JP2003201364A - 配線基板用多孔質フィルム、及び配線基板プリプレグ - Google Patents

配線基板用多孔質フィルム、及び配線基板プリプレグ

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JP2003201364A
JP2003201364A JP2002003220A JP2002003220A JP2003201364A JP 2003201364 A JP2003201364 A JP 2003201364A JP 2002003220 A JP2002003220 A JP 2002003220A JP 2002003220 A JP2002003220 A JP 2002003220A JP 2003201364 A JP2003201364 A JP 2003201364A
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porous film
wiring board
group
prepreg
film
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JP2002003220A
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Toshiyuki Kawashima
敏行 川島
Shinji Tawara
伸治 田原
Kenichi Ikeda
健一 池田
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Nitto Denko Corp
Original Assignee
Nitto Denko Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性に優れ、熱線膨張係数も適度であり、
しかも熱硬化性樹脂の含浸が好適に行える配線基板用多
孔質フィルム、及びそれを用いた配線基板プリプレグを
提供する。 【解決手段】 メタフェニレン基を含有する繰り返し単
位を合計80モル%以上含み、ガラス転移温度Tgが1
90〜350℃である芳香族ポリアミドからなり、空孔
率が30〜80%、Z方向の熱線膨張係数が0〜200
ppm/℃である配線基板用多孔質フィルム、並びにこ
のような配線基板用多孔質フィルムと、その孔内に含浸
された熱硬化性樹脂の半硬化物とを含む配線基板プリプ
レグ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、芳香族ポリアミド
からなる配線基板用多孔質フィルム、及びそれを用いる
配線基板プリプレグに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、電子機器などに使用されるプ
リント配線基板の基材層や絶縁層等の形成工程には、熱
硬化性樹脂をガラス繊維織物や高分子不織布などに含浸
させて半硬化させたプリプレグ等が使用されてきた。通
常、プリプレグは銅箔に積層した積層体として使用さ
れ、例えば、その積層体を加熱加圧することによって、
下層の配線層等に積層・硬化させる工程を含むことによ
り、配線層と絶縁層が順次積層された多層構造が形成さ
れる。
【0003】最近の配線基板は、配線の高集積化のため
に、ファインパターン化、層間接続による多層構造化、
そのための各層の薄層化などが要求されている。しかし
ながら、ガラス繊維を補強相とするプリプレグでは、レ
ーザーによるビア加工が困難であり、また、高分子不織
布を使用したプリプレグでは、レーザーによる加工性は
向上するものの、薄くて均一な不織布を製造するのが困
難なため、薄層化に対応しにくいという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、ポリスルホン
樹脂やアラミド樹脂の多孔質膜を補強相とするプリプレ
グが幾つか提案されている。例えば、特開平11−14
7960号公報には、ポリスルホン系樹脂からなる補強
相と、熱硬化性樹脂マトリックス相とからなる有機複合
材料が開示されている。しかし、ポリスルホンは耐熱性
が十分でなく、これをプリプレグに用いて形成した絶縁
層等では、配線基板に要求される耐熱性を満足できなか
った。
【0005】また、特開平9−324060号公報に
は、多孔質のパラ配向芳香族ポリアミドフィルムに熱可
塑性樹脂および/または熱硬化性樹脂を含浸してなるプ
リプレグが提案されている。しかしながら、一般的に、
パラ配向芳香族ポリアミドは、多孔質フィルムを形成す
るための製膜原液を調製する際に、溶媒への溶解性が著
しく劣るため、ポリマーの濃度や分子量を高めることが
できず、所望の特性を有する多孔質フィルムが得られに
くいという問題がある。
【0006】また、特開2001−279004号公報
には、パラ配向芳香族モノマーに、ジアミノジフェニル
エーテル等の屈曲性モノマー成分を混合して得られる芳
香族ポリアミド共重合体を湿式凝固法で製膜して得られ
る、空隙を有するミクロドメイン構造のフィルムが具体
的に開示されている。しかしながら、このような共重合
体を用いて湿式凝固法で製膜したフィルムは、強度的に
は優れるものの、多孔質構造(表面および内部)が不均
一であり、また空孔率も低いため、プリプレグ等の配線
基板用途には不向きであることが判明した。
【0007】そこで、本発明の目的は、耐熱性に優れ、
熱線膨張係数も適度であり、しかも熱硬化性樹脂の含浸
が好適に行える配線基板用多孔質フィルム、及びそれを
用いた配線基板プリプレグを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意研究したところ、特定の芳香族ポリア
ミドを用いて多孔質フィルムを製膜することで、上記目
的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0009】即ち、本発明の配線基板用多孔質フィルム
は、下記の一般式(I)及び/又は一般式(II)で表さ
れる繰り返し単位を合計80モル%以上含み、ガラス転
移温度Tgが190〜350℃である芳香族ポリアミド
からなり、空孔率が30〜80%、Z方向の熱線膨張係
数が0〜200ppm/℃である配線基板用多孔質フィ
ルムである。
【0010】
【化2】 −NH−Ar1 −NHCO−Ar2 −CO− (I) −NH−Ar3 −CO− (II) (式中、Ar1 、Ar2 及びAr3 は、同一又は相異な
って、置換されていてもよい配向位置が任意のフェニレ
ン基、ビフェニレン基、ナフタレン基、又は−Ph−Q
−Ph−基(Phはフェニレン基、Qは酸素原子、メチ
レン基、カルボニル基、スルホニル基、イオウ原子、又
はジメチルメチレン基を示す)を示す。但し、Ar1
Ar2 及びAr3 の少なくとも1つは置換されていても
よいメタフェニレン基である。) 上記において、JIS P−8117に準拠する通気度
が11〜900秒/100ccであることが好ましい。
本発明における各々の物性値は、具体的には実施例に記
載の方法により測定されるものである。
【0011】また、前記芳香族ポリアミドが、ポリメタ
フェニレンイソフタラミドであることが好ましい。
【0012】一方、本発明の配線基板プリプレグは、上
記いずれかに記載の配線基板用多孔質フィルムと、その
孔内に含浸された熱硬化性樹脂の半硬化物とを含むこと
を特徴とする。
【0013】[作用効果]本発明の多孔質フィルムは、
一般式(I)及び/又は一般式(II)で表される繰り返
し単位を主に含み特定のガラス転移温度を有する芳香族
ポリアミドからなるため、耐熱性に優れ、熱線膨張係数
や空孔率が適度な多孔質フィルムを形成でき、配線基板
用材料として好ましいものとなる。
【0014】JIS P−8117に準拠する通気度が
11〜900秒/100ccである場合、特にプリプレ
グを形成する際の熱硬化性樹脂の含浸がより好適に行え
るようになる。
【0015】前記芳香族ポリアミドが、ポリメタフェニ
レンイソフタラミドである場合、上記の作用効果がより
確実に得られるようになる。
【0016】一方、本発明の配線基板プリプレグによる
と、上記いずれかに記載の多孔質フィルムと、その孔内
に含浸された熱硬化性樹脂の半硬化物とを含むため、熱
硬化性樹脂の含浸性や含浸量が好適になり、また含浸後
のプリプレグの耐熱性が良好となり、熱線膨張係数も適
度なものとなる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。本発明の多孔質フイルムは、上記の一般式
(I)及び/又は一般式(II)で表される繰り返し単位
(以下、メタフェニレン基含有単位という)を合計80
モル%以上含み、ガラス転移温度Tgが190〜350
℃である芳香族ポリアミドからなる。好ましくは一般式
(I)で表される繰り返し単位を合計80モル%以上含
むものである。
【0018】ガラス転移温度Tgは、メタフェニレン基
含有単位のモル%、メタフェニレン基含有単位の種類、
その他の繰り返し単位の屈曲性、又はフェニレン基を置
換する官能基の種類などで調整することができる。これ
らの構成は、同時に湿式凝固法による製膜性に影響す
る。従って、得られる多孔質フイルムの耐熱性や製膜性
の点から、ガラス転移温度Tgは200〜300℃がよ
り好ましい。
【0019】また、メタフェニレン基含有単位の含有率
は、90モル%以上が好ましく、100モル%が最も好
ましい。また、メタフェニレン基含有単位が、置換され
ていてもよいメタフェニレンイソフタラミドであること
が好ましく、更に芳香族ポリアミドが、ポリメタフェニ
レンイソフタラミドであることが好ましい。
【0020】一般式(I)〜(II)におけるAr1 、A
2 及びAr3 は、同一又は相異なっていてもよい。ま
た、これらは置換されていてもよく、いずもの配向位置
が任意のフェニレン基、ビフェニレン基、ナフタレン
基、又は−Ph−Q−Ph−基(Phはフェニレン基、
Qは酸素原子、メチレン基、カルボニル基、スルホニル
基、イオウ原子、又はジメチルメチレン基を示す)を示
す。配向位置は例えばフェニレン基の場合には、パラ配
向、メタ配向など何れでもよいが、Ar1 、Ar 2 及び
Ar3 の少なくとも1つは置換されていてもよいメタフ
ェニレン基である。
【0021】上記Ar1 〜Ar3 が置換されていてる場
合の置換基としては、塩素原子等のハロゲン基、ニトロ
基、炭素数1〜3のメチル基、炭素数1〜3のアルコキ
シ基、アリール基、チオアリール基、オキシアリール
基、トリアルキルシリル基等が挙げられる。但し、Ar
1 〜Ar3 が何れも置換されていない場合が好ましい。
メタフェニレン基含有単位以外の繰り返し単位を含む場
合、当該繰り返し単位としては、メタフェニレン基を含
有しない芳香族ポリアミドの繰り返し単位や、脂肪族ポ
リアミドの繰り返し単位などが挙げられる。但し、後者
より前者を含む方が好ましく、前者の繰り返し単位とし
ては、一般式(I)〜(II)において、Ar1 、Ar2
及びAr3 のいずれもがメタフェニレン基でないものが
例示できる。
【0022】上記の芳香族ポリアミドは、その繰り返し
単位に対応するモノマー成分、例えば、イソフタル酸や
その塩化物等のような酸性分と、m−フェニレンジアミ
ンのようなジアミン成分とを用いて、縮重合を行うこと
により得ることができる。また、アミド交換法、イソシ
アナート法、活性カルボン酸誘導体法などで重合を行う
こともでき、その場合には、これらに代えて、ジアセト
アミドや、ジイソシアナート等のモノマー成分を用れば
よい。
【0023】本発明の多孔質フィルムの製法としては、
湿式凝固法、乾式凝固法、延伸法など種々の製膜法が挙
げられるが、前述の如き膜構造を得る上で、湿式凝固法
を採用するのが好ましい。湿式凝固法では、一般的に、
溶剤に樹脂と添加剤等を溶解した製膜原液(ドープ)を
調製し、これを基材に塗布(キャスト)したものを凝固
液に浸漬して溶剤置換させることで、樹脂を凝固(ゲル
化)させ、その後、凝固液等を乾燥除去するなどして多
孔質フィルムを得る。
【0024】本発明では、溶剤に樹脂を溶解する際に、
前記の芳香族ポリアミドを溶解させたり、あるいは、溶
解性の低い芳香族ポリアミドを溶剤に溶解させる際に、
上記の如きモノマーを用いた溶液重合によって得られる
芳香族ポリアミド溶液を使用してもよい。
【0025】芳香族ポリアミドを溶解する溶剤は、溶解
性の観点から、例えば、テトラメチル尿素、ヘキサメチ
ルホスホルアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N
−メチル−2−ピロリドン,N−メチルピペリドン−
2、N,N−ジメチルエチレン尿素、N,N,N’,
N’−テトラメチルアロン酸アミド、N−メチルカプロ
ラクタム、N−アセチルピロリジン、N,N−ジエチル
アセトアミド、N−エチルピロリドン−2、N,N−ジ
メチルプロピオン酸アミド、N,N−ジメチルイソブチ
ルアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチル
プロピレン尿素及びそれらの混合系が挙げられる。更
に、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルア
セトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロ
トン性極性溶剤が溶解性の面や、凝固溶剤との溶剤置換
スピードの点で好ましく使用できる。特に好ましい例と
して、N−メチル−2−ピロリドンを例示することがで
きる。
【0026】また、ジエチレングリコールジメチルエー
テル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチ
レングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコ
ールジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、
1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン
等の溶剤を混合して、溶剤置換の速度を調整してもよ
い。
【0027】本発明におけるドープは、好ましくは−2
0〜60℃の温度範囲で塗布される。また、凝固液とし
ては用いる樹脂を溶解せずに、上記溶剤と相溶性を有す
るものであれば、限定されないが、水やメタノール、エ
タノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類及
びこれらの混合液が用いられ、特に水が好適に用いられ
る。浸漬時の凝固液の温度は特に限定されないが、好ま
しくは0〜60℃の温度である。
【0028】製膜原液のポリマー濃度は、4重量%から
25重量%の範囲が好ましく、7重量%から15重量%
がより好ましい。濃度が高すぎると、粘度が高くなりす
ぎて取り扱いが困難になるし、濃度が低すぎると多孔質
フィルムが形成できないからである。
【0029】孔径形状や孔径コントロールのために硝酸
リチウムのような無機物やポリビニルピロリドンのよう
な有機物を添加することもできる。添加物の濃度は溶液
中に1重量%から10重量%まで添加するのが好まし
い。硝酸リチウムを添加すると溶剤と凝固液との置換速
度が速く、スポンジ構造の中にフィンガーボイド構造
(指状にボイドを有する構造)を形成できる。ポリビニ
ルピロリドンのような凝固スピードを遅くする添加剤を
加えると、スポンジ構造が均一に広がった多孔質フィル
ムを得ることができる。
【0030】また、凝固液に浸漬する前に、例えば30
℃以上、相対湿度90%以上の雰囲気に所定時間(例え
ば1秒〜10分間)放置することにより水分等をドープ
に吸収させることで、表面付近の多孔質層の孔径コント
ロールを行ってもよい。例えばこの操作により、表面に
スキン層が形成されるようなドープ組成でも、孔径をあ
る程度大きくすることができる場合がある。
【0031】上記の如き製膜原液をガラス板のような無
多孔の基材上に一定の厚みに塗布し、水中に浸積して凝
固させたり、水蒸気雰囲気下に放置して凝固した後、水
中に浸積するなどして、脱溶剤された多孔質フィルムを
得る。無多孔の基材としてはガラス板やステンレス板な
どの無機物の他、ポリエチレンのシートのような高分子
フィルムも使用できる。ただし、多孔質フィルムを基材
から剥がすことが容易な基材を使用するのが好ましい。
【0032】但し、金属箔付きのプリプレグを製造する
場合には、銅箔などの金属箔を基材として、多孔質フィ
ルムを製膜することにより、金属箔の積層と多孔質フィ
ルムの形成とを同時に行うことができる。また、プリプ
レグを樹脂フィルムで被覆する必要がある場合など、当
該樹脂フィルムを基材として、同様に製膜することがで
きる。
【0033】多孔質フィルムを凝固液から取り出した
後、乾燥する場合には、しわの寄らないように乾燥する
のが好ましい。しわができるのは、部分的に収縮率が異
なるためであるが、しわが入るとプリプレグを作るとき
に平滑にできずプリント配線板の作成に問題となり易
い。また、収縮が場所により異なるとマトリックスの均
一性も問題となる。そこで、乾燥はしわがよらない方法
であれば特にこだわらないが、フィルムの両端にテンシ
ョンをかけた状態で乾燥する方法やスペーサーの上に多
孔質フィルムをのせ、片面より真空に引きながら乾燥さ
せる方法などが好ましい。乾燥の温度は多孔質フィルム
の細孔が閉塞しなければ特に制限されないが、取り扱い
の面から200℃以下での乾燥が望ましい。
【0034】本発明の多孔質フィルムは、空孔率が30
〜80%であるが、プリプレグに使用する場合の熱硬化
性樹脂の含浸性、含浸量、強度等の点から、好ましくは
40〜70%である。また、多孔質フィルムの構造とし
ては、スポンジ構造を有するものが好ましい。
【0035】また、表面や内部の細孔が小さすぎると、
熱硬化性樹脂の含浸性が悪いし、大きすぎると強度的に
問題がある。したがって、裏表面が何れも平均孔径0.
05μm以上が好ましい。より好ましくは0.1〜5μ
mである。また、スポンジ構造部分(内部)の細孔のサ
イズは0.05μmから10μmであればよいが、好ま
しくは0.1μmから5μmである。フィンガーボイド
構造では、ファインピッチのレーザービア加工を良好に
行う上で、径0. 05μmから10μmが好ましいが、
長さは最も長い場合フィルム厚み程度となる。
【0036】また、熱硬化性樹脂の含浸性や含浸量を良
好にする上で、JIS P−8117に準拠する通気度
が11〜900秒/100ccであることが好ましく、
200〜500秒/100ccであることがより好まし
い。
【0037】本発明の多孔質フィルムは、Z方向の熱線
膨張係数が0〜200ppm/℃であり、好ましくは0
〜100ppm/℃である。このような線膨張係数であ
ると、プリプレグとした際に、絶縁層のZ方向(厚み方
向)の線膨張係数を銅等の金属に近づけることができ、
配線層間の導電接続に悪影響を与えにくくなる。
【0038】また、XY方向の熱線膨張係数が0〜30
ppm/℃であるのが好ましく、10〜20ppm/℃
であるのがより好ましい。このような線膨張係数である
と、プリプレグとした際に、絶縁層のXY方向(面方
向)の線膨張係数を銅等の金属に近づけることができ、
配線基板の反りや歪みを小さくすることができる。
【0039】本発明の多孔質フィルムの引張強度は、プ
リプレグの補強相や、多孔質のままで絶縁層を形成する
上で、100〜10000N/cm2 であることが好ま
しく、500〜5000N/cm2 であることがより好
ましい。
【0040】多孔質フィルムの厚さは特に限定されない
が、あまりフィルム厚みが厚すぎると脱溶剤に時間がか
かることなどの問題が発生する。また、最近の多層配線
基板では薄くて軽くさらに機械強度のある物が望まれる
ため、補強相(マトリックス)を形成する多孔質フィル
ム厚さとしては150μm以下から2μmが望ましい。
好ましくは90μmから5μmである。
【0041】本発明の多孔質フイルムはプリプレグ用の
補強材として適切な強度と含浸性を示し、平面方向に均
質であるためファインピッチのレーザービア微細加工を
可能とするプリント配線基板のためのプリプレグを作成
する基材としての適正を備えている。
【0042】一方、本発明の配線基板プリプレグは、以
上のような多孔質フィルムと、その孔内に含浸された熱
硬化性樹脂の半硬化物を含むものである。このような配
線基板プリプレグは、多孔質フィルムの孔内に熱硬化性
樹脂の原料組成物を含浸させることで製造することがで
きる。
【0043】当該原料組成物の含浸方法としては、各種
コーター等によって、多孔質層の表面に、直接熱硬化性
樹脂の原料液を塗布する方法でもよいが、基材シートの
表面に原料液を塗布して乾燥させた固形塗膜を多孔質層
の表面に積層して、加熱・加圧により含浸させる方法が
好ましい。この方法により、熱硬化性樹脂の原料液に含
まれる溶剤により、芳香族ポリアミドなどの樹脂が膨潤
等して多孔質層が変形するのを抑制できる。
【0044】熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フ
ェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド酸等が挙げ
られるが、エポキシ樹脂やエポキシ樹脂と他の樹脂の混
合物などが価格や取り扱い易さの点から好ましい。熱硬
化性樹脂の原料液には、溶剤の他に、触媒、硬化剤、難
燃剤、充填剤、可塑剤、促進剤等を含有してもよい。熱
硬化性樹脂の原料液に含まれる溶剤としては、熱硬化性
樹脂の種類によるが、ケトン類、酢酸エステル類、エー
テル類、芳香族炭化水素類、アルコール類等が挙げられ
る。
【0045】基材シートとしては樹脂、金属などが何れ
も使用できるが、樹脂フィルムが好ましい。塗布方法と
しては、直接塗布又は間接含浸の何れの場合も、ブレー
ドコーター、コンマコーター、ロールコーター、カレン
ダコーター、バーコーターによる塗布方法が挙げられ
る。なお、塗布厚みが均一なほど固形塗膜の厚みも均一
となり、含浸量もより均一化できる。
【0046】溶剤の乾燥では、完全に溶剤を除去する必
要はなく、非流動化する程度でもよい。乾燥方法として
は、効率の点から加熱乾燥や熱風乾燥が好ましい。加熱
温度としては、熱硬化性樹脂の硬化反応が進行し過ぎな
い温度が選択される。
【0047】加熱・加圧を行う方法としては、各種の熱
プレス装置や熱ラミネーター、それらに真空排気装置を
付加した装置などを用いる方法が挙げられる。本発明で
は、熱ラミネーターを用いるのが好ましい。
【0048】この加熱・加圧によって、多孔質フィルム
に、熱硬化性樹脂の半硬化物が含浸された配線基板プリ
プレグが製造できる。このようにして得られたプリプレ
グは、樹脂が半硬化したベタツキの少ないシートにな
り、これを熱プレスすることで、絶縁層の積層が可能と
なる。また、プリプレグは銅箔などの導電体との積層物
としても使用され、導電体に配線パターンを形成するこ
とにより、絶縁層の表面に配線層を形成することが可能
になる。
【0049】
【実施例】以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実
施例等について説明する。なお、多孔質フィルムの各物
性は次のようにして測定した。
【0050】(1)ガラス転移温度Tg 樹脂自体のガラス転移温度Tgをセイコーインスツルメ
ント社製の熱分析システムEXSTRA6000(視差
走査熱量計DSC6200+TMA SS61100)
により測定した。
【0051】(2)通気度 JIS P−8117に準拠して通気度を測定した。
【0052】(3)多孔質フィルムの引張強度 引っ張り速度を50mm/分、サンプルの幅を5〜6m
mとして測定した。
【0053】(4)多孔質フィルムの空孔率 空孔率(%)={1−(重量/密度)/容積}×100 多孔質フィルムの容積と重量を測定し、多孔質フィルム
素材の密度を用いて上式により、空孔率を求めた。
【0054】(5)多孔質フィルムの平均孔径 多孔質フィルムについて、走査型電子顕微鏡(SEM)
を用いて、断面の写真撮影を行い、その写真のコンピュ
ターによる画像解析から平均孔径を求めた。また、その
際の膜構造を調べた。
【0055】(6)熱線膨張係数 多孔質フィルムを用いて、XY方向の熱線膨張係数は理
学電気製TMA8310を使用して引っ張りモードで、
Z方向の熱線膨張係数はセイコーインスツルメント製の
TMAss6200を使用して圧縮モードで測定した。
【0056】(7)熱硬化性樹脂の含浸性 多孔質フィルムに対し、臭素化ビスフェノールA型エポ
キシ樹脂のメチルエチルケトン50重量%溶液よりなる
熱硬化性樹脂の原料組成物を塗布して含浸させ、含浸速
度の速いものから良好、普通、不良の順で3段階に評価
した。
【0057】〔実施例1〕イソフタル酸塩化物のへキサ
ン溶液とm−フェニレンジアミンの水溶液を等モル反応
させて芳香族ポリアミドを得た。この芳香族ポリアミド
(沈殿物)を水洗、アルコール洗浄、水洗を繰り返した
後、60℃で一晩真空乾燥して乾燥ポリマーを得た。こ
のポリマーを80℃でN−メチル−2−ピロリドン(N
MP)中に溶解して、ポリマー10重量%含む溶液(製
膜原液)を得た。
【0058】これを厚み180μmで、厚み38μmの
PETフィルム(帝人(株)製、テトロンフィルム)の
上に塗布し、相対湿度100%、温度40℃で吸湿させ
た後、40℃の水槽に浸漬して多孔質フィルムを形成し
た。その後、1昼夜水中保存して脱溶剤を行った。その
後、80℃、5時間乾燥して多孔質フィルムを得た。こ
の多孔質フィルムの物性、膜構造などを表1に示す。
【0059】〔実施例2〕実施例1において、m−フェ
ニレンジアミンの代わりに、3,3’−ジアミノジフェ
ニルエーテルを用いること以外は、実施例1と同じ条件
で多孔質フィルムを得た。この多孔質フィルムの物性、
膜構造などを表1に示す。
【0060】〔比較例1〕アラミド樹脂(帝人(株)
製,テクノーラ:コポリパラフェニレン・3,4’−オ
キシジフェニレン・テレフタラミド)を用いて、アラミ
ド樹脂/NMP/水/塩化カルシウム=6/90.9/
0.8/2.3(重量%)のドープを調製した。実施例
1において、このドープを用いること以外は、実施例1
と同様にして製膜し、多孔質フィルムを得た。この多孔
質フィルムの物性、膜構造などを表1に示す。
【0061】〔比較例2〕実施例1において、m−フェ
ニレンジアミンに代えて、脂肪族ジアミンとm−フェニ
レンジアミンとを併用(モル比:1/1)すること以外
は、実施例1と同じ条件で多孔質フィルムを得た。この
多孔質フィルムの物性、膜構造などを表1に示す。
【0062】
【表1】 表1の結果が示すように、メタフェニレン基を含有する
実施例1〜2では、耐熱性に優れ、熱線膨張係数も適度
であり、しかも熱硬化性樹脂の含浸性が良好な多孔質フ
ィルムが得られた。これに対して、パラ配向モノマーの
一部を3,4’−ジアミノジフェニルエーテルで置換し
た比較例1では、膜構造が不規則で表面部の開口が不均
一なため、樹脂組成分の含浸が不良となった。また、脂
肪族ジアミンを併用した比較例2では、耐熱性が不十分
となり、引張強度も不十分であった。
フロントページの続き (72)発明者 池田 健一 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 Fターム(参考) 4F072 AB06 AD13 AD23 AD44 AD45 AG03 AG12 AH02 AH26 AK02 AK05 AK14 AL13 4F074 AA72 AD13 CB33 CB34 CB43 CB45 DA02 DA10 DA22 DA47

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の一般式(I)及び/又は一般式
    (II)で表される繰り返し単位を合計80モル%以上含
    み、ガラス転移温度Tgが190〜350℃である芳香
    族ポリアミドからなり、空孔率が30〜80%、Z方向
    の熱線膨張係数が0〜200ppm/℃である配線基板
    用多孔質フィルム。 【化1】 −NH−Ar1 −NHCO−Ar2 −CO− (I) −NH−Ar3 −CO− (II) (式中、Ar1 、Ar2 及びAr3 は、同一又は相異な
    って、置換されていてもよい配向位置が任意のフェニレ
    ン基、ビフェニレン基、ナフタレン基、又は−Ph−Q
    −Ph−基(Phはフェニレン基、Qは酸素原子、メチ
    レン基、カルボニル基、スルホニル基、イオウ原子、又
    はジメチルメチレン基を示す)を示す。但し、Ar1
    Ar2 及びAr3 の少なくとも1つは置換されていても
    よいメタフェニレン基である。)
  2. 【請求項2】 JIS P−8117に準拠する通気度
    が11〜900秒/100ccである請求項1記載の配
    線基板用多孔質フィルム。
  3. 【請求項3】 前記芳香族ポリアミドが、ポリメタフェ
    ニレンイソフタラミドである請求項1又は2に記載の配
    線基板用多孔質フィルム。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3いずれかに記載の配線基板
    用多孔質フィルムと、その孔内に含浸された熱硬化性樹
    脂の半硬化物とを含む配線基板プリプレグ。
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