JP2005005006A - ナトリウム二次電池モジュール - Google Patents
ナトリウム二次電池モジュール Download PDFInfo
- Publication number
- JP2005005006A JP2005005006A JP2003164496A JP2003164496A JP2005005006A JP 2005005006 A JP2005005006 A JP 2005005006A JP 2003164496 A JP2003164496 A JP 2003164496A JP 2003164496 A JP2003164496 A JP 2003164496A JP 2005005006 A JP2005005006 A JP 2005005006A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- container
- secondary battery
- module
- sodium secondary
- battery
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/10—Energy storage using batteries
Landscapes
- Secondary Cells (AREA)
Abstract
【課題】電力貯蔵装置や電気自動車などに用いるに好適なナトリウム二次電池モジュールを提供する。
【解決手段】ナトリウムを収納した負極室と、正極活物質を収納した正極室と、前記負極室と正極室間を分離した固体電解質袋管とを含むナトリウム二次電池を用いて、前記ナトリウム二次電池を水平方向又は斜め方向に横置きして収納容器101内に収納し、前記収納容器を保温容器20内の上下方向又は/及び左右方向に複数個配置したナトリウム二次電池モジュールにおいて、前記収納容器の上下又は/及び左右の少なくとも一部に平坦部分を設け、前記平坦部分を設けた前記収納容器の上下の一部によって、前記保温容器内の上下方向に複数個配置した前記収納容器同士を支持するか、又は/及び前記平坦部分を設けた前記収納容器の左右の一部によって、前記保温容器内の左右方向に複数個配置した前記収納容器同士を支持する。
【選択図】 図4
【解決手段】ナトリウムを収納した負極室と、正極活物質を収納した正極室と、前記負極室と正極室間を分離した固体電解質袋管とを含むナトリウム二次電池を用いて、前記ナトリウム二次電池を水平方向又は斜め方向に横置きして収納容器101内に収納し、前記収納容器を保温容器20内の上下方向又は/及び左右方向に複数個配置したナトリウム二次電池モジュールにおいて、前記収納容器の上下又は/及び左右の少なくとも一部に平坦部分を設け、前記平坦部分を設けた前記収納容器の上下の一部によって、前記保温容器内の上下方向に複数個配置した前記収納容器同士を支持するか、又は/及び前記平坦部分を設けた前記収納容器の左右の一部によって、前記保温容器内の左右方向に複数個配置した前記収納容器同士を支持する。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はナトリウム二次電池モジュールに係り、特に電力貯蔵装置や電気自動車などに用いるに好適なナトリウム二次電池モジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】
ナトリウム二次電池は、負極室内に液体ナトリウム,正極室内に硫黄,多硫化ナトリウム,セレン,テルル,金属塩化物などの正極活物質を充填し、負極室/正極室間をβ型やβ″型のベータアルミナセラミックス製の固体電解質袋管で分離した構造となっており、このナトリウム二次電池が、長寿命でエネルギー密度が比較的大きいことから注目され、電力貯蔵装置やハイブリッド自動車を含めた電気自動車などへの利用が期待されている。この電池の運転温度は約200℃以上と高いため、真空断熱容器などの保温容器内へ電池を収納したモジュールとして使用されるが、例えば特開平10−294128号公報などに見られるように、普通は電池を直立して運転されている。
【0003】
ここで、ナトリウム二次電池のビジネス推進を目的に、kW当たりやkWh当たりのモジュールコストを低減するためには、コストの大半を占める単電池の大きさを大きくし、単電池の容量を増やして電池本数を減らすことが望ましい。しかしながら、袋管状の固体電解質を用いた場合には、固体電解質袋管の軸方向の長さが直径よりも大きいのが一般的なために、電池の高さが幅よりも大きくなり、大容量化するとその分電池の高さが高くなって、保温容器の高さも大きくなり、店舗内,小型ビル内,一般家庭内や自動車内にナトリウム二次電池を設置する場合のように、設置空間に高さ制限がある場合には、モジュールの設置が困難になるという問題があった。
【0004】
また、モジュールの低コスト化のために単電池を大容量化する場合には、固体電解質袋管の長さ又は/及び幅を増加させる必要があるが、長さを大きくすると電池の高さが大きくなり、正極室内の上下方向に重力によって活物質の濃度分布や組成分布が付きやすく、この結果、電池内に起電力分布を生じて循環電流が流れ、電池の効率が低下するという問題があった。一方、固体電解質袋管の長さを変えずに幅を大きくすることも可能であるが、この場合には固体電解質袋管の容積と表面積との比が大きくなって、固体電解質袋管内に充填された所定量のナトリウムを所定時間内に反応させるためには、運転時の電流密度を増加させる必要があり、内部抵抗の影響で電池の効率が低下するという問題もあった。なお、電池効率が低下すると、当然のことながらモジュールの効率が低下し、その結果として、モジュールのエネルギー密度の低下やコスト増加が起こり易くなる。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−294128号公報
【特許文献2】
特開2001−76754号公報
【特許文献3】
特開2002−8714号公報
【特許文献4】
特開2002−260724号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この問題に対する対策として、固体電解質袋管を横置きし、水平または斜めに寝かせたナトリウム二次電池を保温容器内に収納することにより、電池の高効率化が可能なモジュールとすることが特開2001−76754号公報に記載されている。しかしながら、このモジュールにおいては、円筒形状のナトリウム硫黄電池を横置きし、乾燥砂を介して保温容器内の上下方向や左右方向に複数個積層しているために、保温容器内への電池設置の安定性についての対策が不十分で、モジュールの運搬時の振動や地震などの応力によって、設置された電池が移動したり、下部へ落下したりする問題がある。
【0007】
一方、特開2002−8714号公報には、絶縁粒子を介した円筒形状の電池同士を金属ベルトで縛って保温容器内に複数個収納した構造や、複数の電池同士を絶縁材や絶縁粒子で支えて保温容器内や収納容器内に収納した構造のモジュールが記載されている。このモジュール構造では電池設置の安定性は可能であるが、電池間の近傍に空気やガスの移動のための空間が設けられていないために、保温容器内や収納容器内に設置した複数の電池間に温度差が付き易く、その結果として電池間の効率が分布して、モジュールの効率低下が起こり易いという問題がある。
【0008】
さらに、特開2002−260724号公報には、保温容器内に設けた棚(支持板)によって電池を設置することが記載されているが、横置き電池を上下方向に設置するためには多くの棚を設ける必要があり、棚の体積によってモジュールのエネルギー密度が低下するという問題がある。さらに、このモジュール構造においても、電池間に絶縁材や絶縁粒子が設けられていて、電池間の近傍での空気やガスの移動が困難なために複数の電池間に温度差が付き易くなり、モジュール内の温度差増加による効率低下に対する対策が不十分である。
【0009】
このように、従来のモジュール構造においては、モジュール内の電池設置の安定性向上や、モジュール効率やエネルギー密度の向上によるモジュールの低コスト化など、ナトリウム二次電池のビジネス推進のために必要な課題が残されていた。
【0010】
本発明の目的は、上記従来技術の欠点を除き、モジュールの効率向上とエネルギー密度の向上と共に、保温容器内への電池設置の安定性が高いことは勿論、電池が破損した際の安全性が高いナトリウム二次電池モジュールを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明のナトリウム二次電池モジュールは、ナトリウムを収納した負極室と、正極活物質を収納した正極室と、前記負極室と正極室間を分離した固体電解質袋管とを含むナトリウム二次電池を用いて、前記ナトリウム二次電池を水平方向又は斜め方向に横置きして収納容器内に収納し、この収納容器を保温容器内の上下方向又は/及び左右方向に複数個配置したナトリウム二次電池モジュールにおいて、前記収納容器の上下又は/及び左右の少なくとも一部に平坦部分を設け、この平坦部分を設けた前記収納容器の上下の一部によって、前記保温容器内の上下方向に複数個配置した前記収納容器同士を支持するか、又は/及び前記平坦部分を設けた前記収納容器の左右の一部によって、前記保温容器内の左右方向に複数個配置した前記収納容器同士を支持することを特徴としている。
【0012】
ここで、前記収納容器の端部に蓋が設置され、この蓋の上下に設けた平坦部分、又は/及び前記蓋の左右に設けた平坦部分で、複数個配置した前記収納容器同士を支持すること、又は、前記収納容器の上部に蓋が設置され、この蓋の上部に設けた平坦部分、又は/及び前記蓋の左右に設けた平坦部分で、複数個配置した前記収納容器同士を支持することが特に望ましい。また、複数個配置された前記収納容器同士の間にアルミニウム又はアルミニウム合金製の金属板が設けられていること、又は/及び前記収納容器の少なくとも下部が密閉されていることが望ましい。
【0013】
本発明のナトリウム二次電池モジュールにより、モジュール効率向上とエネルギー密度の向上との両立が可能であると共に、保温容器内への電池設置の安定性の高いナトリウム二次電池モジュールが実現される。また、電池が破損した際の安全性の高いナトリウム二次電池モジュールを実現することも可能である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面を用いて説明する。
【0015】
図1,図2及び図3は、本発明のナトリウム二次電池モジュールに用いられるナトリウム二次電池100及び収納容器101の断面構造例を示している。図において、1はナトリウムイオン導電性の固体電解質袋管で、普通、β型やβ″型のベータアルミナセラミックスが用いられる。なお、この図では固体電解質袋管1を水平に寝かせた横置き構造となっているが、場合によっては45度以下の斜めに傾けた横置き構造にすることもできる。2,3は固体電解質袋管1と共にそれぞれ負極室4,正極室5を構成する負極容器,正極容器であり、Al合金やFe合金,SUSまたはこれらの表面にCo基合金,Cr/Fe合金,Al/Si合金,SUS,Cr,C,Moなどを主体とする耐食層を設けたものや、AlとSUSなどとのクラッド材が普通に用いられる。また、6は負極容器2と正極容器3とを絶縁し、且つ、これらと接合された絶縁部材である。この絶縁部材6には普通αアルミナなどの絶縁性セラミックスが用いられ、図示されていないが、負極容器2や正極容器3との接合にはAlまたはAl合金を用いた熱圧接法が用いられると共に、絶縁部材6と固体電解質袋管1とはガラス半田によって接合されるのが一般的である。さらに、絶縁部材6と接合された正極容器3の外側には、繊維集合体などから成る弾性体16を設けて、電池の昇降温に対する接合部の信頼性を向上している。
【0016】
また、7は負極室4内に充填された負極活物質であるナトリウム、8は内部にナトリウム7を収納したナトリウム容器である。ここで、ナトリウム7は、ナトリウム容器8内に充填されたArや窒素などの不活性ガス9の圧力で押され、ナトリウム容器8に設けられた貫通孔10を通って固体電解質袋管1の表面へ供給される。なお、この図ではナトリウム容器8と負極容器2とが分離されて、ナトリウム容器8が負極室4内に収納されているが、両者を一体化することも可能である。また、図1〜図3に示されたように不活性ガス9や貫通孔10を設ける代わりに、図示されていないが、固体電解質袋管1の内部や固体電解質袋管1とナトリウム容器8との間隙に金属繊維や炭素繊維を充填し、その表面張力で固体電解質袋管1の表面へナトリウム7を供給することもできる。
【0017】
さらに、正極室5内の固体電解質袋管1の胴部に沿って集電体14を設け、集電体14と固体電解質袋管1との間に多孔質導電材12が設けられて、正極活物質11とナトリウム7との電池反応に寄与している。ここで、集電体14の端部は正極容器3と接続され、電池反応に関与する電子移動の役目を果たしている。さらに、集電体14に用いる材料としては、厚さ0.3〜5mm 程度のAl,Al合金又はこれらとSUSなどとのクラッド材を用い、集電体14の多孔質導電材12との接触面にCo基合金,Cr合金,Cr/Fe合金,Al/Si合金,SUS,Cr,C,MoやCr,Moの炭化物や窒化物などの耐食性導電層を設けたり、これらの耐食性粒子や繊維を前記AlやAl合金の表面へ接合又は埋め込んだものが用いられる。また、正極活物質11の移動のために集電体14に貫通部15が設けられており、貫通部15としては直径や幅,長さが1〜10mm程度の円形や直方体の孔、又は、これらの間に幅1〜10mmのスリットを設けたものが望ましい。
【0018】
なお、ナトリウム硫黄電池の場合、正極活物質11としては硫黄や多硫化ナトリウムが用いられ、多孔質導電材12としては1200〜2000℃で焼成したポリアクリロニトリル系やピッチ系のカーボン繊維やカーボン粒子の集合体が一般に用いられている。一方、ナトリウム硫黄電池以外のナトリウム二次電池においては、正極活物質11として硫黄,セレン,テルルの元素やこれらの塩化物、又は金属塩化物(金属はAl,Ni,Feなど)などが用いられる。さらに、ナトリウム硫黄電池の場合、図示されているように固体電解質袋管1と多孔質導電材12との間に多孔質材13が設けられ、この多孔質材13には、普通、アルミナなどのセラミックスやガラスの繊維や粒子の集合体が用いられる。この多孔質材13は、ナトリウム7と正極活物質11との反応生成物の移動を促進する役目を持ち、ナトリウム硫黄電池などのナトリウム二次電池の充放電特性を改善する効果を持っている。なお、正極活物質11として硫黄が用いられないナトリウム二次電池においては、多孔質材13が設けられない構造も使用できる。
【0019】
ここで、正極活物質11は多孔質導電材12や多孔質材13に含浸されると共に、正極容器3と集電体14との間などの正極室5内に存在し、充放電時には集電体14に設けた貫通部15や多孔質導電材12,多孔質材13を通って移動して電池反応が進行する。なお、図1〜図3の構造では、正極の抵抗は集電体14や多孔質導電材12,多孔質材13で主に決まるために、固体電解質袋管1と集電体14との間隔を適切に狭くして、多孔質導電材12や多孔質材13の材料抵抗を小さくすることが可能である。さらに、この材料抵抗は正極容器3の形状には影響されないため、集電体14と正極容器3との間隔を大きくすることによって、電池抵抗に関係なく電池容量を大型化でき、電池の効率向上と大容量化の両立が可能になるという利点がある。
【0020】
さらに、集電体14を設けることによって、正極容器3の構造が電池抵抗に直接影響する効果が小さくなるため、集電体14を固体電解質袋管1の側面と平行な筒状とし、正極容器3の側面形状を図1〜図3のように円筒形状にする代りに、直方体形状や楕円形状とすることもできる。但し、正極容器3を図1〜図3のように円筒形状にすることによって、正極容器3の内部圧力と外気圧との差による正極容器3への応力が低減され、正極容器3の機械的強度が向上するという利点が得られるため、正極容器3としては円筒形状を用いることが望ましい。
【0021】
ここで、図1〜図3の構造においては、集電体14に設けた貫通部15の面積割合は5〜50%の範囲内であることが、電池効率向上の点から望ましい。貫通部15の面積割合が小さすぎると貫通部15を通しての正極活物質11の拡散抵抗が大きくなり、一方、面積割合が大きすぎると集電体14の抵抗が大きくなって、共に電池抵抗の増加、即ち、効率低下が生じ易くなる。一方、多孔質導電材12の充填密度は5〜25体積%、望ましくは10〜20体積%、固体電解質袋管1と集電体14との間隙は1〜20mm、望ましくは3〜15mmの範囲にあることが電池効率向上の点から望ましい。この範囲より充填密度が小さすぎたり、間隙が大きすぎた場合には多孔質導電材12の抵抗が大きくなり、充填密度が大きすぎた場合には多孔質導電材内の正極活物質11の拡散抵抗が大きくなり、また間隙が小さすぎた場合には多孔質導電材12の厚さが小さくなって電池の反応抵抗が増大して、電池効率が低下するという問題が発生しやすくなる。
【0022】
一方、ナトリウム二次電池100の外側には、鉄合金やAl合金,SUS又はセラミックスやガラス等を用いた容器本体102および蓋103から構成される収納容器101が設けられ、ナトリウム二次電池100は乾燥砂105を介して収納容器101内に収納されると共に、ナトリウム二次電池100に接続されたブスバー106が、蓋103に設けた開口部104を通して収納容器101の外側まで延びて設けられている。ここで、収納容器101の容器本体102としては円筒形状のものが用いられ、容器本体102の軸方向端部に設けた直方体形状の蓋103によって、容器本体102が封止されている。なお、後述の図7,図8に示したように、収納容器101の容器本体102として直方体形状のものを用いたり、容器本体102の端部又は/及び上部に蓋103を設けることも可能である。また、乾燥砂105の代わりに絶縁材を用いて、ナトリウム二次電池100と収納容器101とを電気絶縁することも可能である。さらに、収納容器101として絶縁性のセラミックスやガラスを用いた場合には、ナトリウム二次電池100を収納容器101と直接接触させることもできる。
【0023】
ここで、収納容器101とナトリウム二次電池100とは電気的に分離されていることが望ましく、こうすることによって、保温容器20内の上下や左右に設けた収納容器101同士を接触しても、ナトリウム二次電池モジュールの電気特性が劣化する問題は無い。また、隣接した収納容器101にそれぞれ設けた平坦部分同士を接触することによって、収納容器101の移動防止や電池の設置安定性が向上すると共に、保温容器20内に棚(支持板)を設けた場合に比べて、エネルギー密度が向上するという利点が得られる。さらに、図4〜図6で後述のように、収納容器101同士の間に空間24が設けられて、空気やガスが保温容器20内を移動するために、電池間の温度差が低減され、モジュール効率が向上するという利点も得られる。一方、収納容器101を設けずに電池同士を上下や左右に設けた構造を用いることも可能であるが、この場合には、隣接した電池同士を電気的に分離するために電池間に絶縁材を設置する必要がある。この結果として、振動や地震などに対する電池の移動防止が比較的困難になると共に、電池間の近傍に空気やガスの移動のための空間を設けるのが困難で、電池同士の温度差が大きくなってモジュールの効率が低下し、電池の設置安定性向上とモジュールの効率向上との両立が困難になるという欠点がある。
【0024】
また、図1〜図3では収納容器101内に1個のナトリウム二次電池100が収納されており、こうすることによって、ナトリウム二次電池100が破損してナトリウム7や正極活物質11が外部へ漏れた場合にも、収納容器101によってナトリウム7や正極活物質11の移動が制限されて隣接電池の破損が防止され、ナトリウム二次電池システムの安全性が向上するという利点が得られる。なお、図示されていないが、収納容器101内に複数個のナトリウム二次電池100を横置きに配置することも可能であり、この場合にも収納容器101によるナトリウム7や正極活物質11の移動防止によるモジュールの安全性向上の効果が得られる。しかしながら、図1〜図3のように収納容器101内に1個ずつナトリウム二次電池100を収納した構造を用いれば、ナトリウム二次電池が破損しても、電池から漏れたナトリウム7や正極活物質11が隣接したナトリウム二次電池に接触する問題は起こらず、安全性向上に特に適している。
【0025】
さらに、これらの安全性のためには、図1〜図3のように収納容器101の容器本体102の端部に蓋103を設けたり、後述の図7,図8や図9,図10のように容器本体102の上部に蓋103を設けて、収納容器101を封止することが望ましく、こうすることによって、ナトリウム7や正極活物質11が収納容器101の外へ漏洩することが防止されて、モジュールの安全性が向上する。また、図1〜図3において、蓋103を容器本体102と接合して、収納容器101の少なくとも下部を密閉することが特に望ましく、こうすることによって、ナトリウム7や正極活物質11が収納容器101の外へ漏洩することが有効に防止されて、モジュールの安全性は特に向上する。一方、後述の図7,図8や図9,図10では、収納容器101の容器本体102の端部に壁が設けられ、この結果として、収納容器101の少なくとも下部が密閉され、安全性が特に向上している。
【0026】
なお、このようにナトリウム二次電池100の側面を収納容器101の容器本体102で覆うことにより、例えば、図1〜図3の構造で蓋103の設置を省略したり、後述の図7,図8や図9,図10の構造で容器本体102の軸方向端部への壁の設置を省略した場合にも、左右方向に設置された隣接電池の破損が容器本体102で保護されて、収納容器101を設けない場合に比べてモジュールの安全性が向上する。
【0027】
本発明に用いるナトリウム二次電池100においては、図1〜図3に示されたように固体電解質袋管1が横置きされて、電池が水平又は斜めに設置されているために、一般に使用されているように軸方向の長さが直径よりも大きい固体電解質袋管1を用いた場合、固体電解質袋管1を縦置きした場合に比べて電池の鉛直方向の高さが小さくなる。なお、図示されていないが、この問題は集電体14が設けられていない電池構造の場合にも同様である。ここで、正極室5の鉛直方向の高さが大きい場合には、重力や正極活物質11内の密度差によって鉛直方向に組成分布や濃度分布が生じて、電池内に起電力分布を生じ、その結果として電池内に循環電流が流れて、電池効率が低下する。なお、上記電池効率低下の原因は、正極活物質11の組成分布による電池の起電力分布に基づいており、例えばナトリウム硫黄電池においては、正極活物質11を構成する多硫化ナトリウムが硫黄に融けず、且つ、比重が硫黄よりも大きいために正極室5内の下側に溜まること、及び、正極室5内に多硫化ナトリウムが存在する場所と硫黄が存在する場所とで、電池の起電力が異なり易いことに基づいている。これに対して、本発明のように電池を横置きして鉛直方向の高さを小さくすることにより、正極室5内の上下方向に重力による正極活物質11の濃度分布や組成分布が付きにくくなって、電池の効率が向上する。ここで、電池特性向上のためには、電池の長手方向、即ち固体電解質袋管1の軸方向と水平方向との角度を±45度以下にして、電池の鉛直方向の高さを小さくすることが望ましく、電池特性を特に向上するには、電池を水平設置、即ち、固体電解質袋管1を水平方向に横置きして、電池の鉛直方向の高さを小さくすることが特に望ましい。
【0028】
さらに、この効果は、ナトリウム二次電池100を大型化するために固体電解質袋管1の軸方向の長さを大きくする場合に特に顕著で、この結果として電池の大型化と効率向上との両立が可能であり、モジュールの効率向上や低コスト化が実現される。なお、固体電解質袋管1においては、軸方向の長さを直径よりも大きくすることにより、固体電解質袋管1の内容積と表面積との比を比較的小さくすることができる。この結果、直径が軸方向の長さと同程度又は直径の方が大きい固体電解質袋管1を用いた場合に比べて、同じ時間内で運転する際の固体電解質袋管1の表面積当りの電流密度を小さくすることができ、その結果として電流×内部抵抗で与えられる電圧変化が小さくなって、電池効率を大きくできるという利点がある。
【0029】
このように、横置きしたナトリウム二次電池100を収納容器101内に収納し、収納容器101を上下方向や横方向に複数個配置して保温容器20内に設置したナトリウム二次電池モジュールにおいては、電池を横置きすることによって電池効率向上や電池容量拡大が可能で、その結果として、モジュールを構成する単電池数の低減による低コスト化が可能である。また、収納容器101の利用により、横置き電池を用いたモジュールにおいて、正極容器3や負極容器2が破損したり、正極容器3や負極容器2の接合部がはがれたりした場合にも、ナトリウム7や正極活物質11の移動が防止できて、モジュールの安全性が向上するという利点がある。さらに、横置き電池を用いることにより、モジュールの高さや単位面積当りの重量を低減して、モジュールの設置可能場所の拡大による電池システムの利用範囲の拡大や、モジュールの設置空間の高さや面積の自由度向上が図られるという効果も得られる。
【0030】
即ち、電池の長手方向を横向きに寝かせているために、単電池容量を大きくしても電池の高さは小さくでき、この結果、電池を収納するモジュールの高さも小さくできて、店舗や小型ビル内や電気自動車にナトリウム二次電池を設置する場合のように、設置空間に高さ制限がある場合にもモジュールの設置が容易に行える。なお、これらの目的のためには、電池の長手方向を斜めよりも水平に寝かせて配置することが望ましく、この結果電池の鉛直方向の高さが小さくなって、電池やモジュールの効率向上と共にモジュールの高さ低減が容易に可能となる。また、ナトリウム二次電池モジュールをビル内に設置する場合、電池の上下方向の積層数を減らすことにより、単位面積当たりのモジュールの重量が減少できて、ビルなどの屋内設置や屋上設置が容易に行えるという利点もある。一方、電池の上下方向の積層数を増せば、その分モジュールの設置面積が低減でき、狭い面積の場所にもモジュールが設置できるという利点がある。
【0031】
以上の様に、本発明のナトリウム二次電池モジュールの構造においては、モジュールの設置空間の高さや面積の自由度向上や、モジュールの低コスト化と高効率化との両立など、実用化に適したナトリウム硫黄電池モジュールが実現できる。
【0032】
図4〜図6は、図1〜図3に示したナトリウム二次電池100と収納容器101とを用いた本発明のナトリウム二次電池モジュールの断面構造例を示している。この図において、ナトリウム二次電池モジュールには真空断熱容器や断熱材設置容器などの保温容器20が用いられ、保温容器20は保温容器本体21と保温容器20の蓋22から構成されている。また、保温容器本体21の内側にはヒータ23が設けられて、保温容器20内の電池温度を制御している。なお、図示されていないが、保温容器20内に設けられた収納容器101内には、図1〜図3に示されたように、ナトリウム二次電池100と乾燥砂105が収納されていると共に、ナトリウム二次電池100同士を電気的に接続して、保温容器20の外部まで延びたブスバー106が保温容器20内に設けられている。
【0033】
ここで、図4〜図6の構造においては、収納容器101の容器本体102の軸方向外側に直方体形状の蓋103が設けられ、保温容器20の上下に設けた複数個の収納容器101及び左右に設けた複数個の収納容器101がこの蓋103同士によって支持されている。すなわち、収納容器101に設けた直方体形状の蓋103によって、収納容器101の上下方向及び左右方向の一部に平坦部分が設けられ、保温容器20内の上下方向及び左右方向に複数個配置した収納容器101同士がこの平坦部分によって支持される。こうすることにより、複数個の収納容器101同士が密着して保温容器20内に収納されるために、モジュールのエネルギー密度が向上するという利点が得られると共に、保温容器20内に収納された複数個の収納容器101の設置安定性が向上し、モジュールの運搬時の振動や地震などの応力によって、設置された電池が移動したり、下部へ落下したりする問題が防止される。
【0034】
さらに、収納容器101の蓋103同士で収納容器101間が接触されて、容器本体102同士の間には空間24が設けられ、この空間24を空気やガスが移動することにより、電池内の温度差や複数の電池間の温度差が低減される。この結果、保温容器20内に収納された複数個の電池間の電池特性分布が低減されて、空間24を設けない構造に比べて、モジュールの効率が向上するという利点が得られる。なお、このためには、複数個の収納容器101同士の接続を収納容器101の蓋103同士のみで行うことが望ましく、こうすることによって、図6に見られるように電池間の周囲に空間24が設けられ、モジュール内の温度均一化に特に適した構造となる。
【0035】
また、図4〜図6においては、左右に設けた複数個の収納容器101の容器本体102同士が熱伝導性の高いAlやAl合金製の金属板25で接触されている。こうすることにより、金属板25内を熱が移動して複数個の収納容器101同士の温度が均一化され、上記空間24の設置のみに比べて電池間の温度差がさらに低減されて、モジュールの効率が特に向上するという利点が得られる。なお、このためには、金属板25と接触した部分の収納容器101にAlやAl合金を用いて、温度移動を促進することが望ましい。一方、収納容器101によるナトリウム7や正極活物質11の移動を特に防止するためには、収納容器101の容器本体102としては、融点の比較的高い鉄合金やSUS,セラミックス,ガラスなどを用いることが望ましい。
【0036】
図7,図8,図9,図10も本発明のナトリウム二次電池モジュールの断面構造例を示しており、図4〜図6と同じ符号で示されたものは同じ部品を示している。
【0037】
図7,図8においては、収納容器101の容器本体102は上部が開いた直方体形状であり、上部に収納容器101の蓋103が設けられて、収納容器101が形成されている。また、容器本体102の端部に壁が設けられており、収納容器101の下部が密閉され、ナトリウム二次電池100が破損した場合の安全性が特に向上している。また、図示されていないが、収納容器101内には図1〜図3と同様にナトリウム二次電池100や乾燥砂105が収納されていると共に、容器本体102の壁の一部に設けた孔を通してブスバー106が設けられている。
【0038】
図7,図8に示した保温容器20内の上下に設けた複数個の収納容器101においては、上部に設けた収納容器101の容器本体102の下面と、下部に設けた収納容器101の蓋103の上面とが、金属板25を介して支持されている。また、保温容器20内の左右に設けた複数個の収納容器101同士は、収納容器101の蓋103同士で支持されており、左右に設けた保温容器20同士の間には空間24が設けられている。このように、収納容器101同士の間に空間24を設けたり、収納容器101同士をAlやAl合金製の金属板25で接触することにより、図4〜図6の場合と同様に、複数個の収納容器101同士の温度が均一化され、電池間の電池特性分布が低減されて、モジュールの効率が向上するという利点が得られる。さらに、収納容器101同士を支持した容器本体102の下面、収納容器101の蓋103の上面や横面を平坦形状にすることにより、収納容器101同士の支持が確保され、モジュール運搬時の振動や地震などに対して、保温容器20内への電池設置の安定性が向上する。
【0039】
なお、この構造においては、収納容器101の容器本体102を鉄合金やSUS,セラミックス,ガラスなどとして、収納容器101の蓋103をAlやAl合金にすることが特に望ましい。こうすることによって、収納容器101同士を支持した収納容器101の蓋103の熱伝導により、電池内や複数の電池間の温度差が低減されて、モジュールのエネルギー密度が向上すると共に、容器本体102でのナトリウム7や正極活物質11の移動防止による安全性向上の両立が可能である。
【0040】
一方、図9,図10においては、収納容器101の容器本体102の構造は図7,図8と類似であるが、容器本体102に設けた壁の下側は斜め形状になっている。こうすることにより、保温容器20内の上下に設けた複数個の収納容器101は、上部に設けた収納容器101の容器本体102の下面と、下部に設けた収納容器101の蓋103の上面とが平坦形状で支持され、斜め形状の壁の外側に空間24が形成されている。一方、保温容器20内の左右に設けた複数個の収納容器101は、金属板25を介して、収納容器101の容器本体102に設けた壁の平坦形状同士で支持されている。このような構造を用いることにより、図7,図8と同様に、保温容器20内に収納した収納容器101の移動防止が可能となり、振動や地震に対する電池の設置安全性が確保できる。また、複数個の収納容器101同士の温度が均一化され、電池間の電池特性分布が低減されて、モジュールの効率が向上するという利点が得られる。さらに、収納容器101の下部が密閉されているために、ナトリウム二次電池100が破損した場合の安全性が向上する。
【0041】
本発明のナトリウム二次電池モジュールにおいては、モジュールを構成するナトリウム二次電池100として、固体電解質袋管1を横置きして水平や斜め方向に寝かせた電池が用いられるため、図1〜図3で述べたようにナトリウム二次電池の大容量化と高効率化が可能である。その結果として、モジュールを構成する電池本数を低減して、kW当たりやkWh当たりのモジュールコストを低減することができると共に、高効率電池の利用によって、モジュールの効率が向上する。また、大容量のナトリウム二次電池を用いることにより、同じモジュール容量に必要な電池数が低減できて、その結果として、モジュールのエネルギー密度が向上するという利点も得られる。
【0042】
さらに、電池を横向きに寝かせているために、大容量化しても電池の高さは比較的小さくでき、電池を収納する保温容器20の高さも小さくできて、電気自動車や小型ビル内にナトリウム二次電池100を設置する場合のように、設置空間に高さ制限がある場合にも、モジュールの設置が容易に行える。また、ナトリウム二次電池モジュールをビル内に設置する場合にも、電池の上下方向の積層数を減らすことにより、単位面積当たりのモジュールの重量が減少できて、ビルなどの屋内設置や屋上設置が容易に行えるという利点がある。一方、電池の上下方向の積層数を増せば、その分モジュールの設置面積が低減でき、狭い面積の場所にもモジュールが設置できるという利点がある。以上の結果、モジュールの設置空間の高さや面積の自由度向上や、モジュールの高エネルギー密度化と高効率化との両立など、実用化に適したナトリウム二次電池モジュールが実現できる。なお、モジュールの高さ低減のためには、ナトリウム二次電池100を水平に寝かせること、即ち、固体電解質袋管1を水平方向に横置きすることが特に望ましい。
【0043】
また、本発明のナトリウム二次電池モジュールの構造においては、収納容器101内に収納されたナトリウム二次電池100が、保温容器20内に配置されてモジュールを形成している。このように、ナトリウム二次電池を収納容器101内に収納することにより、万一電池からナトリウム7や正極活物質11から成る活物質が漏洩した場合にも、収納容器101によって活物質の移動が制限され易く、活物質の接触による隣接電池の破損伝播が防止されて、モジュールの安全性が向上するという利点がある。この問題はナトリウム二次電池100を横方向に寝かせたモジュールでは重要であり、図1に見られるように、横置きした電池の負極容器2や正極容器3が破損した場合には、横置き電池から活物質が電池外部へ放出されるのが一般的である。この問題に対して、収納容器101の下部を密閉することが望ましく、こうすることによって、収納容器101外へのナトリウム7や正極活物質11の移動が防止され易く、横置き電池構造のモジュールの安全性を特に高めることが可能である。
【0044】
一方、モジュールを構成する収納容器101は、保温容器20の上下に複数個配置した収納容器101の一部分を上下方向に設けた平坦部分同士で支持するか、又は/及び、保温容器20の左右に複数個配置した収納容器101の一部分を左右方向に設けた平坦部分同士で支持している。このように、収納容器101の一部分を平坦部分同士で密着することによって、モジュールのエネルギー密度が向上すると共に、収納容器101同士の間に空間24が形成され、この空間24を保温容器20の内部に含まれた空気やガスが移動することにより、電池内の温度差や複数の電池間の温度差が低減される。この結果、保温容器20内に収納された複数個の電池間の特性分布が低減されて、モジュールの効率が向上するという利点が得られる。さらに、収納容器101同士の間にアルミニウム又はアルミニウム合金製の金属板25を設けることが望ましく、こうすることによって、金属板25内を熱が移動して複数個の収納容器101同士の温度が均一化され、電池間の特性分布が大幅に低減されて、モジュールの効率が特に向上するという効果が得られる。
【0045】
また、収納容器101の上下方向又は/及び左右方向の少なくとも一部にそれぞれ平坦部分を設けて、前記平坦部分を設けた収納容器101の上下の一部によって、保温容器20内の上下方向に複数個配置した収納容器101同士を支持するか、又は/及び、前記平坦部分を設けた収納容器101の左右の一部によって、保温容器20内の左右方向に複数個配置した収納容器101同士を支持することが望ましい。このように平坦部分同士で支持することにより、収納容器101同士が有効に支持され、振動や地震などに対して、保温容器20内へ収納した収納容器101の移動が防止されて、電池の設置安定性が特に向上されやすいというモジュールの利点が得られる。
【0046】
具体例として、図1〜図3に示すように、固体電解質袋管1としてリチウムドープの直径60mm,長さ600mmのβ″アルミナ焼結体を用い、αアルミナ焼結体からなるリング状の絶縁部材6とガラス接合した。一方、負極容器2,正極容器3とナトリウム容器8にはAl合金を用い、集電体14には同じAl合金の表面にクロム−鉄合金を溶射して用いた。次に、絶縁部材6の表面に負極容器2,正極容器3の端部を配置し、接合材に用いたAl−Mg合金を加熱して、負極容器2,正極容器3の端部を加圧し、絶縁部材6と熱圧接した。
【0047】
また、ナトリウム容器8内にナトリウム7とArから成る不活性ガス9を充填して、ガス圧でナトリウムを押して、ナトリウム容器8の側面下部に設けた貫通孔10を通して固体電解質袋管1の内面へナトリウム7を供給した。さらに、正極室5内には正極活物質11として硫黄を充填すると共に、固体電解質袋管1と集電体14との間に、体積密度5〜20%の炭素繊維マットから成る多孔質導電材12とガラス繊維集合体から成る多孔質材13を設置して、ナトリウム硫黄電池から成るナトリウム二次電池100を作成した。得られた電池の容量は約1600Ah、効率は約90%であった。
【0048】
次に、図4〜図6に見られるように、ナトリウム二次電池100を水平に横置きして、SUS製の円筒形状の容器本体102内に1個ずつ収納し、容器本体102の軸方向の端部を直方体形状の蓋103で封止した。このようにして得られた収納容器101を真空断熱容器から成る保温容器20内に設置して、上下及び左右に配置された複数の収納容器101同士を収納容器101の蓋103に設けた平坦部分同士で支持すると共に、Al合金製の金属板25を設置して、左右に設けた複数個の容器本体102同士を接触した。なお、この構造においては、収納容器101の周囲には空間24が設けられており、保温容器20内の空気移動が可能である。
【0049】
このようにして得られたナトリウム二次電池モジュールを運転した結果、複数の電池間の温度差が小さくできるために、モジュールの効率は電池の効率と同じ90%が達成され、モジュールのエネルギー密度が向上した。また、地震を考慮して、保温容器20の振動実験を行った結果、収納容器101の機械的信頼性は高く、収納容器101やナトリウム二次電池100の設置位置や構造には全く問題が起こらなかった。さらに、電池に大電流を流して強制的に破壊しても、ナトリウム7や正極活物質11は収納容器101内に留まって、モジュールの安全性が高いことが実証された。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、モジュールのエネルギー密度や効率向上と共に、振動や地震などに対する保温容器内へ収納した収納容器の移動防止や、収納容器内へ収納したナトリウム二次電池の設置安定性の高いモジュールが得られ、また、万一ナトリウム二次電池が破損した場合にも、モジュールの安全性を保持することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のナトリウム二次電池モジュールの一実施例に用いられるナトリウム二次電池を示す断面図である。
【図2】図1のA−A′線に沿った断面図である。
【図3】図1のB−B′線に沿った断面図である。
【図4】本発明のナトリウム二次電池モジュールの一実施例を示す断面図である。
【図5】図4のA−A′線に沿った断面図である。
【図6】図4のB−B′線に沿った断面図である。
【図7】本発明のナトリウム二次電池モジュールの他の実施例を示す断面図である。
【図8】図7のA−A′線に沿った断面図である。
【図9】本発明のナトリウム二次電池モジュールの更に他の実施例を示す断面図である。
【図10】図9のA−A′線に沿った断面図である。
【符号の説明】
1…固体電解質袋管、2…負極容器、3…正極容器、4…負極室、5…正極室、6…絶縁部材、7…ナトリウム、8…ナトリウム容器、9…不活性ガス、10…貫通孔、11…正極活物質、12…多孔質導電材、13…多孔質材、14…集電体、15…貫通部、16…弾性体、20…保温容器、21…保温容器本体、22…保温容器の蓋、23…ヒータ、24…空間、25…金属板、100…ナトリウム二次電池、101…収納容器、102…収納容器の容器本体、103…収納容器の蓋、104…開口部、105…乾燥砂、106…ブスバー。
【発明の属する技術分野】
本発明はナトリウム二次電池モジュールに係り、特に電力貯蔵装置や電気自動車などに用いるに好適なナトリウム二次電池モジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】
ナトリウム二次電池は、負極室内に液体ナトリウム,正極室内に硫黄,多硫化ナトリウム,セレン,テルル,金属塩化物などの正極活物質を充填し、負極室/正極室間をβ型やβ″型のベータアルミナセラミックス製の固体電解質袋管で分離した構造となっており、このナトリウム二次電池が、長寿命でエネルギー密度が比較的大きいことから注目され、電力貯蔵装置やハイブリッド自動車を含めた電気自動車などへの利用が期待されている。この電池の運転温度は約200℃以上と高いため、真空断熱容器などの保温容器内へ電池を収納したモジュールとして使用されるが、例えば特開平10−294128号公報などに見られるように、普通は電池を直立して運転されている。
【0003】
ここで、ナトリウム二次電池のビジネス推進を目的に、kW当たりやkWh当たりのモジュールコストを低減するためには、コストの大半を占める単電池の大きさを大きくし、単電池の容量を増やして電池本数を減らすことが望ましい。しかしながら、袋管状の固体電解質を用いた場合には、固体電解質袋管の軸方向の長さが直径よりも大きいのが一般的なために、電池の高さが幅よりも大きくなり、大容量化するとその分電池の高さが高くなって、保温容器の高さも大きくなり、店舗内,小型ビル内,一般家庭内や自動車内にナトリウム二次電池を設置する場合のように、設置空間に高さ制限がある場合には、モジュールの設置が困難になるという問題があった。
【0004】
また、モジュールの低コスト化のために単電池を大容量化する場合には、固体電解質袋管の長さ又は/及び幅を増加させる必要があるが、長さを大きくすると電池の高さが大きくなり、正極室内の上下方向に重力によって活物質の濃度分布や組成分布が付きやすく、この結果、電池内に起電力分布を生じて循環電流が流れ、電池の効率が低下するという問題があった。一方、固体電解質袋管の長さを変えずに幅を大きくすることも可能であるが、この場合には固体電解質袋管の容積と表面積との比が大きくなって、固体電解質袋管内に充填された所定量のナトリウムを所定時間内に反応させるためには、運転時の電流密度を増加させる必要があり、内部抵抗の影響で電池の効率が低下するという問題もあった。なお、電池効率が低下すると、当然のことながらモジュールの効率が低下し、その結果として、モジュールのエネルギー密度の低下やコスト増加が起こり易くなる。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−294128号公報
【特許文献2】
特開2001−76754号公報
【特許文献3】
特開2002−8714号公報
【特許文献4】
特開2002−260724号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この問題に対する対策として、固体電解質袋管を横置きし、水平または斜めに寝かせたナトリウム二次電池を保温容器内に収納することにより、電池の高効率化が可能なモジュールとすることが特開2001−76754号公報に記載されている。しかしながら、このモジュールにおいては、円筒形状のナトリウム硫黄電池を横置きし、乾燥砂を介して保温容器内の上下方向や左右方向に複数個積層しているために、保温容器内への電池設置の安定性についての対策が不十分で、モジュールの運搬時の振動や地震などの応力によって、設置された電池が移動したり、下部へ落下したりする問題がある。
【0007】
一方、特開2002−8714号公報には、絶縁粒子を介した円筒形状の電池同士を金属ベルトで縛って保温容器内に複数個収納した構造や、複数の電池同士を絶縁材や絶縁粒子で支えて保温容器内や収納容器内に収納した構造のモジュールが記載されている。このモジュール構造では電池設置の安定性は可能であるが、電池間の近傍に空気やガスの移動のための空間が設けられていないために、保温容器内や収納容器内に設置した複数の電池間に温度差が付き易く、その結果として電池間の効率が分布して、モジュールの効率低下が起こり易いという問題がある。
【0008】
さらに、特開2002−260724号公報には、保温容器内に設けた棚(支持板)によって電池を設置することが記載されているが、横置き電池を上下方向に設置するためには多くの棚を設ける必要があり、棚の体積によってモジュールのエネルギー密度が低下するという問題がある。さらに、このモジュール構造においても、電池間に絶縁材や絶縁粒子が設けられていて、電池間の近傍での空気やガスの移動が困難なために複数の電池間に温度差が付き易くなり、モジュール内の温度差増加による効率低下に対する対策が不十分である。
【0009】
このように、従来のモジュール構造においては、モジュール内の電池設置の安定性向上や、モジュール効率やエネルギー密度の向上によるモジュールの低コスト化など、ナトリウム二次電池のビジネス推進のために必要な課題が残されていた。
【0010】
本発明の目的は、上記従来技術の欠点を除き、モジュールの効率向上とエネルギー密度の向上と共に、保温容器内への電池設置の安定性が高いことは勿論、電池が破損した際の安全性が高いナトリウム二次電池モジュールを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明のナトリウム二次電池モジュールは、ナトリウムを収納した負極室と、正極活物質を収納した正極室と、前記負極室と正極室間を分離した固体電解質袋管とを含むナトリウム二次電池を用いて、前記ナトリウム二次電池を水平方向又は斜め方向に横置きして収納容器内に収納し、この収納容器を保温容器内の上下方向又は/及び左右方向に複数個配置したナトリウム二次電池モジュールにおいて、前記収納容器の上下又は/及び左右の少なくとも一部に平坦部分を設け、この平坦部分を設けた前記収納容器の上下の一部によって、前記保温容器内の上下方向に複数個配置した前記収納容器同士を支持するか、又は/及び前記平坦部分を設けた前記収納容器の左右の一部によって、前記保温容器内の左右方向に複数個配置した前記収納容器同士を支持することを特徴としている。
【0012】
ここで、前記収納容器の端部に蓋が設置され、この蓋の上下に設けた平坦部分、又は/及び前記蓋の左右に設けた平坦部分で、複数個配置した前記収納容器同士を支持すること、又は、前記収納容器の上部に蓋が設置され、この蓋の上部に設けた平坦部分、又は/及び前記蓋の左右に設けた平坦部分で、複数個配置した前記収納容器同士を支持することが特に望ましい。また、複数個配置された前記収納容器同士の間にアルミニウム又はアルミニウム合金製の金属板が設けられていること、又は/及び前記収納容器の少なくとも下部が密閉されていることが望ましい。
【0013】
本発明のナトリウム二次電池モジュールにより、モジュール効率向上とエネルギー密度の向上との両立が可能であると共に、保温容器内への電池設置の安定性の高いナトリウム二次電池モジュールが実現される。また、電池が破損した際の安全性の高いナトリウム二次電池モジュールを実現することも可能である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面を用いて説明する。
【0015】
図1,図2及び図3は、本発明のナトリウム二次電池モジュールに用いられるナトリウム二次電池100及び収納容器101の断面構造例を示している。図において、1はナトリウムイオン導電性の固体電解質袋管で、普通、β型やβ″型のベータアルミナセラミックスが用いられる。なお、この図では固体電解質袋管1を水平に寝かせた横置き構造となっているが、場合によっては45度以下の斜めに傾けた横置き構造にすることもできる。2,3は固体電解質袋管1と共にそれぞれ負極室4,正極室5を構成する負極容器,正極容器であり、Al合金やFe合金,SUSまたはこれらの表面にCo基合金,Cr/Fe合金,Al/Si合金,SUS,Cr,C,Moなどを主体とする耐食層を設けたものや、AlとSUSなどとのクラッド材が普通に用いられる。また、6は負極容器2と正極容器3とを絶縁し、且つ、これらと接合された絶縁部材である。この絶縁部材6には普通αアルミナなどの絶縁性セラミックスが用いられ、図示されていないが、負極容器2や正極容器3との接合にはAlまたはAl合金を用いた熱圧接法が用いられると共に、絶縁部材6と固体電解質袋管1とはガラス半田によって接合されるのが一般的である。さらに、絶縁部材6と接合された正極容器3の外側には、繊維集合体などから成る弾性体16を設けて、電池の昇降温に対する接合部の信頼性を向上している。
【0016】
また、7は負極室4内に充填された負極活物質であるナトリウム、8は内部にナトリウム7を収納したナトリウム容器である。ここで、ナトリウム7は、ナトリウム容器8内に充填されたArや窒素などの不活性ガス9の圧力で押され、ナトリウム容器8に設けられた貫通孔10を通って固体電解質袋管1の表面へ供給される。なお、この図ではナトリウム容器8と負極容器2とが分離されて、ナトリウム容器8が負極室4内に収納されているが、両者を一体化することも可能である。また、図1〜図3に示されたように不活性ガス9や貫通孔10を設ける代わりに、図示されていないが、固体電解質袋管1の内部や固体電解質袋管1とナトリウム容器8との間隙に金属繊維や炭素繊維を充填し、その表面張力で固体電解質袋管1の表面へナトリウム7を供給することもできる。
【0017】
さらに、正極室5内の固体電解質袋管1の胴部に沿って集電体14を設け、集電体14と固体電解質袋管1との間に多孔質導電材12が設けられて、正極活物質11とナトリウム7との電池反応に寄与している。ここで、集電体14の端部は正極容器3と接続され、電池反応に関与する電子移動の役目を果たしている。さらに、集電体14に用いる材料としては、厚さ0.3〜5mm 程度のAl,Al合金又はこれらとSUSなどとのクラッド材を用い、集電体14の多孔質導電材12との接触面にCo基合金,Cr合金,Cr/Fe合金,Al/Si合金,SUS,Cr,C,MoやCr,Moの炭化物や窒化物などの耐食性導電層を設けたり、これらの耐食性粒子や繊維を前記AlやAl合金の表面へ接合又は埋め込んだものが用いられる。また、正極活物質11の移動のために集電体14に貫通部15が設けられており、貫通部15としては直径や幅,長さが1〜10mm程度の円形や直方体の孔、又は、これらの間に幅1〜10mmのスリットを設けたものが望ましい。
【0018】
なお、ナトリウム硫黄電池の場合、正極活物質11としては硫黄や多硫化ナトリウムが用いられ、多孔質導電材12としては1200〜2000℃で焼成したポリアクリロニトリル系やピッチ系のカーボン繊維やカーボン粒子の集合体が一般に用いられている。一方、ナトリウム硫黄電池以外のナトリウム二次電池においては、正極活物質11として硫黄,セレン,テルルの元素やこれらの塩化物、又は金属塩化物(金属はAl,Ni,Feなど)などが用いられる。さらに、ナトリウム硫黄電池の場合、図示されているように固体電解質袋管1と多孔質導電材12との間に多孔質材13が設けられ、この多孔質材13には、普通、アルミナなどのセラミックスやガラスの繊維や粒子の集合体が用いられる。この多孔質材13は、ナトリウム7と正極活物質11との反応生成物の移動を促進する役目を持ち、ナトリウム硫黄電池などのナトリウム二次電池の充放電特性を改善する効果を持っている。なお、正極活物質11として硫黄が用いられないナトリウム二次電池においては、多孔質材13が設けられない構造も使用できる。
【0019】
ここで、正極活物質11は多孔質導電材12や多孔質材13に含浸されると共に、正極容器3と集電体14との間などの正極室5内に存在し、充放電時には集電体14に設けた貫通部15や多孔質導電材12,多孔質材13を通って移動して電池反応が進行する。なお、図1〜図3の構造では、正極の抵抗は集電体14や多孔質導電材12,多孔質材13で主に決まるために、固体電解質袋管1と集電体14との間隔を適切に狭くして、多孔質導電材12や多孔質材13の材料抵抗を小さくすることが可能である。さらに、この材料抵抗は正極容器3の形状には影響されないため、集電体14と正極容器3との間隔を大きくすることによって、電池抵抗に関係なく電池容量を大型化でき、電池の効率向上と大容量化の両立が可能になるという利点がある。
【0020】
さらに、集電体14を設けることによって、正極容器3の構造が電池抵抗に直接影響する効果が小さくなるため、集電体14を固体電解質袋管1の側面と平行な筒状とし、正極容器3の側面形状を図1〜図3のように円筒形状にする代りに、直方体形状や楕円形状とすることもできる。但し、正極容器3を図1〜図3のように円筒形状にすることによって、正極容器3の内部圧力と外気圧との差による正極容器3への応力が低減され、正極容器3の機械的強度が向上するという利点が得られるため、正極容器3としては円筒形状を用いることが望ましい。
【0021】
ここで、図1〜図3の構造においては、集電体14に設けた貫通部15の面積割合は5〜50%の範囲内であることが、電池効率向上の点から望ましい。貫通部15の面積割合が小さすぎると貫通部15を通しての正極活物質11の拡散抵抗が大きくなり、一方、面積割合が大きすぎると集電体14の抵抗が大きくなって、共に電池抵抗の増加、即ち、効率低下が生じ易くなる。一方、多孔質導電材12の充填密度は5〜25体積%、望ましくは10〜20体積%、固体電解質袋管1と集電体14との間隙は1〜20mm、望ましくは3〜15mmの範囲にあることが電池効率向上の点から望ましい。この範囲より充填密度が小さすぎたり、間隙が大きすぎた場合には多孔質導電材12の抵抗が大きくなり、充填密度が大きすぎた場合には多孔質導電材内の正極活物質11の拡散抵抗が大きくなり、また間隙が小さすぎた場合には多孔質導電材12の厚さが小さくなって電池の反応抵抗が増大して、電池効率が低下するという問題が発生しやすくなる。
【0022】
一方、ナトリウム二次電池100の外側には、鉄合金やAl合金,SUS又はセラミックスやガラス等を用いた容器本体102および蓋103から構成される収納容器101が設けられ、ナトリウム二次電池100は乾燥砂105を介して収納容器101内に収納されると共に、ナトリウム二次電池100に接続されたブスバー106が、蓋103に設けた開口部104を通して収納容器101の外側まで延びて設けられている。ここで、収納容器101の容器本体102としては円筒形状のものが用いられ、容器本体102の軸方向端部に設けた直方体形状の蓋103によって、容器本体102が封止されている。なお、後述の図7,図8に示したように、収納容器101の容器本体102として直方体形状のものを用いたり、容器本体102の端部又は/及び上部に蓋103を設けることも可能である。また、乾燥砂105の代わりに絶縁材を用いて、ナトリウム二次電池100と収納容器101とを電気絶縁することも可能である。さらに、収納容器101として絶縁性のセラミックスやガラスを用いた場合には、ナトリウム二次電池100を収納容器101と直接接触させることもできる。
【0023】
ここで、収納容器101とナトリウム二次電池100とは電気的に分離されていることが望ましく、こうすることによって、保温容器20内の上下や左右に設けた収納容器101同士を接触しても、ナトリウム二次電池モジュールの電気特性が劣化する問題は無い。また、隣接した収納容器101にそれぞれ設けた平坦部分同士を接触することによって、収納容器101の移動防止や電池の設置安定性が向上すると共に、保温容器20内に棚(支持板)を設けた場合に比べて、エネルギー密度が向上するという利点が得られる。さらに、図4〜図6で後述のように、収納容器101同士の間に空間24が設けられて、空気やガスが保温容器20内を移動するために、電池間の温度差が低減され、モジュール効率が向上するという利点も得られる。一方、収納容器101を設けずに電池同士を上下や左右に設けた構造を用いることも可能であるが、この場合には、隣接した電池同士を電気的に分離するために電池間に絶縁材を設置する必要がある。この結果として、振動や地震などに対する電池の移動防止が比較的困難になると共に、電池間の近傍に空気やガスの移動のための空間を設けるのが困難で、電池同士の温度差が大きくなってモジュールの効率が低下し、電池の設置安定性向上とモジュールの効率向上との両立が困難になるという欠点がある。
【0024】
また、図1〜図3では収納容器101内に1個のナトリウム二次電池100が収納されており、こうすることによって、ナトリウム二次電池100が破損してナトリウム7や正極活物質11が外部へ漏れた場合にも、収納容器101によってナトリウム7や正極活物質11の移動が制限されて隣接電池の破損が防止され、ナトリウム二次電池システムの安全性が向上するという利点が得られる。なお、図示されていないが、収納容器101内に複数個のナトリウム二次電池100を横置きに配置することも可能であり、この場合にも収納容器101によるナトリウム7や正極活物質11の移動防止によるモジュールの安全性向上の効果が得られる。しかしながら、図1〜図3のように収納容器101内に1個ずつナトリウム二次電池100を収納した構造を用いれば、ナトリウム二次電池が破損しても、電池から漏れたナトリウム7や正極活物質11が隣接したナトリウム二次電池に接触する問題は起こらず、安全性向上に特に適している。
【0025】
さらに、これらの安全性のためには、図1〜図3のように収納容器101の容器本体102の端部に蓋103を設けたり、後述の図7,図8や図9,図10のように容器本体102の上部に蓋103を設けて、収納容器101を封止することが望ましく、こうすることによって、ナトリウム7や正極活物質11が収納容器101の外へ漏洩することが防止されて、モジュールの安全性が向上する。また、図1〜図3において、蓋103を容器本体102と接合して、収納容器101の少なくとも下部を密閉することが特に望ましく、こうすることによって、ナトリウム7や正極活物質11が収納容器101の外へ漏洩することが有効に防止されて、モジュールの安全性は特に向上する。一方、後述の図7,図8や図9,図10では、収納容器101の容器本体102の端部に壁が設けられ、この結果として、収納容器101の少なくとも下部が密閉され、安全性が特に向上している。
【0026】
なお、このようにナトリウム二次電池100の側面を収納容器101の容器本体102で覆うことにより、例えば、図1〜図3の構造で蓋103の設置を省略したり、後述の図7,図8や図9,図10の構造で容器本体102の軸方向端部への壁の設置を省略した場合にも、左右方向に設置された隣接電池の破損が容器本体102で保護されて、収納容器101を設けない場合に比べてモジュールの安全性が向上する。
【0027】
本発明に用いるナトリウム二次電池100においては、図1〜図3に示されたように固体電解質袋管1が横置きされて、電池が水平又は斜めに設置されているために、一般に使用されているように軸方向の長さが直径よりも大きい固体電解質袋管1を用いた場合、固体電解質袋管1を縦置きした場合に比べて電池の鉛直方向の高さが小さくなる。なお、図示されていないが、この問題は集電体14が設けられていない電池構造の場合にも同様である。ここで、正極室5の鉛直方向の高さが大きい場合には、重力や正極活物質11内の密度差によって鉛直方向に組成分布や濃度分布が生じて、電池内に起電力分布を生じ、その結果として電池内に循環電流が流れて、電池効率が低下する。なお、上記電池効率低下の原因は、正極活物質11の組成分布による電池の起電力分布に基づいており、例えばナトリウム硫黄電池においては、正極活物質11を構成する多硫化ナトリウムが硫黄に融けず、且つ、比重が硫黄よりも大きいために正極室5内の下側に溜まること、及び、正極室5内に多硫化ナトリウムが存在する場所と硫黄が存在する場所とで、電池の起電力が異なり易いことに基づいている。これに対して、本発明のように電池を横置きして鉛直方向の高さを小さくすることにより、正極室5内の上下方向に重力による正極活物質11の濃度分布や組成分布が付きにくくなって、電池の効率が向上する。ここで、電池特性向上のためには、電池の長手方向、即ち固体電解質袋管1の軸方向と水平方向との角度を±45度以下にして、電池の鉛直方向の高さを小さくすることが望ましく、電池特性を特に向上するには、電池を水平設置、即ち、固体電解質袋管1を水平方向に横置きして、電池の鉛直方向の高さを小さくすることが特に望ましい。
【0028】
さらに、この効果は、ナトリウム二次電池100を大型化するために固体電解質袋管1の軸方向の長さを大きくする場合に特に顕著で、この結果として電池の大型化と効率向上との両立が可能であり、モジュールの効率向上や低コスト化が実現される。なお、固体電解質袋管1においては、軸方向の長さを直径よりも大きくすることにより、固体電解質袋管1の内容積と表面積との比を比較的小さくすることができる。この結果、直径が軸方向の長さと同程度又は直径の方が大きい固体電解質袋管1を用いた場合に比べて、同じ時間内で運転する際の固体電解質袋管1の表面積当りの電流密度を小さくすることができ、その結果として電流×内部抵抗で与えられる電圧変化が小さくなって、電池効率を大きくできるという利点がある。
【0029】
このように、横置きしたナトリウム二次電池100を収納容器101内に収納し、収納容器101を上下方向や横方向に複数個配置して保温容器20内に設置したナトリウム二次電池モジュールにおいては、電池を横置きすることによって電池効率向上や電池容量拡大が可能で、その結果として、モジュールを構成する単電池数の低減による低コスト化が可能である。また、収納容器101の利用により、横置き電池を用いたモジュールにおいて、正極容器3や負極容器2が破損したり、正極容器3や負極容器2の接合部がはがれたりした場合にも、ナトリウム7や正極活物質11の移動が防止できて、モジュールの安全性が向上するという利点がある。さらに、横置き電池を用いることにより、モジュールの高さや単位面積当りの重量を低減して、モジュールの設置可能場所の拡大による電池システムの利用範囲の拡大や、モジュールの設置空間の高さや面積の自由度向上が図られるという効果も得られる。
【0030】
即ち、電池の長手方向を横向きに寝かせているために、単電池容量を大きくしても電池の高さは小さくでき、この結果、電池を収納するモジュールの高さも小さくできて、店舗や小型ビル内や電気自動車にナトリウム二次電池を設置する場合のように、設置空間に高さ制限がある場合にもモジュールの設置が容易に行える。なお、これらの目的のためには、電池の長手方向を斜めよりも水平に寝かせて配置することが望ましく、この結果電池の鉛直方向の高さが小さくなって、電池やモジュールの効率向上と共にモジュールの高さ低減が容易に可能となる。また、ナトリウム二次電池モジュールをビル内に設置する場合、電池の上下方向の積層数を減らすことにより、単位面積当たりのモジュールの重量が減少できて、ビルなどの屋内設置や屋上設置が容易に行えるという利点もある。一方、電池の上下方向の積層数を増せば、その分モジュールの設置面積が低減でき、狭い面積の場所にもモジュールが設置できるという利点がある。
【0031】
以上の様に、本発明のナトリウム二次電池モジュールの構造においては、モジュールの設置空間の高さや面積の自由度向上や、モジュールの低コスト化と高効率化との両立など、実用化に適したナトリウム硫黄電池モジュールが実現できる。
【0032】
図4〜図6は、図1〜図3に示したナトリウム二次電池100と収納容器101とを用いた本発明のナトリウム二次電池モジュールの断面構造例を示している。この図において、ナトリウム二次電池モジュールには真空断熱容器や断熱材設置容器などの保温容器20が用いられ、保温容器20は保温容器本体21と保温容器20の蓋22から構成されている。また、保温容器本体21の内側にはヒータ23が設けられて、保温容器20内の電池温度を制御している。なお、図示されていないが、保温容器20内に設けられた収納容器101内には、図1〜図3に示されたように、ナトリウム二次電池100と乾燥砂105が収納されていると共に、ナトリウム二次電池100同士を電気的に接続して、保温容器20の外部まで延びたブスバー106が保温容器20内に設けられている。
【0033】
ここで、図4〜図6の構造においては、収納容器101の容器本体102の軸方向外側に直方体形状の蓋103が設けられ、保温容器20の上下に設けた複数個の収納容器101及び左右に設けた複数個の収納容器101がこの蓋103同士によって支持されている。すなわち、収納容器101に設けた直方体形状の蓋103によって、収納容器101の上下方向及び左右方向の一部に平坦部分が設けられ、保温容器20内の上下方向及び左右方向に複数個配置した収納容器101同士がこの平坦部分によって支持される。こうすることにより、複数個の収納容器101同士が密着して保温容器20内に収納されるために、モジュールのエネルギー密度が向上するという利点が得られると共に、保温容器20内に収納された複数個の収納容器101の設置安定性が向上し、モジュールの運搬時の振動や地震などの応力によって、設置された電池が移動したり、下部へ落下したりする問題が防止される。
【0034】
さらに、収納容器101の蓋103同士で収納容器101間が接触されて、容器本体102同士の間には空間24が設けられ、この空間24を空気やガスが移動することにより、電池内の温度差や複数の電池間の温度差が低減される。この結果、保温容器20内に収納された複数個の電池間の電池特性分布が低減されて、空間24を設けない構造に比べて、モジュールの効率が向上するという利点が得られる。なお、このためには、複数個の収納容器101同士の接続を収納容器101の蓋103同士のみで行うことが望ましく、こうすることによって、図6に見られるように電池間の周囲に空間24が設けられ、モジュール内の温度均一化に特に適した構造となる。
【0035】
また、図4〜図6においては、左右に設けた複数個の収納容器101の容器本体102同士が熱伝導性の高いAlやAl合金製の金属板25で接触されている。こうすることにより、金属板25内を熱が移動して複数個の収納容器101同士の温度が均一化され、上記空間24の設置のみに比べて電池間の温度差がさらに低減されて、モジュールの効率が特に向上するという利点が得られる。なお、このためには、金属板25と接触した部分の収納容器101にAlやAl合金を用いて、温度移動を促進することが望ましい。一方、収納容器101によるナトリウム7や正極活物質11の移動を特に防止するためには、収納容器101の容器本体102としては、融点の比較的高い鉄合金やSUS,セラミックス,ガラスなどを用いることが望ましい。
【0036】
図7,図8,図9,図10も本発明のナトリウム二次電池モジュールの断面構造例を示しており、図4〜図6と同じ符号で示されたものは同じ部品を示している。
【0037】
図7,図8においては、収納容器101の容器本体102は上部が開いた直方体形状であり、上部に収納容器101の蓋103が設けられて、収納容器101が形成されている。また、容器本体102の端部に壁が設けられており、収納容器101の下部が密閉され、ナトリウム二次電池100が破損した場合の安全性が特に向上している。また、図示されていないが、収納容器101内には図1〜図3と同様にナトリウム二次電池100や乾燥砂105が収納されていると共に、容器本体102の壁の一部に設けた孔を通してブスバー106が設けられている。
【0038】
図7,図8に示した保温容器20内の上下に設けた複数個の収納容器101においては、上部に設けた収納容器101の容器本体102の下面と、下部に設けた収納容器101の蓋103の上面とが、金属板25を介して支持されている。また、保温容器20内の左右に設けた複数個の収納容器101同士は、収納容器101の蓋103同士で支持されており、左右に設けた保温容器20同士の間には空間24が設けられている。このように、収納容器101同士の間に空間24を設けたり、収納容器101同士をAlやAl合金製の金属板25で接触することにより、図4〜図6の場合と同様に、複数個の収納容器101同士の温度が均一化され、電池間の電池特性分布が低減されて、モジュールの効率が向上するという利点が得られる。さらに、収納容器101同士を支持した容器本体102の下面、収納容器101の蓋103の上面や横面を平坦形状にすることにより、収納容器101同士の支持が確保され、モジュール運搬時の振動や地震などに対して、保温容器20内への電池設置の安定性が向上する。
【0039】
なお、この構造においては、収納容器101の容器本体102を鉄合金やSUS,セラミックス,ガラスなどとして、収納容器101の蓋103をAlやAl合金にすることが特に望ましい。こうすることによって、収納容器101同士を支持した収納容器101の蓋103の熱伝導により、電池内や複数の電池間の温度差が低減されて、モジュールのエネルギー密度が向上すると共に、容器本体102でのナトリウム7や正極活物質11の移動防止による安全性向上の両立が可能である。
【0040】
一方、図9,図10においては、収納容器101の容器本体102の構造は図7,図8と類似であるが、容器本体102に設けた壁の下側は斜め形状になっている。こうすることにより、保温容器20内の上下に設けた複数個の収納容器101は、上部に設けた収納容器101の容器本体102の下面と、下部に設けた収納容器101の蓋103の上面とが平坦形状で支持され、斜め形状の壁の外側に空間24が形成されている。一方、保温容器20内の左右に設けた複数個の収納容器101は、金属板25を介して、収納容器101の容器本体102に設けた壁の平坦形状同士で支持されている。このような構造を用いることにより、図7,図8と同様に、保温容器20内に収納した収納容器101の移動防止が可能となり、振動や地震に対する電池の設置安全性が確保できる。また、複数個の収納容器101同士の温度が均一化され、電池間の電池特性分布が低減されて、モジュールの効率が向上するという利点が得られる。さらに、収納容器101の下部が密閉されているために、ナトリウム二次電池100が破損した場合の安全性が向上する。
【0041】
本発明のナトリウム二次電池モジュールにおいては、モジュールを構成するナトリウム二次電池100として、固体電解質袋管1を横置きして水平や斜め方向に寝かせた電池が用いられるため、図1〜図3で述べたようにナトリウム二次電池の大容量化と高効率化が可能である。その結果として、モジュールを構成する電池本数を低減して、kW当たりやkWh当たりのモジュールコストを低減することができると共に、高効率電池の利用によって、モジュールの効率が向上する。また、大容量のナトリウム二次電池を用いることにより、同じモジュール容量に必要な電池数が低減できて、その結果として、モジュールのエネルギー密度が向上するという利点も得られる。
【0042】
さらに、電池を横向きに寝かせているために、大容量化しても電池の高さは比較的小さくでき、電池を収納する保温容器20の高さも小さくできて、電気自動車や小型ビル内にナトリウム二次電池100を設置する場合のように、設置空間に高さ制限がある場合にも、モジュールの設置が容易に行える。また、ナトリウム二次電池モジュールをビル内に設置する場合にも、電池の上下方向の積層数を減らすことにより、単位面積当たりのモジュールの重量が減少できて、ビルなどの屋内設置や屋上設置が容易に行えるという利点がある。一方、電池の上下方向の積層数を増せば、その分モジュールの設置面積が低減でき、狭い面積の場所にもモジュールが設置できるという利点がある。以上の結果、モジュールの設置空間の高さや面積の自由度向上や、モジュールの高エネルギー密度化と高効率化との両立など、実用化に適したナトリウム二次電池モジュールが実現できる。なお、モジュールの高さ低減のためには、ナトリウム二次電池100を水平に寝かせること、即ち、固体電解質袋管1を水平方向に横置きすることが特に望ましい。
【0043】
また、本発明のナトリウム二次電池モジュールの構造においては、収納容器101内に収納されたナトリウム二次電池100が、保温容器20内に配置されてモジュールを形成している。このように、ナトリウム二次電池を収納容器101内に収納することにより、万一電池からナトリウム7や正極活物質11から成る活物質が漏洩した場合にも、収納容器101によって活物質の移動が制限され易く、活物質の接触による隣接電池の破損伝播が防止されて、モジュールの安全性が向上するという利点がある。この問題はナトリウム二次電池100を横方向に寝かせたモジュールでは重要であり、図1に見られるように、横置きした電池の負極容器2や正極容器3が破損した場合には、横置き電池から活物質が電池外部へ放出されるのが一般的である。この問題に対して、収納容器101の下部を密閉することが望ましく、こうすることによって、収納容器101外へのナトリウム7や正極活物質11の移動が防止され易く、横置き電池構造のモジュールの安全性を特に高めることが可能である。
【0044】
一方、モジュールを構成する収納容器101は、保温容器20の上下に複数個配置した収納容器101の一部分を上下方向に設けた平坦部分同士で支持するか、又は/及び、保温容器20の左右に複数個配置した収納容器101の一部分を左右方向に設けた平坦部分同士で支持している。このように、収納容器101の一部分を平坦部分同士で密着することによって、モジュールのエネルギー密度が向上すると共に、収納容器101同士の間に空間24が形成され、この空間24を保温容器20の内部に含まれた空気やガスが移動することにより、電池内の温度差や複数の電池間の温度差が低減される。この結果、保温容器20内に収納された複数個の電池間の特性分布が低減されて、モジュールの効率が向上するという利点が得られる。さらに、収納容器101同士の間にアルミニウム又はアルミニウム合金製の金属板25を設けることが望ましく、こうすることによって、金属板25内を熱が移動して複数個の収納容器101同士の温度が均一化され、電池間の特性分布が大幅に低減されて、モジュールの効率が特に向上するという効果が得られる。
【0045】
また、収納容器101の上下方向又は/及び左右方向の少なくとも一部にそれぞれ平坦部分を設けて、前記平坦部分を設けた収納容器101の上下の一部によって、保温容器20内の上下方向に複数個配置した収納容器101同士を支持するか、又は/及び、前記平坦部分を設けた収納容器101の左右の一部によって、保温容器20内の左右方向に複数個配置した収納容器101同士を支持することが望ましい。このように平坦部分同士で支持することにより、収納容器101同士が有効に支持され、振動や地震などに対して、保温容器20内へ収納した収納容器101の移動が防止されて、電池の設置安定性が特に向上されやすいというモジュールの利点が得られる。
【0046】
具体例として、図1〜図3に示すように、固体電解質袋管1としてリチウムドープの直径60mm,長さ600mmのβ″アルミナ焼結体を用い、αアルミナ焼結体からなるリング状の絶縁部材6とガラス接合した。一方、負極容器2,正極容器3とナトリウム容器8にはAl合金を用い、集電体14には同じAl合金の表面にクロム−鉄合金を溶射して用いた。次に、絶縁部材6の表面に負極容器2,正極容器3の端部を配置し、接合材に用いたAl−Mg合金を加熱して、負極容器2,正極容器3の端部を加圧し、絶縁部材6と熱圧接した。
【0047】
また、ナトリウム容器8内にナトリウム7とArから成る不活性ガス9を充填して、ガス圧でナトリウムを押して、ナトリウム容器8の側面下部に設けた貫通孔10を通して固体電解質袋管1の内面へナトリウム7を供給した。さらに、正極室5内には正極活物質11として硫黄を充填すると共に、固体電解質袋管1と集電体14との間に、体積密度5〜20%の炭素繊維マットから成る多孔質導電材12とガラス繊維集合体から成る多孔質材13を設置して、ナトリウム硫黄電池から成るナトリウム二次電池100を作成した。得られた電池の容量は約1600Ah、効率は約90%であった。
【0048】
次に、図4〜図6に見られるように、ナトリウム二次電池100を水平に横置きして、SUS製の円筒形状の容器本体102内に1個ずつ収納し、容器本体102の軸方向の端部を直方体形状の蓋103で封止した。このようにして得られた収納容器101を真空断熱容器から成る保温容器20内に設置して、上下及び左右に配置された複数の収納容器101同士を収納容器101の蓋103に設けた平坦部分同士で支持すると共に、Al合金製の金属板25を設置して、左右に設けた複数個の容器本体102同士を接触した。なお、この構造においては、収納容器101の周囲には空間24が設けられており、保温容器20内の空気移動が可能である。
【0049】
このようにして得られたナトリウム二次電池モジュールを運転した結果、複数の電池間の温度差が小さくできるために、モジュールの効率は電池の効率と同じ90%が達成され、モジュールのエネルギー密度が向上した。また、地震を考慮して、保温容器20の振動実験を行った結果、収納容器101の機械的信頼性は高く、収納容器101やナトリウム二次電池100の設置位置や構造には全く問題が起こらなかった。さらに、電池に大電流を流して強制的に破壊しても、ナトリウム7や正極活物質11は収納容器101内に留まって、モジュールの安全性が高いことが実証された。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、モジュールのエネルギー密度や効率向上と共に、振動や地震などに対する保温容器内へ収納した収納容器の移動防止や、収納容器内へ収納したナトリウム二次電池の設置安定性の高いモジュールが得られ、また、万一ナトリウム二次電池が破損した場合にも、モジュールの安全性を保持することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のナトリウム二次電池モジュールの一実施例に用いられるナトリウム二次電池を示す断面図である。
【図2】図1のA−A′線に沿った断面図である。
【図3】図1のB−B′線に沿った断面図である。
【図4】本発明のナトリウム二次電池モジュールの一実施例を示す断面図である。
【図5】図4のA−A′線に沿った断面図である。
【図6】図4のB−B′線に沿った断面図である。
【図7】本発明のナトリウム二次電池モジュールの他の実施例を示す断面図である。
【図8】図7のA−A′線に沿った断面図である。
【図9】本発明のナトリウム二次電池モジュールの更に他の実施例を示す断面図である。
【図10】図9のA−A′線に沿った断面図である。
【符号の説明】
1…固体電解質袋管、2…負極容器、3…正極容器、4…負極室、5…正極室、6…絶縁部材、7…ナトリウム、8…ナトリウム容器、9…不活性ガス、10…貫通孔、11…正極活物質、12…多孔質導電材、13…多孔質材、14…集電体、15…貫通部、16…弾性体、20…保温容器、21…保温容器本体、22…保温容器の蓋、23…ヒータ、24…空間、25…金属板、100…ナトリウム二次電池、101…収納容器、102…収納容器の容器本体、103…収納容器の蓋、104…開口部、105…乾燥砂、106…ブスバー。
Claims (5)
- ナトリウムを収納した負極室と、正極活物質を収納した正極室と、前記負極室と正極室間を分離した固体電解質袋管とを含むナトリウム二次電池を水平方向又は斜め方向に横置きして収納容器内に収納し、該収納容器を保温容器内の上下方向又は/及び左右方向に複数個配置したナトリウム二次電池モジュールにおいて、前記収納容器の上下又は/及び左右の少なくとも一部に平坦部分を設け、該平坦部分を設けた前記収納容器の上下の一部によって、前記保温容器内の上下方向に複数個配置した前記収納容器同士を支持するか、又は/及び前記平坦部分を設けた前記収納容器の左右の一部によって、前記保温容器内の左右方向に複数個配置した前記収納容器同士を支持することを特徴とするナトリウム二次電池モジュール。
- 請求項1において、前記収納容器の端部に蓋が設置され、該蓋の上下に設けた平坦部分、又は/及び前記蓋の左右に設けた平坦部分で、複数個配置した前記収納容器同士を支持することを特徴とするナトリウム二次電池モジュール。
- 請求項1において、前記収納容器の上部に蓋が設置され、該蓋の上部に設けた平坦部分、又は/及び前記蓋の左右に設けた平坦部分で、複数個配置した前記収納容器同士を支持することを特徴とするナトリウム二次電池モジュール。
- 請求項1,2又は3において、複数個配置した前記収納容器同士の間に、アルミニウム又はアルミニウム合金製の金属板が設けられていることを特徴とするナトリウム二次電池モジュール。
- 請求項1,2又は3において、前記収納容器の少なくとも下部が密閉されていることを特徴とするナトリウム二次電池モジュール。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003164496A JP2005005006A (ja) | 2003-06-10 | 2003-06-10 | ナトリウム二次電池モジュール |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003164496A JP2005005006A (ja) | 2003-06-10 | 2003-06-10 | ナトリウム二次電池モジュール |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005005006A true JP2005005006A (ja) | 2005-01-06 |
Family
ID=34091241
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003164496A Pending JP2005005006A (ja) | 2003-06-10 | 2003-06-10 | ナトリウム二次電池モジュール |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005005006A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN108608850A (zh) * | 2018-05-07 | 2018-10-02 | 赵勇 | 一种电池组件及其电动汽车 |
CN115332705A (zh) * | 2022-08-15 | 2022-11-11 | 苏州金蚂蚁精密钣金有限公司 | 一种用于太阳能储能设备的外壳 |
-
2003
- 2003-06-10 JP JP2003164496A patent/JP2005005006A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN108608850A (zh) * | 2018-05-07 | 2018-10-02 | 赵勇 | 一种电池组件及其电动汽车 |
CN115332705A (zh) * | 2022-08-15 | 2022-11-11 | 苏州金蚂蚁精密钣金有限公司 | 一种用于太阳能储能设备的外壳 |
CN115332705B (zh) * | 2022-08-15 | 2024-03-19 | 苏州金蚂蚁精密钣金有限公司 | 一种用于太阳能储能设备的外壳 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US10608212B2 (en) | Electrochemical energy storage devices and housings | |
US9728814B2 (en) | Electrochemical energy storage devices | |
JP2013528306A (ja) | 電気エネルギー貯蔵セルおよび電気エネルギー貯蔵装置 | |
CN104112865B (zh) | 一种液态金属电池装置及其装配方法 | |
WO2019107560A1 (ja) | 仕切り部材及び組電池 | |
JPH04349364A (ja) | プレーナ型ナトリウム硫黄蓄電池 | |
JP3693983B2 (ja) | 集合電池用断熱容器 | |
JP4885166B2 (ja) | 断熱容器及びそれを備えた集合電池 | |
JP2003178798A (ja) | ナトリウム硫黄電池 | |
JP2003068356A (ja) | ナトリウム二次電池とその電池集合体およびモジュール | |
JP2005005006A (ja) | ナトリウム二次電池モジュール | |
JP2000048857A (ja) | 集合電池用真空断熱容器 | |
JP2004265743A (ja) | ナトリウム二次電池モジュール | |
JP7027768B2 (ja) | 蓄電モジュール及び蓄電パック | |
JP2001243977A (ja) | ナトリウム硫黄電池、電池集合体およびモジュール | |
KR101850396B1 (ko) | 불활성 기체 분위기 전액상체 금속전지 및 그 제작방법 | |
JP2005149775A (ja) | ナトリウム二次電池モジュール | |
JP2002008714A (ja) | 高温ナトリウム二次電池モジュール | |
JPH09199167A (ja) | 高温二次電池モジュール及びそれを用いた電池システム | |
JP2005149773A (ja) | ナトリウム硫黄電池 | |
JP2001243975A (ja) | ナトリウム硫黄電池、その使用方法及びそれを用いたモジュ−ル | |
JP2004253289A (ja) | ナトリウム硫黄電池およびその運転方法 | |
JP3382912B2 (ja) | 併合発電システム | |
JP4167032B2 (ja) | ナトリウム二次電池 | |
JP2004253288A (ja) | ナトリウム硫黄電池 |