JP2003183453A - エチレン系重合体組成物分散体およびその用途 - Google Patents

エチレン系重合体組成物分散体およびその用途

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Abstract

(57)【要約】 【課題】水性インキおよび油性インキに優れた耐磨耗性
および耐ブロッキング性を併せ持った性能与えるような
エチレン系重合体組成物水性分散体、エチレン系重合体
組成物有機溶剤分散体、印刷インキ用添加剤を提供する
こと。 【解決手段】エチレン系重合体組成物水性分散体は、
(A)Mnが400〜8,000の範囲にあり、Mw/
Mnが3以下であり、結晶化温度と密度の関係が特定の
関係を満たすエチレン系重合体と、(B)不飽和カルボ
ン酸もしくはその誘導体またはスルフォン酸塩で変性さ
れ、不飽和カルボン酸またはその誘導体の含有量が、K
OH滴定換算で、変性重合体1g当たり30〜100m
gKOHの濃度またはスルフォン酸塩の含有量が変性重
合体1グラム当たり−SO3−換算で0.1〜50ミリ
モル当量である変性エチレン系重合体とからなるエチレ
ン系重合体組成物の粒子が水に分散されてなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エチレン系重合体
組成物分散体およびその用途に関し、さらに詳しくは、
エチレン系重合体組成物の粒子が水に分散されてなるエ
チレン系重合体組成物水性分散体、該水性分散体からな
る印刷インキ用添加剤、上記粒子からなる印刷インキ用
添加剤、上記粒子が炭化水素溶剤に分散されてなるエチ
レン系重合体組成物有機溶剤分散体、該有機溶剤分散体
からなる印刷インキ用添加剤に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】水性インキは、従来段ボール等へ
の印刷インキとして広く使用されてきたが、その主成分
となる樹脂だけでは、耐摩耗性が低いため、主にワック
ス類を添加することで、耐摩耗性を付与してきた。本発
明者は、すでにこの用途に、低分子量界面活性剤を含ま
ない低分子量ポリオレフィンの水性分散体を提案してい
る(特公昭58−42207号公報、特開平5−156
028号公報参照)。
【0003】しかしながら、近年、オフセット輪転イン
キに見られるように、印刷物を高温下で乾燥する方法が
広まってきている。一方、耐磨耗性を発現させるには、
ワックスはより軟質系のものがインキ層の表面でつぶれ
やすく、性能も良い。従来主に使用されてきたワックス
類の水性分散体では、ワックスの軟質化により、ワック
スのタック性増加による耐ブロキング不足が発生するた
め、高温下での乾燥後には十分な耐摩耗性と耐ブロッキ
ング性を合わせて発現させることが要望されている。
【0004】一方、油性印刷インキは、環境問題による
溶剤使用規制から、ワックスの分散溶剤もアルコールや
酢酸エチル、脂肪族炭化水素のようなトルエンを含まな
い有機溶剤が用いられることもある。しかし、ワックス
は、一般にこれらの溶剤には溶解しにくい貧溶媒であ
り、一方で、高温でワックスを可溶させ、冷却条件や更
なる貧溶媒の添加によって結晶化品を得る、いわゆる晶
析法は困難である。
【0005】
【発明の目的】本発明は、インキに優れた耐磨耗性およ
び耐ブロッキング性を併せ持った性能与えるような、エ
チレン系重合体組成物の粒子が水に分散されてなるエチ
レン系重合体組成物水性分散体、水性分散体からなる印
刷インキ用添加剤、上記粒子からなる印刷インキ用添加
剤、上記粒子が炭化水素溶剤に分散されてなるエチレン
系重合体組成物有機溶剤分散体、該有機溶剤分散体から
なる印刷インキ用添加剤を提供することを目的としてい
る。
【0006】
【発明の概要】本発明により下記のようなエチレン系重
合体組成物水性分散体、エチレン系重合体組成物有機溶
剤分散体および印刷インキ用添加剤が提供される。 (1)(A)エチレン単独重合またはエチレン/α−オ
レフィン共重合体であって、ゲルパーミエーションクロ
マトグラフィー(GPC)で測定した数平均分子量(M
n)が400〜8,000の範囲にあり、Mw/Mnが
3以下であり、示差走査熱量計(DSC)で測定した結
晶化温度(Tc(℃)、降温速度2℃/分)と密度勾配
管法で測定した密度(D(kg/m3))の関係が下記
式(1) 0.501×D−366 ≧ Tc …(1) を満たすエチレン系重合体と、(B)エチレン単独重合
またはエチレン/α−オレフィン共重合体が不飽和カル
ボン酸もしくはその誘導体またはスルフォン酸塩で変性
された変性エチレン系重合体であって、不飽和カルボン
酸またはその誘導体での変性量が、KOH滴定換算で、
変性重合体1g当たり30〜100mgKOHまたはス
ルフォン酸塩での変性量が、−SO3−換算で、変性重
合体1グラム当たり0.1〜50ミリモルである変性エ
チレン系重合体とからなるエチレン系重合体組成物の粒
子が水に分散されてなるエチレン系重合体組成物水性分
散体。 (2)上記エチレン系重合体(A)が、メタロセン触媒
で合成されたものである(1)に記載のエチレン系重合
体組成物水性分散体。 (3)上記エチレン系重合体(A)と上記変性エチレン
系重合体(B)との重量比率(A/B)が、95/5〜
50/50の範囲にある(1)または(2)に記載のエ
チレン系重合体組成物水性分散体。 (4)上記エチレン系重合体(A)が、密度勾配管法に
よる密度が850〜920kg/m3の範囲にあり、エ
チレン系重合体組成物の粒子の体積平均粒径が0.1〜
20μmの範囲にある(1)〜(3)のいずれかに記載
のエチレン系重合体組成物水性分散体。 (5)(1)〜(4)のいずれかに記載のエチレン系重
合体組成物水性分散体からなる印刷インキ用添加剤。 (6)(1)〜(4)のいずれかに記載のエチレン系重
合体組成物の粒子からなる印刷インキ用添加剤。 (7)(1)〜(4)のいずれかに記載のエチレン系重
合体組成物の粒子が炭化水素溶剤に分散されてなるエチ
レン系重合体組成物有機溶剤分散体。 (8)(7)に記載のエチレン系重合体組成物有機溶剤
分散体からなることを特徴とする印刷インキ用添加剤。
【0007】
【発明の具体的な説明】以下に本発明に係るエチレン系
重合体組成物水性分散体、エチレン系重合体組成物有機
溶剤分散体および印刷インキ用添加剤について具体的に
説明する。本発明のエチレン系重合体組成物水性分散体
は、(A)エチレン系重合体と、(B)変性エチレン系
重合体とからなるエチレン系重合体組成物の粒子が水に
分散されてなる。
【0008】まず、本発明に係るエチレン系重合体組成
物水性分散体に用いられる、(A)エチレン系重合体お
よび(B)変性エチレン系重合体について説明する。(A)エチレン系重合体 本発明で使用されるエチレン系重合体(A)は、エチレ
ン単独重合またはエチレン/α−オレフィン共重合体で
ある。
【0009】ここでα−オレフィンとしては、炭素原子
数3のプロペン、炭素原子数4の1−ブテン、炭素原子
数5の1−ペンテン、炭素原子数6の1−ヘキセン、4
−メチル−1−ペンテン、炭素原子数8の1−オクテン
などが挙げられ、好ましくは、プロペン、1−ブテン、
1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンである。エチ
レン系重合体(A)は、ゲルパーミエーションクロマト
グラフィー(GPC)で測定した数平均分子量(Mn)
が400〜8,000、好ましくは1000〜800
0、より好ましくは2000〜5000の範囲にある。
【0010】数平均分子量(Mn)が上記範囲内にある
と、組成物を水に分散するときに乳化し易く、かつ小粒
径に分散し易い傾向がある。エチレン系重合体(A)
は、Mw/Mnが3以下、好ましくは2.9以下、より
好ましくは2.8以下である。Mw/Mnが上記範囲内
にあると、ローテール成分およびハイテール成分が少な
くなるので、乳化時の分散性が向上し、より均一な分散
体ができる傾向がある。
【0011】エチレン系重合体(A)は、示差走査熱量
計(DSC)で測定した結晶化温度(Tc(℃)、降温
速度2℃/分)と密度勾配管法で測定した密度(D(k
g/m3))の関係が下記式(1) 0.501×D−366 ≧ Tc …(1) 好ましくは 0.501×D−366.5 ≧ Tc …(1a) より好ましくは 0.501×D−367 ≧ Tc …(1b) を満たす結晶化温度と密度の関係が上記式を満たすと、
コモノマー組成分布の狭いエチレン系重合体となるの
で、より低タック性となる傾向がある。
【0012】このようなエチレン系重合体(A)は、低
分子量で低結晶成分が少ない。言い換えれば、コモノマ
ー組成の分布が狭いため低タック性をもつ。本発明で用
いられるエチレン系重合体(A)は、例えば以下のよう
な触媒の存在下に、エチレンを単独重合するか、または
エチレンとα-オレフィンとを共重合することにより製
造することができる。
【0013】エチレン系重合体(A)を得るための触媒
としては、可溶性バナジウム化合物と有機アルミニウム
化合物とからなるバナジウム系触媒、周期表第4族から
選ばれる遷移金属のメタロセン化合物と、有機アルミニ
ウムオキシ化合物および/またはイオン化イオン性化合
物とからなるメタロセン系触媒などの均一系触媒が挙げ
られる。バナジウム系触媒およびメタロセン系触媒は、
公知であり例えば以下のようなものである。
【0014】(可溶性バナジウム化合物)バナジウム系
触媒を形成する可溶性バナジウム化合物としては、下記
式(2)または(3)で表されるバナジウム化合物など
が挙げられる。 VO(OR1)a 1 b …(2) V(OR1)c 1 d …(3) 式中、R1は炭化水素基、X1はハロゲン原子である。
【0015】a、b、cおよびdはそれぞれ0≦a≦
3、0≦b≦3、2≦a+b≦3、0≦c≦4、0≦d
≦4、3≦c+d≦4を満たす数である。なお、可溶性
バナジウム化合物としては、電子供与体を接触させて得
られる可溶性バナジウム化合物の電子供与体付加物を用
いることもできる。 (有機アルミニウム化合物)バナジウム系触媒を形成す
る有機アルミニウム化合物としては、分子内に少なくと
も1個のAl−炭素結合を有する化合物が使用できる、
このような化合物としては、例えば下記一般式(4)で
表される有機アルミニウム化合物、 (R2)m Al(OR3)np2 q …(4) (式中、R2およびR3は互いに同一でも異なっていても
よく、炭素原子を通常1〜15個、好ましくは1〜4個
含む炭化水素基である。X2はハロゲン原子である。m
は0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは
0≦q<3を満たす数であって、しかもm+n+p+q
=3である。) 下記一般式(5)で表される第1属金属とアルミニウム
との錯アルキル化物などが挙げられる。
【0016】(M1)Al(R2) …(5) (式中、M1はLi、NaまたはKであり、R2は前記一
般式(4)のR2と同じである。) (メタロセン化合物)メタロセン系触媒を形成するメタ
ロセン化合物は、周期表第4族から選ばれる遷移金属の
メタロセン化合物であり、具体的な例としては下記一般
式(6)で表される化合物が挙げられる。
【0017】M2Lx …(6) ここで、M2は周期表第4族から選ばれる遷移金属、x
は遷移金属M2の原子価、Lは配位子である。M2で示さ
れる遷移金属の例としては、ジルコニウム、チタン、ハ
フニウムなどがある。Lは遷移金属M2に配位する配位
子であって、そのうち少なくとも1個の配位子Lはシク
ロペンタジエニル骨格を有する配位子であって、このシ
クロペンタジエニル骨格を有する配位子は置換基を有し
ていてもよい。
【0018】シクロペンタジエニル骨格を有する配位子
Lとしては、例えばシクロペンタジエニル基、メチルシ
クロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル
基、n−またはi−プロピルシクロペンタジエニル基、
n−、i−、sec−またはt−ブチルシクロペンタジ
エニル基、ジメチルシクロペンタジエニル基、メチルプ
ロピルシクロペンタジエニル基、メチルブチルシクロペ
ンタジエニル基、メチルベンジルシクロペンタジエニル
基等のアルキルまたはシクロアルキル置換シクロペンタ
ジエニル基;さらにインデニル基、4,5,6,7−テト
ラヒドロインデニル基、フルオレニル基などが挙げられ
る。このシクロペンタジエニル骨格を有する基の水素
は、ハロゲン原子またはトリアルキルシリル基などで置
換されていてもよい。
【0019】前記のメタロセン化合物が、配位子Lとし
てシクロペンタジエニル骨格を有する基を2個以上有す
る場合には、そのうち2個のシクロペンタジエニル骨格
を有する基同士が、エチレン、プロピレン等のアルキレ
ン基;イソプロピリデン、ジフェニルメチレン等の置換
アルキレン基;シリレン基またはジメチルシリレン基、
ジフェニルシリレン基、メチルフェニルシリレン基等の
置換シリレン基などを介して結合されていてもよい。
【0020】シクロペンタジエニル骨格を有する配位子
以外の配位子(シクロペンタジエニル骨格を有しない配
位子)Lとしては、炭素原子数1〜12の炭化水素基、
アルコキシ基、アリーロキシ基、スルホン酸含有基(−
SO34)、ハロゲン原子または水素原子(ここで、R
4はアルキル基、ハロゲン原子で置換されたアルキル
基、アリール基、またはハロゲン原子もしくはアルキル
基で置換されたアリール基である。)などが挙げられ
る。
【0021】(メタロセン化合物の例−1)上記一般式
(6)で表されるメタロセン化合物が、例えば遷移金属
の原子価が4である場合、より具体的には下記一般式
(7)で表される。 R5 k6 l7 m8 n2 …(7) ここで、M2は周期表第4族から選ばれる遷移金属、R5
はシクロペンタジエニル骨格を有する基(配位子)、R
6、R7およびR8はそれぞれ独立にシクロペンタジエニ
ル骨格を有するかまたは有しない基(配位子)である。
kは1以上の整数であり、k+l+m+n=4である。
【0022】M2がジルコニウムであり、かつシクロペ
ンタジエニル骨格を有する配位子を少なくとも2個含む
メタロセン化合物の例を次に挙げる。ビス(シクロペン
タジエニル)ジルコニウムモノクロリドモノハイドライ
ド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロ
リド、ビス(1−メチル−3−ブチルシクロペンタジエ
ニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナ
ト)、ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)
ジルコニウムジクロリドなど。
【0023】前記の化合物の中で、1,3−位置換シク
ロペンタジエニル基を1,2−位置換シクロペンタジエ
ニル基に置き換えた化合物も用いることができる。また
メタロセン化合物の別の例としては、上記一般式(7)
において、R5、R6、R7およびR8の少なくとも2個、
例えばR5およびR6がシクロペンタジエニル骨格を有す
る基(配位子)であり、この少なくとも2個の基がアル
キレン基、置換アルキレン基、シリレン基または置換シ
リレン基などを介して結合されているブリッジタイプの
メタロセン化合物を使用することもできる。このときR
7およびR8は、それぞれ独立に、前述したシクロペンタ
ジエニル骨格を有する配位子以外の配位子Lと同様であ
る。
【0024】このようなブリッジタイプのメタロセン化
合物としては、エチレンビス(インデニル)ジメチルジ
ルコニウム、エチレンビス(インデニル)ジルコニウム
ジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル
−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニル
シリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
メチルフェニルシリレンビス(インデニル)ジルコニウ
ムジクロリドなどが挙げられる。
【0025】(メタロセン化合物の例−2)また別のメ
タロセン化合物の例としては、下記一般式(8)で表さ
れる特開平4−268307号公報記載のメタロセン化
合物が挙げられる。
【0026】
【化1】
【0027】ここで、M2は周期表第4族遷移金属であ
り、具体的にはチタニウム、ジルコニウム、ハフニウム
が挙げられる。R11およびR12は互いに同一でも異なっ
ていてもよく、水素原子;炭素原子数1〜10のアルキ
ル基;炭素原子数1〜10のアルコキシ基;炭素原子数
6〜10のアリール基;炭素原子数6〜10のアリーロ
キシ基;炭素原子数2〜10のアルケニル基;炭素原子
数7〜40のアリールアルキル基;炭素原子数7〜40
のアルキルアリール基;炭素原子数8〜40のアリール
アルケニル基;またはハロゲン原子であり、好ましくは
塩素原子である。
【0028】R13およびR14は互いに同一でも異なって
いてもよく、水素原子;ハロゲン原子;ハロゲン化され
ていてもよい炭素原子数1〜10のアルキル基;炭素原
子数6〜10のアリール基;−N(R20)2、−SR20
−OSi(R20)3、−Si(R2 0)3または−P(R20)2
である。ここで、R20はハロゲン原子、好ましくは塩素
原子;炭素原子数1〜10、好ましくは1〜3のアルキ
ル基;または炭素原子数6〜10、好ましくは6〜8の
アリール基である。R13およびR14は、特に水素原子で
あることが好ましい。
【0029】R15およびR16は、水素原子を除きR13
よびR14と同じであって、互いに同じでも異なっていて
もよく、好ましくは同じである。R15およびR16は、好
ましくはハロゲン化されていてもよい炭素原子数1〜4
のアルキル基、具体的にはメチル、エチル、プロピル、
イソプロピル、ブチル、イソブチル、トリフルオロメチ
ル等が挙げられ、特にメチルが好ましい。
【0030】上記一般式(8)において、R17は次の群
から選ばれる。
【0031】
【化2】
【0032】=BR21、=AlR21、−Ge−、−Sn
−、−O−、−S−、=SO、=SO 2、=NR21、=
CO、=PR21、=P(O)R21など。M3はケイ素、
ゲルマニウムまたは錫、好ましくはケイ素またはゲルマ
ニウムである。ここで、R21、R22およびR23は互いに
同一でも異なっていてもよく、水素原子;ハロゲン原
子;炭素原子数1〜10のアルキル基;炭素原子数1〜
10のフルオロアルキル基;炭素原子数6〜10のアリ
ール基;炭素原子数6〜10のフルオロアリール基;炭
素原子数1〜10のアルコキシ基;炭素原子数2〜10
のアルケニル基;炭素原子数7〜40アリールアルキル
基;炭素原子数8〜40のアリールアルケニル基;また
は炭素原子数7〜40のアルキルアリール基である。
「R21とR22」または「R21とR23」とは、それぞれそ
れらが結合する原子と一緒になって環を形成してもよ
い。
【0033】また、R17は、=CR2122、=SiR21
22、=GeR2122、−O−、−S−、=SO、=P
21または=P(O)R21であることが好ましい。R18
およびR19は互いに同一でも異なっていてもよく、R21
と同じものが挙げられる。mおよびnは互いに同一でも
異なっていてもよく、それぞれ0、1または2、好まし
くは0または1であり、m+nは0、1または2、好ま
しくは0または1である。
【0034】上記一般式(8)で表されるメタロセン化
合物の例としては、次の化合物が挙げられる。rac−
エチレン(2−メチル−1−インデニル)2−ジルコニ
ウム−ジクロライド、rac−ジメチルシリレン(2−
メチル−1−インデニル)2−ジルコニウム−ジクロラ
イドなど。これらのメタロセン化合物は、例えば、特開
平4−268307号公報に記載の方法で製造すること
ができる。
【0035】(メタロセン化合物の例−3)また、メタ
ロセン化合物としては、下記一般式(9)で表されるメ
タロセン化合物を用いることもできる。
【0036】
【化3】
【0037】式中、M3は、周期表第4族の遷移金属原
子を示し、具体的にはチタニウム、ジルコニウム、ハフ
ニウムなどである。R24およびR25は互いに同一でも異
なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子
数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲ
ン化炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含
有基、窒素含有基またはリン含有基を示す。
【0038】R24は炭化水素基であることが好ましく、
特にメチル、エチルまたはプロピルの炭素原子数1〜3
のアルキル基であることが好ましい。R25は水素または
炭化水素基が好ましく、特に水素原子、またはメチル、
エチルもしくはプロピルの炭素原子数1〜3のアルキル
基であることが好ましい。R26、R27、R28およびR29
は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハ
ロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原
子数1〜20のハロゲン化炭化水素基を示す。これらの
中では水素、炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基で
あることが好ましい。R26とR27、R27とR28、R28
29のうち少なくとも1組は、それらが結合している炭
素原子と一緒になって、単環の芳香族環を形成していて
もよい。また芳香族環を形成する基以外の基は、炭化水
素基またはハロゲン化炭化水素基が2種以上ある場合に
は、これらが互いに結合して環状になっていてもよい。
なおR29が芳香族基以外の置換基である場合、水素原子
であることが好ましい。
【0039】X3およびX4は互いに同一でも異なってい
てもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜2
0の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化
水素基、酸素含有基またはイオウ含有基を示すYは、炭
素原子数1〜20の2価の炭化水素基、炭素原子数1〜
20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有
基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、−
O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2−、−N
30−、−P(R30)−、−P(O)(R30)−、−BR30
または−AlR30−(ただし、R30は水素原子、ハロゲ
ン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数
1〜20のハロゲン化炭化水素基)を示す。
【0040】前記の式において、R26とR27、R27とR
28、R28とR29のうち少なくとも1組が互いに結合して
形成する単環の芳香族環を含み、M3に配位する配位子
としては、次式で表されるものなどが挙げられる。
【0041】
【化4】
【0042】(式中、Yは前式に示したものと同じであ
る。) (メタロセン化合物の例−4)メタロセン化合物として
は、また下記一般式(10)で表されるメタロセン化合
物を用いることもできる。
【0043】
【化5】
【0044】式中、M3、R24、R25、R26、R27、R
28およびR29は、上記一般式(9)で使用されたものと
同じである。R26、R27、R28およびR29のうち、R26
を含む2個の基がアルキル基であることが好ましく、R
26とR28、またはR28とR29がアルキル基であることが
好ましい。このアルキル基は、2級または3級アルキル
基であることが好ましい。またこのアルキル基は、ハロ
ゲン原子、ケイ素含有基で置換されていてもよく、ハロ
ゲン原子、ケイ素含有基としては、R24、R25で例示し
た置換基が挙げられる。
【0045】R26、R27、R28およびR29のうち、アル
キル基以外の基は、水素原子であることが好ましい。ま
たR26、R27、R28およびR29は、これらから選ばれる
2種の基が互いに結合して芳香族環以外の単環あるいは
多環を形成していてもよい。ハロゲン原子としては、上
記R24およびR25と同様のものが挙げられる。
【0046】X3、X4およびYとしては、上記と同様の
ものが挙げられる。上記一般式(10)で表されるメタ
ロセン化合物の具体的な例を次に示す。rac−ジメチ
ルシリレン−ビス(4,7−ジメチル−1−インデニ
ル)ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレ
ン−ビス(2,4,7−トリメチル−1−インデニル)ジ
ルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビ
ス(2,4,6−トリメチル−1−インデニル)ジルコニ
ウムジクロリドなど。
【0047】これらの化合物において、ジルコニウム金
属を、チタニウム金属、ハフニウム金属に置換えた遷移
金属化合物を用いることもできる。遷移金属化合物は、
通常ラセミ体として用いられるが、R型またはS型を用
いることもできる。 (メタロセン化合物の例−5)メタロセン化合物とし
て、下記一般式(11)で表されるメタロセン化合物を
使用することもできる。
【0048】
【化6】
【0049】式中、M3、R24、X3、X4およびYは、
上記一般式(9)で説明したと同じ原子または基が挙げ
られる。R24は炭化水素基であることが好ましく、特に
メチル、エチル、プロピルまたはブチルの炭素原子数1
〜4のアルキル基であることが好ましい。R25は、炭素
原子数6〜16のアリール基を示す。R25はフェニル、
ナフチルであることが好ましい。アリール基は、ハロゲ
ン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基または炭素原
子数1〜20のハロゲン化炭化水素基で置換されていて
もよい。
【0050】X3およびX4としては、ハロゲン原子、炭
素原子数1〜20の炭化水素基であることが好ましい。
上記一般式(11)で表されるメタロセン化合物の具体
的な例を次に示す。rac−ジメチルシリレン−ビス
(4−フェニル−1−インデニル)ジルコニウムジクロ
リド、rac−ジメチルシリレン−ビス(2−メチル−
4−フェニル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリ
ド、rac−ジメチルシリレン−ビス(2−メチル−4
−(α−ナフチル)−1−インデニル)ジルコニウムジ
クロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス(2−メチ
ル−4−(β−ナフチル)−1−インデニル)ジルコニ
ウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス(2
−メチル−4−(1−アントリル)−1−インデニル)
ジルコニウムジクロリドなど。またこれら化合物におい
て、ジルコニウム金属をチタニウム金属またはハフニウ
ム金属に置き換えた遷移金属化合物を用いることもでき
る。
【0051】(メタロセン化合物の例−6)またメタロ
セン化合物として、下記一般式(12)で表されるメタ
ロセン化合物を用いることもできる。 LaM45 2 …(12) ここで、M4は周期表第4族またはランタニド系列の金
属である。Laは非局在化π結合基の誘導体であり、金
属M4活性サイトに拘束幾何形状を付与している基であ
る。X5は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原
子、ハロゲン原子、炭素原子数20以下の炭化水素基、
20以下のケイ素を含有するシリル基または20以下の
ゲルマニウムを含有するゲルミル基である。
【0052】この化合物の中では、次式で示される化合
物が好ましい。
【0053】
【化7】
【0054】M4は、チタン、ジルコニウムまたはハフ
ニウムである。X5は上記一般式(12)で説明したも
のと同様である。CpはM4にπ結合しており、かつ置
換基Zを有する置換シクロペンタジエニル基である。Z
は酸素、イオウ、ホウ素または周期表第4族の元素(例
えばケイ素、ゲルマニウムまたは錫)である。
【0055】Yは窒素、リン、酸素またはイオウを含む
配位子であり、ZとYとで縮合環を形成していてもよ
い。このような式で表されるメタロセン化合物の具体的
な例を次に示す。(ジメチル(t−ブチルアミド)(テト
ラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シラン)チタン
ジクロリド、((t−ブチルアミド)(テトラメチル−η5
−シクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイル)チタ
ンジクロリドなど。またこのメタロセン化合物におい
て、チタンをジルコニウムまたはハフニウムに置き換え
た化合物を挙げることもできる。
【0056】(メタロセン化合物の例−7)またメタロ
セン化合物としては、下記一般式(14)で表されるメ
タロセン化合物を使用することもできる。
【0057】
【化8】
【0058】M3は周期表第4族の遷移金属原子であ
り、具体的には、チタニウム、ジルコニウムまたはハフ
ニウムであり、好ましくはジルコニウムである。R31
互いに同一でも異なっていてもよく、そのうち少なくと
も1個以上が炭素原子数11〜20のアリール基、炭素
原子数12〜40のアリールアルキル基、炭素原子数1
3〜40のアリールアルケニル基、炭素原子数12〜4
0のアルキルアリール基またはケイ素含有基であるか、
またはR31で示される基のうち隣接する少なくとも2個
の基が、それらの結合する炭素原子とともに、単数また
は複数の芳香族環または脂肪族環を形成している。この
場合、R31により形成される環はR31が結合する炭素原
子を含んで全体として炭素原子数が4〜20である。
【0059】アリール基、アリールアルキル基、アリー
ルアルケニル基、アルキルアリール基および芳香族環、
脂肪族環を形成しているR31以外のR31は、水素原子、
ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基または
ケイ素含有基である。R32は互いに同一でも異なってい
てもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜1
0のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭
素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数7〜40
のアリールアルキル基、炭素原子数8〜40のアリール
アルケニル基、炭素原子数7〜40のアルキルアリール
基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含
有基またはリン含有基である。
【0060】また、R32で示される基のうち隣接する少
なくとも2個の基が、それらの結合する炭素原子ととも
に、単数または複数の芳香族環または脂肪族環を形成し
ていてもよい。この場合、R32により形成される環はR
32が結合する炭素原子を含んで全体として炭素原子数が
4〜20であり、芳香族環、脂肪族環を形成しているR
32以外のR32は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数
1〜10のアルキル基またはケイ素含有基である。
【0061】なお、R32で示される2個の基が、単数ま
たは複数の芳香族環または脂肪族環を形成して構成され
る基にはフルオレニル基が次式のような構造になる態様
も含まれる。
【0062】
【化9】
【0063】R32は、水素原子またはアルキル基である
ことが好ましく、特に水素原子またはメチル、エチル、
プロピルの炭素原子数1〜3の炭化水素基であることが
好ましい。このような置換基としてR32を有するフルオ
レニル基としては、2,7−ジアルキル−フルオレニル
基が好適な例としてあげられ、この場合の2,7−ジア
ルキルのアルキル基としては、炭素原子数1〜5のアル
キル基が挙げられる。また、R31とR32は、互いに同一
でも異なっていてもよい。
【0064】R33およびR34は互いに同一でも異なって
いてもよく、前記と同様の水素原子、ハロゲン原子、炭
素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20の
アリール基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素
原子数7〜40のアリールアルキル基、炭素原子数8〜
40のアリールアルケニル基、炭素原子数7〜40のア
ルキルアリール基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ
含有基、窒素含有基またはリン含有基である。これらの
うち、R33およびR34は、少なくとも一方が炭素原子数
1〜3のアルキル基であることが好ましい。
【0065】X3およびX4は互いに同一でも異なってい
てもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜2
0の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化
水素基、酸素含有基、イオウ含有基もしくは窒素含有
基、またはX3とX4とから形成された共役ジエン残基で
ある。X3とX4とから形成された共役ジエン残基として
は、1,3−ブタジエン、2,4−ヘキサジエン、1−フ
ェニル−1,3−ペンタジエン、1,4−ジフェニルブタ
ジエンの残基が好ましく、これらの残基はさらに炭素原
子数1〜10の炭化水素基で置換されていてもよい。
【0066】X3およびX4としては、ハロゲン原子、炭
素原子数1〜20の炭化水素基またはイオウ含有基であ
ることが好ましい。Yは、炭素原子数1〜20の2価の
炭化水素基、炭素原子数1〜20の2価のハロゲン化炭
化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含
有基、2価のスズ含有基、−O−、−CO−、−S−、
−SO−、−SO2−、−NR35−、−P(R35)−、−
P(O)(R35)−、−BR35−または−AlR35−(ただ
し、R35は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜2
0の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化
水素基)を示す。
【0067】これらの2価の基のうちでも、−Y−の最
短連結部が1個または2個の原子で構成されているもの
が好ましい。また、R35は、ハロゲン原子、炭素原子数
1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン
化炭化水素基である。Yは、炭素原子数1〜5の2価の
炭化水素基、2価のケイ素含有基または2価のゲルマニ
ウム含有基であることが好ましく、2価のケイ素含有基
であることがより好ましく、アルキルシリレン、アルキ
ルアリールシリレンまたはアリールシリレンであること
が特に好ましい。
【0068】(メタロセン化合物の例−8)またメタロ
セン化合物としては、下記一般式(15)で表されるメ
タロセン化合物を用いることもできる。
【0069】
【化10】
【0070】式中、M3は周期表第4族の遷移金属原子
であり、具体的にはチタニウム、ジルコニウムまたはハ
フニウムであり、好ましくはジルコニウムである。R36
は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロ
ゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子
数6〜10のアリール基、炭素原子数2〜10のアルケ
ニル基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒
素含有基またはリン含有基である。なお、上記アルキル
基およびアルケニル基は、ハロゲン原子で置換されてい
てもよい。
【0071】これらのうちR36は、アルキル基、アリー
ル基または水素原子であることが好ましく、特にメチ
ル、エチル、n−プロピル、i−プロピルの炭素原子数
1〜3の炭化水素基、フェニル、α−ナフチル、β−ナ
フチルなどのアリール基または水素原子であることが好
ましい。R37は互いに同一でも異なっていてもよく、水
素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル
基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数2〜
10のアルケニル基、炭素原子数7〜40のアリールア
ルキル基、炭素原子数8〜40のアリールアルケニル
基、炭素原子数7〜40のアルキルアリール基、ケイ素
含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基または
リン含有基である。なお、上記アルキル基、アリール
基、アルケニル基、アリールアルキル基、アリールアル
ケニル基、アルキルアリール基は、ハロゲンが置換して
いてもよい。
【0072】これらのうちR37は、水素原子またはアル
キル基であることが好ましく、特に水素原子またはメチ
ル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチ
ル、tert−ブチルの炭素原子数1〜4の炭化水素基
であることが好ましい。また、前記R36とR37は、互い
に同一でも異なっていてもよい。R38およびR39は、い
ずれか一方が炭素原子数1〜5のアルキル基であり、他
方は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のア
ルキル基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、ケイ素
含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基または
リン含有基である。
【0073】これらのうち、R38およびR39は、いずれ
か一方がメチル、エチル、プロピルなどの炭素原子数1
〜3のアルキル基であり、他方は水素原子であることが
好ましい。X3およびX4は互いに同一でも異なっていて
もよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20
の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水
素基、酸素含有基、イオウ含有基もしくは窒素含有基、
またはX3とX4とから形成された共役ジエン残基であ
る。これらのうち、ハロゲン原子または炭素原子数1〜
20の炭化水素基であることが好ましい。
【0074】Yは、炭素原子数1〜20の2価の炭化水
素基、炭素原子数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素
基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、
2価のスズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO
−、−SO2−、−NR40−、−P(R40)−、−P(O)
(R40)−、−BR40−または−AlR40−(ただし、R
40は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭
化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素
基)を示す。
【0075】これらのうちYは、炭素原子数1〜5の2
価の炭化水素基、2価のケイ素含有基または2価のゲル
マニウム含有基であることが好ましく、2価のケイ素含
有基であることがより好ましく、アルキルシリレン、ア
ルキルアリールシリレンまたはアリールシリレンである
ことが特に好ましい。以上に説明したメタロセン化合物
は、単独であるいは2種以上組み合せて用いられる。ま
たメタロセン化合物は、炭化水素またはハロゲン化炭化
水素などに希釈して用いてもよい。
【0076】(有機アルミニウムオキシ化合物)有機ア
ルミニウムオキシ化合物は、公知のアルミノオキサンで
あってもよく、またベンゼン不溶性の有機アルミニウム
オキシ化合物であってもよい。このような公知のアルミ
ノオキサンは、具体的には次式で表される。
【0077】
【化11】
【0078】ここで、Rはメチル基、エチル基、プロピ
ル基、ブチル基などの炭化水素基であり、好ましくはメ
チル基、エチル基、特に好ましくはメチル基であり、m
は2以上、好ましくは5〜40の整数である。アルミノ
オキサンは式(OAl(R’))で表されるアルキルオ
キシアルミニウム単位および式(OAl(R''))で表
されるアルキルオキシアルミニウム単位(ここで、R'
およびR''はRと同様の炭化水素基を例示することがで
き、R'およびR''は相異なる基を表す。)からなる混
合アルキルオキシアルミニウム単位から形成されていて
もよい。なお有機アルミニウムオキシ化合物は、少量の
アルミニウム以外の金属の有機化合物成分を含有してい
てもよい。
【0079】(イオン化イオン性化合物)イオン化イオ
ン性化合物(イオン性イオン化化合物、イオン性化合物
と称される場合もある)としては、ルイス酸、イオン性
化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物を例示す
ることができる。ルイス酸としては、BR3(Rは、フ
ッ素、メチル基、トリフルオロメチル基などの置換基を
有していてもよいフェニル基またはフッ素である。)で
表される化合物が挙げられる。ルイス酸の具体的なもの
としては、トリフルオロボロン、トリフェニルボロン、
トリス(4−フルオロフェニル)ボロン、トリス(3,
5−ジフルオロフェニル)ボロン、トリス(4−フルオ
ロメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフ
ェニル)ボロン、トリス(p−トリル)ボロン、トリス
(o−トリル)ボロン、トリス(3,5−ジメチルフェ
ニル)ボロンなどが挙げられる。
【0080】前記イオン性化合物としては、トリアルキ
ル置換アンモニウム塩、N,N−ジアルキルアニリニウ
ム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアリールホスフ
ォニウム塩などが挙げられる。イオン性化合物としての
トリアルキル置換アンモニウム塩としては、トリエチル
アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリプロピル
アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(n−ブ
チル)アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙
げられる。イオン性化合物としてのジアルキルアンモニ
ウム塩としては、ジ(1−プロピル)アンモニウムテト
ラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、ジシクロヘキシ
ルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げら
れる。
【0081】前記イオン性化合物としては、トリフェニ
ルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)
ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス
(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウム
テトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどを挙げ
ることもできる。前記ボラン化合物としては、デカボラ
ン(9);ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ノ
ナボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕
デカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウ
ム〕ビス(ドデカハイドライドドデカボレート)ニッケ
ル酸塩(III)などの金属ボランアニオンの塩などが挙
げられる。
【0082】前記カルボラン化合物としては、4−カル
バノナボラン(9)、1,3−ジカルバノナボラン
(8)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス
(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレー
ト)ニッケル酸塩(IV)などの金属カルボランアニオン
の塩などが挙げられる。このようなイオン化イオン性化
合物は、単独であるいは2種以上組み合せて用いられ
る。また有機アルミニウムオキシ化合物およびイオン化
イオン性化合物は、前記担体化合物に担持させて用いる
こともできる。
【0083】またメタロセン系触媒を形成するに際して
は、有機アルミニウムオキシ化合物および/またはイオ
ン化イオン性化合物とともに、前記した有機アルミニウ
ム化合物を用いてもよい。 (重合)本発明で用いられるエチレン系重合体(A)
は、上記バナジウム系触媒またはメタロセン系触媒の存
在下に、エチレンを通常液相で単独重合するか、または
エチレン、α−オレフィン、および必要により共重合す
る他のモノマーを共重合させる。この際、一般に炭化水
素溶媒が用いられるが、α−オレフィンを溶媒として用
いてもよい。なお、ここで用いる各モノマーは、前述し
た通りである。
【0084】重合方法は、エチレン系重合体(A)がヘ
キサン等の溶媒中に粒子として存在する状態で重合する
懸濁重合、溶剤を用いないで重合する気相重合、そして
140℃以上の重合温度で、エチレン系重合体(A)が
溶剤と共存または単独で溶融した状態で重合する溶液重
合が可能であり、その中でも溶液重合が経済性と品質の
両面で好ましい。
【0085】重合反応は、バッチ法あるいは連続法いず
れの方法で行ってもよい。重合をバッチ法で実施するに
際しては、前記の触媒成分は次に説明する濃度下で用い
られる。バナジウム系触媒が用いられる場合には、重合
系内の可溶性バナジウム化合物の濃度は、通常0.01
〜5ミリモル/リットル(重合容積)、好ましくは0.
05〜3ミリモル/リットルである。可溶性バナジウム
化合物は、重合系内に存在する可溶性バナジウム化合物
の濃度の10倍以下、好ましくは1〜7倍、さらに好ま
しくは1〜5倍の濃度で供給されることが望ましい。ま
た有機アルミニウム化合物は、重合系内のバナジウム原
子に対するアルミニウム原子のモル比(Al/V)で、
2以上、好ましくは2〜50、さらに好ましくは3〜2
0の量で供給される。
【0086】可溶性バナジウム化合物および有機アルミ
ニウム化合物は、通常前記炭化水素溶媒および/または
液状のモノマーで希釈して供給される。この際、可溶性
バナジウム化合物は前記の濃度に希釈されることが望ま
しいが、有機アルミニウム化合物は重合系内における濃
度の例えば50倍以下の任意の濃度に調整して重合系内
に供給されることが望ましい。
【0087】またメタロセン系触媒が用いられる場合に
は、重合系内のメタロセン化合物の濃度は、通常0.0
0005〜0.1ミリモル/リットル(重合容積)、好
ましくは0.0001〜0.05ミリモル/リットルで
ある。また有機アルミニウムオキシ化合物は、重合系内
のメタロセン化合物中の遷移金属に対するアルミニウム
原子のモル比(Al/遷移金属)で、1〜10000、
好ましくは10〜5000の量で供給される。
【0088】イオン化イオン性化合物は、重合系内のメ
タロセン化合物に対するイオン化イオン性化合物のモル
比(イオン化イオン性化合物/メタロセン化合物)で表
して、0.5〜20、好ましくは1〜10の量で供給さ
れる。また有機アルミニウム化合物が用いられる場合に
は、通常約0〜5ミリモル/リットル(重合容積)、好
ましくは約0〜2ミリモル/リットルとなるような量で
用いられる。
【0089】前記バナジウム系触媒の存在下に重合させ
る場合には、重合反応は、通常温度が−50〜+100
℃、好ましくは−30〜+80℃、さらに好ましくは−
20〜+60℃で、圧力が0を超えて4.9MPa(5
0kgf/cm2、ゲージ圧)以下、好ましくは0を超
えて2.0MPa(20kgf/cm2、ゲージ圧)以
下の条件下に行われる。
【0090】前記メタロセン触媒の存在下に重合させる
場合には、重合反応は、通常温度が−20〜+180
℃、好ましくは0〜170℃、さらに好ましくは80〜
170℃で、圧力が0を超えて7.8MPa(80kg
f/cm2、ゲージ圧)以下、好ましくは0を超えて
4.9MPa(50kgf/cm2、ゲージ圧)以下の
条件下に行われる。
【0091】重合に際して、エチレンおよび必要に応じ
て用いられるα−オレフィンは、前記した特定組成のエ
チレン系重合体(A)が得られるような量割合で重合系
に供給される。また重合に際しては、水素などの分子量
調節剤を添加することもできる。このようにして重合さ
せると、生成した重合体は通常これを含む重合液として
得られるので、常法により処理すると、本発明に係るエ
チレン系重合体(A)が得られる。
【0092】エチレン系重合体(A)の合成方法とし
て、上記メタロセン触媒以外に各種錯体触媒を用いる方
法が挙げられ、一例として特開2001−2731号公
報記載の錯体化合物を用いた重合方法が挙げられる。具
体的には、下記一般式(16)で表される錯体化合物
と、有機金属化合物、有機アルミニウムオキシ化合物お
よび一般式(16)で表される錯体化合物と反応してイ
オン対を形成する化合物から選ばれる少なくとも1種の
化合物とからなるオレフィン重合用触媒により、エチレ
ンを単独重合するか、またはエチレンとα-オレフィン
とを共重合する。
【0093】(錯体化合物)
【0094】
【化12】
【0095】(なお、N……Mは、一般的には配位して
いることを示すが、本発明においては配位していてもし
ていなくてもよい。) 一般式(16)中、Mは周期表第3〜11族の遷移金属
原子(3族にはランタノイドも含まれる)を示し、好ま
しくは3〜9族(3族にはランタノイドも含まれる)の
金属原子であり、より好ましくは3〜5族および9族の
金属原子であり、さらに好ましくは4族または5族の金
属原子であり、特に好ましくはチタン、ジルコニウム、
ハフニウムである。
【0096】mは、1〜6、好ましくは1〜4の整数を
示す。R41〜R46は、互いに同一でも異なっていてもよ
く、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式
化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、
イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウ
ム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうちの2
個以上が互いに連結して環を形成していてもよい。
【0097】なお、R46は水素以外の置換基であること
が好ましい。R41〜R46は、これらのうちの2個以上の
基、好ましくは隣接する基が互いに連結して脂肪環、芳
香環または、窒素原子などの異原子を含む炭化水素環を
形成していてもよく、これらの環はさらに置換基を有し
ていてもよい。また、mが2以上の場合には、1つの配
位子に属するR41〜R46と他の配位子に属するR41〜R
46とが連結されていてもよい。さらに、mが2以上の場
合にはR41同士、R42同士、R43同士、R44同士、R45
同士、R46同士は、互いに同一でも異なっていてもよ
い。
【0098】nは、Mの価数を満たす数であり、具体的
には0〜5、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜3
の整数である。Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水
素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素
含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含
有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニ
ウム含有基、またはスズ含有基を示す。なお、nが2以
上の場合には、互いに同一であっても、異なっていても
よい。
【0099】なお、nが2以上の場合は、Xで示される
複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またX
で示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよ
い。このような、上記一般式(16)で表される錯体化
合物の具体的な例は、特開2001−2731号公報の
段落番号[0065]〜[0076]に示されている。
【0100】また、一般式(16)で表される錯体化合
物としては、下記一般式(16a)で表される錯体化合
物がある。
【0101】
【化13】
【0102】式中、Mは周期表第3〜11族の遷移金属
原子を示し、R41〜R50は、互いに同一でも異なってい
てもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテ
ロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含
有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲル
マニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのう
ちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよ
く、nは、Mの価数を満たす数であり、Xは、水素原
子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含
有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有
基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残
基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含
有基を示し、nが2以上の場合は、Xで示される複数の
基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示さ
れる複数の基は互いに結合して環を形成してもよく、Y
は、酸素、硫黄、炭素、窒素、リン、ケイ素、セレン、
スズおよび硼素からなる群より選ばれた少なくとも1種
の元素を含む2価の結合基を示し、炭化水素基である場
合には炭素数3個以上からなる基である。nが2以上の
場合、2個以上のXが互いに連結して形成する環は、芳
香族環であっても、脂肪族環であってもよい。
【0103】上記一般式(16a)で表される錯体化合
物の具体的な例は、特開2001−2731号公報の段
落番号[0085]ないし[0087]に示されてい
る。有機金属化合物としては、好ましくは上記有機アル
ミニウム化合物が用いられる。有機金属化合物は、1種
単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。有機ア
ルミニウムオキシ化合物としては、上記有機アルミニウ
ムオキシ化合物が用いられる。また、有機アルミニウム
オキシ化合物としては、下記一般式(17)で表される
ボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物を用いる
こともできる。
【0104】
【化14】
【0105】式中、R51は炭素原子数1〜10の炭化水
素基を示す。R52は、互いに同一でも異なっていてもよ
く、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜10の
炭化水素基を示す。上記のような有機アルミニウムオキ
シ化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用
いられる。
【0106】上記一般式(16)で表される錯体化合物
と反応してイオン対を形成する化合物としては、上記イ
オン化イオン性化合物が挙げられる。イオン化イオン性
化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いら
れる。 (重合)重合は溶解重合、懸濁重合などの液相重合法ま
たは気相重合法のいずれにおいても実施できる。液相重
合法において用いられる不活性炭化水素媒体として具体
的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプ
タン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族
炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシ
クロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエ
ン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリ
ド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化
炭化水素またはこれらの混合物などを挙げることがで
き、オレフィン自身を溶媒として用いることもできる。
【0107】上記のようなオレフィン重合用触媒を用い
て、オレフィンの重合を行うに際して、錯体化合物は通
常10-12〜10-2モル、好ましくは10-10〜10-3
ルになるような量で用いられる。有機金属化合物は、有
機金属化合物と、錯体化合物の遷移金属原子(M)との
モル比(有機金属化合物/M)が、通常0.01〜10
0,000、好ましくは0.05〜50,000となるよ
うな量で用いられる。
【0108】有機アルミニウムオキシ化合物は、有機ア
ルミニウムオキシ化合物中のアルミニウム原子と、錯体
化合物中の遷移金属原子(M)とのモル比(Al/M)
が、通常10〜500,000、好ましくは20〜10
0,000となるような量で用いられる。イオン化イオ
ン性化合物は、イオン化イオン性化合物と、錯体化合物
中の遷移金属原子(M)とのモル比(イオン化イオン性
化合物/M)が、通常1〜20、好ましくは1〜10と
なるような量で用いられる。
【0109】また、このようなオレフィン重合用触媒を
用いたオレフィンの重合温度は、通常−50〜+200
℃、好ましくは0〜170℃の範囲である。重合圧力
は、通常常圧〜9.8MPa(100kg/cm2、ゲ
ージ圧)、好ましくは常圧〜4.9MPa(50kg/
cm2、ゲージ圧)の条件下であり、重合反応は、回分
式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うこ
とができる。さらに重合を反応条件の異なる2段以上に
分けて行うことも可能である。
【0110】この方法により、重合体鎖の片側末端にビ
ニル型またはビニリデン型の不飽和結合を含むエチレン
系重合体が得られ、このエチレン系重合体は、変性エチ
レン系重合体(B)の−SO3−の付与体としても使用
可能である。(B)変性エチレン系重合体 変性エチレン系重合体(B)は、エチレン単独重合また
はエチレン/α−オレフィン共重合体が、不飽和カルボ
ン酸もしくはその誘導体またはスルフォン酸塩で変性さ
れた変性エチレン系重合体である。
【0111】変性エチレン系重合体(B)の調製に用い
られる、エチレン単独重合またはエチレン/α−オレフ
ィン共重合体(以下「原料エチレン系重合体」ともい
う。)としては、例えば上記エチレン系重合体(A)が
挙げられる。変性エチレン系重合体(B)は、従来公知
の方法で調製することができ、例えば(i)原料エチレ
ン系重合体と、(ii)不飽和カルボン酸もしくはその誘
導体またはスルフォン酸塩とを、(iii)有機過酸化物
などの重合開始剤の存在下に溶融混練するか、または
(i)エチレン系重合体と、(ii)不飽和カルボン酸も
しくはその誘導体またはスルフォン酸塩とを有機溶媒に
溶解した溶液中で(iii)有機過酸化物などの重合開始
剤の存在下に混練することにより得られる。
【0112】変性エチレン系重合体(B)の変性に用い
られる不飽和カルボン酸またはその誘導体としては、例
えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル
酸ブチル、アクリル酸−sec−ブチル、アクリル酸イソ
ブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピ
ル、アクリル酸−2−オクチル、アクリル酸ドデシル、
アクリル酸ステアリル、アクリル酸ヘキシル、アクリル
酸イソヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸−2
−クロロフェニル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、
アクリル酸−3−メトキシブチル、アクリル酸ジエチレ
ングリコールエトキシレート、アクリル酸−2,2,2−
トリフルオロエチルなどのアクリル酸エステル類;メタ
クリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタクリル酸
ブチル、メタクリル酸−sec−ブチル、メタクリル酸イ
ソブチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプ
ロピル、メタクリル酸−2−オクチル、メタクリル酸ド
デシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステア
リル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸デシル、メ
タクリル酸フェニル、メタクリル酸−2−クロロヘキシ
ル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸
−2−ヘキシルエチル、メタクリル酸−2,2,2−トリ
フルオロエチル等のメタクリル酸エステル類:マレイン
酸エチル、マレイン酸プロピル、マレイン酸ブチル、マ
レイン酸ジエチル、マレイン酸ジプロピル、マレイン酸
ジブチル等のマレイン酸エステル類:フマル酸エチル、
フマル酸ブチル、フマル酸ジブチル等のフマル酸エステ
ル類;マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、クロトン
酸、ナジック酸、メチルヘキサヒドロフタル酸等のジカ
ルボン酸類;無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シ
トラコン酸、無水アリルコハク酸、無水グルタコン酸、
無水ナジック酸などの無水物などが挙げられる。
【0113】変性エチレン系重合体(B)は、不飽和カ
ルボン酸またはその誘導体での変性量が、KOH滴定換
算で、重合体1g当たり30〜100mgKOHである
ことが好ましく、30〜60mgKOHであることがさ
らに好ましい。不飽和カルボン酸またはその誘導体での
変性量が上記範囲内にあると、水性分散体から得られる
微粒子の吸湿性が適度であり、耐水性、耐候性等に優れ
る傾向がある。また、水添加後の転相が十分であり、水
性分散体が高収率で得られる傾向がある。
【0114】スルフォン酸塩で変性されている場合は、
変性量が重合体1g当たり0.1〜100ミリモルであ
ることが好ましく、5〜50ミリモルであることがさら
に好ましい。スルフォン酸塩での変性量が上記範囲内に
あると、未乳化物が発生し難く、かつ乳化物以外にスル
ホン酸塩の凝集物が発生し難くなる傾向がある。
【0115】エチレン系重合体組成物水性分散体の調製
方法 本発明に係るエチレン系重合体組成物水性分散体は、例
えば上記エチレン系重合体(A)と変性エチレン系重合
体(B)とから得られるエチレン系重合体組成物を水に
分散させることにより調製することができる。具体的に
は、まずエチレン系重合体(A)と変性エチレン系重合
体(B)とを溶融混練する。この際、エチレン系重合体
(A)と変性エチレン系重合体(B)との重量比率(A
/B)は、95/5〜50/50であることが好まし
く、90/10〜60/40であることがさらに好まし
い。
【0116】溶融混練の際の温度は、エチレン系重合体
(A)と変性エチレン系重合体(B)のうち高いものの
方の融点以上、好ましくは溶融粘度が105poise以下に
なる温度以上である。次に、溶融混練物に水を添加し、
樹脂固形分が分散粒子となるように樹脂が溶融状態のま
ま樹脂と水とを混練を行うことにより、溶融した樹脂を
水性分散体に転相させることができる。この工程で後述
するような塩基性物質、界面活性剤を添加することがで
きる。
【0117】水は、エチレン系重合体組成物水性分散体
全体に対して、1〜40重量%、好ましくは15〜30
重量%となるような量で添加することが好ましい。塩基
性物質は、そのまま添加したり、水溶液として添加した
りすることができるが、上記水に溶解して用いることが
好ましい。塩基性物質の添加量は、通常変性エチレン系
重合体を中和するのに必要な量である。
【0118】エチレン系重合体組成物水性分散体の分散
粒子の体積50%平均粒径は、0.1〜10μmである
ことが好ましく、0.2〜5μmであることがさらに好
ましい。このようにして得られたエチレン系重合体組成
物水性分散体は、固形分が60重量%以上であり、70
重量%以上であることが好ましい。このような高固形分
のエチレン系重合体組成物水性分散体は、見かけ上固体
であり、水を加えることによって固形分が微細粒子とし
て水相中に均一に分散するものであることが好ましい。
【0119】本発明に係るエチレン系重合体組成物水性
分散体は、種々の用途に用いることができるが、印刷イ
ンキ用添加剤、特に水性インキ用添加剤として好適に用
いることができ、インキに優れた耐磨耗性および耐ブロ
ッキング性を併せ持った性能を与えることができる。高
固形分のエチレン系重合体組成物水性分散体は、必要に
応じて、水または塩基性水溶液等(温水含む)を加え攪
拌することにより、流動性のある液状の水性分散体とな
る。このように、高固形分のエチレン系重合体組成物水
性分散体をさらに水中に均一に微細分散することによ
り、固形分濃度、粘度、pH等の液物性を幅広く調整す
ることが可能となり、広範囲のインキへの添加が可能と
なる。このように、固形分濃度、粘度、pH等の調製さ
れたエチレン系重合体組成物水性分散体もまた、インキ
に優れた耐磨耗性および耐ブロッキング性を併せ持った
性能を与えることができる。
【0120】(塩基性物質)塩基性物質としては、水中
で塩基として作用する以下の物質、例えば、アルカリ金
属;アルカリ土類金属;アンモニア;アミン;アルカリ
金属の酸化物、水酸化物、弱酸塩または水素化物;アル
カリ土類金属の酸化物、水酸化物、弱酸塩または水素化
物;アルカリ金属またはアルカリ土類金属のアルコキシ
ドなどが挙げられる。さらに具体的には、アルカリ金属
としてはナトリウム、カリウムなどが挙げられ、アルカ
リ土類金属としてはカルシウム、ストロンチウム、バリ
ウムなどが挙げられ、アミンとしてはヒドロキシルアミ
ン、ヒドラジンなどの無機アミン、メチルアミン、エチ
ルアミン、エタノールアミン、シクロヘキシルアミンな
どが挙げられ、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の
酸化物、水酸化物、弱酸塩または水素化物としては酸化
ナトリウム、過酸化ナトリウム、酸化カリウム、過酸化
カリウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、水酸化
ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸
化ストロンチウム、水酸化バリウム、水素化ナトリウ
ム、水素化カリウム、水素化カルシウム、炭酸ナトリウ
ム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリ
ウム、炭酸水素カルシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリ
ウム、酢酸カルシウムなどが挙げられ、アンモニアおよ
びアミンの化合物としては例えば水酸化アンモニウム、
テトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどの四級アン
モニウム化合物、ヒドラジン水和物などが挙げられる。
【0121】(界面活性剤)本発明に係るエチレン系重
合体組成物水性分散体では、必要に応じて界面活性剤が
併用される。変性エチレン重合体(B)がカルボン酸ま
たはその誘導体で変性されたものである場合は、ノニオ
ン系界面活性剤が適し、変性エチレン系重合体(B)が
スルフォン酸で変性されたものである場合は、アニオン
界面活性剤が適する。界面活性剤を用いることによりエ
チレン系重合体組成物の水分散性を向上させることがで
きる。
【0122】ノニオン界面活性剤としては、親水性・親
油性バランス(HLB)の低いもの、好ましくはHLB
が12以下、さらに好ましくは10以下、特に好ましく
は5〜10の範囲のものが用いられる。具体的には、ポ
リオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレ
ンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪
酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミドエーテ
ル、多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレ
ン多価アルコール脂肪酸エステル、脂肪酸ショ糖エステ
ル、アルキロールアミド、ポリオキシアルキレンブロッ
クコポリマーなどの内で、HLBが上記範囲内にある界
面活性剤が用いられる。これらのノニオン界面活性剤で
は一般に、ポリオキシエチレン単位の含有量が減少する
とHLBが低下するので、エチレンオキサイドの付加モ
ル数を調節することにより、所望のHLBのノニオン界
面活性剤が得られる。ノニオン系界面活性剤の添加重
は、変性エチレン系重合体当たり0.1〜10重量%、
好ましくは0.3〜2.0重量%の範囲が望ましい。
【0123】アニオン系界面活性剤としては、例えば第
1級高級脂肪酸塩、第2級高級脂肪酸塩、第1級高級ア
ルコール硫酸エステル塩、第2級高級アルコール硫酸エ
ステル塩、高級アルキルジスルホン酸塩、スルホン酸化
高級脂肪酸塩、高級脂肪酸硫酸エステル塩、高級脂肪酸
エステルスルホン酸塩、高級アルコールエーテルの硫酸
エステル塩、高級アルコールエーテルのスルホン酸塩、
高級脂肪酸アミドのアルキロール化硫酸エステル塩、ア
ルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェノールスル
ホン酸塩、アルキルナフタリンスルホン酸塩、アルキル
ベンゾイミダゾールスルホン酸塩等塩基性物質と反応し
てアニオン界面活性剤となったものならいかなるもので
もよい。これらの界面活性剤のより具体的な化合物名
は、例えば堀口博著「合成界面活性剤」(昭和41、三
共出版)に示されている。これらの中でもアルキルベン
ゼンスルホン酸塩が特に好適であり、より具体的にはド
デシルベンゼンスルホン酸ナトリウムである。
【0124】このような界面活性剤を含有させる方法と
して、エチレン系重合体(A)と変性エチレン系重合体
(B)とともに原料として配合してもよいし、予め水溶
液としておき、溶融混練時に添加してもよい。また含有
量としては、エチレン系重合体組成物水性分散体に対し
て10重量%以下が好ましく、3重量%以下がさらに好
ましい。界面活性剤を10重量%を超える量で含有する
と、水性分散体から得られる微粒子の吸湿性が高く、耐
水性、耐候性等が低下することがある。
【0125】エチレン系重合体組成物有機溶媒分散体 本発明に係るエチレン系重合体組成物有機溶剤分散体
は、上記エチレン系重合体組成物の粒子が炭化水素溶剤
に分散されてなる。このようなエチレン系重合体組成物
有機溶剤分散体は、例えば上記エチレン系重合体組成物
水性分散体から水を除去して得られる粒子を炭化水素溶
媒に再分散することにより調製することができる。
【0126】具体的には、まず上記エチレン系重合体組
成物水性分散体の調製に使用した塩基性物質を中和させ
るに必要な量の酸を添加することにより、分散している
エチレン系重合体組成物の粒子を凝集させる。水性分散
体に酸を添加すると、カルボキシルアニオンの対イオン
となっている塩基が酸で中和され、カルボキシル基は、
電離度の小さい水素イオン型となる。このため、エチレ
ン系重合体組成物の粒子は、水中における自己乳化性ま
たは自己分散性が大幅に減少し、凝集する。
【0127】中和に用いられる酸としては、例えば硫
酸、塩酸、硝酸、リン酸などの無機酸または各種スルフ
ォン酸などの有機酸が用いられる。このような酸を用い
ると、中和反応の結果形成される塩は水溶性を示す。中
和に用いられる酸は、水相のpHが通常6以下、好まし
くは2〜4となるような量で用いられる。中和時におけ
る水性分散体の温度は、通常室温程度であり、所望によ
り60℃程度まで加温してもよい。また、水性分散液の
濃度は、操作性を考慮すると、5〜50重量%の範囲が
好ましい。
【0128】次に、このように凝集したエチレン系重合
体組成物の粒子と水とを分離する。分離方法は、特に限
定されないが、例えばフィルターろ過、遠心分離、浮上
分離などの方法が用いられる。なお、フィルターを備え
た遠心分離装置を用いれば、水の除去操作と、ウエット
ケーキの親水性溶媒による後述するような洗浄操作とを
同一装置で効率的に行うことができる。
【0129】エチレン系重合体組成物の粒子と水とを分
離することにより得られた凝集物のウエットケーキを、
乾燥しないうちに親水性溶媒で洗浄することにより、ウ
エットケーキ中に残存する水分を親水性溶媒で置換して
除去する。このように、ウエットケーキを親水性溶媒で
洗浄することにより、残存する水分のほとんどを除去で
きる。そして、このように親水性溶媒で洗浄することに
よっては、ウエットケーキが乾燥状態になることはな
い。従って、エチレン系重合体組成物が本来有している
親油性が損なわれることなく、エチレン系重合体組成物
の粒子は、有機溶媒に対する微粒子の再分散性が低下す
ることはない。
【0130】ここで親水性溶媒としては、水および再分
散媒となる炭化水素系有機溶媒の両者に各々常温で10
重量%以上溶解する溶媒が用いられる。このような親水
性溶媒としては、アルコール類、ケトン類、エーテル類
が好ましく用いられる。なお後述する再分散に用いられ
る炭化水素溶媒が親水性溶媒であるときには、上記ウエ
ットケーキの洗浄に、再分散に用いられる炭化水素溶媒
を用いることもできる。親水性溶媒は、ウエットケーキ
中の微粒子と同重量もしくはそれ以上の量で用いられ
る。
【0131】続いて、親水性溶媒で洗浄されたウエット
ケーキを炭化水素溶媒中に再分散させる。炭化水素溶媒
としては、任意の炭化水素を用いることができるが、例
えばグラビアインキなどの配合剤としてエチレン系重合
体組成物有機溶媒分散体を用いる場合には、トルエン、
キシレン、メチルイソブチルケトン、イソプロピルアル
コールなどが好ましく、オフセットインキなどの配合剤
として用いる場合には、上記の溶媒よりも高沸点のn−
デカン、軽油または軽油の分留溶剤等を用いることが好
ましい。
【0132】エチレン系重合体組成物の粒子を炭化水素
溶媒に再分散させるには、通常、撹拌装置を用い、10
分〜300分間撹拌すればよい。特にホモミキサーのよ
うな高性能分散装置を用いることにより、再分散をより
効率的に行うことができる。このように、ウエットケー
キを炭化水素溶媒に再分散させることにより、エチレン
系重合体組成物の粒子が炭化水素溶媒中に分散した分散
体(エチレン系重合体組成物有機溶媒分散体)が得られ
る。このようにして得られたエチレン系重合体組成物有
機溶媒分散体では、水分含有率が2.5重量%以下、好
ましくは2重量%以下、特に好ましくは0〜1.0重量
%の範囲である。
【0133】このエチレン系重合体組成物有機媒体分散
体には、その貯蔵安定性を高めるために、油溶性高分子
重合体または有機ベントナイトのような分散剤または粘
度調整剤を配合してもよい。このようなエチレン系重合
体組成物有機媒体分散体は、種々の用途に用いることが
できるが、特に印刷インキ用添加剤として好適に用いる
ことができ、インキに優れた耐磨耗性および耐ブロッキ
ング性を併せ持った性能与えることができる。
【0134】また、上記エチレン系重合体組成物の粒子
と水とを分離することにより得られた凝集物のウエット
ケーキ、このウエットケーキを親水性溶媒で洗浄したウ
エットケーキも、特に印刷インキ用添加剤として好適に
用いることができ、インキに優れた耐磨耗性および耐ブ
ロッキング性を併せ持った性能与えることができる。インキ用添加剤 本発明に係る印刷インキ用添加剤は、印刷インキの全量
に対して、固形分が0.1〜10重量%、好ましくは
0.5〜5重量%となるような量で配合する。
【0135】印刷インキ中の印刷インキ用添加剤に由来
する固形分の量が上記範囲内にあると、印刷インキは耐
磨耗性および耐ブロキング性のバランスに優れる傾向が
ある。印刷インキ用添加剤の添加方法としては、従来の
印刷インキ製造工程におけるいずれの工程でも添加可能
である。すなわち、顔料と印刷インキ用添加剤を共にワ
ニスに分散、混練を行ったものをインキ化してもよく、
また分散、混練工程を経たものに印刷インキ用添加剤を
混合してインキ化してもよい。
【0136】本発明の製法に利用できる溶融混練手段は
公知のいかなる方法を用いてもよいが、好適には、二軸
押出機、一軸押出機、ニーダー、ハンバリーミキサーを
例示することができる。また、印刷インキの調製時に
は、印刷インキ用添加剤とともに、その性能を損なわな
い範囲で、通常印刷インキに使用することのできる各種
副資材、例えば、分散剤、乳化剤、界面活性剤、安定化
剤、湿潤剤、増粘剤、起泡剤、消泡剤、凝固剤、ゲル化
剤、沈降防止剤、帯電制御剤、帯電防止剤、老化防止
剤、軟化剤、可塑剤、充填剤、着色剤、付香剤、粘着防
止剤、雛型剤等を併用してもよい。
【0137】印刷インキの主成分となる樹脂については
特に限定されるものではないが、通常は、デンプン、デ
キストリン、アルギン酸塩、セルロースエステル、セル
ロースエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルメ
チルエーテル、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキ
シド、ポリアクリル酸塩等の水溶性樹脂、セラック、ス
チレン化セラック、スチレンマレイン酸樹脂、ロジンマ
レイン酸樹脂、カゼイン及びその誘導体、アクリル共重
合体等のコロイダルディスパージョン、アクリル系樹
脂、アクリルスチレン共重合樹脂、酢酸ビニル系樹脂、
スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、合成ゴムラテック
ス、ポリウレタン、ポリエステル、アルキド樹脂、エポ
キジエステル、ロジンエステル等のエマルションを使用
する。
【0138】
【発明の効果】本発明に係る、エチレン系重合体組成物
水性分散体、エチレン系重合体組成物有機溶剤分散体お
よび印刷インキ用添加剤は、インキに優れた耐磨耗性お
よび耐ブロッキング性を併せ持った性能を与えることが
できる。
【0139】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるも
のではない。各種の特性値の測定方法は以下の方法で行
った。 1.水性分散体の分散状態 100メッシュの金網に分散液を通過させることにより
調べた。 2.水性分散体の粒径(μm) マイクロトラックHRA(マイクロトラック社製)に
て、体積50%平均粒径を測定した。 3.水性分散体のPH PHメーター(HORIBA製)により測定した。 4.水性インキの耐磨耗性評価 水性インキを印刷する基材:Kライナー紙(王子製紙
(株)製) 白ライナー紙(セッツ(株)製) 水性インキ:水性ワニス(Joncryl 62:ジョンソンポリ
マー)、顔料分散液(WS RED R-1:東洋インキ製造)お
よびバインダー(Joncryl 450)を20:40:40の
割合で混合して調製したもの。
【0140】耐磨耗製評価方法: 上記基材に乾燥膜厚3〜4μmとなるようにインキを
塗工する 室温で2日間放置、乾燥する。 学振式耐摩擦試験機II型(テスター産業(株))使用 摩擦紙:CRCボール紙 荷重・摩擦回数:200g×500回 評価 インキ塗工面を摩擦子に取り付けたボール紙で擦り、イ
ンキがボール紙に転写した度合いで、5段階評価を行
う。 (良)5−4−3−2−1(悪) 耐ブロッキング性評価方法: 上記の乾燥後インキ塗工紙の塗工面を内側に2枚を重
ね、ガラス板で挟んで、平滑な台上で荷重10g/cm
2となるように分銅を載せる。これを恒温恒温(25
℃、50%)中、24時間放置後、2枚の紙を引き離す
時の状況を5段階評価する。
【0141】印刷面の状況 (良)5−4−3−2−1
(悪)
【0142】
【製造例1】エチレン系重合体の製造 充分に窒素置換した内容積2リットルのステンレス製オ
ートクレーブにヘキサン 950mlおよびプロペン 5
0mlを装入し、水素を1.0kg/cm2(ゲージ
圧)となるまで導入した。次いで、系内の温度を150
℃に昇温した後、トリイソブチルアルミニウム 0.3
ミリモル、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペン
ダフルオロフェニル)ボレート 0.004ミリモル、
(t−ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル−η5
シクロペンタジエニル)シランチタンジクロライト(シ
グマアルトリッチ社製)0.02ミリモルをエチレンで
圧入することにより重合を開始した。その後、エチレン
のみを連続的に供給することにより全圧を30kg/c
2(ゲージ圧)に保ち、150℃で20分間重合を行
った。少量のエタノールを系内に添加することにより重
合を停止した後、未反応のエチレンおよびプロペンをパ
ージした。得られたポリマー溶液を、100℃減圧下で
一晩乾燥した。
【0143】その結果、Mnが2,050であり、プロ
ペン含量が7.3モル%であり、密度が920kg/m
3であり、結晶化温度が93℃であるエチレン・プロペ
ン共重合体32.5gを得た(この共重合体を「WAX
−1」とした。)。
【0144】
【製造例2】エチレン系重合体の製造 製造例1の重合において、ヘキサン 935mlおよび
α−オレフィン成分を1−ブテンとして65ml装入
し、水素を1.5kg/cm2(ゲージ圧)となるまで
導入したこと以外は製造例1と同様に重合を行った。
【0145】その結果、Mnが1,900であり、1−
ブテン含量が5.6モル%であり、密度が920kg/
3であり、結晶化温度が93℃であるエチレン・1−
ブテン共重合体37.5gを得た(この共重合体を「W
AX2」とした。)。
【0146】
【製造例3】エチレン系重合体の製造 製造例1の重合において、ヘキサン 920mlおよび
α−オレフィン成分を1−ヘキセンとして80ml装入
し、水素を2.0kg/cm2(ゲージ圧)となるまで
導入したこと以外は製造例1と同様に重合を行った。
【0147】その結果、Mnが2,100であり、1−
ヘキセン含量が3.4モル%であり、密度が917kg
/m3であり、結晶化温度が93℃であるエチレン・1
−ヘキセン共重合体43.2gを得た(この共重合体を
「WAX3」とした。)。
【0148】
【製造例4】エチレン系重合体の製造 製造例1の重合において、ヘキサン 910mlおよび
α−オレフィン成分を4−メチル−1−ペンテンとして
90m1装入し、水素を2.0kg/cm2(ゲージ
圧)となるまで導入したこと以外は製造例1と同様に重
合を行った。
【0149】その結果、Mnが2,000であり、4−
メチル−1−ペンテン含量が3.7モル%であり、密度
が918kg/m3であり、結晶化温度が93℃である
エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体41.2
gを得た(この共重合体を「WAX4」とした。)。
【0150】
【製造例5】エチレン系重合体の製造 製造例1の重合において、ヘキサン 935mlおよび
α−オレフィン成分を1−ブテンとして65ml装入
し、水素を3.5kg/cm2(ゲージ圧)となるまで
導入したこと以外は製造例1と同様に重合を行った。
【0151】その結果、Mnが600であり、1−ブテ
ン含量が5.2モル%であり、密度が920kg/m3
であり、結晶化温度が℃で92であるエチレン・1−ブ
テン共重合体31.2gを得た(この共重合体を「WA
X5」とした。)。
【0152】
【製造例6】エチレン系重合体の製造 製造例1の重合において、ヘキサン 935mlおよび
α−オレフィン成分を1−ブテンとして65ml装入
し、水素を1.0kg/cm2(ゲージ圧)となるまで
導入した以外は製造例1と同様に重合を行った。
【0153】その結果、Mnが4,000であり、1−
ブテン含量が5.7モル%であり、密度が920kg/
3であり、結晶化温度が92℃であるエチレン・1−
ブテン共重合体38.8gを得た(この共重合体を「W
AX6」とした。)。
【0154】
【製造例7】エチレン系重合体の製造 製造例1の重合において、プロペンを用いずに、ヘキサ
ン 935mlおよび水素を1.0kg/cm2(ゲージ
圧)となるまで導入したこと以外は製造例1と同様に重
合を行った。
【0155】その結果、Mnが2,000であり、密度
が977kg/m3であり、結晶化温度が110℃であ
るエチレン重合体 38.8gを得た(この共重合体を
「WAX7」とした。)。
【0156】
【比較製造例1】触媒の調製 内容積1.5リットルのガラス製オートクレーブ内で、
市販の無水塩化マグネシウム 25gをヘキサン 500
mlで懸濁させた。これを30℃に保ち撹拌しながらエ
タノール 92mlを1時間で滴下し、さらに1時間反
応させた。反応終了後、ジエチルアルミニウムモノクロ
リド 93mlを1時間で滴下し、さらに1時間反応さ
せた。反応終了後、四塩化チタン 90mlを滴下し、
反応容器を80℃に昇温して1時間反応させた。
【0157】反応終了後、固体部をデカンテーションに
より遊離のチタンが検出されなくなるまでヘキサンで洗
浄した。このものをヘキサン懸濁液としてチタン濃度を
滴定により定量し、以下の実験に供した。エチレン系重合体の製造 充分に窒素置換した内容積2リットルのステンレス製オ
ートクレーブにヘキサン 930mlおよび1−ブテン
70m1を装入し、水素を20.0kg/cm 2(ゲー
ジ圧)となるまで導入した。次いで、系内の温度を17
0℃に昇温した後、トリエチルアルミニウム0.1ミリ
モル、エチルアルミニウムセスキクロリド0.4ミリモ
ル、前記で得たチタン成分原子換算で0.008ミリモ
ルをエチレンで圧入することにより重合を開始した。そ
の後、エチレンのみを連続的に供給することにより全圧
を40kg/cm2(ゲージ圧)に保ち、170℃で4
0分間重合を行った。
【0158】少量のエタノールを系内に添加することに
より重合を停止した後、未反応のエチレンおよび1−ブ
テンをパージした。得られたポリマー溶液を、100℃
減圧下で一晩乾燥した。その結果、Mnが2,000で
あり、1−ブテン含量が5.4モル%であり、密度が9
17kg/m3であり、結晶化温度が101℃であるエ
チレン・1−ブテン共重合体 129gを得た(この共
重合体を「WAX8」とした。)。
【0159】
【比較製造例2】エチレン系重合体の製造 比較製造例1の重合において、ヘキサン850mlおよ
びα−オレフィン成分を4−メチル−1−ペンテンとし
て150ml装入し、水素を21.0kg/cm2(ゲ
ージ圧)となるまで導入したこと以外は比較製造例1と
同様に重合を行った。
【0160】その結果、Mnが2,100であり、4−
メチル−1−ペンテン含量が3.7モル%であり、密度
が919kg/m3であり、結晶化温度が105℃であ
るエチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体99g
を得た(この共重合体を「WAX9」とした。)。
【0161】
【比較製造例3】エチレン系重合体の製造 製造例1の重合において、プロペンを用いず、ヘキサン
1000mlおよび、水素を2.5kg/cm2(ゲー
ジ圧)となるまで導入したこと以外は製造例1と同様に
重合を行った。
【0162】その結果、Mnが2,000であり、密度
が977kg/m3であり、結晶化温度が126℃であ
るエチレン重合体 34.4gを得た(この共重合体を
「WAX10」とした。)。
【0163】
【比較製造例4】エチレン系重合体の製造 製造例1の重合において、ヘキサン920mlおよびプ
ロペン80ml装入したこと以外は製造例1と同様に重
合を行った。その結果、Mnが1,800であり、プロ
ペン含量が11.2モル%であり、密度が897kg/
3であり、結晶化温度が81℃であるエチレン・プロ
ペン共重合体 29.9gを得た(この共重合体を「W
AX11」とした。)。
【0164】
【表1】
【0165】
【製造例8】変性エチレン系重合体の製造 分子量が2,200であり、密度が0.92g/cm3
あり、内部2重結合を1,000炭素原子当たり0.5
個有し、溶融粘度が60cP(160℃)である直鎖状
ポリエチレンワックス 150gを、撹拌翼を備えた3
00ccのガラス製容器に入れ、油浴で加熱して溶融さ
せた後、150℃で窒素ガスをガラス製容器底部から約
40リットル/hrの流速で30分吹き込んで容器内を
窒素置換した。次に、溶融状態の無水マレイン酸 25
g、ベンゾイルペルオキシド 5gを2時間かけて滴下
した後、150℃で1時間反応させた。反応終了後、撹
拌下、容器内を5mmHgに減圧して1時間保って、未
反応の無水マレイン酸やベンゾイルペルオキシド分解物
等の揮発成分を除去してから、生成した無水マレイン酸
含有ポリエチレンを容器から取り出した。
【0166】その結果、酸価が60mgKOH/g−変
性waxであり、固有粘度[η]が0.17dl/gで
あり、融点が110℃である無水マレイン酸変性ポリエ
チレンを得た(この変性重合体を「変性WAX1」とし
た。)。
【0167】
【製造例9】変性エチレン系重合体の製造 特開2001−2731号公報の合成例1に記載の方法
で製造したポリエチレンオリゴマー([η]:0.11
dl/g、Mn:900、Mw/Mn:1.9、1,0
00炭素当たりのビニル基数:14.6個)10gおよ
び100mlのヘキサンを、窒素パージ、コンデンサ
ー、空気攪拌機および温度計を備えた500mlの丸底
フラスコに装填した。この装填物を攪拌し、53℃に加
熱してポリマーを溶解した。35℃に冷却後、5.1m
lの無水酢酸を、次いで2mlの硫酸を加えた。この反
応混合物を攪拌し、35℃に保ち、15分後に2.5m
lの追加の無水酢酸および1mlの追加の硫酸を加え
た。この反応混合物を35℃で合計1時間攪拌し続け
た。その後、2mlの水に溶解した4mlのメタノール
および0.42gのNaOH、並びに1mlのメタノー
ルを加えた。次いで、この反応混合物を一夜放置し、続
いてスチームストリッピングし、フード中で一夜乾燥
し、60℃で真空炉乾燥し一定の重量とした。この例で
用いたスルフォン化剤(及び中和剤)は完全なスルフォ
ン化を確保するために実質的に過剰とした。
【0168】その結果、変性量が1mmol/g−変性
ワックスであり、固有粘度[η]が0.12dl/gで
あり、融点が120℃であるスルフォン酸変性ポリエチ
レンを得た(この変性重合体を「変性WAX2」とし
た。)。
【0169】
【表2】
【0170】
【合成例1】撹拌翼を備えた1リットルのオートクレー
ブに、WAX1を60g、変性WAX1を140g入
れ、140℃で溶融混合した。混合した後、さらに1時
間加熱を続け、同時に窒素を10リットル/hrの流速
で吹き込んでバブリングを行い、溶融混合物を得た。得
られた溶融混合物の150℃での揮発分は0.12%で
あった。
【0171】次に、内容量4リットルの耐圧ホモミキサ
ーに、水 1500mlおよび水酸化カリウム 8.4g
を入れ、140℃に加熱して5000rpmで撹拌しな
がら前記に得られた溶融混合物をギアーポンプで1時間
かけて供給した。その後、さらに15分間撹拌後、室温
まで冷却して水性分散液を得た。得られた水性分散液中
の分散粒子は真球状であり、平均粒子径を測定したとこ
ろ、0.6μmであった。この水性分散液は1週間静置
しても分離が起こらなかった。
【0172】
【合成例2〜8】WAXおよび変性WAXを表3に示し
たものとしたこと以外は、合成例1と同じ方法で水性分
散液を得た。得られた水性分散液の性状を表3に記し
た。
【0173】
【比較合成例1〜5】WAXおよび変性WAXを表3に
示したものとし、耐圧ホモミキサーの回転数を表3に示
した値としたこと以外は、合成例1と同じ方法で水性分
散液を得た。得られた水性分散液の性状を表3に記し
た。
【0174】
【表3】
【0175】
【実施例1】合成例1で合成した水性分散体を、前記の
水性インキに、固形分濃度比で1%添加、攪拌し、試料
とした。これを前記の耐摩性評価方法に従い、Kライナ
ーに塗工し、室温2日間で乾燥した後、その耐磨耗性を
評価した。結果を表4に記した。
【0176】
【実施例2】乾燥条件を120℃、20分に変更したこ
と以外は実施例1と同様の評価を行い、耐磨耗性を評価
した。結果を表4に記した。
【0177】
【実施例3〜11】使用する水性分散体、基材を表4に
記したように変更したこと以外は、実施例1と同様の評
価を行い、耐磨耗性を評価した。結果を表4に記した。
【0178】
【比較例1〜6】使用する水性分散体、基材を表4に記
したように変更したこと以外は、実施例1と同様の評価
を行い、耐磨耗性を評価した。結果を表4に記した。
【0179】
【表4】
【0180】
【合成例9】有機溶媒分散体の製造 合成例1で得られた水性分散液を、固形分濃度が10重
量%となるまで蒸留水で希釈し原料とした。原料200
gを、撹拌羽根が備えた500ccビーカーに入れた。
なお、以下の操作中、「部」とは原料中の固形分を10
0重量部とした場合における添加物の重量部の意味であ
る。
【0181】この原料に界面活性剤(ポリオキシエチレ
ン−ノニルフェニルエーテル、HLB:7.8)を0.
5部添加し、10分間、500rpmで撹拌した。次い
でこの原料に0.1N硫酸を40部添加し、10分間5
00rpmで撹拌して中和した。この中和により重合体
微粒子が凝集した。次に凝集した重合体微粒子をペーパ
ーフィルターを用いて吸引ろ過し、大半の水分を除去
し、ウエットケーキを得た。
【0182】このウエットケーキに500部のイソプロ
ピルアルコールを加え、フィルター上で撹拌洗浄した
後、再度吸引ろ過し、ウエットケーキを得た。このウエ
ットケーキ、120部のn−デカンを入れたビーカー中
に投入し、30分間500rpmで撹拌し、重合体粒子
がn−デカンに分散した有機溶媒分散体を得た。得られ
た分散体を分析したところ、水分含有率は0.5重量%
であり、固形分は44重量%であり、平均分散粒径は4
μmであり、100メッシュ金網でろ過したときの残渣
は、固形分当たり0.5重量%であった。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)エチレン単独重合またはエチレン/
    α−オレフィン共重合体であって、ゲルパーミエーショ
    ンクロマトグラフィー(GPC)で測定した数平均分子
    量(Mn)が400〜8,000の範囲にあり、Mw/
    Mnが3以下であり、示差走査熱量計(DSC)で測定
    した結晶化温度(Tc(℃)、降温速度2℃/分)と密
    度勾配管法で測定した密度(D(kg/m3))の関係
    が下記式(1) 0.501×D−366 ≧ Tc …(1) を満たすエチレン系重合体と、(B)エチレン単独重合
    またはエチレン/α−オレフィン共重合体が不飽和カル
    ボン酸もしくはその誘導体またはスルフォン酸塩で変性
    された変性エチレン系重合体であって、不飽和カルボン
    酸またはその誘導体での変性量が、KOH滴定換算で、
    変性重合体1g当たり30〜100mgKOHまたはス
    ルフォン酸塩での変性量が、−SO3−換算で、変性重
    合体1グラム当たり0.1〜50ミリモルである変性エ
    チレン系重合体とからなるエチレン系重合体組成物の粒
    子が水に分散されてなることを特徴とするエチレン系重
    合体組成物水性分散体。
  2. 【請求項2】上記エチレン系重合体(A)が、メタロセ
    ン触媒で合成されたことを特徴とする請求項1に記載の
    エチレン系重合体組成物水性分散体。
  3. 【請求項3】上記エチレン系重合体(A)と上記変性エ
    チレン系重合体(B)との重量比率(A/B)が、95
    /5〜50/50の範囲にあることを特徴とする請求項
    1または2に記載のエチレン系重合体組成物水性分散
    体。
  4. 【請求項4】上記エチレン系重合体(A)が、密度勾配
    管法による密度が850〜980kg/m3の範囲にあ
    り、エチレン系重合体組成物の粒子の体積平均粒径が
    0.1〜20μmの範囲にあることを特徴とする請求項
    1〜3のいずれかに記載のエチレン系重合体組成物水性
    分散体。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれか1項に記載のエチ
    レン系重合体組成物水性分散体からなることを特徴とす
    る印刷インキ用添加剤。
  6. 【請求項6】請求項1〜4のいずれかに記載のエチレン
    系重合体組成物の粒子からなることを特徴とする印刷イ
    ンキ用添加剤。
  7. 【請求項7】請求項1〜4のいずれかに記載のエチレン
    系重合体組成物の粒子が炭化水素溶剤に分散されてなる
    ことを特徴とするエチレン系重合体組成物有機溶剤分散
    体。
  8. 【請求項8】請求項7に記載のエチレン系重合体組成物
    有機溶剤分散体からなることを特徴とする印刷インキ用
    添加剤。
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