JP2017059807A - アルミニウム電解コンデンサ用電極の製造方法 - Google Patents

アルミニウム電解コンデンサ用電極の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】皮膜耐電圧が400V以上の場合であっても、化成中や熱デポラリゼーション中に多孔質層が破壊することを抑制することのできるアルミニウム電解コンデンサ用電極の製造方法を提供すること。【解決手段】アルミニウム粉体を焼結して成る多孔質層がアルミニウム芯材の表面に積層されたアルミニウム電極を純水中でボイルする純水ボイル工程の後、有機酸系の化成液を用いた第1化成処理と、無機酸系の化成液を用いた第2化成処理とを行う。第1化成処理では、昇圧途中に、リン酸イオンを含む水溶液にアルミニウム電極を浸漬する。純水ボイル工程では、純水ボイル工程によって増加した質量の割合(%)と、皮膜耐電圧Vf(V)とが以下の条件式(0.01×Vf)≦x≦(0.017×Vf+28)を満たす。【選択図】図3

Description

本発明は、アルミニウム電極を有機酸系の化成液中で化成するアルミニウム電解コンデンサ用電極の製造方法に関するものである。
アルミニウム電解コンデンサの陽極として、エッチング処理を行ったアルミニウム箔に代えて、アルミニウム粉体を焼結してなる多孔質層がアルミニウム芯材の表面に積層されたアルミニウム電極(多孔性アルミニウム電極)を用いることが提案されており、かかるアルミニウム電極によれば、塩酸等を用いたエッチング処理を行う必要がないという利点がある(特許文献1、2参照)。また、多孔性アルミニウム電極であれば、多孔質層を十分厚く形成することができるとともに、空隙が複雑に入り組んだ構造となるので、静電容量を増大させることができるという利点もある。
有機酸あるいはその塩を含む水溶液(有機酸系の化成液)中において、上記のアルミニウム電極に皮膜耐電圧が200V以上となるまで化成を行うと、昇圧途中に多孔質層の空隙内に有機酸あるいはその塩を含む水溶液が閉じ込められやすい。それ故、化成中の温度上昇で空隙内に取り残された有機酸あるいはその塩を含む水溶液が沸騰して爆発し、多孔質層が破壊してしまうという問題が発生する。また、化成の途中で多孔性アルミニウム電極を加熱する熱デポラリゼーション処理(減極処理)を行うと、熱デポラリゼーション処理中に、空隙中に取り残された有機酸あるいはその塩が燃焼して爆発し、多孔質層が破壊してしまうという問題が発生することもある。かかる問題を解決するために、有機酸あるいはその塩を含む水溶液の温度を80℃以下とすることや、熱デポラリゼーション処理の前に純水洗浄を5分以上行うなどの方法が提案されている(特許文献3)。
特開2008−126151号公報 特開2011−52291号公報 特開2014−57000号公報
しかしながら、皮膜耐電圧400V以上の場合においては、化成中に発生する熱量が大きいために、アルミニウム電極表面の温度が上昇しやすくなる。このため、上記従来技術だけを用いた場合、化成時のアルミニウムイオンの溶出と水酸化アルミニウムの析出を十分には抑制することが出来ず、多孔質層の空隙内に有機酸あるいはその塩を含む水溶液が閉じ込められやすくなってしまう。その結果、上述した多孔質層の破壊が発生しやすい。
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、皮膜耐電圧が400V以上の場合であっても、化成中や熱デポラリゼーション中に多孔質層が破壊することを抑制することのできるアルミニウム電解コンデンサ用電極の製造方法を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明は、平均粒径1μmから10μmのアルミニウム粉体を焼結して成る多孔質層がアルミニウム芯材の表面に150μmから3000μmの厚さで積層されたアルミニウム電極を純水中でボイルする純水ボイル工程と、該純水ボイル工程の後、前記アルミニウム電極に皮膜耐電圧が400V以上となるまで化成する化成工程と、を有するア
ルミニウム電解コンデンサ用電極の製造方法であって、前記皮膜耐電圧をVf(V)とし、前記純水ボイル工程によって増加した質量の割合をx(%)としたとき、Vf(V)およびx(%)が、以下の条件式
(0.01×Vf)≦x≦(0.017×Vf+28)
を満たし、前記化成工程では、有機酸あるいはその塩を含み、50℃で測定した比抵抗が5Ωmから500Ωmの水溶液中において、液温が30℃から80℃の条件下で前記アルミニウム電極に化成を行う第1化成処理と、該第1化成処理の後、無機酸あるいはその塩を含み、90℃で測定した比抵抗が10Ωmから1000Ωmの水溶液中において、液温が50℃から95℃の条件下で前記アルミニウム電極に化成を行う第2化成処理と、を行い、前記第1化成処理では、昇圧途中に、リン酸イオンを含む水溶液に前記アルミニウム電極を浸漬する浸漬処理を行うことを特徴とする。
本願発明における「純水ボイル工程によって増加した質量の割合(%)」とは、化成を行う前のアルミニウム電極の質量に対して、純水ボイル工程によって増加した質量の割合(%)を意味し、以下の式(数1)から求められる。
本発明で用いたアルミニウム電極は、平均粒径1μmから10μmのアルミニウム粉体を焼結して成る多孔質層がアルミニウム芯材の表面に150μmから3000μmの厚さで積層された多孔性アルミニウム電極であるため、皮膜耐電圧が400V以上となるまで化成した場合でも、高い静電容量を得ることができる。ここで、平均粒径が1μm未満であると空隙部が細かすぎ、皮膜耐電圧400V以上の皮膜を形成すると空隙が埋まってしまい、所望の静電容量が得られない。これに対して、平均粒径が10μmを超えると、空隙部が粗すぎて表面積が低下し、やはり所望の静電容量が得られない。
また、本発明では、第1化成処理では、有機酸あるいはその塩を含み、50℃で測定した比抵抗が5Ωmから500Ωmの水溶液中において、液温が30℃から80℃の条件下で、アルミニウム電極に対して皮膜耐電圧が400V以上になるまで昇圧を行い、場合によっては所定の電圧での保持を行う。かかる第1化成処理において、液温を80℃以下としたため、化成時のアルミニウムの溶出を低く抑えることができる。このため、アルミニウムイオンが水酸化アルミニウムとして析出することによって多孔質層の空隙内に有機酸あるいはその塩を含む水溶液を閉じ込められるという事態が発生しにくい。また、液温を30℃以上としたため、高い静電容量が得られる。第1化成処理において、比抵抗が500Ωmを超えると、静電容量を向上させる効果が得られにくく、比抵抗が5Ωmを下回ると、多孔質層の空隙内に閉じ込められた有機酸あるいはその塩が燃焼、爆発する事態が発生しやすくなる。
かかる第1化成処理において、多孔質層の空隙部が厚くて複雑な形状であるアルミニウム電極を有機酸あるいはその塩を含む水溶液中で化成すると、多孔質層の厚さに起因する
空隙の破壊が起きやすくなる。特に、空隙部の厚さが250μm以上で、400V以上の化成を行う場合には、化成液条件やデポラリゼーション条件を適正化した場合でも、水酸化アルミニウムの析出により目詰まりが起こりやすい。しかるに本発明では、第1化成処理において所定の電圧に昇圧するまでにリン酸イオンを含む水溶液中に1回以上浸漬するため、目詰まりが生じる前に析出した水酸化アルミニウムを効率よく取り除くことができるとともに、その後の水酸化アルミニウムの生成を抑制することができる。従って、多孔質層の空隙内部に有機酸あるいはその塩を含む水溶液が残留することを抑えられる。ここで、リン酸以外の酸、例えば希薄な蓚酸や硫酸などを用いても同様の効果が有るが、リン酸イオンを含む水溶液を用いた場合、化成皮膜内にリン酸イオンを取り込むことにより、沸騰水や酸性溶液への浸漬に対する耐久性を向上する事ができるので、化成皮膜の安定性を効果的に向上することができる。
また、本発明において、第2化成処理では、無機酸あるいはその塩を含み、90℃で測定した比抵抗が10Ωmから1000Ωmの水溶液中において、液温が50℃から95℃の条件下でアルミニウム電極に化成を行う。液温を95℃以下とすることにより化成時のアルミニウムの溶出を低く抑えることができる。このため、アルミニウムイオンが水酸化アルミニウムとして析出することによって多孔質層の空隙が埋まり、静電容量を低下させる事態を防ぐことができる。また、液温を50℃以上とすることにより、高い皮膜耐電圧を得ることができる。ここで、比抵抗が1000Ωmを超えると健全な皮膜が形成されず、漏れ電流が著しく高くなってしまう。これに対して、比抵抗が10Ωmを下回ると、化成中に火花放電が発生するために、形成した皮膜が破壊されてしまう。
また、本発明において、皮膜耐電圧をVf(V)とし、純水ボイル工程によって増加した質量の割合をx(%)としたとき、皮膜耐電圧Vf(V)および割合x(%)が、以下の条件式
(0.01×Vf)≦x≦(0.017×Vf+28)
を満たしており、アルミニウム水和膜の厚さが適切である。従って、その後の化成工程において、少ない電気量で十分に厚い酸化皮膜を形成することができる。これに対して、純水ボイル工程で形成されるアルミニウム水和膜の質量が上記条件式の下限を下回ると、その後の化成工程において過剰な発熱が起きてしまい、健全な化成皮膜が形成されない。また、ボイル工程で形成されるアルミニウム水和膜の質量が上記条件式の上限を上回ると、アルミニウム水和膜が過剰に生成して、多孔質層の空隙内に有機酸あるいはその塩を含む水溶液が閉じ込められやすくなってしまう。
本発明において、前記第1化成処理では、電源電圧が400V以上となるまで前記アルミニウム電極に化成を行う態様を採用することができる。
本発明において、前記リン酸イオンを含む水溶液は、液温が40℃から80℃であり、60℃で測定した比抵抗が0.1Ωmから5Ωmであるリン酸水溶液であり、当該リン酸水溶液に対する前記アルミニウム電極の浸漬時間が3分から30分であることが好ましい。
本発明において、前記第1化成処理では、電源電圧が第1電圧Va(V)となるまで前記アルミニウム電極に定電流化成を行い、前記第2化成処理では、電源電圧が前記第1電圧Va(V)より高い第2電圧Vb(V)となるまで前記アルミニウム電極に定電流化成を行い、前記第1化成処理および前記第2化成処理のうち、少なくとも前記第2化成処理では、前記定電流化成での最終到達電圧で定電圧化成を行うことが好ましい。
本発明において、前記第1化成処理では、電源電圧が電圧Vc(V)となるまで前記アルミニウム電極に定電流化成を行い、前記第1化成処理および前記第2化成処理のうち、少なくとも前記第2化成処理では、前記電圧Vc(V)で定電圧化成を行ってもよい。
本発明において、前記皮膜耐電圧をVf(V)とし、前記定電圧化成の時間をt(分)としたとき、皮膜耐電圧Vf(V)および時間t(分)は、以下の条件式
(0.078×Vf)≦t≦(0.425×Vf−50)
を満たすことが好ましい。定電圧化成時間の合計時間が上記条件式における下限を下回ると、緻密な化成皮膜の形成が不十分となるために漏れ電流が大きくなる。これに対して、定電圧化成時間の合計時間が上記条件式における上限を上回ると、化成皮膜が過剰に成長して空隙部分が目詰まりし、静電容量が低下する。
本発明で用いたアルミニウム電極は、平均粒径1〜10μmのアルミニウム粉体を焼結して成る多孔質層がアルミニウム芯材の表面に150μm〜3000μmの厚さで積層された多孔性アルミニウム電極であるため、高い静電容量を得ることができる。また、第1化成処理では、50℃で測定した比抵抗が5Ωmから500Ωmの有機酸系の水溶液中において、液温が30℃から80℃の条件下で化成し、第2化成処理では、90℃で測定した比抵抗が10Ωmから1000Ωmの無機酸系の水溶液中において、液温が50℃から95℃の条件下でアルミニウム電極に化成する。このため、高い静電容量を得ることができるとともに、多孔質層の空隙内に有機酸あるいはその塩を含む水溶液を閉じ込められるという事態が発生しにくい。また、第1化成処理では昇圧途中にリン酸イオンを含む水溶液中に浸漬するため、目詰まりが生じる前に析出した水酸化アルミニウムを効率よく取り除くことができるとともに、その後の水酸化アルミニウムの生成を抑制することができる。従って、多孔質層の空隙内部に有機酸あるいはその塩を含む水溶液が残留することを抑えられる。また、純水ボイル工程では、適正な厚さのアルミニウム水和膜を形成するため、化成工程における過剰な発熱や、多孔質層の空隙内に有機酸あるいはその塩を含む水溶液が閉じ込められることを抑制することができる。
本発明を適用したアルミニウム電極の断面構造を示す説明図である。 本発明を適用したアルミニウム電極の表面を電子顕微鏡により拡大して撮影した写真である。 本発明を適用したアルミニウム電解コンデンサ用電極の製造方法を示す説明図である。 本発明を適用したアルミニウム電解コンデンサ用電極の製造方法において純水ボイル工程で生成するアルミニウム水和膜量の適正な範囲を示すグラフである。 本発明を適用したアルミニウム電解コンデンサ用電極の製造方法において化成工程で行う定電圧化成時間の適正な範囲を示すグラフである。
本発明では、アルミニウム電解コンデンサ用電極を製造するにあたって、アルミニウム粉体を焼結してなる多孔質層がアルミニウム芯材の表面に積層されたアルミニウム電極(多孔性アルミニウム電極)を用い、かかるアルミニウム電極に化成を行う。以下、アルミニウム電極の構成を説明した後、化成方法を説明する。
(アルミニウム電極の構成)
図1は、本発明を適用したアルミニウム電極の断面構造を示す説明図であり、図1(a)、(b)は、アルミニウム電極の断面を電子顕微鏡により120倍に拡大して撮影した写真、およびアルミニウム電極の芯材付近を電子顕微鏡により600倍に拡大して撮影した写真である。図2は、本発明を適用したアルミニウム電極の表面を電子顕微鏡により拡大して撮影した写真である。なお、図2には、多孔性アルミニウム電極の表面を1000倍で拡大した写真と、3000倍で拡大した写真とを示してある。
図1および図2に示すアルミニウム電極10は、アルミニウム芯材20と、アルミニウム芯材20の表面に積層された多孔質層30とを有しており、多孔質層30は、アルミニウム粉体を焼結してなる層である。本形態において、アルミニウム電極10は、アルミニウム芯材20の両面に多孔質層30を有している。
本形態において、アルミニウム芯材20は、厚さが10μm〜50μmである。図1には、厚さが約30μmのアルミニウム芯材20を用いたアルミニウム電極10が示されている。一層当たりの多孔質層30の厚さは、例えば、150μm〜3000μmである。図1には、厚さが30μmのアルミニウム芯材20の両面に、厚さが約350μmの多孔質層30が形成されたアルミニウム電極10が示されている。多孔質層30の厚さは、厚い程、静電容量が増大するので、厚い方が好ましいが、厚さが3000μmを超えると、多孔質層30の空隙35の深部まで化成を行いにくくなることから、多孔質層30の厚さは3000μm以下であることが好ましい。
アルミニウム芯材20は、鉄含有量が1000質量ppm未満であることが好ましい。多孔質層30は、鉄含有量が好ましくは1000質量ppm未満のアルミニウム粉体を焼結してなる層であり、アルミニウム粉体は、互いに空隙35を維持しながら焼結されている。
アルミニウム粉体の形状は、特に限定されず、略球状、不定形状、鱗片状、短繊維状等のいずれも好適に使用できる。特に、アルミニウム粉体間の空隙を維持するために、略球状粒子からなる粉体が好ましい。本形態におけるアルミニウム粉体の平均粒径は1μmから10μmである。このため、表面積を効果的に拡大することができる。ここで、アルミニウム粉体の平均粒径が1μm未満では、アルミニウム粉体間の間隙が狭すぎて電極等として機能しない無効部分が増大する一方、アルミニウム粉体の平均粒径が10μmを超えると、アルミニウム粉体間の間隙が広すぎて表面積の拡大が不十分である。すなわち、アルミニウム粉体の平均粒径が1μm未満では、皮膜耐電圧が400V以上の化成皮膜を形成した際、アルミニウム粉体間の空隙35が埋没し静電容量が低下する。一方、平均粒径が10μmを超えると空隙35が大きくなりすぎ、静電容量の大幅な向上が望めない。従って、アルミニウム電極10に皮膜耐電圧が400V以上の厚い化成皮膜を形成する場合、多孔質層30に用いたアルミニウム粉体の平均粒径は1μmから10μm、好ましくは、2μmから10μmである。なお、本形態におけるアルミニウム粉体の平均粒径は、レーザー回折法により粒度分布を体積基準で測定した。また、焼結後の前記粉末の平均粒径は、前記焼結体の断面を、走査型電子顕微鏡によって観察することによって測定する。例えば、焼結後の前記粉末は、一部が溶融又は粉末同士が繋がった状態となっているが、略円形状を有する部分は近似的に粒子状とみなせる。個数基準の粒度分布から体積基準の粒度分布を計算し、平均粒径を求めた。なお、上記で求められる焼結前の平均粒径と焼結後の平均粒径はほぼ同じである。
本形態において、アルミニウム電極10をアルミニウム電解コンデンサの陽極として用いる際、多孔質層30には化成皮膜が形成される。その際、アルミニウム芯材20において、多孔質層30から露出している部分がある場合、アルミニウム芯材20にも化成皮膜が形成される。
(アルミニウム電極10の製造方法)
本発明を適用した多孔性アルミニウム電極10の製造方法は、まず、第1工程においてアルミニウム芯材20の表面に、鉄含有量が好ましくは1000質量ppm未満のアルミニウム粉体を含む組成物からなる皮膜を形成する。アルミニウム粉体は、アトマイズ法、メルトスピニング法、回転円盤法、回転電極法、その他の急冷凝固法等により製造されたものである。これらの方法のうち、工業的生産にはアトマイズ法、特にガスアトマイズ法が好ましく、アトマイズ法では、溶湯をアトマイズすることにより粉体を得る。
前記組成物は、必要に応じて樹脂バインダ、溶剤、焼結助剤、界面活性剤等が含まれていても良い。これらはいずれも公知または市販のものを使用することができる。本形態では、樹脂バインダおよび溶剤の少なくとも1種を含有させてペースト状組成物として用いることが好ましい。これにより効率よく皮膜を形成することができる。樹脂バインダとしては、例えば、カルボキシ変性ポリオレフィン樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩酢ビ共重合樹脂、ビニルアルコール樹脂、ブチラール樹脂、フッ化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、アクリロニトリル樹脂、ニトロセルロース樹脂等が好適に使用できる。これらのバインダは、それぞれ分子量、樹脂の種類等により、加熱時に揮発するものと、熱分解によりその残渣がアルミニウム粉末とともに残存するものとがあり、静電容量等の電気特性の要求に応じて使い分けすることができる。前記組成物を調製する際、溶媒を添加するが、かかる溶媒としては、水、エタノール、トルエン、ケトン類、エステル類等を単独あるいは混合して用いることができる。
また、多孔質層30の形成は、前記組成物の性状等に応じて公知の方法から適宜採択することができる。例えば、組成物が粉末(固体)である場合は、その圧粉体を芯材上に形成(または熱圧着)すれば良い。この場合は、圧粉体を焼結することにより固化するとともに、アルミニウム芯材20上にアルミニウム粉末を固着させることができる。また、液状(ペースト状)である場合は、ローラー、刷毛、スプレー、ディッピング等の塗布方法により形成できるほか、公知の印刷方法により形成することもできる。なお、皮膜は、必要に応じて、20℃以上300℃以下の範囲内の温度で乾燥させても良い。
次に、第2工程においては、皮膜を560℃以上660℃以下の温度で焼結する。焼結時間は、焼結温度等により異なるが、通常は5〜24時間程度の範囲内で適宜決定することができる。焼結雰囲気は、特に制限されず、例えば真空雰囲気、不活性ガス雰囲気、酸化性ガス雰囲気(大気)、還元性雰囲気等のいずれであっても良いが、特に、真空雰囲気または還元性雰囲気とすることが好ましい。また、圧力条件についても、常圧、減圧または加圧のいずれでも良い。なお、組成物中(皮膜中)に樹脂バインダ等の有機成分が含有している場合は、第1工程後、第2工程に先立って予め100℃以上から600℃以下の温度範囲で保持時間が5時間以上の加熱処理(脱脂処理)を行なうことが好ましい。その際の加熱処理雰囲気は特に限定されず、例えば真空雰囲気、不活性ガス雰囲気または酸化性ガス雰囲気中のいずれでも良い。また、圧力条件も、常圧、減圧または加圧のいずれでも良い。
(アルミニウム電解コンデンサの構成)
本形態の化成済みのアルミニウム電極10(アルミニウム電解コンデンサ用電極)を用いてアルミニウム電解コンデンサを製造するには、例えば、化成済みの多孔性アルミニウム電極10(アルミニウム電解コンデンサ用電極)からなる陽極箔と、陰極箔とをセパレータを介在させて巻回してコンデンサ素子を形成する。次に、コンデンサ素子を電解液(ペースト)に含浸する。しかる後には、電解液を含んだコンデンサ素子を外装ケースに収納し、封口体でケースを封口する。
また、電解液に代えて固体電解質を用いる場合、化成済みのアルミニウム電極10(アルミニウム電解コンデンサ用電極)からなる陽極箔の表面に固体電解質層を形成した後、固体電解質層の表面に陰極層を形成し、しかる後に、樹脂等により外装する。その際、陽極に電気的接続する陽極端子と陰極層に電気的接続する陰極端子とを設ける。この場合、陽極箔が複数枚積層されることがある。
また、アルミニウム電極10としては、棒状のアルミニウム芯材20の表面に多孔質層30が積層された構造が採用される場合もある。かかるアルミニウム電極10を用いてア
ルミニウム電解コンデンサを製造するには、例えば、化成済みのアルミニウム電極10(アルミニウム電解コンデンサ用電極)からなる陽極の表面に固体電解質層を形成した後、固体電解質層の表面に陰極層を形成し、しかる後に、樹脂等により外装する。その際、陽極に電気的接続する陽極端子と陰極層に電気的接続する陰極端子とを設ける。
(アルミニウム電解コンデンサ用電極の製造方法)
図3は、本発明を適用したアルミニウム電解コンデンサ用電極の製造方法を示す説明図であり、図3(a)、(b)は、第1実施形態の化成方法を示す説明図、および第2実施形態の化成方法を示す説明図である。図4は、本発明を適用したアルミニウム電解コンデンサ用電極の製造方法において純水ボイル工程で生成するアルミニウム水和膜量の適正な範囲を示すグラフである。図5は、本発明を適用したアルミニウム電解コンデンサ用電極の製造方法において化成工程で行う定電圧化成時間の適正な範囲を示すグラフである。
図3(a)に示すように、本形態のアルミニウム電解コンデンサ用電極の製造方法では、アルミニウム電極10を純水中でボイルする純水ボイル工程ST20を行った後、アルミニウム電極10に皮膜耐電圧が400V以上となるまで化成する化成工程ST10を行い、その後、乾燥工程を行う。
純水ボイル工程ST20では、アルミニウム電極10を液温が60℃から100℃の純水中で3分から10分ボイルし、アルミニウム電極10にベーマイト等のアルミニウム水和膜を形成する。かかる純水ボイル工程ST20で生成するアルミニウム水和膜の量は、純水ボイル工程によって増加した質量の割合x(%)を以下の式(数2)で表したとき、図4に実線L11で示すxの下限から、図4に破線L12で示すxの上限までの範囲とする。
より具体的には、化成皮膜の最終的な皮膜耐電圧をVf(V)とし、純水ボイル工程ST20によって増加した質量の割合をx(%)としたとき、xの下限を示す実線L11は、以下の式
x=(0.01×Vf)
で表される。また、xの上限を示す破線L12は、以下の式
x=(0.017×Vf+28)
で表される。従って、本形態では、皮膜耐電圧Vf(V)および割合x(%)が、以下の条件式
(0.01×Vf)≦x≦(0.017×Vf+28)
を満たすように純水ボイル工程ST20の条件を設定する。アルミニウム水和膜の量が適正であると、化成工程ST10において少ない電気量で十分に厚い化成膜を形成することができる。これに対して、アルミニウム水和膜の質量が上記条件式の下限を下回ると、化
成工程ST10において過剰な発熱が起きてしまい、健全な化成皮膜が形成されない。また、アルミニウム水和膜の質量が上記条件式の上限を上回ると、アルミニウム水和膜が過剰になっていまい、多孔質層30の空隙35内に有機酸あるいはその塩を含む水溶液が閉じ込められやすくなってしまう。
本形態において、化成工程ST10では、まず、第1化成処理ST11において、アジピン酸等の有機酸あるいはその塩を含み、50℃で測定した比抵抗が5Ωmから500Ωmの水溶液(有機酸系の化成液)中において、液温が30℃から80℃の条件下でアルミニウム電極10に化成を行う。その際、アルミニウム電極10と対極との間に印加した電源電圧が好ましくは400V以上になるまで昇圧を行い、場合によっては所定の電圧での保持を行う。かかる第1化成処理ST11において、本形態では、液温を80℃以下としたため、化成時のアルミニウムの溶出を低く抑えることができる。このため、アルミニウムイオンが水酸化アルミニウムとして析出することによって多孔質層30の空隙35内に有機酸あるいはその塩を含む水溶液を閉じ込められるという事態が発生しにくい。また、液温を30℃以上としたため、高い静電容量が得られる。第1化成処理ST11において、化成液の比抵抗が500Ωmを超えると、静電容量を向上させる効果が得られにくく、化成液の比抵抗が5Ωmを下回ると、多孔質層30の空隙35内に閉じ込められた有機酸あるいはその塩が燃焼、爆発する事態が発生しやすくなる。
本形態において、第1化成処理ST11では、昇圧途中に、リン酸イオンを含む水溶液にアルミニウム電極10を浸漬する浸漬処理ST21を行う。好ましくは、液温が40℃から80℃であり、60℃で測定した比抵抗が0.1Ωmから5Ωmであるリン酸水溶液にアルミニウム電極10を3分から30分の浸漬時間で浸漬する。ここで、浸漬処理ST21は、1回あるいは複数回行う。図3(a)には、浸漬処理ST21を2回行う場合を示してある。第1化成処理ST11において、多孔質層30が厚くて複雑な形状であるアルミニウム電極10を有機酸あるいはその塩を含む水溶液中で化成すると、多孔質層30の厚さに起因する空隙35の破壊が起きやすくなる。特に、多孔質層30の厚さが250μm以上で、400V以上の化成を行う場合には、化成液条件やデポラリゼーション条件を適正化した場合でも、水酸化アルミニウムの析出により目詰まりが起こりやすい。しかるに本形態では、浸漬処理ST21を行うため、目詰まりが生じる前に析出した水酸化アルミニウムを効率よく取り除くことができるとともに、その後の水酸化アルミニウムの生成を抑制することができる。従って、多孔質層30の空隙35の内部に有機酸あるいはその塩を含む水溶液が残留することを抑えられる。また、リン酸イオンを含む水溶液を用いた場合、化成膜内にリン酸イオンを取り込むことにより、沸騰水や酸性溶液への浸漬に対する耐久性を向上する事ができるので、化成膜の安定性を向上することができる。
次に、化成工程ST10では、第2化成処理ST12において、硼酸やリン酸等の無機酸あるいはその塩を含み、90℃で測定した比抵抗が10Ωmから1000Ωmの水溶液(無機酸系の化成液)中において、液温が50℃から95℃の条件下でアルミニウム電極10に化成を行う。第2化成処理ST12において、化成液の液温を95℃以下とするにより化成時のアルミニウムの溶出を低く抑えることができる。このため、アルミニウムイオンが水酸化アルミニウムとして析出することによって多孔質層30の空隙35が埋まり、静電容量が低下する事態を防ぐことができる。また、化成液の液温を50℃以上とすることにより、高い皮膜耐電圧を得ることができる。ここで、化成液の比抵抗が1000Ωmを超えると健全な皮膜が形成されず、漏れ電流が著しく高くなってしまう。これに対して、化成液の比抵抗が10Ωmを下回ると、化成中に火花放電が発生するために、形成した化成膜が破壊されてしまう。
第2化成処理ST12では、アルミニウム電極10を加熱する熱デポラリゼーション処理ST32や、リン酸イオンを含む水溶液等にアルミニウム電極10を浸漬する液中デポ
ラリゼーション処理ST31を行う。デポラリゼーション処理については、熱デポラリゼーション処理ST32と、液中デポラリゼーション処理ST31とを組み合わせて行うが、いずれの組み合わせの場合も、最後のデポラリゼーション処理については熱デポラリゼーション処理ST32とすることが好ましい。また、熱デポラリゼーション処理ST32のうち、最初に行う熱デポラリゼーション処理ST32の前には、アルミニウム電極10に対して5分間以上の水洗浄処理を行うことが好ましい。図3(a)には、第2化成処理ST12において、熱デポラリゼーション処理ST32、液中デポラリゼーション処理ST31、液中デポラリゼーション処理ST31、および熱デポラリゼーション処理ST32の順に計4回のデポラリゼーション処理を行う場合を示してある。熱デポラリゼーション処理ST32では、例えば、処理温度が450℃〜550℃であり、処理時間は2分〜10分である。液中デポラリゼーション処理ST31では、20質量%〜30質量%リン酸の水溶液中において、液温が60℃〜70℃の条件で皮膜耐電圧に応じて5分〜15分、アルミニウム電極10を浸漬することが好ましい。なお、液中デポラリゼーション処理ST31では、アルミニウム電極10に電圧を印加しない。
かかる化成方法において、第1化成処理ST11では、電源電圧が第1電圧Va(V)となるまでアルミニウム電極10に定電流化成を行い、第2化成処理ST12では、電源電圧が第1電圧Va(V)より高い第2電圧Vb(V)となるまでアルミニウム電極10に定電流化成を行い、第1化成処理ST11および第2化成処理ST12のうち、少なくとも第2化成処理ST12では、定電流化成での最終到達電圧で定電圧化成を行うことが好ましい。例えば、第1化成処理ST11では、電源電圧が600V(第1電圧Va(V))となるまでアルミニウム電極10に定電流化成を行い、第2化成処理ST12では、電源電圧が650V(第2電圧Vb(V))となるまでアルミニウム電極10に定電流化成を行い、その後、定電流化成での最終到達電圧(650V(第2電圧Vb(V)))で定電圧化成を行う。
かかる定電圧化成において、定電圧を印加する保持時間は、図5に実線L21で示す保持時間の下限から、図5に破線L22で示す保持時間の上限までの範囲とする。より具体的には、皮膜耐電圧をVf(V)とし、定電圧化成の保持時間をt(分)としたとき、保持時間tの下限を示す実線L21は、以下の式
t=(0.078×Vf)
で表される。また、保持時間tの上限を示す破線L22は、以下の式
t=(0.425×Vf−50)
で表される。
従って、本形態では、皮膜耐電圧Vf(V)および電圧化成の保持時間t(分)が、以下の条件式
(0.078×Vf)≦t≦(0.425×Vf−50)
を満たすように化成工程ST10の条件を設定することが好ましい。ここで、第1化成処理ST11および第2化成処理ST12の双方において、定電圧化成を行う場合、定電圧化成の保持時間t(分)は、第1化成処理ST11での定電圧化成の時間と、第2化成処理ST12での定電圧化成の時間との和である。かかる定電圧化成の時間tが上記条件式における下限を下回ると、緻密な化成皮膜の形成が不十分となるために漏れ電流が大きくなる。これに対して、定電圧化成の時間tが上記条件式における上限を上回ると、化成皮膜が過剰に成長して空隙部分が目詰まりし、静電容量が低下する。
なお、図3(b)に示すように、第1化成処理ST11では、電源電圧が電圧Vc(V)となるまでアルミニウム電極10に定電流化成を行い、第1化成処理ST11および第2化成処理ST12のうち、少なくとも第2化成処理ST12において、電圧Vc(V)で定電圧化成を行ってもよい。例えば、第1化成処理ST11では、電源電圧が650V
(電圧Vc(V))となるまでアルミニウム電極10に定電流化成を行い、第2化成処理ST12では、650V(電圧Vc(V))で定電圧化成を行ってもよい。
(実施例)
次に、本発明の実施例を説明する。まず、表1に示す各種のアルミニウム電極10、表2に示す化成液A(A1、A2)、B(B1、B2)、および液温が50℃で、60℃で測定した比抵抗が0.2Ωmのリン酸水溶液を準備する。次に、アルミニウム電極10を表3に示す条件で化成を行ってアルミニウム電解コンデンサ用電極を作製した。また、表3に示す条件で化成を行ったアルミニウム電極10(アルミニウム電解コンデンサ用電極)に対して、皮膜耐電圧、静電容量(CV積値)、および漏れ電流を測定し、それらの結果を表4に示す。なお、化成電圧は800Vであり、耐電圧や静電容量の測定は、JEITA規格に準じる形で行った。また、アルミニウム粉体の平均粒径は、レーザー回折式粒度分布計により測定した。
表4からわかるように、第1化成処理ST11の昇圧途中にリン酸処理を行っていない比較例1は、他の条件は適切であっても、多孔質層30の空隙35内に有機酸あるいはその塩を含む水溶液が閉じ込められやすい。このため、第2化成処理ST12での発熱により、閉じ込められた有機酸あるいはその塩を含む水溶液が蒸発して膨張し、また、熱デポラリゼーション処理の際に多孔質層30の空隙35内で有機酸が燃焼して爆発し、多孔質層30が損傷した。
また、純水ボイルで生成されるアルミニウム水和膜の量が過剰である比較例2は、他の条件は適切であっても、多孔質層30の空隙35内に有機酸あるいはその塩を含む水溶液が閉じ込められ、第2化成処理ST12または熱デポラリゼーション処理ST32において多孔質層30が損傷した。
純水ボイル工程で生成されるアルミニウム水和膜の量が少ない比較例3は、他の条件は適切であっても、第1化成処理ST11中に過剰な発熱が生じて多孔質層30が損傷した。
第1化成処理ST11の際の有機酸あるいはその塩を含む水溶液の温度が80℃を超える温度(90℃)である比較例4は、他の条件は適切であっても、多孔質層30の空隙35内に有機酸あるいはその塩を含む水溶液が閉じ込められ、第2化成処理ST12中の発熱により、多孔質層30が損傷した。
これに対して、純水ボイル工程ST20で生成されるアルミニウム水和膜の量が適正であり、かつ、第1化成処理ST11の昇圧途中に1回以上のリン酸処理を行い、かつ、第1化成処理ST11の温度が80℃以下である実施例1〜10、および比較例5〜7では、多孔質層30が損傷するという不具合は発生しなかった。
但し、比較例5、6では、アルミニウム粉体の平均粒径が1μmから10μmの範囲から外れているため、静電容量が低い。また、第1化成処理ST11の温度が30℃未満である比較例7は、静電容量が低い。それ故、実施例1〜10に係る製造方法が好ましい。
また、実施例1〜10のうち、定電圧化成の時間が、図5に示す適正範囲を超える実施例9は、他の条件は適切であっても、生成する化成皮膜が過剰になって多孔質層30の空隙が目詰まりしてしまい、静電容量が低下する傾向にある。また、定電圧での保持の合計の時間が、図5に示す適正範囲を下回る実施例10は、他の条件は適切であっても、緻密な化成皮膜が十分に形成されないために、漏れ電流が増加して、耐電圧が低下する傾向にある。それ故、実施例1〜10のうち、実施例1〜8に係る製造方法がより好ましい。
10・・アルミニウム電極
20・・アルミニウム芯材
30・・多孔質層
35・・空隙
ST10・・化成工程
ST11・・第1化成処理
ST12・・第2化成処理
ST20・・純水ボイル工程
ST21・・浸漬処理

Claims (6)

  1. 平均粒径1μmから10μmのアルミニウム粉体を焼結して成る多孔質層がアルミニウム芯材の表面に150μmから3000μmの厚さで積層されたアルミニウム電極を純水中でボイルする純水ボイル工程と、
    該純水ボイル工程の後、前記アルミニウム電極に皮膜耐電圧が400V以上となるまで化成する化成工程と、
    を有するアルミニウム電解コンデンサ用電極の製造方法であって、
    前記皮膜耐電圧をVf(V)とし、前記純水ボイル工程によって増加した質量の割合をx(%)としたとき、Vf(V)およびx(%)が、以下の条件式
    (0.01×Vf)≦x≦(0.017×Vf+28)
    を満たし、
    前記化成工程では、
    有機酸あるいはその塩を含み、50℃で測定した比抵抗が5Ωmから500Ωmの水溶液中において、液温が30℃から80℃の条件下で前記アルミニウム電極に化成を行う第1化成処理と、
    該第1化成処理の後、無機酸あるいはその塩を含み、90℃で測定した比抵抗が10Ωmから1000Ωmの水溶液中において、液温が50℃から95℃の条件下で前記アルミニウム電極に化成を行う第2化成処理と、
    を行い、
    前記第1化成処理では、昇圧途中に、リン酸イオンを含む水溶液に前記アルミニウム電極を浸漬する浸漬処理を行うことを特徴とするアルミニウム電解コンデンサ用電極の製造方法。
  2. 前記第1化成処理では、電源電圧が400V以上となるまで前記アルミニウム電極に化成を行うことを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム電解コンデンサ用電極の製造方法。
  3. 前記リン酸イオンを含む水溶液は、液温が40℃から80℃であり、60℃で測定した比抵抗が0.1Ωmから5Ωmであるリン酸水溶液であり、当該リン酸水溶液に対する前記アルミニウム電極の浸漬時間が3分から30分であることを特徴とする請求項1または2に記載のアルミニウム電解コンデンサ用電極の製造方法。
  4. 前記第1化成処理では、電源電圧が第1電圧Va(V)となるまで前記アルミニウム電極に定電流化成を行い、
    前記第2化成処理では、電源電圧が前記第1電圧Va(V)より高い第2電圧Vb(V)となるまで前記アルミニウム電極に定電流化成を行い、
    前記第1化成処理および前記第2化成処理のうち、少なくとも前記第2化成処理では、前記定電流化成での最終到達電圧で定電圧化成を行うことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のアルミニウム電解コンデンサ用電極の製造方法。
  5. 前記第1化成処理では、電源電圧が電圧Vc(V)となるまで前記アルミニウム電極に定電流化成を行い、
    前記第1化成処理および前記第2化成処理のうち、少なくとも前記第2化成処理では、前記電圧Vc(V)で定電圧化成を行うことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のアルミニウム電解コンデンサ用電極の製造方法。
  6. 前記皮膜耐電圧をVf(V)とし、前記定電圧化成の時間をt(分)としたとき、Vc(V)およびt(分)は、以下の条件式
    (0.078×Vf)≦t≦(0.425×Vf−50)
    を満たすことを特徴とする請求項4または5に記載のアルミニウム電解コンデンサ用電極
    の製造方法。
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