JP2003178798A - ナトリウム硫黄電池 - Google Patents

ナトリウム硫黄電池

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JP2003178798A JP2001375310A JP2001375310A JP2003178798A JP 2003178798 A JP2003178798 A JP 2003178798A JP 2001375310 A JP2001375310 A JP 2001375310A JP 2001375310 A JP2001375310 A JP 2001375310A JP 2003178798 A JP2003178798 A JP 2003178798A
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小林  実
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Abstract

(57)【要約】 【課題】電力貯蔵装置や電気自動車などに用いるに好適
な、電池効率向上と大容量化との両立が可能なナトリウ
ム硫黄電池を提供する。 【解決手段】固体電解質袋管1の内側に液体ナトリウム
を収納した負極室4を、前記固体電解質袋管1の外側に
硫黄又は/及び多硫化ナトリウムから成る正極活物質1
4を収納した正極室5を設け、前記正極室5内に設けた
集電体11と前記固体電解質袋管1の側面との間隔に多
孔質導電材12又は/及び多孔質材13を充填すると共
に、前記固体電解質袋管1を水平方向又は斜め方向に寝
かせ、前記集電体11が前記固体電解質袋管1に沿った
側面下側の一部又は全部に突起部110を設けた断面構
造を有し、この突起部110内にも前記多孔質導電材1
2又は/及び前記多孔質材13が充填されたナトリウム
硫黄電池。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電力貯蔵装置用や
電気自動車用として好適なナトリウム硫黄電池の構造に
関する。
【0002】
【従来の技術】負極室内に液体ナトリウム、正極室内に
硫黄,多硫化ナトリウムなどの正極活物質を充填し、負
極室/正極室間をβ型やβ”型のベータアルミナセラミ
ックス製の固体電解質袋管で分離した構造のナトリウム
硫黄電池は、長寿命でエネルギー密度が大きいことから
注目され、電力貯蔵装置やハイブリッドカーを含めた電
気自動車などへの利用が期待されている。
【0003】この電池の実用化には、電池の信頼性,安
全性の確保と共に低コスト化が不可欠であり、このため
には、電池が高出力運転できるように内部抵抗を低減し
て電池効率を向上したり、単電池を大型化してkWやk
Wh当たりの電池数を低減することが望ましいが、従来
の電池ではそのための対応が不十分であった。なお、電
池効率が低下すると電池出力が低下するため、結果とし
てkWやkWh当たりの電池必要数が増し、コスト高と
なる。
【0004】特に、低コスト化には、単電池を大型化し
て大容量化することが極めて有効であるが、このために
は固体電解質袋管の高さ又は/及び幅を増加させる必要
がある。しかし、一般に用いられているように固体電解
質袋管を縦向きに設置して、その高さを大きくすると、
正極室内の上下方向に重力によって活物質の濃度分布や
組成分布が付き易く、その結果、電池内に起電力分布を
生じて循環電流が流れ、電池の効率が低下すると云う問
題があった。
【0005】一方、固体電解質袋管の高さの代わりに、
幅を大きくすることも可能であるが、この場合には固体
電解質袋管の容積と表面積との比が大きくなって、固体
電解質袋管内に充填された活物質を所定時間内に反応さ
せるためには、運転時の電流密度を増加させる必要があ
り、内部抵抗の影響で電池の効率が低下すると云う問題
もあった。
【0006】このように、従来のナトリウム硫黄電池に
おいては、低コスト化のための内部抵抗低減による効率
向上と、電池の大容量化との両立は困難であった。
【0007】上記の対策として、先に固体電解質袋管を
横置きして、水平または斜めに寝かせて電池効率を向上
させたナトリウム硫黄電池の特許を出願(特開2001
−76754号,特開2001−243975号公報)
したが、これらの電池では正極構造適正化のための十分
な検討は行なわれていない。このため、充放電特性改善
についての検討は不十分であり、一層の低コスト化を図
るためには、容量拡大や充放電特性,機械的信頼性の向
上を目指した正極構造の改良が必要である。なお、横置
き電池構造に付いては特開昭57−145278号公報
や特開昭47−19321号公報にも述べられている
が、これらの特許においても容量拡大や電池特性向上の
ための検討は不十分である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来技術の欠点を除き、充放電特性の改善による電池効
率向上と電池大容量化との両立が可能なナトリウム硫黄
電池の提供にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の第1のナトリウ
ム硫黄電池は、固体電解質袋管の内側に液体ナトリウム
を収納した負極室を、前記固体電解質袋管の外側に硫黄
又は/及び多硫化ナトリウムから成る正極活物質を収納
した正極室を設け、前記正極室内に設けた集電体と前記
固体電解質袋管の側面との間隙に多孔質導電材又は/及
び多孔質材を充填し、前記固体電解質袋管を水平方向又
は斜め方向に寝かせたナトリウム硫黄電池であって、前
記集電体が前記固体電解質袋管に沿った側面下側の一部
又は全部に突起部を設けた断面構造を有し、該突起部内
にも前記多孔質導電材又は/及び前記多孔質材が充填さ
れていることを特徴としている。
【0010】ここで、前記多孔質導電材の一部又は/及
び前記多孔質材の一部が、前記固体電解質袋管の側面近
傍から前記突起部の先端部に向かって連続して設けられ
ていること、又は/及び、前記突起部の先端部又は/及
び前記集電体の側面上側の一部又は全部が、前記正極室
を構成する正極容器と接触,接合又は一体化されている
ことが望ましい。
【0011】また、本発明の第2のナトリウム硫黄電池
は、固体電解質袋管の内側に液体ナトリウムを収納した
負極室を、前記固体電解質袋管の外側に硫黄又は/及び
多硫化ナトリウムから成る正極活物質を収納した正極室
を設け、前記正極室内に設けた集電体と前記固体電解質
袋管の側面との間隙に多孔質導電材又は/及び多孔質材
を充填し、前記固体電解質袋管を水平方向又は斜め方向
に寝かせたナトリウム硫黄電池であって、前記固体電解
質袋管の側面下側と前記正極室を構成する正極容器との
間隙の体積が、前記固体電解質袋管の側面上側と前記正
極室を構成する正極容器との間隙の体積よりも大きいこ
とを特徴としている。
【0012】ここで、前記集電体が前記固体電解質袋管
に沿った側面下側の一部又は全部に突起部を設けた断面
構造を有し、該突起部内にも前記多孔質導電材又は/及
び前記多孔質材が充填されていること、又は/及び、前
記多孔質導電材の一部又は/及び前記多孔質材の一部
が、前記固体電解質袋管の側面近傍から前記突起部の先
端部に向かって連続して設けられていることが望まし
い。
【0013】さらに、本発明の第3のナトリウム硫黄電
池は、固体電解質袋管の内側に液体ナトリウムを収納し
た負極室を、前記固体電解質袋管の外側に硫黄又は/及
び多硫化ナトリウムから成る正極活物質を収納した正極
室を設け、前記正極室内に設けた集電体と前記固体電解
質袋管の側面との間隙に多孔質導電材又は/及び多孔質
材を充填したナトリウム硫黄電池であって、前記正極室
を構成する正極容器の断面を楕円形状として、前記楕円
形状の短径方向が上下方向になるように、固体電解質袋
管を水平方向又は斜め方向に寝かせたことを特徴として
いる。
【0014】また、本発明の第4のナトリウム硫黄電池
は、固体電解質袋管の内側に液体ナトリウムを収納した
負極室を、前記固体電解質袋管の外側に硫黄又は/及び
多硫化ナトリウムから成る正極活物質を収納した正極室
を設け、前記正極室内に設けた集電体と前記固体電解質
袋管の側面との間隙に多孔質導電材又は/及び多孔質材
を充填して、前記固体電解質袋管を水平方向又は斜め方
向に寝かせたナトリウム硫黄電池であって、前記固体電
解質袋管の底部より軸方向外側の正極室内の体積が、前
記集電体の前記固体電解質袋管に沿った側面と前記正極
室を構成する正極容器の側面との下側の間隙の体積以上
であることを特徴としている。
【0015】前記第1〜第4のナトリウム硫黄電池によ
り、充放電特性改善による電池効率向上と電池大容量化
との両立が可能なナトリウム硫黄電池が実現される。
【0016】また、前記第1〜第4のナトリウム硫黄電
池において、前記集電体の側面下側又は前記固体電解質
袋管の側面下側と前記正極室を構成する正極容器との間
隙に多孔質導電材又は/及び多孔質材が設けられている
ことが望ましい。
【0017】さらに、本発明の第5のナトリウム硫黄電
池は、固体電解質袋管の内側に液体ナトリウムを収納し
た負極室を、前記固体電解質袋管の外側に硫黄又は/及
び多硫化ナトリウムから成る正極活物質を収納した正極
室を設け、前記正極室内に設けた集電体と前記固体電解
質袋管の側面との間隙に多孔質導電材又は/及び多孔質
材を充填したナトリウム硫黄電池であって、前記正極室
を構成する正極容器の断面形状が楕円形状又は長方形形
状であり、前記断面形状の短軸方向が上下方向となるよ
うに、前記固体電解質袋管を水平方向又は斜め方向に寝
かせ、前記正極容器内部の短軸方向上下に支持板が設け
られていることを特徴としている。
【0018】ここで、前記第5のナトリウム硫黄電池に
おいて、前記正極容器の長軸方向の肉厚が短軸方向の肉
厚よりも大きいこと、あるいは、楕円形状の前記正極容
器の短径部近傍の肉厚が長径部近傍の肉厚よりも大きい
こと、前記支持板に貫通部が設けられているか、又は/
及び、前記支持板の横方向端部と前記正極容器との間な
どの正極室内に空隙部が設けられていることが望まし
い。
【0019】前記第5のナトリウム硫黄電池により、充
放電特性改善による電池効率向上と電池大容量化との両
立が可能であると共に、電池の信頼性の高いナトリウム
硫黄電池が実現される。
【0020】
【発明の実施の形態】〔実施例 1〕図1は、本実施例
によるナトリウム硫黄電池の構造を示す模式断面図であ
る。ナトリウムイオン導電性の固体電解質袋管1には、
普通β型やβ”型のベータアルミナセラミックスから成
る固体電解質が用いられ、本発明では固体電解質袋管1
は水平方向又は斜め方向に寝かせて配置される。
【0021】また、負極容器2,正極容器3は、固体電
解質袋管1と共にそれぞれ負極室4,正極室5を構成
し、その材料としてはAl,Fe,SUS又はこれらの
表面にCr,Mo,Ti,C,Siなどを主体とする耐
食層を設けたものや、Al合金とSUS等とのクラッド
材が普通に用いられる。
【0022】一方、絶縁部材6は、負極容器2と正極容
器3とを絶縁分離し、かつ、これらと接合されており、
普通αアルミナセラミックスを用い、図示していないが
固体電解質袋管1の開口部付近にガラス接合されたり、
αアルミナやマグネシウムアルミニウムスピネルなどの
セラミックスを用い、固体電解質袋管1の開口部と一体
焼結されている。また、負極容器2や正極容器3と絶縁
部材6との接合には、図示していないが、AlやAl合
金を接合材として用い、接合材の液相線温度以下や固相
線温度以下に加熱し、加圧接合する熱圧接法が一般に行
われている。
【0023】また、負極室4内には、液体ナトリウム7
を収納するSUSやAlなどの金属製ナトリウム容器8
が設けられており、ナトリウム7は、放電時には重力や
負極室4の一部であるナトリウム容器8内に充填された
窒素ガスやArガスなどの不活性ガス9の圧力で押さ
れ、一方充電時には固体電解質袋管1を通して侵入する
ナトリウムの圧力で押されて、ナトリウム容器8に設け
た貫通孔10を出入りする。
【0024】このようにナトリウム容器8を設けること
により、固体電解質袋管1に隣接して存在するナトリウ
ム7の量が少なくできて、固体電解質袋管1が破損した
際の電池の安全性が向上する。なお、図1においては、
ナトリウム容器8は負極容器2と一体化されているが、
ナトリウム容器8と負極容器2とを分離した構造も可能
である。
【0025】さらに、絶縁部材6に接合された正極容器
3の表面には、例えばフェライト系やオーステナイト系
などのSUS製や、鉄を主成分にCrを1〜10%程
度、又は、Crを1〜10%程度とMoを0.2〜1%
程度、又は/及び、Siを0.3〜3%程度含んだ鉄合
金製などの支持体301が設けられている。こうして、
正極容器3としてAlやAl合金を用いた場合、絶縁部
材6との接合部とは反対側の正極容器3の表面に支持体
301を接合することにより、正極容器3と絶縁部材6
との熱膨張率差に基づく接合部の応力緩和の役目を果た
している。
【0026】なお、同様の構造は、図示していないが、
負極容器2の接合部にも適用することができる。また、
この支持体301によって、正極容器3に設けたベロー
ズ30の電池昇降温による軸方向の塑性変形量を適当な
範囲に制限して、昇降温に対する電池構造の信頼性を向
上することが可能となる。
【0027】さらに、正極室5内の固体電解質袋管1の
側部外面に沿って、正極容器3と横方向端部で接続した
集電体11が設けられ、集電体11と固体電解質袋管1
の側面との間に多孔質導電材12と多孔質材13が設置
されている。さらに、正極室5内には硫黄又は/及び多
硫化ナトリウムから成る正極活物質14が充填されてお
り、この正極活物質14が多孔質導電材12や多孔質材
13に含浸されて、電池反応を促進している。
【0028】ここで、多孔質導電材12には炭素繊維や
炭素粉末の集合体が用いられ、特に固体電解質袋管1に
沿った径方向の厚さが1〜20mm程度の、1200〜
2000℃で加熱されたPAN(ポリアクリロニトリ
ル)系やピッチ系の炭素繊維マットを用いることが望ま
しい。また、炭素繊維が面方向に配列したリング形状な
どのマットを用いて、炭素繊維マットの面方向が固体電
解質袋管1の側面に垂直になるように設置することによ
り、固体電解質袋管1の径方向に沿った炭素繊維マット
の抵抗を低減して、電池効率を向上することができる。
【0029】同様な効果は、多孔質導電材12として短
冊状や台形状の炭素繊維マットを用いた場合にも実現さ
れ、炭素繊維の大半を炭素繊維マット面に平行に配置
し、炭素繊維マット面に垂直にこの炭素繊維マットを短
冊状や台形状に切断して、炭素繊維マット面が固体電解
質袋管1の側面に垂直になるように、短冊状や台形状の
炭素繊維マットをラセン状又は円周状に巻きつけること
により、炭素繊維マットの抵抗低減の効果が得られる。
【0030】なお、炭素繊維マットを台形状に切断し
て、台形の短い方を固体電解質袋管1の近くに、台形の
長い方を固体電解質袋管1の遠くに配置して巻きつける
ことにより、炭素繊維マット密度を比較的均一にするこ
とができる。
【0031】一方、多孔質材13には、普通アルミナな
どのセラミックスやガラスの繊維や粒子の集合体が用い
られ、固体電解質袋管1に沿った径方向の厚さを0.1
〜0.5mm程度にすることが望ましい。ここで、図示
していないが、炭素繊維マットを固体電解質袋管1の軸
方向に積層して充填し、積層された炭素繊維マット同志
の間に多孔質材を充填したり、貫通部を設けた金属板な
どを設けて、正極活物質14が多孔質導電材12内部を
移動し易くすることも可能である。
【0032】また、正極活物質14の体積を多孔質導電
材12や多孔質材13の空隙体積よりも大きくして、多
孔質導電材12や多孔質材13に含浸される以外に、正
極室5内の集電体11の外側に正極活物質14の液相を
形成し、集電体11に貫通部15を設けて多孔質導電材
12の内外に正極活物質14を移動させることにより、
電池容量の拡大を図ることができる。
【0033】ここで、集電体11としては厚さ0.3〜
5mm程度のAl、Al合金やこれらとSUS等とのク
ラッド材を用い、多孔質導電材12との接触面にCo基
合金,Cr/Fe合金,Al/Si合金,SUS,C
r,C,MoやCr、Moの炭化物や窒化物などの耐食
性導電層を溶射やメッキなどの方法で設けたり、これら
耐食性の粒子や繊維をAlやAl合金の表面へ接合又は
埋め込んだものが用いられる。
【0034】さらに、貫通部15としては直径や幅、長
さが1〜10mm程度の円形や直方体の孔、又はこれら
の間に幅1〜10mmのスリットを設けたものを用い、
面積割合としては集電体11の面積の5〜50%程度が
望ましい。
【0035】また、図1のA―A’断面に見られるよう
に、集電体11の断面は円形形状部分の径方向下側、即
ち側面下側に四角形の突起部110が設けられた構造を
有している。なお、図示していないが、突起部110の
断面を三角形形状や半円形状、半楕円形状などの突起形
状とすることもできるし、突起部110を集電体11の
側面下側の一部又は全部に設けることも可能である。ま
た、突起部を集電体11の径方向上側や横側などに設け
ることも可能である。
【0036】さらに、集電体11の断面形状を楕円形状
や四角形形状などの多角形形状にして、固体電解質袋管
1に沿った側面の下側に突起部11を設けることもでき
る。
【0037】また、多孔質導電材12及び多孔質材13
の一部を延長して、固体電解質袋管1の表面から集電体
11に設けた突起部110の先端部に向かって連続して
配置している。なお、図示していないが、多孔質導電材
12と多孔質材13のいずれか一方を連続して配置する
こともできるし、この代りに、突起部110の内部に多
孔質導電材12と類似の材料から成る多孔質導電材を充
填したり、多孔質材13と類似の材料から成る多孔質材
を充填することも可能である。
【0038】さらに、図示していないが、突起部110
の先端部の下側と正極容器3との間隙に多孔質導電材又
は/及び多孔質材を設けることも可能である。
【0039】図1の構造のナトリウム硫黄電池において
は、固体電解質袋管1を水平方向や斜め方向に寝かせた
構造となっていると共に、固体電解質袋管1の側面に沿
って正極室5内に設けた集電体11を用いて集電する構
造となっているために、普通に用いられる様に長さが直
径よりも大きい固体電解質袋管1を用いた際には、電池
の鉛直方向の高さが固体電解質袋管1を直立した場合よ
りも小さくなり、正極室5内の上下方向に重力による正
極活物質14の濃度分布や組成分布が付きにくくなっ
て、電池内に起電力分布やそれに基づく循環電流が起こ
りにくく、これらの結果として電池の効率が向上する。
【0040】なお、上記組成分布の原因は正極活物質1
4を構成する多硫化ナトリウムが硫黄に融けず、かつ、
比重が硫黄よりも大きいために正極室内の下側に溜まる
こと、及び、正極室5内に多硫化ナトリウムが存在する
場所と硫黄が存在する場所とで、電池の起電力が異なる
ことに基づいている。
【0041】さらに、正極室5内の固体電解質袋管1に
沿って設けた集電体11を用いて集電することにより、
固体電解質袋管1の側面と集電体11との間隙に存在す
る多孔質導電材12の厚さを比較的小さくして、その抵
抗低減により電池効率を向上することができる。
【0042】ここで、図1に示されたように、集電体1
1の断面構造を円形形状部分の径方向下側、即ち側面下
側に突起部110が設けられた構造とすることにより、
集電体11の円形状部分と固体電解質袋管1の側面との
間隙をほぼ一定にすることができ、この円形状部分の間
隙に充填された多孔質導電材12の厚さ方向の電気抵抗
がほぼ一定となって、電流分布が均一になり易いと云う
利点がある。
【0043】なお、固体電解質袋管1を斜めに設置する
場合、固体電解質袋管1の軸方向と水平方向との角度を
±45°以下にして、電池の鉛直方向の高さを低減する
ことが望ましい。
【0044】また、後述のように、多孔質導電材12や
多孔質材13の表面張力による正極活物質14の吸い上
げ高さを考慮すると、多孔質導電材12や多孔質材13
の鉛直方向の高さが15cm以下になる角度に固体電解
質袋管1を傾けることが望ましい。勿論、電池効率向上
の目的で電池の鉛直方向の高さを小さくするためには、
固体電解質袋管1を水平設置することが特に望ましい。
【0045】また、この効果は単電池を大容量化するた
めに固体電解質袋管1の長さを大きくした場合に特に顕
著で、本発明の構造により、電池の大容量化と効率向上
との両立が可能である。
【0046】ここで、ナトリウム硫黄電池の充電時に
は、正極活物質14である多硫化ナトリウムが多孔質材
13や多孔質導電材12の表面張力によって集電体11
の外側の正極活物質14の液相から吸い上げられ、多孔
質導電材13の内部などで電気分解されて、生成したナ
トリウムイオンが固体電解質袋管1を通って負極室4内
へ移動する必要がある。また、充電が進むにつれて正極
室5内の正極活物質14の液面が低下して、正極活物質
14を構成する多硫化ナトリウムが多孔質材や多孔質導
電材と接触しなくなると、充電が停止すると云う問題が
ある。
【0047】この問題に対処して電池容量を向上するた
めには、正極室5内の空間に存在する多硫化ナトリウム
が多孔質材13や多孔質導電材12に接触し易い構造を
採用することが望ましい。なお、多硫化ナトリウムは多
孔質材13と多孔質導電材12との両者の表面張力によ
って移動するが、一般に多孔質導電材12に比べて多孔
質材13に濡れ易い性質を持つために、多孔質材13と
の接触が特に望ましい。
【0048】一方、正極活物質14の一部である硫黄は
逆に多孔質導電材12に濡れ易い性質を持っている。
【0049】また、ナトリウム硫黄電池の放電時には、
多孔質導電材12内に含浸された正極活物質14である
硫黄が固体電解質袋管1を通して負極室4から供給され
るナトリウムイオンと反応し、反応生成物である多硫化
ナトリウムが多孔質導電材12内から集電体11の外側
の正極室5内の空間へ放出される必要がある。
【0050】なお、多硫化ナトリウムが多孔質導電材1
2から放出されにくい場合には、多硫化ナトリウムが負
極室4から供給されるナトリウムイオンとさらに反応し
てナトリウム原子量の多い多硫化ナトリウムが生成し、
その結果として電池の起電力が低下して、電池の起電力
と電池抵抗から定まる電池効率が低下すると云う問題が
発生する。
【0051】ここで、電池効率は一般に(起電力―抵抗
×電流)/(起電力+抵抗×電流)で表される。
【0052】また、この問題に関しては、多孔質導電材
12の外面に沿って正極活物質14である硫黄の液相が
存在している正極室5内の空間では、多孔質導電材12
を構成する炭素繊維や炭素粒子が硫黄に濡れ易いため
に、多孔質導電材12中の多硫化ナトリウムと正極室5
内の空間の硫黄が交換され易く、この結果として、多孔
質導電材12から多硫化ナトリウムが容易に放出され
る。
【0053】さらに、多孔質導電材12の外面に沿って
正極室5内の空間にガスが存在したり、真空の空間とな
っている場所では、重力によって多硫化ナトリウムが多
孔質導電材12から正極室5内の空間へ容易に放出され
て放電が進行する。一方、多孔質導電材12の外面に沿
って正極活物質14である多硫化ナトリウムの液相が存
在する正極室5内の空間では、多孔質導電材12中の多
硫化ナトリウムが正極室5内の空間へ放出されるのは困
難である。
【0054】これらの問題に対処するために、本発明の
図1の構造においては、固体電解質袋管1を水平方向又
は斜め方向に寝かせ、側面下側に突起部110を設けた
集電体11を固体電解質袋管1の側面に隣接すると共
に、固体電解質袋管の側面と集電体11との間、及び、
この突起部内に多孔質導電材12又は/及び多孔質材1
3を充填している。
【0055】こうすることにより、正極室5内の空間の
下側に存在する多硫化ナトリウムが突起部110内の多
孔質材13や多孔質導電材12と接触して吸い上げら
れ、正極室5内の下側に存在する多硫化ナトリウムも充
電に利用されて、電池容量が向上すると云う利点が得ら
れる。
【0056】ここで、この目的のためには、図1に見ら
れるように、多孔質材13や多孔質導電材12を固体電
解質袋管1の表面近傍から突起部110の先端部に向か
って連続して配置することが望ましい。こうすることに
よって、多孔質材13や多孔質導電材12が連続体とし
て使用されて、表面張力が有効に働き、多硫化ナトリウ
ムが容易に吸い上げられて、充電電流を大きくしても充
電が円滑に進むと云う利点がある。
【0057】なお、この代りに、突起部110の内部に
多孔質導電材12と類似の材料から成る多孔質導電材を
充填したり、多孔質材13と類似の材料から成る多孔質
材を充填することも可能であるが、この場合には突起部
110の内部に充填した多孔質導電材や多孔質材を、固
体電解質袋管1に沿って設けた多孔質導電材12の表面
や多孔質材13の表面と、きちんと接触させることが望
ましい。
【0058】また、図示していないが、突起部110の
先端部を正極容器3とを近づけたり、接触させたりする
ことも可能であり、こうすることによって、正極室5内
の最下側に存在する多硫化ナトリウムも突起部内に存在
する多孔質材や多孔質導電材と接触して、電池容量が特
に向上する。
【0059】また、突起部110の先端部の下側と正極
容器3との間に多孔質導電材12や多孔質材13と類似
の材料から成る多孔質導電材や多孔質材を充填し、これ
らを突起部内に存在する多孔質導電材や多孔質材と接触
させて、多硫化ナトリウムの表面張力による吸い上げ効
果を利用することも可能である。
【0060】さらに、本発明の構造においては、固体電
解質袋管1の周囲に存在する多孔質導電材12の内で固
体電解質袋管1に隣接した部分は正極容器3の側面下側
とは比較的離れた位置に存在し、また、多硫化ナトリウ
ムは硫黄よりも比重が大きくて正極室5内の液相の下側
に溜まるため、多孔質導電材12の外面に沿った正極室
5内の空間で多硫化ナトリウムの液相が存在する部分は
少なくなり、多孔質導電材12の外面に沿った正極室5
内の空間の大半には硫黄やガスが存在したり、真空とな
ったりする。
【0061】この結果、放電時に多孔質導電材12内で
生成した多硫化ナトリウムが集電体11の外側の正極室
5内の空間へ容易に放出されて、放電が円滑に進行し、
電池の放電容量が向上する。
【0062】このように、本発明の構造によれば、充放
電特性に優れた高効率、大容量の電池が実現する。
【0063】なお、上記放電容量を特に向上させるため
には、横置きされた固体電解質袋管1の側面と正極容器
3との下側の間隙の体積が、上側の間隙の体積よりも大
きくなるように、図1に示された固体電解質袋管の中心
軸B−B’が、正極室5の中心部よりも上部に設けられ
ることが望ましい。
【0064】こうすることによって、固体電解質袋管1
の中心軸B−B’よりも下側の正極室内体積が大きくな
って、電池の放電が容易になり、放電容量が向上する。
【0065】即ち、この構造により、ナトリウムイオン
と反応して生成した多硫化ナトリウムが正極室5内の空
間へ放出された際の、多硫化ナトリウムの液面高さが固
体電解質袋管1に沿って設けられた多孔質導電材12の
高さに比べて比較的低くなる。この結果として、多硫化
ナトリウムが所定量生成した際の、正極室5内に多硫化
ナトリウムが存在する空間に沿った多孔質導電材12の
外面の面積が比較的小さくなる。
【0066】一方、正極室5内に硫黄やガスが存在した
り、真空になったりした部分の多孔質導電材12の外面
の面積が比較的大きくなって、ナトリウム硫黄電池の放
電が円滑に進んで、電池容量や電池効率が高くできると
云う利点がある。
【0067】なお、このように多孔質導電材12が正極
室5内の比較的上部に設けられている場合には、正極活
物質14である硫黄が上部の多孔質導電材12にも供給
されて放電が円滑に進むようにするために、正極室5内
に含まれる窒素ガスやアルゴンなどの不活性ガスの圧力
を運転温度における硫黄の蒸気圧以下にするか、好まし
くは正極室5内を真空引きすることが望ましい。こうす
ることによって、硫黄は液体として多孔質導電材12と
接触して供給されると共に、硫黄ガスとしても多孔質導
電材12内へ供給され、放電が円滑に進行して、電池効
率向上や電池容量向上が可能となる。
【0068】さらに、図1の構造においては、正極室5
内に集電体11を設けると共に、正極容器3の側面を直
方体形状としている。
【0069】このように、集電体11を設けた場合に
は、正極容器3の断面形状が変わっても電池の抵抗は殆
ど変化しないため、固体電解質袋管1を水平方向や斜め
方向に寝かせた場合に、電池の外側に存在する正極容器
3の上下面又は/及び側面を平行平面形状にしたり、望
ましくは、図1のA−A’断面のように上下面と共に側
面を平行平面形状、即ち、正極容器3の断面を正方形や
長方形形状にすることができる。
【0070】ここで、正極容器3の上下面を平行平面形
状、即ち水平形状にすることにより、電池を横置きした
際に設置した電池が移動しにくくなって姿勢の安定性が
向上すると共に、モジュールを構成する保温容器内へ複
数個のナトリウム硫黄電池を収納する際に、上下に積層
した電池間の間隔や保温容器と電池との上下方向の間隔
が小さくでき、電池の充填密度が向上して、モジュール
のエネルギー密度が増大する利点がある。また、正極容
器3の側面を平行平面形状にすることにより、保温容器
内に収納した電池間の横方向の間隔や保温容器と電池と
の横方向の間隔が小さくできて、モジュールのエネルギ
ー密度が向上する。
【0071】なお、モジュールのエネルギー密度を特に
向上するためには正極容器3の断面を正方形や長方形形
状にすることが望ましく、こうすることによって、上下
方向及び横方向の電池間の間隔や保温容器との間隔を小
さくできる。
【0072】また、横置きした固体電解質袋管1の機械
的信頼性を向上するためには、図示していないが、集電
体11に設けた突起部110の先端部を正極容器3と接
触、接合又は一体化することが望ましい。こうすること
により、水平置きや斜め置きした際に固体電解質袋管1
に加わるモーメントなどの荷重が多孔質導電材12や多
孔質材13を介して集電体11で支持されて、ナトリウ
ム硫黄電池の機械的信頼性が向上する。また、集電体1
1の側面上側即ち図1の径方向上側と正極容器3とを接
合又は一体化することによっても、固体電解質袋管1を
横置きした時の荷重を支持することができる。
【0073】さらに、地震や運搬時の振動、あるいは運
搬時の衝突事故などによって電池に大きな加速度が加わ
った場合にも、多孔質導電材12や多孔質材13がクッ
ションの役目をするために、固体電解質袋管1が故障す
ることは無く、ナトリウム硫黄電池の機械的信頼性を特
に高めることができる。また、このためには、集電体1
1の側面上側の一部又は全部に突起部を設けて、この部
分を正極容器3と接合又は一体化することもできる。
【0074】なお、同様な効果は集電体11を設けず
に、固体電解質袋管1と正極容器3との間に多孔質導電
材や多孔質材を充填して電池を横置きした際にもある程
度実現できるが、本発明においては集電体11が設けら
れているために、同じ電池容量であっても固体電解質袋
管1に近接した多孔質導電材12や多孔質材13の厚さ
が比較的薄くでき、固体電解質袋管1を支持し易くなっ
たり、逆に多孔質導電材12や多孔質材13の厚さが同
じ場合には電池容量が大きくでき、その結果としてナト
リウム硫黄電池の機械的信頼性向上と電池容量向上との
両立が可能になると云う利点がある。
【0075】さらに、正極容器3の機械的強度を向上す
るためには、図示していないが、正方形や長方形形状の
正極容器3の断面角部をR形状にしたり、上下面を平行
平面形状、側面を半円形状や半楕円形状にして、角部へ
の応力集中を避けることが望ましい。
【0076】ここで、正極容器3にアルミニウムやアル
ミニウム合金を用いる場合、平面形状の上下面や側面が
内外圧の差によって、クリープ変形する可能性がある。
この問題を避けるためには、集電体11の突起部110
の先端部と共に集電体の側面上側を正極容器3と接触、
接合又は一体化することにより、正極容器の変形を防止
することが望ましい。
【0077】また、場合によっては、集電体11の側面
横側即ち図1の径方向横側を正極容器と接触させたり、
側面上側や横側にも突起部を設けて、この突起部の先端
を正極容器と接触、接合又は一体化することもできる。
なお、上記のように、集電体11の側面上側や横側又は
突起部の先端部を正極容器3と接合したり、一体化した
場合には、集電体11の端部を正極容器3と接合しなく
ても良く、この場合にも集電体11を通じての電気伝導
が可能となる。
【0078】さらに、図示していないが、正極容器3や
負極容器2の断面形状を楕円形や円形にすることによ
り、大気圧と電池容器内部の圧力との差による正極容器
3や負極容器2に加わる応力が低減できて、クリープ変
形防止が容易になる。
【0079】〔実施例 2〕図2は、本実施例のナトリ
ウム硫黄電池の構造を示す断面図である。図1と同じ符
号で記載されたものは同じ部品を示している。
【0080】図2においても、固体電解質袋管1は水平
方向又は斜め方向に寝かせて配置されると共に、固体電
解質袋管1の内側に負極室4が、外側に正極室5が設け
られ、固体電解質袋管1の外側側面に沿って集電体11
が設けられて、固体電解質袋管1の側面と集電体11と
の間に、多孔質導電材12や多孔質材13が設置されて
いる。そのため、図1と同様に電池の大型化と効率向上
との両立が可能である。
【0081】図2においては、正極容器3はAl合金製
で、その側面は円筒形状であり、正極容器3の外側にS
US製や鉄合金製の円筒容器302を設けて、正極容器
3の変形を防止している。
【0082】また、この構造においては、正極室5内の
固体電解質袋管1の側面と集電体11との間に、多孔質
導電材12と多孔質材13とを設けると共に、多孔質導
電材12として、炭素繊維や炭素粒子から成る炭素マッ
トなどを固体電解質袋管1の軸方向に積層した積層体を
用い、積層体を構成する炭素マット同志の間にセラミッ
クスやガラスなどの繊維や粉末から成るマット状の多孔
質材131を充填している。
【0083】この多孔質材131は多孔質材13と同様
に、正極活物質14を構成する多硫化ナトリウムに濡れ
易い性質を有し、こうすることによって、電池を寝かせ
た際の上下方向の正極活物質14の移動が促進され、鉛
直方向に濃度分布や組成分布が付きにくくなり、電池効
率が向上すると共に、正極活物質14が電池反応に寄与
し易くなって、電池容量が向上すると云う利点がある。
【0084】なお、このためには、多孔質材131が多
孔質材13と接触すると共に、多孔質材13の表面から
集電体11の表面まで延びて設置されることが望まし
い。さらに、多孔質材131の代りに、貫通部を設けた
金属板,セラミックス板又はポリマー板を充填して、多
孔質導電材12を構成する積層した炭素繊維マット同士
の間に、実質的に空隙を設けることもでき、こうするこ
とによっても、正極活物質14の上下方向の移動が促進
できる。
【0085】ここで、固体電解質袋管1を水平方向や斜
め方向に寝かせると共に、固体電解質袋管1の中心軸B
−B’が正極容器3の中央部よりも上部に位置するよう
に配置することで、固体電解質袋管1の側面下側と正極
容器3との間隙の体積を、固体電解質袋管1の側面上側
と正極容器3との間隙の体積よりも大きくしている。
【0086】この結果、図1でも述べたように、放電時
に多孔質導電材12内部に生成した多硫化ナトリウム
が、集電体11の外側の正極室内の空間へ移動し易くな
り、ナトリウム硫黄電池の放電特性が改善されて、放電
容量が向上する。
【0087】また、固体電解質袋管1の軸方向端部の多
孔質導電材12’や多孔質材13’を集電体11より外
側まで延ばしたり、集電体11の固体電解質袋管1に沿
った側面下側と正極容器3との間隙の一部に、多孔質材
13と同様の材料から成る多孔質材130を設けてもよ
い。これにより充電が進行しても、正極室内の下側に存
在する多硫化ナトリウムが吸い上げられて、固体電解質
袋管1近傍に供給され、電池の充電特性が向上して、電
池の充電容量が向上すると云う利点も得られる。
【0088】なお、図示していないが、充電特性向上の
ためには、多孔質材13’のみを固体電解質袋管1の側
面の径方向下側に伸ばしても良いし、集電体11の側面
下側と正極容器5との間隙の一部又は全体に、多孔質材
130と共に多孔質導電材を設けることもでき、多孔質
材130のみを設置したり、多孔質材130と多孔質導
電材とを混合して設置してもよい。さらに、多孔質材1
3’と多孔質材130との片方又は両方を設けることも
できる。
【0089】なお、正極活物質14の移動を促進して充
放電特性を向上するためには、集電体11の側面下側、
即ち、径方向下側に設けた多孔質材130や多孔質導電
材を、多孔質材131や多孔質導電材12と、きちんと
接触させることが望ましい。また、多孔質材130等を
設置する代りに、多孔質材131や多孔質導電材12を
集電体11の側面下側と正極容器3との間隙まで延長し
て設けることもできる。
【0090】このように、固体電解質袋管1の側面下側
と正極容器3との間隙や、集電体11の側面下側と正極
容器3との間隙の一部又は全部に、多孔質材13’又は
/及び多孔質材130、あるいは、多孔質導電材12’
などを設ける。これにより、充電時に正極室5内の空間
の下側に溜まった正極活物質14が、これらの多孔質材
や多孔質導電材と接触して吸い上げられ、多孔質導電材
12や多孔質材13に含浸されたり、固体電解質袋管1
の表面に供給されて電池反応に寄与することにより、充
電容量が向上して、ナトリウム硫黄電池の大容量化が可
能となる。
【0091】また、集電体11の外側や、集電体11と
正極容器3との間隙に設けた多孔質導電材や多孔質材の
性質としては表面張力が大切で、電気伝導性などについ
ては制限が無い。例えば、炭素繊維を用いる場合には炭
素化の熱処理温度を低くしたり、炭素繊維として短繊維
の集合体を用いるなどの方法により、材料のコストダウ
ンを図ることが可能である。
【0092】また、その充填密度としては、固体電解質
袋管1の側面と集電体11との間に充填された多孔質導
電材12や多孔質材13の充填密度と同じか、あるいは
大きくすることもできるが、正極活物質14の固体電解
質袋管1の近傍への移動性を考慮すると、充填密度は比
較的小さいほうが望ましい。
【0093】さらに、集電体11と正極容器3との間隙
の全部又は側面下側の間隙の全部に多孔質導電材や多孔
質材を充填するよりも、集電体11の側面下側と正極容
器3との間隙の一部に多孔質導電材や多孔質材を充填す
る方が、充填材料が少なくて済むこと、正極室5内の空
隙が広がって正極活物質14の充填量が多くでき、電池
容量増大が容易になること、放電時に生成した多硫化ナ
トリウムが集電体11の側面下側と正極容器3との間隙
へ移動すること等によって、放電時の電気化学反応が円
滑に進み易くなり放電抵抗が低減すること等の理由から
好ましい。
【0094】また、集電体11に貫通部15を設ける代
わりに、集電体11の横方向端部と正極容器3や絶縁リ
ング6との間隙を通して正極活物質14を移動させる場
合には、図2のように、多孔質導電材12’の一部や多
孔質材13’の一部を、集電体11よりも外側まで延ば
すことが望ましい。
【0095】また、図2においては、固体電解質袋管1
の側面と集電体11の側面下側との間隔を、側面上側や
横側の間隔よりも大きくすることによって、多孔質導電
材12の固体電解質袋管1に沿った径方向下側の厚さ
を、径方向上側又は/及び径方向横側の厚さよりも大き
くしているが、径方向下側の厚さを、上側や横側と同じ
にすることもできる。但し、多孔質導電材12の径方向
下側の厚さを大きくすることにより、正極室の下側に存
在する多硫化ナトリウムが多孔質導電材12と接触し易
くなって、充電特性が向上できる。
【0096】さらに、図2の構造においては、ナトリウ
ム硫黄電池の放電特性の向上も可能となる。即ち、ナト
リウム硫黄電池においては、放電によって生成する多硫
化ナトリウムの比重が硫黄よりも大きい。そのため、放
電の進行に伴って多硫化ナトリウムが多孔質導電材12
内の鉛直方向下側に垂れ下がり、逆に硫黄が上側に上っ
て、正極活物質14に濃度分布を生じ、その結果、内部
起電力分布に基づく循環電流によって、効率が低下し易
くなる傾向がある。
【0097】これに対して、固体電解質袋管1を横向き
にした際の側面下側と集電体11の側面との間に存在す
る多孔質導電材12、即ち、炭素繊維集合体や炭素粉末
集合体の径方向下側の厚さを、上側又は/及び横側より
も大きくする。これにより、炭素と硫黄とが濡れ易いた
めに、下側の炭素繊維集合体や炭素粉末集合体の体積が
大きい分、含浸される下側の硫黄の量が、上側又は/及
び横側よりも多くなる。
【0098】この結果、硫黄よりも比重の大きい多硫化
ナトリウムが、放電の際に生成して重力で鉛直方向下側
へ移動したとしても、炭素繊維集合体や炭素粉末集合体
内に含まれる硫黄と多硫化ナトリウムとの含有量の比に
上下差が付きにくくなり、正極室5内の鉛直方向の起電
力分布の発生を抑えて、電池効率を高く保つことができ
る。
【0099】なお、この場合、放電の初期では下側の硫
黄の含有量比率が比較的大きくなるが、ナトリウム硫黄
電池においては、正極活物質14中に硫黄が存在してい
る間は起電力は一定である。一方、正極活物質14が全
て多硫化ナトリウムになった後は、放電が進んでも反応
生成物の比重は殆ど変化しない。
【0100】このため、放電中に硫黄と多硫化ナトリウ
ムが上下に移動することを考慮して、放電時に多孔質導
電材12内でほぼ同時に硫黄が全て消費されて多硫化ナ
トリウムに変化するように、上→横→下に進むに従って
多孔質導電材12の径方向の厚さが順次厚くなるように
制御することが特に望ましい。この構造により、放電時
の正極室5内の起電力分布発生を抑え、電池効率を特に
向上できる。即ち、多孔質導電体12の径方向下側の厚
さが、上側又は横側よりも厚ければ、その結果、放電時
の多孔質導電材内の正極活物質14の組成が均一化さ
れ、電池効率向上の効果が得られる。
【0101】また、図2においては正極容器3が円筒形
状、即ち、断面が円形形状のために、正極容器5の昇降
温時の熱応力に対する機械的強度が大きく、電池の信頼
性が高いと云う利点がある。特に、正極容器3をアルミ
ニウムやアルミニウム合金製とした場合には、電池の昇
降温時の熱応力によって正極容器3がクリープ変形し易
いと云う問題があるが、正極容器3を円筒形状にするこ
とによって、正極容器3に加わる応力が低減し、変形防
止が容易となる。また、このためには、図2で示すよう
に、正極容器3の外側にSUSや炭素鋼などの円筒容器
302を設けることが特に望ましい。
【0102】なお、図示していないが、正極容器3の断
面を楕円形状にすることも可能であり、これによって
も、図1に示した断面が正方形や長方形の形状の正極容
器3に比べて、機械的信頼性が確保できる。
【0103】一方、図1のように正極容器3が直方体形
状、即ち、正極容器3の上下面又は/及び側面を平行平
面形状にした場合には、断面形状の角部をR形状にした
り、上下面を平行平面形状、側面を円形形状や楕円形状
にして、角部への応力集中を避けることが望ましい。
【0104】また、正極容器3をアルミニウム製やアル
ミニウム合金製とした場合のクリープを低減するために
は、正極室5内の正極活物質14の蒸気圧と不活性ガス
などのガス圧との和が、運転時に外部の空気圧とほぼ一
致するように制御すること、正極容器3としてアルミニ
ウムとSUSなどとのクラッド材を用いること、正極室
5内のガス圧が高い場合には正極容器3の外側に補強材
を、ガス圧が低い場合には正極容器3の内側にSUSや
耐食層を設けた炭素鋼やアルミニウム合金などの補強材
を設置して、正極容器3の変形を防止することもでき
る。
【0105】さらに、図1、図2に示した本発明のナト
リウム硫黄電池の構造においては、正極の抵抗は、主に
集電体11と多孔質導電材12及び多孔質材13や13
1で決まり、正極容器3の容積は電池抵抗にあまり関係
しない。そのために、固体電解質袋管1の側面と集電体
11との間隙を小さくすることによって、多孔質導電材
12の径方向の抵抗が小さくでき、電池効率が向上する
と共に、集電体11と正極容器3との間隙を広げて正極
室内の容積を大きくすることにより、電池の大容量化が
達成される。
【0106】即ち、これらの結果、電池抵抗を低く保ち
ながら、構成部品をあまり増やすこと無く電池の大容量
化が可能となり、低コスト化が容易に実現でき、実用性
の高い大容量電池が得られる。
【0107】また、固体電解質袋管1の長さを直径より
も大きくすることにより、固体電解質袋管1の内容積と
表面積との比を比較的小さくすることができる。
【0108】この結果、直径が長さと同程度又は直径の
方が大きい固体電解質袋管1を用いた場合に比べて、所
定時間内に運転する際の固体電解質袋管1の表面積当り
の電流密度を小さくすることができる。その結果として
電流×抵抗で与えられる電圧変化が小さくなって、電池
効率を大きくできると云う利点がある。
【0109】なお、この効果は単電池を大型化するため
に、固体電解質袋管1の長さを大きくした場合に特に顕
著で、本構造により、電池の大型化、即ち、大容量化と
効率向上との両立が可能となる。
【0110】〔実施例 3〕図3は本実施例のナトリウ
ム硫黄電池の構造を示す断面図である。図1,図2と同
じ符号で記載されたものは同じ部品を示している。
【0111】図3においても、固体電解質袋管1は水平
方向又は斜め方向に寝かせて配置されると共に、固体電
解質袋管1の内側に負極室4が、外側に正極室5が設け
られる。さらに、固体電解質袋管1の側面に沿って集電
体11が設けられ、固体電解質袋管1の側面と集電体1
1との間に、多孔質導電材12や多孔質材13が設置さ
れている。
【0112】図3の正極容器3の断面は楕円形状であ
り、断面の短軸方向、即ち、楕円形状の短径方向が上下
方向、例えば、鉛直方向になるように、固体電解質袋管
1が横置きされている。
【0113】このため、集電体11の側面下側と正極容
器3の側面との間隔が小さくなり、正極室5内の下側に
溜まった正極活物質14の一部である多硫化ナトリウム
が、多孔質導電材12や多孔質材13と接触し易くなっ
て、充電特性が向上する。なお、図示していないが、集
電体の側面下側を正極容器3と接触させたり接合させて
充電特性を特に向上したり、固体電解質袋管1の機械的
信頼性を向上させることも可能である。
【0114】また、正極容器3の断面横方向が長軸方
向、即ち、楕円の長径方向となっているために、正極室
5内の横方向の体積が大きく、放電が進んで正極活物質
14の一部である多硫化ナトリウムの体積が増加して
も、液面高さは小さくなって、図1で示された固体電解
質袋管1の側面と正極容器3の側面下側との間隙の体積
を、上側の間隙の体積よりも大きくした構造の場合と同
様に、正極室5内の多硫化ナトリウム液面と接触する多
孔質導電材12の面積は小さく保たれて、多孔質導電材
12中で生成した多硫化ナトリウムが容易に正極室5内
の空間に放出され、放電特性が向上する。
【0115】さらに、正極容器3の断面を楕円形状にす
ることにより、図1に示した直方体形状に比べてクリー
プ変形が起こりにくく、機械的信頼性が高いと云う利点
がある。
【0116】また、図3の構造においては、固体電解質
袋管1の側面と正極容器3の側面との下側の間隙が、上
側の間隙と同じ場合のみでなく、図示していないが上側
の間隙よりも大きい場合や小さい場合でも良い。
【0117】これらの場合でも、正極容器3の断面積が
一定であれば、図1や図2に示したように、正極容器3
の断面形状が円形や正方形の場合に比べて、集電体11
の側面下側と正極容器3の側面との間隙の体積を比較的
小さくできると共に、正極容器3の横方向の体積が比較
的大きくでき、充放電特性の向上による電池容量の拡大
が可能である。
【0118】〔実施例 4〕図4は本実施例によるナト
リウム硫黄電池の構造の一例を示す断面図である。
【0119】固体電解質袋管1の軸方向に垂直な正極容
器3の断面構造を円形形状や、図示していないが長方形
形状又は楕円形状にして、正極容器3の軸方向の長さを
固体電解質袋管1の長さよりも十分長くしている。
【0120】こうすることにより、電池を横置きした場
合に正極室5内の横方向の体積が大きくなって、放電が
進んで正極活物質14の一部である多硫化ナトリウムの
体積が増加しても、液面高さは比較的小さくなって、正
極室5内の多硫化ナトリウム液面と接触する多孔質導電
材12の面積は小さく保たれ、放電特性が向上する。
【0121】この効果は、固体電解質袋管1の側面と正
極容器3の側面との下側の間隙の体積が、上側の間隙の
体積よりも大きい場合のみでなく、上側の間隙の体積と
同じか、又は、小さい場合にも実現される。
【0122】なお、この構造では、固体電解質袋管1の
底部より軸方向外側の正極室51の体積が、集電体11
の固体電解質袋管1に沿った側面と正極容器3の側面と
の下側の間隙52、即ち、固体電解質袋管1の中心軸B
−B’より下側の間隙の体積以上であることが望まし
い。こうすることによって、固体電解質袋管1の底部よ
り軸方向外側の正極室5内の体積が小さい場合に比べ
て、多硫化ナトリウムの液面高さは約1/2以下にな
り、放電特性は特に向上する。
【0123】ここで、固体電解質袋管1の側面と正極容
器3の側面との下側の間隙の体積が、上側の間隙の体積
よりも小さい場合には、充電時に多硫化ナトリウムが多
孔質導電材12や多孔質材13と接触し易くなって、充
電特性も向上し、電池容量が特に向上する。
【0124】さらに、図4のように、正極容器3が円筒
形状の場合には昇降温時の熱応力に対する機械的強度が
大きいと共に、正極容器3のクリープ変形が起こりにく
くなり、電池の信頼性が高いと云う利点がある。
【0125】また、電池特性を向上させるためには、電
池の内部抵抗をできるだけ小さくすることが望ましい。
このためには集電体11に、AlやAl合金又はAl合
金とSUSなどのクラッド材を用いることが望ましい
が、この場合には集電体11と接合又は一体化される正
極容器3にもAl,Al合金やクラッド材を用いること
が望ましい。
【0126】ここで、正極容器3をAl以外の金属製と
した場合には、集電体11との接合や一体化が極めて困
難となったり、正極容器の電気抵抗が増加したり、多硫
化ナトリウムや硫黄により腐食したりすると云った欠点
がある。
【0127】このように、正極容器3としてAlやAl
合金を用いる場合、ナトリウム硫黄電池では運転温度が
約330℃と比較的高いため、外部空気圧と内部圧力と
の差圧によって、正極容器3の断面長軸方向が曲げクリ
ープ変形する問題がある。
【0128】なお、このクリープ変形を防止する方法と
しては、正極室5内の運転時の圧力を大気圧にほぼ等し
くすることも考えられるが、運転停止時に電池温度を降
温する場合もあり、この場合には正極室5内の圧力が大
気圧以下となるために、この方法だけでクリープを完全
に防止することはできない。
【0129】このクリープ変形の問題に対処するため
に、図3においては、正極容器の断面構造を楕円形状と
して、直方体形状に比べて差圧の影響を小さくすると共
に、正極容器3の内部の短軸方向上下に支持板31を設
けて、正極容器3の断面の長軸方向の変形を防止するこ
とで、電池の信頼性を高めている。
【0130】なお、この構造で電池容量を確保するため
には、正極室5内に存在する正極活物質14が、図3に
示された支持板31の外側と内側との間を移動する必要
がある。このためには、図示していないが、支持板31
に貫通部を設けたり、支持板31の横方向(固体電解質
袋管1の軸方向)端部と正極容器3との間などの正極室
5内に空隙部を設けて、支持板31の外側と内側との間
の正極活物質14の移動を可能にする必要がある。な
お、空隙部を支持板31の横方向端部と絶縁部材6との
間に設けることも可能である。
【0131】また、この貫通部や空隙部の孔面積として
は、支持板31の面積の5〜50%の範囲であることが
望ましい。この面積が小さ過ぎると正極活物質14の移
動が阻害されて電池容量が低下し易くなる。一方、面積
が大き過ぎると支持板の強度が低下して、正極容器3の
クリープ変形が起こり易くなると云う問題が発生する。
【0132】ここで、支持板31としてAlやAl合金
を用いることにより、正極容器と一体化して押し出し成
形することが可能であり、電池の製造工程が簡略化され
ると云う利点がある。
【0133】一方、図示していないが、正極容器3の内
部に凹部を設けて、別に作成した支持板31をこの凹部
に嵌め込んで、正極容器3のクリープ変形を防止するこ
とも可能である。こうすることにより、支持板31への
貫通部の作成が容易になると云う利点がある。
【0134】さらに、正極容器3の重量を比較的小さく
保ちながらクリープ変形を防止するためには、図3に示
すように、正極容器3の短径部32近傍(長軸方向)の
肉厚を長径部33近傍(短軸方向)の肉厚よりも大きく
することが有効である。こうすることによって、例え
ば、短径部32近傍の肉厚を約5〜10mm程度とすれ
ば、長径部33近傍の肉厚が2〜4mm程度であって
も、正極容器3のクリープ変形を防止して、電池の信頼
性を特に高めることができる。
【0135】即ち、正極容器3の長軸方向の肉厚を短軸
方向の肉厚よりも大きくすることによって、比較的変形
し易い長軸方向の変形を抑えることができる。ここで、
正極容器3としてAl合金を用いる場合には、正極容器
3と支持板31とを一体化して押し出し成形することが
可能であり、正極容器3の量産性が高いと云う利点もあ
る。
【0136】また、図示していないが、負極容器2とし
てAlやAl合金を用いる場合にもクリープ変形の問題
があるが、この場合には、ナトリウム容器8をSUSな
どの比較的高温強度の大きい金属製とし、運転温度での
負極室4内の圧力を大気圧と同じかそれ以下にし、負極
容器2の変形をナトリウム容器8で抑えることが可能で
ある。なお、このためには、ナトリウム容器8の肉厚を
比較的厚くしたり、側面に凹部や凸部を設けたりして、
ナトリウム容器8の変形強度を高めることが望ましい。
【0137】また、図2に見られるように、ナトリウム
容器8に設けた貫通孔10の近傍に負極容器2が設けら
れている構造では、図示していないが、貫通孔10に隣
接してナトリウム容器8に凸部を設ける。その結果、負
極容器2が内側へ変形してナトリウム容器8と接触した
場合にも、上記凸部によって貫通孔10の封止を防止す
ることが可能である。
【0138】さらに、図示していないが、図3の正極容
器3の下部外面を平板状にすることも可能である。こう
することによって、横置き設置した電池が移動しにくく
なって、姿勢の安定性が向上すると云う利点が得られ
る。
【0139】また、正極容器3の下部外面と共に、上部
外面を平板状にすることも可能である。こうすることに
よって、モジュールを構成する保温容器内へ複数個のナ
トリウム硫黄電池を収納する際に、上下に積層した電池
間の間隔や保温容器と電池との上下方向の間隔が小さく
でき、電池の充填密度が向上して、モジュールのエネル
ギー密度が増大する利点がある。
【0140】一方、図示していないが、正極容器3の断
面を長方形形状とし、断面の短軸方向が上下方向となる
ように電池を寝かせて配置することにより、図1や図3
で述べたと同様に、単電池を複数個収納したモジュール
のエネルギー密度が向上したり、電池の充放電特性が向
上する。但し、この場合には正極容器3のクリープ変形
が特に起こり易く、これを防止するために、図3と同様
に断面の短軸方向上下に支持板31を設けることが必要
である。
【0141】また、場合によっては、支持板31の断面
形状をT型形状などに形成し、断面の長軸方向にも支持
板を設けると良い。さらに、正極容器3の長軸方向の肉
厚を短軸方向の肉厚よりも大きくすることが望ましく、
こうすることによって比較的変形し易い長軸方向の変形
を抑えることができる。
【0142】さらに、長方形形状の正極容器3としてA
lやAl合金を用いる場合には、正極容器3の肉厚を厚
くすると共に、特に断面長軸方向の肉厚を短軸方向より
も厚くして、クリープに対する変形を防止するか、SU
Sなどとのクラッド材を用いたり、図2に示した円筒容
器302などに類似の長方形形状の容器で正極容器3の
変形を防止することが望ましい。なお、正極容器3とし
てAl合金を用いる場合には、図3で説明した場合と同
様に、正極容器3と支持板31とを一体化して押し出し
成形することが可能である。また、正極容器3の内部に
凹部を設けて、この凹部に支持板31を嵌めこむことも
可能である。
【0143】具体例としては、図1に示すように、固体
電解質袋管1としてリチウムドープのβ”アルミナ焼結
体からなる外径約60mm×長さ約1000mm×肉厚
約1.5mmの円筒状袋管を用いた。
【0144】また、負極容器2,正極容器3の材料には
Al合金とSUSとのクラッド材、ナトリウム容器8の
材料にはSUS、集電体11には貫通部15を設けたA
l合金の胴部表面にクロムをメッキ又は鉄/クロム合
金、ステライト−6やステライト−6Bを溶射したもの
を用いた。
【0145】なお、集電体11の断面形状は、円形の下
部に四角形の突起部110が設けられた構造であり、図
示していないが突起部110を正極容器3の側面と密着
すると共に、集電体11の横方向端部を直方体形状の正
極容器3の底部と接続した。
【0146】一方、絶縁部材6としてはαアルミナ焼結
体リングを用い、固体電解質袋管1の開口部とガラス接
合した後、焼結体リングの表面に負極容器2、正極容器
3の端部を配置し、Al−Si系の合金箔を用いて、負
極容器2、正極容器3の端部と絶縁部材6とを熱圧接し
た。
【0147】次に、ナトリウム容器8内にナトリウム7
と約0.01MPaのArから成る不活性ガス9を充填
して封止し、このガス圧でナトリウム7がナトリウム容
器8の側面に設けた貫通孔10を通って、固体電解質袋
管1の内表面を覆うようにした。
【0148】また、固体電解質袋管1の側面と集電体1
1の側面との間には、径方向の厚さが約9mmのリング
状のPAN系炭素繊維マットから成る多孔質導電材12
を積層して充填すると共に、アルミナ繊維集合体から成
る厚さ約0.3mmの多孔質材13を充填し、この多孔
質材13と多孔質導電材12とを突起部110の下側、
即ち、先端部まで伸ばして配置した。最後に、正極室5
内に正極活物質14として硫黄を含浸し、正極容器3を
封止してナトリウム硫黄電池を作製した。
【0149】なお、この構造においては、ナトリウム容
器8に設けた貫通孔10と、集電体11に設けた突起部
110が下側になるような向きで電池を水平に寝かせ、
固体電解質袋管1の中心軸B−B’を正極室5の中心部
よりも上側に設けて、固体電解質袋管1の側面と正極容
器5の側面との下側の間隔を、上側の間隔よりも大きく
している。
【0150】得られたナトリウム硫黄電池を水平に寝か
せて330℃で運転した結果、正極室5内の正極活物質
14の大部分が電池反応に関与するため、電池容量は約
2500Ahと大きく、かつ、内部抵抗は約1mΩと小
さくでき、大容量化と高効率化の両立が可能となった。
なお、この電池においては、集電体11を用いることに
よって、固体電解質袋管1を大きくすることなく、正極
容器3を大きくして電池の大容量化が可能なため、低コ
スト化に特に適している。
【0151】
【発明の効果】本発明によれば、ナトリウム硫黄電池の
大容量化と効率向上との両立が可能となり、電池の低コ
スト化が実現できる。また、本発明の望ましい実施態様
によれば、電池を構成する正極容器の機械的信頼性を向
上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のナトリウム硫黄電池の模式断面図で
ある。
【図2】実施例2のナトリウム硫黄電池の模式断面図で
ある。
【図3】実施例3のナトリウム硫黄電池の模式断面図で
ある。
【図4】実施例4のナトリウム硫黄電池の模式断面図で
ある。
【符号の説明】
1…固体電解質袋管、2…負極容器、3…正極容器、4
…負極室、5…正極室、6…絶縁部材、7…ナトリウ
ム、8…ナトリウム容器、9…不活性ガス、10…貫通
孔、11…集電体、12,12’…多孔質導電材、1
3,13’,130,131…多孔質材、14…正極活
物質、15…貫通部、31…支持板、32…短径部、3
3…長径部、110…突起部、302…円筒容器。
フロントページの続き (72)発明者 間所 学 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所原子力事業部内 (72)発明者 日下部 康次 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所原子力事業部内 (72)発明者 波東 久光 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所原子力事業部内 (72)発明者 小林 実 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所原子力事業部内 (72)発明者 菊地 賢三 茨城県日立市幸町三丁目2番1号 日立エ ンジニアリング株式会社内 (72)発明者 坂口 繁 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所原子力事業部内 (72)発明者 小松 清一 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所原子力事業部内 (72)発明者 佐渡 哲也 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所原子力事業部内 Fターム(参考) 5H029 AJ03 AK05 AL04 AM15 BJ02 DJ07 DJ09 DJ13 DJ14 HJ04 HJ07

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固体電解質袋管の内側に液体ナトリウム
    を収納した負極室を、前記固体電解質袋管の外側に硫黄
    又は/及び多硫化ナトリウムから成る正極活物質を収納
    した正極室を設け、前記正極室内に設けた集電体と前記
    固体電解質袋管の側面との間隙に多孔質導電材又は/及
    び多孔質材を充填して、前記固体電解質袋管を水平方向
    又は斜め方向に寝かせたナトリウム硫黄電池であって、 前記集電体が前記固体電解質袋管に沿った側面下側の一
    部又は全部に突起部を設けた断面構造を有し、該突起部
    内にも前記多孔質導電材又は/及び前記多孔質材が充填
    されていることを特徴とするナトリウム硫黄電池。
  2. 【請求項2】 前記多孔質導電材の一部又は/及び前記
    多孔質材の一部が、前記固体電解質袋管の側面近傍から
    前記突起部の先端部に向かって連続して設けられている
    請求項1に記載のナトリウム硫黄電池。
  3. 【請求項3】 前記突起部の先端部又は/及び前記集電
    体の側面上側の一部又は全部が、前記正極室を構成する
    正極容器と接触,接合又は一体化されている請求項1又
    は2に記載のナトリウム硫黄電池。
  4. 【請求項4】 固体電解質袋管の内側に液体ナトリウム
    を収納した負極室を、前記固体電解質袋管の外側に硫黄
    又は/及び多硫化ナトリウムから成る正極活物質を収納
    した正極室を設け、前記正極室内に設けた集電体と前記
    固体電解質袋管の側面との間隙に多孔質導電材又は/及
    び多孔質材を充填して、前記固体電解質袋管を水平方向
    又は斜め方向に寝かせたナトリウム硫黄電池であって、 前記固体電解質袋管の側面下側と前記正極室を構成する
    正極容器との間隙の体積が、前記固体電解質袋管の側面
    上側と前記正極室を構成する正極容器との間隙の体積よ
    りも大きいことを特徴とするナトリウム硫黄電池。
  5. 【請求項5】 前記集電体が前記固体電解質袋管に沿っ
    た側面下側の一部又は全部に突起部を設けた断面構造を
    有し、該突起部内にも前記多孔質導電材又は/及び前記
    多孔質材が充填されている請求項4に記載のナトリウム
    硫黄電池。
  6. 【請求項6】 前記多孔質導電材の一部又は/及び前記
    多孔質材の一部が、前記固体電解質袋管の側面近傍から
    前記突起部の先端部に向かって連続して設けられている
    請求項5に記載のナトリウム硫黄電池。
  7. 【請求項7】 固体電解質袋管の内側に液体ナトリウム
    を収納した負極室を、前記固体電解質袋管の外側に硫黄
    又は/及び多硫化ナトリウムから成る正極活物質を収納
    した正極室を設け、前記正極室内に設けた集電体と前記
    固体電解質袋管の側面との間隙に多孔質導電材又は/及
    び多孔質材を充填したナトリウム硫黄電池であって、 前記正極室を構成する正極容器の断面を楕円形状とし
    て、前記楕円形状の短径方向が上下方向になるように、
    固体電解質袋管を水平方向又は斜め方向に寝かせたこと
    を特徴とするナトリウム硫黄電池。
  8. 【請求項8】 固体電解質袋管の内側に液体ナトリウム
    を収納した負極室を、前記固体電解質袋管の外側に硫黄
    又は/及び多硫化ナトリウムから成る正極活物質を収納
    した正極室を設け、前記正極室内に設けた集電体と前記
    固体電解質袋管の側面との間隙に多孔質導電材又は/及
    び多孔質材を充填して、前記固体電解質袋管を水平方向
    又は斜め方向に寝かせたナトリウム硫黄電池であって、 前記固体電解質袋管の底部より軸方向外側の正極室内の
    体積が、前記集電体の前記固体電解質袋管に沿った側面
    と前記正極室を構成する正極容器の側面との下側の間隙
    の体積以上であることを特徴とするナトリウム硫黄電
    池。
  9. 【請求項9】 前記集電体の側面下側又は前記固体電解
    質袋管の側面下側と前記正極室を構成する正極容器との
    間隙に、多孔質導電材又は/及び多孔質材が設けられて
    いる請求項1,4,7又は8に記載のナトリウム硫黄電
    池。
  10. 【請求項10】 固体電解質袋管の内側に液体ナトリウ
    ムを収納した負極室を、前記固体電解質袋管の外側に硫
    黄又は/及び多硫化ナトリウムから成る正極活物質を収
    納した正極室を設け、前記正極室内に設けた集電体と前
    記固体電解質袋管の側面との間隙に多孔質導電材又は/
    及び多孔質材を充填したナトリウム硫黄電池であって、 前記正極室を構成する正極容器の断面形状が楕円形状又
    は長方形形状であり、前記断面形状の短軸方向が上下方
    向となるように、前記固体電解質袋管を水平方向又は斜
    め方向に寝かせ、前記正極容器内部の短軸方向上下に支
    持板が設けられていることを特徴とするナトリウム硫黄
    電池。
  11. 【請求項11】 前記正極容器の長軸方向の肉厚が短軸
    方向の肉厚よりも大きいこと、あるいは、楕円形状の前
    記正極容器の短径部近傍の肉厚が長径部近傍の肉厚より
    も大きい請求項10に記載のナトリウム硫黄電池。
  12. 【請求項12】 前記支持板に貫通部が設けられている
    か、又は/及び、前記支持板の横方向端部と前記正極容
    器との間の正極室内に空隙部が設けられている請求項1
    0に記載のナトリウム硫黄電池。
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