JPH07292142A - 吸水性複合体の製造方法 - Google Patents

吸水性複合体の製造方法

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JPH07292142A
JPH07292142A JP6090846A JP9084694A JPH07292142A JP H07292142 A JPH07292142 A JP H07292142A JP 6090846 A JP6090846 A JP 6090846A JP 9084694 A JP9084694 A JP 9084694A JP H07292142 A JPH07292142 A JP H07292142A
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JP
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monomer
water
substrate
polymer
acid
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JP6090846A
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English (en)
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Norisuke Suminaga
憲資 角永
Koichi Okamoto
功一 岡本
Koji Miyake
浩司 三宅
Nobuyuki Harada
信幸 原田
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 吸水性ポリマーの移動あるいは脱落が起こら
ない、可溶分及び残存モノマーの極めて少ない、しかも
加圧下の吸収量に優れた吸水性複合体の製造方法を提供
する。 【構成】 酸基の中和率が20モル%未満である酸基含
有モノマーを含む水溶液を基材に施した後該モノマーを
重合し、次いで重合により生成したポリマーの酸基の2
0モル%以上を中和剤で中和することを特徴とする吸水
性複合体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、吸水性複合体の製造方
法に関するものである。更に詳しくは、吸水性ポリマー
が基材に安定に固着され、水可溶分及び残存する未重合
モノマーが極めて少なく、しかも加圧下の吸収量に優れ
た吸水性複合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、高吸水能を有する吸水性ポリマー
は生理用ナプキン、紙おむつ等を始めとする衛生材料の
吸水剤や農園芸分野における緑化や植物を育成するため
の保水剤等として広く使用されている。
【0003】しかしながら、これらの吸水性ポリマー
は、その吸水性能はかなり高いレベルを有するものの、
ほとんどが粉末状の形態であるため、例えば生理用ナプ
キン、紙おむつ等の衛生材料の吸水剤として使用する場
合には、パルプ等の他の基材との複合化が必要で、その
場合にも吸収コア内に分散された吸水性ポリマーは着用
使用時または放尿時に移動あるいは集合化することがあ
り、その吸水性能が期待した値より下回ることがあっ
た。又、粉末であるため取り扱いにくく、吸収コア内に
分散するには特別な装置を必要とするものであった。
【0004】このような問題を解決するために特開昭6
2−97979号公報において少量の架橋剤を含むカル
ボキシル基の20%以上が中和された高中和度のアクリ
ル酸系モノマーの水溶液と酸化性のラジカル重合開始剤
を混合後、繊維質基体に施し、しかる後にアミン類又は
還元剤を施して重合させるという吸水性複合体の製造方
法が提案されている。
【0005】又、特開昭63−10638号公報ではカ
ルボキシル基が20%以上が中和された高中和度のアク
リル酸を主成分とするモノマーを繊維質基体に施し、ラ
ジカル重合開始剤の作用によって重合させ、更に電磁性
放射線または微粒子性イオン化放射線を照射する吸水性
複合体の製造方法が提案されている。
【0006】これらの方法によれば、吸水性ポリマーが
繊維質基体に直接重合固着しているため、上記したポリ
マー粉末の移動あるいは集合化、更に取り扱い等の問題
点についてはかなりの改良がみられる。
【0007】しかしながらこれら方法では、得られる複
合体の吸水性ポリマー中に、水に可溶性の成分(以下、
可溶分と呼ぶ)が多く、また未重合のモノマー(以下、
残存モノマーと呼ぶ)も比較的多く残存し、しかも加圧
下の吸収量の劣った複合体しか得ることができなかっ
た。
【0008】従って、これまで知られている製造方法で
は、得られる複合体中の吸水性ポリマーの可溶分及び残
存モノマーを極めて低いレベルに抑えることが難しく、
しかも加圧下の吸収量も満足なレベルではなかった。
【0009】そのため、使用できる用途範囲は制限さ
れ、例えば、紙おむつやナプキン等の衛生材料の吸水
材、野菜・肉・魚介類等の食用品の鮮度保持材、包装材
またはドリップ吸収材等としての使用は困難であった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記課題を解
決するものである。従って、本発明の目的は、吸水性ポ
リマー中の可溶分及び残存モノマーが極めて少なく安全
性の高い、しかも加圧下の吸収量に優れた吸水性複合体
の製造方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するため手段】本発明者らは中和率が特定
の範囲である酸基含有モノマーを含む水溶液を基材に施
し該モノマーの重合を行った後、重合により生成したポ
リマーを中和剤で中和することにより、上記課題を解決
できることを見いだし本発明に到達した。
【0012】即ち、本発明は、酸基の中和率が20モル
%未満である酸基含有モノマーを含む水溶液を基材に施
した後該モノマーを重合し、次いで重合により生成した
ポリマーの酸基の20モル%以上を中和剤で中和するこ
とを特徴とする吸水性複合体の製造方法を提供する。
【0013】以下、本発明について詳細に説明する。
【0014】本発明に用いられるモノマーは酸基を含有
するモノマーである。具体的には、アクリル酸、メタク
リル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロト
ン酸、シトラコン酸、ビニルスルホン酸、(メタ)アリ
ルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチ
ルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルエタ
ンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルプロパンスル
ホン酸等が挙げられる。ここで(メタ)アクリルは、ア
クリル及びメタクリルを意味する。得られる複合体の吸
水性能や安全性等の観点からアクリル酸を主成分とする
モノマーが好ましい。特に好ましくはアクリル酸を50
モル%以上含むモノマーである。
【0015】この発明ではこれら酸基を含有するモノマ
ーの中和率が20モル%未満であることが必須であり、
好ましくは中和率は10モル%以下である。酸基の中和
率が20モル%以上であると、生成するポリマーの可溶
分及び残存モノマーが著しく増加し、しかも中和後の加
圧下の吸収量も小さくなる。酸基の中和は予めナトリウ
ムやカリウムなどのアルカリ金属やアンモニウム等によ
り中和されたモノマーを用いたり、あるいはモノマーに
アルカリ金属やアンモニアの水酸化物や炭酸塩等を加え
ることにより行うことができる。
【0016】本発明では、上記酸基含有モノマーに加え
酸基含有モノマーと共重合可能なモノマーを用いること
ができる。共重合可能なモノマーとしてはN,N’−ジ
メチルアミノエチル(メタ)アクリレートおよびその4
級化物、(メタ)アクリルアミド、N,N’ジメチル
(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)ア
クリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ
ート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレー
ト等の水溶性モノマーが挙げられる。得られる複合体の
吸水性能やモノマーの重合性が低下しない範囲でアクリ
ル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸アルキル
エステル類などの低水溶性モノマーの併用も可能であ
る。これら共重合可能なモノマーはモノマー中に50モ
ル%以下、好ましくは30モル%以下用いることができ
る。
【0017】又、上記モノマー中には、架橋剤を加える
ことができる。具体的には、N,N′−メチレンビス
(メタ)アクリルアミドおよびポリエチレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ
(メタ)アクリレート等に代表される多官能性の水溶性
エチレン性不飽和モノマーやカルボン酸基やスルホン酸
基等の酸基と反応することのできる多価アルコール、多
価エポキシ化合物、多価アミン等が挙げられる。架橋剤
の使用は、得られる吸水性複合体の耐久性や保形性を向
上できる点で好ましい。架橋剤の使用量は、モノマーの
種類や重合条件により適宜選択することができるが、一
般に0.001〜10モル%(対モノマー)の範囲であ
り、好ましくは0.01〜5モル%(対モノマー)の範
囲である。
【0018】本発明では、必要に応じ上記モノマーを含
む水溶液(以下、モノマー水溶液と略すことがある)
に、ラジカル重合開始剤、増粘剤等の水溶性ポリマーま
たはその他の添加剤が加えられてもよい。その他の添加
剤としては、界面活性剤、紫外線吸収剤、防かび剤、難
燃剤、吸湿剤等の添加剤が挙げられ、新たな機能を付与
することも可能である。又、モノマー水溶液は、水溶性
有機溶媒が少量溶存したものであってもよい。
【0019】上記酸基含有モノマーを含む水溶液のモノ
マー濃度は、特に制限はないが、重合性及び低可溶分化
の観点から20〜35重量%の範囲が好ましい。モノマ
ー濃度が20重量%未満だと重合性が低下し、35重量
%を越えると可溶分が増加することがあり好ましくな
い。
【0020】上記モノマー水溶液を施す基材は該モノマ
ー水溶液を付着可能なものであれば特に制限はされな
い。例えば、フィルム;ボード;ファイバーや不織布等
の繊維質基体;またはスポンジ等の多孔性基体;等が挙
げられるが、重合性、生産性、経済性等の観点から繊維
質基体または多孔性基体が好ましい。
【0021】繊維質基体としては、繊維をゆるく成形し
てなるもの、例えば、パット、カーディングもしくはエ
アレイイングしたウエブ、ティッシュペーパー、木綿ガ
ーゼの様な織布、メリヤス地、編地または不織布等であ
るが好ましくは不織布である。ここで、繊維質基体と
は、その繊維質基体を使用する場合に、切断、接合、造
形等が必要になることはあるが、ウエブ形成作業はさら
に施す必要がないものを意味する。
【0022】繊維質基体を構成する繊維は親水性繊維、
疎水性繊維の何れも使用できる。例えば、木材パルプ、
レーヨン、木綿、アセテート、ビニロン、その他のセル
ロース系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリエ
ステル系、ポリアクリル系、ポリナイロン系、ポリスチ
レン系、ポリアミド系、ポリビニルアルコール系、ポリ
塩化ビニル系、ポリ塩化ビニリデン系、ポリアクリロニ
トリル系、ポリ尿素系、ポリウレタン系、ポリフルオロ
エチレン系、ポリシアン化ビニリデン系、グラスウール
系、ロックウール系等の繊維を繊維質基体に使用するこ
とができ、上記の繊維を2種以上複合して用いても良
い。
【0023】又、多孔性基体としては、例えば、スポン
ジ、骨材、ネット状基材が挙げられるが、好ましくはス
ポンジである。スポンジの種類としては、ポリウレタン
スポンジ、ポリエチレンフォーム、ポリプロピレンフォ
ーム、ゴムスポンジ、ポリビニルアセタール系スポン
ジ、ビスコーススポンジ等を用いることができる。特
に、多孔性基体として連続孔を有するスポンジを用いた
場合、スポンジ状基材の特性である高いクッション性、
及び広い表面積を持つ連続気泡構造内に被吸収液体を迅
速に吸収する吸収能、更には高断熱性等を合わせ持った
吸水性複合体を得ることができる。従って、血液等の吸
水性ポリマーのみでは吸収し難い液体であっても迅速に
多量に吸収でき、衛生材料や食品分野の用途に好適に使
用できる吸水性複合体を得ることができる。その他にも
クッション性と吸水性とを要求される液漏れ防止材や包
装材としても用いることができる。このものは断熱性の
観点から窓、押入、コンテナ等の結露防止材としても有
効である。
【0024】上記基材に施すモノマー量は、特に制限は
ないが、通常基材1重量部に対してモノマー0.5〜1
0重量部の範囲である。付着量が0.5重量部未満だと
吸水性能が著しく低下し、10重量部を越えると得られ
る複合体のポリマーが脱落し易くなったり、硬くなるた
めに風合いが悪くなることがある。
【0025】モノマー水溶液を基材に施す方法として
は、モノマーが基材上に均一または所望する通りに分散
保持され、重合しうる限り、何れの公知の手段も用いる
ことができる。具体的には、モノマー水溶液を基材に含
浸、噴霧、塗布または印刷することである。又、必要に
応じて噴霧、含浸、塗布または印刷後にローラー等で搾
り取り、モノマー付着量をコントロールすることができ
る。モノマー水溶液は基材全面に付着したり、あるいは
一方の面にのみ付着したりすることができる。基材の厚
さ方向に対し濃度勾配を与えることもできる。また、点
状・ストライプ状・格子状・その他の模様状にモノマー
水溶液を付着させることもできる。
【0026】このようにして基材に付着させたモノマー
は、公知の手段により重合し基材に吸水性ポリマーを直
接固着できる。モノマーを重合する方法としては、例え
ば、熱、光、γ線、電子線、紫外線、マイクロ波等を用
いる方法を採用できる。
【0027】又、必要であればラジカル重合開始剤の存
在下で重合しても良い。この場合ラジカル重合開始剤及
びモノマーの添加方法は、モノマー水溶液中にラジカル
重合開始剤を添加しておくか、あるいはラジカル重合開
始剤をモノマーとは別の溶液としてモノマー水溶液付着
後の基材に噴霧等によって均一に付着させるか、あるい
はラジカル重合開始剤をモノマーとは別の溶液として基
材に付着させておいて、そこへモノマー水溶液を噴霧、
塗布、含浸等によって均一に付着させる等の方法であ
る。好ましくは、予めモノマー水溶液中にラジカル重合
開始剤を添加しておくことである。本発明で使用できる
ラジカル重合開始剤としては、水溶性または水と混合・
分散可能な酸化性またはアゾ系のラジカル性重合開始剤
である。例えば、酸化性重合開始剤としては、過硫酸ナ
トリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過
硫酸塩;過酸化水素等の無機過酸化物;ジ第3ブチルペ
ルオキシド、アセチルペルオキシド等の有機過酸化物等
が挙げられ、アゾ系重合開始剤としては、2,2’−ア
ゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩、2,2’−
アゾビス(N,N’ジメチレンイソブチルアミジン)2
塩酸塩、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等の
アゾ化合物を挙げることができる。
【0028】重合開始剤が過酸化物であるとき還元性物
質がその分解を促進する。例えば、過硫酸塩に対しては
亜硫酸塩、L−アスコルビン酸、アミン等を用いること
ができる。過酸化物と還元性物質との組み合わせからな
る重合開始剤はレドックス開始剤として周知のものであ
る。従って、本発明の「重合開始剤」という用語は、こ
のような還元性物質との組み合わせ、特にレドックス開
始剤も包含するものである。
【0029】重合開始剤の添加量は、一般的に、モノマ
ーに対して0.001〜10g/モルであるが、低可溶
分化、重合性及び安全性の観点からは0.01〜1g/
モルの範囲が好ましい。
【0030】重合温度は開始剤の種類や量により適宜設
定することができ、一般に50〜200℃の範囲であ
り、好ましくは100〜150℃の範囲である。重合温
度が50℃より低いと重合時間が長くなりすぎることが
あり、200℃よりも高いと基材が劣化したりかえって
性能が低下してしまうことがある。
【0031】本発明では、酸基の中和率が20モル%未
満のモノマーを基材上で重合させた後、重合により生成
するポリマーを中和剤でポリマーの有する酸基の20モ
ル%以上を中和する工程が必須である。ポリマーの有す
る酸基の中和率が20モル%未満のままでは、可溶分及
び残存モノマーは少ないものの、吸水性能が低いものと
なり好ましくない。重合後に基材に固着したポリマーの
酸基を中和することは重要で、この「後中和」により高
い吸水性能が発現する。後中和により20モル%以上の
酸基が中和されるが、吸水性能を充分に高くするには中
和率を50〜99モル%の範囲とすることが好ましい。
中和率が20モル%よりも低いと充分な吸水能が得られ
ず、99モル%よりも高いと得られる複合体が黄変した
りポリマーのpHが高くなりすぎ安全性の観点から好ま
しくないものとなったり、複合体が劣化してしまうこと
がある。
【0032】本発明で使用される中和剤としては公知の
ものが挙げられるが、好ましくは塩基性物質または弱酸
の塩である。例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、水酸化リチウム、水酸化アンモニウム、炭酸ナトリ
ウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸カリウム
ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、
炭酸水素アンモニウム、りん酸ナトリウム、りん酸カリ
ウム、りん酸アンモニウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸
カリウム、ホウ酸アンモニウム、しゅう酸ナトリウム、
しゅう酸カリウム、しゅう酸アンモニウム、酢酸ナトリ
ウム、酢酸カリウム、酢酸アンモニウム等を挙げること
ができ、これらの1種又は2種以上の混合物を使用する
ことができる。これらの中で工業的な入手の容易さ、経
済性、安全性及び中和効率等の観点から、好ましいの
は、水酸化ナトリウム等の水酸化アルカリまたは炭酸ナ
トリウム等の炭酸塩である。
【0033】中和方法としては、基材に固着したポリマ
ーを均一に中和できるものであれば特に制限はなく、例
えば、上記中和剤の水溶液をシート状複合体に回分式ま
たは連続的に含浸、噴霧、塗布または印刷等により施し
中和することができる。中和剤の水溶液の濃度は特に制
限はないが、中和を均一に行うため30重量%以下が好
ましく、更に好ましくは10重量%以下である。又、中
和剤の微粉末を直接ポリマー添加することもできる。
【0034】この発明では、上記の様にしてポリマーを
中和した後、必要に応じ過剰の中和剤を洗浄することが
できる。また、中和後の複合体は適宜乾燥することがで
きる。
【0035】本発明では、粉末状のポリマーやゲルは中
和によりままこが生じたり凝集したりあるいは中和が不
均一となりかえって吸水性能が低下したり可溶分が増加
したりすることがあるのに対し、モノマーを基材上で重
合するので生成するポリマーは基材に固着しており、そ
のため中和剤で中和するとき、中和剤がポリマーに浸透
しやすくままこも生じることがなく、均一な中和が行わ
れ中和効率も良好となる。
【0036】こうして得られる吸水性複合体は、複合体
中の吸水性ポリマー中の可溶分や残存モノマーが従来の
方法で得られるものに比べ格段に少なく、また複合体の
加圧下での吸水量も高いものとなる。
【0037】この発明では、重合後のポリマーにγ線や
電子線等の活性エネルギー照射線や紫外線を照射するこ
とができる。活性エネルギー照射線や紫外線の照射はポ
リマーを中和剤で中和する前または後何れの段階におい
ても行うことができる。照射線や紫外線の照射により残
存モノマーは更に低減され極めて安全性の高い吸水性複
合体が得られる。また、照射により複合体の加圧下の吸
収量も更に高いものとなる。
【0038】照射時、複合体中のポリマーの水分量は特
に制限はないが、一般にポリマー固形分量1重量部に対
して、0.01〜1重量部範囲が好ましい。水分量が
0.01重量部未満または1重量部を越えると、残存モ
ノマーの低減効果が小さくなることがある。
【0039】活性エネルギー照射線の照射量としては、
ポリマーの含水率や残存モノマー量により適宜設定する
ことができるが、一般に0.1〜100Mradの範囲
である。照射量が0.1Mradより少ないと照射の効
果が少なく、100Mradよりも多いと吸水性能が低
下することがある。また、紫外線の照射量は5〜400
W/cmの範囲である。照射量が5W/cmより弱いと
照射の効果が少なく、400W/cmより多いとかえっ
て可溶分や残存モノマーが増加することがある。
【0040】照射する時の雰囲気としては、真空下また
は窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスや水蒸気の
存在下、または空気中の何れも使用できる。また照射温
度には特に制限はなく、室温で充分その目的を達成する
ことができる。
【0041】
【作用】この発明において得られる複合体の吸水性ポリ
マーは、アクリル酸に代表される中和率20モル%未満
のモノマ―を基材に施した後、生成するポリマーも中和
率を20モル%以上としているので、中和率が20モル
%以上の高中和のモノマーを使用した場合に比べ、分子
量が高分子量化し、可溶分及び残存モノマーが格段に低
減する。更に、加圧下の吸収量も多くなり吸水特性が向
上する。また、モノマー水溶液の濃度を20〜35重量
%とすることにより、可溶分は特に低減される。
【0042】本発明では、ポリマーが基材に重合固着し
ているので、ポリマーの表面積が大きく、中和剤で中和
した際に中和剤がポリマーに浸透しやすく、またままこ
等が生じないため、粉末状のポリマーやゲルの中和に比
べて、中和が均一に行われ中和によるポリマーの劣化も
なく、可溶分や残存モノマ―の少ない複合体が得られ
る。また、複合体がシート状であるので中和剤での中和
を連続的に行うことができ生産性も良好となる。
【0043】本発明では、重合により生成したポリマー
を中和剤で中和する前または後に、γ線や電子線等の活
性エネルギー照射線や紫外線を重合後のポリマーに照射
することにより、未重合の残存モノマーをほぼ完全に重
合させることができ、残存モノマーは更に低減され極め
て安全性の高いものとなる。しかも加圧下の吸収量も更
に向上する。特に照射時のポリマー中の水分量を、ポリ
マー1重量部の0.01〜1重量部の範囲とすることに
より、複合体中の吸水性ポリマーの残存モノマーは最も
低減させることができる。こうして得られる複合体は、
安全性の要求が高い食品分野や衛生材料品分野等に好適
に使用できるものとなる。
【0044】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳しく説明
するがこれらの実施例に限定されるものでない。
【0045】尚、実施例記載の吸水量、可溶分量、残存
モノマー量、加圧下の吸収量を下記の方法で測定した。
【0046】(吸水量)5*5cmに切り取った吸水性
複合体の乾燥試料をイオン交換水100mlが入った1
20mlビーカー内に入れ1時間浸漬した。その後、濾
紙上で20秒間吸引し余分な水を取り除き試料重量を測
定した。次式に従い吸水量を算出した。 吸水量(g/m2)=(吸水後の重量−初期乾燥重量)
/試料サイズ (可溶分量)ポリマー量が0.5gである試料を細かく
細断し1000mlのイオン交換水中に分散・攪拌し、
16時間後分散液を濾紙で濾過する。濾液中の可溶分量
をコロイド滴定にて求めた。
【0047】(残存モノマー量)ポリマー量が0.5g
である試料を細かく細断し1000mlのイオン交換水
中に分散・攪拌せしめ2時間後分散液をワットマン濾紙
で濾過し濾液中の残存モノマー量をHPLCを用い測定
した。
【0048】(加圧下の吸収量)図1に示すように、天
秤1上に載置された外気吸入パイプ2を備えかつ0.9
重量%の生理食塩水3が収容された生理食塩水収容部4
に導管5により連通する逆ロート6よりなり、該逆ロー
ト6の頂部にグラスフィルター7を取り付けてなる装置
を用い、該フィルター7上に吸水性複合体の試料を載置
し、その上におもり9を載置し、30分後の30g/c
2荷重下における試料の吸収量(g/g)を測定し
た。なお、試料は予め直径5.5cmの円形に切り取っ
たものを使用した。
【0049】ー実施例1ー 中和率0モル%の未中和アクリル酸水溶液にN,N’−
メチレンビスアクリルアミド0.5モル%(対モノマ
ー)及び過硫酸ナトリウム0.2g/モル(対モノマ
ー)を溶解し30重量%のモノマー水溶液を調製した。
次にこのモノマー水溶液に、坪量が25g/m2のポリ
プロピレン製不織布を浸漬し、該水溶液を含浸させた
後、余分なモノマー水溶液をローラーで絞り取った。こ
の含浸物を120℃で加熱しラジカル重合を行って、4
0g/m2の吸水性ポリマーが基材に直接固着した複合
体を得た。
【0050】次いで、この複合体に4重量%の水酸化ナ
トリウム水溶液を噴霧して中和率75モル%となるよう
中和した後乾燥して本発明の吸水性複合体(1)を得
た。
【0051】吸水性複合体(1)の吸水量は2000g
/m2であり、可溶分量は0%、残存モノマー量は30
0ppm、加圧下の吸収量は13.1g/gであった。
【0052】ー実施例2ー 中和率10モル%の部分中和アクリル酸ナトリウム水溶
液にトリメチロールプロパントリアクリレート2.0モ
ル%(対モノマー)及び過硫酸ナトリウム0.3g/モ
ル(対モノマー)を溶解し30重量%のモノマー水溶液
を調製した。次にこのモノマー水溶液に、坪量が80g
/m2のポリウレタンスポンジを浸漬し、該水溶液を含
浸させた後、余分なモノマー水溶液をローラーで絞り取
った。この含浸物を加熱しラジカル重合を行って、81
g/m2の吸水性ポリマーが基材に直接固着した複合体
を得た。
【0053】次いで、この複合体に5重量%の炭酸ナト
リウム水溶液を含浸させて中和率を99モル%に中和し
た後乾燥して本発明の吸水性複合体(2)を得た。
【0054】吸水性複合体(2)の吸水量は1500g
/m2であり、可溶分量は0%、残存モノマー量は40
0ppm、加圧下の吸収量は11.2g/gであった。
【0055】ー実施例3ー 中和率0モル%の未中和アクリル酸水溶液にN,N’−
メチレンビスアクリルアミド0.5モル%(対モノマ
ー)及び過硫酸ナトリウム0.2g/モル(対モノマ
ー)を溶解し30重量%のモノマー水溶液を調製した。
次にこのモノマー水溶液に、坪量が25g/m2のポリ
プロピレン製不織布を浸漬し、該水溶液を含浸させた
後、余分なモノマー水溶液をローラーで絞り取った。こ
の含浸物を加熱しラジカル重合を行って、42g/m2
の吸水性ポリマーが基材に直接固着した複合体を得た。
【0056】この複合体に4重量%の水酸化ナトリウム
水溶液を含浸させて中和度75%に中和し乾燥した。こ
の時のポリマーの含水率は30重量%であった。この複
合体に6Mradの電子線を照射して本発明の吸水性複
合体(3)を得た。
【0057】吸水性複合体(3)の吸水量は1500g
/m2であり、可溶分量は0%、残存モノマー量は50
ppm、加圧下の吸収量は14.1g/gであった。
【0058】ー実施例4ー 実施例3と同じ条件で重合を行い、重合後の中和の前に
10Mradの電子線を照射した。その後4重量%の水
酸化ナトリウム水溶液を噴霧して中和率75モル%に中
和した後乾燥して吸水性複合体(4)を得た。
【0059】吸水性複合体(4)の吸水量は1000g
/m2であり、可溶分量は0%、残存モノマー量は0p
pm、加圧下の吸収量は12.2g/gであった。
【0060】ー実施例5ー 実施例3において電子線の代わりに紫外線ランプにて紫
外線を照射した他は実施例3と同様にして本発明の吸水
性複合体(5)を得た。
【0061】吸水性複合体(5)の吸水量は1600g
/m2であり、可溶分量は0%、残存モノマー量は55
ppm、加圧下の吸収量は14.1g/gであった。
【0062】ー比較例1ー モノマ―として75モル%部分中和アクリル酸ナトリウ
ムを用い、重合後の後中和を行わなかった他は、実施例
1と同じ条件で重合を行って比較吸水性複合体(1)を
得た。
【0063】比較吸水性複合体(1)の吸水量は195
0g/m2で、可溶分量は5%、残存モノマー量は10
00ppm、加圧下の吸収量は8.9g/gであった。
【0064】ー比較例2ー モノマ―として75モル%部分中和アクリル酸ナトリウ
ムを用い、重合後の後中和を行わなかった他は、実施例
3と同じ条件で重合及び電子線の照射を行って比較吸水
性複合体(2)を得た。
【0065】比較吸水性複合体(2)の吸水量は145
0g/m2で、可溶分量は4%、残存モノマー量は60
0ppm、加圧下の吸収量は8.5g/gであった。
【0066】ー比較例3ー 重合後の中和を行わなかった他は、実施例1と同じ条件
で重合を行い、比較吸水性複合体(3)を得た。
【0067】比較吸水性複合体(3)の吸水量は200
g/m2で、可溶分量は0%で、残存モノマー量は50
0ppm、加圧下の吸収量は2.2g/gであった。
【0068】
【発明の効果】本発明の吸水性複合体の製造方法によれ
ば、吸水性ポリマーが基材から移動あるいは脱落がなく
安定した、可溶分及び残存モノマーが極めて少なく安全
性の高い、しかも加圧下の吸収量に優れた吸水性複合体
を得ることができる。
【0069】従って、本発明の吸水性複合体は安全性が
高く吸水性能に優れるので、紙オムツ、生理用ナプキン
等の衛生用品の吸水剤や肉・魚介類のドリップ吸収体等
の食品分野の吸水材として好適に用いることができる。
その他にも食品・植物・機器等の包装材や液漏れ防止材
としても好適であり、空調機・窓・押入・コンテナ・建
材等の結露防止材や油中水分除去材料、空調機・冷蔵庫
等の蒸発体、杭引き抜き用潤滑材としても使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明において使用される加圧下吸収量
測定装置の概略断面図である。 (符号の説明) 1:天秤、2:外気吸入パイプ、3:生理食塩水、4:
生理食塩水収納部、5:導管、6:逆ロート、7:フィ
ルター、8:吸収体、9:おもり
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 原田 信幸 兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地の 1 株式会社日本触媒高分子研究所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸基の中和率が20モル%未満である酸
    基含有モノマーを含む水溶液を基材に施した後該モノマ
    ーを重合し、次いで重合により生成したポリマーの酸基
    の20モル%以上を中和剤で中和することを特徴とする
    吸水性複合体の製造方法。
  2. 【請求項2】 酸基含有モノマーがアクリル酸を主成分
    とするものである請求項1記載の吸水性複合体の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 酸基含有モノマーを含む水溶液のモノマ
    ー濃度が20〜35重量%である請求項1または2記載
    の吸水性複合体の製造方法。
  4. 【請求項4】 基材が繊維質基体または多孔性基体であ
    る請求項1〜3の何れかに記載の吸水性複合体の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 中和剤が塩基性物質または弱酸の塩であ
    る請求項1〜4の何れかに記載の吸水性複合体の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 基材に施すモノマ―量が基材1重量部に
    対し0.5〜10重量部の範囲である請求項1〜5の何
    れかに記載の吸水性複合体の製造方法。
  7. 【請求項7】 重合により生成したポリマーの酸基の2
    0モル%以上を中和剤で中和する前または後に、活性エ
    ネルギー照射線または紫外線をポリマーに照射する請求
    項1〜6の何れかに記載の吸水性複合体の製造方法。
  8. 【請求項8】 活性エネルギ−照射線または紫外線を照
    射するポリマーが、ポリマーの固形分1重量部に対し水
    分を0.01〜1重量部含むものである請求項7記載の
    吸水性複合体の製造方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6284367B1 (en) 1996-11-14 2001-09-04 Neptco, Inc. Process for the preparation of nonwoven water blocking tapes and their use in cable manufacture
US6348236B1 (en) 1996-08-23 2002-02-19 Neptco, Inc. Process for the preparation of water blocking tapes and their use in cable manufacture
JP2006043581A (ja) * 2004-08-04 2006-02-16 Matsushita Electric Ind Co Ltd 吸湿性フィルタおよびその製造方法および再生方法および加湿装置および除湿装置
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US10161080B2 (en) * 2013-03-06 2018-12-25 Carl Freudenberg Kg Ventilation insert

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