JP2005032447A - ナトリウム硫黄電池システムの構築方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電力貯蔵装置として用いるに好適なナトリウム硫黄電池システムの構築方法を提供する。
【解決手段】放電時間の短い電力需要であると設定された利用目的に用いる第一のナトリウム硫黄電池システムに収納する単位平均放電出力当たりのナトリウム硫黄電池数を、放電時間の長い電力需要であると設定された利用目的に用いる第二のナトリウム硫黄電池システムに収納する単位平均放電出力当たりのナトリウム硫黄電池数よりも小さくすることを特徴とする。
【選択図】 図4
【解決手段】放電時間の短い電力需要であると設定された利用目的に用いる第一のナトリウム硫黄電池システムに収納する単位平均放電出力当たりのナトリウム硫黄電池数を、放電時間の長い電力需要であると設定された利用目的に用いる第二のナトリウム硫黄電池システムに収納する単位平均放電出力当たりのナトリウム硫黄電池数よりも小さくすることを特徴とする。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電力貯蔵装置として用いるに好適なナトリウム硫黄電池システムの構築方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
負極室内に液体ナトリウム、正極室内に硫黄,多硫化ナトリウムなどの正極活物質を充填し、負極室/正極室間をβ型やβ″型のベータアルミナセラミックス製の固体電解質袋管で分離した構造のナトリウム硫黄電池を断熱容器内に収納して得られるナトリウム硫黄電池システムは、長寿命でエネルギー密度が大きいことから注目され、電力貯蔵装置への利用が期待されている。このナトリウム硫黄電池システムの実用化のためには、ナトリウム硫黄電池の信頼性,安全性の確保と共に低コスト化が不可欠であり、このためには、ナトリウム硫黄電池の内部抵抗を低減して電池効率を向上したり、電池容量を大型化して、kWやkWh当たりのナトリウム硫黄電池数を低減することが望ましく、そのための対策が重要である。
【0003】
また、電力需要でのナトリウム硫黄電池システムの利用目的に応じて、ナトリウム硫黄電池数を適正化することが重要であり、この対策が不十分であれば、電池温度の制約などの原因でナトリウム硫黄電池の容量の一部しか利用できず、その結果としてナトリウム硫黄電池に含まれるナトリウムや正極活物質の一部が無駄になって、ナトリウム硫黄電池システムのコストが高くなるという問題を生ずる。
【0004】
なお、ナトリウム硫黄電池の電池効率を向上したり電池容量を大型化するには、ナトリウム硫黄電池に用いられる固体電解質袋管を水平方向や斜め方向に横置きすることが有効で、これに関しては特公昭59−13155号公報や特開2002−8712号公報等に記載されているが、これらは、利用目的に応じてナトリウム硫黄電池システムに収納するナトリウム硫黄電池数を適正化することについての記載は無い。
【0005】
【特許文献1】
特公昭59−13155号公報
【特許文献2】
特開2002−8712号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来技術の欠点を除き、低コスト化に適したナトリウム硫黄電池システムの構築方法を提供するにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のナトリウム硫黄電池システムの構築方法は、放電時間の短い電力需要であると設定された利用目的に用いる第一のナトリウム硫黄電池システムに収納する単位平均放電出力当たりのナトリウム硫黄電池数を、放電時間の長い電力需要であると設定された利用目的に用いる第二のナトリウム硫黄電池システムに収納する単位平均放電出力当たりのナトリウム硫黄電池数よりも小さくすることを特徴としている。ここで、前記第一のナトリウム硫黄電池システムの平均放電出力を、前記第二のナトリウム硫黄電池システムの平均放電出力より大きくすることが望ましい。
【0008】
また、前記第一のナトリウム硫黄電池システムに収納する単位平均放電出力当たりのナトリウム硫黄電池数を、前記第二のナトリウム硫黄電池システムに収納する単位平均放電出力当たりのナトリウム硫黄電池数×(前記放電時間の短い利用目的の放電時間/前記放電時間の長い利用目的の放電時間)1/2 以上にすること、又は/及び、前記第一のナトリウム硫黄電池システムに収納するナトリウム硫黄電池1個当たりの平均放電出力を、前記第二のナトリウム硫黄電池システムに収納するナトリウム硫黄電池1個当たりの平均放電出力以上で、前記第二のナトリウム硫黄電池システムに収納するナトリウム硫黄電池1個当たりの平均放電出力×(前記放電時間の長い利用目的の放電時間/前記放電時間の短い利用目的の放電時間)1/2 以下にすることが特に望ましい。
【0009】
さらに、前記第一のナトリウム硫黄電池システムに収納するナトリウム硫黄電池1個当たりの電池容量を、前記第二のナトリウム硫黄電池システムに収納するナトリウム硫黄電池1個当たりの電池容量以下で、前記第二のナトリウム硫黄電池システムに収納するナトリウム硫黄電池1個当たりの電池容量×(前記放電時間の短い利用目的の放電時間/前記放電時間の長い利用目的の放電時間)1/2 以上にすることが望ましい。
【0010】
また、前記放電時間の短い利用目的が産業用電力であり、前記放電時間の長い利用目的が業務用電力又は/及び電灯用電力であること、あるいは、前記放電時間の長い利用目的が電灯用電力であり、前記放電時間の短い利用目的が産業用電力又は/及び業務用電力であることが望ましく、前記利用目的での放電時間が電灯用電力>業務用電力>産業用電力であることも可能である。
【0011】
さらに、本発明のナトリウム硫黄電池システムにおいて、前記ナトリウム硫黄電池システムに収納するナトリウム硫黄電池として、ナトリウムを収納した負極室,硫黄又は/及び多硫化ナトリウムから成る正極活物質を収納した正極室、及び、前記負極室/正極室間を分離した固体電解質有底袋管を設け、該固体電解質有底袋管を水平方向又は斜め方向に寝かせたことが特に望ましい。
【0012】
本発明のナトリウム硫黄電池システムの構築方法により、利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムの低コスト化が実現される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面を用いて説明する。
【0014】
図1,図2,図3は本発明のナトリウム硫黄電池システムの利用方法の例を示している。図1は電灯用電力、図2は業務用電力、図3は産業用電力として使用される消費電力のナトリウム硫黄電池システムの利用例を示しており、この消費電力の内の斜線で示した部分を複数のナトリウム硫黄電池を収納したナトリウム硫黄電池システムの放電で賄っている。
【0015】
図1においては、例えばコンビニエンスストアやホテルで用いられる場合のように、電灯用電力が一日中使用されている例を示しており、その内の昼間の電力料金を賄うために、8時から22時までの電灯用電力を全てナトリウム硫黄電池システムの放電によって供給している。なお、使用目的によっては、電灯用電力を昼間や夜間の一部又は全部に用いる場合もあり、その消費電力条件に対応してナトリウム硫黄電池システムの放電時間や放電出力を定める必要があるが、一般に電灯用電力では消費電力のピークがあまり大きくないために、ナトリウム硫黄電池システムとしては特に大きな放電出力の供給は必要としない場合が多い。さらに、ナトリウム硫黄電池システムの使用効果を高めるためには、8時から22時までの消費電力の一部又は全部を放電で賄って、22時から翌日の8時までの間にナトリウム硫黄電池を充電することが、利用者にとっての電力料金低減のために望ましい。なお、22時から翌日の8時までの間にナトリウム硫黄電池を充電する効果は、業務用電力や産業用電力などに用いる場合にも同様である。
【0016】
一方、図2は主に昼間に仕事をするビルやオフィスなどで用いられる業務用電力の例を示している。業務用電力では一般に消費電力が比較的大きいため、ナトリウム硫黄電池システムによって消費電力をすべて賄うのは困難で、図示されているように、消費電力の内の一部をナトリウム硫黄電池システムの放電で賄うことにより、消費電力をピークカットすることが利用方法として適している。ここで、業務用電力の場合には、消費電力が大きい時間帯は8時間程度であり、また、その間の消費電力変化はあまり大きくないことが一般的である。また、この目的に用いるナトリウム硫黄電池システムの運転時間当たりの平均放電出力は、図1に示した電灯用電力に用いるナトリウム硫黄電池システムの運転時間当たりの平均放電出力よりも大きいのが一般的である。
【0017】
さらに、図3は工場で使用される産業用電力の例を示しており、産業の内容に応じて、比較的短い特定時間内に大電力が消費されている。このように、産業用電力では消費電力のピークが極めて大きいために、ナトリウム硫黄電池システムによって消費電力を全て賄うのは無理で、図2の場合と同様に、消費電力の一部をナトリウム硫黄電池システムの放電で賄うことにより、消費電力をピークカットするのが一般的である。また、この目的に用いるナトリウム硫黄電池システムの運転時間は小さく、運転時間当たりの平均放電出力は、図1に示した電灯用電力や、図2に示した業務用電力に用いるナトリウム硫黄電池システムの運転時間当たりの平均放電出力よりも大きいのが一般的である。
【0018】
図1,図2,図3で説明したように、ナトリウム硫黄電池システムを電灯用電力,業務用電力や産業用電力などに利用する場合には、利用目的に応じて放電時間や放電出力が変化するため、消費電力条件に対応してナトリウム硫黄電池システムの放電時間や放電出力を定めると共に、放電時間内でナトリウム硫黄電池の温度が許容温度範囲内に保たれる条件で、ナトリウム硫黄電池1個当たりの平均放電出力を出来るだけ大きくすることが、ナトリウム硫黄電池システムの低コスト化の構築方法として望ましい。こうすることによって、放電時間が小さいほどナトリウム硫黄電池1個当たりの平均放電出力を大きくすることが可能である。しかしながら、種々の利用目的に対して、ナトリウム硫黄電池システムとして単位平均放電出力当たりに同じナトリウム硫黄電池数を収納すれば、放電時間が短い運転の際にはナトリウム硫黄電池に含まれるナトリウムや正極活物質の一部が無駄になって、ナトリウム硫黄電池システムのコストが高くなるという問題を生ずる。
【0019】
なお、ここでナトリウム硫黄電池システムの平均放電出力は放電時間全体で供給される放電エネルギーを放電時間で割った平均値であり、ナトリウム硫黄電池システムでの単位平均放電出力当たりのナトリウム硫黄電池数は、ナトリウム硫黄電池システムに収納するナトリウム硫黄電池の全体の電池数を上記平均値で割った値に相当する。また、ナトリウム硫黄電池1個当たりの平均放電出力は、上記平均値をナトリウム硫黄電池の全体の電池数で割った値に相当する。
【0020】
この問題に対して、本発明のナトリウム硫黄電池システムの構築方法においては、放電時間の短い利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムでの単位平均放電出力当たりの電池数が、放電時間の長い利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムの単位平均放電出力当たりの電池数よりも小さくなるように、ナトリウム硫黄電池数を選定している。なお、ここで放電時間の短い利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムの平均放電出力を、放電時間の長い利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムの平均放電出力よりも大きくすることにより、消費電力のピークカットが有効に実施できる。こうすることによって、種々の利用目的に対応してナトリウム硫黄電池システムの放電時間と平均放電出力とを定めて、放電時間内でのナトリウム硫黄電池の温度を許容温度範囲内に保つと共に、用いるナトリウム硫黄電池数を適切に選定することにより、ナトリウムや正極活物質の無駄が低減できて、ナトリウム硫黄電池システムの低コスト化が実現される。なお、ナトリウム硫黄電池の許容温度範囲は約290〜370℃であるため、電池温度が約370℃を超えないように、ナトリウム硫黄電池の電池数や平均放電出力を定める必要がある。
【0021】
また、前記放電時間の短い利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムでの単位平均放電出力当たりの電池数を、前記放電時間の長い利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムでの単位平均出力当たりの電池数以下で、前記放電時間の長い利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムでの単位平均放電出力当たりの電池数×(前記放電時間の短い利用目的の放電時間/前記放電時間の長い利用目的の放電時間)1/2以上にすること、又は/及び、前記放電時間の短い利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムでの電池1個当たりの平均放電出力を、前記放電時間の長い利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムでの電池1個当たりの平均放電出力以上で、前記放電時間の長い利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムでの電池1個当たりの平均放電出力×(前記放電時間の長い利用目的の放電時間/前記放電時間の短い利用目的の放電時間)1/2 以下にすることが特に望ましい。さらに、前記放電時間の短い利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムでの電池1個当たりの電池容量を、前記放電時間の長い利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムでの電池1個当たりの電池容量以下で、前記放電時間の長い利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムでの電池1個当たりの電池容量×(前記放電時間の短い利用目的の放電時間/前記放電時間の長い利用目的の放電時間)1/2以上にすることが望ましい。
【0022】
ここで、ナトリウム硫黄電池システムの構築方法としては、放電時間が小さい利用目的の際には運転時間当たりの平均放電出力を大きくすることが望ましく、単位平均放電出力当たりの電池数を低減することによって、ナトリウム硫黄電池システムの低コスト化が実現できる。しかしながら、単位平均放電出力当たりの電池数が少なくなりすぎると、電池1個当たりの放電出力の増加によって電池の発熱量が増加して、許容温度範囲を超える問題がある。この問題に対して、電池の発熱量を制御するためには、以下の方法が有効である。
【0023】
即ち、ナトリウム硫黄電池の放電時の発熱量は、放電による発熱量(I2Rh :Iは放電電流の平均値、Rは電池抵抗、hは放電時間)とエントロピー変化による発熱量(0.05〜0.1×I2(V0−IR)h:V0 は電池の起電力)との和で与えられる。従って、電池抵抗が比較的小さい場合(V0≫IR)には、放電時の発熱量はI2h にほぼ比例し、利用方法の変化に対して放電時の発熱量をほぼ一定にするためには、放電電流の平均値を(1/h)1/2 に比例すれば良い。この結果、ナトリウム硫黄電池システムに収納する電池1個当たりの放電出力(I×(V0−IR))はほぼ(1/h)1/2 に比例し、一方、単位放電出力当たりの電池数は(h)1/2 に比例することになる。こうすることにより、放電時の発熱量は利用方法によらずほぼ一定となり、電池温度が許容範囲以上となって電池が劣化するのを防止できて、電池寿命が確保される。また、後述のように、放電時間の短い利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムでの単位平均放電出力当たりの電池数が小さくできて、ナトリウム硫黄電池システムの低コスト化が実現される。
【0024】
以上の理由により、単位放電出力当たりの電池数が(h)1/2 に比例することで放電時の発熱量がほぼ一定になるために、放電時間の短い利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムでの単位平均放電出力当たりの電池数を、放電時間の長い利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムでの単位平均放電出力当たりの電池数×(前記放電時間の短い利用目的の放電時間/前記放電時間の長い利用目的の放電時間)1/2 にすることが可能である。しかしながら、ナトリウム硫黄電池を運転する際には、放電末でもナトリウム量を少し残して、全てのナトリウムが電池反応するのを防止する必要がある。そのための残留ナトリウム量が利用目的によらずほぼ一定でも良いことを考慮すると、放電時間の短い利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムでの単位平均放電出力当たりの電池数を、放電時間の長い利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムでの単位平均放電出力当たりの電池数以下で、放電時間の長い利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムでの単位平均放電出力当たりの電池数×(前記放電時間の短い利用目的の放電時間/前記放電時間の長い利用目的の放電時間)1/2 以上にすることが望ましい。
【0025】
一方、ナトリウム硫黄電池の平均放電出力は(V0−IR)×Iで与えられるため、上記の理由により放電時の発熱量がほぼ一定になるためには、電池1個当たりの放電出力(I×(V0−IR))はほぼ(1/h)1/2 に比例する。このため、放電時間の短い利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムでの電池1個当たりの平均放電出力を、放電時間の長い利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムでの電池1個当たりの平均放電出力×(前記放電時間の長い利用目的の放電時間/前記放電時間の短い利用目的の放電時間)1/2とすることが可能である。なお、ここで放電電流が増すと上記のIRが無視できなくなる場合があり、その際には、平均放電出力は放電電流に比例した値よりも少し小さくなる。このために、放電時間の短い利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムでの電池1個当たりの平均放電出力を、放電時間の長い利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムでの電池1個当たりの平均放電出力以上で、放電時間の長い利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムでの電池1個当たりの平均放電出力×(前記放電時間の長い利用目的の放電時間/前記放電時間の短い利用目的の放電時間)1/2以下にすることが望ましい。
【0026】
ここで、上記のように電池1個当たりの平均放電出力を選ぶことにより、放電時の電池温度が許容範囲内になって、電池の劣化が防止され、電池寿命が向上するという利点が得られる。なお、場合によっては、ナトリウム硫黄電池システムの構築方法において、ナトリウム硫黄電池を収納する断熱容器の放熱量を高めることによって、電池1個当たりの平均放電出力を上記よりも高めて運転することも可能である。しかしながら、上記のように平均放電出力を選ぶことによって、1つの利用方法に応じてナトリウム硫黄電池を収納する断熱容器の放熱量を規定することにより、他の利用方法に用いる場合にも同じ断熱構造又は類似断熱構造の断熱容器を用いることができる。この結果として、種々の利用方法に用いるナトリウム硫黄電池システムの断熱容器が同じ方法で製造でき、利用目的に適したナトリウム硫黄電池システムの製造が容易で、低コスト化が容易に可能になるという利点が得られる。
【0027】
また、ナトリウム硫黄電池の電池容量は電池1個当たりの電流I×運転時間hを基に定められるため、上述のように放電時の発熱量をほぼ一定にするために放電電流の平均値を(1/h)1/2 に比例することにより、電池容量は(h)1/2 に比例する。従って、放電時間の短い利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムでの電池1個当たりの電池容量を、放電時間の長い利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムでの電池1個当たりの電池容量×(前記放電時間の短い利用目的の放電時間/前記放電時間の長い利用目的の放電時間)1/2にすることが可能であり、こうすることによって、電池容量が小さくできるために、ナトリウム硫黄電池システムの低コスト化が特に可能となる。但し、ナトリウム硫黄電池を運転する際には、放電末でもナトリウム量を少し残して、全てのナトリウムが電池反応するのを防止する必要がある。そのための残留ナトリウム量が利用目的によらずほぼ一定でも良いことを考慮すると、放電時間の短い利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムでの電池1個当たりの電池容量を、放電時間の長い利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムでの電池1個当たりの電池容量以下で、前記放電時間の長い利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムでの電池1個当たりの電池容量×(前記放電時間の短い利用目的の放電時間/前記放電時間の長い利用目的の放電時間)1/2以上にすることが望ましい。
【0028】
なお、ナトリウム硫黄電池の容量を減少するには、ナトリウム硫黄電池に含まれるナトリウムや正極活物質の量を減少する必要があり、こうすることによって、ナトリウムや正極活物質の無駄が省けて、電池コストが低減する。ここで、ナトリウム硫黄電池の負極容器や正極容器の体積を変えずにナトリウムや正極活物質の量を低減することも可能であるが、電池コストを特に低減するためには、負極容器や正極容器の体積も減少することが望ましい。また、場合によっては、電池容量を低減せず、利用目的に用いて放電した際に残った電池容量を、停電などの際への適用や非常用電源に用いることも考えられる。しかしながら、ナトリウム硫黄電池システムを特に低コスト化するためには、利用目的に応じて電池容量を低減することが望ましい。
【0029】
さらに、ナトリウム硫黄電池は電灯用電力,業務用電力や産業用電力などの種々の目的に利用されるが、図1〜図3に示されたように、放電時間の短い利用目的が産業用電力であり、放電時間の長い利用目的が業務用電力又は/及び電灯用電力であること、又は、放電時間の長い利用目的が電灯用電力であり、放電時間の短い利用目的が産業用電力又は/及び業務用電力であることが望ましい。また、前記利用目的での放電時間が電灯用電力>業務用電力>産業用電力であることも可能である。
【0030】
ここで、ナトリウム硫黄電池システムの放電時間や平均放電出力に対応して、単位平均放電出力当たりの電池数を産業用電力<業務用電力又は電灯用電力、あるいは、産業用電力又は業務用電力<電灯用電力にすると共に、電池1個当たりの平均放電出力を電灯用電力又は業務用電力<産業用電力、あるいは、電灯用電力<業務用電力又は産業用電力となるようにナトリウム硫黄電池システムを構築すること、又は、電池1個当たりの電池容量を産業用電力<業務用電力又は電灯用電力、あるいは、産業用電力又は業務用電力<電灯用電力となるように構築することによって、ナトリウムや正極活物質をあまり無駄にすることなく、低コストのナトリウム硫黄電池システムを種々の目的に利用することが可能である。
【0031】
なお、上記単位平均放電出力当たりの電池数は電池温度を許容温度範囲内に保つことで規定されるため、電灯用電力,業務用電力や産業用電力に利用する場合の放電時間の差が比較的小さく、その結果として電池1個当たりの平均放電出力の差が小さくなって、電池温度を許容範囲内に保つのに問題がない場合には、利用目的に応じて単位平均放電出力当たりに同じ電池数のナトリウム硫黄電池システムを構築することも可能である。
【0032】
また、本発明の構築方法に用いるナトリウム硫黄電池システムに収納されるナトリウム硫黄電池では、後述の図4に示されたように、有底袋管状の固体電解質を水平方向又は斜め方向に寝かせることにより、固体電解質を垂直方向に直立した場合に比べて電池効率が向上できて、放電出力の増加による電池温度の上昇を比較的低減できる。また、電池容量が拡大できて、これらの結果として、単位平均放電出力当たりの電池数が少なくできると共に、ナトリウム硫黄電池システムからの供給エネルギーが比較的大きくできて、ナトリウム硫黄電池システムの低コスト化が可能となる。
【0033】
図4は本発明に用いるナトリウム硫黄電池の構造例を示す断面図である。なお、本発明に用いられるナトリウム硫黄電池システムは、複数個のナトリウム硫黄電池を断熱容器内に収納して構築される。
【0034】
図4において、ナトリウムイオン導電性の固体電解質1には、普通β型やβ″型のベータアルミナセラミックスから成る有底袋管状の固体電解質が用いられ、固体電解質1は水平方向又は斜め方向に寝かせて配置されている。また、負極容器2,正極容器3は固体電解質1と共にそれぞれ負極室4,正極室5を構成しており、その材料としてはAl,Al合金やFe,Fe合金,SUS又はこれらの表面にCo基合金,Cr/Fe合金,Al/Si合金,SUS,Cr,C,Moなどを主体とする耐食層を設けたものや、Al合金とSUS等とのクラッド材が普通に用いられる。なお、負極容器2,正極容器3はそれぞれ、負極容器本体21と負極容器蓋22、及び、正極容器本体31と正極容器蓋32とを接合して構成されており、負極容器内や正極容器内を真空にしたり、窒素やアルゴンなどの不活性ガスを注入した状態で、負極封止部20及び正極封止部30を封止している。
【0035】
一方、絶縁部材6は負極容器2と正極容器3とを絶縁分離し、且つ、負極容器本体21,正極容器本体31と接合されており、普通αアルミナセラミックスを用いて、図示されていないが、有底袋管状の固体電解質1の開口部付近にガラス接合されたり、αアルミナやマグネシウムアルミニウムスピネルなどのセラミックスを用いて、固体電解質1の開口部と一体焼結されている。さらに、負極容器本体21や正極容器本体31と絶縁部材6との接合には、図示されていないが、AlやAl合金を接合材として用いて、接合材の液相線温度以下や固相線温度以下に加熱して、加圧接合する熱圧接法が一般に行われている。
【0036】
また、負極室4内にはナトリウム7を収納するSUSやAl合金などの金属製ナトリウム容器8が設けられており、図示されていないが、ナトリウム容器8に設けた貫通孔10をハンダ封止した状態でナトリウム容器封止部80よりナトリウムを注入し、ナトリウム容器封止部80を接合で封止した後、負極室4内に収納し、昇温してハンダを溶解・溶融することにより、貫通孔10を開口している。こうすることにより、ナトリウム7は放電時には重力や、負極室4の一部であるナトリウム容器8内に収納された窒素ガスやArガスなどの不活性ガス9の圧力で押され、一方、充電時には固体電解質1を通して侵入するナトリウムの圧力で押されて、ナトリウム容器8に設けた貫通孔10を出入りする。このようにナトリウム容器8を設けることにより、固体電解質1に隣接して存在するナトリウム7の量が少なくできて、固体電解質1が破損した際の電池の安全性が向上する。
【0037】
なお、図4においてナトリウム容器8は負極容器2と分離されているが、ナトリウム容器8と負極容器2とを一体化した構造も可能である。また、図示されていないが、ナトリウム容器8と有底袋管状の固体電解質1との間に有底袋管状の安全管を設けたり、固体電解質1とナトリウム容器8又は安全管との間隔を0.15mm以下程度にしたりして、電池の安全性を向上すること、及び、固体電解質1とナトリウム容器8又は安全管との間隔の下側に炭素繊維やガラス繊維などを収納して、横置きした際のナトリウム容器8又は安全管の固体電解質1への接触を防止して、固体電解質1の信頼性を向上することも可能である。
【0038】
さらに、正極室5内の固体電解質1の面に沿って、正極容器3と接続した集電体11が設けられ、集電体11と固体電解質1との間に多孔質導電材12と多孔質材13が設置されている。また、正極室5内には硫黄又は/及び多硫化ナトリウムから成る正極活物質14が充填されており、この正極活物質14が多孔質導電材12や多孔質材13に含浸されて、電池反応を促進している。なお、図4の構造では、正極容器3の側面が円筒形状となっているが、この代わりに直方体形状や楕円筒形状とすることも可能である。但し、正極容器3の機械的強度を向上するためには円筒形状を用いることが望ましく、特に正極容器3としてAl合金を用いた場合には、円筒形状を用いることが特に望ましい。
【0039】
ここで、多孔質導電材12には炭素繊維や炭素粉末の集合体が用いられ、特に固体電解質1の面に沿った厚さが1〜20mm程度の、約1300〜2000℃で加熱されたPAN(ポリアクリロニトリル)系やピッチ系の炭素繊維マットを用いることが望ましい。さらに、炭素繊維が面方向に配列したリング形状などのマットを用いて、炭素繊維マットの面方向が固体電解質1の面に垂直になるように設置することにより、固体電解質1の面方向に沿った炭素繊維マットの抵抗を低減して、電池効率を向上することができる。また、同様な効果は多孔質導電材12として短冊状や台形状の炭素繊維マットを用いた場合にも実現され、炭素繊維の大半を炭素繊維マット面に平行に配置し、炭素繊維マット面に垂直にこの炭素繊維マットを短冊状や台形状に切断して、炭素繊維マット面が有底袋管状の固体電解質1の面に垂直になるように、短冊状や台形状の炭素繊維マットをラセン状又は円周状に巻きつけることにより、炭素繊維マットの抵抗低減の効果が得られる。
【0040】
一方、多孔質材13には普通アルミナなどのセラミックスやガラスの繊維や粒子の集合体が用いられ、固体電解質1の面に沿った厚さを0.1〜0.5mm程度にすることが望ましい。ここで、図示されていないが、炭素繊維マットを有底袋管状の固体電解質1の軸方向に積層して充填し、積層された炭素繊維マット同士の間に空隙や多孔質材を設けたり、貫通部を形成した金属板,木板,セラミックス板やガラス板などを設けたりして、正極活物質14が多孔質導電材12内部を移動し易くすることも可能である。なお、多孔質材13に用いるガラス繊維としては、SiO295〜99.8%,Al2O35〜0.1%,K2O とCaO<0.15%程度であるのが望ましく、できるだけK2O やCaOの少ない材料を用いることが特に望ましい。
【0041】
また、正極活物質14の体積を多孔質導電材12や多孔質材13の空隙体積よりも大きくして、多孔質導電材12や多孔質材13に含浸される以外に、正極室5内の集電体11の外側に正極活物質14の液相を形成し、集電体11に貫通部15を設けて集電体11の内外に正極活物質14を移動させることにより、電池容量の拡大を図ることができる。
【0042】
ここで、集電体11としては厚さ0.3〜5mm 程度のAl,Al合金やこれらとSUS等とのクラッド材を用いて、多孔質導電材12との接触面にCo基合金,Cr/Fe合金,Al/Si合金,SUS,Cr,C,MoやCr,Moの炭化物や窒化物などの耐食性導電層を溶射やメッキなどの方法で設けたり、これら耐食性の粒子や繊維をAlやAl合金の表面へ接合又は埋め込んだものが用いられる。さらに、貫通部15としては直径や幅,長さが1〜10mm程度の円形や直方体の孔、又は、これらの間に幅1〜10mmのスリットを設けたものを用い、面積割合としては集電体11の面積の5〜50%程度が望ましい。
【0043】
本発明に用いるナトリウム硫黄電池としては、図4に記載されたように、有底袋管状の固体電解質1を水平方向又は斜め方向に寝かせて配置することが望ましい。こうすることにより、電池容量向上のために軸方向に負極容器2や正極容器3を伸ばしても、正極室5の上下方向の高さはあまり大きくならず、その結果として正極活物質14の濃度分布や組成分布が付きにくくなって、電池効率の低下や電池抵抗の増加による電池温度の増加が防止されて、ナトリウム硫黄電池からの放電エネルギーが比較的大きく供給できて、ナトリウム硫黄電池システムの低コスト化が可能になるという利点が得られる。
【0044】
一方、正極容器3を軸方向に伸ばした場合に有底袋管状の固体電解質1を直立して設置すると、正極室内の上下方向に重力によって正極活物質14の濃度分布や組成分布が付きやすく、この結果、電池内に起電力分布を生じて循環電流が流れ、起電力の低下や電池抵抗増加によって、電池効率が低下するという問題が発生する。なお、上記組成分布の原因は、正極活物質14を構成する多硫化ナトリウムが硫黄に融けず、且つ、比重が硫黄よりも大きいために正極室5内の下側に溜まること、及び、正極室5内に多硫化ナトリウムが存在する場所と硫黄が存在する場所とで、電池の起電力が異なり易いことに基づいている。
【0045】
さらに、ナトリウム硫黄電池を電池1個当たりの平均放電出力が大きい利用目的に用いる場合には、放電電流の平均値の増加によって電池効率が低下する問題が発生するが、図4のように有底袋管状の固体電解質1を水平方向又は斜め方向に寝かして配置することにより、固体電解質1を直立に配置した構造よりもナトリウム硫黄電池の電池効率が高くできるという利点が得られる。即ち、普通に用いられるように長さが直径よりも大きい有底袋管状の固体電解質1を用いた際には、正極室5の鉛直方向の高さが固体電解質1を直立に配置した場合よりも小さくなり、正極室5内の上下方向に重力による正極活物質14の濃度分布や組成分布が付きにくくなって、電池内に起電力分布やそれに基づく循環電流が起こりにくく、これらの結果として電池抵抗の増加が防止されて、電池効率が向上する。なお、電池効率は一般に(電池の起電力−電流量×電池抵抗)/(電池の起電力+電流量×電池抵抗)で与えられるために、電池効率向上には起電力の低下防止と共に電池抵抗低減が有効であり、この結果として、電池抵抗×電流量の二乗に対応する電池の発熱量が低下する。すなわち、電池を水平方向又は斜め方向に寝かせた構造にすることにより、平均放電出力が増加した場合の電池温度の増加が比較的小さくできて、ナトリウム硫黄電池システムの放電エネルギーの供給向上による低コスト化が可能となる。
【0046】
ここで、有底袋管状の固体電解質1としては長さが直径よりも大きいことが望ましく、こうすることにより、固体電解質1の内容積と表面積との比を比較的小さくすることができる。この結果、直径が長さと同程度又は直径の方が大きい固体電解質1を用いた場合に比べて、同じナトリウム量を同じ時間内に運転する際の固体電解質1の表面積当りの電流密度を小さくすることができ、その結果として電流量×電池抵抗で与えられる電圧変化が小さくなって、電池効率の増加や発熱量の低減ができるという利点がある。なお、この効果は単電池を大型化するために有底袋管状の固体電解質1の体積を大きくした場合に特に顕著で、この構造により、電池の大型化すなわち大容量化と効率向上との両立が可能である。
【0047】
また、有底袋管状の固体電解質1を斜めに設置する場合、固体電解質1の軸方向と水平方向との角度を±45°以下にして、正極室5の鉛直方向の高さを低減することが望ましい。さらに、多孔質導電材12や多孔質材13の表面張力による正極活物質14の吸い上げ高さを考慮すると、多孔質導電材12や多孔質材13の鉛直方向の高さが15cm以下になる角度に固体電解質1を傾けることが望ましい。勿論、電池効率向上や電池温度の増加防止の目的で正極室5の鉛直方向の高さを小さくするためには、固体電解質1を水平設置することが特に望ましい。また、この効果はナトリウム硫黄電池の大容量化のために有底袋管状の固体電解質1の軸方向の長さを大きくした場合に特に顕著で、有底袋管状の固体電解質1を水平方向又は斜め方向に寝かした構造により、電池の大容量化と効率向上との両立が可能である。
【0048】
さらに、図4の構造においては、有底袋管状の固体電解質1を水平方向や斜め方向に寝かせた構造となっていると共に、固体電解質1の面に沿って正極室5内に設けた集電体11を用いて集電する構造となっている。このように、正極室5内の固体電解質1に沿って設けた集電体11を用いて集電することにより、固体電解質1と集電体11との間隙に存在する多孔質導電材12の厚さを比較的小さくして、その抵抗低減により電池効率の向上や電池温度増加の防止が実現されて、ナトリウム硫黄電池システムからの放電エネルギーの供給増加が可能となる。なお、集電体11を設けることによる効果は固体電解質1を直立した場合にも得られて、多孔質導電材12の抵抗低減が可能となる。但し、電池抵抗を特に低減するためには、上述のように固体電解質1を水平方向や斜め方向に寝かせた構造が望ましい。また、図4に示されたように、集電体11の断面構造を円形形状にすることにより、集電体11の円形状部分と有底袋管状の固体電解質1の側面との間隙をほぼ一定にすることができ、この円形状部分の間隙に充填された多孔質導電材12の厚さ方向の電気抵抗がほぼ一定となって、電流分布が均一になり、電池効率が向上し易いという利点がある。
【0049】
ここで、ナトリウム硫黄電池の充電時には、正極活物質14である多硫化ナトリウムが多孔質材13や多孔質導電材12の表面張力によって集電体11の外側の正極活物質14の液相から吸い上げられ、多孔質導電材12の内部などで電気分解されて、生成したナトリウムイオンが固体電解質1を通って負極室4内へ移動する必要がある。また、充電が進むにつれて正極室5内の正極活物質14の液面が低下して、正極活物質14を構成する多硫化ナトリウムが多孔質材や多孔質導電材と接触しなくなると、充電が停止するという問題がある。この問題に対処して電池容量を向上するためには、正極室5内の空間に存在する多硫化ナトリウムが多孔質材13や多孔質導電材12に接触し易い構造を採用することが望ましく、図4の構造においては、正極容器の下側33の肉厚を厚くすることにより、正極容器の下側33と集電体11の下側との間隔を狭くしている。こうすることによって、充電によって比重の大きい多硫化ナトリウムの液面が低下した場合にも、多硫化ナトリウムが多孔質導電材12や多孔質材13と接触し易くなって、充電停止が起こり難くなり、正極活物質14が同じ量収納された場合でも電池容量が向上するという利点が得られる。
【0050】
また、図示されていないが、集電体11の下側を正極容器の下側33と接触させることにより、充電向上により電池容量を特に高めると共に、水平置きや斜め置きした際に固体電解質1に加わるモーメントなどの荷重が多孔質導電材12や多孔質材13を介して集電体11や正極容器3で支持されて、ナトリウム硫黄電池の機械的信頼性が向上する。なお、同様な効果は集電体11を設けずに、固体電解質1と正極容器3との間に多孔質導電材や多孔質材を充填して電池を横置きした際にも実現できるが、図4の構造においては集電体11が設けられているために、同じ電池容量であっても固体電解質1に近接した多孔質導電材12や多孔質材13の厚さが比較的小さくできる。その結果として、上記抵抗低減と共に、固体電解質1を支持し易くなったり、逆に多孔質導電材12や多孔質材13の厚さが同じ場合には電池容量が大きくできて、ナトリウム硫黄電池の機械的信頼性向上と電池容量向上との両立が可能になるという利点がある。
【0051】
さらに、図4に示したナトリウム硫黄電池の構造においては、正極の抵抗は主に集電体11と多孔質導電材12及び多孔質材13で決まり、正極容器3の容積は電池抵抗にあまり関係しないため、固体電解質1と集電体11との間隙を小さくすることによって、多孔質導電材12の面方向の抵抗が小さくでき、電池効率が向上すると共に、正極容器3の寸法を拡大して正極室5の体積を大きくすることにより、電池の大容量化が達成される。すなわち、これらの結果、電池抵抗を低く保ちながら、構成部品をあまり増やすこと無く電池の大容量化が可能で、この結果、単位平均放電出力当たりの電池数が少なくできて、低コスト化が容易に実現できるナトリウム硫黄電池システムが得られる。
【0052】
なお、集電体11を用いない場合にも、同様な大容量化は正極容器3の寸法を拡大することによって可能であるが、この構造では多孔質導電材12を正極容器3と接触させる必要があるために、正極容器3を軸方向に垂直な方向に広げた場合には、多孔質導電材12の厚さが増加して、電池抵抗が拡大し、電池効率が低下しやすくなるという問題がある。また、正極容器を軸方向に広げた場合には、有底袋管状の固体電解質1から遠い位置に存在する正極活物質14が多孔質導電材12や多孔質材13の端部のみと接触するために、多孔質導電材12や多孔質材13への吸い上げが困難になって、電池容量の拡大が困難になる問題もある。一方、集電体11を設けた構造では、集電体11と正極容器3の側面との間に隙間があるために、正極活物質14がこの隙間を移動して多孔質導電材12や多孔質材13と広い範囲で接触して、多孔質導電材12や多孔質材13への吸い上げが容易に行われ、電池容量の拡大が実現される。また、このためには、図4のように有底袋管状の固体電解質1を水平方向や斜め方向に寝かした構造が望ましく、こうすることによって、正極活物質14が集電体11と正極容器3との隙間に広い範囲移動できて、電池容量や電池効率が特に向上するという利点が得られる。
【0053】
また、電池効率を向上させて放電出力を増加したり、電池温度の増加を防止するためには、電池の内部抵抗をできるだけ小さくすることが望ましく、このためには集電体11にAlやAl合金又はAl合金とSUSなどのクラッド材を用いることが望ましいが、この場合には集電体11と接合又は一体化される正極容器3にもAl,Al合金やクラッド材を用いることが望ましい。ここで、正極容器3をAl以外の金属製とした場合には、AlやAl合金製の集電体11との接合や一体化が極めて困難になると共に、正極容器の電気抵抗が増加したり、多硫化ナトリウムや硫黄で腐食し易くなるという欠点がある。このように、正極容器3としてAlやAl合金を用いる場合、ナトリウム硫黄電池では運転温度が約290℃以上と比較的高いため、外部空気圧と内部圧力との差圧によって、正極容器3が曲げクリープ変形する問題があり、この変形防止のためには、図4で説明したように正極容器3を円筒形状にすることが望ましい。
【0054】
具体例として、図4に示すように、固体電解質1としてリチウムドープのβ″アルミナ焼結体からなる外径約60mm,長さ約600mm,肉厚約1.5mm の円筒状有底袋管を用いた。また、負極容器2,正極容器3及びナトリウム容器8の材料にはAl合金AA3003を、集電体11には貫通部15を設けたAl合金AA3003の胴部表面にクロム/鉄合金,ステライトやコクラリーを溶射したものを用いた。なお、集電体11の断面形状は円形で、集電体11の横方向端部を円筒形状の正極容器3の側部と接続した。
【0055】
一方、絶縁部材6としてはαアルミナ焼結体リングを用い、有底袋管状の固体電解質1の開口部とガラス接合した後、焼結体リングの表面に負極容器本体21の端部と、正極容器本体31の端部とを配置し、Al−Mg系のAl合金箔AA5005を用いて、負極容器本体21,正極容器本体31と絶縁部材6とを熱圧接した。なお、図示されていないが、この熱圧接の際には、負極容器本体21や正極容器本体31から分離されたフランジ部を絶縁部材6と熱圧接した後に、フランジ部を負極容器本体21や正極容器本体31と接合することも可能であり、こうすることにより、電池容量の変化のために負極容器本体や正極容器本体の長さが異なる場合にも、同じ圧接装置で容易に熱圧接できるという利点が得られる。
【0056】
次に、貫通孔10を錫の重量%が50%以上から成るハンダ、例えばSn91Zn,Sn96.5AgやSn95Sbで封止した状態で、ナトリウム容器封止部80よりナトリウム容器8の内部にナトリウム7と約0.02MPa のArから成る不活性ガス9を充填し、ナトリウム容器封止部80を接合で封止した。そして、ナトリウム容器8を負極室4内に収納して、負極容器本体21と負極容器蓋22とを接合した後、負極室4内を真空引きし、負極容器蓋22に設けた負極封止部20を封止して、負極容器2を製作した。なお、この構造では電池運転時に昇温することにより、ナトリウム7が液化すると共にハンダが溶解・溶融して、貫通孔10が開口され、不活性ガス9の圧力によってナトリウム7が横置きのナトリウム容器8の底部に設けた貫通孔10を通って、固体電解質1の内表面を覆うことになる。
【0057】
一方、有底袋管状の固体電解質1の側面と集電体11の側面との間に、径方向の厚さが約8mmのリング状のPAN系炭素繊維マットから成る多孔質導電材12と、ガラス繊維集合体から成る厚さ約0.3mm の多孔質材13を充填し、正極室5内に正極活物質14として硫黄を含浸した。そして、正極容器本体31と正極容器蓋32とを接合した後に、正極室5内に約0.05MPa のArガスを充填し、正極容器蓋32に設けた正極封止部30を封止することによってナトリウム硫黄電池を製作して、このナトリウム硫黄電池を断熱容器内に収納してナトリウム硫黄電池システムを構築した。
【0058】
ここで、この実施例で得られたナトリウム硫黄電池の内部抵抗は約1mΩと小さいために電池効率は高く、電池容量は約1750Ahと大きい。このために、単位平均放電出力当たりのナトリウム硫黄電池数が比較的小さくでき、このナトリウム硫黄電池を収納して構成されるナトリウム硫黄電池システムが低コスト化できるという利点が得られる。また、このナトリウム硫黄電池システムの利用方法として、使用目的に対応して単位平均放電出力当たりの電池数を選定することにより、ナトリウムや正極活物質の無駄が無く、産業用電力,業務用電力や電灯用電力などの種々の目的に使用することが可能である。
【0059】
なお、図1,図2,図3に示したナトリウム硫黄電池システムの平均放電出力はそれぞれ約7kW,200kW,250kWであり、このナトリウム硫黄電池システムでの単位平均放電出力当たりのナトリウム硫黄電池数はそれぞれ約4.3本/kW,3.3本/kW,2.1本/kWにできるため、放電時間の短いナトリウム硫黄電池システムのコストが特に低減できるという利点がある。また、図2,図3に示した運転手段では、必要な電池容量が上記ナトリウム硫黄電池の電池容量よりも小さくても運転が可能なため、図4に示した負極容器本体21や正極容器本体31の軸方向長さを低減して得られた電池容量の小さいナトリウム硫黄電池、例えば、図2では1330Ah、図3では820Ahの電池容量のナトリウム硫黄電池を用いて、ナトリウム硫黄電池システムのコストをさらに低減することも可能である。
【0060】
【発明の効果】
本発明においては、ナトリウム硫黄電池システムの低コスト化が可能であると共に、利用目的に応じて単位平均放電出力当たりのナトリウム硫黄電池数を設定して、ナトリウム硫黄電池システムを構築することにより、電池温度が許容温度範囲を超える問題を防止して、ナトリウム硫黄電池の信頼性を向上できるという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態であるナトリウム硫黄電池システムでの電力の経時変化図。
【図2】本発明の他の実施例であるナトリウム硫黄電池システムでの電力の経時変化図。
【図3】本発明の他の実施例であるナトリウム硫黄電池システムでの電力の経時変化図。
【図4】本発明のナトリウム硫黄電池システムに用いるナトリウム硫黄電池の断面図。
【符号の説明】
1…固体電解質、2…負極容器、3…正極容器、4…負極室、5…正極室、6…絶縁部材、7…ナトリウム、8…ナトリウム容器、9…不活性ガス、10…貫通孔、11…集電体、12…多孔質導電材、13…多孔質材、14…正極活物質、15…貫通部、20…負極封止部、21…負極容器本体、22…負極容器蓋、30…正極封止部、31…正極容器本体、32…正極容器蓋、33…正極容器の下側、80…ナトリウム容器封止部。
【発明の属する技術分野】
本発明は、電力貯蔵装置として用いるに好適なナトリウム硫黄電池システムの構築方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
負極室内に液体ナトリウム、正極室内に硫黄,多硫化ナトリウムなどの正極活物質を充填し、負極室/正極室間をβ型やβ″型のベータアルミナセラミックス製の固体電解質袋管で分離した構造のナトリウム硫黄電池を断熱容器内に収納して得られるナトリウム硫黄電池システムは、長寿命でエネルギー密度が大きいことから注目され、電力貯蔵装置への利用が期待されている。このナトリウム硫黄電池システムの実用化のためには、ナトリウム硫黄電池の信頼性,安全性の確保と共に低コスト化が不可欠であり、このためには、ナトリウム硫黄電池の内部抵抗を低減して電池効率を向上したり、電池容量を大型化して、kWやkWh当たりのナトリウム硫黄電池数を低減することが望ましく、そのための対策が重要である。
【0003】
また、電力需要でのナトリウム硫黄電池システムの利用目的に応じて、ナトリウム硫黄電池数を適正化することが重要であり、この対策が不十分であれば、電池温度の制約などの原因でナトリウム硫黄電池の容量の一部しか利用できず、その結果としてナトリウム硫黄電池に含まれるナトリウムや正極活物質の一部が無駄になって、ナトリウム硫黄電池システムのコストが高くなるという問題を生ずる。
【0004】
なお、ナトリウム硫黄電池の電池効率を向上したり電池容量を大型化するには、ナトリウム硫黄電池に用いられる固体電解質袋管を水平方向や斜め方向に横置きすることが有効で、これに関しては特公昭59−13155号公報や特開2002−8712号公報等に記載されているが、これらは、利用目的に応じてナトリウム硫黄電池システムに収納するナトリウム硫黄電池数を適正化することについての記載は無い。
【0005】
【特許文献1】
特公昭59−13155号公報
【特許文献2】
特開2002−8712号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来技術の欠点を除き、低コスト化に適したナトリウム硫黄電池システムの構築方法を提供するにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のナトリウム硫黄電池システムの構築方法は、放電時間の短い電力需要であると設定された利用目的に用いる第一のナトリウム硫黄電池システムに収納する単位平均放電出力当たりのナトリウム硫黄電池数を、放電時間の長い電力需要であると設定された利用目的に用いる第二のナトリウム硫黄電池システムに収納する単位平均放電出力当たりのナトリウム硫黄電池数よりも小さくすることを特徴としている。ここで、前記第一のナトリウム硫黄電池システムの平均放電出力を、前記第二のナトリウム硫黄電池システムの平均放電出力より大きくすることが望ましい。
【0008】
また、前記第一のナトリウム硫黄電池システムに収納する単位平均放電出力当たりのナトリウム硫黄電池数を、前記第二のナトリウム硫黄電池システムに収納する単位平均放電出力当たりのナトリウム硫黄電池数×(前記放電時間の短い利用目的の放電時間/前記放電時間の長い利用目的の放電時間)1/2 以上にすること、又は/及び、前記第一のナトリウム硫黄電池システムに収納するナトリウム硫黄電池1個当たりの平均放電出力を、前記第二のナトリウム硫黄電池システムに収納するナトリウム硫黄電池1個当たりの平均放電出力以上で、前記第二のナトリウム硫黄電池システムに収納するナトリウム硫黄電池1個当たりの平均放電出力×(前記放電時間の長い利用目的の放電時間/前記放電時間の短い利用目的の放電時間)1/2 以下にすることが特に望ましい。
【0009】
さらに、前記第一のナトリウム硫黄電池システムに収納するナトリウム硫黄電池1個当たりの電池容量を、前記第二のナトリウム硫黄電池システムに収納するナトリウム硫黄電池1個当たりの電池容量以下で、前記第二のナトリウム硫黄電池システムに収納するナトリウム硫黄電池1個当たりの電池容量×(前記放電時間の短い利用目的の放電時間/前記放電時間の長い利用目的の放電時間)1/2 以上にすることが望ましい。
【0010】
また、前記放電時間の短い利用目的が産業用電力であり、前記放電時間の長い利用目的が業務用電力又は/及び電灯用電力であること、あるいは、前記放電時間の長い利用目的が電灯用電力であり、前記放電時間の短い利用目的が産業用電力又は/及び業務用電力であることが望ましく、前記利用目的での放電時間が電灯用電力>業務用電力>産業用電力であることも可能である。
【0011】
さらに、本発明のナトリウム硫黄電池システムにおいて、前記ナトリウム硫黄電池システムに収納するナトリウム硫黄電池として、ナトリウムを収納した負極室,硫黄又は/及び多硫化ナトリウムから成る正極活物質を収納した正極室、及び、前記負極室/正極室間を分離した固体電解質有底袋管を設け、該固体電解質有底袋管を水平方向又は斜め方向に寝かせたことが特に望ましい。
【0012】
本発明のナトリウム硫黄電池システムの構築方法により、利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムの低コスト化が実現される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面を用いて説明する。
【0014】
図1,図2,図3は本発明のナトリウム硫黄電池システムの利用方法の例を示している。図1は電灯用電力、図2は業務用電力、図3は産業用電力として使用される消費電力のナトリウム硫黄電池システムの利用例を示しており、この消費電力の内の斜線で示した部分を複数のナトリウム硫黄電池を収納したナトリウム硫黄電池システムの放電で賄っている。
【0015】
図1においては、例えばコンビニエンスストアやホテルで用いられる場合のように、電灯用電力が一日中使用されている例を示しており、その内の昼間の電力料金を賄うために、8時から22時までの電灯用電力を全てナトリウム硫黄電池システムの放電によって供給している。なお、使用目的によっては、電灯用電力を昼間や夜間の一部又は全部に用いる場合もあり、その消費電力条件に対応してナトリウム硫黄電池システムの放電時間や放電出力を定める必要があるが、一般に電灯用電力では消費電力のピークがあまり大きくないために、ナトリウム硫黄電池システムとしては特に大きな放電出力の供給は必要としない場合が多い。さらに、ナトリウム硫黄電池システムの使用効果を高めるためには、8時から22時までの消費電力の一部又は全部を放電で賄って、22時から翌日の8時までの間にナトリウム硫黄電池を充電することが、利用者にとっての電力料金低減のために望ましい。なお、22時から翌日の8時までの間にナトリウム硫黄電池を充電する効果は、業務用電力や産業用電力などに用いる場合にも同様である。
【0016】
一方、図2は主に昼間に仕事をするビルやオフィスなどで用いられる業務用電力の例を示している。業務用電力では一般に消費電力が比較的大きいため、ナトリウム硫黄電池システムによって消費電力をすべて賄うのは困難で、図示されているように、消費電力の内の一部をナトリウム硫黄電池システムの放電で賄うことにより、消費電力をピークカットすることが利用方法として適している。ここで、業務用電力の場合には、消費電力が大きい時間帯は8時間程度であり、また、その間の消費電力変化はあまり大きくないことが一般的である。また、この目的に用いるナトリウム硫黄電池システムの運転時間当たりの平均放電出力は、図1に示した電灯用電力に用いるナトリウム硫黄電池システムの運転時間当たりの平均放電出力よりも大きいのが一般的である。
【0017】
さらに、図3は工場で使用される産業用電力の例を示しており、産業の内容に応じて、比較的短い特定時間内に大電力が消費されている。このように、産業用電力では消費電力のピークが極めて大きいために、ナトリウム硫黄電池システムによって消費電力を全て賄うのは無理で、図2の場合と同様に、消費電力の一部をナトリウム硫黄電池システムの放電で賄うことにより、消費電力をピークカットするのが一般的である。また、この目的に用いるナトリウム硫黄電池システムの運転時間は小さく、運転時間当たりの平均放電出力は、図1に示した電灯用電力や、図2に示した業務用電力に用いるナトリウム硫黄電池システムの運転時間当たりの平均放電出力よりも大きいのが一般的である。
【0018】
図1,図2,図3で説明したように、ナトリウム硫黄電池システムを電灯用電力,業務用電力や産業用電力などに利用する場合には、利用目的に応じて放電時間や放電出力が変化するため、消費電力条件に対応してナトリウム硫黄電池システムの放電時間や放電出力を定めると共に、放電時間内でナトリウム硫黄電池の温度が許容温度範囲内に保たれる条件で、ナトリウム硫黄電池1個当たりの平均放電出力を出来るだけ大きくすることが、ナトリウム硫黄電池システムの低コスト化の構築方法として望ましい。こうすることによって、放電時間が小さいほどナトリウム硫黄電池1個当たりの平均放電出力を大きくすることが可能である。しかしながら、種々の利用目的に対して、ナトリウム硫黄電池システムとして単位平均放電出力当たりに同じナトリウム硫黄電池数を収納すれば、放電時間が短い運転の際にはナトリウム硫黄電池に含まれるナトリウムや正極活物質の一部が無駄になって、ナトリウム硫黄電池システムのコストが高くなるという問題を生ずる。
【0019】
なお、ここでナトリウム硫黄電池システムの平均放電出力は放電時間全体で供給される放電エネルギーを放電時間で割った平均値であり、ナトリウム硫黄電池システムでの単位平均放電出力当たりのナトリウム硫黄電池数は、ナトリウム硫黄電池システムに収納するナトリウム硫黄電池の全体の電池数を上記平均値で割った値に相当する。また、ナトリウム硫黄電池1個当たりの平均放電出力は、上記平均値をナトリウム硫黄電池の全体の電池数で割った値に相当する。
【0020】
この問題に対して、本発明のナトリウム硫黄電池システムの構築方法においては、放電時間の短い利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムでの単位平均放電出力当たりの電池数が、放電時間の長い利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムの単位平均放電出力当たりの電池数よりも小さくなるように、ナトリウム硫黄電池数を選定している。なお、ここで放電時間の短い利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムの平均放電出力を、放電時間の長い利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムの平均放電出力よりも大きくすることにより、消費電力のピークカットが有効に実施できる。こうすることによって、種々の利用目的に対応してナトリウム硫黄電池システムの放電時間と平均放電出力とを定めて、放電時間内でのナトリウム硫黄電池の温度を許容温度範囲内に保つと共に、用いるナトリウム硫黄電池数を適切に選定することにより、ナトリウムや正極活物質の無駄が低減できて、ナトリウム硫黄電池システムの低コスト化が実現される。なお、ナトリウム硫黄電池の許容温度範囲は約290〜370℃であるため、電池温度が約370℃を超えないように、ナトリウム硫黄電池の電池数や平均放電出力を定める必要がある。
【0021】
また、前記放電時間の短い利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムでの単位平均放電出力当たりの電池数を、前記放電時間の長い利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムでの単位平均出力当たりの電池数以下で、前記放電時間の長い利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムでの単位平均放電出力当たりの電池数×(前記放電時間の短い利用目的の放電時間/前記放電時間の長い利用目的の放電時間)1/2以上にすること、又は/及び、前記放電時間の短い利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムでの電池1個当たりの平均放電出力を、前記放電時間の長い利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムでの電池1個当たりの平均放電出力以上で、前記放電時間の長い利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムでの電池1個当たりの平均放電出力×(前記放電時間の長い利用目的の放電時間/前記放電時間の短い利用目的の放電時間)1/2 以下にすることが特に望ましい。さらに、前記放電時間の短い利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムでの電池1個当たりの電池容量を、前記放電時間の長い利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムでの電池1個当たりの電池容量以下で、前記放電時間の長い利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムでの電池1個当たりの電池容量×(前記放電時間の短い利用目的の放電時間/前記放電時間の長い利用目的の放電時間)1/2以上にすることが望ましい。
【0022】
ここで、ナトリウム硫黄電池システムの構築方法としては、放電時間が小さい利用目的の際には運転時間当たりの平均放電出力を大きくすることが望ましく、単位平均放電出力当たりの電池数を低減することによって、ナトリウム硫黄電池システムの低コスト化が実現できる。しかしながら、単位平均放電出力当たりの電池数が少なくなりすぎると、電池1個当たりの放電出力の増加によって電池の発熱量が増加して、許容温度範囲を超える問題がある。この問題に対して、電池の発熱量を制御するためには、以下の方法が有効である。
【0023】
即ち、ナトリウム硫黄電池の放電時の発熱量は、放電による発熱量(I2Rh :Iは放電電流の平均値、Rは電池抵抗、hは放電時間)とエントロピー変化による発熱量(0.05〜0.1×I2(V0−IR)h:V0 は電池の起電力)との和で与えられる。従って、電池抵抗が比較的小さい場合(V0≫IR)には、放電時の発熱量はI2h にほぼ比例し、利用方法の変化に対して放電時の発熱量をほぼ一定にするためには、放電電流の平均値を(1/h)1/2 に比例すれば良い。この結果、ナトリウム硫黄電池システムに収納する電池1個当たりの放電出力(I×(V0−IR))はほぼ(1/h)1/2 に比例し、一方、単位放電出力当たりの電池数は(h)1/2 に比例することになる。こうすることにより、放電時の発熱量は利用方法によらずほぼ一定となり、電池温度が許容範囲以上となって電池が劣化するのを防止できて、電池寿命が確保される。また、後述のように、放電時間の短い利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムでの単位平均放電出力当たりの電池数が小さくできて、ナトリウム硫黄電池システムの低コスト化が実現される。
【0024】
以上の理由により、単位放電出力当たりの電池数が(h)1/2 に比例することで放電時の発熱量がほぼ一定になるために、放電時間の短い利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムでの単位平均放電出力当たりの電池数を、放電時間の長い利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムでの単位平均放電出力当たりの電池数×(前記放電時間の短い利用目的の放電時間/前記放電時間の長い利用目的の放電時間)1/2 にすることが可能である。しかしながら、ナトリウム硫黄電池を運転する際には、放電末でもナトリウム量を少し残して、全てのナトリウムが電池反応するのを防止する必要がある。そのための残留ナトリウム量が利用目的によらずほぼ一定でも良いことを考慮すると、放電時間の短い利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムでの単位平均放電出力当たりの電池数を、放電時間の長い利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムでの単位平均放電出力当たりの電池数以下で、放電時間の長い利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムでの単位平均放電出力当たりの電池数×(前記放電時間の短い利用目的の放電時間/前記放電時間の長い利用目的の放電時間)1/2 以上にすることが望ましい。
【0025】
一方、ナトリウム硫黄電池の平均放電出力は(V0−IR)×Iで与えられるため、上記の理由により放電時の発熱量がほぼ一定になるためには、電池1個当たりの放電出力(I×(V0−IR))はほぼ(1/h)1/2 に比例する。このため、放電時間の短い利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムでの電池1個当たりの平均放電出力を、放電時間の長い利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムでの電池1個当たりの平均放電出力×(前記放電時間の長い利用目的の放電時間/前記放電時間の短い利用目的の放電時間)1/2とすることが可能である。なお、ここで放電電流が増すと上記のIRが無視できなくなる場合があり、その際には、平均放電出力は放電電流に比例した値よりも少し小さくなる。このために、放電時間の短い利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムでの電池1個当たりの平均放電出力を、放電時間の長い利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムでの電池1個当たりの平均放電出力以上で、放電時間の長い利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムでの電池1個当たりの平均放電出力×(前記放電時間の長い利用目的の放電時間/前記放電時間の短い利用目的の放電時間)1/2以下にすることが望ましい。
【0026】
ここで、上記のように電池1個当たりの平均放電出力を選ぶことにより、放電時の電池温度が許容範囲内になって、電池の劣化が防止され、電池寿命が向上するという利点が得られる。なお、場合によっては、ナトリウム硫黄電池システムの構築方法において、ナトリウム硫黄電池を収納する断熱容器の放熱量を高めることによって、電池1個当たりの平均放電出力を上記よりも高めて運転することも可能である。しかしながら、上記のように平均放電出力を選ぶことによって、1つの利用方法に応じてナトリウム硫黄電池を収納する断熱容器の放熱量を規定することにより、他の利用方法に用いる場合にも同じ断熱構造又は類似断熱構造の断熱容器を用いることができる。この結果として、種々の利用方法に用いるナトリウム硫黄電池システムの断熱容器が同じ方法で製造でき、利用目的に適したナトリウム硫黄電池システムの製造が容易で、低コスト化が容易に可能になるという利点が得られる。
【0027】
また、ナトリウム硫黄電池の電池容量は電池1個当たりの電流I×運転時間hを基に定められるため、上述のように放電時の発熱量をほぼ一定にするために放電電流の平均値を(1/h)1/2 に比例することにより、電池容量は(h)1/2 に比例する。従って、放電時間の短い利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムでの電池1個当たりの電池容量を、放電時間の長い利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムでの電池1個当たりの電池容量×(前記放電時間の短い利用目的の放電時間/前記放電時間の長い利用目的の放電時間)1/2にすることが可能であり、こうすることによって、電池容量が小さくできるために、ナトリウム硫黄電池システムの低コスト化が特に可能となる。但し、ナトリウム硫黄電池を運転する際には、放電末でもナトリウム量を少し残して、全てのナトリウムが電池反応するのを防止する必要がある。そのための残留ナトリウム量が利用目的によらずほぼ一定でも良いことを考慮すると、放電時間の短い利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムでの電池1個当たりの電池容量を、放電時間の長い利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムでの電池1個当たりの電池容量以下で、前記放電時間の長い利用目的に用いるナトリウム硫黄電池システムでの電池1個当たりの電池容量×(前記放電時間の短い利用目的の放電時間/前記放電時間の長い利用目的の放電時間)1/2以上にすることが望ましい。
【0028】
なお、ナトリウム硫黄電池の容量を減少するには、ナトリウム硫黄電池に含まれるナトリウムや正極活物質の量を減少する必要があり、こうすることによって、ナトリウムや正極活物質の無駄が省けて、電池コストが低減する。ここで、ナトリウム硫黄電池の負極容器や正極容器の体積を変えずにナトリウムや正極活物質の量を低減することも可能であるが、電池コストを特に低減するためには、負極容器や正極容器の体積も減少することが望ましい。また、場合によっては、電池容量を低減せず、利用目的に用いて放電した際に残った電池容量を、停電などの際への適用や非常用電源に用いることも考えられる。しかしながら、ナトリウム硫黄電池システムを特に低コスト化するためには、利用目的に応じて電池容量を低減することが望ましい。
【0029】
さらに、ナトリウム硫黄電池は電灯用電力,業務用電力や産業用電力などの種々の目的に利用されるが、図1〜図3に示されたように、放電時間の短い利用目的が産業用電力であり、放電時間の長い利用目的が業務用電力又は/及び電灯用電力であること、又は、放電時間の長い利用目的が電灯用電力であり、放電時間の短い利用目的が産業用電力又は/及び業務用電力であることが望ましい。また、前記利用目的での放電時間が電灯用電力>業務用電力>産業用電力であることも可能である。
【0030】
ここで、ナトリウム硫黄電池システムの放電時間や平均放電出力に対応して、単位平均放電出力当たりの電池数を産業用電力<業務用電力又は電灯用電力、あるいは、産業用電力又は業務用電力<電灯用電力にすると共に、電池1個当たりの平均放電出力を電灯用電力又は業務用電力<産業用電力、あるいは、電灯用電力<業務用電力又は産業用電力となるようにナトリウム硫黄電池システムを構築すること、又は、電池1個当たりの電池容量を産業用電力<業務用電力又は電灯用電力、あるいは、産業用電力又は業務用電力<電灯用電力となるように構築することによって、ナトリウムや正極活物質をあまり無駄にすることなく、低コストのナトリウム硫黄電池システムを種々の目的に利用することが可能である。
【0031】
なお、上記単位平均放電出力当たりの電池数は電池温度を許容温度範囲内に保つことで規定されるため、電灯用電力,業務用電力や産業用電力に利用する場合の放電時間の差が比較的小さく、その結果として電池1個当たりの平均放電出力の差が小さくなって、電池温度を許容範囲内に保つのに問題がない場合には、利用目的に応じて単位平均放電出力当たりに同じ電池数のナトリウム硫黄電池システムを構築することも可能である。
【0032】
また、本発明の構築方法に用いるナトリウム硫黄電池システムに収納されるナトリウム硫黄電池では、後述の図4に示されたように、有底袋管状の固体電解質を水平方向又は斜め方向に寝かせることにより、固体電解質を垂直方向に直立した場合に比べて電池効率が向上できて、放電出力の増加による電池温度の上昇を比較的低減できる。また、電池容量が拡大できて、これらの結果として、単位平均放電出力当たりの電池数が少なくできると共に、ナトリウム硫黄電池システムからの供給エネルギーが比較的大きくできて、ナトリウム硫黄電池システムの低コスト化が可能となる。
【0033】
図4は本発明に用いるナトリウム硫黄電池の構造例を示す断面図である。なお、本発明に用いられるナトリウム硫黄電池システムは、複数個のナトリウム硫黄電池を断熱容器内に収納して構築される。
【0034】
図4において、ナトリウムイオン導電性の固体電解質1には、普通β型やβ″型のベータアルミナセラミックスから成る有底袋管状の固体電解質が用いられ、固体電解質1は水平方向又は斜め方向に寝かせて配置されている。また、負極容器2,正極容器3は固体電解質1と共にそれぞれ負極室4,正極室5を構成しており、その材料としてはAl,Al合金やFe,Fe合金,SUS又はこれらの表面にCo基合金,Cr/Fe合金,Al/Si合金,SUS,Cr,C,Moなどを主体とする耐食層を設けたものや、Al合金とSUS等とのクラッド材が普通に用いられる。なお、負極容器2,正極容器3はそれぞれ、負極容器本体21と負極容器蓋22、及び、正極容器本体31と正極容器蓋32とを接合して構成されており、負極容器内や正極容器内を真空にしたり、窒素やアルゴンなどの不活性ガスを注入した状態で、負極封止部20及び正極封止部30を封止している。
【0035】
一方、絶縁部材6は負極容器2と正極容器3とを絶縁分離し、且つ、負極容器本体21,正極容器本体31と接合されており、普通αアルミナセラミックスを用いて、図示されていないが、有底袋管状の固体電解質1の開口部付近にガラス接合されたり、αアルミナやマグネシウムアルミニウムスピネルなどのセラミックスを用いて、固体電解質1の開口部と一体焼結されている。さらに、負極容器本体21や正極容器本体31と絶縁部材6との接合には、図示されていないが、AlやAl合金を接合材として用いて、接合材の液相線温度以下や固相線温度以下に加熱して、加圧接合する熱圧接法が一般に行われている。
【0036】
また、負極室4内にはナトリウム7を収納するSUSやAl合金などの金属製ナトリウム容器8が設けられており、図示されていないが、ナトリウム容器8に設けた貫通孔10をハンダ封止した状態でナトリウム容器封止部80よりナトリウムを注入し、ナトリウム容器封止部80を接合で封止した後、負極室4内に収納し、昇温してハンダを溶解・溶融することにより、貫通孔10を開口している。こうすることにより、ナトリウム7は放電時には重力や、負極室4の一部であるナトリウム容器8内に収納された窒素ガスやArガスなどの不活性ガス9の圧力で押され、一方、充電時には固体電解質1を通して侵入するナトリウムの圧力で押されて、ナトリウム容器8に設けた貫通孔10を出入りする。このようにナトリウム容器8を設けることにより、固体電解質1に隣接して存在するナトリウム7の量が少なくできて、固体電解質1が破損した際の電池の安全性が向上する。
【0037】
なお、図4においてナトリウム容器8は負極容器2と分離されているが、ナトリウム容器8と負極容器2とを一体化した構造も可能である。また、図示されていないが、ナトリウム容器8と有底袋管状の固体電解質1との間に有底袋管状の安全管を設けたり、固体電解質1とナトリウム容器8又は安全管との間隔を0.15mm以下程度にしたりして、電池の安全性を向上すること、及び、固体電解質1とナトリウム容器8又は安全管との間隔の下側に炭素繊維やガラス繊維などを収納して、横置きした際のナトリウム容器8又は安全管の固体電解質1への接触を防止して、固体電解質1の信頼性を向上することも可能である。
【0038】
さらに、正極室5内の固体電解質1の面に沿って、正極容器3と接続した集電体11が設けられ、集電体11と固体電解質1との間に多孔質導電材12と多孔質材13が設置されている。また、正極室5内には硫黄又は/及び多硫化ナトリウムから成る正極活物質14が充填されており、この正極活物質14が多孔質導電材12や多孔質材13に含浸されて、電池反応を促進している。なお、図4の構造では、正極容器3の側面が円筒形状となっているが、この代わりに直方体形状や楕円筒形状とすることも可能である。但し、正極容器3の機械的強度を向上するためには円筒形状を用いることが望ましく、特に正極容器3としてAl合金を用いた場合には、円筒形状を用いることが特に望ましい。
【0039】
ここで、多孔質導電材12には炭素繊維や炭素粉末の集合体が用いられ、特に固体電解質1の面に沿った厚さが1〜20mm程度の、約1300〜2000℃で加熱されたPAN(ポリアクリロニトリル)系やピッチ系の炭素繊維マットを用いることが望ましい。さらに、炭素繊維が面方向に配列したリング形状などのマットを用いて、炭素繊維マットの面方向が固体電解質1の面に垂直になるように設置することにより、固体電解質1の面方向に沿った炭素繊維マットの抵抗を低減して、電池効率を向上することができる。また、同様な効果は多孔質導電材12として短冊状や台形状の炭素繊維マットを用いた場合にも実現され、炭素繊維の大半を炭素繊維マット面に平行に配置し、炭素繊維マット面に垂直にこの炭素繊維マットを短冊状や台形状に切断して、炭素繊維マット面が有底袋管状の固体電解質1の面に垂直になるように、短冊状や台形状の炭素繊維マットをラセン状又は円周状に巻きつけることにより、炭素繊維マットの抵抗低減の効果が得られる。
【0040】
一方、多孔質材13には普通アルミナなどのセラミックスやガラスの繊維や粒子の集合体が用いられ、固体電解質1の面に沿った厚さを0.1〜0.5mm程度にすることが望ましい。ここで、図示されていないが、炭素繊維マットを有底袋管状の固体電解質1の軸方向に積層して充填し、積層された炭素繊維マット同士の間に空隙や多孔質材を設けたり、貫通部を形成した金属板,木板,セラミックス板やガラス板などを設けたりして、正極活物質14が多孔質導電材12内部を移動し易くすることも可能である。なお、多孔質材13に用いるガラス繊維としては、SiO295〜99.8%,Al2O35〜0.1%,K2O とCaO<0.15%程度であるのが望ましく、できるだけK2O やCaOの少ない材料を用いることが特に望ましい。
【0041】
また、正極活物質14の体積を多孔質導電材12や多孔質材13の空隙体積よりも大きくして、多孔質導電材12や多孔質材13に含浸される以外に、正極室5内の集電体11の外側に正極活物質14の液相を形成し、集電体11に貫通部15を設けて集電体11の内外に正極活物質14を移動させることにより、電池容量の拡大を図ることができる。
【0042】
ここで、集電体11としては厚さ0.3〜5mm 程度のAl,Al合金やこれらとSUS等とのクラッド材を用いて、多孔質導電材12との接触面にCo基合金,Cr/Fe合金,Al/Si合金,SUS,Cr,C,MoやCr,Moの炭化物や窒化物などの耐食性導電層を溶射やメッキなどの方法で設けたり、これら耐食性の粒子や繊維をAlやAl合金の表面へ接合又は埋め込んだものが用いられる。さらに、貫通部15としては直径や幅,長さが1〜10mm程度の円形や直方体の孔、又は、これらの間に幅1〜10mmのスリットを設けたものを用い、面積割合としては集電体11の面積の5〜50%程度が望ましい。
【0043】
本発明に用いるナトリウム硫黄電池としては、図4に記載されたように、有底袋管状の固体電解質1を水平方向又は斜め方向に寝かせて配置することが望ましい。こうすることにより、電池容量向上のために軸方向に負極容器2や正極容器3を伸ばしても、正極室5の上下方向の高さはあまり大きくならず、その結果として正極活物質14の濃度分布や組成分布が付きにくくなって、電池効率の低下や電池抵抗の増加による電池温度の増加が防止されて、ナトリウム硫黄電池からの放電エネルギーが比較的大きく供給できて、ナトリウム硫黄電池システムの低コスト化が可能になるという利点が得られる。
【0044】
一方、正極容器3を軸方向に伸ばした場合に有底袋管状の固体電解質1を直立して設置すると、正極室内の上下方向に重力によって正極活物質14の濃度分布や組成分布が付きやすく、この結果、電池内に起電力分布を生じて循環電流が流れ、起電力の低下や電池抵抗増加によって、電池効率が低下するという問題が発生する。なお、上記組成分布の原因は、正極活物質14を構成する多硫化ナトリウムが硫黄に融けず、且つ、比重が硫黄よりも大きいために正極室5内の下側に溜まること、及び、正極室5内に多硫化ナトリウムが存在する場所と硫黄が存在する場所とで、電池の起電力が異なり易いことに基づいている。
【0045】
さらに、ナトリウム硫黄電池を電池1個当たりの平均放電出力が大きい利用目的に用いる場合には、放電電流の平均値の増加によって電池効率が低下する問題が発生するが、図4のように有底袋管状の固体電解質1を水平方向又は斜め方向に寝かして配置することにより、固体電解質1を直立に配置した構造よりもナトリウム硫黄電池の電池効率が高くできるという利点が得られる。即ち、普通に用いられるように長さが直径よりも大きい有底袋管状の固体電解質1を用いた際には、正極室5の鉛直方向の高さが固体電解質1を直立に配置した場合よりも小さくなり、正極室5内の上下方向に重力による正極活物質14の濃度分布や組成分布が付きにくくなって、電池内に起電力分布やそれに基づく循環電流が起こりにくく、これらの結果として電池抵抗の増加が防止されて、電池効率が向上する。なお、電池効率は一般に(電池の起電力−電流量×電池抵抗)/(電池の起電力+電流量×電池抵抗)で与えられるために、電池効率向上には起電力の低下防止と共に電池抵抗低減が有効であり、この結果として、電池抵抗×電流量の二乗に対応する電池の発熱量が低下する。すなわち、電池を水平方向又は斜め方向に寝かせた構造にすることにより、平均放電出力が増加した場合の電池温度の増加が比較的小さくできて、ナトリウム硫黄電池システムの放電エネルギーの供給向上による低コスト化が可能となる。
【0046】
ここで、有底袋管状の固体電解質1としては長さが直径よりも大きいことが望ましく、こうすることにより、固体電解質1の内容積と表面積との比を比較的小さくすることができる。この結果、直径が長さと同程度又は直径の方が大きい固体電解質1を用いた場合に比べて、同じナトリウム量を同じ時間内に運転する際の固体電解質1の表面積当りの電流密度を小さくすることができ、その結果として電流量×電池抵抗で与えられる電圧変化が小さくなって、電池効率の増加や発熱量の低減ができるという利点がある。なお、この効果は単電池を大型化するために有底袋管状の固体電解質1の体積を大きくした場合に特に顕著で、この構造により、電池の大型化すなわち大容量化と効率向上との両立が可能である。
【0047】
また、有底袋管状の固体電解質1を斜めに設置する場合、固体電解質1の軸方向と水平方向との角度を±45°以下にして、正極室5の鉛直方向の高さを低減することが望ましい。さらに、多孔質導電材12や多孔質材13の表面張力による正極活物質14の吸い上げ高さを考慮すると、多孔質導電材12や多孔質材13の鉛直方向の高さが15cm以下になる角度に固体電解質1を傾けることが望ましい。勿論、電池効率向上や電池温度の増加防止の目的で正極室5の鉛直方向の高さを小さくするためには、固体電解質1を水平設置することが特に望ましい。また、この効果はナトリウム硫黄電池の大容量化のために有底袋管状の固体電解質1の軸方向の長さを大きくした場合に特に顕著で、有底袋管状の固体電解質1を水平方向又は斜め方向に寝かした構造により、電池の大容量化と効率向上との両立が可能である。
【0048】
さらに、図4の構造においては、有底袋管状の固体電解質1を水平方向や斜め方向に寝かせた構造となっていると共に、固体電解質1の面に沿って正極室5内に設けた集電体11を用いて集電する構造となっている。このように、正極室5内の固体電解質1に沿って設けた集電体11を用いて集電することにより、固体電解質1と集電体11との間隙に存在する多孔質導電材12の厚さを比較的小さくして、その抵抗低減により電池効率の向上や電池温度増加の防止が実現されて、ナトリウム硫黄電池システムからの放電エネルギーの供給増加が可能となる。なお、集電体11を設けることによる効果は固体電解質1を直立した場合にも得られて、多孔質導電材12の抵抗低減が可能となる。但し、電池抵抗を特に低減するためには、上述のように固体電解質1を水平方向や斜め方向に寝かせた構造が望ましい。また、図4に示されたように、集電体11の断面構造を円形形状にすることにより、集電体11の円形状部分と有底袋管状の固体電解質1の側面との間隙をほぼ一定にすることができ、この円形状部分の間隙に充填された多孔質導電材12の厚さ方向の電気抵抗がほぼ一定となって、電流分布が均一になり、電池効率が向上し易いという利点がある。
【0049】
ここで、ナトリウム硫黄電池の充電時には、正極活物質14である多硫化ナトリウムが多孔質材13や多孔質導電材12の表面張力によって集電体11の外側の正極活物質14の液相から吸い上げられ、多孔質導電材12の内部などで電気分解されて、生成したナトリウムイオンが固体電解質1を通って負極室4内へ移動する必要がある。また、充電が進むにつれて正極室5内の正極活物質14の液面が低下して、正極活物質14を構成する多硫化ナトリウムが多孔質材や多孔質導電材と接触しなくなると、充電が停止するという問題がある。この問題に対処して電池容量を向上するためには、正極室5内の空間に存在する多硫化ナトリウムが多孔質材13や多孔質導電材12に接触し易い構造を採用することが望ましく、図4の構造においては、正極容器の下側33の肉厚を厚くすることにより、正極容器の下側33と集電体11の下側との間隔を狭くしている。こうすることによって、充電によって比重の大きい多硫化ナトリウムの液面が低下した場合にも、多硫化ナトリウムが多孔質導電材12や多孔質材13と接触し易くなって、充電停止が起こり難くなり、正極活物質14が同じ量収納された場合でも電池容量が向上するという利点が得られる。
【0050】
また、図示されていないが、集電体11の下側を正極容器の下側33と接触させることにより、充電向上により電池容量を特に高めると共に、水平置きや斜め置きした際に固体電解質1に加わるモーメントなどの荷重が多孔質導電材12や多孔質材13を介して集電体11や正極容器3で支持されて、ナトリウム硫黄電池の機械的信頼性が向上する。なお、同様な効果は集電体11を設けずに、固体電解質1と正極容器3との間に多孔質導電材や多孔質材を充填して電池を横置きした際にも実現できるが、図4の構造においては集電体11が設けられているために、同じ電池容量であっても固体電解質1に近接した多孔質導電材12や多孔質材13の厚さが比較的小さくできる。その結果として、上記抵抗低減と共に、固体電解質1を支持し易くなったり、逆に多孔質導電材12や多孔質材13の厚さが同じ場合には電池容量が大きくできて、ナトリウム硫黄電池の機械的信頼性向上と電池容量向上との両立が可能になるという利点がある。
【0051】
さらに、図4に示したナトリウム硫黄電池の構造においては、正極の抵抗は主に集電体11と多孔質導電材12及び多孔質材13で決まり、正極容器3の容積は電池抵抗にあまり関係しないため、固体電解質1と集電体11との間隙を小さくすることによって、多孔質導電材12の面方向の抵抗が小さくでき、電池効率が向上すると共に、正極容器3の寸法を拡大して正極室5の体積を大きくすることにより、電池の大容量化が達成される。すなわち、これらの結果、電池抵抗を低く保ちながら、構成部品をあまり増やすこと無く電池の大容量化が可能で、この結果、単位平均放電出力当たりの電池数が少なくできて、低コスト化が容易に実現できるナトリウム硫黄電池システムが得られる。
【0052】
なお、集電体11を用いない場合にも、同様な大容量化は正極容器3の寸法を拡大することによって可能であるが、この構造では多孔質導電材12を正極容器3と接触させる必要があるために、正極容器3を軸方向に垂直な方向に広げた場合には、多孔質導電材12の厚さが増加して、電池抵抗が拡大し、電池効率が低下しやすくなるという問題がある。また、正極容器を軸方向に広げた場合には、有底袋管状の固体電解質1から遠い位置に存在する正極活物質14が多孔質導電材12や多孔質材13の端部のみと接触するために、多孔質導電材12や多孔質材13への吸い上げが困難になって、電池容量の拡大が困難になる問題もある。一方、集電体11を設けた構造では、集電体11と正極容器3の側面との間に隙間があるために、正極活物質14がこの隙間を移動して多孔質導電材12や多孔質材13と広い範囲で接触して、多孔質導電材12や多孔質材13への吸い上げが容易に行われ、電池容量の拡大が実現される。また、このためには、図4のように有底袋管状の固体電解質1を水平方向や斜め方向に寝かした構造が望ましく、こうすることによって、正極活物質14が集電体11と正極容器3との隙間に広い範囲移動できて、電池容量や電池効率が特に向上するという利点が得られる。
【0053】
また、電池効率を向上させて放電出力を増加したり、電池温度の増加を防止するためには、電池の内部抵抗をできるだけ小さくすることが望ましく、このためには集電体11にAlやAl合金又はAl合金とSUSなどのクラッド材を用いることが望ましいが、この場合には集電体11と接合又は一体化される正極容器3にもAl,Al合金やクラッド材を用いることが望ましい。ここで、正極容器3をAl以外の金属製とした場合には、AlやAl合金製の集電体11との接合や一体化が極めて困難になると共に、正極容器の電気抵抗が増加したり、多硫化ナトリウムや硫黄で腐食し易くなるという欠点がある。このように、正極容器3としてAlやAl合金を用いる場合、ナトリウム硫黄電池では運転温度が約290℃以上と比較的高いため、外部空気圧と内部圧力との差圧によって、正極容器3が曲げクリープ変形する問題があり、この変形防止のためには、図4で説明したように正極容器3を円筒形状にすることが望ましい。
【0054】
具体例として、図4に示すように、固体電解質1としてリチウムドープのβ″アルミナ焼結体からなる外径約60mm,長さ約600mm,肉厚約1.5mm の円筒状有底袋管を用いた。また、負極容器2,正極容器3及びナトリウム容器8の材料にはAl合金AA3003を、集電体11には貫通部15を設けたAl合金AA3003の胴部表面にクロム/鉄合金,ステライトやコクラリーを溶射したものを用いた。なお、集電体11の断面形状は円形で、集電体11の横方向端部を円筒形状の正極容器3の側部と接続した。
【0055】
一方、絶縁部材6としてはαアルミナ焼結体リングを用い、有底袋管状の固体電解質1の開口部とガラス接合した後、焼結体リングの表面に負極容器本体21の端部と、正極容器本体31の端部とを配置し、Al−Mg系のAl合金箔AA5005を用いて、負極容器本体21,正極容器本体31と絶縁部材6とを熱圧接した。なお、図示されていないが、この熱圧接の際には、負極容器本体21や正極容器本体31から分離されたフランジ部を絶縁部材6と熱圧接した後に、フランジ部を負極容器本体21や正極容器本体31と接合することも可能であり、こうすることにより、電池容量の変化のために負極容器本体や正極容器本体の長さが異なる場合にも、同じ圧接装置で容易に熱圧接できるという利点が得られる。
【0056】
次に、貫通孔10を錫の重量%が50%以上から成るハンダ、例えばSn91Zn,Sn96.5AgやSn95Sbで封止した状態で、ナトリウム容器封止部80よりナトリウム容器8の内部にナトリウム7と約0.02MPa のArから成る不活性ガス9を充填し、ナトリウム容器封止部80を接合で封止した。そして、ナトリウム容器8を負極室4内に収納して、負極容器本体21と負極容器蓋22とを接合した後、負極室4内を真空引きし、負極容器蓋22に設けた負極封止部20を封止して、負極容器2を製作した。なお、この構造では電池運転時に昇温することにより、ナトリウム7が液化すると共にハンダが溶解・溶融して、貫通孔10が開口され、不活性ガス9の圧力によってナトリウム7が横置きのナトリウム容器8の底部に設けた貫通孔10を通って、固体電解質1の内表面を覆うことになる。
【0057】
一方、有底袋管状の固体電解質1の側面と集電体11の側面との間に、径方向の厚さが約8mmのリング状のPAN系炭素繊維マットから成る多孔質導電材12と、ガラス繊維集合体から成る厚さ約0.3mm の多孔質材13を充填し、正極室5内に正極活物質14として硫黄を含浸した。そして、正極容器本体31と正極容器蓋32とを接合した後に、正極室5内に約0.05MPa のArガスを充填し、正極容器蓋32に設けた正極封止部30を封止することによってナトリウム硫黄電池を製作して、このナトリウム硫黄電池を断熱容器内に収納してナトリウム硫黄電池システムを構築した。
【0058】
ここで、この実施例で得られたナトリウム硫黄電池の内部抵抗は約1mΩと小さいために電池効率は高く、電池容量は約1750Ahと大きい。このために、単位平均放電出力当たりのナトリウム硫黄電池数が比較的小さくでき、このナトリウム硫黄電池を収納して構成されるナトリウム硫黄電池システムが低コスト化できるという利点が得られる。また、このナトリウム硫黄電池システムの利用方法として、使用目的に対応して単位平均放電出力当たりの電池数を選定することにより、ナトリウムや正極活物質の無駄が無く、産業用電力,業務用電力や電灯用電力などの種々の目的に使用することが可能である。
【0059】
なお、図1,図2,図3に示したナトリウム硫黄電池システムの平均放電出力はそれぞれ約7kW,200kW,250kWであり、このナトリウム硫黄電池システムでの単位平均放電出力当たりのナトリウム硫黄電池数はそれぞれ約4.3本/kW,3.3本/kW,2.1本/kWにできるため、放電時間の短いナトリウム硫黄電池システムのコストが特に低減できるという利点がある。また、図2,図3に示した運転手段では、必要な電池容量が上記ナトリウム硫黄電池の電池容量よりも小さくても運転が可能なため、図4に示した負極容器本体21や正極容器本体31の軸方向長さを低減して得られた電池容量の小さいナトリウム硫黄電池、例えば、図2では1330Ah、図3では820Ahの電池容量のナトリウム硫黄電池を用いて、ナトリウム硫黄電池システムのコストをさらに低減することも可能である。
【0060】
【発明の効果】
本発明においては、ナトリウム硫黄電池システムの低コスト化が可能であると共に、利用目的に応じて単位平均放電出力当たりのナトリウム硫黄電池数を設定して、ナトリウム硫黄電池システムを構築することにより、電池温度が許容温度範囲を超える問題を防止して、ナトリウム硫黄電池の信頼性を向上できるという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態であるナトリウム硫黄電池システムでの電力の経時変化図。
【図2】本発明の他の実施例であるナトリウム硫黄電池システムでの電力の経時変化図。
【図3】本発明の他の実施例であるナトリウム硫黄電池システムでの電力の経時変化図。
【図4】本発明のナトリウム硫黄電池システムに用いるナトリウム硫黄電池の断面図。
【符号の説明】
1…固体電解質、2…負極容器、3…正極容器、4…負極室、5…正極室、6…絶縁部材、7…ナトリウム、8…ナトリウム容器、9…不活性ガス、10…貫通孔、11…集電体、12…多孔質導電材、13…多孔質材、14…正極活物質、15…貫通部、20…負極封止部、21…負極容器本体、22…負極容器蓋、30…正極封止部、31…正極容器本体、32…正極容器蓋、33…正極容器の下側、80…ナトリウム容器封止部。
Claims (6)
- 放電時間の短い電力需要であると設定された利用目的に用いる第一のナトリウム硫黄電池システムに収納する単位平均放電出力当たりのナトリウム硫黄電池数を、放電時間の長い電力需要であると設定された利用目的に用いる第二のナトリウム硫黄電池システムに収納する単位平均放電出力当たりのナトリウム硫黄電池数よりも小さくすることを特徴とするナトリウム硫黄電池システムの構築方法。
- 請求項1において、前記第一のナトリウム硫黄電池システムに収納する単位平均放電出力当たりのナトリウム硫黄電池数を、前記第二のナトリウム硫黄電池システムに収納する単位平均放電出力当たりのナトリウム硫黄電池数×(前記放電時間の短い利用目的の放電時間/前記放電時間の長い利用目的の放電時間)1/2以上にすることを特徴とするナトリウム硫黄電池システムの構築方法。
- 請求項1又は2において、前記第一のナトリウム硫黄電池システムに収納するナトリウム硫黄電池1個当たりの平均放電出力を、前記第二のナトリウム硫黄電池システムに収納するナトリウム硫黄電池1個当たりの平均放電出力以上で、前記第二のナトリウム硫黄電池システムに収納するナトリウム硫黄電池1個当たりの平均放電出力×(前記放電時間の長い利用目的の放電時間/前記放電時間の短い利用目的の放電時間)1/2 以下にすることを特徴とするナトリウム硫黄電池システムの構築方法。
- 請求項1又は2において、前記第一のナトリウム硫黄電池システムに収納するナトリウム硫黄電池1個当たりの電池容量を、前記第二のナトリウム硫黄電池システムに収納するナトリウム硫黄電池1個当たりの電池容量以下で、前記第二のナトリウム硫黄電池システムに収納するナトリウム硫黄電池1個当たりの電池容量×(前記放電時間の短い利用目的の放電時間/前記放電時間の長い利用目的の放電時間)1/2 以上にすることを特徴とするナトリウム硫黄電池システムの構築方法。
- 請求項1において、前記放電時間の短い利用目的が産業用電力であり、前記放電時間の長い利用目的が業務用電力又は/及び電灯用電力であること、あるいは、前記放電時間の長い利用目的が電灯用電力であり、前記放電時間の短い利用目的が産業用電力又は/及び業務用電力であることを特徴とするナトリウム硫黄電池システムの構築方法。
- 請求項1において、前記ナトリウム硫黄電池システムに収納するナトリウム硫黄電池として、ナトリウムを収納した負極室,硫黄又は/及び多硫化ナトリウムから成る正極活物質を収納した正極室、及び、前記負極室/正極室間を分離した固体電解質有底袋管を設け、該固体電解質有底袋管を水平方向又は斜め方向に寝かせたことを特徴とするナトリウム硫黄電池システムの構築方法。
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