JP3651892B2 - コーティング材料用ポリオレフィンワックスおよび印刷インキ組成物 - Google Patents

コーティング材料用ポリオレフィンワックスおよび印刷インキ組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コーティング材料用ポリオレフィンワックスおよび印刷インキ組成物に関し、例えば印刷インキ用に好適なポリオレフィンワックスおよび該ポリオレフィンワックスを含む印刷インキ組成物に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
一般に、印刷インキなどのコーティング材料には、印刷皮膜の耐摩耗性向上、タック性低下、ブロッキング防止、耐水性・撥水性付与などのためにワックスが添加剤として使用されている。ここでワックスとは、常温では固形物であるが、加熱すると溶融し、低粘度流体となる脂肪族成分を主体とした有機化合物の総称である。
【0003】
従来、例えば平版印刷、オフセット印刷用のインキなどの印刷インキに用いられているワックスとして、カルナバワックス、みつろう、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、脂肪酸アマイド、ポリテトラフルオロエチレンなどが知られている。印刷インキにワックスを使用すると、印刷インキから形成された印刷皮膜の表面に存在するワックス粒子の働きで耐摩耗性が向上する。これは、インキ表面より外部にその一部が突出したワックスが外部の物理的な圧力で押しつぶされ、紙や各種フィルム基材上のインキ塗膜上で薄く広がり、インキ面を保護するからである。
【0004】
この印刷インキ中に配合されるワックスは、印刷インキ中に均一に配合される必要があるため、粉砕ワックスを用いる方法、固体ワックスを練り混む方法、オイルや水中に分散させる方法などが知られている。
ところが、従来の固体ワックスでは、ワックスが配合された印刷インキの表面の凹凸が大きくなり鮮明な印刷像が得られず、さらに印刷インキに大量にワックスを配合しないと所望の効果が得られないという問題があった。
【0005】
【発明の目的】
本発明は、コーティング材料用ポリオレフィンワックス、特に印刷インキ用の添加剤として好適に用いられ、耐磨耗性および耐ブロキング性が同時に改善されうるようなポリオレフィンワックスおよびこのようなワックスを含む印刷インキ組成物を提供することを目的としている。
【0006】
【発明の概要】
本発明により下記のようなコーティング材料用ポリオレフィンワックスおよび印刷インキ組成物が提供される。
(1)エチレン(共)重合体からなり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した数平均分子量(Mn)が400〜5,000の範囲にあり、体積平均粒径が0.3μm〜20μmの範囲にあり、重量粒度分布で大粒径側の重量比率が10%となる粒径a(μm)と、重量粒度分布で小粒径側の重量比率が10%となる粒径b(μm)との関係が下記式(I)
a/b ≦ 4 …(I)
を満たし、
示差走査熱量計(DSC)で測定した結晶化温度(Tc(℃)、降温速度2℃/分で測定。)と、密度勾配管法で測定した密度(D(kg/m3))との関係が下記式(II)
0.501×D−366 ≧ Tc …(II)
を満たすコーティング材料用ポリオレフィンワックス(A)。
(2)上記エチレン(共)重合体が、エチレンと、プロピレンおよび/または1−ブテンとから得られるエチレン・α−オレフィン共重合体であり、密度が850kg/m3〜980kg/m3の範囲にある上記(1)に記載のコーティング材料用ポリオレフィンワックス(A)。
(3)上記エチレン(共)重合体が、バナジウム系触媒またはメタロセン系触媒により製造されたものである上記(1)または(2)のいずれかに記載のコーティング材料用ポリオレフィンワックス(A)。
(4)印刷インキ中に、上記(1)〜(3)のいずれかに記載のコーティング材料用ポリオレフィンワックス(A)を0.1〜10重量%含有することを特徴とする印刷インキ組成物。
【0007】
【発明の具体的な説明】
以下、本発明に係るコーティング材料用ポリオレフィンワックスおよび印刷インキ組成物について具体的に説明する。
コーティング材料用ポリオレフィンワックス
本発明に係るコーティング材料用ポリオレフィンワックス(A)は、特定のエチレン(共)重合体からなる。
【0008】
本発明で用いられるエチレン(共)重合体は、エチレン単独重合体またはエチレンとα-オレフィンとの共重合体である。
ここでα-オレフィンとしては、炭素原子数3のプロピレン、炭素原子数4の1−ブテン、炭素原子数5の1−ペンテン、炭素原子数6の1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、炭素原子数8の1−オクテンなどが挙げられ、好ましくはプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンである。
【0009】
エチレン(共)重合体は、体積平均粒径が0.3μm〜20μm、好ましくは0.3〜15μm、より好ましくは1〜5μmの範囲にある。
エチレン(共)重合体の体積平均粒径が上記範囲内にあると、インキにエチレン(共)重合体を数%添加することにより、インキ塗工後のインキ印字面を保護し、外部からの摩擦力に対して優れた耐摩耗性を示す傾向がある。
【0010】
またエチレン(共)重合体は、重量粒度分布で大粒径側の重量比率が10%となる粒径a(μm)と、重量粒度分布で小粒径側の重量比率が10%となる粒径b(μm)との関係が下記式(I)
a/b ≦ 4 …(I)
好ましくは、下記式(Ia)
a/b ≦ 3.5 …(Ia)
より好ましくは、下記式(Ib)
a/b ≦ 3.0 …(Ib)
を満たす。
【0011】
エチレン(共)重合体においてa/bが上記式を満たすと、インキ表面に均一にエチレン(共)重合体が被膜され、インキ耐摩性および耐ブロッキング性が向上するる傾向がある。
なお、体積平均粒径、重量粒度分布で大粒径側の重量比率が10%となる粒径aおよび小粒径側の重量比率が10%となる粒径bは、エチレン(共)重合体の粉砕品をアイソトン(分散媒)に分散させ、コールターカウンター(コールター社製)を用いて粒径分布を測定し、そのデータよりaおよびbを求める。
【0012】
上記エチレン(共)重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した数平均分子量(Mn)が400〜5,000、好ましくは1,000〜4,000、より好ましくは1,500〜2,500の範囲にあり、示差走査熱量計(DSC)で測定した結晶化温度(Tc(℃)、降温速度2℃/分で測定。)と、密度勾配管法で測定した密度(D(kg/m3))との関係が下記式(II)
0.501×D−366 ≧ Tc …(II)
好ましくは、下記式(IIa)
0.501×D−366.5 ≧ Tc …(IIa)
より好ましくは、下記式(IIb)
0.501×D−367 ≧ Tc …(IIb)
を満たすことが望ましい。
【0013】
エチレン(共)重合体において結晶化温度(Tc)と、密度(D)との関係が上記式を満たすと、エチレン(共)重合体のコモノマー組成がより均一になる結果、エチレン(共)重合体のベタつき成分が減少し、耐ブロッキング性が向上する傾向がある。
エチレン(共)重合体は、エチレンと、プロピレンおよび/または1−ブテンとから得られるエチレン・α−オレフィン共重合体であることが好ましく、密度が850〜980kg/m3、好ましくは890〜970kg/m3、より好ましくは900〜950kg/m3の範囲にあることが望ましい。
【0014】
エチレン(共)重合体は、密度勾配管法で測定した密度(D(kg/m3))、極限粘度([η](dl/g))(135℃、デカリン中で測定)と針入度(Y(dmm))(JIS K2270で測定)との関係が下記式(III)を満たすことが望ましい。
Y≦−9.92×10-4[η]-2.71×D+[η]-2.68 …(III)針入度が上記関係を満たすとインキ塗工後のインキ印字面を保護し、外部からの摩擦力に対して優れた耐摩耗性を示す傾向がある。
【0015】
エチレン(共)重合体は、Mw/Mnが4以下、好ましくは2.9以下、より好ましくは2.8以下である。
Mw/Mnが上記範囲内にあると、ローテール成分およびハイテール成分が少なくなるので均一な分散体ができる傾向がある。
本発明に係るコーティング材料用ポリオレフィンワックスは、上述したようなエチレン(共)重合体からなる。このポリオレフィンワックスは、常温で固体であり、80〜120℃以上で、低粘度の液体となる。
【0016】
本発明のポリオレフィンワックスが使用されるコーティング材料としては、例えば印刷インキ、塗料、表面コーティング材、ホットメルト系コーティング材などが挙げられ、特に印刷インキが好ましい。本発明に用いられる印刷インキは、水性、油性、ソルベントのいずれであってもよく、好ましくは、油性インキまたはソルベントインキである。
【0017】
エチレン(共)重合体の製法
上述したようなエチレン(共)重合体を得るための触媒としては、可溶性バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなるバナジウム系触媒、周期表第4族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物と、有機アルミニウムオキシ化合物および/またはイオン化イオン性化合物とからなるメタロセン系触媒などの均一系触媒が挙げられる。バナジウム系触媒およびメタロセン系触媒は、公知であり例えば以下のようなものである。
【0018】
(可溶性バナジウム化合物)
バナジウム系触媒を形成する可溶性バナジウム化合物としては、下記式(i)または(ii)で表されるバナジウム化合物などが挙げられる。
VO(OR1)a 1 b …(i)
V(OR1)c 1 d …(ii)
式中、R1は炭化水素基、X1はハロゲン原子である。
【0019】
a、b、cおよびdはそれぞれ0≦a≦3、0≦b≦3、2≦a+b≦3、0≦c≦4、0≦d≦4、3≦c+d≦4を満たす数である。
なお、可溶性バナジウム化合物としては、電子供与体を接触させて得られる可溶性バナジウム化合物の電子供与体付加物を用いることもできる。
(有機アルミニウム化合物)
バナジウム系触媒を形成する有機アルミニウム化合物としては、分子内に少なくとも1個のAl−炭素結合を有する化合物が使用できる、このような化合物としては、例えば下記一般式(iii)で表される有機アルミニウム化合物、
(R2)m Al(OR3)np2 q …(iii)
(式中、R2およびR3は互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子を通常1〜15個、好ましくは1〜4個含む炭化水素基である。X2はハロゲン原子である。mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3を満たす数であって、しかもm+n+p+q=3である。)
下記一般式(iv)で表される第1属金属とアルミニウムとの錯アルキル化物などが挙げられる。
【0020】
(M1)Al(R2) …(iv)
(式中、M1はLi、NaまたはKであり、R2は前記一般式(iii)のR2と同じである。)
(メタロセン化合物)
メタロセン系触媒を形成するメタロセン化合物は、周期表第4族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物であり、具体的な例としては下記一般式(v)で表される化合物が挙げられる。
【0021】
2Lx …(v)
ここで、M2は周期表第4族から選ばれる遷移金属、xは遷移金属M2の原子価、Lは配位子である。
2で示される遷移金属の例としては、ジルコニウム、チタン、ハフニウムなどがある。Lは遷移金属M2に配位する配位子であって、そのうち少なくとも1個の配位子Lはシクロペンタジエニル骨格を有する配位子であって、このシクロペンタジエニル骨格を有する配位子は置換基を有していてもよい。
【0022】
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子Lとしては、例えばシクロペンタジエニル基、メチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基、n−またはi−プロピルシクロペンタジエニル基、n−、i−、sec−またはt−ブチルシクロペンタジエニル基、ジメチルシクロペンタジエニル基、メチルプロピルシクロペンタジエニル基、メチルブチルシクロペンタジエニル基、メチルベンジルシクロペンタジエニル基等のアルキルまたはシクロアルキル置換シクロペンタジエニル基;さらにインデニル基、4,5,6,7−テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基などが挙げられる。このシクロペンタジエニル骨格を有する基の水素は、ハロゲン原子またはトリアルキルシリル基などで置換されていてもよい。
【0023】
前記のメタロセン化合物が、配位子Lとしてシクロペンタジエニル骨格を有する基を2個以上有する場合には、そのうち2個のシクロペンタジエニル骨格を有する基同士が、エチレン、プロピレン等のアルキレン基;イソプロピリデン、ジフェニルメチレン等の置換アルキレン基;シリレン基またはジメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基、メチルフェニルシリレン基等の置換シリレン基などを介して結合されていてもよい。
【0024】
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外の配位子(シクロペンタジエニル骨格を有しない配位子)Lとしては、炭素原子数1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、スルホン酸含有基(−SO34)、ハロゲン原子または水素原子(ここで、R4はアルキル基、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、アリール基、またはハロゲン原子もしくはアルキル基で置換されたアリール基である。)などが挙げられる。
【0025】
(メタロセン化合物の例−1)
上記一般式(v)で表されるメタロセン化合物が、例えば遷移金属の原子価が4である場合、より具体的には下記一般式(vi)で表される。
5 k6 l7 m8 n2 …(vi)
ここで、M2は周期表第4族から選ばれる遷移金属、R5はシクロペンタジエニル骨格を有する基(配位子)、R6、R7およびR8はそれぞれ独立にシクロペンタジエニル骨格を有するかまたは有しない基(配位子)である。kは1以上の整数であり、k+l+m+n=4である。
【0026】
2がジルコニウムであり、かつシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を少なくとも2個含むメタロセン化合物の例を次に挙げる。
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムモノクロリドモノハイドライド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1−メチル−3−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドなど。
【0027】
前記の化合物の中で、1,3−位置換シクロペンタジエニル基を1,2−位置換シクロペンタジエニル基に置き換えた化合物も用いることができる。
またメタロセン化合物の別の例としては、上記一般式(vi)において、R5、R6、R7およびR8の少なくとも2個、例えばR5およびR6がシクロペンタジエニル骨格を有する基(配位子)であり、この少なくとも2個の基がアルキレン基、置換アルキレン基、シリレン基または置換シリレン基などを介して結合されているブリッジタイプのメタロセン化合物を使用することもできる。このときR7およびR8は、それぞれ独立に、前述したシクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外の配位子Lと同様である。
【0028】
このようなブリッジタイプのメタロセン化合物としては、エチレンビス(インデニル)ジメチルジルコニウム、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドなどが挙げられる。
【0029】
(メタロセン化合物の例−2)
また別のメタロセン化合物の例としては、下記一般式(vii)で表される特開平4−268307号公報記載のメタロセン化合物が挙げられる。
【0030】
【化1】
Figure 0003651892
【0031】
ここで、M2は周期表第4族遷移金属であり、具体的にはチタニウム、ジルコニウム、ハフニウムが挙げられる。
11およびR12は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子;炭素原子数1〜10のアルキル基;炭素原子数1〜10のアルコキシ基;炭素原子数6〜10のアリール基;炭素原子数6〜10のアリーロキシ基;炭素原子数2〜10のアルケニル基;炭素原子数7〜40のアリールアルキル基;炭素原子数7〜40のアルキルアリール基;炭素原子数8〜40のアリールアルケニル基;またはハロゲン原子であり、好ましくは塩素原子である。
【0032】
13およびR14は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子;ハロゲン原子;ハロゲン化されていてもよい炭素原子数1〜10のアルキル基;炭素原子数6〜10のアリール基;−N(R20)2、−SR20、−OSi(R20)3、−Si(R20)3または−P(R20)2基である。ここで、R20はハロゲン原子、好ましくは塩素原子;炭素原子数1〜10、好ましくは1〜3のアルキル基;または炭素原子数6〜10、好ましくは6〜8のアリール基である。R13およびR14は、特に水素原子であることが好ましい。
【0033】
15およびR16は、水素原子を除きR13およびR14と同じであって、互いに同じでも異なっていてもよく、好ましくは同じである。R15およびR16は、好ましくはハロゲン化されていてもよい炭素原子数1〜4のアルキル基、具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、トリフルオロメチル等が挙げられ、特にメチルが好ましい。
【0034】
上記一般式(vii)において、R17は次の群から選ばれる。
【0035】
【化2】
Figure 0003651892
【0036】
=BR21、=AlR21、−Ge−、−Sn−、−O−、−S−、=SO、=SO2、=NR21、=CO、=PR21、=P(O)R21など。M3はケイ素、ゲルマニウムまたは錫、好ましくはケイ素またはゲルマニウムである。
ここで、R21、R22およびR23は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子;ハロゲン原子;炭素原子数1〜10のアルキル基;炭素原子数1〜10のフルオロアルキル基;炭素原子数6〜10のアリール基;炭素原子数6〜10のフルオロアリール基;炭素原子数1〜10のアルコキシ基;炭素原子数2〜10のアルケニル基;炭素原子数7〜40アリールアルキル基;炭素原子数8〜40のアリールアルケニル基;または炭素原子数7〜40のアルキルアリール基である。「R21とR22」または「R21とR23」とは、それぞれそれらが結合する原子と一緒になって環を形成してもよい。
【0037】
また、R17は、=CR2122、=SiR2122、=GeR2122、−O−、−S−、=SO、=PR21または=P(O)R21であることが好ましい。
18およびR19は互いに同一でも異なっていてもよく、R21と同じものが挙げられる。
mおよびnは互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ0、1または2、好ましくは0または1であり、m+nは0、1または2、好ましくは0または1である。
【0038】
上記一般式(vii)で表されるメタロセン化合物の例としては、次の化合物が挙げられる。rac−エチレン(2−メチル−1−インデニル)2−ジルコニウム−ジクロライド、rac−ジメチルシリレン(2−メチル−1−インデニル)2−ジルコニウム−ジクロライドなど。これらのメタロセン化合物は、例えば、特開平4−268307号公報に記載の方法で製造することができる。
【0039】
(メタロセン化合物の例−3)
また、メタロセン化合物としては、下記一般式(viii)で表されるメタロセン化合物を用いることもできる。
【0040】
【化3】
Figure 0003651892
【0041】
式中、M3は、周期表第4族の遷移金属原子を示し、具体的にはチタニウム、ジルコニウム、ハフニウムなどである。
24およびR25は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基を示す。
【0042】
24は炭化水素基であることが好ましく、特にメチル、エチルまたはプロピルの炭素原子数1〜3のアルキル基であることが好ましい。
25は水素または炭化水素基が好ましく、特に水素原子、またはメチル、エチルもしくはプロピルの炭素原子数1〜3のアルキル基であることが好ましい。
26、R27、R28およびR29は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基を示す。これらの中では水素、炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基であることが好ましい。R26とR27、R27とR28、R28とR29のうち少なくとも1組は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、単環の芳香族環を形成していてもよい。また芳香族環を形成する基以外の基は、炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基が2種以上ある場合には、これらが互いに結合して環状になっていてもよい。なおR29が芳香族基以外の置換基である場合、水素原子であることが好ましい。
【0043】
3およびX4は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基を示す
Yは、炭素原子数1〜20の2価の炭化水素基、炭素原子数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2−、−NR30−、−P(R30)−、−P(O)(R30)−、−BR30−または−AlR30−(ただし、R30は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基)を示す。
【0044】
前記の式において、R26とR27、R27とR28、R28とR29のうち少なくとも1組が互いに結合して形成する単環の芳香族環を含み、M3に配位する配位子としては、次式で表されるものなどが挙げられる。
【0045】
【化4】
Figure 0003651892
【0046】
(式中、Yは前式に示したものと同じである。)
(メタロセン化合物の例−4)
メタロセン化合物としては、また下記一般式(ix)で表されるメタロセン化合物を用いることもできる。
【0047】
【化5】
Figure 0003651892
【0048】
式中、M3、R24、R25、R26、R27、R28およびR29は、上記一般式(viii)で使用されたものと同じである。
26、R27、R28およびR29のうち、R26を含む2個の基がアルキル基であることが好ましく、R26とR28、またはR28とR29がアルキル基であることが好ましい。このアルキル基は、2級または3級アルキル基であることが好ましい。またこのアルキル基は、ハロゲン原子、ケイ素含有基で置換されていてもよく、ハロゲン原子、ケイ素含有基としては、R24、R25で例示した置換基が挙げられる。
【0049】
26、R27、R28およびR29のうち、アルキル基以外の基は、水素原子であることが好ましい。
またR26、R27、R28およびR29は、これらから選ばれる2種の基が互いに結合して芳香族環以外の単環あるいは多環を形成していてもよい。ハロゲン原子としては、上記R24およびR25と同様のものが挙げられる。
【0050】
3、X4およびYとしては、上記と同様のものが挙げられる。
上記一般式(ix)で表されるメタロセン化合物の具体的な例を次に示す。rac−ジメチルシリレン−ビス(4,7−ジメチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス(2,4,7−トリメチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス(2,4,6−トリメチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリドなど。
【0051】
これらの化合物において、ジルコニウム金属を、チタニウム金属、ハフニウム金属に置換えた遷移金属化合物を用いることもできる。遷移金属化合物は、通常ラセミ体として用いられるが、R型またはS型を用いることもできる。
(メタロセン化合物の例−5)
メタロセン化合物として、下記一般式(x)で表されるメタロセン化合物を使用することもできる。
【0052】
【化6】
Figure 0003651892
【0053】
式中、M3、R24、X3、X4およびYは、上記一般式(viii)で説明したと同じ原子または基が挙げられる。
24は炭化水素基であることが好ましく、特にメチル、エチル、プロピルまたはブチルの炭素原子数1〜4のアルキル基であることが好ましい。
25は、炭素原子数6〜16のアリール基を示す。R25はフェニル、ナフチルであることが好ましい。アリール基は、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基または炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基で置換されていてもよい。
【0054】
3およびX4としては、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基であることが好ましい。
上記一般式(x)で表されるメタロセン化合物の具体的な例を次に示す。
rac−ジメチルシリレン−ビス(4−フェニル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス(2−メチル−4−(α−ナフチル)−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス(2−メチル−4−(β−ナフチル)−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス(2−メチル−4−(1−アントリル)−1−インデニル)ジルコニウムジクロリドなど。またこれら化合物において、ジルコニウム金属をチタニウム金属またはハフニウム金属に置き換えた遷移金属化合物を用いることもできる。
【0055】
(メタロセン化合物の例−6)
またメタロセン化合物として、下記一般式(xi)で表されるメタロセン化合物を用いることもできる。
LaM45 2 …(xi)
ここで、M4は周期表第4族またはランタニド系列の金属である。Laは非局在化π結合基の誘導体であり、金属M4活性サイトに拘束幾何形状を付与している基である。X5は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数20以下の炭化水素基、20以下のケイ素を含有するシリル基または20以下のゲルマニウムを含有するゲルミル基である。
【0056】
この化合物の中では、次式で示される化合物が好ましい。
【0057】
【化7】
Figure 0003651892
【0058】
4は、チタン、ジルコニウムまたはハフニウムである。
5は上記一般式(xi)で説明したものと同様である。
CpはM4にπ結合しており、かつ置換基Zを有する置換シクロペンタジエニル基である。
Zは酸素、イオウ、ホウ素または周期表第4族の元素(例えばケイ素、ゲルマニウムまたは錫)である。
【0059】
Yは窒素、リン、酸素またはイオウを含む配位子であり、ZとYとで縮合環を形成していてもよい。
このような式で表されるメタロセン化合物の具体的な例を次に示す。
(ジメチル(t−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シラン)チタンジクロリド、((t−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイル)チタンジクロリドなど。またこのメタロセン化合物において、チタンをジルコニウムまたはハフニウムに置き換えた化合物を挙げることもできる。
【0060】
(メタロセン化合物の例−7)
またメタロセン化合物としては、下記一般式(xiii)で表されるメタロセン化合物を使用することもできる。
【0061】
【化8】
Figure 0003651892
【0062】
3は周期表第4族の遷移金属原子であり、具体的には、チタニウム、ジルコニウムまたはハフニウムであり、好ましくはジルコニウムである。
31は互いに同一でも異なっていてもよく、そのうち少なくとも1個以上が炭素原子数11〜20のアリール基、炭素原子数12〜40のアリールアルキル基、炭素原子数13〜40のアリールアルケニル基、炭素原子数12〜40のアルキルアリール基またはケイ素含有基であるか、またはR31で示される基のうち隣接する少なくとも2個の基が、それらの結合する炭素原子とともに、単数または複数の芳香族環または脂肪族環を形成している。この場合、R31により形成される環はR31が結合する炭素原子を含んで全体として炭素原子数が4〜20である。
【0063】
アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、アルキルアリール基および芳香族環、脂肪族環を形成しているR31以外のR31は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基またはケイ素含有基である。
32は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数7〜40のアリールアルキル基、炭素原子数8〜40のアリールアルケニル基、炭素原子数7〜40のアルキルアリール基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基である。
【0064】
また、R32で示される基のうち隣接する少なくとも2個の基が、それらの結合する炭素原子とともに、単数または複数の芳香族環または脂肪族環を形成していてもよい。この場合、R32により形成される環はR32が結合する炭素原子を含んで全体として炭素原子数が4〜20であり、芳香族環、脂肪族環を形成しているR32以外のR32は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基またはケイ素含有基である。
【0065】
なお、R32で示される2個の基が、単数または複数の芳香族環または脂肪族環を形成して構成される基にはフルオレニル基が次式のような構造になる態様も含まれる。
【0066】
【化9】
Figure 0003651892
【0067】
32は、水素原子またはアルキル基であることが好ましく、特に水素原子またはメチル、エチル、プロピルの炭素原子数1〜3の炭化水素基であることが好ましい。このような置換基としてR32を有するフルオレニル基としては、2,7−ジアルキル−フルオレニル基が好適な例としてあげられ、この場合の2,7−ジアルキルのアルキル基としては、炭素原子数1〜5のアルキル基が挙げられる。また、R31とR32は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0068】
33およびR34は互いに同一でも異なっていてもよく、前記と同様の水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数7〜40のアリールアルキル基、炭素原子数8〜40のアリールアルケニル基、炭素原子数7〜40のアルキルアリール基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基である。これらのうち、R33およびR34は、少なくとも一方が炭素原子数1〜3のアルキル基であることが好ましい。
【0069】
3およびX4は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基もしくは窒素含有基、またはX3とX4とから形成された共役ジエン残基である。
3とX4とから形成された共役ジエン残基としては、1,3−ブタジエン、2,4−ヘキサジエン、1−フェニル−1,3−ペンタジエン、1,4−ジフェニルブタジエンの残基が好ましく、これらの残基はさらに炭素原子数1〜10の炭化水素基で置換されていてもよい。
【0070】
3およびX4としては、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基またはイオウ含有基であることが好ましい。
Yは、炭素原子数1〜20の2価の炭化水素基、炭素原子数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2−、−NR35−、−P(R35)−、−P(O)(R35)−、−BR35−または−AlR35−(ただし、R35は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基)を示す。
【0071】
これらの2価の基のうちでも、−Y−の最短連結部が1個または2個の原子で構成されているものが好ましい。また、R35は、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基である。
Yは、炭素原子数1〜5の2価の炭化水素基、2価のケイ素含有基または2価のゲルマニウム含有基であることが好ましく、2価のケイ素含有基であることがより好ましく、アルキルシリレン、アルキルアリールシリレンまたはアリールシリレンであることが特に好ましい。
【0072】
(メタロセン化合物の例−8)
またメタロセン化合物としては、下記一般式(xiv)で表されるメタロセン化合物を用いることもできる。
【0073】
【化10】
Figure 0003651892
【0074】
式中、M3は周期表第4族の遷移金属原子であり、具体的にはチタニウム、ジルコニウムまたはハフニウムであり、好ましくはジルコニウムである。
36は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜10のアリール基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基である。なお、上記アルキル基およびアルケニル基は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0075】
これらのうちR36は、アルキル基、アリール基または水素原子であることが好ましく、特にメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピルの炭素原子数1〜3の炭化水素基、フェニル、α−ナフチル、β−ナフチルなどのアリール基または水素原子であることが好ましい。
37は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数7〜40のアリールアルキル基、炭素原子数8〜40のアリールアルケニル基、炭素原子数7〜40のアルキルアリール基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基である。なお、上記アルキル基、アリール基、アルケニル基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、アルキルアリール基は、ハロゲンが置換していてもよい。
【0076】
これらのうちR37は、水素原子またはアルキル基であることが好ましく、特に水素原子またはメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、tert−ブチルの炭素原子数1〜4の炭化水素基であることが好ましい。また、前記R36とR37は、互いに同一でも異なっていてもよい。
38およびR39は、いずれか一方が炭素原子数1〜5のアルキル基であり、他方は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基である。
【0077】
これらのうち、R38およびR39は、いずれか一方がメチル、エチル、プロピルなどの炭素原子数1〜3のアルキル基であり、他方は水素原子であることが好ましい。
3およびX4は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基もしくは窒素含有基、またはX3とX4とから形成された共役ジエン残基である。これらのうち、ハロゲン原子または炭素原子数1〜20の炭化水素基であることが好ましい。
【0078】
Yは、炭素原子数1〜20の2価の炭化水素基、炭素原子数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2−、−NR40−、−P(R40)−、−P(O)(R40)−、−BR40−または−AlR40−(ただし、R40は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基)を示す。
【0079】
これらのうちYは、炭素原子数1〜5の2価の炭化水素基、2価のケイ素含有基または2価のゲルマニウム含有基であることが好ましく、2価のケイ素含有基であることがより好ましく、アルキルシリレン、アルキルアリールシリレンまたはアリールシリレンであることが特に好ましい。
以上に説明したメタロセン化合物は、単独であるいは2種以上組み合せて用いられる。またメタロセン化合物は、炭化水素またはハロゲン化炭化水素などに希釈して用いてもよい。
【0080】
(有機アルミニウムオキシ化合物)
有機アルミニウムオキシ化合物は、公知のアルミノオキサンであってもよく、またベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
このような公知のアルミノオキサンは、具体的には次式で表される。
【0081】
【化11】
Figure 0003651892
【0082】
ここで、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの炭化水素基であり、好ましくはメチル基、エチル基、特に好ましくはメチル基であり、mは2以上、好ましくは5〜40の整数である。
アルミノオキサンは式(OAl(R'))で表されるアルキルオキシアルミニウム単位および式(OAl(R''))で表されるアルキルオキシアルミニウム単位(ここで、R'およびR''はRと同様の炭化水素基を例示することができ、R'およびR''は相異なる基を表す。)からなる混合アルキルオキシアルミニウム単位から形成されていてもよい。なお有機アルミニウムオキシ化合物は、少量のアルミニウム以外の金属の有機化合物成分を含有していてもよい。
【0083】
(イオン化イオン性化合物)
イオン化イオン性化合物(イオン性イオン化化合物、イオン性化合物と称される場合もある)としては、ルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物を例示することができる。
ルイス酸としては、BR3(Rは、フッ素、メチル基、トリフルオロメチル基などの置換基を有していてもよいフェニル基またはフッ素である。)で表される化合物が挙げられる。ルイス酸の具体的なものとしては、トリフルオロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4−フルオロフェニル)ボロン、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボロン、トリス(4−フルオロメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(p−トリル)ボロン、トリス(o−トリル)ボロン、トリス(3,5−ジメチルフェニル)ボロンなどが挙げられる。
【0084】
前記イオン性化合物としては、トリアルキル置換アンモニウム塩、N,N−ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアリールホスフォニウム塩などがあげられる。イオン性化合物としてのトリアルキル置換アンモニウム塩としては、トリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。イオン性化合物としてのジアルキルアンモニウム塩としては、ジ(1−プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。
【0085】
前記イオン性化合物としては、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどを挙げることもできる。
前記ボラン化合物としては、デカボラン(9);ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ノナボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕デカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ドデカハイドライドドデカボレート)ニッケル酸塩(III)などの金属ボランアニオンの塩などが挙げられる。
【0086】
前記カルボラン化合物としては、4−カルバノナボラン(9)、1,3−ジカルバノナボラン(8)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(IV)などの金属カルボランアニオンの塩などが挙げられる。
このようなイオン化イオン性化合物は、単独であるいは2種以上組み合せて用いられる。また有機アルミニウムオキシ化合物およびイオン化イオン性化合物は、前記担体化合物に担持させて用いることもできる。
【0087】
またメタロセン系触媒を形成するに際しては、有機アルミニウムオキシ化合物および/またはイオン化イオン性化合物とともに、前記した有機アルミニウム化合物を用いてもよい。
(重合)
本発明で用いられるエチレン(共)重合体は、上記バナジウム系触媒またはメタロセン系触媒の存在下に、エチレンを通常液相で単独重合するか、またはエチレン、α−オレフィン、および必要により共重合する他のモノマーを共重合させる。この際、一般に炭化水素溶媒が用いられるが、α−オレフィンを溶媒として用いてもよい。なお、ここで用いる各モノマーは、前述した通りである。
【0088】
重合方法は、エチレン(共)重合体がヘキサン等の溶媒中に粒子として存在する状態で重合する懸濁重合、溶剤を用いないで重合する気相重合、そして140℃以上の重合温度で、エチレン(共)重合体が溶剤と共存または単独で溶融した状態で重合する溶液重合が可能であり、その中でも溶液重合が経済性と品質の両面で好ましい。
【0089】
重合反応は、バッチ法あるいは連続法いずれの方法で行ってもよい。重合をバッチ法で実施するに際しては、前記の触媒成分は次に説明する濃度下で用いられる。
バナジウム系触媒が用いられる場合には、重合系内の可溶性バナジウム化合物の濃度は、通常0.01〜5ミリモル/リットル(重合容積)、好ましくは0.05〜3ミリモル/リットルである。可溶性バナジウム化合物は、重合系内に存在する可溶性バナジウム化合物の濃度の10倍以下、好ましくは1〜7倍、さらに好ましくは1〜5倍の濃度で供給されることが望ましい。また有機アルミニウム化合物は、重合系内のバナジウム原子に対するアルミニウム原子のモル比(Al/V)で、2以上、好ましくは2〜50、さらに好ましくは3〜20の量で供給される。
【0090】
可溶性バナジウム化合物および有機アルミニウム化合物は、通常前記炭化水素溶媒および/または液状のモノマーで希釈して供給される。この際、可溶性バナジウム化合物は前記の濃度に希釈されることが望ましいが、有機アルミニウム化合物は重合系内における濃度の例えば50倍以下の任意の濃度に調整して重合系内に供給されることが望ましい。
【0091】
またメタロセン系触媒が用いられる場合には、重合系内のメタロセン化合物の濃度は、通常0.00005〜0.1ミリモル/リットル(重合容積)、好ましくは0.0001〜0.05ミリモル/リットルである。また有機アルミニウムオキシ化合物は、重合系内のメタロセン化合物中の遷移金属に対するアルミニウム原子のモル比(Al/遷移金属)で、1〜10000、好ましくは10〜5000の量で供給される。
【0092】
イオン化イオン性化合物は、重合系内のメタロセン化合物に対するイオン化イオン性化合物のモル比(イオン化イオン性化合物/メタロセン化合物)で表して、0.5〜20、好ましくは1〜10の量で供給される。また有機アルミニウム化合物が用いられる場合には、通常約0〜5ミリモル/リットル(重合容積)、好ましくは約0〜2ミリモル/リットルとなるような量で用いられる。
【0093】
前記バナジウム系触媒の存在下に重合させる場合には、重合反応は、通常温度が−50〜+100℃、好ましくは−30〜+80℃、さらに好ましくは−20〜+60℃で、圧力が0を超えて4.9MPa(50kgf/cm2、ゲージ圧)以下、好ましくは0を超えて2.0MPa(20kgf/cm2、ゲージ圧)以下の条件下に行われる。
【0094】
前記メタロセン触媒の存在下に重合させる場合には、重合反応は、通常温度が−20〜+150℃、好ましくは0〜120℃、さらに好ましくは0〜100℃で、圧力が0を超えて7.8MPa(80kgf/cm2、ゲージ圧)以下、好ましくは0を超えて4.9MPa(50kgf/cm2、ゲージ圧)以下の条件下に行われる。
【0095】
重合に際して、エチレンおよび必要に応じて用いられるα−オレフィンは、前記した特定組成のエチレン(共)重合体が得られるような量割合で重合系に供給される。また重合に際しては、水素などの分子量調節剤を添加することもできる。
このようにして重合させると、生成した重合体は通常これを含む重合液として得られるので、常法により処理すると、本発明に係るエチレン(共)重合体が得られる。
【0096】
重合反応は、前記した各種の触媒系で行うことができるが、それらの中でもメタロセン系触媒、特に(メタロセン化合物の例−6)で示したメタロセン化合物を含む触媒の使用が好ましい。さらに本発明では、メタロセン系触媒を用いて、エチレン・α-オレフィン共重合体を製造することが好ましい。
メタロセン系触媒で合成されたエチレン・α−オレフィン共重合体は、従来のチーグラー触媒によるエチレン・α−オレフィン共重合体よりも固体状態での結晶部分、微視的にみればラメラ晶の厚みが薄く、かつ均一になるとの報告記載(原田哲弥 メタロセン触媒による次世代ポリマー工業化技術 1995 インターリサーチ)があり、メタロセン系触媒で合成されたエチレン・α−オレフィン共重合体を粉砕することによって、より歩留りのよい、粒度分布の狭い微粒子が得られる。
【0097】
(エチレン(共)重合体の粉砕方法)
エチレン(共)重合体の微粉体を得る方法として、エチレン(共)重合体を微粉砕できる方法であれば特に限定されないが、例えばジェットミル、振動ボールミル、攪拌ミル、遊星ミルなどを用いて粉砕する法が挙げられる。なお、エチレン(共)重合体の微粉体を製造するには、あらかじめ、ボールミルやピンミル、スクリーンミル、チューブミルのような粉砕機で径1mm程度以下に予備粉砕することが望ましい。
【0098】
エチレン(共)重合体の粉砕方法の具体例を、粉砕機としてエアージェットミルを用いる方法を例にして説明する。事前にエチレン(共)重合体を1mm径程度まで粗粉砕をしておく。これを凍結状態にして、ある一定速度でテーブルフィーダーによりエアージェットミル本体に供給する。得られたエチレン(共)重合体の微粉体をエアー分級機に供給し、低粒径成分を除去し、目的の粒度分布を達成する。なおエアーの元圧力、循環ガス中のガス量、微粉回収ラインの吸引度を最適化することで、微粉の回収効率を上げることができ、粒度分布の調整はガス量と供給速度により行うことができる。
【0099】
また、予備粉砕および微粉砕では、溶剤を用いた晶析法やスプレー式の造粒、水への乳化分散法などの粉砕以外の造粒方法も粉砕法と併用可能である。
コーティング材料は、各種基材上に通常0.1〜100μmの厚みの塗工膜として使用される。
上記式(I)を満たすポリオレフィンワックス粉体は、前述したようにエチレン(共)重合体の粉砕物を分級することで得られ、粉砕物を分級しない場合は(I)式を満たすポリオレフィンワックス粉体は得られない。上記式(II)を満たすエチレン(共)重合体は、前述したように均一系触媒、特にメタロセン触媒を使用することで得ることができ、従来のチーグラー型触媒では得られない(下記比較例参照)。上記式(III)を満たすエチレン(共)重合体は、メタロセン触媒を用いると得られるが、特に前述した「メタロセン化合物の例−6」を用いてエチレンとプロピレンとを共重合体した場合に好適に得られ、密度が940kg/m3以下のエチレン・プロピレン共重合体を製造した場合に好適に得られる。
【0100】
印刷インキ組成物
本発明に係る印刷インキ組成物は、印刷インキ組成物の全量に対して、ポリオレフィンワックス(エチレン(共)重合体)を0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%の量で含有している。上記ポリオレフィンワックスは、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0101】
ポリオレフィンワックスの含有量が上記範囲内にあると、コーティング材料の耐磨耗性および耐ブロキング性のバランスに優れる傾向がある。
ポリオレフィンワックスの添加方法としては、従来の印刷インキ製造工程におけるいずれの工程でも添加可能である。すなわち、顔料とポリオレフィンワックスを共にワニスに分散、混練を行ったものをインキ化してもよく、また分散、混練工程を経たものにポリオレフィンワックスを混合してインキ化してもよい。また製品となった印刷インキにスリップ防止剤を混合しても同様の効果が得られる。
【0102】
印刷インキの製法に利用できる混練手段は公知の如何なる方法を用いてもよいが、好適には、二軸押出機、一軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサーを例示することができる。
また本発明の印刷インキ組成物は、その性能を損なわない範囲で、各種副資材、例えば、分散剤、乳化剤、界面活性剤、安定化剤、湿潤剤、増粘剤、起泡剤、消泡剤、凝固剤、ゲル化剤、沈降防止剤、帯電制御剤、帯電防止剤、老化防止剤、軟化剤、可塑剤、充填剤、着色剤、付香剤、粘着防止剤、離型剤等を含有していてもよい。
【0103】
【発明の効果】
本発明に係るコーティング材料用ポリオレフィンワックスは、コーティング材料に添加することにより、コーティング材料の耐磨耗性および耐ブロキング性を同時に改善することができる。
本発明に係る印刷インキ組成物は、耐磨耗性および耐ブロキング性に同時に優れる。
【0104】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0105】
【製造例1】
エチレン・α−オレフィン共重合体(WAX1)の製造
メタロセン触媒を用いて、次のようにしてエチレン・α−オレフィン共重合体を製造した。
充分に窒素置換した内容積2リットルのステンレス製オートクレーブにヘキサン 950mlおよびプロピレン 50mlを装入し、水素を1.0kg/cm2(ゲージ圧)となるまで導入した。次いで、系内の温度を150℃に昇温した後、トリイソブチルアルミニウム0.3ミリモル、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.004ミリモル、(t−ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シランチタンジクロライド(シグマアルドリッチ社製)0.02ミリモルをエチレンで圧入することにより重合を開始した。その後、エチレンのみを連続的に供給することにより全圧を30kg/cm2(ゲージ圧)に保ち、150℃で20分間重合を行った。
【0106】
少量のエタノールを系内に添加することにより重合を停止した後、未反応のエチレンおよびプロピレンをパージした。得られたポリマー溶液を、100℃減圧下で一晩乾燥した。その結果、Mnが2,050であり、プロピレン含量が7.3モル%であり、密度が920kg/m3であり、結晶化温度が93℃であるエチレン・プロピレン共重合体32.5gを得、WAX1とした。結果を表1に示す。
【0107】
【製造例2】
エチレン・α−オレフィン共重合体(WAX2)の製造
製造例1の重合において、ヘキサン 935mlおよびα−オレフィン成分を1−ブテンとし65ml装入し、水素を1.5kg/cm2(ゲージ圧)となるまで導入した以外は製造例1と同様に重合を行った。Mnが1,900であり、1−ブテン含量が5.6モル%であり、密度が920kg/m3であり、結晶化温度が93℃であるエチレン・1−ブテン共重合体37.5gを得、WAX2とした。結果を表1に示す。
【0108】
【製造例3】
エチレン・α−オレフィン共重合体(WAX3)の製造
製造例1の重合において、ヘキサン 935mlおよび水素を1.0kg/cm2(ゲージ圧)となるまで導入した以外は製造例1と同様に重合を行った。Mnが2,000であり、密度が977kg/m3であり、結晶化温度が110℃であるエチレン共重合体38.8gを得、WAX3とした。結果を表1に示す。
【0109】
【比較製造例1】
触媒の調製
内容積1.5リットルのガラス製オートクレーブにおいて、市販の無水塩化マグネシウム 25gをヘキサン 500mlで懸濁させた。これを30℃に保ち撹拌しながらエタノール 92mlを1時間で滴下し、さらに1時間反応させた。反応終了後、ジエチルアルミニウムモノクロリド 93mlを1時間で滴下し、さらに1時間反応させた。反応終了後、四塩化チタン 90mlを滴下し、反応容器を80℃に昇温して1時間反応させた。
【0110】
反応終了後、固体部をデカンテーションにより遊離のチタンが検出されなくなるまでヘキサンで洗浄した。このものをヘキサン懸濁液としてチタン濃度を滴定により定量し、以下の実験に供した。
エチレン・α−オレフィン共重合体(WAX4)の製造
充分に窒素置換した内容積2リットルのステンレス製オートクレーブにヘキサン 930mlおよび1−ブテン 70mlを装入し、水素を20.0kg/cm2(ゲージ圧)となるまで導入した。次いで、系内の温度を170℃に昇温した後、トリエチルアルミニウム0.1ミリモル、エチルアルミニウムセスキクロリド0.4ミリモル、前記で得たチタン成分を原子換算で0.008ミリモルをエチレンで圧入することにより重合を開始した。その後、エチレンのみを連続的に供給することにより全圧を40kg/cm2(ゲージ圧)に保ち、170℃で40分間重合を行った。
【0111】
少量のエタノールを系内に添加することにより重合を停止した後、未反応のエチレンおよび1−ブテンをパージした。得られたポリマー溶液を、100℃減圧下で一晩乾燥した。その結果、表1に示すようにMnが2,000であり、1−ブテン含量が5.4モル%であり、密度が917kg/m3であり、結晶化温度が101℃であるエチレン・1−ブテン共重合体129gを得、WAX4とした。結果を表1に示す。
【0112】
【表1】
Figure 0003651892
【0113】
【製造例4〜14】
製造例1において、水素添加量、プロピレン添加量を表2に示すように変えたこと以外は、製造例1と同様にしてエチレン・プロピレン共重合体を製造した。結果を表2に示す。
【0114】
【比較製造例2〜10】
比較製造例1において、水素添加量を変え、かつコモノマーとしてプロピレンを用いその添加量を変えたこと以外は比較製造例1と同様にしてエチレン・プロピレン共重合体を製造した。結果を表2に示す。
【0115】
【表2】
Figure 0003651892
【0116】
エチレン重合体の粉砕
上記で得られた全てのサンプルは、卓上パワーミル(ダルトン社製)で、2mm角の粗粉砕が施された。
エチレン重合体の微粉砕は以下のように実施された。
1)装置 ジェットミル: 超音速ジェット粉砕機 LABO JET
(日本ニューマチック工業株式会社 製)
2)粉砕条件
・サンプルは、全て、粉砕直前に液体窒素液中に1分間以上浸したものを使用した。
・サンプルフィード速度:1g/分〜50g/分(粒径見合いで調整)
・エア1次圧: 6kg/cm2
・ガス量 :0.4Nm3/分
・ルーバー種類;大、中、小の三種類を使用し、分級ゾーンとのクリアランスとのバランスで粒径を調整。(ルーバー径小で、分級クリアランス大で、粒径は小さくなる。)
3)2次分級条件(比較微粉体5、6は未実施)
・ガス量 :0.4Nm3/分
結果を表3に示す。
【0117】
【表3】
Figure 0003651892
【0118】
印刷インキの調製
平均重合度45〜55、窒素含有量10.7〜11.4重量%の硝化綿(旭化成社製:LIG1/8(N.V.70%))12g、チタンアセチルアセトネート(松本薬品工業社製:オルガチックスTC−100(N.V.75%))4g、ブチラール樹脂(電気化学工業社製:デンカブチラール#2000−L)4g、混合溶剤(酢酸エチル:IPA=30:70)を69g、フタロシアニンブル−(和光純薬 試薬特級)10g、および上記で作成した表3に記載のワックス微粉体1を1gをアトライターで1時間練肉し、不揮発分26.4%の印刷インキ組成物(A)を調製した。他の微粉体および比較微粉体を含むインキも同様に調整した。調製したインキの各成分の配合量(g)を表4に示す。
【0119】
【表4】
Figure 0003651892
【0120】
耐磨耗性評価方法:
▲1▼上記基材に乾燥膜厚3〜4μmとなるようにインキを塗工する
▲2▼室温で2日間放置、乾燥する。
▲3▼学振式耐摩擦試験機II型(テスター産業(株))使用
摩擦紙 CRCボール紙
荷重・摩擦回数 200g×500回
▲4▼評価 インキ塗工面を摩擦子に取り付けたボール紙で擦り、インキがボール紙に転写した度合いで、4段階評価を行う。
【0121】
(良)4−3−2−1(悪)
4:耐磨耗性に優れ、インキが殆どボール紙に付着しない
3:耐磨耗性に優れるが、インキが僅かにボール紙に付着するのが認められる。
2:インキのボール紙への付着が明らかに認められる。
【0122】
1:インキのボール紙への付着が著しい。
耐ブロッキング性評価方法
▲1▼上記の乾燥後インキ塗工紙の塗工面を内側に2枚を重ね、ラス板で挟んで、平滑な台上で荷重10g/cm2となるように分銅を載せる。これを恒温恒湿(25℃、50%)中、24時間放置後、2枚の紙を引き離す時の状況を4段階評価する。
【0123】
印刷面の状況 (良)4−3−2−1(悪)
4:印字面は、全く損傷なし。
3:剥離面のインキにわずかに凝集破壊が見られ、剥離時に軽い力を要する。
2:剥離面のインキに明らか凝集破壊がみられ、剥離時に強い力を要する。
1:剥離時にインキと紙の間の界面剥離が見られる。
【0124】
【表5】
Figure 0003651892

Claims (4)

  1. エチレン(共)重合体からなり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した数平均分子量(Mn)が400〜5,000の範囲にあり、体積平均粒径が0.3μm〜20μmの範囲にあり、重量粒度分布で大粒径側の重量比率が10%となる粒径a(μm)と、重量粒度分布で小粒径側の重量比率が10%となる粒径b(μm)との関係が下記式(I)
    a/b ≦ 4 …(I)
    を満たし、
    示差走査熱量計(DSC)で測定した結晶化温度(Tc(℃)、降温速度2℃/分で測定。)と、密度勾配管法で測定した密度(D(kg/m3))との関係が下記式(II)
    0.501×D−366 ≧ Tc …(II)
    を満たすことを特徴とするコーティング材料用ポリオレフィンワックス(A)。
  2. 上記エチレン(共)重合体が、エチレンと、プロピレンおよび/または1−ブテンとから得られるエチレン・α−オレフィン共重合体であり、密度が850kg/m3〜980kg/m3の範囲にある請求項1に記載のコーティング材料用ポリオレフィンワックス(A)。
  3. 上記エチレン(共)重合体が、バナジウム系触媒またはメタロセン系触媒により製造されたものである請求項1または2に記載のコーティング材料用ポリオレフィンワックス(A)。
  4. 印刷インキ中に、請求項1〜3のいずれか1項に記載のコーティング材料用ポリオレフィンワックス(A)を0.1〜10重量%含有することを特徴とする印刷インキ組成物。
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