JP2003200541A - フィルム付き多孔質膜、及びその巻回体 - Google Patents

フィルム付き多孔質膜、及びその巻回体

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JP2003200541A
JP2003200541A JP2002003216A JP2002003216A JP2003200541A JP 2003200541 A JP2003200541 A JP 2003200541A JP 2002003216 A JP2002003216 A JP 2002003216A JP 2002003216 A JP2002003216 A JP 2002003216A JP 2003200541 A JP2003200541 A JP 2003200541A
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porous membrane
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porous
resin
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JP2002003216A
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Toshiyuki Kawashima
敏行 川島
Shinji Tawara
伸治 田原
Kenichi Ikeda
健一 池田
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Nitto Denko Corp
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Nitto Denko Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性に優れ、樹脂フィルムとの付着力が適
度であり、好ましくは熱硬化性樹脂の含浸が好適に行
え、しかも樹脂フィルムを別途積層する必要がないフィ
ルム付き多孔質膜、及びそれをロール状に巻回してなる
巻回体を提供する。 【解決手段】 メタフェニレン基を有する繰り返し単位
を合計80モル%以上含み、ガラス転移温度Tgが19
0〜350℃である芳香族ポリアミドからなり、空孔率
が30〜80%である多孔質膜と、樹脂フィルムとが直
接界面で又は付着力調整層を介して付着してなるフィル
ム付き多孔質膜であって、前記多孔質膜と樹脂フィルム
とを剥離する際の剥離強度が、180度ピールにて引張
速度500mm/分の条件で測定した際に0〜50gf
/cmであるフィルム付き多孔質膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、芳香族ポリアミド
からなる多孔質膜と樹脂フィルムとが、直接界面で又は
付着力調整層を介して付着してなるフィルム付き多孔質
膜、及びそれをロール状に巻回してなる巻回体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、電子機器などに使用されるプ
リント配線基板の基材層や絶縁層等の形成工程には、熱
硬化性樹脂をガラス繊維織物や高分子不織布などに含浸
させて半硬化させたプリプレグ等が使用されてきた。通
常、プリプレグは銅箔に積層した積層体として使用さ
れ、例えば、その積層体を加熱加圧することによって、
下層の配線層等に積層・硬化させる工程を含むことによ
り、配線層と絶縁層が順次積層された多層構造が形成さ
れる。
【0003】最近の配線基板は、配線の高集積化のため
に、ファインパターン化、層間接続による多層構造化、
そのための各層の薄層化などが要求されている。しかし
ながら、ガラス繊維を補強相とするプリプレグでは、レ
ーザーによるビア加工が困難であり、また、高分子不織
布を使用したプリプレグでは、レーザーによる加工性は
向上するものの、薄くて均一な不織布を製造するのが困
難なため、薄層化に対応しにくいという問題があった。
【0004】そこで、ポリスルホン樹脂やアラミド樹脂
の多孔質膜を補強相とするプリプレグが幾つか提案され
ている。例えば、特開平11−147960号公報に
は、ポリスルホン系樹脂からなる補強相と、熱硬化性樹
脂マトリックス相とからなる有機複合材料が開示されて
いる。しかし、ポリスルホンは耐熱性が十分でなく、こ
れをプリプレグに用いて形成した絶縁層等では、配線基
板に要求される耐熱性を満足できなかった。
【0005】また、特開平9−324060号公報に
は、多孔質のパラ配向芳香族ポリアミドフィルムに熱可
塑性樹脂および/または熱硬化性樹脂を含浸してなるプ
リプレグが提案されている。しかしながら、一般的に、
パラ配向芳香族ポリアミドは、多孔質膜を形成するため
の製膜原液を調製する際に、溶媒への溶解性が著しく劣
るため、ポリマーの濃度や分子量を高めることができ
ず、所望の特性を有する多孔質膜が得られにくいという
問題がある。
【0006】また、特開2001−279004号公報
には、パラ配向芳香族モノマーに、ジアミノジフェニル
エーテル等の屈曲性モノマー成分を混合して得られる芳
香族ポリアミド共重合体を湿式凝固法で製膜して得られ
る、空隙を有するミクロドメイン構造のフィルムが具体
的に開示されている。しかしながら、このような共重合
体を用いて湿式凝固法で製膜したフィルムは、強度的に
は優れるものの、多孔質構造(表面および内部)が不均
一であり、また空孔率も低いため、プリプレグ等の配線
基板用途には不向きであることが判明した。
【0007】一方、多層配線基板の配線層間又は配線パ
ターンを形成する前の金属層間を導電接続する方法とし
て、絶縁層に形成されたビアホール内に導電性ペースト
を充填して金属層同士を導電接続する方法が知られてい
る。具体的には、図2(a)〜(e)に示すように、銅
箔11に積層されたプリプレグ10に更に樹脂フィルム
13を積層した状態で、レーザービア加工により銅箔1
1に至る開口部5を形成した後、その内部にスクリーン
印刷等によって導電性ペースト6を充填し、樹脂フィル
ム13を剥離して導電性ペースト6の表面を凸状とし、
その凸状部6aに圧接するように銅箔12を積層して熱
プレスすることで銅箔層間を導電接続したものが知られ
ている。なお、樹脂フィルムの積層と剥離を行わない
と、導電性ペーストに凸状部が形成されず、導電性ペー
ストと銅箔との圧接力が不充分となり、配線層間の導電
接続の耐久性や信頼性が低下しやすい。
【0008】また、レーザービア加工の被覆層として以
外にも、配線基板の製造工程における取扱い性を高めた
り、不純物の付着を防止する等の理由から、プリプレグ
に樹脂フィルムを被覆する場合が多い。そして、プリプ
レグに樹脂フィルムを積層する方法としては、補強繊維
シートに熱硬化性樹脂を含浸した後に、ラミネーター等
により樹脂フィルムが積層されていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ようにプリプレグに樹脂フィルムを積層する方法では、
積層時に空気の介在(エア噛み)を防止する必要があ
り、また、後に剥離するため適度な接着力で付着させる
必要があるなど、積層のための装置やその制御等が煩雑
になっていた。
【0010】一方、上記の如きプリプレグの補強相とし
て、前記のようにポリスルホン等の多孔質膜を用いる試
みが存在するが、このような多孔質膜を湿式凝固法(湿
式相分離法)で製膜すると、得られる多孔質膜と基材シ
ートは、凝固後に剥離してしまうのが通常である。
【0011】また、プリプレグの場合に限らず、薄層化
した多孔質膜には、それを支持・補強するフィルムを付
着させて使用するのが、その取扱い性や各工程への適用
性などの観点から好ましい。
【0012】そこで、本発明の目的は、耐熱性に優れ、
樹脂フィルムとの付着力が適度であり、好ましくは熱硬
化性樹脂の含浸が好適に行え、しかも樹脂フィルムを別
途積層する必要がないフィルム付き多孔質膜、及びそれ
をロール状に巻回してなる巻回体を提供することにあ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意研究したところ、特定の芳香族ポリア
ミドを用いて多孔質膜を製膜する際に、樹脂フィルムと
の付着性を適度にすることで、上記目的が達成できるこ
とを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】即ち、本発明のフィルム付き多孔質膜は、
下記の一般式(I)及び/又は一般式(II)で表される
繰り返し単位を合計80モル%以上含み、ガラス転移温
度Tgが190〜350℃である芳香族ポリアミドから
なり、空孔率が30〜80%である多孔質膜と、樹脂フ
ィルムとが直接界面で又は付着力調整層を介して付着し
てなるフィルム付き多孔質膜であって、前記多孔質膜と
樹脂フィルムとを剥離する際の剥離強度が、前記多孔質
膜と樹脂フィルムとを剥離する際の剥離強度が、180
度ピールにて引張速度500mm/分の条件で測定した
際に0〜50gf/cmであることを特徴とする。
【0015】
【化2】 −NH−Ar1 −NHCO−Ar2 −CO− (I) −NH−Ar3 −CO− (II) (式中、Ar1 、Ar2 及びAr3 は、同一又は相異な
って、置換されていてもよい配向位置が任意のフェニレ
ン基、ビフェニレン基、ナフタレン基、又は−Ph−Q
−Ph−基(Phはフェニレン基、Qは酸素原子、メチ
レン基、カルボニル基、スルホニル基、イオウ原子、又
はジメチルメチレン基を示す)を示す。但し、Ar1
Ar2 及びAr3 の少なくとも1つは置換されていても
よいメタフェニレン基である。)上記において、前記多
孔質膜のZ方向の熱線膨張係数が0〜200ppm/℃
であることが好ましい。本発明における各々の物性値
は、具体的には実施例に記載の方法により測定されるも
のである。
【0016】また、前記剥離強度の測定条件で剥離され
た前記多孔質膜の剥離側表面のJIS B0601によ
る表面粗さRaが0.001〜5μmであることが好ま
しい。
【0017】一方、本発明の巻回体は、上記いずれかに
記載のフィルム付き多孔質膜の長尺物をロール状に巻回
してなることを特徴とする。ここで、長尺物とは幅より
長さが5倍以上大きいものを指す。
【0018】上記において、ロール状に巻回したフィル
ム付き多孔質膜の半径方向中央の位置における巻き付け
張力が0.5〜20kgf/cmであることが好まし
い。
【0019】[作用効果]本発明の多孔質膜は、一般式
(I)及び/又は一般式(II)で表される繰り返し単位
を主に含み特定のガラス転移温度を有する芳香族ポリア
ミドからなるため、耐熱性に優れ、空孔率が適度な多孔
質膜を形成できる。また、この多孔質膜と、樹脂フィル
ムとが直接界面で又は付着力調整層を介して付着してい
るため、その取扱い性や各工程への適用性が良好とな
る。その際、上記の剥離強度で付着しているため、剥離
を行う際には多孔質膜を殆ど損傷せずに容易に剥離する
ことができる。
【0020】前記多孔質膜のZ方向の熱線膨張係数が0
〜200ppm/℃である場合、厚み方向の熱膨張が適
度になるため、例えば配線層間で導電接続を行うような
配線基板用途に好適なものとなる。
【0021】前記剥離強度の測定条件で剥離された前記
多孔質膜の剥離側表面のJIS B0601による表面
粗さRaが0.001〜5μmである場合、剥離時に多
孔質膜の破断が殆ど生じないものとなり、通常の剥離工
程においても、多孔質膜の破断が生じにくくなる。
【0022】一方、本発明の巻回体によると、上記いず
れかに記載のフィルム付き多孔質膜の長尺物をロール状
に巻回してなるため、耐熱性に優れ、樹脂フィルムとの
付着力が適度であり、好ましくは熱硬化性樹脂の含浸が
好適に行え、しかも樹脂フィルムを別途積層する必要が
ないフィルム付き多孔質膜の巻回体を提供することがで
きる。また、長尺物の巻回体であるため、搬送性や取り
扱い性などを良好にすることができる。
【0023】ロール状に巻回したフィルム付き多孔質膜
の半径方向中央の位置における巻き付け張力が0.5〜
20kgf/cmである場合、巻き付け時の摩擦力など
により樹脂フィルムが剥離しにくく、しかも緩みによる
膜表面の傷つきも生じにくくなる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。本発明のフィルム付き多孔質膜は、芳香族
ポリアミドからなる多孔質膜と樹脂フィルムとが直接界
面で又は付着力調整層を介して付着してなるものであ
る。
【0025】本発明における多孔質膜は、上記の一般式
(I)及び/又は一般式(II)で表される繰り返し単位
(以下、メタフェニレン基含有単位という)を合計80
モル%以上含み、ガラス転移温度Tgが190〜350
℃である芳香族ポリアミドからなる。好ましくは一般式
(I)で表される繰り返し単位を合計80モル%以上含
むものである。
【0026】ガラス転移温度Tgは、メタフェニレン基
含有単位のモル%、メタフェニレン基含有単位の種類、
その他の繰り返し単位の屈曲性、又はフェニレン基を置
換する官能基の種類などで調整することができる。これ
らの構成は、同時に湿式凝固法による製膜性に影響す
る。従って、得られる多孔質フイルムの耐熱性や製膜性
の点から、ガラス転移温度Tgは200〜300℃がよ
り好ましい。
【0027】また、メタフェニレン基含有単位の含有率
は、90モル%以上が好ましく、100モル%が最も好
ましい。また、メタフェニレン基含有単位が、置換され
ていてもよいメタフェニレンイソフタラミドであること
が好ましく、更に芳香族ポリアミドが、ポリメタフェニ
レンイソフタラミドであることが好ましい。
【0028】一般式(I)〜(II)におけるAr1 、A
2 及びAr3 は、同一又は相異なっていてもよい。ま
た、これらは置換されていてもよく、いずもの配向位置
が任意のフェニレン基、ビフェニレン基、ナフタレン
基、又は−Ph−Q−Ph−基(Phはフェニレン基、
Qは酸素原子、メチレン基、カルボニル基、スルホニル
基、イオウ原子、又はジメチルメチレン基を示す)を示
す。配向位置は例えばフェニレン基の場合には、パラ配
向、メタ配向など何れでもよいが、Ar1 、Ar 2 及び
Ar3 の少なくとも1つは置換されていてもよいメタフ
ェニレン基である。
【0029】上記Ar1 〜Ar3 が置換されていてる場
合の置換基としては、塩素原子等のハロゲン基、ニトロ
基、炭素数1〜3のメチル基、炭素数1〜3のアルコキ
シ基、アリール基、チオアリール基、オキシアリール
基、トリアルキルシリル基等が挙げられる。但し、Ar
1 〜Ar3 が何れも置換されていない場合が好ましい。
メタフェニレン基含有単位以外の繰り返し単位を含む場
合、当該繰り返し単位としては、メタフェニレン基を含
有しない芳香族ポリアミドの繰り返し単位や、脂肪族ポ
リアミドの繰り返し単位などが挙げられる。但し、後者
より前者を含む方が好ましく、前者の繰り返し単位とし
ては、一般式(I)〜(II)において、Ar1 、Ar2
及びAr3 のいずれもがメタフェニレン基でないものが
例示できる。
【0030】上記の芳香族ポリアミドは、その繰り返し
単位に対応するモノマー成分、例えば、イソフタル酸や
その塩化物等のような酸性分と、m−フェニレンジアミ
ンのようなジアミン成分とを用いて、縮重合を行うこと
により得ることができる。また、アミド交換法、イソシ
アナート法、活性カルボン酸誘導体法などで重合を行う
こともでき、その場合には、これらに代えて、ジアセト
アミドや、ジイソシアナート等のモノマー成分を用れば
よい。
【0031】本発明の多孔質膜の製法としては、湿式凝
固法、乾式凝固法、延伸法など種々の製膜法が挙げられ
るが、前述の如き膜構造を得る上で、湿式凝固法を採用
するのが好ましい。湿式凝固法では、一般的に、溶剤に
樹脂と添加剤等を溶解した製膜原液(ドープ)を調製
し、これを基材に塗布(キャスト)したものを凝固液に
浸漬して溶剤置換させることで、樹脂を凝固(ゲル化)
させ、その後、凝固液等を乾燥除去するなどして多孔質
膜を得る。
【0032】本発明では、例えば、上記の湿式凝固法で
製膜する際に、ドープを塗布する基材として、樹脂フィ
ルム又はその表面に付着力調整層が形成された樹脂フィ
ルムを用いることで、多孔質膜と樹脂フィルムとが付着
したものを得ることができる。
【0033】樹脂フィルムとしては、ポリエステルフィ
ルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム
等が挙げられるが、耐熱性などの点からポリエステルフ
ィルムが好ましい。
【0034】ポリエステルフィルムとしては、脂肪族系
のポリエステルフィルムも使用できるが、耐熱性、アラ
ミドとの付着性などの観点から、芳香族系のポリエステ
ルフィルムが好ましい。当該芳香族系のものとしては、
ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナ
フタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィ
ルム、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフ
タレートフィルム、ポリアリレートフィルム、ポリエス
テル系液晶ポリマーフィルムなどが挙げられる。
【0035】なお、これらのフィルムとしては、多孔質
膜との付着性を高めるために、コロナ放電処理などの表
面処理を行ったものを用いてもよい。また、多孔質膜と
の剥離性を制御するために、離型剤などにより離型処理
を行ったものを用いてもよい。
【0036】樹脂フィルムの厚みは、補強効果、コスト
などを考慮すると、5〜125μmが好ましく、12〜
50μmがより好ましい。
【0037】樹脂フィルムに付着力調整層を設けるのは
任意であるが、付着力調整層としては、多孔質膜との付
着性を高めるためのコロナ処理層、プラズマ処理層や、
多孔質膜との剥離性を高めるためのシリコーン系離型剤
層、フッ素系離型剤層などが挙げられる。また、離型剤
層を更に表面処理して付着力を調整してもよい。
【0038】本発明では、溶剤に樹脂を溶解する際に、
前記の芳香族ポリアミドを溶解させたり、あるいは、溶
解性の低い芳香族ポリアミドを溶剤に溶解させる際に、
上記の如きモノマーを用いた溶液重合によって得られる
芳香族ポリアミド溶液を使用してもよい。
【0039】芳香族ポリアミドを溶解する溶剤は、溶解
性の観点から、例えば、テトラメチル尿素、ヘキサメチ
ルホスホルアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N
−メチル−2−ピロリドン,N−メチルピペリドン−
2、N,N−ジメチルエチレン尿素、N,N,N’,
N’−テトラメチルアロン酸アミド、N−メチルカプロ
ラクタム、N−アセチルピロリジン、N,N−ジエチル
アセトアミド、N−エチルピロリドン−2、N,N−ジ
メチルプロピオン酸アミド、N,N−ジメチルイソブチ
ルアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチル
プロピレン尿素及びそれらの混合系が挙げられる。更
に、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルア
セトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロ
トン性極性溶剤が溶解性の面や、凝固溶剤との溶剤置換
スピードの点で好ましく使用できる。特に好ましい例と
して、N−メチル−2−ピロリドンを例示することがで
きる。
【0040】また、ジエチレングリコールジメチルエー
テル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチ
レングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコ
ールジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、
1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン
等の溶剤を混合して、溶剤置換の速度を調整してもよ
い。
【0041】本発明におけるドープは、好ましくは−2
0〜60℃の温度範囲で塗布される。また、凝固液とし
ては用いる樹脂を溶解せずに、上記溶剤と相溶性を有す
るものであれば、限定されないが、水やメタノール、エ
タノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類及
びこれらの混合液が用いられ、特に水が好適に用いられ
る。浸漬時の凝固液の温度は特に限定されないが、好ま
しくは0〜60℃の温度である。
【0042】製膜原液のポリマー濃度は、4重量%から
25重量%の範囲が好ましく、7重量%から15重量%
がより好ましい。濃度が高すぎると、粘度が高くなりす
ぎて取り扱いが困難になるし、濃度が低すぎると多孔質
膜が形成できないからである。
【0043】孔径形状や孔径コントロールのために硝酸
リチウムのような無機物やポリビニルピロリドンのよう
な有機物を添加することもできる。添加物の濃度は溶液
中に1重量%から10重量%まで添加するのが好まし
い。硝酸リチウムを添加すると溶剤と凝固液との置換速
度が速く、スポンジ構造の中にフィンガーボイド構造
(指状にボイドを有する構造)を形成できる。ポリビニ
ルピロリドンのような凝固スピードを遅くする添加剤を
加えると、スポンジ構造が均一に広がった多孔質膜を得
ることができる。
【0044】また、凝固液に浸漬する前に、例えば30
℃以上、相対湿度90%以上の雰囲気に所定時間(例え
ば1秒〜10分間)放置することにより水分等をドープ
に吸収させることで、表面付近の多孔質層の孔径コント
ロールを行ってもよい。例えばこの操作により、表面に
スキン層が形成されるようなドープ組成でも、孔径をあ
る程度大きくすることができる場合がある。
【0045】上記の如き製膜原液をガラス板のような無
多孔の基材上に一定の厚みに塗布し、水中に浸積して凝
固させたり、水蒸気雰囲気下に放置して凝固した後、水
中に浸積するなどして、脱溶剤された多孔質膜を得る。
無多孔の基材としてはガラス板やステンレス板などの無
機物の他、ポリエチレンのシートのような高分子フィル
ムも使用できる。ただし、多孔質膜を基材から剥がすこ
とが容易な基材を使用するのが好ましい。
【0046】但し、金属箔付きのプリプレグを製造する
場合には、銅箔などの金属箔を基材として、多孔質膜を
製膜することにより、金属箔の積層と多孔質膜の形成と
を同時に行うことができる。また、プリプレグを樹脂フ
ィルムで被覆する必要がある場合など、当該樹脂フィル
ムを基材として、同様に製膜することができる。
【0047】多孔質膜を凝固液から取り出した後、乾燥
する場合には、しわの寄らないように乾燥するのが好ま
しい。しわができるのは、部分的に収縮率が異なるため
であるが、しわが入るとプリプレグを作るときに平滑に
できずプリント配線板の作成に問題となり易い。また、
収縮が場所により異なるとマトリックスの均一性も問題
となる。そこで、乾燥はしわがよらない方法であれば特
にこだわらないが、フィルムの両端にテンションをかけ
た状態で乾燥する方法やスペーサーの上に多孔質膜をの
せ、片面より真空に引きながら乾燥させる方法などが好
ましい。乾燥の温度は多孔質膜の細孔が閉塞しなければ
特に制限されないが、取り扱いの面から200℃以下で
の乾燥が望ましい。
【0048】本発明の多孔質膜は、空孔率が30〜80
%であるが、プリプレグに使用する場合の熱硬化性樹脂
の含浸性、含浸量、強度等の点から、好ましくは40〜
70%である。また、多孔質膜の構造としては、スポン
ジ構造を有するものが好ましい。
【0049】また、表面や内部の細孔が小さすぎると、
熱硬化性樹脂の含浸性が悪いし、大きすぎると強度的に
問題がある。したがって、裏表面が何れも平均孔径0.
05μm以上が好ましい。より好ましくは0.1〜5μ
mである。また、スポンジ構造部分(内部)の細孔のサ
イズは0.05μmから10μmであればよいが、好ま
しくは0.1μmから5μmである。フィンガーボイド
構造では、ファインピッチのレーザービア加工を良好に
行う上で、径0. 05μmから10μmが好ましいが、
長さは最も長い場合フィルム厚み程度となる。
【0050】また、熱硬化性樹脂の含浸性や含浸量を良
好にする上で、JIS P−8117に準拠する通気度
が11〜900秒/100ccであることが好ましく、
200〜500秒/100ccであることがより好まし
い。
【0051】本発明の多孔質膜は、Z方向の熱線膨張係
数が0〜200ppm/℃が好ましく、0〜100pp
m/℃がより好ましい。このような線膨張係数である
と、プリプレグとした際に、絶縁層のZ方向(厚み方
向)の線膨張係数を銅等の金属に近づけることができ、
配線層間の導電接続に悪影響を与えにくくなる。
【0052】また、XY方向の熱線膨張係数が0〜30
ppm/℃であるのが好ましく、10〜20ppm/℃
であるのがより好ましい。このような線膨張係数である
と、プリプレグとした際に、絶縁層のXY方向(面方
向)の線膨張係数を銅等の金属に近づけることができ、
配線基板の反りや歪みを小さくすることができる。
【0053】本発明の多孔質膜の引張強度は、プリプレ
グの補強相や、多孔質のままで絶縁層を形成する上で、
100〜10000N/cm2 であることが好ましく、
500〜5000N/cm2 であることがより好まし
い。
【0054】多孔質膜の厚さは特に限定されないが、あ
まりフィルム厚みが厚すぎると脱溶剤に時間がかかるこ
となどの問題が発生する。また、最近の多層配線基板で
は薄くて軽くさらに機械強度のある物が望まれるため、
補強相(マトリックス)を形成する多孔質膜厚さとして
は150μm以下から2μmが望ましい。好ましくは9
0μmから5μmである。
【0055】本発明のフィルム付き多孔質膜は、多孔質
膜と樹脂フィルムとを剥離する際の剥離強度が、180
度ピールにて引張速度500mm/分の条件で測定した
際に0〜50gf/cmであり、好ましくは1〜25g
f/cmである。
【0056】また、この剥離強度の測定条件で剥離され
た多孔質膜の剥離側表面のJISB0601による表面
粗さRaが0.001〜5μmであることが好ましく、
表面粗さRa0.001〜1μmであることがより好ま
しい。
【0057】本発明の多孔質フイルムはプリプレグ用の
補強材として適切な強度と含浸性を示し、平面方向に均
質であるためファインピッチのレーザービア微細加工を
可能とするプリント配線基板のためのプリプレグを作成
する基材としての適正を備えている。
【0058】一方、本発明の巻回体は、以上のようなフ
ィルム付き多孔質膜の長尺物をロール状に巻回してなる
ことを特徴とする。長尺物の長さは、使用目的にもよる
が、10〜1000mが好ましく、10〜100mがよ
り好ましい。また、長尺物の幅は、使用目的にもよる
が、20〜100cmが好ましく、25〜50cmがよ
り好ましい。
【0059】長尺物をロール状に巻回する方法は、乾燥
工程を連続式に行いながら又は巻回したロールをバッチ
方式で乾燥した後、乾燥が終了したフィルム付き多孔質
膜を、所定の張力(テンション)にて巻き取り装置で巻
き取る方法や、一旦、巻き取り装置でロール状に巻回し
たものを、巻き戻しながら、別の巻き取り装置で所定の
張力で巻き取る方法などが採用できる。また、巻き取り
に際して、一定幅でスリットする工程を追加してもよ
い。なお、巻回は、紙管、樹脂パイプ、フランジ付きパ
イプなどに対して行うのが好ましい。
【0060】その際のテンションは、ロール状に巻回し
たフィルム付き多孔質膜の、少なくとも半径方向中央の
位置における巻き付け張力が0.5〜20kgf/cm
であることが好ましく、1〜10kgf/cmであるこ
とがより好ましい。また、巻回したフィルム付き多孔質
膜の厚みに対して、半径方向の中位置を中心として80
%の厚み幅の範囲で、上記の張力であることが好まし
い。
【0061】本発明のフィルム付き多孔質膜は、例えば
配線基板用などの各種プリプレグの補強層、配線基板な
どの絶縁層、分離膜、セパレータ、緩衝材、耐熱性接着
シートなどに使用できる。特に、配線基板プリプレグの
製造に好適に使用できる。以下、その製造方法と、得ら
れる配線基板プリプレグの使用方法について説明する。
【0062】配線基板プリプレグは、樹脂フィルム上に
湿式凝固法により多孔質層を製膜・付着させる工程と、
その付着した多孔質層の孔内に熱硬化性樹脂の原料組成
物を含浸させる工程とを含む製造方法により好適に製造
することができる。
【0063】樹脂フィルム上に湿式凝固法により多孔質
層を製膜・付着させる工程については、前記の通りであ
る。
【0064】原料組成物の含浸方法としては、各種コー
ター等によって、多孔質層の表面に、直接熱硬化性樹脂
の原料液を塗布する方法でもよいが、基材シートの表面
に原料液を塗布して乾燥させた固形塗膜を多孔質層の表
面に積層して、加熱・加圧により含浸させる方法が好ま
しい。この方法により、熱硬化性樹脂の原料液に含まれ
る溶剤により、芳香族ポリアミドなどの樹脂が膨潤等し
て多孔質層が変形するのを抑制できる。
【0065】熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フ
ェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド酸等が挙げ
られるが、エポキシ樹脂やエポキシ樹脂と他の樹脂の混
合物などが価格や取り扱い易さの点から好ましい。熱硬
化性樹脂の原料液には、溶剤の他に、触媒、硬化剤、難
燃剤、充填剤、可塑剤、促進剤等を含有してもよい。熱
硬化性樹脂の原料液に含まれる溶剤としては、熱硬化性
樹脂の種類によるが、ケトン類、酢酸エステル類、エー
テル類、芳香族炭化水素類、アルコール類等が挙げられ
る。
【0066】基材シートとしては樹脂、金属などが何れ
も使用できるが、樹脂フィルムが好ましい。塗布方法と
しては、直接塗布又は間接含浸の何れの場合も、ブレー
ドコーター、コンマコーター、ロールコーター、カレン
ダコーター、バーコーターによる塗布方法が挙げられ
る。なお、塗布厚みが均一なほど固形塗膜の厚みも均一
となり、含浸量もより均一化できる。
【0067】溶剤の乾燥では、完全に溶剤を除去する必
要はなく、非流動化する程度でもよい。乾燥方法として
は、効率の点から加熱乾燥や熱風乾燥が好ましい。加熱
温度としては、熱硬化性樹脂の硬化反応が進行し過ぎな
い温度が選択される。
【0068】加熱・加圧を行う方法としては、各種の熱
プレス装置や熱ラミネーター、それらに真空排気装置を
付加した装置などを用いる方法が挙げられる。本発明で
は、熱ラミネーターを用いるのが好ましい。
【0069】この加熱・加圧によって、樹脂フィルムに
付着した多孔質層に、熱硬化性樹脂の半硬化物が含浸さ
れた配線基板プリプレグが製造できる。以下、この配線
基板プリプレグの使用形態の一例として、プリプレグに
レーザービア加工を行い、金属層間を導電接続させる場
合について説明する。図1(a)〜(e)は、当該導電
接続方法の一例を示す工程図である。
【0070】まず、図1(a)に示すように、樹脂フィ
ルム3が付着したプリプレグ10を用い、プリプレグ1
0の樹脂フィルム3とは反対側の面に別の樹脂フィルム
4を積層する。この樹脂フィルム4としては、ポリエス
テルフィルムが好ましい。積層は、プリプレグ10の粘
着力を利用して圧着したり、単に積層配置するだげでも
よい。
【0071】次に、図1(b)に示すように、上記の積
層物を貫通する開口部5を形成する。なお、積層物を貫
通する開口部5を形成する代わりに、樹脂フィルム4で
はなく金属層を設けておき、樹脂フィルム3の表面から
その金属層に至る開口部5を形成してもよい。 開口部
5の形成は、開口面積が大きい場合は、コンピュータ制
御によるドリリング、パンチ等も利用できるが、通常
は、YAGレーザ等の各種レーザを用いたレーザ加工が
行われる。レーザ加工の方法や条件等は、従来法が何れ
も適用できる。なお、樹脂フィルム3は、レーザ加工の
際に、その下層のプリプレグ10を保護する役割も有す
る。
【0072】次に、図1(c)に示すように、上記の開
口部5に導電性ペースト6を表面高さが周囲の高さと略
同じになるように充填する。導電性ペースト6として
は、銀、銅、カーボン、ハンダ等の微粒子をバインダー
樹脂や溶剤に分散させたものが挙げられる。バインダー
樹脂としては、熱硬化性樹脂が好適に使用され、後述す
る熱プレスによって、硬化反応が進行する。
【0073】導電性ペースト6の充填には、スクリーン
印刷、オフセット印刷、パッド印刷、インクジェット印
刷等の印刷や、スクイーズによる充填などの方法が使用
できる。
【0074】次に、図1(d)〜(e)に示すように、
樹脂フィルム3と樹脂フィルム4とを剥離して、導電性
ペースト6に凸状部6aを形成した状態で、2枚の金属
層3,4を上下から積層して熱プレスする。この工程に
より、導電性ペースト6が圧密化され、導電性ペースト
6と両者の金属層11,12との圧接力が大きくなる。
【0075】金属層の材質としては、銅、白銅、青銅、
黄銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、ステンレス、金、
銀、白金等の各種のものを使用できる。これらは、金属
箔、金属板のいずれでもよく、その厚さは好ましくは1
〜50μmである。本発明では配線基板の配線パターン
として好適な銅箔を用いるのが特に好ましい。金属箔の
表面には、プリプレグ10との密着性を高めるために、
粗面化処理、黒色処理などの物理的又は化学的な各種表
面処理を行ってもよい。
【0076】熱プレスには真空プレス装置、熱プレス装
置、連続プレス装置などの各種プレス装置が利用でき、
また、熱プレスの温度、圧力は、従来公知の条件が何れ
も適用できる。
【0077】
【実施例】以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実
施例等について説明する。なお、多孔質膜の各物性は次
のようにして測定した。
【0078】(1)ガラス転移温度Tg 樹脂自体のガラス転移温度Tgをセイコーインスツルメ
ント社製の熱分析システムEXSTRA6000(視差
走査熱量計DSC6200+TMA SS61100)
により測定した。
【0079】(2)通気度 JIS P−8117に準拠して通気度を測定した。
【0080】(3)多孔質膜の引張強度 引っ張り速度を50mm/分、サンプルの幅を5〜6m
mとして測定した。
【0081】(4)多孔質膜の空孔率 空孔率(%)={1−(重量/密度)/容積}×100
多孔質膜の容積と重量を測定し、多孔質膜素材の密度を
用いて上式により、空孔率を求めた。
【0082】(5)多孔質膜の平均孔径 多孔質膜について、走査型電子顕微鏡(SEM)を用い
て、断面の写真撮影を行い、その写真のコンピュターに
よる画像解析から平均孔径を求めた。また、その際の膜
構造を調べた。
【0083】(6)熱線膨張係数 多孔質膜を用いて、XY方向の熱線膨張係数は理学電気
製TMA8310を使用して引っ張りモードで、Z方向
の熱線膨張係数はセイコーインスツルメント製のTMA
ss6200を使用して圧縮モードで測定した。
【0084】(7)熱硬化性樹脂の含浸性 多孔質膜に対し、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹
脂のメチルエチルケトン50重量%溶液よりなる熱硬化
性樹脂の原料組成物を塗布して含浸させ、含浸速度の速
いものから良好、普通、不良の順で3段階に評価した。
【0085】(8)剥離強度 多孔質膜と樹脂フィルムとを剥離する際の剥離強度を、
180度ピールにて引張速度500mm/分の条件で測
定した。
【0086】(9)表面粗さ 前記(8)の剥離強度の測定条件で剥離された多孔質膜
の剥離側表面のJISB0601による表面粗さRaを
触針式表面粗さ計を用いて測定した。
【0087】〔実施例1〕イソフタル酸塩化物のへキサ
ン溶液とm−フェニレンジアミンの水溶液を等モル反応
させて芳香族ポリアミドを得た。この芳香族ポリアミド
(沈殿物)を水洗、アルコール洗浄、水洗を繰り返した
後、60℃で一晩真空乾燥して乾燥ポリマーを得た。こ
のポリマーを80℃でN−メチル−2−ピロリドン(N
MP)中に溶解して、ポリマー10重量%含む溶液(製
膜原液)を得た。
【0088】これを厚み180μmで、厚み38μmの
PETフィルム(三菱化学ポリエステルフィルム(株)
製、T100G38、表面処理:静電コートタイプ)の
上に塗布し、相対湿度100%、温度40℃で吸湿させ
た後、40℃の水槽に浸漬してフィルム付き多孔質膜を
得た。その後、1昼夜水中保存して脱溶剤を行った。そ
の後、80℃、5時間乾燥して多孔質膜を得た。このフ
ィルム付き多孔質膜の物性、膜構造などを表1に示す。
【0089】〔実施例2〕実施例1において、m−フェ
ニレンジアミンの代わりに、3,3’−ジアミノジフェ
ニルエーテルを用いること以外は、実施例1と同じ条件
でフィルム付き多孔質膜を得た。このフィルム付き多孔
質膜の物性、膜構造などを表1に示す。
【0090】〔比較例1〕アラミド樹脂(帝人(株)
製,テクノーラ:コポリパラフェニレン・3,4’−オ
キシジフェニレン・テレフタラミド)を用いて、アラミ
ド樹脂/NMP/水/塩化カルシウム=6/90.9/
0.8/2.3(重量%)のドープを調製した。実施例
1において、このドープを用いること以外は、実施例1
と同様にして製膜し、フィルム付き多孔質膜を得た。こ
のフィルム付き多孔質膜の物性、膜構造などを表1に示
す。
【0091】〔比較例2〕実施例1において、芳香族ポ
リアミドの代わりにポリスルホン(BP−Amoco社
製,UDEL)を用いる以外は、実施例1と同様にし
て、多孔質膜の製膜を行った。しかし、樹脂フィルムの
上に多孔膜は形成できたものの、フィルムとの密着性が
悪く、樹脂フィルムと一体化した多孔質膜を得ることは
できなかった。
【0092】
【表1】 表1の結果が示すように、メタフェニレン基を含有する
実施例1〜2では、耐熱性に優れ、熱線膨張係数も適度
であり、しかも熱硬化性樹脂の含浸性が良好な多孔質膜
が得られた。これに対して、パラ配向モノマーの一部を
3,4’−ジアミノジフェニルエーテルで置換した比較
例1では、膜構造が不規則で表面部の開口が不均一なた
め、樹脂組成分の含浸が不良となった。
【0093】〔巻回体の実施例〕実施例1〜2でフィル
ム付き多孔質膜を製造する際に、これを連続するライン
で行って、各実施例に対応するフィルム付き多孔質膜の
長尺物(長さ100m、幅30cm)を製造し、これを
一旦ロール状に巻き取ってからバッチ方式で乾燥した
後、これを巻き取り装置でロール状に巻回して本発明の
巻回体を製造した。
【0094】その際、一定の張力で巻き取るように張力
制御し、ロール状に巻回したフィルム付き多孔質膜の半
径方向中央の位置における巻き付け張力が4kgf/c
mとなるようにした。その後、これを巻き戻しながら別
の巻き取り装置で巻き取り、半径方向中央の位置、及び
その前後におけるフィルム付き多孔質膜をサンプリング
した。それらのサンプルを調べたところ、いずれも多孔
質膜の離反は生じていなかった。
【0095】〔巻回体の比較例〕上記巻回体の実施例で
得られた巻回体を巻き戻しながら、フィルム付き多孔質
膜を別の巻き取り装置で巻き取る際に、テンションを段
階的に変化させながら巻き取りを行った後、各部におけ
る巻回の状態を調べた。その結果、巻き付け張力が30
kgf/cm以上になると、巻回の際に多孔質膜が離反
した箇所が生じ易く、逆に、巻き付け張力が0.2kg
f/cm以下であると、巻き付け力が弱いため、巻回体
にズレが生じ易かった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の配線基板プリプレグの使用方法の一例
を示す工程図
【図2】従来の金属層間の導電接続方法の一例を示す工
程図
【符号の説明】
3 樹脂フィルム(製膜基材) 4 樹脂フィルム(別途積層) 5 開口部 6 導電性ペースト 10 プリプレグ 11 金属層 12 金属層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 池田 健一 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 Fターム(参考) 4F100 AK47A AL01A AR00G BA02 BA07 DD07B DJ00B GB43 JA02B JA05A JJ03 JL13 YY00A YY00B

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の一般式(I)及び/又は一般式
    (II)で表される繰り返し単位を合計80モル%以上含
    み、ガラス転移温度Tgが190〜350℃である芳香
    族ポリアミドからなり、空孔率が30〜80%である多
    孔質膜と、樹脂フィルムとが直接界面で又は付着力調整
    層を介して付着してなるフィルム付き多孔質膜であっ
    て、前記多孔質膜と樹脂フィルムとを剥離する際の剥離
    強度が、180度ピールにて引張速度500mm/分の
    条件で測定した際に0〜50gf/cmであるフィルム
    付き多孔質膜。 【化1】 −NH−Ar1 −NHCO−Ar2 −CO− (I) −NH−Ar3 −CO− (II) (式中、Ar1 、Ar2 及びAr3 は、同一又は相異な
    って、置換されていてもよい配向位置が任意のフェニレ
    ン基、ビフェニレン基、ナフタレン基、又は−Ph−Q
    −Ph−基(Phはフェニレン基、Qは酸素原子、メチ
    レン基、カルボニル基、スルホニル基、イオウ原子、又
    はジメチルメチレン基を示す)を示す。但し、Ar1
    Ar2 及びAr3 の少なくとも1つは置換されていても
    よいメタフェニレン基である。)
  2. 【請求項2】 前記多孔質膜のZ方向の熱線膨張係数が
    0〜200ppm/℃である請求項1記載のフィルム付
    き多孔質膜。
  3. 【請求項3】 前記剥離強度の測定条件で剥離された前
    記多孔質膜の剥離側表面のJIS B0601による表
    面粗さRaが0.001〜5μmである請求項1又は2
    に記載のフィルム付き多孔質膜。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3いずれかに記載のフィルム
    付き多孔質膜の長尺物をロール状に巻回してなる巻回
    体。
  5. 【請求項5】 ロール状に巻回したフィルム付き多孔質
    膜の半径方向中央の位置における巻き付け張力が0.5
    〜20kgf/cmである請求項4記載の巻回体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014076662A (ja) * 2009-08-06 2014-05-01 Asahi Kasei E-Materials Corp 微多孔膜積合体及びその製造方法、並びに微多孔膜の製造方法

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