JP2003193260A - エッチング特性に優れた電解コンデンサ電極用アルミニウム箔およびその製造方法、ならびに電解コンデンサ電極用アルミニウムエッチド箔のの製造方法 - Google Patents

エッチング特性に優れた電解コンデンサ電極用アルミニウム箔およびその製造方法、ならびに電解コンデンサ電極用アルミニウムエッチド箔のの製造方法

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JP2003193260A
JP2003193260A JP2001395717A JP2001395717A JP2003193260A JP 2003193260 A JP2003193260 A JP 2003193260A JP 2001395717 A JP2001395717 A JP 2001395717A JP 2001395717 A JP2001395717 A JP 2001395717A JP 2003193260 A JP2003193260 A JP 2003193260A
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electrolytic capacitor
capacitor electrode
aluminum
treatment
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JP2001395717A
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English (en)
Inventor
Kazuyoshi Nishizawa
和由 西沢
Masashi Sakaguchi
雅司 坂口
Hideki Nishimori
秀樹 西森
Yutaka Kato
豊 加藤
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Resonac Holdings Corp
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Showa Denko KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電解コンデンサ電極用アルミニウム箔におい
て、拡面率を高め、静電容量のさらなる増大を図る。 【解決手段】 この発明のエッチング特性に優れた電解
コンデンサ電極用アルミニウム箔は、アルミニウム箔基
材の表面に、一水和酸化アルミニウム(Al23・H2
O)または三水和酸化アルミニウム(Al23・3H2
O)、あるいはこれらの混合物を主体とする水和酸化皮
膜が、0.02〜0.1g/m2未満の重量で形成され
ている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、電解コンデンサ
電極として用いられるアルミニウム箔、特にエッチング
特性に優れた電解コンデンサに用アルミニウム箔および
その製造方法、ならびに電解コンデンサ電極用アルミニ
ウムエッチド箔の製造方法に関する。
【0002】なお、この明細書において、「アルミニウ
ム」の語はアルミニウムおよびその合金の両者を含む意
味で用いられる。
【0003】
【従来の技術】通常、電解コンデンサ電極に使用される
アルミニウム箔は、大きな表面積を有して単位面積当た
りの静電容量が大きいことが要求されるために、電気化
学的あるいは化学的なエッチング処理を施して実効面積
を拡大することが行われる。そして、この実効面積拡大
を目的として、エッチピットをより多く発生させるため
の組成、製造工程、エッチング方法等種々の面から研究
がなされている。
【0004】製造工程におけるエッチピットの発生核生
成に着目すると、エッチピットが皮膜欠陥、結晶性酸化
物等を核として生成することから、箔表面に皮膜欠陥や
γ−Al23等の結晶性酸化物を析出させる取り組みが
多くなされている。
【0005】例えば、特開平11−36083号公報に
おいては、材料箔を480〜620℃で焼鈍した後、1
00℃以下に冷却し、その後さらに200〜300℃で
加熱処理することにより、エッチピットの起点となる欠
陥が生じ、その後のエッチング処理によりエッチピット
の増大につながることが報告されている。
【0006】また、特開昭52−120364号公報で
は、水和処理皮膜を形成し、その後高温加熱することに
よりγ−Al23を生成させる方法が報告されている。
【0007】また、特開平8−306592号公報にお
いては、75℃乃至沸点の範囲の温度、30乃至180
0秒の浸漬時間で所謂ベーマイト処理を行うことによ
り、厚い水和酸化物皮膜を生成させ、この皮膜により箔
基材の表面を保護し、その後のエッチング処理において
粗大なエッチピットの生成を抑制しうることが報告され
ている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
技術におていは、それぞれ下記に示す問題点がある。
【0009】特開平11−36083号公報に記載され
た技術においては、冷却後の加熱処理によりエッチピッ
トの起点となる欠陥が形成されるが、最終焼鈍後の再加
熱で生成される酸化皮膜が厚くなるため、表面積拡大の
効果が十分ではなく高静電容量が得られない。即ち、最
終工程において加熱を行うと酸化膜が厚くなるため、十
分なエッチングがなされず静電容量の向上効果を期待で
きない。
【0010】また、特開昭52−120364号公報に
記載された技術においても、水和酸化物皮膜を結晶化し
たγ−Al23に変化させるための高温で加熱によっ
て、厚い酸化膜が形成され、先の特開平11−3608
3号公報の技術と同様の理由で十分なエッチングがなさ
れず静電容量の向上効果を期待できない。
【0011】さらに、特開平8−306592号公報に
記載された技術においては、ベーマイト処理を高温かつ
長時間をかけて行うため、この間にエッチピットの起点
が減少してしまい、却って静電容量は低下する。また、
処理が高温かつ長時間であるため、エネルギーコストや
作業性の点でも好ましくない。
【0012】この発明は、このような技術背景に鑑み
て、拡面率を高め、静電容量のさらなる増大を図ること
ができるエッチング特性に優れた電解コンデンサ電極用
アルミニウム箔およびその製造方法、ならびにこのアル
ミニウム箔を用いた電解コンデンサ電極用アルミニウム
エッチド箔の製造方法の提供を目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、この発明のエッチング特性に優れた電解コンデンサ
電極用アルミニウム箔は、アルミニウム箔基材の表面
に、一水和酸化アルミニウム(Al23・H2O)また
は三水和酸化アルミニウム(Al23・3H2O)、あ
るいはこれらの混合物を主体とする水和酸化皮膜が、
0.02〜0.1g/m2未満の重量で形成されている
ことを基本要旨とする。
【0014】前記電解コンデンサ電極用アルミニウム箔
において、前記アルミニウム箔基材は、Al純度が9
9.9%以上であることが好ましい。
【0015】また、前記アルミニウム箔基材は、表面層
における(100)面積率が90%以上であることが好
ましい。
【0016】さらに、前記水和酸化皮膜の重量は、0.
04〜0.08g/m2であることが好ましい。
【0017】この発明のエッチング特性に優れた電解コ
ンデンサ電極用アルミニウム箔の製造方法は、上述の電
解コンデンサ電極用アルミニウム箔を製造しうる方法で
あって、アルミニウム箔基材に対し、55〜75℃未満
の処理液に5〜300秒、または75〜100℃の処理
液に2〜30秒未満接触させる水和処理を行うことによ
り、アルミニウム箔基材表面に、重量が0.02〜0.
1g/m2未満の一水和酸化アルミニウム(Al23
2O)または三水和酸化アルミニウム(Al23・3
2O)、あるいはこれらの混合物を主体とする水和酸
化皮膜を形成することを基本要旨とする。
【0018】前記製造方法において、前記水和処理前
に、アルミニウム箔基材を焼鈍することにより表面層に
おける(100)面積率を90%以上とすることが好ま
しい。
【0019】前記焼鈍は、非酸化雰囲気中において、ア
ルミニウム箔基材の実体温度を450〜600℃に10
分〜50時間保持することにより行う請ことが好まし
く、さらにアルミニウム箔基材を実体温度を540〜5
80℃に1〜30時間保持することにより行うことが好
ましい。
【0020】また、前記アルミニウム箔基材は、Al純
度が99.9%以上であることが好ましい。
【0021】また、前記処理液として、導電度が2μS
/cm以下の水、トリエタノールアミン溶液、ジエタノ
ールアミン溶液、モノエタノールアミン溶液、アンモニ
ア溶液のうちのいずれかを用いることが好ましい。
【0022】また、前記水和処理は、処理液中にアルミ
ニウム箔基材を浸漬することにより行うか、あるいは処
理液をアルミニウム箔基材にスプレーすることにより行
うことが好ましい。
【0023】さらに、前記水和処理を行った後、アルミ
ニウム箔を乾燥させることが好ましい。
【0024】この発明の一つのエッチング処理を施す電
解コンデンサ電極用アルミニウムエッチド箔の製造方法
は、請求項1〜4のいずれかに記載された電解コンデン
サ電極用アルミニウム箔に対し、前処理を行うことなく
エッチング処理を施すことを要旨とする。
【0025】また、この発明の他のエッチング処理を施
す電解コンデンサ電極用アルミニウムエッチド箔の製造
方法は、請求項1〜4のいずれかに記載された電解コン
デンサ電極用アルミニウム箔に対し、酸性処理液または
アルカリ性処理液による前処理を行った後、エッチング
処理を施すことを要旨とする。
【0026】この発明の電解コンデンサ電極用アルミニ
ウム箔において、箔基材表面に形成されている水和酸化
皮膜は皮膜抵抗即ち電気化学的なバリヤー性が低い。そ
のため、その後のエッチング処理において、皮膜欠陥や
結晶性微粒子を起点として箔の厚さ方向に腐食を進行さ
せ、多数の深いエッチピットを早期かつ均一に生成させ
て、拡面率を増大させる効果がある。また、水和酸化皮
膜の重量は0.02〜0.1g/m2未満であり、従前
の、例えば特願平8−306592号公報に記載された
水和酸化皮膜量よりも少なく、換言すれば薄いために、
エッチング特性が阻害されることもない。
【0027】前記水和酸化皮膜の重量は、0.02g/
2未満では皮膜抵抗を十分に下げるに至らず、多数の
エッチピットの早期かつ均一な生成が困難である。一
方、0.1g/m2以上になると、皮膜抵抗が低くなり
すぎて全面溶解が起こり、エッチピット数が増えず拡面
率を増大させることができない。好ましい水和酸化皮膜
の重量は0.04〜0.08g/m2である。
【0028】前記アルミニウム箔基材は、その組成を限
定するものではなく、電解コンデンサ電極材料として使
用されているものを適宜使用することができる。具体的
には、不純物量を規制して過溶解によるエッチング特性
の低下を防ぐために、Al純度を99.9wt%以上であ
ることが好ましい。また、エッチング特性や箔強度を向
上させるために、種々の微量元素が添加されている箔基
材も好適に用いることができる。
【0029】また、前記アルミニウム箔基材は、表面層
の結晶組織において(100)面積率が90%以上であ
ることが好ましい。(100)面積率の小さい箔では、
エッチング時に箔表面の溶解量が増し、エッチピットの
長さが短くなって部分的な静電容量の低下をもたらすか
らである。さらに、箔強度を維持できることでも拡面率
の増大が可能となり、高静電容量化が可能となる。好ま
しい(100)面積率は95%以上であり、顕著な効果
が得られる。
【0030】上述したエッチング特性に優れた電解コン
デンサ電極用アルミニウム箔は、この発明の方法によっ
て好適に製造される。
【0031】アルミニウム箔基材における(100)面
積率は、例えば箔基材の製造工程において最終焼鈍条件
を制御することによって90%以上とすることができ
る。焼鈍は、箔基材をコイルに巻き取った状態で行うバ
ッチ焼鈍、コイルを巻き戻しながら加熱する連続焼鈍の
いずれでも良い。
【0032】バッチ焼鈍の焼鈍条件として、箔基材を、
非酸化雰囲気中において、その実体温度を450〜60
0℃に10分〜50時間保持する処理を推奨できる。こ
のような高温で焼鈍することにより、(100)面積率
を高める他、Al23の結晶化を促進するとともに、箔
基材にPb等の微量元素が添加されている場合にはこれ
を表面層に濃化させ、エッチング特性を向上させる効果
がある。非酸化雰囲気は、アルゴン、窒素、水素等の不
活性ガス中、または10-4MPa以下の真空中を推奨で
きる。箔基材の実体温度が450℃未満または保持時間
が10分未満の焼鈍では、90%以上の(100)面積
率が達成されず、一方600℃または50時間を超えて
焼鈍しても(100)面積率がそれ以上増加しないた
め、エネルギーの無駄となる。好ましい焼鈍条件は、5
40〜580℃で1〜30時間の保持である。また、昇
温速度や昇温パターンは何ら限定されず、一定速度で昇
温させても良く、昇温、一定温度保持を繰り返しながら
ステップ昇温させても良い。
【0033】連続焼鈍の場合も、温度や保持時間は上述
のバッチ焼鈍に準ずる。
【0034】(100)面積率は水和処理に供する箔基
材において達成されていれば良く、最終焼鈍時に形成す
ることを要しない。箔基材製造工程において、中間焼鈍
と圧延条件との組合せによっても90%以上の(10
0)面積率を達成することができる。ただし、後述の水
和処理後に高温加熱処理を施すと規定重量を超えた水和
酸化皮膜が形成されるおそれがあるため、最終焼鈍時に
(100)面積率の調整を行うことが最も望ましい。
【0035】箔基材のその他の製造工程は何ら限定され
ず、常法に従って、所要組成のアルミニウムスラブの鋳
造、面削、均熱処理、熱間圧延前加熱、熱間圧延、冷間
圧延、中間焼鈍、低圧下圧延、最終焼鈍を順次行う。ま
た、これらの各工程において、表面の不純物や油分を除
去や洗浄は任意に適宜行う。
【0036】水和処理は、規定重量の水和酸化皮膜を形
成するために、処理液温度と処理時間を規定する。処理
時間は処理液温度が高いほど短時間で良く、55〜75
℃未満では5〜300秒、または75〜100℃では2
〜30秒未満である。55℃以下、または2秒以下では
皮膜抵抗を十分に下げることができず、一方300秒を
超えると皮膜抵抗の変化が小さくなるため、上述の範囲
に規定する。処理液は水または水溶液であるから、温度
の上限値は実質的に100℃となる。水和処理条件はこ
れらの範囲で、処理液の種類、水溶液の濃度に応じて適
宜設定する。水の場合は反応が穏やかであるから好適範
囲も広く、比較的長い時間をかけて処理することが好ま
しい。また、例えば0.1%トリエタノールアミン水溶
液の場合は水よりも短時間で済み、72℃で10秒前後
が好ましい。水和処理条件の好ましい範囲は、60〜7
5℃で10〜100秒である。
【0037】前記水和処理は、所定温度の処理液を箔基
材表面に接触させれば良く、浸漬またはスプレー塗布を
例示できる。
【0038】この発明の電解コンデンサ電極用アルミニ
ウム箔において、上述の処理によって箔基材表面に形成
される水和酸化皮膜は、表面に僅かな凹凸を有する皮膜
であり、処理液との接触時間の経過にともなって若干粒
状の皮膜となるが、通常のベーマイト処理膜のように針
状の結晶組織にはならない。しかし、上述したように皮
膜抵抗が小さくエッチング特性に優れているため、短時
間で深いエッチピットが多数かつ均一に形成され高い拡
面率を達成できる。
【0039】前記処理液は、箔基材表面に水和酸化皮膜
を形成できればその種類は問わない。例えば、導電度が
2μS/cm以下の水、トリエタノールアミン溶液、ジ
エタノールアミン溶液、モノエタノールアミン溶液、ア
ンモニア溶液を例示できる。上述の導電度が2μS/c
m以下の水としては、イオン交換水、蒸留水、各種フィ
ルタでろ過したろ過水等の溶解電解質量を規定した水を
例示できる。
【0040】また、エッチング処理は湿式処理であるか
ら、水和処理後乾燥させることなく続いてエッチング処
理に供することができる。乾燥させる場合は、水和酸化
皮膜の重量を上述の範囲から逸脱させないように行う。
例えば、水和酸化皮膜を厚く成長させないように数10
℃の低温で乾燥させることが好ましい。乾燥によりエッ
チング処理を連続して行う必要がなくなり、エッチング
前の状態で保管して別工程でエッチングする等、工程管
理の任意性が得られる。
【0041】この発明の電解コンデンサ電極用アルミニ
ウム箔は、皮膜抵抗が小さくエッチング特性に優れてい
るため、酸性処理液またはアルカリ性処理液などによる
前処理を行わずとも、エッチングによって高い拡面率の
エッチド箔を製造することができる。無論、エッチング
前に前処理を行っても良く、さらに拡面率を増大させて
静電容量の向上を図ることができる。前処理条件、エッ
チング処理条件は限定されず、常法に従う。
【0042】
【実施例】箔基体の製造に際しては、まず、小型ブック
モールドにて、Al純度99.99%の高純度アルミニ
ウム鋳塊を作製した。そして、これらの鋳塊に対し、常
法により面削、熱間圧延、冷間圧延、中間焼鈍等を経て
箔に圧延し、厚さ110μmのアルミニウム箔基材を作
製した。前記箔基材に対し、脱脂洗浄後、Arガス雰囲
気の焼鈍炉内で、実体温度を室温から540℃まで50
℃/hで昇温させた後540℃で24時間保持し、炉内
で自然冷却させてから炉出した。このようにして作製し
た箔基材の(100)面積率は95%であった。
【0043】前記箔基材を共通に用い、下記の水和処理
を施して水和酸化皮膜を生成させて、電解コンデンサ電
極用アルミニウム箔を作製した。 〔実施例1〕箔基材を72℃のイオン交換水(導電度1
μS/cm)中に90秒間浸漬したのち、処理液から引
き上げて50℃で5分間乾燥させた。 〔実施例2〕処理水への浸漬時間を50秒としたことを
除き、実施例1と同じ処理を行った。 〔実施例3〕箔基材を72℃のトリエタノールアミン
0.1%水溶液(イオン交換水使用)に10秒間浸漬し
たのち、処理液から引き上げて50℃で5分間乾燥させ
た。 〔比較例1〕箔基材に対し、何ら水和処理を施さなかっ
た。 〔比較例2〕箔基材を72℃の水道水(導電度125μ
S/cm)中に120秒間浸漬したのち、処理液から引
き上げて50℃で5分間乾燥させた。
【0044】各アルミニウム箔について、リン酸および
クロム酸の混酸で煮沸して水和酸化皮膜を溶解させ、溶
解前後の重量差により水和酸化皮膜重量を測定した。測
定した重量を表1に示す。
【0045】一方、各アルミニウム箔に対し、次の条件
で前処理を行い、あるいは前処理を行わずにエッチング
処理を施した。
【0046】前処理(酸処理):液組成0.01%Na
OH、液温40℃、浸漬時間50秒 エッチング処理:5wt%塩酸+10wt%硫酸の混合浴中
で、0.2A/cm2で100秒間直流電解で電解エッ
チング、その後、同液中で10分間ケミカルエッチング 次いで、これらのエッチド箔に対し、EIAJ規格に従
い270Vで化成処理を行った後静電容量を測定した。
静電容量を、比較例1の前処理を行わなかったものの静
電容量を100%とした相対値で表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】表1の結果より、各実施例の電解コンデン
サ電極用アルミニウム箔は、優れたエッチング特性を有
し、エッチングの前処理を行わずとも、拡面率の増大に
より高静電容量が得られることを確認した。また、前処
理を行うことによってさらなる静電容量の増大を図るこ
とができた。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、この発明のエッチ
ング特性に優れた電解コンデンサ電極用アルミニウム箔
は、アルミニウム箔基材の表面に、一水和酸化アルミニ
ウム(Al23・H2O)または三水和酸化アルミニウ
ム(Al23・3H2O)、あるいはこれらの混合物を
主体とする水和酸化皮膜が、0.02〜0.1g/m2
未満の重量で形成されているから、皮膜抵抗が小さい。
そのため、エッチング処理において、多数の深いエッチ
ピットを早期かつ均一に生成させて、拡面率を増大させ
ることができ、ひいては静電容量を増大させることがで
きる。
【0050】また、前記アルミニウム箔基材がAl純度
が99.9%以上である場合は、過溶解によるエッチン
グ特性の低下が抑制される。
【0051】また、前記アルミニウム箔基材が表面層に
おける(100)面積率が90%以上である場合は、エ
ッチング時の溶解を適正化して特に高い拡面率が達成さ
れるとともに、高い箔強度が得られる。
【0052】さらに、前記水和酸化皮膜の重量が0.0
4〜0.08g/m2である場合は、上述したエッチン
グ特性が顕著に優れている。
【0053】この発明の電解コンデンサ電極用アルミニ
ウム箔の製造方法は、アルミニウム箔基材に対し、55
〜75℃未満の処理液に5〜300秒、または75〜1
00℃の処理液に2〜30秒未満接触させる水和処理を
行うことにより、アルミニウム箔基材表面に、重量が
0.02〜0.1g/m2未満の一水和酸化アルミニウ
ム(Al23・H2O)または三水和酸化アルミニウム
(Al23・3H2O)、あるいはこれらの混合物を主
体とする水和酸化皮膜を形成するものであり、上述した
エッチング特性に優れた電解コンデンサ電極用アルミニ
ウム箔を製造することができる。
【0054】また、前記水和処理前に、アルミニウム箔
基材を焼鈍することにより表面層における(100)面
積率を90%以上とすることにより、エッチング時の溶
解が適正化されて特に高い拡面率が得られるとともに、
高い箔強度も得られる。
【0055】また、前記焼鈍を、非酸化雰囲気中におい
て、アルミニウム箔基材の実体温度を450〜600℃
に10分〜50時間保持することにより行えば、確実に
90%以上の(100)面積率が得られる。さらに実体
温度を540〜580℃に1〜30時間保持することに
より行えば、(100)面積率はさらに向上する。
【0056】前記アルミニウム箔基材がAl純度が9
9.9%以上である場合は、過溶解によるエッチング特
性の低下が抑制される。
【0057】前記処理液が、導電度が2μS/cm以下
の水、トリエタノールアミン溶液、ジエタノールアミン
溶液、モノエタノールアミン溶液、アンモニア溶液のう
ちのいずれかである場合は、規定重量の水和酸化皮膜を
容易に形成できる。
【0058】また、前記水和処理は、処理液中にアルミ
ニウム箔基材を浸漬することにより行っても、処理液を
アルミニウム箔基材にスプレーすることにより行っても
良く、いずれの場合も規定重量の水和酸化皮膜を形成で
きる。
【0059】また、前記水和処理を行った後にアルミニ
ウム箔を乾燥させる場合は、エッチング処理を連続して
行う必要がなくなり、エッチング前の状態で保管して別
工程でエッチングする等、工程管理の任意性が得られ
る。
【0060】この発明の電解コンデンサ電極用アルミニ
ウムエッチド箔の製造方法は、上述の電解コンデンサ電
極用アルミニウム箔に対しエッチング処理を施すもので
あり、箔のエッチング特性が優れているため、前処理を
行うことなくエッチング処理を施しても高い拡面率が得
られる。
【0061】また、酸性処理液またはアルカリ性処理液
による前処理を行った場合は、さらに高い拡面率が得ら
れる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西森 秀樹 大阪府堺市海山町6丁224番地 昭和電工 株式会社堺事業所内 (72)発明者 加藤 豊 大阪府堺市海山町6丁224番地 昭和電工 株式会社堺事業所内 Fターム(参考) 4K026 AA09 AA21 BA08 BB10 CA15 CA36 CA37 DA02 DA03 DA11 EA17

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム箔基材の表面に、一水和酸
    化アルミニウム(Al23・H2O)または三水和酸化
    アルミニウム(Al23・3H2O)、あるいはこれら
    の混合物を主体とする水和酸化皮膜が、0.02〜0.
    1g/m2未満の重量で形成されていることを特徴とす
    るエッチング特性に優れた電解コンデンサ電極用アルミ
    ニウム箔。
  2. 【請求項2】 前記アルミニウム箔基材は、Al純度が
    99.9%以上である請求項1に記載のエッチング特性
    に優れた電解コンデンサ電極用アルミニウム箔。
  3. 【請求項3】 前記アルミニウム箔基材は、表面層にお
    ける(100)面積率が90%以上である請求項1また
    は2に記載のエッチング特性に優れた電解コンデンサ電
    極用アルミニウム箔。
  4. 【請求項4】 前記水和酸化皮膜の重量は、0.04〜
    0.08g/m2である請求項1〜3のいずれかに記載
    のエッチング特性に優れた電解コンデンサ電極用アルミ
    ニウム箔。
  5. 【請求項5】 アルミニウム箔基材に対し、55〜75
    ℃未満の処理液に5〜300秒、または75〜100℃
    の処理液に2〜30秒未満接触させる水和処理を行うこ
    とにより、アルミニウム箔基材表面に、重量が0.02
    〜0.1g/m2未満の一水和酸化アルミニウム(Al2
    3・H2O)または三水和酸化アルミニウム(Al23
    ・3H2O)、あるいはこれらの混合物を主体とする水
    和酸化皮膜を形成することを特徴とするエッチング特性
    に優れた電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 前記水和処理前に、アルミニウム箔基材
    を焼鈍することにより表面層における(100)面積率
    を90%以上とする請求項5に記載のエッチング特性に
    優れた電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 前記焼鈍は、非酸化雰囲気中において、
    アルミニウム箔基材の実体温度を450〜600℃に1
    0分〜50時間保持することにより行う請求項6に記載
    のエッチング特性に優れた電解コンデンサ電極用アルミ
    ニウム箔の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記焼鈍は、アルミニウム箔基材を実体
    温度を540〜580℃に1〜30時間保持することに
    より行う請求項7に記載のエッチング特性に優れた電解
    コンデンサ電極用アルミニウム箔の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記アルミニウム箔基材は、Al純度が
    99.9%以上である請求項5に〜8のいずれかに記載
    のエッチング特性に優れた電解コンデンサ電極用アルミ
    ニウム箔の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記処理液は、導電度が2μS/cm
    以下の水、トリエタノールアミン溶液、ジエタノールア
    ミン溶液、モノエタノールアミン溶液、アンモニア溶液
    のうちのいずれかである請求項5〜9のいずれかに記載
    のエッチング特性に優れた電解コンデンサ電極用アルミ
    ニウム箔の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記水和処理は、処理液中にアルミニ
    ウム箔基材を浸漬することにより行う請求項5〜10の
    いずれかに記載のエッチング特性に優れた電解コンデン
    サ電極用アルミニウム箔の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記水和処理は、処理液をアルミニウ
    ム箔基材にスプレーすることにより行う請求項5〜10
    のいずれかに記載のエッチング特性に優れた電解コンデ
    ンサ電極用アルミニウム箔の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記水和処理を行った後、アルミニウ
    ム箔を乾燥させる請求項5〜11のいずれかに記載のエ
    ッチング特性に優れた電解コンデンサ電極用アルミニウ
    ム箔の製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項1〜4のいずれかに記載された
    電解コンデンサ電極用アルミニウム箔に対し、前処理を
    行うことなくエッチング処理を施すことを特徴とする電
    解コンデンサ電極用アルミニウムエッチド箔の製造方
    法。
  15. 【請求項15】 請求項1〜4のいずれかに記載された
    電解コンデンサ電極用アルミニウム箔に対し、酸性処理
    液またはアルカリ性処理液による前処理を行った後、エ
    ッチング処理を施すことを特徴とする電解コンデンサ電
    極用アルミニウムエッチド箔の製造方法。
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