JP2003238302A - 害虫駆除用発泡性エアゾール剤 - Google Patents

害虫駆除用発泡性エアゾール剤

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 葡萄害虫の駆除に適する殺虫剤の提供。 【解決手段】 殺虫成分に加えて、特定の微粉末を含有
する液状物と噴射剤とを含んでなる発泡性エアゾール殺
虫剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アリやゴキブリ等の大
小様々な匍匐害虫の駆除用として好適な発泡性エアゾー
ル殺虫剤ならびにこれを用いた殺虫成分塗布方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】匍匐害虫の駆除方法のひとつとして、従
来、殺虫剤を発泡成分とともに噴射する方法が知られて
いる。これは、通常、殺虫有効成分を適当な溶媒に溶解
又は分散させ、界面活性剤などの適当な発泡成分及び液
化石油ガス等の適当な圧力源とともに密閉容器に封入
し、ノズルから該殺虫有効成分を泡状に噴射して、これ
を害虫の虫体に直接又は害虫の営巣や通路などに間接的
に施用するものである。この方法は、単純なエアゾール
剤に比べて人体への付着や呼吸による吸入の危険が少な
いなどの利点があるが、とりわけ上記間接的施用の場合
において殺虫成分の効力とその持続時間が泡の保持時間
に依存する傾向にあり、泡が消失した後は殺虫成分の効
力が著しく低下し、長時間に亙る十分な殺虫効果を期待
することができない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、アリやゴキ
ブリ等の大小様々な匍匐害虫駆除用に供される従来の発
泡性エアゾール殺虫剤においていまだ十分に果たし得な
かった効力の増強及び効力の持続などの要求を満足する
新しい発泡性エアゾール殺虫剤を提供することを目的と
する。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、従来の害虫
駆除用発泡エアゾール殺虫剤において、さらに特定の微
粉末成分を加えることにより上記目的が達成できること
を発見し、本発明を完成した。すなわち、本発明は、 (イ)殺虫成分 0.01−10.0重量%、 (ロ)低級アルコール 5.0 −40.0重量%、 (ハ)非イオン性界面活性剤 0.5 −10.0重量%、 (ニ)増粘剤 0.1 − 7.5重量%、 (ホ)水及び低級アルコールに不溶又は難溶の微粉末、好ましくは 平均粒子径1−50μmのケイ酸の微粉末 0.5 −20.0重量%、 (ヘ)水 30.0 −90.0重量%、 を含有する殺虫原液70−98重量%と、噴射剤2−3
0重量%とを含んでなる内溶液をエアゾール容器に充填
し、前記内溶液を泡沫状に噴出させるようにした発泡性
エアゾール殺虫剤、ならびにこれを用いた殺虫成分塗布
方法である。
【0005】本発明で用いられる殺虫成分としては、ピ
レスロイド系殺虫剤、ピレスロイド様殺虫剤、有機リン
剤、カーバメート剤、昆虫成長撹乱剤などをあげること
ができるが、効力と安全性の点からピレスロイド系殺虫
剤またはカーバメート剤が好ましい。ピレスロイド系殺
虫剤としては、例えば、トランスフルスリン、アレスリ
ン、プラレトリン、フェノトリン、テトラメスリン、イ
ミプロトリン、サイフェノトリン、フェンバレート、ペ
ルメトリン、サイパーメスリン、エトフェンプロック
ス、サイフルスリン、ビフェントリン等、カーバメート
剤としては、例えばプロポクスルなどを例示できるが、
これらに限定されるものでなく、また光学異性体あるい
は幾何異性体が存在する場合は、それらの各々ならびに
任意の混合物が包含されることはもちろんである。本発
明では、これらの殺虫成分の1種または2種以上が殺虫
原液中に0.01−10重量%、好ましくは0.02−
5.0重量%、より好ましくは0.05−4.0重量%
配合されるが、さらに忌避剤、殺菌剤、防カビ剤、共力
剤、安定剤、香料などを適宣配合して多目的組成物とす
ることもできる。
【0006】本発明で用いられる低級アルコールとして
は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソ
プロパノール、n−ブタノールなどがあげられ、殺虫原
液中に5.0−40.0重量%配合される。低級アルコ
ールの配合量が少なすぎると殺虫成分の溶解性が劣り、
また多すぎると発泡性が悪くなるので不適当である。な
お、使用する低級アルコールは、変性、未変性を問わな
いことはもちろん、性状を損なわない限りにおいて、他
の種の溶剤、例えば、アセトン、メチルエチルケトンな
どのケトン系溶剤、エチレングリコール、プロピレング
リコールなどの多価アルコール類、ジエチルエーテル、
エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレング
リコールモノブチルエーテルなどのエーテル類、イソプ
ロピルミリステート、ブチルステアレート、ヒマシ油な
どのエステル類、ケロシン、灯油などを適宣添加しても
よい。
【0007】本発明で用いられる界面活性剤は本発明発
泡エアゾール殺虫剤において、発泡性を付与すると共
に、前記殺虫成分を殺虫原液中で安定に均一に分散させ
るために配合されるものであり、非イオン性界面活性
剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両
性界面活性剤等がいずれも使用可能であるが、非イオン
性界面活性剤が望ましい。例えば、ソルビタン脂肪酸エ
ステル、グリセリン脂肪酸エステル、デカグリセリン脂
肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオ
キシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエ
チレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコ
ール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエー
テル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキ
ルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエー
テル、ポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油、ポ
リオキシエチレンラノリン・ラノリンアルコール・ミツ
ロウ誘導体、ポリオキシエチレンアルキルアミン・脂肪
酸アミドなどが挙げられる。なかでも、モノラウリン酸
ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル、モノラウリ
ン酸ポリオキシエチレンソルビタン等のポリオキシエチ
レンソルビタン脂肪酸エステルが好ましい。これらの界
面活性剤は、1種または2種以上の混合物として使用す
ることもでき、その配合割合としては、噴射時泡になる
濃度で良く、通常は界面活性剤の総量が原液に対する割
合で、0.5−10.0重量%、好ましくは1.0−
5.0重量%が望ましい。界面活性剤の配合量が少ない
と原液の安定性が悪かったり、発泡が不十分となること
があり、多すぎると原液の粘性が変わったり、特に低温
での安定性が悪くなることがある。尚、界面活性剤によ
る泡の生成とその安定性・持続性を調節するために、増
粘剤(又は発泡調整剤)を配合することも可能である。
増粘剤としては、例えば、ラウリルアルコール、セチル
アルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコー
ル、ミリスチルアルコール、オレイルアルコールなどの
直鎖高級アルコール、モノステアリルグリセリンエーテ
ル、ラノリンアルコール、ヘキシルドデカノール、イソ
ステアリルアルコール、オクチルドデカノールなどの分
枝鎖高級アルコール、ポリエチレングリコール、ポリビ
ニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボ
キシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビ
ニルアルコール、高級脂肪酸、ヒドロキシプロピルセル
ロース、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニル
ポリマー、メチルヒドロキシプロピルセルロース、カラ
ギーナン、キサンタンガム等が挙げられ、これらは単独
で又は2種以上を併用して用いられる。増粘剤の配合割
合としては、原液に対する割合で、0.1−7.5重量
%、好ましくは0.2−5.0重量%が望ましい。増粘
剤の配合量が少ないと、泡沫の生成と安定性が悪く、一
方増粘剤の配合量が多いと、粘性が高くなり製造時の取
扱いが難しくなる。
【0008】本発明で用いられる水及び低級アルコール
に不溶又は難溶の微粉末としては、例えば微粉化された
ケイ酸類(例えば定形/無定形の非晶質ケイ酸、無水ケ
イ酸、含水ケイ酸等)、酸化アルミニウム、カオリン、
タルク、酸化チタン、炭酸マグネシウム等の無機粉末
や、スターチ、ウレタン、ナイロン、ポリプロピレン等
の各種天然・合成有機粉末、ステアリン酸マグネシウム
等の塩類を挙げることができ、これらの1種または2種
以上を組み併せて使用できる。なかでも微粉化されたケ
イ酸が好ましい。微粉末ケイ酸はその粒子径、比表面積
などの違う各種の品質のものが市販されているが、本発
明では、通常は平均粒子径が1−50μm程度のものが
好ましく、なかでも平均粒子径が5−30μm程度のも
のが特に好ましい。なお、好ましいとするこれらの平均
粒子径は微粉末ケイ酸以外の粉末にも適用できる尺度で
ある。粒子径が大きすぎるとエアゾールノズルの目詰ま
りの原因となりやすく、一方粒子径が小さすぎても殺虫
液がゲル化するため粘性が高くなり過ぎ、製造時エアゾ
ール容器への充填が困難となることがある。このような
微粉末ケイ酸は市販されており、たとえばMizukasil P-
78D(水澤化学工業株式会社)、SMB C−30(富士
デヴィソン化学株式会社)等が挙げられる。これらの微
粉末の配合量としては、発泡殺虫剤原液に対する割合
で、0.5−20.0重量%であり、好ましくは1.0
−15.0重量%、より好ましくは2.0−12.5重
量%である。
【0009】本発明ではさらに水が30−90重量%、
好ましくは40−70重量%配合される。殺虫原液の性
状を安定に保持するために、脱イオン等の処理を施した
精製水の使用が好ましく、さらに任意の成分として、p
H調整剤(例えば、クエン酸、脂肪酸またはコハク酸も
しくはこれらの塩、例えば、ケイ酸塩、リン酸塩または
重硫酸ナトリウム等)や香料などを配合することもでき
る。
【0010】本発明の発泡エアゾール殺虫剤は、上記所
定量の殺虫成分、低級アルコール、界面活性剤、増粘
剤、微粉末及び精製水を混合・撹拌して均一な懸濁液
(殺虫原液)とした後、所定量の噴射剤とともにエアゾ
ール容器に充填して製造することができる。なお、配合
成分の溶解性や混合液の粘性等に応じて各成分の添加順
序は適宜変更する。殺虫原液と噴射剤は重量比で70:
30−98:2の範囲、好ましくは80:20−95:
5の範囲である。
【0011】本発明に使用できる噴射剤は、一般に知ら
れているものを使用することができる。例えば、プロパ
ン、ノルマルブタン、イソブタン、イソブチレン、ジメ
チルエーテル、炭酸ガス、窒素ガス及びフロンガス等が
挙げられる。噴射剤が少ないと得られるガス圧力が低
く、充分な泡量が得られないほか、薬剤が均一に噴射さ
れにくくなる、エアゾルバルブが目詰まりしやすくな
る、噴射剤が先に出尽くして残った薬剤が噴射できなく
なる等の不都合が生じる。又、噴射剤が多いと得られる
ガス圧力が高く、消泡性が高くなるため泡の形成不全、
泡の保持時間の短縮を引き起こすほか、噴出の勢いが強
すぎるために殺虫成分を含んだ泡や微粉末成分の飛散を
招く。
【0012】本発明は、前記内容液処方をエアゾール容
器に充填し、該内容液を泡沫状に噴出させ塗布すること
に特徴を有する。エアゾール容器の構造は、耐圧容器と
噴射バルブから構成され、従来の噴霧用エアゾールと比
べて何ら特別な機構を必要としないが、例えば、ノズル
孔径や形状を従来のものから変更させて目的に応じた噴
出量を適宣選択することは自由である。
【0013】こうして得られた本発明発泡エアゾール殺
虫剤は、殺虫成分が泡状に噴出するため、殺虫成分を均
一に塗布することができると同時に、溶液を塗布する場
合のような吸入の危険や液ダレの心配が少なく、使用性
もきわめて良好である。さらに、発泡成分に加えて微粉
末を配合しているので、微粉末の種類及び配合量が泡の
安定性に影響することを利用して処理後の泡の持続時間
をコントロールすることも可能で、消泡後は、殺虫成分
を付着又は吸着した該微粉末が殺虫効力を長時間保持す
るというメリットを有している。従って、本発明は家屋
内外の庭、玄関、居間、台所、窓サッシ、壁などの害虫
が通過しうる場所に塗布処理をほどこし、アリ、ゴキブ
リ、ダンゴムシ、カメムシ、ワラジムシ、ナメクジ、ム
カデ、ヤスデ、クモ、ゲジ等各種害虫に高い駆除・予防
効果を奏する発泡エアゾール殺虫剤とこれを用いた塗布
方法を提供するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
【0015】
【実施例】下記処方の実施例及び比較例に相当するエア
ゾール剤を調製し、殺虫効果を比較した。 実施例1 (重量%) プロポクスル 1.2 エタノール 35.0 モノラウリン酸ソルビタン 0.5 (日光ケミカルズ ニッコールSL−10) モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン 3.0 (花王 レオドールTW−L120) 増粘剤 1.5 (セチルアルコールとステアリルアルコール (7:3)混合物/花王 カルコール6870) 微粉化ケイ酸(富士デヴィソン化学 SMB シリカゲルC−30) 10.0 精製水 48.8 上記混合液93重量%に対し液化石油ガス7重量%を加
えエアゾール容器(容量300ml)に充填した。 実施例2 微粉化ケイ酸を5.0重量%及び精製水を53.8重量
%用いた以外は実施例1と同様にしてエアゾール容器に
充填した。 比較例 微粉化ケイ酸を配合せず、精製水を58.8重量%を用
いた以外は実施例1、2と同様にしてエアゾール容器に
充填した。 (アリに対するバリアー試験)庭土又は砂を厚さ約5c
mに敷き詰め、その表面にエアゾール約0.8gを直径
約7cm、幅及び高さ約2cmの環状にスプレーし薬剤
を塗布した。白熱灯下ドライヤーにて乾燥・消泡し、そ
の直後及び一晩放置後、環の内側にヤマトアシナガアリ
を放ち、自力で環外に脱出したものを捕獲して別の容器
に入れ、ノックダウン状況を観察した。
【0016】
【表1】
【0017】(アリに対する限定時間接触試験)直径1
0cmのペーパータオル上に、エアゾール約0.24g
をスプレーして薬剤を均一に塗布し、白熱灯下で加温し
て消泡・乾燥後、薬剤塗布部にヤマトアシナガアリ10
匹を1分間接触させた。接触後、別の容器に移し、ノッ
クダウン状況を観察した。
【0018】
【表2】
【0019】試験の結果、本発明の微粉末含有発泡エア
ゾール殺虫剤は、消泡・乾燥直後のみならず、消泡・乾
燥後一晩放置した状態においても優れたノックダウン効
果を示したことから、極めて効率的・実用的な発泡塗布
方式を提供することが認められた。これに対し、比較例
で示されるように、微粉末を配合しない場合は、消泡・
乾燥直後、一晩放置後ともに、ノックダウン効果は明ら
かに低かった。
【0020】
【発明の効果】本発明は、直接噴射や噴射直後のみなら
ず、塗布後時間が経過して消泡・乾燥した状態において
も優れた殺虫効果を示し、また塗布の状態も良好で、ア
リやゴキブリ等の大小様々な匍匐害虫駆除用に供される
従来の発泡性エアゾール殺虫剤においていまだ十分に果
たし得なかった効力の増強及び効力の持続などの要求を
満足する新しい微粉末含有発泡性エアゾール殺虫剤これ
を用いた殺虫成分塗布方法を提供するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A01N 61/00 A01N 61/00 D (72)発明者 田辺 信之 兵庫県宝塚市御殿山4−1−15 Fターム(参考) 4H011 AC01 BA01 BA05 BB13 BC03 BC06 BC18 BC19 DA21 DD04 DE16 DF03 DH03

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 殺虫有効成分 0.01−10.0重量
    %、 低級アルコール 5.0−40.0重量%、 界面活性剤 0.5−10.0重量%、 増粘剤 0.1−7.5重量%、 平均粒子径1−50μmのケイ酸微粉末 0.5−2
    0.0重量%及び水 30.0−90.0重量%を含有
    する殺虫原液70−98重量%と、噴射剤2−30重量
    %とを含んでなる害虫駆除用発泡性エアゾール剤。
  2. 【請求項2】 殺虫有効成分がプロポクスルである請求
    項1に記載の害虫駆除用発泡性エアゾール剤。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の害虫駆除用発泡
    性エアゾール剤を害虫が通過しうる場所へ泡沫状に噴射
    して塗布することを特徴とする殺虫成分塗布方法。
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