JP2003221888A - 採光性を有する防音シート - Google Patents

採光性を有する防音シート

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JP2003221888A
JP2003221888A JP2002022226A JP2002022226A JP2003221888A JP 2003221888 A JP2003221888 A JP 2003221888A JP 2002022226 A JP2002022226 A JP 2002022226A JP 2002022226 A JP2002022226 A JP 2002022226A JP 2003221888 A JP2003221888 A JP 2003221888A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の防音シートと同等の防音性、取扱性、
耐もみ性、引張強さを有し、しかも実用上十分な採光性
及び透視性を有する防音シートの提供。 【解決手段】 繊維糸条間に空隙が形成するように編織
された粗目編織物からなる基布の前記糸条の露出全周面
が可撓性高分子材料と、好ましくは高比重無機系充填剤
とを含む高比重樹脂層により被覆され、かつ10〜40
%の空隙率を有するメッシュシート基材の表面に、可撓
性高分子材料(好ましくは難燃剤を含む)を含む透明性
樹脂層を形成し、得られた防音シートの面密度を0.8
〜3.5kg/m2 とし、光線透過率を10%以上にす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は防音シートに関する
ものであり、更に詳しく述べるならば、本発明は防音性
に優れ、かつ実用上十分な採光性を有し、工事現場の周
囲に張設される工事用シートとして有用な防音シートに
関するものである。
【0002】
【従来の技術】建築工事現場等にあっては、騒音公害や
粉塵公害を周囲の環境に及ぼす影響を最小限にするため
に、建物等の全部又は一部を囲う防音シートが広く使用
されている。この防音シートは、従来は、ポリエステ
ル、ビニロン、又はナイロンなどのフィラメントを用い
た織編布に、高い比重を有する塩化ビニル系樹脂フィル
ムを貼着して得られるシートに高い面密度を付与し、そ
れによって質量則に従う遮音性能を向上させた防音シー
トが用いられていた。これら従来防音シートにおいて
は、塩化ビニル系樹脂フィルムの比重を高めるために、
塩化ビニル系樹脂フィルムに無機充填剤を高い充填率で
充填する必要があり、このため塩化ビニル系樹脂フィル
ムの光隠蔽性が高くなり、得られる防音シートも光隠蔽
性が高いものであった。従って、建築現場等の実際の作
業現場で従来の防音シートを使用した場合、その防音シ
ートで包囲された空間は、日中でも暗く、このため作業
性が悪く、また防音シートの外側からその内側の作業現
場の作業状況を透視できない等の問題があった。
【0003】そこで、採光性がある防音シートが望まれ
てはいるが、従来の防音シートにおいて貼着する樹脂フ
ィルムを透明にするためには、高比重無機充填剤の添加
量を低くしなければならず、そうすると、得られる防音
シートの面密度が低くなり防音性が不十分となる。ま
た、樹脂フィルムを透明にして、しかも得られる防音シ
ートの高い面密度を維持しようとすると、防音シートの
厚さを厚くしなければならず、そうすると、得られる防
音シートの取扱い性が悪く実用しにくいという問題点が
あった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の防音
シートとほゞ同様の防音性、取扱い性、耐もみ性及び引
張強さを有し、さらに実用上十分な採光性及び透視性を
有し、必要により実用上十分な難燃性を付与することの
できる防音シートを提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の採光性を有する
防音シートは(1)繊維糸条から構成され、かつ前記繊
維糸条間に空隙が形成されている粗目編織物からなる基
布と、この基布の前記繊維糸条の露出表面の全面上に形
成され、かつ可撓性高分子材料を含む高比重樹脂層とを
含み、かつ10〜40%の空隙率を有するメッシュシー
ト基材、並びに(2)前記メッシュシート基材の少なく
とも1面上に形成され、かつ可撓性高分子材料を含む透
明性樹脂層を有し、0.8〜3.5kg/m2 の面密度
と、10%以上の光線透過率を有する、ことを特徴とす
るものである。本発明の採光性を有する防音シートにお
いて、前記メッシュシート基材の前記高比重樹脂層が
1.5〜4.0の比重を有することが好ましい。本発明
の採光性を有する防音シートにおいて、前記透明性樹脂
層が25〜95%の光線透過率を有することが好まし
い。本発明の採光性を有する防音シートにおいて、前記
高比重樹脂層が2.0以上の比重を有する無機系充填剤
をさらに含むことが好ましい。本発明の採光性を有する
防音シートにおいて、前記高比重樹脂層用無機充填剤が
酸化鉛、三酸化アンチモン、チタン酸バリウム、酸化ジ
ルコン、酸化亜鉛、酸化鉄、炭酸バリウム、硫酸バリウ
ム、酸化チタン、アルミナ、チタン酸カリ、酸化マグネ
シウム、マイカ、タルク、炭酸カルシウム、ガラス、ア
スベスト、水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウム
の粉末、繊維、フレーク及びビーズから選ばれた少なく
とも1種を含むことが好ましい。本発明の採光性を有す
る防音シートにおいて、前記高比重樹脂層において、前
記無機充填剤が、前記可撓性高分子材料100質量部に
対し、50〜400質量部の割合で含まれていてもよ
い。本発明の採光性を有する防音シートにおいて、前記
高比重樹脂層用可撓性高分子材料及び前記透明性樹脂層
用可撓性高分子材料が、それぞれ互に独立に、塩化ビニ
ル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹
脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン
−酢酸ビニル系共重合体樹脂、ポリウレタン系樹脂、ア
クリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ふっ素系樹脂、及び
塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂、クロルスルホ
ン化ポリエチレンゴム、ポリニトリルゴム、SBR、ポ
リイソブチレンゴム、ブチルゴム、ポリブタジエンゴ
ム、EPT、アクリルゴム、ポリウレタンゴム、及びふ
っ素ゴム、シリコーンゴムから選ばれた少なくとも1種
を含むことが好ましい。本発明の採光性を有する防音シ
ートにおいて前記透明性樹脂層が、ハロゲン系難燃剤、
りん系難燃剤及び無機系難燃剤から選ばれた少なくとも
1種をさらに含むことが好ましい。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の採光性を有する防音シー
ト(以下これを単に防音シートと記す)は、繊維糸条か
ら構成され糸条間に空隙が形成されている粗目編織物か
らなる基布と、この基布の構成糸条の露出周面の全面上
に可撓性高分子材料を含む高比重樹脂層が形成されたメ
ッシュシート基材と、前記メッシュシート基材の少なく
とも1面上に形成され、可撓性高分子材料を含む透明性
樹脂層を有するものであって、前記メッシュシート基材
の空隙率を10〜40%にコントロールし、防音シート
の面密度を0.8〜3.5kg/m2 にコントロール
し、かつ光線透過率を10%以上にコントロールするこ
とにより、従来の防音シートと同等な防音性を維持し、
且つ採光性及び透視性の付与が可能となったものであ
る。
【0007】本発明の防音シートの透光性において、J
IS K 7105による光線透過率が10%以上、好
ましくは15%以上、より好ましくは20〜50%であ
る。光線透過率が10%未満の場合は、得られる防音シ
ートに実質的に採光性がなく、防音シートで囲まれた空
間は、作業性が改善される程の明るさを有することがで
きず、透視性も実用上不十分になる。
【0008】本発明の防音シートの基布用粗目編織物を
構成する繊維糸条に用いられる繊維材料は、天然繊維、
例えば木綿、麻など、無機繊維、例えばガラス繊維な
ど、再生繊維、例えばビスコースレーヨン、キュプラな
ど、半合成繊維、例えば、ジ−及びトリ−アセテート繊
維など、及び合成繊維、例えば、ナイロン6、及びナイ
ロン66などのポリアミド繊維、ポリエステル(ポリエ
チレンテレフタレート等)繊維、ポリ乳酸繊維、芳香族
ポリアミド繊維、アクリル繊維、及びポリオレフィン繊
維、その他公知の繊維から選ぶことができる。前記基布
中の繊維糸条は、短繊維紡績糸条、マルチフィラメント
糸条、モノフィラメント糸条、スプリットヤーン、テー
プヤーンなどのいずれであってもよい。合成繊維の場
合、芯層/鞘層構造を有する複層繊維であってもよい。
【0009】前記基布用粗目編織物には、これに難燃性
を付与する目的をもって、例えば、基布用粗目編織物に
予じめ難燃性付与剤及び樹脂バインダーを含むエマルジ
ョン又は溶液などを、噴霧する方法、又はその中に浸漬
する方法により、難燃前処理を施しておいてもよい。難
燃性付与剤には格別な制限はなく、例えば臭素系化合
物、塩素系化合物、有機りん系化合物、赤りん、アンチ
モン化合物、水酸化アルミニウムなどの少なくとも1種
を適宜に使用できる。また、合成繊維の場合、繊維又は
糸条を製造する段階において、繊維原料(ポリマー)に
難燃性付与剤を予め添加してもよい。
【0010】また基布用粗目編織物の組織は織物及び編
物のいずれであってもよい。更に基布の編織組織にも格
別の制限はないが、例えば、少なくとも、それぞれ、糸
間間隙をおいて平行に配置された経糸及び緯糸を含む糸
条により構成された粗目布状の編織物が好適に用いられ
る。このとき、編織物の編織組織は、それから得られる
メッシュシート基材の空隙率が10〜40%になるよう
に設定すればよい。前記基布用粗目編織物の目付は50
〜400g/m2 であることが好ましく、100〜30
0g/m2 であることがより好ましい。
【0011】本発明の防音シートのメッシュシート基材
の高比重樹脂層に用いられる可撓性高分子材料は、一般
の合成樹脂、例えば塩化ビニル系樹脂、ポリエチレン系
樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ
エステル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合体樹
脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン
系樹脂、ふっ素系樹脂、及び塩化ビニル−酢酸ビニル系
共重合体樹脂など、或いは、天然ゴム又は合成ゴム、例
えば、クロルスルホン化ポリエチレンゴム、ポリニトリ
ルゴム、SBR、ポリイソブチレンゴム、ブチルゴム、
ポリブタジエンゴム、EPT、アクリルゴム、ポリウレ
タンゴム、ふっ素ゴム、シリコーンゴムなどから選ばれ
た1種以上を含むものであることが好ましい。これらの
樹脂及びゴムのなかで、樹脂の強力、被膜の柔軟性、及
び汎用性を考慮すると、塩化ビニル系樹脂、エチレン−
酢酸ビニル系共重合体樹脂、又はポリウレタン系樹脂を
用いることが好ましい。
【0012】本発明の防音シートのメッシュシート基材
の高比重樹脂層には、可撓性高分子材料とともに無機系
充填剤を含んでいることが好ましく、この無機系充填剤
は、2.0以上の高い比重を有する充填剤から選ばれる
ことが好ましく、特に3.0以上の高比重を有する無機
系充填剤を用いることがより好ましく、例えば酸化鉛
(PbO比重9.35)、三酸化アンチモン、(Sb2
3 比重5.7)、チタン酸バリウム(BaTiO2
重5.6)、酸化ジルコン(ZrO2 比重5.5)、酸
化亜鉛(ZrO2 比重5.4)、酸化鉄(Fe23
重5.2)、炭酸バリウム(BaCO3 比重4.4)、
硫酸バリウム(BaSO4 比重4.4)、酸化チタン
(TiO2 比重4.0)、アルミナ(Al23 比重
3.8)、チタン酸カリ(K2 O・TiO2 比重3.
3)、酸化マグネシウム(MgO比重3.3)、マイカ
(比重3.0)、タルク(比重2.8)、炭酸カルシウ
ム(CaCO3 比重2.6)、ガラス(比重2.5)、
アスベスト(比重2.5)、水酸化アルミニウム(Al
23 ・3H2 O比重2.4)、及び水酸化マグネシウ
ム(Mg(OH)2 比重2.4)の粉末、繊維、フレー
ク、及びビーズから選ばれた少なくとも1種を含むこと
が好ましい。また、無機系充填剤の含有量は可撓性高分
子材料100質量部に対し50〜400質量部であるこ
とが好ましく、100〜300質量部であることがより
好ましい。その含有量が50質量部未満の場合は、メッ
シュシート基材の面密度が不十分になり、防音シートと
しての防音性が不十分になることがある。また、その含
有量が400質量部を越える場合は、高比重樹脂層の樹
脂強度が不十分になり、また得られる防音シートの透明
被覆層とメッシュシート基材との接着強度が不十分にな
り、このため防音シートとしての耐久性が不十分になる
ことがある。前記メッシュシート基材の高比重樹脂層
は、1.5〜4.0の比重(見掛比重)を有することが
好ましく、より好ましくは1.8〜3.0である。この
比重が1.5未満では、得られる防音シートの防音性が
不十分になることがあり、またそれが4.0をこえると
防音シート自体の質量が重くなり過ぎ取扱いが困難にな
り、また高比重樹脂層の樹脂強度が低くなり、防音シー
トとしての耐久性が不十分になることがある。
【0013】前記メッシュシート基材の空隙率は10〜
40%であり、15〜35%であることが好ましい。こ
ゝで「空隙率」とは下記式により定義される値である 空隙率(%)=(A/A0 )×100 但し、上記式中、A0 は、メッシュシート基材の、多数
の高比重樹脂層被覆糸条を含む供試部分の表面積を表
し、Aは、この供試部分内の、前記高比重樹脂層被覆糸
条の間に形成されている空隙部の合計表面積を表す。空
隙率が10%未満の場合は、防音シートの採光性及び透
視性が不十分となる場合がある。また空隙率が40%を
越える場合は、防音シートの防音性が不十分となる場合
がある。本発明の防音シートのメッシュシート基材の空
隙部は透明性樹脂フィルムにより塞がれており、一般
に、透明性樹脂フィルムの比重は、粗目編織物からなる
基布に形成されている高比重樹脂層の比重より低く、従
って、防音シートの透明性樹脂フィルム被覆空隙部の面
密度は、高比重樹脂層被覆糸条部の面密度より低く、こ
のため、透明性樹脂フィルム被覆空隙部の防音性(遮音
性)は、高比重樹脂層被覆糸条部よりも低いのが通常で
ある。このような防音性に対する空隙部の影響は、メッ
シュシート基材の空隙率が40%を越える場合に顕著に
現れてくる。
【0014】前記メッシュシート基材の面密度(質量)
は防音シートの全体の面密度(質量)の40〜90質量
%を占めることが好ましく、より好ましくは50〜80
質量%である。この面密度(質量)比が40質量%未満
の場合は、この防音シートに所望の面密度(質量)を付
与するためには、メッシュシート基材に貼着する透明被
覆層の厚さ(すなわち透明性樹脂フィルムの厚さ)を厚
くすることが必要となり、そうすると、防音シートの厚
さが過大になり、シートの取扱い性が悪くなる場合があ
る。また、前記面密度(質量)比が90質量%を越える
と、所望面密度を有する防音シートを得るためには、メ
ッシュシート基材に貼着する透明性樹脂フィルムの厚さ
を薄くすることが必要になり、このためメッシュシート
基体の空隙部を透明性樹脂フィルムで塞ぎきれないこと
がある。
【0015】前記メッシュシート基材の前記高比重樹脂
層は、粗目編織物からなる基布の構成糸条の露出周面の
全面上に形成される。このために、可撓性高分子材料の
ペーストゾル又は溶剤溶液又は乳化エマルジョンあるい
はディスパージョンに、必要により無機系充填剤を分散
して加工液を調製する。前記メッシュシート基材の高比
重樹脂層の形成には、従来の被覆方法を用いて行うこと
ができ、例えば、ディップニップ法、ディップコート
法、スプレー吹き付け法、キスコート法、グラビヤコー
ト法などを用いることができる。
【0016】本発明の防音シートにおいて、透明性樹脂
層に用いられる可撓性高分子材料としては、一般の合成
樹脂、例えば塩化ビニル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、
ポリプロピレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステ
ル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合体樹脂、ポリ
ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、
ふっ素系樹脂、及び塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体
樹脂など、或いは、天然ゴム又は合成ゴム、例えば、ク
ロルスルホン化ポリエチレンゴム、ポリニトリルゴム、
SBR、ポリイソブチレンゴム、ブチルゴム、ポリブタ
ジエンゴム、EPT、アクリルゴム、ポリウレタンゴ
ム、ふっ素ゴム、シリコーンゴムなどから選ばれる。こ
れらの樹脂及びゴムのなかで、樹脂の強力、被膜の柔軟
性、及び汎用性を考慮すると、塩化ビニル系樹脂、エチ
レン−酢酸ビニル系共重合体樹脂、又はポリウレタン系
樹脂を用いることが好ましい。
【0017】本発明の防音シートの高比重樹脂層及び透
明性樹脂層の可撓性高分子材料に用いられるポリ塩化ビ
ニル系樹脂は、塩化ビニル単独重合体、及び塩化ビニル
と他のモノマーとの共重合体から選ばれた1種以上から
なるものである。塩化ビニルと共重合可能なモノマーと
して、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、エチレン、アクリ
ロニトリル、(メタ)アクリル酸エステル類などを用い
ることができる。ポリ塩化ビニル系樹脂は、これらの塩
化ビニル系樹脂に、可塑剤、安定剤、フィラー、着色
剤、難燃剤、紫外線吸収剤、光安定剤、防黴剤、帯電防
止剤、架橋剤などの添加剤の1種以上を混合したもので
あってもよい。
【0018】ポリ塩化ビニル系樹脂に使用できる可塑剤
としては、フタル酸エステル系可塑剤、アジピン酸エス
テル系可塑剤、フマル酸エステル系可塑剤、マレイン酸
エステル系可塑剤、アゼライン酸エステル系可塑剤、セ
バシン酸エステル系可塑剤、クエン酸エステル系可塑
剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸
エステル系可塑剤、りん酸エステル系可塑剤、エポキシ
系可塑剤などを用いることができる。とくに、フタル酸
エステル系可塑剤やアジピン酸エステル系可塑剤などの
汎用可塑剤はコスト面で有利であり、好適に用いること
ができる。フタル酸エステル系可塑剤としては、フタル
酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−2−エ
チルヘキシル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジ
ノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシ
ル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ブチルベンジルな
どを使用することができる。アジピン酸エステル系可塑
剤としては、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジ
ピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシルなどを使
用することができる。
【0019】また、上記可塑剤のほか、エチレン−酢酸
ビニル−一酸化炭素三元共重合体、エチレン−アクリル
酸エステル−一酸化炭素三元共重合体及びメタクリル酸
エステル−一酸化炭素三元共重合体、エステル系ウレタ
ン重合体、及びポリエステル系可塑剤などの高分子可塑
剤を用いてもよい。また、ポリ塩化ビニル系樹脂層の透
明性を維持しつゝ、これに難燃性を付与するには、りん
酸エステル系可塑剤として、クレジルジフェニルフォス
フェート、及びトリクレジルフォスフェート、並びに含
塩素系可塑剤として、塩素化パラフィンなどの使用が効
果的である。上記の可塑剤は、単独に、あるいは2種以
上を混合して用いてもよい。
【0020】本発明の防音シートの高比重樹脂層及び透
明性樹脂層の可撓性高分子材料に用いられるエチレン−
酢酸ビニル系共重合体樹脂としては、高圧法のラジカル
共重合方式で製造され、かつ酢酸ビニル成分含有率が比
較的低い共重合体樹脂、及び低圧溶液重合法で製造さ
れ、かつ酢酸ビニル成分含有率の比較的高い共重合体樹
脂のいずれを用いてもよい。エチレン−酢酸ビニル系共
重合体樹脂中に占める酢酸ビニル成分含有率は、50〜
95質量%であることが好ましく、更に好ましくは70
〜90質量%である。酢酸ビニル成分含有率が50質量
%未満では、得られる樹脂の柔軟性が不十分になること
があり、酢酸ビニル成分含有率が95質量%を超える
と、得られる樹脂の耐熱強度が低下し、また樹脂表面に
粘着性が生じ加工性に影響する場合がある。
【0021】本発明の防音シートの高比重樹脂層及び透
明性樹脂層に用いられるポリウレタン系樹脂としては、
ポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得られ
た樹脂を用いることができる。このようなウレタン系樹
脂の製造に用いられるポリオールは、分子鎖の両末端に
ヒドロキシル基を有するポリエステル系ポリオール、ポ
リエーテル系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオー
ル、ポリエステルアミド系ポリオール、あるいはアクリ
レート系ポリオールなどから選ぶことができる。親水性
を付与する目的で、ジエチレングリコール、トリエチレ
ングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール
成分を共重合してもよい。また、カチオン基を導入した
ウレタン系樹脂であってもよい。カチオン基を導入する
方法としては、ポリオールとポリイソシアネートから得
られるウレタンポリマーをN−メチルジエタノールアミ
ン等の3級アミノ基をもった鎖延長剤で高分子化し、ポ
リマーの主鎖に導入された3級アミノ基を有機または無
機酸で中和する方法、ジエチレントリアミンなどのポリ
アルキレンポリアミンで鎖延長し、エピクロルヒドリン
を反応させた後に残存するアミノ基を酸で中和する方法
などを例示できる。3級アミノ基をもつウレタン系樹脂
は、ヨウ化メチルやジメチル硫酸など4級化剤で4級化
されていてもよい。また、ポリイソシアネートとして
は、2,4−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメ
タンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシア
ネート、テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘ
キサメチレンジイソシアネート、及びイソホロンジイソ
シアネートなどの芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポ
リイソシアネート及び脂環式ポリイソシアネートを用い
ることができる。とくにポリイソシアネート成分として
脂肪族ポリイソシアネート及び/又は脂環式ポリイソシ
アネートを用いたウレタン樹脂は、紫外線曝露によって
黄変することがなく耐候性が良好なため好適である。
【0022】また、防音シートは通常難燃性が必要とさ
れることが多い。前記透明性樹脂層に難燃性を付与する
場合には、透明性樹脂層の透明性を低下させない範囲
で、前記可撓性高分子材料をマトリックスとし、難燃剤
としてハロゲン系難燃剤(臭素系難燃剤、塩素系難燃
剤)、りん系難燃剤、及び無機系難燃剤などを適量添加
し難燃性を高めればよい。これらの難燃剤のなかで、透
明性樹脂フィルムの透明性を低下させないことを考慮す
ると、ハロゲン系難燃剤(臭素系難燃剤、塩素系難燃
剤)及びりん系難燃剤を用いることが好ましい。
【0023】臭素系難燃剤としては、テトラブロモビス
フェノールA、デカブロモジフェニルオキサイド、ヘキ
サブロモシクロドデカン、トリブロモフェノールなどが
用いられる。塩素系難燃剤としては、塩素化パラフィ
ン、パークロロシクロペンタデカンなどが用いられる。
またりん系難燃剤としては、トリフェニルフォスフェー
ト、トリアリルフォスフェート、クレジルジフェニルフ
ォスフェート、トリクレジルフォスフェート、ポリりん
酸アンモン、などが用いられる。無機系難燃剤として
は、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ほう酸
亜鉛、モリブデン化合物、アンチモン化合物などが透明
性樹脂層の透明性を低下させない範囲で用いられ、これ
らをハロゲン系難燃剤、及びりん系難燃剤と併用しても
よい。
【0024】本発明の防音シートにおいて、透明性樹脂
層は、前記メッシュシート基材の少なくとも1面上に、
メッシュシート基材の空隙部を塞ぐように形成される。
透明性樹脂層の厚さは、前記メッシュシート基材の面密
度(質量)、及び防音シートの目標面密度(質量)に応
じて設定することができるが、得られる防音シートの防
水性及び空隙部のフィルム強度を考慮すれば、透明性樹
脂層の厚さは、0.01〜2.0mmに調整することが好
ましく、0.05〜1.0mmに調整することがより好ま
しい。また、透明性樹脂層は、前記メッシュシート基材
上に、同一組成からなる1層以上に形成されてもよく、
あるいは、異なる組成からなる2層以上に形成されてい
てもよく、基布の表裏に異なる組成の透明性樹脂層が形
成されていてもよい。
【0025】本発明の防音シートにおいて、透明性樹脂
層は、前記可撓性高分子材料を含むフィルム、溶液、エ
マルジョン、ペーストゾルなどを用い、例えば、トッピ
ング、カレンダリング、コーティング、ディッピングな
どの方法によって、メッシュシート基体上に形成するこ
とができる。
【0026】本発明の防音シートの面密度(質量)は
0.8〜3.5kg/m2 であり、1.0〜3.0kg/m
2 であることが好ましい。面密度(質量)が0.8kg/
2 未満の場合は、防音性が不十分となる。また面密度
(質量)は3.5kg/m2 を越える場合は、得られる防
音シートの防音性は優れているが、その重量が重くなり
取扱い性が悪くなる。また、3.5kg/m2 を越える面
密度を得るためには、メッシュシート基材の自体の面密
度を上げる必要があり、このためにはメッシュシート基
材の高比重樹脂層の形成に使用される樹脂をさらに高比
重のものにする必要があり、このために高比重樹脂層に
含まれる無機系充填剤の含有量も必然的に多くなり、つ
まり、可撓性高分子材料100質量部に対する無機系充
填剤の含有量が400質量部を越えるようになる。そう
すると、高比重樹脂層の樹脂強度が低くなり、防音シー
トの透明性樹脂層とメッシュシート基材の接着力が低く
なり、得られた防音シートに屈曲力が付与された場合に
透明性樹脂層がメッシュシート基材から剥離するなどの
耐久性低下を生ずる場合がある。
【0027】
【実施例】本発明を下記実施例によりさらに説明する。
【0028】試験方法の説明 本発明の実施例及び比較例に用いた試験方法は下記の通
りである。 (1)面密度(質量) 供試試料の面密度(質量)の測定において、日本工業規
格JIS L 1096に従って供試試料の「単位面積
(m2 )当たりの質量(kg)」を測定し、それによって
面密度を表した。 (2)厚さ 供試試料の厚さを日本工業規格JIS L 1096に
従って測定した。 (3)取扱い性 供試試料の取扱い性を前項の面密度(質量)及び厚さよ
り判定した。 取扱い性が良い:面密度(質量)が3.5kg/m2 以下
で厚さが2.0mm以下の場合 取扱い性が悪い:面密度(質量)が3.5kg/m2 を越
える場合、又は厚さが2.0mmを越える場合 (4)光線透過率 供試試料の光線透過率を日本工業規格JIS K 71
05に従って測定した。
【0029】(5)防音性(音響透過損失) 供試試料の音響透過損失を日本工業規格JIS A 1
416に従って、中心周波数125,500,100
0,4000Hzの音響透過損失を測定し、下記の既存の
防音シート(面密度1.0kg/m2 )の音響透過損失を
基準にして、供試試料の防音性を、前記基準に対して
「劣る」・「同等」・「優れる」と判定した。 既存の防音シート(面密度1.0kg/m2 )の音響透過損失 中心周波数 音響透過損失 125Hz 6dB 500Hz 13dB 1000Hz 16dB 4000Hz 26dB
【0030】(6)引張強さ 供試試料からたて方向及びよこ方向について糸目に沿っ
て長さ30cm、巾3cmの引張試験用試料を切り出し、J
IS L 1096ストリップ法に従い引張強さを測定
した。 (7)耐もみ性 供試試料について日本工業規格JIS K 6328に
従って「もみ試験(スコット型法)」を行い、異常の有
無を確認し、耐もみ性を評価した。 もみ条件:1kgf ×1000回 (8)防炎性 供試試料の防炎性を日本工業規格JIS A 8952
試験し評価した。
【0031】実施例1 (1)メッシュシート基材の作製 基布用粗目織物として、下記組織のポリエステルフィラ
メント粗目状織物を用いた。 この粗目状織物を、高比重樹脂としてポリ塩化ビニル系
樹脂を含む下記組成1の高比重ポリ塩化ビニル系樹脂組
成物のペーストゾルに浸漬し、マングルで絞った後14
0℃で乾燥し、更に180℃で熱処理して、400g/
2 の高比重樹脂層を形成し、基布の糸条間に空隙が残
っている合計質量600g/m2 のメッシュシート基材
を作製した。得られたメッシュシート基材の空隙率は3
0%であり、高比重樹脂層の比重は2.0であった。 <組成1>高比重ポリ塩化ビニル系樹脂組成 ペースト塩化ビニル樹脂 100質量部 フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(可塑剤) 60質量部 三酸化アンチモン(防炎剤) 10質量部 Ba−Zn系安定剤 2質量部 硫酸バリウム(比重4.4) 150質量部 トルエン(溶剤) 50質量部
【0032】(2)透明性樹脂層の形成 透明性樹脂としてポリ塩化ビニル系樹脂を含む下記組成
2の透明性ポリ塩化ビニル系樹脂組成物からなるフィル
ム(0.15mm厚)をカレンダーを用いて作製し、これ
を前記メッシュシート基材の両面に貼着して、片面当た
り200g/m 2 の透明性ポリ塩化ビニル系樹脂層を形
成し、合計質量1000g/m2 (面密度1.0kg/m
2 )の防音シートを作製した。前記透明性樹脂フィルム
の光線透過率は90%であった。 <組成2>透明性ポリ塩化ビニル系樹脂組成 ストレート塩化ビニル樹脂 100質量部 フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(可塑剤) 25質量部 トリクレジルフォスフェート(りん系防炎可塑剤) 25質量部 Ba−Zn系安定剤 4質量部 この防音シートを前記試験に供した。試験結果を表1に
示す。
【0033】実施例2 実施例1と同様にして防音シートを作製した。但し、実
施例1のメッシュシート基材の作製及び透明性樹脂層の
形成を下記のように変更した。 (1)メッシュシート基材の作製 基布用粗目織物として、下記組織のポリエステルフィラ
メント粗目状織物を用いた。 この粗目状織物を、高比重樹脂としてポリ塩化ビニル系
樹脂を含む下記組成3の高比重ポリ塩化ビニル系樹脂組
成物のペーストゾルに浸漬し、マングルで絞った後14
0℃で乾燥し、更に180℃で熱処理して、770g/
2 の高比重樹脂層を形成し、基布の糸条間に空隙が残
っている合計重量1000g/m2 のメッシュシート基
材を作製した。得られたメッシュシート基材の空隙率は
28%であった。また高比重樹脂層の比重は2.3であ
った。 <組成3>高比重ポリ塩化ビニル系樹脂組成 ペースト塩化ビニル樹脂 100質量部 フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(可塑剤) 60質量部 Ba−Zn系安定剤 2質量部 三酸化アンチモン(比重5.7) 200質量部 トルエン(溶剤) 60質量部 (2)透明性樹脂層の形成 透明性樹脂としてポリ塩化ビニル系樹脂を含む前記組成
2の透明性ポリ塩化ビニル系樹脂組成物からなるフィル
ム(0.38mm厚)をカレンダーで作製し、これを前記
メッシュシート基材の両面に貼着して、片面当たり50
0g/m2 の透明性ポリ塩化ビニル系樹脂層を形成し、
合計質量2000g/m2 (面密度2.0kg/m2 )の
防音シートを作製した。前記透明性樹脂フィルムの光線
透過率は86%であった。
【0034】実施例3 実施例1と同様にして防音シートを作製した。但し、実
施例1のメッシュシート基材の作製及び透明性樹脂層の
形成を下記のように変更した。(1)メッシュシート基
材の作製基布用粗目織物として、下記組織のポリエステ
ルフィラメント粗目状織物を用いた。 この粗目状織物を、高比重樹脂としてポリ塩化ビニル系
樹脂を含む下記組成4の高比重ポリ塩化ビニル系樹脂組
成物のペーストゾルに浸漬し、マングルで絞った後14
0℃で乾燥し、更に180℃で熱処理して、950g/
2 の高比重樹脂層を形成し、基布の糸条間に空隙が残
っている合計質量1200g/m2 のメッシュシート基
材を作製した。得られたメッシュシート基材の空隙率は
12%であった。また高比重樹脂層の比重は2.7であ
った。 <組成4>高比重ポリ塩化ビニル系樹脂組成 ペースト塩化ビニル樹脂 100質量部 フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(可塑剤) 60質量部 Ba−Zn系安定剤 2質量部 酸化鉛(PbO比重9.35) 250質量部 トルエン(溶剤) 100質量部 (2)透明性樹脂層の形成 透明性樹脂としてポリ塩化ビニル系樹脂を含む前記組成
2の透明性ポリ塩化ビニル系樹脂組成物からなるフィル
ム(0.62mm厚)をカレンダーで作製し、これを前記
メッシュシート基材の両面に貼着して、片面当たり80
0g/m2 の透明性ポリ塩化ビニル系樹脂層を形成し、
合計質量2800g/m2 (面密度2.8kg/m2 )の
防音シートを作製した。前記透明性樹脂フィルムの光線
透過率は80%であった。
【0035】実施例4 実施例1と同様にして防音シートを作製した。但し、実
施例1の高比重樹脂組成物及び透明性樹脂組成物を下記
のように変更した。高比重樹脂としてエチレン−酢酸ビ
ニル系共重合体樹脂を含む下記組成5の高比重エチレン
−酢酸ビニル系共重合体樹脂のエマルジョンに浸漬し、
マングルで絞った後140℃で乾燥し、更に180℃で
熱処理して、400g/m2 の高比重樹脂層を形成し、
基布の糸条間に空隙が残っている合計質量600g/m
2 のメッシュシート基材を作製した。得られたメッシュ
シート基材の空隙率は30%であった。また高比重樹脂
層の比重は1.8であった。 <組成5>高比重エチレン−酢酸ビニル系共重合体樹脂組成 エチレン−酢酸ビニル系共重合体樹脂水性エマルジョン (スミカフレックス(登録商標)752、エチレン− 酢酸ビニル共重合体樹脂、酢酸ビニル成分量:90 質量%、固形分50質量%、住友化学工業(株)製) 100質量部 硫酸バリウム(比重4.4) 70質量部 増粘剤(アデカボンタイター(登録商標)HUX−TA) (旭電化(株)製) 0.5質量部 透明性樹脂としてエチレン−酢酸ビニル系共重合体樹脂
を含む下記組成6の透明性エチレン−酢酸ビニル系共重
合体樹脂組成物からなるフィルム(0.15mm厚)をカ
レンダーで作製し、これを前記メッシュシート基材の両
面に貼着して、片面当たり200g/m2 の透明性エチ
レン−酢酸ビニル系共重合体樹脂層を形成し、合計質量
1000g/m2 (面密度1.0kg/m2 )の防音シー
トを作製した。前記透明性樹脂フィルムの光線透過率は
85%であった。 <組成6>透明性エチレン−酢酸ビニル系共重合体樹脂組成 エチレン−酢酸ビニル系共重合体樹脂 (エバテート(登録商標)CV2166、酢酸ビニル 成分量:18質量%、住友化学工業(株)製) 100質量部 トリクレジルフォスフェート(りん系難燃剤) 25質量部 りん酸エステル系滑剤 1質量部 ヒンダートアミン系光安定剤 0.2質量部 この防音シートを前記試験に供した。試験結果を表1に
示す。
【0036】実施例5 実施例1と同様にして防音シートを作製した。但し、実
施例1の高比重樹脂組成物及び透明性樹脂組成物を下記
のように変更した。高比重樹脂としてポリウレタン系樹
脂を含む下記組成7の高比重ポリウレタン系樹脂のエマ
ルジョンに浸漬し、マングルで絞った後140℃で乾燥
し、更に180℃で熱処理して、400g/m2 の高比
重樹脂層を形成し、基布の糸条間に空隙が残っている合
計質量600g/m2 のメッシュシート基材を作製し
た。得られたメッシュシート基材の空隙率は30%であ
った。また高比重樹脂層の比重は2.1であった。 <組成7>高比重ポリウレタン系樹脂組成 ポリウレタン系樹脂水性エマルジョン (ポリウレタン系樹脂 アデカボンタイター(登録商 標)HUX−561、固形分:40重量% 旭電化 (株)製) 100重量部 硫酸バリウム(比重4.4) 60質量部 増粘剤(アデカボンタイター(登録商標)HUX−TA) (旭電化(株)製) 0.5質量部 透明性樹脂としてポリウレタン系樹脂を含む下記組成8
の透明性ポリウレタン系樹脂組成物からなるフィルム
(0.15mm厚)をカレンダーで作製し、これを前記メ
ッシュシート基材の両面に貼着して、片面当たり200
g/m2 の透明性ポリウレタン系樹脂層を形成し、合計
質量1000g/m2 (面密度1.0kg/m2 )の防音
シートを作製した。透明性樹脂層の光線透過率は83%
であった。 <組成8>透明性ポリウレタン系樹脂組成 ポリウレタン系樹脂 (エステン(登録商標)54640、硬度85A、協 和発酵工業(株)製) 100質量部 トリクレジルフォスフェート(りん系難燃剤) 25質量部 モンタン酸エステル系滑剤 1質量部 ヒンダートアミン系光安定剤 0.2質量部 この防音シートを前記試験に供した。試験結果を表1に
示す。
【0037】
【表1】 表1から明らかなように実施例1〜5で得られた本発明
の防音シートは、既存の同面密度の防音シートと同等の
防音性、取扱い性、引張強さ、耐もみ性、難燃性を示
し、更に10%以上の光線透過率を示し、有用な採光性
を有する防音シートであった。
【0038】比較例1 既存の防音シートを作製した。基布用織物として、下記
組織のポリエステルフィラメント織物(空隙率5%)を
用いた。 ポリ塩化ビニル系樹脂を含む下記組成9の高比重ポリ塩
化ビニル系樹脂組成物(比重1.5)からなるフィルム
(0.27mm厚)をカレンダーで作製し、これを前記基
布の両面に直接貼着して、片面当たり400g/m2
ポリ塩化ビニル系樹脂層を形成し、合計質量1000g
/m2 (面密度1.0kg/m2 )の防音シートを作製し
た。前記フィルムの光線透過率は0.1%であった。 <組成9>ポリ塩化ビニル系樹脂組成 ストレート塩化ビニル樹脂 100質量部 フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(可塑剤) 40質量部 トリクレジルフォスフェート(りん系防炎可塑剤) 15質量部 三酸化アンチモン(比重5.7) 10質量部 硫酸バリウム(比重4.4) 20質量部 Ba−Zn系安定剤 4質量部 顔料 5質量部 この防音シートを前記試験に供した。試験結果を表2に
示す。得られたシートは、既存の防音シートと同タイプ
であり、実施例1で得られた防音シートに比べ、防音性
は同レベルであったが、光線透過率は殆どゼロであっ
た。
【0039】比較例2 実施例1と同様にして防音シートを作製した。但し、実
施例1の透明性樹脂層の形成工程省き、防音シートを作
製した。この防音シートを前記試験に供した。試験結果
を表2に示す。得られたシートは、メッシュシートであ
り光線透過率は高いが、防音性は実施例1で得られた防
音シートに比べ劣り、また透明性樹脂層がないため、耐
もみ性が悪く、実用に適さないものであった。
【0040】比較例3 実施例2と同様にして防音シートを作製した。但し、実
施例2の透明性樹脂層の形成工程省き、防音シートを作
製した。この防音シートを前記試験に供した。試験結果
を表2に示す。得られた防音シートは、透明性樹脂層を
有していないメッシュシートであり、光線透過率は高い
が、防音性は実施例2で得られた防音シートに比べ劣
り、また面密度が同じである実施例1で得られた防音シ
ートに比べても防音性は劣っており、また透明性樹脂層
がないため耐もみ性が悪く、実用に適さないものであっ
た。
【0041】比較例4 実施例1と同様にして防音シートを作製した。但し、実
施例1の基布用粗目織物を下記組織のポリエステルフィ
ラメント織物に変更した。 得られたメッシュシート基材の空隙率は5%であった。
この防音シートを前記試験に供した。試験結果を表3に
示す。得られたシートは、実施例1で得られた防音シー
トに比べ、防音性は同レベルであったが、光線透過率は
低く、採光性は不十分であった。
【0042】比較例5 実施例1と同様にして防音シートを作製した。但し、実
施例1の基布用粗目織物を下記組織のポリエステルフィ
ラメント織物に変更した。 得られたメッシュシート基材の空隙率は55%であっ
た。この防音シートを前記試験に供した。試験結果を表
3に示す。得られた防音シートは、実施例1で得られた
防音シートと同様に光線透過率は優れていたが、防音性
は劣り、実用に適さないものであった。
【0043】比較例6 実施例1と同様にして防音シートを作製した。但し、実
施例1の基布用粗目織物を下記組織のポリエステルフィ
ラメント織物に変更した。 得られたメッシュシート基材の空隙率は65%であっ
た。この防音シートを前記試験に供した。試験結果を表
3に示す。得られた防音シートは、実施例1で得られた
防音シートと同様に光線透過率は優れていたが、防音性
は劣り、引張強さも低く、実用に適さないものであっ
た。
【0044】比較例7 実施例1と同様にして防音シートを作製した。但し、実
施例1の高比重樹脂層及び透明性樹脂層の付着量を少な
くし、防音シートの面密度(質量)を0.6kg/m2
減じた。得られたメッシュシート基材の空隙率は31%
であった。この防音シートを前記試験に供した。試験結
果を表3に示す。得られた防音シートは、実施例1で得
られた防音シートと同様に光線透過率は優れていたが、
防音性は劣り、実用に適さないものであった。
【0045】比較例8 実施例3と同様にして防音シートを作製した。但し、実
施例3の高比重樹脂層及び透明性樹脂層の付着量を増加
させ、防音シートの面密度(質量)を4.0kg/m2
増やした。得られたメッシュシート基材の空隙率は12
%であった。この防音シートを前記試験に供した。試験
結果を表3に示す。得られた防音シートは、実施例3で
得られた防音シートと同等な光線透過率を示し、面密度
(質量)が高く防音性は優れていたが、質量が重すぎ、
厚さも厚すぎるため取扱い性が悪く、またもみ試験にお
いて高比重樹脂層の強度不足による透明性樹脂層の剥離
があり、耐もみ性が悪く、実用に適さないものであっ
た。
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
【発明の効果】本発明の採光性を有する防音シートは、
従来の防音シートと同等な防音性、引張強さ、取扱い
性、耐もみ性、難燃性を示し、更に実用上十分な透光性
があり、このため建築現場等の実際の作業現場で使用し
た際には、その防音空間には十分な採光性があり、明る
く作業性がよく、また防音空間の外側から内側の作業状
況を透視確認できるという利点を有するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 柳沢 崇 埼玉県草加市神明2丁目7−17 (72)発明者 川尻 雄志 大阪市鶴見区鶴見3丁目4番17号 メディ シオン鶴見403号 Fターム(参考) 2E001 DF01 GA24 GA27 GA42 HD11 HD13 JD02 JD04 JD08

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)繊維糸条から構成され、かつ前記
    繊維糸条間に空隙が形成されている粗目編織物からなる
    基布と、この基布の前記繊維糸条の露出表面の全面上に
    形成され、かつ可撓性高分子材料を含む高比重樹脂層と
    を含み、かつ10〜40%の空隙率を有するメッシュシ
    ート基材、並びに(2)前記メッシュシート基材の少な
    くとも1面上に形成され、かつ可撓性高分子材料を含む
    透明性樹脂層を有し、 0.8〜3.5kg/m2 の面密度と、10%以上の光線
    透過率を有する、ことを特徴とする採光性を有する防音
    シート。
  2. 【請求項2】 前記メッシュシート基材の前記高比重樹
    脂層が1.5〜4.0の比重を有する、請求項1に記載
    の採光性を有する防音シート。
  3. 【請求項3】 前記透明性樹脂層が25〜95%の光線
    透過率を有する請求項1又は2に記載の採光性を有する
    防音シート。
  4. 【請求項4】 前記高比重樹脂層が2.0以上の比重を
    有する無機系充填剤をさらに含む、請求項1〜3のいず
    れか1項に記載の採光性を有する防音シート。
  5. 【請求項5】 前記高比重樹脂層用無機充填剤が酸化
    鉛、三酸化アンチモン、チタン酸バリウム、酸化ジルコ
    ン、酸化亜鉛、酸化鉄、炭酸バリウム、硫酸バリウム、
    酸化チタン、アルミナ、チタン酸カリ、酸化マグネシウ
    ム、マイカ、タルク、炭酸カルシウム、ガラス、アスベ
    スト、水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウムの粉
    末、繊維、フレーク及びビーズから選ばれた少なくとも
    1種を含む請求項4に記載の採光性を有する防音シー
    ト。
  6. 【請求項6】 前記高比重樹脂層において、前記無機充
    填剤が、前記可撓性高分子材料100質量部に対し、5
    0〜400質量部の割合で含まれている、請求項4又は
    5に記載の採光性を有する防音シート。
  7. 【請求項7】 前記高比重樹脂層用可撓性高分子材料及
    び前記透明性樹脂層用可撓性高分子材料が、それぞれ互
    に独立に、塩化ビニル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポ
    リプロピレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル
    系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合体樹脂、ポリウ
    レタン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ふ
    っ素系樹脂、及び塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹
    脂、クロルスルホン化ポリエチレンゴム、ポリニトリル
    ゴム、SBR、ポリイソブチレンゴム、ブチルゴム、ポ
    リブタジエンゴム、EPT、アクリルゴム、ポリウレタ
    ンゴム、及びふっ素ゴム、シリコーンゴムから選ばれた
    少なくとも1種を含む請求項1〜6のいずれか1項に記
    載の採光性を有する防音シート。
  8. 【請求項8】 前記透明性樹脂層が、ハロゲン系難燃
    剤、りん系難燃剤及び無機系難燃剤から選ばれた少なく
    とも1種をさらに含む請求項1〜7のいずれか1項に記
    載の採光性を有する防音シート。
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