JP2004047208A - 集合電池用断熱容器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】箱体3と、蓋体5とを備え、箱体3と蓋体5とによって形成され、電池モジュール13が収容される内部空間と、外部空間とを、断熱させるための集合電池用断熱容器1である。箱体3の断熱構造を真空断熱構造とするとともに、蓋体5の断熱構造を、蓋体5の上面に、所定の厚さの放熱量変更板19を所定の数だけ積層してなる大気断熱構造とする。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】本発明は、高温で運転される電池モジュールが収容される箱型の集合電池用断熱容器に関する。
【0002】
【従来の技術】ナトリウム−硫黄電池(以下、「NAS電池」と記す。)は、活物質である金属ナトリウム及び硫黄が固体電解質管により隔離収納された構造の高温二次電池であり、300〜350℃の高温に加熱されると、溶融された両活物質の電気化学反応により、所定のエネルギーが発生する。そして、通常、NAS電池は、複数の単電池を立設集合し、相互に接続した電池モジュールの形で用いられている(このような電池を「集合電池」、特に、NAS電池を用いたものを「NAS集合電池」と記す。)。
【0003】集合電池用断熱容器は、上記NAS電池のような、高温で運転される電池モジュールの高温状態を維持することを目的として、電池モジュールが収容される内部空間と外部空間とを断熱させるために用いられるものである。集合電池用断熱容器においては、電池モジュールの組立性や取り扱いの容易さを考慮して、上面が開放され、高温で運転される電池モジュールが収容される箱体と、箱体の上面側に載置される蓋体とを備えた箱形構造を採用することが一般的である。
【0004】断熱容器というと、断熱容器を構成する箱体及び蓋体自体が中空部を有する箱状に形成され、その中空部に発泡スチロールや、ロックウール、ガラスウール、セラミックウール等からなる緻密な断熱材を装填せしめた大気断熱構造の断熱容器が、製作が容易でコストも低いことから、汎用されている。しかしながら、集合電池用断熱容器においては、単に容器内部空間の高温状態を維持するのみならず、容器外部空間へのエネルギー損失が出来る限り少ないことが要求されるため、より断熱性が高く、容器による占有容積も少ない、真空断熱構造の断熱容器(真空断熱容器)が好適に用いられている。
【0005】真空断熱容器は、断熱容器を構成する箱体及び蓋体自体が中空部を有する箱状に形成されている点については、上記大気断熱構造の断熱容器と同様であるが、その中空部は気密的に封止された密閉空間となっており、その中空部には、ガラス繊維、ロックウール等の熱伝導率の小さい素材からなる繊維状物をバインダー等で板状に固化せしめた多孔質の真空断熱ボードが装填されている。
【0006】そして、箱体及び蓋体には、真空バルブが取り付けられており、中空部と外部空間とを連通し得るように構成されている。真空ポンプ等の排気手段を真空バルブに接続して中空部内の空気を排気し真空状態とした後に、真空バルブを閉鎖すれば、電池モジュールを外部空間から隔離する箱体及び蓋体に断熱性の高い真空層が形成される。真空断熱容器は、中空部に装填された多孔質の真空断熱ボードと断熱性の高い真空層とが断熱手段となるため、断熱材のみを断熱手段とする大気断熱構造の断熱容器と比較して、熱伝導が少なく、断熱性が高い。従って、容器内部空間の温度はより確実に保持される。
【0007】ところで、近年、集合電池の実用化が進むにつれて、単位体積当たりのエネルギー密度の向上を図るために、単電池及び電池モジュールの大型化、或いは単電池の高負荷運転が試みられており、充放電時に伴う発熱も、より大きいものとなってきている。
【0008】従って、断熱性が高い真空断熱容器を用いると、電池モジュールの充放電時の発熱量が真空断熱容器の熱損失を上回り、断熱容器内部に蓄熱を生じる場合がある。このような場合には、断熱容器の内部温度が上昇し過ぎて電池モジュールに悪影響を与えたり、或いは充放電終了後に断熱容器の内部温度が所定の初期温度に戻らない等の不具合を生じるという問題がある。
【0009】更に、集合電池の中でも、特にNAS集合電池については長期間使用すると単電池の劣化により内部抵抗が増加し、電池モジュールのジュール損が増加する場合があるため、別の問題が生ずる。即ち、単電池の劣化が進行するにつれて、断熱容器内部に蓄積される熱も経時的に増大するため、この蓄熱を適切に制御しなければ、上述したのと同様に、電池モジュールに悪影響を与えたり、充放電終了後に断熱容器の内部温度が初期温度に戻らない等の不具合を生じる。
【0010】通常、集合電池は冷却機能を備えていないため、断熱容器内部に蓄熱を生じた場合でも、積極的に冷却を行って断熱容器の内部温度を降下させることはできない。従って、上記のような現象に対してはその蓄熱を何らかの方法で適切に放熱させることが必要となる。
【0011】断熱容器内部の蓄熱の増加に対する方策としては、断熱容器の全ての面について一様に、外部空間に対する断熱性を低下させることが考えられる。しかしながら、断熱容器側面の断熱性が低下すると、電池モジュールを構成する単電池のうち、電池モジュールの外周部近傍に配置された(即ち、断熱容器側面近傍に配置された)単電池と、電池モジュールの中心部近傍に配置された(即ち、断熱容器側面から離れて配置された)単電池との間で温度差が大きくなるため、単電池間の電流バラツキが大きくなり、個々の単電池の能力が十分に発揮できなくなるという問題があり好ましくない。
【0012】また、断熱容器底面の断熱性が低下すると、断熱容器の底面には電池モジュール加熱用の電気ヒータが設置されていることが多いことから、電気ヒータから断熱容器外部への熱損失が大きくなるという問題があり好ましくない。従って、断熱容器内部の蓄熱を放熱させる方法としては、少なくとも断熱容器の側面及び底面の断熱性を確保しつつ、所望の放熱性を有していることが好ましい。
【0013】このような要求に対し、従来は、断熱容器の側面及び底面に比して上面を出来る限り薄く構成し、或いは、断熱容器上面に比較的高い熱伝導率を有する断熱材を使用して、その部分に放熱性を付与することにより、単電池間の温度分布や電気ヒータから断熱容器外部への熱損失を防止しつつ、断熱容器内部の蓄熱を放熱させる方法を採用していた。また、単電池の劣化に伴う断熱容器内部の蓄熱量の経時的な増加に対しては、蓄熱量の増加を予想して、定期的に断熱容器上面に形成される真空層の真空度を低下させて断熱容器上面の熱伝導率を徐々に上昇させることにより放熱量を経時的に増加させていた。
【0014】しかしながら、上記の方法は、放熱量を増加させるためには、その都度、断熱容器上面に形成される真空層の真空度を変更するという煩雑な操作を伴い、作業に時間がかかることに加え、真空ポンプ等の特殊な機材と専門の作業者を必要とし、メンテナンスのコストが高いという問題があった。更に、真空度変更による放熱量の調節では放熱量の上限が制限され、所望の放熱量を得ることができないという問題もあった。
【0015】そこで、図2に示すように、断熱容器の箱体33(側面及び底面)は中空部に真空断熱ボード34を装填し、図示しない真空バルブを取り付けた真空断熱構造としたまま、蓋体35(上面)のみを大気断熱構造とし、その中空部37に少なくとも2以上の脱着可能な断熱板39を積層充填することにより、断熱容器上面からの放熱量を制御可能とした集合電池用断熱容器31が提案されている(特開2000−48857)。
【0016】上記のような構造であれば、単に断熱容器上面の断熱性を側面や底面に比して低下させることが可能であるのみならず、単電池41の劣化等により容器内の蓄熱量が経時的に変化する場合でも、蓋体35の上部蓋45を取り外して開口し、複数の脱着可能な断熱板39のうち、何枚かを取り出して断熱板39の枚数を増減させるという操作により断熱容器上面からの放熱量を制御することが可能となる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図2に示す集合電池用断熱容器31は、従来の真空断熱容器と同様に、断熱板39を断熱容器の中空部37に装填する構造であるため、断熱板39を脱着するためには上部蓋45の取り外しが必要であり、電池運転時等の高温状態においては断熱板39の脱着を行うことができなかった。更に、通常、NAS集合電池は多段に組んだ架台上に設置され、その全体を覆うパッケージの内部に収納されているため、上部蓋45の取り外しを行うには、そのパッケージの内部から集合電池を取り出す必要もあった。従って、高温状態において簡便に放熱量の変更を行うことができないという問題があった。
【0018】また、上記の断熱容器においては、断熱容器上面の中空部37に充填し得る断熱板39の枚数には上限があるため、真空断熱構造に匹敵するような断熱効率を得ることはできず、例えば、断熱容器上面からの放熱を少なくし高効率で電池モジュール43を運転したいというニーズがあっても、これに応えることができなかった。即ち、放熱量を変更し得る範囲が狭いという問題があった。
【0019】更に、上記の断熱容器においては、予め、厚みや断熱特性の定められた断熱板39(通常、3枚程度)の枚数を増減させる操作により、放熱量の変更を行っているため、放熱量を大まかな範囲でしか調整できず、例えば、電池モジュール43の運転条件の変更に伴って、放熱量を所望の値に調整したいというニーズがあっても、これに応えることができなかった。即ち、断熱容器上面からの放熱量を精密に制御することが困難であるという問題があった。
【0020】本発明は、上述のような従来の断熱容器の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、電池運転時等の高温状態において簡便に放熱量の変更を行うことができ、断熱容器上面からの放熱量を変更し得る範囲が広く、かつ、断熱容器上面からの放熱量を精密に制御し得る集合電池用断熱容器を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目的を達成するために、集合電池用の断熱容器について種々検討した結果、箱体の断熱構造を、真空断熱構造とするとともに、蓋体の断熱構造を、蓋体の上面に、所定の厚さの放熱量変更板を所定の数だけ積層してなる大気断熱構造とすることによって、上記の目的を達成出来ることを見出した。即ち、本発明によれば、以下の集合電池用断熱容器が提供される。
【0022】(1) 上面が開放され、高温で運転される電池モジュールが収容される箱体と、前記箱体の上面側に載置される蓋体とを備え、前記箱体と前記蓋体とによって形成され、前記電池モジュールが収容される、内部空間と、外部空間とを、断熱させるための集合電池用断熱容器であって、前記箱体の断熱構造が真空断熱構造であるとともに、前記蓋体の断熱構造が、前記蓋体の上面に、所定の厚さの放熱量変更板を所定の数だけ積層してなる大気断熱構造であることを特徴とする集合電池用断熱容器。
【0023】(2) 前記蓋体の上面に1又は2以上の襞状の山折り部が形成されている上記(1)に記載の集合電池用断熱容器。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の集合電池用断熱容器の実施の形態を図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0025】本発明の集合電池用断熱容器は、箱体の断熱構造を真空断熱構造とするとともに、蓋体の断熱構造を、蓋体の上面に、所定の厚さの放熱量変更板を所定の数だけ積層してなる大気断熱構造としたものであり、以下のような特徴を有している。
【0026】▲1▼ 蓋体の大気断熱構造が、蓋体の上面に放熱量変更板を積層するのみの構造であるので、電池運転時等の高温状態においても簡便に放熱量の変更を行うことができるという特徴がある。具体的には、真空度調整や上部蓋の取り外し等、煩雑な操作を伴うことなく、蓋体の上面に積層された放熱量変更板を断熱容器の正面側や側面側から抜き差しして、放熱量変更板の数、大きさを適宜調整することにより、電池運転時等の高温状態においても極めて簡便に放熱量の変更を行うことができる。また、放熱量変更板を抜き差しする作業は、集合電池が多段に組んだ架台上に設置され、その全体を覆うパッケージの内部に収納されていても、断熱容器と架台の隙間から行えるため、パッケージ内部から集合電池を取り出すことなく放熱量の変更をすることができる。上記のような構造であれば、単電池の劣化等により断熱容器内の蓄熱量が経時的に変化する場合でも、簡便な操作により断熱容器上面からの放熱量を制御することも可能となる。
【0027】これに対し、特開2000−48857記載の蓋体の中空部に断熱板を充填する構造の断熱容器では、放熱量の変更に際し、電池モジュールの温度を降温し、上部蓋を取り外して断熱板の脱着を行わなければならず、多段に組んだ架台上に設置されているNAS集合電池の場合には、高温状態において簡便に放熱量の変更を行うことができない。
【0028】▲2▼ 蓋体の大気断熱構造が、蓋体の上面に放熱量変更板を所定の数(任意の数)だけ積層する構造であるので、放熱量を変更し得る範囲が広いという特徴がある。具体的には、蓋体の上面に積層し得る放熱量変更板の断熱特性や数には制限がないため、断熱容器上面からの放熱を少なくし高効率で電池モジュールを運転したい場合には、放熱量変更板の断熱特性を可能な限り高いものとしたり、或いは、放熱量変更板の数を多く用いることによって、真空断熱構造に匹敵するような断熱効率を得ればよい。一方、断熱容器上面からの放熱を多くしたい場合には、放熱量変更板の断熱特性を低いものとしたり、或いは、放熱量変更板の数を極力少なくすればよい。こうすることにより、断熱容器上面からの放熱量を広い範囲で変更させることができ、幅広いニーズに応えることができる。
【0029】なお、特開2000−48857記載の断熱容器は、蓋体の中空部に断熱板を充填する構造であるため、断熱容器上面の中空部に充填し得る断熱板の枚数には上限があり、従来の真空断熱容器と同様、本発明の断熱構造に匹敵するような断熱効率は得られないため、上記の効果を得ることは困難である。従って、従来の真空断熱容器や特開2000−48857記載の断熱容器では幅広いニーズに応えるためには、その要求仕様により集合電池の構造設計自体を考慮する必要がある。図3は、断熱容器の構造による放熱量の変化範囲を示したグラフであるが、従来の箱体及び蓋体の全てを真空断熱構造とした真空断熱容器(図中、断熱容器(従来1))や特開2000−48857記載の断熱容器(図中、断熱容器(従来2))については、1500〜3700W、或いは2700〜4600Wという放熱量範囲を確保しているものの、これは、放熱量の変更を真空度調整や断熱材の脱着のみならず、断熱容器の構造設計自体を変更することによって得られた値である。それと比較して、本発明の断熱容器(図中、断熱容器(本発明))は、断熱容器の構造設計自体を変更しなくても、放熱量変更板の数や大きさ、断熱特性を変更するのみで、1500〜4500Wという著しく広い放熱量の変化範囲を得ることができる。
【0030】▲3▼ 蓋体の大気断熱構造が、蓋体の上面に所定の厚さの放熱量変更板を所定の数だけ積層する構造であるので、断熱容器上面からの放熱量を精密に制御することが可能であるという特徴がある。具体的には、蓋体の上面に積層する放熱量変更板の厚さ、大きさ、数、断熱特性等を適宜選択することにより、放熱量を細かい範囲で所望の値に調整することが可能となる。これに対し、特開2000−48857記載の断熱容器は、予め、厚みや断熱特性の定められた断熱板(通常、3枚程度)の枚数を増減させる操作により、放熱量の変更を行っているため、放熱量を大まかな範囲でしか調整できず、断熱容器上面からの放熱量を精密に制御することが困難である。
【0031】▲4▼ 箱体の断熱構造を真空断熱構造とし、蓋体の断熱構造を大気断熱構造としたので、単電池間の温度分布による単電池間の電流バラツキを抑え、電気ヒータから容断熱器外部への無駄な熱損失を防止しつつ、蓋体(断熱容器の上面)から適度に放熱を行うことが可能となり、断熱容器内部における蓄熱を確実に防止することができる。また、集合電池の発熱量と断熱容器からの放熱量を均衡させることにより、電池の充放電中におけるヒータ加熱時間が減少するため効率アップを図ることができる。
【0032】▲5▼ 蓋体の断熱構造を大気断熱構造としたので、煩雑で時間、コストがかかる真空度の変更作業を行わなくても、放熱量を調整することが可能となる。また、蓋体を真空断熱構造にしないということは、従前に比して強度・剛性の高い材質や精密な加工、或いは高度の溶接技術等が要求されないことになるため、真空断熱容器の製作が容易となり、製作コストの低減にも寄与することができることを意味する。
【0033】本発明の集合電池用断熱容器は、上面が開放され、高温で運転される電池モジュールが収容される箱体と、箱体の上面側に載置される蓋体とによって構成される。このような構造であれば、電池モジュールが収容される内部空間(箱体と蓋体とによって形成される。)と、外部空間とを断熱させることが可能となる。
【0034】通常、箱体や蓋体は、ステンレスや炭素鋼からなる板材によって構成される。箱体は、それ自体が中空部を有する箱状に形成され、取り付けられた真空バルブによって、気密的に封止された密閉空間である中空部と外部空間とが連通し得るように構成されている。そして、その中空部には、多孔質の真空断熱ボードが装填されている。
【0035】本明細書にいう「真空断熱ボード」とは、ガラス繊維、ロックウール等の熱伝導率の小さい素材からなる繊維状物をバインダー等で板状に固化せしめた板状体であり、繊維状物の間に空隙や細孔を有する多孔質体であるため、その空隙や細孔に存する空気を真空排気することによって、箱体(断熱容器の底面及び側面)に真空層を形成し得るものである。
【0036】この点において、真空断熱ボードは発泡スチロール等の緻密な断熱材とは異なるものである。なお、真空断熱ボードは板状に固化されているため、真空排気をした際にも箱体の中空部が圧力により潰れることを防止することができる。
【0037】蓋体は、箱体の上面側に載置されるものであり、その上面に放熱量変更板を積層し得る構造である限り、その構造は特に限定されないが、例えば、箱体の上面に被せることが可能となるように、下面が開放された箱状のものを好適に用いることができる。
【0038】蓋体の上面に積層される放熱量変更板についても所望の断熱特性を有するように、適宜、その厚さ、材質等を選択すればよく、特に制限はない。例えば、砂レンガ等の通常使用される断熱材を板状に構成したものを用いることができるが、放熱量の調整時における作業性を考慮すると、低密度の断熱材、具体的には、ロックウール、ガラスウール、セラミックウール等を板状に構成したものを好適に用いることができる。なお、放熱量の調整時における作業性や外観を考慮すると、前記断熱材を厚さ500μm以下のステンレスフィルム、アルミニウムフィルム(アルミ箔)、アルミガラスクロス等により被覆することが好ましい。
【0039】図4は、放熱面積が2.6m2である場合において、ガラスウールを板状に構成した断熱材(密度:100kg/m3)を厚さ200μmのアルミガラスクロスにより被覆した放熱量変更板の厚さと、放熱量との関係を示したグラフである。前記のような構成の場合、断熱材の厚さを0〜50mmの範囲で増減することにより、およそ0〜2100Wの範囲で放熱量を変化させることができる。
【0040】本発明の集合電池用断熱容器には、蓋体の上面に1又は2以上の襞状の山折り部が形成されていることが好ましい。こうすることによって、襞状の山折り部がリブと同様の剛性・強度向上作用を呈する他、断熱容器上面の熱膨張を緩和するため、断熱容器上面の剛性が向上し、熱歪みによる断熱容器上面の変形を効果的に防止することができる。襞状の山折り部は、電池モジュールや断熱容器のサイズに応じて、所望の数、所望の大きさで形成することができる。
【0041】
【実施例】以下、本発明の集合電池用断熱容器について、NAS集合電池に適用した実施例につき、図面を参照しながら更に具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0042】図1に示す集合電池用断熱容器1は、上面が開放された収容される箱体3と、下面が開放された箱状の蓋体5とによって構成した。蓋体5は、箱体3の上面に被せることが可能な構造とし、これにより、高温で運転される電池モジュール13が収容される内部空間を形成した。
【0043】箱体3は、ステンレスからなる板材によって構成し、それ自体が中空部を有する箱状に形成した。中空部は、気密的に封止された密閉空間であり、図示されない真空バルブによって、中空部と外部空間とが連通し得る構造とした。中空部には、ガラス繊維を接着剤で板状に固化せしめた多孔質の真空断熱ボード4を装填した。
【0044】蓋体5は、箱体と同様にステンレスからなる板材によって構成し、その内面側(下面側)には、必要最小限の断熱性を得るための断熱材層21を配置した。また、蓋体5は、図5に示すように、枠状部材5aと板状部材5bとを接合して構成し、板状部材5bの上面には4本の襞状の山折り部17を形成した。
【0045】図6に示すように、蓋体の上面に積層される放熱量変更板19は、板状に構成した断熱材19aをアルミガラスクロス19bによって被覆したものを用いた。断熱材19aとしては、密度100kg/m2、厚さ5mmと15mmのガラスウールからなる板状体を積層したもの、アルミガラスクロス19bは厚さ200μmのものを使用した。なお、蓋体5の上面は、4本の襞状の山折り部17によって5箇所の領域に区分されているので、放熱量変更板19は、この5箇所の領域に整合する面積に分割して構成し、積層した。
【0046】この他の部分については、従来の集合電池用断熱容器と同様に構成した。即ち、図1には示されない箱体3の内部底面には、図7に示すように、緩衝材25、電気ヒータ26、補強板27、電気絶縁用のマイカシート28を積層して敷設した。
【0047】図1に示す本発明の集合電池用断熱容器1には、箱体3と蓋体5とによって形成される内部空間に、複数の単電池11(NAS電池)を立設集合し、相互に接続した電池モジュール13を収納した。そして、単電池11の破損、異常加熱、或いは活物質の漏洩等に対応するべく、消化砂として珪砂を箱体3と電池モジュール13との間隙部に充填した。
【0048】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の集合電池用断熱容器は、箱体の断熱構造を、真空断熱構造とするとともに、蓋体の断熱構造を、蓋体の上面に、所定の厚さの放熱量変更板を所定の数だけ積層してなる大気断熱構造としたので、電池運転時等の高温状態において簡便に放熱量の変更を行うことができ、断熱容器上面からの放熱量を変更し得る範囲が広く、かつ、断熱容器上面からの放熱量を精密に制御し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の集合電池用断熱容器の一の実施例を示す概略図であって、側面から見た断面図である。
【図2】従来の集合電池用断熱容器の一の実施例を示す概略図であって、(a)は側面断面図、(b)は一部切欠上面図である。
【図3】断熱容器の構造による放熱量の変化範囲を示したグラフである。
【図4】放熱量変更板の厚さと放熱量変化との関係を示したグラフである。
【図5】本発明の集合電池用断熱容器の蓋体の組立工程図である。
【図6】本発明の集合電池用断熱容器の放熱量変更板の組立工程図である。
【図7】本発明の集合電池用断熱容器の一の実施例を示す概略図であって、側面から見た一部拡大断面図である。
【符号の説明】
1,31…集合電池用断熱容器、3,33…箱体、4,34…真空断熱ボード、5,35…蓋体、5a…枠状部材、5b…板状部材、11,41…単電池、13,43…電池モジュール、17…襞状の山折り部、19…放熱量変更板、19a…断熱材、19b…アルミガラスクロス、21…断熱材層、25…緩衝材、26…電気ヒータ、27…補強板、28…マイカシート、37…中空部、39…断熱板、45…上部蓋。
Claims (2)
- 上面が開放され、高温で運転される電池モジュールが収容される箱体と、前記箱体の上面側に載置される蓋体とを備え、前記箱体と前記蓋体とによって形成され、前記電池モジュールが収容される、内部空間と、外部空間とを、断熱させるための集合電池用断熱容器であって、
前記箱体の断熱構造が真空断熱構造であるとともに、前記蓋体の断熱構造が、前記蓋体の上面に、所定の厚さの放熱量変更板を所定の数だけ積層してなる大気断熱構造であることを特徴とする集合電池用断熱容器。 - 前記蓋体の上面に1又は2以上の襞状の山折り部が形成されている請求項1に記載の集合電池用断熱容器。
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