JPH09199167A - 高温二次電池モジュール及びそれを用いた電池システム - Google Patents

高温二次電池モジュール及びそれを用いた電池システム

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JPH09199167A
JPH09199167A JP8008683A JP868396A JPH09199167A JP H09199167 A JPH09199167 A JP H09199167A JP 8008683 A JP8008683 A JP 8008683A JP 868396 A JP868396 A JP 868396A JP H09199167 A JPH09199167 A JP H09199167A
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high temperature
secondary battery
battery module
battery
container
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JP8008683A
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English (en)
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Tadahiko Mitsuyoshi
忠彦 三吉
Manabu Madokoro
間所  学
Koji Kusakabe
康次 日下部
Hisamitsu Hatou
久光 波東
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Publication date
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

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  • Battery Mounting, Suspending (AREA)
  • Connection Of Batteries Or Terminals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 冷却が容易で、活物質漏洩時にも接続部の断
線や正極/負極間の短絡の起こりにくい、信頼性の高い
高温二次電池モジュールを提供する。 【解決手段】 正極及び負極の電極端子11,21,3
1;12,22,32が上下に分かれた複数個の高温ナ
トリウム二次電池10,20,30を上下に積み重ねて
断熱容器50内へ収納する。電極端子間の接続部を乾燥
砂などの粉末状又は繊維状の絶縁材で包囲する。二次電
池の冷却は、ファン70によって空気取り入れ口60か
ら取り入れられ、煙突80から排出される冷却空気によ
って行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電力系統のピーク
シフトや電力貯蔵装置としての用途に好適な高温二次電
池モジュール及びそれを用いた電池システムに関する。
【0002】
【従来の技術】負極にナトリウム、正極に硫黄、セレ
ン、テルル、金属ハロゲン化物などを用いた高温ナトリ
ウム二次電池は、その効率やエネルギー密度が大きいこ
とから注目され、電力貯蔵装置や電気自動車などへの利
用が期待されている。これらの二次電池は、その温度を
保つために、電池1個又は複数個を断熱容器に収納した
モジュールとして利用される。
【0003】特開平3−257766号公報には、断熱
容器に複数個の高温ナトリウム二次電池を収納してモジ
ュールを構成し、ヒータによる加熱とファン等による冷
却によって温度制御を行うことが記載されている。この
方法によれば、電池の温度制御が容易で温度精度が高い
反面、電池から活物質が漏洩した際に複数個の電池間の
接続部が腐食して断線したり、正極/負極間がナトリウ
ムによって短絡したりしやすく、非常時の信頼性が低い
欠点があった。
【0004】一方、特開平3−283272号公報で
は、断熱容器に複数個の高温ナトリウム二次電池を収納
し、電池間に乾燥砂などの絶縁材を充填してモジュール
を構成している。この方法によれば、電池から活物質が
漏洩しても充填した絶縁材で遮られるため、断線や短絡
が起こりにくく、非常時の信頼性が高い反面、充填した
絶縁材のために電池の放熱が悪く、温度制御が困難で、
運転時の信頼性が低い欠点があった。この放熱の問題は
電池を高出力で放電したり、運転モードを動的に変化さ
せたりする場合には大きな問題であり、電池温度が適正
範囲からはずれたり、電池間の温度分布が大きくなって
モジュール内の電池特性にアンバランスを生じ、電池寿
命が短くなるなど信頼性が損なわれる。
【0005】また、特開平3−283270号公報に
は、外部に乾燥砂等の不活性剤の収納容器を設け、異常
時にバルブを開けて不活性剤を断熱容器内へ放出する方
法が記載されている。この方法には、装置が複雑で大が
かりになること、不活性剤を放出するのは電池から活物
質が漏洩した後となるため、火災の発生防止には有効で
も、漏洩した活物質による断線や短絡防止にはあまり有
効でないこと、などの問題があった。
【0006】さらに、複数個の高温ナトリウム二次電池
を上下方向に積み上げた電池モジュールは、特開昭58
−25087号公報、特開平2−256175号公報、
特開平3−176968号公報に提案されているが、こ
れらは活物質漏洩時の断線や短絡の防止と電池の有効な
冷却とを両立させるものではなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、従来の
高温二次電池モジュールでは、電池運転時の信頼性と非
常時の信頼性とを同時に満足させるのは困難であった。
また、例えば変電所に設置される電力系統のピークシフ
ト装置のように、面積が制限された場所に設置され、電
池が高出力で運転される用途では、複数個の電池を効率
よく冷却して電池の信頼性を高めること、及び冷却装置
や電力変換装置を含めた電池システムの設置面積を低減
することが望ましいが、従来の電池システムはこれらの
要求を満たすものではなかった。
【0008】本発明の目的は、上記従来技術の欠点を除
き、複数個の電池の冷却が容易で、活物質漏洩時にも接
続部の断線や正極/負極間の短絡の起こりにくい、信頼
性の高い高温二次電池モジュールを提供することにあ
る。本発明の他の目的は、簡素な構造で設置面積あたり
の出力密度の高い電池システムを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、上記電池システムを用いた
電力貯蔵装置や電力系統のピークシフト装置などを提供
することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明においては、複数
個の高温ナトリウム二次電池を断熱容器内へ収納した高
温二次電池モジュールにおいて、二次電池はその正極及
び負極の電極端子が電池の上下に分かれて位置してお
り、2個以上の二次電池を上下に積み重ねて電極端子間
を接続すると共に、電極端子間の接続部を乾燥砂などの
粉末状又は繊維状の絶縁材で被覆することによって前記
目的を達成する。粉末状絶縁材としては、アルミナなど
のセラミックス粉末、砂、ガラス、ゼオライト、シラ
ス、膨張ひる石、膨張真珠石などの粒状、粉末状物を用
いることが出来、また繊維状絶縁材としては、ガラス繊
維、セラミックス繊維などを用いることが出来る。
【0010】絶縁材は、電極端子間の接続部周囲に設け
た隔壁内へ充填することが出来る。ここで隔壁は、二次
電池の上部で支持されていることが好ましく、また、隔
壁は絶縁材で構成されていることが望ましい。隔壁とし
ては、アルミナや珪酸カルシウムなどのセラミックス
板、ガラス板、陶磁器板、セメント板、マイカ板など
や、シリカ繊維、アルミナ繊維、チタン酸カリウム繊維
等を固めた板などを用いることが出来る。なお、隔壁と
して金属を用いることも出来、この場合には隔壁を電池
容器へ固定、又は電池容器と一体化することが出来る。
【0011】さらに、断熱容器内の周辺部又は断熱容器
壁内に乾燥砂などの粉末状絶縁材を収納することが出
来、その絶縁材の合計量を断熱容器内の高温電池に含ま
れる活物質用の消火剤としての、危険物関連の法律、政
令、規則で定められた必要量以上とすることも出来る。
高温二次電池モジュールには、煙突のような二次電池を
自然空冷をするための手段、又はファンのような強制空
冷のための手段を設けることが望ましい。少なくとも二
次電池の放電時に強制冷却手段によって電池を冷却し、
二次電池の放電時と充電時又は高温保持時との温度差Δ
Tと、前記二次電池の設計放電回数Nの平方根との積Δ
T・N1/2を約1700℃・回1/2以下とすることが、二
次電池の信頼性を高める上で特に好ましい。
【0012】組立等の観点からすると、電極端子間の接
続部は銀、金、金合金又は銀合金の機械的接点であるこ
とが望ましい。また、本発明の電池システムは、複数個
の高温ナトリウム二次電池を断熱容器内へ収納した高温
二次電池モジュールと、高温二次電池モジュールと接続
した電力変換器とからなる電池システムにおいて、電力
変換器の強制冷却手段が高温二次電池モジュールの強制
冷却手段を兼ね、電力変換器を冷却した冷却媒体で高温
二次電池モジュールを冷却することを特徴とする。高温
二次電池モジュールは電力変換器の上方に配置して、設
置面積あたりの出力密度の向上を図ることが望ましい。
【0013】本発明の高温二次電池モジュールにおいて
は、正極及び負極の電極端子を上下に分けて設置した複
数個の電池が上下に積み重ねられ、両者の電極端子間の
接続部が乾燥砂などの粉末状又は繊維状の絶縁材で被覆
されている。この結果、高温電池から活物質が漏洩して
も、漏洩した活物質が絶縁材の粒子や繊維間の空隙に保
持、固定されて遠方まで流出しないために、接続部が腐
食して断線する恐れが無い。高温ナトリウム二次電池で
よく採用される電池の上面や下面で正極容器と負極容器
が隣接する構造においても、接続部と同時にこの部分が
絶縁材で被覆されて正極/負極間の短絡が防止されるた
めに信頼性が大幅に向上する。
【0014】また、電池が上下に積み重ねられているた
め、自然対流や送風によって容易に断熱容器内の複数個
の電池が冷却され、電池を高出力で放電したり、運転モ
ードを動的に変化させたりする場合にも電池を適正温度
に保つことが出来る結果、電池の信頼性が一層向上す
る。さらに、対流や送風によって電池間は熱伝達される
ため、断熱容器内の温度分布を均一にすることが出来、
モジュール内で直並列に接続された複数個の電池特性の
バランスが保たれ、電池寿命が確保されるなど、信頼性
向上の点で極めて有効である。
【0015】電極端子間の接続部を絶縁材で被覆するた
めには、接続部を絶縁材に埋め、絶縁材の周囲を接着剤
などで固定することも出来るが、電池の着脱の容易さを
考えると、接続部の周囲に隔壁を設け、隔壁内へ絶縁材
を充填する方法が望ましい。この際、隔壁を電池の上部
で支持し、その高さを丁度接続部が絶縁材で充填される
に充分な高さとし、電池の側部など他の部分はあまり絶
縁材で覆われないようにすることが、電池の冷却性能上
特に望ましい。また、隔壁の径を電池の径よりも大きく
すれば、複数個の電池及び隔壁の組立て後、電極端子間
の接続部に絶縁材を充填出来るため、モジュールの組立
て、解体を容易に行うことが出来る。この際、隔壁を絶
縁物としておけば、水平方向に隣接する電池間の短絡が
防止出来、かつ、電池よりも径の大きい隔壁同士の接触
によって電池の水平方向の動きが制限されて、モジュー
ルの耐震性が向上する。なお、漏洩活物質に対するモジ
ュールの信頼性を特に高めるために、上下方向に積み重
ねた電池全体を絶縁筒に入れ、その中に絶縁材を充填す
ることも出来るが、この場合には電池の冷却性能が低下
する点に留意する必要がある。
【0016】また、断熱容器内の周辺部又は断熱容器壁
内に乾燥砂などの絶縁材を収納して、絶縁材の合計量
が、断熱容器内の高温電池に含まれる活物質用の消火剤
としての、危険物関連の法律、政令、規則で定められた
必要量以上とすることにより、電池大破時に絶縁材が消
火剤として作用して、モジュールの安全性が特に高めら
れる。さらに、断熱容器内の周辺部に隔壁を設けてその
中に絶縁材を充填したり、断熱容器の壁内に絶縁材を充
填したりすれば、送風や対流による高温電池の冷却が妨
げられることはなく、断熱容器の断熱性能を高めること
も出来る。なお、現在の法令によると危険物に対する消
火剤の必要量は、ナトリウム50kg又は硫黄500k
g当り乾燥砂50lである。
【0017】また、モジュール内の複数個の電池を有効
に冷却するためには、断熱容器にファンで強制的に空気
を送ったり、断熱容器の上部へ煙突を設置して対流を促
進することが望ましい。電池を上下方向に積み重ねた構
造は、強制空冷や対流によって複数個の電池を有効に冷
却するのに適しており、この方法により、高出力運転し
ても電池の温度を所定範囲内に制御することが出来る。
【0018】ナトリウム硫黄電池などの高温ナトリウム
二次電池では、熱膨張率の異なる金属とセラミックスと
の接合により電池をシールした構造が一般的であるが、
高出力運転を繰り返して電池温度が多数回変化すると、
接合部の熱歪みによってシール不良が起こり、これが電
池の寿命を短くする一因となる。これを防ぐためには、
特に内部発熱による温度上昇の大きい高出力放電時に電
池を冷却して、放電時と充電時又は高温保持時との温度
差ΔTを小さくすればよい。
【0019】具体的には、セラミックスとしてアルミナ
を、接合にアルミニウム又はアルミニウム合金を接合材
として用いた場合、電池の設計放電回数Nの平方根とΔ
Tとの積ΔT・N1/2を約1700℃・回1/2以下とし
て、放電回数が1500回必要なとき(10年相当)に
はΔTを約40℃以下、2250回必要なとき(15年
相当)には約35℃以下とすることにより、アルミナと
アルミニウム又はアルミニウム合金との接合部の熱歪み
に基づくシール不良を防ぎ、電池の長期信頼性を高める
ことが出来る。接合部の熱歪みを抑制するために、接合
部を粉末状又は繊維状の絶縁材で被覆して接合部の熱容
量を高めることにより、高出力運転時の接合部の温度上
昇を抑えることも出来る。このためには、アルミナやジ
ルコニアのような比較的熱容量や熱伝導率の大きい粒子
を絶縁材に用いればよい。
【0020】さらに、この電池を上下に積み重ねる方法
により断熱容器がコンパクトに出来、単位体積あたりの
電池出力密度が高められる。また、電極端子間の接続の
際には、アルミニウムなどの金属同士を溶接などの手段
で接続することも出来るが、接続部の接続/取外しの容
易さの面からは、銀、金、金合金又は銀合金の機械的接
点を用いることが望ましい。銀又は銀合金は高温二次電
池の動作温度である約300℃以上では酸化物としてよ
りも金属として存在するほうが安定であり、酸化膜形成
による抵抗障壁のない良好な接続が可能となる。金又は
金合金は高温でも金属として安定であり、これを接点と
して用いても酸化膜形成による抵抗障壁のない良好な接
続が可能である。なお、これらの接点としては金、銀又
はこれらの合金のバルク材や、他金属の表面へ金、銀又
はこれらの合金をメッキなどの手段で被覆したもの、
金、銀又はこれらの合金のペーストを焼き付けたもの、
あるいは接点部に金、銀又はこれらの合金の粉末や箔を
介在させたものを用いることができる。
【0021】さらに、本発明の高温二次電池モジュール
を電力系統のピークシフト装置や電力貯蔵装置に用いる
場合、電池の直流電力と電力系統の交流電力とを相互に
変換するための電力変換器を設ける必要があるが、この
電力変換器と電池モジュールの強制冷却手段、例えばフ
ァンを共通にして、電力変換器を冷却するために用いた
冷却媒体、例えば空気を引き続き電池モジュールへ送っ
て電池を冷却することにより、冷却系の簡素化が可能と
なる。電力変換器の冷却温度は約100℃以下であるの
に反して、高温ナトリウム二次電池の温度は約300℃
程度又はそれ以上であるため、この方法で両者を有効に
冷却出来る。ここで、電池を上下方向に積み重ねた構造
とすれば、強制空冷や対流によって複数個の電池を均等
に冷却するのに特に有効である。また、電力変換器の上
部に電池モジュールを積載した構造にすれば、両者を共
通して冷却するに好都合なばかりでなく、電池システム
の設置面積を小さく出来る利点がある。
【0022】このような構成により、変電所などのよう
な設置面積に制限のある場所へ設置するのに適した電力
貯蔵装置や電力系統のピークシフト装置などを実現する
ことが出来る。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態を説明する。図1は、本発明による高温二次電
池モジュールの構造の一例を示す断面図である。図にお
いて、10,20,30はナトリウム硫黄電池のような
高温ナトリウム二次電池であり、その負極端子11,2
1,31、及び正極端子12,22,32がそれぞれ電
池の上下に分かれて設置された構造となっている。な
お、正極端子を上にし負極端子を下にする配置も、電池
構造によっては可能である。ここで、端子11,32は
それぞれブスバ41,42と、端子12,22はそれぞ
れ端子21,31と、溶接などの手段で接続されてい
る。
【0024】23は絶縁性の隔壁で、絶縁板24に支え
られて電池上面に取付けられており、隔壁23で囲まれ
た端子の周囲空間には絶縁材25が充填されて、端子間
の接続部を保護し、信頼性を高めている。50は高温二
次電池が収納される断熱容器で、断熱性能が優れている
理由により、真空断熱容器が普通用いられる。なお、図
1の断熱容器の蓋や底に見られる様に、断熱容器50の
壁の内部に乾燥砂などの絶縁材25を充填することも出
来る。また、図示されていないが、普通内部に加熱用の
ヒータが取り付けられている。
【0025】60は冷却空気の取り入れ口、70は強制
冷却のためのファン、80は空気の出口となる煙突であ
るが、場合によってはファン70を設けず、取り入れ口
60と煙突80によって対流で自然冷却することも可能
である。また、90は絶縁台で、凹部を設けて高温ナト
リウム二次電池30を固定し、電池の位置決めと耐震性
の向上を図っている。
【0026】図1に示したように、隔壁23はほぼ端子
部を包囲するに充分な高さとして、二次電池10,20
の本体側壁に絶縁材25をほとんど接触させないことが
電池の冷却上望ましい。また、隔壁23の径は二次電池
10の径よりも大きくなっているため、電池上面に絶縁
板24を取付け、正負極端子を接続した後、隔壁23を
取り付けて絶縁材25を充填する方法により、複数の電
池を容易に上下に積み重ねることが出来る。さらに、隔
壁23及び絶縁板24の外径を大きくして、水平方向に
隣接する隔壁23や絶縁板24同士を接触させることに
より、モジュールの耐震性を高めることも可能である。
また、上下方向に積み上げた電池列の途中に支持体を設
けて隣接電池間及び断熱容器壁との間を固定する方法も
耐震性の向上に有効である。ただし、水平方向に隣接す
る隔壁23や絶縁板24同士を接触させる場合には、空
気取り入れ口60から流入し、煙突80から排出される
冷却空気の流通を遮断して高温ナトリウム二次電池1
0,20,30の冷却効率を低下させることがないよう
に考慮する必要がある。
【0027】図2及び図3は、図1に示したと同様の高
温二次電池モジュール内部での電池間の接続方法の例を
示すもので、図1と同じ部材には同じ符号を付してあ
る。図2において、1はナトリウムイオン導電性の固体
電解質袋管であり、普通β”アルミナ焼結体が用いら
れ、α−アルミナなどから成る絶縁リング2とガラス接
合されるのが一般的である。3はSUS材やアルミ合金
などからなる負極容器であり、絶縁リング2とアルミ系
インサート材を用いて熱圧接されて、固体電解質袋管1
と共に負極室を形成し、底孔を設けたナトリウム容器4
とナトリウム5を収納している。6は正極容器であり、
固体電解質袋管1と共に正極室を形成し、内部に正極モ
ールド7が収納されている。なお、正極モールド7とし
ては、ナトリウム硫黄電池の場合には、硫黄や多硫化ナ
トリウムがカーボンマットに含浸して用いられ、その他
の高温ナトリウム二次電池においては、セレン、テルル
や金属元素のハロゲン化物が用いられることもある。1
1,21は負極端子、12は正極端子であり、両者はそ
れぞれ電池の上部又は下部に分かれて形成されている。
【0028】23は正極フランジを兼ねたSUS材やア
ルミ合金などからなる金属製の隔壁であり、この例では
絶縁リング2にアルミ系インサート材を用いて熱圧接さ
れ、正極容器6と接続されている。25は乾燥砂などの
粉末状又は繊維状の絶縁材で、隔壁23内へ収納され、
正極端子/負極端子間の接続部の断線防止や、電池上面
又は下面に設置された負極容器/正極容器間の短絡防止
の役目を果たしている。また、24は絶縁板で、上下に
積み上げた電池の正極容器間を絶縁すると共に、上部の
電池を支持する役目を果たしている。
【0029】ここで正負極容器、正負極端子、隔壁には
アルミニウムや鉄、SUS、又はこれらの表面にクロム
やモリブデン、チタンなどを主体とする耐食層が設けら
れた金属が普通用いられるが、正極端子/負極端子間の
接触部には銀、金、金合金又は銀合金を用いて、接触抵
抗を低減することが望ましい。なお、電池を積み重ねる
際には、まず隔壁23内へ絶縁材25を収納し、上部に
絶縁板24を設置後、絶縁板に設けた孔に正極端子12
を差し込んで負極端子21と機械的に接続すれば良い。
【0030】図3も図2と類似の構成であるが、この例
では隔壁23として絶縁物が用いられ、内部に絶縁材2
5を収納すると共に、上部の電池を支持する役目を果た
している。なお、図3の構成では、電池上部に隔壁23
を設置し、絶縁材25を充填した後、正極端子12と負
極端子21とを機械的に接続して、電池が積み重ねられ
る。
【0031】図2及び図3の構成では、正極端子12と
負極端子21との接続部とともに、絶縁リング2と負極
容器3又は正極容器6などとの接合部も、絶縁材25に
よって被覆されている。このため、接合部の熱容量が増
して高出力放電時の接合部の温度上昇が抑えられ、熱歪
みの繰り返しによるシールリークが起こりにくいこと、
万一シールリークしても活物質が絶縁材25で保持、固
定されて他の部分へ拡がらないことのため、電池の信頼
性が特に高い。
【0032】図4は、本発明による電池システムの構成
例を示す図である。この図において、50は図1と同様
の高温二次電池モジュールの容器であり、図示されてい
ないが、内部には上下方向に積み重ねた複数個の高温ナ
トリウム二次電池が収納されている。100は電力変換
器の容器であり、図示されていないが、内部に電力変換
器が収納されている。図4の例では、電力変換器容器1
00の上に高温二次電池モジュール容器50を積載し
て、電池システムの設置面積を低減している。なお、こ
の図では高温二次電池モジュール容器50が直接電力変
換器容器100の上に積載されているが、架台を設け
て、両者を上下に収納することも出来る。
【0033】60は冷却空気の取り入れ口、70は強制
冷却のためのファン、110は電力変換器を冷却した空
気を引き続き高温電池モジュールの冷却に用いるための
連通管、120は高温二次電池モジュールへ送る空気量
制御のための弁、80,130は空気の出口となる煙突
である。このような構成で電力変換器と高温二次電池モ
ジュールを冷却することにより、冷却系の簡略化が可能
となる。なお、電力変換器は電池の充放電時には常に冷
却されるが、高温二次電池モジュールは高出力放電時の
み弁120を操作して電力変換器容器100を通過して
きた空気を高温二次電池モジュール容器50内に流通さ
せて冷却されるのが普通である。
【0034】具体例として、1本当たりの容量約360
Whのナトリウム硫黄二次電池(直径約60mm、長さ
約400mm)を用い、図3に示すと同様に電池を4本
上下に積み重ね、端子間の接続部周囲に隔壁を設けてシ
リカ又はアルミナを主体とする乾燥砂を充填する。これ
を30組、計120本の電池を外形が縦約45cm、横
約50cm、高さ約180cmの真空断熱容器に入れ、
上下の端子にブスバを取り付けて、高温二次電池モジュ
ールが得られる。なお、図1に示したように、断熱容器
の蓋及び底には乾燥砂が、側壁には断熱性に優れた繊維
が充填される。また、この高温二次電池モジュールを同
じ断面積の電力変換装置の上に架台を介して積載し、図
4に示したと同様に、電力変換器容器に冷却ファンを、
高温二次電池モジュール容器に煙突を設け、両者を連通
管で接続して、電池システムが完成する。
【0035】この電池システムの構成では、電池1本あ
たり100W、計約12kWの出力で運転しても、ファ
ンで冷却することにより、放電時の電池の温度上昇を2
0℃以下、断熱容器内の電池の温度分布を±20℃以下
に制御することは容易である。このため、電池温度を、
性能や信頼性から要求される310〜350℃の範囲に
納めることが出来る。また、端子間の接続部周囲が乾燥
砂で埋められているために、万一電池が破損して活物質
が漏洩しても、腐食による接続部の断線や正極/負極間
の短絡は起こりにくい。また、断熱容器内の高温電池の
ナトリウム及び硫黄の総量がそれぞれ約30kg、約6
5kgであるのに対し、乾燥砂が合計で約40l充填さ
れており、モジュールの安全性は高い。さらに、電力変
換器と高温二次電池モジュールの冷却が1つのファンで
可能なこと、設置面積あたりの出力密度が約50kW/
2、断熱容器体積あたりの出力密度約30kW/m3
高く出来ること、などの利点がある。
【0036】図5は、α−アルミナからなる絶縁リング
2と負極容器3又は正極容器6をアルミ系接合材を用い
て接合して得られた図2又は図3の高温ナトリウム二次
電池を、電池使用平均温度330℃を中心として繰り返
し温度変化したときの、温度変化幅と接合部がシールリ
ークするまでの温度変化の回数との関係を示す図であ
る。このシールリークは、熱歪みによるアルミ系接合材
の疲労強度に関係しており、温度変化幅ΔTと繰り返し
回数の平方根Nとの積ΔT・N1/2が約1700℃・回
1/2以下であれば、接合の信頼性が保たれることが分か
る。
【0037】本発明によると、このような信頼性の高い
電池システムを用いて、簡素な構造で設置面積あたりの
出力密度の大きい電力貯蔵装置や電力系統のピークシフ
ト装置などが実現される。
【0038】
【発明の効果】本発明の高温二次電池モジュールおいて
は、粉末状又は繊維状の絶縁材によって正極端子/負極
端子間の接続部が保護されているために、高温ナトリウ
ム二次電池から活物質が漏洩しても接続部が断線する恐
れや正極/負極間が短絡する恐れは少なく、非常時でも
信頼性が高い。また、2本以上の電池を上下に積み重ね
て断熱容器に収納しているため、対流や送風によって複
数個の電池が効率良く冷却され、断熱容器内の複数個の
電池の温度を高精度に制御出来る。この結果、高出力運
転などの電池運転時の信頼性が向上する。
【0039】また本発明の電池システムにおいては、冷
却系の簡素化や面積利用率の向上が図られ、この結果、
簡素な構造で面積エネルギー密度の高い電力貯蔵装置や
電力系統のピークシフト装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高温二次電池モジュールの構造例を示
す図。
【図2】本発明の高温二次電池モジュールにおける電池
の接続方法の例を示す図。
【図3】本発明の高温二次電池モジュールにおける電池
の接続方法の他の例を示す図。
【図4】本発明の電池システムの構成例を示す図。
【図5】接合部のシールリーク特性を示す図。
【符号の説明】
10,20,30…高温電池、11,21,31…負極
端子、12,22,32…正極端子、23…隔壁、25
…絶縁材、50…断熱容器、60…空気取リ入れ口、7
0…ファン、80,130…煙突、100…電力変換器
の容器、110…連通管、120…弁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 波東 久光 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数個の高温ナトリウム二次電池を断熱
    容器内へ収納した高温二次電池モジュールにおいて、前
    記二次電池はその正極及び負極の電極端子が該電池の上
    下に分かれて位置しており、2個以上の前記二次電池を
    上下に積み重ねて前記電極端子間を接続すると共に、前
    記電極端子間の接続部を粉末状又は繊維状の絶縁材で被
    覆したことを特徴とする高温二次電池モジュール。
  2. 【請求項2】 前記電極端子間の接続部の周囲に隔壁が
    設けられており、前記絶縁材が前記隔壁内へ充填されて
    いることを特徴とする請求項1記載の高温二次電池モジ
    ュール。
  3. 【請求項3】 前記隔壁が前記二次電池の上部で支持さ
    れ、前記絶縁材は前記二次電池の側部の少なくとも一部
    を被覆していないことを特徴とする請求項2記載の高温
    二次電池モジュール。
  4. 【請求項4】 前記断熱容器内の周辺部又は断熱容器壁
    内に消火剤として粉末状絶縁材を収納したことを特徴と
    する請求項1、2又は3記載の高温二次電池モジュー
    ル。
  5. 【請求項5】 前記二次電池を自然空冷又は強制空冷す
    るための手段が前記断熱容器に設けられていることを特
    徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の高温二次電
    池モジュール。
  6. 【請求項6】 前記電極端子間の接続部が銀、金、金合
    金又は銀合金の機械的接点で形成されていることを特徴
    とする請求項1〜5のいずれか1項記載の高温二次電池
    モジュール。
  7. 【請求項7】 高温ナトリウム二次電池を断熱容器内へ
    収容し、前記二次電池の強制冷却手段を設けた高温二次
    電池モジュールにおいて、少なくとも前記二次電池の放
    電時に前記強制冷却手段によって該電池を冷却し、前記
    二次電池の放電時と充電時又は高温保持時との温度差Δ
    T(℃)と、前記二次電池の設計放電回数N(回)の平
    方根との積ΔT・N1/2を1700℃・回1/2以下とした
    ことを特徴とする高温二次電池モジュール。
  8. 【請求項8】 複数個の高温ナトリウム二次電池を断熱
    容器内へ収納した高温二次電池モジュールと、前記高温
    二次電池モジュールと接続した電力変換器とからなる電
    池システムにおいて、前記電力変換器の強制冷却手段が
    前記高温二次電池モジュールの強制冷却手段を兼ね、前
    記電力変換器を冷却した冷却媒体で前記高温二次電池モ
    ジュールを冷却することを特徴とする電池システム。
  9. 【請求項9】 前記高温二次電池モジュールが前記電力
    変換器の上方に配置されていることを特徴とする請求項
    8記載の電池システム。
  10. 【請求項10】 前記高温二次電池モジュールは請求項
    1〜7のいずれか1項に記載された高温二次電池モジュ
    ールであることを特徴とする請求項8又は9記載の電池
    システム。
  11. 【請求項11】 電力貯蔵装置又は電力系統のピークシ
    フトの目的に用いられることを特徴とする請求項8、9
    又は10記載の電池システム。
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