JP2003198508A - アダプティブアレイ無線装置 - Google Patents
アダプティブアレイ無線装置Info
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Abstract
推定して送信指向性を制御することができるアダプティ
ブアレイ無線装置を提供する。 【解決手段】 無線装置1000は、アダプティブアレ
イアンテナ#1〜#4からの信号のうち特定の端末から
の信号を受信ウェイトベクトル計算機20で計算される
受信ウェイトベクトルに基づいて分離する。受信応答ベ
クトル計算機24は、特定の端末からの信号の伝搬路の
受信応答ベクトルを導出する。受信応答ベクトル計算機
24は、異なる時間の応答ベクトル同士の相関値をアン
テナごとに算出し、ドップラー周波数を推定する。推定
されたドップラー周波数が小さい方から所定数のアンテ
ナを用いて送信指向性が制御される。
Description
アンテナ指向性を変更可能な無線装置の構成に関し、特
に、アダプティブアレイ無線基地局において用いられる
無線装置の構成に関する。
数の有効利用を図るべく種々の伝送チャネル割当方法が
提案されており、その一部のものは実用化されている。
Division Multiple Access:FDMA),時分割多重接
続(Time Division Multiple Access :TDMA)およ
びPDMA(Path Division Multiple Access)の各種の
通信システムにおけるチャネルの配置図である。
MAおよびPDMAについて簡単に説明する。図10
(a)はFDMAを示す図であって、異なる周波数f1
〜f4の電波でユーザ1〜4のアナログ信号が周波数分
割されて伝送され、各ユーザ1〜4の信号は周波数フィ
ルタによって分離される。
各ユーザのデジタル化された信号が、異なる周波数f1
〜f4の電波で、かつ一定の時間(タイムスロット)ご
とに時分割されて伝送され、各ユーザの信号は周波数フ
ィルタと基地局および各ユーザ移動端末装置間の時間同
期とにより分離される。
り電波の周波数利用効率を高めるために、PDMA方式
が提案されている。このPDMA方式は、図10(c)
に示すように、同じ周波数における1つのタイムスロッ
トを空間的に分割して複数のユーザのデータを伝送する
ものである。このPDMAでは各ユーザの信号は、周波
数フィルタと基地局および各ユーザ移動端末装置間の時
間同期とアダプティブアレイ(adaptive array)などの
相互干渉除去装置とを用いて分離される。
ば、各ユーザ端末のアンテナからの上り信号は、基地局
のアレイアンテナによって受信されアダプティブアレイ
処理により受信指向性を伴って分離抽出される。一方、
基地局から当該端末への下り信号は、端末のアンテナに
対する送信指向性を伴ってアレイアンテナから送信され
る。
成および動作]たとえば、アダプティブアレイを備えた
無線基地局が、ユーザAおよびBの双方からの混合した
電波信号を受信するものとする。このとき、この無線基
地局では、ユーザAおよびBの双方からの信号が混じっ
た信号を、アレイアンテナを構成する複数のアンテナを
介して受信して、各アンテナからの受信信号に対して、
適応的に重みベクトルを乗算することで、本来通話すべ
きユーザ、たとえば、ユーザAからの信号を分離抽出す
る。
の技術であり、たとえば、文献1:菊間信良著の「アレ
ーアンテナによる適応信号処理」(科学技術出版)の第
35頁〜第49頁の「第3章 MMSEアダプティブア
レー」に詳細に説明されている。
アダプティブアレイ処理を用いて端末に対する下りの送
信指向性制御を行なう基地局を、「アダプティブアレイ
無線基地局」と称する。
お、前記のユーザA,Bの識別は次のように行なわれ
る。
ム構成を示す概略図である。携帯電話機の電波信号は大
きくは、無線基地局にとって既知の信号系列からなるプ
リアンブルと、無線基地局にとって未知の信号系列から
なるデータ(音声など)とから構成される。
無線基地局にとって通話すべき所望のユーザかどうかを
見分けるための情報の信号系列を含んでいる。アダプテ
ィブアレイ無線基地局では、メモリ中に予め格納してお
いたトレーニング信号と、受信した信号系列とを対比
し、さらに、受信信号の受信タイミングに基づいて、ユ
ーザAに対応する信号系列を含んでいると思われる信号
を抽出するようにウエイトベクトル制御(重みの決定)
を行なう。このようにして抽出されたユーザAの信号
は、アダプティブアレイ無線基地局から外部に出力され
る。
アレイ無線基地局は、先に受信信号に基づいて算出され
たウェイトベクトルをコピーして、この送信信号に乗算
した信号をそれぞれ、アレイアンテナの対応するアンテ
ナから送信する。
いて送信される信号には、受信信号と同様にユーザAを
ターゲットとする重み付けがされているため、送信され
た電波信号はあたかもユーザAに対する指向性を有する
かのようにユーザAの携帯電話機により受信される。
一チャネル干渉を除去する技術が必要である。この点
で、干渉波に適応的にヌルを向けるアダプティブアレイ
は、希望波のレベルより干渉波のレベルが高い場合でも
効果的に干渉波を抑制できるため、有効な手段である。
用いた場合には、受信時の干渉除去だけではなく、送信
時に不要な放射を低減することも可能である。
述したように、受信時のアレイパターンを用いるばかり
でなく、到来方向推定などの結果から新たに生成する手
法が考えられる。後者はFDD(Frequency Division D
uplex)、TDD(Time Division Duplex)を問わず適
用することができるが、複雑な処理が必要となる。一
方、前者をFDDで用いる場合、送受信のアレイパター
ンが異なるため、アレイ配置やウエイトなどの補正が必
要となる。このため、一般には、TDDでの適用が前提
となる。
いたTDD/PDMA方式では、上り回線で得られたア
レイパターン(ウェイトベクトルパターン)を下り回線
で使用する際に、角度広がりのある動的なレイリー伝搬
度を想定した場合には、上下回線間の時間差により下り
回線で送信指向性が劣化する場合がある。
ザ端末から基地局に電波が送信されてから、逆に基地局
から下り回線(ダウンリンク)によりユーザ端末に電波
を射出するまでに時間間隔があるため、ユーザ端末の移
動速度が無視できない場合、基地局からの電波の射出方
向と実際のユーザ端末の存在する方向との誤差のために
送信指向性が劣化してしまうためである。このような送
信指向性が劣化に対応するためには、たとえば、上り回
線での受信応答ベクトルから外挿処理などにより、下り
回線での応答ベクトルを推定して、この推定値に基づい
て、送信時のウェイトベクトルを導出する等の手続きを
行う必要がある。
リング誤差などにより上り回線で推定された受信応答ベ
クトルに推定誤差があれば、伝搬路のフェージングの程
度に応じて外挿処理の結果に誤差が生じ、下り回線の送
信応答ベクトルを正確に推定できず、ひいては良好な送
信指向性制御を行なうことができなくなる。したがっ
て、外挿誤差の発生を防止するには、伝搬路のフェージ
ングの程度すなわちドップラー周波数を知る必要があ
る。
信号の相関値を求めてフェージングの程度を推定する方
法が従来から提案されており、たとえば、一例として、
特開平7−162360号公報に開示されている。しか
しながら、このような従来の方法では、受信信号そのも
のに含まれる基準信号を用いて相関値の計算を行なって
いるため干渉成分を多く含み、正確な推定が困難である
という問題があった。
値の推定を行うことが可能であるとしても、アダプティ
ブアレイアンテナを用いて通信を行っている場合に、ユ
ーザ端末との間の通信のフェージングの影響を有効に抑
制しつつ、かつ、良好な通信品質を維持することが、通
信環境によっては困難であるという問題があった。
ためになされたものであって、その目的は、受信信号に
おける干渉成分の影響を抑制しつつ、ユーザ端末につい
てのドップラー周波数を複数のアンテナの各々に対して
推定することにより、異なる時刻間でフェージングによ
る変動量の少ないアンテナを所定数だけ選択して使用
し、移動端末に対して良好な下り通信品質を維持するこ
とが可能なアダプティブアレイ無線装置を提供すること
である。
ムにアンテナ指向性を変更し、複数の端末との間で信号
の送受信を時分割で行なうアダプティブアレイ無線装置
であって、離散的に配置された複数のアンテナと、複数
のアンテナからの信号に基づいてアダプティブアレイ処
理により複数の端末のうち特定の端末装置からの信号を
分離するための受信信号分離手段と、特定の端末との間
の伝搬路のドップラー周波数をアンテナごとに推定し、
複数のアンテナのうち対応するドップラー周波数の小さ
いものから所定数のアンテナを選択するドップラー周波
数推定手段と、受信伝搬路推定手段の推定結果とドップ
ラー周波数推定手段の推定結果とに基づいて、選択され
た所定数のアンテナを用いて、特定の端末に対して送信
指向性を有する送信信号を送出するための送信指向性形
成手段とを備える。
は、複数のアンテナで受信した信号に基づいて、特定の
端末からの伝搬路の受信応答ベクトルを推定する受信伝
搬路推定手段と、受信伝搬路推定手段によって推定され
た時間的に前後する受信応答ベクトルに基づいてアンテ
ナごとに相関値を算出する相関演算手段と、予め経験的
に決定された相関値とドップラー周波数との対応関係に
基づいて、相関演算手段によって算出された相関値に対
応するドップラー周波数を推定し、所定数のアンテナを
選択する推定選択手段とを含む。
トの前半における受信応答ベクトルと、後半における受
信応答ベクトルとに基づいて相関値を算出する。
ームのスロットにおける受信応答ベクトルと、直前のフ
レームのスロットにおける受信応答ベクトルとに基づい
て相関値を算出する。
ームのスロットにおける受信応答ベクトルと、過去のフ
レームのスロットのうち受信エラーが無かった最も直近
のスロットにおける受信応答ベクトルとに基づいて相関
値を算出する。
て送信指向性を制御する構成]以下に詳しく説明するよ
うに、本発明のアダプティブアレイ無線基地局は、フェ
ージングの推定を各アンテナごとに行い、アンテナを適
応的に選択しつつ、良好な通信品質を維持することを目
的とする。
イ無線基地局の構成を説明する前提として、PDMA用
基地局の無線装置において、送信ウェイトベクトルを推
定して送信指向性を制御する構成および動作について、
説明しておく。
送信指向性を制御するPDMA用基地局の無線装置(無
線基地局)1000の構成を示す概略ブロック図であ
る。
1とPS2とを識別するために、4本のアンテナ♯1〜
♯4が設けられている。ただし、アンテナの本数として
は、より一般的にN本(N:自然数)であってもよい。
は、アンテナ♯1〜♯4からの信号を受けて、対応する
ユーザ、たとえば、ユーザPS1からの信号を分離する
ための受信部SR1およびユーザPS1への信号を送信
するための送信部ST1が設けられている。アンテナ♯
1〜♯4と受信部SR1および送信部ST1との接続
は、スイッチ10−1〜10−4により、選択的に切換
えられる。
た受信信号RX1(t),RX2(t),RX3(t),
RX4(t)は、対応するスイッチ10−1,10−
2,10−3,10−4を介して受信部SR1に入り、
受信ウェイトベクトル計算機20、受信応答ベクトル計
算機22に与えられるとともに、対応する乗算器12−
1,12−2,12−3,12−4の一方入力にそれぞ
れ与えられる。
イトベクトル計算機20からそれぞれのアンテナでの受
信信号に対する重み係数wrx11,wrx21,wr
x31,wrx41が印加される。これらの重み係数
は、従来例と同様に、受信ウェイトベクトル計算機20
により、リアルタイムで算出される。
22において算出された受信応答ベクトルを受けて、後
に説明するように、送信時での伝搬路を推定、すなわ
ち、送信時点での仮想的な受信応答ベクトルを推定する
ことで送信応答ベクトルを求める送信応答ベクトル推定
機32と、送信応答ベクトル推定機32との間でデータ
を授受し、データを記憶保持するメモリ34と、送信応
答ベクトル推定機32の推定結果に基づいて、送信ウェ
イトベクトルを算出する送信ウェイトベクトル計算機3
0と、それぞれ一方入力に送信信号を受け、他方入力に
送信ウェイトベクトル計算機30からの重み係数wtx
11,wtx21,wtx31,wtx41が印加され
る乗算器15−1,15−2,15−3,15−4とを
含む。乗算器15−1,15−2,15−3,15−4
からの出力は、スイッチ10−1〜10−4を介して、
アンテナ#1〜#4に与えられる。
SR1および送信部ST1と同様の構成が、各ユーザに
対しても設けられている。
SR1の動作を簡単に説明すると以下のとおりである。
(t),RX2(t),RX3(t),RX4(t)は、
以下の式で表される。
=1,2,3,4)のアンテナの受信信号を示し、信号
Srxi (t)は、i番目(i=1,2)のユーザが送
信した信号を示す。
受信された、i 番目のユーザからの信号の複素係数を示
し、nj (t)は、j番目の受信信号に含まれる雑音を
示している。
記すると、以下のようになる。
は、[…]の転置を示す。ここで、X(t)は入力信号
ベクトル、Hi はi番目のユーザの受信応答ベクトル、
N(t)は雑音ベクトルをそれぞれ示している。
したように、それぞれのアンテナからの入力信号に重み
係数wrx1i〜wrx4iを掛けて合成した信号を受信
信号SRX(t)として出力する。
ば、1番目のユーザが送信した信号Srx1 (t)を抽
出する場合のアダプティブアレイの動作は以下のように
なる。
(t)は、入力信号ベクトルX(t)とウエイトベクト
ルW1 のベクトルの掛算により、以下のような式で表わ
すことができる。
目の入力信号RXj (t)に掛け合わされる重み係数w
rxj1(j=1,2,3,4)を要素とするベクトルで
ある。
(t)に対して、式(5)により表現された入力信号ベ
クトルX(t)を代入すると、以下のようになる。
作した場合、周知な方法により、ウエイトベクトルW1
は次の連立方程式を満たすようにウエイトベクトル制御
部11により逐次制御される。
にウエイトベクトルW1 が完全に制御されると、アダプ
ティブアレイからの出力信号y1(t)は、結局以下の
式のように表わされる。
のユーザのうちの第1番目のユーザが送信した信号Sr
x1 (t)が得られることになる。
は、この発明の前提となる無線装置1000の基本的な
動作の概要を説明するためのフローチャートである。
ブアレイのウエイトベクトル(重み係数ベクトル)が各
アンテナ素子における受信応答ベクトルにより一意に表
わせることに着目し、受信応答ベクトルの時間変動を推
定することによって間接的にウエイトを推定する。
基づいて、受信信号の伝搬路の推定を行う(ステップS
100)。伝搬路の推定は、式(1)〜(4)におい
て、ユーザから送られる信号のインパルス応答を求める
ことに相当する。
て、たとえば、受信応答ベクトルH1が推定できれば、
ユーザPS1からの信号受信時の伝送路の推定が行える
ことになる。
が、送信時の伝搬路の予測、すなわち、受信時の受信応
答ベクトルから送信時点での受信応答ベクトルの予測を
行う(ステップS102)。この予測された受信応答ベ
クトルが送信時の送信応答ベクトルに相当する。
が、予測された送信応答ベクトルに基づいて、送信ウェ
イトベクトルの計算を行い、乗算器15−1〜15−4
に出力する(ステップS104)。
ぎに、図1に示した受信応答ベクトル計算機22のこの
発明の前提となる基本的な動作について説明する。
するユーザ数を2人とした場合、各アンテナを経て受信
回路から出力される信号は、上述した式(5)〜(8)
で表わされる。
していると、各ユーザからの信号を分離・抽出している
ため、上記信号Srxi (t)(i=1,2)はすべて
既知の値となる。
号であることを利用して、受信応答ベクトルH1 =[h
11,h21,h31,h41]およびH2 =[h12,h22,h
32,h42]を以下に説明するようにして導出することが
できる。
信号、たとえば第1のユーザからの信号Srx1 (t)
を掛け合わせて、アンサンブル平均(時間平均)を計算
すると以下のようになる。
均を示し、S* (t)は、S(t)の共役複素を示す。
この平均をとる時間が十分長い場合、この平均値は以下
のようになる。
信号Srx1 (t)と信号Srx2(t)に互いに相関
がないためである。また、式(19)の値が0となるの
は、信号Srx1 (t)と雑音信号N(t)との間に相
関がないためである。
均は結果として以下に示すように、受信応答ベクトルH
1 に等しくなる。
ザPS1から送信された信号の受信応答ベクトルH1 を
推定することができる。
信号Srx2 (t)のアンサンブル平均操作を行なうこ
とで、2番目のユーザPS2から送信された信号の受信
応答ベクトルH2 を推定することが可能である。
ば、受信時の1つのタイムスロット内の先頭の所定数の
データシンボル列と最後尾の所定数のデータシンボル列
について行われる。
発明の前提となる送信応答ベクトル推定機32の基本的
な動作を説明するための概念図である。PDMAバース
トとして上下回線にそれぞれ4ユーザずつ割当てた8ス
ロット構成を考える。スロットの構成は、たとえば、先
頭の31シンボルを第1のトレーニングシンボル列、後
続の68シンボルをデータシンボル列、さらに最後尾の
31シンボルを第2のトレーニングシンボル列とする。
よび最後尾にトレーニングシンボル列を設け、上述の受
信応答ベクトル計算機22のアルゴリズムを用いて両方
の受信応答ベクトルを算出する。
回線用の受信応答ベクトルを推定する。
の1つの時刻tにおける値をf(t)とすると、上り回
線スロットの先頭トレーニングシンボル列の時刻t0で
の値f(t0)と、上り回線スロットの最後尾トレーニ
ングシンボル列の時刻t1での値f(t1)とに基づい
て、下り回線スロットの時刻tにおける値f(t)は、
以下のように予測できる。
(t1−t0)×(t−t0)+f(t0) なお、以上の説明では、上り回線スロットの先頭と最後
尾にトレーニングシンボル列を設け、一次外挿すること
としたが、さらに、上り回線スロットの中央部にもトレ
ーニングシンボル列を設け、受信応答ベクトルの上り回
線スロット中の3点の値から、時刻tの値f(t)を2
次外挿で推定する構成としてもよい。もしくは、上り回
線スロット中のトレーニングシンボル列を設ける位置を
増やせば、さらに高次の外挿を行うことも可能である。
トルに基づいて、送信ウェイトベクトル計算機30が、
送信ウェイトベクトルwtxj1(j=1,2,3,4)
を計算する。
しかしながら、たとえば受信応答ベクトルが、ノイズや
サンプリング誤差による推定誤差のために振幅方向にず
れた場合、これらの受信応答ベクトルに基づいて、直線
外挿を行なえば、送信タイミングにおける送信応答ベク
トルはさらに大きく振幅方向にずれてしまい、誤った送
信応答ベクトルを推定してしまうことになる。
クトルに基づいて得られる送信ウェイトも誤ったものと
なり、下り回線の指向性の誤りすなわち送信エラーを引
き起こすことになる。特に、無線基地局と端末との間は
長距離のため、わずかな指向性のエラーは大きな送信エ
ラーの原因となる。
ングの影響が、複数のアンテナに均等に観測されない場
合も存在し得る。
成]図4は、本発明の実施の形態1のPDMA用アダプ
ティプティブアレイ無線基地局2000の構成を説明す
るための概略ブロック図である。
図1に示したPDMA用無線基地局1000の構成と異
なる点は、以下のとおりである。
算機24でのドップラー周波数の推定結果に応じて、ア
ンテナ#1〜#4のうちの所定のアンテナにのみ送信信
号を与えるためのスイッチ回路18−1〜18−4が設
けられていることである。
に、アンテナ#1〜#4の各々について、対象となるユ
ーザ端末PS1からの受信信号に基づいて、この端末P
S1のフェージング速度、言い換えると、ドップラー周
波数(FD)を推定する。PDMA用無線基地局200
0においては、受信応答ベクトル計算機24は、各アン
テナごとに推定されたフェージング速度のうち、小さい
方からたとえば、2つのアンテナを選択する。PDMA
用無線基地局2000は、スイッチ回路18−1〜18
−4を用いて、この選択された2本のアンテナのみを用
いて、ユーザ端末PS1に対する指向性を有するように
送信処理を行う。このような2本のアンテナの選択の可
能な組み合わせは、4本から2本を選ぶ組み合わせの個
数であって、6通りあることになる。より一般的には、
N本のアンテナが設けられている場合は、個々のアンテ
ナごとに推定されるフェージング速度、言い換えるとド
ップラー周波数の小さい方からm本を選び、このm本の
アンテナを用いて、所望のユーザ端末への送信指向性を
有する送信処理を行う。
ンテナを構成する複数本のアンテナのうち、特定のアン
テナについて、他のアンテナよりもフェージングが大き
く検出されてしまう場合があり、この場合は、推定する
成分の劣化を招いていしまう。本発明では、フェージン
グの少ない安定なアンテナを選択することで、成分劣化
を抑制することができるので、受信時点の受信応答ベク
トルからより正確に送信時点での送信応答ベクトルを推
定することが可能となる。
2000においては、受信応答ベクトル計算機22の代
わりに、受信応答ベクトル計算機24が設けられている
ことである。受信応答ベクトル計算機24は、後に説明
するように、ドップラー周波数推定部(図示せず)を含
む。ドップラー周波数推定部は、上り回線の受信応答ベ
クトルに推定誤差が存在するものとして、伝搬路のフェ
ージングの程度を表わすドップラー周波数を正確に推定
する。このドップラー周波数の推定により、外挿処理の
ための適切なパラメータ、たとえば、外挿距離を調整し
て下り回線における正しい送信応答ベクトルを推定し、
ひいはて正しい送信指向性を実現することが可能とな
る。
に、図5は、この発明の実施の形態1による受信応答ベ
クトル計算機24の構成を示す概略ブロック図である。
以下に、図5を参照して、この発明の実施の形態による
ドップラー周波数推定部の動作原理について説明する。
線のそれぞれ所定数、たとえば4スロットからなる合計
8スロットを1フレームと称する。そしてこのようなフ
レームが時系列的に連続して上下回線の通信が交互に行
なわれることになる。また、伝搬路の伝搬環境は、伝搬
路の受信係数の変動、すなわちフェージングの程度によ
って表わされる。前述のようにフェージングの程度は物
理量としては、いわゆるドップラー周波数(FD)によ
って表現される。
4は、上述した式(16)および式(20)に対応する
処理を行って、所望のユーザ端末、たとえば端末PS1
からの受信応答ベクトルを算出する受信応答ベクトル推
定部101と、受信応答ベクトル推定部101からの現
フレームの応答ベクトルに基づいて、端末PS1のフェ
ージング速度、言い換えると、ドップラー周波数FDを
推定するドップラー周波数推定部103とを備える。
たアンテナごとのドップラー周波数により、対象端末P
S1の推定されたフェージング速度が小さい方から所定
数、たとえば、2本のアンテナを選択するための信号を
スイッチ回路18−1〜18−4に対して出力する。
クトル推定部101で推定された現在のフレームのスロ
ットにおける受信応答ベクトルを用いて、フレームのう
ち受信スロットの前縁部および当該受信スロットの後縁
部に対する受信応答ベクトルから、受信応答ベクトルの
相関値α1を、次式にしたがって算出する。
ば、先頭部でのi番目のアンテナについてのj番目の端
末に対する受信応答ベクトル要素を表し、hij 2は、当
該スロットの後縁部、たとえば、最後尾でのi番目のア
ンテナについてのj番目の端末に対する受信応答ベクト
ル要素を表し、h* ij2は、hij2の複素共役を表わす。
ドップラー周波数との正確な対応関係を求めることは一
般には困難であるが、実験により、おおよその対応関係
を経験的に求めることができる。たとえば、相関値が1
から0.95の範囲内にあれば、ドップラー周波数FD
は、FD=0Hzであると推定する。また、相関値が
0.95から0.80の範囲内にあれば、FD=10H
zであると推定する、等などである。
トル相関値α1とドップラー周波数FDとのおおよその
対応関係が、相関演算およびドップラー周波数推定部1
03に予め格納されており、上述の計算式により求めら
れた相関値から、該当するドップラー周波数推定値が選
択され、ドップラー周波数推定部103において、アン
テナごとのドップラー周波数が推定される。
ばデジタルシグナルプロセッサ(DSP)を用いてソフ
トウェア的に実行される。
ラー周波数FDに着目した送信ウェイトの決定処理を表
わすフローチャートである。
て、まず、フレーム内の受信スロットについて、受信が
行われると(ステップS100)、図4の受信応答ベク
トル計算機24により、当該スロットについて伝搬路の
推定がなされ、具体的には上り回線スロットについて、
上述したような受信スロット内の異なる時刻での受信応
答ベクトルH(1)およびH(2)が推定される(ステ
ップS102)。
ラー周波数推定部103によりアンテナごとにドップラ
ー周波数FD(フェージング速度)が推定される(ステ
ップS104)。
テナごとに推定されたドップラー周波数FD(フェージ
ング速度)のうち、小さい方から、特に限定されないが
たとえば、2つのアンテナを送信用のアンテナとして選
択する。
2本のアンテナを選択する際の組み合わせは、選択され
るアンテナを(#i,#j)で表すことにすると、(#
1,#2)、(#1,#3)、(#1,#4)、(#
2,#3)、(#2,#4)、(#3,#4)の6通り
がある。
ると、次に、ステップS108において、図4の送信応
答ベクトル推定機32により、選択されたアンテナに対
応する送信応答ベクトルの推定がなされる。
求まると、送信ウェイトベクトル計算機30により、送
信ウェイトベクトルを求めることができる。したがっ
て、ステップS110において、図4の送信ウェイトベ
クトル計算機30により、上述のステップS108で決
定された下り回線の送信応答ベクトルに基づいて送信ウ
ェイトが推定される。
0は、ドップラー周波数推定部103により選択され
た、たとえば、N本のうちのm本のアンテナを用いて、
指向性を生成する演算を行う。
ベクトルを決定して送信すれば、角度広がりなど動的な
レイリー伝搬路を想定した場合、TDD/PDMA方式
においても上下回線間の時間差により発生する下り回線
での送信指向性の劣化を抑制することが可能である。
の形態2のPDMA用無線基地局において、実施の形態
1のPDMA用無線基地局2000の受信応答ベクトル
計算機24の代わりに用いられる受信応答ベクトル計算
機26の構成を示す概略ブロック図である。以下に、図
7を参照して、この発明の実施の形態2による受信応答
ベクトル計算機26の動作原理について説明する。
対して先に説明したアンサンブル平均の手法を適用する
ことにより、現在のフレームのスロットにおける受信応
答ベクトルを推定し、ドップラー周波数推定部103お
よびメモリ102に与える。
クトル推定部101で推定された現在のフレームのスロ
ットにおける受信応答ベクトルと、メモリ102に保持
されている前フレームの対応するスロットにおける受信
応答ベクトルとに基づいて、アンテナごとの相関値α2
を演算する。
の前のフレームにおける受信スロットのi番目のアンテ
ナについてのj番目の端末に対する受信応答ベクトル要
素を表し、hij2は、時間的に前後する2フレームのう
ちの後ろのフレームにおける受信スロットのi番目のア
ンテナについてのj番目の端末に対する受信応答ベクト
ル要素を表し、h* ij2は、hij2の複素共役を表わす。
ドップラー周波数との正確な対応関係を求めることも、
やはり困難であるが、実験により、これも、おおよその
対応関係を経験的に求めることができる。
トル相関値とドップラー周波数FDとのおおよその対応
関係が、相関演算およびドップラー周波数推定部103
に予め格納されており、上述の計算式により求められた
ベクトル同士の相関値から、該当するドップラー周波数
推定値が選択され、ドップラー周波数推定部103から
出力されることになる。
推定したアンテナごとのドップラー周波数により、対象
端末PS1の推定されたフェージング速度が小さい方か
ら所定数、たとえば、2本のアンテナを選択するための
信号をスイッチ回路18−1〜18−4に対して出力す
る。
ばデジタルシグナルプロセッサ(DSP)を用いてソフ
トウェア的に実行される。
示すフローチャートである。この図8に示す処理では、
現在のフレームのスロットにおける受信応答ベクトル
と、直前のフレームの対応するスロットにおける受信応
答ベクトルとのベクトル相関値が求められる。
ムのスロットの受信応答ベクトルが推定される。
1で推定された受信応答ベクトルが最初に推定された受
信応答ベクトルであるか否かが判定され、最初に推定さ
れた受信応答ベクトルであれば、ステップS5において
メモリ(図7のメモリ102)に記憶される。
でなければ、ステップS3において、メモリに保持され
ている直前のフレームの対応するスロットの受信応答ベ
クトルと、ステップS1で推定された現在のフレームの
対応するスロットの受信応答ベクトルとの相関値COR
Rが算出される。
うに予め実験的に求められ保持されているベクトル相関
値とドップラー周波数FDとの対応関係に基づいて、算
出された相関値CORRに対応するドップラー周波数F
Dが推定され、出力される。
S1において推定された現在のフレームのスロットの受
信応答ベクトルはメモリ(図7のメモリ102)に記憶
される。
することにより、時間的に前後する、すなわち連続する
2フレーム間の対応するスロットの受信応答ベクトル同
士の瞬時的なベクトル相関値を連続して得ることができ
る。
を示すフローチャートである。図9において、ステップ
S11で受信エラーが検出されなければ、以後の動作は
基本的に図8の例と同じであり、説明を繰り返さない。
一方、ステップS11で受信エラーが検出されれば、検
出されなくなるまで次のステップS1に進むことはでき
ない。
S1からS5までの動作が実行されるが、この場合図8
の例と異なるのは、ステップS3’の処理である。すな
わち、受信エラーを含むスロットの応答ベクトル推定
は、ステップS11によって排除されているので、ステ
ップS3’においては、メモリに保持されている過去の
フレームのスロットのうち受信エラーが無かった最も直
近のスロットにおける受信応答ベクトルと、ステップS
1で推定された現在のフレームのスロットの受信応答ベ
クトルとの相関値CORRが推定される。以後の処理
は、図8の例と同じである。
除することができ、より正確なドップラー周波数の推定
が可能となる。
周波数推定部103を用いると、正確に推定された端末
ごとのドップラー周波数FDの推定結果に基づいて、た
とえば、フレーム間等での異なる時刻にわたるフェージ
ングによる変動量の少ないアンテナを所定数だけ選択し
て使用することにより、受信信号の成分劣化を抑制し、
さらに、下り回線の送信応答ベクトルを正確に推定し、
良好な通信品質を実現することが可能である。
例示であって制限なものではないと考えられるべきであ
る。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範
囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および
範囲内のすべての変更が含まれることが意図される。
信号そのものではなく受信応答ベクトル同士の相関値に
基づいてドップラー周波数を推定することにより、受信
信号における干渉成分の影響を受けることなく、ユーザ
端末についてのドップラー周波数を複数のアンテナの各
々に対して推定する。この発明では、この推定結果に基
づいて、フェージングによる変動量の少ないアンテナを
選択的に使用する。これにより、下り回線の送信応答ベ
クトルを正確に推定することができ、ひいては良好な送
信指向性制御を行なうことが可能である。
を制御するPDMA用無線基地局1000の構成を示す
概略ブロック図である。
明するためのフローチャートである。
を説明するための概念図である。
ィプティブアレイ無線基地局2000の構成を説明する
ための概略ブロック図である。
計算機24の構成を示す概略ブロック図である。
送信ウェイトの決定処理を表わすフローチャートであ
る。
応答ベクトル計算機26の構成を示す概略ブロック図で
ある。
チャートである。
ートである。
びPDMAの各種の通信システムにおけるチャネルの配
置図である。
す概略図である。
ナ、10−1〜10−4 スイッチ回路、12−1〜1
2−4 乗算器、13 加算器、15−1〜15−4
乗算器、20 受信ウェイトベクトル計算機、22,2
4,26 受信応答ベクトル計算機、30 送信ウェイ
トベクトル計算機、32 送信応答ベクトル推定機、3
4,102,104 メモリ、101 応答ベクトル推
定部、103 ドップラー周波数推定部、1000 無
線装置(無線基地局)。
Claims (5)
- 【請求項1】 リアルタイムにアンテナ指向性を変更
し、複数の端末との間で信号の送受信を時分割で行なう
アダプティブアレイ無線装置であって、 離散的に配置された複数のアンテナと、 前記複数のアンテナからの信号に基づいてアダプティブ
アレイ処理により前記複数の端末のうち特定の端末装置
からの信号を分離するための受信信号分離手段と、 前記特定の端末との間の伝搬路のドップラー周波数を前
記アンテナごとに推定し、前記複数のアンテナのうち対
応するドップラー周波数の小さいものから所定数のアン
テナを選択するドップラー周波数推定手段と、 前記受信伝搬路推定手段の推定結果と前記ドップラー周
波数推定手段の推定結果とに基づいて、選択された前記
所定数のアンテナを用いて、前記特定の端末に対して送
信指向性を有する送信信号を送出するための送信指向性
形成手段をさらに備えた、アダプティブアレイ無線装
置。 - 【請求項2】 前記ドップラー周波数推定手段は、 前記複数のアンテナで受信した信号に基づいて、前記特
定の端末からの伝搬路の受信応答ベクトルを推定する受
信伝搬路推定手段と、 前記受信伝搬路推定手段によって推定された時間的に前
後する受信応答ベクトルに基づいて前記アンテナごとに
相関値を算出する相関演算手段と、 予め経験的に決定された相関値とドップラー周波数との
対応関係に基づいて、前記相関演算手段によって算出さ
れた相関値に対応するドップラー周波数を推定し、前記
所定数のアンテナを選択する推定選択手段とを含む、請
求項1に記載のアダプティブアレイ無線装置。 - 【請求項3】 前記相関演算手段は、同一スロットの前
半における受信応答ベクトルと、後半における受信応答
ベクトルとに基づいて前記相関値を算出する、請求項2
に記載のアダプティブアレイ無線装置。 - 【請求項4】 前記相関演算手段は、現在のフレームの
スロットにおける受信応答ベクトルと、直前のフレーム
のスロットにおける受信応答ベクトルとに基づいて前記
相関値を算出する、請求項2に記載のアダプティブアレ
イ無線装置。 - 【請求項5】 前記相関演算手段は、現在のフレームの
スロットにおける受信応答ベクトルと、過去のフレーム
のスロットのうち受信エラーが無かった最も直近のスロ
ットにおける受信応答ベクトルとに基づいて前記相関値
を算出する、請求項2に記載のアダプティブアレイ無線
装置。
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