JP2003189802A - 嚥下食組成物及びその評価方法 - Google Patents

嚥下食組成物及びその評価方法

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JP2003189802A JP2002305092A JP2002305092A JP2003189802A JP 2003189802 A JP2003189802 A JP 2003189802A JP 2002305092 A JP2002305092 A JP 2002305092A JP 2002305092 A JP2002305092 A JP 2002305092A JP 2003189802 A JP2003189802 A JP 2003189802A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】嚥下困難者が安全かつ容易に摂食できる嚥下食
組成物、嚥下食に適した食品の評価方法、嚥下食組成物
の製造法、嚥下食用組成物の調製に使用される嚥下食用
補助剤、その処方や用量の決定方法及びその製造法を提
供する。 【解決手段】 嚥下食組成物が、測定周波数(ω)が
0.1≦ω≦100(rad/s)のときに下記の物性値の要
件を満たすことを指標として用いる; (a)ゼロ周波数外挿値(η*K)が、5≦η*K≦60(Pa・
s)、(b)周波数依存性指数(η*n)が、−0.95≦η*
n≦−0.7、(c)5rad/sの複素粘性率(η* 5rad/s)が、
2≦η* 5rad/s≦15(Pa・s) 、及び(d)50rad/sの
複素粘性率(η* 50rad/s)が、0.2≦η* 50rad/s≦2.
5(Pa・s)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、咀嚼・嚥下障害者や高
齢者のように咀嚼または嚥下機能が低下している者(咀
嚼・嚥下困難者)が安全かつ容易に摂食できるように調
製された嚥下食組成物に関する。また、本発明はかかる
嚥下食組成物の評価方法、処方決定方法、並びに製造方
法に関する。
【0002】さらに本発明は、かかる嚥下食用組成物を
簡単に調製するために使用される嚥下食用補助剤、その
配合組成や配合量の決定方法、及びその製造方法に関す
る。
【0003】
【従来の技術】一般に嚥下の動作は口腔相、咽頭相およ
び食道相の3相に分けられるが、嚥下障害者や高齢者
は、特に咽頭相の粘膜が老化し、咽頭蓋も弾力性を失っ
ているため、咽頭相の動作をスムーズに行うことができ
ず、鼻腔への食物の押し出しや誤嚥を起こしやすい。ま
た、嚥下障害者や高齢者などといった嚥下機能が低下し
た者(嚥下困難者)は同時に咀嚼機能を失調しているこ
とが多い。このような咀嚼・嚥下機能低下による摂食障
害は、栄養や水分の補給不良に起因する障害だけでな
く、誤嚥による肺炎(誤嚥性肺炎)や窒息などを引き起
こし、生命の危機にかかわることがあるため、非常に重
要な問題となっている。
【0004】ところで、総務庁の統計調査によると、65
才以上の高齢者は毎年70数万人の割合で増加しており、
2021年には総人口の約25%を占めるものと予想されてい
る。また75才以上の高齢者のほぼ30%は咀嚼・嚥下機能
低下者(咀嚼・嚥下困難者)であると言われており、ま
すます進行する高齢化社会において、今後、咀嚼・嚥下
機能低下者(咀嚼・嚥下困難者)が一層急増すると予測
される。
【0005】このため、かかる将来増大する需要を見越
して、近年、咀嚼・嚥下障害者や高齢者などの咀嚼・嚥
下機能低下者(咀嚼・嚥下困難者)に適した嚥下食の開
発が急務とされている。
【0006】一般に、口腔相で咀嚼され形成された食塊
の多くはゲル状を形成することが多い。従って、嚥下食
の開発には、まずゲルの構造および機能特性の基礎的な
研究が重要であると考えられている。一般にどのような
物性条件を満たす食品が嚥下食に適しているか、その指
標となる物性が種々検討されているものの、未だ十分な
ものが得られていないのが実情である。
【0007】例えば、厚生労働省が定める規格基準によ
ると、ゾル形状の咀嚼・嚥下困難者用食品はB型回転粘
度計による粘度(定常剪断粘度)が1,500mPa・s以上
(測定温度:20±2℃)のものとして規定されている
(例えば、非特許文献1参照)。
【0008】しかし、粘度が高くなると、口腔及び咽頭
にまとわりつくような粘りある食感となり嚥下に適さな
くなることから、粘度(定常剪断粘度)だけで「嚥下の
しやすさ」を客観的に表現することは困難である。ま
た、嚥下食に適した素材はいわゆる「弱いゲル」の性状
を有するが、試料に大変形を与えてしまうB型回転粘度
計による測定では、測定中に試料の構造が破壊され、粘
度を過小評価してしまう危険性がある。またこのような
試料では、ローターと試料との間に滑りが生じる場合が
多く、測定値の再現性が低くなるという問題がある。
【0009】このため嚥下食の物性評価に際しては、粘
性要素だけでなく弾性要素の評価が必要である。厚生労
働省が定める規格基準(上述)においても粘度とともに
一軸定速圧縮試験による堅さ(一定速度で圧縮したとき
の抵抗)として10mm/secで圧縮したときに500Pa(N/
m2)以下であることが規定されているが、この堅さを上
記の粘性と同時に測定することは不可能である。また、
市販の測定機器には10mm/secの測定モードを備えていな
いものがある。
【0010】一方、動的粘弾性試験から得られる物性が
官能的指標である「嚥下のしやすさ」と関連が高いこと
が報告されている(例えば、非特許文献2〜5参照)。
ここで提案されている動的粘弾性試験は、試料の構造を
破壊しない微小変形領域での測定であり、弾性要素と粘
性要素の同時測定が可能である。また、試験に必要な試
料量も少なく、測定の再現性も高いという長所がある。
しかしながら、従来の方法では、多種の物性パラメータ
ーを用いなければ「嚥下のしやすさ」を客観的に表現す
ることができない。また、測定周波数(ω)領域が明確
に規定されておらず、周波数に依存して物性値が変化す
るような試料については適応が難しいという問題があ
る。
【0011】
【非特許文献1】高齢者用食品の標示許可の取り扱いに
ついて、別紙 高齢者用食品の試験方法(厚生労働省生
活衛生局食品保健課新開発食品保健対策室長通知;平成
6年2月23日 衛新第15号)
【0012】
【非特許文献2】New Food Industry 1999, Vol.41 No.
2, 71-79
【0013】
【非特許文献3】New Food Industry 1999, Vol.41 No.
11, 1-11
【0014】
【非特許文献4】食品工業 (2001) Vol.44 No.3, 68-75
【0015】
【非特許文献5】食品工業 (2001) Vol.44 No.5, 80-9
3。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、咀嚼・嚥下
障害者や高齢者等の咀嚼・嚥下機能が低下した者の摂食
に適した嚥下食について、共通した物性を明らかにする
ことを目的とするものである。言い換えれば、本発明
は、食品組成物について「嚥下のしやすさ」を表現する
ための共通した物性パラメーターを提案することを目的
とするものである。
【0017】さらに、本発明は、かかる物性を備える嚥
下食組成物、また該物性を備える嚥下食組成物を簡便に
調製するために利用される嚥下食用補助剤を提供するこ
とを目的とする。また、本発明は上記物性を指標とし
て、嚥下食組成物を評価する方法、また嚥下食組成物を
選別する方法、嚥下食組成物の処方を決定する方法、嚥
下食組成物を製造する方法、並びに嚥下食用補助剤の配
合組成やその配合量を決定する方法を提供することを目
的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明者は、今後一層市
場の需要が高まる嚥下食について、それに共通して求め
られる物理的性状を明らかにするために鋭意研究を行っ
ていたところ、弱いゲルの性状を有する試料ほど嚥下し
やすい傾向にあることを見いだし、このことから弱いゲ
ルを破壊しない領域において物性測定することが必須
で、この観点から基準となる物性を規定する必要がある
ことを知るにいたった。そこで、この点からさらに研究
を進めた結果、発明者らは動的粘弾性試験によって得ら
れる複素粘性率(η*=(G'2+G"2)1/2/ω)を単一の
パラメーターとして利用することによって、「嚥下のし
やすさ」といった官能的指標(主観的指標)を客観的に
且つ簡単に表現することができることを見出した。本発
明は、かかる知見に基づいて完成されたものである。
【0019】すなわち、本発明は下記の項1.〜項1
5.に掲げるものである: 項1. 測定周波数(ω)が0.1≦ω≦100(rad/
s)のときに、下記の物性値要件を満たしていることを
特徴とする嚥下食組成物: (a)ゼロ周波数外挿値(η*K)が、5≦η*K≦60(Pa・
s)、(b)周波数依存性指数(η*n)が、−0.95≦η*
n≦−0.7、(c)5rad/sの複素粘性率(η* 5rad/s)が、
2≦η* 5rad/s≦15(Pa・s)、及び(d)50rad/sの複
素粘性率(η* 50rad/s)が、0.2≦η* 50rad/s≦2.5
(Pa・s)。 項2. 対象の食品組成物について、周波数:0.1≦
ω≦100(rad/s)における複素粘性率(η*)を測定
し、その結果をもとにして対象の食品組成物が下記の物
性値要件を満たすか否かを判断することによって当該食
品組成物が嚥下食組成物として適しているか否かを評価
する方法: (a)ゼロ周波数外挿値(η*K)が、5≦η*K≦60(P
a・s)、(b)周波数依存性指数(η*n)が、−0.95≦
η*n≦−0.7、(c)周波数5rad/sの複素粘性率(η*
5rad/s)が、2≦η* 5rad/s≦15(Pa・s)、及び(d)周
波数50rad/sの複素粘性率(η* 50rad/s)が、0.2≦η
* 50rad/s≦2.5(Pa・s)。 項3. 対象の食品組成物について周波数:0.1≦ω
≦100(rad/s)における複素粘性率(η*)を測定
し、その結果からゼロ周波数外挿値(η*K)、周波数依
存性指数(η*n)、及び周波数5rad/s及び50rad/sに
おける複素粘性率(η* 5 ard/s, η* 50ard/s)を求め、下
記の物性値要件を満たす食品組成物を選択する、嚥下食
組成物の選別方法: (a)ゼロ周波数外挿値(η*K)が、5≦η*K≦60(P
a・s)、(b)周波数依存性指数(η*n)が、−0.95≦
η*n≦−0.7、(c)周波数5rad/sの複素粘性率(η*
5rad/s)が、2≦η* 5rad/s≦15(Pa ・s)、及び(d)
周波数50rad/sの複素粘性率(η* 50rad/s)が、0.2≦
η* 50rad/s ≦2.5(Pa・s)。 項4. 項3に記載の選別方法によって対象の食品組成
物から選別して取得される嚥下食組成物。 項5. 下記の工程(1)〜(3)を有する嚥下食組成物の処
方及び/又は処理方法の決定方法: (1) 対象とする食品組成物について、周波数:0.1≦
ω≦100(rad/s)における複素粘性率(η*)を測定
し、その結果からゼロ周波数外挿値(η*K)、周波数依
存性指数(η*n)、及び周波数5rad/s及び50rad/sに
おける複素粘性率(η * 5rad/s、η* 50rad/s)を求める工
程、(2) 最終食品組成物が下記の物性値要件を満たすよ
うに、食品組成物の処方及び/又は処理方法を変更し
て、食品組成物を調製する工程: (a) ゼロ周波数外挿値(η*K)が、5≦η*K≦60(Pa
・s)、(b) 周波数依存性指数(η*n)が、−0.95≦η
*n≦−0.7、(c) 周波数5rad/sの複素粘性率(η*
5rad/s)が、2≦η* 5rad/s≦15(Pa・s)、及び(d) 周
波数50rad/sの複素粘性率(η* 50rad/s)が、0.2≦η
* 50rad/s≦2.5(Pa・s)、並びに(3) 上記物性値を満
たす食品組成物の処方及び/又は処理方法から、嚥下食
組成物の処方及び/又は処理方法を決定する工程。 項6. 項5に記載する方法で決定された処方及び/又
は処理方法に従って、嚥下食組成物を製造する方法。 項7. 項6に記載する製造方法で得られる嚥下食組成
物。 項8. 嚥下食調製のために、水または食品組成物に添
加して用いられる嚥下食用補助剤であって、調製される
嚥下食組成物が、測定周波数:0.1≦ω≦100(rad
/s)の範囲で複素粘性率(η*)を測定して得られる物性
値が下記の要件を備えるものである、嚥下食用補助剤: (a)ゼロ周波数外挿値(η*K)が、5≦η*K≦60(Pa・
s)、(b)周波数依存性指数(η*n)が、−0.95≦η*
n≦−0.7、(c)周波数5rad/sの複素粘性率(η*
5rad/s)が、2≦η* 5rad/s≦15(Pa ・s)、及び(d)
周波数50rad/sの複素粘性率(η* 50rad/s)が、0.2≦
η* 50rad/s ≦2.5(Pa・s)。 項9. ゲル化剤及び/又は増粘剤を含有するものであ
る項8に記載の嚥下食用補助剤。 項10.ゲル化剤及び/又は増粘剤が、精製されている
かまたは精製されていない、ジェランガム、ネイティブ
ジェランガム、カラギーナン(κ、ι、λ、μ、ν、
θ、ζ、π)、ファーセレラン、キサンタンガム、コン
ニャクマンナン、ローカストビーンガム、タラガム、サ
イリュームシードガム、アルギン酸及びその塩、ペクチ
ン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースお
よびその塩、タマリンドシードガム、アゾバクタービネ
ランジガム、コンドロイチン硫酸及びその塩、グアガ
ム、アカシアガム、水溶性/水不溶性大豆多糖類、サバ
クヨモギシードガム、マクロホモプシスガム、澱粉、ゼ
ラチン、ラムザンガム、寒天、カードラン、ウェランガ
ム、プルラン、トラガントガム、カラヤガム、ガティガ
ム、PGA、化工/加工デンプン、澱粉加水分解物、サ
イクロデキストリン、キチン、キトサン、卵白、乳清た
んぱく、ラクトアルブミン、ラクトグロブリン、牛血清
アルブミン及び大豆たんぱくよりなる群から選択される
少なくとも1種である項9に記載の嚥下食用補助剤。 項11.下記の工程(1)〜(3)を含む嚥下食用補助剤の選
別方法: (1)嚥下食組成物を調製するために、水または対象食品
組成物に被験物質を配合する工程、(2)上記(1)で得られ
た組成物について、周波数:0.1≦ω≦100(rad/
s)における複素粘性率(η*)を測定し、その結果から
ゼロ周波数外挿値(η*K)、周波数依存性指数(η*n)、
及び周波数5rad/s及び50rad/sにおける複素粘性率
* 5rad/d、η* 50rad/d)を求める工程、(3)上記(1)で
得られた組成物が下記の物性値要件を満たすような被験
物質を選別する工程: (a)ゼロ周波数外挿値(η*K)が、5≦η*K≦60(Pa・
s)、(b)周波数依存性指数(η*n)が、−0.95≦η*
n≦−0.7、(c)周波数5rad/sの複素粘性率(η*
5ard/s)が、2≦η* 5rad/s≦15(Pa・s)、及び(d)周
波数50rad/sの複素粘性率(η* 50rad/s)が、0.2≦η
* 50rad/s≦2.5(Pa・s)。 項12.項11に記載の選別方法によって対象の被験物
質から選別して取得される嚥下食用補助剤。 項13.下記の工程(1)〜(4)を含む、嚥下食用補助剤の
処方及び/又は配合量の決定方法。 (1)嚥下食組成物を調製するために、水または対象食品
組成物に被験物質を配合する工程、(2)上記(1)で得られ
た組成物について、周波数:0.1≦ω≦100(rad/s
)における複素粘性率(η*)を測定し、その結果か
らゼロ周波数外挿値(η *K)、周波数依存性指数(η*
n)、及び周波数5rad/s及び50rad/sに おける複素
粘性率(η* 5rad/d、η* 50rad/d)を求める工程、(3)上記
(1)で得られる組成物が下記の物性値要件を満たすよう
に、被験物質の処方及び/又は配合量を変更して、食品
組成物を調製する工程: (a)ゼロ周波数外挿値(η*K)が、5≦η*K≦60(Pa・
s)、(b)周波数依存性指数(η*n)が、−0.95≦η*
n≦−0.7、(c)周波数5rad/sの複素粘性率(η*
5ard/s)が、2≦η* 5rad/s≦15(Pa・s)、(d) 周波数
50rad/sの複素粘性率(η* 50rad/s)が、0.2≦η*
50rad/s≦2.5(Pa・s)、及び(4) 上記物性値を満たす
食品組成物を調製するのに用いられる被験物質の処方及
び/又は配合量から、嚥下食用補助剤の処方及び/又は
配合量を決定する工程。 項14. 項13に記載する方法で決定された処方及び
/又は配合量に従って、水または対象食品組成物に添加
して嚥下食組成物を調製するために用いられる嚥下食用
補助剤を製造する方法。 項15.項14の製造方法で製造される、水または対象
食品組成物に添加して嚥下食組成物を調製するために用
いられる嚥下食用補助剤。
【0020】なお、本発明において、「嚥下食」または
「嚥下食組成物」とは、咀嚼・嚥下機能の低下等により
咀嚼及び/又は嚥下が困難となった患者や高齢者(本明
細書において、「咀嚼・嚥下困難者」と総称する場合が
ある。)の摂食に適した、咀嚼・嚥下困難者用の食品を
広く意味するものである。かかる「嚥下食」または「嚥
下食組成物」には、例えば厚生労働省規定の咀嚼・嚥下
困難者用食品(咀嚼を容易又は不要ならしめるととも
に、適当な増粘剤を用いることによって嚥下を容易なら
しめ、且つ、誤嚥を防ぐことを目的とするもの)、咀嚼
・嚥下困難者に対する介護用または嚥下訓練用の食品、
水分補給用ゲル状食品、栄養補給用ゲル状・ペースト状
食品等が含まれる。
【0021】また本発明において「嚥下食用補助剤」と
は、上記の嚥下食を調製するために水や食品組成物に添
加して用いられる食品添加剤である。「嚥下食用補助
剤」には例えば粉末、顆粒、タブレット、カプセル、液
体、ペースト等といった使用態様のものがいずれも含ま
れる。
【0022】
【発明の実施の形態】(1)嚥下食組成物 咀嚼・嚥下機能が低下した者(咀嚼・嚥下困難者)にと
って、摂食しやすい食品(嚥下食)として求められる要
件として、一般に (1) 組織が均一なこと (2) 適当な粘度があって口腔内でまとまりやすいこと
(均一な食塊を形成しやすいこと) (3) 口腔や咽頭でべたつかないこと (4) 硬すぎないこと が知られている(手塚ら:静岡県静岡工業技術センター
研究報告 Vol.42, 31-38 (1997))。
【0023】本発明は、官能的側面から嚥下食に求めら
れる上記要件と動的粘弾性との関連性を研究した結果、
0.1〜100rad/sの周波数(ω)領域で測定される
複素粘性率(η*)から算出される物性値(ゼロ周波数外
挿値[η*K]、周波数依存性指数[η*n])、及び周波数
5rad/s及び50rad/sのときの複素粘性率(η* 5rad/s
η* 50rad/s)〔以下、これらを総称して「物性値」とも
いう〕が嚥下食としての上記官能的要件を充足するか否
かの指標となり、かかる物性値(0.1〜100rad/s
の周波数(ω)領域)が下記要件: (a)ゼロ周波数外挿値(η*K)が、5≦η*K≦60(Pa・
s)、(b)周波数依存性指数(η*n)が、−0.95≦η*
n≦−0.7、(c)周波数5rad/sのときの複素粘性率(η
* 5rad/s)が、2≦η* 5rad/s≦15(Pa・s)、(d)周波数
50rad/sのときの複素粘性率(η* 50rad/s)が、0.2≦
η* 50rad/s≦2.5(Pa・s)を満たす食品組成物が、嚥
下食として適していることを見出したことに基づくもの
である。
【0024】なお、拘束はされないが、食品組成物につ
いて0.1〜100rad/sの周波数(ω)領域における
複素粘性率(η*)の測定から求められる上記(a)ゼロ周波
数外挿値(η*K)、(b)周波数依存性指数(η*n)、及び
(c),(d)周波数5rad/sと50 rad/sのときの複素粘性率
(η* 5rad/s、η* 50rad/s)といった物性値にもとづい
て、それぞれ(2) 適当な粘度があって口腔内でまとまり
やすいこと(均一な食塊を形成しやすいこと)、(1)組
織が均一なこと、並びに(3)口腔咽頭でべたつかず、
(4)硬すぎないことといった、嚥下食に求められる要
件を大まかに評価することができる。
【0025】食品組成物の動的粘弾性値(物性値)は、
例えば、ARES(Advanced RheometricExpansion System)
(レオメトリックサイエンティフィック社)を用いて、
Takahashiの方法(Nihon Reoroji Gakkaishi Vol.27, 16
9-172 (1999))に従って測定することができる。
【0026】具体的には、食品組成物の複素粘性率
*)、ゼロ周波数外挿値(η*K)、及び周波数依存性指
数(η*n)は、下記のようにして求めることができる:
直径50mmのプレート上に被験の食品組成物(試料)をの
せた後、コーン型治具(直径50mm、角度0.04rad)によ
り、コーン−プレート間距離(ギャップ)が0.05mmにな
るように試料を挟み込む。次いで、一定の周波数下で弾
性率の歪み依存性を測定することによって予め求めてお
いた線形歪領域(弾性率が歪みによらず一定の値をとる
領域:例えば1%)において、周波数0.1-100rad/sの範
囲で複素粘性率の周波数分散を測定する。具体的には、
周波数を0.1-100rad/sの間で段階的に変化させ(通常、
0.1→100radへと上げていく)、当該領域におけるG’
(貯蔵弾性率:歪みと同位相の弾性部分)とG"(損失
弾性率:歪みとπ/2位相がずれた成分)を求め、複素
粘性率(η*)=(G’2+G" 21/2/ωの関係式から
当該周波数領域(0.1-100rad/s)における複素粘性率
(η*)を算出する。X軸に周波数(ω)及びY軸に複
素粘性率(η*)をとってプロットしたデータ〔周波数
(X)−複素粘性率(Y)プロット〕を累乗回帰し、関
係式:Y=aXb〔式中、aは(η*K)、bは(η*n)
を示す〕から、η*K、η*n、及び周波数5rad/s及び
50rad/sにおける複素粘性率(η* 5rad/s、及びη*
50rad /s)を求める。なお、上記の測定データを両対数グ
ラフ上にプロットすれば、回帰直線の傾きが周波数依存
性指数(η*n)を、Y切片がゼロ周波数外挿値(η*K)と
なる。
【0027】また、回帰式は最小二乗法によって求めら
れる(参考文献 高橋、大越:日本家政学誌 Vol.50, 3
33-339 (1999)、早川毅:回帰分析の基礎、朝倉書店(1
986))。
【0028】このときの測定温度は特に制限されない
が、通常は対象とする食品組成物が通常摂食(喫食)さ
れるときの温度に設定されるのが好ましい。
【0029】この場合、本発明の嚥下食組成物は、0.
1〜100rad/sの周波数(ω)領域の複素粘性率(η*)
から求められる(a)ゼロ周波数外挿値(η*K)が5〜60
(Pa・s)、及び (b)周波数依存性指数(η*n)が−0.
95〜−0.7であって、 (c)周波数5rad/sのときの複
素粘性率(η* 5rad/s)が2〜15(Pa・s)、及び(d)周波
数50rad/sのときの複素粘性率(η* 50rad/s)が0.2〜
2.5(Pa・s)の条件を満たしていることが望ましい。
好ましくは0.1〜100rad/sの周波数(ω)領域の
複素粘性率(η*)から求められる(a)ゼロ周波数外挿値
*K)が6〜55(Pa・s)、及び (b)周波数依存性指
数(η*n)が−0.93〜−0.7であって、 (c)周波
数5rad/sのときの複素粘性率(η* 5rad/s)が2.2〜1
2.5(Pa・s)及び(d)周波数50rad/sのときの複素粘
性率(η* 50rad/s)が0.3〜2.25(Pa・s)の条件
を;より好ましくは0.1〜100rad/sの周波数
(ω)領域の複素粘性率(η*)から求められる(a)ゼロ周
波数外挿値(η*K)が7〜50(Pa・s)、及び(b)周波数
依存性指数(η*n)が−0.9〜−0.7であって、
(c)周波数5rad/sのときの複素粘性率(η* 5rad/s)が
2.5〜10(Pa・s)、及び(d)周波数50rad/sのとき
の複素粘性率(η* 50rad/s)が0.4〜2(Pa・s)の条件
を満たしていることが望ましい。
【0030】(2)嚥下食適否の評価方法 本発明は、また官能的側面から嚥下食に求められる要件
と動的粘弾性との関連性に基づいて得られた物性条件を
指標として用いて、対象とする食品組成物が嚥下食とし
て適しているかどうかを評価する方法を提供する。
【0031】対象とする食品組成物について嚥下食適否
を評価する本発明の方法は、評価する対象の食品組成物
について、周波数:0.1≦ω≦100(rad/s)の領域
における複素粘性率(η*)を測定し、得られた複素粘
性率(η*)から、ゼロ周波数外挿値(η*K)、周波数
依存性指数(η*n)、及び周波数5rad/sと50rad/s
における複素粘性率(η* 5rad/s、η* 50rad/s)を算出
し、これらが下記の物性値の要件: (a)ゼロ周波数外挿値(η*K)が、5≦η*K≦60(P
a・s)、(b)周波数依存性指数(η*n)が、−0.95≦
η*K≦−0.7、(c)周波数5rad/sにおける複素粘性率
(η* 5rad/s)が、2≦η* 5rad/s≦15(Pa・s)、及び
(d)周波数50rad/sにおける複素粘性率(η* 50rad/s
が、0.2≦η* 50rad/s≦2.5(Pa・s)を満たすか否か
を基準として行われる。対象の食品組成物が上記(a)〜
(d)の全ての要件を充足する場合は、当該食品組成物に
ついて嚥下食として適すると判断され、いずれか少なく
とも1つを満たさない場合は適さない(否)として判断
される。
【0032】上記(a)〜(d)の好適な物性値範囲として
は: (a')ゼロ周波数外挿値(η*K)が、6≦η*K≦55
(Pa・s)、(b')周波数依存性指数(η*n)が、−0.
93≦η*K≦−0.7、(c')周波数5rad/sにおける複
素粘性率(η* 5rad/s)が、2.2≦η* 5rad/s≦12.5
(Pa・s)、及び(d')周波数50rad/sにおける複素粘性
率(η* 50rad/s)が、0.3≦η* 50rad/s≦2.25(Pa
・s)を、またより好適な物性値範囲としては: (a")ゼロ周波数外挿値(η*K)が、7≦η*K≦50
(Pa・s)、(b")周波数依存性指数(η*n)が、−0.9
≦η*K≦−0.7、(c")周波数5rad/sにおける複素粘
性率(η* 5rad/s)が、2.5≦η* 5rad/s≦10(Pa・
s)、(d")周波数50rad/sにおける複素粘性率(η*
50rad/s)が、0.4≦η* 50rad/s≦2(Pa・s)を挙げる
ことができる。
【0033】なお、評価する対象の食品組成物は、咀嚼
・嚥下困難者に適用されることを予定した食品組成物で
あればよく、その素材、用途および食品の種類などによ
って特に制限されるものではない。具体的には、食品組
成物としては、例えばアイスクリーム、アイスミルク、
ラクトアイス、シャーベット、氷菓等の冷菓類;牛乳、
乳飲料、乳酸菌飲料、果汁入り清涼飲料、炭酸飲料、果
汁飲料、菜汁飲料、茶飲料、イオン飲料、スポーツ飲
料、機能性飲料、ビタミン補給飲料、栄養補給バランス
飲料、粉末飲料等の飲料類;カスタードプリン,ミルク
プリン及び果汁入りプリン等のプリン類、ゼリー、ババ
ロア及びヨーグルト等のデザート類;チューインガムや
風船ガム等のガム類(板ガム、糖衣状粒ガム);マーブ
ルチョコレート等のコーティングチョコレートの他、イ
チゴチョコレート、ブルーベリーチョコレート及びメロ
ンチョコレート等の風味を付加したチョコレート等のチ
ョコレート類;ソフトキャンディー(キャラメル、ヌガ
ー、グミキャンディー、マシュマロ等を含む)、タフィ
等のキャラメル類;ソフトビスケット、ソフトクッキー
等の菓子類;セパレートドレッシングやノンオイルドレ
ッシングなどのドレッシング、ケチャップ、たれ、ソー
スなどのソース類;ストロベリージャム、ブルーベリー
ジャム、マーマレード、リンゴジャム、杏ジャム、プレ
ザーブ等のジャム類;赤ワイン等の果実酒;シロップ漬
のチェリー、アンズ、リンゴ、イチゴ等の加工用果実;
ハム、ソーセージ、焼き豚等の畜肉加工品;魚肉ハム、
魚肉ソーセージ、魚肉すり身、蒲鉾、竹輪、はんぺん、
薩摩揚げ、伊達巻き、鯨ベーコン等の水産練り製品;う
どん、冷麦、そうめん、ソバ、中華そば、スパゲッテ
ィ、マカロニ、ビーフン、はるさめ及びワンタン等の麺
類;コンソメスープ、ポタージュスープ、クリームスー
プ、中華スープ等の各種スープ、味噌汁、清汁、シチュ
ウ、カレー、グラタンなどのスープ類;その他、各種総
菜及び蒲鉾、麩、田麩等、種々の食品及びこれらの食品
を更に加工した、加工食品等も挙げることができる。ま
た、このような一般食品に加えて、蛋白質・リン・カリ
ウム調整食品、塩分調整食品、油脂調整食品、整腸作用
食品、カルシウム・鉄・ビタミン強化食品、低アレルギ
ー食品、濃厚流動食、ミキサー食、及びキザミ食等の特
殊食品や治療食を挙げることができる。
【0034】なお、これらの食品組成物には、通常の素
材に加えてゲル化剤及び/又は増粘剤などの食品添加剤
または嚥下食用補助剤を配合することにより、咀嚼・嚥
下困難者向けに調製された食品組成物も包含される。
【0035】動的粘弾性値(物性値)〔複素粘性率(η
*)、ゼロ周波数外挿値(η*K)、周波数依存性指数
(η*n)〕は、例えば、ARES(Advanced Rheometric Ex
pansion System)(レオメトリックサイエンティフィッ
ク社)を用いて、Takahashiの方法(Nihon Reoroji Gakk
aishi Vol.27, 169-172 (1999))に従って測定すること
ができる。具体的には、上記(1)において記載する方
法に従って測定することができる。
【0036】(3)嚥下食組成物の選別方法、及び該方
法によって得られる食品組成物 本発明は、また官能的側面から嚥下食に求められる要件
と動的粘弾性との関連性に基づいて得られた物性条件を
指標として用いて、食品組成物の中から嚥下食に適して
いる咀嚼・嚥下困難者用の食品組成物(嚥下食組成物)
を選別する方法を提供する。
【0037】対象とする食品組成物(被験食品組成物)
の中から嚥下食組成物を選別する本発明の方法は、被験
食品組成物について、周波数:0.1≦ω≦100(rad
/s)の領域における複素粘性率(η*)を測定し、得ら
れた複素粘性率(η*)から、ゼロ周波数外挿値(η
*K)、周波数依存性指数(η*n)、及び周波数5rad/
sと50rad/sにおける複素粘性率(η* 5rad/s、η*
50rad/s)を算出し、これらが下記の物性値の要件: (a)ゼロ周波数外挿値(η*K)が、5≦η*K≦60(P
a・s)、(b)周波数依存性指数(η*n)が、−0.95≦
η*K≦−0.7、(c)周波数5rad/sにおける複素粘性率
(η* 5rad/s)が、2≦η* 5rad/s≦15(Pa・s)、(d)
周波数50rad/sにおける複素粘性率(η* 50rad/s
が、0.2≦η* 50rad/s≦2.5(Pa・s)を満たすか否か
を基準として行われる。被験食品組成物の中から上記
(a)〜(d)の全ての要件を充足する組成物を嚥下食組成物
として選別する。
【0038】上記(a)〜(d)の好適な物性値の範囲として
は: (a')ゼロ周波数外挿値(η*K)が、6≦η*K≦55
(Pa・s)、(b')周波数依存性指数(η*n)が、−0.
93≦η*K≦−0.7、(c')周波数5rad/sにおける複
素粘性率(η* 5rad/s)が、2.2≦η* 5rad/s≦12.5
(Pa・s)、(d')周波数50rad/sにおける複素粘性率
(η* 50rad/s)が、0.3≦η* 50rad/s≦2.25(Pa・
s)を、またより好適な物性値範囲としては: (a")ゼロ周波数外挿値(η*K)が、7≦η*K≦50
(Pa・s)、(b")周波数依存性指数(η*n)が、−0.9
≦η*K≦−0.7、(c")周波数5rad/sにおける複素粘
性率(η* 5rad/s)が、2.5≦η* 5rad/s≦10(Pa・
s)、(d")周波数50rad/sにおける複素粘性率(η*
50rad/s)が、0.4≦η* 50rad/s≦2(Pa・s)を挙げる
ことができる。
【0039】なお、選別する対象の食品組成物(被験食
品組成物)は、咀嚼・嚥下困難者に適用されることを予
定または求められる食品組成物であればよく、その素
材、用途および食品の種類などによって特に制限される
ものではない。具体的には、被験食品組成物としては、
例えばアイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、
シャーベット、氷菓等の冷菓類;牛乳、乳飲料、乳酸菌
飲料、果汁入り清涼飲料、炭酸飲料、果汁飲料、菜汁飲
料、茶飲料、イオン飲料、スポーツ飲料、機能性飲料、
ビタミン補給飲料、栄養補給バランス飲料、粉末飲料等
の飲料類;カスタードプリン,ミルクプリン及び果汁入
りプリン等のプリン類、ゼリー、ババロア及びヨーグル
ト等のデザート類;チューインガムや風船ガム等のガム
類(板ガム、糖衣状粒ガム);マーブルチョコレート等
のコーティングチョコレートの他、イチゴチョコレー
ト、ブルーベリーチョコレート及びメロンチョコレート
等の風味を付加したチョコレート等のチョコレート類;
ソフトキャンディー(キャラメル、ヌガー、グミキャン
ディー、マシュマロ等を含む)、タフィ等のキャラメル
類;ソフトビスケット、ソフトクッキー等の菓子類;セ
パレートドレッシングやノンオイルドレッシングなどの
ドレッシング、ケチャップ、たれ、ソースなどのソース
類;ストロベリージャム、ブルーベリージャム、マーマ
レード、リンゴジャム、杏ジャム、プレザーブ等のジャ
ム類;赤ワイン等の果実酒;シロップ漬のチェリー、ア
ンズ、リンゴ、イチゴ等の加工用果実;ハム、ソーセー
ジ、焼き豚等の畜肉加工品;魚肉ハム、魚肉ソーセー
ジ、魚肉すり身、蒲鉾、竹輪、はんぺん、薩摩揚げ、伊
達巻き、鯨ベーコン等の水産練り製品;うどん、冷麦、
そうめん、ソバ、中華そば、スパゲッティ、マカロニ、
ビーフン、はるさめ及びワンタン等の麺類;コンソメス
ープ、ポタージュスープ、クリームスープ、中華スープ
等の各種スープ、味噌汁、清汁、シチュウ、カレー、グ
ラタンなどのスープ類;その他、各種総菜及び蒲鉾、
麩、田麩等、種々の食品及びこれらの食品を更に加工し
た、加工食品等も挙げることができる。また、このよう
な一般食品に加えて、蛋白質・リン・カリウム調整食
品、塩分調整食品、油脂調整食品、整腸作用食品、カル
シウム・鉄・ビタミン強化食品、低アレルギー食品、濃
厚流動食、ミキサー食、及びキザミ食等の特殊食品や治
療食を挙げることができる。
【0040】なお、これらの被験食品組成物には、通常
の素材に加えてゲル化剤及び/又は増粘剤などの食品添
加剤または嚥下食用補助剤を配合することにより、咀嚼
・嚥下困難者向けに調製された食品組成物も包含され
る。
【0041】被験食品組成物の動的粘弾性値(物性値)
〔複素粘性率(η*)、ゼロ周波数外挿値(η*K)、周
波数依存性指数(η*n)〕は、例えば、ARES(Advanced
Rheometric Expansion System)(レオメトリックサイ
エンティフィック社)を用いて、Takahashiの方法(Niho
n Reoroji Gakkaishi Vol.27, 169-172 (1999))に従っ
て測定することができる。具体的には、上記(1)にお
いて記載する方法に従って測定することができる。
【0042】本発明はまた、上記の選別方法によって被
験食品組成物の中から選別された食品組成物を嚥下食用
組成物(咀嚼・嚥下困難者用の食品組成物)として提供
するものである。本発明の範囲には、被験食品組成物の
中から直接選別された食品組成物(嚥下食用組成物)だ
けでなく、嚥下食用組成物として用いる以上、当該選別
された食品組成物と同一組成物を有する食品組成物も含
まれる。
【0043】(4)嚥下食組成物の処方及び/又は処理
方法の決定方法 また本発明は、官能的側面から嚥下食に求められる要件
と動的粘弾性との関連性に基づいて得られた物性条件を
指標として用いて、嚥下食組成物の処方及び/又は処理
方法を決定する方法を提供するものである。なお、ここ
で処方には素材の選択とその組合せ、配合割合等が含ま
れ、また処理方法には嚥下食組成物を調製するために用
いられる、例えば各成分の配合順序、加熱処理の有無ま
たはその温度等の各種の処理条件が含まれる。
【0044】本発明の嚥下食組成物の処方及び/又は処
理方法は、まず、対象とする食品組成物について周波
数:0.1≦ω≦100(rad/s)の領域における複素粘
性率(η*)を測定し、得られた結果からゼロ周波数外
挿値(η*K)、周波数依存性指数(η*n)、及び周波
数5rad/sと50rad/sにおける複素粘性率
(η* 5rad/s、η* 50rad/s)を算出し、それらが下記の
要件: (a)ゼロ周波数外挿値(η*K)が、5≦η*K≦60(P
a・s)、(b)周波数依存性指数(η*n)が、−0.95≦
η*n≦−0.7、(c)周波数5rad/sにおける複素粘性率
(η* 5rad/s)が、2≦η* 5rad/s≦15(Pa・s)、及び
(d)周波数50rad/sにおける複素粘性率(η* 50rad/s
が、0.2≦η* 50rad/s≦2.5(Pa・s)を満たすように
処方及び/又加熱等の処理方法を変更して、嚥下食に適
した食品組成物を調製する。そして、当該食品組成物の
処方及び/又は処理方法から、嚥下食組成物の処方及び
/又は処理方法を決定する。
【0045】この場合、対象とする食品組成物について
処方及び/又処理方法をモディファイする方法の他、複
数の食品組成物を対象として物性値を測定して、これら
の組成物の中から上記(a)〜(d)の物性値要件を満たす食
品組成物を選別し、当該選別された食品組成物の処方及
び/又処理方法から、嚥下食に適した食品組成物の処方
及び/又処理方法を決定することもできる。
【0046】上記(a)〜(d)の好適な物性値範囲として
は: (a')ゼロ周波数外挿値(η*K)が、6≦η*K≦55
(Pa・s)、(b')周波数依存性指数(η*n)が、−0.
93≦η*K≦−0.7、(c')周波数5rad/sにおける複
素粘性率(η* 5rad/s)が、2.2≦η* 5rad/s≦12.5
(Pa・s)、(d')周波数50rad/sにおける複素粘性率
(η* 50rad/s)が、0.3≦η* 50rad/s≦2.25(Pa・
s)を、またより好適な物性値範囲としては: (a")ゼロ周波数外挿値(η*K)が、7≦η*K≦50
(Pa・s)、(b")周波数依存性指数(η*n)が、−0.9
≦η*K≦−0.7、(c")周波数5rad/sにおける複素粘
性率(η* 5rad/s)が、2.5≦η* 5rad/s≦10(Pa・
s)、(d")周波数50rad/sにおける複素粘性率(η*
50rad/s)が、0.4≦η* 50rad/s≦2(Pa・s)を挙げる
ことができる。
【0047】なお、処方する対象の食品組成物は、咀嚼
・嚥下困難者に適用されることを予定または希望する食
品組成物であればよく、その素材、用途および食品の種
類などによって特に制限されるものではない。具体的に
は、食品組成物としては、例えばアイスクリーム、アイ
スミルク、ラクトアイス、シャーベット、氷菓等の冷菓
類;牛乳、乳飲料、乳酸菌飲料、果汁入り清涼飲料、炭
酸飲料、果汁飲料、菜汁飲料、茶飲料、イオン飲料、ス
ポーツ飲料、機能性飲料、ビタミン補給飲料、栄養補給
バランス飲料、粉末飲料等の飲料類;カスタードプリ
ン,ミルクプリン,及び果汁入りプリン等のプリン類、
ゼリー、ババロア及びヨーグルト等のデザート類;チュ
ーインガムや風船ガム等のガム類(板ガム、糖衣状粒ガ
ム);マーブルチョコレート等のコーティングチョコレ
ートの他、イチゴチョコレート、ブルーベリーチョコレ
ート及びメロンチョコレート等の風味を付加したチョコ
レート等のチョコレート類;ソフトキャンディー(キャ
ラメル、ヌガー、グミキャンディー、マシュマロ等を含
む)、タフィ等のキャラメル類;ソフトビスケット、ソ
フトクッキー等の菓子類;セパレートドレッシングやノ
ンオイルドレッシング等のドレッシング、ケチャップ、
たれ、ソースなどのソース類;ストロベリージャム、ブ
ルーベリージャム、マーマレード、リンゴジャム、杏ジ
ャム、プレザーブ等のジャム類;赤ワイン等の果実酒;
シロップ漬のチェリー、アンズ、リンゴ、イチゴ等の加
工用果実;ハム、ソーセージ、焼き豚等の畜肉加工品;
魚肉ハム、魚肉ソーセージ、魚肉すり身、蒲鉾、竹輪、
はんぺん、薩摩揚げ、伊達巻き、鯨ベーコン等の水産練
り製品;うどん、冷麦、そうめん、ソバ、中華そば、ス
パゲッティ、マカロニ、ビーフン、はるさめ及びワンタ
ン等の麺類;コンソメスープ、ポタージュスープ、クリ
ームスープ、中華スープ等の各種スープ、味噌汁、清
汁、シチュウ、カレー、グラタンなどのスープ類;その
他、各種総菜及び蒲鉾、麩、田麩等の種々の食品及びこ
れらの食品を更に加工した加工食品等も挙げることがで
きる。また、このような一般食品に加えて、蛋白質・リ
ン・カリウム調整食品、塩分調整食品、油脂調整食品、
整腸作用食品、カルシウム・鉄・ビタミン強化食品、低
アレルギー食品、濃厚流動食、ミキサー食、及びキザミ
食等の特殊食品や治療食を挙げることができる。
【0048】なお、これらの食品組成物には、通常の素
材に加えてゲル化剤及び/又は増粘剤などの食品添加剤
または嚥下食用補助剤を配合することにより、咀嚼・嚥
下困難者向けに調製される食品組成物も包含される。
【0049】また、ゲル化剤及び/又は増粘剤などの食
品添加剤または嚥下食用補助剤を用いて咀嚼・嚥下困難
者用の食品組成物を調製する場合、当該食品組成物に配
合される食品添加剤や嚥下食用補助剤の処方及び配合割
合の決定も本発明の範疇に含まれる。なお、嚥下食用補
助剤としては、広くゲル化剤及び/又は増粘剤が利用さ
れており、かかるゲル化剤及び/又は増粘剤としては、
ジェランガム、ネイティブジェランガム、カラギーナン
(κ、ι、λ、μ、ν、θ、ζ、π)、ファーセレラ
ン、キサンタンガム、コンニャクマンナン、ローカスト
ビーンガム、タラガム、サイリュームシードガム、アル
ギン酸及びその塩、ペクチン、メチルセルロース、カル
ボキシメチルセルロースおよびその塩、タマリンドシー
ドガム、アゾバクタービネランジガム、コンドロイチン
硫酸及びその塩、グアーガム、アカシアガム、水溶性/
水不溶性大豆多糖類、サバクヨモギシードガム、マクロ
ホモプシスガム、澱粉、ゼラチン、ラムザンガム、寒
天、カードラン、ウェランガム、プルラン、トラガント
ガム、カラヤガム、ガティガム、PGA、化工/加工デ
ンプン、澱粉加水分解物、サイクロデキストリン、キチ
ン、キトサン、卵白、乳清たんぱく、ラクトアルブミ
ン、ラクトグロブリン、牛血清アルブミン及び大豆たん
ぱく等を挙げることができ、これらのゲル化剤及び/又
は増粘剤は、精製したものでもよいし、未精製であって
もよい。
【0050】対象とする食品組成物の物性値(0.1≦
ω≦100(rad/s)の領域における複素粘性率
(η*)、ゼロ周波数外挿値(η*K)、周波数依存性指
数(η*n)、及び周波数5rad/sと50rad/sにおける
複素粘性率(η* 5rad/s、η* 50rad/s))は、例えば、A
RES(Advanced Rheometric Expansion System)(レオメ
トリックサイエンティフィック社)を用いて、Takahash
iの方法(Nihon Reoroji Gakkaishi Vol.27, 169-172 (1
999))に従って測定することができる。これらの物性の
具体的な測定方法及び算出方法は、上記(1)において
記載した通りである。
【0051】(5)嚥下食組成物の製造方法 嚥下食組成物は、上記方法で一旦処方(素材、組成及び
その配合割合)が決定すると、次からはその処方に従っ
て、各食品組成物の常法に従って工業的に製造すること
ができる。本発明はかかる上記方法によって決定された
処方に従って、嚥下食組成物を製造する方法を提供する
ものである。
【0052】なお、嚥下食組成物の製造方法は、決定さ
れた処方に従う以外は、対象とする食品の種類や用途に
応じて、常法に従って実施することができる。
【0053】本発明の嚥下食組成物の製造方法には、下
記(1)〜(4)の工程を有する方法が含まれる。 (1)食品組成物を調製する工程、(2) 上記食品組成物に
ついて、周波数:0.1≦ω≦100(rad/s)における
複素粘性率(η*)を測定し、その結果からゼロ周波数
外挿値(η*K)、周波数依存性指数(η*n)、並びに周波
数5rad/s及び50rad/sにおける複素粘性率
* 5 rad/s、η* 50rad/s)を求める工程、(3) 下記の物
性値の要件を満たすように、上記食品組成物の配合組成
及び/又は加熱等の処理方法を変更しする工程: (a) ゼロ周波数外挿値(η*K)が、5≦η*K≦60(P
a・s)、(b) 周波数依存性指数(η*n)が、−0.95≦
η*n≦−0.7、(c) 周波数5rad/sの複素粘性率(η*
5rad/s)が、2≦η* 5rad/s≦15(Pa・s)、及び(d)
周波数50rad/sの複素粘性率(η* 50rad/s)が、0.2≦
η* 50rad/s≦2.5(Pa・s)、及び(4) 上記物性値要件
を満たす食品組成物の配合組成及び/又は処理方法に基
づいて、嚥下食組成物を調製する工程。上記(a)〜(d)の
好適な物性値範囲としては: (a') ゼロ周波数外挿値(η*K)が、6≦η*K≦55
(Pa・s)、(b') 周波数依存性指数(η*n)が、−
0.93≦η*K≦−0.7、(c') 周波数5rad/sにお
ける複素粘性率(η* 5rad/s)が、2.2≦η* 5rad/s
12.5(Pa・s)、及び(d') 周波数50rad/sにおける
複素粘性率(η* 50rad/s)が、0.3≦η* 50rad /s≦2.
25(Pa・s)を、またより好適な物性値範囲としては: (a") ゼロ周波数外挿値(η*K)が、7≦η*K≦50
(Pa・s)、(b") 周波数依存性指数(η*n)が、−0.
9≦η*K≦−0.7、(c") 周波数5rad/sにおける複
素粘性率(η* 5rad/s)が、2.5≦η* 5rad/s≦10(P
a・s)、及び(d") 周波数50rad/sにおける複素粘性率
(η* 50rad/s)が、0.4≦η* 50rad /s≦2(Pa・s)を
挙げることができる。
【0054】対象食品組成物としては、上記(4)にお
いて具体的に記載する食品組成物を挙げることができ
る。
【0055】(6)嚥下食用補助剤 本発明は、水または食品組成物に添加することによって
簡単に嚥下食が調製できる嚥下食用補助剤を提供する。
【0056】本発明が対象とする嚥下食用補助剤は、そ
れを水または食品組成物に添加して調製される嚥下食
(嚥下食組成物)が、周波数:0.1≦ω≦100(rad
/s)の範囲で複素粘性率(η*)を測定して得られる物性
が下記の物性値の要件を備えるものである: (a) ゼロ周波数外挿値(η*K)が、5≦η*K≦60(P
a・s)、(b) 周波数依存性指数(η*n)が、−0.95≦
η*n≦−0.7、(c) 周波数5rad/sの複素粘性率(η*
5rad/s)が、2≦η* 5rad/s≦15(Pa・s)、及び(d)
周波数50rad/sの複素粘性率(η* 50rad/s)が、0.2≦
η* 50rad/s≦2.5(Pa・s)。
【0057】上記(a)〜(d)の好適な物性値範囲として
は: (a') ゼロ周波数外挿値(η*K)が、6≦η*K≦55
(Pa・s)、(b') 周波数依存性指数(η*n)が、−
0.93≦η*K≦−0.7、(c') 周波数5rad/sにお
ける複素粘性率(η* 5rad/s)が、2.2≦η* 5rad/s
12.5(Pa・s)、及び(d') 周波数50rad/sにおける
複素粘性率(η* 50rad/s)が、0.3≦η* 50rad /s≦2.
25(Pa・s)を、またより好適な物性値範囲としては: (a") ゼロ周波数外挿値(η*K)が、7≦η*K≦50
(Pa・s)、(b") 周波数依存性指数(η*n)が、−0.
9≦η*K≦−0.7、(c") 周波数5rad/sにおける複
素粘性率(η* 5rad/s)が、2.5≦η* 5rad/s≦10(P
a・s)、及び(d") 周波数50rad/sにおける複素粘性率
(η* 50rad/s)が、0.4≦η* 50rad /s≦2(Pa・s)を
挙げることができる。
【0058】具体的には、嚥下食用補助剤としてはゲル
化剤及び/又は増粘剤を含有する組成物を挙げることが
できる。
【0059】ここでゲル化剤及び/又は増粘剤として
は、例えば、精製されているかまたは精製されていない
ジェランガム、ネイティブジェランガム、カラギーナン
(κ、ι、λ、μ、ν、θ、ζ、π)、ファーセレラ
ン、キサンタンガム、コンニャクマンナン、ローカスト
ビーンガム、タラガム、サイリュームシードガム、アル
ギン酸及びその塩、ペクチン、メチルセルロース、カル
ボキシメチルセルロースおよびその塩、タマリンドシー
ドガム、アゾバクタービネランジガム、コンドロイチン
硫酸及びその塩、グアガム、アカシアガム、水溶性/水
不溶性大豆多糖類、サバクヨモギシードガム、マクロホ
モプシスガム、澱粉、ゼラチン、ラムザンガム、寒天、
カードラン、ウェランガム、プルラン、トラガントガ
ム、カラヤガム、ガティガム、PGA、化工/加工デン
プン、澱粉加水分解物、サイクロデキストリン、キチ
ン、キトサン、卵白、乳清たんぱく、ラクトアルブミ
ン、ラクトグロブリン、牛血清アルブミン及び大豆たん
ぱく等のたんぱく素材等を挙げることができる。これら
は1種単独で使用してもまた2種以上を任意に組み合わ
せて使用することもできる。好ましくは、キサンタンガ
ム、ネイティブジェランガム、タマリンドシードガム、
ローカストビーンガム、グアガム、タラガム、澱粉であ
り、組み合せて使用する場合の好適な態様としては、キ
サンタンガム+タマリンドシードガム、キサンタンガム
+グアガム、キサンタンガム+タラガム、キサンタンガ
ム+ローカストビーンガム、澱粉+キサンタンガム、澱
粉+グアガム、澱粉+タラガム、澱粉+ローカストビー
ンガム、ネイティブジェランガム+ιカラギーナンを例
示することができるが、特に限定されるものではない。
より好ましい組合せ態様は、キサンタンガム+グアガ
ム、キサンタンガム+タマリンドシードガム、澱粉+キ
サンタンガム、及び澱粉+グアガムである。
【0060】いずれも組み合わせの比率は95:5〜5:95、
好ましくは90:10〜10:90、より好ましくは85:15〜15:85
であるか、または10:90〜90:10、好ましくは20:80〜80:
20、より好ましくは30:70〜70:30である。
【0061】より具体的には、これらのゲル化剤及び/
又は増粘剤を組み合わせて使用する場合の各ゲル化剤及
び/又は増粘剤の配合割合(重量比)として、例えばキ
サンタンガムとタマリンドシードガムとを組み合わせる
場合95:5〜5:95、好ましくは90:10〜10:90、より好まし
くは85:15〜15:85であり、例えば、ネイティブジェラン
ガムとιカラギーナンとを組み合わせる場合10:90〜90:
10、好ましくは20:80〜80:20、より好ましくは30:70〜7
0:30を例示することができる。
【0062】また、本発明の嚥下食用補助剤は、上記物
性を充足し本発明の効果を妨げないことを限度として、
上記ゲル化剤及び/又は増粘剤に加えて、さらにビタミ
ン・ミネラル等の各種栄養補強素材、ショ糖、液糖、果
糖、オリゴ糖の糖類、エリスリトール、マルチトール等
の糖アルコール類、スクラロース、アスパルテーム、ネ
オテーム、アリテーム、ステビア、ソーマチン等の高甘
度甘味料、乳糖等の賦型剤等を含有していてもよい。
【0063】本発明の嚥下食用補助剤は、その形状を特
に制限されることなく、液状(例えば、液体、懸濁液、
乳濁液、ゾルやペースト等の半固体状)や固形状(例え
ば、粉末、錠剤(タブレット)、丸剤、カプセル、顆粒
など)の任意の形状に調製することができる。かかる調
製方法も特に制限されず、例えば、複数の素材を粉体
で混合する方法、複数の素材を水中で加熱することに
よって溶解、均一分散させ液状とする方法、別々に溶
液を調製し、使用時に混合する方法、溶液化したもの
をスプレードライ等を利用して分散粉末化する方法、
複数の素材を粉体で混合し、プレス機で圧縮することに
より打錠し錠剤状にする方法、溶液化したものを造粒
機により、顆粒化して使用する方法等を例示することが
できる。
【0064】かくして調製される本発明の嚥下食用補助
剤は、その使用方法を特に制限するものではなく、適用
する食品組成物や調製する嚥下食組成物の種類及びその
性状や形状に応じて適宜調整して使用することができ
る。例えば、適用する食品組成物が、水や比較的粘度の
低い液状の食品(液体食品)である場合は、本発明の嚥
下食用補助剤を該食品組成物に攪拌しながら直接添加
し、混合することによって嚥下食組成物(嚥下食)を調
製することができる。また、適用する食品組成物が例え
ばペースト状を有した半流動体食品である場合は、該食
品の半流動化工程で、または半流動化状態になった食品
に、本発明の嚥下食用補助剤を攪拌しながら添加し混合
することによって嚥下食用組成物(嚥下食)を調製する
ことができる。後者の場合、具体的には、半流動体食品
の調製において固形食品をミキサーにかける際に本発明
の嚥下食用補助剤を添加混合するか、あるいはミキサー
を用いてペースト化した食品に本発明の嚥下食用補助剤
を添加混合する方法を例示することができる。
【0065】なお、本発明の嚥下食用補助剤が粉末状を
有する場合、その対象食品組成物への適用方法として
は、限定はされないが、粉末状の嚥下食用補助剤に水分
を加えて液状に調製したものを対象食品組成物に配合す
る方法、粉末状の嚥下食用補助剤を対象食品組成物の一
成分であるだし汁や煮汁中に溶いて使用する方法を例示
することができる。
【0066】例えば、キサンタンガム、タマリンドシー
ドガム、及びローカストビーンガムから調製される粉末
状の嚥下食用補助剤を用いて、嚥下用のお茶(液体食
品)を調製する方法としては、例えばキサンタンガム、
タマリンドシードガム、及びローカストビーンガムを重
量比でそれぞれ75〜85部、10〜20部、及び10
〜20部、好ましくは75〜80部、10〜15部、及
び10〜15部、より好ましくは78:11:11(重
量比)の割合で粉体混合し粉末状の嚥下食用補助剤と
し、これをお茶に撹拌しながら最終濃度が1重量%以上
になるように添加する方法を例示することができる。
【0067】なお、このとき、嚥下食用補助剤を配合す
るお茶は冷えていても暖かくてもよい。かかる粉末状嚥
下食用補助剤をお茶に添加すると直ちに粘度発現し、良
好な飲み心地で嚥下困難者にも飲みやすい増粘したお茶
(咀嚼・嚥下困難者用のお茶)ができる。
【0068】(7)嚥下食用補助剤の選別方法、及び該
方法によって得られる嚥下食用補助剤 本発明は、また水または食品組成物に添加することによ
って簡単に嚥下食が調製できる嚥下食用補助剤を、調製
する嚥下食の物性値を指標として用いて、食品組成物の
中から選別する方法を提供する。
【0069】対象とする被験物質(被験食品組成物)の
中から嚥下食用補助剤を選別する本発明の方法は、下記
の工程を経ることによって実施することができる: (1) 嚥下食組成物を調製するために、水や食品組成物
に被験物質を配合する工程、(2) 上記(1)で得られる組
成物について、周波数:0.1≦ω≦100(rad/s)の
領域における複素粘性率(η*)を測定し、得られた結
果からゼロ周波数外挿値(η*K)、周波数依存性指数
(η*n)、及び周波数5rad/sと50rad/sにおける複
素粘性率(η* 5rad/s、η* 50rad/s)を求める工程、及
び(3) 上記(1)で得られる食品組成物が下記(a)〜(d)の
物性値の要件を満たすような被験物質を選別する工程: (a) ゼロ周波数外挿値(η*K)が、5≦η*K≦60
(Pa・s)、(b) 周波数依存性指数(η*n)が、−0.
95≦η*n≦−0.7、(c) 周波数5rad/sにおける複
素粘性率(η* 5rad/s)が、2≦η* 5rad/s≦15(Pa・
s)、及び(d) 周波数50rad/sにおける複素粘性率
(η* 50rad/s)が、0.2≦η* 50rad/ s≦2.5(Pa・
s)。
【0070】斯くして上記(a)〜(d)の全ての物性値要件
を充足する被験物質(食品組成物)を選択することによ
り、嚥下食用補助剤が取得できる。
【0071】上記(a)〜(d)の好適な物性値の範囲として
は: (a')ゼロ周波数外挿値(η*K)が、6≦η*K≦55
(Pa・s)、(b')周波数依存性指数(η*n)が、−0.
93≦η*K≦−0.7、(c')周波数5rad/sにおける複
素粘性率(η* 5rad/s)が、2.2≦η* 5rad/s≦12.5
(Pa・s)、(d')周波数50rad/sにおける複素粘性率
(η* 50rad/s)が、0.3≦η* 50rad/s≦2.25(Pa・
s)を、またより好適な物性値範囲としては: (a")ゼロ周波数外挿値(η*K)が、7≦η*K≦50
(Pa・s)、(b")周波数依存性指数(η*n)が、−0.9
≦η*K≦−0.7、(c")周波数5rad/sにおける複素粘
性率(η* 5rad/s)が、2.5≦η* 5rad/s≦10(Pa・
s)、(d")周波数50rad/sにおける複素粘性率(η*
50rad/s)が、0.4≦η* 50rad/s≦2(Pa・s)を挙げる
ことができる。
【0072】なお、選別する対象の被験物質(被験食品
組成物)は、水または対象とする食品組成物に添加され
ることによって、当該水または食品組成物が咀嚼・嚥下
困難者に適した食品組成物(嚥下食組成物)として調製
できるものであればよく、その素材や用途等によって特
に制限されるものではない。
【0073】一例を挙げると、ゲル化剤及び/又は増粘
剤を一部または全て含む組成物である。ここでゲル化剤
及び/又は増粘剤としては、例えば、精製されているか
または精製されていないジェランガム、ネイティブジェ
ランガム、カラギーナン(κ、ι、λ、μ、ν、θ、
ζ、π)、ファーセレラン、キサンタンガム、コンニャ
クマンナン、ローカストビーンガム、タラガム、サイリ
ュームシードガム、アルギン酸及びその塩、ペクチン、
メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよび
その塩、タマリンドシードガム、アゾバクタービネラン
ジガム、コンドロイチン硫酸及びその塩、グアガム、ア
カシアガム、水溶性/水不溶性大豆多糖類、サバクヨモ
ギシードガム、マクロホモプシスガム、澱粉、ゼラチ
ン、ラムザンガム、寒天、カードラン、ウェランガム、
プルラン、トラガントガム、カラヤガム、ガティガム、
PGA、化工/加工デンプン、澱粉加水分解物、サイク
ロデキストリン、キチン、キトサン、卵白、乳清たんぱ
く、ラクトアルブミン、ラクトグロブリン、牛血清アル
ブミン及び大豆たんぱく等のたんぱく素材等を挙げるこ
とができる。これらは1種単独で使用してもまた2種以
上を任意に組み合わせて使用することもできる。好まし
くは、キサンタンガム、ネイティブジェランガム、タマ
リンドシードガム、ローカストビーンガム、グアガム、
タラガム、澱粉であり、組み合せて使用する場合の好適
な態様としては、キサンタンガム+タマリンドシードガ
ム、キサンタンガム+グアガム、キサンタンガム+タラ
ガム、キサンタンガム+ローカストビーンガム、澱粉+
キサンタンガム、澱粉+グアガム、澱粉+タラガム、澱
粉+ローカストビーンガム、ネイティブジェランガム+
ιカラギーナンを例示することができるが、特に限定さ
れるものではない。より好ましい組み合わせ態様は、キ
サンタンガム+グアガム、キサンタンガム+タマリンド
シードガム、澱粉+キサンタンガム、及び澱粉+グアガ
ムである。
【0074】いずれも組み合わせの比率は95:5〜5:95、
好ましくは90:10〜10:90、より好ましくは85:15〜15:85
であるか、または10:90〜90:10、好ましくは20:80〜80:
20、より好ましくは30:70〜70:30である。
【0075】より具体的には、これらのゲル化剤及び/
又は増粘剤を組み合わせて使用する場合の各ゲル化剤及
び/又は増粘剤の配合割合(重量比)として、例えばキ
サンタンガムとタマリンドシードガムとを組み合わせる
場合95:5〜5:95、好ましくは90:10〜10:90、より好まし
くは85:15〜15:85であり、例えば、ネイティブジェラン
ガムとιカラギーナンとを組み合わせる場合10:90〜90:
10、好ましくは20:80〜80:20、より好ましくは30:70〜7
0:30を例示することができる。
【0076】また、選別する対象の被験物質として、上
記ゲル化剤及び/又は増粘剤に加えて、さらにビタミン
・ミネラル等の各種栄養補強素材、ショ糖、液糖、果
糖、オリゴ糖の糖類、エリスリトール、マルチトール等
の糖アルコール類、スクラロース、アスパルテーム、ネ
オテーム、アリテーム、ステビア、ソーマチン等の高甘
度甘味料、乳糖等の賦型剤等を含有するものであっても
よい。
【0077】また、対象の被験物質は、その形状を特に
制限されることなく、液状(例えば、液体、懸濁液、乳
濁液、ゾルやペースト等の半固体状)や固形状(例え
ば、粉末、錠剤(タブレット)、丸剤、カプセル、顆粒
など)の任意の形状を有するものであってもよい。
【0078】なお、食品組成物の物性値〔複素粘性率
(η*)、ゼロ周波数外挿値(η*K)、周波数依存性指
数(η*n)〕は、例えば、ARES(Advanced Rheometric
Expansion System)(レオメトリックサイエンティフィ
ック社)を用いて、Takahashiの方法(Nihon Reoroji Ga
kkaishi Vol.27, 169-172 (1999))に従って測定するこ
とができる。具体的には、上記(1)において記載する
方法に従って測定することができる。
【0079】本発明はまた、上記の選別方法によって被
験物質(食品組成物)の中から選別された食品組成物
を、水や対象とする食品組成物に添加して嚥下食組成物
(咀嚼・嚥下困難者用の食品組成物)を調製するために
用いられる、嚥下食用補助剤として提供するものであ
る。本発明の範囲には、被験物質の中から直接選別され
た食品組成物(嚥下食用補助剤)だけでなく、嚥下食用
補助剤として用いる以上、当該選別された被験物質(食
品組成物)と同一組成物を有する食品組成物も含まれ
る。
【0080】(8)嚥下食用補助剤の処方及び/または
配合量の決定方法 また本発明は、嚥下食に求められる官能的要件(嚥下し
やすさ)と動的粘弾性との関連性に基づいて得られた物
性条件を指標として用いて、水や食品組成物に添加する
ことによって該水や食品組成物を嚥下食用組成物(嚥下
食、咀嚼・嚥下困難者用の食品組成物)として簡便に調
製することのできる嚥下食用補助剤の処方及び/又は配
合量を決定する方法を提供するものである。ここで嚥下
食用補助剤の処方には、素材の選択とその組合せ、それ
らの配合比など、並びに処理方法(処理条件)が含まれ
る。また配合量とは処方からなる嚥下食用補助剤につい
て水や対象食品組成物に対する配合量(配合割合)を意
味する。
【0081】本発明の嚥下食用補助剤の処方及び/配合
量の決定方法は、下記の工程を経ることによって実施す
ることができる: (1) 嚥下食組成物を調製するために、水や食品組成物
に被験物質を配合する工程、(2) 上記(1)得られる組
成物について、周波数:0.1≦ω≦100(rad/s)の
領域における複素粘性率(η*)を測定し、得られた結
果からゼロ周波数外挿値(η*K)、周波数依存性指数
(η*n)、及び周波数5rad/sと50rad/sにおける複
素粘性率(η* 5rad/s、η* 50rad/s)を算出する工程、
及び(3) 上記(1)で得られる組成物が下記の物性値の要
件を満たすように、被験物質の処方及び/又は配合量を
変更して、食品組成物を調製する工程: (a) ゼロ周波数外挿値(η*K)が、5≦η*K≦60
(Pa・s)、(b) 周波数依存性指数(η*n)が、−0.
95≦η*n≦−0.7、(c) 周波数5rad/sにおける複
素粘性率(η* 5rad/s)が、2≦η* 5rad/s≦15(Pa・
s)、及び(d) 周波数50rad/sにおける複素粘性率
(η* 50rad/s)が、0.2≦η* 50rad/ s≦2.5(Pa・
s)。
【0082】そして得られた上記物性値を満たす水や食
品組成物に対して用いられる被験物質の処方、及び/又
は、水や食品組成物に対して用いられる被験物質の配合
量から、嚥下食用補助剤の処方及び/又は配合量を決定
する。
【0083】この場合、対象とする被験物質について処
方をモディファイしたり、水や食品組成物への配合量を
モディファイする方法の他、複数の被験物質を用いて
(1)の工程で複数の食品組成物を調製し、これらの組成
物の中から上記(a)〜(d)の物性値要件を満たす食品組成
物を選別し、次いで当該選別された食品組成物の調製に
用いられた被験物質の処方及び/又配合量から、嚥下食
用補助剤に適した被験物質(食品組成物)の処方及び/
又配合量を決定することもできる。
【0084】ここで被験物質としては、食品にゲル化剤
及び/又は増粘剤として用いられるものを挙げることが
でき、具体的には精製されているかもしくは精製されて
いないジェランガム、ネイティブジェランガム、カラギ
ーナン(κ、ι、λ、μ、ν、θ、ζ、π)、ファーセ
レラン、キサンタンガム、コンニャクマンナン、ローカ
ストビーンガム、タラガム、サイリュームシードガム、
アルギン酸及びその塩、ペクチン、メチルセルロース、
カルボキシメチルセルロースおよびその塩、タマリンド
シードガム、アゾバクタービネランジガム、コンドロイ
チン硫酸及びその塩、グアガム、アカシアガム、水溶性
/水不溶性大豆多糖類、サバクヨモギシードガム、マク
ロホモプシスガム、澱粉、ゼラチン、ラムザンガム、寒
天、カードラン、ウェランガム、プルラン、トラガント
ガム、カラヤガム、ガティガム、PGA、化工/加工デ
ンプン、澱粉加水分解物、サイクロデキストリン、キチ
ン、キトサン、卵白、乳清たんぱく、ラクトアルブミ
ン、ラクトグロブリン、牛血清アルブミン及び大豆たん
ぱく等のたんぱく素材等を挙げることができる。これら
は1種単独で使用してもまた2種以上を任意に組み合わ
せて組成物として使用することもできる。好ましくは、
キサンタンガム、ネイティブジェランガム、タマリンド
シードガム、ローカストビーンガム、グアガム、タラガ
ム、澱粉である。組み合せて使用する場合の好適な態様
としては、キサンタンガム+タマリンドシードガム、キ
サンタンガム+グアガム、キサンタンガム+タラガム、
キサンタンガム+ローカストビーンガム、澱粉+キサン
タンガム、澱粉+グアガム、澱粉+タラガム、澱粉+ロ
ーカストビーンガム、及びネイティブジェランガム+ι
カラギーナンであり、より好適にはキサンタンガム+グ
アガム、キサンタンガム+タマリンドシードガム、澱粉
+キサンタンガム、及び澱粉+グアガムを例示すること
ができる。しかし、これらに特に限定されるものではな
い。また、被験物質は上記ゲル化剤及び/又は増粘剤に
加えて、さらにビタミン・ミネラル等の各種栄養補強素
材、ショ糖、液糖、果糖、オリゴ糖の糖類、エリスリト
ール、マルチトール等の糖アルコール類、スクラロー
ス、アスパルテーム、ネオテーム、アリテーム、ステビ
ア、ソーマチン等の高甘度甘味料、乳糖等の賦型剤等を
含有していてもよい。
【0085】上記(a)〜(d)の好適な物性値範囲として
は: (a') ゼロ周波数外挿値(η*K)が、6≦η*K≦55
(Pa・s)、(b') 周波数依存性指数(η*n)が、−
0.93≦η*K≦−0.7、(c') 周波数5rad/sにお
ける複素粘性率(η* 5rad/s)が、2.2≦η* 5rad/s
12.5(Pa・s)、及び(d') 周波数50rad/sにおける
複素粘性率(η* 50rad/s)が、0.3≦η* 50r ad/s≦2.
25(Pa・s)を、またより好適な物性値範囲としては: (a") ゼロ周波数外挿値(η*K)が、7≦η*K≦50
(Pa・s)、(b") 周波数依存性指数(η*n)が、−0.
9≦η*K≦−0.7、(c") 周波数5rad/sにおける複
素粘性率(η* 5rad/s)が、2.5≦η* 5rad/s≦10(P
a・s)、及び(d") 周波数50rad/sにおける複素粘性率
(η* 50rad/s)が、0.4≦η* 50r ad/s≦2(Pa・s)を
挙げることができる。
【0086】前述するように、上記処方決定の工程を実
施することによって、個々の嚥下食用補助剤について水
やある特定の対象食品組成物に対する配合割合も同時に
決定することができる。従って、上記の処方決定方法
は、嚥下食用補助剤の対象食品組成物に対する配合割合
(配合量)の決定方法として規定することができる。
【0087】実際には、嚥下食用補助剤の対象食品組成
物に対する配合割合(配合量)の決定方法は、上記方法
によって処方が決定された嚥下食用補助剤について用い
ることができ、具体的には下記の方法を挙げることがで
きる; (1)嚥下食を調製するために、水や食品組成物に嚥下食
用補助剤を配合する工程: (2)得られる組成物について、周波数:0.1≦ω≦10
0(rad/s)の領域における複素粘性率(η*)を測定
し、得られた結果からゼロ周波数外挿値(η *K)、
周波数依存性指数(η*n)、及び周波数5rad/sと50
rad/sにお ける複素粘性率(η* 5rad/s、η* 50rad/s
を算出する工程、(3)下記(a)〜(d)の物性要件: (a) ゼロ周波数外挿値(η*K)が、5≦η*K≦60
(Pa・s)、(b) 周波数依存性指数(η*n)が、−0.9
5≦η*n≦−0.7、(c) 周波数5rad/sにおける複素
粘性率(η* 5rad/s)が、2≦η* 5rad/s≦15(Pa・
s)、及び(d) 周波数50rad/sにおける複素粘性率
(η* 50rad/s)が、0.2≦η* 50rad/ s≦2.5(Pa・s)
を満たすように嚥下食用補助剤の配合割合を決定する工
程。
【0088】(9)嚥下食用補助剤の製造方法 嚥下食用補助剤は、上記方法で一旦処方(素材、組成)
が決定すると、次からはその処方に従って製造すること
ができる。本発明はかかる上記方法によって決定された
処方に従って、嚥下食用補助剤を製造する方法を提供す
るものである。
【0089】具体的には、嚥下食用補助剤は、決定した
処方(素材、組成)に基づいて複数の素材を粉体で混
合する方法、複数の素材を水中で加熱することによっ
て溶解、均一分散させ液状とする方法、別々に溶液を
調製し、使用時に混合する方法、溶液化したものをス
プレードライ等を利用して分散粉末化する方法、複数
の素材を粉体で混合し、プレス機で圧縮することにより
打錠し錠剤状にする方法、溶液化したものを造粒機に
より、顆粒化して使用する方法等によって調製すること
ができる。
【0090】また、本発明の嚥下食用補助剤において
は、その効果を妨げない範囲において、ビタミン・ミネ
ラル等の各種栄養補強素材、ショ糖、液糖、果糖、オリ
ゴ糖の糖類、エリスリトール、マルチトール等の糖アル
コール類、スクラロース、アスパルテーム、ネオテー
ム、アリテーム、ステビア、ソーマチン等の高甘度甘味
料、乳糖等の賦型剤等を添加することができる。
【0091】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明を詳しく説明す
る。ただしこれらの実施例は本発明をなんら限定もしく
は制限するものではない。また、下記の実施例中、特に
言及しない限り、部は重量部を、また%は重量%を意味
するものとする。
【0092】実施例1 キサンタンガム(商品名:サンエースC、三栄源エフ・
エフ・アイ(株)製)、タマリンドシードガム(ビスト
ップD-2038:三栄源エフ・エフ・アイ(株)製)、およ
び粉砕ローカストビーンガム(商品名:ビストップD-22
13、三栄源エフ・エフ・アイ(株)製)を表1に示す配
合割合(重量部)で混合し、粉末製剤(製剤#1-1、#1-
2、#1-3、#1-4、#1-5、及び#1-6)を調製した。
【0093】
【表1】
【0094】これを最終濃度が0.5%または1%とな
るように脱イオン水に配合して、20℃で10分間、約2,00
0rpmで攪拌しながら分散溶解し、減圧下で脱気した後、
官能評価および物性測定(動的粘弾性、定常剪断粘度)
に供した。
【0095】(1)官能評価 官能評価は10名のパネラーに、上記各製剤(#1-1、#1-
2、#1-3、#1-4、#1-5、及び#1-6)の0.5%調製物およ
び1%調製物のそれぞれについて、口腔内での「まとま
り感(保形性)」(赤羽:栄養日本 Vol.35, 178-180
(1992)、大越:食品流通技術 Vol.22, 9-12 (199
3))、「べとつき感(付着性)」(高橋、大越:日本家
政学会誌 Vol. 50, 333-339 (1999)、丸山ら:栄養学
雑誌 Vol.58,23-28 (2000))、および「喉ごし」(赤
羽:栄養日本 Vol.35, 178-180 (1992)、大越:食品流
通技術 Vol.22, 9-12 (1993))に関して、各々5段階
(1:悪い、2:やや悪い、3:やや良い、4:良い、5:
非常に良い)で評価してもらった。官能評価の結果を表
2に示す。なお、表中、−は、評価を実施していないこ
とを意味する。
【0096】
【表2】
【0097】この結果から、水中濃度を1%に調整した
場合、特に製剤#1-3(キサンタンガム:タマリンドシー
ドガム:粉砕ローカストビーンガム=80:11:9), 製剤#
1-4(同78:11:11), および製剤#1-5(同74:10:16)が
適度な堅さ・保形性を有し、べとつきも少なく、咽頭相
で均一な食塊を形成する等、嚥下に適した素材であるこ
とが確認できた。一方、水中濃度を0.5%に調整した場
合、測定したいずれの試料も口腔内でのまとまり感に乏
しく、均一な食塊を形成することができなかった。
【0098】(2)物性測定 (2-1)動的粘弾性測定 上記各製剤(#1-1、#1-2、#1-3、#1-4、#1-5、及び#1-
6)の0.5%調製物および1%調製物のそれぞれについ
て、動的粘弾性測定装置ARES(レオメトリックサイエン
ティフィック社)を用いて、測定温度20℃、周波数
ω:0.1〜100rad/sの領域で複素粘性率(η*)を
求めた。具体的には、直径50mmのプレート上に試料
をアプライした後、コーン型治具(直径50mm、角度
0.04rad)により、ギャップが0.05mmになる
ように試料をはさみこんだ。歪みを1%に固定し、この
線形歪領域で、周波数を0.1〜100rad/sの範囲で
段階的に上昇させることにより、周波数ω:0.1〜1
00rad/sの全領域におけるG’(貯蔵弾性率:歪みと
同位相の弾性部分)とG"(損失弾性率:歪みとπ/2
位相がずれた成分)から、当該領域について複素粘性率
(η*)を求めた。
【0099】得られた測定データに基づいてX軸に周波
数(ω:0.1〜100rad/s)、Y軸に複素粘性率(η
*)をプロットしてグラフを作成し、得られたグラフか
ら累乗回帰法により回帰式を算出した(Y=Xη*n×η
*K)。回帰式の係数部(η*K)及び指数部(η*n)
からそれぞれ、ゼロ周波数外挿値(η*K)及び周波数
依存性指数(η*n)を求めた。なお、両対数グラフに
周波数(ω)(X軸:0.1〜100rad/s)と複素粘性
率(η*)をプロットした場合には、y切片がゼロ周波
数外挿値(η*K)、直線の傾きが周波数依存性指数
(η*n)に相当する。さらに、上記グラフまたは計算
から、周波数5rad/sと50rad/sのときの複素粘性率
(η* 5rad/s、η* 50rad/s)をそれぞれ求めた。
【0100】各製剤(#1-1、#1-2、#1-3、#1-4、#1-5、
及び#1-6)の0.5%調製物および1%調製物について
得られた物性(ゼロ周波数外挿値[η*K]、周波数依存
性指数[η*n]、周波数5rad/sと50rad/sのときの複
素粘性率[η* 5rad/s]、[η* 50 rad/s])を、下記の物性
値の基準: (a)ゼロ周波数外挿値(η*K)が、5≦η*K≦60(Pa・
s)、(b)周波数依存性指数(η*n)が、−0.95≦η*
n≦−0.7、(c)5rad/sの複素粘性率(η*)が、2≦η
* 5rad/s≦15(Pa・s)、及び(d)50rad/sの複素粘性
率(η*)が、0.2≦η* 50rad/s≦2.5(Pa・s)。の適
否評価と合わせて表3に示す。なお、物性基準の適否評
価は、上記物性基準を満たす場合を○、満たさない場合
を×として示す。また総合評価は、上記全ての基準を充
足する場合を◎、いずれか一つでも満たさない場合を×
として示した。なお、表中、−は評価を実施していない
ことを意味する。
【0101】
【表3】
【0102】以上の結果から、製剤#1-3、#1-4、および
#1-5の1%調製物が本発明で規定したの物性基準を充足
しており、これは(1)の官能評価の結果と一致した。
【0103】本発明の物性基準を満たす製剤#1-3、#1-
4、及び#1-5の1%調製物と、物性基準を満たさない製
剤#1-1、及び#1-2の1%調製物と製剤#1-6の0.5%調
製物のそれぞれについて、周波数(ω)0.1〜100r
ad/sにおける複素粘性率(η*:図中、「Eta*」と示す。
以下の図においても同じ。)(測定温度:20℃)とその
回帰式(Y=η*K×Xη*n)を図1〜図6に示す。
【0104】併せて、図に貯蔵弾性率(G')、損失弾性
率(G'')、損失正接(tanδ:図中、「tand」とも示
す。以下の図においても同じ。)及び動的粘性率
(η':図中、「Eta'」と示す。以下の図においても同
じ。)の値をプロットする。ここで、貯蔵弾性率(G')
は、複素弾性率(G*= G'+iG")の実数部に相当するエ
ネルギー貯蔵に関する部分であり、損失弾性率(G")は
複素弾性率(G*= G'+i G")の虚数部に相当するエネル
ギー損失に関する部分である。また、位相差δから損失
正接(tanδ=G"/G')が求められる。また、複素粘性
率(η*)、周波数(ω)、貯蔵弾性率(G')及び損失弾
性率(G")には、η*=(G'2+G" 21/2/ωの関係が
ある。なお、複素弾性率(G*)は、応力pと変形量eと
の間にフックの法則を適用して弾性率を表現したもので
ある(p= G*e)。
【0105】一方、動的粘性率(η')は、複素粘性率
(η*=η'−iη")の実数部に相当する部分である。な
お、複素粘性率(η*)は、応力pと変形速度(de/dt=
ё)をニュートンの法則を適用して粘度を表現したもの
である(p=η*ё)。
【0106】図1〜3からわかるように、製剤#1-3、#1
-4、及び#1-5の1%調製物は、いずれも貯蔵弾性率
(G':○)および損失弾性率(G":●)は周波数に依存
して増加したが、測定した周波数範囲(ω:0.1〜100ra
d/s)内で常にG'>G"の関係が成り立ち、いわゆる「弱い
ゲル」の性状に近似した物性を有していた。また、測定
周波数範囲(0.1〜100rad/s)においてtan δ(△)は
殆ど変化せず(変動係数CV<20%)、このことから試料の
均一性が高く、咀嚼および嚥下時においても物性の質的
変化が少ないことが示唆された。
【0107】食塊は咽頭相を陰圧によって限られたスペ
ースを限られた時間で通過できるように小さな応力で大
変形しなくてはならない。そのとき、食塊が咽頭相でバ
ラバラになったり堅くて咽頭相に詰まったりしないこと
が肝要である。また、咽頭相の粘膜や咽頭蓋などを滑ら
かに落下するためには、食塊が均質で溶媒が均質に分布
していることが重要である(New Food Industry 1999,
Vol.41 No.11 p1-10)。 製剤#1-3、#1-4、及び#1-5の
1%調製物は、上述するように均質でかつ弱いゲル性状
を有するため、咽頭相を限られた時間で滑らかに落下す
るのに適した、すなわち嚥下食に適した物性を備えてい
ると判断できる。
【0108】(2-2) 定常剪断粘度測定 比較のため、各製剤(#1-1、#1-2、#1-3、#1-4、#1-5、
及び#1-6)の0.5%調製物および1%調製物につい
て、B型回転粘度計を用いて定常剪断粘度(η)を測定
した(温度:20℃、回転数12rpm、使用機器 BL
型Viscometer(トキメック社)、せん断開始2分後の粘
度を測定。いずれの製剤とも、0.5%の場合、ロータ
ー#2、1%の場合、ローター#3を使用した。)。結
果を表4に示す。なお、厚生労働省が定める高齢者用食
品の規格基準によれば、ゾル形状の咀嚼・嚥下困難者用
食品については、B型回転粘度計(温度:20±2℃、
回転数12rpm、使用機器 BL型Viscometer(トキメ
ック社)、せん断開始2分後の粘度を測定)による粘度
として1500mPa・s以上が規定されている。表4には、各
製剤の調製物がこの厚生労働省告示の規格基準(1,500m
Pas以上)を満たすか否かの評価(○、×)も合わせて
示す。
【0109】
【表4】
【0110】表4からわかるように、上記実施例1で調
製した製剤#1-1〜#1-5の1%調製物は全て1500mPa・sを
満足してしまい、定常剪断粘度から嚥下食の適否を明確
に差別化して判断することは困難であった。
【0111】一方、嚥下のしやすさを客観的に判別する
指標として、従来より動的粘弾性測定から数種の物性条
件が提唱されている(参考資料:New Food Industry, 4
1 (11), 1 (1999)等)。しかし、測定周波数領域が明確
に規定されておらず、周波数に依存して物性値が変化す
るような試料についてはその適応が難しいという問題が
あった。
【0112】これに対して、本発明の方法によれば、上
記のような周波数に依存して物性値が変化する試料であ
っても、特定の周波数ポイント(例えば、0rad/s(ゼロ
周波数外挿), 5 rad/s, 50rad/s)を指定することによ
り、η*という単一のパラメーターで「嚥下のしやす
さ」を簡単に評価することができる。
【0113】すなわち、本発明は、簡単且つ客観的な嚥
下食品の評価方法として有用であり、ゆえに各種食品の
「嚥下のしやすさ」評価の自動化(機械化)に応用可能
である。
【0114】なお、本発明の物性を満足する組成物とし
ては、下記のものを例示することができる: キサンタンガム+タマリンドシードガム(90-70:10-3
0、濃度2%) キサンタンガム+タマリンドシードガム+ローカス
トビーンガム(75-85:10-20:10-20、濃度1%) キサンタンガム+グアガム(30-70:70-30、濃度0.7
%) カラギーナン+ローカストビーンガム(70-90:30-1
0、濃度1%) カラギーナン+ネイティブジェランガム(30-50:70-
50、濃度0.5%)。
【0115】実施例2 ネイティブ型ジェランガム(ケルコゲルLT-100:ケルコ
社製)およびι型カラギーナン(カラギニンCS-552、三
栄源エフ・エフ・アイ(株)製)を表5に示す配合割合
(重量部)で混合し、粉末製剤(製剤#2-1、#2-2、#2-
3)を調製した。
【0116】
【表5】
【0117】これらをゲル化剤の最終濃度が0.5%および
1% となるように脱イオン水に配合して、20℃で10分
間、約2,000rpmで攪拌しながら分散溶解し、減圧下で脱
気した後、実施例1と同様に官能評価と物性測定(動的
粘弾性、定常せん断粘度)に供した。なお、官能評価、
動的粘弾性および定常せん断粘度の測定は、いずれも20
℃と50℃の両条件下で行った。
【0118】(1)官能評価 20℃と50℃の両条件下での官能評価の結果を表6に示
す。なお、各評価及びその基準も実施例1に従って行っ
た。
【0119】
【表6】
【0120】(2) 物性評価 (2-1) 動的粘弾性測定 各製剤の0.5%調製物及び1%調製物について、周波
数0.1〜100rad/sの範囲で、複素粘性率(η*)を求め、
その結果から各動的粘弾性値(η*K、η*n、η*
5rad/s、η* 50rad/s)を算出した。結果を表7に示す。
【0121】
【表7】
【0122】この動的粘弾性の結果から、常温(20℃)
では、製剤#2-2(ネイティブ型ジェランガム:ι型カラ
ギーナン=50:50)および製剤#2-3(同70:30)の0.5%調
製物が、本発明で規定する物性基準を充足していた。こ
の結果は、(1)の官能評価の結果と一致しており、かか
る調製物が常温(20℃)で喫食する際の嚥下食として適
当であると判断された。
【0123】また、加温条件(50℃)では、製剤#2-2
(ネイティブ型ジェランガム:ι型カラギーナン=50:5
0)の1%調製物、並びに製剤#2-3(同70:30)の0.5%調製
物と1%調製物が、本発明で規定する物性基準を充足して
いた。この結果は、(1)の官能評価の結果と一致してお
り、かかる調製物が加温状態(50℃)で喫食する際の嚥
下食として適当であると判断された。
【0124】以上のことから、製剤#2-3(ネイティブ型
ジェランガム:ι型カラギーナン=70:30)の0.5%調製
物は喫食温度に関係なく、嚥下食として適していること
が示唆された。
【0125】また、図7、図8及び図9に、それぞれ製
剤#2-1、製剤#2-2及び製剤#2-3の0.5%調製物の測定温度
20℃(左図)および50℃(右図)における、複素粘性率
*)(周波数:0.1〜100rad/s)及びその回帰式
を示す。また、併せて貯蔵弾性率(G')、損失弾性率
(G")、損失正接(tanδ)及び動的粘性率(η')の値
をプロットする。
【0126】本発明の物性基準を満たす、製剤#2-2の0.
5%調製物(20℃)(図8の左)及び製剤#2-3の0.5%調製
物(20℃)(図9の左)、並びに製剤#2-3の0.5%調製物
(50℃)(図9の右)については、G'(○)およびG"
(●)は周波数に依存して増加したが、測定した周波数
範囲において常にG'>G"が成り立ち、「弱いゲル」の性
状に近似した物性を有することが示された。また、測定
周波数範囲(0.1〜100rad/s)においてtan δ(△)は
殆ど変化せず、このことから試料の均一性が高く、咀嚼
および嚥下時においても物性の質的変化が少ないことが
示唆された。一方、本発明の物性基準を満たさない、製
剤#2-1の0.5%調製物(20℃)(図7の左)、並びに製剤
#2-1の0.5%調製物(50℃)(図7の右)及び 製剤#2-2
の0.5%調製物(50℃)(図8の右)については、測定周
波数範囲内でG'とG"とがクロスするいわゆる高濃度溶液
型の力学的スペクトルを示すか、tanδ(△)の変化が
認められた。
【0127】(2-2) 定常剪断粘度測定 比較のため、各製剤(#2-1、#2-2、#2-3)の0.5%調
製物および1%調製物について、それぞれ20℃及び5
0℃においてB型回転粘度計を用いて定常剪断粘度
(η)を測定した(回転数12rpm、使用機器BL型Vi
scometer トキメック社、ローター:20℃のとき、0.
5%の場合#2または#3、1%の場合#4、50℃の
とき、0.5%の場合#1または#2、1%の場合#2
または#3を使用。)。結果を、厚生労働省告示の規格
基準(1,500mPas以上)を満たすか否かの評価(○、
×)と合わせて、表8に示す。
【0128】
【表8】
【0129】厚生労働省が定める高齢者用食品の規格基
準に適合する嚥下食は、常温(20℃)喫食の場合は製剤
#2-3の0.5%調製物、および製剤#2-1, #2-2, #2-3の1%調
製物が、加温(50℃)状態では製剤#2-2および製剤#2-3
の1%調製物であった。
【0130】しかし、厚生労働省告示の高齢者用食品の
規格基準を満足する試料でも、製剤#2-2や #2-3の1%調
製物(20℃)のように粘度が極端に高い場合(例えば1
0,000mPa・s以上)は、(1)の官能評価で示されるよう
に、口腔および咽頭相にまとわりつくような強い付着性
を有しており、必ずしも嚥下しやすいものではなかっ
た。逆に、例えば製剤#2-2の0.5%調製物(20℃)や製
剤#2-3の0.5%調製物(50℃)のように粘度が1,500mPa
・sに満たない試料でも、(1)の官能評価で示されるよう
に、嚥下補助に適した適度な堅さ(保形性)と均一性を
有するものもあり、B型回転粘度計による測定値(定常
剪断粘度)だけで嚥下のしやすさを判断することは困難
であることが判明した。
【0131】本発明により嚥下しやすいと判断された調
製物は、従来から提唱されている動的粘弾性の物性条件
を満足しないものであったが〔例えば、50℃測定時の製
剤#2-2(ネイティブ型ジェランガム:ι型カラギーナン
=50:50)の1%溶液, 製剤#2-3(同70:30)の1%溶液〕で
も、実際は食感的にも適度な堅さのある喉ごしのよいも
のであり、嚥下に適していた。
【0132】なお、本発明の物性を満足する組成物とし
ては、下記のものを例示することができる: ネイティブ型ジェランガム+ι型カラギーナン(50-7
0:50-30、濃度0.5%、20℃) ネイティブ型ジェランガム+ι型カラギーナン(70:3
0、濃度0.5%、50℃) ネイティブ型ジェランガム+ι型カラギーナン(50-7
0:50-30、濃度1%、50℃)実施例3 実施例2で調製した粉末製剤(#2-1, 2-2, 2-3)を、濃
度が0.25%および0.5%となるように市販のトマトジュー
ス(商品名:まるごとトマト(濃縮トマト還元)、カゴ
メ株式会社製)に添加して、20℃、10分間、約2,000rpm
で攪拌溶解(分散)し、減圧下で脱気して食品組成物を
調製し、実施例1と同様に、官能評価および物性測定
(動的粘弾性および定常剪断粘度)に供した(試料温
度、測定温度20℃)。 (1) 官能評価 官能評価の結果を表9に示す。評価項目及び基準は実施
例1に準じた。
【0133】
【表9】
【0134】表9に示すように、いずれの製剤も、添加
濃度0.25%および0.5%で優れた呑込み特性を有したが、
特に濃度0.25%のときべとつきが少なく、喉ごしのよい
食感であった。 (2) 物性測定 (2-1) 動的粘弾性測定 各粉末製剤(#2-1, 2-2, 2-3)を0.25%または0.5%の割
合で添加したトマトジュースについて、実施例1に準じ
て周波数0.1〜100rad/sの範囲で複素粘性率(η*)を測
定し、その結果から各種の動的粘弾性値(η*K, η*n,
η*5rad/s, η*5 0rad/s)を算出した。結果を表10に
示す。
【0135】
【表10】
【0136】表10に示すように、粉末製剤(#2-1, 2-
2, 2-3)を0.25%または0.5%の割合で添加したトマトジ
ュースはいずれも本発明で規定する物性基準を充足して
いた。この結果は、(1)の官能評価と一致していた。こ
のことから、粉末製剤(#2-1,2-2, 2-3)〔ネイティブ
型ジェランガム+ι型カラギーナン(30-70:70-30)含
有組成物〕は常温(20℃)で喫食する際の嚥下食用補助
剤として、濃度0.25-0.5%の範囲で使用可能であること
が示唆された。
【0137】製剤#2-2〔ネイティブ型ジェランガム+ι
型カラギーナン(50:50)含有組成物〕をそれぞれ0.25
%及び0.5%の割合で添加したトマトジュース(測定温
度:20℃)の力学的スペクトルを図10左及び図10右
に示す。
【0138】この結果からわかるように、いずれの添加
濃度においても、G'(○)およびG"(●)は周波数に依
存して増加したが、測定した周波数範囲において常にG'
>G"が成り立ち、「弱いゲル」の性状に近似した物性を
有することが示された。また、測定周波数範囲(0.1〜1
00rad/s)においてtan δ(△)は殆ど変化せず、この
ことから調製したトマトジュースの均一性は高く、咀嚼
および嚥下時においても物性の質的変化が少ないことが
示唆された。
【0139】(2-2) 定常剪断粘度測定 比較のため、(2-1)で調製した試料(トマトジュース)
について、B型回転粘度計を用いて定常剪断粘度を測定
した(温度:20℃、回転数12rpm、使用機器BL型Viscome
terトキメック社、ローター#2)。結果を表11に示
す。
【0140】
【表11】
【0141】表11に示すように、いずれのトマトジュ
ースも厚生労働省告示の規格基準(1,500mPas以上)を満
足していないことが示され、B型回転粘度計による粘度
(定常剪断粘度)と官能評価からの嚥下食適性との間に
明確な相関は認められなかった。ゲル的および固体的性
状の強い試料(トマトジュース)では、粘度測定時に滑
りが生じ、物性値を過少評価している可能性が示唆され
た。
【0142】以上の結果から、定常剪断粘度が1,500mPa
・sに満たないような食品組成物でも、嚥下に適した適
度な堅さ(保形性)と均一性を有するものがあり、B型
回転粘度計による測定値(定常剪断粘度)だけで嚥下の
しやすさを判断することは困難であることが判明した。
また同時に、本発明の物性値は官能評価と一致してお
り、嚥下のしやすさを客観的に示す指標として有効であ
ることが示された。
【0143】実施例4 ネイティブ型ジェランガム(商品名:ケルコゲルLT-10
0:ケルコ社製)および寒天(商品名:寒天S−6S:
伊那寒天(株)製)を表12に示す配合割合(重量部)
で混合し、粉末製剤(製剤#3-1、#3-2、#3-3)を調製し
た。
【0144】
【表12】
【0145】これを90℃に加熱した脱イオン水中で10分
間、約2,000rpmで攪拌しながら溶解し、脱イオン水で最
終製剤濃度が0.25%あるいは0.5% となるように重量を補
正しながら調整した。これを室温まで冷却した後、減圧
下で脱気して、これを食品組成物として、官能評価と物
性測定(動的粘弾性、定常剪断粘度)に供した。なお、
官能評価と物性測定は、実施例1の方法に従って、常温
(20℃)と加温(50℃)の両条件下において行った。
【0146】(1) 官能評価 20℃と50℃の両条件下での官能評価の結果を表13に示
す。なお、各評価及びその基準も実施例1に従って行っ
た。
【0147】
【表13】
【0148】(2) 物性評価 (2-1) 動的粘弾性測定 各製剤の0.25%調製物及び0.5%調製物につい
て、周波数0.1〜100rad/sの範囲で、複素粘性率(η*
を求め、その結果から各動的粘弾性値(η*K、η *n、
η* 5rad/s、η* 50rad/s)を算出した。結果を表14に
示す。
【0149】
【表14】
【0150】この動的粘弾性の結果から、常温(20℃)
では、製剤#3-1〔ネイティブ型ジェランガム+寒天(3
0:70)含有組成物〕および製剤#3-3〔ネイティブ型ジェ
ランガム+寒天(70:30)含有組成物〕の0.25%調製物
が、本発明で規定する物性基準を充足していた。この結
果は、(1)の官能評価の結果と一致しており、かかる調
製物が常温(20℃)で喫食する際の嚥下食として適当で
あると判断された。
【0151】また、加温条件(50℃)では、製剤#3-2
〔ネイティブ型ジェランガム+寒天(50:50)含有組成
物〕および製剤#3-3〔ネイティブ型ジェランガム+寒天
(70:30)含有組成物〕の0.5%調製物が、本発明で規定
する物性基準を充足していた。この結果は、(1)の官能
評価の結果と一致しており、かかる調製物が加温状態
(50℃)で喫食する際の嚥下食として適当であると判断
された。
【0152】以上のことから、粉末製剤#3-3は、水や食
品組成物に対する使用濃度を変えることにより、温度に
無関係に嚥下食用補助剤として使用できることが示唆さ
れた。
【0153】図11に製剤#3-3を用いた調製物(濃度:
0.25%;測定温度:20℃(左図)、および濃度:0.5%;
測定温度:50℃(右図))の力学的スペクトル及びその
回帰式を示す。また、図12、図13及び図14にそれ
ぞれ製剤#3-3を用いた調製物(濃度:0.5%;測定温度:
20℃(左図)、および濃度:0.25%;測定温度:50℃
(右図))、製剤#3-1を用いた調製物(濃度:0.25%;
測定温度:20℃(左図)、および濃度:0.25%;測定温
度:50℃(右図))、及び製剤#3-2を用いた調製物(濃
度:0.5%;測定温度:20℃(左図)、および濃度:0.5
%;測定温度:50℃(右図))の力学的スペクトル及び
その回帰式を示す。
【0154】製剤#3-1の0.25%調製物(20℃)(図1
3、左)は、G'およびG"は周波数に依存して増加した
が、測定した周波数範囲において常にG'>G"が成り立
ち、「弱いゲル」の性状に近似した物性を有することが
示された。
【0155】製剤#3-2の0.5%調製物(50℃)(図14、
左)、製剤#3-3の0.25%調製物(20℃)(図11、左)
と0.5%調製物(50℃)(図11、右)については、測定
周波数領域(0.1〜100rad/s)で、G"は周波数に依存し
て増加したが、G'は周波数に殆ど依存せず、典型的な
「弱いゲル」の性状を有することが示された。
【0156】(2-2)定常剪断粘度測定 比較のため、各製剤(#3-1、#3-2、#3-3)の0.25%
調製物および0.5%調製物について、それぞれ20℃
及び50℃においてB型回転粘度計を用いて定常剪断粘
度(η)を測定した(回転数12rpm、使用機器BL型
Viscometer トキメック社、ローター:20℃、50℃
のいずれも、0.25%の場合#2または#3、0.5
%の場合#3または#4を使用した。)。結果を、厚生
労働省告示の規格基準(1,500mPas以上)を満たすか否
かの評価(○、×)と合わせて、表15に示す。
【0157】
【表15】
【0158】この結果は、(1)の官能評価の結果と一致
しておらず、B型回転粘度計による粘度(定常剪断粘
度)と官能的評価からの嚥下食適性との間には明確な相
関は認められなかった。これは、ゲル的性状が強い試料
(特に製剤#3-1で調製した食品組成物)では、粘度測定
時に滑りが生じるため、物性値を過少評価していること
によると考えられた。
【0159】本発明により嚥下しやすいと判断された調
製物(食品組成物)は、従来から提唱されている動的粘
弾性の物性条件を完全に満足するものではなかったが、
常温喫食時(20℃)の製剤#3-1〔ネイティブ型ジェラン
ガム+寒天(30:70)含有組成物〕および製剤#3-3〔ネ
イティブ型ジェランガム+寒天(70:30)含有組成物〕
の0.25%水溶液、加温喫食時(50℃)の製剤#3-2〔ネイ
ティブ型ジェランガム+寒天(50:50)含有組成物〕お
よび製剤#3-3〔ネイティブ型ジェランガム+寒天(70:3
0)含有組成物〕の0.5%水溶液は、適度な堅さのある喉
ごしのよい食感を有し、嚥下に適したものであった。
【0160】実施例5 キサンタンガム+グアガム(30:70)の混合製剤(製剤#
4)を用いた。
【0161】本製剤の濃度が2%となるように、20℃お
よび80℃の脱イオン水中で10分間、約2,000rpm攪拌溶解
・分散し、減圧下で脱気して、これを被験の食品組成物
1として官能評価および物性測定(動的粘弾性)に供し
た。なお、80℃溶解の場合は、脱イオン水により重量を
補正し、20℃まで冷却後、脱気を行った。
【0162】また、本製剤の濃度が3%となるように、2
0℃の市販牛乳(商品名:森永牛乳、森永乳業株式会社
製)中で10分間、約2,000rpm攪拌溶解・分散し、減圧下
で脱気して、これを被験の食品組成物2として官能評価
および物性測定(動的粘弾性)に供した。
【0163】官能評価及び物性(動的粘弾性)はいずれ
も実施例1に準じ、試料温度及び測定温度はいずれの場
合も20℃とした。また、製剤#4が食品組成物の外観に及
ぼす影響について検討するため、食品組成物1につい
て、分光光度計(機種名:V-560、JASCO社製)を用い、
試料を石英セル(光路長1cm)に注入し、温度20℃、
波長720nmにおける透過率を測定した。
【0164】(1) 官能評価 結果を表16に示す。評価項目及び基準は実施例1に準
じた。
【0165】
【表16】
【0166】表16に示すように、いずれの食品組成物
も、適度に保形性があって付着性の少ない優れた呑込み
特性を有した。また、製剤#4添加による風味の劣化は認
められなかった。
【0167】(2) 物性測定 (2-1) 動的粘弾性測定 本製剤#4を2%添加した脱イオン水溶液(溶解・分散温
度:20℃および80℃)、および本製剤#4を3%添加した
牛乳(溶解・分散温度:20℃)について、実施例1に準
じて周波数0.1〜100rad/sの範囲で複素粘性率(η*)を
求め、その結果から各動的粘弾性値(η*K、η*n、η
* 5rad/s、η* 50rad/s)を算出した。結果を表17に示
す。
【0168】
【表17】
【0169】表17に示すようにいずれの食品組成物も
本発明で規定する物性基準を充足していた。この結果は
(1)の官能評価と一致していた。このことから、本製剤
#4を用いることにより、その溶解温度に関係なく、安
定して嚥下に適した物性を有する食品組成物を調製でき
ることが示された。また、本製剤#4が嚥下食用補助剤
として、水だけに限らず牛乳のような複雑な食品組成物
にも適応可能であることが示唆された。
【0170】この場合、共存物質の影響により製剤の溶
解、分散が抑制される傾向にあるため、水のような単純
系に比べてより多くの添加量を必要とする場合がある。
しかし、本製剤#4等の嚥下食用補助剤をこうした牛乳
または牛乳以外の複雑な食品組成物に適用して嚥下食を
調製する場合でも、本発明で規定する物性基準を指標に
することにより、簡単に嚥下食用補助剤の添加量を決定
することが可能である。
【0171】(2-2) 透過率測定 本製剤#4を2%添加した脱イオン水(溶解温度:20℃
および80℃)について、試料の透過率を測定した結果を
表18に示す。
【0172】
【表18】
【0173】本製剤#4を添加した試料は、溶解温度に
関係なく非常に高い透明性を示した。この結果は、本製
剤#4を添加しても食品の外観を損ねることがないこと
を示唆する。風味の面と総合して、本製剤#4の添加は
食品の嗜好性を低下させず、嚥下食用補助剤として有用
であることが示された。
【0174】
【発明の効果】本発明によれば、口腔内で纏まりやす
く、ベタツキ感がなく、さらに喉ごしのよい、嚥下食に
求められている物性を満たす、咀嚼・嚥下困難者に適し
た食品組成物、また咀嚼・嚥下困難者にとって摂食が困
難な飲食物を簡便に増粘もしくは凝固させることによっ
て上記物性を満たす飲食物に簡便に調製することのでき
る嚥下食用補助剤を提供することができる。これによ
り、咀嚼・嚥下困難な摂食障害者が容易に飲食できるよ
うになり、またこれによりリハビリテーションの促進、
介護者の負担の軽減などを図ることができる。
【0175】また、本発明は咀嚼・嚥下困難者に適した
嚥下食が共通して充足する物性パラメーターを客観的な
判断指標として提供するものである。かかる物性パラメ
ーターを指標にすることにより、食品組成物の中から咀
嚼・嚥下困難者に適した食品組成物(咀嚼・嚥下困難者
用の食品組成物)を選択することができるとともに、嚥
下食及び嚥下食を調製するための補助剤の処方や製造方
法を容易に決定することができる。これによって多くの
食材について咀嚼・嚥下困難者に適した食品組成物(嚥
下食)を調製することができ、嚥下食に多種多様性をも
たせることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の物性基準を満たす製剤#1-3の1%調製
物について、力学的スペクトル(測定温度:20℃))と
その回帰式を示す図である。
【図2】本発明の物性基準を満たす製剤#1-4の1%調製
物について、力学的スペクトル(測定温度:20℃))と
その回帰式を示す図である。
【図3】本発明の物性基準を満たす製剤#1-5の1%調製
物について、力学的スペクトル(測定温度:20℃))と
その回帰式を示す図である。
【図4】本発明の物性基準を満たさない製剤#1-1の1%
調製物について、力学的スペクトル(測定温度:20
℃))とその回帰式を示す図である。
【図5】本発明の物性基準を満たさない製剤#1-2の1%
調製物について、力学的スペクトル(測定温度:20
℃))とその回帰式を示す図である。
【図6】本発明の物性基準を満たさない製剤#1-6の0.
5%調製物について、力学的スペクトル(測定温度:20
℃))とその回帰式を示す図である。
【図7】製剤#2-1の0.5%調製物の測定温度20℃(左
図)および50℃(右図)における力学的スペクトル及び
回帰式を示す図である。
【図8】製剤#2-2の0.5%調製物の測定温度20℃(左
図)および50℃(右図)における力学的スペクトル及び
回帰式を示す図である。
【図9】製剤#2-3の0.5%調製物の測定温度20℃(左
図)および50℃(右図)における力学的スペクトル及び
回帰式を示す図である。
【図10】製剤#2-2をトマトジュースに添加した0.2
5%調製物の測定温度20℃(左図)、および0.5%調
製物の測定温度20℃(右図)における力学的スペクトル
及び回帰式を示す図である。
【図11】製剤#3-3(濃度:0.25%;測定温度:20℃
(左図)、および濃度:0.5%;測定温度:50℃(右
図))の力学的スペクトル及びその回帰式を示す図であ
る。
【図12】製剤#3-3(濃度:0.5%;測定温度:20℃(左
図)、および濃度:0.25%;測定温度:50℃(右図))
の力学的スペクトル及びその回帰式を示す図である。
【図13】製剤#3-1(濃度:0.25%;測定温度:20℃
(左図)、および濃度:0.25%;測定温度:50℃(右
図))の力学的スペクトル及びその回帰式を示す図であ
る。
【図14】製剤#3-2(濃度:0.5%;測定温度:20℃(左
図)、および濃度:0.5%;測定温度:50℃(右図))の
力学的スペクトル及びその回帰式を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 47/40 A61K 47/40 47/42 47/42 A61P 3/02 A61P 3/02 G01N 33/02 G01N 33/02 (72)発明者 浅井 以和夫 大阪府豊中市三和町1丁目1番11号 三栄 源エフ・エフ・アイ株式会社内 Fターム(参考) 4B018 LE04 MD33 MD34 MD37 MD38 MD39 MD40 MD41 ME14 4B041 LC03 LD01 LH02 LH04 LH05 LH07 LH08 LH14 LK17 4C076 AA07 AA09 BB01 CC21 EE30P EE32P EE36P EE37P EE38P EE39P EE41P EE42P FF17 FF35 FF67 GG44

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 測定周波数(ω)が0.1≦ω≦100
    (rad/s)のときに、下記の物性値要件を満たしている
    ことを特徴とする嚥下食組成物: (a)ゼロ周波数外挿値(η*K)が、5≦η*K≦60(Pa・
    s)、(b)周波数依存性指数(η*n)が、−0.95≦η*
    n≦−0.7、(c)5rad/sの複素粘性率(η* 5rad/s)が、
    2≦η* 5rad/s≦15(Pa・s) 、及び(d)50rad/sの
    複素粘性率(η* 50rad/s)が、0.2≦η* 50rad/s≦2.
    5(Pa・s)。
  2. 【請求項2】 対象の食品組成物について、周波数:
    0.1≦ω≦100(rad/s)における複素粘性率
    (η*)を測定し、その結果をもとにして対象の食品組
    成物が下記の物性値要件を満たすか否かを判断すること
    によって当該食品組成物が嚥下食組成物として適してい
    るか否かを評価する方法: (a)ゼロ周波数外挿値(η*K)が、5≦η*K≦60(P
    a・s)、(b)周波数依存性指数(η*n)が、−0.95≦
    η*n≦−0.7、(c)周波数5rad/sの複素粘性率(η*
    5rad/s)が、2≦η* 5rad/s≦15(Pa ・s)、及び(d)
    周波数50rad/sの複素粘性率(η* 50rad/s)が、0.2≦
    η* 50rad/s ≦2.5(Pa・s)。
  3. 【請求項3】 対象の食品組成物について周波数:0.
    1≦ω≦100(rad/s)における複素粘性率(η*)を
    測定し、その結果からゼロ周波数外挿値(η*K)、周波
    数依存性指数(η*n)、及び周波数5rad/s及び50rad/
    sにおける複素粘性率(η* 5ard/s, η* 50ard/s)を求め、
    下記の物性値要件を満たす食品組成物を選択する、嚥下
    食組成物の選別方法: (a)ゼロ周波数外挿値(η*K)が、5≦η*K≦60(P
    a・s)、(b)周波数依存性指数(η*n)が、−0.95≦
    η*n≦−0.7、(c)周波数5rad/sの複素粘性率(η*
    5rad/s)が、2≦η* 5rad/s≦15(Pa ・s)、及び(d)
    周波数50rad/sの複素粘性率(η* 50rad/s)が、0.2≦
    η* 50rad/s ≦2.5(Pa・s)。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の選別方法によって対象
    の食品組成物から選別して得られる嚥下食組成物。
  5. 【請求項5】 下記の工程(1)〜(3)を有する嚥下食組成
    物の処方及び/又は処理方法の決定方法: (1) 対象とする食品組成物について、周波数:0.1≦
    ω≦100(rad/s)における複素粘性率(η*)を測定
    し、その結果からゼロ周波数外挿値(η*K)、周波数依
    存性指数(η*n)、及び周波数5rad/s及び50rad/sに
    おける複素粘性率(η * 5rad/s、η* 50rad/s)を求める工
    程、(2) 最終食品組成物が下記の物性値要件を満たすよ
    うに、食品組成物の処方及び/又は処理方法を変更し
    て、食品組成物を調製する工程: (a) ゼロ周波数外挿値(η*K)が、5≦η*K≦60(Pa
    ・s)、(b) 周波数依存性指数(η*n)が、−0.95≦η
    *n≦−0.7、(c) 周波数5rad/sの複素粘性率(η*
    5rad/s)が、2≦η* 5rad/s≦15(Pa・s)、及び(d) 周
    波数50rad/sの複素粘性率(η* 50rad/s)が、0.2≦η
    * 50rad/s≦2.5(Pa・s)、並びに(3) 上記物性値を満
    たす食品組成物の処方及び/又は処理方法から、嚥下食
    組成物の処方及び/又は処理方法を決定する工程。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載する方法で決定された処
    方及び/又は処理方法に従って、嚥下食組成物を製造す
    る方法。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載する製造方法で得られる
    嚥下食組成物。
  8. 【請求項8】 嚥下食調製のために、水または食品組成
    物に添加して用いられる嚥下食用補助剤であって、調製
    される嚥下食組成物が、測定周波数:0.1≦ω≦10
    0(rad/s)の範囲で複素粘性率(η*)を測定して得られ
    る物性値が下記の要件を備えるものである、嚥下食用補
    助剤: (a)ゼロ周波数外挿値(η*K)が、5≦η*K≦60(Pa・
    s)、(b)周波数依存性指数(η*n)が、−0.95≦η*
    n≦−0.7、(c) 周波数5rad/sの複素粘性率(η*
    5rad/s)が、2≦η* 5rad/s≦15(Pa・s)、及び(d)周
    波数50rad/sの複素粘性率(η* 50rad/s)が、0.2≦η
    * 50rad/s≦2.5(Pa・s)。
  9. 【請求項9】 ゲル化剤及び/又は増粘剤を含有する
    ものである請求項8に記載の嚥下食用補助剤。
  10. 【請求項10】 ゲル化剤及び/又は増粘剤が、精製さ
    れているかまたは精製されていない、ジェランガム、ネ
    イティブジェランガム、カラギーナン(κ、ι、λ、
    μ、ν、θ、ζ、π)、ファーセレラン、キサンタンガ
    ム、コンニャクマンナン、ローカストビーンガム、タラ
    ガム、サイリュームシードガム、アルギン酸及びその
    塩、ペクチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセ
    ルロースおよびその塩、タマリンドシードガム、アゾバ
    クタービネランジガム、コンドロイチン硫酸及びその
    塩、グアガム、アカシアガム、水溶性/水不溶性大豆多
    糖類、サバクヨモギシードガム、マクロホモプシスガ
    ム、澱粉、ゼラチン、ラムザンガム、寒天、カードラ
    ン、ウェランガム、プルラン、トラガントガム、カラヤ
    ガム、ガティガム、PGA、化工/加工デンプン、澱粉
    加水分解物、サイクロデキストリン、キチン、キトサ
    ン、卵白、乳清たんぱく、ラクトアルブミン、ラクトグ
    ロブリン、牛血清アルブミン及び大豆たんぱくよりなる
    群から選択される少なくとも1種である請求項9に記載
    の嚥下食用補助剤。
  11. 【請求項11】 下記の工程(1)〜(3)を含む嚥下食用補
    助剤の選別方法: (1)嚥下食組成物を調製するために、水または対象食品
    組成物に被験物質を配合する工程、(2)上記(1)で得られ
    た組成物について、周波数:0.1≦ω≦100(rad/
    s)における複素粘性率(η*)を測定し、その結果から
    ゼロ周波数外挿値(η*K)、周波数依存性指数(η*n)、
    及び周波数5rad/s及び50rad/sにおける複素粘性率
    * 5rad/d、η* 50rad/d)を求める工程、(3)上記(1)で
    得られた組成物が下記の物性値要件を満たすような被験
    物質を選別する工程: (a)ゼロ周波数外挿値(η*K)が、5≦η*K≦60(Pa・
    s)、(b)周波数依存性指数(η*n)が、−0.95≦η*
    n≦−0.7、(c)周波数5rad/sの複素粘性率(η*
    5ard/s)が、2≦η* 5rad/s≦15(Pa・s)、及び(d)周
    波数50rad/sの複素粘性率(η* 50rad/s)が、0.2≦η
    * 50rad/s≦2.5(Pa・s)。
  12. 【請求項12】 請求項11に記載の選別方法によって
    対象の被験物質から選別して得られる嚥下食用補助剤。
  13. 【請求項13】下記の工程(1)〜(4)を含む、嚥下食用補
    助剤の処方及び/又は配合量の決定方法。 (1) 嚥下食組成物を調製するために、水または対象食品
    組成物に被験物質を配合する工程、(2)上記(1)で得られ
    た組成物について、周波数:0.1≦ω≦100(rad/s
    )における複素粘性率(η*)を測定し、その結果か
    らゼロ周波数外挿値(η *K)、周波数依存性指数(η*
    n)、及び周波数5rad/s及び50rad/sに おける複素
    粘性率(η* 5rad/d、η* 50rad/d)を求める工程、(3)上記
    (1)で得られる組成物が下記の物性値要件を満たすよう
    に、被験物質の処方及び/又は配合量を変更して、食品
    組成物を調製する工程: (a) ゼロ周波数外挿値(η*K)が、5≦η*K≦60(Pa
    ・s)、(b) 周波数依存性指数(η*n)が、−0.95≦η
    *n≦−0.7、(c) 周波数5rad/sの複素粘性率(η*
    5ard/s)が、2≦η* 5rad/s≦15(Pa・s)、(d) 周波数
    50rad/sの複素粘性率(η* 50rad/s)が、0.2≦η*
    50rad/s≦2.5(Pa・s)、及び(4) 上記物性値を満たす
    食品組成物を調製するのに用いられる被験物質の処方及
    び/又は配合量から、嚥下食用補助剤の処方及び/又は
    配合量を決定する工程。
  14. 【請求項14】 請求項13に記載する方法で決定され
    た処方及び/又は配合量に従って、水または対象食品組
    成物に添加して嚥下食組成物を調製するために用いられ
    る嚥下食用補助剤を製造する方法。
  15. 【請求項15】 請求項14の製造方法で製造される、
    水または対象食品組成物に添加して嚥下食組成物を調製
    するために用いられる嚥下食用補助剤。
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