JP2002260723A - 高温ナトリウム二次電池およびそのリサイクル方法 - Google Patents

高温ナトリウム二次電池およびそのリサイクル方法

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JP2002260723A
JP2002260723A JP2001057286A JP2001057286A JP2002260723A JP 2002260723 A JP2002260723 A JP 2002260723A JP 2001057286 A JP2001057286 A JP 2001057286A JP 2001057286 A JP2001057286 A JP 2001057286A JP 2002260723 A JP2002260723 A JP 2002260723A
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positive electrode
solid electrolyte
secondary battery
container
bag tube
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JP2001057286A
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English (en)
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Tadahiko Mitsuyoshi
忠彦 三吉
Manabu Madokoro
間所  学
Koji Kusakabe
康次 日下部
Hisamitsu Hato
久光 波東
Shigeru Sakaguchi
繁 坂口
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
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    • Y02WCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
    • Y02W30/00Technologies for solid waste management
    • Y02W30/50Reuse, recycling or recovery technologies
    • Y02W30/84Recycling of batteries or fuel cells

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Abstract

(57)【要約】 【課題】横置き電池の信頼性や安全性を向上して実用性
の向上した高温ナトリウム二次電池を提供することにあ
る。 【解決手段】高温ナトリウム二次電池は、液体ナトリウ
ムを収納した負極室4と、正極活物質を収納した正極室
5と、負極室4及び正極室5の間を分離した固体電解質
袋管1と、負極室4内に設置され、内部に液体ナトリウ
ム7を収納したナトリウム容器8と、固体電解質袋管1
の端部近傍に設けられた絶縁リング6とを有する。そし
て、ナトリウム容器8に設けられ、液体ナトリウム7が
出入りする開口部9は、絶縁リング6の側面近傍の位
置,あるいは、絶縁リング6よりも固体電解質袋管1か
ら遠い位置に設けられる。固体電解質袋管1は、水平方
向又は斜め方向に寝かせて使用される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の所属する技術分野】本発明は、高温ナトリウム
二次電池およびそのリサイクル方法に係り、特に、電力
貯蔵装置や電気自動車などに用いるに好適な高温ナトリ
ウム二次電池およびそのリサイクル方法に関する。
【0002】
【従来の技術】1)近年、負極室内に液体ナトリウムを
充填し、正極室内に硫黄,多硫化ナトリウム,セレン,
テルル,金属塩化物などの正極活物質を充填し、負極室
/正極室間をβ型やβ”型のベータアルミナセラミック
ス製の固体電解質袋管で分離した構造の高温ナトリウム
二次電池は、長寿命でエネルギー密度が大きいことから
注目され、電力貯蔵装置や電気自動車などへの利用が期
待されている。この電池の実用化のためには、電池の信
頼性,安全性の確保と共に低コスト化が不可欠であり、
このためには、電池が高出力運転できるように内部抵抗
を低減して電池効率を向上したり、単電池を大型化して
kWやkWh当たりの電池数を低減する必要があるが、
従来の電池ではそのための対応が不十分であった。な
お、電池効率が低下すると電池出力が低下するため、結
果としてkWやkWh当たりの電池必要数が増して、コ
ストは高くなる。
【0003】特に、低コスト化のためには、単電池を大
型化して大容量化することが極めて有効であるが、この
ためには固体電解質袋管の高さ又は/及び幅を増加させ
る必要がある。しかしながら、従来、一般的に用いられ
ている固体電解質袋管を縦置きする構造では、一般に固
体電解質袋管の高さを大きくすると正極室内の上下方向
に重力によって活物質の濃度分布や組成分布が付きやす
くなり、この結果、電池内に起電力分布を生じて循環電
流が流れ、電池の効率が低下するという問題があった。
一方、固体電解質袋管の高さの代わりに径を大きくする
ことも可能であるが、この場合には固体電解質袋管の容
積と表面積との比が大きくなって、固体電解質袋管内に
充填された活物質を所定時間内に反応させるためには運
転時の電流密度を増加させる必要があり、内部抵抗の影
響で電池の効率が低下するという問題もあった。このよ
うに、従来の高温ナトリウム二次電池においては、低コ
スト化のための電池効率向上と電池の大容量化との両立
は困難であるという問題があった。 2)また、従来、高温ナトリウム二次電池のリサイクル
方法としては、例えば、特開平6−196209号公報
や特開平6−333608号公報等に記載されているよ
うに、電池温度を高めて負極室内に充填されたナトリウ
ムを液体状態で取り出す方法が知られている。また、例
えば、特開平11−185802号公報に記載されてい
るように、ナトリウムを正極活物質との化合物として取
り出す方法も知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】1)従来の縦置き構造
の固体電解質袋管を用いる高温ナトリウム二次電池の問
題を解決するため、本発明者らは、先に、特願平11−
252597号として、固体電解質袋管を横置きして、
水平または斜めに寝かせて電池効率を向上させた高温ナ
トリウム二次電池について提案している。しかしなが
ら、特願平11−252597号に記載のものにあって
は、横置き電池の信頼性や安全性についての検討は不十
分であった。 1’)また、特願平11−252597号に記載のもの
にあっては、電池の充電特性や放電特性改善による容量
拡大についての検討は不十分であった。なお、横置き電
池構造については、特開昭57−145278号公報に
も記載されているが、この構造においても、横置き電池
の安全性や容量拡大についての検討は不十分であった。 2)一方、特開平6−196209号公報や特開平6−
333608号公報等に記載されている方法では、液体
ナトリウムの酸化防止が困難で、リサイクル工程に危険
が伴う可能性があるという問題があった。また、特開平
11−185802号公報に記載されている方法では、
ナトリウムの再利用のためには化合物を電気分解する必
要があり、リサイクル工程が複雑になるという問題があ
った。
【0005】本発明の第1の目的は、横置き電池の信頼
性や安全性が向上して実用性の向上した高温ナトリウム
二次電池を提供することにある。
【0006】本発明の第2の目的は、内部抵抗低減によ
る効率向上と電池大容量化の可能な高温ナトリウム二次
電池を提供することにある。
【0007】本発明の第3の目的は、工程が簡単で安全
性の高い高温ナトリウム二次電池のリサイクル方法を提
供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】(1)上記第1の目的を
達成するために、本発明は、液体ナトリウムを収納した
負極室と、正極活物質を収納した正極室と、上記負極室
及び正極室の間を分離した固体電解質袋管と、上記負極
室内に設置され、内部に上記液体ナトリウムを収納した
ナトリウム容器と、上記固体電解質袋管の端部近傍に設
けられた絶縁リングとを有する高温ナトリウム二次電池
において、上記ナトリウム容器に設けられ、上記液体ナ
トリウムが出入りする開口部を、上記絶縁リングの側面
近傍の位置,あるいは、上記絶縁リングよりも上記固体
電解質袋管から遠い位置にすると共に、上記固体電解質
袋管を、水平方向又は斜め方向に寝かせるようにしたも
のである。かかる構成により、横置き電池の信頼性や安
全性が向上して実用性の向上し得るものとなる。 (2)上記(1)において、好ましくは、上記ナトリウ
ム容器の上記開口部は、貫通孔であり、上記貫通孔が下
側になるように上記固体電解質袋管を水平方向又は斜め
方向に寝かせるようにしたものである。 (3)上記(1)において、好ましくは、上記開口部を
設けた部分の上記ナトリウム容器の内径が、上記固体電
解質袋管の側部内径よりも大きくしたものである。 (4)上記(1)において、好ましくは、上記負極室内
の少なくとも上記固体電解質袋管と上記ナトリウム容器
との間隙が真空引きされたものである。 (5)上記(1)において、好ましくは、上記固体電解
質袋管と上記ナトリウム容器との間隙に多孔質材料を充
填したものである。 (6)上記(1)において、好ましくは、上記ナトリウ
ム容器の側部外面が、上記絶縁リングの側部内面又は上
記負極室を構成する負極容器の側部内面と近接して設置
されるか、あるいは、上記負極容器の変形を防止するた
めに上記負極容器の内側又は上記絶縁リングの内側に隣
接して設けられた遮蔽体の側部内面と近接して設置さ
れ、上記ナトリウム容器の側部の熱膨張量が上記絶縁リ
ングの側部、上記負極容器の側部あるいは上記遮蔽体の
側部の熱膨張量よりも大きくしたものである。 (7)上記(6)において、好ましくは、上記ナトリウ
ム容器は、Al又はAl合金製、あるいはSUS又は鉄
製であり、上記絶縁リングは、αアルミナやアルミニウ
ムマグネシウムスピネルなどのセラミックス製又は/及
び上記負極容器がSUSやFe、Ni、Co、Moなど
を主体とするAlよりも低熱膨張率の金属製であるか、
または、上記遮蔽体が、上記低熱膨張率の金属製やセラ
ミックス製あるいはカーボン製としたものである。 (8)上記(6)において、好ましくは、上記高温ナト
リウム二次電池の温度が450〜550℃に達した際、
上記ナトリウム容器が熱膨張して、上記ナトリウム容器
の側部外面と上記絶縁リングの側部内面、上記負極容器
の側部内面、あるいは、上記遮蔽体の側部内面とが密着
するようにしたものである。 (9)上記第1の目的を達成するために、本発明は、液
体ナトリウムを収納した負極室と、正極活物質を収納し
た正極室と、上記負極室及び正極室の間を分離した固体
電解質袋管と、上記負極室内に設置され、内部に上記液
体ナトリウムを収納したナトリウム容器と、上記固体電
解質袋管の端部近傍に設けられた絶縁リングとを有する
高温ナトリウム二次電池において、上記固体電解質袋管
と上記ナトリウム容器との間に設けられた有底袋管状の
安全管を備え、上記安全管に設けた開口部の位置を、上
記絶縁リングの側面近傍の位置、あるいは、上記絶縁リ
ングよりも上記固体電解質袋管から遠い位置にすると共
に、上記固体電解質袋管を、水平方向又は斜め方向に寝
かせるようにしたものである。かかる構成により、横置
き電池の信頼性や安全性が向上して実用性の向上し得る
ものとなる。 (10)上記(9)において、好ましくは、上記安全管
の側部外面が、上記絶縁リングの側部内面又は上記負極
室を構成する負極容器の側部内面と近接して設置される
か、あるいは、上記負極容器の変形を防止するために上
記負極容器の内側又は上記絶縁リングの内側に隣接して
設けられた遮蔽体の側部内面と近接して設置され、上記
安全管の側部の熱膨張量が上記絶縁リングの側部、上記
負極容器の側部あるいは上記遮蔽体の側部の熱膨張量よ
りも大きくしたものである。 (11)上記(10)において、好ましくは、上記安全
管は、Al又はAl合金製、あるいはSUS又は鉄製で
あり、上記絶縁リングは、αアルミナやアルミニウムマ
グネシウムスピネルなどのセラミックス製又は/及び上
記負極容器がSUSやFe、Ni、Co、Moなどを主
体とするAlよりも低熱膨張率の金属製であるか、また
は、上記遮蔽体が、上記低熱膨張率の金属製やセラミッ
クス製あるいはカーボン製としたものである。 (12)上記(10)において、好ましくは、上記高温
ナトリウム二次電池の温度が450〜550℃に達した
際、上記安全管が熱膨張して、上記安全管の側部外面と
上記絶縁リングの側部内面、上記負極容器の側部内面、
あるいは、上記遮蔽体の側部内面とが密着するようにし
たものである。 (13)上記第2の目的を達成するために、本発明は、
固体電解質袋管の内側に液体ナトリウムを収納した負極
室を、上記固体電解質袋管の外側に正極活物質を収納し
た正極室を設けた高温ナトリウム二次電池において、上
記正極室内に上記固体電解質袋管に沿って設けられた集
電体と、上記固体電解質袋管側面と上記集電体の側面と
の間に充填した多孔質導電材又は多孔質導電材と多孔質
材とを備え、上記固体電解質袋管を水平方向又は斜め方
向に寝かせ、上記集電体と上記正極室を構成する正極容
器との間の径方向下側の正極室内容積を径方向上側の正
極室内容積又は/及び径方向横側の正極室内容積よりも
小さくするようにしたものである。
【0009】かかる構成により、内部抵抗低減による効
率向上と電池大容量化が可能となる。 (14)上記(13)において、好ましくは、上記正極
室を構成する正極容器が、高温ナトリウム二次電池の外
周部に設置されるとともに、上記正極容器側面を直方体
形状としたものである。 (15)上記(13)において、好ましくは、上記固体
電解質袋管の長さを直径よりも大きくしたものである。 (16)上記第2の目的を達成するために、本発明は、
液体ナトリウムを収納した負極室と、正極活物質を収納
した正極室と、上記負極室及び正極室の間を分離した固
体電解質袋管とを有する高温ナトリウム二次電池におい
て、上記正極室内に上記固体電解質袋管に沿って設けら
れた集電体と、上記固体電解質袋管側面と上記集電体の
側面との間に充填した多孔質導電材又は多孔質導電材と
多孔質材とを備え、上記高温ナトリウム二次電池は、ナ
トリウム硫黄電池であり、上記多孔質導電材が炭素繊維
又は/及び炭素粉末の集合体であり、上記固体電解質袋
管を水平方向又は斜め方向に寝かせ、上記固体電解質袋
管側面と上記集電体側面との間に存在する上記多孔質導
電材の径方向の下側の厚さを径方向の上側の厚さ又は/
及び径方向の横側の厚さよりも厚くしたものである。か
かる構成により、内部抵抗低減による効率向上と電池大
容量化が可能となる。 (17)上記(16)において、好ましくは、上記正極
室を構成する正極容器が、高温ナトリウム二次電池の外
周部に設置されるとともに、上記正極容器側面を直方体
形状としたものである。 (18)上記(16)において、好ましくは、上記固体
電解質袋管の長さを直径よりも大きくしたものである。 (19)上記第2の目的を達成するために、本発明は、
固体電解質袋管の内側に液体ナトリウムを収納した負極
室を、上記固体電解質袋管の外側に正極活物質を収納し
た正極室を設けた高温ナトリウム二次電池において、上
記正極室内に上記固体電解質袋管に沿って設けられた集
電体と、上記固体電解質袋管側面と上記集電体の側面と
の間に充填した多孔質導電材又は多孔質導電材と多孔質
材とを備え、上記固体電解質袋管を水平方向又は斜め方
向に寝かせ、上記多孔質導電材の一部又は/及び上記多
孔質材の一部を上記集電体の下側まで延長するか、又は
/及び、上記集電体と上記正極室を構成する正極容器と
の径方向下側の間隔の少なくとも一部に多孔質導電材又
は/及び多孔質材を充填するようにしたものである。か
かる構成により、内部抵抗低減による効率向上と電池大
容量化が可能となる。 (20)上記(19)において、好ましくは、上記正極
室を構成する正極容器が、高温ナトリウム二次電池の外
周部に設置されるとともに、上記正極容器側面が直方体
形状としたものである。 (21)上記(19)において、好ましくは、上記固体
電解質袋管の長さを直径よりも大きくしたものである。 (22)上記第2の目的を達成するために、本発明は、
液体ナトリウムを収納した負極室と、正極活物質を収納
した正極室と、上記負極室及び正極室の間を分離した固
体電解質袋管とを有する高温ナトリウム二次電池におい
て、上記固体電解質袋管側面と上記正極室の側面との間
に充填した多孔質導電材又は多孔質導電材と多孔質材と
を備え、上記高温ナトリウム二次電池が、ナトリウム硫
黄電池であり、上記多孔質導電材が炭素繊維又は/及び
炭素粉末の集合体であり、上記固体電解質袋管を水平方
向又は斜め方向に寝かせ、上記固体電解質袋管側面と上
記正極室側面との間に存在する上記多孔質導電材の径方
向の下側の厚さを径方向の上側の厚さ又は/及び径方向
の横側の厚さよりも厚くしたものである。かかる構成に
より、内部抵抗低減による効率向上と電池大容量化が可
能となる。 (23)上記(22)において、好ましくは、上記正極
室を構成する正極容器が、高温ナトリウム二次電池の外
周部に設置されるとともに、上記正極容器側面を直方体
形状としたものである。 (24)上記(22)において、好ましくは、上記固体
電解質袋管の長さを直径よりも大きくしたものである。 (25)上記第2の目的を達成するために、本発明は、
固体電解質袋管の内側に液体ナトリウムを収納した負極
室を、上記固体電解質袋管の外側に正極活物質を収納し
た正極室を設けた高温ナトリウム二次電池において、上
記正極室内の上記固体電解質袋管側面に沿って充填した
多孔質導電材又は多孔質導電材と多孔質材とを備え、上
記固体電解質袋管を水平方向又は斜め方向に寝かせ、上
記固体電解質袋管と上記正極室を構成する正極容器との
間の径方向下側の正極室内容積を径方向上側の正極室内
容積又は/及び径方向横側の正極室内容積よりも小さく
したものである。かかる構成により、内部抵抗低減によ
る効率向上と電池大容量化が可能となる。 (26)上記(25)において、好ましくは、上記正極
室内の上記固体電解質袋管に沿って設けられた集電体
と、上記固体電解質袋管側面と上記集電体の側面との間
に充填された上記多孔質導電材又は上記多孔質導電材と
上記多孔質材を備えるようにしたものである。 (27)上記(25)において、好ましくは、上記多孔
質導電材の径方向下側の厚さを、径方向上側の厚さ又は
/及び径方向横側の厚さよりも薄くしたものである。 (28)上記(25)において、好ましくは、上記正極
容器は、高温ナトリウム二次電池の外周部に設置されて
おり、上記正極容器側面を直方体形状としたものであ
る。 (29)上記(26)において、好ましくは、上記多孔
質導電材の一部又は/及び上記多孔質材の一部を上記集
電体の径方向下側まで延長するか、又は/及び、上記集
電体と上記正極室を構成する正極容器との径方向下側の
間隔の少なくとも一部に充填された多孔質導電材又は/
及び多孔質材を備えるようにしたものである。 (30)上記(25)において、好ましくは、上記固体
電解質袋管の長さを、直径よりも大きくしたものであ
る。 (31)上記第3の目的を達成するために、本発明は、
液体ナトリウムを収納した負極室と、正極活物質を収納
した正極室と、上記負極室及び正極室の間を分離した固
体電解質袋管と、上記負極室内に設置され、内部に上記
液体ナトリウムを収納したナトリウム容器とを有する高
温ナトリウム二次電池のリサイクル方法において、上記
液体ナトリウムが出入りするために上記ナトリウム容器
に設けられた開口部が上側になった状態で高温ナトリウ
ム二次電池を放電して、上記固体電解質袋管と上記ナト
リウム容器との間に存在する液体ナトリウムを上記正極
室内へ移動した後、上記ナトリウム容器を上記負極室か
ら取り出すようにしたものである。かかる方法により、
リサイクル時の工程が簡単で安全性を高くすることがで
きる。 (32)上記(31)において、好ましくは、上記開口
部として、上記ナトリウム容器の側面、または、上記ナ
トリウム容器に設けた蓋の端部に貫通孔が設けられてお
り、上記貫通孔が上側になるように、上記固体電解質袋
管を水平方向または斜め方向に寝かせて放電するように
したものである。
【0010】
【発明の実施の形態】最初に、図1を用いて、本発明の
第1の実施形態による高温ナトリウム二次電池の構造に
ついて説明する。図1は、本発明の第1の実施形態によ
る高温ナトリウム二次電池の構造を示す断面図である。
【0011】ナトリウムイオン導電性の固体電解質袋管
1は、普通β型やβ”型のベータアルミナセラミックス
から成る固体電解質が用いられる。本実施形態の電池構
造では、固体電解質袋管1は、水平方向又は斜め方向に
寝かせて配置される。負極容器2及び正極容器3は、固
体電解質袋管1と共に、それぞれ負極室4,正極室5を
構成する。負極容器2及び正極容器3は、AlやFe,
SUSまたはこれらの表面にCrやMo,Ti,Si,
Cなどを主体とする耐食層を設けたものや、Al合金と
SUS等とのクラッド材が普通に用いられる。
【0012】絶縁リング6は、負極容器2と正極容器3
を絶縁し、且つ、これらと接合されている。絶縁リング
6は、例えば、αアルミナセラミックスを用いており、
図示されていないが固体電解質袋管1の端部付近にガラ
ス接合されたり、αアルミナやマグネシウムアルミニウ
ムスピネルなどのセラミックスを用いて、固体電解質袋
管1の端部と一体焼結されている。また、負極容器2や
正極容器3と絶縁リング6との接合には、図示されてい
ないが、AlやAl合金を接合材として用いて、接合材
の液相線温度以下や固相線温度以下に加熱して、加圧接
合する熱圧接法が一般に行われている。
【0013】負極室4の内側及びナトリウム容器8の内
側には、液体のナトリウム7が収納されている。ナトリ
ウム7は、放電時には、重力や負極室4の一部であるナ
トリウム容器内に充填された窒素ガスやArガスなどの
不活性ガスの圧力で押され、一方、充電時には、固体電
解質袋管1を通して侵入するナトリウムの圧力で押され
て、絶縁リング6よりも固体電解質袋管1から遠い位置
のナトリウム容器8に設けた開口部9を出入りする。開
口部9を、固体電解質袋管1から遠い位置に設けること
によって、信頼性や安全性を向上している。
【0014】ここで、開口部9としては、貫通孔90を
用いている。貫通孔90は、ナトリウム容器8の側面に
設けられている。そして、図示する様に、貫通孔90
は、ナトリウム容器8の下側に位置するように、固体電
解質袋管1を水平方向又は斜め方向に傾けて配置してい
る。このような構成とすることにより、ナトリウム容器
8内に充填されたガスが固体電解質袋管1とナトリウム
容器8との間隙へ移動することを押さえ、電池の特性を
安定に保っている。すなわち、信頼性を向上している。
なお、図1に示した構造において、固体電解質袋管1と
ナトリウム容器8との間隙は、真空引きされている。
【0015】さらに、絶縁リング6や負極容器2の側部
内径は、固体電解質袋管1の側部内径よりも小さくなっ
ており、ナトリウム容器8の側部外面が絶縁リングの側
部内面や負極容器の側部内面と近接して設けられてい
る。かかる構成により、安全性を向上させている。な
お、絶縁リング6の側部内径と負極容器2の側部内径の
一方を、他方よりも小さくすることも可能であり、図3
にて後述する例に示すように、絶縁リング6や負極容器
2の内側に隣接して遮蔽体12を設けて、ナトリウム容
器8の側部外面とこの遮蔽体の側部内面とを近接させる
こともできる。
【0016】また、ナトリウム容器8内にガスを充填す
る代わりに、固体電解質袋管1とナトリウム容器8との
間隙に、図2にて後述する例に示すように、多孔質材料
80を充填し、重力でナトリウム容器8の開口部9から
出たナトリウムをこの多孔質材料80の表面張力で固体
電解質袋管1の表面へ供給することもできる。
【0017】なお、図1においては、ナトリウム容器8
は負極容器2と一体化されているが、ナトリウム容器1
と負極容器2とを分離した構造も採用できる。また、貫
通孔90を、図3にて後述する例に示すように、ナトリ
ウム容器8に設けた蓋81の端部に設けて、貫通孔90
が下側になるように固体電解質袋管1を寝かせることも
できる。さらに、図13にて後述する例に示すように、
貫通孔90を絶縁リング6の側部内面に隣接して設ける
こともできる。
【0018】また、多孔質導電材10が、正極室5内に
設置されている。多孔質導電材10としては、例えば、
炭素繊維又は/及び炭素粒子の集合体や金属繊維や金属
粒子の集合体などが用いられる。多孔質導電材10に正
極活物質17が含浸されて、電池反応を促進している。
ここで、高温ナトリウム二次電池がナトリウム硫黄電池
の場合、多孔質導電材10としては、1000〜200
0℃で焼成したPAN系やピッチ系の炭素繊維や炭素粒
子の厚さ3〜20mm程度の集合体が用いられる。正極
活物質17としては、硫黄や多硫化ナトリウムが用いら
れる。一方、ナトリウム硫黄電池以外の高温ナトリウム
二次電池においては、正極活物質17としては、硫黄,
セレン,テルルの元素やこれらの塩化物、金属塩化物
(金属はAl、Ni、Feなど)が用いられる。
【0019】さらに、ナトリウム硫黄電池においては、
図示するように、固体電解質袋管1と多孔質導電材10
との間に、別の多孔質材11が設けられるようにしてい
る。多孔質材11は、例えば、アルミナやガラスなどの
繊維や粒子の集合体から構成される。多孔質材11は、
多硫化ナトリウムのようなイオン導電性の正極活物質を
含浸する性質を持ち、ナトリウム硫黄電池などの充電時
の抵抗上昇を押さえ、電池の充放電特性を改善する効果
を持っている。
【0020】なお、多孔質材11内に多孔質導電材10
と同様の多孔質導電材を混合することや、逆に多孔質導
電材10内に多孔質材11と同様な多孔質材を混合する
こともできる。
【0021】次に、図2を用いて、本発明の第2の実施
形態による高温ナトリウム二次電池の構造について説明
する。図2は、本発明の第2の実施形態による高温ナト
リウム二次電池の構造を示す断面図である。なお、図1
と同一符号は、同一部分を示している。
【0022】本実施形態においては、ナトリウム容器8
の開口部9は、絶縁リング6の側面に隣接して設置され
ている。なお、後述する図14の例に見られるように、
開口部9を絶縁リング6よりも固体電解質袋管1から遠
い位置に設けるようにしてもよいものである。
【0023】また、絶縁リング6の側部内径は、固体電
解質袋管1の側部内径よりも小さくなっており、ナトリ
ウム容器8の側部外面と絶縁リング6の側部内面とが近
接されている。
【0024】さらに、多孔質材料80が、固体電解質袋
管1の側面とナトリウム容器8の側面との間隙に充填さ
れている。多孔質材料80は、例えば、C,Mo,SU
Sやセラミックスやガラスなどの繊維や粒子の集合体か
ら構成されている。ナトリウム7は、多孔質材料80の
表面張力によって吸い上げられて、固体電解質袋管1の
表面に供給される。
【0025】なお、ここで、負極室4内にArガスや窒
素ガスなどの不活性ガスを充填することも可能である
が、不活性ガスが固体電解質袋管1の表面に侵入してナ
トリウムの接触を阻害する可能性があるため、電池特性
の信頼性向上の点からは、負極室内を真空引きすること
が望ましいものである。なお、この問題は、図1に示し
た実施形態においても同様であり、負極室4内の少なく
とも固体電解質袋管1とナトリウム容器8との間隙を真
空引きすることにより、電池特性の信頼性が向上する。
【0026】次に、図3を用いて、本発明の第3の実施
形態による高温ナトリウム二次電池の構造について説明
する。図3は、本発明の第3の実施形態による高温ナト
リウム二次電池の構造を示す断面図である。なお、図1
と同一符号は、同一部分を示している。
【0027】本実施形態においては、負極容器2とナト
リウム容器8とは分離されて設けられ、止め金13によ
って両者は接続されている。
【0028】また、固体電解質袋管1から離れた部分の
ナトリウム容器8の内径が広がって、固体電解質袋管1
の内径よりも大きくなっている。貫通孔90は、ナトリ
ウム容器8の蓋81の端部に設けてあり、貫通孔90を
設けた端部が下側になる様に固体電解質袋管1を寝かせ
ている。なお、図示していないが、固体電解質袋管1の
内径よりも大きい内径のナトリウム容器の側部82に貫
通孔90を設け、貫通孔が下部になるように固体電解質
袋管を寝かせてもよいものである。
【0029】また、固体電解質袋管1とナトリウム容器
8との間には、有底袋管状の安全管14が設けられてい
る。さらに、負極容器2の内面に隣接して遮蔽体12が
設けられている。遮蔽体12は、絶縁リング6との熱圧
接時に負極容器2が内側へ変形するのを防止している。
なお、AlやAl合金製の負極容器を熱圧接する場合に
は、遮蔽体12を設置することが望ましく、これが無い
と負極容器2が内側へ変形して、電池の組立てが困難に
なる場合がある。
【0030】また、この構造においては、安全管14の
開口部19近傍の側部外面と遮蔽体12の側部内面とが
近接して配置されている。両者の平均間隔が安全管14
の側部外面と固体電解質袋管1の側部内面との平均間隔
よりも短くなっている。なお、この代わりに、図示して
いないが、安全管14の開口部19近傍の側部外面を絶
縁リング6の側部内面や負極容器2の側部内面と近接さ
せることもできる。
【0031】また、本実施形態においては、固体電解質
袋管1の側部外面と正極容器3の側部内面との間に、正
極容器3に接続した筒状の集電体15を設けている。集
電体15と固体電解質袋管1との間には、多孔質導電材
10や多孔質材11が設置されている。この構造では、
正極活物質17の体積を多孔質導電材10や多孔質材1
1の空隙体積よりも大きくして、多孔質導電材10や多
孔質材11に含浸される以外に、例えば正極容器3と集
電体15との隙間などに正極活物質を充填して、電池容
量の拡大を図っている。
【0032】また、電池を大容量化した際の抵抗増加を
防止するため、集電体15に貫通部16を設けて正極室
内の多孔質導電材10の内外を正極活物質17が移動し
やすいようにしている。ここで、集電体15を用いて集
電することにより、集電体15と固体電解質袋管1との
間隔に存在する多孔質導電材10の厚さを比較的小さく
してその抵抗を低減し、これらの結果として、電池抵抗
が低減されて電池の大容量化と高効率化の両立が可能と
なっている。なお、図示していないが、集電体15に貫
通部16を設ける代わりに、集電体15の端部と正極容
器3や絶縁リング6との間隙を通って正極活物質17を
移動させることもできる。ここで、集電体15に用いる
材料としては、厚さ0.3〜5mm程度のAl,Al合
金又はこれらとSUSなどとのクラッド材を用いてい
る。さらに、集電体15の多孔質導電材10との接触面
に、Co合金,Cr/Fe合金,SUS,Al/Si合
金,Cr,C,MoやCr、Moの炭化物や窒化物など
の耐食性導電層を、溶射やメッキなどの方法で設けた
り、これらの耐食性粒子や炭素繊維などの耐食性繊維を
上記AlやAl合金の表面へ接合又は埋め込んだものが
用いられる。また、貫通部16の大きさとしては、1〜
10mmΦ程度、面積割合としては集電体面積の3〜3
0%程度が望ましいものである。
【0033】さらに、本実施形態においては、多孔質導
電材10として、リング状の炭素繊維マットなどが、固
体電解質袋管1の軸方向に積層して充填されている。さ
らに、多孔質導電材10同志の間にマット状の多孔質材
110が配置されている。多孔質材110は、図1に示
した多孔質材11と同様な作用を示し、電池を寝かせた
際の上下方向の正極活物質の移動が促進され、鉛直方向
に濃度分布や組成分布が付きにくくなって電池効率が向
上すると共に、正極活物質が電池反応に寄与しやすくな
って、電池容量が向上する。なお、マット状の多孔質材
110を設置することは、図示されていないが、図1,
図2の実施形態においても適用することができる。ま
た、このように多孔質導電機同士の間に多孔質材110
が設けられている場合には、多孔質材11を省略するこ
ともできる。
【0034】なお、電池効率向上のためには、図1〜図
3に示された多孔質導電材10を構成する炭素繊維など
の繊維の向きをできるだけ固体電解質袋管1の側面に垂
直にすることが望ましいものである。このためには、炭
素繊維から成るフェルトをリング状又は短冊状に切断し
て、フェルト面が固体電解質袋管1の側面に垂直になる
ように設置して多孔質導電材10を構成しても良いし、
図示されていないが、短冊状のフェルトを単独又は多孔
質材110と重ねて固体電解質袋管の側面にラセン状や
円周状に巻きつけて、フェルト面を固体電解質袋管の側
面と直角に配置することもできる。以上説明したよう
に、図1〜図3に示した実施形態による高温ナトリウム
二次電池においては、固体電解質袋管1,即ち、高温ナ
トリウム二次電池を水平方向や斜め方向に寝かせた構造
となっているため、普通に用いられる様に長さが直径よ
りも大きい固体電解質袋管1を用いた場合、電池の鉛直
方向の高さが小さくなり、正極室5内の上下方向に重力
による活物質の濃度分布や組成分布が付きにくくなっ
て、電池内の起電力分布に基づく循環電流が押さえら
れ、これらの結果として電池の効率が向上する。ここ
で、固体電解質袋管1を斜めにする場合、固体電解質袋
管1の軸方向と水平方向との角度が±45°以下である
ことが望ましいものである。なお、電池効率向上の目的
で電池の鉛直方向の高さを小さくするためには、固体電
解質袋管を水平設置することが特に望ましいものであ
る。また、この効果は、単電池を大型化するために固体
電解質袋管1の長さを大きくする場合に特に顕著で、本
実施形態の構造により、電池の大型化と効率向上との両
立が可能である。
【0035】なお、固体電解質袋管1においては、長さ
を直径よりも大きくすることにより、固体電解質袋管の
内容積と表面積との比を比較的小さくすることができ
る。この結果、直径が長さと同程度又は直径の方が大き
い固体電解質袋管を用いた場合に比べて、所定時間内で
の運転時の固体電解質袋管の表面積当りの電流密度を小
さくすることができ、電池効率を大きくできる。
【0036】また、図3に示した実施形態による高温ナ
トリウム二次電池においては、固体電解質袋管1から離
れた部分のナトリウム容器8の内径が広がって、固体電
解質袋管1の側部よりも内径の大きい部分に貫通孔90
が設けられているため、固体電解質袋管1の大きさを変
えなくても、ナトリウム容器8内へ収納されて電池反応
に寄与するナトリウム7の量を大きくすることができ、
電池を大容量化することができる。さらに、正極の抵抗
は、主に集電体15と多孔質導電材10及び多孔質材1
1又は/及び多孔質材110で決まり、正極容器3の容
積は電池抵抗に影響しないため、集電体15と固体電解
質袋管1との間隔を適切に保って正極抵抗を低減すると
共に、正極容器3の容積を大きくすることにより、固体
電解質袋管1の寸法を大きくしなくても、正極室5に収
容する正極活物質17の量を大きくすることができ、電
池が大容量化される。その結果、電池抵抗を低く保ちな
がら、構成部品をあまり増やすこと無く、電池の大容量
化が可能で、低コスト化が容易に実現でき、実用性の高
い大容量電池が得られる。また、図示していないが、正
極容器3の側面を直方体形状にすることもでき、これに
よって電池を横置きした際の姿勢が安定して、機械的安
定性を高めると共に、モジュールを構成する保温容器内
へ複数個の高温ナトリウム二次電池を収納する際に電池
間の間隔や保温容器と電池との間隔が小さくでき、電池
の充填密度が向上して、モジュールのエネルギー密度が
増大する。なお、絶縁リング6の外側側面や負極容器2
の外部側面を直方体にすることも可能である。
【0037】また、ナトリウム容器8と負極容器2や固
体電解質袋管1との間隙に存在するナトリウム7は室温
では固体であるが、電池の昇温によって液化し、その際
の体積膨張で負極容器の蓋21が押されて、負極容器2
と絶縁リング6との接合部が剥離して電池の信頼性が損
なわれる可能性がある。なお、固体電解質袋管1を水平
方向又は斜め方向に寝かせた横置き電池においては、ナ
トリウム7が負極容器の蓋21に接触し易いために、こ
れが特に問題となる。この問題に対して、図1〜図3に
示した実施形態による高温ナトリウム二次電池において
は、ナトリウム容器8に設けた開口部9や貫通孔90を
絶縁リングの側面近傍の位置、あるいは、絶縁リング6
よりも固体電解質袋管1から遠い位置、即ち、負極容器
の蓋21に比較的近い位置に設けることにより、体積膨
張したナトリウムが開口部9や貫通孔90を通ってナト
リウム容器8内へ入るため、負極容器の蓋21へ加わる
応力が低減され、横置き電池の信頼性が大幅に向上す
る。なお、このためには、開口部9や貫通孔90をでき
るだけ負極容器の蓋21に近づけて配置することが望ま
しいものである。
【0038】また、図3に示した実施形態による高温ナ
トリウム二次電池においては、ナトリウム容器8内に不
活性ガスを充填すると共に、貫通孔90を設けた部分と
は反対側のナトリウム容器8の上側側面と負極容器2の
側面との間隙に少量の窒素ガスや不活性ガスを充填して
ガス空間40を形成し、昇温時のナトリウム7の熱膨張
をガス空間40でも吸収し、負極容器の蓋21への応力
を大幅に低減して電池の信頼性を高めることができる。
この場合、ナトリウム容器8の内径が固体電解質袋管1
の内径よりも大きい位置にガス空間40が存在するた
め、ガスは固体電解質袋管1の内面よりも上部に位置
し、ガスが固体電解質袋管1の表面に密着して電池特性
が損なわれる問題を防止することができる。このように
して、効率向上と大容量化との両立による低コスト電池
の実現と共に、この電池の信頼性を向上することができ
る。
【0039】さらに、図1〜図3に示した実施形態によ
る高温ナトリウム二次電池においては、固体電解質袋管
1が破損した場合にはナトリウム7と正極活物質17が
直接反応して発熱するため、安全性向上のためには、ナ
トリウム容器8からのナトリウム7の移動を制限するこ
とが重要であるが、このためにはナトリウム容器8に設
けた開口部9や貫通孔90、あるいは、安全管14に設
けた開口部19を絶縁リング6に隣接するか、絶縁リン
グよりも固体電解質袋管1から遠い位置、すなわち、固
体電解質袋管から離れた位置に設けることが望ましいも
のである。このように構成することにより、ナトリウム
容器8から流出したナトリウムが正極活物質と反応する
ためには、ナトリウム容器8の側部外面や安全管14の
側部外面と負極容器2の側部内面や絶縁リング6の側部
内面あるいは遮蔽体12の側部内面との狭い間隙を通っ
てナトリウムが移動する必要があり、ナトリウム7の移
動速度が制限されて、電池の安全性が向上する。
【0040】また、図1,図2に示した実施形態による
高温ナトリウム二次電池においては、絶縁リング6や負
極容器2の側部内径が固体電解質袋管1の側部内径より
も小さくなっており、ナトリウム容器8の側部外面が絶
縁リング6の側部内面や負極容器2の側部内面と近接し
て設けられると共に、ナトリウム容器8の側部の熱膨張
量を絶縁リング6の側部や負極容器2の側部の熱膨張量
よりも大きくすることにより、電池の安全性を大幅に高
めることができる。即ち、固体電解質袋管1にクラック
が入ってナトリウムと正極活物質とが直接反応したり、
電池が外部短絡して大電流が流れたりして、電池温度が
上昇した際には、ナトリウム容器8が熱膨張して、ナト
リウム容器の側部外面と絶縁リング6の内面や負極容器
2の内面との間隔が低減し、これによって固体電解質袋
管1から離れた位置にある開口部9や貫通孔90からの
ナトリウムの移動が抑制されるため、電池の安全性が向
上する。
【0041】さらに、図3に示した実施形態による高温
ナトリウム二次電池のように、図1や図2の負極容器2
の内側に遮蔽体12を設け、図示されていないが、遮蔽
体12の側部内面をナトリウム容器8の側部外面に近接
させて、ナトリウム容器8の側部の熱膨張量を遮蔽体1
2の側部の熱膨張量よりも大きくすることにより、上述
と同様に電池の安全性を大幅に高めることができる。さ
らに、ナトリウムと正極活物質との直接反応や外部短絡
によって電池温度が異常高温度、即ち、450〜550
℃に達した際、熱膨張によってナトリウム容器8の側部
外面を絶縁リング6の側部内面、負極容器2の側部内面
あるいは遮蔽体12の側部内面と密着させて、ナトリウ
ム7の移動を停止させることにより、その後の反応が抑
制されて、安全性は一層向上する。この場合、図1や図
2に示したように、開口部9や貫通孔90を固体電解質
袋管1から離れた位置に設けることにより、固体電解質
袋管が大破してもナトリウム容器8からのナトリウムの
流出を阻止することができ、安全性が確保される。
【0042】また、さらに、図3に示した実施形態によ
る高温ナトリウム二次電池においても、安全管14の側
部外面が遮蔽体12の側部内面、あるいは、図示されて
いないが、絶縁リング6の側部内面や負極容器2の側部
内面と近接して設けられると共に、安全管14の側部の
熱膨張量を遮蔽体12の側部、絶縁リング6の側部や負
極容器2の側部の熱膨張量よりも大きくすることによ
り、電池の安全性を大幅に高めることができる。即ち、
固体電解質袋管1にクラックが入ってナトリウムと正極
活物質とが直接反応したり、外部短絡して、電池温度が
上昇した際には、安全管が熱膨張して、安全管の側部外
面と遮蔽体の側部内面、絶縁リングの側部内面や負極容
器の側部内面との間隔が低減し、これによってナトリウ
ムの移動が抑制されるため、電池の安全性が向上する。
【0043】なお、図3に示したように、安全管14と
して有底袋管状のものが用いられて固体電解質袋管1と
ナトリウム容器8との間に設置されるため、ナトリウム
容器8に設けた開口部9,即ち、貫通孔90の位置とし
ては、図3に示したように、固体電解質袋管1から離れ
た位置に設ける代わりに、後述する図15の例に示すよ
うに、ナトリウム容器8の底部やナトリウム容器のその
他の位置に設けた場合にも、同様の安全性の効果を得る
ことができる。さらに、ナトリウムと正極活物質との直
接反応や外部短絡によって電池温度が異常高温度、即
ち、450〜550℃に達した際、熱膨張によって安全
管14の側部外面を遮蔽体12の側部内面、絶縁リング
6の側部内面あるいは負極容器2の側部内面と密着させ
て、ナトリウム7の移動を停止させることにより、その
後の反応が抑制されて、安全性は一層向上する。
【0044】さらに、ナトリウム容器8又は安全管14
の側部外面と絶縁リング6や負極容器2又は遮蔽体12
の側部内面との平均間隔がナトリウム容器8又は安全管
14の側部外面と固体電解質袋管1の側部内面との平均
間隔よりも小さくなっている場合には、熱膨張によって
ナトリウム容器8や安全管14の側部外面と固体電解質
袋管1の側部内面とが密着するより低温で、ナトリウム
容器や安全管の側部外面と絶縁リング6、負極容器2や
遮蔽体12の側部内面とが密着し、ナトリウムと正極活
物質とのそれ以後の反応が抑制されることが可能なため
に、ナトリウム容器や安全管の熱膨張による応力が固体
電解質袋管に加わる可能性が低減し、その結果として固
体電解質袋管のクラック進展が起こりにくくなるため、
安全性は飛躍的に向上する。また、開口部9,19や貫
通孔90が固体電解質袋管1から離れた位置にあり、ナ
トリウム容器8や安全管14の側部外面と絶縁リング6
や負極容器2、遮蔽体12の側部内面との密着によって
ナトリウムの移動が防止される場合には、例え固体電解
質袋管1が大破したとしても、安全管14やナトリウム
容器8の熱膨張によってナトリウムの移動が防止され、
その後の電池破損の継続が抑制され、安全性が有効に保
たれる。
【0045】また、図1〜図3に示した実施形態による
高温ナトリウム二次電池においては、絶縁リング6とし
て、αアルミナセラミックスが用いられる場合、αアル
ミナと固体電解質袋管1を構成するベータアルミナとは
熱膨張率がほぼ等しいものである。また、絶縁リング6
として、マグネシウムアルミニウムスピネルが用いられ
た場合には、ベータアルミナよりも熱膨張率が若干大き
いが、絶縁リングとしてセラミックスを用いる限り、そ
れほど大きな差にはならないものである。このために、
ナトリウム容器8や安全管14の側部外面と絶縁リング
6の側部内面との平均間隔をナトリウム容器8や安全管
14の側部外面と固体電解質袋管1の側部内面との平均
間隔よりも短くすることにより、ナトリウム容器8や安
全管14と固体電解質袋管1とが密着するより低温で、
ナトリウム容器8や安全管14と絶縁リング6とを密着
させることができる。
【0046】一方、負極容器2の絶縁リング6との接合
部は絶縁リング6に拘束されて、ほぼ絶縁リング6と同
じ熱膨張量となるため、ナトリウム容器8や安全管14
の側部外面と負極容器2の側部内面との平均間隔を、ナ
トリウム容器8や安全管14の側部外面と固体電解質袋
管1の側部内面との平均間隔よりも短くすることによ
り、負極容器2の材料として、ナトリウム容器8や安全
管14と同じ熱膨張率の材料を用いた場合にも、ナトリ
ウム容器8や安全管14と固体電解質袋管1とが密着す
るより低温で、ナトリウム容器8や安全管14と負極容
器2の接合部近傍とを密着させることができる。なお、
Al製のナトリウム容器8や安全管14との密着による
安全性向上のためには、負極容器2として、SUSやF
e,Ni,Co,Moなどを主体とするAlよりも低熱
膨張率の金属製とすることが望ましいものである。
【0047】また、遮蔽体12についても、負極容器2
の場合と同様に側部の熱膨張が絶縁リング6で制限され
るため、安全性の観点からは材料の熱膨張率には制限が
無いが、熱圧接時の負極容器2の変形防止の観点から
は、上述した低熱膨張率の金属製やセラミックス製ある
いはカーボン製であることが望ましいものである。な
お、ナトリウム容器8や安全管14としては、熱膨張率
の大きさからAlやAl合金を用いることが特に望まし
いものである。
【0048】さらに、ナトリウム容器8や安全管14と
して、SUSや鉄を用いることもできる。SUSや鉄の
熱膨張率はAlよりも小さいが、絶縁リング6を構成す
るアルミナなどのセラミックスよりも大きいため、電池
温度上昇に伴って絶縁リング6との間隔を狭くして、ナ
トリウムの流量を制限することができる。また、SUS
や鉄はAlよりも融点が高いため、電池の破損や短絡時
に電池温度が大きく上昇してもナトリウム容器や安全管
が安定に保たれ易いものである。また、図1〜図3に示
した実施形態による高温ナトリウム二次電池において
は、安全管14やナトリウム容器8の側部外面と絶縁リ
ング6、負極容器2あるいは遮蔽体12の側部内面との
密着が起こる異常高温度は、450〜550℃の範囲内
であることが望ましいものである。高温ナトリウム二次
電池の運転温度の上限は、電池寿命の制約のために約4
00℃以下であり、電池の正常な運転中に密着によるナ
トリウム移動停止を起こさないためには、温度にある程
度の余裕を持たせて、密着が起こる異常高温度は約45
0℃以上であることが望ましいものである。一方、負極
容器2や正極容器3と絶縁リング6との接合に一般に用
いられるAlやAl合金製の接合材の液相線温度は約6
00℃程度のため、接合部の剥離を防いで信頼性を高め
るためには、密着が起こる異常高温度を約550℃以下
にすることが望ましいものである。
【0049】さらに、電池の異常高温度でナトリウム容
器8や安全管14と絶縁リング6とを密着させる構造で
は、ナトリウム容器や安全管としてAlやAl合金を、
絶縁リングとしてαアルミナを用いて、500℃で両者
が密着する場合を想定すると、 Al合金の熱膨張率は
約24×10-6/℃、αアルミナの熱膨張率は約7×1
-6/℃のために、絶縁リング6の側部内面の直径が6
0mmの時には、室温でのナトリウム容器8や安全管1
4の側部外面と絶縁リング6の側部内面との平均間隔を
約0.24mmにする必要がある。上述した各実施形態
の構造では、絶縁リング6の側部の上下方向の厚さが比
較的短くできるため、絶縁リング6の側部内面の機械加
工により、この程度の寸法精度は容易に達成できる。ナ
トリウム容器8や安全管14を、負極容器2や遮蔽体1
2と密着させる場合の負極容器2や遮蔽体12の加工性
についても同様で、異常高温度でナトリウム容器8や安
全管14と絶縁リング6、負極容器2や遮蔽体12とを
密着させる電池構造は、比較的量産性が高いものであ
る。一方、異常高温時にナトリウム容器8や安全管14
を固体電解質袋管1と密着させる構造では、固体電解質
袋管1の長さが比較的長く、且つ、底部が密閉されてい
るために、固体電解質袋管の内面加工やナトリウム容器
や安全管の寸法精度向上に手間が掛かるという量産上の
問題がある。
【0050】次に、図4を用いて、本発明の第4の実施
形態による高温ナトリウム二次電池の構造について説明
する。図4は、本発明の第4の実施形態による高温ナト
リウム二次電池の構造を示す断面図である。
【0051】ナトリウムイオン導電性の固体電解質袋管
1は、普通β型やβ”型のベータアルミナセラミックス
から成る固体電解質が用いられる。本実施形態の電池構
造では、固体電解質袋管1は、水平方向又は斜め方向に
寝かせて配置される。負極容器2及び正極容器3は、固
体電解質袋管1と共に、それぞれ負極室4,正極室5を
構成する。負極容器2及び正極容器3は、AlやFe,
SUSまたはこれらの表面にCrやMo,Ti,Si,
Cなどを主体とする耐食層を設けたものや、Al合金と
SUS等とのクラッド材が普通に用いられる。
【0052】絶縁リング6は、負極容器2と正極容器3
を絶縁し、且つ、これらと接合されている。絶縁リング
6は、例えば、αアルミナセラミックスを用いており、
図示されていないが固体電解質袋管1の端部付近にガラ
ス接合されたり、αアルミナやマグネシウムアルミニウ
ムスピネルなどのセラミックスを用いて、固体電解質袋
管1の端部と一体焼結されている。また、負極容器2や
正極容器3と絶縁リング6との接合には、図示されてい
ないが、AlやAl合金を接合材として用いて、接合材
の液相線温度以下や固相線温度以下に加熱して、加圧接
合する熱圧接法が一般に行われている。
【0053】負極室4の内側及びナトリウム容器8の内
側には、液体のナトリウム7が収納されている。ナトリ
ウム7は、放電時には、重力や負極室4の一部であるナ
トリウム容器内に充填された窒素ガスやArガスなどの
不活性ガスよりなるガス空間40の圧力で押され、一
方、充電時には、固体電解質袋管1を通して侵入するナ
トリウムの圧力で押されて、ナトリウム容器8に設けた
貫通孔90を出入りする。なお、貫通孔90を、絶縁リ
ング6の近く、すなわち、固体電解質袋管1から遠い位
置に設けることによって、安全性や信頼性が向上する。
なお、図示する例では、ナトリウム容器8は、負極容器
2と分離されているが、ナトリウム容器と負極容器とを
一体化した構造としてもよいものである。
【0054】また、正極室5内の固体電解質袋管1の側
部外面と正極容器3の側部内面との間には、正極容器と
端部で接続した円筒状の集電体41が設けられている。
集電体41と固体電解質袋管1との間には、多孔質導電
材10や多孔質材11が設置されている。多孔質導電材
10には、一般に炭素繊維又は/及び炭素粒子の集合体
や金属繊維や金属粒子の集合体などが用いられる。多孔
質導電材10に正極活物質17が含浸されて、電池反応
を促進している。
【0055】ここで、正極活物質17の体積を多孔質導
電材10や多孔質材11の空隙体積よりも大きくして、
多孔質導電材や多孔質材に含浸される以外に、例えば正
極容器と集電体との隙間などに正極活物質を充填し、集
電体41に貫通部42を設けて多孔質導電材10の内外
に正極活物質17を移動させることにより、電池容量の
拡大を図ることができる。なお、図示していないが、集
電体41に貫通部42を設ける代わりに、集電体の端部
と正極容器3や絶縁リング6との間隙を通って正極活物
質17を移動させることもできる。
【0056】ここで、集電体41としては、厚さ0.3
〜5mm程度のAl,Al合金やこれらとSUS等との
クラッド材を用い、多孔質導電材との接触面にCo基合
金、Cr/Fe合金、SUS、Al/Si合金、Cr、
C、MoやCr、Moの炭化物や窒化物などの耐食性導
電層を溶射やメッキなどの方法で設けたり、これら耐食
性の粒子や繊維をAlやAl合金の表面へ接合又は埋め
込んだものが用いられる。
【0057】また、貫通部42の大きさとしては、直径
や幅,長さが1〜10mm程度の円形や直方体、また
は、これらの間に幅1〜10mmのスリットを設けたも
のを用い、面積割合としては集電体面積の5〜50%程
度が望ましいものである。
【0058】なお、高温ナトリウム二次電池がナトリウ
ム硫黄電池の場合、多孔質導電材10としては、100
0〜2000℃で加熱されたPAN系やピッチ系の炭素
繊維や炭素粒子の厚さ3〜20mm程度の集合体が、正
極活物質17としては、硫黄や多硫化ナトリウムが用い
られる。一方、ナトリウム硫黄電池以外の高温ナトリウ
ム二次電池においては、正極活物質としては、硫黄,セ
レン,テルルの元素やこれらの塩化物、金属塩化物(金
属はAl、Ni、Feなど)が用いられる。
【0059】さらに、ナトリウム硫黄電池においては、
図示するように、固体電解質袋管1と多孔質導電材10
との間に多孔質材11が設けられることが望ましいもの
である。多孔質材11は、普通アルミナなどのセラミッ
クスやガラスなどの厚さ0.1〜0.5mm程度の繊維
や粒子の集合体から構成され、多硫化ナトリウムなどの
ようなイオン導電性の正極活物質を含浸する性質を持
ち、ナトリウム硫黄電池などの充電時の抵抗上昇を押さ
え、電池の充放電特性を改善する効果を持っている。な
お、多孔質材11内に多孔質導電材10と同様の多孔質
導電材を混合することや、逆に多孔質導電材10内に多
孔質材11と同様な多孔質材を混合することもできる。
【0060】また、この構造においては、集電体41と
正極容器3との径方向の間隙が上下で異なっており、下
側の間隙51が上側の間隙52より狭くなるように構成
されている。なお、間隔51を小さくして、集電体41
と正極容器3とを下側で接触させても良く、こうするこ
とによって、水平方向や斜め方向に寝かせた電池の機械
的信頼性が向上する。
【0061】以上説明したように、本実施形態において
は、高温ナトリウム二次電池,即ち、固体電解質袋管1
を水平方向や斜め方向に寝かせた構造となっているため
に、普通に用いられる様に長さが直径よりも大きい固体
電解質袋管1を用いた場合、電池の鉛直方向の高さが小
さくなり、正極室5内の上下方向に重力による活物質の
濃度分布や組成分布が付きにくくなって、電池内の起電
力分布に基づく循環電流が押さえられ、これらの結果と
して電池の効率が向上する。
【0062】ここで、固体電解質袋管を斜めにする場
合、固体電解質袋管の軸方向と水平方向との角度が±4
5°以下であることが望ましいものである。なお、電池
効率向上の目的で電池の鉛直方向の高さを小さくするた
めには、固体電解質袋管を水平設置することが特に望ま
しいものである。また、この効果は、単電池を大型化す
るために固体電解質袋管1の長さを大きくした場合に特
に顕著で、上述した構造により、電池の大型化と効率向
上との両立が可能である。
【0063】なお、固体電解質袋管1においては、長さ
を直径よりも大きくすることにより、固体電解質袋管の
内容積と表面積との比を比較的小さくすることができ
る。この結果、直径が長さと同程度又は直径の方が大き
い固体電解質袋管を用いた場合に比べて、所定時間内で
の運転時の固体電解質袋管の表面積当りの電流密度を小
さくすることができ、電池効率を大きくできる。
【0064】また、正極室内に集電体41を用いて集電
することにより、集電体41と固体電解質袋管1との間
隔に存在する多孔質導電材10の厚さを比較的小さくし
て、その抵抗を低減することができる。
【0065】さらに、正極の抵抗は、主に、集電体41
と多孔質導電材10及び多孔質材11又は/及び多孔質
材110で決まり、正極容器3の容積は電池抵抗に関係
しないため、集電体41と固体電解質袋管1との間隔を
適切に保って正極抵抗を低減し、正極容器3の容積を大
きくすることにより、固体電解質袋管1の寸法を大きく
しなくても、正極室5に収容する正極活物質17の量を
大きくすることができ、電池が大容量化できる。
【0066】これらの結果、電池抵抗を低く保ちなが
ら、構成部品をあまり増やすこと無く電池の大容量化が
可能で、低コスト化が容易に実現できる実用性の高い大
容量電池が得られる。
【0067】なお、この構造において電池を大容量化す
るためには、放電時には、多孔質導電材10内に正極活
物質17が含浸され、固体電解質袋管1を通して負極室
4から供給されたナトリウムイオンと反応すると共に、
反応生成物が多孔質導電材10から正極容器3と集電体
41との間隙などの正極室5内の空間に放出される必要
がある。一方、充電時には、正極室内の空間に存在する
正極活物質の一部である反応生成物が多孔質導電材10
内に移動し、そこで電気分解されて、生成したナトリウ
ムイオンが固体電解質袋管1を通して負極室内に戻る必
要がある。したがって、電池容量を確保するために十分
な深度まで充電を進めるためには、ナトリウムイオンの
移動によって正極室内の正極活物質の体積が減少した場
合にも、正極活物質、特に反応生成物が多孔質導電材1
0や多孔質材11と接触していることが望ましいもので
ある。
【0068】そこで、本実施形態では、集電体41と正
極容器3との径方向の下側の間隙51を小さく、すなわ
ち、集電体と正極容器との間の径方向下側の正極室内の
容積を比較的小さくして、正極室5内の下側に溜まった
正極活物質が充電末まで多孔質導電材10や多孔質11
と接触するようにして、電池の充電が十分進むよう配慮
している。一方、上側の径方向の間隙52,すなわち、
径方向上側の正極室内の容積を下側の間隙51,すなわ
ち、集電体と正極容器との間の径方向下側の正極室内容
積よりも大きくして、正極室5内の全体の容積を確保す
ることにより、電池を大容量化することができる。
【0069】なお、図示していないが、横側の間隔,す
なわち、集電体と正極容器との間の径方向横側の正極室
内容積を下側の間隙,すなわち、径方向下側の正極室内
容積よりも大きくした場合にも同様の効果が得られる。
さらに、正極容器との間隔を集電体の径方向下側と上
側、横側とで変える代わりに、図示していないが、集電
体と正極容器との径方向下側の間隔に金属やガラス、セ
ラミックスの塊や封止物などを充填して、正極室内の径
方向下側の有効容積を小さくすることによっても、同様
な効果が得られる。
【0070】また、図示するように、多孔質導電材10
としてリング状の炭素繊維マットなどが、固体電解質袋
管1の軸方向に積層して充填されており、多孔質導電材
同志の間にリング状の多孔質材110が配置されてい
る。多孔質材110は、多孔質材11と同様な作用を示
し、こうすることによって、電池を寝かせた際の上下方
向の正極活物質の移動が促進され、鉛直方向に濃度分布
や組成分布が付きにくくなって電池効率が向上すると共
に、充電末で正極活物質の液面が低下した場合にも多孔
質集電材10や多孔質材110によって吸い上がり、電
池反応に寄与しやすくなって、電池容量が向上する。な
お、リング状の多孔質材110は、後述する図5〜図8
においても実現することができる。また、このように多
孔質導電材同士の間に、多孔質材110が設けられてい
る場合には、多孔質材11を省略することもできる。
【0071】次に、図5を用いて、本発明の第5の実施
形態による高温ナトリウム二次電池の構造について説明
する。図5は、本発明の第5の実施形態による高温ナト
リウム二次電池の構造を示す断面図である。なお、図4
と同一符号は、同一部分を示している。
【0072】本実施形態においては、ナトリウム容器8
と負極容器2とは一体化されている。また、固体電解質
袋管1は、水平方向又は斜め方向に寝かせて配置される
と共に、正極室5内に集電体41が設けられ、この集電
体と固体電解質袋管との間に多孔質導電材10や多孔質
材11が設置されているため、電池の大型化と効率向上
との両立が可能である。
【0073】図示するように、多孔質導電材10の厚さ
や集電体41と正極容器3との間隙が径方向で異なって
おり、下側の多孔質導電材の径方向厚さが、上側の径方
向厚さよりも厚いと共に、下側の間隙51,すなわち、
径方向下側の正極室内容積が、上側の間隙52,すなわ
ち、径方向上側の正極室内容積よりも小さくなってい
る。なお、図示されていないが多孔質導電材の下側の径
方向厚さを横側の径方向厚さよりも厚くしたり、径方向
下側の正極室内容積を径方向横側の正極内容積よりも小
さくすることもできる。
【0074】ここで、集電体と正極容器との下側の間
隔,すなわち、径方向下側の正極室内容積を比較的小さ
くした効果は、図4に記載したものと同様である。ま
た、多孔質導電材10の径方向厚さの違いの効果は、以
下の通りである。すなわち、ナトリウム硫黄電池におい
ては、放電によって生成する多硫化ナトリウムの比重が
硫黄よりも大きいため、放電の進行に伴って多硫化ナト
リウムが鉛直方向下側に垂れ下がり、逆に硫黄が上側に
吸い上って、正極活物質に濃度分布を生じ、その結果内
部起電力分布に基づく循環電流によって効率が低下し易
い傾向にある。それに対して、本実施形態では、固体電
解質袋管1を横向きにした際の下側の側面と集電体41
の下側の側面との間隔を、固体電解質袋管の上側又は横
側の側面と集電体の上側又は横側の側面との間隔よりも
大きくし、下側に存在する多孔質導電材10,すなわ
ち、炭素繊維集合体や炭素粉末集合体の径方向の厚さ
が、上側又は/及び横側よりも大きくなるようにしてい
る。これによって、炭素と硫黄とが濡れやすいために、
下側の炭素繊維集合体や炭素粉末集合体の体積が大きい
分、含浸される下側の硫黄の量が上側又は/及び横側よ
りも多くなり、硫黄よりも比重の大きい多硫化ナトリウ
ムが放電の際生成して重力で鉛直方向下側へ移動したと
しても、炭素繊維集合体や炭素粉末集合体に含まれる硫
黄と多硫化ナトリウムとの含有量の比に上下差が付きに
くくなり、正極室内の鉛直方向の起電力分布の発生を押
さえて、電池効率を高く保つことができる。
【0075】なお、この場合、放電の初期では下側の硫
黄の含有量比率が多くなるが、ナトリウム硫黄電池にお
いては、正極活物質中に硫黄が存在している間は起電力
は一定であり、一方、正極活物質が全て多硫化ナトリウ
ムになった後は放電が進んでも反応生成物の比重はほと
んど変化しないものである。そこで、放電中に硫黄と多
硫化ナトリウムが上下へ移動することを考慮して、放電
時に多孔質導電材内でほぼ同時に硫黄が全て消費されて
多硫化ナトリウムに変化するように、上→横→下に進む
に従って多孔質導電材の径方向の厚さが順次厚くなる様
に制御することが特に望ましく、この構造により、放電
時の正極室内の起電力分布発生を押さえ、電池効率を特
に向上できる。すなわち、下側の多孔質導電体の径方向
の厚さが上側又は横側よりも厚ければ、その結果、多孔
質導電材内の正極活物質組成が均一化され、電池効率を
向上することができる。
【0076】次に、図6を用いて、本発明の第6の実施
形態による高温ナトリウム二次電池の構造について説明
する。図6は、本発明の第6の実施形態による高温ナト
リウム二次電池の構造を示す断面図である。なお、図4
と同一符号は、同一部分を示している。
【0077】本実施形態においては、ナトリウム容器8
と負極容器2とは一体化されている。また、固体電解質
袋管1は、水平方向又は斜め方向に寝かせて配置される
と共に、正極室5内に集電体41が設けられ、この集電
体と固体電解質袋管との間に多孔質導電材10や多孔質
材11が設置されているため、電池の大型化と効率向上
との両立が可能である。
【0078】さらに、本実施形態においては、負極室内
の固体電解質袋管1とナトリウム容器8との間に有底袋
管状の安全管14を設けて、固体電解質袋管の破損時の
安全性を高めている。
【0079】また、正極室内の固体電解質袋管1と集電
体41との間に、多孔質導電材10と多孔質材11が設
けられると共に、多孔質導電材の一部10’が集電体4
1より下側まで延びて、正極容器3に隣接すると共に、
正極容器3と集電体41との径方向の間隙の一部にも多
孔質導電材101が設けられている。
【0080】なお、図示されていないが、多孔質材11
の一部を集電体の下側まで延長しても良いし、多孔質導
電材の一部10’と多孔質導電材101のどちらか一方
を設けても良いものである。また、図6では、正極容器
3と集電体41との上側の間隙、及び、図示していない
が、横側の間隔にも多孔質導電材101が設けられてい
るが、下側のみに設けてもよいものである。さらに、図
示していないが、正極容器3と集電体41との下側の径
方向の間隙の全体に多孔質導電材101を設けることも
できる。また、多孔質導電材101の代わりに、多孔質
材を設置するか又は多孔質材と多孔質導電材とを組み合
わせて設置してもよいものである。
【0081】このように、集電体41の下側や正極容器
3と集電体41との間隙の下側の一部又は全部に多孔質
導電材又は/及び多孔質材を設けることにより、充電時
に正極室内の空間の下側に溜まった正極活物質が、集電
体の下側や正極容器と集電体との間隙に存在する多孔質
導電材や多孔質材と接触して吸い上げられ、固体電解質
袋管と集電体との間隙に設置された多孔質導電材10に
含浸されて電池反応に関与することにより、電池の充電
深度が高まって、電池の大容量化が可能となる。
【0082】ここで、集電体41の下側や正極容器3と
集電体41との間に設ける多孔質導電材101や多孔質
材の性質としては表面張力が大切で、電気伝導性につい
ては制限が無いため、例えば炭素繊維を用いる場合には
炭素化の熱処理温度を低くしたり、炭素繊維として短繊
維の集合体を用いるなどの方法により、材料のコストダ
ウンを図ることが可能である。
【0083】また、その充填密度としては、固体電解質
袋管1と集電体41との間に充填された多孔質導電材1
0の充填密度と同じ、あるいは、大きくすることもでき
るが、正極活物質の固体電解質袋管近傍への移動性を考
慮すると比較的小さいほうが望ましいものである。
【0084】なお、正極容器3と集電体41との間隙の
全部又は下側の全部に多孔質導電材101や多孔質材を
充填するよりも、正極容器3と集電体41との下側の間
隙の一部に多孔質導電材101や多孔質材を充填する方
が、充填材料が少なくて済むこと、正極室内の空隙が広
がって正極活物質の充填量が多くでき、電池容量増大が
容易になること、放電時に生成したナトリウムと正極活
物質との反応生成物が正極容器と集電体との下側の間隙
へ移動することによって放電時の電気化学反応が円滑に
進み易くなること、の理由から好ましいものである。
【0085】なお、図示していないが、集電体41に貫
通部42を設けずに、集電体41の端部と正極容器3や
絶縁リング6との間隙を通って正極活物質17を移動さ
せる場合には、多孔質導電材10の一部10’や多孔質
材11の一部を集電体41よりも下側まで延ばすことが
望ましいものである。
【0086】以上説明したように、図4〜図6に示した
構造においては、正極の抵抗は、主に集電体41と多孔
質導電材10及び多孔質材11又は/及び多孔質材11
0で決まり、集電体41と固体電解質袋管1との間隔を
小さくすることによって、多孔質導電材の径方向の抵抗
が小さくできる。このため、集電体41と固体電解質袋
管1との間隙を適切に保つと共に、正極容器3と集電体
41の径方向の間隔を広げて、正極室内の容積を大きく
することにより、固体電解質袋管1の寸法を大きくしな
くても、電池の大容量化と電池抵抗の低減、すなわち高
効率化との両立が可能で、且つ、低コスト化が可能な実
用性の高い電池が実現される。
【0087】なお、電池抵抗の低減のためには、多孔質
導電材10を構成する炭素繊維などの繊維の向きをでき
るだけ固体電解質袋管1の表面に垂直にすることが好ま
しいものである。このためには、炭素繊維から成るフェ
ルトをリング状又は短冊状に切断して、フェルト面が固
体電解質袋管1の側面に垂直になるように設置して多孔
質導電材10を構成しても良いし、図示していないが、
短冊状のフェルトを単独又は多孔質材110と重ねて固
体電解質袋管の側面にラセン状や円周状に巻きつけて、
フェルト面を固体電解質袋管の側面と直角に配置するこ
ともできる。
【0088】さらに、容積が同じであれば正極容器の側
面形状が変わっても電池特性は変化しないため、集電体
を固体電解質袋管側面に平行な円筒状とし、電池の外側
に存在する正極容器側面を直方体にすることができる。
これにより、電池を横置きした際の姿勢が安定して、機
械的安定性が向上すると共に、モジュールを構成する保
温容器内へ複数個の高温ナトリウム二次電池を収納する
際に電池間の間隔や保温容器と電池との間隔が小さくで
き、電池の充填密度が向上して、モジュールのエネルギ
ー密度が増大するという利点がある。なお、絶縁リング
6の外部側面や負極容器2の外側側面を直方体にするこ
とも可能である。
【0089】次に、図7を用いて、本発明の第7の実施
形態による高温ナトリウム二次電池の構造について説明
する。図7は、本発明の第7の実施形態による高温ナト
リウム二次電池の正極部分を径方向に切断した断面図で
ある。なお、図4と同一符号は、同一部分を示してい
る。
【0090】図示するように、電池を横置きして正極容
器を直方体形状とした場合、正極容器の上下面の面積を
側面よりも大きくした方が、電池設置時の安定性が高く
て、電池を保温容器内へ収納したモジュールの信頼性が
高くできると共に、電池高さが小さいために正極室内の
容積が同じでも正極活物質の濃度分布や組成分布が付き
にくいこと、および、固体電解質袋管や集電体の側面を
円筒状にし、且つ、正極容器との中心軸を一致させるこ
とによって、集電体の径方向下側と正極容器との下側の
間隙,すなわち、径方向下側の正極室内容積が横側の間
隙,すなわち、径方向横側の正極室内容積よりも小さく
なって充電が円滑に行われることのために、電池の製造
が容易で、電池容量や効率が高くできるという利点があ
る。また、図示されていないが、径方向下側の正極室内
容積を径方向上側の正極室内容積よりも小さくすること
によっても、同様な効果が得られる。
【0091】なお、図7に示した構成においても、正極
容器との間隔を集電体の径方向下側と横側で違える代わ
りに、図示していないが、集電体の径方向下側と正極容
器下側との間隔に金属やガラス、セラミックスの塊や封
止物などを充填して、正極室内の径方向下側の有効面積
を小さくすることができる。
【0092】さらに、図示していないが、集電体の径方
向下側の外面や上側の外面と正極容器の下側の内面や上
側の内面とを接触させたり、接合したりすることもで
き、こうすることによって、水平方向や斜め方向に寝か
せた固体電解質袋管1が集電体41や多孔質集電材10
を介して正極容器3で支えられるため、電池の機械的信
頼性が向上する。
【0093】次に、図8を用いて、本発明の第8の実施
形態による高温ナトリウム二次電池の構造について説明
する。図8は、本発明の第8の実施形態による高温ナト
リウム二次電池の構造を示す断面図である。なお、図4
と同一符号は、同一部分を示している。
【0094】本実施形態の構造は、ナトリウム硫黄電池
に適した構造であり、正極室5内に集電体は設けられ
ず、固体電解質袋管1と正極容器3との間に炭素繊維や
炭素粉末などの集合体から成る多孔質導電材10と多孔
質材11とを充填し、これらに正極活物質17である硫
黄や多硫化ナトリウムを含浸させている。また、多孔質
導電材の径方向の厚さを変化させて、電池を横置きした
際に下側の多孔質導電材10の厚さを上側や図示してい
ないが横側よりも厚くしている。 一方、負極室4内に
は炭素繊維や金属繊維などの繊維集合体からなる多孔質
材料80を充填し、この繊維集合体の表面張力によって
ナトリウム7を吸い上げて、固体電解質袋管1の表面へ
供給している。
【0095】かかる構造においても、図5の構造と同様
に、炭素と硫黄とが濡れやすいために、下側の炭素繊維
集合体や炭素粉末集合体からなる多孔質導電材10の体
積が大きい分、下側の多孔質導電材に含浸される硫黄の
量が上側又は/及び横側よりも多くなり、硫黄よりも比
重の大きい多硫化ナトリウムが放電の際生成して、重力
で鉛直方向下側へ移動したとしても、多孔質導電材10
に含まれる硫黄と多硫化ナトリウムとの含有量の比に上
下差が付きにくくなり、正極室内の鉛直方向の起電力分
布の発生を押さえて、電池効率を高く保つことができ
る。
【0096】さらに、本実施形態の構造においても、高
温ナトリウム二次電池,即ち、固体電解質袋管1を水平
方向や斜め方向に寝かせた構造となっているために、普
通に用いられる様に長さが直径よりも大きい固体電解質
袋管1を用いた場合、電池の鉛直方向の高さが小さくな
り、正極室5内の上下方向に重力による活物質の濃度分
布や組成分布が付きにくくなって、電池内の起電力分布
に基づく循環電流が押さえられ、これらの結果として電
池の効率が向上する。この効果は単電池を大型化するた
めに固体電解質袋管1の長さを大きくする場合に特に顕
著で、本実施形態の構造により、電池の大型化と効率向
上との両立が可能である。
【0097】また、固体電解質袋管1においては、長さ
を直径よりも大きくすることにより、固体電解質袋管の
内容積と表面積との比を比較的小さくすることができ
る。この結果、直径が長さと同程度又は直径の方が大き
い固体電解質袋管を用いた場合に比べて、所定時間内で
の運転時の固体電解質袋管の表面積当りの電流密度を小
さくすることができ、電池効率を大きくできる。
【0098】なお、図示していないが、図8に示した構
造の高温ナトリウム二次電池においても、図7と同様に
正極容器3の側面を直方体にすることにより、電池を横
置きした際の機械的安定性が向上すると共に、モジュー
ルを構成する保温容器内へ複数個の高温ナトリウム二次
電池を収納する際に電池間の間隔や保温容器と電池との
間隔が小さくでき、電池の充填密度が向上して、モジュ
ールのエネルギー密度が増大する。
【0099】具体例として、図4に示すように、固体電
解質袋管1としてリチウムドープのβ”アルミナ焼結体
からなる外径約60mm,長さ約600mm,肉厚約
1.5mmの円筒状袋管を用いた。また、負極容器2,
正極容器3およびナトリウム容器8の材料にはAl合金
を用い、集電体41には貫通部42を設けたAl合金の
胴部表面にクロムやクロム合金を溶射又はメッキしたも
のを用い、正極容器3と接続した。一方、絶縁リング6
としてはαアルミナ焼結体リングを用い、固体電解質袋
管の開口部とガラス接合した後、絶縁リングの表面に負
極容器、正極容器の端部を配置し、Al−Si系の合金
箔を用いて、負極容器、正極容器の端部と絶縁リングと
を熱圧接した。次に、ナトリウム容器内にナトリウム7
と約0.01MPaのArガスを充填し、このガス空間
40のガス圧でナトリウムがナトリウム容器の側面に設
けた貫通孔90を通って、袋管状固体電解質の内表面を
覆うようにした。
【0100】一方、集電体41の内表面と固体電解質袋
管1の外表面との間には、径方向の厚さが約12mmの
リング状のPAN系やピッチ系の炭素繊維マットから成
る多孔質導電材10を積層して充填すると共に、アルミ
ナ繊維集合体から成る厚さ約0.3mmの多孔質材1
1,110を充填し、正極活物質17として硫黄を含浸
して、ナトリウム硫黄電池を作製した。なお、この電池
においては、電池を横置きした際の正極容器3と集電体
41との側面間隔は上部が約25mm、下部が約1mm
である。
【0101】得られたナトリウム硫黄電池をナトリウム
容器に設けた貫通孔90が下側になるような向きで水平
に寝かせ、330℃で運転した結果、正極室内の正極活
物質の大部分が電池反応に関与するため、電池容量は約
1800Ahと大きく、且つ、内部抵抗は約1.0mΩ
と小さくでき、大容量化と高効率化の両立が可能となっ
た。なお、この電池においては、集電体を用いることに
よって、固体電解質袋管を大きくすることなく正極容器
を大きくすることで電池の大容量化が可能なため、低コ
スト化に特に適している。
【0102】次に、図9を用いて、本発明の第9の実施
形態による高温ナトリウム二次電池の構造について説明
する。図9は、本発明の第9の実施形態による高温ナト
リウム二次電池の構造を示す断面図である。
【0103】ナトリウムイオン導電性の固体電解質袋管
1は、普通β型やβ”型のベータアルミナセラミックス
から成る固体電解質が用いられる。本実施形態の電池構
造では、固体電解質袋管1は、水平方向又は斜め方向に
寝かせて配置される。負極容器2及び正極容器3は、固
体電解質袋管1と共に、それぞれ負極室4,正極室5を
構成する。負極容器2及び正極容器3は、AlやFe,
SUSまたはこれらの表面にCrやMo,Ti,Si,
Cなどを主体とする耐食層を設けたものや、Al合金と
SUS等とのクラッド材が普通に用いられる。
【0104】絶縁リング6は、負極容器2と正極容器3
を絶縁し、且つ、これらと接合されている。絶縁リング
6は、例えば、αアルミナセラミックスを用いており、
図示されていないが固体電解質袋管1の端部付近にガラ
ス接合されたり、αアルミナやマグネシウムアルミニウ
ムスピネルなどのセラミックスを用いて、固体電解質袋
管1の端部と一体焼結されている。また、負極容器2や
正極容器3と絶縁リング6との接合には、図示されてい
ないが、AlやAl合金を接合材として用いて、接合材
の液相線温度以下や固相線温度以下に加熱して、加圧接
合する熱圧接法が一般に行われている。
【0105】負極室4の内側及びナトリウム容器8の内
側には、液体のナトリウム7が収納されている。ナトリ
ウム7は、放電時には、重力や負極室4の一部であるナ
トリウム容器内に充填された窒素ガスやArガスなどの
不活性ガスからなるガス空間40の圧力で押され、一
方、充電時には、固体電解質袋管1を通して侵入するナ
トリウムの圧力で押されて、ナトリウム容器8に設けた
貫通孔90を出入りする。なお、後述する図10に示さ
れたように、貫通孔90を、絶縁リング6の近くや、絶
縁リング6よりも固体電解質袋管1から遠い位置に設け
ることによって、安全性や信頼性が向上する。なお、図
示する例では、ナトリウム容器8は、負極容器2と一体
化されているが、ナトリウム容器と負極容器とを分離し
た構造としてもよいものである。
【0106】また、正極室5内の固体電解質袋管1の側
部外面と正極容器3の側部内面との間には、正極容器と
端部で接続した円筒状の集電体41が設けられている。
集電体41と固体電解質袋管1との間には、多孔質導電
材10や多孔質材11が設置されている。多孔質導電材
10には、一般に炭素繊維又は/及び炭素粒子の集合体
や金属繊維や金属粒子の集合体などが用いられる。多孔
質導電材10に正極活物質17が含浸されて、電池反応
を促進している。
【0107】ここで、正極活物質17の体積を多孔質導
電材10や多孔質材11の空隙体積よりも大きくして、
多孔質導電材や多孔質材に含浸される以外に、例えば正
極容器と集電体との隙間などに正極活物質を充填し、集
電体41に貫通部42を設けて多孔質導電材10の内外
に正極活物質17を移動させることにより、電池容量の
拡大を図ることができる。なお、図示していないが、集
電体41に貫通部42を設ける代わりに、集電体の端部
と正極容器3や絶縁リング6との間隙を通って正極活物
質17を移動させることもできる。
【0108】ここで、集電体41としては、厚さ0.3
〜5mm程度のAl,Al合金やこれらとSUS等との
クラッド材を用い、多孔質導電材との接触面にCo基合
金、Cr/Fe合金、Al/Si合金、Cr、C、Mo
やCr、Moの炭化物や窒化物などの耐食性導電層を溶
射やメッキなどの方法で設けたり、これら耐食性の粒子
や繊維をAlやAl合金の表面へ接合又は埋め込んだも
のが用いられる。
【0109】また、貫通部42の大きさとしては、直径
や幅,長さが1〜10mm程度の円形や直方体、また
は、これらの間に幅1〜10mmのスリットを設けたも
のを用い、面積割合としては集電体面積の5〜50%程
度が望ましいものである。
【0110】なお、高温ナトリウム二次電池がナトリウ
ム硫黄電池の場合、多孔質導電材10としては、100
0〜2000℃で加熱されたPAN系やピッチ系の炭素
繊維や炭素粒子の厚さ3〜20mm程度の集合体が、正
極活物質17としては、硫黄や多硫化ナトリウムが用い
られる。一方、ナトリウム硫黄電池以外の高温ナトリウ
ム二次電池においては、正極活物質としては、硫黄,セ
レン,テルルの元素やこれらの塩化物、金属塩化物(金
属はAl、Ni、Feなど)が用いられる。
【0111】さらに、ナトリウム硫黄電池においては、
図示するように、固体電解質袋管1と多孔質導電材10
との間に多孔質材11が設けられることが望ましいもの
である。多孔質材11は、普通アルミナなどのセラミッ
クスやガラスなどの厚さ0.1〜0.5mm程度の繊維
や粒子の集合体から構成され、多硫化ナトリウムなどの
ようなイオン導電性の正極活物質を含浸する性質を持
ち、ナトリウム硫黄電池などの充電時の抵抗上昇を押さ
え、電池の充放電特性を改善する効果を持っている。な
お、多孔質材11内に多孔質導電材10と同様の多孔質
導電材を混合することや、逆に多孔質導電材10内に多
孔質材11と同様な多孔質材を混合することもできる。
【0112】また、この構造においては、固体電解質袋
管1と正極容器3との径方向の間隙が上下で異なってお
り、下側の間隙が上側の間隙より狭くなるように構成さ
れている。なお、図示されていないが、下側の間隙を横
側の間隙よりも狭くすることもできる。
【0113】以上説明したように、本実施形態において
は、高温ナトリウム二次電池,即ち、固体電解質袋管1
を水平方向や斜め方向に寝かせた構造となっているため
に、普通に用いられる様に長さが直径よりも大きい固体
電解質袋管1を用いた場合、電池の鉛直方向の高さが小
さくなり、正極室5内の上下方向に重力による活物質の
濃度分布や組成分布が付きにくくなって、電池内の起電
力分布に基づく循環電流が押さえられ、これらの結果と
して電池の効率が向上する。
【0114】ここで、固体電解質袋管を斜めにする場
合、固体電解質袋管の軸方向と水平方向との角度が±4
5°以下であることが望ましいものである。なお、電池
効率向上の目的で電池の鉛直方向の高さを小さくするた
めには、固体電解質袋管を水平設置することが特に望ま
しいものである。また、この効果は、単電池を大型化す
るために固体電解質袋管1の長さを大きくした場合に特
に顕著で、上述した構造により、電池の大型化と効率向
上との両立が可能である。
【0115】なお、固体電解質袋管1においては、長さ
を直径よりも大きくすることにより、固体電解質袋管の
内容積と表面積との比を比較的小さくすることができ
る。この結果、直径が長さと同程度又は直径の方が大き
い固体電解質袋管を用いた場合に比べて、所定時間内で
の運転時の固体電解質袋管の表面積当りの電流密度を小
さくすることができ、電池効率を大きくできる。
【0116】また、正極室内に集電体41を用いて集電
することにより、集電体41と固体電解質袋管1との間
隔に存在する多孔質導電材10の厚さを比較的小さくし
て、その抵抗を低減することができる。
【0117】さらに、正極の抵抗は、主に、集電体41
と多孔質導電材10及び多孔質材11又は/及び多孔質
材110で決まり、正極容器3の容積は電池抵抗に関係
しないため、集電体41と固体電解質袋管1との間隔を
適切に保って正極抵抗を低減し、正極容器3の容積を大
きくすることにより、固体電解質袋管1の寸法を大きく
しなくても、正極室5に収容する正極活物質17の量を
大きくすることができ、電池が大容量化できる。
【0118】これらの結果、電池抵抗を低く保ちなが
ら、構成部品をあまり増やすこと無く電池の大容量化が
可能で、低コスト化が容易に実現できる実用性の高い大
容量電池が得られる。
【0119】なお、この構造において電池を大容量化す
るためには、放電時には、多孔質導電材10内に正極活
物質17が含浸され、固体電解質袋管1を通して負極室
4から供給されたナトリウムイオンと反応すると共に、
反応生成物が多孔質導電材10から正極容器3と集電体
41との間隙などの正極室5内の空間に放出される必要
がある。一方、充電時には、正極室内の空間に存在する
正極活物質の一部である反応生成物が多孔質導電材10
内に移動し、そこで電気分解されて、生成したナトリウ
ムイオンが固体電解質袋管1を通して負極室内に戻る必
要がある。したがって、電池容量を確保するために十分
な深度まで充電を進めるためには、ナトリウムイオンの
移動によって正極室内の正極活物質の体積が減少した場
合にも、正極活物質、特に反応生成物が多孔質導電材1
0や多孔質材11と接触していることが望ましいもので
ある。
【0120】そこで、本実施形態では、固体電解質袋管
1と正極容器3との径方向下側の間隙を比較的小さく,
すなわち、集電体と正極容器との間の径方向下側の正極
室内容積を比較的小さくして、正極室5内の下側に溜ま
った正極活物質を固体電解質袋管の表面に近づけること
により、正極活物質が固体電解質袋管に接触した多孔質
材11や多孔質導電材10に供給され易くなって、電池
の充電が十分進むよう配慮している。一方、径方向上側
の間隙,すなわち、径方向上側の正極室内の容積を下側
の間隔,すなわち、集電体と正極容器との間の径方向下
側の正極室内容積よりも大きくして、正極室5内の全体
の容積を確保することにより、電池の大容量化を達成し
ている。
【0121】なお、図示していないが、横側の間隔,す
なわち、径方向横側の正極室内容積を下側の間隙,すな
わち、集電体と正極容器との間の径方向下側の正極室内
容積よりも大きくした場合にも同様の効果が得られる。
さらに、正極容器との間隔を固体電解質袋管の径方向下
側と上側、横側とで違える代わりに、図示していない
が、固体電解質袋管と正極容器との径方向下側の間隔に
金属やガラス、セラミックスの塊や封止物などを充填し
て、正極室内の径方向下側の有効容積を小さくすること
によっても、同様な効果が得られる。
【0122】また、図9の構造においては、多孔質導電
材10としてリング状の炭素繊維マットなどが固体電解
質袋管1の軸方向に積層して充填されており、多孔質導
電材同志の間にマット状の多孔質材110が配置されて
いる。この多孔質材110は11と同様な作用を示し、
こうすることによって、電池を寝かせた際の上下方向の
正極活物質の移動が促進され、鉛直方向に濃度分布や組
成分布が付きにくくなって電池効率が向上すると共に、
正極活物質が電池反応に寄与しやすくなって、電池容量
が向上する。なお、このリング状の多孔質材の設置効果
は、図示していないが、図10や図11においても実現
することができる。また、このように多孔質導電材同士
の間に多孔質材110が設けられている場合には、多孔
質材11を省略することもできる。
【0123】次に、図10を用いて、本発明の第10の
実施形態による高温ナトリウム二次電池の構造について
説明する。図10は、本発明の第10の実施形態による
高温ナトリウム二次電池の構造を示す断面図である。な
お、図9と同一符号は、同一部分を示している。
【0124】本実施形態においては、ナトリウム容器8
と負極容器2とは一体化されている。また、固体電解質
袋管1は、水平方向又は斜め方向に寝かせて配置される
と共に、正極室5内に集電体41が設けられ、この集電
体と固体電解質袋管との間に多孔質導電材10や多孔質
材11が設置されているため、電池の大型化と効率向上
との両立が可能である。
【0125】また、本実施形態では、固体電解質袋管1
と正極容器3との径方向下側の間隙が上側の間隙より狭
くなるように構成されていると共に、固体電解質袋管1
の径方向下側に設けられた多孔質導電材10の径方向厚
さが径方向上側の厚さよりも薄くなっている。なお、図
示していないが、多孔質導電材の径方向下側の厚さを径
方向横側の厚さよりも薄くすることもできる。ここで、
固体電解質袋管1と正極容器3との下側の間隔,すなわ
ち、径方向下側の正極室内容積を比較的小さくした効果
は、図9に記載したものと同様である。
【0126】また、多孔質導電材10の径方向厚さの違
いの効果は、以下の通りである。すなわち、高温ナトリ
ウム二次電池においては、充電時に正極活物質17は多
孔質導電材10を通って多孔質材11や固体電解質袋管
1の表面に達する必要があり、このためには、重力に逆
らって多孔質導電材10の表面張力で正極活物質が吸い
上げられる必要がある。この場合、径方向下側の多孔質
導電材の厚さを比較的薄くすることによって、電池の径
方向下部に溜まった正極活物質が吸い上がり易くなり、
この結果として、電池の充電が進み易くなって、充電電
流を大きくしても電池容量が大きくできる。一方、径方
向上側や横側の多孔質導電材の厚さを比較的厚くするこ
とにより、電池反応の反応面積が大きく保てて、電池の
容量が大きくできる。これらの結果、電池の大容量化
が、特に実現され易くなる。
【0127】また、本実施形態においては、負極室内の
固体電解質袋管1とナトリウム容器8との間に有底袋管
状の安全管14を設けて、固体電解質袋管の破損時の安
全性を高めている。
【0128】また、正極室内の固体電解質袋管1と集電
体41との間に多孔質導電材10と多孔質材11とが設
けられると共に、多孔質導電材や多孔質材の一部1
0’,11’が集電体41より外側まで延びて、正極容
器3に隣接すると共に、正極容器3と集電体41との径
方向の間隙の一部にも多孔質導電材101が設けられて
いる。
【0129】なお、図示していないが、多孔質導電材の
一部10’と多孔質材11’のどちらか一方を外側まで
伸ばしても良いし、径方向下側のみに伸ばしても良いも
のである。また、図10に示す例では、正極容器と集電
体との上側の間隙、及び、図示していないが横側の間隔
にも多孔質導電材101が設けられているが、下側のみ
に設けてもよいものである。さらに、図示していない
が、正極容器と集電体との下側の径方向の間隙の全体に
多孔質導電材101を設けることもできるし、多孔質導
電材の代わりに、多孔質材を設置するか又は多孔質材と
多孔質導電材とを組み合わせて設置してもよいものであ
る。
【0130】このように、集電体の下側や正極容器と集
電体との間隙の下側の一部又は全部に多孔質導電材又は
/及び多孔質材を設けることにより、充電時に正極室内
の空間の下側に溜まった正極活物質が集電体の下側や正
極容器と集電体との間隙に存在する多孔質導電材や多孔
質材と接触して吸い上げられ、固体電解質袋管と集電体
との間隙に設置された多孔質導電材10に含浸されて電
池反応に関与することにより、電池の充電が容易になっ
て、充電深度が高まって電池の一層の大容量化が可能と
なる。
【0131】ここで、集電体41の下側や正極容器3と
集電体41との間に設ける多孔質導電材や多孔質材の性
質としては表面張力が大切で、電気伝導性については制
限が無いため、例えば炭素繊維を用いる場合には炭素化
の熱処理温度を低くしたり、炭素繊維として短繊維の集
合体を用いるなどの方法により、材料のコストダウンを
図ることが可能である。
【0132】また、その充填密度としては固体電解質袋
管1と集電体41との間に充填された多孔質導電材10
の充填密度と同じ、あるいは、大きくすることもできる
が、正極活物質の固体電解質袋管近傍への移動性を考慮
すると比較的小さいほうが望ましいものである。
【0133】なお、正極容器と集電体との間隙の全部又
は下側の全部に多孔質導電材や多孔質材を充填するより
も、正極容器と集電体との下側の間隙の一部に多孔質導
電材や多孔質材を充填する方が、充填材料が少なくて済
むこと、正極室内の空隙が広がって正極活物質の充填量
が多くでき、電池容量増大が容易になること、放電時に
生成したナトリウムと正極活物質との反応生成物が正極
容器と集電体との下側の間隙へ移動することによって放
電時の電気化学反応が円滑に進み易くなること、の理由
から好ましいものである。なお、集電体41に貫通部4
2を設ける代わりに、集電体の端部と正極容器3や絶縁
リング6との間隙を通って正極活物質17を移動させる
場合には、多孔質導電材の一部10’や多孔質材の一部
11’を集電体41よりも下側まで延ばすことが望まし
いものである。
【0134】また、図9や図10に示した構造において
は、正極の抵抗は主に集電体41と多孔質導電材10及
び多孔質材11又は/及び多孔質材110で決まり、集
電体と固体電解質袋管との間隔を小さくすることによっ
て、多孔質導電材の径方向の抵抗が小さくできる。この
ため、集電体と固体電解質袋管との間隙を適切に保つと
共に正極容器と集電体の径方向との間隔を広げて、正極
室内の容積を大きくすることの結果として、電池の大容
量化と電池抵抗の低減、すなわち高効率化との両立が可
能で、且つ、低コスト化が可能な実用性の高い電池が実
現される。
【0135】なお、電池抵抗の低減のためには、多孔質
導電材10を構成する炭素繊維などの繊維の向きをでき
るだけ固体電解質袋管1の表面に垂直にすることが好ま
しいものである。このためには、炭素繊維から成るフェ
ルトをリング状又は短冊状に切断して、フェルト面が固
体電解質袋管1の側面に垂直になるように設置して多孔
質導電材10を構成しても良いし、図示していないが、
短冊状のフェルトを単独又は多孔質材110と重ねて固
体電解質袋管の側面にラセン状や円周状に巻きつけて、
フェルト面を固体電解質袋管の側面と直角に配置するこ
ともできる。
【0136】さらに、容積が同じであれば正極容器の側
面形状が変わっても電池特性は変化しないため、集電体
を固体電解質袋管側面に平行な円筒状とし、電池の外側
に存在する正極容器側面を直方体にすることができる。
こうすることにより、電池を横置きした時の機械的安定
性が向上すると共に、モジュールを構成する保温容器内
へ複数個の高温ナトリウム二次電池を収納する際に電池
間の間隔や保温容器と電池との間隔が小さくでき、電池
の充填密度が向上して、モジュールのエネルギー密度が
増大する。なお、絶縁リング6や負極容器2の外部側面
を直方体にすることも可能である。
【0137】次に、図11を用いて、本発明の第11の
実施形態による高温ナトリウム二次電池の構造について
説明する。図11は、本発明の第11の実施形態による
高温ナトリウム二次電池の構造を示す断面図である。な
お、図9と同一符号は、同一部分を示している。
【0138】本実施形態の構造においては、正極室5内
に集電体は設けられず、固体電解質袋管1と正極容器3
との間に炭素繊維や炭素粉末などの集合体から成る多孔
質導電材10と多孔質材11とを充填し、これらに正極
活物質17を含浸させている。
【0139】また、固体電解質袋管1と正極容器3との
径方向下側の間隔を上側又は/及び横側の間隔よりも小
さくすると共に、多孔質導電材10の径方向の厚さを変
化させて、電池を横置きした際に下側の多孔質導電材1
0の厚さを上側や図示していないが横側よりも薄くして
いる。ここで、正極容器との間隔を固体電解質袋管の径
方向下側と上側、横側とで違える代わりに、図示してい
ないが、固体電解質袋管と正極容器との径方向下側の間
隔に金属やガラス、セラミックスの塊や封止物などを充
填して、正極室内の径方向下側の有効容積を小さくして
もよいものである。
【0140】一方、負極室4内には炭素繊維や金属繊維
の繊維集合体からなる多孔質材料80を充填し、この繊
維集合体の表面張力によってナトリウム7を吸い上げ
て、固体電解質袋管1の表面へ供給している。
【0141】この構造においても、図10に示した構造
と同様に、固体電解質袋管1と正極容器3との径方向下
側の間隔,すなわち、正極室内の径方向下側の容積が比
較的小さい効果、及び、多孔質導電材10の径方向下側
の厚さが比較的狭い効果が達成され、電池の大容量化が
実現される。
【0142】さらに、本実施形態の構造においても、高
温ナトリウム二次電池即ち固体電解質袋管1を水平方向
や斜め方向に寝かせた構造となっているために、普通に
用いられる様に長さが直径よりも大きい固体電解質袋管
1を用いた場合、電池の鉛直方向の高さが小さくなり、
正極室5内の上下方向に重力による活物質の濃度分布や
組成分布が付きにくくなって、電池内の起電力分布に基
づく循環電流が押さえられ、これらの結果として電池の
効率が向上する。この効果は単電池を大型化するために
固体電解質袋管1の長さを大きくする場合に特に顕著
で、本発明の構造により、電池の大型化と効率向上との
両立が可能である。
【0143】また、図9〜図11において、固体電解質
袋管1の長さを直径よりも大きくすることにより、固体
電解質袋管の内容積と表面積との比を比較的小さくする
ことができる。この結果、直径が長さと同程度又は直径
の方が大きい固体電解質袋管を用いた場合に比べて、所
定時間内での運転時の固体電解質袋管の表面積当りの電
流密度を小さくすることができ、電池効率を大きくでき
る。
【0144】次に、図12を用いて、本発明の第12の
実施形態による高温ナトリウム二次電池の構造について
説明する。図12は、本発明の第12の実施形態による
高温ナトリウム二次電池の正極部分を径方向に切断した
断面図である。なお、図9と同一符号は、同一部分を示
している。
【0145】図示するように、固体電解質袋管1の径方
向下側と正極容器3の下側との間隔が径方向横側の間隔
よりも狭い効果、すなわち、固体電解質袋管の径方向下
側の正極室内容積が狭い効果、多孔質導電材10の径方
向下側の厚さが径方向横側の厚さよりも比較的狭い効
果、および、固体電解質袋管1を水平方向や斜め方向に
寝かせた効果が達成される。なお、図示されていない
が、径方向下側の多孔質導電材10の厚さを径方向上側
よりも狭くすることもできる。
【0146】また、正極容器側面を直方体にすることに
より、電池を横置きした時の機械的安定性が向上すると
共に、モジュールを構成する保温容器内へ複数個の高温
ナトリウム二次電池を収納する際に電池間の間隔や保温
容器と電池との間隔が小さくでき、電池の充電密度が向
上して、モジュールのエネルギー密度が増大する。特
に、図12の電池断面図に見られるように、電池を横置
きして正極容器を直方体形状とした場合、正極容器の上
下面の面積を側面よりも大きくした方が、電池設置時の
安定性が高くて、電池を保温容器内へ収納したモジュー
ルの信頼性が高くできると共に、電池高さが小さくなる
ために正極室内の容積が同じでも正極活物質の濃度分布
や組成分布が付きにくく、電池効率が高くできる。
【0147】具体例として、図9に示すように、固体電
解質袋管1としてリチウムドープのβ”アルミナ焼結体
からなる外径約60mm、長さ約600mm、肉厚約
1.5mmの円筒状袋管を用いた。また、負極容器2、
正極容器3およびナトリウム容器8の材料にはAl合金
を、集電体41には貫通部42を設けたAl合金の胴部
表面にクロムやクロム合金を溶射又はメッキしたものを
用い、正極容器3と接続した。一方、絶縁リング6とし
てはαアルミナ焼結体リングを用い、固体電解質袋管の
開口部とガラス接合した後、絶縁リングの表面に負極容
器、正極容器の端部を配置し、Al−Si系の合金箔を
用いて、負極容器、正極容器の端部と絶縁リングとを熱
圧接した。
【0148】次に、ナトリウム容器内にナトリウム7と
約0.01MPaのArガスを充填したガス空間40を
設け、このガス圧でナトリウムがナトリウム容器の側面
に設けた貫通孔90を通って、袋管状固体電解質の内表
面を覆うようにした。一方、集電体41の内表面と固体
電解質袋管1の外表面との間には、径方向の厚さが約1
2mmのリング状のPAN系やピッチ系の炭素繊維マッ
トから成る多孔質導電材10を積層して充填すると共
に、アルミナ繊維集合体から成る厚さ約0.3mmの多
孔質材11と多孔質材110を充填し、正極活物質17
として硫黄を含浸して、ナトリウム硫黄電池を作製し
た。なお、この電池においては、電池を横置きした際の
固体電解質袋管1と正極容器3との側面間隔は上部が約
40mm、下部が約15mmである。
【0149】得られたナトリウム硫黄電池をナトリウム
容器に設けた貫通孔90が下側になるような向きで水平
に寝かせ、330℃で運転した結果、正極室内の正極活
物質の大部分が電池反応に関与するため、電池容量は約
2000Ahと大きく、且つ、内部抵抗は約1.1mΩ
と小さくでき、大容量化と高効率化の両立が可能となっ
た。なお、この電池においては、集電体を用いることに
よって、固体電解質袋管を大きくすることなく正極容器
を大きくすることで電池の大容量化が可能なため、低コ
スト化に特に適している。
【0150】次に、図13を用いて、本発明の第13の
実施形態による高温ナトリウム二次電池のリサイクル方
法について説明する。図13は、本発明の第13の実施
形態による高温ナトリウム二次電池のリサイクル方法を
示す工程図である。なお、図1と同一符号は、同一部分
を示している。
【0151】図13(a)は、通常の充放電時の高温ナ
トリウム二次電池の設置状態を示している。通常の充放
電時には、固体電解質袋管1を横向きに寝かせ、ナトリ
ウム容器8に設けた開口部9である貫通孔90を下側に
して運転する。
【0152】リサイクル時には、最初に、図13(a)
に示す状態で、電池を充電末まで充電する。次に、図1
3(b)に示すように、貫通孔90が上側になるように
電池を回転させ、この状態で放電する。その結果、図1
3(c)に示すように、ナトリウム容器8と固体電解質
袋管1との間隙に存在するナトリウム7は、正極室5内
へ移動し、ナトリウム容器8内のナトリウム7はそのま
ま残される。なお、この際にナトリウム容器8内に充填
されたガスが、上記間隙に存在するナトリウムと交換さ
れて、ナトリウム容器内のナトリウム7の収納量が増加
することも考えられる。
【0153】最後に、図13(c)の状態で望ましくは
電池温度を室温まで冷却し、図13(d)に示すよう
に、負極容器2と負極容器の蓋21との接合部をA−
A’のように切断し、ナトリウム7を収納したナトリウ
ム容器8を電池から取り出して、リサイクルに利用する
ことができる。
【0154】また、必要に応じて、正極容器3と正極容
器の蓋31との接合部をB−B’のように切断し、正極
室内の多孔質導電材10や多孔質材11を取り出して、
リサイクルすることもできる。なお、この場合には、多
孔質導電材10などには正極活物質が含浸されているた
め、正極活物質の融点以上に暖めるか、溶剤で正極活物
質を溶解して、電池から取り出す必要がある。
【0155】なお、固体電解質袋管1、絶縁リング6や
正極容器3、負極容器2を分離して、これらをリサイク
ルすることもできる。一方、電池を再利用する場合に
は、ナトリウム容器8などを取り出した後に必要に応じ
て内部を洗浄,乾燥し、ナトリウム7を収納したナトリ
ウム容器8や正極活物質を含浸した多孔質導電材10や
多孔質材11を充填して、負極容器2と負極容器の蓋2
1とを溶接部22で接続し、正極容器3と正極容器の蓋
31とを溶接部32で接続することにより、再利用する
ことができる。
【0156】以上説明したように、本実施形態によれ
ば、ナトリウム7をナトリウム容器8に収納された状態
で取り出すことができるため、リサイクル工程が簡単
で、且つ、操作の安全性が高いものとなる。特に、ナト
リウムを室温で取り出す場合には、切断や取り出し工程
が簡単で、且つ、高温に比べてナトリウムは反応しにく
いため、操作の安全性が特に高いものである。なお、切
断や取り出しの雰囲気としては窒素ガス中や不活性ガス
中が好ましいが、空気中であっても安全上の問題はない
ものである。また、ナトリウム容器8を取り出した後で
は、正極活物質が溶解するまで電池を昇温しても安全上
の問題は起こらない。
【0157】なお、ナトリウム容器8の室温での取り出
しのためには、ナトリウム容器と固体電解質袋管との間
隙に収納されたナトリウムを放電時にできるだけ完全に
正極室内へ移動させることが望ましいものである。この
ためには、開口部9として、図4や図13に示したよう
に、貫通孔90をナトリウム容器8の側面に設けるか、
図3に示したように、貫通孔90をナトリウム容器の蓋
81の端部に設け、固体電解質袋管1を横向きにして、
貫通孔が上部になるように電池を水平方向または斜め方
向に寝かせることにより、間隙内のナトリウムが固体電
解質袋管に接触するようにして放電すればよいものであ
る。こうすることにより、間隙内のナトリウムの全部ま
たは大半が正極室内へ移動して、その後のナトリウム容
器の取り出しが容易、且つ、安全になる。また、図3,
図4や図13示した構造では、電池を径方向に回転させ
ることによって貫通孔90の位置を下部から上部へ移動
させることができるため、後述の図15のように貫通孔
がナトリウム容器8の底部にある場合に比べて、リサイ
クル工程が簡略化されるという利点もある。さらに、後
述の図14に比べて、ナトリウム容器に設けた開口部
9、即ち、貫通孔90の面積が小さくできるため、リサ
イクル工程の安全性が高くできる。
【0158】次に、図14を用いて、本発明の第14の
実施形態による高温ナトリウム二次電池のリサイクル方
法について説明する。図14は、本発明の第14の実施
形態による高温ナトリウム二次電池のリサイクル方法を
示す工程図である。なお、図1と同一符号は、同一部分
を示している。
【0159】本実施形態においては、ナトリウム容器8
として有底袋管状の容器が用いられ、底部と反対側に開
口部9が設けられると共に、ナトリウム容器8と固体電
解質袋管1との間に炭素繊維や金属繊維などの繊維集合
体や粒子集合体から成る多孔質材80が充填されてい
る。
【0160】この構造においては、図14(a)に示す
ように、開口部9が横向きになった状態で電池を運転
し、ナトリウム7は多孔質材料80の表面張力で吸い上
げられて固体電解質袋管の表面へ供給される。
【0161】また、リサイクルの際には、充電後、図1
4(b)に示すように、開口部9が上側になるように電
池を直立させて、多孔質材料に含浸されたナトリウムを
放電により正極室内に移動させた後、図13と同様な方
法により、ナトリウムを収納したナトリウム容器8を取
り出すことができる。
【0162】なお、この構造においては、多孔質材料8
0として導電材を用いれば、多孔質材料の端部が負極容
器2と接触しているためにナトリウム容器と固体電解質
袋管との間隙に存在するほぼ全てのナトリウムを放電に
よって正極室内へ移動でき、ナトリウム容器8の室温で
の取り出しが容易に行なえて、リサイクル工程の安全性
が高いものとなる。
【0163】次に、図15を用いて、本発明の第15の
実施形態による高温ナトリウム二次電池のリサイクル方
法について説明する。図15は、本発明の第15の実施
形態による高温ナトリウム二次電池のリサイクル方法を
示す工程図である。なお、図1と同一符号は、同一部分
を示している。
【0164】本実施形態においては、固体電解質袋管1
が直立するように電池は縦向きに配置され、また、ナト
リウム容器8は負極容器2と分離されて負極室内に設置
されると共に、ナトリウム容器8の底部に開口部9とし
て貫通孔90が設けられている。この構造においても、
図15(a)に示すように、貫通孔90が下側の状態で
電池を充電後、図15(b)に示すように、電池を逆さ
にして、貫通孔90が上側になった状態で電池を放電し
て、ナトリウム容器8と固体電解質袋管1との間隙に存
在するナトリウムを正極室内に移動させればよいもので
ある。その後は、図13と同様な方法により、ナトリウ
ムを収納したナトリウム容器8などを電池から安全に取
り出すことができる。
【0165】具体例として、図1に示すように、固体電
解質袋管1としてリチウムドープのβ”アルミナ焼結体
からなる外径約60mm、長さ約600mm、肉厚約
1.5mmの円筒状袋管を寝かせて用いた。また、負極
容器2及びナトリウム容器8の材料にはAl合金を、正
極容器3にはAl合金の胴部内面にクロムやクロム合金
を溶射またはメッキしたものを用い、ナトリウム容器の
側面の固体電解質袋管1から離れた位置に貫通孔90を
設けた。ここで、室温における固体電解質袋管の側部内
径は57mm、ナトリウム容器の側部外径は55.5m
m、内径は53.5mmである。一方、絶縁リング6と
しては側部内径が56mmのαアルミナ焼結体を用い
て、固体電解質の開口部とガラス接合した後、絶縁リン
グの表面に負極容器、正極容器の端部を配置し、Al−
Si系の合金箔を用いて、負極容器、正極容器の端部と
絶縁リングとを熱圧接した。
【0166】次に、ナトリウム容器8内にナトリウム7
と約0.01MPaのArガスを充填し、このガス圧で
ナトリウムがナトリウム容器の貫通孔90を通って、固
体電解質袋管の内表面を覆うようにした。一方、正極室
5内には充填率10〜30%の炭素繊維マットから成る
多孔質導電材10とアルミナ繊維集合体から成る多孔質
材11を充填し、正極活物質として硫黄を含浸して、正
極モールドを形成した。このように比較的簡単な構造
で、量産性や実用性の高いナトリウム硫黄電池を作製し
た。
【0167】得られたナトリウム硫黄電池の貫通孔90
が下側になるように固体電解質袋管を水平に寝かせ、室
温から運転温度まで30回昇降温した結果、絶縁リング
の接合部破損の問題は全く起こらず、電池の信頼性は高
かった。また、電池の容量は約1000Ah、電池の内
部抵抗は約1.3mΩと大容量高効率で、低コスト化に
適した電池が得られた。さらに、電池を過充電して固体
電解質袋管にクラックを設けても、ナトリウム容器が熱
膨張して絶縁リングに密着し、ナトリウムの移動が停止
するためにそれ以上の電池の破損は起こらず、電池の高
安全性が確認された。
【0168】なお、この構造においては、熱膨張係数が
固体電解質袋管と絶縁リングは約7×10-6/℃、ナト
リウム容器は約24×10-6/℃である。このため、電
池運転温度である330℃では固体電解質袋管の側部内
面とナトリウム容器の側部外面との平均間隔は約0.6
mm、絶縁リングの側部内面とナトリウム容器の側部外
面との平均間隔は約0.1mmであり、ナトリウムは電
池の充放電時に正常に移動するが、電池温度が運転温度
を超えて異常高温度である約500℃に達すると、絶縁
リングの側部内面とナトリウム容器の側部外面とが密着
して、ナトリウムの移動が停止する。なお、この際の固
体電解質袋管の側部内面とナトリウム容器の側部外面と
の平均間隔は約0.5mmで隙間が残るため、ナトリウ
ム容器の熱膨張によって固体電解質袋管に円周方向の引
張り応力が加わる恐れはなく、電池の安全性が極めて高
いものである。
【0169】さらに、図13に示したように、この電池
を180度回転して、貫通孔9を上にして放電した結
果、固体電解質袋管とナトリウム容器との間隙に存在す
るナトリウムが正極室内に移動した。その後、室温で負
極容器を切断して、ナトリウムを収納したナトリウム容
器を取り出すことにより、ナトリウムの酸化が起こりに
くく、安全かつ簡単な操作でナトリウムのリサイクルが
可能となる。
【0170】
【発明の効果】本発明によれば、横置き電池タイプの高
温ナトリウム二次電池の信頼性や安全性を向上して、実
用性を向上することができる。また、内部抵抗低減によ
る効率向上と電池大容量化が可能となる。さらに、高温
ナトリウム二次電池のリサイクル工程が簡単で安全性の
高いものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態による高温ナトリウム
二次電池の構造を示す断面図である。
【図2】本発明の第2の実施形態による高温ナトリウム
二次電池の構造を示す断面図である。
【図3】本発明の第3の実施形態による高温ナトリウム
二次電池の構造を示す断面図である。
【図4】本発明の第4の実施形態による高温ナトリウム
二次電池の構造を示す断面図である。
【図5】本発明の第5の実施形態による高温ナトリウム
二次電池の構造を示す断面図である。
【図6】本発明の第6の実施形態による高温ナトリウム
二次電池の構造を示す断面図である。
【図7】本発明の第7の実施形態による高温ナトリウム
二次電池の正極部分を径方向に切断した断面図である。
【図8】本発明の第8の実施形態による高温ナトリウム
二次電池の構造を示す断面図である。
【図9】本発明の第9の実施形態による高温ナトリウム
二次電池の構造を示す断面図である。
【図10】本発明の第10の実施形態による高温ナトリ
ウム二次電池の構造を示す断面図である。
【図11】本発明の第11の実施形態による高温ナトリ
ウム二次電池の構造を示す断面図である。
【図12】本発明の第12の実施形態による高温ナトリ
ウム二次電池の正極部分を径方向に切断した断面図であ
る。
【図13】本発明の第13の実施形態による高温ナトリ
ウム二次電池のリサイクル方法を示す工程図である。
【図14】本発明の第14の実施形態による高温ナトリ
ウム二次電池のリサイクル方法を示す工程図である。
【図15】本発明の第15の実施形態による高温ナトリ
ウム二次電池のリサイクル方法を示す工程図である。
【符号の説明】
1…固体電解質袋管 2…負極容器 3…正極容器 4…負極室 5…正極室 6…絶縁リング 7…ナトリウム 8…ナトリウム容器 9,19…開口部 10,10’,101…多孔質導電材 11,11’,110…多孔質材 12…遮蔽体 14…安全管 15,41…集電体 16,42…貫通部 17…正極活物質 80…多孔質材料 90…貫通孔
フロントページの続き (72)発明者 日下部 康次 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所原子力事業部内 (72)発明者 波東 久光 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所原子力事業部内 (72)発明者 坂口 繁 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所原子力事業部内 Fターム(参考) 5H029 AJ00 AJ03 AJ06 AJ12 AJ14 AK05 AL13 AM15 BJ02 CJ16 CJ28 DJ02 DJ03 DJ04 DJ07 DJ13 DJ14 DJ15 DJ16 EJ01 EJ03 EJ04 EJ08 HJ04 HJ06 HJ07 HJ12 HJ14 5H031 AA05 AA09 BB02 BB09 CC02 EE01 RR02 RR07

Claims (32)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】液体ナトリウムを収納した負極室と、正極
    活物質を収納した正極室と、上記負極室及び正極室の間
    を分離した固体電解質袋管と、上記負極室内に設置さ
    れ、内部に上記液体ナトリウムを収納したナトリウム容
    器と、上記固体電解質袋管の端部近傍に設けられた絶縁
    リングとを有する高温ナトリウム二次電池において、 上記ナトリウム容器に設けられ、上記液体ナトリウムが
    出入りする開口部を、上記絶縁リングの側面近傍の位
    置,あるいは、上記絶縁リングよりも上記固体電解質袋
    管から遠い位置にすると共に、 上記固体電解質袋管を、水平方向又は斜め方向に寝かせ
    たことを特徴とする高温ナトリウム二次電池。
  2. 【請求項2】請求項1記載の高温ナトリウム二次電池に
    おいて、 上記ナトリウム容器の上記開口部は、貫通孔であり、 上記貫通孔が下側になるように上記固体電解質袋管を水
    平方向又は斜め方向に寝かせたことを特徴とする高温ナ
    トリウム二次電池。
  3. 【請求項3】請求項1記載の高温ナトリウム二次電池に
    おいて、 上記開口部を設けた部分の上記ナトリウム容器の内径
    が、上記固体電解質袋管の側部内径よりも大きいことを
    特徴とする高温ナトリウム二次電池。
  4. 【請求項4】請求項1記載の高温ナトリウム二次電池に
    おいて、 上記負極室内の少なくとも上記固体電解質袋管と上記ナ
    トリウム容器との間隙が真空引きされていることを特徴
    とする高温ナトリウム二次電池。
  5. 【請求項5】請求項1記載の高温ナトリウム二次電池に
    おいて、 上記固体電解質袋管と上記ナトリウム容器との間隙に多
    孔質材料が充填されていることを特徴とする高温ナトリ
    ウム二次電池。
  6. 【請求項6】請求項1記載の高温ナトリウム二次電池に
    おいて、 上記ナトリウム容器の側部外面が、上記絶縁リングの側
    部内面又は上記負極室を構成する負極容器の側部内面と
    近接して設置されるか、あるいは、上記負極容器の変形
    を防止するために上記負極容器の内側又は上記絶縁リン
    グの内側に隣接して設けられた遮蔽体の側部内面と近接
    して設置され、上記ナトリウム容器の側部の熱膨張量が
    上記絶縁リングの側部、上記負極容器の側部あるいは上
    記遮蔽体の側部の熱膨張量よりも大きいことを特徴とす
    る高温ナトリウム二次電池。
  7. 【請求項7】請求項6記載の高温ナトリウム二次電池に
    おいて、 上記ナトリウム容器は、Al又はAl合金製、あるいは
    SUS又は鉄製であり、 上記絶縁リングは、αアルミナやアルミニウムマグネシ
    ウムスピネルなどのセラミックス製又は/及び上記負極
    容器がSUSやFe、Ni、Co、Moなどを主体とす
    るAlよりも低熱膨張率の金属製であるか、または、上
    記遮蔽体が、上記低熱膨張率の金属製やセラミックス製
    あるいはカーボン製であることを特徴とする高温ナトリ
    ウム二次電池。
  8. 【請求項8】請求項6記載の高温ナトリウム二次電池に
    おいて、 上記高温ナトリウム二次電池の温度が450〜550℃
    に達した際、上記ナトリウム容器が熱膨張して、上記ナ
    トリウム容器の側部外面と上記絶縁リングの側部内面、
    上記負極容器の側部内面、あるいは、上記遮蔽体の側部
    内面とが密着することを特徴とする高温ナトリウム二次
    電池。
  9. 【請求項9】液体ナトリウムを収納した負極室と、正極
    活物質を収納した正極室と、上記負極室及び正極室の間
    を分離した固体電解質袋管と、上記負極室内に設置さ
    れ、内部に上記液体ナトリウムを収納したナトリウム容
    器と、上記固体電解質袋管の端部近傍に設けられた絶縁
    リングとを有する高温ナトリウム二次電池において、 上記固体電解質袋管と上記ナトリウム容器との間に設け
    られた有底袋管状の安全管を備え、 上記安全管に設けた開口部の位置を、上記絶縁リングの
    側面近傍の位置、あるいは、上記絶縁リングよりも上記
    固体電解質袋管から遠い位置にすると共に、 上記固体電解質袋管を、水平方向又は斜め方向に寝かせ
    たことを特徴とする高温ナトリウム二次電池。
  10. 【請求項10】請求項9記載の高温ナトリウム二次電池
    において、 上記安全管の側部外面が、上記絶縁リングの側部内面又
    は上記負極室を構成する負極容器の側部内面と近接して
    設置されるか、あるいは、上記負極容器の変形を防止す
    るために上記負極容器の内側又は上記絶縁リングの内側
    に隣接して設けられた遮蔽体の側部内面と近接して設置
    され、上記安全管の側部の熱膨張量が上記絶縁リングの
    側部、上記負極容器の側部あるいは上記遮蔽体の側部の
    熱膨張量よりも大きいことを特徴とする高温ナトリウム
    二次電池。
  11. 【請求項11】請求項10記載の高温ナトリウム二次電
    池において、 上記安全管は、Al又はAl合金製、あるいはSUS又
    は鉄製であり、 上記絶縁リングは、αアルミナやアルミニウムマグネシ
    ウムスピネルなどのセラミックス製又は/及び上記負極
    容器がSUSやFe、Ni、Co、Moなどを主体とす
    るAlよりも低熱膨張率の金属製であるか、または、上
    記遮蔽体が、上記低熱膨張率の金属製やセラミックス製
    あるいはカーボン製であることを特徴とする高温ナトリ
    ウム二次電池。
  12. 【請求項12】請求項10記載の高温ナトリウム二次電
    池において、 上記高温ナトリウム二次電池の温度が450〜550℃
    に達した際、上記安全管が熱膨張して、上記安全管の側
    部外面と上記絶縁リングの側部内面、上記負極容器の側
    部内面、あるいは、上記遮蔽体の側部内面とが密着する
    ことを特徴とする高温ナトリウム二次電池。
  13. 【請求項13】固体電解質袋管の内側に液体ナトリウム
    を収納した負極室を、上記固体電解質袋管の外側に正極
    活物質を収納した正極室を設けた高温ナトリウム二次電
    池において、 上記正極室内に上記固体電解質袋管に沿って設けられた
    集電体と、 上記固体電解質袋管側面と上記集電体の側面との間に充
    填した多孔質導電材又は多孔質導電材と多孔質材とを備
    え、 上記固体電解質袋管を水平方向又は斜め方向に寝かせ、
    上記集電体と上記正極室を構成する正極容器との間の径
    方向下側の正極室内容積を径方向上側の正極室内容積又
    は/及び径方向横側の正極室内容積よりも小さくしたこ
    とを特徴とする高温ナトリウム二次電池。
  14. 【請求項14】請求項13記載の高温ナトリウム二次電
    池において、 上記正極室を構成する正極容器が、高温ナトリウム二次
    電池の外周部に設置されるとともに、上記正極容器側面
    が直方体形状であることを特徴とする高温ナトリウム二
    次電池。
  15. 【請求項15】請求項13記載の高温ナトリウム二次電
    池において、 上記固体電解質袋管の長さが直径よりも大きいことを特
    徴とする高温ナトリウム二次電池。
  16. 【請求項16】液体ナトリウムを収納した負極室と、正
    極活物質を収納した正極室と、上記負極室及び正極室の
    間を分離した固体電解質袋管とを有する高温ナトリウム
    二次電池において、 上記正極室内に上記固体電解質袋管に沿って設けられた
    集電体と、 上記固体電解質袋管側面と上記集電体の側面との間に充
    填した多孔質導電材又は多孔質導電材と多孔質材とを備
    え、 上記高温ナトリウム二次電池は、ナトリウム硫黄電池で
    あり、 上記多孔質導電材が炭素繊維又は/及び炭素粉末の集合
    体であり、 上記固体電解質袋管を水平方向又は斜め方向に寝かせ、
    上記固体電解質袋管側面と上記集電体側面との間に存在
    する上記多孔質導電材の径方向の下側の厚さを径方向の
    上側の厚さ又は/及び径方向の横側の厚さよりも厚くし
    たことを特徴とする高温ナトリウム二次電池。
  17. 【請求項17】請求項16記載の高温ナトリウム二次電
    池において、 上記正極室を構成する正極容器が、高温ナトリウム二次
    電池の外周部に設置されるとともに、上記正極容器側面
    が直方体形状であることを特徴とする高温ナトリウム二
    次電池。
  18. 【請求項18】請求項16記載の高温ナトリウム二次電
    池において、 上記固体電解質袋管の長さが直径よりも大きいことを特
    徴とする高温ナトリウム二次電池。
  19. 【請求項19】固体電解質袋管の内側に液体ナトリウム
    を収納した負極室を、上記固体電解質袋管の外側に正極
    活物質を収納した正極室を設けた高温ナトリウム二次電
    池において、 上記正極室内に上記固体電解質袋管に沿って設けられた
    集電体と、 上記固体電解質袋管側面と上記集電体の側面との間に充
    填した多孔質導電材又は多孔質導電材と多孔質材とを備
    え、 上記固体電解質袋管を水平方向又は斜め方向に寝かせ、
    上記多孔質導電材の一部又は/及び上記多孔質材の一部
    を上記集電体の下側まで延長するか、又は/及び、上記
    集電体と上記正極室を構成する正極容器との径方向下側
    の間隔の少なくとも一部に多孔質導電材又は/及び多孔
    質材を充填したことを特徴とする高温ナトリウム二次電
    池。
  20. 【請求項20】請求項19記載の高温ナトリウム二次電
    池において、 上記正極室を構成する正極容器が、高温ナトリウム二次
    電池の外周部に設置されるとともに、上記正極容器側面
    が直方体形状であることを特徴とする高温ナトリウム二
    次電池。
  21. 【請求項21】請求項19記載の高温ナトリウム二次電
    池において、 上記固体電解質袋管の長さが直径よりも大きいことを特
    徴とする高温ナトリウム二次電池。
  22. 【請求項22】液体ナトリウムを収納した負極室と、正
    極活物質を収納した正極室と、上記負極室及び正極室の
    間を分離した固体電解質袋管とを有する高温ナトリウム
    二次電池において、 上記固体電解質袋管側面と上記正極室の側面との間に充
    填した多孔質導電材又は多孔質導電材と多孔質材とを備
    え、 上記高温ナトリウム二次電池が、ナトリウム硫黄電池で
    あり、 上記多孔質導電材が炭素繊維又は/及び炭素粉末の集合
    体であり、 上記固体電解質袋管を水平方向又は斜め方向に寝かせ、
    上記固体電解質袋管側面と上記正極室側面との間に存在
    する上記多孔質導電材の径方向の下側の厚さを径方向の
    上側の厚さ又は/及び径方向の横側の厚さよりも厚くし
    たことを特徴とする高温ナトリウム二次電池。
  23. 【請求項23】請求項22記載の高温ナトリウム二次電
    池において、 上記正極室を構成する正極容器が、高温ナトリウム二次
    電池の外周部に設置されるとともに、上記正極容器側面
    が直方体形状であることを特徴とする高温ナトリウム二
    次電池。
  24. 【請求項24】請求項22記載の高温ナトリウム二次電
    池において、 上記固体電解質袋管の長さが直径よりも大きいことを特
    徴とする高温ナトリウム二次電池。
  25. 【請求項25】固体電解質袋管の内側に液体ナトリウム
    を収納した負極室を、上記固体電解質袋管の外側に正極
    活物質を収納した正極室を設けた高温ナトリウム二次電
    池において、 上記正極室内の固体電解質袋管側面に沿って充填した多
    孔質導電材又は多孔質導電材と多孔質材とを備え、 上記固体電解質袋管を水平方向又は斜め方向に寝かせ、
    上記固体電解質袋管と上記正極室を構成する正極容器と
    の間の径方向下側の正極室内容積を径方向上側の正極室
    内容積又は/及び径方向横側の正極室内容積よりも小さ
    くしたことを特徴とする高温ナトリウム二次電池。
  26. 【請求項26】請求項25記載の高温ナトリウム二次電
    池において、 上記正極室内の上記固体電解質袋管に沿って設けられた
    集電体と、 上記固体電解質袋管側面と上記集電体の側面との間に充
    填された上記多孔質導電材又は上記多孔質導電材と上記
    多孔質材を備えたことを特徴とする高温ナトリウム二次
    電池。
  27. 【請求項27】請求項25記載の高温ナトリウム二次電
    池において、 上記多孔質導電材の径方向下側の厚さを、径方向上側の
    厚さ又は/及び径方向横側の厚さよりも薄くしたことを
    特徴とする高温ナトリウム二次電池。
  28. 【請求項28】請求項25記載の高温ナトリウム二次電
    池において、 上記正極容器は、高温ナトリウム二次電池の外周部に設
    置されており、 上記正極容器側面が直方体形状であることを特徴とする
    高温ナトリウム二次電池。
  29. 【請求項29】請求項26記載の高温ナトリウム二次電
    池において、 上記多孔質導電材の一部又は/及び上記多孔質材の一部
    を上記集電体の径方向下側まで延長するか、又は/及
    び、上記集電体と上記正極室を構成する正極容器との径
    方向下側の間隔の少なくとも一部に充填された多孔質導
    電材又は/及び多孔質材を備えたことを特徴とする高温
    ナトリウム二次電池。
  30. 【請求項30】請求項25記載の高温ナトリウム二次電
    池において、 上記固体電解質袋管の長さが、直径よりも大きいことを
    特徴とする高温ナトリウム二次電池。
  31. 【請求項31】液体ナトリウムを収納した負極室と、正
    極活物質を収納した正極室と、上記負極室及び正極室の
    間を分離した固体電解質袋管と、上記負極室内に設置さ
    れ、内部に上記液体ナトリウムを収納したナトリウム容
    器とを有する高温ナトリウム二次電池のリサイクル方法
    において、 上記液体ナトリウムが出入りするために上記ナトリウム
    容器に設けられた開口部が上側になった状態で高温ナト
    リウム二次電池を放電して、上記固体電解質袋管と上記
    ナトリウム容器との間に存在する液体ナトリウムを上記
    正極室内へ移動した後、上記ナトリウム容器を上記負極
    室から取り出すことを特徴とする高温ナトリウム二次電
    池のリサイクル方法。
  32. 【請求項32】請求項31記載の高温ナトリウム二次電
    池のリサイクル方法において、 上記開口部として、上記ナトリウム容器の側面、また
    は、上記ナトリウム容器に設けた蓋の端部に貫通孔が設
    けられており、上記貫通孔が上側になるように、上記固
    体電解質袋管を水平方向または斜め方向に寝かせて放電
    することを特徴とする高温ナトリウム二次電池のリサイ
    クル方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN103700805A (zh) * 2013-12-25 2014-04-02 上海电气钠硫储能技术有限公司 一种钠硫电池负极针刺注入装置用刺针的清洗和润滑方法

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