2004339318
【0072】
【表11】
Figure 2004339318
【0073】
【表12】
Figure 2004339318
【0074】
【表13】
Figure 2004339318
【0075】
【表14】
Figure 2004339318
【0076】
【表15】
Figure 2004339318
【0077】
【表16】
Figure 2004339318
【0078】
【表17】
Figure 2004339318
【0079】
【表18】
Figure 2004339318
【0080】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の印刷インキ用樹脂組成物は、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が2級炭素原子または3級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)単位を有するアクリル系重合体(A)を含有するものであるので、含塩素化合物を使用することなく、溶剤への溶解性に優れ、尚且つ、ポリオレフィン基材に対する密着性に優れる。
【0081】
また、前記(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)が、脂環式炭化水素基を有するものであれば、ポリオレフィン基材に対する密着性がさらに向上する。
また、前記(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)が、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル、および(メタ)アクリル酸t−ブチルからなる群より選ばれた少なくとも1種であれば、ポリオレフィン基材に対する密着性がさらに向上する。

Claims (7)

  1. アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が2級炭素原子または3級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)単位が含まれるアクリル系重合体(A)を少なくとも含有する印刷インキ用樹脂組成物。
  2. 前記アクリル系重合体(A)が、前記(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)とは異なる他の単量体(b)単位をさらに含有する共重合体である請求項1に記載の印刷インキ用樹脂組成物。
  3. 前記アクリル系重合体(A)には、前記(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)単位が30〜99質量%含まれる請求項1または2に記載の印刷インキ用樹脂組成物。
  4. 前記(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)が、脂環式炭化水素基を有するものである請求項1〜3のいずれか一項に記載の印刷インキ用樹脂組成物。
  5. 前記(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)単位が、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル、(メタ)アクリル酸シクロペンタジエニル、(メタ)アクリル酸t−ブチルのうちの少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか一項に記載の印刷インキ用樹脂組成物。
  6. 前記アクリル系重合体(A)が、塩素原子を含まないものである請求項1〜5いずれか一項に記載の印刷インキ用樹脂組成物。
  7. 被覆される基材がポリオレフィン系樹脂からなる基材である請求項1〜6いずれか一項に記載の印刷インキ用樹脂組成物。
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