JP2003182555A - 車輌制御装置 - Google Patents

車輌制御装置

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JP2003182555A
JP2003182555A JP2001382926A JP2001382926A JP2003182555A JP 2003182555 A JP2003182555 A JP 2003182555A JP 2001382926 A JP2001382926 A JP 2001382926A JP 2001382926 A JP2001382926 A JP 2001382926A JP 2003182555 A JP2003182555 A JP 2003182555A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 横加速度センサ及びヨーレートセンサの組合
せの冗長系について、制御の遅れや演算負荷の増大を防
止しつつ正確な横加速度又はヨーレートに基づき車輌を
制御する。 【解決手段】 操舵角θ及び車速Vに基づき車輌の基準
横加速度Gybが演算されると共に、車輌のヨーレートY
r及び車速Vに基づき車輌の推定横加速度Gyhが演算さ
れ(S240)、車輌が定常走行状態にある旨の判別が
行われたときには、所定の時間Tに於ける基準横加速度
Gybと検出された横加速度Gyとの第一の偏差の大きさ
の平均値ΔGy1及び所定の時間Tに於ける基準横加速度
Gybと推定横加速度Gyhとの第二の偏差の大きさの平均
値ΔGy2の小さい方に対応する横加速度Gy又はヨーレ
ートYrに基づく推定横加速度Gyhが制動力の前後輪配
分制御に使用される(S260〜330、S30〜3
6)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等の車輌の
制御装置に係り、更に詳細には車輌の横加速度又はヨー
レートに基づき車輌を制御する車輌制御装置に係る。
【0002】
【従来の技術】自動車等の車輌の制御装置の一つとし
て、例えば特開平4−283169号公報に記載されて
いる如く、二つの車速センサを有し、各車速センサの出
力の変化率を比較し、変化率が小さい出力に対応する車
速センサの検出値に基づき車輌を制御するよう構成され
た車輌制御装置が従来より知られている。この種の車輌
制御装置によれば、一つの車速センサの検出値に基づき
車輌の制御が行われる場合に比して、車速を正確に検出
し車輌の制御を正確に実行することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし上記公開公報に
記載されている如き従来の車輌制御装置に於いては、二
つのセンサにより検出される車輌状態量が同一である冗
長系にしか対処できず、例えば車輌の横加速度とヨーレ
ートの如く、一方の車輌状態量より他方の車輌状態量を
推定することができる関係にある二種類の車輌状態量を
検出する二つのセンサの組合せの冗長系については対処
できないという問題がある。
【0004】また上記公開公報に記載されている如き従
来の車輌制御装置に於いては、二つの同種のセンサによ
り同一の車輌状態量を検出し、各センサの出力の変化率
を比較しなければならないため、二つのセンサの各々に
より車輌状態量が検出され、その検出値が比較された後
でなければ車輌制御に供すべき車輌状態量が得られず、
そのため検出された車輌状態量を使用して行われる車輌
制御に遅れが生じることが避けられないという問題があ
り、更には二つのセンサ出力の変化率を高頻度にて常時
比較しなければならないため、制御装置の演算負荷が高
いという問題がある。
【0005】本発明は、複数のセンサにより同一の車輌
状態量を検出し、それらの出力の変化率を比較すること
により車輌制御に供すべき車輌状態量を選択するよう構
成された従来の車輌制御装置に於ける上述の問題に鑑み
てなされたものであり、本発明の主要な課題は、車輌の
横加速度又はヨーレートに基づき車輌を制御する車輌制
御装置に於いて、車輌が定常走行状態にあるときには操
舵輪の舵角に基づいて求められる車輌の横加速度やヨー
レートの信頼性が高いことに着目し、これらを基準値と
して横加速度センサの検出値と基準値との関係又はヨー
レートセンサの検出値と基準値との関係に基づいて検出
値を選択することにより、横加速度センサ及びヨーレー
トセンサの組合せの冗長系について、制御の遅れや演算
負荷の増大を防止しつつ正確な横加速度又はヨーレート
に基づき車輌を制御することを可能ならしめることであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述の主要な課題は、本
発明によれば、少なくとも車輌の横加速度に基づき車輌
を制御する車輌制御装置にして、車速検出手段と、操舵
輪の舵角を検知する舵角検知手段と、車輌の横加速度を
検出する横加速度センサと、車輌のヨーレートを検出す
るヨーレートセンサとを備え、前記車速検出手段により
検出された車速及び前記舵角検知手段により検知された
舵角に基づき車輌の基準横加速度を演算する手段と、前
記ヨーレートセンサにより検出されたヨーレートに基づ
き車輌の推定横加速度を演算する手段と、車輌が定常走
行状態にあるときに前記基準横加速度と前記横加速度セ
ンサにより検出された横加速度との第一の偏差及び前記
基準横加速度と前記推定横加速度との第二の偏差を比較
する比較手段と、前記比較手段の比較結果に基づき前記
第一及び第二の偏差のうち大きさが小さい方の偏差に対
応する前記横加速度センサ又は前記ヨーレートセンサの
検出値を選択する選択手段とを有し、前記選択手段によ
り選択された検出値に基づく車輌の横加速度に基づき車
輌を制御することを特徴とする車輌制御装置(請求項1
の構成)、又は少なくとも車輌のヨーレートに基づき車
輌を制御する車輌制御装置にして、車速検出手段と、操
舵輪の舵角を検知する舵角検知手段と、車輌の横加速度
を検出する横加速度センサと、車輌のヨーレートを検出
するヨーレートセンサとを備え、前記車速検出手段によ
り検出された車速及び前記舵角検知手段により検知され
た舵角に基づき車輌の基準ヨーレートを演算する手段
と、前記横加速度センサにより検出された横加速度に基
づき車輌の推定ヨーレートを演算する手段と、車輌が定
常走行状態にあるときに前記基準ヨーレートと前記ヨー
レートセンサにより検出されたヨーレートとの第一の偏
差及び前記基準ヨーレートと前記推定ヨーレートとの第
二の偏差を比較する比較手段と、前記比較手段の比較結
果に基づき前記第一及び第二の偏差のうち大きさが小さ
い方の偏差に対応する前記横加速度センサ又は前記ヨー
レートセンサの検出値を選択する選択手段とを有し、前
記選択手段により選択された検出値に基づく車輌のヨー
レートに基づき車輌を制御することを特徴とする車輌制
御装置(請求項2の構成)によって達成される。
【0007】また本発明によれば、上述の主要な課題を
効果的に達成すべく、上記請求項1又は2の構成に於い
て、前記比較手段は前記舵角検知手段により検知された
舵角に基づき車輌の直進走行状態を判定し、車輌が直進
走行状態にあるときに前記第一及び第二の偏差を比較す
るよう構成される(請求項3の構成)。
【0008】
【発明の作用及び効果】一般に、車輌が定常走行状態に
あるときには、操舵輪の舵角に基づき車輌の横加速度や
ヨーレートを高精度に推定することができ、また車速検
出手段及び操舵輪の舵角を検知する操舵角センサの如き
舵角検知手段は横加速度センサやヨーレートセンサに比
して温度変化などによる検出誤差の影響を受け難く所謂
零点ずれも生じ難いので、車輌が定常走行状態にあると
きに操舵輪の舵角に基づき推定される車輌の横加速度や
ヨーレートはそれぞれ車輌の実際の横加速度やヨーレー
トを正確に表わす。
【0009】従って車輌が定常走行状態にあるときに操
舵輪の舵角に基づき推定される車輌の横加速度やヨーレ
ートを基準値とし、横加速度センサやヨーレートセンサ
の検出値と基準値との偏差の大きさを比較すれば、偏差
の大きさが小さい方に対応するセンサが車輌の実際の横
加速度又はヨーレートを正確に検出しているものと判定
することができる。
【0010】上記請求項1によれば、車速及び操舵輪の
舵角に基づき車輌の基準横加速度が演算され、ヨーレー
トセンサにより検出されたヨーレートに基づき車輌の推
定横加速度が演算され、車輌が定常走行状態にあるとき
に基準横加速度と横加速度センサにより検出された横加
速度との第一の偏差及び基準横加速度と推定横加速度と
の第二の偏差が比較され、その比較結果に基づき第一及
び第二の偏差のうち大きさが小さい方の偏差に対応する
横加速度センサ又はヨーレートセンサの検出値が選択さ
れ、その選択された検出値に基づく車輌の横加速度に基
づき車輌が制御されるので、選択された検出値は他方の
検出値に比して車輌の実際の横加速度又はヨーレートを
正確に表わしており、従って横加速度センサの検出値の
みに基づき車輌が制御される場合に比して正確に車輌の
横加速度に基づく車輌の制御を行うことができる。
【0011】また上記請求項2の構成によれば、車速及
び操舵輪の舵角に基づき車輌の基準ヨーレートが演算さ
れ、横加速度センサにより検出された横加速度に基づき
車輌の推定ヨーレートが演算され、車輌が定常走行状態
にあるときに基準ヨーレートとヨーレートセンサにより
検出されたヨーレートとの第一の偏差及び基準ヨーレー
トと推定ヨーレートとの第二の偏差が比較され、その比
較結果に基づき第一及び第二の偏差のうち大きさが小さ
い方の偏差に対応する横加速度センサ又はヨーレートセ
ンサの検出値が選択され、その選択された検出値に基づ
く車輌のヨーレートに基づき車輌が制御されるので、選
択された検出値は他方の検出値に比して車輌の実際の横
加速度又はヨーレートを正確に表わしており、従ってヨ
ーレートセンサの検出値のみに基づき車輌が制御される
場合に比して正確に車輌のヨーレートに基づく車輌の制
御を行うことができる。
【0012】また上記請求項1及び2の構成によれば、
横加速度センサ及びヨーレートセンサによりそれぞれ車
輌の横加速度及びヨーレートが検出され、車輌が定常走
行状態にあるときに一方のセンサにより検出された車輌
状態量に基づき他方の車輌状態量が推定されるので、横
加速度センサ及びヨーレートセンサの冗長系について車
輌の横加速度又はヨーレートを正確に検出することがで
き、また第一及び第二の偏差の比較は車輌が定常走行状
態にあるときに行われればよく、上記公開公報に記載さ
れた従来の車輌制御装置の如く同種のセンサにより検出
された車輌状態量を高頻度に常時比較する必要はないの
で、制御装置の演算負荷を低減することができる。
【0013】上述の如く、操舵輪の舵角を検知する操舵
角センサの如き舵角検知手段は横加速度センサやヨーレ
ートセンサに比して温度変化などによる検出誤差の影響
を受け難く所謂零点ずれも生じ難いので、舵角検知手段
により検知された舵角に基づき車輌の直進状態を判定す
れば、横加速度センサやヨーレートセンサの検出値に基
づく場合に比して正確に車輌の直進走行状態を検出する
ことができる。また車輌が直進走行状態にあるときに
は、車速及び操舵輪の舵角に基づき演算される車輌の基
準横加速度及び基準ヨーレートは0になるので、車輌が
定常旋回状態にある場合に比して基準横加速度及び基準
ヨーレートを正確に演算することができ、これにより第
一及び第二の偏差の比較を正確に行うことができる。
【0014】上記請求項3の構成によれば、舵角検知手
段により検知された舵角に基づき車輌の直進走行状態が
判定され、車輌が直進走行状態にあるときに第一及び第
二の偏差が比較されるので、横加速度センサやヨーレー
トセンサの検出値に基づいて車輌の直進走行状態が判定
される場合や車輌が定常旋回状態にあるときに第一及び
第二の偏差が比較される場合に比して正確に第一及び第
二の偏差の比較を行うことができる。
【0015】
【課題解決手段の好ましい態様】本発明の一つの好まし
い態様によれば、上記請求項1の構成に於いて、比較手
段は車輌が定常走行状態にあるときの所定の時間に於け
る第一の偏差の平均値及び第二の偏差の平均値を演算す
ると共に、第一及び第二の偏差の平均値を比較し、選択
手段は第一及び第二の偏差の平均値のうち大きさが小さ
い方の偏差の平均値に対応する横加速度センサ又はヨー
レートセンサの検出値を選択するよう構成される(好ま
しい態様1)。
【0016】本発明の他の一つの好ましい態様によれ
ば、上記請求項1の構成に於いて、車輌の推定横加速度
を演算する手段はヨーレートセンサにより検出されたヨ
ーレートと車速検出手段により検出された車速との積と
して車輌の推定横加速度を演算するよう構成される(好
ましい態様2)。
【0017】本発明の他の一つの好ましい態様によれ
ば、上記請求項1の構成に於いて、車輌制御装置は選択
手段によりヨーレートセンサの検出値が選択されたとき
にはヨーレートセンサの検出値と車速との積として車輌
の横加速度を演算し、該横加速度に基づき車輌を制御す
るよう構成される(好ましい態様3)。
【0018】本発明の他の一つの好ましい態様によれ
ば、上記請求項1の構成に於いて、比較手段は横加速度
センサにより検出された横加速度の変化率又はヨーレー
トセンサにより検出されたヨーレートの変化率又は車輌
の基準横加速度の変化率又は車輌の推定横加速度の変化
率が実質的に一定の状態が所定の時間以上継続している
場合に車輌が定常走行状態にあると判定するよう構成さ
れる(好ましい態様4)。
【0019】本発明の他の一つの好ましい態様によれ
ば、上記請求項1の構成に於いて、比較手段は横加速度
センサにより検出された横加速度の変化率、ヨーレート
センサにより検出されたヨーレートの変化率、車輌の基
準横加速度の変化率、車輌の推定横加速度の変化率の少
なくとも二つが実質的に一定の状態が所定の時間以上継
続している場合に車輌が定常走行状態にあると判定する
よう構成される(好ましい態様5)。
【0020】本発明の他の一つの好ましい態様によれ
ば、上記請求項2の構成に於いて、比較手段は車輌が定
常走行状態にあるときの所定の時間に於ける第一の偏差
の平均値及び第二の偏差の平均値を演算すると共に、第
一及び第二の偏差の平均値を比較し、選択手段は第一及
び第二の偏差の平均値のうち大きさが小さい方の偏差の
平均値に対応する横加速度センサ又はヨーレートセンサ
の検出値を選択するよう構成される(好ましい態様
6)。
【0021】本発明の他の一つの好ましい態様によれ
ば、上記請求項2の構成に於いて、車輌の推定ヨーレー
トを演算する手段は横加速度センサにより検出された横
加速度を車速検出手段により検出された車速にて除算し
た値として車輌の推定ヨーレートを演算するよう構成さ
れる(好ましい態様7)。
【0022】本発明の他の一つの好ましい態様によれ
ば、上記請求項2の構成に於いて、車輌制御装置は選択
手段により横加速度センサの検出値が選択されたときに
は横加速度センサの検出値を車速にて除算した値として
車輌のヨーレートを演算し、該ヨーレートに基づき車輌
を制御するよう構成される(好ましい態様8)。
【0023】本発明の他の一つの好ましい態様によれ
ば、上記請求項2の構成に於いて、比較手段は横加速度
センサにより検出された横加速度の変化率又はヨーレー
トセンサにより検出されたヨーレートの変化率又は車輌
の基準ヨーレートの変化率又は車輌の推定ヨーレートの
変化率が実質的に一定の状態が所定の時間以上継続して
いる場合に車輌が定常走行状態にあると判定するよう構
成される(好ましい態様9)。
【0024】本発明の他の一つの好ましい態様によれ
ば、上記請求項2の構成に於いて、比較手段は横加速度
センサにより検出された横加速度の変化率、ヨーレート
センサにより検出されたヨーレートの変化率、車輌の基
準ヨーレートの変化率、車輌の推定ヨーレートの変化率
の少なくとも二つが実質的に一定の状態が所定の時間以
上継続している場合に車輌が定常走行状態にあると判定
するよう構成される(好ましい態様10)。
【0025】本発明の他の一つの好ましい態様によれ
ば、上記請求項3の構成に於いて、上記請求項1の構成
に於ける比較手段は車輌の基準横加速度が実質的に0で
ある状態が所定の時間以上継続している場合に車輌が直
進走行状態にあると判定するよう構成される(好ましい
態様11)。
【0026】本発明の他の一つの好ましい態様によれ
ば、上記請求項3の構成に於いて、上記請求項2の構成
に於ける比較手段は車輌の基準ヨーレートが実質的に0
である状態が所定の時間以上継続している場合に車輌が
直進走行状態にあると判定するよう構成される(好まし
い態様12)。
【0027】本発明の他の一つの好ましい態様によれ
ば、上記請求項3の構成に於いて、舵角検知手段により
検知された舵角が実質的に0である状態が所定の時間以
上継続している場合に車輌が直進走行状態にあると判定
するよう構成される(好ましい態様13)。
【0028】本発明の他の一つの好ましい態様によれ
ば、上記請求項1の構成に於いて、車輌制御装置は車輌
の旋回制動時に前後輪の制動力配分を制御する制動力配
分制御装置であり、前輪及び後輪の制動力を制御する制
動力制御手段を有し、制動力制御手段は選択手段により
選択された検出値に基づく車輌の横加速度と車速との積
の大きさが大きいほど後輪に対する前輪の制動力の配分
比が高くなるよう前輪若しくは後輪の制動力を制御する
よう構成される(好ましい態様14)。
【0029】本発明の他の一つの好ましい態様によれ
ば、上記請求項2の構成に於いて、車輌制御装置は後輪
の舵角を制御する後輪操舵制御装置であり、基準ヨーレ
ートと選択手段により選択された検出値に基づく車輌の
ヨーレートとの偏差の大きさが小さくなるよう後輪の舵
角を制御するよう構成される(好ましい態様15)。
【0030】
【発明の実施の形態】以下に添付の図を参照しつつ、本
発明を幾つかの好ましい実施形態について詳細に説明す
る。
【0031】第一の実施形態 図1は車輌の横加速度に基づき旋回制動時の制動力の前
後輪配分制御を行うよう構成された本発明による車輌制
御装置の第一の実施形態を示す概略構成図である。
【0032】図1に於て、10FL及び10FRはそれぞれ
車輌12の左右の前輪を示し、10RL及び10RRはそれ
ぞれ左右の後輪を示している。操舵輪である左右の前輪
10FL及び10FRは運転者によるステアリングホイール
14の転舵に応答して駆動されるラック・アンド・ピニ
オン式のパワーステアリング装置16によりタイロッド
18L及び18Rを介して操舵される。
【0033】各車輪の制動力は制動装置20の油圧回路
22によりホイールシリンダ24FR、24FL、24RR、
24RLの制動圧が制御されることによって制御されるよ
うになっている。図には示されていないが、油圧回路2
2はオイルリザーバ、オイルポンプ、種々の弁装置等を
含み、各ホイールシリンダの制動圧は通常時には運転者
によるブレーキペダル26の踏み込み操作に応じて駆動
されるマスタシリンダ28により制御され、また必要に
応じて後に詳細に説明する如く電気式制御装置30によ
り制御される。
【0034】ステアリングホイール14が連結されたス
テアリングコラムには操舵角θを検出する操舵角センサ
32が設けられている。また車輌12にはそれぞれ車速
Vを検出する車速センサ34、車輌の横加速度Gyを検
出する横加速度センサ36、車輌のヨーレートYrを検
出するヨーレートセンサ38、マスタシリンダ28内の
圧力をマスタシリンダ圧力Pmとして検出する圧力セン
サ40が設けられている。尚操舵角センサ32、横加速
度センサ36及びヨーレートセンサ38は車輌の左旋回
方向を正としてそれぞれ操舵角、ヨーレート及び横加速
度を検出する。
【0035】図示の如く、操舵角センサ32により検出
された操舵角θを示す信号、車速センサ34により検出
された車速Vを示す信号、横加速度センサ36により検
出された横加速度Gyを示す信号、ヨーレートセンサ3
8により検出されたヨーレートYrを示す信号は電子制
御装置30に入力される。
【0036】尚図には詳細に示されていないが、電子制
御装置30は例えばCPUとROMとRAMと入出力ポ
ート装置とを有し、これらが双方向性のコモンバスによ
り互いに接続された一般的な構成のマイクロコンピュー
タを含んでいる。
【0037】電子制御装置30は、後述の如く図2に示
されたフローチャートに従い、運転者の制動操作量(マ
スタシリンダ圧Pm)に応じて左右前輪及び左右後輪の
目標制動圧Pti(i=fl、fr、rl、rr)を演算すると共
に、各車輪の制動圧Pi(i=fl、fr、rl、rr)をそれ
ぞれ対応する目標制動圧Ptiに制御し、また車輪の制動
スリップが過大であるときには制動スリップを低減する
ための目標制動圧Ptiを演算し、これによりアンチスキ
ッド制御を行う。
【0038】また図示の実施形態に於いては、電子制御
装置30は、車輌が旋回制動状態にあるときには、車輌
の横加速度Gyと車速Vとの積Gy×Vの大きさが大きい
ほど前輪の制動圧を増大させ、また積Gy×Vの大きさ
が非常に大きいときには旋回内側後輪の制動圧をフル減
圧し、これにより車輌の旋回中に運転者により制動操作
が行われたような場合に、制動力の前後輪配分比を前輪
寄りに制御することによって車輌のヨーレートが増大す
ることを防止する旋回制動時の制動力の前後輪配分制御
を行う。
【0039】更に電子制御装置30は、後述の如く図3
に示されたフローチャートに従い、操舵角θ及び車速V
に基づき車輌の基準横加速度Gybを演算し、車輌のヨー
レートγ及び車速Vに基づき車輌の推定横加速度Gyhを
演算し、車輌が定常走行状態にあるときに基準横加速度
Gybと検出された車輌の横加速度Gyとの偏差の大きさ
及び基準横加速度Gybと推定横加速度Gyhとの偏差の大
きさを比較し、偏差の大きさが小さい方、即ち信頼性が
高い方の横加速度Gy又は推定横加速度Gyhが制動力の
前後輪配分制御に於いて車輌の横加速度として使用され
るようフラグFsを1又は2に設定する。
【0040】次に図2及び図3に示されたフローチャー
トの説明に先立ち、第一の実施形態に於ける制動力の前
後輪配分制御の原理について説明する。
【0041】車輌モデルによれば、スタビリティファク
タをKhとし、車速をVとし、操舵角をθとし、ステア
リングギヤ比をNとし、車輌のホイールベースをLとす
ると、車輌のヨーレートYrは下記の式1により表され
る。 Yr={1/(1+Kh×V2)}×(θ×V)/(N×L) ……(1)
【0042】上記式1の両辺に(1+Kh×V2)をかけ
ると、下記の式2が得られ、車輌の横加速度をGyとす
ると、Gy=Yr×Vの関係より下記の式3が得られる。 Yr+Kh×(Yr×V)×V=(θ×V)/(N×L) ……(2) Yr=(θ×V)/(N×1)−Kh×Gy×V ……(3)
【0043】一般に、実際の車輌に於いては、車輌の定
常旋回時に制動されると、操舵角が一定にも拘らず車輌
が旋回内側に入り込もうとする現象、即ちヨーレートY
rが大きくなるという好ましくない現象が生じる。
【0044】この現象を上記式3にあてはめて考える
と、制動前のヨーレートをYr1とし、制動後のヨーレー
トをYr2とし、制動前後の車速の変化及び横加速度の変
化が小さいとすると、これらのヨーレートはそれぞれ下
記の式4及び5にて表されるので、 Yr1=(θ×V)/(N×1)−Kh1×Gy×V ……(4) Yr2=(θ×V)/(N×1)−Kh2×Gy×V ……(5) 上記現象に於けるヨーレートYrの増大はYr2>Yr1と
いうことであり、このヨーレートYrの増大を抑制する
ためには、下記の式6により表されるヨーレートの変化
量をの値を小さくすればよい。 Yr2−Yr1=(Kh1−Kh2)×Gy×V ……(6)
【0045】スタビリティファクタKhは制動力の前後
輪配分比が前輪寄りになるほど大きくなる傾向にあるこ
とが実際の車輌に於いて確認されている。従って車輌の
旋回時に於ける制動後のヨーレートYrの増大を抑制す
るためには、車輌の横加速度Gyと車速Vとの積Gy×V
の大きさが大きいほどスタビリティファクタの変化(K
h1−Kh2)を小さくする、即ち制動力の前後輪配分比を
前輪寄りに制御すればよいことが解る。
【0046】よって図示の第一の実施形態に於ける制動
力の前後輪配分制御に於いては、信頼性が高い方の横加
速度Gy又は推定横加速度Gyh、即ち車輌の実際の横加
速度を正確に表わす横加速度が前後輪配分制御に於ける
車輌の横加速度Gyとして選択され、車輌の横加速度Gy
と車速Vとの積Gy×Vの大きさが大きいほど制動力の
前後輪配分比が前輪寄りに制御され、これにより車輌の
旋回制動時に於ける車輌の走行安定性が高精度に向上さ
れる。
【0047】次に図2に示されたフローチャートを参照
して図示の第一の実施形態に於ける制動力の前後輪配分
制御ルーチンについて説明する。尚図2に示されたフロ
ーチャートによる制御は図には示されていないイグニッ
ションスイッチの閉成により開始され、所定の時間毎に
繰返し実行される。
【0048】まずステップ10に於いては操舵角θを示
す信号等の読み込みが行われ、ステップ20に於いては
マスタシリンダ圧Pmに基づき各車輪の目標制動圧Pti
が演算され、またアンチスキッド制御が必要であるとき
には当技術分野に於いて公知の要領にて車輪の過大な制
動スリップを低減するに必要な目標制動圧Ptiが演算さ
れる。
【0049】ステップ30に於いては図3に示されたル
ーチンに従って後述の如く設定されるフラグFsが1で
あるか否かの判定が行われ、肯定判別が行われたときに
はステップ32に於いてステップ40以降の制御に供さ
れる車輌の横加速度Gyが横加速度センサ36により検
出された横加速度Gyに設定され、否定判別が行われた
ときにはステップ34へ進む。
【0050】ステップ34に於いてはフラグFsが2で
あるか否かの判定が行われ、肯定判別が行われたときに
はステップ36に於いてステップ40以降の制御に供さ
れる車輌の横加速度Gyがヨーレートセンサ38により
検出された車輌のヨーレートYrと車速Vとの積に設定
され、否定判別が行われたときには図2に示されたルー
チンによる制御を一旦終了し、各車輪の制動圧はマスタ
シリンダ28により制御される状態に設定又は維持され
る。
【0051】ステップ40に於いては車輌の横加速度G
yと車速Vとの積Gy×Vが演算され、ステップ50に於
いては積Gy×Vの絶対値が第一の基準値Th1(正の定
数)以上であるか否かの判別が行われ、否定判別が行わ
れたときにはそのままステップ120へ進み、肯定判別
が行われたときにはステップ60へ進む。
【0052】ステップ60に於いては積Gy×Vの絶対
値が第二の基準値Th2(Th1よりも大きい正の定数)以
上であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたと
きにはステップ80へ進み、肯定判別が行われたときに
はステップ70に於いて操舵角θ等に基づき車輌の旋回
方向が判定されると共に、旋回内側後輪の目標制動圧P
ti(i=rl又はrr)が0に設定される。
【0053】ステップ80に於いては積Gy×Vの絶対
値に基づき図4に示されたグラフに対応するマップより
前輪制動圧の増圧量Aが演算され、ステップ90に於い
てはマスタシリンダ圧力Pmに基づき図5に示されたグ
ラフに対応するマップより補正係数Kpfが演算され、ス
テップ100に於いては前輪制動圧の増圧量Aが補正係
数Kpfと増圧量Aとの積に補正されることにより、補正
後の前輪制動圧の増圧量A′が演算される。
【0054】ステップ110に於いては左右前輪の目標
制動圧Ptfl及びPtfrがそれらに補正後の増圧量A′が
加算されることによって補正され、ステップ120に於
いては各車輪の制動圧が目標制動圧Ptiになるよう油圧
回路22が制御され、しかる後ステップ10へ戻る。
【0055】次に図3に示されたフローチャートを参照
して図示の第一の実施形態に於ける車輌の横加速度選択
制御ルーチンについて説明する。尚図3に示されたフロ
ーチャートによる制御も図には示されていないイグニッ
ションスイッチの閉成により開始され、図2に示された
フローチャートによる制御のサイクルタイムよりも長い
所定の時間毎に割り込みにより繰返し実行される。
【0056】まずステップ210に於いては操舵角θを
示す信号等の読み込みが行われる。尚図3には示されて
いないが、図3に示されたフローチャートによる制御の
開始時にはステップ210に先立ってフラグFsが1に
設定され、タイマのカウント値Ctが0に設定され、車
輌の横加速度の偏差ΔGya1(n-1)及びΔGya2(n-1)が0
に設定されることにより初期化が行われる。
【0057】ステップ220に於いては当技術分野に於
いて公知の要領にて操舵角センサ32、車速センサ3
4、横加速度センサ36、ヨーレートセンサ38に断線
やショートの如き異常が生じておらず正常であるか否か
の判別が行われ、否定判別が行われたときには正常な制
動力の前後輪配分制御を実行することができないのでス
テップ230に於いてフラグFsが3に設定され、しか
る後図3に示されたルーチンによる制御を終了すること
により各車輪の制動圧がマスタシリンダ28により制御
され、肯定判別が行われたときにはステップ240へ進
む。
【0058】ステップ240に於いては操舵角θ及び車
速Vに基づき下記の式7に従って車輌の基準横加速度G
ybが演算されると共に、車輌のヨーレートYr及び車速
Vに基づき下記の式8に従って車輌の推定横加速度Gyh
が演算される。 Gyb=V2θ/(1+KhV2)NL ……(7) Gyh=Yr×V ……(8)
【0059】ステップ250に於いては例えば車輌の基
準横加速度Gybの時間微分値の大きさが基準値以下であ
る状態が所定の時間以上継続しているか否かの判別によ
り、車輌がその横加速度が実質的に一定の定常走行状態
にあるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたとき
にはそのまま図3に示されたルーチンによる制御を終了
し、肯定判別が行われたときにはステップ260へ進
む。
【0060】尚車輌が定常走行状態にあるか否かの判別
は当技術分野に於いて公知の任意の要領にて行われてよ
く、例えば車輌の推定横加速度Gyhの時間微分値又は検
出された車輌の横加速度Gyの時間微分値又は検出され
た車輌のヨーレートYrの時間微分値に基づいて行われ
てもよく、また上記四つの時間微分値の少なくとも二つ
の時間微分値に基づいて行われてもよい。更に車輌が定
常走行状態にあるか否かの判別は、車輌の推定横加速度
Gyhと検出された車輌の横加速度Gyとの偏差ΔGyhの
大きさが基準値以下である状態が所定の時間以上継続し
ているか否かの判別、又は車輌の基準横加速度Gybと検
出された車輌の横加速度Gyとの偏差ΔGybの大きさが
基準値以下である状態が所定の時間以上継続しているか
否かの判別により行われてもよい。
【0061】また図示の実施形態に於いては、ステップ
250に於いて車輌が実質的に一定横加速度の定常走行
状態にあるか否かの判別が行われるようになっている
が、このステップに於いて車輌が実質的に直進走行状態
にあるか否かの判別、即ち車輌の横加速度が実質的に0
である状態が所定の時間以上継続しているか否かの判別
が行われるよう修正されてもよく、その場合車輌が実質
的に直進走行状態にあるか否かは、例えば車輌の推定横
加速度Gyhの絶対値又は車輌の基準横加速度Gybの絶対
値又は検出された車輌の横加速度Gyの絶対値又は検出
された車輌のヨーレートYrの絶対値が基準値以下であ
る状態が所定の時間以上継続しているか否かの判別によ
り行われてよく、また操舵輪の舵角θの絶対値が基準値
以下である状態が所定の時間以上継続しているか否かの
判別により行われてよい。
【0062】ステップ260に於いてはタイマのカウン
ト値Ctが基準値T(正の定数)未満であるか否かの判
別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ30
0へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ270
に於いて基準横加速度Gybと検出された横加速度Gyと
の第一の偏差の大きさΔGys1及び基準横加速度Gyrと
推定横加速度Gyhとの第二の偏差の大きさΔGys2がそ
れぞれ下記の式9及び10に従って演算される。 ΔGys1=|Gyb−Gy| ……(9) ΔGys2=|Gyb−Gyh| ……(10)
【0063】ステップ280に於いてはΔGya1(n)及び
ΔGya2(n)をそれぞれ横加速度の偏差の大きさΔGys1
及びΔGys2の積算値の現在値とし、ΔGya1(n-1)及び
ΔGya2(n-1)をそれぞれ積算値ΔGya1(n)及びΔGya2
(n)の前回値として、積算値ΔGya1(n)及びΔGya2(n)
がそれぞれ下記の式11及び12に従って演算され、ス
テップ290に於いてはタイマのカウント値Ctが1イ
ンクリメントされる。 ΔGya1(n)=ΔGya1(n-1)+ΔGys1 ……(11) ΔGya2(n)=ΔGya2(n-1)+ΔGys2 ……(12)
【0064】ステップ300に於いてはT時間に於ける
基準横加速度Gybと検出された横加速度Gyとの第一の
偏差の大きさの平均値ΔGy1が下記の式13に従って演
算されると共に、T時間に於ける基準横加速度Gybと推
定横加速度Gyhとの第二の偏差の大きさの平均値ΔGy2
が下記の式14に従って演算される。 ΔGy1=ΔGya1/T ……(13) ΔGy2=ΔGya2/T ……(14)
【0065】ステップ310に於いては第一の偏差の大
きさの平均値ΔGy1が第二の偏差の大きさの平均値ΔG
y2よりも小さいか否かの判別が行われ、肯定判別が行わ
れたときにはステップ320に於いてフラグFsが1に
設定され、否定判別が行われたときにはステップ330
に於いてフラグFsが2に設定される。
【0066】かくして図示の第一の実施形態によれば、
ステップ240に於いて操舵角θ及び車速Vに基づき車
輌の基準横加速度Gybが演算されると共に、車輌のヨー
レートYr及び車速Vに基づき車輌の推定横加速度Gyh
が演算され、ステップ250に於いて車輌が定常走行状
態にある旨の判別が行われたときには、ステップ260
〜300に於いて所定の時間Tに於ける基準横加速度G
ybと検出された横加速度Gyとの第一の偏差の大きさの
平均値ΔGy1及び所定の時間Tに於ける基準横加速度G
ybと推定横加速度Gyhとの第二の偏差の大きさの平均値
ΔGy2が演算される。
【0067】そしてステップ310〜330に於いて第
一の偏差の大きさの平均値ΔGy1が第二の偏差の大きさ
の平均値ΔGy2よりも小さいときには、検出された横加
速度Gyの信頼性が高いと考えられるので、フラグFsが
1に設定され、ステップ30及び32に於いてステップ
40以降の制動力の前後輪制御に供される車輌の横加速
度が検出された横加速度Gyに設定される。これに対し
第一の偏差の大きさの平均値ΔGy1が第二の偏差の大き
さの平均値ΔGy2以上であるときには、推定横加速度G
yhの信頼性が高いと考えられるので、フラグFsが2に
設定され、ステップ30、34、36に於いてステップ
40以降の制動力の前後輪配分制御に供される車輌の横
加速度が推定横加速度Gyhに設定される。
【0068】図6は車輌がスラローム走行する際に於け
る車輌の横加速度の検出値Gy、基準横加速度Gy、推定
横加速度Gyの変化の一例を示すと共に、図示の第一の
実施形態の作動を示している。
【0069】図6に示されている如く、時点t6まで車
輌が定常走行状態にあると判定されたとすると、時点t
6までの各T時間毎に第一の偏差ΔGys1の大きさの平均
値ΔGy1及び第二の偏差Gys2の大きさの平均値ΔGy2
の大小関係が判定され、その判定結果に基づき時点t1
まで及び時点t3より時点t4までの区間に於いては制動
力の前後輪配分制御に供される車輌の横加速度として検
出値Gyが選択され、他の区間に於いては推定横加速度
Gyhが選択され、時点t5以降に於いては最後に選択さ
れた推定横加速度Gyhが選択される。
【0070】従って図示の第一の実施形態によれば、横
加速度センサ36により検出された横加速度Gy及びヨ
ーレートセンサ38により検出されたヨーレートYrの
うち信頼性の高い検出値に基づく車輌の横加速度に基づ
いて制動力の前後輪配分制御が実行されるので、横加速
度センサ36により検出された横加速度Gyのみに基づ
いて制動力の前後輪配分制御が実行される場合に比して
高精度に前後輪の制動力の配分を制御することができ
る。
【0071】また図示の第一の実施形態によれば、例え
ば二つの横加速度センサにより車輌の横加速度が検出さ
れ、それらの検出値が高頻度に常時比較されることによ
り両者の信頼性が判定される場合に比して、制御装置の
演算負荷を低減することができる。
【0072】また図示の第一の実施形態によれば、図3
に示されたフローチャートによる車輌の横加速度選択制
御のサイクルタイムは図2に示されたフローチャートに
よる制動力の前後輪配分制御のサイクルタイムよりも長
く、ステップ260以降の各ステップは車輌が定常走行
状態にある場合にのみ実行されるので、このことによっ
ても制御装置の演算負荷を低減することができる。
【0073】また図示の第一の実施形態によれば、車輌
が定常走行状態にあるきに所定の時間Tに於ける基準横
加速度Gybと検出された横加速度Gyとの第一の偏差の
大きさの平均値ΔGy1及び所定の時間Tに於ける基準横
加速度Gybと推定横加速度Gyhとの第二の偏差の大きさ
の平均値ΔGy2が演算され、それらの平均値が比較され
るので、基準横加速度Gybと検出された横加速度Gyと
の第一の偏差の大きさ及び基準横加速度Gybと推定横加
速度Gyhとの第二の偏差の大きさが比較される場合に比
して、何れの検出値の信頼性が高いかを高精度に判定す
ることができる。
【0074】尚図示の第一の実施形態によれば、ステッ
プ20に於いて運転者の制動操作量(マスタシリンダ圧
Pm)に基づいて各車輪の目標制動圧Ptiが演算され、
ステップ40に於いて車輌の横加速度Gyと車速Vとの
積Gy×Vが演算され、積Gy×Vの絶対値が第一の基準
値Th1以上であり第二の基準値Th2未満であるときに
は、ステップ50及び60に於いてそれぞれ肯定判別及
び否定判別が行われ、ステップ80〜110に於いて積
Gy×Vの絶対値が大きいほど大きくなるよう前輪の増
圧量A′が演算され、これにより積Gy×Vの大きさが
大きいほど高くなるよう前輪の制動圧が増圧される。
【0075】従って積Gy×Vの大きさが大きいほど制
動力の前後輪配分比が前輪寄りになるので、車輌のヨー
レートが旋回方向に増大することを防止して車輌を安定
的に制動旋回させることができ、また後輪の制動力が低
減されるのではなく前輪の制動力が増大されるので、車
輌の減速度が低下することを確実に防止することがで
き、これにより車輌の減速度の低下に起因して運転者が
違和感や不満感を感じることを確実に防止することがで
きる。
【0076】尚前輪の制動力の増大により車輌全体の制
動力が増大するが、これに起因して車輌の減速度が高く
なり過ぎる場合には運転者はブレーキペダルの踏み込み
量を低減し車輌全体の制動力の増大を防止することがで
きるので、前輪の制動力の増大により運転者が希望する
車輌の減速度を達成することができなくなることはな
い。
【0077】また積Gy×Vの絶対値が第二の基準値Th
2以上であるときには、ステップ50及び60に於いて
それぞれ肯定判別が行われ、ステップ80〜110に於
いて積Gy×Vの絶対値が大きいほど大きくなるよう前
輪の増圧量A′が演算され、これにより積Gy×Vの大
きさが大きいほど高くなるよう前輪の制動圧が増圧され
ると共に、ステップ70に於いて旋回内側後輪の目標制
動圧が0に設定され、ステップ120に於いて旋回内側
の制動圧がフル減圧され、これにより後輪の制動力が低
減される。
【0078】従って積Gy×Vの絶対値が第二の基準値
Th2以上であるときには、即ち車輌のヨーレートが更に
増大し易い状況に於いては、積Gy×Vの絶対値が第一
の基準値Th1以上であり第二の基準値Th2未満である場
合に比して、制動力の前後輪配分比が更に一層前輪寄り
になるので、車輌のヨーレートが旋回方向に増大するこ
とを防止して車輌を安定的に制動旋回させることがで
き、また前輪の制動力が増大されると共に後輪の制動力
が低減されるので、車輌全体の制動力が過剰になって車
輌の減速度が過大になることを確実に防止することがで
きる。
【0079】また図示の実施形態によれば、ステップ9
0に於いてマスタシリンダ圧Pmが高いほど小さくなる
よう補正係数Kpfが演算され、ステップ100に於いて
前輪制動圧の増圧量Aが補正係数Kpfと増圧量Aとの積
に補正されるので、運転者による制動操作量が高く、運
転者の制動操作による車輪の制動力が高い状況に於いて
前輪の制動圧が増大されることにより、前輪の制動力が
過剰になり前輪の横力が低下することに起因して車輌の
回頭性が悪化する虞れを確実に低減することができる。
【0080】また図示の実施形態によれば、ステップ7
0に於いて旋回内側後輪の制動圧のみが低減されるの
で、左右後輪の制動圧が低減される場合に比して車輌の
減速度が低下する虞れを低減することができると共に、
左右後輪の制動力差によるアンチスピンモーメントを車
輌に与えることができ、これにより車輌がスピン状態に
なる虞れを効果的に低減することができる。
【0081】尚図示の実施形態に於いて、ステップ70
に於いて旋回内側後輪の目標制動圧が0に設定されるの
は、一般的な制動装置の減圧用の電磁開閉弁を断続的に
開閉することによって後輪の制動圧を低減しようとする
と、その断続的な開閉によって異音が発生し易いからで
ある。
【0082】また図示の実施形態によれば、積Gy×V
の絶対値が第二の基準値Th2以上であるときには、積G
y×Vの絶対値が第二の基準値以下である場合に比し
て、積Gy×Vの絶対値に対する増圧量Aの増加率が小
さいので、積Gy×Vが第二の基準値Th2以上の大きい
領域に於いて前輪の制動力が過剰になり前輪の横力が低
下することに起因して車輌の回頭性が悪化する虞れを低
減することができる。
【0083】尚図示の実施形態に於いて、ステップ40
に先立って制動力の前後輪配分制御が許可される状況で
あるか否かの判別が行われ、運転者による制動操作が行
われており且つ路面がまたぎ路ではなく且つ車輌が旋回
状態にある場合にのみステップ40以降の各ステップが
実行されるよう修正されてもよく、その場合には制動力
の前後輪配分制御の許可判定が行われない場合に比し
て、不必要に制動力の前後輪配分制御が行われる虞れを
確実に低減することができ、特に路面がまたぎ路である
状況に於いて制動力の前後輪配分制御が実行されること
に起因して車輌の挙動が悪化することを確実に防止する
ことができる。
【0084】第二の実施形態 図7は車輌のヨーレートに基づき後輪の舵角を制御する
よう構成された本発明による車輌制御装置の第二の実施
形態を示す概略構成図、図8は第二の実施形態に於ける
後輪舵角制御ルーチンを示すフローチャートである。尚
図7に於いて、図1に示された部材に対応する部材には
図1に於いて付された符号と同一の符号が付されてい
る。また図8に於いて、図3に示されたステップに対応
するステップには図3に於いて付されたステップ番号に
200がプラスされたステップ番号が付されている。
【0085】この第二の実施形態に於いては、左右の後
輪10RL及び10RRは後輪操舵装置42のラック・アン
ド・ピニオン式のパワーステアリング装置44によりタ
イロッド46L及び46Rを介して操舵され、後輪操舵装
置42は電子制御装置30により制御される。電子制御
装置30は、操舵角θ及び車速Vに基づき車輌の基準ヨ
ーレートYrbを演算し、基準ヨーレートYrbと車輌のヨ
ーレートとの偏差の大きさが小さくなるよう運転者の操
舵操作とは無関係に左右の後輪の舵角を制御する。
【0086】特に電子制御装置30は、後述の如く図8
に示されたフローチャートに従い、操舵角θ及び車速V
に基づき車輌の基準ヨーレートYrbを演算し、車輌の横
加速度Gy及び車速Vに基づき車輌の推定ヨーレートYr
hを演算し、車輌が定常走行状態にあるときに基準ヨー
レートYrbと検出された車輌のヨーレートYrとの偏差
の大きさ及び基準ヨーレートYrbと推定ヨーレートYrh
との偏差の大きさを比較し、偏差の大きさが小さい方、
即ち信頼性が高い方のヨーレートYr又は推定ヨーレー
トYrhを後輪操舵制御に於ける車輌のヨーレートYrと
して使用する。
【0087】次に図8に示されたフローチャートを参照
して図示の第二の実施形態に於ける後輪舵角制御ルーチ
ンについて説明する。尚図8に示されたフローチャート
による制御は図には示されていないイグニッションスイ
ッチの閉成により開始され、所定の時間毎に繰返し実行
される。
【0088】まずステップ410に於いては操舵角θを
示す信号等の読み込みが行われる。尚図8には示されて
いないが、第一の実施形態の場合と同様、図8に示され
たフローチャートによる制御の開始時にはステップ41
0に先立ってフラグFsが1に設定され、タイマのカウ
ント値Ctが0に設定され、車輌のヨーレートの偏差Δ
Yra1(n-1)及びΔYr2(n-1)が0に設定されることによ
り初期化が行われる。
【0089】ステップ420に於いては当技術分野に於
いて公知の要領にて操舵角センサ32、車速センサ3
4、横加速度センサ36、ヨーレートセンサ38に断線
やショートの如き異常が生じておらず正常であるか否か
の判別が行われ、否定判別が行われたときには正常な後
輪操舵制御を実行することができないのでステップ43
0に於いてフラグFsが3に設定され、しかる後図8に
示されたルーチンによる制御を終了することにより後輪
の操舵が禁止され、肯定判別が行われたときにはステッ
プ440へ進む。
【0090】ステップ440に於いては操舵角θ及び車
速Vに基づき下記の式15に従って車輌のヨーレートY
rbが演算されると共に、車輌の横加速度Gy及び車速V
に基づき下記の式16に従って車輌の推定ヨーレートY
rhが演算される。 Yrb=Vθ/(1+KhV2)NL ……(15) Yrh=Gy/V ……(16)
【0091】ステップ450に於いては例えば車輌の基
準ヨーレートYrbの時間微分値の大きさが基準値以下で
ある状態が所定の時間以上継続しているか否かの判別に
より、車輌がそのヨーレートが実質的に一定の定常走行
状態にあるか否かの判別が行われ、否定判別が行われた
ときにはそのまま図8に示されたルーチンによる制御を
終了し、肯定判別が行われたときにはステップ460へ
進む。
【0092】尚車輌が定常走行状態にあるか否かの判別
は当技術分野に於いて公知の任意の要領にて行われてよ
く、例えば車輌の推定ヨーレートYrhの時間微分値又は
検出された車輌のヨーレートYrの時間微分値又は検出
された車輌の横加速度Gyの時間微分値に基づいて行わ
れてもよく、また上記四つの時間微分値の少なくとも二
つの時間微分値に基づいて行われてもよい。更に車輌が
定常走行状態にあるか否かの判別は、車輌の推定ヨーレ
ートYrhと検出された車輌のヨーレートYrとの偏差Δ
Yrhの大きさが基準値以下である状態が所定の時間以上
継続しているか否かの判別、又は車輌の基準ヨーレート
Yrbと検出された車輌のヨーレートYrとの偏差ΔYrb
の大きさが基準値以下である状態が所定の時間以上継続
しているか否かの判別により行われてもよい。
【0093】また図示の実施形態に於いては、ステップ
450に於いて車輌が実質的に一定ヨーレートの定常走
行状態にあるか否かの判別が行われるようになっている
が、このステップに於いて車輌が実質的に直進走行状態
にあるか否かの判別、即ち車輌のヨーレートが実質的に
0である状態が所定の時間以上継続しているか否かの判
別が行われるよう修正されてもよく、その場合車輌が実
質的に直進走行状態にあるか否かは、例えば車輌の推定
ヨーレートYrhの絶対値又は車輌の基準ヨーレートYrb
の絶対値又は検出された車輌のヨーレートYrの絶対値
又は検出された車輌の横加速度Gyの絶対値が基準値以
下である状態が所定の時間以上継続しているか否かの判
別により行われてよく、また操舵輪の舵角θの絶対値が
基準値以下である状態が所定の時間以上継続しているか
否かの判別により行われてよい。
【0094】ステップ460に於いてはタイマのカウン
ト値Ctが基準値T(正の定数)未満であるか否かの判
別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ50
0へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ470
に於いて基準ヨーレートYrbと検出されたヨーレートY
rとの第一の偏差の大きさΔYrs1及び基準ヨーレートY
rrと推定ヨーレートYrhとの第二の偏差の大きさΔYrs
2がそれぞれ下記の式17及び18に従って演算され
る。 ΔYrs1=|Yrb−Yr| ……(17) ΔYrs2=|Yrb−Yrh| ……(18)
【0095】ステップ480に於いてはΔYra1(n)及び
ΔYra2(n)をそれぞれヨーレートの偏差の大きさΔYrs
1及びΔYrs2の積算値の現在値とし、ΔYra1(n-1)及び
ΔYra2(n-1)をそれぞれ積算値ΔYra1(n)及びΔYra2
(n)の前回値として、積算値ΔYra1(n)及びΔYra2(n)
がそれぞれ下記の式19及び20に従って演算され、ス
テップ490に於いてはタイマのカウント値Ctが1イ
ンクリメントされる。 ΔYra1(n)=ΔYra1(n-1)+ΔYrs1 ……(19) ΔYra2(n)=ΔYra2(n-1)+ΔYrs2 ……(20)
【0096】ステップ500に於いてはT時間に於ける
基準ヨーレートYrbと検出されたヨーレートYrとの第
一の偏差の大きさの平均値ΔYr1が下記の式21に従っ
て演算されると共に、T時間に於ける基準ヨーレートY
rbと推定ヨーレートYrhとの第二の偏差の大きさの平均
値ΔYr2が下記の式22に従って演算される。 ΔYr1=ΔYra1/T ……(21) ΔYr2=ΔYra2/T ……(22)
【0097】ステップ510に於いては第一の偏差の大
きさの平均値ΔYr1が第二の偏差の大きさの平均値ΔY
r2よりも小さいか否かの判別が行われ、肯定判別が行わ
れたときにはステップ520に於いてフラグFsが1に
設定され、否定判別が行われたときにはステップ530
に於いてフラグFsが2に設定される。
【0098】ステップ540に於いてはフラグFsが1
であるか否かの判定が行われ、肯定判別が行われたとき
にはステップ550に於いてステップ570の後輪操舵
制御に供される車輌のヨーレートYrがヨーレートセン
サ38により検出されたヨーレートYrに設定され、否
定判別が行われたときにはステップ560に於いてステ
ップ570の後輪操舵制御に供される車輌のヨーレート
Yrが横加速度センサ36により検出された車輌の横加
速度Gyを車速Vにて除算した値Gy/Vに設定される。
【0099】ステップ570に於いては車輌の基準ヨー
レートYrbと検出されたヨーレートYrとの偏差に基づ
き、該偏差の大きさを小さくするための後輪の目標舵角
が演算され、後輪の舵角が目標舵角になるよう後輪の舵
角が制御される後輪操舵制御が実行され、しかる後ステ
ップ410へ戻る。
【0100】かくしてこの第二の実施形態によれば、ス
テップ440に於いて操舵角θ及び車速Vに基づき車輌
のヨーレートYrbが演算されると共に、車輌の横加速度
Gy及び車速Vに基づき車輌の推定ヨーレートYrhが演
算され、ステップ450に於いて車輌が定常走行状態に
ある旨の判別が行われたときには、ステップ460〜5
00に於いて所定の時間Tに於ける基準ヨーレートYrb
と検出されたヨーレートYrとの第一の偏差の大きさの
平均値ΔYr1及び所定の時間Tに於ける基準ヨーレート
Yrbと推定ヨーレートYrhとの第二の偏差の大きさの平
均値ΔYr2が演算される。
【0101】そしてステップ510〜530に於いて第
一の偏差の大きさの平均値ΔYr1が第二の偏差の大きさ
の平均値ΔYr2よりも小さいときには、検出されたヨー
レートYrの信頼性が高いと考えられるので、フラグFs
が1に設定され、ステップ540及び550に於いてス
テップ570の後輪舵角制御に供される車輌のヨーレー
トが検出されたヨーレートYrに設定される。これに対
し第一の偏差の大きさの平均値ΔYr1が第二の偏差の大
きさの平均値ΔYr2以上であるときには、推定ヨーレー
トYrhの信頼性が高いと考えられるので、フラグFsが
2に設定され、ステップ540及び560に於いてステ
ップ570の後輪舵角制御に供される車輌のヨーレート
が推定ヨーレートYrhに設定される。
【0102】従って図示の第二の実施形態によれば、横
加速度センサ36により検出された横加速度Gy及びヨ
ーレートセンサ38により検出されたヨーレートYrの
うち信頼性の高い検出値に基づく車輌のヨーレートに基
づいて後輪舵角制御が実行されるので、ヨーレートセン
サ38により検出されたヨーレートYrのみに基づいて
後輪舵角制御が実行される場合に比して高精度に後輪の
舵角を制御することができ、これにより車輌の実際のヨ
ーレートを正確に目標である基準ヨーレートYrhに制御
することができる。
【0103】また図示の第二の実施形態によれば、例え
ば二つのヨーレートセンサにより車輌のヨーレートが検
出され、それらの検出値が高頻度に常時比較されること
により両者の信頼性が判定される場合に比して、制御装
置の演算負荷を低減することができる。
【0104】尚図示の第二の実施形態に於いては、ステ
ップ420〜560のヨーレート選択制御ルーチンが後
輪舵角制御ルーチンの一部として実行されるようになっ
ているが、上述の第一の実施形態の場合と同様、ヨーレ
ート選択制御ルーチンが後輪舵角制御ルーチンとは独立
のルーチンにより実行されるよう修正されてよい。その
場合にはヨーレート選択制御のサイクルタイムは後輪舵
角制御のサイクルタイムよりも長くてよく、またステッ
プ360以降の各ステップは車輌が定常走行状態にある
場合にのみ実行されるので、制御装置の演算負荷を更に
一層低減することができる。
【0105】また図示の第二の実施形態によれば、上述
の第一の実施形態の場合と同様、車輌が定常走行状態に
あるきに所定の時間Tに於ける基準ヨーレートYrbと検
出されたヨーレートYrとの第一の偏差の大きさの平均
値ΔYr1及び所定の時間Tに於ける基準ヨーレートYrb
と推定ヨーレートYrhとの第二の偏差の大きさの平均値
ΔYr2が演算され、それらの平均値が比較されるので、
基準ヨーレートYrbと検出されたヨーレートYrとの第
一の偏差の大きさ及び基準ヨーレートYrbと推定ヨーレ
ートYrhとの第二の偏差の大きさが比較される場合に比
して、何れの検出値の信頼性が高いかを高精度に判定す
ることができる。
【0106】以上に於いては本発明を特定の実施形態に
ついて詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限
定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の
実施形態が可能であることは当業者にとって明らかであ
ろう。
【0107】例えば上述の第一の実施形態に於いては、
車輌制御装置は車輌の横加速度に基づき旋回制動時の制
動力の前後輪配分制御を行う制動力制御装置であり、上
述の第二の実施形態に於いては、車輌制御装置は車輌の
ヨーレートに基づき後輪の舵角を制御する後輪舵角制御
装置であるが、本発明の車輌制御装置は車輌の横加速度
又はヨーレートに基づき車輌を制御する任意の車輌制御
装置に適用されてよいものである。
【0108】また上述の第一及び第二の実施形態に於い
ては、車速Vは車速センサにより検出された値が使用さ
れるようになっているが、車速は各車輪の車輪速度に基
づき当技術分野に於いて公知の任意の要領にて演算され
てもよい。
【0109】また上述の第一の実施形態のステップ31
0に於いては、第一の偏差の大きさの平均値ΔGy1が第
二の偏差の大きさの平均値ΔGy2よりも小さいか否かの
判別が行われるようになっているが、第一の偏差の大き
さの平均値ΔGy1が第二の偏差の大きさの平均値ΔGy2
以下であるか否かの判別が行われるよう修正されてもよ
い。同様に上述の第二の実施形態のステップ510に於
いては、第一の偏差の大きさの平均値ΔYr1が第二の偏
差の大きさの平均値ΔYr2よりも小さいか否かの判別が
行われるようになっているが、第一の偏差の大きさの平
均値ΔYr1が第二の偏差の大きさの平均値ΔYr2以下で
あるか否かの判別が行われるよう修正されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】車輌の横加速度に基づき旋回制動時の制動力の
前後輪配分制御を行うよう構成された本発明による車輌
制御装置の第一の実施形態を示す概略構成図である。
【図2】第一の実施形態に於ける制動力の前後輪配分制
御ルーチンを示すフローチャートである。
【図3】第一の実施形態に於ける車輌の横加速度選択制
御ルーチンを示すフローチャートである。
【図4】車輌の横加速度Gy及び車速Vの積Gy×Vの絶
対値と前輪の制動圧の増圧量Aとの間の関係を示すグラ
フである。
【図5】マスタシリンダ圧Pmと補正係数Kpfとの間の
関係を示すグラフである。
【図6】車輌がスラローム走行する際に於ける車輌の横
加速度の検出値Gy、基準横加速度Gy、推定横加速度G
yの変化の一例を示すと共に、図示の第一の実施形態の
作動を示すグラフである。
【図7】車輌のヨーレートに基づき後輪の舵角を制御す
るよう構成された本発明による車輌制御装置の第二の実
施形態を示す概略構成図である。
【図8】第二の実施形態に於ける後輪舵角制御ルーチン
を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10FR〜10RL…車輪 20…制動装置 28…マスタシリンダ 30…電子制御装置 32…操舵角センサ 34…車速センサ 36…横加速度センサ 38…ヨーレートセンサ 40…圧力センサ 42…後輪操舵装置

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも車輌の横加速度に基づき車輌を
    制御する車輌制御装置にして、車速検出手段と、操舵輪
    の舵角を検知する舵角検知手段と、車輌の横加速度を検
    出する横加速度センサと、車輌のヨーレートを検出する
    ヨーレートセンサとを備え、前記車速検出手段により検
    出された車速及び前記舵角検知手段により検知された舵
    角に基づき車輌の基準横加速度を演算する手段と、前記
    ヨーレートセンサにより検出されたヨーレートに基づき
    車輌の推定横加速度を演算する手段と、車輌が定常走行
    状態にあるときに前記基準横加速度と前記横加速度セン
    サにより検出された横加速度との第一の偏差及び前記基
    準横加速度と前記推定横加速度との第二の偏差を比較す
    る比較手段と、前記比較手段の比較結果に基づき前記第
    一及び第二の偏差のうち大きさが小さい方の偏差に対応
    する前記横加速度センサ又は前記ヨーレートセンサの検
    出値を選択する選択手段とを有し、前記選択手段により
    選択された検出値に基づく車輌の横加速度に基づき車輌
    を制御することを特徴とする車輌制御装置。
  2. 【請求項2】少なくとも車輌のヨーレートに基づき車輌
    を制御する車輌制御装置にして、車速検出手段と、操舵
    輪の舵角を検知する舵角検知手段と、車輌の横加速度を
    検出する横加速度センサと、車輌のヨーレートを検出す
    るヨーレートセンサとを備え、前記車速検出手段により
    検出された車速及び前記舵角検知手段により検知された
    舵角に基づき車輌の基準ヨーレートを演算する手段と、
    前記横加速度センサにより検出された横加速度に基づき
    車輌の推定ヨーレートを演算する手段と、車輌が定常走
    行状態にあるときに前記基準ヨーレートと前記ヨーレー
    トセンサにより検出されたヨーレートとの第一の偏差及
    び前記基準ヨーレートと前記推定ヨーレートとの第二の
    偏差を比較する比較手段と、前記比較手段の比較結果に
    基づき前記第一及び第二の偏差のうち大きさが小さい方
    の偏差に対応する前記横加速度センサ又は前記ヨーレー
    トセンサの検出値を選択する選択手段とを有し、前記選
    択手段により選択された検出値に基づく車輌のヨーレー
    トに基づき車輌を制御することを特徴とする車輌制御装
    置。
  3. 【請求項3】前記比較手段は前記舵角検知手段により検
    知された舵角に基づき車輌の直進走行状態を判定し、車
    輌が直進走行状態にあるときに前記第一及び第二の偏差
    を比較することを特徴とする請求項1又は2に記載の車
    輌制御装置。
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