JP2003192412A - 石灰系プラスターの改質剤及び組成物 - Google Patents

石灰系プラスターの改質剤及び組成物

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JP2003192412A
JP2003192412A JP2001391195A JP2001391195A JP2003192412A JP 2003192412 A JP2003192412 A JP 2003192412A JP 2001391195 A JP2001391195 A JP 2001391195A JP 2001391195 A JP2001391195 A JP 2001391195A JP 2003192412 A JP2003192412 A JP 2003192412A
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Masahiko Otsuka
雅彦 大塚
Takahiro Itamochi
貴裕 板持
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 石灰系プラスターを用いた漆喰調仕上げ材に
関し、該材料の粘度変化がなく、容易に施工することが
でき、かつ厚塗りしても割れがなく、下地との密着性及
び耐水性を向上させる石灰系プラスターの改質剤及びそ
れを用いた石灰系プラスター組成物を提供することを目
的とする。 【解決手段】 特定のラテックスを改質剤として用いる
こと、また特定のラテックスと石灰系プラスターとの組
み合わせが、粘度安定性が向上し、厚塗りしても乾燥時
の割れがなく、下地との密着性も向上し、かつ乾燥塗膜
の耐水性も良好となることを見いだした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、石灰系プラスター
の改質に有用な改質剤に関し、さらには、石灰系プラス
ターと改質剤としてのラテックスとを含む組成物に関す
る。本発明の石灰系プラスターの改質剤、石灰系プラス
ター組成物は、建築物の内外装仕上げ材、又装飾用の材
料等として使用される。
【0002】
【従来の技術】建築物の仕上げ材に要求される性能は、
乾燥(硬化)が早く、下地に対する付着性が高いことで
あり、耐久性が良いことである。更には施工時の作業性
が良く、工期の短縮化が図られ、かつ低価格が望まれて
いる。しかし、消石灰および/またはドロマイトプラス
ター等の石灰系プラスターを用いた漆喰調仕上げでは、
通常そのまま使用すると乾燥時に割れが発生しやすい、
表面強度が高い反面内部強度が低い、下地との密着性が
悪いという重大な欠点を有している。
【0003】このため、石灰系プラスターを用いた漆喰
調仕上げにおいては、薄く数回に分け塗り重ねる工法が
一般的となっており、漆喰調仕上げによる美観、湿度調
整機能等材料の良さは認識されているが、工事の手間、
価格、技術レベルの高い左官職人の不足が問題視されて
いる。石灰系プラスターの改質剤として割れ防止及び下
地との密着性の向上を目的としたラテックスの添加が、
特開昭60−16855号公報、特開平4−68155
号公報に開示されている。この方法では割れ防止及び下
地との密着性は向上する反面、石灰系プラスターとラテ
ックスの配合物粘度が経時的に大きく変化する問題が残
っている。
【0004】この配合物の粘度変化に対しては特開平7
−196355号公報では、消石灰組成物にアルコー
ル、エチレングリコール等を加え、さらにポリカルボン
酸系、ナフタリンスルホン酸系等の分散剤の添加によ
り、この問題の解決を図る技術が開示されている。しか
しながら、本開示技術では消石灰とラテックスと分散剤
とのみの組み合わせにおいては保存安定性(本願でいう
粘度安定性)が不充分であり、例えばエチレングリコー
ルなどの溶剤を添加してはじめて保存安定性が達成され
る。また、配合時に添加剤、及び特定の溶剤をも添加す
るという煩雑さがあり、配合時でのミスを生じる問題が
ある。したがって、乾燥時に発生する割れを防止し、か
つ石灰系プラスター組成物の粘度変化が抑えられるラテ
ックス及びその石灰系の組成物が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、石灰系プラ
スターを用いた漆喰調仕上げ材に関するものであり、材
料の粘度変化がないため容易に施工することができ、か
つ厚塗りしても割れがない、石灰系プラスターの改質剤
及びそれを用いた石灰系プラスター組成物を提供するこ
とを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、特定のラテ
ックスを改質剤として用いること、また特定のラテック
スと石灰系プラスターとの組み合わせが前記課題を解決
するために有効であることを見いだし、本発明をなすに
至った。すなわち、本発明は、 1.(A)エチレン性不飽和ジカルボン酸単量体0.5
〜5質量%、(B)(A)と共重合可能なその他のビニ
ル系単量体95〜99.5質量%とを含む単量体組成
物、及び下記の(a)アニオン性界面活性剤及び/又は
(b)非イオン性界面活性から選ばれる一種以上の界面
活性剤(C)を用いて乳化重合して得られるラテックス
(1)を含む石灰系プラスターの改質剤であり、 (a)アニオン性界面活性剤:(a−1)アルキル硫酸
エステル、(a−2)ポリオキシエチレンアルキルエー
テル硫酸エステル塩、(a−3)アルキルベンゼンスル
フォン酸塩、(a−4)アルキルナフタレンスルフォン
酸塩、(a−5)アルキルスルホコハク酸塩、(a−
6)アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸塩、
(a−7)ナフタレンスルフォン酸ホルマリン縮合物、
(a−8)ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫
酸エステル塩、(a−9)ポリオキシエチレンジスチレ
ン化フェニルエーテル硫酸エステル塩。 (b)非イオン性界面活性剤:(b−1)ポリオキシエ
チレンアルキルエーテル、(b−2)ポリオキシアルキ
レンアルキルエーテル、(b−3)ポリオキシエチレン
多環フェニルエーテル、(b−4)ポリオキシエチレン
ジスチレン化フェニルエーテル。
【0007】2.該ラテックス(1)と、石灰系プラス
ター(2)とを含むことを特徴とする石灰系プラスター
組成物である。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明について、以下に具体的に
説明する。本発明の石灰系プラスターの改質剤に含まれ
るラテックス(1)は、(A)エチレン性不飽和ジカル
ボン酸単量体を0.5〜5質量%、(B)(A)と共重
合可能なその他のビニル系単量体95〜99.5質量%
とを含む単量体組成物、及び特定の界面活性剤(C)を
用いて乳化重合して得られる。
【0009】本発明で用いられる(A)エチレン性不飽
和ジカルボン酸単量体としては例えばイタコン酸、フマ
ール酸、マレイン酸等が挙げられる。好ましくはイタコ
ン酸、フマール酸である。(A)と共重合可能なその他
のビニル系単量体としては、例えばスチレンを代表とす
る芳香族ビニル類、アクリロニトリル、メタクリロニト
リルなどのシアン化ビニル類、アクリル酸エチル、アク
リル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタク
リル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シク
ロヘキシルなどの(メタ)アクリル酸エステル類、1,
3―ブタジエン、1,3−イソプレンなどの共役ジエン
系単量体類、酢酸ビニル、ベオバ、エチレン、塩化ビニ
ルなどのエチレン性単量体などが挙げられる。さらに、
水酸基、アミド基、アミノ基、メチロール基、グリシジ
ル基、スルホン酸基、リン酸基などの官能基を有する各
種のビニル系単量体、またアクリル酸、メタクリル酸な
どのエチレン性不飽和カルボン酸単量体なども所望に応
じて使用できる。これらの単量体は1種又は2種以上の
複数で使用できる。
【0010】好ましくは芳香族ビニル類、(メタ)アク
リル酸エステル類、エチレン性不飽和カルボン酸単量体
である。特にエチレン性不飽和ジカルボン酸とエチレン
性不飽和カルボン酸とを併用することが好ましい。本発
明のラテックス(1)に用いられるエチレン性不飽和ジ
カルボン酸は全単量体中0.5〜5質量%である。0.
5質量%以上で石灰系プラスター組成物の経時的な粘度
変化が抑えられ、さらに割れ防止効果が向上する。5質
量%以下で、乾燥塗膜の耐水性に問題ない。好ましくは
1〜3質量%である。
【0011】本発明のラテックス(1)のガラス転移温
度Tgは−50〜40℃が好ましい。−50℃以上で石
灰系プラスター乾燥塗膜の耐水性に問題がなく、40℃
以下で乾燥塗膜の割れに問題がない。好ましくは−40
〜20℃である。本発明のラテックス(1)は、乳化重
合法によって得られる。乳化重合の方法に関しては特に
制限はなく、従来公知の方法を用いることができる。例
えば、水性媒体中で前記の単量体組成物、連鎖移動剤、
特定の界面活性剤(C)、ラジカル重合開始剤および、
必要に応じて用いられる他の添加剤成分を基本組成成分
とする分散系で、単量体組成物を重合することにより得
ることができる。そして、重合に際しては、供給する単
量体組成物の組成を全重合過程で一定にする方法や重合
過程で逐次、あるいは連続的に変化させることによって
生成するラテックス粒子の形態的な組成変化を与える方
法など所望に応じてさまざまな方法が利用できる。
【0012】本発明で用いられる界面活性剤(C)は、
特定の(a)アニオン性界面活性剤及び/又は(b)非
イオン性界面活性剤から選ばれる一種以上である。
(a)アニオン性界面活性剤としては、(a−1)アル
キル硫酸エステル、(a−2)ポリオキシエチレンアル
キルエーテル硫酸エステル塩、(a−3)アルキルベン
ゼンスルフォン酸塩、(a−4)アルキルナフタレンス
ルフォン酸塩、(a−5)アルキルスルホコハク酸塩、
(a−6)アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸
塩、(a−7)ナフタレンスルフォン酸ホルマリン縮合
物、(a−8)ポリオキシエチレン多環フェニルエーテ
ル硫酸エステル塩、(a−9)ポリオキシエチレンジス
チレン化フェニルエーテル硫酸エステル塩が挙げられ、
(b)非イオン性界面活性剤としては、(b−1)ポリ
オキシエチレンアルキルエーテル、(b−2)ポリオキ
シアルキレンアルキルエーテル、(b−3)ポリオキシ
エチレン多環フェニルエーテル、(b−4)ポリオキシ
エチレンジスチレン化フェニルエーテルが挙げられる。
【0013】乳化重合において上記の界面活性剤(C)
の種類は上記のものであれば、特に限定されないが、
(a)アニオン性界面活性剤から選ばれる一種以上の界
面活性剤と、(b)非イオン性界面活性剤から選ばれる
一種以上の界面活性剤との併用が石灰系プラスター組成
物の粘度変化が少ないことから好ましい。界面活性剤
(C)の全単量体に対する量は特に限定されない。但
し、非イオン性界面活性剤の場合、全単量体100質量
部に対して非イオン性界面活性剤が3〜15質量部が好
ましい。3質量部以上で石灰系プラスター組成物の粘度
安定性が向上し、15質量部以下で密着性に問題ない。
より好ましくは5〜10質量部である。また、非イオン
性界面活性剤で好ましくはHLBが14以上のものがよ
く、より好ましくはHLBが16以上である。
【0014】本発明のラテックスを乳化重合する際、必
要に応じて上記以外の界面活性剤を使用してもよい。例
えば、アニオン性界面活性剤としては脂肪酸塩、アルキ
ルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエー
テル硫酸エステル塩等が挙げられ、非イオン性界面活性
剤としてはソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチ
レンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソ
ルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステ
ル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエ
チレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、
ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等が挙げ
られる。
【0015】これらのほかに親水基と親油基を有する界
面活性剤の化学構造式の中にエチレン性2重結合を導入
した、いわゆる反応性界面活性剤を用いても良い。界面
活性剤(C)以外の上記界面活性剤の全単量体に対する
量は特に限定されないが、全単量体100質量部に対し
て15質量部以下が好ましい。界面活性剤の使用方法は
特に限定されず、例えば乳化重合時に全量使用しても、
また乳化重合後にさらに必要量を添加してもよい。
【0016】重合開始剤としては、熱または還元性物質
によりラジカル分解して単量体の付加重合を開始させる
ものであり、無機系開始剤および有機系開始剤のいずれ
も使用できる。このようなものとしては、水溶性、油溶
性の重合開始剤が使用できる。水溶性の重合開始剤とし
ては、例えば過硫酸塩、過酸化物、水溶性のアゾビス化
合物、過酸化物−還元剤のレドックス系等が挙げられ、
ペルオキソ二硫酸塩としては例えばペルオキソ二硫酸ア
ンモニウム、ペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソ二
硫酸ナトリム、等が挙げられ、過酸化物としては例えば
過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−
ブチルパーオキシマレイン酸、コハク酸パーオキシドが
挙げられ、水溶性アゾビス化合物としては、例えば2,
2’−アゾビス(N−ヒドロキシエチルイソブチルアミ
ド)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2
塩化水素、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン
酸)等が挙げられ、過酸化物−還元剤のレドックス系と
しては、例えば先の過酸化物にナトリウムスルホオキシ
レートホルムアルデヒド、亜硫酸水素ナトリウム、チオ
硫酸ナトリウム、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリ
ウム、L−アスコルビン酸、およびその塩、第一銅塩、
第一鉄塩等の還元剤を重合開始剤に組み合わせて用い
る、いわゆるレドックス重合法を採用することもでき
る。
【0017】油溶性の重合開始剤としては例えば過酸化
物、油溶性のアゾビス化合物等が挙げられ、過酸化物と
しては、例えば過酸化ジブチル、過酸化ベンゾイル、過
酸化ラウロイル、クメンハイドロ過酸化物等が挙げら
れ、油溶性のアゾビス化合物としては、例えば2,2’
−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−
2−メチルブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,
4−ジメチルバレロニトリル等が挙げられる。
【0018】この乳化重合における重合温度は、通常6
0〜100℃の範囲で選ばれるが、前記レドックス重合
法等により、より低い温度例えば20〜40℃で重合を
行っても良い。また、例えば2段階重合においては、第
1段での重合温度と第2段での重合温度は同じでも異な
っていても良い。本発明で使用するラテックス(1)に
おいては、必要に応じ各種重合調整剤を添加することが
できる。例えば、pH調整剤として、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸水素ナ
トリウム、炭酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムな
どを添加することができる。
【0019】本発明に用いられる石灰系プラスター
(2)としては、例えばJIS A6902に規定する
左官用消石灰、JIS A6903に規定するドロマイ
トプラスターなどが挙げられる。本発明のラテックス
(1)と石灰系プラスター(2)との量比は、石灰系プ
ラスター(2)100質量部(固形分)に対し、ラテッ
クス(1)が5〜100質量部(固形分)であることが
望ましい。ラテックス(1)5質量部以上で下地への密
着性、及び乾燥塗膜の割れが問題なく、100質量部以
下で組成物の粘度安定性に問題なく、経済性の点でも問
題ない。好ましくは石灰系プラスター(2)100質量
(固形分)に対して、ラテックス(1)が10〜70質
量部(固形分)である。
【0020】本発明の石灰系プラスター組成物を調整す
る際における水の配量に特に制限はなく、施工方法によ
り異なる。鏝塗りの場合は、JIS R5201セメン
トの物理試験方法、9.7、フロー試験に規定する試験
方法で160〜190mmに対応する量が望ましい。他
方、吹き付け或いはローラー施工では、BH型粘度計で
1000〜50000mPa・sに対応する量が望まし
い。本発明の石灰系プラスターの改質剤もしくは石灰系
プラスター組成物には、上記以外の他の成分を添加して
も良い。例えば、充填剤(砂、珪砂、寒水砂、天然及び
人工軽量骨材、炭酸カルシウム、チタン等)、減水剤及
び流動化剤(ポリカルボン酸系、メラミンスルホン酸
系、ナフタリンスルホン酸系、リグニンスルホン酸系
等)、収縮低減剤(グリコールエーテル系、ポリエーテ
ル系等)、耐寒剤(塩化カルシウム、珪酸塩等)、防水
剤(ステアリン酸、シリコーン等)、防錆剤(リン酸
塩、亜硝酸塩等)、粘度調整剤(メチルセルロース、ヒ
ドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール
等)、膨張剤(エトリンガイト系)、着色剤(酸化鉄、
酸化クロム等)、消泡剤(シリコン系、鉱油系等)、補
強剤(鋼繊維、ガラス繊維、合成繊維、すさ等)、さら
には増粘剤、濡れ剤、レベリング剤、成膜助剤、溶剤、
可塑剤、分散剤、耐水化剤、潤滑剤等が挙げられる。
【0021】本発明の石灰系プラスター組成物の被塗布
物は特に限定されず、例えばコンクリート、モルタル、
プラスチックシート、繊維シート、木質材料などが挙げ
られる。その塗布方法も特に限定されず、スプレー、ロ
ール、コテ塗り、はけ塗り、ローラー、カーテンフロー
コーターなどが挙げられる。また、乾燥方法も特に限定
されず、室温での自然乾燥、乾燥炉による強制乾燥など
が挙げられる。本発明の石灰系プラスター組成物の用途
は特に限定されず、建築物の内外装の仕上げ材、装飾用
の材料などが挙げられる。本発明を実施例に基づいて説
明する。本発明の実施態様は、これらによって限定され
るものではない。なお、例中の部数、混合割合などは全
て固形分で示した。また、「部」は特に断らない限り
「質量部」を示すものである。
【0022】各特性は次のようにして求めた。 経時的な粘度変化 表2、表4に示す石灰系プラスター配合物を用いて、粘
度を測定した。測定条件はBH型粘度計、10rpmで
ある。評価は、配合直後の粘度に対する50℃14日放
置後の粘度倍率とした。粘度倍率3.0倍以内を合格と
した。 割れ発生の状態 JIS A5304に規定するコンクリート平板に、2
mm厚で表2、表4の石灰系プラスター配合物を塗りつ
け、1日後(20℃/65%RH条件下)の割れ発生の
状態を観察した。評価は以下を基準に5段階で評価し
た。割れ状態が3以上を合格とした。 5:割れの発生なし 3:一部に割れが発生 1:全面に割れが発生 耐水付着 割れ発生の状態3以上の試料を20℃65%RHの恒温
室で14日間養生した後、さらに20℃の水中に24時
間浸漬し、湿潤状態のままで建研式引っ張り試験器を用
いて接着強さを測定した。1.0N/mm2以上を合格
とした。
【0023】
【実施例1〜4】表1に示すエチレン性不飽和ジカルボ
ン酸単量体を含む単量体組成物100質量部に、(a)
アニオン性界面活性剤0.2質量部、(b)非イオン性
界面活性剤3質量部、ペルオキソ二硫酸アンモニウム
0.5質量部、水108.3質量部の混合物を常法に従
った乳化重合法で重合した。重合後ラテックスのpHを
8に調整し、その後HLB19.2のポリオキシエチレ
ンアルキルエーテルを5部添加した。次いで、固形分が
45%となるよう水を配合し、実施例1〜10のラテッ
クスを得た。
【0024】得られたラテックスに、表2に示すよう消
石灰、水を加え配合物を得た。その配合物の経時的な粘
度変化、割れ発生の状態、耐水付着を測定した。その結
果を表2に合わせて示す。また、使用した原材料の詳細
は下記の通りである。 消石灰 :左官用消石灰 上塗り (村樫石灰工業(株)製) 水 :水道水
【0025】
【比較例1〜3】表3に示す単量体組成物100質量部
に、(a)アニオン性界面活性剤0.2質量部、(b)
非イオン性界面活性剤3質量部、ペルオキソ二硫酸アン
モニウム0.5質量部、水108.3質量部の混合物を
常法に従った乳化重合法で重合した。重合後ラテックス
pHを8に調整し、その後HLB19.2のポリオキシ
エチレンアルキルエーテルを5部添加した。次いで、固
形分が45%となるよう水を配合し、比較例1〜2のラ
テックスを得た。
【0026】比較例3においては重合後のラテックスの
pHを8に調整し、その後HLB18.2のポリオキシ
エチレンノニルフェニルエーテルを5部添加した。次い
で、固形分が45%となるよう水を配合し、比較例3の
ラテックスを得た。表4に示す配合を行い、実施例1と
同様に評価を行った。表4から分かる様に、比較例1の
ラテックスでは貯蔵安定性においてゲル化を示し不良で
あり、比較例2のラテックスでは耐水付着が不良であ
り、比較例3のラテックスでは本発明の評価において貯
蔵安定性が不良であった。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
【表3】
【0030】
【表4】
【0031】
【発明の効果】本発明の石灰系プラスター改質用ラテッ
クスは、石灰系プラスター配合物の粘度変化がなく作業
性が大幅に向上する。さらに石灰系プラスターと改質剤
であるラテックスを予め混合しておくことも可能であ
り、例えば内外装仕上げ材として有用である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)エチレン性不飽和ジカルボン酸単
    量体0.5〜5質量%、(B)(A)と共重合可能なそ
    の他のビニル系単量体95〜99.5質量%とを含む単
    量体組成物、及び下記の(a)アニオン性界面活性剤及
    び/又は(b)非イオン性界面活性から選ばれる一種以
    上の界面活性剤(C)を用いて乳化重合して得られるラ
    テックス(1)を含む石灰系プラスターの改質剤。 (a)アニオン性界面活性剤:(a−1)アルキル硫酸
    エステル、(a−2)ポリオキシエチレンアルキルエー
    テル硫酸エステル塩、(a−3)アルキルベンゼンスル
    フォン酸塩、(a−4)アルキルナフタレンスルフォン
    酸塩、(a−5)アルキルスルホコハク酸塩、(a−
    6)アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸塩、
    (a−7)ナフタレンスルフォン酸ホルマリン縮合物、
    (a−8)ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫
    酸エステル塩、(a−9)ポリオキシエチレンジスチレ
    ン化フェニルエーテル硫酸エステル塩。 (b)非イオン性界面活性剤:(b−1)ポリオキシエ
    チレンアルキルエーテル、(b−2)ポリオキシアルキ
    レンアルキルエーテル、(b−3)ポリオキシエチレン
    多環フェニルエーテル、(b−4)ポリオキシエチレン
    ジスチレン化フェニルエーテル。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のラテックス(1)と、石
    灰系プラスター(2)とを含むことを特徴とする石灰系
    プラスター組成物。
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