JP3548156B2 - アダプティブアレイ無線装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、リアルタイムにアンテナ指向性を変更可能な無線装置の構成に関し、特に、アダプティブアレイ無線基地局において用いられる無線装置の構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、移動通信システムにおいて、周波数の有効利用を図るべく種々の伝送チャネル割当方法が提案されており、その一部のものは実用化されている。
【0003】
図10は周波数分割多重接続(Frequency Division Multiple Access:FDMA),時分割多重接続(Time Division Multiple Access :TDMA)およびPDMA(Path Division Multiple Access)の各種の通信システムにおけるチャネルの配置図である。
【0004】
まず、図10を参照して、FDMA,TDMAおよびPDMAについて簡単に説明する。図10(a)はFDMAを示す図であって、異なる周波数f1〜f4の電波でユーザ1〜4のアナログ信号が周波数分割されて伝送され、各ユーザ1〜4の信号は周波数フィルタによって分離される。
【0005】
図10(b)に示すTDMAにおいては、各ユーザのデジタル化された信号が、異なる周波数f1〜f4の電波で、かつ一定の時間(タイムスロット)ごとに時分割されて伝送され、各ユーザの信号は周波数フィルタと基地局および各ユーザ移動端末装置間の時間同期とにより分離される。
【0006】
一方、最近では、携帯型電話機の普及により電波の周波数利用効率を高めるために、PDMA方式が提案されている。このPDMA方式は、図10(c)に示すように、同じ周波数における1つのタイムスロットを空間的に分割して複数のユーザのデータを伝送するものである。このPDMAでは各ユーザの信号は、周波数フィルタと基地局および各ユーザ移動端末装置間の時間同期とアダプティブアレイ(adaptive array)などの相互干渉除去装置とを用いて分離される。
【0007】
このようなアダプティブアレイ技術によれば、各ユーザ端末のアンテナからの上り信号は、基地局のアレイアンテナによって受信されアダプティブアレイ処理により受信指向性を伴って分離抽出される。一方、基地局から当該端末への下り信号は、端末のアンテナに対する送信指向性を伴ってアレイアンテナから送信される。
【0008】
[従来のアダプティブアレイアンテナの構成および動作]
たとえば、アダプティブアレイを備えた無線基地局が、ユーザAおよびBの双方からの混合した電波信号を受信するものとする。このとき、この無線基地局では、ユーザAおよびBの双方からの信号が混じった信号を、アレイアンテナを構成する複数のアンテナを介して受信して、各アンテナからの受信信号に対して、適応的に重みベクトルを乗算することで、本来通話すべきユーザ、たとえば、ユーザAからの信号を分離抽出する。
【0009】
このようなアダプティブアレイ処理は周知の技術であり、たとえば、文献1:菊間信良著の「アレーアンテナによる適応信号処理」(科学技術出版)の第35頁〜第49頁の「第3章 MMSEアダプティブアレー」に詳細に説明されている。
【0010】
なお、以下の説明においては、このようなアダプティブアレイ処理を用いて端末に対する下りの送信指向性制御を行なう基地局を、「アダプティブアレイ無線基地局」と称する。
【0011】
[ユーザの識別、トレーニング信号]
なお、前記のユーザA,Bの識別は次のように行なわれる。
【0012】
図11は、携帯電話機の電波信号のフレーム構成を示す概略図である。携帯電話機の電波信号は大きくは、無線基地局にとって既知の信号系列からなるプリアンブルと、無線基地局にとって未知の信号系列からなるデータ(音声など)とから構成される。
【0013】
プリアンブルの信号系列は、当該ユーザが無線基地局にとって通話すべき所望のユーザかどうかを見分けるための情報の信号系列を含んでいる。アダプティブアレイ無線基地局では、メモリ中に予め格納しておいたトレーニング信号と、受信した信号系列とを対比し、さらに、受信信号の受信タイミングに基づいて、ユーザAに対応する信号系列を含んでいると思われる信号を抽出するようにウエイトベクトル制御(重みの決定)を行なう。このようにして抽出されたユーザAの信号は、アダプティブアレイ無線基地局から外部に出力される。
【0014】
一方、送信信号については、アダプティブアレイ無線基地局は、先に受信信号に基づいて算出されたウェイトベクトルをコピーして、この送信信号に乗算した信号をそれぞれ、アレイアンテナの対応するアンテナから送信する。
【0015】
ここで、受信時と同じアレイアンテナを用いて送信される信号には、受信信号と同様にユーザAをターゲットとする重み付けがされているため、送信された電波信号はあたかもユーザAに対する指向性を有するかのようにユーザAの携帯電話機により受信される。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
PDMA方式では、同一チャネル干渉を除去する技術が必要である。この点で、干渉波に適応的にヌルを向けるアダプティブアレイは、希望波のレベルより干渉波のレベルが高い場合でも効果的に干渉波を抑制できるため、有効な手段である。
【0017】
ところで、基地局にアダプティブアレイを用いた場合には、受信時の干渉除去だけではなく、送信時に不要な放射を低減することも可能である。
【0018】
このとき、送信時のアレイパターンは、上述したように、受信時のアレイパターンを用いるばかりでなく、到来方向推定などの結果から新たに生成する手法が考えられる。後者はFDD(Frequency Division Duplex)、TDD(Time Division Duplex)を問わず適用することができるが、複雑な処理が必要となる。一方、前者をFDDで用いる場合、送受信のアレイパターンが異なるため、アレイ配置やウエイトなどの補正が必要となる。このため、一般には、TDDでの適用が前提となる。
【0019】
ここで、基地局にアダプティブアレイを用いたTDD/PDMA方式では、上り回線で得られたアレイパターン(ウェイトベクトルパターン)を下り回線で使用する際に、角度広がりのある動的なレイリー伝搬度を想定した場合には、上下回線間の時間差により下り回線で送信指向性が劣化する場合がある。
【0020】
つまり、上り回線(アップリンク)でユーザ端末から基地局に電波が送信されてから、逆に基地局から下り回線(ダウンリンク)によりユーザ端末に電波を射出するまでに時間間隔があるため、ユーザ端末の移動速度が無視できない場合、基地局からの電波の射出方向と実際のユーザ端末の存在する方向との誤差のために送信指向性が劣化してしまうためである。このような送信指向性が劣化に対応するためには、たとえば、上り回線での受信応答ベクトルから外挿処理などにより、下り回線での応答ベクトルを推定して、この推定値に基づいて、送信時のウェイトベクトルを導出する等の手続きを行う必要がある。
【0021】
しかしながら、受信信号のノイズやサンプリング誤差などにより上り回線で推定された受信応答ベクトルに推定誤差があれば、伝搬路のフェージングの程度に応じて外挿処理の結果に誤差が生じ、下り回線の送信応答ベクトルを正確に推定できず、ひいては良好な送信指向性制御を行なうことができなくなる。したがって、外挿誤差の発生を防止するには、伝搬路のフェージングの程度すなわちドップラー周波数を知る必要がある。
【0022】
時間的に前後する受信信号に含まれる基準信号の相関値を求めてフェージングの程度を推定する方法が従来から提案されており、たとえば、一例として、特開平7−162360号公報に開示されている。しかしながら、このような従来の方法では、受信信号そのものに含まれる基準信号を用いて相関値の計算を行なっているため干渉成分を多く含み、正確な推定が困難であるという問題があった。
【0023】
そればかりではなく、仮にフェージングの値の推定を行うことが可能であるとしても、アダプティブアレイアンテナを用いて通信を行っている場合に、ユーザ端末との間の通信のフェージングの影響を有効に抑制しつつ、かつ、良好な通信品質を維持することが、通信環境によっては困難であるという問題があった。
【0024】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、受信信号における干渉成分の影響を抑制しつつ、ユーザ端末についてのドップラー周波数を複数のアンテナの各々に対して推定することにより、異なる時刻間でフェージングによる変動量の少ないアンテナを所定数だけ選択して使用し、移動端末に対して良好な下り通信品質を維持することが可能なアダプティブアレイ無線装置を提供することである。
【0025】
【課題を解決するための手段】
この発明は、リアルタイムにアンテナ指向性を変更し、複数の端末との間で信号の送受信を時分割で行なうアダプティブアレイ無線装置であって、離散的に配置された複数のアンテナと、前記複数のアンテナからの信号に基づいてアダプティブアレイ処理により前記複数の端末のうち特定の端末装置からの信号を分離するための受信信号分離手段と、前記特定の端末との間の伝搬路のドップラー周波数を前記アンテナごとに推定し、前記複数のアンテナのうち対応するドップラー周波数の小さいものから所定数のアンテナを選択するドップラー周波数推定手段と、前記複数のアンテナで受信した信号に基づいて、前記特定の端末からの伝搬路の受信応答ベクトルを推定する受信伝搬路推定手段と、前記受信伝搬路推定手段によって推定された時間的に前後する受信応答ベクトルに基づいて前記アンテナごとに相関値を算出する相関演算手段と、予め経験的に決定された相関値とドップラー周波数との対応関係に基づいて、前記相関演算手段によって算出された相関値に対応するドップラー周波数を推定し、前記所定数のアンテナを選択する推定選択手段と、を含み、前記受信伝搬路推定手段の推定結果と前記ドップラー周波数推定手段の推定結果とに基づいて、選択された前記所定数のアンテナを用いて、前記特定の端末に対して送信指向性を有する送信信号を送出するための送信指向性形成手段とを備える。
【0026】
好ましくは、前記アダプティブアレイ無線装置において、前記相関演算手段は、同一スロットの前半における受信応答ベクトルと、後半における受信応答ベクトルとに基づいて前記相関値を算出する
【0027】
好ましくは、前記アダプティブアレイ無線装置において、前記相関演算手段は、現在のフレームのスロットにおける受信応答ベクトルと、直前のフレームのスロットにおける受信応答ベクトルとに基づいて前記相関値を算出する
【0028】
好ましくは、前記アダプティブアレイ無線装置において、前記相関演算手段は、現在のフレームのスロットにおける受信応答ベクトルと、過去のフレームのスロットのうち受信エラーが無かった最も直近のスロットにおける受信応答ベクトルとに基づいて前記相関値を算出する
【0030】
【発明の実施の形態】
[送信ウェイトベクトルを推定して送信指向性を制御する構成]
以下に詳しく説明するように、本発明のアダプティブアレイ無線基地局は、フェージングの推定を各アンテナごとに行い、アンテナを適応的に選択しつつ、良好な通信品質を維持することを目的とする。
【0031】
そこで、まず、本発明のアダプティブアレイ無線基地局の構成を説明する前提として、PDMA用基地局の無線装置において、送信ウェイトベクトルを推定して送信指向性を制御する構成および動作について、説明しておく。
【0032】
図1は、送信ウェイトベクトルを推定して送信指向性を制御するPDMA用基地局の無線装置(無線基地局)1000の構成を示す概略ブロック図である。
【0033】
図1に示した構成においては、ユーザPS1とPS2とを識別するために、4本のアンテナ♯1〜♯4が設けられている。ただし、アンテナの本数としては、より一般的にN本(N:自然数)であってもよい。
【0034】
図1に示した送受信システム1000では、アンテナ♯1〜♯4からの信号を受けて、対応するユーザ、たとえば、ユーザPS1からの信号を分離するための受信部SR1およびユーザPS1への信号を送信するための送信部ST1が設けられている。アンテナ♯1〜♯4と受信部SR1および送信部ST1との接続は、スイッチ10−1〜10−4により、選択的に切換えられる。
【0035】
すなわち、それぞれのアンテナで受信された受信信号RX1(t),RX2(t),RX3(t),RX4(t)は、対応するスイッチ10−1,10−2,10−3,10−4を介して受信部SR1に入り、受信ウェイトベクトル計算機20、受信応答ベクトル計算機22に与えられるとともに、対応する乗算器12−1,12−2,12−3,12−4の一方入力にそれぞれ与えられる。
【0036】
これらの乗算器の他方入力には、受信ウェイトベクトル計算機20からそれぞれのアンテナでの受信信号に対する重み係数wrx11,wrx21,wrx31,wrx41が印加される。これらの重み係数は、従来例と同様に、受信ウェイトベクトル計算機20により、リアルタイムで算出される。
【0037】
送信部ST1は、受信応答ベクトル計算機22において算出された受信応答ベクトルを受けて、後に説明するように、送信時での伝搬路を推定、すなわち、送信時点での仮想的な受信応答ベクトルを推定することで送信応答ベクトルを求める送信応答ベクトル推定機32と、送信応答ベクトル推定機32との間でデータを授受し、データを記憶保持するメモリ34と、送信応答ベクトル推定機32の推定結果に基づいて、送信ウェイトベクトルを算出する送信ウェイトベクトル計算機30と、それぞれ一方入力に送信信号を受け、他方入力に送信ウェイトベクトル計算機30からの重み係数wtx11,wtx21,wtx31,wtx41が印加される乗算器15−1,15−2,15−3,15−4とを含む。乗算器15−1,15−2,15−3,15−4からの出力は、スイッチ10−1〜10−4を介して、アンテナ#1〜#4に与えられる。
【0038】
なお、図1には図示していないが、受信部SR1および送信部ST1と同様の構成が、各ユーザに対しても設けられている。
【0039】
[アダプティブアレイの動作原理]
受信部SR1の動作を簡単に説明すると以下のとおりである。
【0040】
アンテナで受信された受信信号RX1(t),RX2(t),RX3(t),RX4(t)は、以下の式で表される。
【0041】
【数1】
Figure 0003548156
【0042】
ここで、信号RXj (t)は、j番目(j=1,2,3,4)のアンテナの受信信号を示し、信号Srxi (t)は、i番目(i=1,2)のユーザが送信した信号を示す。
【0043】
さらに、係数hjiは、j 番目のアンテナに受信された、i 番目のユーザからの信号の複素係数を示し、nj (t)は、j番目の受信信号に含まれる雑音を示している。
【0044】
上の式(1)〜(4)をベクトル形式で表記すると、以下のようになる。
【0045】
【数2】
Figure 0003548156
【0046】
なお式(6)〜(8)において、[…] は、[…]の転置を示す。
ここで、X(t)は入力信号ベクトル、Hi はi番目のユーザの受信応答ベクトル、N(t)は雑音ベクトルをそれぞれ示している。
【0047】
アダプティブアレイアンテナは、図1に示したように、それぞれのアンテナからの入力信号に重み係数wrx1i〜wrx4iを掛けて合成した信号を受信信号SRX(t)として出力する。
【0048】
さて、以上のような準備の下に、たとえば、1番目のユーザが送信した信号Srx1 (t)を抽出する場合のアダプティブアレイの動作は以下のようになる。
【0049】
アダプティブアレイからの出力信号y1(t)は、入力信号ベクトルX(t)とウエイトベクトルW1 のベクトルの掛算により、以下のような式で表わすことができる。
【0050】
【数3】
Figure 0003548156
【0051】
すなわち、ウエイトベクトルW1 は、j番目の入力信号RXj (t)に掛け合わされる重み係数wrxj1(j=1,2,3,4)を要素とするベクトルである。
【0052】
ここで式(9)のように表わされたy1(t)に対して、式(5)により表現された入力信号ベクトルX(t)を代入すると、以下のようになる。
【0053】
【数4】
Figure 0003548156
【0054】
ここで、アダプティブアレイが理想的に動作した場合、周知な方法により、ウエイトベクトルW1 は次の連立方程式を満たすようにウエイトベクトル制御部11により逐次制御される。
【0055】
【数5】
Figure 0003548156
【0056】
式(12)および式(13)を満たすようにウエイトベクトルW1 が完全に制御されると、アダプティブアレイからの出力信号y1(t)は、結局以下の式のように表わされる。
【0057】
【数6】
Figure 0003548156
【0058】
すなわち、出力信号y1(t)には、2人のユーザのうちの第1番目のユーザが送信した信号Srx1 (t)が得られることになる。
【0059】
[無線装置1000の動作の概要]
図2は、この発明の前提となる無線装置1000の基本的な動作の概要を説明するためのフローチャートである。
【0060】
無線装置1000においては、アダプティブアレイのウエイトベクトル(重み係数ベクトル)が各アンテナ素子における受信応答ベクトルにより一意に表わせることに着目し、受信応答ベクトルの時間変動を推定することによって間接的にウエイトを推定する。
【0061】
まず、受信部SR1において、受信信号に基づいて、受信信号の伝搬路の推定を行う(ステップS100)。伝搬路の推定は、式(1)〜(4)において、ユーザから送られる信号のインパルス応答を求めることに相当する。
【0062】
言い換えると、式(1)〜(4)において、たとえば、受信応答ベクトルH1が推定できれば、ユーザPS1からの信号受信時の伝送路の推定が行えることになる。
【0063】
つづいて、送信応答ベクトル推定機32が、送信時の伝搬路の予測、すなわち、受信時の受信応答ベクトルから送信時点での受信応答ベクトルの予測を行う(ステップS102)。この予測された受信応答ベクトルが送信時の送信応答ベクトルに相当する。
【0064】
さらに、送信ウェイトベクトル計算機30が、予測された送信応答ベクトルに基づいて、送信ウェイトベクトルの計算を行い、乗算器15−1〜15−4に出力する(ステップS104)。
【0065】
[受信応答ベクトル計算機22の動作]
つぎに、図1に示した受信応答ベクトル計算機22のこの発明の前提となる基本的な動作について説明する。
【0066】
まず、アンテナ素子数を4本、同時に通信するユーザ数を2人とした場合、各アンテナを経て受信回路から出力される信号は、上述した式(5)〜(8)で表わされる。
【0067】
【数7】
Figure 0003548156
【0068】
ここで、アダプティブアレイが良好に動作していると、各ユーザからの信号を分離・抽出しているため、上記信号Srxi (t)(i=1,2)はすべて既知の値となる。
【0069】
このとき、信号Srxi (t)が既知の信号であることを利用して、受信応答ベクトルH1 =[h11,h21,h31,h41]およびH2 =[h12,h22,h32,h42]を以下に説明するようにして導出することができる。
【0070】
すなわち、受信信号と既知となったユーザ信号、たとえば第1のユーザからの信号Srx1 (t)を掛け合わせて、アンサンブル平均(時間平均)を計算すると以下のようになる。
【0071】
【数8】
Figure 0003548156
【0072】
式(16)において、E[…]は、時間平均を示し、S* (t)は、S(t)の共役複素を示す。この平均をとる時間が十分長い場合、この平均値は以下のようになる。
【0073】
【数9】
Figure 0003548156
【0074】
ここで、式(18)の値が0となるのは、信号Srx1 (t)と信号Srx2 (t)に互いに相関がないためである。また、式(19)の値が0となるのは、信号Srx1 (t)と雑音信号N(t)との間に相関がないためである。
【0075】
したがって、式(16)のアンサンブル平均は結果として以下に示すように、受信応答ベクトルH1 に等しくなる。
【0076】
【数10】
Figure 0003548156
【0077】
以上のような手続により、第1番目のユーザPS1から送信された信号の受信応答ベクトルH1 を推定することができる。
【0078】
同様にして、入力信号ベクトルX(t)と信号Srx2 (t)のアンサンブル平均操作を行なうことで、2番目のユーザPS2から送信された信号の受信応答ベクトルH2 を推定することが可能である。
【0079】
上述のようなアンサンブル平均は、たとえば、受信時の1つのタイムスロット内の先頭の所定数のデータシンボル列と最後尾の所定数のデータシンボル列について行われる。
【0080】
[送信応答ベクトルの推定]
図3は、この発明の前提となる送信応答ベクトル推定機32の基本的な動作を説明するための概念図である。PDMAバーストとして上下回線にそれぞれ4ユーザずつ割当てた8スロット構成を考える。スロットの構成は、たとえば、先頭の31シンボルを第1のトレーニングシンボル列、後続の68シンボルをデータシンボル列、さらに最後尾の31シンボルを第2のトレーニングシンボル列とする。
【0081】
上述のとおり、上り回線スロットの先頭および最後尾にトレーニングシンボル列を設け、上述の受信応答ベクトル計算機22のアルゴリズムを用いて両方の受信応答ベクトルを算出する。
【0082】
そして、外挿処理(直線外挿)により下り回線用の受信応答ベクトルを推定する。
【0083】
すなわち、受信応答ベクトルの要素の任意の1つの時刻tにおける値をf(t)とすると、上り回線スロットの先頭トレーニングシンボル列の時刻t0での値f(t0)と、上り回線スロットの最後尾トレーニングシンボル列の時刻t1での値f(t1)とに基づいて、下り回線スロットの時刻tにおける値f(t)は、以下のように予測できる。
【0084】
f(t)=[f(t1)−f(t0)]/(t1−t0)×(t−t0)+f(t0)
なお、以上の説明では、上り回線スロットの先頭と最後尾にトレーニングシンボル列を設け、一次外挿することとしたが、さらに、上り回線スロットの中央部にもトレーニングシンボル列を設け、受信応答ベクトルの上り回線スロット中の3点の値から、時刻tの値f(t)を2次外挿で推定する構成としてもよい。もしくは、上り回線スロット中のトレーニングシンボル列を設ける位置を増やせば、さらに高次の外挿を行うことも可能である。
【0085】
このようにして推定を行った送信応答ベクトルに基づいて、送信ウェイトベクトル計算機30が、送信ウェイトベクトルwtxj1(j=1,2,3,4)を計算する。
【0086】
[図3の送信応答ベクトル推定の問題点]
しかしながら、たとえば受信応答ベクトルが、ノイズやサンプリング誤差による推定誤差のために振幅方向にずれた場合、これらの受信応答ベクトルに基づいて、直線外挿を行なえば、送信タイミングにおける送信応答ベクトルはさらに大きく振幅方向にずれてしまい、誤った送信応答ベクトルを推定してしまうことになる。
【0087】
したがって、このような誤った送信応答ベクトルに基づいて得られる送信ウェイトも誤ったものとなり、下り回線の指向性の誤りすなわち送信エラーを引き起こすことになる。特に、無線基地局と端末との間は長距離のため、わずかな指向性のエラーは大きな送信エラーの原因となる。
【0088】
このとき、受信環境によっては、フェージングの影響が、複数のアンテナに均等に観測されない場合も存在し得る。
【0089】
[実施の形態1]
[実施の形態1のPDMA用無線基地局2000の構成]
図4は、本発明の実施の形態1のPDMA用アダプティプティブアレイ無線基地局2000の構成を説明するための概略ブロック図である。
【0090】
PDMA用無線基地局2000の構成が、図1に示したPDMA用無線基地局1000の構成と異なる点は、以下のとおりである。
【0091】
まず、第1には、この受信応答ベクトル計算機24でのドップラー周波数の推定結果に応じて、アンテナ#1〜#4のうちの所定のアンテナにのみ送信信号を与えるためのスイッチ回路18−1〜18−4が設けられていることである。
【0092】
すなわち、後により詳しく説明するように、アンテナ#1〜#4の各々について、対象となるユーザ端末PS1からの受信信号に基づいて、この端末PS1のフェージング速度、言い換えると、ドップラー周波数(FD)を推定する。PDMA用無線基地局2000においては、受信応答ベクトル計算機24は、各アンテナごとに推定されたフェージング速度のうち、小さい方からたとえば、2つのアンテナを選択する。PDMA用無線基地局2000は、スイッチ回路18−1〜18−4を用いて、この選択された2本のアンテナのみを用いて、ユーザ端末PS1に対する指向性を有するように送信処理を行う。このような2本のアンテナの選択の可能な組み合わせは、4本から2本を選ぶ組み合わせの個数であって、6通りあることになる。より一般的には、N本のアンテナが設けられている場合は、個々のアンテナごとに推定されるフェージング速度、言い換えるとドップラー周波数の小さい方からm本を選び、このm本のアンテナを用いて、所望のユーザ端末への送信指向性を有する送信処理を行う。
【0093】
すなわち、受信環境によっては、アレイアンテナを構成する複数本のアンテナのうち、特定のアンテナについて、他のアンテナよりもフェージングが大きく検出されてしまう場合があり、この場合は、推定する成分の劣化を招いていしまう。本発明では、フェージングの少ない安定なアンテナを選択することで、成分劣化を抑制することができるので、受信時点の受信応答ベクトルからより正確に送信時点での送信応答ベクトルを推定することが可能となる。
【0094】
さらに、第2には、PDMA用無線基地局2000においては、受信応答ベクトル計算機22の代わりに、受信応答ベクトル計算機24が設けられていることである。受信応答ベクトル計算機24は、後に説明するように、ドップラー周波数推定部(図示せず)を含む。ドップラー周波数推定部は、上り回線の受信応答ベクトルに推定誤差が存在するものとして、伝搬路のフェージングの程度を表わすドップラー周波数を正確に推定する。このドップラー周波数の推定により、外挿処理のための適切なパラメータ、たとえば、外挿距離を調整して下り回線における正しい送信応答ベクトルを推定し、ひいはて正しい送信指向性を実現することが可能となる。
【0095】
[受信応答ベクトル計算機24の動作]
次に、図5は、この発明の実施の形態1による受信応答ベクトル計算機24の構成を示す概略ブロック図である。以下に、図5を参照して、この発明の実施の形態によるドップラー周波数推定部の動作原理について説明する。
【0096】
なお、図3ないし図4に示すような上下回線のそれぞれ所定数、たとえば4スロットからなる合計8スロットを1フレームと称する。そしてこのようなフレームが時系列的に連続して上下回線の通信が交互に行なわれることになる。また、伝搬路の伝搬環境は、伝搬路の受信係数の変動、すなわちフェージングの程度によって表わされる。前述のようにフェージングの程度は物理量としては、いわゆるドップラー周波数(FD)によって表現される。
【0097】
図5において、受信応答ベクトル計算機24は、上述した式(16)および式(20)に対応する処理を行って、所望のユーザ端末、たとえば端末PS1からの受信応答ベクトルを算出する受信応答ベクトル推定部101と、受信応答ベクトル推定部101からの現フレームの応答ベクトルに基づいて、端末PS1のフェージング速度、言い換えると、ドップラー周波数FDを推定するドップラー周波数推定部103とを備える。
【0098】
ドップラー周波数推定部103は、推定したアンテナごとのドップラー周波数により、対象端末PS1の推定されたフェージング速度が小さい方から所定数、たとえば、2本のアンテナを選択するための信号をスイッチ回路18−1〜18−4に対して出力する。
【0099】
ドップラー周波数推定部103は、応答ベクトル推定部101で推定された現在のフレームのスロットにおける受信応答ベクトルを用いて、フレームのうち受信スロットの前縁部および当該受信スロットの後縁部に対する受信応答ベクトルから、受信応答ベクトルの相関値α1を、次式にしたがって算出する。
【0100】
α1=|hij1 ij2|/|hij1||hij2
ここで、hij1は、当該受信スロットの前縁部、たとえば、先頭部でのi番目のアンテナについてのj番目の端末に対する受信応答ベクトル要素を表し、hij2は、当該スロットの後縁部、たとえば、最後尾でのi番目のアンテナについてのj番目の端末に対する受信応答ベクトル要素を表し、h ij2は、hij2の複素共役を表わす。
【0101】
このようにして算出される相関値α1と、ドップラー周波数との正確な対応関係を求めることは一般には困難であるが、実験により、おおよその対応関係を経験的に求めることができる。たとえば、相関値が1から0.95の範囲内にあれば、ドップラー周波数FDは、FD=0Hzであると推定する。また、相関値が0.95から0.80の範囲内にあれば、FD=10Hzであると推定する、等などである。
【0102】
このように経験的に得られた受信応答ベクトル相関値α1とドップラー周波数FDとのおおよその対応関係が、相関演算およびドップラー周波数推定部103に予め格納されており、上述の計算式により求められた相関値から、該当するドップラー周波数推定値が選択され、ドップラー周波数推定部103において、アンテナごとのドップラー周波数が推定される。
【0103】
図5に示すような処理は、通常は、たとえばデジタルシグナルプロセッサ(DSP)を用いてソフトウェア的に実行される。
【0104】
図6は、このようにして推定されたドップラー周波数FDに着目した送信ウェイトの決定処理を表わすフローチャートである。
【0105】
図6を参照して、ステップS100において、まず、フレーム内の受信スロットについて、受信が行われると(ステップS100)、図4の受信応答ベクトル計算機24により、当該スロットについて伝搬路の推定がなされ、具体的には上り回線スロットについて、上述したような受信スロット内の異なる時刻での受信応答ベクトルH(1)およびH(2)が推定される(ステップS102)。
【0106】
次に、ステップS104において、ドップラー周波数推定部103によりアンテナごとにドップラー周波数FD(フェージング速度)が推定される(ステップS104)。
【0107】
次に、ステップS106において、各アンテナごとに推定されたドップラー周波数FD(フェージング速度)のうち、小さい方から、特に限定されないがたとえば、2つのアンテナを送信用のアンテナとして選択する。
【0108】
このとき、たとえば、4本のアンテナから2本のアンテナを選択する際の組み合わせは、選択されるアンテナを(#i,#j)で表すことにすると、(#1,#2)、(#1,#3)、(#1,#4)、(#2,#3)、(#2,#4)、(#3,#4)の6通りがある。
【0109】
送信時に使用するアンテナの組が決定されると、次に、ステップS108において、図4の送信応答ベクトル推定機32により、選択されたアンテナに対応する送信応答ベクトルの推定がなされる。
【0110】
送信時点での送信応答ベクトルの推定値が求まると、送信ウェイトベクトル計算機30により、送信ウェイトベクトルを求めることができる。したがって、ステップS110において、図4の送信ウェイトベクトル計算機30により、上述のステップS108で決定された下り回線の送信応答ベクトルに基づいて送信ウェイトが推定される。
【0111】
このとき、送信ウェイトベクトル計算機30は、ドップラー周波数推定部103により選択された、たとえば、N本のうちのm本のアンテナを用いて、指向性を生成する演算を行う。
【0112】
以上説明した手続きで、送信時のウェイトベクトルを決定して送信すれば、角度広がりなど動的なレイリー伝搬路を想定した場合、TDD/PDMA方式においても上下回線間の時間差により発生する下り回線での送信指向性の劣化を抑制することが可能である。
【0113】
[実施の形態2]
図7は、この発明の実施の形態2のPDMA用無線基地局において、実施の形態1のPDMA用無線基地局2000の受信応答ベクトル計算機24の代わりに用いられる受信応答ベクトル計算機26の構成を示す概略ブロック図である。以下に、図7を参照して、この発明の実施の形態2による受信応答ベクトル計算機26の動作原理について説明する。
【0114】
応答ベクトル推定部101は、受信信号に対して先に説明したアンサンブル平均の手法を適用することにより、現在のフレームのスロットにおける受信応答ベクトルを推定し、ドップラー周波数推定部103およびメモリ102に与える。
【0115】
ドップラー周波数推定部103は、応答ベクトル推定部101で推定された現在のフレームのスロットにおける受信応答ベクトルと、メモリ102に保持されている前フレームの対応するスロットにおける受信応答ベクトルとに基づいて、アンテナごとの相関値α2を演算する。
【0116】
α2=|hij1 ij2|/|hij1||hij2
ここで、hij1は、時間的に前後する2フレームのうちの前のフレームにおける受信スロットのi番目のアンテナについてのj番目の端末に対する受信応答ベクトル要素を表し、hij2は、時間的に前後する2フレームのうちの後ろのフレームにおける受信スロットのi番目のアンテナについてのj番目の端末に対する受信応答ベクトル要素を表し、h ij2は、hij2の複素共役を表わす。
【0117】
このようにして算出される相関値α2と、ドップラー周波数との正確な対応関係を求めることも、やはり困難であるが、実験により、これも、おおよその対応関係を経験的に求めることができる。
【0118】
このように経験的に得られた受信応答ベクトル相関値とドップラー周波数FDとのおおよその対応関係が、相関演算およびドップラー周波数推定部103に予め格納されており、上述の計算式により求められたベクトル同士の相関値から、該当するドップラー周波数推定値が選択され、ドップラー周波数推定部103から出力されることになる。
【0119】
また、ドップラー周波数推定部103は、推定したアンテナごとのドップラー周波数により、対象端末PS1の推定されたフェージング速度が小さい方から所定数、たとえば、2本のアンテナを選択するための信号をスイッチ回路18−1〜18−4に対して出力する。
【0120】
図7に示すような処理も、通常は、たとえばデジタルシグナルプロセッサ(DSP)を用いてソフトウェア的に実行される。
【0121】
図8は、図7に示す回路構成による処理を示すフローチャートである。この図8に示す処理では、現在のフレームのスロットにおける受信応答ベクトルと、直前のフレームの対応するスロットにおける受信応答ベクトルとのベクトル相関値が求められる。
【0122】
まず、ステップS1において現在のフレームのスロットの受信応答ベクトルが推定される。
【0123】
次に、ステップS2において、ステップS1で推定された受信応答ベクトルが最初に推定された受信応答ベクトルであるか否かが判定され、最初に推定された受信応答ベクトルであれば、ステップS5においてメモリ(図7のメモリ102)に記憶される。
【0124】
一方、最初に推定された受信応答ベクトルでなければ、ステップS3において、メモリに保持されている直前のフレームの対応するスロットの受信応答ベクトルと、ステップS1で推定された現在のフレームの対応するスロットの受信応答ベクトルとの相関値CORRが算出される。
【0125】
そして、ステップS4において、前述のように予め実験的に求められ保持されているベクトル相関値とドップラー周波数FDとの対応関係に基づいて、算出された相関値CORRに対応するドップラー周波数FDが推定され、出力される。
【0126】
一方で、ステップS5において、ステップS1において推定された現在のフレームのスロットの受信応答ベクトルはメモリ(図7のメモリ102)に記憶される。
【0127】
以上のステップS1−S5を繰り返し実行することにより、時間的に前後する、すなわち連続する2フレーム間の対応するスロットの受信応答ベクトル同士の瞬時的なベクトル相関値を連続して得ることができる。
【0128】
次に、図9は、図8に示した処理の変形例を示すフローチャートである。
図9において、ステップS11で受信エラーが検出されなければ、以後の動作は基本的に図8の例と同じであり、説明を繰り返さない。一方、ステップS11で受信エラーが検出されれば、検出されなくなるまで次のステップS1に進むことはできない。
【0129】
受信エラーの検出がなくなれば、ステップS1からS5までの動作が実行されるが、この場合図8の例と異なるのは、ステップS3’の処理である。すなわち、受信エラーを含むスロットの応答ベクトル推定は、ステップS11によって排除されているので、ステップS3’においては、メモリに保持されている過去のフレームのスロットのうち受信エラーが無かった最も直近のスロットにおける受信応答ベクトルと、ステップS1で推定された現在のフレームのスロットの受信応答ベクトルとの相関値CORRが推定される。以後の処理は、図8の例と同じである。
【0130】
この図9の例では、受信エラーの影響を排除することができ、より正確なドップラー周波数の推定が可能となる。
【0131】
以上のように、この発明によるドップラー周波数推定部103を用いると、正確に推定された端末ごとのドップラー周波数FDの推定結果に基づいて、たとえば、フレーム間等での異なる時刻にわたるフェージングによる変動量の少ないアンテナを所定数だけ選択して使用することにより、受信信号の成分劣化を抑制し、さらに、下り回線の送信応答ベクトルを正確に推定し、良好な通信品質を実現することが可能である。
【0132】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内のすべての変更が含まれることが意図される。
【0133】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、受信信号そのものではなく受信応答ベクトル同士の相関値に基づいてドップラー周波数を推定することにより、受信信号における干渉成分の影響を受けることなく、ユーザ端末についてのドップラー周波数を複数のアンテナの各々に対して推定する。この発明では、この推定結果に基づいて、フェージングによる変動量の少ないアンテナを選択的に使用する。これにより、下り回線の送信応答ベクトルを正確に推定することができ、ひいては良好な送信指向性制御を行なうことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】送信ウェイトベクトルを推定して送信指向性を制御するPDMA用無線基地局1000の構成を示す概略ブロック図である。
【図2】無線装置1000の基本的な動作の概要を説明するためのフローチャートである。
【図3】送信応答ベクトル推定機32の基本的な動作を説明するための概念図である。
【図4】本発明の実施の形態1のPDMA用アダプティプティブアレイ無線基地局2000の構成を説明するための概略ブロック図である。
【図5】発明の実施の形態1による受信応答ベクトル計算機24の構成を示す概略ブロック図である。
【図6】推定されたドップラー周波数FDに着目した送信ウェイトの決定処理を表わすフローチャートである。
【図7】実施の形態2のPDMA用無線基地局の受信応答ベクトル計算機26の構成を示す概略ブロック図である。
【図8】図7に示す回路構成による処理を示すフローチャートである。
【図9】図8に示した処理の変形例を示すフローチャートである。
【図10】周波数分割多重接続,時分割多重接続およびPDMAの各種の通信システムにおけるチャネルの配置図である。
【図11】携帯電話機の電波信号のフレーム構成を示す概略図である。
【符号の説明】
SR1 受信部、ST1 送信部、#1〜#4 アンテナ、10−1〜10−4 スイッチ回路、12−1〜12−4 乗算器、13 加算器、15−1〜15−4 乗算器、20 受信ウェイトベクトル計算機、22,24,26 受信応答ベクトル計算機、30 送信ウェイトベクトル計算機、32 送信応答ベクトル推定機、34,102,104 メモリ、101 応答ベクトル推定部、103 ドップラー周波数推定部、1000 無線装置(無線基地局)。

Claims (4)

  1. リアルタイムにアンテナ指向性を変更し、複数の端末との間で信号の送受信を時分割で行なうアダプティブアレイ無線装置であって、
    離散的に配置された複数のアンテナと、
    前記複数のアンテナからの信号に基づいてアダプティブアレイ処理により前記複数の端末のうち特定の端末装置からの信号を分離するための受信信号分離手段と、
    前記特定の端末との間の伝搬路のドップラー周波数を前記アンテナごとに推定し、前記複数のアンテナのうち対応するドップラー周波数の小さいものから所定数のアンテナを選択するドップラー周波数推定手段と、
    前記複数のアンテナで受信した信号に基づいて、前記特定の端末からの伝搬路の受信応答ベクトルを推定する受信伝搬路推定手段と、
    前記受信伝搬路推定手段によって推定された時間的に前後する受信応答ベクトルに基づいて前記アンテナごとに相関値を算出する相関演算手段と、
    予め経験的に決定された相関値とドップラー周波数との対応関係に基づいて、前記相関演算手段によって算出された相関値に対応するドップラー周波数を推定し、前記所定数のアンテナを選択する推定選択手段と、を含み、
    前記受信伝搬路推定手段の推定結果と前記ドップラー周波数推定手段の推定結果とに基づいて、選択された前記所定数のアンテナを用いて、前記特定の端末に対して送信指向性を有する送信信号を送出するための送信指向性形成手段をさらに備えた、アダプティブアレイ無線装置。
  2. 前記相関演算手段は、同一スロットの前半における受信応答ベクトルと、後半における受信応答ベクトルとに基づいて前記相関値を算出する、請求項1に記載のアダプティブアレイ無線装置。
  3. 前記相関演算手段は、現在のフレームのスロットにおける受信応答ベクトルと、直前のフレームのスロットにおける受信応答ベクトルとに基づいて前記相関値を算出する、請求項1に記載のアダプティブアレイ無線装置。
  4. 前記相関演算手段は、現在のフレームのスロットにおける受信応答ベクトルと、過去のフレームのスロットのうち受信エラーが無かった最も直近のスロットにおける受信応答ベクトルとに基づいて前記相関値を算出する、請求項1に記載のアダプティブアレイ無線装置。
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