JP4409737B2 - 無線装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、デジタル通信において同期タイミングを検出し、リアルタイムにアンテナ指向性を変更可能な無線装置の構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、移動通信システムにおいて、周波数の有効利用を図るべく種々の伝送チャネル割当方法が提案されており、その一部のものは実用化されている。
【0003】
図48は周波数分割多重接続(Frequency Division Multiple Access:FDMA),時分割多重接続(Time Division Multiple Access :TDMA)およびPDMAの各種の通信システムにおけるチャネルの配置図である。
【0004】
まず、図48を参照して、FDMA,TDMAおよびPDMAについて簡単に説明する。図48(a)はFDMAを示す図であって、異なる周波数f1〜f4の電波でユーザ1〜4のアナログ信号が周波数分割されて伝送され、各ユーザ1〜4の信号は周波数フィルタによって分離される。
【0005】
図48(b)に示すTDMAにおいては、各ユーザのデジタル化された信号が、異なる周波数f1〜f4の電波で、かつ一定の時間(タイムスロット)ごとに時分割されて伝送され、各ユーザの信号は周波数フィルタと基地局および各ユーザ移動端末装置間の時間同期とにより分離される。
【0006】
一方、最近では、携帯型電話機の普及により電波の周波数利用効率を高めるために、PDMA方式が提案されている。このPDMA方式は、図48(c)に示すように、同じ周波数における1つのタイムスロットを空間的に分割して複数のユーザのデータを伝送するものである。このPDMAでは各ユーザの信号は周波数フィルタと基地局および各ユーザ移動端末装置間の時間同期とアダプティブアレイ(adaptive array)などの相互干渉除去装置とを用いて分離される。
【0007】
このようなアダプティブアレイ無線基地局の動作原理については、たとえば下記の文献等に説明されているように周知なものである。
【0008】
B. Widrow, et al. :“Adaptive Antenna Systems, ”Proc. IEEE, vol.55, No.12, pp.2143-2159 (Dec. 1967 ).
S. P. Applebaum :“Adaptive Arrays ”, IEEE Trans. Antennas & Propag., vol.AP-24, No.5, pp.585-598 (Sept. 1976).
図49は、このようなアダプティブアレイ無線基地局の動作原理を概念的に示す模式図である。図49において、1つのアダプティブアレイ無線基地局1は、n本のアンテナ♯1,♯2,♯3,…,♯nからなるアレイアンテナ2を備えており、その電波が届く範囲を第1の斜線領域3として表わす。一方、隣接する他の無線基地局6の電波が届く範囲を第2の斜線領域7として表わす。
【0009】
領域3内で、ユーザAの端末である携帯電話機4とアダプティブアレイ無線基地局1との間で電波信号の送受信が行なわれる(矢印5)。一方、領域7内で、他のユーザBの端末である携帯電話機8と無線基地局6との間で電波信号の送受信が行なわれる(矢印9)。
【0010】
ここで、たまたまユーザAの携帯電話機4の電波信号の周波数とユーザBの携帯電話機8の電波信号の周波数とが等しいとき、ユーザBの位置によっては、ユーザBの携帯電話機8からの電波信号が領域3内で不要な干渉信号となり、ユーザAの携帯電話機4とアダプティブアレイ無線基地局1との間の電波信号に混入してしまうことになる。
【0011】
このように、ユーザAおよびBの双方からの混合した電波信号を受信したアダプティブアレイ無線基地局1では、何らかの処理を施さなければ、ユーザAおよびBの双方からの信号が混じった信号を出力することとなり、本来通話すべきユーザAの通話が妨げられることになる。
【0012】
[従来のアダプティブアレイアンテナの構成および動作]
アダプティブアレイ無線基地局1では、このユーザBからの信号を出力信号から除去するために、次のような処理を行なっている。図50は、アダプティブアレイ無線基地局1の構成を示す概略ブロック図である。
【0013】
まず、ユーザAからの信号をA(t)、ユーザBからの信号をB(t)とすると、図49のアレイアンテナ2を構成する第1のアンテナ♯1での受信信号x1(t)は、次式のように表わされる:
x1(t)=a1×A(t)+b1×B(t)
ここで、a1,b1は、後述するようにリアルタイムで変化する係数である。
【0014】
次に、第2のアンテナ♯2での受信信号x2(t)は、次式のように表わされる:
x2(t)=a2×A(t)+b2×B(t)
ここで、a2,b2も同様にリアルタイムで変化する係数である。
【0015】
以下同様に、第nのアンテナ♯nでの受信信号xn(t)は、次式のように表わされる:
xn(t)=an×A(t)+bn×B(t)
ここで、an,bnも同様にリアルタイムで変化する係数である。
【0016】
上記の係数a1,a2,a3,…,anは、ユーザAからの電波信号に対し、アレイアンテナ2を構成するアンテナ♯1,♯2,♯3,…,♯nのそれぞれの相対位置が異なるため(たとえば、各アンテナ同士は互いに、電波信号の波長の5倍、すなわち1メートル程度の間隔をあけて配されている)、それぞれのアンテナでの受信強度に差が生じることを表わしている。
【0017】
また、上記の係数b1,b2,b3,…,bnも同様に、ユーザBからの電波信号に対し、アンテナ♯1,♯2,♯3,…,♯nのそれぞれでの受信強度に差が生じることを表わしている。各ユーザは移動しているため、これらの係数はリアルタイムで変化する。
【0018】
それぞれのアンテナで受信された信号x1(t),x2(t),x3(t),…,xn(t)は、対応するスイッチ10−1,10−2,10−3,…,10−nを介してアダプティブアレイ無線基地局1を構成する受信部1Rに入り、ウエイトベクトル制御部11に与えられるとともに、対応する乗算器12−1,12−2,12−3,…,12−nの一方入力にそれぞれ与えられる。
【0019】
これらの乗算器の他方入力には、ウエイトベクトル制御部11からそれぞれのアンテナでの受信信号に対する重みw1,w2,w3,…,wnが印加される。これらの重みは、後述するように、ウエイトベクトル制御部11により、リアルタイムで算出される。
【0020】
したがって、アンテナ♯1での受信信号x1(t)は、乗算器12−1を経て、w1×(a1A(t)+b1B(t))となり、アンテナ♯2での受信信号x2(t)は、乗算器12−2を経て、w2×(a2A(t)+b2B(t))となり、アンテナ♯3での受信信号x3(t)は、乗算器12−3を経て、w3×(a3A(t)+b3B(t))となり、さらにアンテナ♯nでの受信信号xn(t)は、乗算器12−nを経て、wn×(anA(t)+bnB(t))となる。
【0021】
これらの乗算器12−1,12−2,12−3,…,12−nの出力は、加算器13で加算され、その出力は下記のようになる:
w1(a1A(t)+b1B(t))+w2(a2A(t)+b2B(t))+w3(a3A(t)+b3B(t))+…+wn(anA(t)+bnB(t))
これを信号A(t)に関する項と信号B(t)に関する項とに分けると次のようになる:
(w1a1+w2a2+w3a3+…+wnan)A(t)+(w1b1+w2b2+w3b3+…+wnbn)B(t)
ここで、後述するように、アダプティブアレイ無線基地局1は、ユーザA,Bを識別し、所望のユーザからの信号のみを抽出できるように上記重みw1,w2,w3,…,wnを計算する。たとえば、図50の例では、ウエイトベクトル制御部11は、本来通話すべきユーザAからの信号A(t)のみを抽出するために、係数a1,a2,a3,…,an,b1,b2,b3,…,bnを定数とみなし、信号A(t)の係数が全体として1、信号B(t)の係数が全体として0となるように、重みw1,w2,w3,…,wnを計算する。
【0022】
すなわち、ウエイトベクトル制御部11は、下記の連立一次方程式を解くことにより、信号A(t)の係数が1、信号B(t)の係数が0となる重みw1,w2,w3,…,wnをリアルタイムで算出する:
w1a1+w2a2+w3a3+…+wnan=1
w1b1+w2b2+w3b3+…+wnbn=0
この連立一次方程式の解法の説明は省略するが、先に列挙した文献に記載されているとおり周知であり、現にアダプティブアレイ無線基地局において既に実用化されているものである。
【0023】
このように重みw1,w2,w3,…,wnを設定することにより、加算器13の出力信号は下記のとおりとなる:
出力信号=1×A(t)+0×B(t)=A(t)
[ユーザの識別、トレーニング信号]
なお、前記のユーザA,Bの識別は次のように行なわれる。
【0024】
図51は、携帯電話機の電波信号のフレーム構成を示す概略図である。携帯電話機の電波信号は大きくは、無線基地局にとって既知の信号系列からなるプリアンブルと、無線基地局にとって未知の信号系列からなるデータ(音声など)とから構成される。
【0025】
プリアンブルの信号系列は、当該ユーザが無線基地局にとって通話すべき所望のユーザかどうかを見分けるための情報の信号系列を含んでいる。アダプティブアレイ無線基地局1のウエイトベクトル制御部11(図50)は、メモリ14から取出したユーザAに対応したトレーニング信号と、受信した信号系列とを対比し、ユーザAに対応する信号系列を含んでいると思われる信号を抽出するようにウエイトベクトル制御(重みの決定)を行なう。このようにして抽出されたユーザAの信号は、出力信号SRX(t)としてアダプティブアレイ無線基地局1から外部出力される。
【0026】
一方、図50において、外部からの入力信号STX(t)は、アダプティブアレイ無線基地局1を構成する送信部1Tに入り、乗算器15−1,15−2,15−3,…,15−nの一方入力に与えられる。これらの乗算器の他方入力にはそれぞれ、ウエイトベクトル制御部11により先に受信信号に基づいて算出された重みw1,w2,w3,…,wnがコピーされて印加される。
【0027】
これらの乗算器によって重み付けされた入力信号は、対応するスイッチ10−1,10−2,10−3,…,10−nを介して、対応するアンテナ♯1,♯2,♯3,…,♯nに送られ、図49の領域3内に送信される。
【0028】
ここで、受信時と同じアレイアンテナ2を用いて送信される信号には、受信信号と同様にユーザAをターゲットとする重み付けがされているため、送信された電波信号はあたかもユーザAに対する指向性を有するかのようにユーザAの携帯電話機4により受信される。
【0029】
図52は、このようなユーザAとアダプティブアレイ無線基地局1との間での電波信号の授受をイメージ化した図である。現実に電波が届く範囲を示す図49の領域3に対比して、図52の仮想上の領域3aに示すようにアダプティブアレイ無線基地局1からはユーザAの携帯電話機4をターゲットとして指向性を伴って電波信号が放射されている状態がイメージされる。
【0030】
デジタル移動通信システムであるPHSでは、既に、以上説明したようなアダプティブアレイが実用化されており、今後より多くのユーザ収容できるPDMA方式の実現についても検討されている。このようなPDMA方式については、以下の文献に開示されている。
【0031】
(1) 鈴木、平出著、信学技報、vol. RCS93-84, pp.37-44, Jan.1994
(2) S.C.Swales, M.A.Beach, D.J.Edwards, J.P.McGeehan, IEEE Trans. Veh. Technol., vol. 39, pp.56-67, Feb.1990
(3) T.Ohgane, Y.Ogawa, and K.Itoh, Proc. VTC '97, vol. 2, pp.725-729, May 1997
以上説明したとおり、アダプティブアレイを用いたPDMA(Path Division Multiple Access)方式では、最適なウエイトベクトルが算出されている限り、適応的に干渉ユーザに対してアレイアンテナの指向性のヌル方向を向けることで、同一セル内で複数ユーザに同一チャネルを割当てることが可能となる。
【0032】
【発明が解決しようとする課題】
図53は、図50に示したPDMA基地局1の構成において、図51に示したようなトレーニングシンボル列を有するプリアンブルを含む信号を受信した場合に、その同期タイミングを検出してアンテナ指向性を制御する構成をより詳しく説明するための概略ブロック図である。
【0033】
なお、図53においては、図50に示した構成において、アンテナが4本である場合を例示的に示している。
【0034】
すなわち、図53においては、図50に示した構成において、受信部の構成のみを抜出して示している。所望のユーザからの受信信号の同期タイミング、すなわち、所望のユーザからの受信信号のフレームの先頭の検出は、同期回路30が行なう。受信ウエイトベクトル計算機11は、この同期回路30からの同期位置情報に基づいて、メモリ14中の参照信号と、アンテナ♯1〜♯4からの受信信号ならびに加算器13からの出力信号とに応じて、受信ウエイトベクトルw11〜w41を算出し、乗算器12−1〜12−4に与える。
【0035】
このようにして得られた受信ウエイトベクトルが乗算された各アンテナからの受信信号を、加算器13により加算した出力に基づいて、復調回路16が受信信号を復調し、所望のユーザからの信号SRX(t)を生成する。
【0036】
つまり、図53に示したような構成により、アンテナ♯1〜♯4から受信される信号に基づいて、所望のユーザに対する指向性を持った受信動作を行なうことが可能となる。
【0037】
しかしながら、図53に示したような構成では、強い干渉波が存在する環境下では、正しく所望のユーザからの受信信号の同期位置を推定できない可能性がある。このため、アダプティブアレイアンテナ♯1〜♯4の受信信号に対して、適切なウエイトベクトルを乗算することができず、干渉波を抑圧することができなかったり、最悪の場合、所望波の方を逆に干渉波と見なして抑圧してしまうということが生じ得る。
【0038】
図54はこのような干渉波の強い環境下でのタイミング検出の問題点を説明するための概念図である。
【0039】
図54においては、時刻t0において、基地局1に対して強い干渉波が与えられるようになっているものとする。
【0040】
このとき、強い干渉とは、たとえば空間多重によるPDMA方式を採用していないときは、他のセルからの信号がフェージングにより所望波よりも大きくなったというような状態である。
【0041】
これに対して、PDMA方式で信号を送受信しているときは、特に問題となるのは、同一セル内での他のユーザからの信号が干渉波として作用する場合ということになる。
【0042】
ここで、たとえば図53に示した構成において、同期回路30は、アンテナ♯1〜♯4のうちの1つのアンテナからの出力に基づいて、同期位置の検出を行なうものとする。この場合、強い干渉波の存在によって、実際には所望波フレームの先頭位置が時刻t2であるにもかかわらず、干渉波の影響により時刻t2よりも速い段階の時刻t1において同期位置があるように誤って推定がなされる場合がある。
【0043】
同期回路30は、受信した信号のプリアンブル中のトレーニングシンボル列と、同期回路30内で生成されるシンボル列との相関値を求め、この自己相関値にピークが存在する位置をフレーム先頭と推定する。
【0044】
このとき、干渉波の強度が所望波の強度に対して十分大きいと、誤った位置にこの自己相関値のピークが現われることがあるため、図54で示すようなタイミング誤差Δtが発生することになる。
【0045】
このようなタイミング誤差Δtの存在する状態で、メモリ14から与えられる参照信号に基づいて、受信ウエイトベクトル計算機11がアダプティブアレイアンテナのウエイトベクトルの決定を行なうと、参照信号と所望波のタイミングがずれてしまっているために、両者の相関値が低下し、所望波が干渉信号に見えてしまうことになる。
【0046】
したがって、アレイの自由度と干渉信号数が一致している場合、たとえば、2素子アンテナアレイに所望波と干渉波が1波ずつ入射している場合には、アレイの自由度が不足している状態と等価になる。このため、干渉信号の抑圧が十分になされないという問題が生じる。
【0047】
一方、アンテナ素子数が多く、アレイの自由度が受信される信号数に対して余裕があるときには、所望波の方が干渉信号と見なされ、逆に所望波が抑圧を受けてしまうという問題が生じる。
【0048】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、強い干渉波が存在する環境下でも、所望波の同期位置を正しく検出し、アダプティブアレイが所望波方向に指向性を有し、干渉波方向には十分な抑圧を示すように制御することが可能な無線装置を提供することである。
【0049】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の無線装置は、リアルタイムにアンテナ指向性を変更し、複数の端末との間でデジタル信号の送受信を行なう無線装置であって、離散的に配置された複数のアンテナと、複数のアンテナの指向性を、複数の端末のうち選択された特定の端末の方向に向けて、特定の端末からの受信信号を分離するために直列に設けられる第1および第2の受信回路とを備え、第1の受信回路は、複数のアンテナからの受信信号を受け、受信信号の到来タイミングを検出する第1の受信タイミング検出回路と、複数のアンテナからの受信信号を受けて所定の周波数以下の信号を選択的に透過させるための第1の狭帯域低域透過フィルタと、受信されるデジタル信号に含まれる所定の信号列のデータを生成するための第1の参照信号生成手段と、参照信号生成手段からの信号を受けて所定の周波数以下の信号を選択的に透過させるための第2の狭帯域低域透過フィルタと、第1の狭帯域低域透過フィルタからの信号と第2の狭帯域低域透過フィルタからの信号とに基づいて、第1の受信タイミング検出回路で検出されたタイミングに応じて、複数のアンテナのからの信号に対する重み付けを特定の端末からの受信信号を分離するように制御する第1の指向性制御手段とを含み、第2の受信回路は、第1の指向性制御手段からの出力に基づいて特定の端末からの受信信号の到来タイミングを検出し、複数のアンテナのからの信号に対する重み付けを特定の端末からの受信信号を分離するように制御する第2の指向性制御手段を含む。
【0050】
請求項2記載の無線装置は、請求項1記載の無線装置の構成に加えて、複数のアンテナからの信号を一時格納し、同一のタイミングで到来した信号を第1および第2の受信回路に与えるための記憶手段をさらに備える。
【0051】
請求項3記載の無線装置は、請求項1記載の無線装置の構成に加えて、第1の指向性制御手段は、第1の狭帯域低域透過フィルタからの信号と第2の狭帯域低域透過フィルタからの信号とに基づいて、第1の受信タイミング検出回路で検出されたタイミングに応じて、複数のアンテナのからの信号に対する重み付け係数を計算する第1の重み付け係数計算手段と、複数のアンテナからの信号を受けて、それぞれ対応する重み付け係数を乗算する複数の第1の乗算手段と、第1の乗算手段の出力を加算する第1の加算手段とを含む。
【0052】
請求項4記載の無線装置は、請求項3記載の無線装置の構成に加えて、第2の受信回路は、第1の指向性制御手段からの出力に基づいて特定の端末からの受信信号の到来タイミングを検出する第2の受信タイミング検出回路と、受信されるデジタル信号に含まれる所定の信号列のデータを生成するための第2の参照信号生成手段とをさらに含み、第2の指向性制御手段は、複数のアンテナからの信号と第2の参照信号生成手段からの信号とに基づいて、第2の受信タイミング検出回路で検出されたタイミングに応じて、複数のアンテナのからの信号に対する重み付け係数を計算する第2の重み付け係数計算手段と、複数のアンテナからの信号を受けて、それぞれ対応する重み付け係数を乗算する複数の第2の乗算手段と、第2の乗算手段の出力を加算する第2の加算手段とを含む。
【0053】
請求項5記載の無線装置は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の無線装置の構成に加えて、第1および第2の狭帯域低域透過フィルタの透過域は、ナイキストフィルタの透過域よりも低域側である。
【0054】
【発明の実施の形態】
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態のPDMA基地局の無線装置(無線基地局)1000の構成を示す概略ブロック図である。
【0055】
図1に示した構成においては、たとえばユーザPS1とPS2とを識別するために、4本のアンテナ♯1〜♯4が設けられている。
【0056】
ただし、アンテナの本数としては、より一般的にL本(L個の自然数)であってもよい。また、ユーザの人数は説明の簡単のために2人としている。すなわち、所望波の送信元として1人のユーザが存在し、干渉波の送信元として他の1人が存在する場合を想定している。しかしながら、本発明はこのような場合に限定されず、ユーザは3人以上であってもよい。さらに、図1に示した構成では、説明の簡単のために、信号の受信に関係する部分の構成のみを抜出して示している。したがって、本来は従来のアダプティブアレイの構成と同様に設けられている送信部の構成については図示省略している。
【0057】
図1に示した無線装置1000では、アンテナ♯1〜♯4でそれぞれ受信された受信信号RX1(t),RX2(t),RX3(t),RX4(t)は、アナログデジタル変換回路(図示せず)によりアナログ・デジタル変換された後、メモリ10に格納される。続いて、メモリ10から出力される受信信号RX1(t)〜RX4(t)は、第1の同期回路30に入力され、同期回路30は、受信信号のプリアンブル中に含まれるトレーニングシンボル列と、同期回路30中に保持されている予め定められたシンボル列との自己相関を取ることにより、所望波の同期タイミングを検出して、同期位置情報を出力する。
【0058】
同期回路30から出力される受信信号RX1(t)〜RX4(t)は、乗算器12−1.1〜12−4.1にそれぞれ与えられるとともに、狭帯域フィルタ20を介して、第1の受信ウエイトベクトル計算機11.1に与えられる。
【0059】
受信ウエイトベクトル計算機11.1には、同期回路30から同期位置情報が与えられるとともに、メモリ14.1から参照信号が狭帯域フィルタ22を介して与えられる。
【0060】
すなわち、受信ウエイトベクトル計算機11.1は、同期位置情報に基づいたタイミングで、狭帯域フィルタ20を通過してきた受信信号と、狭帯域フィルタ22を通過してきた参照信号とに基づいて、ウエイトベクトルw11〜w41(受信信号に対する重み係数)を計算して、これらのウエイトベクトルの値を乗算器12−1.1〜12−4.1の一方入力にそれぞれ与える。
【0061】
これらの乗算器の他方入力には、同期回路30から出力された受信信号RX1(t)〜RX4(t)がそれぞれ与えられる。加算器13.1は、乗算器12−1.1〜12−4.1からの出力を加算して、所望のユーザ、たとえばユーザPS1からの受信信号として出力する。この加算器13.1の出力は、ウエイトベクトルの計算のために、受信ウエイトベクトル計算機11.1にも与えられる。
【0062】
さらに、加算器13.1の出力は、第2の同期回路32に与えられ、同期回路32は、同期回路30と同様にして、加算器13.1からの出力信号のプリアンブル中に含まれるトレーニング信号列と、同期回路32において保持されるシンボル列との自己相関を求めることで、同期位置情報を出力する。
【0063】
一方、同期回路30から出力された受信信号RX1(t)〜RX4(t)は、第2の受信ウエイトベクトル計算機11.2に与えられるとともに、それぞれ乗算器12−1.2〜12−4.2の一方入力にも与えられる。
【0064】
受信ウエイトベクトル計算機11.2は、第2の同期回路32からの同期位置情報に基づいたタイミングで、同期回路30からの受信信号RX1(t)〜RX4(t)とメモリ14.2中に保持される参照信号とに基づいて、受信ウエイトベクトルwrx11,wrx12,wrx13,wrx14を計算し、乗算器12−1.2〜12−4.2の他方入力にそれぞれ与える。
【0065】
加算器13.2は、乗算器12−1.2〜12−4.2からの出力を加算して、受信ウエイトベクトル計算機11.2および復調回路16に与える。
【0066】
復調器16は、加算器13.2の出力信号に対して復調処理を行ない、受信信号Srx1(t)(t:時刻)を出力する。
【0067】
[アダプティブアレイの動作原理]
以下では、アダプティブアレイの動作を受信ウエイトベクトル計算機11.2と乗算器12−1.2〜12−4.2ならびに加算器13.2の動作について説明する。
【0068】
第1の受信ウエイトベクトル計算機11.1の動作も、入力される信号が、それぞれ狭帯域フィルタ20および狭帯域フィルタ22を通過していることを除いては、第2の受信ウエイトベクトル計算機11.2の動作と同様である。
【0069】
アンテナで受信された受信信号RX1(t),RX2(t),RX3(t),RX4(t)は、以下の式で表される。
【0070】
【数1】
【0071】
ここで、信号RXj (t)は、j番目(j=1,2,3,4)のアンテナの受信信号を示し、信号Srxi (t)は、i番目(i=1,2)のユーザが送信した信号を示す。
【0072】
さらに、係数hjiは、j 番目のアンテナに受信された、i 番目のユーザからの信号の複素係数を示し、nj (t)は、j番目の受信信号に含まれる雑音を示している。
【0073】
上の式(1)〜(4)をベクトル形式で表記すると、以下のようになる。
【0074】
【数2】
【0075】
なお式(6)〜(8)において、[…]T は、[…]の転置を示す。
ここで、X(t)は入力信号ベクトル、Hi はi番目のユーザの受信係数ベクトル、N(t)は雑音ベクトルをそれぞれ示している。
【0076】
アダプティブアレイアンテナは、図1に示したように、それぞれのアンテナからの入力信号に重み係数wrx1i〜wrx4iを掛けて合成した信号を受信信号Srxi (t)として出力する。
【0077】
さて、以上のような準備の下に、たとえば、1番目のユーザが送信した信号Srx1 (t)を抽出する場合のアダプティブアレイの動作は以下のようになる。
【0078】
アダプティブアレイの出力信号y1(t)は、入力信号ベクトルX(t)とウエイトベクトルW1 のベクトルの掛算により、以下のような式で表わすことができる。
【0079】
【数3】
【0080】
すなわち、ウエイトベクトルW1 は、j番目の入力信号RXj (t)に掛け合わされる重み係数wrxj1(j=1,2,3,4)を要素とするベクトルである。
【0081】
ここで式(9)のように表わされたy1(t)に対して、式(5)により表現された入力信号ベクトルX(t)を代入すると、以下のようになる。
【0082】
【数4】
【0083】
ここで、アダプティブアレイが理想的に動作した場合、周知な方法により、ウエイトベクトルW1 は次の連立方程式を満たすようにウエイトベクトル制御部11.2により逐次制御される。
【0084】
【数5】
【0085】
式(12)および式(13)を満たすようにウエイトベクトルW1 が完全に制御されると、アダプティブアレイからの出力信号y1(t)は、結局以下の式のように表わされる。
【0086】
【数6】
【0087】
すなわち、出力信号y1(t)には、2人のユーザのうちの第1番目のユーザが送信した信号Srx1 (t)が得られることになる。
【0088】
[同期回路30の構成および動作]
図2は、図1に示した同期回路30の構成を示す概略ブロック図である。
【0089】
同期回路30は、図2に示すような、タップ数がN(N:トレーニングシンボル長)である、いわゆるトランスバーサルフィルタの構成を有する。
【0090】
すなわち、同期回路30は、タップ302.1〜302.Nと、j番目のアンテナからの受信信号ujと各タップからの出力とを一方入力に受け、他方入力に対応するタップ係数を受ける乗算器304.1〜304.N+1と、乗算器304.1〜304.N+1からの信号を加算して出力信号ρj(t)を生成する加算器310を備える。以下では、時刻tは、Tを単位時間として、t=kT(k:自然数)と表現する。
【0091】
タップ係数の系列{w(i)}は、送信信号のプリアンブルにトレーニング信号列として含まれるユニークワードである。乗算器304.1〜304.N+1には、それぞれ、タップ係数としてw*(N−i+1)(i=1〜N:自然数)が与えられる。
【0092】
その結果、j番目のアンテナからの受信信号に基づく、フィルタ出力信号ρj(k)は、以下の式のようになる。
【0093】
【数7】
【0094】
受信信号に含まれるユニークワードに相当する信号と、無線装置1000内において生成されるタップ係数の系列{w(i)}との自己相関が鋭いほど、フィルタ出力信号ρj(k)の同期ピークも鋭くなる。
【0095】
受信信号にM人(M:自然数)のユーザからの信号が含まれている場合において、通常のPHSと同様に、各信号のユニークワードが同一の時には、各ユーザからの到着時刻に同期した相関ピークが、フィルタ出力信号ρj(k)に出現する。
【0096】
この相関ピークを利用すれば、各ユーザからの到来時刻を検出して、各ユーザの送信タイミングに時間差を設けるように制御することができ、複数のユーザを同一チャネルに割当てる場合に、同期を確立することが可能である。
【0097】
なお、以上の説明では、1つのアンテナからの受信信号に基づいて、相関ピークを検出することとしたが、たとえば、図2の構成を各アンテナに対応して設け、各アンテナからの受信信号によるフィルタ出力信号について、その絶対値の2乗和を求め、この2乗和に現れるピークを検出する構成としてもよい。
【0098】
また、各ユーザからの信号のユニークワードが、ユーザごとに異なる場合に対応して、図2に示したのと同様の構成をM人のユーザに対応してM系統設ける構成としてもよい。このような構成とすることで、各ユーザからの信号のユニークワードが、ユーザごとに異なる場合にも、各ユーザからの到来時刻を検出して、各ユーザの送信タイミングに時間差を設けるように制御することができ、複数のユーザを同一チャネルに割当てる場合に、同期を確立することが可能である。
【0099】
図3は、PHSの上り回線スロットの構成の一例を示す概念図である。
図3に示すように、通常のPHSの上り回線通信用スロットには、アダプティブアレイのトレーニング信号として使用できる最大24ビット(12シンボル)の既知のプリアンブル信号が含まれるものとする。それに続いて、180ビットの情報信号が含まれる。
【0100】
図4は、図1に示した狭帯域フィルタ20および22のフィルタ特性を示す図である。
【0101】
図4においては、ナイキスト周波数をf0で表わしている。このとき、狭帯域フィルタの特性Xn(f)は以下のような式で与えられる。
【0102】
Xn(f)=cos2(πf/f0) |f|<f0/2
Xn(f)=0 |f|>f0/2
図4中には、比較のために50%ロールオフナイキストフィルタの特性を点線で示している。
【0103】
図4からわかるように、狭帯域フィルタ20および狭帯域フィルタ22の特性は、ナイキストフィルタよりも帯域幅が狭い特性を有している。
【0104】
図5は、図1に示した受信ウエイトベクトル計算機11.1の動作を説明するための概念図である。
【0105】
一般に、アンテナの入力ベクトルをX(t)、ウエイトベクトルをWと表わすと、加算器13.1からの出力Y(t)=WTX(t)と表わされる。
【0106】
たとえば、ウエイトベクトルの最適値Woptを求める方法の1つとして、出力Y(t)と参照信号d(t)との平均二乗差を最小にするように制御するという方法(MMSE基準:最小二乗誤差法基準)が知られている。
【0107】
このとき、最適ウエイトWoptは次式(Wiener解)で与えられる。
【0108】
【数8】
【0109】
ここで、YTはYの転置を、Y*はYの複素共役を、E[Y]はアンサンブル平均を表わす。行列RXXは入力ベクトルの自己相関を表わすことになる。
【0110】
図5は、このような自己相関の値が、参照信号と入力信号との間にずれが存在する場合にどのように変化するかを示す図である。図5において、横軸は参照信号と入力信号とのずれの時間をシンボル長を単位として表わしたものであり、縦軸は自己相関係数を示す。
【0111】
ナイキストフィルタを通過した参照信号と入力信号との自己相関について見ると、両者が1シンボル長だけ前後すると、自己相関係数は急激に小さくなる。
【0112】
これに対して、狭帯域フィルタを通過した入力信号と狭帯域フィルタを通過した参照信号との間の自己相関係数は、ナイキストフィルタの場合に比べて、よりタイミング誤差(Δt)が大きくなっても低下しない傾向がある。
【0113】
したがって、狭帯域低域通過フィルタを通すことによって、信号の自己相関が高くなり、タイミング誤差Δtが存在する場合でも、参照信号と所望波との相関低下が軽減されることになる。これによって、ウエイトベクトル計算機11.1で計算されるウエイトベクトルによって制御されるアダプティブアレイの自由度が、干渉波信号抑圧に使用されることが可能となる。
【0114】
ただし、受信ウエイトベクトル計算機11.1で、このように強い干渉波の影響によりタイミング誤差が存在する場合において、干渉波抑圧が行なわれるようになったときでも、それだけではアダプティブアレイでの干渉波抑圧は十分ではない。
【0115】
すなわち、狭帯域フィルタ20および22を通過した信号を用いてウエイトベクトルを計算しているため、ウエイトベクトル計算機11.1に取ってみると、トレーニング信号系列が実際の長さよりも短くなったことと等価になっている。このため、ウエイトベクトルの計算処理において収束が十分なされないことになり、干渉波抑圧が十分でなくなる。
【0116】
そこで、図1に示した無線機1000の構成では、加算器13.1の出力に対して、同期回路32でもう一度同期検出を行なった上で、第2の受信ウエイトベクトル計算機11.2において、さらにウエイトベクトルを計算する。このとき、メモリ10が設けられているために、同期回路32でのタイミング検出やその後のウエイトベクトル計算は、同期回路30での1回目の同期検出および受信ウエイトベクトル11.1での1回目のウエイトベクトルの計算と同一の信号に対して処理を行なうことが可能となる。
【0117】
このようにして、加算器13.1からの出力に基づいて、第2の同期回路32が同期タイミングを検出する際には、第1のウエイトベクトル計算機11.1におけるウエイトベクトルによって、干渉波の影響が軽減された信号に対して同期検出を行なうために、より正確な同期タイミングの検出が行なわれる。
【0118】
受信ウエイトベクトル計算機11.2は、このように、より正確に検出された同期位置情報に基づいて、かつ第1のウエイトベクトル計算機11.1と同一のタイミングの信号に対して再度受信ウエイトベクトルを計算するために、より干渉波抑圧の効果の高いウエイトベクトルを算出することが可能となる。
【0119】
言い換えれば、第2の受信ウエイトベクトル計算機11.2に対しては、同期回路30から出力される受信信号RX1(t)〜RX4(t)が直接与えられ、かつメモリ14.2からの参照信号を直接与えられるため、第1の受信ウエイトベクトル計算機11.1のように狭帯域フィルタによるトレーニング系列の見かけ上の短縮が発生せず、十分に収束したウエイトベクトル値を算出することが可能となる。
【0120】
[シミュレーション結果]
以下では、図1に示したような無線装置1000の構成でのアダプティブアレイの受信特性のシミュレーション結果について説明する。
【0121】
(アンテナ2素子の場合のシミュレーション結果)
図6は、半波長間隔で並べられたアンテナ素子が2本であるとした場合において、アレイアンテナの利得の指向性をシミュレーションする場合の条件を模式的に示す図である。
【0122】
すなわち、利得指向性のシミュレーションに共通なパラメータとしては、所望波の到来方向はブロードサイドであって、干渉波信号の到来方向はブロードサイドから30°の角度を持っているものとする。また、所望波の入力SNR(Signal to Noise Ratio)は10dBであって、干渉波信号入力INR(Interference to Noise Ratio)は、20dBであるものとする。
【0123】
トレーニングシンボルの個数は15であって、生成した擬似ランダム系列(PN系列)を用いている。ウエイトベクトルの計算はシミュレーション上は、直接解法(SMI:sample matrix inversion)で決定し、受信波はQPSK変調を受けているものとする。
【0124】
さらに、シミュレーションにおいては、同期回路がタイミングを探索する区間は、真値の前後2シンボル、全体で4シンボルの区間であるものとする。
【0125】
図7、図9、図11、図13は、アンテナ素子数が2本である場合に、図1に示したように、1段目の受信ウエイトベクトル計算機11.1に対して狭帯域フィルタ20および22を通過した信号が与えられるとした場合のアダプティブアレイアンテナの指向性利得を計算した結果である。
【0126】
一方、図8、図10、図12、図14は、アンテナ素子数が2本である場合に、1段目の受信ウエイトベクトル計算機11.1にも狭帯域フィルタ20および22を通さない信号が直接与えられたとした場合のアダプティブアレイアンテナの指向性利得のシミュレーション結果を示す図である。
【0127】
以下では、初期同期とは、第1の同期回路30において推定されるタイミングをシンボル数を単位として表わしたものであり、これが初期条件としてシミュレーション時に設定される値である。つまり、以下では、初期的に第1段目の同期回路30で検出されるタイミング誤差Δtの大きさを変化させた場合に、アレイアンテナの利得の指向性の角度分布をシミュレーションしている。
【0128】
一方、2回目の同期とは、同期回路32において同期タイミングの検出を行なった結果のタイミング誤差をシミュレーションした結果を示すものである。
【0129】
なお、以下の図中で「フィルタ無」との記載は、狭帯域フィルタを用いない処理であることを示す。
【0130】
図7は、狭帯域フィルタを用いた場合において、初期同期が0シンボルとした場合のシミュレーション結果を示す図であり、図8は、狭帯域フィルタを用いない場合に、初期同期が0シンボルとした場合の指向性利得のシミュレーション結果を示す図である。
【0131】
狭帯域フィルタを用いた場合は、1回目の指向性利得のヌル方向は本来の30°の方向から若干ずれており、かつヌル方向におけるヌルの深さ(干渉波の抑圧の大きさ)も、図8の場合に比べると約6dB劣化している。しかしながら、2回目の同期後の指向性利得を比較すれば、狭帯域フィルタを用いた場合も用いない場合も、同様の特性が得られている。
【0132】
図9は、初期同期として1.75シンボル分のタイミング誤差が存在する場合のシミュレーション結果を示す図であり、図10は、狭帯域フィルタを用いない場合において、図9と同様に初期同期に1.75シンボルのタイミング誤差が存在する場合のシミュレーション結果を示す図である。
【0133】
初期同期にタイミング誤差が存在する場合、ヌル方向およびヌル方向に対する抑圧のいずれの点でも、狭帯域フィルタを用いた場合の方が、特性が向上していることがわかる。しかも、狭帯域フィルタを用いない場合は、タイミング誤差が1.75シンボル存在すると、2回目の同期でも正確な同期タイミングの検出を行なうことができない。
【0134】
図11は、アンテナ素子が2素子の場合であって、初期同期として1.25シンボル分のタイミング誤差が存在するときの狭帯域フィルタを用いた場合のアダプティブアレイアンテナ指向性利得のシミュレーション結果を示す図であり、図12は、同一の条件において狭帯域フィルタを用いない場合のシミュレーション結果を示す図である。
【0135】
同様に、図13は、アンテナ素子が2素子の場合であって、初期同期が−2シンボルだけのタイミング誤差を含んでいる場合に、狭帯域フィルタを用いた場合のアダプティブアレイアンテナの指向性利得を示す図であり、図14は、同一の条件において、狭帯域フィルタを用いない場合のアダプティブアレイアンテナの指向性利得を示す図である。
【0136】
図9および図10の場合と同様に、狭帯域フィルタを用いた場合の方が、2回目の同期タイミング後の指向性利得は、よりヌルが深くかつ本来の干渉波の到来方向にヌルの方向が向いていることがわかる。
【0137】
特に、図14に示した場合においては、狭帯域フィルタを用いないと、全くアダプティブアレイとしての所望の動作を行なっておらず、干渉波方向にヌルが形成されていないことがわかる。
【0138】
(3素子アレイの場合のシミュレーション結果)
図15は、3素子のアンテナが半波長間隔で直線状に並べられている場合において、アレイアンテナの利得の指向性をシミュレーションする場合の条件を模式的に示す図である。
【0139】
図15に示した場合も、図6に示した場合と同様に、所望波の入射強度SNRは10dBであり、その入射角度が0°であるものとする。一方、干渉波の入射強度INRは20dBであり、入射強度は30°であるものとする。
【0140】
アンテナ素子数が2本から3本となったことを除いては、図6の場合のシミュレーションと全く同一の条件でシミュレーションを行なっている。
【0141】
図16は、初期同期としてタイミング誤差が存在しない場合であって、狭帯域フィルタを用いた場合のアダプティブアレイアンテナの指向性利得の分布を示す図であり、図17は、同一の条件において、狭帯域フィルタを用いない場合のアダプティブアレイアンテナの指向性利得を示す。
【0142】
狭帯域フィルタを用いた場合、1段目の受信ウエイトベクトル計算機11.1の計算結果に基づくウエイトベクトルでは、ヌルの位置およびヌルの深さとも不十分であるが、2段目の受信ウエイトベクトル計算機11.2の計算結果によるウエイトベクトルに基づけば、ヌル方向およびヌルの深さとも良好な値が得られている。そして、この2回目の受信ウエイトベクトル計算に基づく結果は、図17に示すような第1段目、第2段目とも狭帯域フィルタを用いない場合と同様の特性を示している。
【0143】
図18は、初期同期として1.75シンボル分のタイミング誤差が存在する場合に、狭帯域フィルタを用いたときのアダプティブアレイアンテナの指向性利得の分布を示す図であり、図19は、これと同一条件において、狭帯域フィルタを用いない場合のシミュレーション結果を示す図である。
【0144】
図19における条件では、2回目の同期においても、タイミング誤差が完全にはなくなっておらず、ヌルの方向およびヌルの深さとも、図18の場合に比べて不十分であることがわかる。
【0145】
図20は、初期同期として−1.5シンボル分のタイミング誤差が存在する場合に、狭帯域フィルタを用いた場合のアダプティブアレイアンテナの指向性利得の分布を示す図であり、図21は、同一の条件において、狭帯域フィルタを用いない場合の特性を示す図である。
【0146】
狭帯域フィルタを用いない場合、2回目のウエイトベクトルの計算後においても、所望波の方向近傍にヌルが形成されており、干渉波の影響によってアダプティブアレイアンテナに期待される指向性が得られていないことがわかる。
【0147】
図22は、初期同期として1.75シンボル分のタイミング誤差が存在する場合に、狭帯域フィルタを用いた場合のアダプティブアレイアンテナの指向性利得を示す図であり、図23は、同一の条件において、狭帯域フィルタを用いない場合のアンテナの指向性を示す図である。
【0148】
図23の条件においても、図21と同様に、狭帯域フィルタを用いない場合は、2回目のウエイトベクトルの計算後においても、所望波の方向にもヌルが形成されているのに対し、狭帯域フィルタを用いた場合の図22では、2回目のウエイトベクトルの計算後は、干渉波方向に十分深いヌルが形成され、かつ所望波の方向に指向性を有する指向性利得の特性が得られていることがわかる。
【0149】
以上説明したとおり、1段目の受信ウエイトベクトルの計算時に狭帯域フィルタを通過した信号に基づいてウエイトベクトルを計算することで、強い干渉波が存在し、かつ初期同期としてタイミング誤差が存在する場合でも、2回目のウエイトベクトルの計算後はアダプティブアレイアンテナの所望の指向特性が得られることがわかる。
【0150】
特に、アンテナの自由度が到来波の自由度よりも高い場合には、狭帯域フィルタを通過させない場合は、所望波の方向にヌルが向いてしまう場合があるのに対し、1段目のウエイトベクトルの計算に狭帯域フィルタを通過させた信号を用いた場合は、このようなことがシミュレーションの範囲で発生していない。
【0151】
[タイミング誤差および出力SINRの累積分布、誤り率のシミュレーション結果]
シミュレーションにおける計算上で、ウエイトベクトルを2段階にわたって計算するという処理を、狭帯域フィルタを用いた場合とそうでない場合について仮想的に10000回試行し、比較した結果を以下に説明する。
【0152】
各試行ごとにトレーニングシンボルのデータ系列を変化させ、かつ熱雑音の波形や初期位相も変化させている。
【0153】
トレーニングシンボルの個数は15で計算上であって、生成した擬似ランダム系列(PN系列)を用いている。このトレーニングシンボル長は各トライアルで一定である。ウエイトベクトルの計算は、シミュレーション上はSMI法で決定し、受信波はQPSK変調を受けているものとする。
【0154】
シミュレーションの条件としては、所望波の到来方向はブロードサイトであり、干渉波の信号到来方向はブロードサイトから30°の角度を有しているものとする。
【0155】
所望波の強度SNRは10dBであり、干渉波の強度INRは0、10、20、30dBとそれぞれ変化させた場合の結果を計算している。
【0156】
図24は、タイミング誤差Δtの累積結果を示す図である。
横軸は初期同期として与えられるタイミング誤差Δtの大きさを示し、縦軸は、10000回の試行の結果、2回目のウエイトベクトルの計算におけるタイミング誤差が、初期同期でのタイミング誤差の値よりも小さくなる確率を示す。
【0157】
図24に示した例では、所望波のSNRが10dBであって干渉波のINRが0dBである。
【0158】
干渉波が所望波よりもはるかに弱いために、狭帯域フィルタを用いた場合(実線CTE2)および狭帯域フィルタを用いない場合(点線CTE1)のいずれの場合も2回目のウエイトベクトルの計算においては、必ずタイミング誤差が1回目の初期同期におけるタイミング誤差よりも小さくなっている。このため、すべてのグラフが縦軸が1である領域に貼り付いている。
【0159】
なお、図1において、1つのアンテナからの信号、たとえば♯1のアンテナからの信号を、PA点から直接PB点に与えて同期回路32に入力した場合(大きな点線CT0)も比較のために示す。図24においては、曲線CT0のグラフも縦軸が1である領域に貼り付いている。
【0160】
図25は、図24と同様の計算を、所望波のSNRが10dBであって、干渉波のINRが10dBである場合について計算した結果である。
【0161】
この場合、1つのアンテナからの出力を直接2段目の同期回路に入力した場合(点線CT0)において、初期同期のΔtが0.2シンボル程度までは、若干同期タイミングが改善されない傾向にある。
【0162】
図26は、図24と同様の条件において、所望波のSNRが10dBであって、干渉波のINRが20dBである場合の結果を示す図であり、図27は、図24と同様の条件において、所望波のSNRが10dBであって、干渉波のINRが30dBである場合の結果を示す図である。
【0163】
干渉波の強度が所望波の強度を上回るようになると、狭帯域フィルタを用いた場合とそうでない場合との間に有意な差が現われる。つまり、初期同期のタイミング誤差が2シンボル程度までは、狭帯域フィルタを用いない場合は、2回目の同期検出でも、同期タイミングが改善されない確率が高くなっていることがわかる。
【0164】
図28は、10000回の試行を行なった場合のSINR(Signal to interference plus Noise Ratio)の累積結果を示す図である。
【0165】
図28においては、所望波のSNRは10dBであり、干渉波のINRは0dBである。
【0166】
この場合は、狭帯域フィルタを用いた場合も用いない場合も特性に大きな差は見られない。
【0167】
図29は、図28と同様の条件において、所望波のSNRが10dBであり、干渉波のINRが10dBである場合のSINRの累積結果を示す図である。
【0168】
図30は、所望波のSNRが10dBであり、干渉波のINRが20dBである場合のSINRの累積結果を示す図である。
【0169】
図31は、所望波のSNRが10dBであり、干渉波のINRが30dBである場合のSINRの累積結果を示す図である。
【0170】
所望波のSNRが10dBであるから、干渉波がアダプティブアレイアンテナにより完全に抑圧された場合には、SINRが10dB以下となる確率は0であるはずである。言い換えれば、干渉波の抑圧が十分に行なわれていない場合は、SINRが10000回の試行のうちに、10dB以下となる0でない確率が存在するようになる。
【0171】
図29〜図31を参照すると、狭帯域フィルタを用いている場合は、2回目のウエイトベクトルの計算後はSINRが10dB以下となる確率はほとんど0であるのに対し、狭帯域フィルタを用いていない場合は、1回目のウエイトベクトルの計算時も2回目のウエイトベクトルの計算時も、SINRが10dB以下となる確率が生じており、狭帯域フィルタを用いた方が特性が向上していることがわかる。
【0172】
(2素子アンテナの場合のビットエラーレート)
図32は、アンテナ素子が2素子である場合であって、所望波のSNRが10dBであり、干渉波のINRが0dBである場合の、10000回の試行の結果のビットエラーレート(以下、BER)の計算結果を示す図である。
【0173】
干渉波が0dBである場合は、狭帯域フィルタを用いる場合も用いない場合も大きな特性の差は見られない。
【0174】
なお、図32において、狭帯域フィルタを通した第1回目のアダプティブアレイアンテナでの誤り率が他の場合よりも劣化しているのは狭帯域フィルタによりトレーニング系列が短縮された結果であると考えられる。
【0175】
図33は、アンテナ素子が2素子である場合において、所望波のSNRが10dBであり、干渉波のINRが10dBである場合のビットエラーレートの10000回にわたる試行の計算結果を示す図である。
【0176】
図34は、所望波のSNRが10dBであり、干渉波のINRが20dBである場合のビットエラーレートの計算結果を示す図である。
【0177】
図35は、所望波のSNRが10dBであり、干渉波のINRが30dBである場合のビットエラーレートの計算結果を示す図である。
【0178】
干渉波の強度が10dBから30dBへと増加していくのに従って、狭帯域フィルタを用い、かつ2回のウエイトベクトル計算を行なった本発明の場合に比べて、他の方法でのビットエラーレートが著しく上昇していることがわかる。
【0179】
(3素子アンテナアレイの場合)
図36〜図39は、図15に示したように、アレイ素子が3素子である場合において、図24〜図27と同様に、10000回にわたる試行結果のタイミング誤差Δtの累積分布を示す図である。
【0180】
図40〜図43は、アレイ素子が3素子である場合において、図28〜図31と同様に、10000回にわたる試行結果のSINRの累積分布を示す図である。
【0181】
図44〜図47は、アレイ素子が3素子である場合において、図32〜図35と同様に、10000回にわたる試行結果のビットエラーレートの計算結果を示す図である。
【0182】
アンテナ素子が2素子から3素子となった場合でも、基本的には、同様の傾向を示すことがわかる。
【0183】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内のすべての変更が含まれることが意図される。
【0184】
【発明の効果】
以上のように、この発明の無線装置によれば、狭帯域フィルタを通過した信号に基づいて動作する第1の指向性制御手段によって、干渉波の影響が軽減された信号に対して、第2の指向性制御手段が同期検出を行なうために、より正確な同期タイミングの検出が行なわれる。したがって、干渉波の強度が強い場合でも、より干渉波抑圧の効果の高い指向性制御を行なうことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態のPDMA基地局の無線装置(無線基地局)1000の構成を示す概略ブロック図である。
【図2】 図1に示した同期回路30の構成を示す概略ブロック図である。
【図3】 PHSの上り回線スロットの構成の一例を示す概念図である。
【図4】 図1に示した狭帯域フィルタ20および22のフィルタ特性を示す図である。
【図5】 図1に示した受信ウエイトベクトル計算機11.1の動作を説明するための概念図である。
【図6】 半波長間隔で並べられたアンテナ素子が2本であるとした場合において、アレイアンテナの利得の指向性をシミュレーションする場合の条件を模式的に示す図である。
【図7】 アンテナ素子が2素子の場合で初期同期として0シンボル分のタイミング誤差が存在するときの狭帯域フィルタを用いた場合の指向性利得のシミュレーション結果を示す図である。
【図8】 アンテナ素子が2素子の場合で初期同期として0シンボル分のタイミング誤差が存在するときの狭帯域フィルタを用いない場合の指向性利得のシミュレーション結果を示す図である。
【図9】 アンテナ素子が2素子の場合で初期同期として1.75シンボル分のタイミング誤差が存在するときの狭帯域フィルタを用いた場合の指向性利得のシミュレーション結果を示す図である。
【図10】 アンテナ素子が2素子の場合で初期同期として1.75シンボル分のタイミング誤差が存在するときの狭帯域フィルタを用いない場合の指向性利得のシミュレーション結果を示す図である。
【図11】 アンテナ素子が2素子の場合で初期同期として1.25シンボル分のタイミング誤差が存在するときの狭帯域フィルタを用いた場合の指向性利得のシミュレーション結果を示す図である。
【図12】 アンテナ素子が2素子の場合で初期同期として1.25シンボル分のタイミング誤差が存在するときの狭帯域フィルタを用いない場合の指向性利得のシミュレーション結果を示す図である。
【図13】 アンテナ素子が2素子の場合で初期同期として−2シンボル分のタイミング誤差が存在するときの狭帯域フィルタを用いた場合の指向性利得のシミュレーション結果を示す図である。
【図14】 アンテナ素子が2素子の場合で初期同期として−2シンボル分のタイミング誤差が存在するときの狭帯域フィルタを用いない場合の指向性利得のシミュレーション結果を示す図である。
【図15】 半波長間隔で並べられたアンテナ素子が3本であるとした場合において、アレイアンテナの利得の指向性をシミュレーションする場合の条件を模式的に示す図である。
【図16】 アンテナ素子が3素子の場合で初期同期として0シンボル分のタイミング誤差が存在するときの狭帯域フィルタを用いた場合の指向性利得のシミュレーション結果を示す図である。
【図17】 アンテナ素子が3素子の場合で初期同期として0シンボル分のタイミング誤差が存在するときの狭帯域フィルタを用いない場合の指向性利得のシミュレーション結果を示す図である。
【図18】 アンテナ素子が3素子の場合で初期同期として1.75シンボル分のタイミング誤差が存在するときの狭帯域フィルタを用いた場合の指向性利得のシミュレーション結果を示す図である。
【図19】 アンテナ素子が3素子の場合で初期同期として1.75シンボル分のタイミング誤差が存在するときの狭帯域フィルタを用いない場合の指向性利得のシミュレーション結果を示す図である。
【図20】 アンテナ素子が3素子の場合で初期同期として−1.5シンボル分のタイミング誤差が存在するときの狭帯域フィルタを用いた場合の指向性利得のシミュレーション結果を示す図である。
【図21】 アンテナ素子が3素子の場合で初期同期として−1.5シンボル分のタイミング誤差が存在するときの狭帯域フィルタを用いない場合の指向性利得のシミュレーション結果を示す図である。
【図22】 アンテナ素子が3素子の場合で初期同期として1.75シンボル分のタイミング誤差が存在するときの狭帯域フィルタを用いた場合の指向性利得のシミュレーション結果を示す図である。
【図23】 アンテナ素子が3素子の場合で初期同期として1.75シンボル分のタイミング誤差が存在するときの狭帯域フィルタを用いない場合の指向性利得のシミュレーション結果を示す図である。
【図24】 所望波のSNRが10dBであって、干渉波のINRが0dBである場合のタイミング誤差の累積分布を計算した結果を示す図である。
【図25】 所望波のSNRが10dBであって、干渉波のINRが10dBである場合のタイミング誤差の累積分布を計算した結果を示す図である。
【図26】 所望波のSNRが10dBであって、干渉波のINRが20dBである場合のタイミング誤差の累積分布を計算した結果を示す図である。
【図27】 所望波のSNRが10dBであって、干渉波のINRが30dBである場合のタイミング誤差の累積分布を計算した結果を示す図である。
【図28】 所望波のSNRが10dBであって、干渉波のINRが0dBである場合のSINRの累積分布を計算した結果を示す図である。
【図29】 所望波のSNRが10dBであって、干渉波のINRが10dBである場合のSINRの累積分布を計算した結果を示す図である。
【図30】 所望波のSNRが10dBであって、干渉波のINRが20dBである場合のSINRの累積分布を計算した結果を示す図である。
【図31】 所望波のSNRが10dBであって、干渉波のINRが30dBである場合のSINRの累積分布を計算した結果を示す図である。
【図32】 所望波のSNRが10dBであって、干渉波のINRが0dBである場合のビットエラーレートの分布を計算した結果を示す図である。
【図33】 所望波のSNRが10dBであって、干渉波のINRが10dBである場合のビットエラーレートの分布を計算した結果を示す図である。
【図34】 所望波のSNRが10dBであって、干渉波のINRが20dBである場合のビットエラーレートの分布を計算した結果を示す図である。
【図35】 所望波のSNRが10dBであって、干渉波のINRが30dBである場合のビットエラーレートの分布を計算した結果を示す図である。
【図36】 所望波のSNRが10dBであって、干渉波のINRが0dBである場合のタイミング誤差の累積分布を計算した結果を示す図である。
【図37】 所望波のSNRが10dBであって、干渉波のINRが10dBである場合のタイミング誤差の累積分布を計算した結果を示す図である。
【図38】 所望波のSNRが10dBであって、干渉波のINRが20dBである場合のタイミング誤差の累積分布を計算した結果を示す図である。
【図39】 所望波のSNRが10dBであって、干渉波のINRが30dBである場合のタイミング誤差の累積分布を計算した結果を示す図である。
【図40】 所望波のSNRが10dBであって、干渉波のINRが0dBである場合のSINRの累積分布を計算した結果を示す図である。
【図41】 所望波のSNRが10dBであって、干渉波のINRが10dBである場合のSINRの累積分布を計算した結果を示す図である。
【図42】 所望波のSNRが10dBであって、干渉波のINRが20dBである場合のSINRの累積分布を計算した結果を示す図である。
【図43】 所望波のSNRが10dBであって、干渉波のINRが30dBである場合のSINRの累積分布を計算した結果を示す図である。
【図44】 所望波のSNRが10dBであって、干渉波のINRが0dBである場合のビットエラーレートの分布を計算した結果を示す図である。
【図45】 所望波のSNRが10dBであって、干渉波のINRが10dBである場合のビットエラーレートの分布を計算した結果を示す図である。
【図46】 所望波のSNRが10dBであって、干渉波のINRが20dBである場合のビットエラーレートの分布を計算した結果を示す図である。
【図47】 所望波のSNRが10dBであって、干渉波のINRが30dBである場合のビットエラーレートの分布を計算した結果を示す図である。
【図48】 周波数分割多重接続,時分割多重接続およびPDMAの各種の通信システムにおけるチャネルの配置図である。
【図49】 アダプティブアレイ無線基地局の動作原理を概念的に示す模式図である。
【図50】 アダプティブアレイ無線基地局1の構成を示す概略ブロック図である。
【図51】 携帯電話機の電波信号のフレーム構成を示す概略図である。
【図52】 ユーザAとアダプティブアレイ無線基地局1との間での電波信号の授受をイメージ化した図である。
【図53】 同期タイミングを検出してアンテナ指向性を制御する構成をより詳しく説明するための概略ブロック図である。
【図54】 干渉波の強い環境下でのタイミング検出の問題点を説明するための概念図である。
【符号の説明】
SR1,SR2 受信部、#1〜#4 アンテナ、12−1.1〜12−4.1,12−1.2〜12−4.2 乗算器、13.1,13.2 加算器、14.1,14.2 メモリ、15−1〜15−4 乗算器、11.1、11.2 受信ウエイトベクトル計算機、20,22 狭帯域フィルタ、30,32 同期回路、1000 無線装置(無線基地局)。
Claims (5)
- リアルタイムにアンテナ指向性を変更し、複数の端末との間でデジタル信号の送受信を行なう無線装置であって、
離散的に配置された複数のアンテナと、
前記複数のアンテナの指向性を、前記複数の端末のうち選択された特定の端末の方向に向けて、前記特定の端末からの受信信号を分離するために直列に設けられる第1および第2の受信回路とを備え、
前記第1の受信回路は、
前記複数のアンテナからの受信信号を受け、前記受信信号の到来タイミングを検出する第1の受信タイミング検出回路と、
前記複数のアンテナからの受信信号を受けて所定の周波数以下の信号を選択的に透過させるための第1の狭帯域低域透過フィルタと、
受信される前記デジタル信号に含まれる所定の信号列のデータを生成するための第1の参照信号生成手段と、
前記参照信号生成手段からの信号を受けて所定の周波数以下の信号を選択的に透過させるための第2の狭帯域低域透過フィルタと、
前記第1の狭帯域低域透過フィルタからの信号と前記第2の狭帯域低域透過フィルタからの信号とに基づいて、前記第1の受信タイミング検出回路で検出されたタイミングに応じて、前記複数のアンテナからの信号に対する重み付けを前記特定の端末からの受信信号を分離するように制御する第1の指向性制御手段とを含み、
前記第1の狭帯域低域透過フィルタおよび前記第2の狭帯域低域透過フィルタの各々の透過帯域幅は、ナイキストフィルタの透過帯域幅よりも狭く、
前記第2の受信回路は、
前記第1の指向性制御手段からの出力に基づいて前記特定の端末からの受信信号の到来タイミングを検出し、前記複数のアンテナのからの信号に対する重み付けを前記特定の端末からの受信信号を分離するように制御する第2の指向性制御手段を含む、無線装置。 - 前記複数のアンテナからの信号を一時格納し、同一のタイミングで到来した信号を前記第1および第2の受信回路に与えるための記憶手段をさらに備える、請求項1記載の無線装置。
- 前記第1の指向性制御手段は、
前記第1の狭帯域低域透過フィルタからの信号と前記第2の狭帯域低域透過フィルタからの信号とに基づいて、前記第1の受信タイミング検出回路で検出されたタイミングに応じて、前記複数のアンテナからの信号に対する重み付け係数を計算する第1の重み付け係数計算手段と、
前記複数のアンテナからの信号を受けて、それぞれ対応する前記重み付け係数を乗算する複数の第1の乗算手段と、
前記第1の乗算手段の出力を加算する第1の加算手段とを含む、請求項1記載の無線装置。 - 前記第2の受信回路は、
前記第1の指向性制御手段からの出力に基づいて前記特定の端末からの受信信号の到来タイミングを検出する第2の受信タイミング検出回路と、
受信される前記デジタル信号に含まれる所定の信号列のデータを生成するための第2の参照信号生成手段とをさらに含み、
前記第2の指向性制御手段は、
前記複数のアンテナからの信号と前記第2の参照信号生成手段からの信号とに基づいて、前記第2の受信タイミング検出回路で検出されたタイミングに応じて、前記複数のアンテナからの信号に対する重み付け係数を計算する第2の重み付け係数計算手段と、
前記複数のアンテナからの信号を受けて、それぞれ対応する前記重み付け係数を乗算する複数の第2の乗算手段と、
前記第2の乗算手段の出力を加算する第2の加算手段とを含む、請求項3記載の無線装置。 - 前記第1および第2の狭帯域低域透過フィルタの透過域は、ナイキストフィルタの透過域よりも低域側である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の無線装置。
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