JP2003219799A - 緑茶飲料の製造法 - Google Patents
緑茶飲料の製造法Info
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Abstract
工程)、第一工程の抽出残渣を50℃以上の温水で抽出
し(第二工程)、第一工程で得られた抽出液(A)と第
二工程で得られた抽出液(B)を混合し、次いで殺菌処
理を施す緑茶飲料の製造法。 【効果】 加熱殺菌後の異臭が抑制され、雑味の発生が
少なく、カテキン類特有の苦味、渋味が抑制された、高
濃度のカテキン類を含有し、飲み易い緑茶飲料が効率良
く得られる。
Description
に含有し、香味の改良された緑茶飲料の製造法およびこ
の製造法により得られる緑茶飲料に関する。
ロール上昇抑制作用(特許第1620943号)やαア
ミラーゼ活性阻害作用(特許第3018013号)等を
有することが知られている。お茶を飲むことにより、こ
のようなカテキン類の生理効果を得るためには、成人で
一日あたり4〜5杯のお茶を飲むことが必要(食品工
業、35(14)、26−30 1992)である。そ
こで、より簡便にカテキン類を大量に摂取できる、カテ
キン類を高濃度に含有した飲料の開発が望まれていた。
するには二つの方法が考えられる。ひとつは、粉砕した
茶葉を添加する方法(特開平10−234301号)で
ある。しかしながら、この方法においては、粉砕物を高
濃度に配合した場合、粉っぽくなり、のどごし、後味が
良好ではない。更に、製造、流通過程を経由して提供さ
れる飲料としては、飲用時、有効成分である粉砕した茶
葉が底に沈んでいたり、上面に浮遊していたりすること
となる。特に、ペットボトル等の透明容器を使用した飲
料の場合、このような沈殿等の存在する状態は外観上商
品価値を大きく損なうことになる。また、生理的効果を
訴求する飲料においては沈殿物が生成していてもよい
が、飲用の際、全体を振ったり撹拌する等の、粉砕した
茶葉を均一に分散する操作が必要になる。
販の茶抽出液の濃縮物およびその精製物(以下カテキン
製剤)を添加して溶解状態でカテキン類を増量する方法
である。濃厚な茶抽出液や精製を行っていないカテキン
製剤を用いる場合、茶粉末等による飲用時の違和感は改
善されるが、飲料の加熱殺菌の際に異臭が発生するこ
と、および溶解したカテキン類が苦味、渋味を呈するこ
とから、カテキン製剤を多量に添加された飲料は、異
臭、苦味、渋味が強すぎるものとなってしまう。カテキ
ン類の生理的効果を得るためには、長期的あるいは日常
的に飲用できる飲料とする必要があるにもかかわらず、
これらの手段により得られた飲料は、この要求を満たす
ものではなかった。
としてはいくつかの技術が開示されている。例えば、特
開2001-231450においては異臭の原因となる成分を除去
した二煎目以降の緑茶抽出液を使用した緑茶缶飲料の製
造方法が開示されている。この方法では抽出液からのカ
テキン類の抽出と加熱殺菌臭の抑制に主眼がおかれてい
るために、一煎目の成分を利用できないという処方上の
制約がある。またカテキン類を高濃度に含有する飲料に
おける強すぎる苦味や渋味の問題についてはなんら解決
されていない。
茶などの茶類飲料の製造方法において、茶類を20℃以
下の冷水で抽出して冷水抽出液を除去した後、該残渣を
30〜95℃の温水で再抽出する技術による加熱殺菌臭
を抑制する技術が開示されている。しかしながら、この
方法においても一煎目の成分を利用できないという問題
が解決されておらず、前記と同様の課題が残る。また一
煎目の冷水抽出の条件が的確ではない為に、二煎目にお
ける“雑味”発生を抑制できていないという問題があっ
た。またこれら二つの先行技術においては一煎目の成分
を使用できないことから、アミノ酸、糖類、有機酸類な
どのいわゆる旨味成分のない飲料になってしまうという
問題もあった。
度にカテキン類を含有し、加熱殺菌の際の“異臭の発
生” や“雑味”を低減させた緑茶飲料の効率的な製造
法とそのようにして得られる緑茶飲料を提供することに
ある。
葉からの抽出手法について種々検討した結果、まず緑茶
葉を10℃未満の冷水にて抽出を行い、この抽出残渣を
50℃以上の温水で抽出し、二つの工程によって得られ
た抽出液を混合し、次いで加熱殺菌処理することによ
り、加熱殺菌の際に生成する異臭の発生が抑制され、雑
味の発生が少なく、カテキン類特有の苦味、渋味が抑制
された、高濃度にカテキン類を含有する緑茶飲料が得ら
れることを見出した。
水で抽出し(第一工程)、第一工程の抽出残渣を50℃
以上の温水で抽出し(第二工程)、第一工程で得られた
抽出液(A)と第二工程で得られた抽出液(B)を混合
し、次いで加熱殺菌処理を施す緑茶飲料の製造法、及び
当該方法により得られる緑茶飲料を提供するものであ
る。
Camellia属、例えばC.sinensis、C.assamica及び、やぶ
きた種、又はそれらの雑種から得られる茶葉から製茶さ
れた、煎茶、番茶、玉露、てん茶、釜入り茶等が挙げら
れる。
の水で抽出する工程である。10℃以上の温度の水によ
る抽出では最終的に得られた飲料の雑味および苦味の改
善効果および加熱殺菌による異臭発生の抑制効果が十分
ではない。好ましい水温は−5〜9℃であり、より好ま
しくは−5〜8℃であり、さらに好ましくは−5〜5℃
である。あまり水温が低すぎると凍結の防止が困難であ
り、またエネルギー消費が大きくなる。
〜40重量倍、特に 5〜25重量倍が好ましい。抽出
時間は抽出方法および抽出の際のスケールに依存するが
1〜120分程度が好ましく、より好ましくは1〜10
0分、更に好ましくは1〜80分である。使用する水は
水道水、蒸留水、イオン交換水などどれでも良いが、味
の面からイオン交換水が好ましい。
バック様の抽出など従来の抽出方法により行うことがで
きる。また、カラム中に茶葉を充填し、これに冷水を通
過させる方法が、複数回の抽出を行う場合には作業効率
が良い。また抽出時の水に、あらかじめアスコルビン酸
ナトリウムなどの有機酸又は有機酸塩類を添加してもよ
い。また煮沸脱気や窒素ガス等の不活性ガスを通気して
溶存酸素を除去しつつ、いわゆる非酸化的雰囲気下で抽
出する方法を用いてもよい。抽出液のpHとしては、3〜
7、特に4〜7が好ましい。
を50℃以上の温水で抽出する工程である。50℃未満
の温水による抽出では、カテキン類濃度の高い飲料が得
られないだけでなく、緑茶中のカテキン組成とは大きく
異なってしまい、好ましくない。この第二工程の抽出に
おいて抽出される主要な成分はカテキン類であり、目的
とするカテキン類の組成に応じて抽出温度を選ぶのが好
ましい。60〜100℃における抽出が抽出効率の面か
ら好ましく、70〜100℃がさらに好ましい。
に対して5〜40重量倍、特に5〜25重量倍が好まし
い。抽出時間は抽出方法および抽出の際のスケールに依
存するが、高温のため雑味等の発生を抑制する目的で1
〜60分が好ましく、より好ましくは1〜40分、更に
好ましくは1〜30分である。なお、抽出方法は、第一
工程と同じ装置が採用できる。
第二工程で得られた抽出液(B)を混合する。第一工程
の抽出液と第二工程の抽出液の混合比率は目的とする飲
料の期待する生理効果や呈味に応じて任意に決定される
が、第一工程で得られる抽出液(A)と第二工程で得ら
れる抽出液(B)の混合重量比率(A/B)は、緑茶飲
料中のカテキン類濃度の確保、及び緑茶の風味の維持の
点から、4/1〜1/6が好ましく、より好ましくは3
/1〜1/5、更に好ましくは2/1〜1/3である。
理は加熱殺菌であればよく、容器等に充填した後に行っ
てもよいし、充填前に行ってもよい。より具体的には、
例えば、金属缶のように容器に充填後、加熱殺菌できる
場合にあっては食品衛生法に定められた殺菌条件で行な
われる。PETボトル、紙容器のようにレトルト殺菌で
きないものについては、あらかじめ上記と同等の殺菌条
件、例えばプレート式熱交換器等で高温短時間殺菌後、
一定の温度迄冷却して容器に充填する等の方法が採用さ
れる。更に、酸性下で加熱殺菌後、無菌下でpHを中性に
戻すことや、中性下で加熱殺菌後、無菌下でpHを酸性に
戻すなどの操作も可能である。
しながらも、雑味が少なく、苦味が緩和され、加熱殺菌
後の異臭発生が抑制された飲料の製造が可能となる。こ
こでカテキン類とは、カテキン、ガロカテキン、カテキ
ンガレート、ガロカテキンガレート等の非エピ体カテキ
ン類及びエピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキ
ンガレート、エピガロカテキンガレート等のエピ体カテ
キン類をあわせての総称である。本発明の緑茶飲料は非
重合体であって水に溶解状態にあるカテキン類を、好ま
しくは0.092〜0.5重量%、より好ましくは0.
1〜0.4重量%、更に好ましくは0.1〜0.3重量
%、特に好ましくは0.14〜0.3重量%含有する。
この範囲にあると多量のカテキン類を摂取し易く、本発
明の製造法にて製造することで強烈な苦味・渋味、強い
収斂性が緩和される。また、加熱殺菌の後の異臭の発生
も抑制される。また、これらの非重合カテキン類の45
〜65重量%、さらに45〜60重量%、特に45〜5
7重量%がカテキンの没食子酸エステルであるのが、苦
味防止及び生理効果の点で好ましい。ここで当該カテキ
ンの没食子酸エステル含有率(ガレート体率)とはカテ
キンガレート、ガロカテキンガレート、エピカテキンガ
レート、エピガロカテキンガレートの総量を上記の8種
のカテキン類の総量で除した値である。
剤、香料、各種エステル類、有機酸類、有機酸塩類、無
機酸類、無機酸塩類、無機塩類、色素類、乳化剤、保存
料、調味料、甘味料、苦味調整剤、酸味料、pH調整剤、
品質安定剤等の添加剤を単独、あるいは併用して配合し
ても良い。
果糖、異性化液糖、グリチルリチン、ステビア、アスパ
ルテーム、スクラロース、フラクトオリゴ糖、ガラクト
オリゴ糖が挙げられる。苦味調整剤としては、シクロデ
キストリンに代表される環状デキストリンが挙げられ
る。環状デキストリンとしては、α−、β−、γ−シク
ロデキストリン及び、分岐のα−、β−、γ−シクロデ
キストリンが使用できる。環状デキストリンは、本発明
の緑茶飲料中に0.05〜0.5重量%、特に0.05
〜0.4重量%含有するのが好ましい。酸味料として
は、天然成分から抽出した果汁類のほか、クエン酸、酒
石酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、リン酸が挙げられ
る。無機酸類、無機酸塩類としてはリン酸、リン酸二ナ
トリウム、メタリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウ
ム等が、有機酸類、有機酸塩類としてはクエン酸、コハ
ク酸、イタコン酸、リンゴ酸、クエン酸ナトリウム等が
挙げられる。
のアスコルビン酸またはその塩を抽出工程で又は抽出後
に添加することができる。緑茶飲料中におけるアスコル
ビン酸またはその塩の濃度は、抗酸化効果及び味の点か
ら0.01〜0.2重量%が好ましく、より好ましくは
0.02〜0.15重量%、更に好ましくは0.03〜
0.1重量%である。
好ましく、容器詰飲料に使用される容器としては、一般
の飲料と同様にポリエチレンテレフタレートを主成分と
する成形容器(いわゆるPETボトル)、金属缶、金属
箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、瓶など
が挙げられる。ここでいう容器詰飲料とは希釈せずに飲
用できるものをいう。
る異臭の発生が抑制され、雑味の発生が少なく、カテキ
ン類特有の苦味、渋味が抑制された、高濃度のカテキン
類を含有し、飲み易い緑茶飲料が効率良く得られる。こ
れらの効果の発現メカニズムについては明らかではない
が、以下のように考えられる。茶葉中にはカテキン類や
アミノ酸類などの他、多様な成分が濃縮状態で存在して
いる。一方、通常の抽出だけでは“雑味”や“異臭”は
ないという事実から“雑味”や"異臭“を発現する成分
は本来の茶葉中には存在しないものと思われる。しかし
ながら10℃以上の抽出条件においては加熱後の雑味や
異臭が関係する成分が生成するために、茶葉中に含まれ
る成分間の反応が、加熱殺菌条件で促進され、これらの
悪影響を発現する成分が生成するものと考えられる。一
方、10℃未満の抽出条件においてはこれらの反応が進
行することなく、反応関与成分の片方もしくは両方が抽
出希釈された状態におかれる。その結果、希釈状態での
加熱によってはこれらの“雑味”や"異臭“を発現する
成分の生成が極度に抑えられるものと考えられる。
所製、高速液体クロマトグラフ(形式SCL−10AV
P)を用い、オクタデシル基導入液体クロマトグラフ用
パックドカラム L−カラムTM ODS(4.6mm
Φ×250mm:財団法人 化学物質評価研究機構製)
を装着し、カラム温度35℃でグラジエント法により行
った。移動相A液は酢酸を0.1mol/L含有の蒸留
水溶液、B液は酢酸を0.1mol/L含有のアセトニ
トリル溶液とし、試料注入量は20μL、UV検出器波
長は280nmの条件で行った。
ラムに充填し、ポンプにて0℃の冷水1500mLを毎
分500mLで10分間循環させ抽出を行った。抽出
後、抽出液1301mLを回収し、抽出液1とした。抽
出液1中のカテキン濃度は108mg/100mLであ
った。
00mLで20分間循環させ抽出を行った。抽出後、抽
出液1357mLを回収し、氷水で速やかに冷却し、抽
出液2とした。抽出液2中のカテキン濃度は474mg
/100mLであった。
g、β−シクロデキストリン2.88g、アスコルビン
酸0.8gにイオン交換水350gを加え、5%重曹水
溶液にてpH6.2とし、さらにイオン交換水を加え総
量800gとした。これを缶に充填し、121℃にて2
0分間殺菌を行い実施例1の飲料を得た。飲料中のカテ
キン濃度は124mg/100mLであった。
飲料を得た。
と同様に配合し、缶に充填、殺菌して比較例1の飲料を
得た。
出液2を用い、表1に従い、実施例1と同様に配合し、
缶に充填、殺菌して比較例2、3、4の飲料を得た。 比較例5 表1に従い抽出液1,2を得た。同じく表1に従い、実
施例1と同様な方法にて、比較例5の飲料を得た。
ン製剤(固形分中カテキン類含有量34%)を用い、実
施例1と同様に配合し、缶に充填、殺菌して比較例5の
飲料を得た。
例1、2、3)および比較の飲料(比較例1、2、3、
4、5、6)の評価を行った。評価項目は加熱殺菌臭の
強さ、苦味の強さ、飲用後に残る渋味の強さ、雑味の強
さであり、評価結果を表1に示す。
ュな味が認められ雑味が少なく、加熱殺菌に由来する異
臭の発生が少なく、苦味も適度であった。飲用後に舌に
残る渋味は非常に弱かった。比較例1については、緑茶
のフレッシュな味は消失し、雑味と過熱殺菌臭の生成が
認められた。飲用後に残る渋味が顕著であった。
べれば軽度であるが抽出液1の抽出温度が高くなるにつ
れ本来の味が消失し、雑味が強くなった。加熱殺菌臭の
発生は少なかったが、抽出液1の抽出温度が高くなるに
つれ、苦味の増加が認められ、後味の渋味の増加が顕著
であった。比較例5については加熱殺菌臭の発生は少な
く苦味も適度であったが、雑味の生成および後味に残る
渋味が認められた。比較例6については加熱殺菌臭とと
もに異臭が認められ苦味は適度であったが、後に残る渋
味、雑味が顕著に認められた。
Claims (5)
- 【請求項1】 緑茶葉を10℃未満の水で抽出し(第一
工程)、第一工程の抽出残渣を50℃以上の温水で抽出
し(第二工程)、第一工程で得られた抽出液(A)と第
二工程で得られた抽出液(B)を混合し、次いで殺菌処
理を施す緑茶飲料の製造法。 - 【請求項2】 第一工程で得られる抽出液(A)と第二
工程で得られる抽出液(B)の混合重量比(A/B)が
4/1〜1/6である請求項1記載の緑茶飲料の製造
法。 - 【請求項3】 緑茶飲料が、非重合体カテキン類を0.
092〜0.5重量%含有するものである請求項1また
は2記載の緑茶飲料の製造法。 - 【請求項4】 非重合体カテキン類の45〜65重量%
がカテキン類の没食子酸エステルである請求項3記載の
緑茶飲料の製造法。 - 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項記載の製造
法により得られる緑茶飲料。
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