JP3677892B2 - プリプレグおよびその製造方法、並びにそれを使用するプリント回路用基材およびプリント回路用積層板 - Google Patents

プリプレグおよびその製造方法、並びにそれを使用するプリント回路用基材およびプリント回路用積層板 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリプレグ、その製造方法、並びにそれを使用する回路用基材および回路用積層板に関する。詳しくは、多孔質パラ配向芳香族ポリアミドフィルムに熱可塑性樹脂および/または熱硬化性樹脂を含浸してなるプリプレグ、その製造方法並びにかかるプリプレグを使用する用途としてのプリント回路用基材および積層板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の電子機器においては、高機能化のための高速信号処理化、デジタル化への要求が一層高まっている。芳香族ポリアミド(以下、アラミドということがある。)の不織布を基体とした積層板は、低誘電率、軽量、低熱線膨張率という特徴を有しており、かかる分野での用途開発が進められている。
【0003】
例えば、米国特許第5,314,742号明細書には、メタ配向芳香族ポリアミド(以下、メタアラミドということがある。)からなるフィブリルとパラ配向芳香族ポリアミド(以下、パラアラミドということがある。)・フロックとからなる不織布が、低熱線膨張率を有する積層板の基体として有用であると記載されている。また、特開平5−327148号公報には、パラアラミド繊維を50%以上含有するクロス、紙、不織布を基体とすることで、面方向の熱線膨張係数を低減できることが記載されている。しかし、不織布の場合には、製法上の特質として均質な物が得られにくいという欠点があり、改善が望まれていた。
【0004】
一方、積層板において紙、不織布等と共に使用されるマトリックス樹脂としては、ガラスエポキシ基板のように熱硬化性樹脂を用いたものが従来より主体であったが、特開平6−252555号公報記載のようにマトリックス樹脂として熱可塑性樹脂を使用することが提案されている。該公報には、繊維織物の芯材に熱可塑性樹脂を含浸被覆させた複合体を多層積層板として使用するときの改良構造が記載されている。また、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とを所定の割合で配合したマトリックス樹脂についても、例えば特開平57−165451号公報、米国特許第3,530,087号明細書に記載されている。前者では、シアン酸エステル系樹脂組成物とポリエーテルスルフォンとからなる組成物が、後者では、エポキシ系樹脂とポリエーテルスルフォンとからなる組成物が明示されている。
【0005】
他方、かかる積層体の製法としては、近年の電子機器の小型軽量化に伴い、従来の積層板を使用しないで回路基板を製造するという新しい方法が実用化されてきている。例えば、特開平7−147464号公報には、耐熱性合成繊維製不織布に未硬化状態の熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグから連続的に、高密度な配線を有する回路基板を製造する方法が記載されている。この様な製造方式の革新に伴い、積層板メーカーで実施されているような煩雑な製造工程が不必要となれば、大幅な合理化が期待できる。そのためには、地合が均一で軽量であり、熱線膨張率が低く、機械的強度が良好なプリプレグの出現が期待されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
かかる現状において、本発明の課題は、地合が均一で軽量であり、熱線膨張率が低く、機械的強度が良好な多孔質パラ配向芳香族ポリアミドフィルムに熱可塑性樹脂および/または熱硬化性樹脂(以下、単に樹脂ということがある。)を含浸してなるプリプレグを提供することにある。また、本発明は、かかるプリプレグの製法を提供することにある。更に、本発明はかかるプリプレグを使用したプリント回路用基材および積層板を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題解決の為に鋭意研究し本発明に到達した。即ち、本発明は、先ず、多孔質パラ配向芳香族ポリアミドフィルムに熱可塑性樹脂および/または熱硬化性樹脂を含浸してなるプリプレグに係るものである。即ち、本発明は、多孔質パラ配向芳香族ポリアミドフィルムに熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂を含浸してなるプリプレグ、及び多孔質パラ配向芳香族ポリアミドフィルムに熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂を含浸してなるプリプレグに係るものである。
【0008】
次に、本発明は、フィブリルの径が1μm以下のフィブリルから構成され、フィブリルが網目状または不織布状に平面に配置されかつ層状に重なっている構造を有し、さらに該フィルムの200〜300℃での熱線膨張係数が±50×10-6/℃以内であり、空隙率が30〜95%である多孔質パラ配向芳香族ポリアミドフィルムを使用するプリプレグに係るものである。
【0009】
また、本発明は、下記(a)〜(d)の工程を有する、多孔質パラ配向芳香族ポリアミドフィルムに熱可塑性樹脂および/または熱硬化性樹脂を含浸してなるプリプレグの製造方法に係るものである。
(a)極性アミド系溶媒又は極性尿素系溶媒中に、固有粘度が1.0〜2.8dl/gであるパラ配向芳香族ポリアミドを1〜10重量%、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩化物を1〜10重量%を含む溶液から膜状物を形成する工程。
(b)該膜状物を20℃以上又は−5℃以下の温度に保持し、膜状物からパラ配向芳香族ポリアミドを析出させる工程。
(c)工程(b)で得られた膜状物を水系溶液又はアルコール系溶液に浸漬し、溶媒とアルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩化物を溶出させ、次いで乾燥させ多孔質パラ配向性ポリアミドフィルムを得る工程。
(d)工程(c)で得られた多孔質フィルムを基体として、熱可塑性樹脂および/または熱硬化性樹脂を含浸させてプリプレグを製造する工程。
【0010】
更に、本発明は、上記プリプレグからなるプリント回路用基材に係るものである。また本発明は、上記プリント回路用基材からなる絶縁層と金属箔とからなる導電層を有するプリント回路用積層板に係るものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳しく説明する。本発明においてパラ配向芳香族ポリアミドとは、パラ配向芳香族ジアミンとパラ配向芳香族ジカルボン酸ハライドの縮合重合により得られるものであり、アミド結合が芳香族環のパラ位又はそれに準じた配向位(例えば、4,4’−ビフェニレン、1,5−ナフタレン、2、6−ナフタレン等のような反対方向に同軸又は平行に延びる配向位)で結合される繰り返し単位から実質的になるものである。
【0012】
具体的には、ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)、ポリ(パラベンズアミド)、ポリ(4、4’−ベンズアニリドテレフタルアミド)、ポリ(パラフェニレン−4、4’−ビフェニレンジカルボン酸アミド)、ポリ(パラフェニレン−2、6−ナフタレンジカルボン酸アミド)、ポリ(2−クロロ−パラフェニレンテレフタルアミド)、パラフェニレンジアミン/2、6−ジクロロパラフェニレンジアミン/テレフタル酸ジクロライドからなる共重合体等のパラ配向型又はパラ配向型に準じた構造を有するパラアラミドが例示される。
【0013】
本発明にいう多孔質パラ配向芳香族ポリアミドフィルム(以下、多孔質フィルムということもある。)とは、上記パラ配向芳香族ポリアミドから得られた多孔質のフィルムであり、該フィルムはパラアラミドのフィブリルからなり、微視的に見ると不織布状の形態を有している。即ち、本発明の多孔質フィルムは、パラアラミドからなる径が1μm以下のフィブリルが網目状または不織布状に平面に配置され、かつ層状に重なっている構造を有する。ここで、平面に配置されたとは、フィブリルがフィルム面に平行に配置されていることをいう。また、本発明にいう多孔質フィルムは、フィブリルから構成され、多くの空隙を有しており、その空隙率が30〜95%、好ましくは35〜90%のものである。空隙率が30%未満では、実質的に多孔質とはいえず、熱可塑性樹脂および/または熱硬化性樹脂を溶剤に溶解したワニスの含浸量が不十分となる。
一方、95%を越えると多孔質フィルムの強度が不足して取扱いが困難となる。また、本発明の多孔質フィルムは、200〜300℃での熱線膨張係数(平面方向)が±50×10-6/℃以内、好ましくは、±25×10-6/℃以内である。この熱線膨張係数が小さいことは、平面方向の寸法安定性が良いことを示している。
【0014】
ところで、一般に知られているメタアラミド紙の場合は、その列断長度が5〜12kmである。一方、従来知られているパラアラミド紙の場合には、メタアラミド紙のようにフィブリル間での膠着が得られないので、その列断長度は約0.1km程度であり実用的ではない。本発明における多孔質フィルムはパラアラミドからなり、形態的には径が1M以下、通常は約1μm以下のパラアラミドのフィブリルから構成されており、微視的には不織布状であるにもかかわらず、メタアラミド紙と同等以上の列断長度を有するという優れた特徴を有する。
【0015】
本発明で用いられる熱可塑性樹脂としては、熱可塑性を有する樹脂であれば特に限定されないが、融点が150℃以上の熱可塑性樹脂が好ましい。本発明に係るプリプレグの主用途と考えられるプリント回路用積層板を目的とした場合には電子回路を形成する材料との接着性が充分であるものが好ましい。かかる熱可塑性樹脂としては、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリエーテルイミド、ポリスルフィドスルフォン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルケトンから選ばれる少なくとも一種の熱可塑性樹脂を例示することができる。これらは、単独又は適宜組み合わせて使用することができる。
【0016】
一方、本発明で用いられる熱硬化性樹脂としては、特に限定されないが、エポキシ樹脂、ビスマレイミド−トリアジン樹脂、ポリイミド樹脂、ジアリルフタレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シアネート樹脂、アリール変成ポリフェニレンエーテル樹脂から選ばれる少なくとも一種の熱硬化性樹脂を例示することができる。これらは、単独又は適宜組み合わせて使用することができる。
【0017】
熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂(以下、単に樹脂ということがある。)の添加量はパラアラミドに対し、樹脂/パラアラミド比(重量比)として1/9〜7/3、好ましくは2/8〜6/4である。樹脂が1/9重量比未満であると、パラアラミドからなる多孔質フィルムの空孔を樹脂で十分に埋めることができない。また7/3重量比を越えると、プリプレグの熱線膨張係数が大きくなり積層板として不適となる。
【0018】
本発明においては、上記のように熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂をそれぞれ単独に使用することができるが、これらを組成物として同時にあるいはプリプレグの製造工程で別々に使用することも可能である。後述のように、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂をそれぞれ単独に使用する場合に比べ、これらを両方使用したほうが、硬化物の靱性に優れ、またB−ステージの柔軟性の点より好ましい。
【0019】
熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂との組成物の添加量は、上記樹脂の場合と同様に、パラアラミドに対し、組成物/パラアラミド比(重量比)として1/9〜7/3、好ましくは2/8〜6/4である。組成物が1/9重量比未満であると、パラアラミドからなる多孔質フィルムの空隙を組成物で十分に埋めることができない。また7/3重量比を越えると、プリプレグの熱線膨張係数が大きくなり積層板として不適となる。尚、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂と配合割合は、後述のように一般的には、熱可塑性樹脂/熱硬化性樹脂の重量比は7/3〜3/7の範囲である。
【0020】
本発明のプレプリグの形態としては、パラアラミドフィルムからなる多孔質フィルムに熱可塑性樹脂および/または熱硬化性樹脂が含浸された形態である。さらに詳しくは、パラアラミドからなる径が1μm以下のフィブリルが網目状または不織布状に平面に配置され、かつ層状に重なっている構造を有し、フィブリルがフィルム面に平行に配置されている多孔質フィルムにおいて、空隙が樹脂で埋められた、すなわち含浸された形態である。この様に、本発明でいうプレプリグの形態は、不織布状の多孔質フィルムに樹脂が含浸されたものであるので、プリプレグの熱線膨張係数においてはパラアラミド多孔質フィルムの熱線膨張係数が支配的となる。この結果、本発明のプリプレグを硬化したシートの200〜300℃での熱線膨張係数(平面方向)は、±70×10-6/℃以内、好ましくは、±35×10-6/℃以内となる。この様に熱線膨張係数が小さいことは、平面方向の寸法安定性が良いことを示しており、プリント回路用積層板として最適の性質である。
【0021】
尚、本発明で熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂からなる組成物を加熱硬化したシートの形態としては、熱可塑性樹脂が海部で熱硬化性樹脂が島部となっている状態が好ましい。この形態の硬化物は靭性に優れるという特徴をを有する。また、通常プリプレグは部分硬化状態(ゲル状態または通称B−ステージ状態)でプリント回路基板としての加工が施される。熱硬化性樹脂の場合には、このB−ステージ状態では強度が十分発現されず脆いが、本発明の組成物ではB−ステージでも柔軟性があるので、プリント回路基板を製造する工程で取り扱いが容易となる利点を有する。
【0022】
熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂と配合割合は、硬化物が上記の形態をとるような割合であることが好ましい。この配合割合は熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂それぞれの種類と組み合わせに依存するので、一概には数値限定しにくい。一般的には、熱可塑性樹脂/熱硬化性樹脂の重量比は7/3〜3/7の範囲が一応の目安となる。重量比が7/3を越えると熱可塑性樹脂のみをマトッリクスとする系と差がなくなり、熱硬化性樹脂を使用する意味がなくなる。また、熱硬化性樹脂を使用する利点としては、プリント回路基板の導電層である銅泊とプリプレグの接着力の向上があるが、この効果が減少する。重量比が3/7より小さいと海部が熱硬化性樹脂となり、硬化物での靭性とB−ステージでの柔軟性が得られない。
【0023】
本発明の方法で製造されるプレプリグは厚みを薄くして薄葉化が可能である。しかし、フィルム厚みが10μm未満では皺ができやすく取り扱いが難しい。具体的には、パラアラミドフィルムの厚みとして10〜150μmが好ましい。さらに、好ましくは30〜100μmである。特に上限は規定しないが、150μmを越えると積層板において重要な軽くて薄いという特徴が失われる。
【0024】
以下に本発明のプリプレグの製造方法の例を詳しく説明する。これらは、単なる例示であり本願発明を何ら制限するものではない。本発明のプリプレグの製造方法の代表例としては下記の(a)〜(d)の工程が挙げられる。
(a)極性アミド系溶媒又は極性尿素系溶媒中に、固有粘度が1.0〜2.8dl/gであるパラ配向芳香族ポリアミドを1〜10重量%、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩化物を1〜10重量%を含む溶液から膜状物を形成する工程。
(b)該膜状物を20℃以上又は−5℃以下の温度に保持し、膜状物からパラ配向芳香族ポリアミドを析出させる工程。
(c)工程(b)で得られた膜状物を水系溶液又はアルコール系溶液に浸漬し、溶媒とアルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩化物を溶出させ、次いで乾燥させ多孔質パラ配向芳香族ポリアミドフィルムを得る工程。
(d)工程(c)で得られた多孔質フィルムを基体として、熱可塑性樹脂および/または熱硬化性樹脂を含浸させてプリプレグを製造する工程。
【0025】
工程(a)で使用されるパラアラミド溶液は、例えば、以下に記すような操作により好適に製造できる。すなわち、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩化物を1〜10重量%溶解した極性アミド系溶媒又は極性尿素系溶媒中で、パラ配向芳香族ジアミン1.0モルに対して、パラ配向芳香族ジカルボン酸ハライド0.94〜0.99モルを添加して、温度−20℃〜50℃で縮合重合して、パラアラミド濃度が1〜10重量%であるパラアラミド溶液を製造する。
【0026】
パラアラミド溶液中のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩化物の量は、1〜10重量%、より好ましくは2〜8重量%である。一般には、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩化物が1重量%未満では、パラアラミドの溶解性が不十分であり、10重量%を越えてはアルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩化物は極性アミド系溶媒又は極性尿素系溶媒に溶解しない。より正確には、パラアラミド溶液中のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩化物の量は、パラアラミド量(パラアラミド中のアミド基)に対して範囲が決められる。即ち、上記塩化物の重合系への添加量は縮合重合で生成するアミド基1.0モル当たり0.5〜6.0モルの範囲が好ましく、1.0〜4.0モルの範囲がより好ましい。塩化物が0.5モル未満では生成するパラアラミドの溶解性が不十分となる。6.0モルを越えると実質的に塩化物の溶媒への溶解量を越えるので好ましくない。
【0027】
パラアラミド溶液中のパラアラミド濃度は1〜10重量%、より好ましくは2〜8重量%である。パラアラミド濃度が1重量%未満では、生産性が著しく低下し工業的に不利となる。パラアラミドが10重量%を越えるとパラアラミドが析出し安定なパラアラミド溶液とならない。
【0028】
工程(a)でのパラアラミドは、固有粘度(本発明において固有粘度とは、後に定義するものをいう。)で表して、1.0〜2.8dl/g、好ましくは1.5〜2.6dl/gの値を示すパラアラミドをいう。固有粘度が1.0dl/g未満では十分なフィルム強度が得られない。固有粘度が2.8dl/gを越えると安定なパラアラミド溶液となりにくく、パラアラミドが析出しフィルム化が困難となる。
【0029】
工程(a)においてパラアラミドの縮合重合に用いられるパラ配向芳香族ジアミンを例示すると、パラフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノビフェニル、2−メチル−パラフェニレンジアミン、2−クロロ−パラフェニレンジアミン、2,6−ジクロロ−パラフェニレンジアミン、2,6−ナフタレンジアミン、1,5−ナフタレンジアミン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル等を挙げることができる。パラ配向芳香族ジアミンは1種又は2種を混合して縮合重合に供することができる。
【0030】
工程(a)においてパラアラミドの縮合重合に用いられるパラ配向芳香族ジカルボン酸ハライドを例示すると、テレフタル酸ジクロライド、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸クロライド、2−クロロテレフタル酸ジクロライド、2,5−ジクロロテレフタル酸ジクロライド、2−メチルテレフタル酸ジクロライド、2,6−ナフタレンジカルボン酸クロライド、1,5−ナフタレンジカルボン酸クロライド等を挙げることができる。パラ配向芳香族ジカルボン酸ハライドは1種又は2種を混合して縮合重合に供することができる。
【0031】
工程(a)においてパラアラミドの縮合重合は、極性アミド系溶媒又は極性尿素系溶媒において行われる。これらの溶媒の例としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、又はN,N,N’,N’−テトラメチルウレアが挙げられ、特に好ましくはN−メチル−2−ピロリドンであるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
工程(a)において、パラアラミドの溶媒への溶解性を改善する目的で、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩化物が好適に使用される。具体例としては、塩化リチウム又は塩化カルシウムが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
上記塩化物の重合系への添加量は上述の如く縮合重合で生成するアミド基1.0モル当たり0.5〜6.0モルの範囲が好ましく、1.0〜4.0モルの範囲がより好ましい。
【0034】
工程(a)において該溶液の膜状物を形成する方法は特に限定されない。例えば、ガラス板等の基板の上に該溶液を流延して膜状物を形成することができる。また、バーコーターによりガラス板等の基板の上に該溶液を目的とする厚みになるよう制御して膜状に形成することもできる。
【0035】
工程(b)では、工程(a)においてパラアラミド溶液から膜状物を形成した後、凝固する前に、パラアラミドを析出させる。
本発明の方法は、パラアラミド溶液を膜状に形成した後、凝固する前に、パラアラミドを析出させることにより、多孔質フィルムを製造するところに優れた特徴を有する。即ち、20℃以上または−5℃以下の温度にて一定時間保持する方法である。(以下、それぞれ高温析出法および低温析出法と呼ぶことがある。)。この方法によると、最終的に得られる多孔質フィルムが厚み方向に均一な構造を有するものとすることができる。最終的に得られる多孔質フィルムの空隙率、フィブリルの径などの形態因子は、該析出温度および保持時間によっても制御することができる。
【0036】
尚、工程(b)を省略して工程(a)において得られた膜状物を凝固液に浸漬して直接多孔質パラアラミドを凝固・析出させることができる(凝固析出法ということがある。)。使用できる凝固液は、パラアラミドを溶解しない溶媒で、極性アミド系溶媒または極性尿素系溶媒と相溶するものである。具体的には水やメタノールのような水系溶液またはアルコール系溶液が使用される。但し、凝固析出法の場合には、厚み方向の均一性が高温析出法や低温析出法に比し劣る。
【0037】
高温析出法を例にとり具体的に説明する。本高温析出法にて多孔質のフィルムを作製するためには、パラアラミド溶液を20℃以上の温度、好ましくは30℃以上の温度で所定時間保持し、パラアラミドを析出させる。
パラアラミドの析出が始まる時間はパラアラミド溶液の組成(塩化物量、パラアラミド濃度、水分量など)および保持する温度に依存するので必ずしも限定されない。 例えば、パラアラミド濃度が6重量%で、塩化カルシウム量がアミド基に対し等モルのときには、パラアラミド溶液は、20℃では1週間以上安定で析出が起こらないが、60℃では約5分間でパラアラミドが析出する。また、パラアラミド濃度が6重量%で、塩化カルシウム量がアミド基1モルに対し0.7モルのときには、20℃では約半日後、30℃では約1時間後にはパラアラミドが析出する。尚、析出時間を更に早める為には、析出温度に加え湿度をコントロールすることが好ましい。この場合、湿度は相対湿度で40〜100%が特に好適に使用される。
【0038】
このように、高温であればあるほどパラアラミドの析出が始まる時間は短かくてよいが、多孔質フィルムの空隙率、フィブリルの径などの形態因子は析出させる温度にも依存するので、析出させる温度は目的に応じて総合的に判断して決められる。
【0039】
次に、低温析出法について説明する。本低温析出法にて多孔質のフィルムを作製するためには、パラアラミド溶液を−5℃以下の温度、好ましくは−10℃以下の温度で所定時間保持し、パラアラミドを析出させてフィルムにする。
パラアラミドの析出が始まる時間はパラアラミド溶液の組成(塩化物量、パラアラミド濃度、水分量など)および保持する温度に依存するので必ずしも限定されない。 例えば、パラアラミド濃度が6重量%で、塩化カルシウム量がアミド基に対し等モルのときには、パラアラミド溶液は、−5℃では1週間以上安定で析出が起こらないが、−20℃では約30分間でパラアラミドが析出する。また、パラアラミド濃度が6重量%で、塩化カルシウム量がアミド基1モルに対し0.7モルのときには、−5℃では約半日後、−10℃では約1時間後にはパラアラミドが析出する。
【0040】
このように、低温であればあるほどパラアラミドの析出が始まる時間は短かくてよいが、多孔質フィルムの空隙率、フィブリルの径などの形態因子は析出させる温度にも依存するので、析出させる温度は目的に応じて総合的に判断して決められる。
【0041】
工程(c)では、工程(b)で得られた膜状物より、溶媒とアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩化物を除去する。除去方法には、例えば、膜状物を溶液に浸漬して溶媒と塩化物を溶出させる方法がある。膜状物から溶媒を蒸発で除いた場合には、再度水などの溶液に浸漬して塩化物を溶出させる方法などを採用することもできる。溶媒または塩化物を溶出させるときの溶液としては、水系溶液またはアルコール系溶液が溶媒と塩化物を共に溶解できるので好ましい。水系溶液としては、水を用いてもよい。
溶媒と塩化物が除去された膜状物は、ついで乾燥され目的とする多孔質フィルムが製造される。乾燥方法は特に限定されず、公知の種々の方法を用いることができる。尚、本発明において膜状物とは、最終生成物である多孔質フィルムになる前の中間の形態をいう。
【0042】
工程(d)で多孔質フィルムに熱可塑性樹脂および/または熱硬化性樹脂を含浸させる方法は特に限定されず、従来知られている紙またはガラスクロスへ熱硬化性樹脂を含浸させる方法などを適用することができる。例えば、本発明の熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂からなる組成物を溶剤に溶解したワニスを調製し、該多孔質フィルムに塗布して含浸させた後、溶剤を蒸発させてプリプレグを製造することができる。
【0043】
なお、樹脂として熱可塑性樹脂のみを使用するプリプレグまたは熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂を使用するプリプレグにおいては熱可塑性樹脂の全部又は一部を上記工程(a)で添加することもできる。即ち、次の工程(a’)〜(d’)の工程によりプリプレグを得ることができる。
(a’)極性アミド系溶媒又は極性尿素系溶媒中に、固有粘度が1.0〜2.8dl/gであるパラ配向芳香族ポリアミドを1〜10重量%、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩化物を1〜10重量%、及び熱可塑性樹脂を熱可塑性樹脂/パラ配向芳香族ポリアミド比(重量比)として1/9〜7/3含む溶液から膜状物を形成する工程。
(b’)該膜状物を20℃以上又は−5℃以下の温度に保持して、膜状物から主としてパラ配向芳香族ポリアミドを析出させ、熱可塑性樹脂を含む溶液で膨潤した多孔質パラ配向芳香族ポリアミドの膜状物を得る工程。
(c’)該多孔質パラ配向芳香族ポリアミドの膜状物を水系溶液又はアルコール系溶液に浸漬、凝固して、多孔質の膜状物の内部に熱可塑性樹脂を析出させた膜状物を得た後、膜状物から溶媒とアルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩化物を溶出させ、次いで得られた膜状物を乾燥させて、多孔質パラ配向芳香族ポリアミドフィルムに熱可塑性樹脂が含浸したプリプレグを得る工程。
更に、必要により、
(d’)工程(c’)で得られた多孔質フィルムを基体として、熱可塑性樹脂および/または熱硬化性樹脂を含浸させてプリプレグを得る工程。
【0044】
工程(a’)〜(d’)は、上記(a)〜(d)の工程と基本的には同じ操作が行われる。但し、熱可塑性樹脂のみを含浸してなるプリプレグの場合は既に(a’)で熱可塑性樹脂が添加されているので、工程(c’)で得られた膜状物を乾燥させることにより最終目的である熱可塑性樹脂含浸プリプレグを容易に得ることができる。一方、更に熱可塑性樹脂の含浸量を増加させたい場合や熱硬化性樹脂を含浸させたい場合は、(d)工程と同様にかかる工程(c’)で得られた多孔質フィルムを基体として、熱可塑性樹脂および/または熱硬化性樹脂を含浸させてプリプレグを得る工程(工程(d’))を追加することができる。
【0045】
なお、工程(a’)においては、一般にパラアラミド溶液に熱可塑性樹脂を熱可塑性樹脂/パラ配向芳香族ポリアミド比(重量比)で1/9〜7/3になるように混合して溶液として、該溶液の膜状物を形成する。
【0046】
上記のプリプレグは、熱線膨張率が低く、機械的強度に優れ、また金属箔との接着性も良好なことからプリント回路用基材及び積層板として好適に使用できる。かかるプリント回路用基材や積層板は一般に行われている方法(例えば「プリント配線板のすべて」電子技術86年度版6月別冊)により作製することができる。即ち、本発明のプリプレグを絶縁層として用い、さらに金属箔からなる導線層を積層してプリント回路用積層板を作製する。金属箔としては、金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム等を用いることができる。
【0047】
実施例
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。実施例及び比較例における試験、評価方法又は判定基準は次に示すとおりである。
【0048】
(1)固有粘度
96〜98%硫酸100mlにパラアラミド重合体0.5gを溶解した溶液及び96〜98%硫酸について、それぞれ毛細管粘度計により30℃にて流動時間を測定し、求められた流動時間の比から次式により固有粘度を求めた。
固有粘度=ln(T/T0 )/C 〔単位:dl/g〕
ここでT及びTO はそれぞれパラアラミド硫酸溶液及び硫酸の流動時間であり、Cはパラアラミド硫酸溶液中のパラアラミド濃度(g/dl)を示す。
【0049】
(2)空隙率
多孔質フィルムを正方形状に切取り(一辺の長さL:cm)、重量(W:g)、厚み(D:cm)を測定した。パラアラミドの真比重を1.45g/cm3 と仮定して、次式により空隙率( 体積%)を求めた。
空隙率( 体積%)=100−100×(W/1.45)/(L2 ×D)
【0050】
(3)引張試験
多孔質フィルム、プリプレグまたはプリプレグを硬化させたシートからダンベル社製ダンベルカッターにて試験片を打ち抜き、インストロンジャパン社製インストロン万能引張試験機モデル4301を用い、JIS K−7127に準じて引張強度を求めた。
【0051】
(4)銅箔との剥離強度
JIS C−6481に準拠して測定した。
【0052】
(5)熱線膨張係数
ASTM D696に従い、セイコー電子(株)製熱分析装置TMA120を用いて測定し、以下の式によって算出した。
α1=ΔL/L0 ・ΔT
ここで、α1:熱線膨張係数(/℃)
ΔL:試験片の変化長
0 :試験前の試験片長
ΔT:温度差(℃)
【0053】
(6)誘電率
JIS C−6481に従って、横河・ヒューレット・パッカード(株)製のマルチフレクエンシーメーター4275A(Multi frequency meter 4275A)を用いて測定した。試験片は多孔質フィルムに熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグを硬化したシートを10mm角に切り出し、両面に金蒸着したものを用いた。
【0054】
(7)吸水率
プリプレグを70mm角に切出し、硬化させたシートを試験片とし、これを120℃で2時間乾燥後、25℃、相対湿度65%の条件下で、24時間静置し、重量変化を測定した。
【0055】
実施例1
1)ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)の重合
撹拌翼、温度計、窒素流入管及び粉体添加口を有する5リットル(l)のセパラブルフラスコを使用してポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)(以下、PPTAと略す。)の重合を行った。フラスコを十分乾燥し,N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略す。)4200gを仕込み、200℃で2時間乾燥した塩化カルシウム272.7gを添加して100℃に昇温した。塩化カルシウムが完全に溶解した後室温に戻して、パラフェニレンジアミン(以下、PPDと略す。)132.9gを添加し完全に溶解させた。この溶液を20±2℃に保ったまま、テレフタル酸ジクロライド(以下、TPCと略す。)243.3gを10分割して約5分おきに添加した。その後溶液を20±2℃に保ったまま1時間熟成し、気泡を抜くため減圧下30分撹拌した。得られた重合液(重合体ドープ)は光学的異方性を示した。一部をサンプリングして水で再沈してポリマーとして取り出し、得られたPPTAの固有粘度を測定したところ1.96dl/gであった。
【0056】
2)PPTAフィルムの空隙率及び熱線膨張係数
PPTAからなる多孔質フィルムを上記項1)の重合液から作製した。即ち項1)の重合液100gを、攪拌翼、温度計、窒素注入管及び液体添加口を有する500mlのセパラブルフラスコに秤取し、NMP150gで希釈した。得られた溶液はPPTA濃度が2.4重量%で塩化カルシウムはPPTAのアミド基1モルに対し2モルの割合であった。次に、テスター産業株式会社製バーコーター(膜厚0.8mm)により、ガラス板上に当該溶液の膜状物を作製し、直ちに、80℃の加熱オーブンに約20分間保持した。この間に、PPTAが析出し、多孔質の膜状物が得られた。この多孔質の膜状物をイオン交換水に浸漬した。3分後に、多孔質の膜状物をガラス板から剥離した。イオン交換水を流しながら十分に水洗した後、水中より多孔質の膜状物を取り出し、遊離水をふき取った。この多孔質の膜状物を濾紙に挟み、さらにガラスクロスにはさんだ。多孔質の膜状物を濾紙とガラスクロスではさんだ状態で、アルミ板を乗せ、その上にナイロンフィルムを被せ、ナイロンフィルムとアルミ板とをガムでシールして、減圧のための導管をつけた。全体を熱オーブンに入れ120℃で減圧しながら多孔質の膜状物を乾燥した。得られた多孔質フィルムは厚みが32μmで空隙率が60%であった。また、200〜300℃における熱線膨張係数は−6.5×10-6/ ℃であった。
【0057】
3)ポリエーテルスルフォン溶液の調製
ポリエーテルスルフォン(住友化学工業(株)製スミカエクセルPES3600を用いた。以下、PESという。)60gを、撹拌翼及び液体添加口を有する500mlのセパラブルフラスコに秤取し、NMP260gを添加した。室温で撹拌しておくと、完全に溶解して淡黄色の液体となった。以下、これをPES溶液という。
【0058】
4)プリプレグ用溶液の調製
上記項1)の重合液200gと項3)のPES溶液40gを、撹拌翼、窒素流入管及び液体添加口を有する500mlのセパラブルフラスコに秤取し、NMPを徐々に285g添加した。最終的に、PPTA濃度が2.3重量%、PES濃度が1.5重量%の溶液を調製した。これをA液と称する。
【0059】
5)プリプレグの作製
テスター産業株式会社製バーコーター(膜厚0.8mm)により、ガラス板上にA液の膜状物を作製し、直ちに、この膜状物を80℃の加熱オーブンに約20分間保持した。この間にPPTAが析出して膜状物は黄白色に濁った。この膜状物をイオン交換水に浸漬しPESを凝固させた膜状物を得た。3分後に、膜状物をガラス板から剥離した。イオン交換水を流しながら十分に水洗した後、水中より膜状物を取り出し、遊離水をふき取った。ついで、この膜状物を20重量%NMP水溶液に浸漬し超音波洗浄器にかけた後遊離水をふき取った。この膜状物を濾紙に挟み、さらにガラスクロスに挟んだ。膜状物を濾紙とガラスクロスで挟んだ状態で、アルミ板に乗せその上にナイロンフィルムを被せ、ナイロンフィルムとアルミ板とをガムでシールして、減圧のための導管をつけた。全体を熱オーブンに入れ、120℃で減圧しながら膜状物を乾燥し、プリプレグを得た。
【0060】
得られたプリプレグは、地合が均一な厚み31μmの軽量なプリプレグであった。走査型電子顕微鏡でプリプレグを観察したところ、パラアラミドからなるフィブリル状のPPTAが均質に分散し網状に広がっていた。また、熱可塑性樹脂は大部分の空孔を埋め、フィブリルを被覆していた。このプリプレグの熱線膨張係数を測定したところ、100℃〜200℃の領域で7.95×10-6/℃であり、また200℃〜300℃の領域で22.8×10-6/℃であった。このプリプレグは回路用基材あるいはそれを使用する回路用積層板として好適な性質を備えている。
【0061】
実施例2
1)プリプレグ用溶液の調製
実施例1の重合液100gとPES溶液20gを、撹拌翼、窒素流入管及び液体添加口を有する500mlのセパラブルフラスコに秤取し、NMP67gを徐々に添加した。最終的に、PPTA濃度が3.2重量%,PES濃度が2.2重量%の溶液を調製した。これをB液と称する。
【0062】
2)プリプレグの作製
実施例1に準じてB液からプリプレグを作製した。厚みは55μmであった。
3)銅箔とプリプレグの積層
上記項2)で作製したプリプレグを厚さ35μmの銅箔にはさみ、(株)大東製作所製の小型圧延機で熱圧カレンダー加工した。銅箔との接着力は0.55kg/cmであった。
【0063】
実施例3
1)プリプレグ用溶液の調製
実施例1の重合液100gとPES溶液30gを、撹拌翼、窒素流入管及び液体添加口を有する500mlのセパラブルフラスコに秤取し、NMP70gを徐々に添加した。最終的に、PPTA濃度が3.0重量%,PES濃度が3.0重量%の溶液を調製した。これをC液と称する。
【0064】
2)プリプレグの作製
実施例1に準じてC液からプリプレグを作製した。厚みは72μmであった。
3)銅箔とプリプレグの積層
上記項2)で作製したプリプレグを厚さ35μmの銅箔にはさみ、(株)大東製作所製の小型圧延機で熱圧カレンダー加工した。銅箔との接着力は0.73kg/cmであった。
【0065】
実施例4
実施例1の重合液とPES溶液からPPTA濃度2.6重量%、PES濃度0.7重量%の溶液を調整した。膜厚が0.6mmのバーコーターで塗膜し、実施例1に準じて、プリプレグを作製した。このプリプレグの厚みは24μmで引張強度は9.3kg/mm2 、伸びは7.3%であった。
【0066】
実施例5
1)プリプレグ用溶液の調製
実施例1の重合液100gとPES溶液20gを、撹拌翼、窒素流入管及び液体添加口を有する500mlのセパラブルフラスコに秤取し、NMPを徐々に66g添加した。最終的に、PPTA濃度が3.2重量%でPES濃度が2.2重量%の溶液を調製した。これをD液と称する。
【0067】
2)プリプレグの作製
バーコーター(膜厚0.8mm)により、ガラス板上にD液の膜状物を作製し、この膜状物をイオン交換水に浸漬しPPTAとPESを同時に凝固させた。5分後に、得られた膜状物をガラス板から剥離した。イオン交換水を流しながら膜状物を十分に水洗した後、水中より膜状物を取り出し、遊離水をふき取った。次に、この膜状物を20重量%NMP水溶液に浸漬し超音波洗浄器にかけた後遊離水をふき取った。この膜状物を濾紙にはさみ、さらにガラスクロスにはさんだ。膜状物を濾紙とガラスクロスではさんだ状態で、アルミ板に乗せその上にナイロンフィルムを被せ、ナイロンフィルムとアルミ板とをガムでシールして、減圧のための導管をつけた。全体を熱オーブンに入れ120℃で減圧しながら膜状物を乾燥し、プリプレグを得た。得られたプリプレグは不透明で厚みが65μmであった。
【0068】
実施例6
1)PPTA溶液の調製
実施例1.の重合液100gを、撹拌翼、窒素流入管および液体添加口を有する500mlのセパラブルフラスコに秤取し、NMPを徐々に添加して最終的に、PPTA濃度が3.0重量%のPPTA溶液を調製し、E液とした。 また、E液をNMPで希釈してPPTA濃度が2.0重量%のPPTA溶液を調製し、F液とした。
【0069】
2)PPTA多孔質フィルム(E)の作製
テスター産業株式会社製バーコーター(膜厚0.35mm)を用い、ガラス板上にE液の膜状物を形成した。この膜状物を、直ちに、60℃の加熱オーブンに約20分間保持したところPPTAが析出して白濁したフィルムとなった。
このフィルムをイオン交換水に浸漬した。数分後にフィルムはガラス板から剥離した。イオン交換水を流しながら、このフィルムを約1時間浸漬した。水中よりフィルムを取り出し、遊離水をふき取ったあと濾紙に挟み、さらにガラスクロスに挟んだ。フィルムを濾紙とガラスクロスで挟んだ状態で、アルミ板に乗せその上にナイロンフィルムを被せ、ナイロンフィルムとアルミ板とをガムでシールして、減圧のための導管をつけた。全体を熱オーブンに入れ120℃で減圧しながらフィルムを乾燥した。
【0070】
乾燥して得られたフィルムは全体に地合が均一で、厚みは14μm、空隙率は46%であった。走査型電子顕微鏡でフィルムを観察したところ、約0.1μm以下のフィブリル状PPTA繊維が均質に分散し網状に広がっており、孔径が0.05〜0.2μmの空孔がフィルム全体に均一に分散している均質な多孔質フィルムであった。
得られた多孔質フィルムの引張強度と熱線膨張係数を測定した。塗工方向の引張強度は9.0kg/mm2 で、伸びは6.7%、熱線膨張係数は−6.2×10-6/℃であった。また、塗工方向と直角の方向の引張強度は8.8kg/mm2 で、伸びは6.3%、熱線膨張係数は−6.5×10-6/℃であった。
【0071】
3)プリプレグ、プリント回路用基材および積層板の作製
(1)ワニスの調製
下記の組成の混合物に溶媒(メチルエチルケトン、以下、MEKと略す。)を加え、還流管を付けた300mlの三角フラスコ中、マグネチックスターラーで撹拌しながら90分間加熱還流しワニスを得た。
ワニス配合組成: (重量部)
主剤:スミエポキシLDX−4120(住友化学工業製) 100.0
硬化剤:ジシアンジアミド(DICY、東京化成製) 2.7
触媒:2−メチル−4−エチルイミダゾール(四国化成製) 0.2
【0072】
(2)プリプレグの作製
多孔質フィルムを100mm角に切断し、(1)で調製したワニスを両面に塗布した。ワニスが含浸する間、溶媒が揮発しないようにフッ素フィルム(商品名:トヨフロン50F、東レ(株)製)に挟み、さらに押し付け、一様にワニスを広げた。10分間放置し、ワニスを多孔質フィルムに均一に含浸させた後、ガラスクロス(製品記号:YES−2101、日本板硝子繊維(株)製)上に移して150℃で3分間加熱して溶媒を除去し、エポキシ樹脂を半硬化させてプリプレグを作製した。
【0073】
(3)プリント回路用基材の作製
該プリプレグを40mm角に切断し、12枚重ね合わせ、10kg/cm2 の圧力下170℃にて2時間プレスし、エポキシ樹脂を完全に硬化させて、0.34mm厚みのプリント回路用基材を作製した。
得られたプリント回路用基材の誘電率は3.8(1MHz)であり、100℃から200℃の温度範囲での厚み(Z)方向の熱線膨張係数は5.51×10-5/℃であった。熱線膨張係数の測定に際して、プローブは膨張圧縮型を用い、測定条件は、押し付け荷重3g、昇温速度10℃/分、温度範囲は25℃〜300℃で行なった。
【0074】
(4)プリント回路用積層板の作製
該プリプレグを40mm角に切断し、12枚重ね合わせ、さらに銅箔(TTAI処理、35μm厚、古河サーキットホイル(株)製)を重ね合わせ、10kg/cm2 の圧力下170℃にて2時間プレスし、エポキシ樹脂を完全に硬化させて、0.37mm厚みのプリント回路用積層板を作製した。
作製したプリント回路用積層板の銅箔剥離強度を測定したところ、1.3kg/cmであった。
【0075】
実施例7
1)PPTA多孔質フィルム(F)の作製
テスター産業株式会社製バーコーター(膜厚2.5mm)により、ガラス板上に実施例6のF液の膜状物を形成した。直ちに、60℃の加熱オーブンに約20分間保持したところ、PPTAが析出して白濁したフィルムとなった。
このフィルムをイオン交換水に浸漬した。数分後にフィルムはガラス板から剥離した。イオン交換水を流しながら、このフィルムを約1時間浸漬した。水中よりフィルムを取り出し、遊離水をふき取ったあと濾紙に挟み、さらにガラスクロスに挟んだ。アラミドフィルムを濾紙とガラスクロスで挟んだ状態で、アルミ板に乗せその上にナイロンフィルムを被せ、ナイロンフィルムとアルミ板とをガムでシールして、減圧のための導管をつけた。全体を熱オーブンに入れ120℃で減圧しながらフィルムを乾燥した。
【0076】
得られたフィルムは厚みが66μmで、空隙率は43%であった。走査型電子顕微鏡でフィルムを観察したところ、約0.1μm以下のフィブリル状のPPTA繊維からなり、孔径0.05〜0.2μmの空孔を有する多孔質フィルムであった。
【0077】
2)プリプレグ、プリント回路用基材および積層板の作製
このようにして得られたパラアラミド系多孔質フィルムを用いて、実施例6と同様にして、エポキシ樹脂を含浸したプリプレグ、プリント回路用基材および該プリント回路用基材を絶縁層とするプリント回路用積層板を作製した。
【0078】
実施例8
1)PPTA多孔質フィルム(G)の作製
テスター産業株式会社製バーコーター(膜厚2.5mm)により、ガラス板上に実施例6のF液を膜状に形成した。直ちに、80℃の加熱オーブンに約20分間保持したところ、PPTAが析出して白濁したフィルムとなった。
このフィルムをイオン交換水に浸漬した。数分後にフィルムはガラス板から剥離した。イオン交換水を流しながら、このフィルムを約1時間浸漬した。水中よりフィルムを取り出し、遊離水をふき取ったあと濾紙に挟み、さらにガラスクロスに挟んだ。アラミドフィルムを濾紙とガラスクロスで挟んだ状態で、アルミ板に乗せその上にナイロンフィルムを被せ、ナイロンフィルムとアルミ板とをガムでシールして、減圧のための導管をつけた。全体を熱オーブンに入れ120℃で減圧しながらフィルムを乾燥した。
【0079】
得られたフィルムは、厚みが58.8μmで、空隙率が36.9%の、フィブリル状のPPTA繊維からなる多孔質フィルムであった。
この多孔質フィルム(G)を厚さ0.5mmのガラス板2枚で挟み、加熱オーブン中、空気雰囲気下で、25℃から300℃まで昇温し、300℃で30分間熱処理した。熱処理後のフィルムの平面(XまたはY)方向の熱線膨張係数を測定した。測定に際し、治具は(プローブ)は引張り型のものを用いた。測定条件は、荷重2g、昇温速度10℃/分、昇温の温度範囲は25〜350℃とし、同一サンプルで昇温、降温を3回繰り返し、サンプルの変化長を測定し、前記の式より、低温領域(25〜70℃)および高温領域(200〜300℃)における熱線膨張係数を求めた。最初にサンプルをセットしたときだけ0点調整し、その後の昇温、降温の間は調整しなかった。X方向とY方向の熱線膨張係数には有意差がないことを予め確認した。
【0080】
測定結果を表1に記す。表1記載の測定結果より明らかなように、300℃で熱処理した多孔質フィルム(G)は、低い熱線膨張係数を示す。また、200〜300℃で特に低い熱線膨張係数を示し、高温領域の寸法安定性に優れていることがわかった。これらの結果から、本発明の、パラアラミド系多孔質フィルムから作製されるプリント回路用基材およびプリント回路用積層板は、実用的には、260℃での半田リフロー試験で優れた性能を発揮することが期待される。
【0081】
【表1】
Figure 0003677892
【0082】
2)プリプレグ、プリント回路用基材および積層板の作製
このようにして得られたパラアラミド系多孔質フィルムを用いて、実施例6と同様にして、エポキシ樹脂を含浸したプリプレグ、プリント回路用基材および該プリント回路用基材を絶縁層とするプリント回路用積層板を作製した。
該プリント回路用積層板の銅箔剥離強度を測定したところ、1.2kg/cmであった。
【0083】
実施例9
1)エポキシ組成物の調整
還流管を付けた300mlの三角フラスコ中に、スミーエポキシESB−500、(住友化学製)90g、スミーエポキシESCN−195−6(住友化学製)10g、硬化剤としてジシアンジアミド(東京化成製)の10wt%メチルセルソルブ溶液25g、2−メチル−4−エチルイミダゾール(四国化成製)のMEK溶液1.0gを加えた。さらに希釈用溶媒MEKを加え、固形分濃度を60重量%になるように調整し、マグネチックスターラーで撹拌しながら120分間、加熱環流し該エポキシ組成物を得た。
【0084】
2)ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)ドープの調整
撹拌翼、温度計、窒素流入管及び粉体添加口を有する5リットルの反応器を使用してポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)の重合を行った。重合反応器を十分乾燥してからNMPを2300gと148gの乾燥した塩化カルシウムを添加し、内温85℃で完全に溶解した。次に内温が室温になるまで冷却した後、73.1gのPPDを加えて溶解し、内温を18〜22℃に保ちながら133.2gのTPCを徐々に加えた。TPCの添加終了後、温度18〜22℃にて1時間熟成して安定な重合液(以下PPTAドープと略称す。)を得た。固有粘度は1.97dl/gであった。
【0085】
3)アラミド多孔質フィルムの作製
上記2)項のPPTAドープ233gをNMP233gで希釈し塗工用ドープを得た。該ドープをテスター産業社製バーコーターにより、塗工速度0.2m/min、厚み0.1mmのPETのフィルム上に、膜厚1.2mmで塗工した。その後イオン交換水中で凝固させた後、イオン交換水の流水中で4時間洗浄した。得られた湿潤状態の膜状物を両面からメタ・アラミド製のフェルトで挟み、厚さ3mmのアルミ板上に置き、真空バックに包んでその周りをシーリング材でシールし、真空に引きながら、120℃で4時間乾燥し、多孔質フィルムを得た。空隙率は43.0%であり、熱線膨張係数は−6.4×10-6/℃であった。
【0086】
4)プリプレグの作製
上記3)項の多孔質フィルムを用いた。フィルム厚みは40μmであった。含浸用ワニスとして、ポリエーテルスルフォン(住友化学製、スミカエクセルPES5003P、以下PESと略す。)の30%NMP溶液を10.5gと上記(1)項のエポキシ組成物の固形分40%MEK溶液10.5gを混合し、MEK5gで希釈した。この時、白いPESと思われるポリマー状の物が析出したが、スパチュラで撹拌すると容易に溶解して、透明なワニスとなった。
多孔質フィルムをポリエチレン製フィルムの上に置き、含浸用ワニスをニス用の刷毛で多孔質フィルム上に塗った。もう一枚のポリエチレン製フィルムをこの上に被せ、数分すると反対側までワニスが浸透した。全体を反転し、ポリエチレン製フィルムをはぎ取り、含浸用ワニスを薄く塗り、再度ポリエチレン製フィルムを被せた。数分後、ワニスが含浸された多孔質フィルムを取り出し、120℃で20分間乾燥した。得られたプリプレグはしなやかであった。なお、プリプレグ中に占めるマトリックス樹脂(PESとエポキシ組成物(固形分のみ)の総量)は47%であった。
【0087】
5)硬化および物性測定
上記4)項のプリプレグを45μmのスペーサーの隙間に置き、テフロン製シートで挟み、175℃でプレス硬化した。また、厚み35μmの銅箔でこのプリプレグを挟んだものを、115μmのスペーサーの隙間に置き、175℃でプレス硬化した。物性測定の結果を表2に示す。
【0088】
実施例10
1)シアネート組成物の調整
300mlの三角フラスコ中に、2、2−ビス(4−シアナートフェニル)プロパンを加熱し一部3量化したプレポリマー50g、スミーエポキシESB−400、(住友化学製)25g、スミーエポキシESCN−195XL(住友化学製)25g、触媒としてナフテン酸亜鉛0.1gを加えた。さらに希釈用溶媒MEKとを加え、固形分濃度を60重量%になるように調整し、マグネチックスターラーで撹拌しながら120分間、撹拌し該シアネート組成物を得た。
【0089】
2)プリプレグの作製
実施例9の4)の方法に準じてプリプレグを作製した。含浸用ワニスとしては、PESの25%NMP溶液を36gとシアネート組成物の固形分25%MEK溶液36gを混合したものを使用した。
プリプレグ中に占めるマトリックス樹脂(PESとシアネート組成物(固形分のみ)の総量)は45%であった。
【0090】
3)硬化および物性測定
実施例9の5)の方法に準じて硬化物を作製した。物性測定の結果を表2に示す。
【0091】
実施例11
1)PPTA、PESよりなるフィルムの作製
実施例9の2)のPPTAドープ233gにPESの30%NMP溶液、11.7gを加え、NMP455gで希釈した。得られたドープをテスター産業社製バーコーターにより、塗工速度0.2m/min、厚み0.1mmのPETのフィルム上に、膜厚1.2mmで塗工した。得られた膜状物をイオン交換水中で凝固させた後、イオン交換水の流水中で4時間洗浄した。得られた湿潤状態の膜状物を両面からメタ・アラミド製のフェルトで挟み、厚さ3mmのアルミ板上に置き、真空バックに包んでその周りをシーリング材でシールし、真空に引きながら、120℃で4時間乾燥し、フィルムを得た。
【0092】
2)プリプレグの作製
上記1)の多孔質フィルムを使用した以外は、実施例10の2)と同様にしてプリプレグを作製した。
プリプレグ中に占めるマトリックス樹脂(PESとシアネート組成物(固形分のみ)の総量)は58%であった。
【0093】
3)硬化および物性測定
実施例9の5)の方法に準じて硬化物を作製した。物性測定の結果を表2に示す。
【0094】
【表2】
Figure 0003677892
【0095】
【発明の効果】
本発明のプリプレグは、軽量、低熱線膨張率という多孔質パラ配向芳香族ポリアミドフィルムの優れた特性を有し、機械的性質が良好で、しかも、地合が均一であるという不織布を用いたものでは得られない特性を持っている。特に、マトリックス樹脂として耐熱性、接着性、靭性の良好な熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂との組成物を組み合わせることによりプリント回路用積層板として有用なプリプレグを提供する。

Claims (9)

  1. 多孔質パラ配向芳香族ポリアミドフィルムに熱可塑性樹脂および/または熱硬化性樹脂を含浸してなり、前記多孔質パラ配向芳香族ポリアミドフィルムが、フィブリルの径が1μm以下のフィブリルから構成されることを特徴とするプリプレグ。
  2. ィブリルが網目状または不織布状に平面に配置されかつ層状に重なっている構造を有し、さらに該フィルムの200〜300℃での熱線膨張係数が±50×10-6/℃以内であり、空隙率が30〜95%であることを特徴とする請求項1記載のプリプレグ。
  3. パラ配向芳香族ポリアミドがポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)、ポリ(パラベンズアミド)、ポリ(4、4´−ベンズアニリドテレフタルアミド)、ポリ(パラフェニレン−4、4´−ビフェニレンジカルボン酸アミド)、ポリ(パラフェニレン−2、6−ナフタレンジカルボン酸アミド)、ポリ(2−クロロ−パラフェニレンテレフタルアミド)又はパラフェニレンジアミン/2、6−ジクロロパラフェニレンジアミン/テレフタル酸ジクロライドからなる共重合体であることを特徴とする請求項1または2記載のプリプレグ。
  4. 熱可塑性樹脂がポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリエーテルイミド、ポリスルフィドスルフォン又はポリカーボネートであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプリプレグ。
  5. 熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂、ビスマレイミド−トリアジン樹脂、ポリイミド樹脂、ジアリルフタレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シアネート樹脂またはアリール変成ポリフェニレンエーテル樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のプリプレグ。
  6. 下記(a)〜(d)の工程を有することを特徴とする、多孔質パラ配向芳香族ポリアミドフィルムに熱可塑性樹脂および/または熱硬化性樹脂を含浸してなるプリプレグの製造方法。
    (a)極性アミド系溶媒又は極性尿素系溶媒中に、固有粘度が1.0〜2.8dl/gであるパラ配向芳香族ポリアミドを1〜10重量%、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩化物を1〜10重量%を含む溶液から膜状物を形成する工程。
    (b)該膜状物を20℃以上の温度に保持し、膜状物からパラ配向芳香族ポリアミドを析出させる工程。
    (c)工程(b)で得られた膜状物を水系溶液又はアルコール系溶液に浸漬し、溶媒とアルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩化物を溶出させ、次いで乾燥させ多孔質パラ配向芳香族ポリアミドフィルムを得る工程。
    (d)工程(c)で得られた多孔質フィルムを基体として、熱可塑性樹脂および/または熱硬化性樹脂を含浸させてプリプレグを製造する工程。
  7. 工程(b)における保持温度が30℃以上であることを特徴とする請求項6記載の製造方法。
  8. 請求項1〜のいずれかに記載のプリプレグまたは請求項6若しくは7の製造方法によって得られたプリプレグからなることを特徴とするプリント回路用基材。
  9. 請求項8記載のプリント回路用基材からなる絶縁層と金属箔からなる導電層とを有することを特徴とするプリント回路用積層板。
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