JP2003173933A - 固体電解コンデンサとその製造方法 - Google Patents
固体電解コンデンサとその製造方法Info
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Abstract
れたコンデンサとその製造法を提供。 【解決手段】 バルブ金属1表面に形成した誘電体皮膜
2上に、a)導電性高分子を形成した後、酸化剤ないし
は還元剤溶液と接触、熱処理、または電解液中でカソー
ド分極させて、電気伝導度を低下させて、第2固体電解
質層3’より低い電気伝導度の10−2〜10−10S
/cmに制御するか、あるいは、b)予め電気伝導度が
10−2〜10−10S/cmに制御された脱ドープ導
電性高分子またはイオン伝導性高分子を、直接形成し
て、第1固体電解質層3を形成し、次に、周知の導電性
高分子膜からなる第2固体電解質層3’を形成し、第1
及び第2固体電解質層を固体電解質陰極層4とした高耐
電圧コンデンサである。
Description
サとその製造方法に関し、より詳しくは、耐電圧を向上
させ、かつESRの上昇を抑制した固体電解コンデンサ
とその製造方法に関にする。
電体皮膜上に、ピロール、アニリン、チオフェン、エチ
レンジオキシチオフェン等のモノマーを、酸化剤と接触
させて化学酸化重合させたり、支持電解質と共に電解重
合させて、導電性高分子膜を形成させ、固体電解質とす
る固体電解コンデンサが、広く知られており、例えば、
特開昭63−173313号公報、特開平1−3261
9号公報等に開示されている。
ば、化学酸化重合の場合、ポリピロールで1〜10S/
cm、ポリアニリンで10−1〜1S/cmであり、ま
た電解重合の場合、ポリピロールで102S/cmであ
る。
バルブ陽極金属に対する導電性高分子の酸化皮膜形成能
力が低いため、熱ストレス等により、誘電体皮膜に欠陥
が生じた場合、欠陥付近に流れる電流によるジュール熱
によって、導電性高分子が絶縁化し、誘電体皮膜の欠陥
が修復されるが、導電性高分子の酸化皮膜形成能力が低
いため、耐電圧が低いという問題があった。
は、一般に、誘電体皮膜の形成時に陽極酸化電圧を高く
することにより、誘電体皮膜を厚くする方法が用いられ
ている。しかしながら、誘電体皮膜形成時の陽極酸化電
圧が50V前後までは、陽極酸化電圧と耐電圧は同等で
あるものの、電圧が50V超になると、電圧を上げて
も、耐電圧の上昇が小さく、高耐電圧とするためには、
誘電体皮膜を非常に厚くしなくてはならず、コンデンサ
の容量低下が大きくなってしまという欠点があった。
438頁(1998年)には、導電性高分子のドーパン
トとして、ヘキシルリン酸エステルのモノエステルとジ
エステルとの混合物であるアルキルホスホートを用いる
ことにより、耐電圧を向上させたアルミ固体電解コンデ
ンサが開示されている。アルキルホスホートが、アルミ
ニウム酸化皮膜に対し、高い修復能力を有することによ
り、アルキルホスホートを用いた場合の耐電圧は、陽極
酸化電圧106Vに対し、79Vであり、用いない場合
の63.9Vに比し、約15V向上している。
電性高分子と、リン酸とその誘導体、フェノールとその
誘導体及びニトロベンゼン誘導体等の誘電体皮膜修復能
力の高い化合物とを混在させ、コンデンサの耐電圧を向
上させる方法が開示されている。上記化合物を用いた場
合の耐電圧は、陽極酸化電圧35Vに対し、30V前後
であり、用いない場合の25V前後に比し、約5V向上
している。
駆動用電解液の電気伝導度が低いほど、火花電圧が高く
なるため、電気伝導度が低く、かつアルミニウムに対す
る酸化皮膜形成能力の高い駆動用電解液を用いることに
より、耐電圧を向上させているが、反面、高電圧の場合
には、ESRが大きくなってしまうという欠点があっ
た。
常、16V程度であり、アルミ電解コンデンサの最大使
用電圧の450Vないしはそれ以上とは、大きく隔たっ
ているのが実情である。
制して、コンデンサ特性を保持させた固体電解コンデン
サが要望されている。
圧を向上させ、かつESRの上昇を抑制し、コンデンサ
特性を保持させた固体電解コンデンサとその製造方法を
提供することである。
した結果、バルブ陽極金属表面に形成させた誘電体皮膜
直近の固体電解質層の電気伝導度を、上部に位置する固
体電解質層より低い電気伝導度に制御することにより、
コンデンサの耐電圧が向上するにも関わらず、ESRの
上昇を抑制し、コンデンサ特性を保持し得ることを見出
し、本発明を完成するに至った。
に形成した誘電体皮膜上に、固体電解質陰極層が形成さ
れてなる固体電解コンデンサにおいて、固体電解質陰極
層が、第1固体電解質層及び第2固体電解質層からな
り、かつ誘電体皮膜直近の第1固体電解質層の電気伝導
度が、上部に位置する第2固体電解質層より低い電気伝
導度に制御されてなることを特徴とする固体電解コンデ
ンサであり、また、第1固体電解質層の電気伝導度が、
10−2〜10−10S/cmであることを特徴とする
固体電解コンデンサである。
る。図1は、本発明の固体電解コンデンサの概略断面模
式図である。
デンサは、バルブ陽極金属1表面に形成した誘電体皮膜
2上に、固体電解質陰極層4が形成されてなる固体電解
コンデンサにおいて、誘電体皮膜2直近の第1固体電解
質層3の電気伝導度が、上部に位置する第2固体電解質
層3’より低い電気伝導度である10−2〜10−1 0
S/cmの範囲に制御されたものである。
ム、タンタル、ニオブ、チタン及びそれらの合金からな
る群から選ばれた1種が用いられ、焼結体、箔いずれの
形状でもよい。
るバルブ陽極金属の種類、形状により、チップ型または
巻回型のいずれとすることができる。
様であるチップ型コンデンサについて、図2を参照し
て、説明する。図2は、本発明の固体電解コンデンサの
第1実施態様であるチップ型コンデンサの断面模式図で
ある。
中で、バルブ陽極金属1を陽極酸化させて、バルブ陽極
金属1表面に誘電体皮膜2を形成させる。
10−2〜10−10S/cmの範囲に制御された第1
固体電解質層3を形成させる。
誘電体皮膜2上に、ピロール、アニリン、チオフェン、
エチレンジオキシチオフェン等のモノマーを、酸化剤と
接触させて化学酸化重合させるか、または支持電解質と
共に電解重合させて、導電性高分子膜を形成させた後、
酸化剤ないしは還元剤溶液と接触、熱処理、または電解
液中でカソード分極させることにより、所定の電気伝導
度範囲に制御する方法、あるいは、b)予め所定の電気
伝導度範囲に制御された、脱ドープ導電性高分子膜また
はイオン伝導性高分子膜を、誘電体皮膜2上に、直接形
成させる方法による。
第1固体電解質層3上に、ピロール、アニリン、チオフ
ェン、エチレンジオキシチオフェン等のモノマーを、酸
化剤と接触させて化学酸化重合させるか、支持電解質と
共に電解重合させて、導電性高分子膜を形成させて、第
2固体電解質層3’を形成させる。第2固体電解質層
3’は、単一層または複数層のいずれでもよい。
体電解質層3’の電気伝導度より低い、所定の電気伝導
度範囲に制御された第1固体電解質層3と、第2固体電
解質層3’とからなる固体電解質陰極層4を形成させ
る。
電気伝導度を、上部に位置する第2固体電解質層3’よ
り低い電気伝導度である10−2〜10−10S/cm
の範囲に制御することにより、耐電圧を向上させ、かつ
ESRの上昇を抑制し、コンデンサ特性を保持したコン
デンサとすることができる。
−2S/cm未満の場合、耐電圧の向上が不十分であ
り、また、10−10S/cm超の場合、耐電圧は向上
するものの、ESRが非常に大きくなり、不都合であ
る。
10−4〜10−8S/cmの範囲に制御した場合、陽
極酸化電圧の高いコンデンサの耐電圧が十分に向上する
と共に、ESRの上昇を最小限に抑制できるので、好ま
しい。
用される交流エッチドアルミニウム箔を用いた場合に
は、第1固体電解質層3の電気伝導度を10−2〜10
−4S/cmの範囲に制御すると、コンデンサの耐電圧
が向上すると共に、ESRの上昇を最小限に抑制できる
ので、好都合である。
用される直流エッチドアルミニウム箔を用いた場合に
は、第1固体電解質層3の電気伝導度を10−4〜10
−10S/cmの範囲に制御すると、コンデンサの耐電
圧が向上すると共に、ESRの上昇を最小限に抑制でき
るので、好都合である。
00nmである。第1固体電解質層の厚さが0.3nm
未満では、耐電圧がほとんど向上せず、また、100n
m超の場合には、耐電圧は向上するものの、ESRが非
常に大きくなり、不都合である。
電体酸化皮膜2上に形成させた固体電解質陰極層4上
に、カーボンペースト、銀ペースト等を塗布し、加熱、
乾燥して、陰極引出層5を形成させた後、リードフレー
ムを搭載し、以下、周知の方法により、陰極を銀ペース
ト等により、また陽極を溶接等により接合した後、エポ
キシ樹脂等でモールドし、本発明のチップ型コンデンサ
を完成する。
陽極金属表面に形成した誘電体皮膜直近の固体電解質層
の電気伝導度が、上部に位置する固体電解質層より低い
電気伝導度である、10−2〜10−10S/cmの範
囲に制御されており、また、誘電体皮膜の欠陥発生時に
は、電流によるジュール熱を増加させ、欠陥付近の導電
性高分子の絶縁化が促進できるので、耐電圧が向上し、
かつESRの上昇を最小限に抑制し、コンデンサ特性を
保持することができる。
電気伝導度を、上部に位置する第2固体電解質層3’よ
り低い電気伝導度に制御する方法について、以下、さら
に詳しくに説明する。
うに、a)まず、誘電体皮膜2上に、ピロール、アニリ
ン、チオフェン、エチレンジオキシチオフェン等のモノ
マーを、酸化剤と接触させて化学酸化重合させるか、支
持電解質と共に電解重合させて、導電性高分子膜を形成
させた後、酸化剤ないしは還元剤溶液と接触、熱処理、
または電解液中でカソード分極させることにより、導電
性高分子の電気伝導度を低下させて、所定の電気伝導度
範囲に制御させる方法、あるいは、b)誘電体皮膜2上
に、予め所定の電気伝導度範囲に制御された、溶媒可溶
性の脱ドープ導電性高分子膜またはイオン導電性高分子
膜を、直接形成させる方法のいずれかによる。
分子膜を形成させた後、酸化剤ないしは還元剤溶液と接
触させる方法
619号公報に開示されている方法に準じ、バルブ陽極
金属1表面に形成した誘電体皮膜2上に、ピロール、ア
ニリン、チオフェン、エチレンジオキシチオフェン等の
モノマーを、酸化剤と接触させて化学酸化重合させる
か、支持電解質と共に電解重合させて、導電性高分子膜
を形成させる。
の酸化剤があげられ、特に限定されない。例えば、ヨウ
素、臭素、ヨウ化臭素等のハロゲン、五フッ化ヒ素、五
フッ化アンチモン、四フッ化ケイ素、五塩化リン、五フ
ッ化リン、塩化アルミニウム、塩化モリブデン等の金属
ハロゲン化物、硫酸、硝酸、フルオロ硫酸、トリフルオ
ロメタン硫酸、クロロ硫酸、テトラフルオロホウ酸ナト
リウム、ヘキサフルオロリン酸アンモニウム等のプロト
ン酸とその塩、安息香酸、フタル酸、クエン酸等のカル
ボン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン
酸、パラトルエンスルホン酸アンモニウム、ナフタレン
スルホン酸トリメチルアンモニウム等のスルホン酸とそ
の塩、三酸化イオウ、二酸化チッ素等の含酸素化合物、
過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウ
ム等の過硫酸塩、過酸化水素、過酢酸、ジスルスルホニ
ルパーオキサイド等の過酸化物等があげられ、水やアル
コール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシ
ド、N−メチル−2−ピロリドン(以下、「NMP」と
記す。)等の有機溶媒に溶解させて用いられる。
周知の支持電解質を用いることができ、特に限定されな
い。例えば、ヘキサフロロリン、ヘキサフロロヒ素、テ
トラフロロホウ素等のハロゲン化物アニオン、ヨウ素、
臭素、塩素等のハロゲンアニオン、過塩素酸アニオン、
アルキルベンゼンスルホン酸、ニトロベンゼンスルホン
酸、アミノベンゼンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、
パラトルエンスルホン酸等のスルホン酸アニオンと、リ
チウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属カチオ
ン、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラ
エチルアンモニウム等の四級アンモニウムカチオンとを
組合せたものがあげられ、水やアルコール、ジメチルホ
ルムアミド、ジメチルスルホキシド、NMP等の有機溶
媒に溶解させて用いられる。
させて、導電性高分子鎖を変成させるか、または脱ドー
プさせて、所定の電気伝導度範囲に制御された第1固体
電解質層3を形成させる。
化剤溶液は、硝酸、過マンガン酸カリウム等のプロトン
酸、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、過酸化水素等の
過酸化物、オゾン等を、所定の濃度に溶解させた水溶液
である。
成された導電性高分子膜及びドーパントの種類により、
適宜設定される。高濃度の酸化剤溶液を用いた場合に
は、より短時間の接触で行えるものの、長過ぎると、誘
電体皮膜を損傷する恐れがあるので、注意を要する。
元剤溶液は、ヒドラジン、アンモニア、水酸化ナトリウ
ム等のアルカリ金属水酸化物、水素化ホウ素ナトリウム
等を、所定の濃度に溶解させた水溶液である。
成された導電性高分子膜及びドーパントの種類により、
適宜設定される。高濃度の還元剤溶液を用いた場合に
は、より短時間の接触で行えるものの、長過ぎると、誘
電体皮膜を損傷する恐れがあるので、注意を要する。
分子膜を形成させた後、熱処理させる方法
1表面に形成した誘電体皮膜2上に、方法a−1)と同
様にして、化学酸化重合または電解重合による導電性高
分子膜を形成させる。
〜約300℃で、熱処理させることにより、導電性高分
子鎖を変成させるか、または脱ドープさせて、所定の電
気伝導度範囲に制御された第1固体電解質層3を形成さ
せる。
長時間を要し、また、約300℃超の場合には、電気伝
導度が急激に変化し、制御が困難となり、不都合であ
る。
分子膜を形成させた後、電解液中で、カソード分極させ
る方法
1表面に形成した誘電体皮膜2上に、方法a−1)と同
様にして、化学酸化重合または電解重合による導電性高
分子膜を形成させる。
白金、金、ステンレス等の電極を設け、導電性高分子膜
を陰極として、電圧を印加し、電解液中にドーパントを
拡散させるか、または導電性高分子鎖を変成させて、所
定の電気伝導度範囲に制御された第1固体電解質層3を
形成させる。
クエン酸、酒石酸等のカルボン酸等のアニオンと、ナト
リウム、カリウム等のアルカリ金属カチオン、アンモニ
ウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモ
ニウム等の四級アンモニウムカチオンとを組合せたもの
を、水やアルコール、ジメチルホルムアミド、ジメチル
スルホキシド、NMP等の有機溶媒に溶解させたもので
あり、pH1〜14の範囲である。
膜に金ワイヤーを接触させる他に、予めスクリーン印刷
により電極を印刷したものを用いてもよい。
種類によって異なるが、0.5V〜3Vが適当である。
この時、電流値が大き過ぎると、金ワイヤー等の給電部
付近が急激に脱ドープされ、抵抗が大きくなり、全面処
理が困難になってしまうので、電流値はできる限り小さ
いほうがよいが、生産性を低下させない範囲で、導電性
高分子とドーパントの種類に応じ、全面処理ができる範
囲で、最大の電流値が設定される。
の電気伝導度範囲に制御された、溶媒可溶性の脱ドープ
導電性高分子膜を、直接形成させる方法
チルチオフェン、エチルチオフェン、n−ブチルチオフ
ェン等のアルキルチオフェン等のモノマーを、方法a−
1)に記載の周知の酸化剤を用いて、化学酸化重合させ
て、導電性高分子を得る。次に、該導電性高分子を、ア
ンモニア、水酸化ナトリウム、アミン化合物等の溶液と
接触させて、脱ドープさせて、所定の電気伝導度に制御
された、溶媒可溶性の脱ドープ導電性高分子を得る。つ
いで、該脱ドープ導電性高分子を、ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルスルホキシド、NMP等の溶媒に溶解させ
た溶液を調製する。
膜2を形成したバルブ陽極金属1を浸漬するか、あるい
は、誘電体皮膜2上に、上記調製溶液を、塗布または流
延した後、乾燥することにより、予め所定の電気伝導度
範囲に制御された、溶媒可溶性の脱ドープ導電性高分子
膜を、誘電体皮膜2上に、直接形成させて、第1固体電
解質層3とする。
の電気伝導度範囲に制御されたイオン伝導性高分子膜
を、直接形成させる方法
に制御された、ポリマーと電解質とからなるイオン伝導
性高分子を、溶媒に溶解させた溶液中に、表面に誘電体
皮膜2を形成したバルブ陽極金属1を浸漬するか、ある
いは、誘電体皮膜2上に、上記溶液を、塗布または流延
した後、乾燥することにより、予め所定の電気伝導度範
囲に制御されたイオン伝導性高分子膜を、誘電体皮膜2
上に、直接形成させて、第1固体電解質層3とする。
サイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリフッ化ビニリ
デン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸オリゴエ
チレンオキサイド、ポリメタクリル酸オリゴエチレンオ
キサイド、ポリアクリル酸オリゴプロピレンオキサイ
ド、ポリメタクリル酸オリゴプロピレンオキサイド、及
びそれらの共重合体等、周知のポリマーが用いられる。
ライン酸、ボロジサリチル酸、安息香酸、パラトルエン
スルホン酸等のアニオンと、リチウム、ナトリウム、カ
リウム等のアルカリ金属カチオン、アンモニア、テトラ
メチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム等の四
級アンモニウムカチオンとを組み合わせた、周知の電解
質が用いられる。
平1−138364号公報に開示されている、ポリエチ
レングリコールと、トリエタノールアミンまたは1,
1,1−トリス(ヒドロキシメチル)エタンのいずれか
の三官能性ポリオールと、ポリイソシアネートとからな
る架橋重合体、並びにアルカリ金属塩を含有した高分子
固体電解質を用いることもできる。
−1)、2)により、誘電体皮膜2上に、所定の電気伝
導度範囲に制御された第1固体電解質層3を形成させる
ことができる。
実施態様である巻回型コンデンサについて、図3を参照
して、以下に説明する。図3は、本発明の固体電解コン
デンサの第2実施態様である巻回型コンデンサの断面模
式図である。
箔の表面を、エッチングし、粗面化させて、エッチドア
ルミニウム箔とした後、陽極リード端子を、溶接やカシ
メ付け等により接続させる。次に、アジピン酸アンモニ
ウム等の水溶液中で、該陽極箔を、陽極酸化させて、エ
ッチドアルミニウム陽極箔1表面に誘電体皮膜2を形成
させる。
接続させた対向アルミニウム陰極箔と、上記陽極箔と
を、マニラ紙等をセパレータとして、巻回した後、熱処
理して、巻回コンデンサ素子を準備する。
合と同様、方法a−1)〜3)、または方法b−1)、
2)のいずれかを用いて、エッチドアルミニウム陽極箔
1表面に形成した誘電体皮膜2上に、電気伝導度が10
−2〜10−10S/cmに制御された第1固体電解質
層3を形成させる。
エチレンジオキシチオフェン等のモノマーを、酸化剤と
接触させて化学酸化重合させるか、支持電解質と共に電
解重合させて、導電性高分子膜を形成させて、第1固体
電解質層3上に第2固体電解質層3’を形成させる。第
2固体電解質層3’は、単一層または複数層のいずれで
もよい。
体電解質層3’の電気伝導度より低い、所定の電気伝導
度範囲に制御された第1固体電解質層3と、第2固体電
解質層3’とからなる固体電解質陰極層4が形成された
コンデンサ素子を得る。
ウム製コンデンサケースに入れ、以下、周知の方法によ
り、エポキシ樹脂等を用いて、該ケースを封口し、電圧
を印加して、エージング等を行い、本発明の巻回型コン
デンサを完成する。
例に基き、図面を参照して、説明する。なお、本発明
は、実施例により、なんら限定されない。実施例中、
「%」は「質量%」を表す。
アルミニウム箔1(縦3.0mm×横5.0mm)に、
陽極リード端子を接続した後、7%ホウ酸水溶液中に浸
漬し、電圧500Vで、陽極酸化し、表面に誘電体皮膜
2を形成した直流エッチドアルミニウム陽極箔1を準備
した。
エタノール溶液中に、浸漬、乾燥した後、酸化剤である
過硫酸アンモニウムの0.1mol/l水溶液中に、浸
漬、乾燥する操作を、3回、繰返して、誘電体皮膜2上
に、化学酸化重合ポリピロールの導電性高分子膜を形成
させた。
%硝酸中に、1分間、浸漬した後、洗浄、乾燥して、誘
電体酸化皮膜2上に第1固体電解質層3を形成させた。
の30%エタノール溶液中に、浸漬、乾燥した後、酸化
剤である過硫酸アンモニウムの0.1mol/l水溶液
中に、浸漬、乾燥する操作を、3回、繰返して、化学酸
化重合ポリピロールの導電性高分子膜を形成させた後、
7%ホウ酸水溶液中、電圧400Vで、誘電体皮膜を再
化成修復した。
ー0.4mol/lと、支持電解質である1,7−ナフ
タレンスルホン酸テトラエチルアンモニウム0.4mo
l/lとのアセトニトリル電解液中に、上記陽極箔を浸
漬して、化学酸化重合ポリピロールの導電性高分子膜の
一部分に、金ワイヤーを接触させて、電流0.3mA
で、90分間、電解重合させ、電解重合ポリピロールの
導電性高分子膜を形成させた。
ウム箔1表面に形成した誘電体皮膜2上に、電気伝導度
を低下させたポリピロール膜からなる第1固体電解質層
3と、化学酸化重合及び電解重合ポリピロールの導電性
高分子膜からなる第2固体電解質層3’とで構成される
固体電解質陰極層4を形成させた。
ンペースト及び銀ペーストにより、陰極引出層5を形成
させた後、リードフレームに搭載し、陰極を銀ペースト
により、陽極を溶接により接合した後、エポキシ樹脂で
モールドし、チップ型固体電解コンデンサを完成した。
での静電容量(以下「C」と記す。)、100kHzで
のESRの初期値を測定した。また、電圧を1V/30
秒の割りで、0Vから上昇させ、コンデンサの漏れ電流
100mA以下での最大電圧を耐電圧とした耐電圧試験
を行った。結果を表2に示す。
測定するため、ピロールモノマーの30%エタノール溶
液と、過硫酸アンモニウムの0.1mol/l水溶液と
を混合させて、化学酸化重合ポリピロールの粉末を得
た。ついで、該粉末を、35%硝酸中に、1分間、浸
漬、乾燥した後、ペレット(直径13mmφ)を作製
し、低抵抗率計Loresta−GP(三菱化学(株)登
録商標)を用いて、測定したところ、電気伝導度は、
6.4×10−7S/cmであった。結果を表1に示
す。
箔1表面に形成した誘電体皮膜2上に、化学酸化重合ポ
リピロールの導電性高分子膜を形成させた。
%アンモニア水中に、1時間、浸漬した後、洗浄、乾燥
して、第1固体電解質層3を形成させた。
重合及び電解重合ポリピロールの導電性高分子膜からな
る第2固体電解質層3’を形成させた後、以下、実施例
1と同様にして、チップ型固体電解コンデンサを完成し
た。
同様にして、C、ESR及び耐電圧を測定した。結果を
表2に示す。
測定するため、実施例1と同様の化学酸化重合ポリピロ
ールの粉末を、6%アンモニア水中に、1時間、浸漬、
乾燥した後、ペレット(直径13mmφ)を作製し、実
施例1と同様にして、測定したところ、2.1×10
−6S/cmであった。結果を表1に示す。
電解質層を形成させない以外は、実施例1と同様にし
て、チップ型固体電解コンデンサを完成した。
同様にして、C、ESR及び耐電圧を測定した。結果を
表2に示す。
箔1表面の誘電体酸化皮膜2上に、化学酸化重合ポリピ
ロールの導電性高分子膜を形成させた。
200℃で、1時間、放置し、熱処理させて、第1固体
電解質層3を形成させた。
重合及び電解重合ポリピロールの導電性高分子膜からな
る第2固体電解質層3’を形成させた後、以下、実施例
1と同様にして、チップ型固体電解コンデンサを完成し
た。
同様にして、C、ESR及び耐電圧を測定した。結果を
表2に示す。
測定するため、実施例1と同様の化学酸化重合ポリピロ
ールの粉末を、温度200℃で、1時間、浸漬、乾燥し
た後、ペレット(直径13mmφ)を作製し、実施例1
と同様にして、測定したところ、4.5×10−5S/
cmであった。結果を表1に示す。
3.0mm×横5.0mm)に、陽極リード端子を接続
した後、7%ホウ酸水溶液中に浸漬し、電圧150Vで
陽極酸化し、表面に誘電体皮膜2を形成した交流エッチ
ドアルミニウム陽極箔1を準備した。
タノール溶液中に、浸漬、乾燥した後、酸化剤である過
硫酸アンモニウムの0.1mol/l水溶液中に、浸
漬、乾燥する操作を、3回、繰返して、化学酸化重合ポ
リピロールの導電性高分子膜を形成させた後、7%ホウ
酸水溶液中、電圧140Vで、誘電体皮膜を再化成修復
した。
酸二アンモニウム−0.5%アンモニア水溶液中に、上
記陽極箔を浸漬し、上記ポリピロール膜の一部分に、金
ワイヤーを接触させて、カソード分極し、ステンレス容
器を陽極として、最大電圧5V、電流密度10μA/素
子で、8分間、通電して、第1固体電解質層3を形成さ
せた。
重合及び電解重合ポリピロールの導電性高分子膜からな
る第2固体電解質層3’を形成させた後、以下、実施例
1と同様にして、チップ型固体電解コンデンサを完成し
た。
同様にして、C、ESR及び耐電圧を測定した。結果を
表2に示す。
測定するため、実施例1と同様の化学酸化重合ポリピロ
ールの粉末を用いて、ペレット(直径13mmφ)を作
製し、上記実施例4と同一条件で、カソード分極し、通
電した後、実施例1と同様にして、測定したところ、
7.6×10−5S/cmであった。結果を表1に示
す。
同様にして、チップ型固体電解コンデンサを完成した。
同様、C、ESR及び耐電圧を測定した。結果を表2に
示す。
ンモノマー4.7g及び濃硫酸9.8gを含む水溶液中
に、酸化剤である過硫酸アンモニウム11.4gを含む
水溶液を滴下して、生成した沈殿を、ろ別、乾燥して、
化学酸化重合ポリアニリンの粉末を得た。次に、該粉末
4gを、10%アンモニア水50ml中に入れ、撹拌、
混合した後、ろ別、乾燥して、溶媒可溶性の脱ドープポ
リアニリンの粉末を得た。ついで、該粉末を、NMP及
びブタノールの混合溶媒に溶解し、脱ドープポリアニリ
ン0.3%のNMP50%−ブタノール50%溶液を調
製した。
の直流エッチドアルミニウム陽極箔1を、5分間、浸
漬、乾燥して、脱ドープポリアニリン膜を形成させて、
誘電体皮膜上2に、第1固体電解質層3を形成させた。
重合及び電解重合ポリピロールの導電性高分子膜からな
る第2固体電解質層3’を形成させた後、以下、実施例
1と同様にして、チップ型固体電解コンデンサを完成し
た。
同様にして、C、ESR及び耐電圧を測定した。結果を
表2に示す。
測定するため、脱ドープポリアニリン0.3%のNMP
50%−ブタノール50%溶液中に、ガラス板を、浸
漬、乾燥して、脱ドープポリアニリン膜を形成した後、
実施例1と同様にして、測定したところ、1.1×10
−6S/cmであった。結果を表1に示す。
量のポリエチレングリコール及びグリセリンを溶解させ
たメチルエチルケトン溶液と、所定量のコロネートL
(日本ポリウレタン(株)登録商標)とを混合させた後、
所定量の過塩素酸リチウムを溶解させた液状組成物を調
製した。
ム陽極箔1表面に形成した誘電体皮膜2上に、上記液状
組成物を塗布し、温度80℃で、4時間、乾燥して、架
橋重合させて、イオン伝導性高分子を形成させて、第1
固体電解質層3を形成させた。
重合及び電解重合ポリピロールの導電性高分子膜からな
る第2固体電解質層3’を形成させた後、以下、実施例
1と同様にして、チップ型固体電解コンデンサを完成し
た。
同様にして、C、ESR及び耐電圧を測定した。結果を
表2に示す。
測定するため、ガラス板上に、上記液状組成物を、上記
実施例6と同一条件で、塗布、乾燥して、イオン伝導性
高分子を形成した後、、実施例1と同様にして、測定し
たところ、2.7×10−7S/cmであった。結果を
表1に示す。
エッチドアルミニウム箔(縦3.0mm×横75.0m
m)箔に、陽極リード端子を、カシメ付けにより接続し
た後、実施例1と同様にして、陽極酸化して、表面に誘
電体酸化皮膜2を形成した直流エッチドアルミニウム陽
極箔1を得た。
ルミニウム陰極箔7と、該陽極箔1との間に、厚さ50
μmのマニラ紙をセパレータ6として挟み、円筒状に巻
き取り、ついで、温度400℃で、30分間、熱処理し
て、マニラ紙を炭化させ、巻回コンデンサ素子を準備し
た。
例1と同様にして、ピロールモノマーの30%エタノー
ル溶液及び酸化剤である過硫酸アンモニウムの0.1m
ol/l水溶液中に、順次、浸漬、乾燥して、誘電体酸
化皮膜2上に化学酸化重合ポリピロールの導電性高分子
膜を形成させた後、酸化剤溶液である35%硝酸に接触
させて、誘電体酸化皮膜2上に、第1固体電解質層3を
形成させた。
合及び電解重合ポリピロールの導電性高分子膜からなる
第2固体電解質層3’を形成させ、誘電体皮膜2上に固
体電解質陰極層4を形成させたコンデンサ素子を得た。
ウム製コンデンサケース(直径6mmφ×高さ7mm)
に入れ、エポキシ樹脂を用いて、該ケースを封口した
後、エージングし、巻回型固体電解コンデンサを完成し
た。
同様にして、C、ESR及び耐電圧を測定した。結果を
表2に示す。
同様にして、巻回型固体電解コンデンサを完成した。
同様、C、ESR及び耐電圧を測定した。結果を表2に
示す。
アルミニウム箔を用いたチップ型コンデンサ(実施例1
〜3、5、6及び比較例1)において、誘電体皮膜2上
に、所定の電気伝導度に制御された第1固体電解質層3
を形成させた、実施例1(導電性高分子膜形成後、酸化
剤溶液を接触)、実施例2(導電性高分子膜形成後、還
元剤溶液を接触)、実施例3(導電性高分子膜形成後、
熱処理)、実施例5(脱ドープ導電性高分子膜形成)及
び実施例6(イオン伝導性高分子膜形成)は、第1固体
電解質層3を形成させない比較例1と比べ、耐電圧が向
上しており、かつESRの上昇も最小限に抑制され、コ
ンデンサ特性が保持されていた。また、交流エッチドア
ルミニウム箔を用いたチップ型コンデンサ(実施例4)
においても、直流エッチドアルミニウム箔の場合と同様
の結果であった。
た巻回型コンデンサ(実施例7)においても、第1固体
電解質層3を形成させない比較例3と比べ、耐電圧が向
上しており、かつESRの上昇も抑制され、コンデンサ
特性が保持されていた。
膜上直近の固体電解質層の電気伝導度が、上部に位置す
る固体電解質層より低い電気伝導度である、10−2〜
10− 10S/cmの範囲に制御された、本発明の固体
電解コンデンサは、耐電圧を向上させ、かつESRの上
昇を最小限に抑制し、コンデンサ特性が保持されたコン
デンサである。
ルブ陽極金属の種類、形状により、チップ型、巻回型の
いずれとすることができる。
断面模式図である。
示す断面模式図である。
す断面模式図である。
Claims (15)
- 【請求項1】 バルブ陽極金属表面に形成した誘電体皮
膜上に、固体電解質陰極層が形成されてなる固体電解コ
ンデンサにおいて、固体電解質陰極層が、第1固体電解
質層及び第2固体電解質層からなり、かつ誘電体皮膜直
近の第1固体電解質層の電気伝導度が、上部に位置する
第2固体電解質層より低い電気伝導度に制御されてなる
ことを特徴とする固体電解コンデンサ。 - 【請求項2】 第1固体電解質層の電気伝導度が、10
−2〜10−10S/cmであることを特徴とする請求
項1に記載の固体電解コンデンサ。 - 【請求項3】 第1固体電解質層の電気伝導度が、10
−4〜10−8S/cmであることを特徴とする請求項
1に記載の固体電解コンデンサ。 - 【請求項4】 第1固体電解質層の厚さが、0.3nm
〜100nmであることを特徴とする請求項1から請求
項3のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ。 - 【請求項5】 第2固体電解質層が、導電性高分子膜の
単一層または複数層からなることを特徴とする請求項1
から請求項4のいずれか1項に記載の固体電解コンデン
サ。 - 【請求項6】 固体電解質陰極層上に、陰極引出層が形
成されてなることを特徴とする請求項1から請求項5の
いずれか1項に記載の固体電解コンデンサ。 - 【請求項7】 バルブ陽極金属が、エッチドアルミニウ
ム箔であり、かつ該陽極箔と、対向陰極箔とが、セパレ
ータを介して、巻回されてなることを特徴とする請求項
1から請求項5のいずれか1項に記載の固体電解コンデ
ンサ。 - 【請求項8】 バルブ陽極金属表面に形成した誘電体皮
膜上に、固体電解質陰極層を形成させる固体電解コンデ
ンサの製造方法において、誘電体皮膜直近の第1固体電
解質層の電気伝導度を、上部に位置する第2固体電解質
層より低い電気伝導度に制御させることを特徴とする固
体電解コンデンサの製造方法。 - 【請求項9】 第1固体電解質層の電気伝導度が、誘電
体皮膜上に、導電性高分子膜を形成させた後、酸化剤な
いしは還元剤溶液と接触させることにより制御されるこ
とを特徴とする請求項8に記載の固体電解コンデンサの
製造方法。 - 【請求項10】 第1固体電解質層の電気伝導度が、誘
電体皮膜上に、導電性高分子膜を形成させた後、熱処理
させることにより制御されることを特徴とする請求項8
に記載の固体電解コンデンサの製造方法。 - 【請求項11】 第1固体電解質層の電気伝導度が、誘
電体皮膜上に、導電性高分子膜を形成させた後、電解液
中で、導電性高分子膜をカソード分極させることにより
制御されることを特徴とする請求項8に記載の固体電解
コンデンサの製造方法。 - 【請求項12】 誘電体皮膜上に、溶媒可溶性の脱ドー
プ導電性高分子膜を、直接形成させて、第1固体電解質
層とすることを特徴とする請求項8に記載の固体電解コ
ンデンサの製造方法。 - 【請求項13】 誘電体皮膜上に、イオン伝導性高分子
を、直接形成させて、第1固体電解質層とすることを特
徴とする請求項8に記載の固体電解コンデンサの製造方
法。 - 【請求項14】 固体電解質陰極層上に、陰極引出層を
形成させることを特徴とする請求項8から請求項13の
いずれか1項に記載の固体電解コンデンサ。 - 【請求項15】 バルブ陽極金属が、エッチドアルミニ
ウム箔であり、かつ該陽極箔と、対向陰極箔とを、セパ
レータを介して、巻回させることを特徴とする請求項8
から請求項13のいずれか1項に記載の固体電解コンデ
ンサの製造方法。
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