JP2003198366A - 周波数シンセサイザ及び移動端末装置 - Google Patents

周波数シンセサイザ及び移動端末装置

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  • Stabilization Of Oscillater, Synchronisation, Frequency Synthesizers (AREA)
  • Transceivers (AREA)
  • Superheterodyne Receivers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 小型且つ低コストな設計で、整定時間を短く
し、位相雑音を低減し、スプリアススペクトルの発生を
抑制する。 【解決手段】 基準周波数信号を第1の種類の周波数帯
域の信号に変換する第1の周波数シンセサイザサブユニ
ットと、基準周波数信号を第2の種類の周波数帯域の信
号及び中間周波数信号に変換する第2の周波数シンセサ
イザサブユニットと、基準周波数信号を、周波数が固定
された補助的信号であって、中間周波数信号とともに用
いられて第3及び第4の種類の周波数帯域の信号が生成
される補助的信号に変換する第3の周波数シンセサイザ
サブユニットとを設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、周波数シンセサイ
ザに関し、詳しくは、無線電気通信ネットワークにおけ
る移動端末装置に使用されるマルチバンド周波数シンセ
サイザに関する。
【0002】
【従来の技術】新世代の移動端末装置は、次世代移動通
信システム(Universal Mobile Telephone System:以
下、UMTSという。)の周波数帯域と、移動通信用グ
ローバルシステム/汎用パケット無線サービス(Global
System for Mobile Communication/General Packet Ra
dio Services:以下、GSM/GPRS)の周波数帯域
とを用いたデータ伝送を単体でサポートしている。この
ため、周波数シンセサイザは、UMTS周波数分割双方
向通信(UMTS-Frequency Division Duplex:以下、UM
TS−FDDという。)及びUMTS時分割双方向通信
(UMTS-Time Division Duplex:以下、UMTS−TD
Dという。)の周波数帯域をサポートするとともに、G
SM/GPRSにおけるアップリンク(T)及びダウ
ンリンク(R)の両方に対応した3バンド機能(GS
M900/DCS1800/PCS1900)を有して
いる必要がある。なお、DCSとは、デジタルセルラシ
ステム(Digital Cellular System)の略語であり、P
CSとは、パーソナルコミュニケーションサービス(pe
rsonal Communications Service)の略語である。
【0003】現在知られているマルチバンド周波数シン
セサイザは、UMTSアップリンク用の周波数シンセサ
イザ、UMTSダウンリンク用の周波数シンセサイザ、
3バンドGSM/GPRS用の周波数シンセサイザ等、
個別の複数の周波数シンセサイザを備えている。GPR
Sに必要とされるクラス12整定時間(class 12 settl
ing time)(150μs以下)を達成するために、通
常、フラクショナルN(分数分周方式)シンセサイザ
(Fractional-N synthesizer)が使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】フラクショナルNシン
セサイザを使用する最大の利点は、アップリンクからダ
ウンリンク周波数帯域への切換時、又は信頼性が高いG
PRSデータ伝送の必須条件の1つであるシステム間ハ
ンドオーバー(handover)時の整定時間を短くできるこ
とである。一方、全てのクラスのフラクショナルNシン
セサイザは、位相雑音が多く、スプリアススペクトルの
量が多い等、出力スペクトル特性が悪いという致命的な
欠点を有する。特に、受信信号のレベルが低い場合に、
これらの問題が深刻となる。フラクショナルNシンセサ
イザを使用する場合、高品質のフィルタを用いて出力ス
ペクトルを後処理しなければ、GSM標準規格0505
(GSM standard 0505)の要求を満たすことができず、
このような手法は、コストが高くなり、また部品実装面
積も広くなる。移動端末装置の設計においては、低コス
ト化及び小型化の要求が高まっており、大きな部品を追
加するスペースは残っていない。
【0005】そこで、本発明は上述の課題に鑑みてなさ
れたものであり、本発明の目的は、小型で低コストなマ
ルチバンド周波数シンセサイザであって、整定時間が短
く、位相雑音が少なく、スプリアススペクトルの量が少
ない周波数シンセサイザ及びこの周波数シンセサイザを
用いた移動端末装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するた
めに、本発明に係る周波数シンセサイザは、次世代移動
通信システム(UMTS)及び移動通信用グローバルシ
ステム/汎用パケット無線サービス(GSM/GPR
S)周波数帯域の周波数を有する信号を生成する周波数
シンセサイザにおいて、一定の基準周波数信号を生成す
る基準周波数源と、基準周波数源からの基準周波数信号
を第1の種類の周波数帯域の信号に変換する第1の周波
数シンセサイザサブユニットと、基準周波数源からの基
準周波数信号を第2の種類の周波数帯域の信号に変換す
るとともに、基準周波数信号を中間周波数信号に変換す
る第2の周波数シンセサイザサブユニットと、基準周波
数源からの基準周波数信号を、周波数が固定された、す
なわち狭い周波数範囲を有する補助的信号であって、中
間周波数信号とともに用いられて第3及び第4の種類の
周波数帯域の信号が生成される補助的信号に変換する第
3の周波数シンセサイザサブユニットとを備える。
【0007】第1〜第4の種類の周波数帯域は、互いに
異なる周波数帯域であり、それぞれが異なる無線通信規
格に対応する周波数帯域である。例えば、第1の種類の
周波数帯域は、UMTS TDD1、FDD−T及び
TDD2規格をサポートし、第2の種類の周波数帯域
は、UMTS FDD−R規格をサポートし、第3の
種類の周波数帯域は、GSM/GPRS 1800/1
900MHz規格DCS及びPCS規格をサポートし、
第4の種類の周波数帯域は、GSM 900MHz規格
をサポートする。
【0008】また、上述の目的は、本発明に基づく上述
の周波数シンセサイザを備えるUMTS/GSM/GP
RS周波数帯域用の移動端末装置により達成される。
【0009】本発明によれば、小型に設計でき、高速の
切換を行うことができ、且つ好ましくない周波数のスプ
リアススペクトルが発生せず、位相雑音が少ないUMT
S/GSM/GPRS周波数帯域に対応するマルチバン
ド周波数シンセサイザを実現することができる。更に、
本発明に係るマルチバンド周波数シンセサイザでは、設
計において複雑な部品が必要ではないため、製造コスト
を低く抑えることができる。
【0010】第1乃至第3の周波数シンセサイザサブユ
ニットは、それぞれ基準周波数信号の周波数値を整数に
よって除算することにより該基準周波数信号を分周信号
(scaled down signal)に変換する第1乃至第3の分周
器を備えていてもよい。更に、第1乃至第3の周波数シ
ンセサイザサブユニットは、分周信号を整数倍すること
により、整数倍された信号を生成する位相同期ループ周
波数シンセサイザを備えていてもよい。
【0011】また、本発明に係る周波数シンセサイザ
は、第2のシンセサイザサブユニットからの信号と、補
助的信号に基づく信号とを混合し、第3の種類の周波数
帯域の信号、又は第4の種類の周波数帯域の信号を導き
出すための前処理信号を生成する周波数ミキサを備えて
いてもよい。更に、周波数シンセサイザは、補助的信号
が周波数ミキサに供給される前に、補助的信号を整数値
により除算する第4の分周器を備えていてもよい。
【0012】また、本発明に係る周波数シンセサイザ
は、周波数ミキサから出力される信号を整数値により除
算することにより、第3の種類の周波数帯域の信号を生
成する第5の分周器を備えていてもよい。
【0013】更に、本発明に係る周波数シンセサイザ
は、第3又は第4の種類の周波数帯域の信号を生成する
ための回路において発生する高調波成分を除去するため
の第1の低域通過フィルタを備えていてもよい。更に、
本発明に係る周波数シンセサイザは、第4の種類の周波
数帯域の信号を生成する第5の分周器において発生する
高調波成分を除去するための第2の低域通過フィルタを
備えていてもよい。
【0014】本発明に係る周波数シンセサイザにおい
て、第1の種類の周波数帯域は、例えば1900MHz
乃至1980MHz又は2010MHz乃至2025M
Hzの範囲を有する帯域であり、第2の種類の周波数帯
域は、例えば2110MHz乃至2170MHzの範囲
を有する帯域であり、第3の種類の周波数帯域は、例え
ば1710MHz乃至1990MHzの範囲を有する帯
域であり、第4の種類の周波数帯域は、例えば880M
Hz乃至960MHzの範囲を有する帯域である。
【0015】本発明は、例えば、無線セルラ通信ネット
ワーク用の携帯電話に適用される。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る周波数シンセ
サイザ及び移動端末装置について、図面を参照して詳細
に説明する。
【0017】図1は、本発明に基づくマルチバンド周波
数シンセサイザにおいて使用される周波数シンセサイザ
サブユニットの構成を示すブロック図である。この図1
に示すように、シンセサイザサブユニット10の出力端
子18から出力される信号は、各周波数帯域の周波数を
直接有し、又は更なる処理のための代用的な周波数(au
xiliary frequency)を有する。
【0018】全てのシンセサイザサブユニット10の入
力端子17には、基準水晶発振器から基準周波数信号f
が供給されている。第1の処理段においては、基準周
波数信号fは、デジタル制御コードによってプログラ
マブル分周器(frequency divider)12において、整
数の分周係数(division coefficient)Rによって、f
=f/Rにスケールダウン(scale down)、すなわ
ち分周される。位相同期ループ周波数シンセサイザ(ph
ase locked loop frequency synthesizer:以下、PL
L周波数シンセサイザという。)11は、電圧制御発振
器(voltage controlled oscillator:以下、VCOと
いう。)15から出力される信号の周波数を所定の値の
周波数に調整する。
【0019】PLL周波数シンセサイザ11は、原理的
には、周波数ラスタ(frequency raster)、すなわち周
波数ステップfを有する周波数逓倍器として動作す
る。この動作は、PLL周波数シンセサイザ11のフィ
ードバックループにプログラマブル整数分周器16を設
け、この整数分周器16によってVCO15の出力信号
を分周係数Nによって除算して分周することにより実現
される。
【0020】PLL周波数シンセサイザ11は、位相周
波数検出器(phase frequency detector:PFD)13
を備え、位相周波数検出器13は、入力周波数fと、
分周出力信号f/Nとの間の位相角の差に比例する出
力電圧u(t)を出力する。この出力電圧u(t)
は、低域通過フィルタ14によってフィルタリングさ
れ、VCO15に供給される。低域通過フィルタ14の
フィルタ特性は、周波数帯域が変更されたときに出力周
波数が高速に切り換えられ、すなわち高速なロック時間
が実現されるよう十分広い通過帯域を有するとともに、
VCO15の出力スペクトルに位相雑音を生じさせる虞
がある高い周波数を除去するよう十分狭い通過帯域を有
する。VCO15の出力周波数信号fは、VCO15
に供給されるフィルタリングされた出力電圧U(t)
の関数である。PLL周波数シンセサイザ11において
は、この出力周波数信号fは、分周器16によって、
適切な整数の分周係数Nにより周波数信号fと等しい
周波数に分周されて位相周波数検出器13に供給され
る。この信号は、位相周波数検出器13において、元の
周波数信号fと比較され、この比較に基づいてVCO
15を制御する制御電圧である出力電圧u(t)が生
成される。遷移処理(transient process)が終了した
後、出力周波数fは、上述したように、以下の式に基
づいて、フィードバックループ内のプログラマブル分周
器16において設定された符号分割係数(code divisio
n coefficient)である分周係数Nによって制御され
る。 f=N×f=N/R×f (式1) ここで、N及びRは整数である。
【0021】式1に示すように、出力周波数fは、入
力周波数fの整数倍であり、換言すれば、fは、f
の周波数ラスタ(frequency raster)を定義してい
る。高速な周波数ホッピングを実現するのに十分な速さ
で分周係数Nを変更することにより、出力周波数を変更
することができる。この処理により、フラクショナルN
(分数分周方式)シンセサイザにおけるスプリアススペ
クトルや追加的な位相雑音は発生せず、したがって、P
LL周波数シンセサイザ11の出力スペクトルを後処理
するためのフィルタを設ける必要がない。
【0022】図2は、本発明を適用したマルチバンド周
波数シンセサイザ200の構成を示すブロック図であ
る。マルチバンド周波数シンセサイザ200は、図1を
用いて説明したPLL周波数シンセサイザ11と同様の
第1のPLL周波数シンセサイザ211、第2のPLL
周波数シンセサイザ221及び第3のPLL周波数シン
セサイザ231を備える。これらのうちの2つ、すなわ
ち第1のPLL周波数シンセサイザ211と第2のPL
L周波数シンセサイザ221は、UMTSアップリンク
とUMTSダウンリンクに使用され、第3のPLL周波
数シンセサイザ231は、第2のPLL周波数シンセサ
イザ221及び後述する追加的なミキサ及び分周器と協
働して、3バンドGSM/GPRS機能に必要な全ての
周波数信号を生成する。各PLL周波数シンセサイザ2
11、221、231の前段には、それぞれプログラマ
ブル分周器212、222、232が設けられており、
これらのプログラマブル分周器212、222、232
には、例えば19.2MHzの安定した発振周波数を発
生する水晶発振器である基準周波数ソース201からの
入力信号が供給されている。
【0023】第2のPLL周波数シンセサイザ221
は、第1のPLL周波数シンセサイザ211とは異な
り、前段のプログラマブル分周器222から供給される
異なる2つの入力周波数で交互に動作する。すなわち、
第2のPLL周波数シンセサイザ221には、第1の入
力周波数として、UMTSダウンリンク周波数が供給さ
れ、第2の入力周波数として、GSM/GPRS周波数
帯域に基づく中間周波数が供給される。これにより、G
SM/GPRS周波数帯域における整定時間が短くな
り、及び位相雑音特性が向上する。
【0024】第3のPLL周波数シンセサイザ231
は、帯域が狭められており(約24MHz)、位相周波
数検出器233において、高い周波数の周波数信号を処
理し、これにより整定時間が短くなり、位相雑音が低減
される。第3のPLL周波数シンセサイザ231の出力
側に設けられたデジタル分周器237は、第3のPLL
周波数シンセサイザ231の出力信号を分周し、及び第
3のPLL周波数シンセサイザ231の周波数ステップ
を係数Mによって分周する。これにより、位相雑音が更
に低減される。図2に示すマルチバンド周波数シンセサ
イザ200は、4つの出力端子219、229、23
9、249を備え、これらの出力端子219、229、
239、249からは、それぞれの周波数帯域の信号が
出力される。各出力端子219、229、239、24
9に対する周波数帯域の割当を表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】第1の出力端子219に出力信号を供給す
るマルチバンド周波数シンセサイザ200のシンセサイ
ザブランチ202は、UMTS周波数帯域のFDD送信
機(FDD−T)及びTDD1(1900〜1980
MHz)、並びにTDD2(2010〜2025MH
z)の周波数帯域の信号を生成する。プログラマブル分
周器212は、整数の分周係数Rによって基準周波数
を分周する。ここで、Rは、96に設定され、こ
れにより0.2MHzの周波数信号fが出力される。
符号分割係数である分周係数Rは、図2に示す回路に
おける他の全てのプログラマブル分周器と同様に、制御
コード(control code)CCによって設定される。
【0027】位相同期ループ周波数シンセサイザの動作
については、図1を用いて既に説明している。プログラ
マブル分周器212の後段の第1のPLL周波数シンセ
サイザ211のフィードバックループにおいて適用され
ている整数の符号分割係数N は、プログラミング可能
に調整され、式1に基づいて、所定の周波数の出力信号
o1を生成する。TDD1/FDD−T周波数帯域
に対しては、Nは、9500〜9900の範囲の値を
とり、Nの値を1ずつインクリメントすることによ
り、fo1が0.2MHzずつインクリメントされる。
TDD2周波数帯域に対しては、Nの値は、1005
0から始まり10125で終わる範囲に調整する必要が
ある。
【0028】2110〜2170MHzの範囲のUMT
S周波数帯域のFDD受信機(RDD−R)として動
作する場合、第2のPLL周波数シンセサイザ221の
出力信号fo2が第2の出力端子229に供給される。
この場合、マルチバンド周波数シンセサイザ200の第
2のシンセサイザブランチ203内に設けられているプ
ログラマブル分周器222は、基準周波数fを分周係
数Rによって分周する。Rの値は、Rと同じ96
である。プログラマブル分周器222により分周された
信号は、第2のPLL周波数シンセサイザ221におい
て、フィードバックループで適用されている符号分割係
数Nによって制御される逓倍係数により逓倍される。
ここで、Nの値は、10550〜10850の範囲を
とる。ここでは、出力周波数fo2の周波数ラスタ、す
なわち出力周波数fo2の可能なインクリメント値は、
0.2MHzのステップに固定されている。
【0029】マルチバンド周波数シンセサイザ200の
第2のシンセサイザブランチ203は、第2のモードで
動作し、GSM/GPRS周波数帯域を導き出すのに適
切な周波数の信号を生成することができる。この第2の
モードでは、プログラマブル分周器222は、基準周波
数fを係数R=6により分周し、これにより、第2
のPLL周波数シンセサイザ221に3.2MHzの入
力周波数信号fD2を供給する。この周波数は、第2の
PLL周波数シンセサイザ221において、3.2MH
zの周波数ラスタを有する2110〜2390MHzの
範囲の周波数に逓倍される。周波数ステップを大きくす
ることにより、GSM/GPRS周波数帯域信号につい
ても、整定時間が短くなり、位相雑音が低減される。マ
ルチバンド周波数シンセサイザ200の第2のシンセサ
イザブランチ203は、図1を用いて説明した原理に基
づき、2つのモードで動作する。
【0030】第2のPLL周波数シンセサイザ211か
ら出力される信号からGPRS周波数帯域の信号を生成
するために、第2のPLL周波数シンセサイザ211か
ら出力される信号は、周波数ミキサ227において、マ
ルチバンド周波数シンセサイザ200の第3のシンセサ
イザブランチ204から供給される補助的周波数f
/8に混合される。周波数ミキサ227は、低域通過フ
ィルタ238と協働して、以下の式に基づく減算器とし
て機能する。 fGPRS=fo2−fo3/8 (式2) ここで、fo3は、第3のPLL周波数シンセサイザ2
31からの出力信号の周波数を表す。
【0031】マルチバンド周波数シンセサイザ200の
第3のシンセサイザブランチ204において、補助的周
波数信号fo3を生成するために、基準周波数fは、
プログラマブル分周器232において、値12を有する
分周係数Rによって分周される。これにより得られる
1.6MHzの信号は、第3のPLL周波数シンセサイ
ザ231に供給され、第3のPLL周波数シンセサイザ
231は、プログラマブルデジタル分周器236の分周
係数Nを定数である2000に設定することにより、
このプログラマブル分周器232からの1.6MHzの
信号を3200MHz前後の周波数を有する信号fo3
に変換する。信号fo3は、分周係数M が8に固定さ
れているデジタル分周器237において、400MHz
に分周された後、周波数ミキサ227に供給される。こ
れにより、GPRS周波数帯域の信号は、出力信号f
o2を適切な値に調整することにより生成される。分周
係数Nと、出力信号fo2と、所望のGPRS周波数
帯域との関係の詳細を表2に示す。
【0032】
【表2】
【0033】低域通過フィルタ238は、周波数ミキサ
227における混合処理によって生じる高調波成分を除
去し、及び第2のPLL周波数シンセサイザ221内の
第2のVCO225又は第3のPLL周波数シンセサイ
ザ231内のVCO235で発生する高調波成分を除去
する。低域通過フィルタ238の出力信号は、上述の式
2によって表される信号であり、マルチバンド周波数シ
ンセサイザ200の第3の出力端子239に供給され
る。
【0034】更に、低域通過フィルタ238を前処理器
(precursor)として機能させ、前処理された周波数(p
recursor frequency)を分周係数Mが2に固定されて
いるデジタル分周器241において分周し、このデジタ
ル分周器241において発生する高調波成分を除去する
ためにデジタル分周器241からの信号を低域通過フィ
ルタ242によってフィルタリングすることにより、G
SM帯域の周波数信号がマルチバンド周波数シンセサイ
ザ200の第4の出力端子249を介して出力される。
デジタル分周器の構成を単純にするためには、低域通過
フィルタ238からの出力信号は、2で除算できるもの
である必要がある。
【0035】分周係数Nと、第2のPLL周波数シン
セサイザ221の出力信号foと、所望のGSM周波
数帯域との関係の詳細を表3に示す。
【0036】
【表3】
【0037】ここで、例えば符号分割多元接続(Code D
ivision Multiple Access:CDMA)等、UMTSに
採用されている符号化方式では、処理される特定の信号
に含まれている情報は、元の信号よりかなり広い帯域に
亘って拡散され、信号伝送における干渉の影響が小さく
されるため、第1のPLL周波数シンセサイザ211及
び第2のPLL周波数シンセサイザ221の出力信号f
o1及びfo2は、例えばGSM/GPRS周波数帯域
用の低域通過フィルタ等による後処理を行う必要がな
い。したがって、第1のVCO215及び第2のVCO
225から発生される高調波成分に由来するスプリアス
スペクトルによって信号伝送の品質が劣化することがな
い。
【0038】なお、UMTSアップリンク周波数は、G
SM/GPRSアップリンク及びダウンリンク周波数と
は独立して生成されるため、UMTSコール期間中に、
非圧縮モードでGSMモニタリングを確実に行うことが
できる。
【0039】好ましい具体例においては、PLL周波数
シンセサイザ211、221、231として、例えばア
ナログデバイシズ社(Analog Devices:AD)又は他の
製造業者から市販されているADF4213整数−Nデ
ュアルRF/IF PLL周波数シンセサイザ 1.0G
Hz/3GHz(ADF4213 Integer-N Dual RP/IP PLL F
requency Synthesizer 1.0 GHz/3 GHz)又はこれに互換
性を有する他のPLL周波数シンセサイザを用いる。1
〜4個のPLL周波数シンセサイザが1つのパッケージ
に集積されたデバイスを用いてもよい。アナログデバイ
ス社からのPLL周波数シンセサイザは、ファーストロ
ックモード(Fastlock Mode)と呼ばれるビルトインに
より非常に短い整定時間が実現されているため、適して
いるが、他の製造業者からのデバイスを同様に用いても
よい。
【0040】更に、本発明の好ましい具体例において
は、全てのデジタル回路は、1つの特定用途向け集積回
路(Application Specific Integrated Circuit:AS
IC)により実現され、VCO215、225、23
5、ミキサ227、低域通過フィルタ238、242及
び基準周波数ソース201については、ディスクリート
回路又は他の集積回路を用いて実現する。
【0041】図3は、本発明に基づくマルチバンド周波
数シンセサイザの周波数プランを示す図である。高い干
渉特性を示すUMTS周波数帯域を除いて、高調波を含
む第1及び第2のVCO215、225の1つから生成
された周波数は、マルチバンド周波数シンセサイザ20
0の受信帯域又は送信帯域に含まれず、このためGSM
標準規格0505(GSM standard 0505)の要求が満た
されている。このような効果は、GSM/GPRS周波
数よりかなり高い周波数を生成するVCOを使用するこ
とにより得られる。更に、第3のVCO235の高調波
も、デジタル分周器237によって分周することによ
り、GSM/GPRS受信又は送信帯域に含まれなくな
る。
【0042】更に、どのVCOの周波数も、他のVCO
の周波数と異なっており、これにより、スペクトル特性
を著しく劣化させる虞があるダイレクトロック(direct
lock)が防止される。チューニング範囲が狭いVCO
は、チューニング範囲が広いVCOよりも良好なスペク
トル特性を示すため、本発明に基づくマルチバンド周波
数シンセサイザでは、チューニング範囲が狭いVCOを
用いることが好ましい。また、VCOの消費電力は、仕
様上の最大周波数に応じて大きくなるため、最大周波数
が使用される最大周波数に等しい、又は使用される最大
周波数に近いVCOを用いることにより、移動端末装置
の充電間隔を長くすることができる。
【0043】低域通過フィルタ238、242を小さく
するためには、複雑なフィルタリングを必要とするイメ
ージ周波数(image frequencies)を回避する必要があ
る。したがって、周波数ミキサ227の出力におけるス
プリアス成分を効果的に飽和させるために、f03/M
の最大値を0.1fo2以下とする必要がある。
【0044】更に、図3には、第1のPLL周波数シン
セサイザ211内の低域通過フィルタ214(LPF
1)のフィルタ特性も示されており、この低域通過フィ
ルタ214の帯域幅は、VCO215における周波数の
切換が高速に行われるための十分な広さを有するととも
に、第1のPLL周波数シンセサイザ211の出力スペ
クトルに位相雑音が発生するのを防止するための十分な
狭さを有する。
【0045】VCOの周波数は、VCO自体の周波数及
び処理中に発生する高調波がスプリアス抑圧に要求され
る最大帯域幅内に含まれるように選択される。本発明に
基づくマルチバンド周波数シンセサイザ200の第3の
シンセサイザブランチ204においては、この条件は、
によって分周される第3のVCO235により生成
される信号の周波数及び高調波成分に適用する必要があ
る。これにより、単純な回路構成を用いた設計によっ
て、図4に示すような、GSM標準規格0505に基づ
く帯域外放射(outband emissions)に関する要求を満
たすことができる。
【0046】
【発明の効果】以上のように、本発明に係る周波数シン
セサイザは、一定の基準周波数信号を生成する基準周波
数源と、基準周波数源からの基準周波数信号を第1の種
類の周波数帯域の信号に変換する第1の周波数シンセサ
イザサブユニットと、基準周波数源からの基準周波数信
号を第2の種類の周波数帯域の信号に変換するととも
に、基準周波数信号を中間周波数信号に変換する第2の
周波数シンセサイザサブユニットと、基準周波数信号
を、周波数が固定された補助的信号であって、中間周波
数信号とともに用いられて第3及び第4の種類の周波数
帯域の信号が生成される補助的信号に変換する第3の周
波数シンセサイザサブユニットとを備える。これによ
り、小型で低コストなマルチバンド周波数シンセサイザ
であって、整定時間が短く、位相雑音が少なく、スプリ
アススペクトルの量が少ない周波数シンセサイザを実現
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく周波数シンセサイザサブユニッ
トの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に基づくマルチバンド周波数シンセサイ
ザの構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示すマルチバンド周波数シンセサイザに
おける周波数プランを示す図である。
【図4】検討すべき全ての周波数帯域に関して、基準感
度レベルと帯域外放射の制限値を定義する周波数との関
係を示す図である。
【符号の説明】
200 マルチバンド周波数シンセサイザ、211 第
1のPLL周波数シンセサイザ、212 プログラマブ
ル分周器、221 第2のPLL周波数シンセサイザ、
222 プログラマブル分周器、231 第3のPLL
周波数シンセサイザ、232 プログラマブル分周器、
227 ミキサ、237 デジタル分周器、238 低
域通過フィルタ、241 デジタル分周器、242 低
域通過フィルタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 イトキン、グレゴリィ ドイツ連邦共和国 85609 アッシュハイ ム ドルナッハ ハイセンベルグボーゲン 1 ソニー インターナショナル (ヨ ーロッパ) ゲゼルシャフト ミット ベ シュレンクテル ハフツング内 (72)発明者 ペストリヤコフ、アレキサンダー ドイツ連邦共和国 85609 アッシュハイ ム ドルナッハ ハイセンベルグボーゲン 1 ソニー インターナショナル (ヨ ーロッパ) ゲゼルシャフト ミット ベ シュレンクテル ハフツング内 Fターム(参考) 5J106 PP03 QQ07 QQ08 QQ09 RR00 5K011 DA03 DA06 EA01 JA01 KA04 5K020 AA00 BB08 DD01 DD11 EE02 EE03 EE16 GG01

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次世代移動通信システム(UMTS)及
    び移動通信用グローバルシステム/汎用パケット無線サ
    ービス(GSM/GPRS)周波数帯域の周波数を有す
    る信号を生成する周波数シンセサイザにおいて、 一定の基準周波数信号を生成する基準周波数源と、 上記基準周波数源からの基準周波数信号を第1の種類の
    周波数帯域の信号に変換する第1の周波数シンセサイザ
    サブユニットと、 上記基準周波数源からの基準周波数信号を第2の種類の
    周波数帯域の信号に変換するとともに、該基準周波数信
    号を中間周波数信号に変換する第2の周波数シンセサイ
    ザサブユニットと、 上記基準周波数源からの基準周波数信号を、周波数が固
    定された補助的信号であって、上記中間周波数信号とと
    もに用いられて第3及び第4の種類の周波数帯域の信号
    が生成される補助的信号に変換する第3の周波数シンセ
    サイザサブユニットとを備える周波数シンセサイザ。
  2. 【請求項2】 上記第1乃至第3の周波数シンセサイザ
    サブユニットは、それぞれ上記基準周波数信号の周波数
    値を整数によって除算することにより該基準周波数信号
    を分周信号に変換する第1乃至第3の分周器を備えるこ
    とを特徴とする請求項1記載の周波数シンセサイザ。
  3. 【請求項3】 上記第1乃至第3の周波数シンセサイザ
    サブユニットは、上記分周信号を整数倍することによ
    り、整数倍された信号を生成する位相同期ループ周波数
    シンセサイザを備えることを特徴とする請求項2記載の
    周波数シンセサイザ。
  4. 【請求項4】 上記第2のシンセサイザサブユニットか
    らの信号と、上記補助的信号に基づく信号とを混合し、
    上記第3の種類の周波数帯域の信号、又は上記第4の種
    類の周波数帯域の信号を導き出すための前処理信号を生
    成する周波数ミキサを備える請求項1乃至3いずれか1
    項記載の周波数シンセサイザ。
  5. 【請求項5】 上記補助的信号が上記周波数ミキサに供
    給される前に、該補助的信号を整数値により除算する第
    4の分周器を備える請求項4記載の周波数シンセサイ
    ザ。
  6. 【請求項6】 上記周波数ミキサから出力される信号を
    整数値により除算することにより、上記第3の種類の周
    波数帯域の信号を生成する第5の分周器を備える請求項
    1乃至5いずれか1項記載の周波数シンセサイザ。
  7. 【請求項7】 上記第3又は第4の種類の周波数帯域の
    信号を生成するための回路において発生する高調波成分
    を除去するための第1の低域通過フィルタを備える請求
    項4乃至6いずれか1項記載の周波数シンセサイザ。
  8. 【請求項8】 上記第4の種類の周波数帯域の信号を生
    成する第5の分周器において発生する高調波成分を除去
    するための第2の低域通過フィルタを備える請求項6又
    は7記載の周波数シンセサイザ。
  9. 【請求項9】 上記第1の種類の周波数帯域は、190
    0MHz乃至1980MHz又は2010MHz乃至2
    025MHzの範囲を有する帯域であり、 上記第2の種類の周波数帯域は、2110MHz乃至2
    170MHzの範囲を有する帯域であり、 上記第3の種類の周波数帯域は、1710MHz乃至1
    990MHzの範囲を有する帯域であり、 上記第4の種類の周波数帯域は、880MHz乃至96
    0MHzの範囲を有する帯域であることを特徴とする請
    求項1乃至8いずれか1項記載の周波数シンセサイザ。
  10. 【請求項10】 請求項1乃至9いずれか1項記載の周
    波数シンセサイザを備え、次世代移動通信システム(U
    MTS)及び移動通信用グローバルシステム/汎用パケ
    ット無線サービス(GSM/GPRS)周波数帯域で使
    用される移動端末装置。
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