JP2003204945A - 振幅増加指数算出装置および動脈硬化検査装置 - Google Patents

振幅増加指数算出装置および動脈硬化検査装置

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 より正確に振幅増加指数を算出することがで
きる振幅増加指数算出装置を提供する。 【解決手段】 上腕に装着したカフの圧迫圧力を最高血
圧値よりも高い圧力とした状態でカフに発生する上腕脈
波(高圧時脈波)を検出すると、2つのピークが観測で
きる。この2つのピークは進行波成分のピークと反射波
成分のピークをそれぞれ表す。この高圧時脈波から決定
した進行波成分のピークの発生時点および反射波成分の
ピークの発生時点から、カフの圧迫圧力が最低血圧値よ
りも低い圧力において得られる上腕脈波(低圧時脈波)
の進行波成分のピーク発生時点および反射波ピーク発生
時点を決定すると、正確に低圧時脈波の進行波成分のピ
ーク発生時点および反射波ピーク発生時点が決定できる
ので、正確な振幅増加指数AIを算出することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、振幅増加指数を算
出する振幅増加指数算出装置および振幅増加指数に基づ
いて動脈硬化を検査する動脈硬化検査装置に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】振幅増加指数は、一般的にはAI(=Augmen
tation Index)として知られており、大動脈のコンプラ
イアンスを評価するために、脈波の進行波成分に対する
反射波成分の割合を表したものである。大動脈のコンプ
ライアンスが大きいと反射波成分が小さくなり、コンプ
ライアンスが小さいと反射波成分は大きくなる。つまり
大動脈血管が硬くなると大動脈波形の反射波成分が大き
くなることから、振幅増加指数は動脈硬化を反映するの
で、動脈硬化を検査する指標などに用いられる。
【0003】前述のように、振幅増加指数は脈波の進行
波成分に対する反射波成分の割合であるが、検出される
脈波(以下、検出脈波という)を進行波成分と反射波成
分に分離することは困難であるので、振幅増加指数の算
出方法は、検出脈波から進行波成分のピーク発生時点と
反射波成分のピーク発生時点を決定し、進行波成分のピ
ーク発生時における検出脈波の大きさと、反射波成分の
ピーク発生時における検出脈波の大きさとの差を、検出
脈波の脈圧で割ることによって算出する。また、進行波
成分のピーク発生時点は、検出脈波の立ち上がり点から
ピークまでにおける変曲点または極大点の発生時点であ
るとし、反射波成分のピーク発生時点は、進行波成分の
ピーク以降における最初の極大点の発生時点であるとし
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、振幅増
加指数は大動脈のコンプライアンスを評価するものであ
るので、臨床では、体表面上から検出できる脈波の中で
大動脈に最も近い頸動脈波を用いて振幅増加指数を算出
している。
【0005】しかし、頸動脈波を検出するための頸動脈
波センサは、適切な位置に装着するのに熟練を要し、ま
た、測定時間も比較的長いという問題点がある。そのた
め、上腕脈波など、検出が容易な脈波を用いて振幅増加
指数を算出したいという要求が出てきた。
【0006】しかし、頸動脈波以外では、反射波成分の
ピーク発生時点が、進行波成分のピーク以降における最
初の極大点の発生時点ではない場合もあることが判明し
た。
【0007】図1は、異なる二人の患者について、それ
ぞれ頸動脈波と上腕脈波を同時に検出し、その頸動脈波
と上腕脈波とを立ち上がり点が一致するように並べて示
す図である。なお、上腕脈波は、カフの圧迫圧力を最低
血圧値よりも低い圧力とした状態でカフに伝達される圧
力振動から弁別した脈波(本明細書ではこの脈波を低圧
時脈波という)であり、正確な波形を検出するための通
常の方法である。
【0008】図1(a)に示す患者の場合、上腕脈波から
決定される進行波成分のピーク発生時点t1および反射波
成分のピーク発生時点t2は、ともに頸動脈波から決定さ
れるものと一致する。多くの患者は、このように、上腕
脈波から決定される進行波成分のピーク発生時点および
反射波成分のピーク発生時点が、頸動脈波から決定され
るものと一致する。
【0009】一方、図1(b)に示す患者の場合も、上腕
脈波から決定される進行波成分のピーク発生時t1は、頸
動脈波から決定されるものと一致する。しかし、従来通
り進行波成分のピーク以降における最初の極大点を反射
波成分のピーク発生時点とすると、上腕脈波から決定さ
れる反射波成分のピーク発生時点t3は、頸動脈波から決
定される反射波成分のピーク発生時点t2と一致しない。
従って、図1(b)に示す患者の場合には、従来通りに算
出した振幅増加指数は不正確となってしまう。
【0010】本発明は以上の事情を背景として為された
ものであって、その目的とするところは、より正確に振
幅増加指数を算出することができる振幅増加指数算出装
置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は、カフの圧迫
圧力を最高血圧値よりも高い圧力としているときにカフ
に発生する圧力振動は、後でデータを提示して示すよう
に、2つの極大値を示し、且つ、1つ目の極大値が進行
波成分のピークであり、2つ目の極大値が反射波成分の
ピークであることを発見した。そして、この2つの極大
値の発生時点を用いて、振幅増加指数を算出するための
検出脈波の進行波成分のピーク発生時点および反射波成
分のピーク発生時点を決定すれば、正確な振幅増加指数
を算出できることを見いだした。本発明は、係る考えに
基づいてなされたものである。
【0012】すなわち、前記目的を達成するための本発
明は、生体から検出される脈波に基づいて、その脈波の
進行波成分に対するその脈波の反射波成分の割合を表す
振幅増加指数を算出するための振幅増加指数算出装置で
あって、(a)前記生体の所定部位に装着されるカフと、
(b)そのカフの圧迫圧力を制御するカフ圧制御装置と、
(c)前記生体から前記カフに伝達する圧力振動から脈波
を弁別する脈波弁別装置と、(d)前記カフ圧制御装置に
より前記カフの圧迫圧力がそのカフの装着部位における
最高血圧値よりも高い圧力とされている状態で前記脈波
弁別装置により弁別される高圧時脈波に基づいて、その
高圧時脈波の進行波成分のピーク発生時とその高圧時脈
波の反射波成分のピーク発生時を決定するピーク発生時
決定手段と、(e)前記カフ圧制御装置により前記カフの
圧迫圧力がそのカフの装着部位における平均血圧値より
も低い圧力とされている状態で前記脈波弁別装置により
弁別される低圧時脈波における進行波成分のピーク発生
時および反射波成分のピーク発生時を、前記ピーク発生
時決定手段により決定された高圧時脈波の進行波成分の
ピーク発生時と反射波成分のピーク発生時に基づいて決
定し、その低圧時脈波の進行波成分のピーク発生時点に
おける大きさと反射波成分のピーク発生時点における大
きさとに基づいて、前記振幅増加指数を算出する振幅増
加指数算出手段とを含むことを特徴とする。
【0013】
【発明の効果】この発明によれば、ピーク発生時決定手
段により、カフの圧迫圧力が最高血圧値よりも高い圧力
において検出される脈波から、進行波成分のピーク発生
時点と反射波成分のピーク発生時点とが決定され、振幅
増加指数算出手段では、ピーク発生時決定手段により決
定された進行波成分のピーク発生時点と反射波成分のピ
ーク発生時点とに基づいて、低圧時脈波の進行波成分の
ピーク発生時と反射波成分のピーク発生時が決定され
て、低圧時脈波から振幅増加指数が算出されるので、正
確な振幅増加指数が算出される。
【0014】
【発明の他の態様】前記カフは、たとえば、上腕に装着
される。カフが上腕に装着されると、脈波弁別装置によ
り弁別される脈波は上腕の動脈からの脈波となるので、
振幅増加指数算出手段により算出される振幅増加指数
は、上腕の動脈における脈波の振幅増加指数となる。
【0015】また、好ましくは、前記カフ圧制御装置
は、血圧測定のために、前記カフの圧迫圧力を前記カフ
が装着されている部位の最高血圧より高い圧力から最低
血圧より低い圧力まで徐速降圧させる徐速降圧過程を含
む血圧測定制御を実行するものであり、前記高圧時脈波
は、前記カフ圧制御装置による血圧測定制御過程におい
て前記カフの圧迫圧力が最高血圧よりも高い圧力とされ
ている状態で前記脈波弁別装置により弁別される脈波で
あり、前記低圧時脈波は、前記カフ圧制御装置による血
圧測定制御過程において前記カフの圧迫圧力が最低血圧
よりも低い圧力とされている状態で前記脈波弁別装置に
より弁別される脈波である。このようにすれば、血圧測
定のためにカフの圧迫圧力が制御される際に高圧時脈波
および低圧時脈波が得られ、その高圧時脈波および低圧
時脈波から振幅増加指数が算出されるので、血圧測定と
同時に振幅増加指数が得られる利点がある。
【0016】前記振幅増加指数算出装置は動脈硬化検査
装置として用いることができる。すなわち、その動脈硬
化検査装置は、前記振幅増加指数算出装置により算出さ
れた振幅増加指数に基づいて前記生体の動脈硬化を検査
するものである。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて詳細に説明する。図2は、本発明が適用され
た動脈硬化検査装置10の回路構成を示すブロック図で
ある。
【0018】図2において、カフ12はゴム製袋を布製
帯状袋内に有し、上腕部14に巻回される。カフ12に
は、圧力センサ16、調圧弁18が配管20を介してそ
れぞれ接続されている。また、調圧弁18には、配管2
2を介して空気ポンプ24が接続されている。調圧弁1
8は、空気ポンプ24により発生させられた圧力の高い
空気を調圧してカフ12内へ供給し、或いは、カフ12
内の空気を排気することにより、カフ12内の圧力を調
圧する。
【0019】圧力センサ16は、カフ12内の圧力を検
出してその圧力を表す圧力信号SPを静圧弁別回路26お
よび脈波弁別回路(すなわち脈波弁別装置)28にそれ
ぞれ供給する。静圧弁別回路26はローパスフィルタを
備えており、圧力信号SPに含まれる定常的な圧力すなわ
ちカフ12の圧迫圧力(以下、この圧力をカフ圧PCとい
う)を表すカフ圧信号SCを弁別してそのカフ圧信号SCを
A/D変換器30を介して電子制御装置32へ供給す
る。脈波弁別回路28はバンドパスフィルタを備えてお
り、圧力信号SPの振動成分であるカフ脈波信号SMを弁別
してそのカフ脈波信号SMをA/D変換器34を介して電
子制御装置32へ供給する。上記カフ脈波信号SMは、図
示しない上腕動脈からカフ12に伝達される圧力振動で
あることから上腕脈波を表す。
【0020】電子制御装置32は、CPU36、ROM38、
RAM40、および図示しないI/Oポート等を備えた所謂マ
イクロコンピュータにて構成されており、CPU36は、R
OM38に予め記憶されたプログラムに従ってRAM40の
記憶機能を利用しつつ信号処理を実行することにより、
I/Oポートから駆動信号を出力して空気ポンプ24およ
び調圧弁18を制御する。CPU36は、その空気ポンプ
24および調圧弁18を制御することによりカフ圧PCを
制御する。また、CPU36は、図3に詳しく示す機能を
実行することにより振幅増加指数AIを算出し、さらに、
表示器42の表示内容を制御する。
【0021】図3は、動脈硬化検査装置10における電
子制御装置32の制御機能の要部を説明する機能ブロッ
ク線図である。
【0022】カフ圧制御手段50は、静圧弁別回路26
から供給されるカフ圧信号SCに基づいて調圧弁18およ
び空気ポンプ24を制御して、カフ圧PCを制御する。従
って、静圧弁別回路26、調圧弁18、空気ポンプ24
およびカフ圧制御手段50によりカフ圧制御装置51が
構成される。カフ圧制御手段50は、調圧弁18および
空気ポンプ24を制御することにより、以下の血圧測定
制御を実行する。すなわち、カフ圧制御手段50は、カ
フ圧PCを上腕部14における最高血圧値BPSYSよりも高
い値に予め設定された昇圧目標圧力値(たとえば180mmH
g)まで急速に昇圧し、その後、2〜3mmHg/secに設定
された徐速降圧速度でカフ圧PCを徐速降圧させる。そし
て、次述する血圧値決定手段52により最低血圧値BP
DIAが決定された後に、カフ圧PCを一拍分以上の間、そ
の平均血圧値BPMEANまたは最低血圧値BPDIAに基づいて
定まる脈波検出圧力値とする。この脈波検出圧力値は、
カフ圧PCが最低血圧値BPDIAよりも高いと脈波弁別回路
28によって弁別される上腕脈波に歪みが生じ、特に、
平均血圧値BPMEAN よりも高くなると上腕脈波の歪みが
大きくなって、正確な振幅増加指数AIを算出することが
困難になることから、平均血圧値BPMEANよりも低い値、
好ましくは最低血圧値BPDIAよりも低い値に設定され
る。しかし、カフ圧PCが低すぎても弁別される上腕脈波
が小さくなりすぎて正確な振幅増加指数AIを算出するこ
とが困難になるので、脈波検出圧力値は、上腕脈波の大
きさが十分な大きさとなる程度に高い値に設定される。
【0023】血圧値決定手段52は、カフ圧制御手段5
0によりカフ圧PCが徐速降圧させられる過程において、
順次採取されるカフ脈波信号SMが表す上腕脈波の振幅の
変化に基づき、よく知られたオシロメトリック法を用い
て最高血圧値BPSYS・最低血圧値BPDIA・平均血圧値BP
MEANを決定し、その決定した最高血圧値BPSYS等を表示
器42に表示する。
【0024】ピーク発生時決定手段54は、カフ圧制御
手段50によりカフ圧PCが上腕部14における最高血圧
値BPSYSよりも高い圧力において徐速降圧されている状
態で、脈波弁別回路28により弁別される上腕脈波(以
下、この上腕脈波を高圧時脈波という)について、進行
波成分のピーク発生時点および反射波成分のピーク発生
時点を決定する。図4は、図1の2つの脈波(頸動脈波
および低圧時脈波)と、高圧時脈波とを立ち上がり点が
一致するようにして並べて示す図であり、一点鎖線で示
す波形が高圧時脈波である。図4(a)、(b)ともに、高圧
時脈波には、2つのピークが観測でき、先に検出される
ピーク発生時点は、頸動脈波から決定される進行波成分
のピーク発生時点t1と一致し、後に検出されるピークは
頸動脈波から決定される反射波成分のピーク発生時点t2
と一致していることから、高圧時脈波の2つのピークの
うち先に検出されるピークの発生時点を進行波成分のピ
ーク発生時点に決定し、後に検出されるピークの発生時
点を反射波成分のピーク発生時点に決定する。
【0025】振幅増加指数算出手段56は、まず、ピー
ク発生時決定手段54により決定した高圧時脈波の進行
波成分のピーク発生時および反射波成分のピーク発生時
に基づいて、カフ圧制御手段50によりカフ圧PCが前記
脈波検出圧力値とされている状態で脈波弁別回路28に
より弁別される上腕脈波すなわち低圧時脈波の進行波成
分のピーク発生時点および反射波成分のピーク発生時点
を決定する。すなわち、高圧時脈波の立ち上がり点の発
生時点および低圧時脈波の立ち上がり点の発生時点を一
致させた状態において、高圧時脈波の進行波成分のピー
ク発生時点および反射波成分のピーク発生時点を、低圧
時脈波の進行波成分のピーク発生時点および反射波成分
のピーク発生時点にそれぞれ決定する。さらに、低圧時
脈波の脈圧PPを決定し、低圧時脈波の反射波成分のピー
ク発生時点における大きさbから進行波成分のピーク発
生時点における大きさaを引いた差分値ΔP(=b-a)および
脈圧PPから、式1に示す関係を用いて振幅増加指数AIを
算出し、算出した振幅増加指数AIを表示器42に表示す
る。 (式1) AI=(ΔP/PP)×100 (%)
【0026】図5は、図3の機能ブロック線図に示した
CPU36の制御作動をさらに具体的に説明したフローチ
ャートである。
【0027】図5において、まずステップS1(以下、
ステップを省略する。)では、空気ポンプ24を起動さ
せ、且つ、調圧弁18を制御することにより、カフ圧PC
の急速昇圧を開始する。そして、S2では、カフ圧PCが
180mmHgに設定された昇圧目標圧力値PCMを超えたか否か
を判断する。このS2の判断が否定されるうちは、S2
の判断を繰り返し実行し、カフ圧PCの急速昇圧を継続す
る。一方、S2の判断が肯定された場合には、S3にお
いて、空気ポンプ24を停止させ、且つ、調圧弁18を
制御することにより、カフ圧PCの3mmHg/sec程度での徐
速降圧を開始する。
【0028】続くS4では、脈波弁別回路28から供給
されるカフ脈波信号SMを一拍分読み込む。このS4で読
み込んだカフ脈波信号SMは、徐速降圧開始当初に読み込
むものであることから、カフ圧PCが最高血圧値BPSYS
りも高い圧力における上腕脈波すなわち高圧時脈波であ
る。
【0029】続くS5はピーク発生時決定手段54に相
当し、S4で読み込んだ高圧時脈波の進行波成分のピー
ク発生時点および反射波成分のピーク発生時点を決定す
る。図4の一点鎖線で示すように、高圧時脈波は2つの
極大点を示すことから、最初の極大点の発生時点を進行
波成分のピーク発生時点に決定し、後の極大点の発生時
点を反射波成分のピーク発生時点に決定する。
【0030】続いて血圧値決定手段52に相当するS6
乃至S9を実行する。S6は、前記S4と同様の処理で
あり、脈波弁別回路28から供給されるカフ脈波信号SM
を一拍分読み込む。そして、続くS7は、カフ圧PCの徐
速降圧過程で上記S6において逐次得られる上腕脈波の
振幅の変化に基づいて、良く知られたオシロメトリック
方式の血圧測定アルゴリズムに従って最高血圧値B
PSYS、平均血圧値BPMEAN、および最低血圧値BPDIAを決
定する。続くS8では、上記S7において血圧値BPの決
定が完了したか否かを判断する。上記S7では、最低血
圧値BPDIAが最後に決定されることから、S8では、最
低血圧値BPDIAが決定されたか否かを判断する。このS
8の判断が否定されるうちは、前記S6以下を繰り返し
実行する。一方、S8の判断が肯定された場合には、S
9において、S7で決定した最高血圧値BPSYS、平均血
圧値BPMEAN、最低血圧値BPDIAを表示器42に表示す
る。
【0031】続くS10では、カフ圧PCを、上記S7で
決定した最低血圧値BPDIAから比較的小さい値に設定さ
れた所定値αを引くことにより脈波検出圧力値を算出
し、カフ圧PCがその脈波検出圧力値まで降圧した時点で
調圧弁18を制御することにより、カフ圧PCをその圧力
に維持する。
【0032】続くS11は、前記S4、S6と同様の処
理であり、カフ圧PCが脈波検出圧力値に維持されている
状態で、脈波弁別回路28から供給されるカフ脈波信号
SMを一拍分読み込む。このS11で読み込んだカフ脈波
信号SMは、カフ圧PCが最低血圧値BPDIAよりも小さい圧
力において検出される脈波すなわち低圧時脈波である。
【0033】続いて振幅増加指数算出手段56に相当す
るS12乃至S14を実行する。まず、S12では、S
4で読み込んだ高圧時脈波の立ち上がり点を決定し、そ
の立ち上がり点の発生時点からS5で決定した進行波成
分のピーク発生時点までの第1期間およびその立ち上が
り点の発生時点からS5で決定した反射波成分のピーク
発生時点までの第2期間を算出する。さらに、S11で
読み込んだ低圧時脈波の立ち上がり点を決定し、その低
圧時脈波の立ち上がり点の発生時点から上記第1期間が
経過した時点を低圧時脈波の進行波成分のピーク発生時
点に決定し、その低圧時脈波の立ち上がり点から上記第
2期間が経過した時点を低圧時脈波の反射波成分のピー
ク発生時点に決定する。このようにすると、図4に示す
ように、高圧時脈波の立ち上がり点と低圧時脈波の立ち
上がり点とを一致させた状態において、高圧時脈波が示
す進行波成分のピーク発生時点および反射波成分のピー
ク発生時点が、低圧時脈波においても進行波成分のピー
ク発生時点および反射波成分のピーク発生時点にそれぞ
れ決定される。
【0034】続くS13では、低圧時脈波の脈圧PP、す
なわちS11で読み込んだカフ脈波信号SMの最大値と最
小値との差を算出する。そして、S14では、S12で
決定した反射波成分のピーク発生時点における低圧時脈
波の大きさbから進行波成分のピーク発生時点における
低圧時脈波の大きさaを引いた差分値ΔPを算出し、さら
に、その差分値ΔPおよびS13で算出した脈圧PPを前
記式1に代入することにより振幅増加指数AIを算出し、
その算出した振幅増加指数AIを表示器42に表示する。
【0035】続くS15では、調圧弁18を制御するこ
とによりカフ圧PCを大気圧まで排圧する。
【0036】上述のフローチャートに基づく実施例によ
れば、S5(ピーク発生時決定手段54)において、カ
フ圧PCが最高血圧値BPSYSよりも高い圧力において検出
される上腕脈波から、進行波成分のピーク発生時点と反
射波成分のピーク発生時点とが決定され、S12乃至S
14(振幅増加指数算出手段56)では、S5(ピーク
発生時決定手段54)で決定された進行波成分のピーク
発生時点と反射波成分のピーク発生時点とに基づいて、
低圧時脈波の進行波成分のピーク発生時と反射波成分の
ピーク発生時が決定されて、低圧時脈波から振幅増加指
数AIが算出されるので、正確な振幅増加指数が算出され
る。
【0037】また、上述のフローチャートに基づく実施
例によれば、血圧測定のためにカフ圧PCが制御される際
に高圧時脈波および低圧時脈波が得られ、その高圧時脈
波および低圧時脈波から振幅増加指数AIが算出されるの
で、血圧測定と同時に振幅増加指数AIが得られる利点が
ある。
【0038】以上、本発明の実施形態を図面に基づいて
詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適
用される。
【0039】たとえば、前述の動脈硬化検査装置10で
は、カフ12は、上腕部14に装着されていたが、他の
部位、たとえば大腿部や足首に装着されてもよい。
【0040】また、前述の動脈硬化検査装置10は、カ
フ圧制御手段50により、カフ圧PCが最高血圧値BPSYS
よりも高い圧力まで昇圧された直後に徐速降圧させられ
るようになっており、その徐速降圧過程で得られる上腕
脈波を高圧時脈波として用いていた。一方、低圧時脈波
には、カフ圧PCが脈波検出圧力値に維持されている状態
で得られる上腕脈波を用いていた。しかし、カフ圧がPC
が最高血圧値BPSYSよりも高い圧力で維持されるように
なっており、その圧力維持状態で得られる上腕脈波を高
圧時脈波として用いてもよい。また、低圧時脈波はカフ
圧PCの徐速降圧過程で得られる上腕脈波を用いてもよ
い。
【0041】また、前述の動脈硬化検査装置10では、
カフ圧PCが予め設定された昇圧目標圧力値PCMから徐速
降圧させられ始めた直後に得られる上腕脈波を、高圧時
脈波として用いていることから、高圧時脈波を検出する
ときのカフ圧PCは予め決定されていたが、実際に最高血
圧値BPSYSを測定し、その測定した最高血圧値BPSYSに基
づいて高圧時脈波を検出するときのカフ圧PCが決定され
てもよい。一方、前述の動脈硬化検査装置10では、低
圧時脈波を検出するときのカフ圧PCは実際に測定された
血圧値BPに基づいて定められるようになっていたが、低
圧時脈波を検出するときのカフ圧PCは予め設定された一
定値または一定範囲であってもよい。
【0042】また、振幅増加指数の算出式(式1)は、
分母が脈圧PPであることが一般的であるが、分母が進行
波成分のピーク発生時点または反射波成分のピーク発生
時点における低圧時脈波の振幅であっても、算出される
値は動脈硬化を反映するので、式1において脈圧PPに代
えて進行波成分のピーク発生時点または反射波成分のピ
ーク発生時点における低圧時脈波の振幅を用いてもよ
い。
【0043】なお、本発明はその主旨を逸脱しない範囲
において、その他種々の変更が加えられ得るものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】異なる二人の患者からそれぞれ検出された頸動
脈波と上腕脈波とを、立ち上がり点が一致するように並
べて示す図である。
【図2】本発明の動脈硬化検査装置の回路構成を示すブ
ロック図である。
【図3】図2の動脈硬化検査装置における電子制御装置
の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。
【図4】図1の頸動脈波および低圧時脈波に加えて、高
圧時脈波を立ち上がり点が一致するようにして並べて示
す図である。
【図5】図3の機能ブロック線図に示したCPUの制御作
動をさらに具体的に説明するためのフローチャートであ
る。
【符号の説明】
10:動脈硬化検査装置 12:カフ 28:脈波弁別回路(脈波弁別装置) 51:カフ圧制御装置 54:ピーク発生時決定手段 56:振幅増加指数算出手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 反保 明 愛知県小牧市林2007番1 日本コーリン株 式会社内 (72)発明者 本田 孝 愛知県小牧市林2007番1 日本コーリン株 式会社内 Fターム(参考) 4C017 AA07 AA09 AB01 AD07 BB13 BC01 BC07 BC11 DE01 DE05 FF30

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生体から検出される脈波に基づいて、該
    脈波の進行波成分に対する該脈波の反射波成分の割合を
    表す振幅増加指数を算出するための振幅増加指数算出装
    置であって、 前記生体の所定部位に装着されるカフと、 該カフの圧迫圧力を制御するカフ圧制御装置と、 前記生体から前記カフに伝達する圧力振動から脈波を弁
    別する脈波弁別装置と、 前記カフ圧制御装置により前記カフの圧迫圧力が該カフ
    の装着部位における最高血圧値よりも高い圧力とされて
    いる状態で前記脈波弁別装置により弁別される高圧時脈
    波に基づいて、該高圧時脈波の進行波成分のピーク発生
    時と該高圧時脈波の反射波成分のピーク発生時を決定す
    るピーク発生時決定手段と、 前記カフ圧制御装置により前記カフの圧迫圧力が該カフ
    の装着部位における平均血圧値よりも低い圧力とされて
    いる状態で前記脈波弁別装置により弁別される低圧時脈
    波における進行波成分のピーク発生時および反射波成分
    のピーク発生時を、前記ピーク発生時決定手段により決
    定された高圧時脈波の進行波成分のピーク発生時と反射
    波成分のピーク発生時に基づいて決定し、該低圧時脈波
    の進行波成分のピーク発生時点における大きさと反射波
    成分のピーク発生時点における大きさとに基づいて、前
    記振幅増加指数を算出する振幅増加指数算出手段とを含
    むことを特徴とする振幅増加指数算出装置。
  2. 【請求項2】 前記カフは上腕に装着されるものであ
    り、 前記振幅増加指数は該上腕の動脈における脈波の振幅増
    加指数である請求項1の振幅増加指数算出装置。
  3. 【請求項3】 前記カフ圧制御装置は、血圧測定のため
    に、前記カフの圧迫圧力を前記カフが装着されている部
    位の最高血圧より高い圧力から最低血圧より低い圧力ま
    で徐速降圧させる徐速降圧過程を含む血圧測定制御を実
    行するものであり、 前記高圧時脈波は、前記カフ圧制御装置による血圧測定
    制御過程において前記カフの圧迫圧力が最高血圧よりも
    高い圧力とされている状態で前記脈波弁別装置により弁
    別される脈波であり、 前記低圧時脈波は、前記カフ圧制御装置による血圧測定
    制御過程において前記カフの圧迫圧力が最低血圧よりも
    低い圧力とされている状態で前記脈波弁別装置により弁
    別される脈波であることを特徴とする請求項1または2
    の振幅増加指数算出装置。
  4. 【請求項4】 前記請求項1の振幅増加指数算出装置に
    より算出された振幅増加指数に基づいて、前記生体の動
    脈硬化を検査する動脈硬化検査装置。
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