JP2003224489A - 受信機のベースバンド回路及びその低域遮断周波数制御方法 - Google Patents

受信機のベースバンド回路及びその低域遮断周波数制御方法

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JP2003224489A
JP2003224489A JP2002020842A JP2002020842A JP2003224489A JP 2003224489 A JP2003224489 A JP 2003224489A JP 2002020842 A JP2002020842 A JP 2002020842A JP 2002020842 A JP2002020842 A JP 2002020842A JP 2003224489 A JP2003224489 A JP 2003224489A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ハイパスフィルタの低域遮断周波数をできる
限り低くしつつ、利得変化による過渡現象の収束を早く
するようにした受信機のベースバンド回路を得る。 【解決手段】 可変増幅器302〜304を用いてベー
スバンド信号を利得制御信号に応じて可変増幅するよう
にした受信機のベースバンド回路において、直流阻止用
ハイパスフィルタ305〜307をベースバンド信号の
経路に設けた場合、上記可変増幅器の利得変化が十分小
さい場合には(例えば、6db以下の場合)、当該ハイ
パスフィルタの低域遮断周波数をできる限り低く設定し
ておき、逆に利得変化が所定値を上回る場合には(例え
ば、6dbを超える場合)、制御回路102により、低
域遮断周波数を高くするよう制御して、過渡現象を素早
く収束させるように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は受信機のベースバン
ド回路及びその低域遮断周波数制御方法に関し、特にベ
ースバンド回路内において直流オフセットの伝達を阻止
するためのハイパスフィルタを備えたダイレクトコンバ
ージョン型の受信機の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ダイレクトコンバージョン方式の受信機
は、従来のスーパーヘテロダイン方式に比べて、高周波
回路部が簡略化され、フィルタなどの部品点数が削減さ
れることや、帯域制限やAGC(自動利得制御)などの
機能がほとんどベースバンド帯域で実行されるので、こ
れらをCMOSアナログ回路で実現できLSI化に向い
ていること等の利点があり、今後広く使われるものと予
想される。
【0003】図7はこの種のダイレクトコンバージョン
方式の受信機の具体的構成を示すブロック図である。図
7において、アンテナ401で受信された高周波信号
は、高周波バンドパスフィルタ402で帯域制限され、
受信帯域が取り出される。帯域制限された信号はローノ
イズアンプ(LNA)403で増幅され、そのまま直交
復調器404に入力される。直交復調器404はローカ
ル発振器425の生成するローカル信号で駆動される
が、このローカル信号は受信する高周波信号の中心周波
数と同じである。この直交復調器404によって、高周
波信号から直接ベースバンド信号が生成される。
【0004】ベースバンド信号はI,Qの2系統の信号
であり、それぞれベースバンドフィルタ405,406
で帯域制限されたあと、AGC回路407で平均的振幅
が一定になるように増幅される。この利得を制御する回
路、アルゴリズムは本発明とは直接関係しないので、説
明を省略する。AGC回路407のダイナミックレンジ
は数10dBに達する(CDMA(Code Devision Mult
iple Access )方式の場合には、80dB程度)。AG
C回路407の出力はそれぞれ信号423,424とし
て後段に出力される。
【0005】ダイレクトコンバージョン方式では、隣接
チャンネルを抑圧するためのチャンネルフィルタは、I
F帯のSAWフィルタではなく、ベースバンドフィルタ
405,406で実現する。これらは能動素子を用いた
回路で実現できるので、IC化に適している。また、高
周波を直接ベースバンド信号に変換するので、セカンド
ローカル発振器が不要である。それゆえ、LNAからベ
ースバンド出力までの全ての受信回路を1チップ化でき
る可能性がある。これは、携帯電話器の小型化、部品点
数削減に大きく寄与する。
【0006】しかしながら、フィルタ405,406お
よびAGC回路407において、直流オフセットが僅か
でもあると、AGCの利得は場合によっては80dBに
も達するので、出力が電源やグランドに張り付く飽和現
象が発生する。例えば、フィルタ405で1mVの直流
オフセットがあり、AGC回路407の利得が80d
B、すなわち、10000倍であったとすれば、出力に
10Vの直流成分が出ることになる。もちろん、携帯電
話などではこのような電圧は電池の電圧をはるかに超え
ているので、動作不能になってしまう。従って、ダイレ
クトコンバージョン受信機のベースバンド回路では、直
流オフセットを可能な限り除去することが最重要課題と
なる。
【0007】直流オフセットを除去する最も単純な方法
は、図8に示すようなC−カットである。図8では、C
−カットに相当するハイパスフィルタ305〜307
を、AGC回路を構成するVGA(Variable Gain Amp
)302〜304の各間または出力に挿入している。
図中のフィルタ301は、ベースバンドの帯域制限を行
なうローパスフィルタであり、その伝達関数をH(s)
と記載している。このローパスフィルタは、本発明には
直接は係わらないので、詳しい説明は省略する。本来は
図8の構成がI,Qの2系統のベースバンド部に存在す
るが、双方とも全く同一の回路になるので、これ以後は
1系統のみの構成で説明する。この構成の回路によっ
て、各部で発生する直流オフセットが出力側へ伝達する
のを阻止できる。尚、ハイパスフィルタの伝達関数をB
(s)として示している。
【0008】しかしながら、C−カットにおいては、各
部分で発生する直流オフセット分を確実に取り除くため
に、図8に示すように、複数のハイパスフィルタを挿入
する必要がある。信号を忠実に後段に伝えるためには、
ハイパスフィルタのカットオフ周波数はできる限り低い
ことが望ましい。この構成でほぼ完璧に、静的な直流オ
フセットは防御可能である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、実際に
は次のような問題が発生する。例えば、図8中の可変利
得増幅器(以下VGA:Variable Gain Amplifier )3
04の入力換算オフセット(ポイント“a”換算の直流
オフセット)がVofs であるとする。Vofs 値は時間的
に変化しないと仮定すれば、図9のaに示すような一定
の直流電圧である。ここで、VGA304の利得は当初
1倍(0dB)であったが、時刻“t0 ”で、10倍
(20dB)に変ったとする。図9のグラフbは、その
場合のVGA304の出力“b”点での電圧を表す。こ
のグラフのように、b点での電圧は、時刻t0 で突然、
Vofs から10×Vofs に変化するはずである。
【0010】この波形をハイパスフィルタ307でCカ
ットした、ハイパスフィルタ出力(ポイント“c”での
電圧)は、図9のcの実線で示す波形になる。この波形
から明らかなように、Cカットによって静的な直流オフ
セット電圧は除去できるが、VGAの入力換算オフセッ
トと利得の変動によって、過渡的な波形が出力に現れ、
この波形も、後段の復調回路(本発明では明記せず)で
ベースバンド信号を処理する上での障害になる。
【0011】この過渡現象の波高値Vpeakは、VGAの
入力換算直流オフセットVofs と前後の利得g0 及びg
1 によって、 Vpeak=(g1 −g2 )×Vofs ……(1) のように表される。すなわち、波高値は、利得の変化が
大きいほど大きい。
【0012】一方、波形cの継続時間であるが、例えば
電圧が波高値の1%までに収束する時間をτとし、ハイ
パスフィルタ307が1次であり、カットオフ周波数が
fcであるとすると、 τ=−ln(0.01)/2πfc ……(2) となる。例えば、fc が10kHzであれば、τは約7
3.3μsecになる。この値は、W−CDMAにおい
ては、約281チップ(チップレート3.84Mcps
とする)に相当する。これはかなり長い時間である。利
得の変化が大きい場合には、τがこれほど長時間になる
と、ビットレートの劣化を引き起こす。これに対して、
fc がもし1MHzであれば、τ=0.733μsec
であり、2〜3チップ以内に過渡現象を1%程度に押さ
えることができる。
【0013】しかしながら、利得の変化が少ない通常の
状態では、受信波形が崩れないように、カットオフ周波
数をできる限り低く押さえたいという要求がある。すな
わち、 (1)利得の変化が十分小さいとき(例えば、≦6d
B)は、低域遮断周波数をできる限り低くする(例え
ば、10kHz程度); (2)利得の変化が所定値を上回る場合(例えば、>6
dB)は、低域遮断周波数を高くして(例えば、1MH
z程度)、すばやく過渡現象を収束させる(例えば、図
9のcの点線の波形のように);ような制御が必要にな
る。
【0014】ところで、VGA304の利得変動による
過渡現象の問題と対処方法について述べたが、当然のこ
とながら、VGA302,VGA303においても、利
得の変動があればそれに対応する過渡現象が発生し、ハ
イパスフィルタ305〜307を介して出力される。従
って、上記と同じ問題を抱えており、同様に、上記と同
じ対策が必要である。
【0015】本発明の目的は、ハイパスフィルタの低域
遮断周波数をできる限り低くしつつ、利得変化による過
渡現象の収束を早くするようにした受信機のベースバン
ド回路及びその低域遮断周波数制御方法を提供すること
である。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、ベース
バンド信号を利得制御信号に応じて可変増幅する可変増
幅手段と、前記ベースバンド信号の経路に設けられたハ
イパスフィルタ手段と、前記利得制御信号の変化量を検
出してこの変化量に応じて前記ハイパスフィルタ手段の
低域遮断周波数を変化制御する制御手段とを含むことを
特徴とする受信機のベースバンド回路が得られる。
【0017】そして、前記ハイパスフィルタ手段は2つ
の低域遮断周波数を有しており、前記制御手段は前記変
化量に応じて択一的に前記低域遮断周波数を変化させる
ことを特徴とする。また、前記利得制御信号はアナログ
信号であり、前記制御手段は、前記アナログ信号を時間
微分して前記変化量に対応する信号の絶対値を生成する
手段と、この絶対値と所定値とを比較する手段とを有
し、この比較結果に応じて前記低域遮断周波数を変化さ
せるようにしたことを特徴とする。
【0018】更に、前記制御手段は、前記変化量が所定
値より小なる場合には所定の低域遮断周波数となり、逆
に、前記変化量が所定値以上の場合には前記所定の低域
遮断周波数より高い低域遮断周波数となるよう制御する
ことを特徴とする。また、前記制御手段は、前記低域遮
断周波数を、前記高い低域遮断周波数から前記所定の低
域遮断周波数へ変化させる場合には、所定遅延時間だけ
制御タイミングがずれるよう動作することを特徴とす
る。また、前記利得制御信号はディジタル信号であり、
前記制御手段は、前記ディジタル信号を所定間隔でサン
プリングする手段と、このサンプリング間隔での前記デ
ィジタル信号の変化量の絶対値を所定値と比較する手段
とを有し、この比較結果に応じて前記低域遮断周波数を
変化させることを特徴とする。
【0019】本発明によれば、ベースバンド信号を利得
制御信号に応じて可変増幅する可変増幅手段と、前記ベ
ースバンド信号の経路に設けられたハイパスフィルタ手
段とを含む受信機のベースバンド回路における低域遮断
周波数制御方法であって、前記利得制御信号の変化量を
検出してこの変化量に応じて前記ハイパスフィルタ手段
の低域遮断周波数を変化制御する制御ステップを含むこ
とを特徴とする低域遮断周波数制御方法が得られる。
【0020】そして、前記ハイパスフィルタ手段は2つ
の低域遮断周波数を有しており、前記制御ステップは前
記変化量に応じて択一的に前記低域遮断周波数を変化さ
せることを特徴とする。また、前記利得制御信号はアナ
ログ信号であり、前記制御ステップは、前記アナログ信
号を時間微分して前記変化量に対応する信号の絶対値を
生成するステップと、この絶対値と所定値とを比較する
ステップと、この比較結果に応じて前記低域遮断周波数
を変化させるステップとを有することを特徴とする。
【0021】また、前記制御ステップは、前記変化量が
所定値より小なる場合には所定の低域遮断周波数とな
り、逆に、前記変化量が所定値以上の場合には前記所定
の低域遮断周波数より高い低域遮断周波数となるよう制
御することを特徴とする。また、前記制御ステップは、
前記低域遮断周波数を、前記高い低域遮断周波数から前
記所定の低域遮断周波数へ変化させる場合には、所定遅
延時間だけ制御タイミングがずれるようにしたことを特
徴とする。更に、前記利得制御信号はディジタル信号で
あり、前記制御ステップは、前記ディジタル信号を所定
間隔でサンプリングするステップと、このサンプリング
間隔での前記ディジタル信号の変化量の絶対値を所定値
と比較するステップと、この比較結果に応じて前記低域
遮断周波数を変化させるステップとを有することを特徴
とする。
【0022】本発明の作用を述べる。可変増幅器を用い
てベースバンド信号を利得制御信号に応じて可変増幅す
るようにした受信機のベースバンド回路において、直流
阻止用のハイパスフィルタをベースバンド信号の経路に
設けた場合、上記可変増幅器の利得変化が十分小さい場
合には(例えば、6db以下の場合)、当該ハイパスフ
ィルタの低域遮断周波数をできる限り低く設定してお
き、逆に利得変化が所定値を上回る場合には(例えば、
6dbを超える場合)、低域遮断周波数を高くするよう
制御して、過渡現象を素早く収束させるように構成す
る。
【0023】こうすることにより、利得変化が少ない場
合には、低域遮断周波数が低いので、できる限り波形を
忠実に復調回路へ送出し、安定した受信性能が得られ
る。一方、利得変化が大きい場合は、大きな過渡現象が
発生するので、低域遮断周波数を高くして、すばやく過
渡現象を収束させ、安定な受信状態に復帰することが可
能になる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照しつつ本発明の
実施例につき詳細に説明する。図1は本発明の一実施例
を示すブロック図であり、図8と同等部分は同一符号に
て示している。ベースバンド信号の通過する経路は、図
8に示したものと全く同じである。新しく追加されてい
るのは、利得制御信号の入力端子と、その利得制御信号
を分解して各VGA(Variable Gain Amplifier )に供
給する利得制御信号を発生する利得配分回路101と、
利得制御信号を入力とし、その変化を観測してその変化
に応じて各ハイパスフィルタ305,306,307の
低域遮断周波数を変える制御を行なう制御回路102と
である。
【0025】このうち、利得配分回路については、本発
明には直接関係しないので、詳細な説明は省略するが、
簡単に言えば、入力された利得制御信号に応じて、ベー
スバンド回路全体の利得が変わればよいわけで、利得配
分回路はその全体の利得を複数のVGAに分配する機能
を有している。
【0026】重要なことは、ハイパスフィルタ305,
306,307と制御回路102の構成と動作である。
従来技術の項で述べたように、本発明では、 (1)利得の変化が十分小さいとき(例えば、≦6d
B)は、低域遮断周波数をできる限り低くする(例え
ば、10kHz程度); (2)逆に、利得の変化が所定値を上回る場合(例え
ば、>6dB)は、低域遮断周波数を高くして(例え
ば、1MHz程度)、すばやく過渡現象を収束させる;
というような制御を実現することが目的である。このよ
うな制御を行なうことにより、利得変動が少ない場合に
は、低域遮断周波数を低くして、できる限り波形を忠実
に復調回路に送り、安定した受信性能が得られる。一
方、利得変化が大きい場合は、大きな過渡現象が発生す
るので、低域遮断周波数を高くして、すばやく過渡現象
を収束させ、安定な受信状態に復帰することが可能にな
る。
【0027】このような機能を実現するためには、ハイ
パスフィルタ305,306,307は、低域遮断周波
数が変えられる構造になっている必要がある。図8で
は、コンデンサと抵抗からなる単純な1次のハイパスフ
ィルタを想定していたが、本発明では、図2に示すよう
に、バッファアンプ(利得が1倍)201の出力を、反
転積分器202で積分し、加算器203にフィードバッ
クする構成を考える。図中のαは積分定数である。この
構成の伝達関数は、 B(s)=s/(s+α) ……(3) となる。
【0028】カットオフ(遮断)周波数fc は、αを用
いて、 fc =α/2π ……(4) となる。これは、コンデンサと抵抗で作る単純なハイパ
スフィルタと同じ形式である。この構成のメリットは、
バッファの部分に、利得のあるアンプや、ローパスフィ
ルタの機能を入れることが可能な点であり、その間の直
流オフセットを一気にキャンセルできる点である。この
件については、本発明とは直接関係ないので省略する。
【0029】図2の積分器の積分乗数αを、外部の信号
(図中のControl 端子)で変化させることができれば、
(4)式より明らかなように、低域遮断周波数を変える
ことができる。それが実現可能な反転積分器の構成を図
3に示す。図3は平衡型反転積分器を示している。演算
増幅器502,501とコンデンサ504,503と、
抵抗506〜510とにより反転積分器を構成してい
る。スイッチ509は外部のCont端子で制御される。こ
のCont端子が“1”のときはスイッチ509がオンにな
り、“0”のときはオフになるように回路を組めば、Co
nt端子の状態によって、積分乗数α及び低域遮断周波数
fc は、次のようになる。
【0030】Cont=1の場合: α=1/CR2 fC =1/2πCR2 ……(5) Cont=0の場合: α=1/C(R1 +R2 ), fC =1/2πC(R1 +R2 ) ……(6) 例えば、C=10pF、R1=1.576MΩ、R2=
15.190kΩに選べば、ほぼ、Cont=1の場合は、
fc =1MHz、Cont1=0の場合は、fc =10kH
zになるように設計できる。
【0031】図3におけるCont端子は図2における
Control端子とみなすことができ、この端子は図
1における各ハイパスフィルタの制御端子であり、制御
回路102の出力に接続されている。
【0032】次に、制御回路102の具体的な構成例と
動作について述べる。図4に、利得制御信号がアナログ
信号(利得のdB値とリニアな関係にあることが望まし
い)である場合の、制御回路の一構成例を示す。
【0033】入力された利得制御信号Aは、まず反転型
微分回路601で信号の変化量に比例したBに変換され
る。微分回路601は、演算増幅器606とコンデンサ
604、抵抗605で容易に構成することができる。図
5に入力信号Aと微分回路601の出力Bの関係を示
す。微分出力Bは、判定回路602に入力され、スレッ
ショルド電圧Vt 及び−Vt とコンパレータ607,6
08において比較される。Vt の値は、例えば、低域遮
断周波数を切り替える利得変化の目安を6dBとするの
であれば、その6dBの利得変化に相当する電圧変化値
として決定できる。
【0034】図5に示すように、微分出力BがVt を超
えた場合のみ、コンパレータ607の値Cが“1”にな
り、逆に、微分出力Bが−Vt 以下の場合のみ、コンパ
レータ608の値Dが“1”になる。それ以外では、C
とDは“0”である。本発明では、利得の変化が正でも
負でも同等であるので、OR回路609によりCとDの
OR(論理和)をとったEの値を生成する。回路603
では、遅延回路610にて入力信号Eをτ時間だけ遅ら
せた信号Fをつくり、OR回路611によりEとFのO
Rである信号Gを生成して出力する。これによって、利
得の変化量が大から小に切り替わったしばらくの間(=
τ)だけ、制御出力Gが“1”にとどまる。τの値は、
ハイパスフィルタによる過渡現象が十分に収束する時間
に設定する。
【0035】以上のようにすることによって、図5に示
すように、入力された利得制御信号の変化が所定の値V
t より大きい期間プラスτだけ、ハイパスフィルタの低
域遮断周波数が高くなるように制御できることになり、
上述した本発明の課題を達成することが可能である。
【0036】本発明の他の実施例として、その基本的構
成は上記の通りであるが、図1の制御回路102の構成
方法を変えた例を示す。先の実施例では、利得制御信号
がアナログ信号の場合を考えたが、本例では、利得制御
信号がディジタル信号であり、例えば、データの形で、
外部のCPUなどから与えられる場合を考える。この場
合は、制御回路102は一種のプロセッサとして構成で
きる。
【0037】図6にその場合のプロセスのフローチャー
トを示す。まず、制御回路(以下プロセッサと記す)は
初期状態からスタートし、手順900で制御出力“Ou
tput”を“0”に設定する。すなわち初期状態で
は、低域遮断周波数は低い状態である。
【0038】次に、手順901で、過去の利得制御信号
G(0)の値をレジスタG(1)にシフトした後、新し
い利得制御信号“Input”を入力し、レジスタG
(0)に記憶する。判定手順902で、新旧利得の差の
絶対値が、所定の閾値、例えば6dBより大きいかどう
かを判定し、大きければ手順907へ、小さければ手順
903へ飛ぶ。手順907では、タイマーをリスタート
させ、手順908で制御出力“Output”を“1”
にセットする。その後906に移る。
【0039】一方、手順903では、タイマーの値がτ
を超えているかどうかを判定する。τを超えていない場
合は、何もせずそのまま手順906に移る。τを超えて
いる場合は、手順904でタイマーをリセットしてかつ
停止させ、制御出力“Output”を“0”にセット
する。その後906に移る。手順906では、プロセッ
サの入力サンプリング間隔に当たる時間ΔTだけ待った
後、手順901に移る。以下、同じことの繰り返しであ
る。
【0040】本実施例で示すようなプロセッサ動作を、
制御回路内に実現すれば、図5に示したタイミングチャ
ートと同じような動作を実現することが可能であり、第
1の実施例と等価な効果を実現できる。
【0041】また、本実施例では、利得制御信号がディ
ジタル信号である場合について述べたが、仮にアナログ
信号であったとしても、A/D変換器を追加して、この
アナログ信号をディジタルに変換すれば、本実施例を適
用することは容易である。この場合も当然、本発明に含
まれる。
【0042】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、利
得の変化が十分小さいときには、低域遮断周波数をでき
る限り低くし、逆に、利得の変化が所定値を上回る場合
には、低域遮断周波数を高くして、すばやく過渡現象を
収束させるような制御を実現することが可能となるとい
う効果がある。結果として、このような制御を行なうこ
とにより、利得変動が少ない場合には、低域遮断周波数
を低くして、できる限り波形を忠実に復調回路に送り、
安定した受信性能が得られる。一方、利得変化が大きい
場合は、大きな過渡現象が発生するので、低域遮断周波
数を高くして、すばやく過渡現象を収束させ、安定な受
信状態に復帰することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるダイレクトコンバージョン受信機
のベースバンド回路の低域遮断周波数制御方法を説明す
るための概念図である。
【図2】本発明の実施例で使用される低域遮断周波数を
変更可能なハイパスフィルタの構成例である。
【図3】積分定数可変型の反転型積分器の一例を示す図
である。
【図4】低域遮断周波数制御回路の例を示す図である。
【図5】低域遮断周波数制御回路の動作を説明するタイ
ムチャートの例である。
【図6】低域遮断周波数制御回路をプロセッサで実現す
る場合のフローチャートの例である。
【図7】ダイレクトコンバージョン受信機の従来の構成
例を示す図である。
【図8】ダイレクトコンバージョン受信機のベースバン
ド回路の従来の構成例を示す図である。
【図9】利得変更時にベースバンド回路で発生する過渡
現象を説明するタイムチャ−トである。
【符号の説明】 101 利得分配回路 102 制御回路 201 バッファ 202 反転積分器 203 加算器 301 ローパスフィルタ 302〜304 VGA(Variable Gain Amp ) 305〜307 ハイパスフィルタ

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ベースバンド信号を利得制御信号に応じ
    て可変増幅する可変増幅手段と、 前記ベースバンド信号の経路に設けられたハイパスフィ
    ルタ手段と、 前記利得制御信号の変化量を検出してこの変化量に応じ
    て前記ハイパスフィルタ手段の低域遮断周波数を変化制
    御する制御手段と、を含むことを特徴とする受信機のベ
    ースバンド回路。
  2. 【請求項2】 前記ハイパスフィルタ手段は2つの低域
    遮断周波数を有しており、前記制御手段は前記変化量に
    応じて択一的に前記低域遮断周波数を変化させることを
    特徴とする請求項1記載の受信機のベースバンド回路。
  3. 【請求項3】 前記利得制御信号はアナログ信号であ
    り、前記制御手段は、前記アナログ信号を時間微分して
    前記変化量に対応する信号の絶対値を生成する手段と、
    この絶対値と所定値とを比較する手段とを有し、この比
    較結果に応じて前記低域遮断周波数を変化させるように
    したことを特徴とする請求項1または2記載の受信機の
    ベースバンド回路。
  4. 【請求項4】 前記制御手段は、前記変化量が所定値よ
    り小なる場合には所定の低域遮断周波数となり、逆に、
    前記変化量が所定値以上の場合には前記所定の低域遮断
    周波数より高い低域遮断周波数となるよう制御すること
    を特徴とする請求項1〜3いずれか記載の受信機のベー
    スバンド回路。
  5. 【請求項5】 前記制御手段は、前記低域遮断周波数
    を、前記高い低域遮断周波数から前記所定の低域遮断周
    波数へ変化させる場合には、所定遅延時間だけ制御タイ
    ミングがずれるよう動作することを特徴とする請求項4
    記載の受信機のベースバンド回路。
  6. 【請求項6】 前記利得制御信号はディジタル信号であ
    り、前記制御手段は、前記ディジタル信号を所定間隔で
    サンプリングする手段と、このサンプリング間隔での前
    記ディジタル信号の変化量の絶対値を所定値と比較する
    手段とを有し、この比較結果に応じて前記低域遮断周波
    数を変化させることを特徴とする請求項1記載の受信機
    のベースバンド回路。
  7. 【請求項7】 前記受信機はダイレクトコンバージョン
    型の受信機であることを特徴とする請求項1〜6いずれ
    か記載の受信機のベースバンド回路。
  8. 【請求項8】 ベースバンド信号を利得制御信号に応じ
    て可変増幅する可変増幅手段と、前記ベースバンド信号
    の経路に設けられたハイパスフィルタ手段とを含む受信
    機のベースバンド回路における低域遮断周波数制御方法
    であって、前記利得制御信号の変化量を検出してこの変
    化量に応じて前記ハイパスフィルタ手段の低域遮断周波
    数を変化制御する制御ステップを含むことを特徴とする
    低域遮断周波数制御方法。
  9. 【請求項9】 前記ハイパスフィルタ手段は2つの低域
    遮断周波数を有しており、前記制御ステップは前記変化
    量に応じて択一的に前記低域遮断周波数を変化させるこ
    とを特徴とする請求項8記載の低域遮断周波数制御方
    法。
  10. 【請求項10】 前記利得制御信号はアナログ信号であ
    り、前記制御ステップは、前記アナログ信号を時間微分
    して前記変化量に対応する信号の絶対値を生成するステ
    ップと、この絶対値と所定値とを比較するステップと、
    この比較結果に応じて前記低域遮断周波数を変化させる
    ステップとを有することを特徴とする請求項8または9
    記載の低域遮断周波数制御方法。
  11. 【請求項11】 前記制御ステップは、前記変化量が所
    定値より小なる場合には所定の低域遮断周波数となり、
    逆に、前記変化量が所定値以上の場合には前記所定の低
    域遮断周波数より高い低域遮断周波数となるよう制御す
    ることを特徴とする請求項8〜10いずれか記載の低域
    遮断周波数制御方法。
  12. 【請求項12】 前記制御ステップは、前記低域遮断周
    波数を、前記高い低域遮断周波数から前記所定の低域遮
    断周波数へ変化させる場合には、所定遅延時間だけ制御
    タイミングがずれるようにしたことを特徴とする請求項
    11記載の低域遮断周波数制御方法。
  13. 【請求項13】 前記利得制御信号はディジタル信号で
    あり、前記制御ステップは、前記ディジタル信号を所定
    間隔でサンプリングするステップと、このサンプリング
    間隔での前記ディジタル信号の変化量の絶対値を所定値
    と比較するステップと、この比較結果に応じて前記低域
    遮断周波数を変化させるステップとを有することを特徴
    とする請求項8記載の低域遮断周波数制御方法。
  14. 【請求項14】 前記受信機はダイレクトコンバージョ
    ン型の受信機であることを特徴とする請求項8〜13い
    ずれか記載の低域遮断周波数制御方法。
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