JP2003221783A - 吸水性複合体の製造方法および吸水性複合体 - Google Patents

吸水性複合体の製造方法および吸水性複合体

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Abstract

(57)【要約】 【課題】基材の柔軟性を損わずに、吸収性能のよい吸水
性複合体を好適に製造できる吸水性複合体の製造方法、
および吸水性複合体を提供する。 【解決手段】アクリル酸および/またはアクリル酸塩を
主体とする水溶性単量体と、光重合開始剤と、を含む水
溶液に、紫外線を照射することにより、前記水溶性単量
体の一部を重合させてプレポリマーを形成させる。その
後、プレポリマーに架橋剤と光重合開始剤とを添加し、
繊維質基材上に塗工する。さらに当該プレポリマーが塗
工された基材に紫外線を照射して、プレポリマーを重合
・架橋させて硬化させ、吸収性樹脂が基材状に固着され
た吸水性複合体を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、吸水性複合体に関
し、より詳細には、例えば生理用品や紙おむつ、保鮮シ
ート等といった体液や水分の吸収材として利用される吸
水性複合体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】水分吸収性の素材として、自重の数十倍
から数百倍の水を吸収する吸収性樹脂(または高吸収性
樹脂、SAP:Super Absorbent Polymer)が開発されて
おり、生理用品や紙おむつ(使い捨て紙おむつ)等の衛
生材料をはじめとして、農園芸用分野、鮮度保持等の食
品分野、結露防止剤等の産業分野において幅広く利用さ
れている。このような水分吸収性素材は、シート状の基
材に吸収性樹脂を固着して製造した吸水性複合体として
多く利用されている。
【0003】このような吸水性複合体は、紙、パルプ、
多孔性フィルムあるいは不織布等の基材シート上に、架
橋されたポリアクリル酸等からなる吸収性樹脂粉末を均
一に分散させ固着させるという方法で製造されることが
一般的に行われている。基材シートに対する吸収性樹脂
の固着方法としては、例えば吸収性樹脂をティッシュ、
綿等でサンドイッチにする方法や、パルプと吸収性樹脂
粉末を混合した後にエンボス加工等の圧着処理を行う方
法等が採用されている。しかし、これらの製造方法にお
いては、樹脂粉末を基材上に均一に分散させる必要があ
るが、基材上に安定性よく固定することが困難であり、
分散後も一部局所に集合化することが多く、また基材か
ら粉末が漏れやすい上、吸水後の膨潤ゲルが流動して使
用感を悪化させることがあった。このような樹脂の移動
を防ぐために、吸収性樹脂を接着剤等で基材に接着させ
ることも考えられたが、この場合接着剤によって樹脂が
吸水膨潤してしまい、吸水性能が発揮できなくなってし
まう。さらに、樹脂を粉末として用いるため、製造時の
取り扱いが煩雑で、また基材上への均一な分散を効率よ
く行うプロセスは製造コストも割高であった。
【0004】そこで、このような問題を改善した吸水性
複合体の製造方法として、第1に、例えば特公平3−6
7712号公報、特開昭62−22810号公報、また
特許第316439号公報で開示されているように、ア
クリル酸およびアクリル酸塩からなる単量体混合物の水
溶液を基材シート上に塗布し、加熱処理あるいは電磁放
射線の照射によって単量体を重合させ、吸収性ポリマー
を形成させる方法が知られている。
【0005】また、第2に、例えば特許第251622
1号公報に開示されているように、アクリル酸またはア
クリル酸塩等の単量体とそれらの重合体との混合物を含
んだ水溶液を、繊維状基材上に塗布し、その後に、前記
第1の製造方法と同様の方法により、単量体を重合さ
せ、吸収性ポリマーを形成させる製造方法が知られてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た第1の製造方法で吸水性複合体を製造すると、重合さ
れる前に単量体が基材内部に含浸してしまい、製造され
た吸水性複合体に残存する単量体の量が多くなり、また
基材の柔軟性は損われる上、使用の際、水分は基材表面
の吸収性ポリマーに吸収されるにとどまるため吸収力が
乏しいという問題があった。また、電子線照射による重
合では自己架橋が進みやすいため吸収性能がさらに低下
し、また製造コストも高くなるという問題があった。
【0007】一方、第2の製造方法においては、単量体
と、それらの重合体との混合物水溶液(この水溶液は、
本発明におけるプレポリマーと概念的に同様であるた
め、以下プレポリマーと称する)は、該重合体によって
適度に増粘される。それによって、当該混合物水溶液が
基材上に塗布された際に、基材内部に含浸することが抑
えられ、基材の柔軟性を低下させることを防止しながら
吸水性複合体を製造することが可能となる。しかし、こ
の方法で重合後に得られる樹脂は、ゲル強度が弱いため
吸水性に劣り、また、吸水後のゲルがべたつき感などの
不快感を与えることがあるという問題があった。
【0008】本発明の課題は、基材の柔軟性が損われ
ず、また基材上で樹脂が流動することもなく、吸収性能
のよい吸水性複合体を好適に製造できる吸水性複合体の
製造方法、および吸水性複合体を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の、本発明による第1の手段は、アクリル酸および/ま
たはアクリル酸塩を主体とする水溶性単量体と、光重合
開始剤と、を含む組成物に、紫外線を照射することによ
り、前記水溶性単量体の一部を重合させてプレポリマー
を形成させる第1の工程と、繊維質基材上に、少なくと
も架橋剤を溶解させた前記プレポリマーを塗工する第2
の工程と、前記プレポリマーが塗工された繊維質基材に
紫外線を照射することにより、当該プレポリマーに含ま
れる前記水溶性単量体を重合させて当該プレポリマーを
硬化させる第3の工程と、を有することを特徴とする吸
水性複合体の製造方法である。
【0010】また本発明による第2の手段は、アクリル
酸および/またはその塩を主成分とする水溶性単量体
と、前記水溶性単量体に対して0.01〜15重量%(w/w%)
の量の親水性増粘剤と、水と、光重合開始剤と、架橋剤
と、を混合して製した組成物を、繊維質基材上に塗工
し、さらに当該組成物が塗工された繊維質基材に紫外線
を照射することにより、当該組成物に含まれる水溶性単
量体を重合させて当該組成物を硬化させることを特徴と
する吸水性複合体の製造方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。 〔第1の実施の形態〕本発明の第1の実施の形態におい
て、吸水性複合体は、主に、アクリル酸および/または
アクリル酸塩(以下、アクリル酸系単量体という)を主
体とする水溶性単量体と、光重合開始剤と、架橋剤と、
繊維質基材シート(以下、基材という。)とを用いて、
図1にフローチャートで示した製造工程を経て製造され
る。即ち、水溶性単量体と光重合開始剤との混合水溶液
を調製し(ステップS1)、当該水溶液に紫外線を照射
することにより、水溶性単量体の一部を重合させたプレ
ポリマーAを作製する(ステップS2)。その後、プレ
ポリマーAに架橋剤、および光重合開始剤を添加して
(ステップS3)、基材上に塗工し(ステップS4)、
さらにプレポリマーAに紫外線を照射して(ステップS
5)、重合・架橋させて硬化させることにより、基材上
に固着された状態の吸収性樹脂を形成させる。その結
果、基材と吸収性樹脂とで構成される吸水性複合体が製
造される。
【0012】まず、本実施の形態における吸水性複合体
の製造に用いられる各物質について説明する。
【0013】水溶性モノマーとして使用されるアクリル
酸系単量体は、架橋性単量体の共存下に重合することに
より、吸収性樹脂を与える物質である。アクリル酸系単
量体としては、アクリル酸の20〜90モル%を塩基で部分
中和して得られるアクリル酸およびアクリル酸塩(例え
ば、ナトリウム塩・カリウム塩のようなアルカリ金属
塩、アンモニウム塩等)の単量体混合物とすると、吸水
性能の優れたポリマーが得られるので好ましい。
【0014】アクリル酸系単量体とともに併用し得る単
量体(以下、その他の単量体という)としては、2-(メ
タ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸等の
アニオン性モノマーやその塩;(メタ)アクリルアミ
ド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒド
ロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブ
チル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)
アクリレート、2-メトキシプロピル(メタ)アクリレー
ト、4-メトキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシ
ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエ
チレングリコール(メタ)アクリレート、等のノニオン
性親水性基含有モノマー;N,N-ジメチルアミノエチル
(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアクリルアミド、
N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、
ジアリールジメチルアンモニウムクロライド等のアミノ
基含有不飽和モノマーやそれらの4級化合物等が挙げら
れる。
【0015】上記のその他の単量体のうち、好ましい単
量体は、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパン
スルホン酸(塩)、(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロ
キシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピ
ル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)
アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレー
ト、2-メトキシプロピル(メタ)アクリレート、4-メト
キシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコ
ール(メタ)アクリレートおよびメトキシポリエチレン
グリコール(メタ)アクリレートからなる群から選ばれ
る単量体である。
【0016】アクリル酸系単量体だけでは得られる重合
体と単量体水溶液とが分離し易いのに対して、その他の
単量体を使用する場合には、得られる重合体と単量体水
溶液との相溶性が向上し、相分離が起こり難い。従っ
て、アクリル酸系単量体とその他の単量体とを併用する
ことが好ましい。その他の単量体の好ましい使用割合
は、その他の単量体とアクリル酸系単量体の合計量を基
準にして、1〜30重量%である。その他の単量体の使用
割合が全単量体中の30重量%を超えた場合のプレポリマ
ーAから形成される吸収性樹脂は、吸収性能が不足し易
いためである。また、水溶性単量体と、それを溶解する
水性媒体の使用割合は、水溶性単量体の濃度として20〜
60重量%が好ましい。水溶性単量体濃度を20重量%以下
として吸収性樹脂に加工した場合、水分除去に多大な労
力が必要となるからである。また水溶性単量体濃度を60
重量%以上とすると、単量体水溶液中の単量体が析出し
て系全体がスラリーとなりやすく、取り扱いが困難とな
るからである。
【0017】本実施の形態において光重合開始剤は、ア
ゾ系、ベンゾイル系等の公知のものが使用できる。光重
合開始剤の好ましい使用量は、単量体と重合体の合計の
100質量部あたり0.001〜0.1質量部である。光重合開始
剤の量が0.001質量部未満であると、プレポリマーAを
得るのに長時間を要し、一方、光重合開始剤の量が0.1
重量部を超えると、重合のプロセスにおいてプレポリマ
ーA中のポリマー含有量を制御することが難しくなる。
【0018】ベンゾイル基を有するラジカル系光重合開
始剤の具体例としては、ベンゾイン、ベンジル、アセト
フェノン、ベンゾフェノン、およびこれらの誘導体が挙
げられる。該誘導体の例としては、ベンゾイン系のもの
として、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチル
エーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイ
ンイソブチルエーテル、アセトフェノン系のものとし
て、ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-1,2-
ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシ
ル-フェニル-ケトン、2-メチル-1-(4-(メイチルチオ)
フェニル)-2-モンフォリノプロパン-1,2-ベンジル-2-
ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタノン
-1,2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オ
ン、1-(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル)-2-ヒド
ロキシジー2-メチルー1-プロパンー1-オン等が挙げられ
る。
【0019】またベンゾフェノン系のものとして、Oー
ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノ
ン、4-ベンゾイル-4'-メチルジフェニルサルファイド、
3,3',4,4'-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベ
ンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4-ベ
ンゾイル-N,N-ジメチル-N-[2-(1-オキシ-2-プロペニル
オキシ)エチル]ベンゼンメタナミウムブロミド、(4-
ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリ
ド、4,4'-ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4'-ジエチ
ルアミノベンゾフェノン等が挙げられる。
【0020】アゾ系光重合開始剤の具体例としては、2,
2'-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロ
ピオンアミド]、2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオンア
ミド)ジハイドレート、2,2'-アゾビス{2-メチル-N-
[1,1-ビス(ヒドロキシメチル)エチル]プロピオンア
ミド}、2,2'-アゾビス{2-メチル-N-[1,1-ビス(ヒド
ロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル]プロピオンアミ
ド]、2,2'-アゾビス(2-アミジノプロパン)塩酸塩、2,
2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、および2,2'-
アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]が好
ましい。
【0021】光重合に際して、単量体水溶液中に次亜燐
酸ソーダ、メルカプトエタノール、イソプロパノール等
の連鎖移動剤を添加してもよい。連鎖移動材の好ましい
使用量は、全単量体に対して0.0001〜0.5重量%であ
り、さらに好ましくは0.0001〜0.1重量%である。連鎖
移動材の使用量が全単量体に対して0.5重量%を超えて
使用されると、プレポリマーの成分となる重合体の重合
度が低くなるため好ましくない。また本実施の形態にお
いては、プレポリマーをさらに重合させて硬化させる際
に、所望により、熱によりラジカルを発生する過酸化
物、過流酸塩化合物を加えてもよい。過酸化物の例とし
ては、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、クメンヒ
ドロペルオキシド、t-ブチルヒドロペルオキシドおよび
ジクミルペルオキシド等が挙げられる。過硫酸塩化合物
の例としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムお
よび過硫酸ナトリウム等が挙げられる。
【0022】また、プレポリマーAに加えられる架橋剤
としては、メチレンビスアクリルアミド、エチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン、
トリアリルシアヌレート等の、1分子中にラジカル重合
性基を複数個有する架橋性単量体(以下、ラジカル重合
型架橋性単量体という)や、エチレングリコールジグリ
シジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジル
エーテル等の、1分子中に反応性官能基を複数個有する
架橋性単量体(以下、官能基型架橋性単量体という)が
挙げられる。本発明においては、ラジカル重合型架橋性
単量体および官能基型架橋性単量体を併用することが好
ましい。架橋性単量体の好ましい使用量は、全単量体に
対して0.001〜1.0重量%である。架橋性単量体の使用量
が全単量体に対して1.0重量%を超えて使用されると、
ゲル強度は高くなるが、吸水性の乏しい吸収性樹脂とな
るため好ましくない。
【0023】基材(繊維質基材)としては、紙、不織
布、織布等の繊維組成物を用いることができ、素材とし
ては、天然繊維、合成繊維、のいずれを用いてもよい。
天然繊維の例としては、綿、セルロース(木材パル
プ)、羊毛、絹等が挙げられる。また合成繊維として
は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ナイ
ロン、ポリエステル(PET等)、アクリル等が挙げら
れ、PE /PP、PE /PETなどのバイコンポーネント繊維も
用いられる。しかし、親水性の高い基材の場合、水溶性
単量体やプレポリマーを塗布した際に滲みや染み込みが
大きく、水溶性単量体やプレポリマーが基材中に浸透し
すぎてしまうため、疎水性、または撥水性の高い基材を
用いると好ましい。従って、上記の中では、ポリプロピ
レン(PP)、ポリエステル(PET等)、ポリエチレン(P
E)、PE /PP、PE /PETが好ましい。また、PPセルロース
系混合繊維や、PP等に部分親水化処理を施した不織布な
どを用いてもよい。
【0024】好適な基材の目付け(秤量)は、8〜80g/m
2(gsm)であり、特に10〜50 g/m2のものが好ましい。8
g/m2未満では裏抜けしやすく、80 g/m2以上では吸水性
複合体の厚みがでてくること、またSAP(高吸収性樹
脂)の含有割合が少なくなるため好ましくない。不織布
の繊維径は、1〜6dtx(デシテックス)のものが好まし
い。6dtx以上では、繊維質基材が疎になりすぎるため、
十分な量のSAPを固定することができないからである。
また1dtx以下では、吸水性複合体中の液の拡散が不十分
となるからである。また以上のほか、スポンジ、多孔性
フィルム等を基材として使用してもよい。
【0025】尚、製造される吸収性樹脂を多孔質な構造
にして吸収速度の高い吸水性複合体を得る目的で、プレ
ポリマーAに発泡剤を配合した上で、重合・硬化させる
こともできる。発泡剤としては、従来公知の無機系、有
機系発泡剤から任意に選択して使用することが可能であ
る。中でも無機系炭酸塩が好適であり、その例として
は、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウ
ム、炭酸水素カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ア
ンモニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸
バリウム等、およびこれらの水和物等が挙げられ、それ
らの1種または2種以上を用いる。特に、本実施の形態
において好ましい炭酸塩は、1価カチオン、例えば、ナ
トリウム、カリウム、アンモニウムの炭酸塩または炭酸
水素塩である。
【0026】炭酸塩系発泡剤のプレポリマーA溶液に対
する添加量は、プレポリマーA固形分に対し、0.01〜1
0.0重量%であるのが好ましく、より好ましくは0.1〜5.
0重量%である。炭酸塩発泡剤の添加量が0.01重量%よ
り少ない場合は、得られる吸収性樹脂を多孔質構造にす
ることができないため、吸収速度の高い吸水性複合体を
得ることができない。また、発泡剤を10重量%以上添加
しても、それ以上の多孔質化が困難であるばかりか、未
発泡の炭酸塩発泡剤が吸水性複合体中に存在するため吸
収性樹脂と基材との密着性に影響を与えることとなる。
【0027】また、アゾ系化合物が有機系発泡剤として
有効である。アゾ系化合物は、低温でプレポリマーAを
重合・硬化させることができ、しかも重合・硬化時に分
解して窒素ガスを発生するので、発泡剤として好適であ
る。このようなアゾ系化合物としては、アゾニトリル化
合物、アゾアミジン化合物、アゾアミド化合物、アルキ
ルアゾ化合物等が好ましい。10時間半減期温度が100℃
以下のものが特に好ましく、具体的には、2,2'-アゾビ
ス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2'-アゾビス[2-
(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二塩酸塩、2,2'-
アゾビスイソブチルアミド二水和物などが挙げられる。
【0028】アゾ系化合物を有機発泡剤として使用する
場合には、プレポリマーAの固形分に対して0.001〜1重
量%であるのが好ましく、より好ましくは0.01〜0.5重
量%である。添加量が0.001重量%より少ない場合は、
得られる吸収性樹脂を多孔質構造にすることができない
ため、吸収速度の高い吸水性複合体を得ることができな
い。また、発泡剤を1重量%以上添加しても、それ以上
の多孔質化が困難であるばかりか、重合して得られる吸
収性樹脂の分子量が低下するため、ゲル強度が低く吸水
ゲルにぬめりが生じるため、使用感の悪い吸水性複合体
となる。また発泡剤は、紫外線照射前に添加することが
好ましく、添加方法としては、発泡剤をそのまま添加す
るか、或いは任意の溶媒中に溶かし込み、発泡剤溶液と
して添加してもよい。
【0029】発泡剤添加の際には、気泡径および発泡時
期をコントロールする目的で、任意の消泡剤を併用する
ことも可能である。消泡剤としては特に限定されるもの
ではなく、一般的に破泡剤、抑泡剤、整泡剤等として知
られているものを任意に選択することができ、1種また
は2種以上組み合わせて用いることもできる。消泡剤の
具体的な成分としては、油脂類、脂肪酸類、低級アルコ
ール類、高級アルコール類、金属石鹸類、シリコーン
類、疎水性シリカ・シリコーンコンパウンド類、脂肪酸
エステル類、ポリグリコール類、ポリグリコールエステ
ル類、ポリエーテル類、変成シリコーン類、油溶系ポリ
マー類、有機リン系化合物、硫酸化脂肪酸類、ポリエー
テル誘導体、シリカ・変成シリコーンコンパウンド類、
等が挙げられる。
【0030】消泡剤のプレポリマーA溶液に対する添加
量は、プレポリマーA固形分に対し、0.0001〜0.1重量
%であるのが好ましい。消泡剤の添加量が0.0001重量%
未満であると、十分な気泡径、発泡時期のコントロール
が不可能となる。また、0.1重量%以上添加しても、添
加量に見合うだけの効果は期待できず、またコスト的に
も好ましくないと思われるので、なるべく少量の消泡剤
を使用すべきである。消泡剤は、発泡添加前にプレポリ
マーA水溶液に添加することが好ましく、添加方法とし
ては、消泡剤をそのまま添加するか、或いは任意の溶媒
中に溶解または分散させ、消泡剤溶液または消泡剤分散
液として添加してもよい。
【0031】次に、本実施の形態における吸水性複合体
の製造方法を詳細に説明する。まず、前述のアクリル酸
系単量体等の水溶性単量体と、光重合開始剤とを、前述
のような割合で水に混合する(図1、ステップS1)。
この混合水溶液に紫外線を照射して、単量体の一部を重
合させる(ステップS2)。
【0032】ここで、この混合水溶液中の水溶性単量体
を重合させる手段としては、紫外線以外にも電子線やガ
ンマ線等を用いる方法もあるが、紫外線はそれらに比し
て装置が安価であり、また重合転換率の制御が容易であ
って、さらに重合に要する時間も短いため、好ましい。
【0033】ステップS2において、混合水溶液に照射
させる紫外線の好ましい照度は、0.1〜10mW/cm2であ
る。照度が10mW/cm2を超えると、重合反応と同時に架橋
反応が併発し、ゲル化が起こり易いからである。照射光
量すなわち照射エネルギーは、上記照度に時間を乗ずる
ことにより得られるが、好ましい照射光量は、10〜10,0
00mj/cm2である。この照射光量は、照度0.1〜10mW/cm2
の光であれば、1〜120分照射することにより得られる。
紫外線の光源としては、例えば、蛍光ケミカルランプ、
蛍光青色ランプ、メタルハライドランプまたは高圧水銀
ランプ等を使用することができる。
【0034】ステップS2の工程においては、紫外線が
照射される混合水溶液を、反応中攪拌することが好まし
い。この攪拌方法は特に限定されず、例えば攪拌羽根を
用いることができる。この攪拌により、効率よく重合反
応を進行させることができる。反応液を覆う雰囲気とし
ては、窒素ガス、二酸化炭素ガス等のいずれでもよい
が、好ましくは窒素ガスである。
【0035】ステップ2の光重合によって、単量体と、
ポリマーとが水性媒体に溶解したプレポリマーAが得ら
れる。プレポリマーAに含まれるポリマーは、水溶性単
量体(前述のアクリル酸系単量体もしくはその他の単量
体)を重合して得られるものであって、重量平均分子量
は50万以上、より好ましくは100万以上である。ポリマ
ーの重量平均分子量が50万未満であると、プレポリマー
Aを重合・硬化して得られる吸収性樹脂の吸水性が劣る
からである。また、プレポリマーAに含まれるポリマー
の量は、上記単量体とポリマーとの合計量を基準にし
て、0.01〜50重量%であり、好ましくは0.1〜25重量%
である。ポリマーの割合が0.01重量%未満であると、プ
レポリマーAの粘度が低すぎて、プレポリマーAの使用
に制約が生じる。一方、ポリマーの割合が50重量%を超
えると、プレポリマーAから得られる吸収性樹脂の吸水
性が劣るからである。プレポリマーAの好ましい粘度
は、繊維状基材に塗布された場合に基材に含浸する程度
が大きくなく、且つ取り扱いが容易である点を鑑み、1,
000〜50,000mPa・S(B型粘度計、25℃で測定)とし、よ
り好ましくは1,500〜30,000 mPa・Sである。
【0036】ステップ2において作製されたプレポリマ
ーAに、架橋剤、光重合開始剤、また所望により発泡剤
・消泡剤を添加して溶解させる(ステップS3)。さら
に、この架橋剤等が加えられたプレポリマーA水溶液
を、前述の基材上に塗工する(ステップS4)。プレポ
リマーAを基材に塗工する(塗布する)方法としては、
スクリーン印刷、グラビア印刷等の公知の印刷方法や、
スプレーを用いて吹き付ける方法、ノズルを介して流し
かける方法、キス塗布、等のいずれの方法を用いてもよ
い。
【0037】ここで、プレポリマーAを基材上に塗工す
るパターンについて説明する。プレポリマーAを基材上
に全面塗工すると、基材の柔軟性が損われ、またプレポ
リマーAの表面積が小さくなり、十分な吸収力を発揮で
きない。一方、基材上にプレポリマーAを所定の間隔を
設けて不連続な点状に塗工した場合、基材の柔軟性は維
持され吸収力に優れるものの、基材と樹脂との固着面積
が乏しくなるため吸水膨潤後のゲル粒子は基材から脱落
してしまう。従って、基材上にはプレポリマーAを連続
的な線状に塗布するか、あるいは所定の間隔を設けた所
定の大きさの不連続な点(点状部)の間を線で繋いだ連
続的な模様状、即ち、点状部と、当該点状部の直径より
幅の小さい線からなる線状部と、が交互に連結するパタ
ーンとなるように塗布することが好ましい。
【0038】基材に塗布されるプレポリマーAの塗工パ
ターンの一例を、図2に示す。図2では、規則的な略円
形の点状のプレポリマーA(点状部1)を、直線状のプ
レポリマーA(線状部2)が連結するように、プレポリ
マーAが基材3に塗布された様子を示している。このよ
うに連続的に塗布する場合、点状部1の直径aは、0.1
<直径a(mm)<5とするのが好ましい。点状部1の直径
aが5mmより大きいと、吸収性樹脂が吸水膨潤した際
に、吸水性複合体の感触に違和感が生じたり、柔軟性が
低下する等の不具合を生じるだけでなく、吸収性樹脂の
表面積も不十分となり吸水性も劣るためである。また、
直径aが0.1mmより小さいと、吸収性樹脂の量が少なく
十分な吸収力を発揮できないからである。
【0039】点状部1の直径aを上記範囲とした場合、
点状部1と点状部1とのを間隔bとして、0.05<間隔b
(mm)<2となるようにプレポリマーAを塗布するか、或
いは基材の単位面積1m2当たりの点状部1の数をc個と
して、4<c(個/ cm2)<4,000となるようにプレポリ
マーAを塗布することが好ましい。図2においては、左
右に隣接する点状部1と点状部1との間隔をb1、上下
に隣接する点状部1と点状部1との間隔をb2、として
示す。このb1,b2ともに、上記の間隔bの範囲を満
たすように(即ち、隣り合う点状部同士の間隔全てが、
上記の範囲を満たすように)、プレポリマーAを塗工す
る。間隔bが2mm以上、或いは1cm2当たりの点状部1の
数が4個以下となると、基材上の樹脂の固着面積の割合
が小さくなり、吸収力が低下するからである。一方、間
隔bが0.05mm以下、或いは1cm2当たりの点状部1の数が
4,000個以上となると、プレポリマーAを基材に塗布す
る工程において、隣接する液滴(プレポリマーA)同士
が接触しやすくなるため、塗工パターンの再現が困難に
なるばかりか、吸水膨潤時に、隣接する含水ゲル同士が
互いに接触して(接近しすぎて)吸収性が妨げられるた
めである。
【0040】点状部1と点状部1とを繋ぐ線状部2の線
幅cは、0.05<線幅c(mm)<直径a(点状部1の直径
a)、とする。線幅cが直径a以上となると、吸収性樹
脂が吸水膨潤した際に、吸水性複合体の感触に違和感が
生じたり、柔軟性が低下する等の不具合が生じるだけで
なく、吸収性樹脂の表面積も不十分となり、吸水性が低
下するためである。また、線幅cが0.05mmより小さい
と、吸収性樹脂の量が少なくなり十分な吸収力を発揮で
きないばかりでなく、基材と樹脂との固着面積が乏しく
なるため、吸水膨潤後のゲル粒子は基材から脱落してし
まうからである。加えて、点状部1と線状部2との大き
さが上記範囲より小さいと、塗工パターンの再現が難し
く、基材3上に一様に塗工することが困難となるからで
ある。
【0041】尚、塗工パターンについては、図2に限定
されることはなく、様々なパターンが可能である。例え
ば、線状部は直線でも曲線でもよく、図3(a)のよう
に縦横に線状部を施したり、点状部を格子状に連結して
もよい。また、図3(b)のように斜め方向の格子状に
施してもよく、図3(c)のように縦横方向と、斜め方
向の両方の線状部を施してもよい。また、図3(d)の
ように屈曲させたり、図3(e),(f)のように蛇行
する線状部としてもよい。また、これらの規則的な直線
あるいは曲線の他、図3(g)のように、基材3上に不
規則に曲線や直線を施してもよい。加えて線状部は、互
いに隣接する点状部同士を連結するほか、図3(h)の
ように、離れた点状部同士を繋ぐようにしてもよい。さ
らに図3(i),(j)のように、一部の線状部を枝状
にしてもよい。また、点状部は図2或いは図3のような
円形に限定されず、三角形、四辺形等、任意の形状でよ
い。その場合上記の直径aとしては、当該点状部の面積
に略相当する円の直径とすればよい。プレポリマーA
は、点状部が複数個の他の点状部と、線状部によって連
結されるように、基材上に塗布されることにより、吸水
膨潤後のゲル粒子が基材から脱落することが防止され
る。
【0042】続いて、繊維状基材に塗布されたプレポリ
マーAに紫外線を照射し、プレポリマーを重合・架橋さ
せて硬化させ、吸収性樹脂を形成させる(ステップS
5)。このように基材上でプレポリマーAを硬化させる
ことにより、基材の表面上に吸収性樹脂が固着された吸
水性複合体が形成される。吸水性複合体の形成後、必要
に応じて乾燥を行う。
【0043】このステップS5において、基材上に塗布
されたプレポリマーAに対する紫外線の照度は、プレポ
リマーを構成する単量体の種類やプレポリマーAの粘度
等を考慮して決定されるが、好ましくは1〜10,000mW/cm
である。また、重合反応を進行させる際、酸素が存在す
ると、酸素が重合反応の仮定で発生するラジカルと反応
するため、プレポリマーAの雰囲気は、窒素ガス等の不
活性ガス雰囲気であることが好ましい。さらに、重合時
のプレポリマーAの温度は5〜95℃が好ましい。
【0044】以上のように、本実施の形態の吸水性複合
体の製造方法によれば、水溶性単量体の一部を重合させ
て作製したプレポリマーAを基材上に塗布し、然る後に
プレポリマーAを重合・架橋させて吸収性樹脂を形成さ
せることにより、基材上に吸収性樹脂が好適に固着され
た吸水性複合体を形成できる。従って、粉末の樹脂を使
用する場合と異なり、吸収性樹脂が基材上からはがれた
り流動したりすることがなく、好適に使用できるほか、
製造時においても粉末樹脂を用いる場合に比べ、取り扱
いが容易である。また、単量体が基材内部に含浸するこ
とを防止できるので、単量体に紫外線を適切に照射させ
重合反応を進行させることができ、製造された吸水性複
合体に残存する単量体の量を低減させることができる。
さらに、単量体が基材内部で重合・架橋することを防止
できるので、基材の柔軟性を損うことなく吸水性複合体
を形成でき、また基材表面に吸収性樹脂が固着されるこ
とにより、吸水性複合体に吸収力を十分に発揮させるこ
とができる。加えて、疎水性または撥水性の基材を用い
ることにより、プレポリマーが基材中に含浸することが
より一層防止され、上記のような効果により、基材の柔
軟性が損われずに吸収性のよい吸水性複合体を形成でき
る。
【0045】また、単量体を重合させる手段として紫外
線を照射しているので、電子線やガンマ線等の照射に比
べてコストを抑えることができ、また重合転換率の制御
が容易であって、重合に要する時間も短いため好適であ
る。
【0046】さらに、本実施の形態において、プレポリ
マーAを、連続的な線状か、または所定の間隔を設けた
所定の大きさの不連続な点(点状部)の間を線(線状
部)で連結させたパターンとなるように基材上に塗布す
れば、吸収性樹脂が基材状から脱落し難くなる。またこ
の場合、点状部と線状部とを前述の範囲の大きさにすれ
ば、基材状に固着される吸収性樹脂の表面積や量などが
適切となるので、吸水膨潤時に隣接する含水ゲル同士が
互いに接触して吸水が妨げられることが防止でき、十分
な吸収力を発揮することができる。加えて、このような
塗工パターンにより、吸収性樹脂によって基材の柔軟性
が損われることなく、さらに吸水膨潤時に吸水性複合体
の感触に違和感が生じることも低減され、好適に使用す
ることができる。
【0047】〔第2の実施の形態〕第2の実施の形態で
は、吸水性複合体を、主に、アクリル酸および/または
アクリル酸塩(以下、アクリル酸系単量体という)を主
体とする水溶性単量体と、親水性増粘剤と、光重合開始
剤と、架橋剤と、基材とを用いて、図4にフローチャー
トで示す製造工程で製造する方法を説明する。即ち、水
溶性単量体と、親水性増粘剤との混合水溶液を調製し
(ステップS11)、適度に粘性を有するプレポリマー
B(プレポリマーBの粘度については後述する)を作製
する。その後、プレポリマーBに架橋剤、および光重合
開始剤を添加して(ステップS12)、基材上に塗工す
る(ステップS13)。さらに基材に塗工したプレポリ
マーBに紫外線を照射して(ステップS14)重合・架
橋させて硬化させることにより、基材上に固着された状
態の吸収性樹脂を形成させる。その結果、基材と吸収性
樹脂とで構成される吸水性複合体が製造される。
【0048】第2の実施の形態において、吸水性複合体
の製造に用いる親水性増粘剤について説明する。尚、製
造に用いるその他の物質、即ち、アクリル酸系単量体を
主体とする水溶性単量体、光重合開始剤、架橋剤、繊維
質基材、および必用に応じて加えられる発泡剤、過酸化
物、過流酸塩化合物等は、第1の実施の形態と同様であ
るので説明を省略する。
【0049】本実施の形態で用いられる親水性増粘剤
は、アクリル酸および/またはその塩を主成分とする水
溶性単量体に対して0.01〜15重量%添加して、後述する
適度な粘度のプレポリマーを調整することができる親水
性高分子である。添加量が15%以上となると、重合後に
得られる樹脂はゲル強度が弱く、また吸水後のゲルがべ
たつき感などの不快感を与えることとなるからである。
また、添加量が0.01%より少ないと、単量体水溶液全体
の粘度が低くなるため、塗布された単量体水溶液は重合
前に基材内部に含浸してしまう。すると、単量体の重合
が十分に行われず、製造された吸水性複合体に残存する
単量体の量が多くなり、また基材の柔軟性は損われる
上、使用の際、水分は基材表面の吸収性樹脂には吸収さ
れるが、基材内部に含浸した樹脂には極めて吸収され難
いため、吸収力が乏しくなるからである。
【0050】本発明に使用される親水性増粘剤として
は、前記アクリル系単量体水溶液に上記範囲の量を添加
した際、溶解もしくは膨潤して後述する適度な粘度を与
えるものであれば、無機系、有機系の制限なく使用でき
る。これら親水性増粘剤の具体例としては、ベントナイ
ト、バーミキュライト、水酸化アルミニウム、ケイ酸ア
ルミニウムマグネシウム、粉末シリカ、等に代表される
無機物質、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメ
チルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピ
ルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、
エチルセルロース、等に代表されるセルロース誘導体、
キサンタンガム、ジェランガム、グアガム、アルギン酸
ナトリウム、カラギーナン、ペクチン、等、およびそれ
らの誘導体に代表される天然高分子化合物、ポリアクリ
ルアミド、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコ
ール、ヒドロキシアルキルアクリレート重合体、アルコ
キシアルキルアクリレート重合体、等、非イオン性合成
高分子化合物、アクリル酸、メタクリル酸、2-アクリル
アミド-2-メチルプロパンスルホン酸、およびそれらの
アルカリ金属塩、およびアンモニウム塩等を重合して得
られるアニオン性合成高分子化合物が挙げられる。
【0051】プレポリマーBの好ましい粘度は、繊維状
基材に塗布された場合に、基材に含浸する程度が大きく
なく、且つ取り扱いが容易である点を鑑み、500〜100,0
00mPa・S(B型粘度計、25℃で測定)とし、より好まし
くは1,500〜30,000mPa・Sである。
【0052】本実施の形態における吸水性複合体の製造
方法は、水溶性単量体と親水性増粘剤の混合水溶液を調
製する(ステップS11)ことにより、前述の範囲の粘
度を有するプレポリマーBを調製する。その後の工程に
ついては、第1の実施の形態のステップ3以後の工程と
同様であって、プレポリマーBに、架橋剤と、光重合開
始剤とを第1の実施の形態に記載の範囲と同様の量で添
加し、また所望により発泡剤を添加した後(ステップS
12)、基材上にプレポリマーを塗工する(ステップS
13)。尚、プレポリマーBを塗布する塗工パターンに
ついては、第1の実施の形態と同様である。
【0053】そして、塗布されたプレポリマーBに、第
1の実施の形態のステップS5と同様の照度で紫外線を
照射して(ステップS14)、プレポリマーBを重合・
架橋させて硬化させることにより、基材上に吸収性樹脂
が固着された吸水性複合体を形成させる。吸水性複合体
形成後、必要に応じて乾燥を施す。
【0054】以上の吸水性複合体の製造方法によれば、
水溶性単量体と親水性増粘剤とを水に混合させて作製し
たプレポリマーBを基材上に塗工し、その後にプレポリ
マーBを重合・架橋させて吸収性樹脂を形成させること
により、基材上に吸収性樹脂が好適に固着された吸水性
複合体を形成できる。従って、吸収性樹脂が基材上から
はがれたり流動したりすることがなく、好適に使用でき
る。また、単量体が基材内部に含浸することを防止で
き、単量体に紫外線を好適に照射できるので、吸水性複
合体に残存する単量体量を低減させることができる。さ
らに、基材内部で樹脂が形成されることを防止できるの
で、基材の柔軟性を損うことがなく吸水性複合体を形成
できる。加えて、基材表面に吸収性樹脂が固着されるこ
とにより、吸収性を十分に発揮させることができる。ま
た、単量体を重合させる手段として紫外線を照射してい
るので、コストを抑えることができ、重合に要する時間
も短いため好適である。さらに、プレポリマーを重合・
硬化させる際、発泡剤を添加することにより、吸水性複
合体の吸水速度等の吸収性能を向上させることができ
る。加えて基材として疎水性あるいは撥水性のものを用
いれば、プレポリマーの塗工の際に滲みや染み込みを防
ぐことができ、基材上に吸収性樹脂が好適に固着した吸
水性複合体を得ることができる。
【0055】また、本実施の形態の製造方法では、上記
範囲の量で親水性増粘剤を添加してプレポリマーを調整
することにより、適度なゲル強度が得られ、製造される
吸収性樹脂の吸収性能もよく、また吸収性樹脂が吸水膨
潤した際のべたつき感も低減でき、好適に使用できる。
さらにプレポリマーBを、前記第1の実施の形態と同様
の塗工パターンで基材に塗布することにより、吸収性樹
脂が基材状から脱落し難くなる。また、吸収性樹脂の表
面積や、基材に施される吸収性樹脂の量も適切となり、
且つ、吸水膨潤時に隣接する含水ゲル同士が互いに接触
して吸水が妨げられることも防止できるので、十分な吸
収力を発揮することができる。加えて、このような塗工
パターンによって、基材の柔軟性が損われることなく樹
脂を基材上に施すことができ、また吸水膨潤時に吸水性
複合体の感触に違和感を生じることもなく、好適に使用
することができる。
【0056】尚、上記第1および第2の実施の形態で製
造される吸水性複合体は、使い捨て紙おむつや生理用品
の吸収体として利用できるほか、土壌の保水剤等の農園
芸用品や、食品(例えば魚・肉類等)の保鮮シート、結
露防止剤、乾燥剤、調湿剤等の用途に利用することがで
きる。
【0057】
【実施例】以下に、実施例および具体例を挙げることに
より、本発明をさらに具体的に説明する。
【0058】<実施例1>本発明における第1の実施の
形態で説明した製造方法に従って、吸水性複合体を形成
した。ガラス製ビーカーに、36%アクリル酸ナトリウム
水溶液347.6g、アクリル酸41.1g、2-メトキシエチル
アクリレート8.8g、水102.5gからなる単量体水溶液を
入れ、25℃に調整した。次いで、光重合開始剤として、
1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン 0.005
重量%(対単量体成分)を添加した後、ガラスビーカー
側面から6Wブラックライトを用いて、5分間紫外線を
照射した。そして反応液の入ったビーカーを氷浴中で冷
却し、液状物を得た。得られた液状物は、増粘成分とし
てポリマー成分を1.4重量%、モノマー成分を33.6重量
%含有し、粘度11,000mPa・s(B型粘度、25℃)の、
均質な溶液であった。この溶液を、プレポリマー1とす
る。
【0059】プレポリマー1に、架橋性単量体としてジ
エチレングリコールジグリシジルエーテルと、ジエチレ
ングリコールジアクリレート、また過酸化剤として過硫
酸ナトリウムを、それぞれプレポリマー1中の単量体と
重合体の合計量に対して0.05重量%添加した。さらに、
光重合開始剤である2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエ
タン-1-オンを、プレポリマー1に0.01重量%添加して
得た混合液を、ポリプロピレン不織布(秤量25g/m2
上に、図2に示す塗工パターンで塗布した。尚、点状部
の直径(図2のa)は0.6mm、間隔(図2のb1,b
2;本実施例においては、間隔b1=間隔b2とする)
は0.6mm、また線幅(図2のc)を0.2mm(この塗工パタ
ーンを、パターンAとする)とした。この塗工物に、40
0w高圧水銀灯を用いて紫外線を3分間照射し、その後120
℃で10分間乾燥を行って、吸水性複合体を得た。得られ
た吸水性複合体において塗工された樹脂の量(塗工量)
は55(g/m2)であった。
【0060】得られた吸水性複合体について、吸水量お
よび残存モノマー量の測定を行った。 吸水量の測定方法 5×5cmに切り取った吸水性複合体を、200meshナイロン
製袋に封入し、生理食塩水に30分間浸漬後、5分間水切
りした。水切り後、ナイロン製袋ごと重量を測定し、得
られた測定値から袋の重量を引き、吸水性複合体のサン
プル重量で割ることにより、単位重量当たりの吸水量
(g/g)を算出した。また同様にして、生理食塩水に3時
間浸漬した場合の吸水量を測定した。 残存モノマーの測定方法 5×5cmに切り取った吸水性複合体を更に細かく細断し
て、200mlの生理食塩水に入れて攪拌し、分散させた。3
時間攪拌後、当該分散液をメンブランフィルターで濾過
し、濾液中の残存モノマーをHPLC(:高速液体クロマト
グラフィー)で測定した。
【0061】測定の結果、本実施例1で得られた吸水性
複合体の性能は、吸水量は30分で28(g/g)、3時間で41
(g/g)、また残存モノマー160ppmであった。
【0062】<実施例2>実施例2では、前記実施例1
におけるプレポリマー1を、ポリプロピレン不織布上に
直径a1.0mm、間隔b1.0mm、線幅c0.2mm(この塗工パ
ターンを、パターンBとする)で塗工し、他は実施例1
と同一条件で吸水性複合体を製造した。得られた吸水性
複合体では塗工量60(g/m2)であった。この吸水性複合体
の性能を実施例1と同様の方法で測定したところ、吸水
量は30分で26(g/g)、3時間で41(g/g)、残存モノマ
ー90ppmであった。
【0063】<実施例3>実施例3では、前記実施例1
におけるプレポリマー1を、ポリプロピレン不織布上に
直径a2.0mm、間隔b1.5mm、線幅c0.2mm(この塗工パ
ターンを、パターンCとする)で塗工し、他は実施例1
と同一条件で吸水性複合体を製造した。得られた吸水性
複合体では塗工量58(g/m2)であった。この吸水性複合体
の性能を実施例1と同様の方法で測定したところ、吸水
量は30分で26(g/g)、3時間で38(g/g)、残存モノマ
ー110ppmであった。
【0064】<実施例4>実施例4では、前記実施例1
におけるプレポリマー1を、ポリプロピレン不織布上に
直径a6.0mm、間隔b3.0mm、線幅c0.5mmで塗工し、他
は実施例1と同一条件で吸水性複合体を製造した。得ら
れた吸水性複合体は、塗工量70(g/m2)であった。この吸
水性複合体の性能を実施例1と同様の方法で測定したと
ころ、吸水量は30分で4(g/g)、3時間で23(g/g)、残
存モノマー200ppmであった。
【0065】<実施例5>実施例5では、前記実施例1
におけるプレポリマー1を、ポリプロピレン不織布上に
直径a1.0mm、間隔b3.0mm、線幅c0.2mmで塗工し、他
は実施例1と同一条件で吸水性複合体を製造した。得ら
れた吸水性複合体は、塗工量16(g/m2)であった。この吸
水性複合体の性能を実施例1と同様の方法で測定したと
ころ、吸水量は30分で22(g/g)、3時間で37(g/g)、
残存モノマー320ppmであった。
【0066】<実施例6>実施例6では、前記実施例1
におけるプレポリマー1を、ポリプロピレン不織布上に
直径a1.0mm、間隔b1.0mm、線幅c2.0mmで塗工し、他
は実施例1と同一条件で吸水性複合体を製造した。得ら
れた吸水性複合体は、塗工量68(g/m2)であった。この吸
水性複合体の性能を実施例1と同様の方法で測定したと
ころ、吸水量は30分で11(g/g)、3時間で22(g/g)、
残存モノマー290ppmであった。
【0067】<実施例7>実施例7では、前記実施例1
におけるプレポリマー1に、架橋性単量体としてとして
ジエチレングリコールジグリシジルエーテルと、ジエチ
レングリコールジアクリレート、過酸化剤として過硫酸
ナトリウムを、それぞれプレポリマー1中の単量体と重
合体の合計量に対して0.05重量%添加し、また、光重合
開始剤である2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-
オンを、プレポリマー1に0.01重量%添加した。さら
に、シリコーン系消泡剤(ダウ・コーニング社製DC−
193)をプレポリマー1中の単量体と重合体の合計量
に対して1重量%混合し、得られた混合液を、ポリプロ
ピレン不織布(秤量25g/m2)上に、パターンAで塗工
した。この塗工物に、400w高圧水銀灯を用いて紫外線を
3分間照射し、その後120℃で10分間乾燥を行って、吸水
性複合体を得た。得られた吸水性複合体は、塗工量54(g
/m2)であった。
【0068】得られた吸水性複合体の性能を実施例1と
同様にして測定したところ、吸水量は30分で39(g/
g)、3時間で39(g/g)、残存モノマー210ppmであっ
た。即ち、30分で飽和吸水量に達し、吸水力に優れてい
た。
【0069】<実施例8>本実施例では、本発明におけ
る第2の実施の形態で説明した製造方法に従って、吸水
性複合体を製造した。36%アクリル酸ナトリウム水溶液3
65.9g、アクリル酸43.3g、水90.8gからなる単量体水
溶液を調整した。そして、当該水溶液に親水性増粘剤で
あるポリエチレンオキサイド7.0g(対モノマー成分4重
量%)を添加した。得られた液状物(プレポリマー2と
する)の粘度は、7,000mPa・s(B型粘度、25℃)であ
った。プレポリマー2に、実施例1のプレポリマー1と
同様の条件で、架橋性単量体と、光重合開始剤とを添加
し、さらにパターンAでポリプロピレン不織布上に塗工
し、紫外線照射および乾燥を行って吸水性複合体を得
た。得られた吸水性複合体では塗工量52(g/m2)であっ
た。この吸水性複合体の性能を実施例1と同様の方法で
測定したところ、吸水量は30分で27(g/g)、3時間で39
(g/g)、残存モノマー180ppmであった。
【0070】<実施例9>本実施例では、前記実施例8
と同様にして、36%アクリル酸ナトリウム水溶液365.9
g、アクリル酸43.3g、水90.8gからなる単量体水溶液
を調整した。そして当該水溶液に、親水性増粘剤として
カルボキシメチルセルロース7.0g(対モノマー成分4重
量%)を添加した。得られた液状物(プレポリマー3と
する)の粘度は、13,000mPa・s(B型粘度、25℃)で
あった。プレポリマー3に、実施例1のプレポリマー1
と同様の条件で、架橋性単量体と、光重合開始剤とを添
加し、パターンAでポリプロピレン不織布上に塗工し、
紫外線照射および乾燥を行って吸水性複合体を得た。得
られた吸水性複合体では塗工量55(g/m2)であった。この
吸水性複合体の性能を実施例1と同様の方法で測定した
ところ、吸水量は30分で25(g/g)、3時間で39(g/
g)、残存モノマー190ppmであった。また、吸水後の吸
水性複合体は、べたつき等の不快な感触が生じなかっ
た。
【0071】<実施例10>本実施例では、前記実施例
8と同様にして、36%アクリル酸ナトリウム水溶液365.9
g、アクリル酸43.3g、水90.8gからなる単量体水溶液
を調整した。そして当該水溶液に、親水性増粘剤として
ポリビニルアルコール 5.25g (対モノマー成分4重量
%)を添加した。得られた液状物(プレポリマー4とす
る)の粘度は、9,000mPa・s(B型粘度、25℃)であっ
た。プレポリマー4に、実施例1のプレポリマー1と同
様の条件で、架橋性単量体と、光重合開始剤とを添加
し、パターンAでポリプロピレン不織布上に塗工し、紫
外線照射および乾燥を行って吸水性複合体を得た。得ら
れた吸水性複合体は塗工量54(g/m2)であった。この吸水
性複合体の性能を実施例1と同様の方法で測定したとこ
ろ、吸水量は30分で26(g/g)、3時間で40(g/g)、残
存モノマー100ppmであった。また、吸水後の吸水性複合
体は、べたつき等の不快な感触が生じなかった。
【0072】<比較例1>比較例1においては、アクリ
ル酸8.2重量%、アクリル酸ナトリウム25重量%、2-メ
トキシエチルアクリレート1.8重量%、水65重量%から
なる単量体水溶液を調製した。得られた水溶液に、実施
例1のプレポリマー1と同様の条件で、架橋性単量体
と、光重合開始剤とを添加し、パターンAでポリプロピ
レン不織布上に塗工し、紫外線照射および乾燥を行って
吸水性複合体を得た。吸水性複合体の塗工量は59(g/m2)
であった。得られた吸水性複合体は、単量体水溶液が不
織布全体に含浸した状態で重合し、柔軟性に欠けるもの
であった。またこの吸水性複合体の性能を実施例1と同
様の方法で測定したところ、吸水量は30分で8(g/g)、
3時間で24(g/g)、残存モノマー11,000ppmであった。
【0073】<比較例2>比較例2においては、36%ア
クリル酸ナトリウム水溶液347.6g、アクリル酸41.1g、2
-メトキシエチルアクリレート8.8g、水102.5gからなる
単量体水溶液を調製した。そして当該水溶液に、親水性
増粘剤として20wt%ポリアクリル酸ソーダ水溶液500g
(対モノマー成分25重量%)を添加した。得られた液状
物(プレポリマー5とする)の粘度は、5,500mPa・s
(B型粘度、25℃)であった。プレポリマー5に、実施
例1のプレポリマー1と同様の条件で、架橋性単量体
と、光重合開始剤とを添加し、パターンAでポリプロピ
レン不織布上に塗工し、紫外線照射および乾燥を行って
吸水性複合体を得た。吸水性複合体の塗工量は51(g/m2)
であった。得られた吸水性複合体の性能を実施例1と同
様の方法で測定したところ、吸水量は30分で11(g/
g)、3時間で25(g/g)、残存モノマー880ppmであっ
た。また、吸水後の吸水性複合体はゲル強度が弱く、べ
たつき感があった。
【0074】以上の実施例1〜10および比較例1,2
の結果を、以下の表1に示す。
【表1】
【0075】実施例1〜10と、比較例1との比較にお
いて、比較例1のように親水性増粘剤を加えずに単量体
水溶液を基材に塗工して製造した吸水性複合体は、柔軟
性が損われる上、吸水量も小さく、また残存モノマーも
非常に多い。吸水性複合体では、基材に付された吸収性
樹脂に含まれる残存モノマー量の基準値は、1000ppm以
下であって、良好な吸収特性を発揮するためには、実質
的に200ppm以下であることが望ましいと考えられてい
る。従って、比較例1の製造方法では、良質な吸水性複
合体を得ることができないが、実施例1〜10のよう
に、プレポリマーを作製するか、或いは親水性増粘剤を
加えた単量体水溶液を作製して、基材に塗工する方法で
吸水性複合体を製造すれば、吸水性、残存モノマーの量
ともに良好な吸水性複合体を得ることができる。
【0076】また実施例8〜10と、比較例2との比較
においては、25重量%の親水性増粘剤を加えた比較例2
では吸水性が悪く、吸水後べたつき感があり、また残存
モノマー量も多い。従って、実施例8〜10のように、
水溶性単量体に対して0.01〜15重量%でプレポリマーを
得ることができる親水性増粘剤を使用すれば、吸水性が
良好で、残存モノマー量が小さく、また吸水時のべたつ
き感等のない使用感の良好な吸水性複合体を得ることが
できる。
【0077】実施例1〜3と、実施例4との比較より、
プレポリマーの基材への塗工において、点状部の直径を
6mmと大きくすると、吸水性複合体の吸水速度が小さ
く、また残存モノマーがやや多くなる。また、実施例5
より、点状部の間隔が大きくなると、塗工量が少なくな
る。さらに実施例6では、線状部の線幅cが点状部の直
径aより大きく塗工量は十分であるが、吸水速度がやや
小さくなる。従って、プレポリマーを基材上に、点状部
と、複数の点状部を繋ぐ線状部による模様状に塗布し、
且つ、点状部および線状部の各サイズを0.1<直径a(m
m)<5.0、0.05<間隔b(mm)<2、0.05<線幅c(mm)<直
径、とすれば、吸水量、吸収速度がより良好で、残存モ
ノマー量が非常に小さく、基材の柔軟性を損なわず感触
が良好な吸水性複合体を得ることができるので、より好
ましい。また、実施例7の結果を、実施例1と比較する
と、30分で飽和吸収量に達していることから、発泡剤の
添加により吸収性能が向上することが分かる。
【0078】<実施例11>本実施例では、種々の繊維
質基材に、プレポリマーを実施例1におけるパターンA
で塗工した。 不織布として、疎水性のPE/PETエアスルー(秤量25 g
/m2)を使用して、実施例1のプレポリマー1をパターン
Aで塗布した。得られたプレポリマー塗工物について、
塗工の均一性を評価したところ良好であった。 不織布として、疎水性のPPスパンボンド(秤量40 g/m
2)を使用して、実施例1のプレポリマー1をパターンA
で塗布した。得られたプレポリマー塗工物について、塗
工の均一性を評価したところ良好であった。 不織布として、疎水性のPP/PETエアスルー(秤量40 g
/m2)を使用して、実施例1のプレポリマー1をパターン
Aで塗布した。得られたプレポリマー塗工物について、
塗工の均一性を評価したところ良好であった。
【0079】<実施例12>本実施例では、種々の親水
性繊維質基材に、プレポリマーを実施例1におけるパタ
ーンAで塗工した。 本実施例では、不織布として、親水性のPP SMS(秤量
8 g/m2)を使用して、実施例1のプレポリマー1をパタ
ーンAで塗布した。得られたプレポリマー塗工物につい
て、塗工の均一性を評価したところ、プレポリマーが基
材に含浸するなどにより不良であった。 本実施例では、不織布として、親水性のレーヨンスパ
ンレース(秤量40 g/m2)を使用して、実施例1のプレ
ポリマー1をパターンAで塗布した。得られたプレポリ
マー塗工物について、塗工の均一性を評価したところ、
プレポリマーが基材に含浸するなどにより不良であっ
た。 本実施例では、不織布として、親水性のコットンスパ
ンレース(秤量40 g/m2)を使用して、実施例1のプレ
ポリマー1をパターンAで塗布した。得られたプレポリ
マー塗工物について、塗工の均一性を評価したところ、
プレポリマーが基材に含浸するなどにより、均一性は実
施例11に比較してやや劣っていた。従ってプレポリマ
ーを塗布する基材としては、疎水性または撥水性のもの
を用いると、親水性繊維質基材を用いる場合に比べて塗
工の均一性がより良好となるので好ましい。
【0080】
【発明の効果】本発明の第1の手段によれば、水溶性単
量体の一部を重合させて作製したプレポリマーを基材上
に塗工し、然る後にプレポリマーを重合・架橋させて吸
収性樹脂を形成させることにより、単量体が基材内部に
含浸することを防止でき、また単量体に紫外線を適切に
照射して重合反応を進行させることができるので、基材
上に吸収性樹脂が好適に固着された吸水性複合体を製造
することができる。従って、得られた吸水性複合体は、
吸収性樹脂が基材上からはがれたり流動したりすること
がなく、好適に使用できる。また、吸水性複合体に残存
する単量体の量が低減される。さらに、単量体が基材内
部に含浸して重合・架橋することが防止されるので、基
材の柔軟性が損われることを防止できる。加えて、基材
表面に吸収性樹脂が固着されるので、吸収力を十分に発
揮させることができる。また本発明の第2の手段によれ
ば、上記第1の手段と同様の効果が得られ、また製造さ
れる吸収性樹脂は、適度なゲル強度を有し、吸収性能も
よく、また吸収性樹脂が吸水膨潤した際のべたつき感も
低減されるので、好適に使用できる吸水性複合体を得る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した第1の実施の形態による吸水
性複合体の製造方法の製造工程を示すフローチャートで
ある。
【図2】プレポリマーを、所定の間隔の点状部と、複数
の点状部を線状部で連結するパターンで塗工した場合の
一例を示す平面図である。
【図3】プレポリマーを、所定の間隔の点状部と、複数
の点状部を線状部で連結するパターンで塗工した場合
の、他の例を示す平面図である。
【図4】本発明を適用した第2の実施の形態による吸水
性複合体の製造方法の製造工程を示すフローチャートで
ある。
【符号の説明】
1 点状部 2 線状部 3 基材(繊維質基材)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 美保 享 愛知県名古屋市港区昭和町17番地23 東亞 合成株式会社生産技術研究所内 (72)発明者 窪田 耕三 愛知県名古屋市港区昭和町17番地23 東亞 合成株式会社生産技術研究所内 (72)発明者 山本 浩司 愛知県名古屋市港区昭和町17番地23 東亞 合成株式会社生産技術研究所内 (72)発明者 阿津地 稔 愛知県名古屋市港区船見町1番地の1 東 亞合成株式会社高分子材料研究所内 Fターム(参考) 4L033 AA01 AA04 AA05 AA07 AA08 AB07 AC07 CA04 CA05 CA07 CA18 CA29 DA02

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アクリル酸および/またはアクリル酸塩を
    主体とする水溶性単量体と、光重合開始剤と、を含む組
    成物に、紫外線を照射することにより、前記水溶性単量
    体の一部を重合させてプレポリマーを形成させる第1の
    工程と、 繊維質基材上に、少なくとも架橋剤を溶解させた前記プ
    レポリマーを塗工する第2の工程と、前記プレポリマー
    が塗工された繊維質基材に紫外線を照射することによ
    り、当該プレポリマーに含まれる前記水溶性単量体を重
    合させて当該プレポリマーを硬化させる第3の工程と、 を有することを特徴とする吸水性複合体の製造方法。
  2. 【請求項2】前記第2の工程において、 前記繊維質基材上に、前記プレポリマーを、点状部と、
    前記点状部の直径より幅の小さい線からなる線状部と、
    が交互に連結するパターンに塗工することを特徴とする
    請求項1記載の吸水性複合体の製造方法。
  3. 【請求項3】前記第2の工程において、 前記プレポリマーを、0.1<直径(mm)<5.0、0.05<間隔
    (mm)<2、の前記点状部と、0.05<線幅(mm)<〔前記点
    状部の直径〕、の前記線状部と、を形成するように、前
    記繊維質基材上に塗工することを特徴とする請求項2に
    記載の吸水性複合体の製造方法。
  4. 【請求項4】前記第2の工程において、 前記塗工前に、前記プレポリマーに、発泡剤を添加する
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の吸水
    性複合体の製造方法。
  5. 【請求項5】アクリル酸および/またはその塩を主成分
    とする水溶性単量体と、前記水溶性単量体に対して0.01
    〜15重量%の量の親水性増粘剤と、水と、光重合開始剤
    と、架橋剤と、を混合して製した組成物を、繊維質基材
    上に塗工し、さらに当該組成物が塗工された繊維質基材
    に紫外線を照射することにより、当該組成物に含まれる
    水溶性単量体を重合させて当該組成物を硬化させること
    を特徴とする吸水性複合体の製造方法。
  6. 【請求項6】前記繊維質基材上に、前記組成物を、点状
    部と、前記点状部の直径より幅の小さい線からなる線状
    部と、が交互に連結するパターンに塗工することを特徴
    とする請求項5に記載吸水性複合体の製造方法。
  7. 【請求項7】前記組成物を、0.1<直径(mm)<5.0、0.05
    <間隔(mm)<2、の前記点状部と、0.05<線幅(mm)<
    〔前記点状部の直径〕、の前記線状部と、を形成するよ
    うに、前記繊維質基材上に塗工することを特徴とする請
    求項6に記載の吸水性複合体の製造方法。
  8. 【請求項8】前記組成物に、発泡剤を添加することを特
    徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の吸水性複合体
    の製造方法。
  9. 【請求項9】繊維質基材上に、アクリル酸および/また
    はアクリル酸塩を主体とする水溶性単量体を重合して得
    られる吸収性樹脂が固着された吸水性複合体において、
    点状部と、前記点状部より幅の小さい線状部と、が交互
    に連続して形成されるように、前記吸収性樹脂が前記繊
    維質基材上に固着されていることを特徴とする吸水性複
    合体。
  10. 【請求項10】繊維質基材上に、アクリル酸および/ま
    たはアクリル酸塩を主体とする水溶性単量体を重合して
    得られる吸収性樹脂が固着された吸水性複合体におい
    て、0.1<直径(mm)<5.0、0.05<間隔(mm)<2.0、の前
    記点状部と、0.05<線幅(mm)<〔前記点状部の直径〕、
    の前記線状部と、が形成されるように、前記吸収性樹脂
    が前記繊維質基材上に固着されていることを特徴とする
    請求項9に記載の吸水性複合体。
  11. 【請求項11】繊維質基材上に、アクリル酸および/ま
    たはアクリル酸塩を主体とする水溶性単量体を重合して
    得られる吸収性樹脂が固着された吸水性複合体におい
    て、前記繊維質基材は、疎水性もしくは撥水性であるこ
    とを特徴とする吸水性複合体。
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