JP2003189811A - 豆乳の製造方法、豆乳、豆腐およびこれら製造用大豆粉末 - Google Patents
豆乳の製造方法、豆乳、豆腐およびこれら製造用大豆粉末Info
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Abstract
つきがなく食感のよい豆乳、さらには豆腐、これらをお
からを出さないかまたはその発生量を低減することがで
きる豆乳の製造方法、その原料としての大豆粉末の提
供。 【解決手段】乾燥丸大豆の粉砕物であって、粒度D50値
が40μm以下であり、かつ90℃×1.5時間の加熱
による質量減少分として測定される含水率が5.2%以
上である豆乳または豆腐製造用大豆粉末。これを原料と
する豆乳、豆腐。
Description
は豆腐製造用大豆粉末、該大豆粉末を用いた豆乳の製造
方法、さらには該方法により得られる風味があって食感
がよく、特にザラつき(粉っぽさ)のない豆乳および豆
腐に関する。
スラリー(生呉)を煮沸して得られる煮呉の搾り汁(大
豆のタンパク質成分)である。この豆乳をニガリなどで
凝固させて豆腐とする。上記のように豆乳を製造するに
は、製造前日に作業を開始し、丸大豆を一晩水に浸して
仕込む必要がある。また得られた生呉は腐敗しやすいた
め、調製した生呉は直ちに煮沸するとともに、煮呉の熱
いうちに目の詰んだ濾布を用いて豆乳を搾り出し、おか
らを分離する必要がある。このため従来の豆乳および豆
腐(以下、単に豆乳と略記することもある。)の製造方
法は、拘束時間が長い上、熱い煮呉の絞り出しなど、手
間と労力が強いられるという課題がある。
豆の約半分はおからとなり、本質的に原料利用率が低い
という課題がある。おからは加水により膨潤した大豆の
絞り滓であり、重さでは、おから発生量の方が原料使用
量よりもむしろ多量となり、通常大豆1tから1.2t
程度のおからが出る。おからの主成分は大豆の皮部分で
あり、繊維などの栄養学的に有用成分を多く含むが、豆
乳成分である大豆タンパク質よりも腐敗しやすく、利用
方法は限られ、その一部が惣菜あるいは家畜飼料などと
して利用されているにすぎない。利用されないおからは
産業廃棄物として処分する必要があり、処分費用がかか
るだけでなく、ロンドン条約施行により海洋投棄が全面
禁止される2002年以降は、その処分がますます困難
になると予想される。
て、豆腐(豆乳)製造原料として大豆粉末を用いること
が検討されてきた。すなわち吸水・膨潤した後でも、濾
布の布目(125μm程度)を通過しうる微細な大豆粉
末を用いれば、磨砕スラリーの調製工程および煮呉の濾
過工程を省略または簡略化することができ、製造作業に
係る労力を軽減することができると考えられる。とりわ
け、搾り滓のおからを生じないかあるいはその量を低減
することができるため、原料大豆の有効利用とともにお
からの処分問題の点でも有利である。
m)よりも大きい粒子にザラつきを感じるとされてお
り、特に粒径が60μm程度より大きくなるとザラつき
を感じるとされている。このため煮沸後、吸水により原
料粒子より膨潤してもザラつきを感じない豆乳粒子を得
るためには、煮釜に供給する大豆は微粉末化するのが好
ましいと考えられている。ところが大豆は、油脂分を多
く含むなどの組成上、穀類ほど容易に微粉化出来ない。
このため一般的には、繊維質で微粉砕しにくい皮部分を
除去した脱皮大豆を原料として、乾燥条件下で粉砕して
いるが、粉砕時の発熱、剪断などにより、黄な粉状態に
なる場合も多い。
日間)をかけて水分除去した後、微粉機(高速スイング
ハンマー)で粉砕し、さらに極超短波(λ12cm×1
日)を照射した500メッシュ以下の微粉末を豆腐製造
に用いること(特開2000−287638号)が提案
されている。しかしながら粉末化時に超音波乾燥した大
豆は、直接加熱していなくても大豆たんぱくが変質(主
に熱変質)し、いわゆる黄な粉に近い状態となってしま
い、これを水と混合してももはや吸水し難く、大豆に対
し数倍の水を含ませる豆乳の製造にはむかない。
あっても、大豆粉末のみを原料として凝固性、風味、食
感(特にザラつき)などの点で満足しうる豆腐(豆乳)
は得られないとし、従来の生呉汁、豆乳あるいは大豆蛋
白などを併用する方法も提案されている。たとえば特開
平7−51016号には、豆腐を含む各種食品原料に適
した大豆粉として同一出願人により先に特開平7−39
336号で提案された低温粉砕により得られる全脂大豆
粉であって、凝固後に舌にザラつかない程度に微細(平
均粒度30μm以下)で、NSI(水溶性窒素指数)が
生大豆と同等の80以上の大豆粉を用いても、大豆粉末
のみからでは凝固力が不足し、硬さの充分ではない粉っ
ぽい豆腐ができるとし、分離大豆蛋白粉を3〜11重量
%程度混合することが提案されている。なお上記先願に
開示される全脂大豆粉は、半割れ大豆を脱皮した後、衝
撃式粉砕機により、粉砕温度0〜25℃で、重量基準の
平均粒径が25μm以下で、かつ粒径50μm以下の重
量が90%以上としたものである。
大豆粉末含有豆腐には、大豆粉末を豆乳と混合すれば、
100μmを超える粗砕粉末を含んでいてもザラついた
食感は抑制できる旨記載されている。なお該公報は、大
豆粉末を、生呉汁または豆乳と混合して豆腐を製造する
方法を提案するものであり、上記大豆粉末として、摩擦
粉砕方式などで粉砕した好ましくは8〜15μm程度の
微細粉末、およびハンマーミルなどで粉砕した100μ
m超の粗砕粉末が例示されている。
た豆腐が風味に欠ける理由は大豆粉砕時に存在する水が
油脂分を除去するためであるとして、固定刃と回転刃と
を相対して設けた磨砕装置に供給する原料大豆の含水率
を15重量%以下に規定した提案もある(特開2000
−60473号)。該公報には、粒度が小さくなるに従
い、製造した豆腐中に粒子がそのまま残存し、食したと
きにザラつきを感じるとし、おからの発生量とのバラン
スを考慮して、120メッシュ(目開き131μm、線
径80μmのふるい)程度の粒度とする旨記載されてい
る。
末を用いる豆腐の製造方法は、作業面、資源面および廃
棄物処理面で有利であると考えられるため、従来熱心に
検討されてきたが、実質的に大豆粉末のみからでは、豆
乳に生大豆味および青臭さが残りやすく、風味に欠け、
また凝固性、テクスチャーなども含め豆腐の食感が得ら
れないなどの課題が残り、商業的に流通しうる品質の豆
腐は得られていないのが実情である。特に豆乳および豆
腐にザラつき感があるという食感上致命的な課題があ
る。本発明は、大豆粉末を用いる場合に特有の課題、特
にザラつき感の問題を解決し、従来の丸大豆からつくる
ものと同様に風味、食感のよい豆乳および豆腐、このよ
うな豆乳および/または豆腐を商業的に流通しうるレベ
ルで安定的に製造しうる原料大豆粉末およびこれを用い
た豆乳の製造方法を提供することを目的としている。
うな課題を解決し、大豆粉末を用いた豆乳および豆腐の
製造を商業レベルで実施化すべく鋭意検討した。特に従
来困難であったザラつき感の問題を解決すべく、原料
(大豆粉末)および製造工程について、詳さに検討し、
いくつかの知見を得ることができた。まず大豆粉末の粒
径(粒度)についていえば、大豆が吸水・膨潤した時、
ザラつき感の目安とされる60μm以下の粒子とするた
め、平均粒度(最小粒径からの50%累積粒度)D50値
が20〜30μm程度となるまで微粉砕しても、適切な
粉砕条件を選択すれば、黄な粉状態ではない大豆粉末を
得ることは可能である。ところがこのような粒径の大豆
粉末のスラリーを従来の生呉と同様に煮沸しても、豆乳
にはザラつき感が残る。
法でつくられた豆乳の粒度を測定すると、濾布目の大き
さを上限として、平坦または複数のピークを有する広い
粒度分布が観測される。したがっておからを出さないと
いう大豆粉末を用いる本質的な課題から、原料粉末は最
大で100μm程度とすべき制約はあるが、これ以下の
粒度で格別に微粉とするよりも、D50値が40μm程度
であればよく、また平坦または複数の小さなピークを有
する分布であればよいという知見を得た。なお粒度が小
さくなるに従いザラつき感があるとする報告(前記特開
2000−60473号)もあり、従来技術が必ずしも
全て微粉にすべきとする訳ではないが、分布パターンに
ついての報告はない。
集合状態に起因して均質に加熱できないことが多い。し
かし上記D50値が20〜30μm程度の微粉末を用いて
ダマを造らないように撹拌して均質スラリーとしても、
ザラつきは残った。該豆乳には生大豆味および青臭さも
残ることから、本発明者は、豆乳のザラつきは大豆粉末
が充分加熱されてないためであると考えた。粒径数十ミ
クロンレベルの小サイズの大豆が芯まで均等に加熱(煮
熟)されないことは予想外の知見といえる。つまり大豆
を微粉末とするだけでは、ザラつきの問題を解決するこ
とは困難である。なお従来、ザラつきと粒径とについて
は多く検討されているが、ザラつきの原因を煮沸に着目
して詳細に検討した例は見当たらない。
め充分吸水させてから煮沸することが有効的と考えられ
る。しかし丸大豆の場合には一晩水に浸漬させるのに対
し、大豆粉末の場合には、水との接触により極めて変質
しやすいことがわかった。またこの変質の目安は、大豆
粉末浸漬水のpHを測定すればよいこと、さらにこのp
Hが6.4よりも酸性になると、豆乳に腐敗臭がつき始
めるという知見を得ている。なお大豆浸漬水のpHは、
浸漬開始から約10分経過した程度でも6.4に低下す
る。しかも大豆粉末は粉砕することにより、粒子表面に
糖質、油脂分が付着して吸水しにくく、丸大豆の大きさ
に比べ、桁違いに小さい粒子であるにも拘らず、上記短
時間では十分に吸水しない。
来の丸大豆のように予め水を含水させてから煮沸するこ
とは困難である。本発明者は、これら知見に基づきさら
に検討を続けるうちに、大豆粉末に外部から吸水させる
のではなく、大豆が本来有する水分を可能な限り保持さ
せれば、ザラつきのない豆乳を得ることができることを
見出した。これについて説明する。
%程度である。これを上記各公報にも記載されるような
各種粉砕機を使用して粉末化する際には、水分率に注意
を払わず100μm以下に粉砕すると、粉砕時の強い剪
断、発熱などにより、特に乾燥を図らなくても大豆は乾
燥される。本発明者らの測定したところでは、従来豆腐
製造用とされる大豆粉末の含水量は、いずれも極めて少
なく、最大でも5%を超えるものはなかった。そして乾
燥されることにより酸化されやすく、タンパク質に変性
を生じやすいことがわかった。含水率5%以下の大豆粉
末からはザラつきのない豆乳を安定的に得ることはでき
なかった。
る以外は、最終的に同じ粒度となるように粉砕条件を種
々選択して粉砕した大豆粉末を、含水量と豆乳のザラつ
き感との関係で試験したところ、少なくとも5.2%の
含水量を保持させれば、ザラつきのない豆乳が確実に得
られることを確信でき、本発明を完成するに至った。大
豆本来の水分に着目してこれを大豆粉末に保持させる検
討例はなく、勿論、含水量を5.2%以上に保持させれ
ば、大豆粉末を用いてもザラつき、青臭さのない豆乳
(豆腐)が得られることは知られていない。
物であって、最小粒径からの50%累積粒度D50が40
μm以下であり、かつ90℃×1.5時間の加熱による
質量減少分として測定される含水率が5.2%以上であ
る豆乳または豆腐製造用大豆粉末を提供する。豆乳製造
時におからを発生させないためには、上記大豆粉末の粒
度は最大でも100μm以下であることが望ましい。上
記丸大豆は皮付き丸大豆も好ましく用いられる。本発明
の大豆粉末は最大でも100μm以下で、平坦なあるい
は複数の小さなピークを有する粒度分布パターンを有す
ることが望ましい。また本発明の大豆粉末は多角形状の
粗面表面を有することが望ましい。
粉末を用いる以外は特に限定されない。好ましくは該大
豆粉末を水に均質分散したスラリーを加熱する。上記ス
ラリーは、大豆粉末と水との混合開始から10分以内に
加熱に供することが望ましい。該加熱に供されるスラリ
ーは、pH6.4以上であることが望ましい。上記スラ
リーは、大豆磨砕機、コロイドミル、超音波またはホモ
ミキサーを用いてを調製することができる。
るにも拘らず、たとえば従来のように煮釜で煮沸しても
生大豆味および青臭さがなく、ザラつきがなく、従来丸
大豆から調製される豆乳および豆腐と同様に風味があっ
て食感のよい豆乳および豆腐が得られる。したがって本
発明では、上記で得られる豆乳、さらには該豆乳から得
られる豆腐を提供する。
望濃度の豆乳とするための水とを密閉容器に封入し、加
熱して豆乳を製造することもできる。また従来の大豆磨
砕スラリーを使用する方法でブリックス度(Brix、%)
15程度の高濃度豆乳を得るには煮沸後の豆乳を濃縮す
る必要があったのに対し、粉末大豆を用いる本発明では
濃縮工程を加えることなく上記高濃度豆乳を容易に得る
ことができる。
る。本発明の豆乳または豆腐製造用大豆粉末は、乾燥丸
大豆の粉砕物であって、(i) 最小粒径からの50%累積
粒度D50値が40μm以下であって、かつ(ii)含水率が
5.2%以上、好ましくは6%以上、より好ましくは7
%以上、さらに好ましくは8%である。本明細書におい
て、含水率%は質量%であり、ケット水分計を用いて9
0℃×1.5時間の加熱による質量減少分(検出器IR
スペクトル)として測定される値である。
大豆粉末の50%累積粒度D50は、粒度分布測定器(ヒ
ューレットパッカード社製マイクロトラック)によりエ
チルアルコールおよび/または水を溶媒として測定した
粒度分布から、積算して求められる値である。なお、こ
の測定溶媒として水を用いる場合と、アルコールを用い
る場合とでは、同一試料であっても粒度分布は多少異な
る。具体的にはアルコール溶媒で測定した場合には、水
溶媒で測定した場合に比べ、小径側では大きな値として
測定され、一方大径側では小さい径として測定される傾
向がある。測定する大豆の種類によっても異なるが、た
とえばフクユタカ(品種名)の粉末を、アルコールで測
定した場合にはD50値30μm程度に、水で測定した場
合にはD 50値20μm程度に測定される。しかし小径側
の粒度がこれ以上になると、両者のD50値シフトは縮ま
り、ほぼ同値で測定されるようになる。D50値は最小粒
度からの50%累積値であり、この平均粒度D50が40
μm以下であれば、どちらの溶媒で測定しても、本発明
で必要な粒度を満たす。
μm程度(測定溶媒:水)の極小粉末とする必要はな
い。また40μm以下に単一の粒度分布ピークをもつ微
細で粒径のそろった粉末である必要はなく、むしろ、広
い範囲に亘って平坦なあるいは複数の小さなピークを有
する分布パターンであることが望ましい。
粉末の満たすべき含水率条件(ii)を満たさなくなる傾向
があり、また粉砕コストも高くなるため、10μm程度
であればよい。一方、大豆粉末の最大粒度は、豆乳(豆
腐)製造時のおから発生量に影響を与える。煮沸後の豆
乳粒子が125μm程度の濾布目を通過することが望ま
しく、このため大豆粉末の最大粒径は100μm、好ま
しくは98μmである。
含水率を達成できれば粉砕方法は特に限定されず、剪断
方式、衝突式などの粉砕方式を利用することができる。
これらのうちで粉砕時に大豆が乾燥しすぎないように
(含水率5.2%以上を保持するように)、装置、構
造、操作条件等を適宜に選択すれば、上記粒径および含
水率を満たす大豆粉末を得ることができる。たとえば主
として剪断方式を用い、ピンミルあるいは特殊形状バー
などを高速回転させ、剪断力と衝突力を利用して微粉砕
することができるが、粉砕速度は80m/sec 以下とす
ることが望ましい。
有する含水量を減じないためにも、大豆が80℃以上好
ましくは75℃以上の熱履歴を受けないようにすること
が望ましい。この目安ともなる粉砕系からの排出温度は
60℃以下であることが望ましい。粉砕は30秒以下の
短時間で行なうことが望ましい。また空気酸化された大
豆は劣化速度が速いため、粉砕時に空気を過多供給しな
いことが望ましい。粉砕系に供給する空気量は、大豆量
と同量か多くても2倍までとすることが望ましい。なお
粉砕時に水(外部水)が存在しても大豆は腐敗しやす
い。
る粒子とすることが望ましい。粒径を設定するスクリー
ンの使用あるいは粉砕条件によっては、スクリーンの桝
目により、また粉砕羽根または粉砕装置内での停滞など
により、粒子形状が概略円筒あるいは球状となる。この
ような形状の粒子は、一般的にその外周面が脂質および
糖質により被覆されて硬く、粒子内への水の浸透性に劣
る。本発明では、多角形状の粗面表面を有する大豆粉末
が好ましく用いられる。大豆粉末の表面が多角形状の粗
面であれば、硬化しにくく、また表面積も大きく水の浸
透性もよい。なお従来公知の豆腐製造用大豆微粉末は、
通常粒子形状が丸い。
っても、皮付き丸大豆であってもよい。いずれを用いて
も上記粒度分布および水分率を満たせば、所望の飲料用
豆乳および/または豆腐を得ることができる。したがっ
て脱皮か皮付きかは、最終製品の用途により適宜選択す
ればよい。大豆の皮(種皮)は、従来の豆乳の製造方法
では、豆乳絞り滓として除去されていたおからの主成分
である。通常の豆乳および豆腐の製造には、原料利用効
率から皮付きが好ましく用いられる。なお大豆は、種
類、産地などによりその成分(たんぱく質、脂質、糖質
など)含量が異なるが、大豆原料の種類そのものは、最
終製品である豆乳あるいは豆腐の所望組成に応じて適宜
選択すればよい。
態ではない。また本発明の大豆粉末は水との親和性がよ
く、混合しやすい。したがって大豆粉末の加熱時には、
熱が伝わりやすく、本発明の大豆粉末を水に均質分散し
たスラリーで加熱すれば、煮釜で煮沸する場合であって
も生大豆味および青臭さが残らず、ザラつき(粉っぽ
さ)のない、煮熟の充分な豆乳および豆腐を容易に得る
ことができる。
て適宜選択すればよい。通常、加水率(水/大豆粉末の
質量比)は9〜3倍の範囲で適宜に選択することができ
る。具体的にたとえば、豆腐製造用の豆乳を製造する際
の加水率は5〜6.5倍程度とすればよく、ブリックス
度9程度の呉汁を完全煮沸すれば、ブリックス度10〜
11程度の豆乳を得ることができる。通常、ブリックス
度11程度の豆腐で加水率は6倍程度である。またブリ
ックス度9程度の飲料用豆乳、調整豆乳などを得る場合
には、加水率7〜8倍でスラリーを調製すればよい。
を製造すると、従来の製法に比して高濃度(ブリックス
糖度の高い)豆乳を容易に得ることができる。たとえば
スラリー調製時の加水率を5倍以下とすれば、ブリック
ス度20程度以上の豆乳を得ることも可能である。なお
ブリックス度は一般的なブリックス計を用いて測定する
ことができる。
とともに、大豆粉末が可能な限り吸水していることが望
ましいが、長時間の浸水は、大豆の腐敗を招き、結果と
して豆乳品質の低下を招くので、水と接触してから10
分以内に加熱に供することが望ましい。スラリー水のp
Hは経時的に低下するが、水との接触による大豆の変質
はこのスラリー水のpHが6.4までであれば、大豆を
変質させず、商品レベルの豆乳さらには豆腐を得ること
ができる。スラリー水がpH6.4よりも酸性になる
と、大豆は変質・腐敗傾向にあり、安定した品質の豆乳
あるいは豆腐が得られにくくなる。またこのpH限界値
6.4は、大豆原料の種類を問わない。
前の大豆スラリーを、コロイドミル、超音波、ホモミキ
サーまたは磨砕機(従来の丸大豆磨砕機)などの装置を
用いて、機械的に均質な混合状態としながら保持するこ
とが好ましい。この際には、空気になるべく触れないこ
とが望ましい。特にスラリーが空気を巻き込み、乳化液
とならないようにすることが望ましい。
ば、豆乳が得られる。この際には、煮沸が充分に行なう
ことが望ましく、たとえば特許第3004981号公報
で提案されるような、頂端近傍に原料スラリーを供給す
る供給口および底端近傍に前記原料スラリーの煮沸物を
排出する排出口を有し、頂部近傍の内圧を低下させる減
圧機構を備えた略円筒形の煮沸釜本体と、該本体内に配
置され、該本体の長手方向に沿って複数の蒸気噴射口が
噴射蒸気を該本体の円周方向に送るように噴射方向を斜
めにして設けられた蒸気噴射管とを有する煮釜を使用す
ることは好ましい一態様である。したがってこの公報の
記載を本明細書にも記載されているものとし、煮釜の詳
細な説明は省略する。なお上記煮釜を用いることによ
り、煮ムラがなくまろやかで実質的に溶存酸素を含有し
ない高温の豆乳を得ることができ、これにより溶存酸素
に起因する巣(鬆)がなく食感のよい美味しい豆腐が得
られる。
て煮釜で煮沸する工程について説明したが、本発明で
は、大豆粉末と、最終的に所望濃度の豆乳とするための
水とを耐熱水性ポリマーの密閉容器に封入した後、加熱
して豆乳を製造することもできる。この密閉容器(パッ
ク詰め)内で加熱する方法そのものは、豆乳に適用しう
る食品密閉加熱方法を適用すればよい。この方法は、煮
釜に比して大豆への熱伝導性がよいため煮熟は容易であ
り、煮沸消毒を兼ねることもできる。また大豆粉末と水
とを密閉容器内で混合できれば、空気中での混合に比し
て大豆粉末の変質が生じにくいため、この場合には、上
記したスラリー調製(混合)時間などに必ずしも厳密に
従わなくてもよい。
き(粉っぽさ)がなく生大豆味および青臭さがなく、丸
大豆を用いた従来のものと同様に風味があって食感のよ
い豆乳さらには豆腐が得られる。本発明の大豆粉末であ
れば、密閉容器内で加熱した場合は勿論のこと、煮釜を
用いて炊いた場合であっても同様に上記のような良質の
豆乳が得られる。しかも本発明によれば、加熱に供する
大豆粉末への加水率を自在に調整して、所望濃度の豆乳
を容易に得ることができる。
水率を調整することにより得られる各種目的の豆乳、た
とえばブリックス度9程度の飲料用豆乳、調整豆乳およ
びブリックス度11程度の通常の豆乳を提供することが
できる。また丸大豆を用いる従来方法であれば、濃縮工
程を加えてブリックス度15程度の高濃度豆乳を得るの
に対し、本発明では濃縮工程を加えずに上記高濃度の豆
乳を得ることができる。必要であればさらに高濃度の豆
乳を得ることも可能である。
加することもできる。たとえば保水率、ゲル形成性、乳
化性、溶解性、結着性、吸油性などの効果を得るために
食材、増量剤などを添加することができる。具体例を挙
げれば、たとえば健康飲料などの調整豆乳を得るため
に、コラーゲン、キトサン、カルシウム、ウコン、茶
葉、ゴマ、黒豆、小豆、キトサン、霊芝、ヨモギ、田七
人参、ケール、熊笹、梅、蒟蒻マンナン、飴、蜂蜜、食
塩、乳酸カルシウム、安定剤、朔料、香料、麦芽エキ
ス、コーヒーエキスなどを添加してもよい。
られる豆腐も提供される。本発明の豆腐は、上記豆乳を
用いること以外は、一般的な製法に準じて製造すること
ができる。
いて記載したが、本発明の効果を損なわない範囲であれ
ば、原料大豆を他の豆類に置換えることもでき、したが
って上記において大豆を大豆以外の豆類に代替した場合
も本発明の範囲に含むことができる。この場合には、各
原料に応じて上記のうちからたとえば豆乳調整原料など
の条件を適宜選択すればよい。勿論、大豆粉末と他の豆
類粉末とを組合わせて使用することもできる。たとえば
小豆粉末を用いて高濃度小豆豆乳を製造することがで
き、小豆特性を損なわずにおいしい餡を容易に製造する
ことができる。
が、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。 (実施例1〜2)水分率11.1%の丸大豆(岐阜産フ
クユタカ種、脱皮率16%)40kgを、剪断重視型粉
砕装置を用いて、粒度D50値18μm、最大粒度95.
965μm、水分率5.2%の粉末に粉砕した。この大
豆粉末の粒度分布測定器(ヒューレットパッカード社製
マイクロトラック)により水を溶媒として測定した粒度
分布を、図1に示す。また該大豆粉末の光学顕微鏡(キ
ーエンス社製デジタルHFマイクロスコープVH−80
00)で観察した。
の豆乳を製造した。大豆粉末20kgに5倍量の水を加
水し、2枚あるいは3枚の斜形羽根を有する高速撹拌機
にて3分間混合し、調製した均質分散スラリーを、連続
式煮沸釜(ヤヒメ商事製ソリディシチームIII )(実施
例1)またはバッチ式煮沸釜(丸井工業(株)製MBK
600−1)(実施例2)型に移入し、7〜9分間煮沸
した。加水から煮沸までに費やした時間は10〜12分
であった。煮沸物はほぼ全量が絞り器#300mesh(4
6μm)をスムーズに通過した。おから量は80g程度
であった。上記により絞り器の濾液としてブリックス度
13の豆乳を得たが、粉っぽさ、青臭さはなく、食感、
風味ともに良好で濃厚な豆乳が得られた。
大豆(脱皮率28%)および粉砕装置を用い、粒度D 50
値18μm、最大粒度95.965μm、水分率5.0
%の粉末に粉砕した。この大豆粉末の実施例と同様に測
定した粒度分布を、図2に示す。また該大豆粉末の光学
顕微鏡で観察した。この大豆粉末を用いる以外は、実施
例1または2と同様にしてブリックス度13の豆乳を製
造した。豆乳は、絞り器を通過しずらかった。おから量
は1200g程度であった。煮沸釜に移入するスラリー
にはダマが15%程度存在し、煮沸が完全ではなかった
考えられる。得られた豆乳は粉っぽさが残り、青臭さも
あった。
豆粉末を用いる豆乳(豆腐)の製造方法特有の課題を解
消し、ザラつき感がなく生大豆味および青臭さのない高
品質の豆乳(豆腐)を得ることができる。このような本
発明によれば、豆乳 (豆腐)製造作業に係る労働条件の
緩和、廃棄物(おから)の課題、原料の有効利用などの
課題を解決しうるう方法として従来より切望されていた
粉末大豆を用いる豆乳 (豆腐)の製造を商業レベルで実
施しうる。また本発明では、所望濃度の豆乳を容易に得
ることができる。特に丸大豆を用いる従来の方法では困
難であった高濃度豆乳を得ることができる。
および粒度分布チャートを示す図である。
度分布チャートを示す図である。
Claims (10)
- 【請求項1】乾燥丸大豆の粉砕物であって、最小粒径か
らの50%累積粒度D50が40μm以下であり、かつ9
0℃×1.5時間の加熱による質量減少分として測定さ
れる含水率が5.2%以上である豆乳または豆腐製造用
大豆粉末。 - 【請求項2】最大粒度が100μm以下である請求項1
に記載の大豆粉末。 - 【請求項3】前記丸大豆が皮付き丸大豆である請求項1
または2に記載の大豆粉末。 - 【請求項4】前記大豆粉末が多角形状の粗面表面を有す
る請求項1〜3のいずれかに記載の大豆粉末。 - 【請求項5】請求項1〜4のいずれかに記載の大豆粉末
を水に均質分散したスラリーを加熱する豆乳の製造方
法。 - 【請求項6】前記スラリーは、大豆粉末と水との混合開
始から10分以内に加熱に供する請求項5に記載の豆乳
の製造方法。 - 【請求項7】前記加熱に供されるスラリーは、pH6.
4以上である請求項5または6に記載の豆乳の製造方
法。 - 【請求項8】大豆磨砕機、コロイドミル、超音波または
ホモミキサーを用いて前記スラリーを調製する請求項5
〜7のいずれかに記載の豆乳の製造方法。 - 【請求項9】請求項5〜8のいずれかに記載の製造方法
により得られる豆乳。 - 【請求項10】請求項9に記載の豆乳から得られる豆
腐。
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