JP2003068354A - ナトリウム二次電池 - Google Patents

ナトリウム二次電池

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JP2003068354A JP2001256372A JP2001256372A JP2003068354A JP 2003068354 A JP2003068354 A JP 2003068354A JP 2001256372 A JP2001256372 A JP 2001256372A JP 2001256372 A JP2001256372 A JP 2001256372A JP 2003068354 A JP2003068354 A JP 2003068354A
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間所  学
Hisamitsu Hato
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清一 小松
Tetsuya Sado
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Abstract

(57)【要約】 【課題】電力貯蔵装置や電気自動車などに用いるに好適
な、電池効率向上と大容量化との両立が可能なナトリウ
ム二次電池の提供。 【解決手段】液体ナトリウム7を収納した負極室4と、
正極活物質14を収納した正極室5と、前記負極室4、
正極室5間を分離した固体電解質袋管1とを含み、前記
正極室5内の前記固体電解質袋管1の側面と前記正極室
5を構成する正極容器3との間、あるいは、前記正極室
5内に設けた集電体11との間に、多孔質導電材12と
して炭素繊維マットを前記固体電解質袋管1の軸方向に
積重ねて設置し、前記固体電解質袋管1を水平方向また
は斜め方向に寝かせたことを特徴とするナトリウム二次
電池。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電力貯蔵装置や電
気自動車などに用いるに好適なナトリウム二次電池に関
する。
【0002】
【従来の技術】負極室内に液体ナトリウム、正極室内に
硫黄,多硫化ナトリウム,セレン,テルル,金属塩化物
などの正極活物質を充填し、負極室/正極室間をβ型や
β''型のベータアルミナセラミックス製の固体電解質袋
管で分離した構造のナトリウム二次電池は、長寿命でエ
ネルギー密度が大きいことから注目され、電力貯蔵装置
やハイブリッド自動車を含めた電気自動車などへの利用
が期待されている。
【0003】この電池の実用化には、電池の信頼性、安
全性の確保と共に低コスト化が不可欠であり、このため
には、電池が高出力運転できるように内部抵抗を低減し
て電池効率を向上したり、単電池を大型化してkWやk
Wh当たりの電池数を低減する必要がある。
【0004】しかし、従来の電池ではそのための対応が
不十分であった。なお、電池効率が低下すると電池出力
が低下するため、結果としてkWやkWh当たりの電池
必要数が増し、コストは高くなる。特に、低コスト化の
ためには、単電池を大型化して大容量化することが極め
て有効であるが、このためには固体電解質袋管の高さま
たは/および幅を増加させる必要がある。
【0005】しかし、一般に用いられているように、固
体電解質袋管を縦向きに設置し、その高さを大きくする
と正極室内の上下方向に、重力によって活物質の濃度分
布や組成分布が付き易く、この結果、電池内に起電力分
布を生じて循環電流が流れ、電池効率が低下すると云う
問題があった。
【0006】一方、固体電解質袋管の高さの代わりに幅
を大きくすることも可能であるが、この場合には固体電
解質袋管の容積と表面積との比が大きくなって、固体電
解質袋管内に充填された活物質を所定時間内に反応させ
るためには、運転時の電流密度を増加させる必要があ
り、内部抵抗の影響で電池の効率が低下すると云う問題
もあった。
【0007】このように、従来のナトリウム二次電池に
おいては、低コスト化のための内部抵抗低減による効率
向上と電池の大容量化との両立は困難であった。
【0008】この問題に対する対策として、先に、固体
電解質袋管を横置きして、水平または斜めに寝かせて電
池効率を向上させたナトリウム二次電池について特許出
願(特開2001−76754号)したが、この電池で
は正極構造適正化のための十分な検討は行なわれていな
い。このため、充放電特性改善についての検討は不十分
であり、一層の低コスト化を図るためには、容量拡大や
内部抵抗低減を目指した正極構造の改良が必要である。
【0009】また、前記の特許出願では、負極容器や負
極容器のナトリウム収容部によって、固体電解質袋管を
横置きした場合の機械的信頼性の向上を図っているが、
横置きしたセラミックス製の固体電解質袋管を金属製の
負極容器やナトリウム収容部によって支える構造のため
に、電池運搬時の衝突事故などの際に負極容器やナトリ
ウム収容部が衝突して固体電解質袋管を傷つける可能性
があり、電池の信頼性向上のためには更なる構造改良が
望ましい。
【0010】なお、横置き電池構造については特開昭5
7−145278号公報や特開昭47−19321号公
報にも述べられているが、これらの公報においても容量
拡大や内部抵抗低減のための検討は不十分である。
【0011】また、ナトリウム二次電池は、電池の放電
時に負極室から正極室へナトリウムイオンが移動し、正
極室内の正極活物質の体積が放電に伴って増加する。こ
のため、放電末期の正極活物質の体積を考慮して正極室
内に空間を設けているが、放電開始時、即ち、充電末期
には正極室上部に空間が形成され、この部分の固体電解
質が電池反応に関与できないために電池抵抗が増加する
という問題があった。
【0012】これに対処するため、固体電解質表面に隣
接して多孔質材や多孔質導電材を配置し、表面張力によ
り多孔質材や多孔質導電材で正極活物質を持ち上げ、上
部の固体電解質表面にも正極活物質を供給する方法が広
く採用されている。
【0013】一例として、ナトリウム硫黄電池の場合、
例えば、特開平11−329484号公報では、固体電
解質であるベータアルミナセラミックスに隣接してアル
ミナ繊維集合体などから成る多孔質材が、さらにこれに
隣接して炭素繊維集合体などからなる多孔質導電材が設
置されており、多孔質材が正極活物質の一成分である多
硫化ナトリウムを、多孔質導電材が正極活物質の他の成
分である硫黄を主に吸い上げる役目を果たしている。
【0014】しかし、電池が大容量化されると充放電に
よって正極室/負極室間を移動する活物質の体積が大き
くなり、その結果、放電開始時、即ち、充電末期の正極
室上部の空間体積が増加して、この部分の固体電解質へ
の活物質の供給が困難となる。
【0015】また、大容量化されると一般に電池の径と
高さが大きくなり、それに伴って多孔質材や多孔質導電
材による正極活物質の吸い上げが必要な高さが大きくな
り、重力に対して吸い上げが不十分となり易い。その結
果、正極活物質に上下方向の濃度分布が生じて、運転時
に電池内に電圧分布を生じ、これによって電池内部に循
環電流が流れて電池抵抗が増加し、電池効率が低下する
という問題がある。
【0016】なお、特開昭60−17869号や特開昭
60−148071号公報には、電池の外部にポンプや
ガスボンベなどを設け、これらによって運転時の電池内
のガス圧を制御し、正極活物質を充電時と放電時とで逆
向きに移動させる方法が示されている。また、特開昭6
1−55871号公報に、は正極室内にヒータを設けて
正極活物質を対流で移動させる方法が提案されている。
【0017】これらの方法によれば正極活物質の濃度分
布は小さくできる反面、電池の構造が複雑となり、特
に、電池を多数集合したモジュールとして利用する場合
には、個々の電池毎に電池外部からの制御によって正極
活物質を移動させる必要があるために、装置構成が複雑
で、小型化、実用化に問題があった。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第一の目的
は、上記従来技術の欠点を除き、内部抵抗低減による効
率向上と、電池大容量化とを両立できるナトリウム二次
電池を提供することにある。
【0019】本発明の第二の目的は、効率向上と大容量
化と共に、機械的信頼性の高いナトリウム二次電池を提
供することにある。
【0020】本発明の第三の目的は、構造を複雑化する
ことなく、電池の内部抵抗を低減して電池効率を高めた
ナトリウム二次電池を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成する本発
明の要旨は次のとおりである。
【0022】〔1〕 液体ナトリウムを収容した負極室
と、正極活物質を収容した正極室と、前記負極室、正極
室間を分離した固体電解質袋管とを含むナトリウム二次
電池であって、前記正極室内の前記固体電解質袋管の側
面と前記正極室を構成する正極容器との間、あるいは、
前記固体電解質袋管の側面と前記正極室内に設けた集電
体との間に、多孔質導電材として炭素繊維マットを前記
固体電解質袋管の軸方向に積重ねて設置し、前記固体電
解質袋管を水平方向または斜め方向に傾けて寝かせたこ
とを特徴としている。
【0023】ここで、積重ねた前記炭素繊維マット同志
の間に隙間を設けるか、あるいは、孔や切り込みなどの
開口部を設けた金属板,セラミックス板,ガラス板また
はプラスチック板を積重ねた前記炭素繊維マット同志の
間に設置することが望ましい。
【0024】〔2〕 前記正極室内の前記固体電解質袋
管の側面と前記正極室を構成する正極容器との間、ある
いは、前記固体電解質袋管の側面と前記正極室内に設け
た集電体との間に、多孔質導電材として炭素繊維マット
を前記固体電解質袋管の軸方向に積重ねて設置すると共
に、前記固体電解質袋管の側面と前記多孔質導電材との
間、または/および、積重ねた前記炭素繊維マット同志
の間にセラミックスやガラスの繊維や粒子の集合体から
成る多孔質材を充填し、前記固体電解質袋管を水平方向
または斜め方向に寝かせたことを特徴としている。
【0025】ここで、前記〔1〕,〔2〕のナトリウム
二次電池がナトリウム硫黄電池であることが特に望まし
い。
【0026】また、前記炭素繊維マットが前記固体電解
質袋管の側面に沿ったリング状炭素繊維マットである
か、あるいは、前記炭素繊維マットが短冊状あるいは台
形状炭素繊維マットであり、この短冊状や台形状の炭素
繊維マットを前記固体電解質袋管の側面にラセン状ある
いは円周状に巻きつけたことが望ましい。なお、前記リ
ング状や短冊状あるいは台形状の炭素繊維マットに重ね
て、短冊状あるいは台形状の多孔質材を前記固体電解質
袋管の側面にラセン状あるいは円周状に巻きつけること
ができる。
【0027】さらに、前記炭素繊維マットを構成する炭
素繊維の大半が前記炭素繊維マットの面方向に配列して
おり、前記面方向が前記固体電解質の側面に垂直になる
ように前記炭素繊維マットを設置したこと、または/お
よび、前記炭素繊維マットの径方向に隙間が設けられて
いることが望ましい。
【0028】〔3〕 固体電解質袋管の内側に液体ナト
リウムを収容した負極室を、前記固体電解質袋管の外側
に正極活物質を収容した正極室を設け、前記正極室内の
前記固体電解質袋管の側面に沿って集電体を設けて、前
記固体電解質袋管の側面と前記集電体との間に多孔質導
電材または多孔質導電材と多孔質材とを充填したナトリ
ウム二次電池において、前記ナトリウム二次電池がナト
リウム硫黄電池であって、前記固体電解質袋管を水平方
向または斜め方向に寝かせ、前記固体電解質袋管の中心
軸よりも下側の前記正極室内容積を前記中心軸よりも上
側の前記正極室内容積よりも大きくしたことを特徴とし
ている。
【0029】ここで、前記多孔質導電材、または/およ
び、前記多孔質材を前記集電体の外側まで延長するか、
または/および、前記集電体の径方向下側と前記正極室
を構成する正極容器との間隙、または、前記固体電解質
袋管の側面下側と前記正極容器との間隙に多孔質導電
材、または/および、多孔質材を充填することが望まし
い。
【0030】〔4〕 固体電解質袋管の内側に液体ナト
リウムを収容した負極室を、前記固体電解質袋管の外側
に正極活物質を収容した正極室を設け、前記正極室内の
前記固体電解質袋管の側面に沿って集電体を設けて、前
記固体電解質袋管の側面と前記集電体との間に多孔質導
電材または多孔質導電材と多孔質材とを充填したナトリ
ウム二次電池において、前記ナトリウム二次電池がナト
リウム硫黄電池であって、前記固体電解質袋管を斜め方
向に寝かせると共に、前記多孔質導電材または/および
前記多孔質材の軸方向下側端部を前記正極室の軸方向中
央部よりも下側に位置することを特徴としている。
【0031】ここで、上記〔1〕〜〔4〕に記載のナト
リウム二次電池によって、本発明の第一の目的である内
部抵抗低減による効率向上と電池大容量化との両立が可
能となる。
【0032】〔5〕 固体電解質袋管の内側に液体ナト
リウムを収容した負極室を、前記固体電解質袋管の外側
に正極活物質を収容した正極室を設け、前記正極室内の
前記固体電解質袋管の側面に沿って円筒形状の集電体を
設けて、前記固体電解質袋管の側面と前記集電体との間
に多孔質導電材または多孔質導電材と多孔質材とを充填
したナトリウム二次電池であって、前記固体電解質袋管
を水平方向または斜め方向に寝かせると共に、前記正極
室を構成する正極容器と前記集電体の径方向下側、また
は/および、径方向上側とを接触,接合または一体化し
たことを特徴としている。
【0033】〔6〕 固体電解質袋管の内側に液体ナト
リウムを収容した負極室を、前記固体電解質袋管の外側
に正極活物質を収容した正極室を設け、前記正極室内の
前記固体電解質袋管の側面に沿って集電体を設けて、前
記固体電解質袋管の側面と前記集電体との間に多孔質導
電材または多孔質導電材と多孔質材とを充填したナトリ
ウム二次電池であって、前記固体電解質袋管を水平方向
または斜め方向に寝かせると共に、前記集電体の径方向
下側と前記正極容器との間隙に支持体を設置したことを
特徴としている。
【0034】ここで、上記〔5〕,〔6〕に記載のナト
リウム二次電池によって、本発明の第二の目的である効
率向上と大容量化と共に、機械的信頼性の向上が可能と
なる。
【0035】さらに、本発明の前記〔1〕〜〔6〕のナ
トリウム二次電池において、前記正極室内に集電体が設
けられており、前記正極容器がナトリウム二次電池の外
周部に設置されていて、前記固体電解質袋管を水平方向
または斜め方向に寝かせた際の、前記正極容器の上下面
または/および側面が平行平面形状であるか、または、
前記正極容器の断面形状が楕円形状であること、または
/および、前記固体電解質袋管の軸方向の長さが直径よ
りも大きいことが、特に望ましい。
【0036】〔7〕 液体ナトリウムを収納した負極
室、正極活物質を収納した正極室、前記負極室と正極室
間を分離した固体電解質を含むナトリウム二次電池であ
って、前記正極室内の前記固体電解質から離れた位置に
活物質収納室が設けられ、充電時には重力または前記活
物質収納室に収納された窒素ガスや不活性ガスの圧力に
より、前記活物質収納室内の正極活物質が活物質収納室
の外部へ移動すると共に、放電時には前記負極室から正
極室へ移動するナトリウムイオンによる正極活物質の体
積増加によって、正極活物質が活物質収納室の外部から
活物質収納室内へ移動することを特徴としている。
【0037】ここで、前記正極室内の固体電解質表面に
隣接して多孔質材または/および多孔質導電材が配置さ
れており、電池運転時における前記正極活物質の液面上
部の高さが前記固体電解質表面に隣接した前記多孔質材
又は多孔質導電材の上部高さに等しいか、あるいは、高
いことが有効であり、かつ、ナトリウム硫黄電池とした
場合、前記正極活物質を硫黄または/および多硫化ナト
リウム、前記多孔質導電材を炭素繊維または/および炭
素粒子の集合体、そして、前記多孔質材をセラミックス
やガラスの繊維または/および粒子の集合体とすること
が望ましい。
【0038】さらに、前記活物質収納室が前記ナトリウ
ム二次電池の外周部に設けられており、前記活物質収納
室の外周形状が直方体形状であること、または/およ
び、前記ナトリウム二次電池がナトリウム硫黄電池の場
合、電池内の硫黄とナトリウムとの原子数の比が2以上
であることが望ましい。
【0039】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例に基づき説
明する。
【0040】〔実施例 1〕図1は、本実施例によるナ
トリウム二次電池の構造を示す断面図である。図1にお
いて、ナトリウムイオン導電性の固体電解質袋管1に
は、普通β型やβ''型のベータアルミナセラミックスか
ら成る固体電解質が用いられ、本発明では固体電解質袋
管は水平方向または斜め方向に寝かせて配置される。
【0041】負極容器2、正極容器3は固体電解質袋管
1と共にそれぞれ負極室4、正極室5を構成しており、
その材料としてはAlやFe、SUSまたはこれらの表
面にCrやMo、Ti、C、Siなどを主体とする耐食
層を設けたものや、Al合金とSUS等とのクラッド材
が普通に用いられる。
【0042】絶縁部材6は負極容器2と正極容器3とを
絶縁分離し、かつ、これらと接合されており、普通α−
アルミナセラミックスを用い、図示されていないが固体
電解質袋管1の開口部付近にガラス接合されたり、α−
アルミナやマグネシウムアルミニウムスピネルなどのセ
ラミックスを用いて、固体電解質袋管1の開口部と一体
焼結されている。
【0043】また、負極容器2や正極容器3と絶縁部材
6との接合には、図示されていないが、AlやAl合金
を接合材として用いて、接合材の液相線温度以下や固相
線温度以下に加熱して、加圧接合する熱圧接法が一般に
行われている。
【0044】液体のナトリウム7は負極室4内に収容さ
れている。また、ナトリウム7を収容するSUS製やA
l製などのナトリウム容器8が負極室4内に設けられて
おり、ナトリウム7は、放電時には、重力や負極室4の
一部であるナトリウム容器8内に充填された窒素ガスや
Arガスなどの不活性ガス9の圧力で押され、一方、充
電時には、固体電解質袋管1を通して侵入するナトリウ
ムの圧力で押されて、ナトリウム容器8に設けた貫通孔
10や負極容器2に設けた貫通孔10’を出入りする。
【0045】なお、この図においては固体電解質袋管1
の内部に正極室5、外部に負極室4が設けられ、ナトリ
ウム容器8は負極容器2と一体化されているが、固体電
解質袋管1の内部に負極室4、外部に正極室5を設けた
り、ナトリウム容器8と負極容器2とを分離したりする
ことも可能である。
【0046】また、正極室5内の固体電解質袋管1の側
部内面に沿って、正極容器3と端部で接続した円筒状の
集電体11が設けられ、集電体11と固体電解質袋管1
の側面との間に多孔質導電材12や多孔質材13が設置
されている。この多孔質導電材12には径方向厚さが3
〜20mm程度の炭素繊維マットの積層体が用いられ、
図示したように、固体電解質袋管1の側面に沿ったリン
グ状の炭素繊維マット121や122などを固体電解質
袋管1の軸方向に積重ねて、多孔質導電材12が構成さ
れている。
【0047】さらに、正極室5内には正極活物質14が
充填されており、この正極活物質が多孔質導電材12に
含浸されて、電池反応を促進している。ここで、正極活
物質14の体積を多孔質導電材12や多孔質材13の空
隙体積よりも大きくして、多孔質導電材12や多孔質材
13に含浸される以外に、正極室5内の集電体11に接
して正極活物質14の液相を形成し、集電体11に貫通
部15を設けて多孔質導電材12の内外に、正極活物質
14を移動させることにより、電池容量の拡大を図るこ
とができる。
【0048】また、集電体11としては厚さ0.3〜5
mm程度のAl、Al合金やこれらとSUS等とのクラ
ッド材を用い、多孔質導電材12との接触面にCo基合
金,Cr/Fe合金,Al/Si合金,SUS,Cr,
C,MoやCr,Moの炭化物や窒化物などの耐食性導
電層を、溶射やメッキなどの方法で設けたり、これら耐
食性の粒子や繊維を、AlやAl合金の表面へ接合また
は埋め込んだものが用いられる。
【0049】さらに、貫通部15としては直径や幅,長
さが1〜10mm程度の円形や直方形の孔、または、こ
れらの間に幅1〜10mmのスリットを設けたものを用
い、面積割合としては集電体11の面積の5〜50%程
度が望ましい。
【0050】なお、ナトリウム二次電池がナトリウム硫
黄電池の場合、多孔質導電材12としては1200〜2
000℃で加熱されたPAN(ポリアクリロニトリル)
系やピッチ系の炭素繊維マットで、固体電解質袋管1に
沿った径方向の厚さが3〜20mm程度の炭素繊維マッ
ト積層体が、正極活物質14としては硫黄や多硫化ナト
リウムが用いられる。
【0051】一方、ナトリウム硫黄電池以外のナトリウ
ム二次電池においては、正極活物質14としては硫黄,
セレン,テルルの元素やこれらの塩化物,金属塩化物
(金属はAl,Ni,Feなど)が用いられる。
【0052】さらに、ナトリウム硫黄電池においては、
図示されているように、固体電解質袋管1と多孔質導電
材12との間に、多孔質材13を設けることが望まし
い。
【0053】この多孔質材13は、普通、アルミナなど
のセラミックスやガラスの厚さ0.1〜1mm程度の繊
維や粒子の集合体から構成され、多硫化ナトリウムなど
のようなイオン導電性の正極活物質14を含浸する性質
を持ち、ナトリウム硫黄電池などの充電時の抵抗上昇を
抑え、電池の充放電特性を改善する効果を持っている。
【0054】ここで、多孔質材13内に多孔質導電材1
2と同様の多孔質導電材を混合することや、逆に多孔質
導電材12内に多孔質材13と同様な多孔質材を混合す
ることもできる。
【0055】図1の構造において電池特性、特に、放電
特性を向上するためには、放電時に固体電解質袋管1を
通して負極室4から正極室5へ移動したナトリウムイオ
ンと、正極活物質14を構成する硫黄などの反応物とが
反応した際、生成した多硫化ナトリウムなどの反応生成
物が、多孔質導電材12や多孔質材13内から出て、速
やかに正極活物質14の液相内へ移動すると共に、正極
活物質14の液相内に含まれる硫黄などの反応物が、固
体電解質袋管1近傍の多孔質導電材12内に速やかに移
動する必要がある。
【0056】なお、この移動速度が遅いと、放電時に固
体電解質袋管1の近傍でナトリウムイオンとの反応が過
剰に進行し、ナトリウム原子を多く含む反応生成物が生
成して、電池の起電力が低下し、その結果、電池効率の
低下を招き易い。
【0057】この問題に対して本発明の構造では、固体
電解質袋管1が水平方向または斜め方向に寝かせられる
と共に、多孔質導電材12は炭素繊維マット121や1
22などが固体電解質袋管1の軸方向に積層されて形成
されており、固体電解質袋管1の表面近傍で生成した反
応生成物は、多孔質導電材12を構成する炭素繊維マッ
ト121と122などとの接触部を通って、固体電解質
袋管1の径方向、特に、鉛直方向下向きに容易に移動す
る。一方、正極活物質14の液相内に存在する反応物
は、炭素繊維マットを通って供給されるため、この結果
として正極活物質14の放電時の移動が促進されて、電
池の放電特性が向上する。
【0058】一方、充電時には、上記炭素繊維マットの
接触部を通って、正極活物質14の液相内の反応生成物
が固体電解質袋管1の側面近傍へ移動すると共に、充電
反応による電気分解によって生成する反応物が炭素繊維
マットを通って正極活物質14の液相内へ移動して、充
電が円滑に進行する。
【0059】このように、多孔質導電材12として固体
電解質袋管1の軸方向に積層された炭素繊維マットの積
層体を用いることにより、正極活物質14の固体電解質
袋管1の径方向への移動が促進されて、電池効率の向上
と電池容量の拡大の効果が得られる。特に、固体電解質
袋管1を水平方向や斜め方向に寝かせると共に、炭素繊
維マットを固体電解質袋管1の軸方向に積層して、積層
した炭素繊維マット間の接触面を固体電解質袋管1の径
方向にほぼ垂直にすることにより、炭素繊維マット間の
接触部を通って移動する正極活物質14は上下方向に移
動し易くなり、その結果として、正極室5内の上下方向
に重力による正極活物質14の濃度分布や組成分布がつ
きにくくなって、電池内の起電力分布に基づく循環電流
が抑さえられ、その結果、電池の効率が向上すると云う
利点もある。
【0060】なお、このためには、炭素繊維マット12
1と122等との接触部に、幅1〜5mm程度の隙間を
設けて、正極活物質14が移動し易くしておくことが特
に望ましい。
【0061】ここで、図示していないが、炭素繊維マッ
ト同志の間に、孔や切り込みなどの開口部を設けた、例
えば、Alなどの金属板,セラミックス板,ガラス板ま
たはプラスチック板を設置して、接触部に実質的に隙間
を設けることもできる。なお、これらの板の厚さは1〜
5mm程度であることが望ましい。
【0062】また、炭素繊維マットの炭素繊維が、マッ
ト面にほぼ平行に配列したものを用いて、この炭素繊維
マットの面方向を固体電解質袋管1の側面にほぼ垂直に
設置することにより、炭素繊維マットの電気抵抗が低減
して電池の内部抵抗が低減する。さらに、炭素繊維の多
くが固体電解質袋管1の側面と垂直に配列するために、
炭素繊維の表面張力の効果で、多孔質導電材12を通っ
て正極活物質が固体電解質袋管1の径方向へ移動し易く
なり、正極活物質14の移動が促進されて電池特性が向
上すると云う利点がある。
【0063】ここで、ナトリウム二次電池がナトリウム
硫黄電池の場合には、多孔質導電材12を構成する炭素
繊維マットが反応生成物である多硫化ナトリウムと比較
的濡れ難いと云う問題がある。この結果、図示していな
いが、多孔質導電材12が炭素繊維マットの軸方向の積
層体で構成されておらず、平板状の炭素繊維マットを円
筒状に曲げて使用したり、円筒状の炭素繊維マットを使
用した場合には、固体電解質袋管1の軸方向端部では、
多硫化ナトリウムと比較的濡れ易い多孔質材13を通っ
て多硫化ナトリウムが移動するが、軸方向中央部では多
孔質材13を通しての移動距離が長いために、放電時に
生成した多硫化ナトリウムが多孔質導電材12の外へ移
動しにくく、一方、充電時には多硫化ナトリウムが多孔
質導電材12内に供給されにくくなって、大電流での充
放電が困難となる。
【0064】これに対して、図1の構造では、炭素繊維
マット間の接触部や、この部分に設けた隙間を多硫化ナ
トリウムが移動するために、上記欠点がカバーできる。
【0065】また、固体電解質袋管1が寝かせて設置さ
れており、かつ、正極活物質を構成する硫黄に比べて多
硫化ナトリウムの方が比重が大きいため、放電時には図
1の上側の固体電解質袋管1の側面近傍で生成した多硫
化ナトリウムが、重力によって炭素繊維マット間の接触
部や隙間を通って、下部の正極活物質14の液相内に特
に移動し易く、また、炭素繊維マットに対して硫黄が濡
れ易いために、放電反応に必要な硫黄が、炭素繊維マッ
ト121や122の表面張力によって正極活物質14の
液相内から固体電解質袋管1近傍に供給され、放電が円
滑に進行する。
【0066】一方、充電時には、正極活物質14の液相
内に含まれる多硫化ナトリウムが炭素繊維マット間の接
触部や隙間を通って、固体電解質袋管1の下側側面に移
動し易いと共に、充電反応による電気分解によって生成
した硫黄は、炭素繊維マット内や炭素繊維マット間の隙
間を通って正極活物質14の液相内に戻り、充電反応が
円滑に進行する。
【0067】このように、本発明によれば、ナトリウム
二次電池としてナトリウム硫黄電池を用いた場合に、特
に、充放電特性が改善されて、電池効率が向上すると云
う利点がある。
【0068】また、図1に示されたように、正極室5内
に集電体11を用いて集電することにより、固体電解質
袋管1の側面と集電体11との間隙に存在する多孔質導
電材12の径方向厚さを比較的小さくして、その抵抗を
低減することができる。
【0069】さらに、正極の抵抗は主に集電体11と多
孔質導電材12および多孔質材13で決まり、正極室5
の容積は電池抵抗にほとんど影響しないため、固体電解
質袋管1の側面と集電体11との間隔を適切に保って正
極抵抗を低減し、図示されていないが、集電体11や正
極容器3を軸方向に広げて正極室5の容積を大きくする
ことにより、固体電解質袋管1の寸法を大きくしなくて
も、正極室5に収容する正極活物質14の量を大きくす
ることができ、電池が大容量化される。
【0070】即ち、これらの結果、電池抵抗を低く保ち
ながら、構成部品をあまり増やすこと無く電池の大容量
化が可能で、低コスト化が容易に実現できる実用性の高
い大容量電池が得られる。
【0071】さらに、図1に見られるように、負極容器
2を固体電解質袋管1の側面に隣接することにより、両
者の間に存在するナトリウム7の量を減らして、万一固
体電解質袋管1が破損した時の正極活物質14とナトリ
ウム7との反応を抑制し、電池の安全性を向上すること
ができる。
【0072】〔実施例 2〕図2は、本実施例のナトリ
ウム二次電池の構造を示す断面図である。なお、本明細
書の各図においては、いずれも同じ符号は同一部分を示
す。
【0073】図2の構造では、固体電解質袋管1の内側
に負極室4が、外側に正極室5が配置され、正極室5内
に固体電解質袋管1の側面に沿って集電体11が設けら
れて、水平方向または斜め方向に寝かせられた固体電解
質袋管1の側面と、この集電体との間に多孔質導電材1
2や多孔質材13が設置されている。このため、図1で
述べたと同様の理由で電池の大型化と効率向上との両立
が可能である。なお、図示していないが、固体電解質袋
管1の底部に沿って集電体11や多孔質導電材12、多
孔質材13を設けることも可能である。
【0074】また、集電体11が設けられている場合に
は、正極容器3の形状が変化しても電池特性には殆ど影
響しないため、図2のA−A’断面図に見られるよう
に、電池の外側に配置された正極容器5の形状を直方体
にすることが可能である。なお、この図では正極容器5
の断面は正方形であるが、上下または横に長い長方形に
することもできる。
【0075】こうすることにより、電池を寝かせて設置
した際に電池の姿勢が安定して機械的信頼性が向上する
と共に、モジュールを構成する保温容器内へ複数個のナ
トリウム二次電池を収納する際に、電池間の間隔や保温
容器と電池との間隔が小さくでき、電池の充填密度が向
上して、モジュールのエネルギー密度が増大すると云う
利点がある。なお、この場合、絶縁部材6の外部側面や
負極容器2の外部側面を直方体にすることもできる。
【0076】さらに、鞘管16で電池の周囲を覆って、
電池から万一活物質が漏洩した時の安全性を高め、マイ
カ板のような絶縁材17を介して電池上部に隣接すると
共に、正極容器3の下部に隣接することにより、正極容
器3に設けたベローズ31の塑性変形を抑さえたり、絶
縁部材6と負極容器2や正極容器3との接合部への引張
り応力を抑さえて、電池の信頼性を向上している。
【0077】なお、このためには、鞘管16の材料とし
ては正極容器3よりも熱膨張率の小さい剛性材料を用い
ることが望ましく、具体的には正極容器3としてAlや
Al合金を用いた場合には、オーステナイト系やフェラ
イト系のSUS、または、Crを1〜10%含む鉄合金
やCr1〜10%と共にMoを0.2〜1%程度または
/およびSiを0.3〜3%程度含む鉄合金などを用い
ることができる。
【0078】また、鞘管16を正極容器3に電気接続し
て、電気配線として利用し,電池間の電気接続構造を簡
素化することもでき、図示していないが、鞘管16と正
極容器3との間に前記絶縁材17と同様な絶縁材を設け
て、両者を電気的に絶縁することもできる。
【0079】さらに、図2においては、固体電解質袋管
1が、水平方向または斜め方向に寝かせられると共に、
多孔質導電材12としてリング状の炭素繊維マット12
1や122が固体電解質袋管1の軸方向に積層され、炭
素繊維マット間にリング状の多孔質材131が充填され
ている。なお、この多孔質材131も多孔質材13と同
様な材料で構成されている。
【0080】このように炭素繊維マット間に軸方向の厚
さ0.1〜2mm程度の多孔質材131を設けることに
より、炭素繊維マット内や炭素繊維マットと多孔質材1
31との間の接触部や、この部分に設けた隙間を正極活
物質14が移動すると共に、多孔質材131の内部を多
孔質材に濡れ易い正極活物質14が移動できるため、充
放電時の正極活物質14の移動、特に、鉛直方向の上下
への移動が促進されて、電池効率が特に向上すると云う
利点がある。
【0081】この多孔質材131の効果は、ナトリウム
二次電池としてナトリウム硫黄電池を用いる場合に特に
顕著で、炭素繊維マットを通して比較的硫黄が移動し易
いと共に、セラミックスやガラスの繊維や粒子の集合体
から成る多孔質材131を通し、比較的多硫化ナトリウ
ムが移動し易いこと、および、固体電解質袋管1が寝か
せて配置され、固体電解質袋管1の軸方向に多孔質導電
材12を構成する炭素繊維マット121、122や多孔
質材131が積層されているために、正極活物質14が
上下方向に移動し易くなって、鉛直方向に濃度分布や組
成分布が起こりにくくなり、電池効率が特に優れた電池
を実現することができる。
【0082】なお、このように炭素繊維マット間に多孔
質材131を設けた場合には、図示していないが、固体
電解質袋管1の側面に設けた多孔質材13を除いても電
池の充放電は可能であり、この結果、多孔質材13が無
い分、電池の内部抵抗が低減すると云う利点がある。
【0083】一方、図2のように多孔質材131と多孔
質材13との両方を設置した場合には、多硫化ナトリウ
ムなどの正極活物質14を構成する反応生成物の、固体
電解質袋管1の表面への移動が促進され、充電特性が向
上して、充電電流を大きくしても電池運転が可能になる
と云う利点がある。なお、このためには、多孔質材13
1と多孔質材13とが接触または一体化していることが
望ましい。
【0084】さらに、図示していないが、多孔質材13
1の代りに、孔や切り込みなどの開口部を設けた金属
板,セラミックス板,ガラス板またはプラスチック板を
設置して、炭素繊維マット間の接触部に実質的に隙間を
設けることもできる。
【0085】また、図2においては、負極室4内部の固
体電解質袋管1の内面に近接して、ナトリウム容器8が
設けられており、このナトリウム容器は端部で負極容器
2と接続されている。このため、図1で述べた同様に、
ナトリウム容器8と固体電解質袋管1との間に存在する
ナトリウム7の量を減らして、万一、固体電解質袋管1
が破損した時の正極活物質14とナトリウム7との反応
を抑制し、電池の安全性を向上することができる。
【0086】〔実施例 3〕図3は、本実施例によるナ
トリウム二次電池の構造を示す断面図である。図3の構
造では、正極室5内に集電体を設けず、固体電解質袋管
1の側面と正極容器3との間に多孔質導電材12と多孔
質材132を設けている。また、正極容器3の軸方向長
さを大きくして正極活物質14の量を増し、電池の容量
を大きくすると共に、多孔質導電材12を構成する炭素
繊維マット123や多孔質材132を固体電解質袋管1
の軸方向底部より長くして、正極活物質14の液相に接
触した炭素繊維マット123や多孔質材132の表面張
力によって、正極活物質14が固体電解質袋管1の表面
へ供給され易いように配慮している。
【0087】なお、図示していないが、図2と同様に、
正極室5内に集電体11を設け、固体電解質袋管1の側
面と集電体11との間に、多孔質導電材12や多孔質材
132を設けることも可能である。
【0088】また、図3では、負極室4内に設けたナト
リウム容器8を、固体電解質袋管1や絶縁部材6の外側
まで延ばして、収納するナトリウム7の量を増やし、電
池容量増大に対応している。
【0089】さらに、図2の場合と同様に、ナトリウム
容器8を固体電解質袋管1に近接して配置することによ
り、電池の安全性を確保している。
【0090】また、図3では、固体電解質袋管1が水平
方向または斜め方向に寝かせられると共に、短冊状の炭
素繊維マット123を図1,2の多孔質材13と同様な
材質で形成された短冊状の多孔質材132と重ね、固体
電解質袋管1の側面にラセン状に巻き付けて、炭素繊維
マット123と多孔質材132とを固体電解質袋管1の
軸方向に積層している。こうすることにより、炭素繊維
マット123と多孔質材132との間の接触部が、固体
電解質袋管1の側面にほぼ垂直に配置され、図1,2と
同様の正極活物質14の移動効果が実現できる。
【0091】さらに、この構造においては、炭素繊維マ
ット123や多孔質材132がラセン状に巻き付けられ
て、固体電解質袋管1の軸方向に繋がって延びているた
めに、表面張力によって正極活物質14が軸方向にも移
動し易いと云う利点もある。
【0092】また、この際に炭素繊維の大半を炭素繊維
マット面に平行に配置し、炭素繊維マット面に垂直にこ
の炭素繊維マット123を短冊状に切断して、炭素繊維
マット面が固体電解質袋管1の側面に垂直になるよう
に、炭素繊維マット123をラセン状または円周状に巻
き付ければ、炭素繊維の方向を固体電解質袋管1の側面
に垂直に設置したことによる前述の効果が得られる。
【0093】ここで、炭素繊維マット123や多孔質材
132を短冊状に切断する代りに、台形状に切断して、
台形の短い方を固体電解質袋管1の近くに、台形の長い
方を固体電解質袋管1の遠くになるよう配置し、炭素繊
維マット面が、固体電解質袋管1の側面に垂直になるよ
うに円周状に巻き付けることもできる。
【0094】なお、図示していないが、図2と同様に、
固体電解質袋管1の側面と炭素繊維マット123との間
に多孔質材13を充填してもよいし、また、図1と同様
に、多孔質材132を省略して、固体電解質袋管1の側
面に設けた多孔質材13の上に、短冊状や台形状の炭素
繊維マット123を、ラセン状や円周状に巻き付けても
よい。
【0095】このように、短冊状や台形状の炭素繊維マ
ット123や多孔質材132を巻き付ける方法を用いれ
ば、図1,2のようにリング状の炭素繊維マット12や
リング状の多孔質材131などを用いる場合に比べて、
炭素繊維マット123や多孔質材132の利用率が向上
すると云う利点がある。即ち、一般に多孔質導電材を構
成する炭素繊維マットや多孔質材を構成するセラミック
スやガラスの無機繊維集合体は平面状に形成され、これ
を多孔質導電材12や多孔質材132に用いるために
は、必要な形状に炭素繊維マットや無機繊維集合体を切
断して利用する必要がある。
【0096】ここで、リング状に切断する場合には、炭
素繊維マットや無機繊維集合体に無駄になる部分が生ず
るのに対して、短冊状や台形状に切断する場合には利用
率が高くなり、特に、短冊状の炭素繊維マットや無機繊
維集合体では、その利用率をほぼ100%で多孔質導電
材や多孔質材を形成することができる。
【0097】なお、短冊状や台形状の炭素繊維マットや
無機繊維集合体の長さを、固体電解質袋管1の円周長さ
にほぼ一致させて、短冊状や台形状の炭素繊維マットや
無機繊維集合体を、固体電解質袋管1の側面に円周状に
巻き付けて多孔質導電材12や多孔質材132を形成す
ることもできる。
【0098】また、この場合には短冊状や台形状の多孔
質導電材12や多孔質材132の長さ方向の両端部が接
触するため、この接触部やこの部分に設けた径方向の隙
間を通って正極活物質14を移動させることもできる。
例えば、ナトリウム硫黄電池のように、比重の大きい多
硫化ナトリウムの移動を促進するためには、この接触部
が横置きした固体電解質袋管1の中心軸と同じ高さ、ま
たは、これよりも下側になるように短冊状や台形状の多
孔質導電材12や多孔質材132を配置すればよい。
【0099】なお、台形状の炭素繊維マットや無機繊維
集合体を固体電解質袋管1に巻き付ける場合、台形の寸
法を適切に選ぶことによって、巻き付けた炭素繊維マッ
トや無機繊維集合体の充填率を、径方向にほぼ一定に制
御することができると云う利点がある。
【0100】また、図示していないが、多孔質導電材1
2の長さ方向の両端の接触部、即ち、炭素繊維マットの
径方向に前記の隙間を設けるためには、短冊状や台形状
の炭素繊維マットの長さを、固体電解質袋管1の円周長
さよりも短くして、短冊状や台形状の炭素繊維マットを
固体電解質袋管1の側面に巻き付ければよい。こうする
ことによって、正極活物質の移動が促進されて電池特性
が向上する。
【0101】なお、多孔質導電材としてリング状の炭素
繊維マットを用いる場合にも、リングの一部を切断して
径方向に隙間を設けることにより、電池特性を向上する
ことが可能となる。なお、これらの隙間としては1〜1
0mm程度の幅のものを用いればよい。
【0102】さらに、短冊状やリング状の炭素繊維マッ
トの長さを、固体電解質袋管1の円周の長さの1/2程
度にして、2枚の炭素繊維マットを固体電解質袋管1の
側面に周方向に巻きつけて、炭素繊維マット間の径方向
の接触部や隙間の数を増やすことも可能である。
【0103】さらに、図1〜図3においては、ナトリウ
ム二次電池、即ち、固体電解質袋管1を水平方向や斜め
方向に寝かせた構造となっているために、普通に用いら
れる様に軸方向の長さが直径よりも大きい固体電解質袋
管1を用いた場合、電池の鉛直方向の高さが小さくな
り、正極室5内の上下方向に、重力による正極活物質1
4の濃度分布や組成分布が起こりにくくなり、電池内の
起電力分布に基づく循環電流が抑さえられ、その結果、
電池の効率を向上することができる。
【0104】ここで、固体電解質袋管1を斜めにする場
合、固体電解質袋管1の軸方向と水平方向との角度を±
45度以下として電池の高さを低減すること、あるい
は、表面張力による正極活物質14の吸い上げ高さを考
慮して、多孔質導電材12や多孔質材13の鉛直方向の
高さを15cm以下にすることが望ましい。
【0105】なお、電池効率の向上を目的に電池の鉛直
方向の高さを小さくするには、固体電解質袋管1を水平
設置することが特に望ましい。また、この効果は単電池
を大型化できるために、固体電解質袋管1の長さを大き
くした場合に特に顕著で、本発明の構造により、電池の
大型化、即ち、大容量化と効率向上との両立が可能とな
る。
【0106】なお、固体電解質袋管1は、長さを直径よ
りも大きくすることにより、固体電解質袋管1の内容積
と表面積との比を比較的小さくすることができる。この
結果、直径が長さと同程度または直径の方が大きい固体
電解質袋管を用いた場合に比べて、同じ時間内で運転し
た際の固体電解質袋管1の表面積当りの電流密度を小さ
くすることができる。その結果、「電流×内部抵抗」で
与えられる電圧低下が小さくなり、電池効率を大きくで
きると云う利点がある。
【0107】また、図1,2に示した本発明のナトリウ
ム二次電池の構造においては、正極の抵抗は、主に、集
電体11と多孔質導電材12および多孔質材13や13
1で決まり、固体電解質袋管1の側面と集電体11との
間隔を小さくすることによって、多孔質導電材12の径
方向の抵抗が小さくでき、電池効率が向上すると共に、
集電体11と正極容器3との間隔を広げて正極室5内の
容積を大きくすることで、電池の大容量化が達成され
る。
【0108】さらに、正極容器3の形状が変わっても電
池の抵抗はほとんど変化しないため、固体電解質袋管1
が水平方向や斜め方向に寝かされた際に、電池の外周部
に存在する正極容器3の上下面または/および側面を平
行平面形状にすること、望ましくは、図2のように正極
容器3の側面を直方体形状にすることもできる。
【0109】ここで、正極容器3の上下面を平行平面形
状、即ち、水平形状にすることにより、電池を横置きし
た際に設置した電池が移動しにくくなって姿勢の安定性
が向上すると共に、モジュールを構成する保温容器内へ
複数個のナトリウム二次電池を収納する際、上下に積層
した電池間の間隔や保温容器と電池との上下方向の間隔
が小さくでき、電池の充填密度が向上して、モジュール
のエネルギー密度が増大すると云う利点がある。
【0110】また、正極容器3の側面を平行平面形状に
することにより、保温容器内に収納した電池間の横方向
の間隔や、保温容器と電池との横方向の間隔が小さくで
き、モジュールのエネルギー密度が向上する。なお、モ
ジュールのエネルギー密度を特に向上するためには、正
極容器3の側面を直方体形状にすることが望ましい。こ
うすることで、上下方向だけでなく、横方向の電池間の
間隔や保温容器との間隔を小さくできる。
【0111】また、正極容器3の機械的強度を向上する
ためには、図示していないが、直方体形状の角部をR形
にしたり、上下面を平行平面形状、側面を半円形状や半
楕円形状にして、角部への応力集中を避けることが望ま
しい。
【0112】なお、図示していないが、負極容器2や絶
縁部材6の外面を直方体形状にしたり、上下面または/
および側面を平行平面形状にすることもできる。さら
に、正極容器3や負極容器2としてAlやAl合金を用
いる場合、平面形状の上下面や側面が内外圧の差によっ
て、クリープ変形する可能性がある。
【0113】これを避けるためには、正極室5内の正極
活物質14の蒸気圧と不活性ガスなどのガス圧との和
や、負極室4内のガス圧が、運転時に大気圧とほぼ一致
するように制御する。また、正極容器3や負極容器2と
して、SUSなどのクラッド材を用いる。あるいは、正
極室5内や負極室4内のガス圧が大気圧よりも高い場合
には、正極容器3や負極容器2の外側にSUSや炭素
鋼、Al合金などを、また、ガス圧が大気圧よりも低い
場合には、正極容器3や負極容器2の内側にSUS,A
l合金や耐食層を設けた炭素鋼などの補強材を設置し
て、正極容器3や負極容器2の変形を防止することが望
ましい。
【0114】また、クリープ変形防止のために、正極容
器3や負極容器2の断面形状を楕円形や円形にすること
が特に望ましく、こうすることによって、大気圧と電池
容器内部の圧力との差による正極容器3や負極容器2に
加わる応力が低減でき、クリープ変形防止が容易とな
る。
【0115】ここで、図示されていないが、正極容器3
の断面構造を楕円形状や長方形形状として、断面形状の
短軸方向が上下方向になるように電池を寝かせて配置
し、正極容器3の内部の短軸方向に支持板を設けて、正
極容器3の断面の長軸方向の変形を防止することによっ
て、電池の信頼性を高めることができる。また、正極容
器3の断面長軸方向の肉厚を短軸方向の肉厚よりも大き
くすることが、正極容器3の変形防止に有効である。
【0116】さらに、正極容器3と共に支持板をAlや
Al合金で製造する場合には、正極容器3と一体化して
支持板を押し出し成形することも可能であり、電池の製
造工程が簡略化されるという利点がある。なお、支持板
には孔や空隙部を設けて、正極容器3内を正極活物質1
4が移動できることが、電池容量拡大のためには必要で
ある。
【0117】具体例として、図2に示すように、固体電
解質袋管1としてリチウムドープのβ''アルミナ焼結体
からなる外径約60mm×長さ約600mm×肉厚約
1.5mmの円筒状袋管を用いた。また、負極容器2、
正極容器3およびナトリウム容器8の材料にはAl合金
を、集電体11には貫通部15を設けた筒状のAl合金
の胴部表面にクロム合金を溶射したものを用い、集電体
11の軸方向端部を正極容器3と接続した。
【0118】一方、絶縁部材6としてはα−アルミナ焼
結体リングを用い、固体電解質袋管1の開口部とガラス
接合した後、絶縁部材6の表面に負極容器2、正極容器
3の端部を配置し、Al−Si系の合金箔を用いて、負
極容器2、正極容器3の端部と絶縁部材6とを熱圧接し
た。
【0119】次に、ナトリウム容器8内にナトリウム7
と約0.01MPaのArガス9を充填し、このガス圧
でナトリウム7がナトリウム容器8の側面に設けた貫通
孔10を通って、固体電解質袋管1の内表面を覆うよう
にした。
【0120】一方、固体電解質袋管1の外表面と集電体
11の内表面との間には、厚さ10mmのリング状の炭
素繊維マット121,122から成る多孔質導電材12
と、厚さ0.3mmのアルミナ繊維マットなどの無機繊
維集合体から成る多孔質材131を固体電解質袋管1の
軸方向に積層して設けると共に、板状のアルミナ繊維集
合体から成る厚さ約0.3mmの多孔質材13を固体電
解質袋管1の外表面に設置し、正極活物質14として硫
黄を含浸して、ナトリウム硫黄電池を作製した。なお、
この電池の正極容器3と集電体11との側面間隔は約1
0mmである。
【0121】最後に、ナトリウム硫黄電池の周囲にSU
S製の鞘管16と、マイカ板から成る絶縁材17を設け
た。
【0122】得られたナトリウム硫黄電池をナトリウム
容器8に設けた貫通孔10が下側になるような向きで水
平に寝かせ、330℃で運転した結果、正極室5内の正
極活物質14が全て電池反応に関与するため、電池容量
は約1800Ahと大きく、かつ、内部抵抗を約1.1
mΩと小さくでき、大容量化と高効率化の両立が可能と
なった。
【0123】また、地震を想定し、電池を振動試験した
結果、固体電解質袋管1と絶縁部材6との接合部の破損
は全く認められず、電池の高信頼性が実証された。な
お、この電池において、集電体11を用いることによ
り、固体電解質袋管1を大きくすることなく正極容器3
を大きくしたことで、電池の大容量化が可能となり、低
コスト化に特に適している。
【0124】〔実施例 4〕図4は、本実施例のナトリ
ウム二次電池の構造を示す断面図である。図4において
は、ナトリウム容器8は負極容器2と一体化されている
が、ナトリウム容器8と負極容器2とを分離した構造も
採用できる。さらに、固体電解質袋管1や絶縁リング6
の外側に設けた負極容器2やナトリウム容器8の径を大
きくすることで、負極室4の容積を大きくし電池の大容
量化を図っている。
【0125】また、正極室5内の固体電解質袋管1の側
部外面と正極容器3の側部内面との間には、固体電解質
袋管1の側面に沿って円筒状の集電体11が設けられ、
この集電体11は、軸方向端部で正極容器3と接合され
て、固体電解質袋管1の側面と集電体11との間に多孔
質導電材12や多孔質材13が設置されている。なお、
図示していないが、固体電解質袋管1の底部に沿って集
電体や多孔質導電材、多孔質材を設置することも可能で
ある。
【0126】また、多孔質導電材12には、一般に炭素
繊維または/および炭素粒子の集合体が用いられ、この
多孔質導電材12に正極活物質14が含浸されて、電池
反応を促進している。
【0127】ここで、正極活物質14の体積を多孔質導
電材12や多孔質材13の空隙体積よりも大きくして、
多孔質導電材12や多孔質材13に含浸される以外に、
例えば、正極容器3と集電体11との隙間などに正極活
物質14を充填し、集電体11に貫通部15を設けて、
多孔質導電材12の内外に正極活物質14を移動させる
ことにより、電池容量の拡大を図ることができる。
【0128】なお、図示していないが、集電体11に貫
通部15を設ける代わりに、集電体11の端部と正極容
器3や絶縁リング6との間隙を通して、正極活物質14
を移動させることもできる。
【0129】また、この構造においては、A―A’断面
のように正極容器3の軸方向に垂直な断面が台形形状と
なっており、図4に示された固体電解質袋管1の中心軸
B−B’の下側と正極容器3との間の正極室5の内容積
を、上記中心軸の上側と正極容器3との間の正極室5の
内容積よりも大きくしている。
【0130】図4の構造のナトリウム二次電池の一部で
あるナトリウム硫黄電池においては、放電時には、多孔
質導電材12内に含浸された正極活物質14である硫黄
が、固体電解質袋管1を通して負極室4から供給される
ナトリウムイオンと反応し、反応生成物である正極活物
質14の多硫化ナトリウムが、多孔質導電材12内から
正極容器3と集電体11との間隙の正極室5内の空間へ
放出される必要がある。
【0131】なお、多硫化ナトリウムが多孔質導電材1
2から放出されにくい場合には、多硫化ナトリウムが負
極室から供給されるナトリウムイオンとさらに反応し
て、ナトリウム原子量の多い多硫化ナトリウムを生成
し、その結果、電池の起電力が低下し、電池の起電力と
電池抵抗から定まる電池効率が低下すると云う問題が発
生する。ここで、電池効率は一般に(起電力−抵抗×電
流)/(起電力+抵抗×電流)で表される。
【0132】この問題に関し、前記多孔質導電材12に
沿って正極活物質14の硫黄が存在している正極室内の
空間では、多孔質導電材12を構成する炭素繊維や炭素
粒子が硫黄に濡れ易いために、多孔質導電材12中の多
硫化ナトリウムと正極室5内の空間の硫黄が交換され易
く、その結果、多孔質導電材12から多硫化ナトリウム
が容易に放出される。
【0133】さらに、前記多孔質導電材12に沿って正
極室5内の空間にガスが存在したり、真空の空間となっ
ている場所では、重力によって多硫化ナトリウムが多孔
質導電材12から、前記正極室5内の空間へ容易に放出
される。一方、前記多孔質導電材12に沿って正極活物
質14の多硫化ナトリウムが存在する正極室5内の空間
では、多孔質導電材12中の多硫化ナトリウムが正極室
5内の空間へ放出されるのは困難である。
【0134】図4の構造においては、上記の問題に対処
するため、固体電解質袋管1が水平方向または斜め方向
に寝かせられると共に、固体電解質袋管1の中心軸B−
B’の下側と正極容器3との間の正極室内容積を、上記
中心軸の上側と正極容器3との間の正極室内容積よりも
大きくしている。
【0135】このため、負極室4から供給されたナトリ
ウムイオンと反応して生成した多硫化ナトリウムが、前
記正極室5内の空間へ放出された際の液面高さは、多硫
化ナトリウムの比重が硫黄よりも大きいために、固体電
解質袋管1の中心軸に比べて低くなり易い。その結果、
多硫化ナトリウムが所定量生成した際の、正極室5内に
多硫化ナトリウムが存在する空間に沿った多孔質導電材
12の面積が比較的小さくなる。一方、正極室5内に硫
黄やガスが存在したり、真空になったりした部分の多孔
質導電材12の面積が比較的大きくなって、ナトリウム
硫黄電池の放電が円滑に進み、電池効率が高く保たれる
と云う利点がある。
【0136】ここで、多孔質導電材12が正極室5内の
比較的上部に設けられている場合に、正極活物質14で
ある硫黄が上部の多孔質導電材12に供給されて、放電
が円滑に進むようにするためには、正極室5内に含まれ
る窒素ガスやアルゴンなどの不活性ガスの圧力を運転温
度における硫黄の蒸気圧以下にするか、好ましくは正極
室5内を真空引きすることが望ましい。こうすることに
よって、硫黄は液体として多孔質導電材12と接触して
供給されると共に、硫黄ガスとしても多孔質導電材12
内へ供給され、放電が円滑に進行して、電池効率向上や
電池容量向上が容易に可能となる。
【0137】なお、従来の横向き電池のように、固体電
解質袋管1の中心軸B−B’の上下で正極室5の容積が
ほぼ等しい場合には、電池の正極室5内の容積が図4と
ほぼ同じで、電池の放電電力量を定める反応生成物であ
る前記多硫化ナトリウムの生成量が同じ場合で比較する
と、多硫化ナトリウムの液面が固体電解質袋管1の中心
軸に比べて高くなり易い。このため、多硫化ナトリウム
が存在する空間に沿った多孔質導電材12の面積が比較
的大きくなり、その結果、図4の構造に比べて、多孔質
導電材12内から多硫化ナトリウムが放出されにくくな
って、放電時にナトリウム硫黄電池の起電力が低下し、
電池の放電効率が比較的低下し易いと云う問題が発生し
易い。
【0138】さらに、図4の構造では、固体電解質袋管
1の中心軸B−B’の上側の正極室内容積を比較的小さ
くすることで、正極室5内の容積を大きくすることな
く、電池容量が確保できる。
【0139】なお、電池の実用化のためには、電池の大
容量化と高効率化と共に、エネルギー密度の向上が望ま
しいが、図4の構造によれば、正極室5の内容積を含め
た電池容積を大きくすることなく電池の容量が確保さ
れ、かつ、電池のエネルギー量を決める多硫化ナトリウ
ムの生成量が比較的大きくても、上記のように多硫化ナ
トリウムに沿った多孔質導電材12の面積が小さくで
き、電池の効率向上が可能なため、この目的に特に適し
た構造となっている。
【0140】また、図示するように、正極室5内に集電
体11を設けることによって、多孔質導電材12の厚さ
を小さくしてその抵抗を低減し、かつ、集電体11と正
極容器3との間の正極室5内の容積を大きくして、そこ
に収容する正極活物質14の量を大きくすることで、電
池の大容量化と効率向上を図っている。
【0141】さらに、図4の構造では、固体電解質袋管
1が水平方向または斜め方向に寝かせられると共に、集
電体11の径方向下側と正極容器3との間隔を狭くする
ことにより、正極室5内の空間の下側に存在する正極活
物質14を多孔質導電材12と接触し易くして充電特性
を改善し、充電容量の向上による電池容量の拡大を図っ
ている。
【0142】即ち、上記間隔に存在する正極活物質14
が多孔質導電材12や多孔質材13に接触しない場合に
は、これらの表面張力によって吸い上げられることは困
難で、その結果、固体電解質袋管1の表面に供給されに
くくなるために、電池反応に寄与できず、充電容量が低
減して電池容量が低下すると云う問題がある。
【0143】この問題に対して、図4の構造では上記間
隔を狭くすることによって、正極活物質14の大部分が
多孔質導電材12や多孔質材13と接触するように配慮
している。なお、この目的のために、図示していない
が、集電体11と正極容器3との径方向下側を接触させ
たり、接合することも可能であり、こうすることによっ
て充電容量が向上すると共に、集電体11の変形が起こ
りにくくなって機械的信頼性が向上する。
【0144】また、図4においては、固体電解質袋管
1、即ち、ナトリウム二次電池を水平方向や斜め方向に
寝かせた構造となっていると共に、固体電解質袋管1の
側面に沿って正極室5内に設けた集電体11を用いて集
電する構造となっているために、普通に用いられる様
に、長さが直径よりも大きい固体電解質袋管1を用いた
場合、電池の鉛直方向の高さが小さくなり、正極室5内
の上下方向に重力による正極活物質14の濃度分布や組
成分布が付きにくくなって、電池内の起電力分布に基づ
く循環電流が抑えられ、その結果、電池の効率が向上す
る。
【0145】また、正極室5内の固体電解質袋管1に沿
って設けた集電体11を用いて集電することにより、固
体電解質袋管1の側面と集電体11との間隔に存在する
多孔質導電材12の厚さを比較的小さくして、その抵抗
を低減することができる。
【0146】さらに、正極の抵抗は主に集電体11と多
孔質導電材12および多孔質材13で決まり、正極容器
3の容積は電池抵抗にあまり関係ないため、固体電解質
袋管1の側面と集電体11との間隔を適切に保って正極
抵抗を低減し、集電体11の径方向と正極容器3との間
隔を広げて、正極室5内の容積を大きくすることによっ
て、固体電解質袋管1の寸法を大きくしなくても、正極
室5に収容する正極活物質14の量を大きくすることが
でき、電池が大容量化される。
【0147】即ち、これらの結果、電池抵抗を低く保ち
ながら、構成部品をあまり増やすこと無く電池の大容量
化が可能で、低コスト化が容易に実現できる実用性の高
い大容量電池が得られる。
【0148】さらに、図示していないが、集電体11の
径方向下側と正極容器3とを接触させたり、接合するこ
とにより、横置きした固体電解質袋管1が集電体11や
多孔質導電材12などを介して正極容器3に支えられ、
ナトリウム二次電池の機械的信頼性が向上すると云う利
点もある。
【0149】〔実施例 5〕図5〜7は、本発明のナト
リウム二次電池の別の構造例を示す。ここで、図5、図
6、図7においても固体電解質袋管1は水平方向または
斜め方向に寝かせて配置されると共に、固体電解質袋管
1の内側に負極室4が、外側に正極室5が設けられ、固
体電解質袋管1の外側側面に沿って集電体11が設けら
れて、固体電解質袋管1の側面とこの集電体11との間
に多孔質導電材12や多孔質材13が設置されているた
め、図4と同様に電池の大型化と効率向上との両立が可
能となる。
【0150】図5は本実施例によるナトリウム二次電池
の構造を示す断面図である。正極容器3として直方体形
状のものが用いられ、固体電解質袋管1を水平方向や斜
め方向に寝かせると共に、固体電解質袋管1を正極室5
内の上部に横向きに設けることにより、固体電解質袋管
1の中心軸B−B’の下側と正極容器3との間の正極室
5の内容積を上記中心軸の上側と正極容器3との間の正
極室5の内容積よりも大きくして、図4の場合と同様
に、放電特性の向上による電池効率向上を図っている。
【0151】また、多孔質導電材12として炭素繊維や
炭素粉末から成る炭素マットを固体電解質袋管1の軸方
向に積層すると共に、炭素マット間にリング状の多孔質
材131を充填して、図2と同様に充放電の促進による
電池効率向上を図っている。なお、前述のように、炭素
マット間に開口部付きの板やメッシュ、例えば、Al板
を設置して、炭素マット間の接触部に実質的に隙間を設
けることもできる。
【0152】さらに、集電体11の径方向下側と正極容
器3との間隔に、多孔質導電材120を構成する炭素マ
ットおよびこの炭素マット間に多孔質材130を設け
て、集電体11の径方向下側と正極容器3との間隔が比
較的大きいことによる充電容量の低下の問題に対処し
て、ナトリウム硫黄電池の充電特性の向上を図ってい
る。即ち、このように多孔質導電材120間に多孔質材
130を設けることにより、多孔質導電材12、120
内や多孔質材130、131内および両者の接触部や間
隙を正極活物質14が移動して、特にナトリウム二次電
池の一部であるナトリウム硫黄電池の充放電が円滑に進
行する。
【0153】なお、セラミックスやガラスの繊維あるい
は粒子の集合体から成る多孔質材130,131は多硫
化ナトリウムに濡れ易く、その表面張力で多孔質材13
0,131の内部を多硫化ナトリウムが移動し易いと共
に、多孔質導電材12,120を通してこれに濡れ易い
硫黄が移動し易いこと、および、固体電解質袋管1が寝
かせて配置されているために、正極活物質14が上下方
向に移動し易くなって、鉛直方向に濃度分布や組成分布
が付きにくくなり、電池効率が特に優れたナトリウム硫
黄電池を実現することができる。
【0154】また、このように炭素マットから成る多孔
質導電材12の間に多孔質材131を設けた場合には、
図5に示すように、固体電解質袋管1の表面に多孔質材
を設置しなくても電池の充放電は可能であり、この結
果、多孔質材が無い分、電池の内部抵抗が低減すると云
う利点がある。
【0155】一方、後述の図6のように多孔質材131
と多孔質材13との両方を設置した場合には、固体電解
質袋管1の表面への多硫化ナトリウムの移動が促進さ
れ、ナトリウム硫黄電池の充電特性が特に向上して、充
電電流を大きくしても電池運転が可能になると云う利点
がある。
【0156】また、図5の構造において、充電特性を改
善して充電容量を大きくするためには、多孔質導電材1
2と120、または/および、多孔質材130と131
とをきちんと接触させるか、両者を一体化することが望
ましい。
【0157】ここで図示していないが、正極容器3の断
面を楕円形状として、断面の短軸方向、即ち、楕円の短
径方向が上下方向になるように、固体電解質袋管1を横
置きすることが電池特性向上に有効である。こうするこ
とで、集電体11の側部下側と正極容器3との間隔が小
さくなり、正極室5内の下側に溜まった正極活物質14
の一部である多硫化ナトリウムが、充電末においても多
孔質導電材12や多孔質材13と接触し易くなって、充
電特性が向上する。
【0158】また、正極容器3の断面横方向が長軸方
向、即ち、楕円の長径方向となっているために正極室5
内の横方向の体積が大きく、放電が進んで正極活物質1
4の一部である多硫化ナトリウムの体積が増加しても液
面高さは小さくなり、図5で示される固体電解質袋管1
の中心軸B−B’の下側と正極容器3との間の正極室5
の内容積を、上記中心軸の上側と正極容器3との間の正
極室5の内容積よりも大きくした構造の場合と同様に、
正極室5内の多硫化ナトリウム液面と接触する多孔質導
電材12の面積は小さく保たれて、多孔質導電材12中
で生成した多硫化ナトリウムが容易に正極室5内の空間
に放出され、充電特性が向上する。
【0159】〔実施例 6〕図6は本実施例によるナト
リウム二次電池の構造を示す断面図である。図6におい
ては、正極容器3の側面は円筒形状であり、固体電解質
袋管1を水平方向や斜め方向に寝かせると共に、固体電
解質袋管1が正極容器3の中央部よりも上部に位置する
ように配置することにより、固体電解質袋管1の中心軸
B−B’の下側と正極容器3との間の正極室内容積を、
上記中心軸の上側と正極容器3との間の正極室内容積よ
りも大きくして、図4,5と同様に、ナトリウム二次電
池としてナトリウム硫黄電池を用いた場合に、放電の促
進による電池効率向上を図っている。
【0160】また、この構造においては、ナトリウム容
器8と負極容器2とが一体化されておらず、バネ80に
よって両者が接続されている。さらに、正極室5内の固
体電解質袋管1の側面に設けた集電体11の両端部を正
極容器3と接合して、集電体11の機械的強度を向上
し、後述のように集電体11で支えられる固体電解質袋
管1の信頼性を向上している。
【0161】さらに、固体電解質袋管1の側面と集電体
11との間に多孔質導電材12と多孔質材13とを設け
ると共に、多孔質導電材12として炭素繊維や炭素粒子
から成る炭素マットなどの積層体を用い、積層体を構成
する炭素マットなどの間に多孔質材13と同様にセラミ
ックスやガラスなどの繊維や粉末から成るマット状の多
孔質材131を充填している。
【0162】この多孔質材131は、多孔質材13と同
様な作用を示し、これによって、電池を寝かせた際の上
下方向の正極活物質14の移動が促進され、鉛直方向に
濃度分布や組成分布が付きにくくなって電池効率が向上
すると共に、正極活物質14が電池反応に寄与し易くな
り、電池容量が向上すると云う利点がある。
【0163】また、繊維の方向がほぼ炭素繊維マット面
に平行に向いた炭素繊維マットを用い、これを図6のよ
うに炭素繊維マットの面方向が固体電解質袋管1の側面
にほぼ垂直になるように配置することにより、多孔質導
電材12の抵抗が低減して、電池効率が向上すると云う
利点もある。
【0164】なお、図6の構造では固体電解質袋管1の
軸方向端部の多孔質導電材12’や多孔質材13’を集
電体11より外側まで延ばし、正極容器3に隣接すると
共に、集電体11の側面と正極容器3との間隙の一部に
も多孔質導電材120や多孔質材130を設けて、正極
活物質14を吸い上げるようにしたことにより、充電特
性を向上させている。
【0165】なお、図示していないが、充電特性向上の
目的のためには、多孔質材13’のみを集電体11の外
側まで伸ばしてもよく、固体電解質袋管側面1の径方向
下側に伸ばしてもよい。さらに、集電体11の径方向下
側と正極容器3との間隙の一部または全体に、多孔質導
電材120や多孔質材130を設けてもよい。また、図
示していないが多孔質材130のみを設置したり、多孔
質材130と多孔質導電材120とを混合して設置して
もよい。さらに、多孔質材13’と130との片方また
は両方を設けることもできる。
【0166】このように、固体電解質袋管1の側面下側
と正極容器3との間隔や、集電体11の径方向下側と正
極容器3との間隙の一部または全部に、多孔質導電材1
2’や120または/および多孔質材13’や130を
設けることにより、充電時に正極室5内の空間の下側に
溜まった正極活物質14が、固体電解質袋管1の側面下
側と正極容器3との間隔や、集電体11の径方向下側と
正極容器3との間隙に存在する多孔質材13’,130
や多孔質導電材12’,120と接触して吸い上げら
れ、多孔質導電材12や多孔質材13に含浸されたり、
固体電解質袋管1の表面に供給されて電池反応に寄与す
ることにより、充電容量が向上し、ナトリウム硫黄電池
の大容量化が可能となる。
【0167】なお、このためには多孔質導電材12と1
20または/および多孔質材13と130とが、集電体
11に設けた貫通部15を介して接触、あるいは、一体
化していることが望ましい。
【0168】また、集電体11の外側や、集電体11と
正極容器3との間に設ける多孔質導電材や多孔質材の性
質としては、表面張力が重要で、電気伝導性などについ
ては制限が無いため、例えば、炭素繊維を用いる場合に
は炭素化の熱処理温度を低くしたり、炭素繊維として短
繊維の集合体を用いるなどの方法により、材料のコスト
ダウンを図ることが可能となる。また、その充填密度と
しては固体電解質袋管1の側面と集電体11との間に充
填された多孔質導電材12や多孔質材13の充填密度と
同じか、あるいは、大きくすることもできるが、正極活
物質14の固体電解質袋管1近傍への移動性を考慮する
と、充填密度は比較的小さいほうが望ましい。
【0169】なお、集電体11と正極容器3との間隙の
全部または径方向下側の間隔の全部に、多孔質導電材1
20や多孔質材130を充填するよりも、集電体11の
径方向下側と正極容器3との間隙の一部に、多孔質導電
材120や多孔質材130を充填する方が、充填材料が
少なくて済み、正極室5内の空隙が広がって正極活物質
14の充填量が多くでき、電池容量増大が容易になり、
放電時に生成した多硫化ナトリウムが集電体11の径方
向下側と正極容器3との間隙へ移動することによって、
放電時の電気化学反応が円滑に進み易くなるなどの理由
から好ましい。
【0170】また、集電体11に貫通部15を設ける代
わりに、集電体11の端部と正極容器3や絶縁リング6
との間隙を通って正極活物質14を移動させる場合に
は、図6のように、多孔質導電材の一部12’や多孔質
材の一部13’を集電体11よりも外側まで延ばすこと
が望ましい。
【0171】また、ナトリウム硫黄電池の充放電特性を
向上するためには、図6のように固体電解質袋管1の側
部と集電体11との間に充填された多孔質導電材12の
径方向下側の厚さを、径方向上側または/および径方向
横側の厚さよりも大きくすることが望ましい。こうする
ことで、多孔質導電材12の径方向下側と正極容器3と
の間隔が小さくでき、充電が進行しても正極活物質14
の液面が多孔質導電材12の下部と接触するために、充
電が可能で電池容量が大きくできると云う利点がある。
【0172】なお、この場合でも、集電体11の径方向
下側と正極容器3との間隙の一部または全部に、多孔質
導電材120や多孔質材130を設けたり、固体電解質
袋管1の軸方向端部の多孔質導電材12’や多孔質材1
3’を集電体11より外側まで延ばしたりして、充電特
性を一層向上することができる。
【0173】また、図6のように集電体11の側面を径
方向下部に延ばして正極容器3との間隔を狭くし、固体
電解質袋管1の側面下部と集電体11の側面との間に多
孔質材131を充填することにより、正極容器3の側面
下部に存在する多硫化ナトリウムを多孔質材131で吸
い上げて、多孔質導電材12や固体電解質袋管1に供給
することにより充電特性を向上し、電池容量を増大する
こともできる。
【0174】ここで、ナトリウム硫黄電池においては、
放電によって生成する多硫化ナトリウムの比重が硫黄よ
りも大きいため、放電の進行に伴って多硫化ナトリウム
が多孔質導電材12内の鉛直方向下側に垂れ下がり、逆
に硫黄が上側に上って、正極活物質14に濃度分布を生
じ、その結果、内部起電力分布に基づく循環電流によっ
て効率が低下し易い傾向がある。
【0175】この問題に対しては、前述のように固体電
解質袋管1を横向きにした際の側面下側と集電体11の
側面との間に存在する多孔質導電材12、即ち、炭素繊
維集合体や炭素粉末集合体の径方向下側の厚さを上側ま
たは/および横側よりも大きくすると、炭素と硫黄とが
濡れ易いために、下側の炭素繊維集合体や炭素粉末集合
体の体積が大きい分、含浸される下側の硫黄の量が上側
または/および横側よりも多くなる。この結果、硫黄よ
りも比重の大きい多硫化ナトリウムが放電の際に生成し
て、重力で鉛直方向下側へ移動しても、炭素繊維集合体
や炭素粉末集合体内に含まれる硫黄と多硫化ナトリウム
との含有量の比に上下差が付きにくくなり、正極室5内
の鉛直方向の起電力分布の発生を抑えて、電池効率を高
く保つことができる。
【0176】なお、この場合、放電の初期では下側の硫
黄の含有比率が比較的大きくなるが、ナトリウム硫黄電
池においては、正極活物質14中に硫黄が存在している
間は起電力は一定である。一方、正極活物質14が全て
多硫化ナトリウムに成った後は、放電が進んでも反応生
成物の比重はほとんど変化しない。このため、放電中に
硫黄と多硫化ナトリウムが上下へ移動することを考慮し
て、放電時に多孔質導電材12内でほぼ同時に硫黄が全
て消費されて多硫化ナトリウムに変化するように、上か
ら横、横から下へ進むに従って、多孔質導電材12の径
方向の厚さが順次厚くなる様に制御することが特に望ま
しい。
【0177】上記の構造により、放電時の正極室5内の
起電力分布発生を抑え、電池効率を特に向上できる。即
ち、多孔質導電体12の径方向下側の厚さが上側または
/および横側よりも厚ければ、その結果、放電時の多孔
質導電材12内の正極活物質14の組成が均一化され、
電池効率向上の効果が得られる。
【0178】〔実施例 7〕図7は本実施例によるナト
リウム二次電池の構造を示す断面図である。図7におい
ては、固体電解質袋管1の内側に設けられた負極室4内
は真空引きされており、内部にナトリウム7と共に金属
繊維や炭素繊維などから成る多孔質材料70が設置され
ており、ナトリウム7はこの多孔質材料70に含浸され
て、固体電解質袋管1の表面へ供給される。
【0179】また、負極容器2には円筒状の集電体20
が設けられており、集電体20をナトリウム7や多孔質
材料70と接触させて電気的に接続している。
【0180】一方、固体電解質袋管1の外側に設けられ
た正極容器3としては、図6と同様に円筒状のものが用
いられ、図示するように固体電解質袋管1を斜めに傾け
て横置きすることにより、充電特性の向上を図ってい
る。
【0181】即ち、図7はナトリウム二次電池の一例で
あるナトリウム硫黄電池の充電末の状態を示している
が、正極活物質14である多硫化ナトリウムの液面14
1が、多孔質導電材12や多孔質材13と接触している
うちは、多孔質導電材12や多孔質材13の表面張力に
よって、多硫化ナトリウムが吸い上げられ、充電が進行
する。なお、140は硫黄の液面である。
【0182】また、多硫化ナトリウムが電気分解されて
生成したナトリウムイオンが負極室4内へ移動し、多硫
化ナトリウムの液面141が低下して、多孔質導電材1
2の下側端部に接触しなくなった段階で、ナトリウム硫
黄電池の充電は終了する。
【0183】このため、図示するように、固体電解質袋
管1、即ち、ナトリウム硫黄電池を斜めに傾けると共
に、多孔質導電材12や多孔質材13の軸方向下側端部
を正極室5の軸方向中央部C−C’よりも下側に、即
ち、図7では固体電解質袋管1の底部に近い所に位置す
ることにより、多硫化ナトリウムの液面141が多孔質
導電材12や多孔質材13の軸方向下側端部に接触し易
くなる。
【0184】なお、図7とは逆向きに固体電解質袋管1
を斜めに傾けた場合には、多孔質導電材12や多孔質材
13の軸方向下側端部は図7とは逆方向となり、この軸
方向下側端部を正極室5の軸方向中央部C−C’よりも
下側、即ち、固体電解質袋管1の底部から遠い所に位置
することが望ましい。この結果、充電終了時における正
極室5内の多硫化ナトリウムの容積が、固体電解質袋管
1を水平方向に傾けた場合に比べて小さくなって充電が
深くまで進行し、充電容量が向上してナトリウム硫黄電
池の容量が増加する。
【0185】なお、図7においては、固体電解質袋管1
の中心軸B−B’の下側と正極容器3との間の正極室内
容積を、上記中心軸の上側と正極容器3との間の正極室
内容積とほぼ等しくしてあるが、この充電容量向上の効
果は図4〜6のように、固体電解質袋管1の中心軸のB
−B’の下側と正極容器3との間の正極室内容積を、上
記中心軸の上側と正極容器3との間の正極室内容積より
も大きくした場合にも実現される。即ち、固体電解質袋
管1を斜め方向に横置きして配置することにより、水平
方向に横置きした場合に比べて充電容量が向上し、正極
活物質14の充填量が同じ場合にも電池容量が向上す
る。
【0186】但し、固体電解質袋管1を斜めに傾けた場
合には、水平方向に傾けた場合に比べて電池の高さが高
くなって、電池内に起電力分布を生じ、電池の効率が低
下する問題が起こり易くなるため、斜めに傾ける場合の
角度は45度以下、望ましくは多孔質導電材12や多孔
質材13の鉛直方向の高さを15cm以下にする必要が
ある。
【0187】なお、図5,6においては、集電体11の
径方向下側と正極容器3との間に多孔質導電材12’,
120や多孔質材13’,130を設けて、充電容量向
上を図っているが、これらの構造においても固体電解質
袋管1を斜めに傾けることにより、正極室5内の空間の
下側に存在する正極活物質14が、多孔質導電材12や
多孔質材13と接触し易くなって、充電容量がさらに向
上すると云う利点がある。
【0188】一方、図7の構造では、集電体11と正極
容器3との間隔に多孔質導電材や多孔質材を充填しなく
ても充電特性が向上するために、電池の構成材料の低減
と製造工程の簡略化が可能となる。
【0189】また、横置きした固体電解質袋管1の機械
的信頼性を特に向上するためには、図示していないが、
円筒形状などの集電体11の径方向下側または/および
径方向上側を、正極容器3と接触,接合または押し出し
成形などで一体化することが望ましい。こうすること
で、水平置きや斜め置きした際に、固体電解質袋管1に
加わるモーメントなどの荷重が多孔質導電材12や多孔
質材13を介して集電体11で支持され、ナトリウム二
次電池の機械的信頼性が向上する。
【0190】ここで、円筒形状の集電体11の径方向下
側を正極容器3と接触、接合または一体化することが特
に望ましく、この結果、正極活物質14の一部である多
硫化ナトリウムなどが、集電体11と固体電解質袋管1
との間に設置された多孔質導電材12や多孔質材13と
接触し易くなって、充電特性が向上すると共に、機械的
信頼性が向上する。
【0191】また、横置きした固体電解質袋管の荷重を
支えるためには、集電体の径方向下側を正極容器と接触
するか、集電体の径方向下側または/および上側と正極
容器とを接合または一体化することが望ましい。特に、
地震や運搬時の振動、あるいは、運搬時の衝突事故など
によって電池に大きな加速度が加わった場合でも、多孔
質導電材12や多孔質材13がクッションとなり、固体
電解質袋管1の故障を防ぎ、ナトリウム二次電池の機械
的信頼性を高めることができる。
【0192】なお、同様な効果は、集電体11を設けず
に、固体電解質袋管1と正極容器3との間に多孔質導電
材や多孔質材を充填して電池を横置きした場合にもある
程度実現できるが、本発明においては、集電体11が設
けられているために、同じ電池容量であっても固体電解
質袋管1に近接した多孔質導電材12や多孔質材13の
厚さが比較的薄くでき、固体電解質袋管1を支持し易く
なったり、逆に多孔質導電材12や多孔質材13の厚さ
が同じ場合には電池容量が大きくでき、その結果、ナト
リウム二次電池の機械的信頼性の向上と電池容量の向上
との両立が可能となる。
【0193】さらに、図5,6のように、集電体11の
径方向下側と前記正極容器3との間に支持体を設置し、
集電体11を支えることによっても、ナトリウム二次電
池の機械的信頼性を向上できる。
【0194】ここで、支持体としては金属,ガラスある
いはセラミックス製のものを用いて、集電体11と正極
容器3との間に設置してもよいが、図5,6に示された
多孔質導電材120や多孔質材130の充填密度を高め
て、支持体として用いることが、機械的信頼性向上と共
に充放電特性向上の両立が可能となるために望ましい。
【0195】また、集電体11を構成する材料をAlや
Al合金と、SUSなどとのクラッド材にしたり、集電
体11の側面外部をSUSのバンドで固定するなどし
て、集電体11の機械的強度を増すことも、固体電解質
袋管1の支持のためには有効である。ここで、クラッド
材を用いる場合、SUSを内側にして多孔質導電材12
と接触させてもよいし、アルミニウムを内側にして、表
面に設けた耐食性導電層を介して多孔質導電材12と接
触させてもよい。
【0196】なお、図4〜6においては、負極室4内の
固体電解質袋管1の側面に隣接してナトリウム容器8が
設けられているために、電池運搬時の衝突事故などの衝
撃で、固体電解質袋管1とナトリウム容器8とが衝突す
ると、固体電解質袋管1が破損する可能性がある。これ
を避けるためには、ナトリウム容器8と固体電解質袋管
1との直接接触を避けて、横置きした固体電解質袋管1
の荷重やモーメントを、多孔質導電材12や多孔質材1
3を介して集電体11で支えることが望ましい。さら
に、ナトリウム容器8として、比較的剛性の小さいAl
製やAl合金製のものを用いることが望ましい。
【0197】また、図4〜7に示した本発明のナトリウ
ム二次電池の構造においては、正極の抵抗は、主に集電
体11と多孔質導電材12および多孔質材13,131
で決まり、固体電解質袋管1の側面と集電体11との間
隔を小さくすることによって、多孔質導電材12の径方
向の抵抗を小さくでき、電池効率が向上すると共に、集
電体11と正極容器3との間隔を広げて正極室5内の容
積を大きくすることで、電池の大容量化が達成される。
【0198】さらに、正極容器3の側面形状が変わって
も電池の抵抗はほとんど変化しないため、固体電解質袋
管1を水平方向や斜め方向に寝かせた場合に、電池の外
側に存在する正極容器3の上下面または/および側面
を、例えば、図4のように平行平面形状にしたり、望ま
しくは、図5のように上下面と共に側面を平行平面形
状、即ち、正極容器3の側面を直方体形状にすることが
できる。
【0199】ここで、正極容器3の上下面を平行平面形
状、即ち、水平形状にすることにより、電池を横置きし
た際に、設置した電池が移動しにくくなって姿勢の安定
性が向上すると共に、モジュールを構成する保温容器内
への複数個のナトリウム二次電池の収納時に、上下に積
層した電池間の間隔や保温容器と電池との上下方向の間
隔が小さくでき、電池の充填密度が向上して、モジュー
ルのエネルギー密度が増大する利点がある。
【0200】また、正極容器3の側面を平行平面形状に
することにより、保温容器内に収納した電池間の横方向
の間隔や、保温容器と電池との横方向の間隔が小さくで
き、モジュールのエネルギー密度が向上する。なお、モ
ジュールのエネルギー密度を特に向上するためには、正
極容器3の側面を直方体形状にすることが望ましい。こ
うすることによって、上下方向だけでなく、横方向の電
池間の間隔や保温容器との間隔を小さくできる。なお、
図示していないが、負極容器2や絶縁部材6の外面を直
方体形状にしたり、上下面または/および側面を平行平
面形状にしたりしてもよい。
【0201】また、正極容器3の機械的強度を向上する
には、図示していないが、直方体形状の角部をR形状に
したり、上下面を平行平面形状、側面を半円形状や半楕
円形状にして、角部への応力集中を避けることが望まし
い。
【0202】さらに、正極容器3や負極容器2としてA
lやAl合金を用いる場合、平面形状の上下面や側面が
内外圧の差によって、クリープ変形する可能性がある。
これを避けるためには、正極室5内の正極活物質14の
蒸気圧と不活性ガスなどのガス圧との和や負極室4内の
ガス圧が、運転時に大気圧とほぼ一致するように制御す
る。また、正極容器3や負極容器2としてSUSなどと
のクラッド材を用いることもできる。
【0203】あるいは、正極室5内や負極室4内のガス
圧が大気圧より高い場合には、正極容器3や負極容器2
の外側にSUSや炭素鋼,Al合金などを、ガス圧が大
気圧より低い場合には、正極容器3や負極容器2の内側
にSUS,Al合金や耐食層を設けた炭素鋼などの補強
材を設置して、正極容器3や負極容器2の変形を防止す
ることが望ましい。
【0204】また、クリープ変形防止のために、正極容
器3や負極容器2の断面形状を楕円形や円形にすること
が特に望ましい。こうすることによって、大気圧と電池
容器内部の圧力との差による正極容器3や、負極容器2
に加わる応力が低減でき、クリープ変形防止が容易とな
る。
【0205】さらに、図5で既述したように、図示して
いないが正極容器3の断面を楕円形状として、断面の短
軸方向、即ち、楕円の短径方向が上下方向になるよう
に、固体電解質袋管1を横置きすることが望ましい。こ
うすることにより、正極室5内の下側に溜まった正極活
物質14の一部である多硫化ナトリウムが、充電末にお
いても多孔質導電材12や多孔質材13と接触し易くな
って、充電特性が向上すると共に、放電が進んで正極活
物質14の一部である多硫化ナトリウムの体積が増加し
ても、正極室5内の多硫化ナトリウム液面と接触する多
孔質導電材12の面積は小さく保たれて、多孔質導電材
12中で生成した多硫化ナトリウムが容易に正極室5内
の空間に放出され、充電特性が向上すると云う利点が得
られる。
【0206】さらに、図4〜7においては、ナトリウム
二次電池、即ち、固体電解質袋管1を水平方向や斜め方
向に寝かせた構造となっているため、普通に用いられる
様に軸方向の長さが直径よりも大きい固体電解質袋管1
を用いた場合、電池の鉛直方向の高さが小さくなり、正
極室5内の上下方向に重力による正極活物質14の濃度
分布や組成分布が起こりにくくなって、電池内の起電力
分布に基づく循環電流が押さえられ、結果として電池の
効率が向上する。
【0207】ここで、固体電解質袋管1を斜めにした場
合、固体電解質袋管1の軸方向と水平方向との角度を±
45度以下として電池の高さを低減すること、または、
表面張力による正極活物質14の吸い上げ高さを考慮
し、多孔質導電材12や多孔質材13の鉛直方向の高さ
を15cm以下にすることが望ましい。なお、電池効率
の向上を目的に電池の鉛直方向の高さを小さくするため
には、固体電解質袋管1を水平設置することが特に望ま
しい。
【0208】また、この効果は単電池を大型化するため
に固体電解質袋管1の長さを大きくした場合に特に顕著
で、本発明の構造により、電池の大型化、即ち、大容量
化と効率向上との両立が可能である。
【0209】なお、固体電解質袋管1は、長さを直径よ
りも大きくすることにより、固体電解質袋管1の内容積
と表面積との比を比較的小さくすることができる。この
結果、直径が長さと同程度または直径の方が大きい固体
電解質袋管を用いた場合に比べて、同じ時間内で運転し
た際の固体電解質袋管1の表面積当りの電流密度を小さ
くすることができ、その結果、(電流×内部抵抗)で与
えられる電圧低下が小さくなって、電池効率を大きくで
きると云う利点がある。
【0210】具体例として、図4に示すように、固体電
解質袋管1としてリチウムドープのβ''アルミナ焼結体
からなる外径約60mm×長さ約600mm×肉厚約
1.5mmの円筒状袋管を用いた。
【0211】また、負極容器2,正極容器3およびナト
リウム容器8の材料にはAl合金を、集電体11には貫
通部15を設けたAl合金の胴部表面にクロムやクロム
合金を溶射またはメッキしたものを用い、軸方向に垂直
な断面が台形形状の正極容器3と接続した。
【0212】一方、絶縁部材6としては、α−アルミナ
焼結体リングを用い、固体電解質袋管1の開口部とガラ
ス接合した後、絶縁部材6の表面に負極容器2,正極容
器3の端部を配置し、Al−Si系の合金箔を用いて、
負極容器2,正極容器3の端部と絶縁部材6とを熱圧接
した。次に、ナトリウム容器8内にナトリウム7と約
0.01MPaのArガス9を充填し、このガス圧でナ
トリウム7がナトリウム容器8の側面に設けた貫通孔1
0を通って、固体電解質袋管1の内表面を覆うようにし
た。
【0213】一方、固体電解質袋管1の側面と集電体1
1との間には、径方向の厚さが約9mmのリング状のP
AN系炭素繊維マットから成る多孔質導電材12を積層
して充填すると共に、アルミナ繊維集合体から成る厚さ
約0.3mmの多孔質材13を充填し、正極活物質14
として硫黄を含浸し、ナトリウム硫黄電池を作製した。
なお、この構造においては、ナトリウム容器8に設けた
貫通孔10が下側になるような向きで電池を水平に寝か
せた際の、固体電解質袋管1の中心軸B−B’の下側と
正極容器3との間の正極室内容積は、上記中心軸の上側
と正極容器3との間の正極室内容積の約4倍である。
【0214】得られたナトリウム硫黄電池を水平に寝か
せて330℃で運転した結果、正極室5内の正極活物質
14の大部分が電池反応に関与して、該電池容量は約2
200Ahと大きく、かつ、内部抵抗は約1mΩと小さ
くでき、大容量化と高効率化の両立が可能となった。な
お、この電池においては、集電体11を用いることによ
って、固体電解質袋管1を大きくすることなく正極容器
3を大きくして、電池の大容量化が可能となり、低コス
ト化を図る上でも好適である。
【0215】〔実施例 8〕図8は本実施例のナトリウ
ム二次電池の構造例を示す断面図である。図において、
ナトリウムイオン導電性の固体電解質1には、β型や
β”型のベータアルミナセラミックスから成る袋管や、
平板状の固体電解質が用いられる。
【0216】負極容器2、正極容器3は固体電解質1と
共にそれぞれ負極室4、正極室5を構成し、その材料と
してはAl合金やFe合金、SUSまたはこれらの表面
にCrやMo、Ti、Si、Cなどを主体とする耐食層
を設けたものや、AlとSUS等とのクラッド材が用い
られる。一方、絶縁部材6は負極容器2と正極容器3と
を絶縁分離すると共に、これらと接合される。
【0217】また、絶縁部材6には普通αアルミナセラ
ミックスを用い、図示されていないが固体電解質1とガ
ラス接合されているが、αアルミナやマグネシウムアル
ミニウムスピネルなどのセラミックスを用いて、固体電
解質1と一体焼結することも可能である。
【0218】また、負極容器2や正極容器3と絶縁部材
6との接合には、AlやAl合金を接合材として用い、
接合材の液相線温度以下や固相線温度以下に加熱して、
加圧接合する熱圧接法が一般に行われている。
【0219】液体のナトリウム7は負極室4内に設置さ
れたSUS製やAl製などのナトリウム容器8に収納さ
れ、図8ではナトリウム容器8は固体電解質1の表面に
隣接して設置され、固体電解質破損時の安全性を確保す
るための安全管の役目を果たしている。また、ナトリウ
ム容器8は負極容器2と一体化され、ナトリウム7は重
力やナトリウム容器8内に収納された窒素ガスやArガ
スなどの不活性ガスの圧力で押され、ナトリウム容器8
の下部に設けた貫通孔10を通って、固体電解質1の表
面へ供給される。なお、ナトリウム容器8と負極容器2
とを分離した構造でもよい。
【0220】さらに、正極室5内へ設けた金属板19
は、正極容器3と類似の金属材料で構成され、図8では
金属板19は筒状の構造を有し、正極容器3と端部で接
合されて、正極容器3との間に活物質収納室18が形成
されている。
【0221】また、正極活物質14は金属板19の下部
に設けた貫通部30を通して、活物質収納室18の内外
を行き来している。即ち、電池の充電時には、活物質収
納室18内の正極活物質14は、活物質収納室18内に
収納した窒素ガスや不活性ガスの圧力によって貫通部3
0を通って固体電解質1の表面に供給される。
【0222】一方、放電時には、固体電解質1を通って
負極室4からナトリウムイオンが供給されるため、正極
活物質14の体積が増え、これによる圧力増加によって
正極活物質14が固体電解質1の表面近傍から活物質収
納室18内へ移動する。
【0223】なお、ナトリウム硫黄電池の場合、正極活
物質14としては硫黄や多硫化ナトリウムが用いられ、
一方、ナトリウム硫黄電池以外のナトリウム二次電池に
おいては、正極活物質14としては硫黄、セレン、テル
ルの元素やこれらの塩化物、金属塩化物(金属はAl、
Ni、Feなど)が用いられる。
【0224】また、多孔質導電材12は固体電解質1の
表面に隣接して設けられ、一般には1200〜2000
℃で加熱されたPAN系やピッチ系の炭素繊維、または
/および、炭素粒子の集合体などの多孔質導電材が用い
られ、正極活物質を含浸して電池反応を促進している。
【0225】さらに、ナトリウム硫黄電池においては、
普通、固体電解質1と多孔質導電材12との間に多孔質
材13が設けられる。この多孔質材13はアルミナなど
のセラミックスやガラスの繊維や粒子の集合体から構成
され、イオン導電性の正極活物質14を含浸する性質を
持ち、ナトリウム硫黄電池などの充電時の抵抗上昇を抑
え、電池の充放電特性を改善する。なお、多孔質材13
内に多孔質導電材12と同様の多孔質導電材を混合、あ
るいは、多孔質導電材12内に多孔質材13と同様な多
孔質材を混合できる。
【0226】また、図8においては、金属板19は集電
体の役目も有し、正極容器3と電気接続され、多孔質導
電材12を行き来する電子を集めたり、電子を送ったり
する働きを有する。ここで、金属板19としてAl合
金、Fe合金やSUSを用い、多孔質導電材12に接し
た表面にCr、Mo、Ti、Si、Cなどを主体とする
耐食層を設けることが望ましい。
【0227】一方、絶縁部材6と負極容器2、正極容器
3との接合部に設けた耐熱鋼板60は、例えばフェライ
ト系やオーステナイト系などのSUSや、鉄を主成分に
Crを1〜10%程度、又は、Crを1〜10%程度と
Moを0.2〜1%程度、または/および、Siを0.
3〜3%程度含んだ合金で構成される。
【0228】こうして、負極容器2、正極容器3にAl
やAl合金を用いた場合、絶縁部材6との接合部とは反
対側の負極容器2、正極容器3の表面に耐熱鋼板60を
接合することで、負極容器2、正極容器3と絶縁部材6
との熱膨張率差に基づく接合部の応力緩和を果たしてい
る。なお、このためには、熱膨張率が比較的小さいこ
と、電池運転温度でも錆びにくいこと、材料が安価であ
ることを考慮して、耐熱鋼板60を選ぶことが望まし
い。こうした耐熱鋼板60を設けることにより、Alや
Al合金製の負極容器2や正極容器3の絶縁部材6との
接合信頼性を向上することができる。
【0229】図8に示すように、本発明のナトリウム二
次電池は、正極室5内の固体電解質1から離れた位置に
活物質収納室18が設けられており、放電時には負極室
4から移動してきたナトリウムイオンによって体積増加
した正極活物質14を、活物質収納室18の外部から内
部へ移動し、正極室5内の正極活物質14の体積増加に
対処する。一方、充電時には活物質収納室18に収納さ
れたガス圧によって活物質収納室18内に存在する正極
活物質14を外部へ押し出して、固体電解質1表面に接
触する正極活物質14の高さを高める役割を果たしてい
る。
【0230】これらの結果、従来構造の電池では問題と
なっていた充電末期に正極活物質14の液面高さが低下
し、正極室5上部の固体電解質1が電池反応に関与でき
なくなるという問題が回避できる。
【0231】また、電池構造としては、正極室5内に金
属板19を設けて活物質収納室18を形成するだけでよ
いので、電池設備が不必要に大型化されることがなく、
電池外部にポンプやガスボンベを設けたり、正極室5内
にヒータを設けたりして、電池外部から活物質の移動を
制御する従来方法に比べて、構造簡素化や小型化による
コストダウンが可能となる。
【0232】なお、充放電を円滑に行うためには、放電
末期での正極活物質14の体積増加を考慮して活物質収
納室18の体積を設計すると共に、充電末期での正極活
物質14の必要液面高さを考慮して、活物質収納室18
内のガス圧を適切に設計する必要がある。
【0233】ここで、活物質収納室18にガスを充填す
るためには、電池組み立て時に外部からガスを供給して
も良いし、活物質収納室18内にアジ化ナトリウムを設
置し、電池運転のための昇温時にアジ化ナトリウムを熱
分解して窒素ガスを発生させてもよい。
【0234】また、図示したように、固体電解質1の表
面に隣接して多孔質導電材12や多孔質材13が設置さ
れた場合にも、活物質収納室18から正極活物質14が
押し出されて正極活物質14の液面が上昇するために、
多孔質導電材12や多孔質材13による正極活物質14
の吸い上げの必要高さが小さくなる。この結果、電池が
大型化されて重力の影響が大きくなっても、多孔質導電
材12や多孔質材13に均一に正極活物質14が含浸さ
れ、正極活物質14の上下方向の濃度分布が小さくなっ
て、電池効率を高く保つことができる。
【0235】ここで固体電解質1の表面に隣接した正極
活物質14の上部液面高さが、多孔質導電材12や多孔
質材13の上部高さと等しいか、これより高いことが望
ましい。この場合には多孔質導電材12や多孔質材13
中の正極活物質14の濃度分布が均一になり易く、その
結果、電池の内部抵抗が低減し、電池効率が向上する。
【0236】なお、多孔質導電材12や多孔質材13
は、その表面張力によって正極活物質14を上部へ引き
上げる作用を有するため、活物質収納室18から放出さ
れる正極活物質14によって、固体電解質1の表面に隣
接した正極活物質14の液面を高めれば、多孔質導電材
12や多孔質材13の高さより液面が低くても、活物質
収納室18内のガス圧によって液面が上昇した分、電池
の効率が向上する。
【0237】なお、ナトリウム硫黄電池の場合には、正
極活物質14は硫黄と多硫化ナトリウムとから成り、多
孔質導電材12として用いる炭素集合体が硫黄と濡れ易
く、多孔質材13として用いるセラミックスやガラス材
は、多硫化ナトリウムに濡れ易い性質を持つ。
【0238】また、充電末には正極活物質14の大部分
は硫黄で、放電末には正極活物質14の大半あるいは全
部が多硫化ナトリウムとなることが一般的である。この
場合、放電時には固体電解質1を通して正極室5内に侵
入したナトリウムイオンが、炭素集合体から成る多孔質
導電材12に含浸された硫黄と反応して多硫化ナトリウ
ムを生成し、該多硫化ナトリウムはセラミックスやガラ
ス材から成る多孔質材13を介して移動して、活物質収
納室18内へ収納される。
【0239】また、正極室5内の硫黄は炭素集合体から
成る多孔質導電材12に含浸されて、放電反応が進行す
る。この場合、電池の放電抵抗低減のためには、少なく
とも放電開始時、即ち、充電末期において、固体電解質
1の表面に隣接した硫黄の液面が、炭素集合体から成る
多孔質導電材12の上部高さと等しいか、これより高い
ことが望ましい。
【0240】一方、充電時には、正極室5内の多硫化ナ
トリウムが電気分解し、ナトリウムイオンが固体電解質
1を通って負極室4内へ移動すると共に、生成した硫黄
が炭素集合体から成る多孔質導電材12に含浸される。
また、活物質収納室18内の多硫化ナトリウムは重力や
ガス圧によって外部へ押し出され、セラミックスやガラ
ス材から成る多孔質材13に含浸されて、充電反応が進
行する。この場合、電池の充電抵抗低減のためには、少
なくとも充電開始時、即ち、放電末期における多硫化ナ
トリウムの液面高さが、セラミックスやガラス材から成
る多孔質材13の上部高さと等しいか、これより高いこ
とが望ましい。
【0241】なお、充放電中における正極室5内の正極
活物質14の体積は、一般に放電末期が最も大きく、充
電末期が最も小さいため、充放電時の電池抵抗を低減し
て電池効率を高めるためには、活物質収納室18内の窒
素ガスや不活性ガスのガス圧によって、固体電解質1の
表面に隣接した充電末期の正極活物質14の液面高さ
を、多孔質導電材12や多孔質材13の高さと等しい
か、これより高くすることが特に望ましい。
【0242】また、図8においては、絶縁部材6の近傍
の正極容器3にベローズ31を設け、電池降温時に正極
活物質14が固化した際の、固体電解質1と正極容器3
との熱収縮差に基づく引張り応力を緩和し、正極容器3
と絶縁部材6との接合部の信頼性を高める役目を果たし
ている。このためには正極活物質14の固化時に固体電
解質1近傍の正極活物質14の液面をベローズ31より
低くして、正極活物質14の固化によってベローズの剛
性が増加することを防ぐことが望ましい。
【0243】ここで、活物質収納室18内に窒素ガスや
アルゴンガスなどの不活性ガスを収納して、ガス圧で活
物質収納室18内の正極活物質14を固体電解質1の表
面へ送ることができる電池構造が有効である。この構造
によれば、電池動作温度において上記ガス圧によって正
極活物質14の液面がベローズ31に接触していても、
冷却時には温度低下に伴い上記ガス圧が低下するので、
正極活物質14が活物質収納室18内へ移動し、正極容
器3に隣接した正極活物質14の液面をベローズ高さよ
りも低下させることができる。
【0244】この結果、電池運転時に正極活物質14の
液面を高めて充放電時の電池抵抗を低減すると共に、電
池温度低下時に正極活物質14によるベローズ31の剛
性増加を抑制して、接合部の信頼性向上が可能となる。
なお、この目的のためには、電池温度の低下を正極室5
内の正極活物質14の体積が小さい充電末期に行なうこ
とが望ましい。
【0245】〔実施例 9〕図9は本実施例のナトリウ
ム二次電池の別の構造を示す断面図である。図9では、
固体電解質1の外側に負極室4が設けられており、負極
容器2が固体電解質1の表面に隣接して設置され、固体
電解質破損時の安全性を高めている。
【0246】また、ナトリウム容器8は負極容器2と分
離されており、ナトリウム7はナトリウム容器8内のガ
ス圧に押され、貫通孔91、92を通って、固体電解質
1の表面へ供給される。
【0247】一方、正極室5は固体電解質1から成る袋
管の内側に設けられ、筒状の金属板19によって活物質
収納室18が設けられており、金属板19と固体電解質
1との間には多孔質導電材12や多孔質材13が設置さ
れ、金属板19は正極容器3に電気接続されて集電体の
役目も果たしている。
【0248】また、正極活物質14は、放電時には活物
質収納室18内へ移動し、充電時にはガス圧によって活
物質収納室18から押し出されて、活物質収納室18の
底部を通って移動し、固体電解質1の表面に隣接する正
極活物質14の液面の高さを高めている。この場合に
も、固体電解質1の表面に隣接した正極活物質14の液
面高さを多孔質導電材12や多孔質材13の上面高さと
等しいか、これより高くすることにより、電池効率が特
に向上する。
【0249】〔実施例 10〕図10は、本実施例のナ
トリウム二次電池の別の構造例を示す断面図である。図
10においては、固体電解質1として平板を用い、活物
質収納室18を電池の外側に設けた。放電時には体積増
加によって正極活物質14が活物質収納室18内へ移動
し、充電時には、重力または活物質収納室18に収納し
た窒素ガスや不活性ガスのガス圧によって正極活物質1
4が固体電解質1の表面へ供給される構造となってい
る。なお、この構造においては、多孔質導電材12の一
部が活物質収納室18の上部まで延びていて、その表面
張力によって正極活物質14の移動を促進しているが、
場合によっては多孔質材13、あるいは、多孔質導電材
12と多孔質材13とを活物質収納室18の上部まで伸
ばしても良い。
【0250】また、この構造では多孔質導電材12、多
孔質材13のうちで固体電解質1に隣接した部分は電池
の下部に存在するため、正極活物質14の液面は容易に
固体電解質1に隣接した多孔質導電材12や多孔質材1
3の高さよりも高くなり、この部分の多孔質導電材12
や多孔質材13に含浸された正極活物質14の濃度分布
の均一化が達成できる。即ち、活物質収納室18にガス
を充填しなくても、重力によって正極活物質14が固体
電解質1に隣接した多孔質導電材12、多孔質材13や
固体電解質1へ供給でき、この結果、電池製造工程の簡
略化が可能である。
【0251】さらに、金属板19は省略されていて、正
極容器3の一部と絶縁部材6によって活物質収納室18
を形成することにより、電池構造の簡略化を達成してい
る。また、この場合には電池底部の正極容器3が集電体
の役目を果たしている。
【0252】このように、本発明のナトリウム二次電池
においては、固体電解質1から離れた位置に設けた活物
質収納室18から正極活物質14が押し出されて、固体
電解質1の表面に隣接する正極活物質14の液面が高く
保たれるため、電池反応に関与する固体電解質1の面積
が大きくなり、固体電解質1の表面に隣接した多孔質導
電材12や多孔質材13に含浸された正極活物質14の
濃度分布が均一になって、結果として、電池の内部抵抗
が低減して、電池効率が向上する。
【0253】さらに、これらの構造においては、正極室
5内の固体電解質1から離れた位置に活物質収納室18
が設けられているために、固体電解質1と図8、図9の
金属板19から成る集電体との間に存在する多孔質導電
材12の厚さが、従来の電池のように固体電解質1と正
極容器3との間に多孔質導電材12を充填した場合に比
べて低減され、多孔質導電材12の抵抗が小さくでき
て、電池効率が向上するという利点もある。
【0254】また、活物質収納室18を固体電解質1の
外側に設けて、そこから正極活物質14を固体電解質1
の表面へ送ることができるため、活物質収納室18の容
積を大きくすることによって電池容量が大きくできる。
【0255】このようにして、固体電解質1の寸法を大
きくしなくても、電池の大容量化が容易に実現され、か
つ、電池抵抗が低減するため、電池の低コスト化の決め
手となる大容量化と効率向上との両立が可能となる。さ
らに、正極活物質14の移動は、充放電によって電池内
部で自動的に制御され、外部に正極活物質移動制御のた
めの装置を設ける必要がないために、電池の運転制御が
簡単で、かつ、電池構造が簡素化され、コスト低減や電
池システムの小型化が可能である。
【0256】ここで、ナトリウム二次電池がナトリウム
硫黄電池の場合には、電池内に含まれる硫黄とナトリウ
ムとの原子数の比を2以上にすることが好ましい。ナト
リウム硫黄電池においては、正極室5内で電池反応に関
与する硫黄とナトリウムとの原子比が2.5以上では、
正極室5内の正極活物質14は硫黄、Na25またはこ
れらの混合物で構成され、電池の起電力は正極活物質1
4の組成によらず一定である。
【0257】また、これより放電が進んで正極室5内の
ナトリウム原子数が増える(硫黄とナトリウムとの原子
比が低下する)につれ、正極活物質14の組成はNa2
4、Na23と変化し、これにつれて起電力が低下す
る。電池効率は電池の起電力と内部抵抗によるオームロ
スによって決まるため、硫黄とナトリウムとの原子比が
低下するにつれて、電池効率が低下する。
【0258】また、放電が進んで正極活物質14の組成
がNa24やNa23に変化するにつれて、正極活物質
14による正極容器3の腐食が進み易くなり、電池の寿
命が短くなる。このため、正極室5内で電池反応に関与
する硫黄とナトリウムとの原子比が2.5以上で電池を
運転することがより望ましい。
【0259】ここで、正極室5内の硫黄による正極容器
3の腐食の問題がなければ、普通、全ての硫黄が電池反
応に関与する。一方、負極室4内のナトリウム7を放電
時に全て正極室5内に移動させると、ナトリウム7によ
る負極室4内の導電パスが無くなって負極抵抗が大幅に
上昇し、その後の充電が極めて困難になるため、一般に
負極室4内に含まれるナトリウム7の約80%を放電に
使用し、残りの約20%は負極室4内に残して負極抵抗
の増加を防止している。
【0260】これらの結果、ナトリウム硫黄電池内に含
まれる硫黄とナトリウムとの原子比を2以上とし、ナト
リウムの内の約80%を放電時に正極室5内へ送って、
正極室5内で電池反応に関与する正極活物質14である
硫黄とナトリウムとの原子比を2.5以上で運転するこ
とにより、ナトリウム硫黄電池の効率向上と長寿命化が
達成される。
【0261】なお、電池を長時間運転すると正極活物質
14によって正極容器3が少しずつ腐食され、それによ
って正極室5内の硫黄の一部が電池反応に関与しなくな
る。電池を20年以上利用すると、普通正極室5内の硫
黄の約20%が腐食に使われて電池反応に関与しなくな
るため、これを考慮して20年後にも正極室5内で電池
反応に関与する硫黄とナトリウムとの原子比を高く保つ
ためには、初期における電池内の硫黄とナトリウムとの
原子比を2.5以上とすることが望ましい。
【0262】ところで、このように硫黄とナトリウムと
の原子比を大きくして、且つ、電池容量を所定の値に保
つためには、正極室5の容積を大きくする必要がある。
この場合、本発明のように活物質収納室18を固体電解
質1から離れた位置に設けて、そこから正極活物質14
を固体電解質1の表面へ送って電池反応に関与させる構
造とすることにより、活物質収納室18の容積を大きく
することのみで、固体電解質1の寸法を大きくしなくと
も硫黄の収納量を増加させることが容易に実現でき、電
池効率の向上や長寿命化、および、電池の低コスト化が
容易に達成される。
【0263】また、図8や図10に見られるように、活
物質収納室18を電池の外周部に設ける場合、活物質収
納室18の容積が同じであれば、電池の特性に影響する
ことなくその形状を変更できるため、電池効率を高く保
ったままで活物質収納容器18の外周部の形状を直方体
形状にすることが可能である。この結果、複数の電池を
集合した電池集合体や、複数の電池を保温容器などへ収
納した電池モジュールにおいて、電池間の間隔や電池と
保温容器との間隔を低減し、電池充填密度、即ち、エネ
ルギー密度を高めることができる。この結果、ナトリウ
ム二次電池を収納する保温容器の小型化が可能で、電力
貯蔵システムの小型化や設置面積の低減によるコスト低
減が可能となる。
【0264】なお、電池の大容量化のためには、負極室
4内のナトリウム7の量も多くする必要があるが、ナト
リウム7は電気抵抗が低いため、負極容器2の容積を増
してそこに収納するナトリウム7の量を多くすること
で、電池特性を損なうことなく、大容量化が可能であ
る。
【0265】例えば、図8に示すように、固体電解質1
としてリチウムドープのβ''アルミナ焼結体からなる外
径約60mm×長さ約600mm×肉厚約1.5mmの
円筒状袋管を用いた。
【0266】また、負極容器2、正極容器3およびナト
リウム容器8にはAl合金を、金属板19には筒状のA
l合金の胴部表面にクロム合金を溶射またはメッキした
ものを用い、正極容器3と接合して活物質収納室18を
形成すると共に、下部に貫通部30を設けた。
【0267】一方、絶縁部材6としてはα―アルミナ焼
結体リングを用い、固体電解質1の開口部とガラス接合
した後、絶縁部材6の表面に負極容器2、正極容器3の
端部を配置し、Al−Si系の合金箔を用いて、負極容
器2、正極容器3の端部と絶縁部材6とを熱圧接した。
【0268】次に、負極室内4にナトリウム7と約0.
01MPaのArガスを充填し、このガス圧でナトリウ
ムがナトリウム容器8の下部の貫通孔10を通って、袋
管状固体電解質1の内表面を覆うようにした。
【0269】一方、金属板19と固体電解質1の外表面
との間には厚さ10mmの炭素繊維マットから成る多孔
質導電材12と、アルミナ繊維集合体から成る厚さ約
0.3mmの多孔質材13を充填し、正極活物質14と
して硫黄を含浸して、正極モールドを形成した。なお、
この電池においては、正極容器3、金属板19は円筒状
形状であり、両者の間に設けられた活物質収納室18の
幅は約20mmで、その中に正極活物質14である硫黄
と圧力0.03MPaのArガスを収納した。
【0270】この結果、硫黄がガス圧で押されて固体電
解質1の表面へ供給され、充電末期の硫黄の液面高さは
炭素繊維マットから成る多孔質導電材12の上部より高
くなった。なお、Arガスを充填する代わりに、活物質
収納室18にアジ化ナトリウムを充填し、電池運転時の
昇温によってアジ化ナトリウムを分解して、必要ガス圧
の窒素ガスを発生させることも可能である。
【0271】得られたナトリウム硫黄電池を330℃で
運転した結果、活物質収納室18中の正極活物質14も
電池反応に関与するため、電池容量は約1800Ahと
大きく、かつ、内部抵抗は正極活物質14の液面高さが
高いために約1.4mΩと小さくでき、大容量化と高効
率化の両立が可能となった。
【0272】また、この電池においては、固体電解質1
を大きくすることなく、活物質収納室18の容積を大き
くすることで電池の大容量化が可能なため、低コスト化
に特に適している。
【0273】
【発明の効果】本発明によれば、ナトリウム二次電池の
容量増大と電池の内部抵抗低減による電池効率向上とを
両立させることが可能となり、その結果、電池の出力や
容量当たりのコスト低減が可能である。
【0274】また、運搬時の衝撃等に対する電池の機械
的な信頼性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のナトリウム二次電池の一実施例を示す
断面図である。
【図2】本発明のナトリウム二次電池の一実施例を示す
断面図である。
【図3】本発明のナトリウム二次電池の一実施例を示す
断面図である。
【図4】本発明のナトリウム二次電池の一実施例を示す
断面図である。
【図5】本発明のナトリウム二次電池の一実施例を示す
断面図である。
【図6】本発明のナトリウム二次電池の一実施例を示す
断面図である。
【図7】本発明のナトリウム二次電池の一実施例を示す
断面図である。
【図8】本発明のナトリウム二次電池の一実施例を示す
断面図である。
【図9】本発明のナトリウム二次電池の一実施例を示す
断面図である。
【図10】本発明のナトリウム二次電池の一実施例を示
す断面図である。
【符号の説明】
1…固体電解質袋管または固体電解質、2…負極容器、
3…正極容器、4…負極室、5…正極室、6…絶縁部
材、7…ナトリウム、8…ナトリウム容器、10,9
1,92…貫通孔、11…集電体、12,12’,12
0…多孔質導電材、14…正極活物質、121,12
2,123…炭素繊維マット、13,13’,130,
131,132…多孔質材、18…活物質収納室、19
…金属板、30…貫通部、31…ベローズ、60…耐熱
鋼板。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 間所 学 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所原子力事業部内 (72)発明者 波東 久光 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所原子力事業部内 (72)発明者 菊地 賢三 茨城県日立市幸町三丁目2番1号 日立エ ンジニアリング株式会社内 (72)発明者 坂口 繁 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立事業所内 (72)発明者 小松 清一 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立事業所内 (72)発明者 佐渡 哲也 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立事業所内 Fターム(参考) 5H011 AA06 BB03 CC06 DD01 KK01 KK02 5H029 AJ03 AJ06 AK05 AL13 AM15 BJ02 DJ02 DJ07 DJ15 EJ01 EJ04 HJ01 HJ04

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体ナトリウムを収容した負極室と、正
    極活物質を収容した正極室と、前記負極室と正極室間を
    分離した固体電解質袋管を有するナトリウム二次電池で
    あって、 前記正極室内の固体電解質袋管の側面と前記正極室を構
    成する正極容器との間、あるいは、前記固体電解質袋管
    の側面と前記正極室内に設けた集電体との間に、多孔質
    導電材として炭素繊維マットを前記固体電解質袋管の軸
    方向に積重ねて設置し、前記固体電解質袋管を水平方向
    または斜め方向に寝かせたことを特徴とするナトリウム
    二次電池。
  2. 【請求項2】 積重ねた前記炭素繊維マット同志の間に
    隙間を設けるか、あるいは、孔や切り込みなどの開口部
    を設けた金属板,セラミックス板,ガラス板またはプラ
    スチック板を、積重ねた前記炭素繊維マット同志の間に
    設置する請求項1に記載のナトリウム二次電池。
  3. 【請求項3】 液体ナトリウムを収容した負極室と、正
    極活物質を収容した正極室と、前記負極室と正極室間を
    分離した固体電解質袋管を有するナトリウム二次電池で
    あって、 前記正極室内の固体電解質袋管の側面と前記正極室を構
    成する正極容器との間、あるいは、前記固体電解質袋管
    の側面と前記正極室内に設けた集電体との間に、多孔質
    導電材として炭素繊維マットを前記固体電解質袋管の軸
    方向に積重ねて設置すると共に、前記固体電解質袋管の
    側面と前記多孔質導電材との間、または/および、積重
    ねた前記炭素繊維マット同志の間にセラミックスやガラ
    スの繊維や粒子の集合体から成る多孔質材を充填し、前
    記固体電解質袋管を水平方向または斜め方向に寝かせた
    ことを特徴とするナトリウム二次電池。
  4. 【請求項4】 前記ナトリウム二次電池がナトリウム硫
    黄電池である請求項1または3に記載のナトリウム二次
    電池。
  5. 【請求項5】 前記炭素繊維マットが前記固体電解質袋
    管の側面に沿ってリング状に配置されている請求項1ま
    たは3に記載のナトリウム二次電池。
  6. 【請求項6】 前記炭素繊維マットが短冊状あるいは台
    形状の炭素繊維マットであり、該炭素繊維マットを前記
    固体電解質袋管の側面にラセン状あるいは円周状に巻き
    つけた請求項1または3に記載のナトリウム二次電池。
  7. 【請求項7】 前記炭素繊維マットに重ね、短冊状ある
    いは台形状のセラミックスやガラスの繊維や粒子の集合
    体から成る多孔質材を前記固体電解質袋管の側面に巻き
    つけた請求項5または6に記載のナトリウム二次電池。
  8. 【請求項8】 前記炭素繊維マットを構成する炭素繊維
    の大半が炭素繊維マットの面方向に配列しており、該面
    方向が前記固体電解質袋管の側面に垂直となるよう前記
    炭素繊維マットを設置した請求項1,3,5または6に
    記載のナトリウム二次電池。
  9. 【請求項9】 前記炭素繊維マットの径方向に隙間が設
    けられている請求項1,3,5または6に記載のナトリ
    ウム二次電池。
  10. 【請求項10】 前記正極室内に集電体が設けられてお
    り、前記正極容器がナトリウム二次電池の外周部に設置
    され、前記固体電解質袋管を水平方向または斜め方向に
    寝かせた際の、前記正極容器の上下面または/および側
    面が平行平面形状か、または、前記正極容器の断面形状
    が楕円形状である請求項1または3に記載のナトリウム
    二次電池。
  11. 【請求項11】 前記固体電解質袋管の軸方向の長さが
    直径よりも大きい請求項1または3に記載のナトリウム
    二次電池。
  12. 【請求項12】 固体電解質袋管の内側に液体ナトリウ
    ムを収容した負極室を設け、前記固体電解質袋管の外側
    に正極活物質を収容した正極室を設け、前記正極室内の
    固体電解質袋管の側面に沿って集電体を設けて、前記固
    体電解質袋管の側面と前記集電体との間に多孔質導電材
    または多孔質導電材と多孔質材とを充填したナトリウム
    二次電池であって、 前記ナトリウム二次電池がナトリウム硫黄電池であり、
    前記固体電解質袋管を水平方向または斜め方向に寝か
    せ、該固体電解質袋管の中心軸よりも下側の前記正極室
    の内容積を、前記中心軸よりも上側の前記正極室の内容
    積よりも大きくしたことを特徴とするナトリウム二次電
    池。
  13. 【請求項13】 前記多孔質導電材または/および前記
    多孔質材を前記集電体の外側まで延長するか、または/
    および、前記集電体の径方向下側と前記正極室を構成す
    る正極容器との間隙、または、前記固体電解質袋管の側
    面下側と前記正極容器との間隙に多孔質導電材または/
    および多孔質材を充填した請求項12に記載のナトリウ
    ム二次電池。
  14. 【請求項14】 固体電解質袋管の内側に液体ナトリウ
    ムを収容した負極室と、前記固体電解質袋管の外側に正
    極活物質を収容した正極室を設け、該正極室内の前記固
    体電解質袋管の側面に沿って集電体を設けて、固体電解
    質袋管の側面と前記集電体との間に多孔質導電材または
    多孔質導電材と多孔質材とを充填したナトリウム二次電
    池であって、 前記ナトリウム二次電池がナトリウム硫黄電池であり、
    前記固体電解質袋管を斜め方向に寝かせると共に、前記
    多孔質導電材または/および前記多孔質材の軸方向下側
    端部を前記正極室の軸方向中央部よりも下側に位置する
    よう構成したことを特徴とするナトリウム二次電池。
  15. 【請求項15】 固体電解質袋管の内側に液体ナトリウ
    ムを収容した負極室と、前記固体電解質袋管の外側に正
    極活物質を収容した正極室を設け、前記正極室内の固体
    電解質袋管の側面に沿って円筒形状の集電体を設けて、
    前記固体電解質袋管の側面と前記集電体との間に多孔質
    導電材または多孔質導電材と多孔質材とを充填したナト
    リウム二次電池であって、 前記固体電解質袋管を水平方向または斜め方向に寝かせ
    ると共に、前記正極室を構成する正極容器と前記集電体
    の径方向下側または/および径方向上側とを接触,接合
    または一体化したことを特徴とするナトリウム二次電
    池。
  16. 【請求項16】 固体電解質袋管の内側に液体ナトリウ
    ムを収容した負極室と、前記固体電解質袋管の外側に正
    極活物質を収容した正極室を設け、該正極室内の固体電
    解質袋管の側面に沿って集電体を設けて、前記固体電解
    質袋管の側面と前記集電体との間に多孔質導電材または
    多孔質導電材と多孔質材とを充填したナトリウム二次電
    池であって、 前記固体電解質袋管を水平方向または斜め方向に寝かせ
    ると共に、前記集電体の径方向下側と前記正極室を構成
    する正極容器との間隙に支持体を設置したことを特徴と
    するナトリウム二次電池。
  17. 【請求項17】 前記固体電解質袋管の長さが直径より
    も大きい請求項12,14,15または16に記載のナ
    トリウム二次電池。
  18. 【請求項18】 前記固体電解質袋管を水平方向または
    斜め方向に寝かせた際の前記正極室を構成する正極容器
    の上下面または/および側面が、平行平面形状である
    か、または、前記正極容器の断面形状が楕円形状である
    請求項12,14,15または16に記載のナトリウム
    二次電池。
  19. 【請求項19】 液体ナトリウムを収納した負極室、正
    極活物質を収納した正極室、および、前記負極室と正極
    室間を分離した固体電解質を含むナトリウム二次電池で
    あって、 前記正極室内の前記固体電解質から離れた位置に活物質
    収納室が設けられ、充電時には重力又は前記活物質収納
    室に収納された窒素ガスや不活性ガスの圧力により、前
    記活物質収納室内の正極活物質が活物質収納室の外部へ
    移動すると共に、放電時には前記負極室から正極室へ移
    動するナトリウムイオンによる正極活物質の体積増加に
    よって、該正極活物質が活物質収納室の外部から活物質
    収納室内へ移動することを特徴とするナトリウム二次電
    池。
  20. 【請求項20】 前記正極室内の前記固体電解質表面に
    隣接して多孔質材または/および多孔質導電材が配置さ
    れており、電池運転時における前記正極活物質の液面上
    部の高さが前記固体電解質表面に隣接した前記多孔質材
    または多孔質導電材の上部高さに等しいか、前記多孔質
    材または多孔質導電材の上部高さよりも高い請求項19
    に記載のナトリウム二次電池。
  21. 【請求項21】 前記ナトリウム二次電池がナトリウム
    硫黄電池であり、前記正極活物質が硫黄または/および
    多硫化ナトリウムであって、前記多孔質導電材が炭素繊
    維または/および炭素粒子の集合体、前記多孔質材がセ
    ラミックスやガラスの繊維または/および粒子の集合体
    である請求項20に記載のナトリウム二次電池。
  22. 【請求項22】 前記活物質収納室が前記ナトリウム二
    次電池の外周部に設けられており、前記活物質収納室の
    外周形状が直方体形状である請求項19に記載のナトリ
    ウム二次電池。
  23. 【請求項23】 前記ナトリウム二次電池がナトリウム
    硫黄電池であり、前記ナトリウム硫黄電池内の硫黄とナ
    トリウムとの原子数の比が2以上である請求項19に記
    載のナトリウム二次電池。
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