JP2004253288A - ナトリウム硫黄電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】固体電解質袋管の内側にナトリウムを収納した負極室を、前記固体電解質袋管の外側に硫黄又は/及び多硫化ナトリウムから成る正極活物質を収納した正極室を設け、前記正極室内の前記固体電解質袋管の外側に設けた集電体と前記固体電解質袋管の胴部との間隙に多孔質導電材又は/及び多孔質材を充填したナトリウム硫黄電池であって、前記固体電解質袋管を水平方向又は斜め方向に寝かせ、前記正極室を構成する正極容器の軸方向に垂直な断面下部の肉厚を断面上部又は/及び断面横部の肉厚よりも大きくする。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電力貯蔵装置や電気自動車などに用いるに好適なナトリウム硫黄電池の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
負極室内に液体ナトリウム,正極室内に硫黄,多硫化ナトリウムなどの正極活物質を充填し、負極室/正極室間をβ型やβ″型のベータアルミナセラミックス製の固体電解質袋管で分離した構造のナトリウム硫黄電池は、長寿命でエネルギー密度が大きいことから注目され、電力貯蔵装置やハイブリッド自動車を含めた電気自動車などへの利用が期待されている。この電池の実用化のためには、電池の信頼性,安全性の確保と共に低コスト化が不可欠であり、このためには、電池が高出力運転できるように内部抵抗を低減して電池効率を向上したり、単電池を大型化してkWやkWh当たりの電池数を低減することが望ましいが、従来の電池ではそのための対応が不十分であった。なお、電池効率が低下すると電池出力が低下するため、結果としてkWやkWh当たりの電池必要数が増して、コストは高くなる。
【0003】
特に、低コスト化のためには、単電池を大型化して大容量化することが極めて有効であるが、このためには固体電解質袋管の高さ又は/及び幅を増加させる必要がある。しかしながら、一般に用いられているように固体電解質袋管を縦向きに設置して、その高さを大きくすると、正極室内の上下方向に重力によって活物質の濃度分布や組成分布が付きやすく、この結果、電池内に起電力分布を生じて循環電流が流れ、電池の効率が低下するという問題があった。
【0004】
一方、固体電解質袋管の高さの代わりに幅を大きくすることも可能であるが、この場合には固体電解質袋管の容積と表面積との比が大きくなって、固体電解質袋管内に充填されたナトリウムを所定時間内に反応させるためには運転時の電流密度を増加させる必要があり、内部抵抗の影響で電池の効率が低下するという問題も有った。このように、従来のナトリウム硫黄電池においては、低コスト化のための内部抵抗低減による効率向上と電池の大容量化との両立は困難であった。
【0005】
この問題に対する対策として、固体電解質袋管の胴部外側に集電体を設け、固体電解質袋管を水平または斜めに寝かせて、電池効率向上と大容量化とを両立させたナトリウム硫黄電池について特開昭47−19321号公報,特開2001−243975号公報,特開2002−8712号公報,特開2002−8714号公報,特開2002−15767号公報,特開2002−75437号公報及び特開2002−260723号公報に記載されている。
【0006】
【特許文献1】
特開昭47−19321号公報
【特許文献2】
特開2001−243975号公報
【特許文献3】
特開2002−8712号公報
【特許文献4】
特開2002−8714号公報
【特許文献5】
特開2002−15767号公報
【特許文献6】
特開2002−75437号公報
【特許文献7】
特開2002−260723号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術には次のような課題があった。すなわち、ナトリウム硫黄電池においては、正極室内に存在する正極活物質の内で比重の大きい多硫化ナトリウムが、横置きした正極容器の軸方向に垂直な断面の下側に溜まり、昇降温時の固相⇔液相間の体積変化によって正極容器の断面下側の面が変形して、ナトリウム硫黄電池の機械的信頼性が低下するという問題があった。
【0008】
このように、従来のナトリウム硫黄電池では、効率向上と電池の大容量化との両立のために電池を横置きした際には、電池の機械的信頼性が低下するという欠点があった。
【0009】
本発明の課題は、上記従来技術の欠点を除き、電池効率向上と電池大容量化との両立による低コスト化が可能で、且つ、昇降温による正極容器の変形が防止できるナトリウム硫黄電池を提供するにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のナトリウム硫黄電池は、固体電解質袋管の内側にナトリウムを収納した負極室を、前記固体電解質袋管の外側に硫黄又は/及び多硫化ナトリウムから成る正極活物質を収納した正極室を設け、前記正極室内の前記固体電解質袋管の胴部外側に設けた集電体と前記固体電解質袋管との間隙に多孔質導電材又は/及び多孔質材を充填したナトリウム硫黄電池であって、前記固体電解質袋管を水平方向又は斜め方向に寝かせ、前記正極室を構成する正極容器の軸方向に垂直な断面下部の肉厚が断面上部又は/及び断面横部の肉厚よりも大きいことを特徴としている。
【0011】
この構造のナトリウム硫黄電池を用いることにより、電池効率向上と電池大容量化との両立による低コスト化が可能で、且つ、横置きした電池を構成する正極容器の昇降温による変形が防止できるナトリウム硫黄電池が実現される。
【0012】
ここで、前記正極容器の軸方向に垂直な断面が円形形状又は楕円形状であること、前記集電体と前記正極容器との断面下側の正極室の内容積が断面上側の内容積よりも小さいこと、及び、前記正極容器の断面下部の底面が水平形状となっていることが望ましい。また、前記固体電解質袋管の底部より軸方向外側の正極室の内容積が、前記固体電解質袋管の胴部に沿った前記集電体と前記正極容器との断面下側の内容積以上であることが特に望ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面を用いて説明する。
【0014】
図1は本発明の第一の実施形態によるナトリウム硫黄電池の構造を示す断面図である。図1において、ナトリウムイオン導電性の固体電解質袋管1には、普通β型やβ″型のベータアルミナセラミックスから成る固体電解質が用いられ、本発明では固体電解質袋管1は水平方向又は斜め方向に寝かせて配置される。また、負極容器2,正極容器3は固体電解質袋管1と共にそれぞれ負極室4,正極室5を構成しており、その材料としてはAl合金やFe合金,SUSまたはこれらの表面にCo基合金,Cr/Fe合金,Al/Si合金,SUS,Cr,C,Moなどを主体とする耐食層を設けたものやAl合金とSUS等とのクラッド材が普通に用いられる。
【0015】
一方、絶縁部材6は負極容器2と正極容器3とを絶縁分離し、且つ、これらと接合されており、普通αアルミナセラミックスを用いて、図示されていないが固体電解質袋管1の開口部付近にガラス接合されたり、αアルミナやマグネシウムアルミニウムスピネルなどのセラミックスを用いて、固体電解質袋管1の開口部と一体焼結されている。また、負極容器2や正極容器3と絶縁部材6との接合には、図示されていないが、AlやAl合金を接合材として用いて、接合材の液相線温度以下や固相線温度以下に加熱して、加圧接合する熱圧接法が一般に行われている。
【0016】
また、負極室4内にはナトリウム7を収納するSUSやFe合金,Al合金などの金属製ナトリウム容器8が設けられており、ナトリウム7は放電時には負極室4の一部であるナトリウム容器8内に充填された窒素ガスやArガスなどの不活性ガス9の圧力や重力で押され、一方充電時には固体電解質袋管1を通して侵入するナトリウムの圧力で押されて、ナトリウム容器8に設けた貫通孔10を出入りする。このようにナトリウム容器8を設けることにより、固体電解質袋管1に隣接して存在するナトリウム7の量が少なくできて、固体電解質袋管1が破損した際の電池の安全性が向上する。なお、図1においては、ナトリウム容器8は負極容器2と分離されているが、図2のようにナトリウム容器8と負極容器2とを一体化した構造も可能である。
【0017】
ここで、図1においては、固体電解質袋管1の底部の近傍にナトリウム容器8のナトリウム収納部80が設けられており、貫通孔10をハンダなどで封止したナトリウム容器8内にナトリウム7や不活性ガス9を充填した後、ナトリウム収納部80を封止し、負極室4内にナトリウム容器8を設置して、負極容器2を真空封止している。このようにして得られたナトリウム硫黄電池の貫通孔10が下側になるように電池を横置きして昇温することにより、ハンダが溶解して、ナトリウム7が貫通孔10を通って固体電解質袋管1の表面へ供給される。
【0018】
さらに、固体電解質袋管1の胴部外側の正極室5内に集電体11が設けられており、集電体11の端部は正極容器3と接続され、集電体11と固体電解質袋管1の胴部との間隙に多孔質導電材12と多孔質材13が設置されている。また、正極室5内には硫黄又は/及び多硫化ナトリウムから成る正極活物質14が充填されており、この正極活物質14が多孔質導電材12や多孔質材13に含浸されて、電池反応を促進している。
【0019】
ここで、多孔質導電材12には炭素繊維や炭素粉末の集合体が用いられ、特に固体電解質袋管1に沿った径方向の厚さが1〜20mm程度の、1300〜2000℃で加熱されたPAN(ポリアクリロニトリル)系やピッチ系の炭素繊維マットを用いることが望ましい。また、炭素繊維が面方向に配列したリング形状や短冊形状などのマットを用いて、炭素繊維マットの面方向が固体電解質袋管1の側面に垂直になるように設置することにより、固体電解質袋管1の径方向に沿った炭素繊維マットの抵抗が低減して、電池効率を向上することができる。
【0020】
一方、多孔質材13には普通アルミナなどのセラミックスやガラスの繊維や粒子の集合体が用いられ、固体電解質袋管1に沿った径方向の厚さを0.1〜0.5mm程度にすることが望ましい。ここで、図示されていないが、多孔質導電材12を構成する炭素繊維マットを固体電解質袋管1の軸方向に積層して充填し、積層された炭素繊維マット同志の間に多孔質材13を充填したり、貫通部を設けた金属板やセラミックス又はガラス板などを設けて、正極活物質14が多孔質導電材12内部を移動し易くすることも可能である。さらに、多孔質材13を固体電解質袋管1の表面に接触すると共に、ニードルパンチによって多孔質材13の一部を多孔質導電材12内に埋め込んだり、集電体11に接触する部分まで伸ばしたりして、正極活物質14の移動を促進することも可能である。
【0021】
また、正極活物質14の体積を多孔質導電材12や多孔質材13の空隙体積よりも大きくして、多孔質導電材12や多孔質材13に含浸される以外に、正極室5内の集電体11の外側に正極活物質14の液相を形成し、集電体11に貫通部15を設けて多孔質導電材12の内外に正極活物質14を移動させることにより、電池容量の拡大を図ることができる。
【0022】
すなわち、図1に示した本発明のナトリウム硫黄電池の構造においては、正極の抵抗は主に集電体11と多孔質導電材12及び多孔質材13で決まり、正極容器3の容積は電池抵抗にあまり関係しないため、固体電解質袋管1の胴部と集電体11との間隙を小さくすることによって、多孔質導電材12の径方向の抵抗が小さくできて電池効率が向上すると共に、集電体11と正極容器3との間隙を広げて正極室内の容積を大きくすることにより、電池の大容量化が達成される。すなわち、これらの結果、電池抵抗を低く保ちながら、構成部品をあまり増やすこと無く電池の大容量化が可能で、低コスト化が容易に実現できる実用性の高い大容量電池が得られる。
【0023】
さらに、固体電解質袋管1の長さを直径よりも大きくすることにより、固体電解質袋管1の内容積と表面積との比を比較的小さくすることができる。この結果、直径が長さと同程度又は直径の方が大きい固体電解質袋管1を用いた場合に比べて、所定時間内に運転する際の固体電解質袋管1の表面積当りの電流密度を小さくすることができ、その結果として電流×抵抗で与えられる電圧変化が小さくなって、電池効率を大きくできるという利点がある。なお、この効果は単電池を大型化するために固体電解質袋管1の軸方向の長さを大きくした場合に特に顕著で、本発明の構造により、電池の大型化すなわち大容量化と効率向上との両立が可能である。
【0024】
ここで、集電体11としては厚さ0.3〜5mm 程度のAl,Al合金やこれらとSUS等とのクラッド材を用い、多孔質導電材12との接触面にCo基合金,Cr/Fe合金,Al/Si合金,SUS,Cr,C,MoやCr,Moの炭化物や窒化物などの耐食性導電層を溶射やメッキなどの方法で設けたり、これらの耐食性粒子や繊維をAlやAl合金の表面へ接合又は埋め込んだものが用いられる。さらに、貫通部15としては直径や幅,長さが1〜10mm程度の円形や直方体の孔、又はこれらの間に幅1〜10mmのスリットを設けたものを用い、面積割合としては集電体11の面積の5〜50%程度が望ましい。
【0025】
また、図1のA−A′断面に見られるように、正極容器3の軸方向に垂直な断面は円形形状であり、正極容器の断面下部30には肉厚の大きな金属が用いられており、断面下部30の肉厚が断面上部又は/及び断面横部の肉厚よりも大きい構造となっている。なお、図1の構造では、断面下部30は正極容器3と一体して成形されているが、この代わりに正極容器3の下部に金属板を接合して、肉厚の大きい断面下部30を形成することも可能である。このように、正極容器3の軸方向に垂直な断面下部の肉厚を厚くすることにより、運転停止時に電池を降昇温して、正極容器3の断面下側に蓄積された多硫化ナトリウムの体積が変化しても、正極容器3の変形が防止されて、電池の機械的信頼性が向上する。
【0026】
ここで、運転停止時のナトリウム硫黄電池の降昇温は電池の充電末に行うのが一般的であり、この際には正極容器3の断面下部に比重が硫黄よりも大きい多硫化ナトリウムが蓄積されており、降温時の固化及び昇温時の液化の際の体積変化によって正極容器に応力が加わるが、多硫化ナトリウムに接触した正極容器3の断面下部30の肉厚を厚くすることによって、正極容器3の変形が防止される。なお、充電末に多硫化ナトリウムよりも上部の正極容器内に存在する硫黄も昇降温によって体積変化する問題があるが、多硫化ナトリウムの融点は硫黄の融点の110〜119℃よりも100℃以上高いために、多硫化ナトリウムの体積変化による正極容器3の変形が特に起こり易く、電池の機械的信頼性向上のためには、正極容器3の断面下部の肉厚を厚くすることが特に望ましい。
【0027】
図1の構造のナトリウム硫黄電池においては、固体電解質袋管1を水平方向や斜め方向に寝かせた構造となっていると共に、固体電解質袋管1の胴部に沿って設けた集電体11を用いて集電する構造となっているために、普通に用いられる様に長さが直径よりも大きい固体電解質袋管1を用いた際には、電池の鉛直方向の高さが固体電解質袋管1を直立した場合よりも小さくなり、正極室5内の上下方向に重力による正極活物質14の濃度分布や組成分布が付きにくくなって、電池内に起電力分布やそれに基づく循環電流が起こりにくく、これらの結果として電池の効率が向上する。なお、上記組成分布の原因は正極活物質14を構成する多硫化ナトリウムが硫黄に融けず、且つ、比重が硫黄よりも大きいために正極室5内の下側に溜まることに基づいており、その結果として、正極室5内に多硫化ナトリウムが存在する場所と硫黄が存在する場所とで、電池の起電力が異なり易くなることに関係している。
【0028】
さらに、正極室5内の固体電解質袋管1に沿って設けた集電体11を用いて集電することにより、固体電解質袋管1の胴部と集電体11との間隙に存在する多孔質導電材12の厚さを比較的小さくして、その抵抗低減により電池効率を向上することができる。ここで、図1に示されたように、集電体11の軸方向に垂直な断面構造を円形形状とすることにより、集電体11の円形状部分と固体電解質袋管1の胴部との間隙をほぼ一定にすることができ、この円形状部分の間隙に充填された多孔質導電材12の厚さ方向の電気抵抗がほぼ一定となって、電流分布が均一になり易いという利点がある。
【0029】
なお、固体電解質袋管1を斜めに設置することも可能であるが、その場合には、固体電解質袋管1の軸方向と水平方向との角度を±45°以下にして、電池の鉛直方向の高さを低減することが望ましい。また、多孔質導電材12や多孔質材13の表面張力による正極活物質14の吸い上げ高さを考慮すると、多孔質導電材12や多孔質材13の鉛直方向の高さが15cm以下になる角度に固体電解質袋管1を傾けることが望ましく、こうすることによって、正極活物質14が表面張力により必要場所へ提供されて、電池内の起電力分布の防止や循環電流の防止の効果が得られる。勿論、電池効率向上の目的で電池の鉛直方向の高さを小さくするためには、固体電解質袋管1を水平設置することが特に望ましい。また、この効果は単電池を大容量化するために固体電解質袋管1の軸方向の長さを大きくした場合に特に顕著で、本発明の構造により、電池の大容量化と効率向上との両立が可能である。
【0030】
また、正極容器3の軸方向に垂直な断面下部30の肉厚を高めることにより、昇降温による正極容器3の変形が防止されて、電池の機械的信頼性が向上する。なお、正極容器3の変形を防止するためには、軸方向に垂直な断面下部だけでなく、断面上部や断面横部の肉厚を同様に高めることも可能であるが、この場合には正極容器の重量や体積が増加して、電池のエネルギー密度が低下するという問題がある。したがって、断面上部や横部の肉厚は必要最小限に小さくして、昇降温時に特に変形しやすい断面下部の肉厚を高めることが、電池の大容量化と機械的信頼性向上の両立のために有効である。具体的には、断面下部の最大肉厚を、2〜4mm程度の厚さの断面上部や横部の肉厚の2〜10倍にすることが望ましい。断面下部の肉厚が2倍よりも小さいと正極容器の変形防止が困難となり易く、一方、10倍よりも大きいと正極容器の重量や体積が大きくなりすぎて、電池のエネルギー密度が低下し易くなる。さらに、正極容器の軸方向の断面形状を図1や図3に示される円形や楕円形の代わりに正方形や直方形の形状にして、直方体形状の正極容器を使用することも可能であり、この場合にも、断面下部の肉厚を断面上部や横部よりも大きくすることによって、昇降温時の正極容器の変形と電池のエネルギー密度の低下が防止できて、電池の大容量化と機械的信頼性向上の両立が可能である。但し、昇降温による正極容器の変形を特に高精度に防止するためには、図1のように正極容器3の軸方向に垂直な断面を円形形状、すなわち正極容器3を円筒形状にすることが望ましく、こうすることによって、昇降温などによって正極容器3の内圧と外気圧との差による応力が正極容器に加わった場合にも、円筒形状であれば直方体形状などに比べて応力が低減して、正極容器の変形が防止され、機械的信頼性が向上する。
【0031】
なお、この問題は正極容器3にアルミニウムやアルミニウム合金を用いる場合に特に重要であり、ナトリウム硫黄電池では運転温度が約330℃と比較的高いため、正極容器3としてAlやAl合金を用いた場合には、外部空気圧と内部圧力との差圧によって正極容器3が曲げクリープ変形する問題がある。このクリープ変形を防止する方法として、正極室5内の運転時の圧力を大気圧にほぼ等しくすることも考えられるが、運転停止時に電池温度を降温する場合もあり、この場合には正極室5内の圧力が大気圧以下となるために、この方法だけでクリープを完全に防止することはできない。この問題に対しても、図1のように円筒形状の正極容器を用いれば変形防止が容易に可能となり、アルミニウムやアルミニウム合金の利用によって電池の内部抵抗が減少して、電池効率が向上するという利点が得られる。
【0032】
また、図示されていないが、負極容器2としてAlやAl合金を用いる場合にもクリープ変形の問題があるが、この場合には、ナトリウム容器8をSUSなどの比較的高温強度の大きい金属製とし、運転温度での負極室4内の圧力を大気圧と同じか以下にして、負極容器2の変形をナトリウム容器8で押さえることが可能である。なお、このためには、ナトリウム容器8の肉厚を比較的厚くしたり、側面に凹部や凸部を設けたりして、ナトリウム容器8の変形を制限することが望ましい。また、図1に見られるように、ナトリウム容器8に設けた貫通孔10の近傍に負極容器2が設けられている構造では、図示されていないが、貫通孔10に隣接してナトリウム容器8に凸部を設け、負極容器2が内側へ変形してナトリウム容器8と接触した場合にも、上記凸部によって貫通孔10の封止を防止することが特に望ましい。
【0033】
さらに、図1のように正極容器3の軸方向に垂直な断面下部30の肉厚を高めることによって、集電体11の軸方向に垂直な下面と正極容器3との間隔が小さくなって、集電体11と正極容器3との断面下側の正極室5の内容積が断面上側の内容積よりも小さくなり、その結果として、電池の充電容量が向上する。一方、断面上側の内容積を大きくすることにより、正極室5の全体の内容積が確保されて、電池の大容量化が達成される。なお、同様な効果は、図示されていないが、固体電解質袋管1の円筒部の中心軸方向を正極容器3の円筒部の中心軸方向よりも下部に設けて、集電体11と正極容器3との断面下側の正極室5の内容積を断面上側の内容積よりも小さくすることによっても可能であるが、図1に示した本発明の構造では正極容器3の軸方向に垂直な断面下部30の肉厚を高めており、上述のように正極容器3の機械的信頼性が向上すると共に、正極容器3の中心軸方向を固体電解質袋管1とは違った位置に設置する構造に比べて、電池の製造工程が簡略化されるという利点も得られる。
【0034】
ここで、ナトリウム硫黄電池の充電時には、正極活物質14である多硫化ナトリウムが多孔質材13や多孔質導電材12の表面張力によって集電体11の外側の正極活物質14の液相から吸い上げられ、多孔質導電材12の内部などで電気分解されて、生成したナトリウムイオンが固体電解質袋管1を通って負極室4内へ移動する必要がある。また、充電が進むにつれて正極室5内の正極活物質14の液面が低下して、正極活物質14の下部に存在する多硫化ナトリウムが多孔質材13や多孔質導電材12と接触しなくなると、充電が停止するという問題がある。したがって、電池容量を確保するために十分な深度まで充電を可能にするためには、ナトリウムイオンの移動によって正極室5内の正極活物質14の体積が減少した場合にも、多硫化ナトリウムが多孔質導電材12や多孔質材13と接触し易いことが必要である。
【0035】
この問題に対して、図1の構造では、正極容器3の軸方向に垂直な断面下部
30の肉厚を高めることによって、集電体11の軸方向に垂直な下面と正極容器3との間隔が小さくなっているために、正極室5内の下側に溜まった多硫化ナトリウムが多孔質材13や多孔質導電材12と接触して吸い上げられ、正極室5の下側に存在する多硫化ナトリウムも充電に利用されて、電池の充電容量が向上する。なお、このためには集電体11の軸方向に垂直な下面を正極容器3と接触させることも可能であり、こうすることによって、正極室5内の最下部に存在する多硫化ナトリウムも充電に利用されて、電池の充電容量は特に向上する。さらに、このように集電体11の軸方向に垂直な下面と正極容器3との間隔が小さくなれば、充電末での多硫化ナトリウムの体積が減少して、ナトリウム硫黄電池で一般に行われる充電末での昇降温に対する正極容器3の機械的信頼性が特に向上するという利点が得られる。
【0036】
また、図示されていないが、集電体11の軸方向に垂直な下面を正極容器と接触又は接合させることにより、水平置きや斜め置きした際に固体電解質袋管1に加わるモーメントなどの荷重が多孔質導電材12や多孔質材13を介して集電体11及び正極容器3で支持されて、横置きした固体電解質袋管1の機械的信頼性が向上する。さらに、地震や運搬時の振動、あるいは運搬時の衝突事故などによって電池に大きな加速度が加わった場合にも、多孔質導電材12や多孔質材13がクッションの役目をするために、固体電解質袋管1が故障することは無く、ナトリウム硫黄電池の機械的信頼性を特に高めることができる。なお、同様な効果は集電体11を設けずに、固体電解質袋管1と正極容器3との間に多孔質導電材や多孔質材を充填して電池を横置きした際にもある程度実現できるが、本発明においては集電体11が設けられているために、同じ電池容量であっても固体電解質袋管1に近接した多孔質導電材12や多孔質材13の厚さが比較的薄くでき、固体電解質袋管1を支持し易くなったり、逆に多孔質導電材12や多孔質材13の厚さが同じ場合には電池容量が大きく出来て、その結果としてナトリウム硫黄電池の機械的信頼性向上と電池容量向上との両立が可能になるという利点がある。
【0037】
図2は本発明の第二の実施形態によるナトリウム硫黄電池の構造を示す断面図であり、図1と同じ符号で記載されたものは同じ部品を示している。なお、図2においては、ナトリウム容器8を負極室4内に収納し、負極容器2とナトリウム容器8との端部を溶接して一体化した後、負極室4内を真空引きした状態でナトリウム容器8内に液体状態のナトリウム7を充填し、その後に不活性ガス9を充填して、固体電解質袋管1とは反対側のナトリウム容器8の端部に設けたナトリウム収納部80を封止する。このようにして得られたナトリウム硫黄電池においては、ナトリウム7は不活性ガス9の充填時に貫通孔10を通って、固体電解質袋管1の表面へ供給される。
【0038】
ここで、図2においても固体電解質袋管1は水平方向又は斜め方向に寝かせて配置されると共に、固体電解質袋管1の内側に負極室4が、外側に正極室5が設けられ、固体電解質袋管1の胴部外側に沿って集電体11が設けられて、固体電解質袋管1と集電体11との間に多孔質導電材12や多孔質材13が設置されているため、電池の大型化と効率向上との両立が可能である。また、図1と同様に正極容器3の軸方向に垂直な断面がほほ円形形状であると共に、断面下部30の肉厚が断面上部や横部の肉厚よりも大きい構造となっているために、昇降温による正極容器3の変形が防止されて、電池の機械的信頼性が向上する。さらに、図2においては、正極容器3の断面下側の底部、すなわち断面下部30の底面が水平形状になっているために、保温容器内にナトリウム硫黄電池を横置きして設置したモジュール構造において、振動や地震が起こっても電池が移動しにくくなって姿勢の安定性が向上し、電池やモジュールの機械的信頼性が高められるという利点が得られる。
【0039】
また、図2の構造においては、正極容器3の軸方向の長さを固体電解質袋管1の長さよりも充分長くして、固体電解質袋管1の底部より軸方向外側の正極室5の内容積を、固体電解質袋管1の胴部に沿った集電体11と正極容器3との軸方向に垂直な断面下側の内容積よりも大きくしている。こうすることにより、放電が進んで正極活物質14の一部である多硫化ナトリウムの体積が増加しても、比重が大きくて下側に溜まる多硫化ナトリウムの液面高さはあまり大きくならず、正極室5内の多硫化ナトリウム液面と接触する多孔質導電材12の面積は小さく保たれて、放電特性が向上する。
【0040】
すなわち、ナトリウム硫黄電池の放電時には、多孔質導電材12内に含浸された正極活物質14である硫黄が固体電解質袋管1を通して負極室4から供給されるナトリウムイオンと反応し、反応生成物である多硫化ナトリウムが多孔質導電材12内から集電体11の外側の正極室5内の空間へ放出される必要がある。なお、多硫化ナトリウムが多孔質導電材12から放出されにくい場合には、多硫化ナトリウムが負極室4から供給されるナトリウムイオンとさらに反応してナトリウム原子量の多い多硫化ナトリウムが生成し、その結果として電池の起電力が低下して、電池の起電力と電池抵抗から定まる電池効率が低下すると共に、放電容量が低下するという問題が発生する。ここで、電池効率は一般に、(起電力−抵抗×電流)/(起電力+抵抗×電流)で表される。
【0041】
この問題に関しては、多硫化ナトリウムの液面より上部に硫黄の液相が存在している正極室5内の空間では、多孔質導電材12を構成する炭素繊維や炭素粒子が硫黄に濡れ易いために、多孔質導電材12中の多硫化ナトリウムと正極室5内の空間の硫黄が交換され易く、この結果として、多孔質導電材12から多硫化ナトリウムが容易に放出される。さらに、多孔質導電材12の外面に沿った正極室5内の空間にガスが存在したり、真空の空間となっている場所では、重力によって多硫化ナトリウムが多孔質導電材12から正極室5内の空間へ容易に放出されて放電が進行する。
【0042】
一方、多孔質導電材12の外面に沿って正極活物質14である多硫化ナトリウムの液相が存在する正極室5内の空間では、多孔質導電材12中の多硫化ナトリウムが正極室5内の空間へ放出されるのは困難である。なお、この問題は図1で述べたように、充電容量向上を目的に集電体11の軸方向に垂直な下面と正極容器3との間隔を小さくした場合に特に顕著で、この場合には放電によって生成した多硫化ナトリウムの液面が多孔質導電材12に接触しやすくなり、多硫化ナトリウムの放出が困難になって、放電容量が低下し易くなる可能性がある。
【0043】
図2の構造においては、正極容器3の軸方向の長さが固体電解質袋管1の長さよりも充分長いために、放電時にナトリウムイオンと反応して生成した多硫化ナトリウムが正極室5内の空間へ放出された際の液面は低くなり、多硫化ナトリウムが存在する空間に沿った多孔質導電材12の外面面積は比較的小さく、一方、正極室5内に硫黄やガスが存在したり、真空になったりした部分の多孔質導電材12の外面面積は比較的大きくなって、ナトリウム硫黄電池の放電が円滑に進んで、電池容量や電池効率が特に高く出来るという利点がある。
【0044】
なお、この構造では、固体電解質袋管1の底部より軸方向外側の正極室5の内容積が、固体電解質袋管1の胴部に沿った集電体11の軸方向に垂直な断面下側と正極容器3との間隙の内容積以上であることが望ましく、こうすることによって、固体電解質袋管1の底部より外側の正極室5の内容積が小さい場合に比べて、多硫化ナトリウムの液面高さは約1/2以下になり、放電特性は特に向上する。また、この目的のためには正極容器3の軸方向に垂直な断面は楕円形や正方形,直方形の形状でも良く、この場合にも、正極室5内の内容積の分布が上記と同様であれば、図2と同様に放電特性の向上が実現される。
【0045】
図3は本発明の第三の実施形態によるナトリウム硫黄電池の構造を示す断面図であり、図1,図2と同じ符号で記載されたものは同じ部品を示している。ここで、固体電解質袋管1は水平方向又は斜め方向に寝かせて配置されると共に、固体電解質袋管1の内側に負極室4が、外側に正極室5が設けられ、固体電解質袋管1の胴部に沿って集電体11が設けられて、固体電解質袋管1と集電体11との間に多孔質導電材12や多孔質材13が設置されている。このために、電池の大容量化と効率向上との両立が可能である。
【0046】
また、図3においては正極容器3の軸方向に垂直な断面は楕円形状であり、断面の短軸方向、即ち、楕円形状の短径方向が上下方向、例えば鉛直方向になるように、固体電解質袋管1が横置きされている。さらに、正極容器3の断面下部30の表面に金属板31を接合することにより、この部分の正極容器3の肉厚を高めて、昇降温に対する正極容器3の機械的信頼性を向上している。ここで、断面下部30と金属板31との肉厚の合計を断面上部又は/及び横部の肉厚の2〜10倍にすることが望ましく、こうすることによって、図1で述べたように正極容器の変形防止が容易になると共に、電池の充電容量やエネルギー密度の低下が防止されて、電池の大容量化と機械的信頼性の両立が可能となる。なお、図示されていないが、正極容器3の断面下側の底部、すなわち断面下部30の底面を図2のように水平形状にすることも可能であり、こうすることによって、横置きして設置した電池が移動しにくくなって、振動や地震に対する姿勢の安定性が向上し、電池の機械的信頼性が特に高まるという利点が得られる。また、図3においては、集電体11の軸方向に垂直な断面下部が金属板31と接触しているために、図1で述べたように横置きした固体電解質袋管1の機械的信頼性が向上すると共に、正極室5内の最下側に存在する多硫化ナトリウムも充電に利用されて、電池の充電容量が特に向上するという利点が得られる。
【0047】
さらに、図3のように正極容器3の断面を楕円形状、すなわち正極容器3を楕円筒形状にすることにより、直方体形状の正極容器に比べて正極容器3の内圧と外気圧との差による応力が低減され、正極容器の変形が防止されて、機械的信頼性が向上する。但し、正極容器3が楕円筒形状の場合の内外圧差による応力は図1に示した円筒形状の場合の応力よりも大きいため、図3の構造では、正極容器3の軸方向に垂直な断面上部32の肉厚を、断面下部30の肉厚と同様に断面横部33の肉厚よりも大きくして、比較的変形しやすい楕円形状の短径部近傍の変形を抑えて、正極容器3の機械的強度を向上している。
【0048】
また、正極容器3の断面が楕円形状で、断面横方向が楕円形状の長径方向となっているために正極室5内の横方向の体積が大きく、放電が進んで正極活物質14の一部である多硫化ナトリウムの体積が増加しても液面高さは比較的小さい。このため、図2で示された固体電解質袋管1の底部より軸方向外側の正極室5内の体積が大きい場合と同様に、正極室5内の多硫化ナトリウム液面と接触する多孔質導電材12の面積は小さく保たれて、多孔質導電材12中で生成した多硫化ナトリウムが容易に正極室5内の空間に放出され、放電容量が向上して電池の大容量化が特に可能となる。
【0049】
ここで、上記充放電容量向上の効果は、正極容器3の断面構造が楕円形状である場合に特に著しい。すなわち、正極容器3の断面面積が図1や図2に示した正極容器3の断面形状が円形の場合と同じであれば、正極容器3の断面形状が楕円形状の場合には、集電体11の側面下側と正極容器3との間隙の体積が比較的小さくできると共に、正極容器3の横方向の体積が比較的大きくできる。これらの結果、充電容量と共に放電容量が向上して、充放電特性の向上による電池の大容量化が特に優位となる。なお、図3では集電体11の軸方向に垂直な断面下部が正極容器3と接触しているが、接触していない場合でも、正極容器3の断面構造が楕円形状であれば、充放電容量向上の効果が得られる。
【0050】
具体例として、図1に示すように、固体電解質袋管1としてリチウムドープのβ″アルミナ焼結体からなる外径約60mm,長さ約600mm,肉厚約1.5mm の円筒状袋管を用いた。また、負極容器2,正極容器3の材料にはAl合金のAA3003、ナトリウム容器8の材料にはSUSを、集電体11には貫通部15を設けたAl合金の胴部表面にクロムをメッキ、又はクロム76%,酸素0.5 %,珪素0.4 %を含む鉄/クロム合金,ステライトー6やステライトー6Bを溶射したものを用いた。なお、正極容器3としては、軸方向の断面下部30の最大肉厚が約6〜10mmと、断面上部や断面横部の肉厚の約2〜3mmよりも大きな形状を用いた。また、集電体11の軸方向に垂直な断面は円形形状であり、図示されていないが、集電体11の断面下側を正極容器3の断面下部30と接触すると共に、集電体11の端部を円筒形状の正極容器3の側面と接続した。
【0051】
一方、絶縁部材6としてはαアルミナ焼結体リングを用い、固体電解質袋管1の開口部とガラス接合した後、焼結体リングの表面に負極容器2,正極容器3の端部を配置し、Al−Si系の合金箔を用いて、負極容器2,正極容器3の端部と絶縁部材6とを熱圧接した。次に、ナトリウム容器8内にナトリウム7と約0.01MPa のArから成る不活性ガス9を充填して封止し、このガス圧でナトリウム7がナトリウム容器8の側面に設けた貫通孔10を通って、固体電解質袋管1の内表面を覆うようにした。また、固体電解質袋管1の胴部と集電体11との間には、径方向の厚さが約9mmのリング状のPAN系炭素繊維マットから成る多孔質導電材12を積層して充填すると共に、アルミナ繊維集合体から成る厚さ約0.3mm の多孔質材13を配置した。最後に、正極室5内に正極活物質14として硫黄を含浸し、正極容器3を封止してナトリウム硫黄電池を作製した。
【0052】
得られたナトリウム硫黄電池を水平に寝かせて330℃で運転した結果、正極室5内の正極活物質14の大部分が電池反応に関与するため、電池容量は約1500Ahと大きく、且つ、内部抵抗は約1mΩと小さくでき、大容量化と高効率化の両立が可能となった。また、室温から350℃の範囲で充電末の昇降温を繰り返しても正極容器3が変形する問題は起こらず、正極容器3の機械的信頼性が確認された。なお、この電池においては、集電体11を用いることによって、固体電解質袋管1を大きくすることなく正極容器3を大きくして電池の大容量化が可能なため、低コスト化に特に適している。
【0053】
【発明の効果】
本発明のナトリウム硫黄電池においては、電池の大容量化と効率向上との両立が可能であると共に、電池を構成する正極容器の機械的信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例であるナトリウム硫黄電池の縦断面図。
【図2】本発明の第2の実施例であるナトリウム硫黄電池の縦断面図。
【図3】本発明の第3の実施例であるナトリウム硫黄電池の縦断面図。
【符号の説明】
1…固体電解質袋管、2…負極容器、3…正極容器、4…負極室、5…正極室、6…絶縁部材、7…ナトリウム、8…ナトリウム容器、9…不活性ガス、10…貫通孔、11…集電体、12…多孔質導電材、13…多孔質材、14…正極活物質、15…貫通部、30…断面下部、31…金属板、32…断面上部、33…断面横部、80…ナトリウム収納部。
Claims (5)
- 固体電解質袋管の内側にナトリウムを収納した負極室を、前記固体電解質袋管の外側に硫黄又は/及び多硫化ナトリウムから成る正極活物質を収納した正極室を設け、前記正極室内の前記固体電解質袋管の胴部外側に設けた集電体と前記固体電解質袋管との間隙に多孔質導電材又は/及び多孔質材を充填したナトリウム硫黄電池であって、前記固体電解質袋管を水平方向又は斜め方向に寝かせ、前記正極室を構成する正極容器の軸方向に垂直な断面下部の肉厚が断面上部又は/及び断面横部の肉厚よりも大きいことを特徴とするナトリウム硫黄電池。
- 請求項1において、前記正極容器の軸方向に垂直な断面が円形形状又は楕円形状であることを特徴とするナトリウム硫黄電池。
- 請求項1又は2において、前記集電体と前記正極容器との断面下側の正極室の内容積が断面上側の内容積よりも小さいことを特徴とするナトリウム硫黄電池。
- 請求項2において、前記正極容器の断面下部の底面が水平形状となっていることを特徴とするナトリウム硫黄電池。
- 請求項1,2又は3において、前記固体電解質袋管の底部より軸方向外側の正極室の内容積が、前記固体電解質袋管の胴部に沿った前記集電体と前記正極容器との断面下側の内容積以上であることを特徴とするナトリウム硫黄電池。
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