JP2003238598A - 魚鱗由来加水分解コラーゲンおよびその製造方法 - Google Patents

魚鱗由来加水分解コラーゲンおよびその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 化粧品に配合した際に、従来の牛皮や豚皮由
来の加水分解コラーゲンと同様に、毛髪に対して艶、潤
い、なめらかさや良好な櫛通り性を付与し、皮膚に対し
て優れた保湿性やなめらかさを付与し、しかも従来の動
物由来の加水分解コラーゲンのような動物臭がほとんど
ない魚鱗由来加水分解コラーゲンを、魚鱗から容易かつ
高収率に製造し、化粧品用原料として適した魚鱗由来加
水分解コラーゲンを提供する。 【解決手段】 魚鱗をアルカリ剤で加水分解し、得られ
た加水分解液を濾過後、濾液を蛋白質分解酵素で加水分
解して魚鱗由来加水分解コラーゲンを製造し、その魚鱗
由来加水分解コラーゲンを化粧品用原料として用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、魚鱗由来加水分解
コラーゲンおよびその製造方法に関し、さらに詳しく
は、化粧品用原料として適した魚鱗由来加水分解コラー
ゲンおよび該魚鱗由来加水分解コラーゲンを容易かつ高
収率に製造する魚鱗由来加水分解コラーゲンの製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、コラーゲン、ケラチン、シル
ク、大豆、小麦などの天然物由来の蛋白質を加水分解す
ることによって得られる加水分解ペプチドやその誘導体
を化粧品に配合することが行われてきている。これは、
それらの加水分解ペプチドやその誘導体が毛髪や皮膚へ
の収着性がよく、毛髪の損傷を防止し、損傷した毛髪を
回復させたり、毛髪や皮膚に保湿感を付与する作用を有
し、しかも、その加水分解ペプチドやその誘導体が天然
蛋白質由来であって、毛髪や皮膚に対する刺激が少な
く、安全性が高いという理由によるものである。
【0003】上記の蛋白源の中でも、コラーゲンは構成
アミノ酸にヒドロキシプロリンを多量に含み、その加水
分解ペプチドは毛髪や皮膚に保湿性を付与する作用が優
れ、しかも優れた造膜作用を有していることから、毛髪
や皮膚の保護効果や毛髪への艶の付与効果が高く、各種
化粧品に広く用いられている。
【0004】しかしながら、従来用いられていた加水分
解コラーゲンは、牛や豚の皮や骨を原料としたものであ
るため、動物由来蛋白質加水分解物特有の動物臭があ
り、その効果を充分に発現させる量を化粧品に配合する
ことが困難であった。また、動物愛護の風潮や牛伝達性
海綿状脳症の発生から、消費者動向は有蹄類動物由来原
料を忌避する傾向にあり、牛や豚由来の加水分解コラー
ゲンに代わる蛋白質加水分解物が求められている。
【0005】化粧品用基材として用いられる蛋白源とし
ては、コラーゲン以外にも、ケラチン、シルク、ミル
ク、コンキオリンなどの動物由来のもの、大豆蛋白、小
麦蛋白などの植物由来のものが利用されているが、皮膜
形成性、保湿性、艶やなめらかさの付与作用といった機
能面では、加水分解コラーゲンに代わるものがないのが
現状である。
【0006】そのため、牛や豚由来以外のコラーゲン源
が求められ、海綿動物や魚類からのコラーゲンの製造方
法が提案されていて、魚類由来のコラーゲンの製造方法
としては、魚皮由来のもの(例えば、特開平9−278
639号公報、特開2000−256398号公報、特
許第2722014号公報、特許第2864459号公
報など)や魚鱗由来のもの(例えば、特開平5−930
00号公報、特開平5−125100号公報、特開平5
−155900号公報など)の製造方法が提案されてい
る。しかしながら、コラーゲン源として、品質が一定な
原料を確保することが困難な上に、魚皮では色素の除
去、魚鱗では脱灰処理などが必要で、製造工程の煩雑さ
などから、一定品質でかつ比較的高品質が要求される化
粧品用原料とするには高価格になりすぎ、化粧品にはほ
とんど利用されていない。
【0007】さらに、一般に化粧品に用いられる加水分
解コラーゲンは、毛髪や皮膚への収着性、造膜性、滑ら
かな感触の付与作用などの機能面から、数平均分子量が
200〜5,000程度、特に350〜2,000程度
のものが主であるが、上記の公報に記載された魚類由来
コラーゲンの製造方法は、いずれもコラーゲンあるいは
その変成物であるゼラチンの製造方法に関するものであ
り、化粧品用原料として使用できるようにするには、魚
皮や魚鱗からコラーゲンを抽出し、その後、化粧品に見
合った分子量の200〜5,000程度に加水分解する
必要があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な従来技術における問題点を解決し、化粧品に配合した
際に毛髪や皮膚に対して従来の牛や豚の皮や骨を原料と
した加水分解コラーゲンと同様の作用を発揮し、しかも
従来の加水分解コラーゲンのような動物臭がほとんどな
い加水分解コラーゲンを、魚鱗から容易にかつ高収率に
製造し、化粧品原料として適した魚鱗由来加水分解コラ
ーゲンを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意研究を重ねた結果、魚鱗を弱アルカ
リで加水分解し、得られた加水分解液を濾過後、濾液を
蛋白質分解酵素で加水分解することによって、化粧品用
原料として適した加水分解コラーゲンを容易かつ高収率
に製造することができることを見出し、本発明を完成す
るにいたった。
【0010】すなわち、本発明は、魚鱗から、脱灰工程
やコラーゲンの抽出工程を経ることなく、毛髪や皮膚に
対して従来の動物由来加水分解コラーゲンと同様の作用
を発揮し、しかも従来の動物由来加水分解コラーゲンの
ような動物臭がほとんどない加水分解コラーゲンを容易
かつ高収率に製造し、化粧品用原料として適した魚鱗由
来加水分解コラーゲンを提供したものである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の魚鱗由来加水分解コラー
ゲンの原料となる魚鱗としては、海水魚、淡水魚などの
魚種を問わずいずれも使用可能であるが、入手のしやす
さや取り扱いの容易さから、大型の魚で多量の鱗を有す
る魚、例えば、鯛、鮭、鰺、テラピア、鯉、鮒などの鱗
が好ましい。一般に天日乾燥した魚鱗は、その成分の約
15質量%が水分、約30質量%がカルシウムを主成分
とする灰分、約55質量%が蛋白質で、その蛋白質のほ
とんどがコラーゲンであり、魚種による大きな違いはな
い。鯛(海水魚)、テラピア(淡水魚)などの鱗のアミ
ノ酸分析の結果の一例を牛皮、豚皮由来のコラーゲンの
アミノ酸分析結果と比較して表1に示すが、魚鱗由来の
蛋白質のアミノ酸組成は、牛や豚などより得られるコラ
ーゲンと大差はない。魚鱗に含まれる蛋白質は、その構
成アミノ酸の約33モル%がグリシン、約12モル%が
アラニン、プロリン+ヒドロキシプロリンが約20モル
%であって、かつヒドロキシリシンを含むというコラー
ゲンの特徴を示している。ただし、魚鱗のアミノ酸分析
結果では、ハーフシスチンが検出されていて、コラーゲ
ン以外の蛋白質が若干含まれているようである。
【0012】
【表1】
【0013】本発明の魚鱗由来加水分解コラーゲンを得
るには、まず、魚鱗を弱アルカリ水溶液で加水分解する
が、魚類から分離した魚鱗には魚肉や魚皮などが付着し
ていることがあるので、それを水洗して付着物を除去し
た後に弱アルカリ水溶液での加水分解に供することが好
ましい。また、魚鱗からコラーゲンを得る方法で一般的
に採用されている脱灰処理をした魚鱗を用いてもよい
が、本発明の魚鱗由来加水分解コラーゲンの製造方法
は、魚鱗の脱灰処理を行う必要がないことも特徴の一つ
であるので、水洗した魚鱗をそのまま弱アルカリ水溶液
での加水分解に供することが好ましい。また、魚鱗は粉
砕したものを用いてもよい。
【0014】弱アルカリ水溶液での加水分解に使用でき
るアルカリ剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウムなど
の無機アルカリが挙げられる。また、アンモニア、有機
アミンなどの有機アルカリも使用できるが、加水分解に
時間を要するので、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム
などの無機アルカリが好ましい。
【0015】アルカリ水溶液の濃度は1〜10質量%が
好ましく、2〜7.5質量%がより好ましい。すなわ
ち、アルカリ水溶液の濃度が1質量%より低い場合は魚
鱗がほとんど分解せず、また逆にアルカリ水溶液の濃度
が10質量%より高い場合は魚鱗コラーゲンがアミノ酸
や小ペプチドに分解して、化粧品用原料として適した数
平均分子量の加水分解コラーゲンの収率が低下するおそ
れがある。また、魚鱗に対するアルカリ水溶液の量は少
なすぎると魚鱗コラーゲンが充分に加水分解せず、逆に
多すぎると加水分解後の精製工程で、濃縮や脱塩に時間
を要し、作業効率が低下するので、魚鱗に対するアルカ
リ水溶液の量は質量比で1.1〜2.2倍程度が好まし
い。
【0016】弱アルカリ水溶液での加水分解時の温度と
しては、50〜120℃が好ましく、60〜80℃がよ
り好ましい。すなわち、加水分解時の温度が低すぎる場
合は魚鱗の分解が充分に起こらず、加水分解時の温度が
高すぎる場合は魚鱗コラーゲンがアミノ酸や小ペプチド
に分解したり、溶液が黒くなって加水分解コラーゲンと
しての商品価値が低下するおそれがある。また、加水分
解時間としては、加水分解時の温度などによっても異な
るが、1〜12時間が好ましく、3〜5時間がより好ま
しい。ただし、加水分解時の温度や時間は、原料の魚鱗
の大きさや量、アルカリ水溶液のアルカリ濃度や量など
によっても変わるため、魚鱗コラーゲンの分解度に応じ
て適した条件を選択することが好ましい。
【0017】魚鱗を弱アルカリで加水分解することによ
って得られた加水分解液は、濾過により分解残渣を除去
するが、この際にカルシウムを主成分とする灰分の大部
分が除去される。濾液は、使用する蛋白質分解酵素の至
適pHに調整後、蛋白質分解酵素で加水分解するが、蛋
白質分解酵素としては、例えば、パパイン、ブロメライ
ン、サーモライシン、トリプシン、プロナーゼ、キモト
リプシン、ズブチリシン、スタフィロコッカスプロテア
ーゼなどの中性ないしアルカリ性蛋白質分解酵素が主に
用いられる。また、ペプシン、プロクターゼA、プロク
ターゼBなどの酸性蛋白質分解酵素も使用することがで
きる。
【0018】酵素加水分解での分解溶液のpH、温度や
時間などは、使用する酵素の種類や量により異なるが、
加水分解温度としては、30〜60℃が好ましく、40
〜55℃がより好ましい。また、加水分解時間は、使用
する酵素の種類や量、目的とする加水分解コラーゲンの
分子量の大きさなどにより異なるが、一般に1〜36時
間が好ましく、12〜20時間がより好ましい。ただ
し、これらの酵素加水分解条件も、使用する酵素の種類
や量、原料の魚鱗量などによって変わるため、得ようと
する魚鱗由来加水分解コラーゲンの分子量に応じて適し
た条件を選択することが好ましい。
【0019】酵素加水分解後、酵素を失活させ、塩析や
酸析によって水に難溶、不溶の成分を除去し、ついで、
イオン交換樹脂処理、半透膜による透析処理、電気透析
処理などで脱塩精製した後、pHや濃度を調整して魚鱗
由来加水分解コラーゲンが得られる。また、pHを調整
後、噴霧乾燥、凍結乾燥することにより、粉体化して魚
鱗由来加水分解コラーゲン粉末を得ることもできる。
【0020】上記の方法で得られた魚鱗由来加水分解コ
ラーゲンは、毛髪や皮膚に対する作用(すなわち、毛髪
に対して艶、潤い、なめらかさや良好な櫛通り性を付与
し、皮膚に対しては優れた保湿性やなめらかさを付与す
る作用など)が従来の牛や豚の皮や骨由来のコラーゲン
を加水分解して得られた加水分解コラーゲンとほとんど
変わらず、しかも従来の動物由来加水分解コラーゲンの
ような動物臭がほとんどなく、化粧品用原料として適し
ている。
【0021】そして、本発明において得られる魚鱗由来
加水分解コラーゲンは、分子量が数平均分子量で150
〜30000の範囲内にあることが好ましく、これをよ
り詳細に説明すると、分子量が数平均分子量で150以
上であることが好ましく、200以上であることがより
好ましく、300以上であることがさらに好ましく、ま
た、30000以下であることが好ましく、10000
以下であることがより好ましく、5000以下であるこ
とがさらに好ましい。
【0022】本発明の魚鱗由来加水分解コラーゲンは、
前記のように、毛髪化粧品、皮膚化粧品を問わず、各種
の化粧品に配合することができるが、その対象となる化
粧品としては、例えば、毛髪化粧品では、シャンプー、
ヘアリンス、ヘアトリートメント、毛髪セット剤、整髪
剤、ヘアクリーム、パーマネントウェーブ用剤、染毛
剤、染毛料などが挙げられ、皮膚化粧品では、皮膚用ク
リーム、ファンデーション、化粧水、メイクアップ化粧
品、乳液、ボディーシャンプーなどが挙げられる。
【0023】そして、上記化粧品に、本発明の魚鱗由来
加水分解コラーゲンと併用して配合できる成分として
は、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活
性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤などの界
面活性剤類、カチオン性ポリマー、両性ポリマー、アニ
オン性ポリマーなどの合成ポリマー、半合成ポリマー
類、動植物油、炭化水素類、エステル油、高級アルコー
ル類、シリコーン油などの油剤、天然多糖類、保湿剤、
低級アルコール類、アミノ酸類、魚鱗以外の動植物およ
び微生物由来の蛋白質を加水分解した加水分解ペプチド
およびそれらの四級化誘導体、エステル誘導体、アシル
化誘導体およびその塩類、シリル化誘導体、動植物抽出
物、防腐剤、香料などを挙げることができるが、それら
以外にも本発明の魚鱗由来加水分解コラーゲンの有する
作用を損なわない範囲で適宜他の成分を添加することが
できる。
【0024】
【実施例】つぎに、実施例を挙げて本発明をより具体的
に説明する。ただし、本発明はそれらの実施例のみに限
定されるものではない。なお、以下の実施例、比較例な
どにおいて、溶液や分散液などの濃度を示す%はいずれ
も質量%である。
【0025】実施例1 内容積5リットルのビーカーに水1000gと水酸化ナ
トリウム70gを入れ、攪拌しながら洗浄した後、乾燥
した鯛鱗910g(粗蛋白質量として約500g)を添
加し、80℃で5時間攪拌を続けて鯛鱗を加水分解し
た。得られた加水分解液を室温まで冷却し、濾過により
不溶物を除いた後、濾液を18%塩酸でpH9に調整し
た。この溶液にナガセ生化学工業(株)製ナガセプロテ
アーゼ原末(商品名)(蛋白質分解酵素)を0.2g添
加し、50℃で18時間攪拌して加水分解した。酵素加
水分解後、加水分解液を80℃で1時間攪拌して酵素を
失活させた。この加水分解液を室温まで冷却した後、1
8%塩酸300gを加えて溶液のpHを3.5に調整し
て不溶物を析出させた。生じた不溶物を濾過により除去
し、濾液を20%水酸化ナトリウム水溶液でpHを7に
調整した。ついで、この溶液を電気透析により脱塩精製
し、pHを6.5に調整後、濃縮により濃度を調整し、
0.45μmのメンブランにより除菌濾過して、鯛鱗由
来加水分解コラーゲンの30%水溶液を1530g得
た。
【0026】得られた鯛鱗由来加水分解コラーゲンの原
料の鯛鱗に対する収率は50.4%であったが、前記の
ように、乾燥鯛鱗中の約30%は灰分、約15%は水分
で、粗蛋白質量は約55%であるから、粗蛋白質量に対
する収率(以下、「蛋白回収率」と記す)は91.7%
になる。また、上記のようにして得られた鯛鱗由来加水
分解コラーゲンの窒素量とアミノ態窒素量を測定し、数
平均分子量を求めたところ510であった。
【0027】さらに、得られた鯛鱗由来加水分解コラー
ゲンを6mol/l塩酸で加水分解し、アミノ酸分析を
行ったところ、その主なアミノ酸の組成は、グリシンが
34.3モル%、アラニンが13.7モル%、プロリン
が12.1モル%、ヒドロキシプロリンが8.0モル%
で、原料の鯛鱗コラーゲンのアミノ酸組成とほぼ同じで
あって、コラーゲンの組成比を維持していた。
【0028】なお、本明細書中における数平均分子量
は、加水分解コラーゲンの総窒素量値をアミノ態窒素量
値で割った加水分解コラーゲンの平均重合度と、コラー
ゲンのアミノ酸分析による各種アミノ酸の存在比から求
めたアミノ酸の平均分子量とを基に算出した値であり、
下記の式より算出される。
【0029】
【0030】上記計算式において、平均アミノ酸分子量
より「18」を引いているのは、ペプチド結合をしてい
る場合、一つのアミノ酸につき水一分子(H2 O)が脱
水されることになるので、「18」を引き、また、最後
に「18」を足しているのは、末端COOHの「OH」
の分子量「17」と末端NH2 の「H」の分子量「1」
を足すためである。
【0031】コラーゲンの平均アミノ酸分子量は、アミ
ノ酸の存在割合をアミノ酸分析により求め、これに各ア
ミノ酸の分子量を掛けて合計することにより求めたもの
で、本明細書においては、魚鱗由来コラーゲンも牛皮や
豚皮由来のコラーゲンも共にこの平均アミノ酸分子量を
108としている。
【0032】実施例2 内容積5リットルのビーカーに水1000gと水酸化ナ
トリウム40gを入れ、攪拌しながら水洗した後、乾燥
したテラピア鱗910gを添加し、60℃で5時間攪拌
を続けてテラピア鱗を加水分解した。得られた加水分解
液を室温まで冷却し、濾過により不溶物を除いた後、濾
液を18%塩酸でpH8.5に調整した。この溶液にナ
ガセ生化学工業(株)製ナガセプロテアーゼ原末(商品
名)(蛋白質分解酵素)を0.06g添加し、40℃で
24時間攪拌して加水分解した。酵素加水分解後、加水
分解液を80℃で1時間攪拌を続けて酵素を失活させ
た。この加水分解液を室温まで冷却した後、18%塩酸
170gを加えて溶液のpHを3.5に調整して不溶物
を析出させた。生じた不溶物を濾過により除去し、濾液
を20%水酸化ナトリウム水溶液でpH7に調整した。
ついで、この溶液を電気透析により脱塩精製し、pHを
6.5に調整後、濃縮により濃度を調整し、0.45μ
mのメンブランにより除菌濾過して、テラピア鱗由来加
水分解コラーゲンの30%水溶液を1360g得た。
【0033】得られたテラピア鱗由来加水分解コラーゲ
ンの原料のテラピア鱗に対する収率は44.8%で、蛋
白回収率は81.5%であった。また、上記のようにし
て得られたテラピア鱗由来加水分解コラーゲンの窒素量
とアミノ態窒素量を測定し、数平均分子量を求めたとこ
ろ1009であった。
【0034】さらに、得られたテラピア鱗由来加水分解
コラーゲンを6mol/l塩酸で加水分解し、アミノ酸
分析を行ったところ、その主なアミノ酸の組成は、グリ
シンが31.6モル%、アラニンが12.4モル%、プ
ロリンが12.7モル%、ヒドロキシプロリンが8.3
モル%で、原料のテラピア鱗コラーゲンのアミノ酸組成
とほぼ同じであって、コラーゲンの組成比を維持してい
た。
【0035】比較例1 水洗後乾燥した鯛鱗910gを5リットルの0.5mo
l/l塩酸水溶液に24時間浸漬して脱灰し、濾過によ
り鯛鱗を分離し、水洗後乾燥した。つぎに、内容積5リ
ットルのビーカーに0.5mol/lの酢酸水溶液を2
500g入れ、攪拌しながら脱灰した鯛鱗を添加し、3
0℃で24時間攪拌を続けて鯛鱗コラーゲンを抽出し
た。抽出液を濾過により抽出残渣と分離し、濾液に20
%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを9に調整し
た。つぎに、この鯛鱗コラーゲン水溶液にナガセ生化学
工業(株)製ナガセプロテアーゼ原末(商品名)(蛋白
質分解酵素)を0.2g添加し、50℃で18時間攪拌
して加水分解した。酵素加水分解後、加水分解液に水酸
化ナトリウム70gを添加し、65℃で3時間攪拌を続
けてアルカリ加水分解を行った。アルカリ加水分解後、
加水分解液を室温まで冷却した後、18%塩酸300g
を加えて溶液のpHを3.5に調整して不溶物を析出さ
せた。生じた不溶物を濾過により除去し、濾液を20%
水酸化ナトリウム水溶液でpH7に調整した。ついで、
この溶液を電気透析により脱塩精製し、pHを6.5に
調整後、濃縮により濃度を調整し、0.45μmのメン
ブランにより除菌濾過して、鯛鱗由来加水分解コラーゲ
ンの30%水溶液を960g得た。
【0036】得られた鯛鱗由来加水分解コラーゲンの原
料の鯛鱗に対する収率は31.6%で、蛋白回収率は5
6.5%であった。また、上記のようにして得られた鯛
鱗由来加水分解コラーゲンの窒素量とアミノ態窒素量を
測定し、数平均分子量を求めたところ393であった。
【0037】さらに、得られた鯛鱗由来加水分解コラー
ゲンを6mol/l塩酸で加水分解し、アミノ酸分析を
行ったところ、その主なアミノ酸の組成は、グリシンが
32.7モル%、アラニンが12.4モル%、プロリン
が11.8モル%、ヒドロキシプロリンが8.8モル%
で、原料の鯛鱗コラーゲンのアミノ酸組成とほぼ同じ
で、コラーゲンの組成比を維持していた。
【0038】比較例2 内容積5リットルのビーカーに0.5mol/l酢酸水
溶液を2500g入れ、攪拌しながら水洗した後、乾燥
したテラピア鱗910gを添加し、50℃で24時間攪
拌を続けてテラピア鱗コラーゲンを抽出した。抽出液を
濾過により抽出残渣と分離し、濾液に20%水酸化ナト
リウム水溶液を加えてpHを9に調整した。つぎに、こ
のテラピア鱗コラーゲン水溶液にナガセ生化学工業
(株)製ナガセプロテアーゼ原末(商品名)(蛋白質分
解酵素)を0.06g添加し、50℃で18時間攪拌し
て加水分解した。酵素加水分解後、加水分解液に水酸化
ナトリウム40gを添加し、65℃で3時間攪拌を続け
てアルカリ加水分解を行った。アルカリ加水分解後、分
解液を室温まで冷却した後、18%塩酸170gを加え
て溶液のpHを3.5に調整して不溶物を析出させた。
生じた不溶物を濾過により除去し、濾液を20%水酸化
ナトリウム水溶液でpH7に調整した。ついで、この溶
液を電気透析により脱塩精製し、pHを6.5に調整
後、濃縮により濃度を調整し、0.45μmのメンブラ
ンにより除菌濾過して、テラピア鱗由来加水分解コラー
ゲンの30%水溶液を430g得た。
【0039】得られたテラピア鱗由来加水分解コラーゲ
ンの原料のテラピア鱗に対する収率は14.2%で、蛋
白回収率は25.8%であった。また、上記のようにし
て得られたテラピア鱗由来加水分解コラーゲンの窒素量
とアミノ態窒素量を測定し、数平均分子量を求めたとこ
ろ796であった。
【0040】さらに、得られたテラピア鱗由来加水分解
コラーゲンを6mol/l塩酸で加水分解し、アミノ酸
分析を行ったところ、その主なアミノ酸の組成は、グリ
シンが32.8モル%、アラニンが13.3モル%、プ
ロリンが10.4モル%、ヒドロキシプロリンが9.3
モル%で、原料のテラピア鱗コラーゲンのアミノ酸組成
とほぼ同じで、コラーゲンの組成比を維持していた。
【0041】〔実施例の製造結果と比較例の製造結果の
比較〕表2に実施例1〜2および比較例1〜2の魚鱗由
来加水分解コラーゲンの製造結果を比較して示す。
【0042】
【表2】
【0043】表2に示すように、実施例1〜2の魚鱗由
来加水分解コラーゲンの製造方法では、魚鱗のアルカリ
分解、濾過、pH調整・酵素分解、酵素失活、塩酸処理
(酸析)、濾過、中和、電気透析、pH調整、濃縮、メ
ンブラン濾過と工程数は11であるが、比較例1の魚鱗
由来加水分解コラーゲンの製造方法では、魚鱗の脱灰、
濾過、コラーゲンの抽出、濾過の工程が増え、酵素分解
後の酵素失活工程が減るため工程数は14になる。ま
た、比較例2の魚鱗由来加水分解コラーゲンの製造方法
では、脱灰を行わずにコラーゲン抽出を行っているた
め、コラーゲンの抽出、濾過の工程が増え、酵素分解後
の酵素失活工程が減るので工程数は12になり、本発明
の実施例1〜2の魚鱗由来加水分解コラーゲンの製造方
法が最も工程数が少なかった。
【0044】また、本発明の実施例1〜2の魚鱗由来加
水分解コラーゲンの製造方法では、原料魚鱗中の蛋白回
収率(粗蛋白質量に対する窒素回収率)が80%以上と
非常に高かったが、比較例1の魚鱗由来加水分解コラー
ゲンの製造方法では、工程数が多いことやコラーゲンを
一度抽出分離し、その後加水分解するため、蛋白回収率
は50%程度と低くなった。また、比較例2の魚鱗由来
加水分解コラーゲンの製造方法では、脱灰処理を行わな
いためコラーゲン抽出割合が非常に低く、従って得られ
る加水分解コラーゲン量も極端に少なくなった。なお、
実施例1と比較例1、実施例2と比較例2は、それぞれ
魚鱗源が同じで、コラーゲンの分解に使用した酵素量も
同じであるが、それにも拘わらず、実施例1と比較例
1、実施例2と比較例2とでは、得られる魚鱗由来加水
分解コラーゲンの数平均分子量に違いが生じた。これ
は、比較例1の製造方法や比較例2の製造方法では、脱
灰工程やコラーゲンの抽出工程で既に蛋白回収率が低下
していて、蛋白質に対する酵素量比が、実施例1の製造
方法や実施例2の製造方法に比べて大きかったためであ
ると考えられる。
【0045】また、実施例1〜2の製造方法で得られた
魚鱗由来加水分解コラーゲン水溶液中のマグネシウム残
存量やカルシウム残存量は、いずれも低く、原料の鯛鱗
中のマグネシウム存在量が2352.6ppm、カルシ
ウム存在量が169807.4ppmで、テラピア鱗中
のマグネシウム存在量が2029.8ppm、カルシウ
ム存在量が97648.6ppmであったことから、本
発明の魚鱗由来加水分解コラーゲンの製造方法では、魚
鱗の分解前に脱灰処理を施さなくてもマグネシウムやカ
ルシウムを充分に除去できることが明らかであった。一
方、比較例1の製造方法では、魚鱗コラーゲンの抽出前
に脱灰処理をしたため、得られた魚鱗由来加水分解コラ
ーゲン中のマグネシウム残存量やカルシウム残存量は実
施例1〜2の製造方法で得られた魚鱗由来加水分解コラ
ーゲン中のマグネシウム残存量やカルシウム残存量より
やや多い程度であったが、脱灰処理をしていない魚鱗か
らコラーゲンを抽出して加水分解した比較例2の製造方
法では、得られた魚鱗由来加水分解コラーゲン中に残存
するマグネシウム量やカルシウム量が非常に多く、実施
例1〜2の製造方法で得られた魚鱗由来加水分解コラー
ゲンに比べて品質が劣っていた。
【0046】〔毛髪への残留性試験〕上記実施例1で得
られた鯛鱗由来加水分解コラーゲンの毛髪表面への残留
性を、比較例1で得られた鯛鱗由来加水分解コラーゲン
および従来の牛皮由来加水分解コラーゲン(数平均分子
量500)の毛髪表面への残留性と比較した。
【0047】試験用の毛束としては、あらかじめ2%ポ
リオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウ
ム水溶液で洗浄し、水道水の流水中でゆすいで室温で風
乾した重さ約1gで長さ10cmの毛束を3本用意し
た。この毛束の質量を精秤した後、それらの毛束をそれ
ぞれ実施例1の鯛鱗由来加水分解コラーゲンの10%水
溶液50g中、比較例1の鯛鱗由来加水分解コラーゲン
の10%水溶液50g中および従来の牛皮由来加水分解
コラーゲンの10%水溶液50g中に40℃で5分間浸
漬し、室温で10分間ハンガーに吊るして過剰の溶液を
落下させて除去した後、80℃の恒温槽中で1時間乾燥
した。乾燥後の毛束の質量を精秤し、処理前後の質量の
変化を比較した。なお、比較対照(ブランク)にはイオ
ン交換水を用いた。その結果を表3に示すが、数値はそ
れぞれ3回ずつ試験した結果の平均値である。
【0048】
【表3】 *1;成和化成(株)製 プロモイスW−32R(商品名)
【0049】表3に示すように、実施例1の鯛鱗由来加
水分解コラーゲンで処理した毛束の質量の増加率は5.
16%であり、従来法に相当する方法で製造した比較例
1の鯛鱗由来加水分解コラーゲンで処理した毛束の質量
の増加率や牛皮由来加水分解コラーゲンで処理した毛束
の質量の増加率とほとんど差がなく、本発明の製造方法
で製造した鯛鱗由来加水分解コラーゲンは、従来の製造
方法で製造した鯛鱗由来加水分解コラーゲンや従来の牛
皮由来加水分解コラーゲンと同等の毛髪への収着力を有
していることが明らかであった。なお、ブランク試験で
処理後の毛束の質量が処理前に比べて減少しているの
は、水での処理で毛髪中の蛋白成分が溶出したためであ
る。
【0050】〔皮膜強度試験〕上記実施例2のテラピア
鱗由来加水分解コラーゲンの皮膜強度を、比較例2のテ
ラピア鱗由来加水分解コラーゲンおよび従来の豚皮由来
加水分解コラーゲン(数平均分子量1000)の皮膜強
度と比較した。
【0051】試験は、JISの塗料一般試験中の鉛筆引
っかき試験法(JIS K 5400、6.14)に準
じて行った。すなわち、有効成分濃度が10%になるよ
うに調整した試料5gを直径9cmの円形ステンレス皿
に均一に塗布し、70℃で4時間乾燥した後、さらに2
5℃で相対湿度59%の恒湿槽中に24時間保存して形
成した皮膜を試験用膜とした。この試験用膜をJIS9
H〜9Bの硬度の異なる鉛筆で、加重30g、速度1m
m/秒で引っかき、傷がつかなかった最も硬い鉛筆硬度
をその膜の膜強度とした。なお、試験は25℃で相対湿
度58%の雰囲気中で行った。試験の結果を表4に示
す。
【0052】
【表4】 *2;成和化成(株)製、プロモイスW−42R(商品名)
【0053】表4に示すように、実施例2のテラピア鱗
由来加水分解コラーゲンは、比較例2のテラピア鱗由来
加水分解コラーゲンに比べて強度の高い皮膜を形成する
ことができ、従来の豚皮由来加水分解コラーゲンと同程
度の強度を有する皮膜を形成できることが明らかであっ
た。
【0054】〔においの比較試験〕上記実施例1の鯛鱗
由来加水分解コラーゲンのにおいを、比較例1の鯛鱗由
来加水分解コラーゲンおよび従来の牛皮由来加水分解コ
ラーゲン(数平均分子量500)のにおいと比較した。
【0055】試験では、それぞれ有効成分濃度が20%
になるように調整した試料50gをそれぞれ直径5cm
で内容積100ミリリットルのビーカーに入れ、それら
のビーカーをラップで覆い、50℃の湯浴上で10分間
加熱した。加熱後、各ビーカーは室温まで冷却し、その
後、ラップを外し、10人のパネラーににおいの強さを
比較させた。その結果を表5に示すが、評価は、最もに
おいの良いものを2点とし、次ににおいの良いものを1
点とし、最もにおいの悪いもの(強いもの)を0点と
し、評価値は10人の平均値で示す。上記の評価基準か
ら明らかなように、評価値の高いものほど、においが良
いことを示す。
【0056】
【表5】 *2;成和化成(株)製、プロモイスW−32(商品名)
【0057】表5に示すように、実施例1の鯛鱗由来加
水分解コラーゲンは、においの評価値が最も高く、最も
においが良かった。これに対して、比較例1の鯛鱗由来
加水分解コラーゲンは、実施例1と同様に鯛燐由来加水
分解コラーゲンであるが、パネラーの大多数が酢酸臭が
すると答え、また、牛皮由来加水分解コラーゲンはパネ
ラーの全員が動物臭が強いと答えていて、本発明の魚鱗
由来加水分解コラーゲンは、動物臭が少なく、かつ、魚
鱗から酢酸によるコラーゲンの抽出工程を経ていないの
で、従来法による魚鱗由来加水分解コラーゲンや従来の
牛皮由来加水分解コラーゲンに比べて、においの少ない
ことが明らかであった。
【0058】〔化粧品への応用例1〕表6に示す組成の
3種類の化粧水(実施品1および比較品1〜2の化粧
水)を調製し、皮膚に適用したときの皮膚の潤い感、な
めらかさおよび残臭の少なさについて評価した。なお、
表6中の各成分の配合量はいずれも質量部によるもので
あり、配合量が固形分量でないものについては、成分名
のあとに括弧書きで固形分濃度を示している。これら
は、応用例2の組成を示す表8においても同様である。
【0059】実施品1の化粧水には実施例1の鯛鱗由来
加水分解コラーゲンを含有させ、比較品1の化粧水には
実施例1の鯛鱗由来加水分解コラーゲンに代えて数平均
分子量が約450の従来の牛皮由来加水分解コラーゲン
を含有させ、比較品2の化粧水は加水分解コラーゲンを
含有させていないブランク品である。
【0060】
【表6】 *3;成和化成(株)製、プロモイスW−32R(商品名) *4;成和化成(株)製、セイセプトH(商品名)
【0061】上記実施品1および比較品1〜2の化粧水
の評価は次に示すように行った。すなわち、10人の女
性パネラーの手の甲にそれぞれの化粧水を塗布し、乾燥
後の皮膚の潤い感およびなめらかさについて、10人の
女性パネラーに、最も良いものを2点とし、2番目に良
いものを1点とし、悪いものを0点として評価させた。
【0062】また、処理後の皮膚の残臭の少なさについ
ては、10人の女性パネラーに比較品2(ブランク品)
との比較で評価させた。評価基準は下記の通りであり、
評価値3はブランク品と同程度の残臭を意味し、評価値
が高いほど残臭が少ないことを示している。
【0063】残臭の少なさの評価基準 残臭がブランク品とほぼ同じ 3 残臭がブランク品に比べてやや多い 2 残臭がブランク品に比べて多い 1 残臭がブランク品に比べて非常に多い 0
【0064】これらの評価試験の結果を表7に10人の
平均値で示す。
【0065】
【表7】
【0066】表7に示すように、処理後の皮膚の潤い感
やなめらかさについては、実施例1の鯛鱗由来加水分解
コラーゲンを含有する実施品1の化粧水で処理した場合
も、従来の牛皮由来加水分解コラーゲンを含有する比較
品1の化粧水で処理した場合とほぼ同程度の評価値であ
ったが、残臭の少なさについては、実施例1の鯛鱗由来
加水分解コラーゲンを含有する実施品1の化粧水で処理
した場合は、従来の牛皮由来加水分解コラーゲンを含有
する比較品1の化粧水で処理した場合に比べて評価値が
高く、実施例1の鯛鱗由来魚類加水分解コラーゲンは、
化粧水に含有させた場合、従来の牛皮由来加水分解コラ
ーゲンより皮膚への動物臭の残臭が少ないことが明らか
であった。
【0067】〔化粧品への応用例2〕表8に示す組成の
3種類のヘアリンス(実施品2および比較品3〜4のヘ
アリンス)を調製し、それぞれのヘアリンスをシャンプ
ーで洗浄した毛髪に使用して、毛髪の艶、潤い感、なめ
らかさ、櫛通り性および処理後の毛髪の残臭の少なさに
ついて評価した。
【0068】実施品2のヘアリンスには実施例2のテラ
ピア鱗由来加水分解コラーゲンを含有させ、比較品3の
ヘアリンスには実施例2のテラピア鱗由来加水分解コラ
ーゲンに代えて数平均分子量約1000の豚皮由来加水
分解コラーゲンを含有させ、比較品4のヘアリンスは加
水分解コラーゲンを含有させていないブランク品であ
る。
【0069】
【表8】 *5;成和化成(株)製、プロモイスW−42R(商品名)
【0070】上記ヘアリンスによる処理に先立ち、試験
用毛束として、長さ15cmで重さ1gの毛束を3本用
意し、それらの毛束を加水分解ペプチドやその誘導体を
含まない市販のシャンプーで洗浄し、お湯でゆすいでお
いた。この洗浄後の毛束に対して、上記実施品2および
比較品3〜4のヘアリンスをそれぞれ2gずつ用いて処
理し、お湯でゆすいだ。このシャンプー洗浄とヘアリン
ス処理を5回繰り返した後、毛髪の艶、潤い感、なめら
かさ、櫛通り性および残臭の少なさを応用例1と同様の
評価基準で10人の女性パネラーに評価させた。その結
果を表9に10人の平均値で示す。
【0071】
【表9】
【0072】表9に示すように、実施例2のテラピア鱗
由来加水分解コラーゲンを含有する実施品2のヘアリン
スで処理した毛髪は、従来の豚皮由来加水分解コラーゲ
ンを含有する比較品3のヘアリンスで処理した毛髪に比
べて、なめらかさについての評価値が高く、艶、潤い感
および櫛通り性については同等かまたはやや高い評価値
であり、実施例2のテラピア鱗由来加水分解コラーゲン
が従来の豚皮由来加水分解コラーゲンに比べて遜色のな
い効果を毛髪に付与できることが明らかであった。そし
て、処理後の毛髪の残臭の少なさについては、実施品2
のヘアリンスで処理した場合は比較品3のヘアリンスで
処理した場合に比べて評価値が高く、パネラーの大多数
が、実施品2のヘアリンスで処理した毛髪は、比較品3
のヘアリンスで処理した毛髪に比べて、動物臭が少ない
と答えていた。
【0073】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の製造方法
によれば、魚鱗から直接、脱灰処理やコラーゲンの抽出
工程を経ることなく、化粧品用原料として適した魚鱗由
来加水分解コラーゲンを容易かつ高収率に製造すること
ができ、また、本発明の製造方法によって製造された魚
鱗由来加水分解コラーゲンは、化粧品に配合した際に、
毛髪や皮膚に対して従来の牛や豚の皮や骨を原料とした
加水分解コラーゲンと同等の作用、すなわち、毛髪に対
して、艶、潤い、なめらかさや良好な櫛通り性を付与
し、皮膚に対しては優れた保湿性やなめらかさを付与す
る作用を発揮し、しかも従来の動物由来加水分解コラー
ゲンのような動物臭がほとんどないという優れた特性を
有していた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12P 21/06 C12P 21/06 Fターム(参考) 4B064 AG01 CA21 DA20 4C083 AC072 AC102 AC122 AC182 AC422 AC442 AC482 AD431 AD432 CC01 CC04 CC39 DD23 EE03 EE06 EE07 EE11 EE21 FF01 4H045 AA10 AA20 CA52 EA15 FA16 FA70

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 魚鱗をアルカリ剤で加水分解し、得られ
    た加水分解液を濾過後、濾液を蛋白質分解酵素で加水分
    解して得られたことを特徴とする魚鱗由来加水分解コラ
    ーゲン。
  2. 【請求項2】 魚鱗をアルカリ剤で加水分解し、得られ
    た加水分解液を濾過後、濾液を蛋白質分解酵素で加水分
    解して加水分解コラーゲンを得ることを特徴とする魚鱗
    由来加水分解コラーゲンの製造方法。
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