JP2003172110A - 弁開閉時期制御装置 - Google Patents

弁開閉時期制御装置

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JP2003172110A JP2001371983A JP2001371983A JP2003172110A JP 2003172110 A JP2003172110 A JP 2003172110A JP 2001371983 A JP2001371983 A JP 2001371983A JP 2001371983 A JP2001371983 A JP 2001371983A JP 2003172110 A JP2003172110 A JP 2003172110A
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  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)
  • Valve Device For Special Equipments (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】相対回転位相をロック状態に保持しておきたい
ときにおいて、遠心力でロック部が解除されてしまうこ
とを防止する弁開閉時期制御装置を提供する。 【解決手段】第1回転部材および第2回転部材の相対回
転位相を中間位相にロックするロック部と、ロック部を
ロック解除方向に作動させるロック油通路とを有する相
対回転制御機構が設けられている。エンジン回転数が増
加すると、ロック部に作用する遠心力でロック部がロッ
ク解除される。エンジン回転数検出手段で検出されたエ
ンジン回転数Nrが敷居値Ncを越えるとき、ロック油
通路に対して油の供給を実行することによりロック解除
(ステップS110)させる制御手段を具備する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は車両などに搭載され
るエンジンの弁開閉タイミングを制御する弁開閉時期制
御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、エンジンの駆動条件に応じてエン
ジンの弁開閉タイミングを制御する弁開閉時期制御装置
(特開平11−311107等)が提供されている。こ
のものは、エンジンのクランクシャフトと一体回転する
第1回転部材と、第1回転部材との間に流体圧室を形成
するように第1回転部材に相対回転可能に嵌合されエン
ジンのカムシャフトと一体回転する第2回転部材と、第
1回転部材または第2回転部材に設けられ流体圧室を遅
角室および進角室に仕切るベーンと、第1回転部材およ
び第2回転部材の相対回転位相を最遅角位相と最進角位
相との間の中間位相にロックする相対回転制御機構と、
ロック解除状態において遅角室または進角室に対して油
の供給または排出を実行することにより、第1回転部材
および第2回転部材の相対回転位相を最遅角位相と最進
角位相との間で移動させる第1経路を有する油圧回路と
を具備する。相対回転制御機構はロック部をロック方向
に付勢するバネをもつ。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来技術によ
れば、エンジンの駆動条件に応じて、第1回転部材およ
び第2回転部材の相対回転位相を最遅角位相と最進角位
相との間で調整できるため、エンジンの弁開閉タイミン
グを制御することができる。更に相対回転位相が最遅角
位相と最進角位相との間の中間位相にあるとき、エンジ
ンの始動性が高くなるように設定されており、相対回転
位相を中間位相にロックすることができるため、エンジ
ンの始動性を高めることができる。
【0004】しかしながら相対回転位相を中間位相にロ
ック状態に保持しておきたいときであっても、エンジン
回転数が高くなると遠心力が増加するため、遠心力がバ
ネのスプリング力に打ち勝ち、ロック部が遠心方向に移
動しロックが解除されてしまうおそれがある。この結
果、相対回転位相(ベーン)をロック状態に保持してお
きたいにもかかわらず、相対回転位相のロックが解除さ
れ、相対回転位相(ベーン)が無用な往復移動を繰り返
すことがある。
【0005】前述したように遠心力でロック解除される
ときには、ロック部に作用する遠心力がバネのスプリン
グ力に打ち勝つ必要がある。しかしバネは大量生産を前
提とする工業製品であり、ロック用のバネのそれぞれに
ついてスプリング力の過剰高精度化を図るには限界があ
る。このためロック部に作用する遠心力がスプリング力
に打ち勝つタイミングを極めて高精度に設定するには限
界がある。故に遠心力のみに頼ってロック解除する場合
には、精密なロック解除制御には限界がある。
【0006】殊に、遅角室及び進角室の油が排出されて
いる制御が行われているとき、相対回転位相のロックが
遠心力で解除されると、遅角室及び進角室の油が移動抵
抗とならないため、相対回転位相(ベーン)の往復移動
が頻繁に繰り返され易い。
【0007】本発明は上記した実情に鑑みされたもので
あり、相対回転位相をロック状態に保持しておきたいと
きにおいて、遠心力でロック部が解除されてしまうこと
を防止でき、更にロック部をロック方向に付勢するバネ
のスプリング力の過剰高精度化を抑えつつ精密なロック
解除制御を行なうのに貢献できる弁開閉時期制御装置を
提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係る弁開閉時期
制御装置は、エンジンのクランクシャフトまたはカムシ
ャフトのうちの一方と一体回転する第1回転部材と、前
記第1回転部材との間に流体圧室を形成するように前記
第1回転部材に相対回転可能に嵌合され、エンジンのク
ランクシャフトまたはカムシャフトのうちの他方と一体
回転する第2回転部材と、前記第1回転部材または前記
第2回転部材に設けられ、前記流体圧室を遅角室および
進角室に仕切るベーンと、前記遅角室および/または前
記進角室に対して油の供給または排出を実行することに
より、前記第1回転部材および前記第2回転部材の前記
相対回転位相を最遅角位相と最進角位相との間で移動さ
せる第1経路と、前記第1回転部材および前記第2回転
部材の前記相対回転位相を最遅角位相と最進角位相との
間の中間位相にロックするロック部と、前記ロック部を
ロック方向に移動させるバネと、前記バネに抗して前記
ロック部をロック解除方向に作動させるロック油通路と
を有する相対回転制御機構とを具備し、エンジン回転数
が増加すると前記バネに抗して前記ロック部に作用する
遠心力で前記ロック部がロック解除される弁開閉時期制
御装置において、エンジンの回転数を直接または間接的
に検出するエンジン回転数検出手段と、ロック解除させ
る遠心力が発生するときのエンジン回転数よりも低いエ
ンジン回転数に関する敷居値を採択する敷居値採択手段
と、前記エンジン回転数検出手段で検出されたエンジン
回転数が前記敷居値を越えるときにロック解除させる制
御手段とを具備することを特徴とするとするものであ
る。
【0009】本発明に係る弁開閉時期制御装置によれ
ば、エンジン回転数検出手段で検出される現在のエンジ
ン回転数が敷居値を越えるとき、制御手段により相対回
転位相のロックが解除される。例えば、ロック油通路に
対して油の供給を実行する。従って、相対回転位相を中
間位相にロック状態に保持しておきたいときにおいて、
エンジン回転数が高くなったとしても、エンジン回転数
が敷居値を越えない限り、意図に反してロック解除され
ることが抑えられる。なお現在のエンジン回転数が敷居
値を越えないときにおいて、他のロック解除要請がない
とき、相対回転位相のロックが維持される。
【0010】
【発明の実施の形態】・エンジン回転数検出手段は、エ
ンジンの回転数を直接または間接的に検出する。間接的
に検出するとは、エンジンの回転数そのものを検出する
のではなく、エンジン回転数に関連する情報に基づいて
エンジン回転数を検出することである。
【0011】・制御手段は、エンジン回転数検出手段で
検出されるエンジン回転数が敷居値を越えロック解除さ
れている状態において、ロック解除状態で、相対回転位
相を最遅角位相と最進角位相との間の中間位相に、遅角
室及び進角室の油圧で保持する指令を出力する形態を採
用できる。この場合、遅角室及び進角室の油圧を、カム
フリクションに対抗する油圧差となるように与えること
が好ましい。またトーションスプリング等によりカムフ
リクションと同等の付勢力がある場合には、遅角室及び
進角室の油圧は同じ程度とすれば良い。この結果、相対
回転位相が最遅角位相と最進角位相との間の中間位相に
ロック解除状態で油圧で保持されるため、次の制御のと
き、相対回転位相を遅角方向または進角方向に迅速に移
動させることができる。このように既にロック解除され
た状態で相対回転位相は中間位相に保持されているた
め、エンジン回転数に依存することなく、相対回転位相
を中間位相に安定的に保持することができる。
【0012】・ロック油通路は油が供給されると、ロッ
ク部をロック解除方向に作動させる。この場合、エンジ
ン始動時または車両走行時等において、相対回転位相が
中間位相でロックされているとき、制御手段は、遅角室
及び進角室の油をドレインすると共にロック油通路の油
をドレインする指令を出力する形態を採用できる。この
場合、遅角室、進角室、ロック油通路の油がドレインさ
れるため、相対回転位相のロック状態が油の供給なしで
可能となり、給油手段である油ポンプの負荷を軽減でき
る。ドレインとは油を排出することを意味する。またロ
ック油通路がドレインされているため、ロック部を作動
させるロック油通路の油圧が遅角室や進角室等の圧力変
動の影響を受けることを極力避けることができ、ロック
部の誤作動を避けるにも有利である。
【0013】・一般的な弁開閉時期制御装置によれば、
エンジン回転数が高くなると、ロック部に作用する遠心
力が増大するため、バネ(付勢手段)のスプリング力に
遠心力が打ち勝ち、ロック部が自動的にロック解除され
る。敷居値採択手段は、ロック解除させる遠心力が発生
するときのエンジン回転数よりも低いエンジン回転数に
関する敷居値を採択する。この場合、敷居値をメモリに
格納しておき、メモリから敷居値を読み込んで採択して
も良い。また、車両走行に関する情報を読み込み、これ
に基づいて演算で敷居値を演算し、採択しても良い。ま
た、外部機器から敷居値を読み込んで採択しても良い。
【0014】敷居値として、アイドル状態(殊にファー
ストアイドル状態)のエンジン回転数を越え、且つ、ロ
ック部が遠心力よりロック解除されるエンジン回転数未
満に設定することができる。但し、アイドル状態のエン
ジン回転数はファーストアイドル状態のエンジン回転数
に限られるものではなく、通常のアイドル状態のエンジ
ン回転数とすることもできる。
【0015】・相対回転位相が中間位相でロックされて
いるとき、制御手段は、遅角室及び進角室のうちのいず
れか一方に油を供給すると共に、遅角室及び進角室のう
ちの他方をドレインさせ、ロック解除方向への抵抗とな
る摩擦抵抗力をロック部に発生させる指令を出力する形
態を採用できる。この場合、遅角室及び進角室の一方の
油圧がベーンに作用するため、ベーンを回転させる方向
に回転付勢力がベーンに作用する。この結果、相対回転
位相をロックしている状態のロック部と相手壁面とが相
対的に押圧して両者間の摩擦が増大するため、摩擦抵抗
力として作用する。このようにロック部に摩擦抵抗力が
作用している結果、ロック部の解除に対する抵抗が増加
するため、ロック部は遠心方向に外れにくくなる。この
ような摩擦抵抗力がロック部に作用しているとき、ロッ
ク部がロック解除されるときのエンジン回転数は、ロッ
ク部に摩擦抵抗力が作用しないときにロツク部がロック
解除される前記エンジン回転数の値よりも上昇するた
め、敷居値もエンジン回転数の高回転数領域に設定する
ことができる利点が得られる。
【0016】・また上記したように遅角室または進角室
のうちのいずれか一方に油が供給されているため、ロッ
ク部に摩擦抵抗力が作用しているとき、敷居値として、
アイドル状態(殊にファーストアイドル状態)のエンジ
ン回転数を越え、且つ、ロック部に摩擦抵抗力が作用し
ている状態においてロック部をロック解除させるエンジ
ン回転数未満に設定することができる。上記のようにロ
ック部に摩擦抵抗力が働くときには、ロック部はロック
解除方向に移動しにくくなる。この場合、遠心力でロッ
ク部がロック解除されるときのエンジン回転数が高回転
数領域に移行するため、上記した敷居値も高回転数領域
に移行させることができ、高回転数領域においても相対
回転位相をロックさせることが可能となる。
【0017】エンジンの温度により油の粘性は変化する
ため、敷居値はエンジンの温度状態に応じて補正するこ
とが好ましい。即ちエンジンの温度が低くなるにつれ
て、油の粘性が高くなるため、敷居値を大きく設定す
る。これに対してエンジンの温度が高くなるにつれて、
敷居値を小さく設定する。エンジンの温度状態のパラメ
ータとしては、油の温度、エンジンの冷却水温度の少な
くとも一つを採用できる。
【0018】・遅角室および/または進角室の油圧の変
動の影響を抑えるように、第1経路に独立して設けられ
ロック油通路に繋がりロック油通路に対して油の供給お
よび/または排出を実行する第2経路を有する形態を採
用できる。この場合、ロック油通路は、遅角室、進角室
の油圧の変動の影響を受けにくくなるため、ロック部を
良好に作動させるのに有利となる。
【0019】以上は相対回転位相のロックに関する制御
であるが、本発明に係る弁開閉時期制御装置によれば、
以下述べるようにエンジン停止に関する制御も行うこと
ができる。
【0020】・相対回転制御機構は油圧回路を有する形
態を採用できる。油圧回路は、スプールの移動に伴い主
ドレイン操作を実行する油圧制御弁を有する形態を採用
できる。主ドレイン操作は、遅角室及び進角室の双方ま
たは一方をドレインすると共に、ロック油通路をドレイ
ンする操作である。油圧制御弁は、相対回転位相を中間
位相に保持する中間位相保持制御位置、相対回転位相を
進角方向に移動させる進角制御位置、主ドレイン操作を
実行する主ドレイン制御位置をスプールの移動に伴って
切り替える構造である形態を採用できる。この場合、エ
ンジン停止信号に基づいて主ドレイン操作を実行するた
めスプールがドレイン制御位置に向けて移動するとき、
進角制御位置を通る。このようにスプールがドレイン制
御位置に向けて移動するとき進角制御位置を通る場合、
相対回転位相が進角方向に動くノイズが発生する。この
ため、上記したようにエンジン停止信号に基づいてスプ
ールが進角制御位置を通ってドレイン制御位置に向けて
移動し主ドレイン操作が実行されるときには、制御手段
は、相対回転位相の目標値を中間位相から(中間位相−
α)に変更する。−αは、相対回転位相(ベーン)が遅
角方向に向かう設定値を意味する。これにより進角方向
へのノイズと−αとが相殺されまたは実質的に相殺さ
れ、前記したノイズの影響が抑えられる。これによりエ
ンジン停止信号が出力されると、相対回転位相はロック
位置である中間位相に迅速に移動できる。
【0021】・また前記した油圧制御弁と別のタイプの
油圧制御弁として、相対回転位相を中間位相に保持する
中間位相保持位置、相対回転位相を遅角方向に移動させ
る遅角制御位置、主ドレイン操作を実行する主ドレイン
制御位置を有し、油圧制御弁のスプールの移動に伴って
中間位相保持位置、遅角制御位置、主ドレイン制御位置
に切り替える構造を有するものを採用できる。この別の
タイプの油圧制御弁によれば、この場合、エンジン停止
信号に基づいて主ドレイン操作を実行するためスプール
がドレイン制御位置に向けて移動するとき、遅角制御位
置を通る。このようにスプールがドレイン制御位置に向
けて移動するとき遅角制御位置を通るときには、相対回
転位相が遅角方向に動くノイズが発生する。このため、
上記したようにエンジン停止信号に基づいてスプールが
遅角制御位置を通ってドレイン制御位置に向けて移動し
主ドレイン操作が実行されるときには、制御手段は、相
対回転位相の目標値を中間位相から(中間位相+α)に
変更する。+αは相対回転位相(ベーン)が進角方向に
向かう設定値を意味し、実験的または設計的に選択でき
る。これにより遅角方向へのノイズと+αとが相殺され
または実質的に相殺され、前記したノイズの影響が抑え
られる。これによりエンジン停止信号が出力されると、
相対回転位相はロック位置である中間位相に迅速に移動
できる。
【0022】・エンジン停止信号により前記主ドレイン
操作が実行されるとき、ロック油通路に油が残留してい
ると、ロック部の応答が遅れるおそれがある。このため
制御手段は、前記進角制御位置において、相対回転位相
を進角方向に移動させると共にロック油通路の油の排出
を実行する指令を出力する形態を採用できる。これによ
りロック油通路の油の排出性を高めることができ、ロッ
ク部の応答遅れが抑えられ、相対回転位相を短時間にロ
ックさせるのに有利である。
【0023】・エンジン停止信号により主ドレイン操作
が実行されるとき、ロック油通路に油が残留している
と、ロック部の応答が遅れるおそれがある。このため油
圧制御弁の種類によっては、制御手段は、前記遅角制御
位置において、相対回転位相を遅角方向に移動させると
共にロック油通路の油の排出を実行する指令を出力する
形態を採用できる。これによりロック油通路の油の排出
性を高めることができ、ロック部の応答遅れが抑えら
れ、相対回転位相を短時間にロックさせるのに有利であ
る。
【0024】・ロック位置である中間位相から相対回転
位相が離れていると、相対回転位相が中間位相まで移動
する距離が大きい。エンジン温度が低いときには油の粘
性が高く、ロック油通路からの油の排出応答性に影響を
与える。エンジン回転数が高いときには、油ポンプの回
転数も高く、エンジン油圧が確保されるため、油圧制御
弁のポートの開口または制御時間は少なくて済む。また
自動変速機の場合には、エンジン停止信号が出力された
場合、シフトレンジのNレンジよりもDレンジはエンジ
ン負荷を有するため、エンジン回数数は速く低下する。
このため制御手段は、エンジン停止信号が出力されたと
きの情報、即ち、相対回転位相(つまりベーンの位
相)、エンジン温度状態、エンジン回転数、シフトレン
ジのうちの少なくとも一つの情報に基づいて、油圧制御
弁のスプールの動きに関する制御量を補正する形態を採
用できる。この情報は、イグニッションスイッチ等によ
りエンジン停止信号が出力された瞬間時における情報と
することができる。これによりエンジン停止信号により
エンジン回転数が低下するときであっても、情報の検出
性が確保される。油圧制御弁のスプールの動きに関する
制御値としては、スプールを移動させるソレノイドに給
電する給電量(デューティ比など)、制御時間である給
電時間の少なくとも一つを例示できる。
【0025】・制御手段は、エンジン停止信号の発生時
刻から主ドレイン操作の終了時刻までの間に、ロック油
通路の油の排出性を促進させる排出促進制御を実行する
指令を出する形態を採用できる。これによりロック油通
路の油の排出性を高めることができ、エンジン油温が低
いときであっても、ロック部の応答遅れが抑えられ、相
対回転位相をロック部により迅速にロックさせるのに有
利である。
【0026】・制御手段は、主ドレイン操作を実行する
とき、ロック油通路の油の排出促進制御を実行する指令
を出力する形態を採用できる。あるいは、油圧制御弁の
種類によっては、制御手段は、主ドレイン操作を実行す
る前に、ロック油通路の油の排出促進制御を実行する指
令を出力する形態を採用できる。これによりロック油通
路の油の排出性を高めることができ、ロック部の応答遅
れが抑えられ、エンジン油温が低いときであっても、相
対回転位相を迅速にロックさせるのに有利である。排出
促進制御として、油圧制御弁のうちのロック油通路に繋
がるポートの開口量及び/または開口時間を増加させて
ロック油通路からの油の排出性を高める手段を採用でき
る。また排出促進制御として、油圧制御弁のうちのロッ
ク油通路に繋がるポートの開口時間を長くする入れ込み
時間を設定することにより、ロック油通路の油の排出性
を高める手段を採用できる。入れ込み時間は、進角制御
位置において相対回転位相を進角方向に移動させると共
にロック油通路の油の排出を実行する前に設定すること
ができる。あるいは、入れ込み時間は、遅角制御位置に
おいて相対回転位相を遅角方向に移動させると共にロッ
ク油通路の油の排出を実行する前に設定することができ
る。これによりロック油通路からの油の排出性を高める
ことができ、ロックの応答遅れを抑えることができる。
【0027】・ベーンは流体圧室を遅角室および進角室
に仕切るものである。ベーンは、第1回転部材または第
2回転部材に取り付けることにしても良いし、一体的に
成形しても良い。
【0028】
【実施例】以下、本発明を具体化した実施例を図面に基
づいて説明する。本実施例は、車両等に搭載されるエン
ジンの吸気側の弁開閉時期制御装置に適用した場合であ
る。まず弁開閉時期制御装置の全体構成について説明す
る。図1はエンジンの弁を開放させるカムを有するカム
シャフト3のシャフト長方向に沿った弁開閉時期制御装
置の断面図を示す。図2はカムシャフト3のシャフト直
角方向に沿った弁開閉時期制御装置の断面図を示す。図
2〜図5は図面の複雑化回避のためハッチング線を略し
ている。
【0029】本実施例に係る弁開閉時期制御装置は、図
1に示すように、エンジンに組み付けられエンジンの弁
開閉用の第1回転部材として機能するロータ1と、ロー
タ1に相対回転可能に嵌合する第2回転部材2とを備え
ている。ロータ1は、エンジンのシリンダブロックに回
転可能に保持されたカムシャフト3の先端部に固定ボル
ト30により固定されており、カムシャフト3と一体回
転する。図2に示すように、ロータ1は、カムシャフト
3のシャフト長方向に沿ったシャフト遅角通路に連通す
る遅角通路10と、カムシャフト3のシャフト長方向に
沿ったシャフト進角通路に連通する進角通路11とを有
する。
【0030】図1に示すように、第2回転部材2は、ロ
ータ1を同軸的に包囲するハウジング20と、ハウジン
グ20のボルト挿通孔20pに挿通された取付ボルト2
1によりハウジング20の片面側に取り付けられた第1
プレート22と、取付ボルト21によりハウジング20
の他の片面側に取り付けられた第2プレート23とを有
する。第2プレート23はタイミングスプロケット23
aをもつ。タイミングスプロケット23aとエンジンの
クランクシャフトのギヤとの間には、タイミングチェー
ンまたはタイミングベルト等の伝達部材24が架設され
ている。エンジンのクランクシャフトが駆動すると、タ
イミングチェーンまたはタイミングベルト等の伝達部材
24を経て、タイミングスプロケット23a、第2プレ
ート23、ハウジング20、ロータ1が回転し、ひいて
はロータ1と一体のカムシャフト3が回転し、カムシャ
フト3のカムがエンジンの弁を押し上げて開閉させる。
【0031】図2に示すように、第2回転部材2の主要
素であるハウジング20には、径内方向に突出するシュ
ーとして機能する厚肉の突部4が複数個設けられてい
る。相対回転方向において突部4は、互いに背向する位
相に端面44s、44rを有する。隣設する突部4間に
は、相対回転方向(矢印S1、S2方向)に沿って並設
された複数個の流体圧室40が形成されている。複数個
の流体圧室40はロータ1とハウジング20とで形成さ
れている。
【0032】ロータ1の外周部には、各流体圧室40に
対面するようにベーン溝41が所定の間隔を隔てて放射
状に複数個形成されている。各ベーン溝41には、仕切
部材として機能するベーン5が放射方向に沿って各それ
ぞれ摺動可能に挿入されている。ベーン5の数は流体圧
室40と同数である。ベーン5の位相の位置は、ハウジ
ング20およびロータ1の相対回転位相の位置を示す。
ベーン5の移動方向はロータ1の移動方向である。図2
に示すように、べーン5は、各流体圧室40をハウジン
グ20およびロータ1の相対回転方向(矢印S1、S2
方向)において遅角室42と進角室43とに仕切る。最
遅角位相は、遅角室42の容積が最も増加する位相であ
る。最進角位相は進角室43の位相が最も増加する位相
である。流体圧室40の進角室43はロータ1の進角通
路11に連通する。流体圧室40の遅角室42はロータ
1の遅角通路10に連通する。
【0033】図2に示すように、ロータ1の外周部には
ロック油通路66が所定距離形成されている。ロータ1
の外周部のロック油通路66の端には遅角方向ストッパ
14が形成されている。遅角方向ストッパ14は、ハウ
ジング20に対してロータ1が遅角方向(矢印S1方
向)へそれ以上移動することを阻止し、相対回転位相が
遅角方向(矢印S1方向)へそれ以上移動することを阻
止する。遅角方向は弁の開閉時期が遅れる方向を意味す
る。進角方向は弁の開閉時期が進む方向を意味する。ロ
ータ1の外周部のロック油通路66の一端には進角方向
ストッパ16が形成されている。進角方向ストッパ16
は、ハウジング20に対してロータ1が進角方向(矢印
S2方向)へそれ以上移動することを阻止し、相対回転
位相が進角方向(矢印S2方向)へそれ以上移動するこ
とを阻止する。
【0034】図2に示すようにハウジング20の突部4
には、ハウジング20およびロータ1の相対回転位相を
最も進角側に回転する最遅角位相と、最も遅角側に回転
する位相との中間となる中間位相にメカニカルに保持す
るロック機構として機能するロック部6およびロック部
6Bが取り付けられている。ロック機構は相対回転制御
機構の要素である。ロック部6(遅角用ロック部)は、
ロータ1が遅角方向へ移動することを阻止する。ロック
部6B(進角用ロック部)は、ロータ1が進角方向へ移
動することを阻止する。遅角用のロック部6は、プレー
ト形状またはピン形状のロック体60と、ロック体60
をロック方向である径内方向に付勢する付勢力をもつバ
ネ61とを有する。バネ61はコイルバネとされている
が、これに限らず、トーションコイルバネ、板バネ、皿
バネ等の公知のバネを採用できる。進角用のロック部6
Bは、遅角用のロック部6と同様に、プレート形状また
はピン形状のロック体60と、ロック体60をロック方
向である径内方向に付勢する付勢力をもつバネ61とを
有する。なおロック体60の形状はプレート形状または
ピン形状に限定されない。
【0035】図2に示すように、ロック油通路66の油
圧が解除されているとき、ハウジング20およびロータ
1の相対回転位相が所定の中間位相になると、バネ61
のスプリング力により遅角用のロック部6のロック体6
0はロック方向である径内方向に自動的に移動し、ロッ
ク油通路66にロック体60の先端部が係止すると共
に、バネ61の付勢力により進角用のロック部6Bのロ
ック体60がロック方向である径内方向に自動的に移動
し、ロック油通路66に進角用のロック部6Bのロック
体60の先端部が係止することにより、ハウジング20
およびロータ1の相対回転位相をロックすることができ
る。即ちベーン5の位相をロックすることができる。進
角用のロック部6Bについても同様である。なおハウジ
ング20およびロータ1の相対回転位相は、ベーン5の
位相に相当する。
【0036】このようにハウジング20およびロータ1
の相対回転位相がロックされると、ハウジング20およ
びロータ1は一体回転可能となる。本実施例においては
上記のようにハウジング20およびロータ1の相対回転
位相が最遅角位相と最進角位相との中間の中間位相とな
るとき、つまり、ベーン5の位相が流体圧室40におい
て最遅角位相と最進角位相との中間の中間位相となると
き、エンジンの円滑な始動性が得られるように、エンジ
ンの弁の開閉タイミング時期が設定されている。
【0037】エンジンの駆動条件に応じてハウジング2
0およびロータ1の相対回転位相を変化させる場合に
は、遅角用のロック部6および進角用のロック部6Bを
解除する。この場合には、リリース路73を介してロッ
ク油通路66に油を供給し、ロック油通路66の油圧に
より遅角用のロック部6のロック体60の先端部の加圧
面を加圧し、ロック体60を径外方向に移動させてロッ
ク解除する。このようにロック部6、6Bがロック解除
されているとき、ハウジング20およびロータ1の相対
回転は可能となり、エンジンの駆動条件に応じてクラン
クシャフトの回転位相に対するカムシャフト3の回転位
相を遅角方向(矢印S1方向)または進角方向(矢印S
2方向)に必要に応じて調整して、エンジンの出力特性
を調整することができる。
【0038】図2は通常始動時における弁開閉時期制御
装置を示す。通常始動時には、遅角室42および進角室
43はドレインされ油は排出されており、ロック油通路
66もドレインされ油は排出されており、ロック部6,
6Bが径内方向に移動してロックされている。このため
相対回転が防止されており、始動性が良好になるように
設定されている中間位相でエンジンを始動させることが
できる。
【0039】図3は進角制御時の弁開閉時期制御装置を
示す。進角制御時には、ハウジング20およびロータ1
の相対回転位相は進角方向に移動しており、つまりベー
ン5は進角方向(矢印S2方向)に移動している。この
ような進角制御時にはロック油通路66に油が供給され
てロック部6,6Bによるロックが解除されていると共
に、進角室43に油は供給されているが、遅角室42は
ドレインされて遅角室42の油は排出されている。
【0040】図4は中間位相保持制御時の弁開閉時期制
御装置を示す。中間位相保持制御時には、遅角室42お
よび進角室43の油は供給された状態で外部に排出でき
ないように油圧制御弁76が制御されている。このよう
な中間位相保持制御時にはロック油通路66にも油は供
給されており、ロック部6,6Bは径外方向に移動して
ロック解除されている。
【0041】図5は遅角制御時の弁開閉時期制御装置を
示す。遅角制御時にはハウジング20およびロータ1の
相対回転位相は遅角方向に移動しており、つまりベーン
5は遅角方向(矢印S1方向)に移動している。このよ
うな遅角制御時にはロック油通路66に油が供給されて
ロック部6,6Bによるロックが解除されていると共
に、遅角室42に油は供給されているが、進角室43は
ドレインされて進角室43の油は排出されている。
【0042】相対回転制御機構は上記したロック機構と
油圧回路7を有する。油圧回路7について説明を加え
る。図2に示すように油圧回路7は、エンジンの駆動力
で回転される油を供給する油ポンプ70と、排出路75
cを介して排出された油を溜める油溜部としてのオイル
パン75と、ソレノイド87への給電量(デューティ
比)によりスプールのストローク量を変化させる油圧制
御弁76と、遅角室42に遅角通路10を介して繋がる
遅角路71または進角室43に進角通路11を介して繋
がる進角路72に対して油の供給または排出を実行する
第1経路77と、ロック油通路66にリリース路73を
介して繋がりロック油通路66に対して油の供給または
排出を実行する第2経路78とを有する。第2経路78
は油圧制御弁76と油ポンプ70との間にオリフィス7
80をもつ。オリフィス780は油圧制御弁76の内部
に設けられていても良い。
【0043】図2から理解できるように、第1経路77
は、遅角室42に繋がる経路部分と、進角室43に繋が
る経路部分とをもつ。第1経路77のうち遅角室42に
繋がる経路部分は、油圧制御弁76のポートと油ポンプ
70とをつなぐ給油通路77mと、遅角路71と、ロー
タ1内の遅角通路10とを有する。
【0044】図2に示すように、第1経路77のうち進
角室43に繋がる経路部分は、油圧制御弁76のポート
と油ポンプ70とをつなぐ給油通路77mと、進角路7
2と、進角通路11とを有する。第2経路78は、油圧
制御弁76の別のポートと油ポンプ70を繋ぐ給油通路
78mと、リリース路73とを有する。第2経路78
は、第2経路78への油の供給によりリリース路73を
介してロック油通路66に油を供給し、これによりロッ
ク部6,6Bを径外方向つまりロック解除方向に作動さ
せ得るものである。
【0045】第2経路78は第1経路77に対して独立
して設けられている。本実施例においては、図2に示す
ように、第1経路77の給油通路77mと第2経路78
の給油通路78mとは、油ポンプ70と油圧制御弁76
との間において、互いに並走している。更に、第2経路
78のうちのロック油通路66に向かうリリース路73
は、第1経路77のうちの遅角室42に向かう遅角路7
1、進角室43に向かう進角路72に対して、油ポンプ
70とロータ1(ハウジング20)との間において非連
通であり、互いに並走している。また油圧制御弁76の
流路のうち、ロック油通路6に油を供給する側の流路
は、遅角路71及び進角室43に向かう側の流路に対し
て並走している。従って、万一、遅角室42及び進角室
43の油圧が変動したとしても、その変動圧がロック油
通路66に直接作用することが抑えられている。
【0046】図6(A)は本実施例で用いる油圧制御弁
76の作動状況の代表例を模式的に示す。図6(A)に
示すように、横軸は油圧制御弁76のソレノイド87へ
の給電量(スプールのストローク)を示す。給電量が0
のときには、進角室43はドレイン、遅角室42はドレ
イン、ロック油通路66はドレインとされており、これ
により進角室43、遅角室42の両方をドレインさせ、
且つ、ロック油通路66をドレインさせる主ドレイン操
作を実行できる。進角室43については、油圧制御弁7
6のソレノイド87への給電量が増加してスプール85
が移動するにつれて、進角室43のドレイン、進角室4
3の閉じ、進角室43への油供給、進角室43の閉じ、
進角室43のドレインに設定されている。遅角室42に
ついては、油圧制御弁76のソレノイド87への給電量
が増加するにつれて、遅角室42のドレイン、遅角室4
2の閉じ、遅角室42への油供給に設定されている。ロ
ック油通路66については、油圧制御弁76のソレノイ
ド87への給電量が増加するにつれて、ロック油通路6
6のドレイン、ロック油通路66の閉じ、ロック油通路
66への油供給に設定されている。
【0047】換言すると、油圧回路7は、スプール85
の移動に伴い主ドレイン操作を実行する油圧制御弁76
を有する形態を採用できる。図6(A)に示す油圧制御
弁76は、前記相対回転位相を遅角方向に移動させる遅
角制御位置W4、相対回転位相を中間位相に保持する中
間位相保持制御位置W3、前記相対回転位相を進角方向
に移動させる進角制御位置W2、主ドレイン操作を実行
する主ドレイン制御位置W1を有しており、これらの位
置W1〜位置W4をスプール85の移動に伴って切り替
える構造である。なお、図6(A)に示す油圧制御弁7
6の作動状況は代表例であり、油圧制御弁76に要請さ
れる制御に応じて適宜変更できる。図6(B)に示す作
動状況としても良い。
【0048】図7〜図10は油圧制御弁76の構造の代
表例を示す。図7〜図10は油圧制御弁76のスプール
85のストロークと作動との関係を示す。図7に示すよ
うに、油圧制御弁76は、オイルパン75に繋がる吐出
口80および可動室81をもつボディ82と、吐出口8
0に連通する中空室84をもちボディ82の可動室81
に移動可能に設けられた可動体であるスプール85と、
スプール85を可動室81に沿って移動させる駆動源と
してのソレノイド87とを有する。ソレノイド87への
給電量が増加するにつれて、スプール85は一方向つま
り矢印R1方向に移動する。ソレノイド87への給電量
が減少するにつれて、スプール85は他方向つまり矢印
R2方向に移動する。ボディ82は第1ポート101、
第2ポート102、第3ポート103、第4ポート10
4、第5ポート105、第6ポート106をもつ。第4
ポート104にはオイルポンプ70から第1経路77の
給油通路77mを介して油が供給される。第2ポート1
02にはオイルポンプ70から第2経路78の給油通路
78mを介して油が供給される。スプール85は、その
外周部に、第1ランド201、第2ランド202と、第
3ランド203、第4ランド204、第5ランド205
と、第6ランド206、第7ランド207をもつ。スプ
ール85は、第1孔301、第2孔302、第3孔30
3をもつ。スプール85は、その外周部に、リング状の
第1溝401、第2溝402、第3溝403、第4溝4
04、第5溝405、第6溝406をもつ。
【0049】図7はオイルポンプ70が駆動していない
不使用時の油圧制御弁76(スプール85のストローク
P1)を示す。図7に示すように、ロック油通路66
は、第1ポート101→第1溝401→第1孔301→
中空室84→吐出口80→排出路75cに連通してお
り、ロック油通路66の油はこの通路によりオイルパン
75に排出されている。遅角室42は、第3ポート10
3→第3溝403→第2孔302→中空室84→吐出口
80→排出路75cに連通しており、遅角室42の油は
この通路によりオイルパン75に排出されている。進角
室43は、第6ポート106→第6溝406→第3孔3
03→中空室84→吐出口80→排出路75cに連通し
ており、進角室43の油はこの通路でオイルパン75に
排出されている。図7では、油ポンプ70に繋がる第2
ポート102および第4ポート104の双方は閉鎖され
ている。
【0050】図8は進角制御時の油圧制御弁76(スプ
ール85のストロークP2)を示す。図8に示すよう
に、オイルポンプ70の油は、第2経路78の給油通路
78m→第2ポート102→第2溝402→第1ポート
101を介してロック油通路66に供給され、ロック解
除を実行する。遅角室42の油は、遅角路71→第3ポ
ート103→第3溝403→第2孔302→中空室84
→吐出口80を介してオイルパン75に排出される。第
1経路77から進角室43に向かう油は、第1経路77
の給油通路77m→第4ポート104→第4溝404お
よび第5溝405→第5ポート105、進角路72を介
して供給され、進角室43には油が供給される。
【0051】図9は中間位相保持制御時の油圧制御弁7
6(スプール85のストロークP3)を示す。図9に示
すように、オイルポンプ70の油は、第2経路78の給
油通路78m→第2ポート102→第2溝402→第1
ポート101を介してロック油通路66に供給される。
これによりロック油通路66の油圧によりロック解除さ
れている。遅角室42に繋がる第3ポート103と、進
角室43に繋がる第5ポート105,第6ポート106
とは閉鎖されているため、遅角室42および進角室43
に対する油の供給および排出は停止されている。゛図1
0は遅角制御時の油圧制御弁76(スプール85のスト
ロークP4)を示す。図10に示すように、オイルポン
プ70の油は、第2経路78の給油通路78m→第2ポ
ート102→第2溝402→第1ポート101を介して
ロック油通路66に供給される。これによりロック油通
路66の油圧によりロック解除されている。図10に示
すように第1経路77の給油通路77mの油は、第4ポ
ート104→第4溝404→第3ポート103→遅角路
71を介して遅角室42に供給される。進角室43の油
は、進角路72→第5ポート105→第3孔303→中
空室84→吐出口80→排出路75cを介してオイルパ
ン75にドレイン排出される。ここでスプール85のス
トロークについてはP1<P2<P3<P4に設定され
ている。
【0052】なお油圧制御弁76の内部構造は図7〜図
10に限定されるものではなく、油圧制御弁76に要請
される制御形態に応じて適宜変更できる。
【0053】本実施例では、図26に示すように、油圧
制御弁76のソレノイド87に導線を経て給電する制御
手段として機能するECU9が設けられている。ECU
9はプログラムを格納したメモリ90(RAM、RO
M)、CPU91、入力処理回路92、出力処理回路9
3を内蔵する。メモリ90は、ロック解除させる遠心力
が発生するときのエンジン回転数(N1またはN2)よ
りも低い敷居値回転数Nc1及びNc2を格納しており、
敷居値記憶手段として機能できる。CPU91は、敷居
値回転数をメモリ90から読み込んで採択する敷居値採
択手段として機能できる。
【0054】ECU9には、クランクシャフトのカム角
を検知するカム角センサ90a、クランクシャフトの位
相を検知するクランクシャフト位相を検知するクランク
角センサ90b、車速を検知する車速センサ90c、エ
ンジンの冷却水の水温センサ90d、エンジンの油の油
温センサ90e、エンジンの回転数を検出する回転数セ
ンサ(エンジン回転数検出手段)90f、スロットル開
度センサ90g、IGキースイッチ90k等の各種セン
サの検出信号が入力される。カム角センサ90aで求め
たカム角と、クランク角センサ90bで求めたクランク
角とにより、ハウジング20およびロータ1の実際の相
対回転位相を知ることができる。従って、カム角センサ
90aとクランク角センサ90bとは、ハウジング20
およびロータ1の実際の相対回転位相(=ベーン5の実
位相)を検出するVVTセンサとして機能できる。
【0055】(エンジン回転数の敷居値の採択)図27
は敷居値回転数の採択形態を示す。図27の横軸はエン
ジン回転数を示し、図27の縦軸はエンジン回転数の増
加に伴い増加する遠心力と、バネ61のスプリング力と
を示す。図27の特性線X1に示すように、バネ61の
スプリング力はエンジン回転数が変動しても基本的には
一定である。図27の特性線X2に示すように、ロック
部6,6Bに作用する遠心力はエンジン回転数の増加に
つれて増加する。ロック部6,6Bに作用する遠心力が
バネ61のスプリング力を越えると、遠心力がスプリン
グ力に打ち勝ち、ロック部6,6Bが遠心方向に移動し
てロック解除される。このようにロック部6,6Bが遠
心力でロック解除されるときのエンジン回転数をN1と
して示す。図27の領域KAは、エンジン回転数が高
く、ロック部6,6Bに作用する遠心力がバネ61のス
プリング力を越えてこれに打ち勝つため、ロック部6,
6Bが遠心方向に移動してロック解除される領域を示
す。ファーストアイドル状態におけるエンジン回転数を
Naとして示す。ファーストアイドル(Fast Idle)状
態は、アイドル状態においてエンジン回転数を高め、運
転性または暖機性の向上を図る状態を意味する。
【0056】前記した敷居値として機能する敷居値回転
数Nc1は、回転数Naと回転数N1との間に設定され
ており、つまり、回転数Naを越え且つ回転数N1未満
の間に設定されている。敷居値回転数Nc1はメモリ9
0の所定のエリアに格納されている。低回転数領域でロ
ック解除したいときには敷居値回転数Nc1を回転数N
a側に設定する。高回転数領域でロック解除したいとき
には敷居値回転数Nc 1を回転数N1側に設定する。
【0057】ところで、相対回転位相をロック部6,6
Bでロックしている状態のとき、遅角室42または進角
室43のいずれか一方に油が供給されていると共に、他
方はドレインされている制御を実行することができる。
この場合、遅角室42または進角室43のいずれか一方
の油圧がベーン5に作用するため、図30に模式的に示
すように、ベーン5を回転させる方向に回転付勢力PA
が作用する。この結果、相対回転位相をロックしている
状態のロック部6と相手壁面との間にも摩擦抵抗力PB
が作用する。ロック部6Bについても同様である。この
ようにロック部6,6Bに作用する摩擦抵抗力PBは、
ロック部6,6Bをロック解除方向へ作動するときの抵
抗として働く。摩擦抵抗力PBが増加するほど、ロック
保持力Pは増加するため、エンジン回転数が高回転とな
り遠心力が大きくなってもロック部6,6Bは遠心方向
に外れにくくなる。ロック部6,6Bをロック状態に保
持するロック保持力Pは、基本的には、ロック方向に付
勢するバネ61のスプリング力と、摩擦抵抗力PBに起
因する抵抗との和である。このようにロック保持力Pが
ロック部6,6Bに作用する場合、遠心力でロック部
6,6Bがロック解除されるときのエンジン回転数は高
くなる。このようにロック保持力Pが作用するときにお
いて、ロック部6,6Bをロック解除できるエンジン回
転数をN2とする。一般的にはN2はN1よりも高いた
め、ロック保持力Pがロック部6,6Bに作用するとき
には高回転数領域においてもロック状態を維持すること
が可能となる。
【0058】図28は上記したロック保持力Pが作用す
るときにおける敷居値回転数の採択形態を示す。図28
の横軸はエンジン回転数を示し、図28の縦軸はエンジ
ン回転数の増加に伴い増加する遠心力の変化と、ロック
保持力Pの変化とを示す。バネ61のスプリング力はエ
ンジン回転数が変動しても基本的には一定である。図2
8の特性線X2に示すように、ロック部6,6Bに作用
する遠心力は、エンジン回転数の増加につれて増加す
る。図28の特性線X3に示すように、ロック保持力P
はエンジン回転数が増加するつれて次第に増加する。エ
ンジン回転数が増加するにつれて油圧が増加し、摩擦抵
抗力PBが増加するためである。但し、エンジン回転数
がX4を越えたあたりから、油圧回路7における図略の
リリーフバルブのリリーフ作用が働くため、遅角室4
2,進角室43に供給される油圧はほぼ飽和し、ロック
保持力Pの上昇は小さくなる。
【0059】図28の領域KBは、ロック部6,6Bに
作用する遠心力がロック保持力Pを越えるため、ロック
部6,6Bが遠心方向に移動して遠心力でロック解除さ
れる領域を示す。このようにロック保持力Pがロック部
6,6Bに作用する状態において遠心力でロック解除さ
れるときのエンジン回転数をN2として示す。ファース
トアイドル状態におけるエンジン回転数をNaとして示
す。前記した敷居値として機能する敷居値回転数Nc2
は回転数Naと回転数N2との間に設定されており、つ
まり、回転数Naを越え且つ回転数N2未満の間に設定
されている。敷居値回転数Nc2はメモリ90のエリア
に格納されている。低回転領域でロック解除したいとき
には、敷居値回転数Nc2を回転数Na側に設定する。
高回転領域でロック解除したいときには、敷居値回転数
Nc2を回転数N2側に設定する。
【0060】なお本実施例によれば、ECU9が実行す
る制御形態に応じて、敷居値回転数Nc2と敷居値回転
数Nc1との双方を用い、敷居値回転数Nc2と敷居値回
転数Nc1との双方に応じて相対回転位相のロック解除
を行うこともできる。
【0061】エンジン温度により油の粘性は変化するた
め、敷居値回転数Nc(Nc1及びNc2)はエンジンの
温度状態に応じて補正されている。即ち、図29はエン
ジンの冷却水の水温と敷居値回転数Nc(Nc1及びN
2)との関係を示す。エンジンの冷却水の水温が低く
なるにつれて、油の粘性が高くなるため、摩擦抵抗力P
Bが増加するため、敷居値回転数Nc(Nc1及びN
2)を大きく設定する。これに対してエンジンの冷却
水の水温が高くなるにつれて、敷居値回転数Nc(Nc
1及びNc2)を小さく設定する。冷却水に代えて、油の
温度にしても良い。なおエンジン温度に応じて、敷居値
回転数Ncを演算式で補正しても良い。
【0062】(ロックに関する制御形態)本実施例に係
るECU9が行うロック制御形態について説明する。ロ
ック制御形態Aはロック解除判定処理についてである。
図30を参照して説明する。エンジン始動の際には、相
対回転位相はロック状態に保持されている。走行に伴い
次第にエンジン回転数が高くなる。図30に示すよう
に、実行すべき制御形態に応じて敷居値回転数Nc(N
1またはNc2)をメモリ90から読み込み、採択する
(ステップS102,敷居値採択手段)。更に現在のエ
ンジンの回転数が回転数センサ90fにより検出されて
いるため、現在の回転数Nrを読み込む(ステップS1
04,エンジン回転数読み込み手段)。そして現在の回
転数Nrと敷居値回転数Nc(Nc1またはNc2)とを
比較する(ステップS106,比較手段)。
【0063】エンジンの現在の回転数Nr(Nc1また
はNc2)が敷居値回転数Ncを越えていれば、ステッ
プS108に進み、中間位相保持制御(図4参照)の実
行を要求する要求フラグをオンにする。更にロック解除
制御を実行し(ステップS110)、メインルーチンに
リターンする。このロック解除制御は、油圧制御弁76
によりロック油通路66に油を送給し、ロック部6,6
Bを遠心方向に移動させてロック解除を行う操作を含
む。
【0064】ステップS106において現在の回転数N
rが敷居値回転数Nc(Nc1またはNc2)を越えてい
なければ、ステップS120に進み、エンジン冷却水の
温度がB℃以上であるか否か判定する。エンジン冷却水
の温度がB℃以上で水温が高ければ、エンジン始動後C
秒以下か否か判定する(ステップS122)。エンジン
始動後C秒を経過していれば、エンジン冷却水の温度も
高く、エンジン油圧も安定しているため、ロック解除制
御を実行する(ステップS110)。エンジン始動後C
秒経過していなければ、エンジン油圧も十分に安定して
いないため、相対回転位相のロック状態を維持させるロ
ック状態制御を実行する(ステップS124)。ロック
状態制御では、相対回転位相(ベーン5)を中間位相に
合わせると共にロック油通路66の油をドレインさせ、
バネ61のバネ力でロック部6,6Bのロック体60を
径内方向つまりロック方向に移動させ、相対回転位相の
ロックを行う。ステップS120での判定の結果、エン
ジン冷却水の温度がB℃未満で水温が低ければ、エンジ
ンが充分に暖まっておらず、ロック解除を行うには充分
ではないため、ステップS124に進み、相対回転位相
のロック状態を維持するロック状態制御を実行する。
【0065】前述したように遠心力でロック解除される
ときには、ロック部6,6Bに作用する遠心力がスプリ
ング力に打ち勝つ必要がある。ロック部6,6Bをロッ
ク方向に付勢するバネ61は大量生産を前提とする工業
製品であり、スプリング力の過剰高精度化には限界があ
る。このためロック部6,6Bに作用する遠心力がバネ
61のスプリング力に打ち勝つタイミングを高精度に設
定するには限界がある。故に遠心力のみに頼り、遠心力
がバネ61のスプリング力に打ち勝つときロック解除す
る場合には、精密なロック解除制御には限界がある。こ
の点本実施例によれば、エンジンの現在の回転数Nrが
敷居値回転数Nc(Nc1,Nc2)を越えていれば、ロ
ック解除制御を実行するため、バネ61のスプリング力
の過剰高精度化を回避するのに有利である。
【0066】ロック制御形態Bによれば、ステップS1
10に示すロック解除制御は、ロック部6,6Bを遠心
方向に移動させてロック解除を行う第1操作の他に、第
2操作を含む。第2操作によれば、ECU9は、検出さ
れた実際のエンジン回転数Nrが敷居値回転数Ncを越
えてロック解除されたとき、ロック解除状態のままで、
相対回転位相を最遅角位相と最進角位相との間の中間位
相に、遅角室42及び進角室43の油圧で保持する指令
を出力する。この場合、遅角室42及び進角室43に油
を満たした状態で、遅角室42及び進角室43に連通す
るポートを閉鎖する。この場合、遅角室42及び進角室
43の油圧を、カムフリクションに対抗する油圧差とな
るように与えることが好ましい。またトーションスプリ
ング等によりカムフリクションと同等の付勢力がある場
合には、遅角室及び進角室の油圧は同じ程度とすれば良
い。この結果、相対回転位相が最遅角位相と最進角位相
との間の中間位相にロック解除状態で油圧で保持される
ため、次の制御のとき、相対回転位相を遅角方向または
進角方向に迅速に移動させることができる利点が得られ
る。更に、既に相対回転位相のロック状態が解除されて
いるため、エンジン回転数に依存することなく、相対回
転位相を中間位相に安定的に保持することができる利点
が得られる。
【0067】ロック制御形態Cによれば、ステップS1
10に示すロック解除制御は、ロック部6,6Bを遠心
方向に移動させてロック解除を行う操作の直前に、次の
予備操作を行う。即ち、ECU9は、ロック解除する直
前に、遅角室42及び進角室43の油圧でロック状態の
まま相対回転位相(ベーン5)を中間位相に保持する指
令を出力する。具体的には、遅角室42及び進角室43
に油を満たした状態で、油圧制御弁76のうち遅角室4
2及び進角室43に連通するポートを閉鎖する。この場
合、遅角室42及び進角室43の油圧を同じ程度にす
る。この結果、ロック解除するときカム変動トルクの影
響があったとしても、ベーン5のがたつきが効果的に抑
えられる。ひいては相対回転位相(ベーン5)をロック
解除状態において中間位相に高い位置精度で保持するの
に有利となる。
【0068】またロック制御形態Dによれば、ロック部
6,6Bがロック方向に移動して相対回転位相が中間位
相でロックされているとき、ECU9は、遅角室42及
び進角室43をドレインすると共にロック油通路66を
ドレインする指令を出力する。この場合、遅角室42、
進角室43、ロック油通路66の三者がドレインされる
ため、相対回転位相のロック状態が油の供給なしで可能
となり、給油手段である油ポンプ70の負荷を軽減でき
る。またロック油通路66もドレインされているため、
ロック部6,6Bを作動させるロック油通路66の油圧
が遅角室42や進角室43等の圧力変動を受けることを
極力避けることができ、ロック部6,6Bの誤作動を避
けるにも有利である。
【0069】以上は相対回転位相のロックに関する制御
であるが、本実施例によれば、エンジンを停止させると
きに以下のような制御を行うことができる。
【0070】(エンジンを停止させるときの制御形態)
エンジンを停止させる場合について説明を加える。一般
的にはアイドリング状態において運転者がイグニッショ
ン(IG)キースイッチ90k(エンジン停止指令手
段)を操作してエンジンを停止させる。この場合、エン
ジン停止信号がECU9に入力される。アイドリング状
態では、本実施例によれば、相対回転位相は遅角制御状
態に維持されつつ、遅角室42および進角室43への油
の供給および排出は停止されている。エンジン停止信号
に基づいて、ECU9は油圧制御弁76を制御して遅角
室42および進角室43の油をドレインさせて排出させ
ると共に、ロック油通路66の油を排出させる。この結
果、エンジンが停止するとき、カム変動トルクによりベ
ーン5が所定の距離で往復移動するため、つまりハウジ
ング20およびロータ1の相対回転位相が往復移動す
る。このため、相対回転位相がロック位相である中間位
相の到達したとき、ロック部6,6Bがロック方向に自
動的に移動してロックされる。この結果、ハウジング2
0およびロータ1の相対回転位相は中間位相にロックさ
れる。このため次回に始動させるとき、エンジンの始動
性が良好となるように設定されている中間位相で始動さ
せることができる。この場合、遅角室42および進角室
43の油をドレインさせているため、遅角室42および
進角室43は空または空に近い状態とされており、ベー
ン5の移動を迅速に行ない得、ロックまでの時間を短縮
できる。
【0071】本実施例によれば、エンジンを停止させる
ときには、ECU9は以下述べる制御形態を実行でき
る。図11はエンジンを停止させるとき、ECU9が実
行する制御形態1のタイミングチャートを示す。図11
に示すように、アイドリング状態において運転者により
運転席のIGキースイッチ90k(IG/SW)が操作
されると、エンジン停止信号AがECU9に入力され
る。するとエンジン回転数は特性線Bに示すように次第
に低下すると共に、油ポンプ70の回転数が低下するた
め、エンジン油圧が次第に低減する。この場合、ECU
9はスプール85の制御値を含む制御信号Cを油圧制御
弁76のソレノイド87に出力する。制御信号Cは、遅
角室42及び進角室43の両方をドレインすると共にロ
ック油通路66をドレインする主ドレイン操作を実行す
る信号である。即ち、ソレノイド87への給電量を0と
し、油圧制御弁76を主ドレイン制御位置W1(図6参
照)とする信号である。これにより遅角室42、進角室
43、ロック油通路66の三者をドレインする方向にス
プール85は移動する。この結果、前述したように、遅
角室42及び進角室43の両方をドレインさせ、且つ、
ロック油通路66をドレインさせる。すると、遅角室4
2および進角室43が空または空に近い状態となり、エ
ンジンが停止するときのカム変動トルクにより相対回転
位相(ベーン5)が所定の距離で迅速に往復移動するこ
とができるため、この結果、相対回転位相が中間位相に
なったときロック部6,6Bがロック方向に自動的に移
動して迅速にロックされる。なお、図11の特性線Dの
波形D1はベーン5がカム変動トルクにより所定距離往
復移動することを意味する。
【0072】図12は、相対回転位相(ベーン5)が遅
角側にある場合にエンジンを停止させるとき、ECU9
が実行する制御形態2のタイミングチャートを示す。ベ
ーン5の位相は前述したようにVVTセンサで検出でき
る。図12に示すように、アイドリング状態において運
転者によりIGキースイッチ90kが操作されると、エ
ンジン停止信号A2がECU9に入力される。するとエ
ンジン回転数は特性線B2に示すように次第に低下する
と共に、エンジン油圧も次第に低減する。この場合、E
CU9はスプール85の制御値を含む制御信号C2を油
圧制御弁76のソレノイド87に出力する。制御信号C
2は、遅角室42、進角室43、ロック油通路66をド
レインする主ドレイン操作を実行する信号である。具体
的には、制御信号C2は、相対回転位相を進角方向に移
動させる進角制御を実行する制御信号C21と、その後
に遅角室42及び進角室43を両ドレインさせると共に
ロック油通路66をドレインさせる主ドレイン操作を実
行する制御信号C22とを含む。これによりスプール8
5はまず信号C21に基づいて進角制御を行ない、遅角
位相側の相対回転位相(ベーン5の位相)を進角方向に
移動させる。このように主ドレイン操作の前に、遅角位
相側の相対回転位相(ベーン5)が進角方向に移動すれ
ば、ロック位置である中間位相にそれだけ近づくことが
できるため、ロックに要する時間を短縮化させ得る。次
に信号C22に基づいて、遅角室42、進角室43、ロ
ック油通路66をドレインする。このように遅角室4
2、進角室43、ロック油通路66の油をドレインさせ
て排出させれば、遅角室42および進角室43が空また
は空に近い状態となり、エンジンが停止するときのカム
変動トルクにより相対回転位相(ベーン5)が所定の距
離で迅速に往復移動できるため、つまりハウジング20
およびロータ1の相対回転が容易に生じるため、相対回
転位相(ベーン5の位相)が中間位相のときロック部
6,6Bがロック方向に移動して迅速にロックされる。
【0073】更に図12に示す制御について説明を加え
る。図6から理解できるように、相対回転位相(ベーン
5)が遅角位相W6(アイドリング状態)にあるときエ
ンジン停止信号が出力された場合、ソレノイド87に給
電する給電量を0とすると、進角制御位置W2を通過し
た後に主ドレイン位置W1に到達する。このようにエン
ジン停止信号に基づいて主ドレイン操作を実行するため
スプール85がドレイン制御位置W1に向けて移動する
とき、進角制御位置W2を途中で通るときには、相対回
転位相(ベーン5)が進角方向に動いてしまうノイズが
発生する。このため、エンジン停止信号に基づいて相対
回転位相(ベーン5)を中間位相に移動させてロックす
る際、ECU9は、ロックする場合の相対回転位相の目
標値を中間位相から(中間位相−α1)に変更する。−
α1は、相対回転位相(ベーン5の位相)が遅角方向に
向かう設定値を意味し、実験的また設計的に選択でき
る。これにより進角方向へのノイズと−α1とが相殺さ
れまたは実質的に相殺され、前記したノイズの影響が抑
えられる。この結果、エンジン停止の際に、相対回転位
相(ベーン5の位相)がロック位置である中間位相に迅
速に到達することができ、ロック部6,6Bによるロッ
クを迅速に実行することができる。換言すれば、カム変
動トルクに基づいてベーン5が往復移動する回数を低減
させ得る。図12において特性線D2の波形D21は、
ベーン5の往復移動回数が少ないことを示す。
【0074】図13は、相対回転位相(ベーン5)が進
角側にある場合にエンジンを停止させるとき、ECU9
が実行する制御形態3のタイミングチャートを示す。図
13に示すように、運転者によりIGキースイッチ90
kが操作されると、エンジン停止信号A3がECU9に
入力される。するとエンジン回転数は特性線B3に示す
ように次第に低下すると共に、エンジン油圧も次第に低
減する。この場合、ECU9はスプール85の制御値を
含む制御信号C3を油圧制御弁76のソレノイド87に
出力する。制御信号C3は、相対回転位相(ベーン5)
を遅角方向に移動させる遅角制御を実行する制御信号C
31と、遅角室42及び進角室43を両ドレインすると
共にロック油通路66をドレインする主ドレイン操作を
実行する制御信号C32を含む。このように遅角室4
2、進角室43、ロック油通路66の油を排出させれ
ば、エンジンが停止するときカム変動トルクにより、相
対回転位相(ベーン5)が所定の距離で往復移動するた
め、相対回転位相がロック位置である中間位相に至った
とき、ロック部6,6Bがロック方向に自動的に移動し
てロックされる。図13において特性線D3の波形D3
1は、ベーン5の往復移動回数が少ないことを示す。な
お、図13に示す制御形態においては、進角位相にある
相対回転位相(ベーン5)を、主ドレイン操作の前に、
遅角方向へ向けて移動させるため、相対回転位相(ベー
ン5)はロック位置である中間位相に迅速に迅速に近づ
くことができ、ロックに要する時間を短縮できる。
【0075】図6から理解できるように、ベーン5が進
角位相W8にあるときエンジン停止信号が出力され、ソ
レノイド87に給電する給電量を0とすると、スプール
85は、進角制御位置W2の期間を少しを通過した後に
主ドレイン位置W1に到達する。このようにスプール8
5がドレイン制御位置W1に向けて移動するとき、進角
制御位置W2を少し通る場合には、相対回転位相(ベー
ン5)が進角方向に動いてしまうノイズが発生する。こ
のため、エンジン停止信号に基づいて相対回転位相を中
間位相(エンジン始動性良好位置)に移動させてロック
する際、ECU9は、相対回転位相の目標値を中間位相
から(中間位相−α2)に変更する指令を油圧制御弁7
6に出力する。この結果、進角方向へのノイズと−α2
とが相殺されまたは実質的に相殺され、前記したノイズ
の影響が抑えられる。この結果、エンジンを停止させる
際に、相対回転位相(ベーン5)がロック位置である中
間位相に迅速に到達することができ、ロック部6,6B
によるロックを速やかに実行することができる。換言す
れば、カム変動トルクに基づいて相対回転位相(ベーン
5)が往復移動する回数を低減させ得る。なお、−α2
は相対回転位相(ベーン5)が遅角方向に向かう設定値
を意味する。なおα2は前記したα1よりも小さく設定
されている。
【0076】図14は、ベーン5が遅角側にあるときエ
ンジンを停止させる制御形態4のタイミングチャートを
示す。図14に示すように、アイドリング状態において
運転者によりIGキースイッチ90kが操作されると、
エンジン停止信号A4がECU9に入力される。すると
エンジン回転数は特性線B4に示すように次第に低下す
ると共に、エンジン油圧も次第に低減する。エンジン停
止後には油ポンプの回転数も低下するため、エンジン油
圧は低下するので、ロック部6,6Bのロック作動の遅
れは好ましいものではない。この場合、ECU9はスプ
ール85の制御値を含む制御信号C4を油圧制御弁76
のソレノイド87に出力する。制御信号C4は排出促進
制御を実行するものであり、進角制御およびロック油通
路66の排出の双方を実行する制御信号C41と、遅角
室42及び進角室43を両ドレインすると共にロック油
通路66をドレインする主ドレイン操作を実行する制御
信号C42とを含む。制御信号C41は、進角制御の他
にロック油通路66の油排出も併せて実行するため、図
14の比較例における排出特性EX(制御信号C41が
進角制御のみ実行する場合)に比較して、図14の特性
線E4に示すようにロック油通路66の油を迅速に排出
することができ、ロック油圧を迅速に低減させ得、ロッ
ク部6,6Bのロック方向への作動を迅速に実行するこ
とができ、エンジン停止の際に、相対回転位相を中間位
相に迅速にロックさせるのに有利である。エンジン停止
信号により主ドレイン操作が実行されるとき、ロック油
通路66に油が残留していると、ロック部6,6Bのロ
ック方向への作動が遅れるおそれがあるが、上記したよ
うに排出促進制御を行えば、対処できる。
【0077】図15は、ベーン5が遅角側にあるときエ
ンジンを停止させる制御形態5のタイミングチャートを
示す。図15に示すように、アイドリング状態において
運転者によりIGキースイッチ90kが操作されと、エ
ンジン停止信号A5がECU9に入力される。するとエ
ンジン回転数は特性線B5に示すように次第に低下する
と共に、エンジン油圧も次第に低減する。この場合、E
CU9はスプール85の制御値を含む制御信号C5を油
圧制御弁76のソレノイド87に出力する。制御信号C
5は排出促進制御を実行するものであり、遅角室42、
進角室43、ロック油通路66を瞬間的にドレインする
制御信号C51と、進角制御およびロック油通路66の
排出を実行する制御信号C52と、遅角室42及び進角
室43をドレインすると共にロック油通路66をドレイ
ンする主ドレイン操作を実行する制御信号C53を含
む。制御信号C51,C53の制御量(ソレノイド87
への給電量)は同一である。制御信号C51の入れ込み
時間はTで示され、瞬間時間である。このようにすれ
ば、エンジン停止信号が出力されたとき、図15の特性
線E5に示すように、ロック油通路66の油を迅速に排
出することができ、ロック部6,6Bのロック方向への
作動の遅れが抑えられ、相対回転位相を迅速にロックさ
せるのに有利である。
【0078】エンジン温度、冷却水温度が低いときに
は、油の粘性が高く、ロック油通路66からの油の迅速
排出性が制約され、ロック部6,6Bのロック方向への
作動が遅れるおそれがある。そこで図16に示す制御形
態6によれば、エンジン油の油温に応じて、油圧制御弁
76に対する制御量の一つである入れ込み時間Tを補正
する。即ち、エンジン油の油温が高いほど入れ込み時間
Tを少な目とする。エンジン油の油温が低いほど入れ込
み時間Tを長めとする。これにより油の粘性の変動に対
して対処できる。エンジン油の油温に代えて、エンジン
の冷却水温度としても良い。
【0079】前記したように油の排出性は油の温度に影
響される。エンジン温度が低いときには、油の粘性が高
く、ロック油通路66からの油の排出性が制約されるお
それがある。そこで図17に示す制御形態7によれば、
エンジン温度に応じて、スプール85の制御量(給電
量、制御時間等)を可変としている。即ち図17の特性
線F1に示すように、エンジンの油温(またはエンジン
の冷却水の水温)が敷居値温度よりも低くなるにつれ
て、油圧制御弁76に対する制御量を増加させてポート
の開口を確保する補正を実行する。またエンジンの油温
(またはエンジンの冷却水の水温)油温が敷居値温度よ
りも高くなるにつれて、油圧制御弁76に対する制御量
を増加させている。油温が高いと油の粘性が高く、油漏
れを考慮したものである。
【0080】ロック位置である中間位相よりも相対回転
位相の位置(ベーン5の位置)が遠く離れているときに
は、相対回転位相の位置(ベーン5)をロック位置であ
る中間位相まで移動させる距離が増加する。そこで、図
18に示す制御形態8によれば、相対回転位相(ベーン
5)の目標値を(中間位相−α)に設定しつつ、相対回
転位相の位置(ベーン5の位置)が中間位相よりも遅角
方向において遠くなるにつれて、特性線F2に基づい
て、遠くなる距離に応じてスプール85の制御時間(油
圧制御弁76のポートを開放させる時間)を長くさせ
る。また相対回転位相の位置(ベーン5の位置)が中間
位相よりも進角方向において遠くなるにつれて、特性線
F3に基づいて、遠くなる距離に応じてスプール85の
制御時間(油圧制御弁76のポートを開放させる時間)
を長くさせる。
【0081】図19はクランク角に対するエンジンのカ
ム変動トルクの変化を示す。V1はカム変動トルクの平
均値を示す。カム変動トルクの平均値V1は遅角方向へ
の付勢力をもつ。本実施例に係る弁開閉時期制御装置で
は、ベーン5を進角方向に常時付勢するトーションコイ
ルバネで形成されたベーン付勢バネ27(図1参照)が
ロータ1とハウジング20との間に設けられている。内
燃期間の運転中においてはカムシャフトのカムが内燃期
間の弁を押し上げて開くため、ベーン5を常に遅角方向
に付勢する力が作用している。このためベーン5を常に
進角方向に付勢するベーン付勢バネ27が設けられてお
り、作動応答性が確保されている。
【0082】このため制御形態8によれば、ベーン付勢
バネ27の付勢力は、遅角方向に付勢するカム変動トル
クの平均値V1と対応するように設定されている。即
ち、ベーン付勢バネ27の付勢力の平均値は、遅角方向
に付勢するカム変動トルクの平均値V1の大きさと同じ
か、あるいは、ほぼ同じ程度に設定されている。換言す
れば、ベーン付勢バネ27の付勢力の平均値は、遅角方
向に付勢するカム平均トルク値V1の大きさに対してプ
ラスマイナス20%以内、殊にプラスマイナス10%以
内に設定されている。
【0083】以上説明したように本実施例によれば、ロ
ック油通路66に繋がる第2経路78は第1経路77に
対して独立しているため、ロック部6,6Bを作動させ
るとき、カム変動トルクに起因する遅角室42および進
角室43の油の圧力の変動の影響をできるだけ抑えるこ
とができる利点が得られ、ロック部6,6Bを良好に作
動させ得る。
【0084】本実施例によれば、エンジン停止信号に基
づいて相対回転位相を中間位相にロックする際に、遅角
室42および進角室43の双方の油を排出すると共にロ
ック油通路66の油を排出する主ドレイン操作を油圧回
路7に実行させる。このようにエンジン停止に基づいて
エンジンを停止させるときに主ドレイン操作を実行する
ため、遅角室42や進角室43の双方の油の排出性を高
め得る。このため、エンジン停止信号が出力されたと
き、遅角室42および進角室43が迅速に空または空に
近い状態となる。故に、エンジン停止信号に起因して油
圧が低下する場合であっても、ハウジング20およびロ
ータ1の相対回転位相(ベーン5)の往復移動を迅速に
実行することができ、相対回転位相(ベーン5の位相)
をカム変動トルクにより中間位相に迅速に到達させてロ
ックさせ易い利点が得られる。更にエンジン停止信号が
出力されたとき、ロック油通路66をドレインさせて油
の排出性を高めるため、ロック部6,6Bを迅速に作動
させることができる。
【0085】上記したように本実施例によれば、エンジ
ン停止信号に基づいてエンジンが停止されたため、エン
ジン油圧が低下するときであっても、ハウジング20及
びロータ1の相対回転位相を中間位相に良好にロックさ
せることができ、エンジンの始動性を確保できる。
【0086】なお本実施例によれば、運転者によるIG
キースイッチ90の操作によりエンジンを停止させるの
ではなく、エンジンストールで停止した場合には、相対
回転位相が中間位相にロックされていないおそれがあ
る。この場合、エンジンを再始動させる際、カム変動ト
ルクによりハウジング20及びロータ1の相対回転位相
が生じて時点で、相対回転位相が中間位相に移動してロ
ックされるため、エンジン始動性は確保される。
【0087】(他の実施例)第2実施例及び第3実施例
について以下説明する。第2実施例及び第3実施例にお
いても、前述したように、エンジン回転数検出手段で検
出される現在のエンジン回転数が敷居値Ncを越えると
き、ロック油通路66に対して油の供給を実行すること
によりロック解除させる制御が実行される。第2実施例
は第1実施例と基本的には同様の構成である。第2実施
例は第1実施例と基本的には同様の作用効果を奏する。
図20(A)は第2実施例で用いる油圧回路7の油圧制
御弁76の作動状況を模式的に示す。図20(A)に示
すように、横軸は油圧制御弁76のソレノイド87への
給電量、つまりスプール85のストロークを示す。給電
量が0のときには、進角室43はドレイン、遅角室42
はドレイン、ロック油通路66はドレインとされてお
り、このため進角室43、遅角室42およびロック油通
路66の三者のドレインを実行する主ドレイン操作を実
行できる。図20については、遅角室42については、
油圧制御弁76のソレノイド87への給電量が増加して
スプール85が移動するにつれて、遅角室42のドレイ
ン、遅角室42の閉じ、遅角室42への油供給、遅角室
42の閉じ、遅角室42のドレインに設定されている。
進角室43については、油圧制御弁76のソレノイド8
7への給電量が増加するにつれて、進角室43のドレイ
ン、進角室43の閉じ、進角室43への油供給に設定さ
れている。ロック油通路66については、油圧制御弁7
6のソレノイド87への給電量が増加するにつれて、ロ
ック油通路66のドレイン、ロック油通路66の閉じ、
ロック油通路66への油供給に設定されている。換言す
ると、油圧制御弁76は、スプール85の移動に伴い主
ドレイン操作を実行する油圧制御弁76を有する形態を
採用できる。
【0088】即ち、図20(A)に示す油圧制御弁76
は、相対回転位相を遅角方向に移動させる遅角制御位置
W4、相対回転位相を中間位相に保持する中間位相保持
制御位置W3、相対回転位相を進角方向に移動させる進
角制御位置W2、主ドレイン操作を実行する主ドレイン
制御位置W1を有しており、これらの位置W1〜位置W
4をスプール85の移動に伴って切り替える構造であ
る。
【0089】図20(A)から理解できるように、相対
回転位相(ベーン5)が進角位相W9にある場合、エン
ジン停止信号が出力され、ソレノイド87に給電する給
電量を0とするとき、遅角制御位置W4を通過した後に
主ドレイン位置W1に到達する。このようにエンジン停
止信号に基づいて主ドレイン操作を実行するためスプー
ル85がドレイン制御位置W1に向けて移動するとき、
遅角制御位置W4を途中で通る場合には、相対回転位相
(ベーン5)が遅角方向に動いてしまうノイズが発生す
る。このため、エンジン停止信号に基づいて相対回転位
相を中間位相に移動させてロックさせる際、ECU9
は、相対回転位相の目標値を(中間位相+α)とする。
+αは、相対回転位相(ベーン5)が進角方向に向かう
設定値を意味し、実験的または設計的に選択できる。こ
れにより進角方向へのノイズと+αとが相殺されまたは
実質的に相殺され、前記したノイズの影響が抑えられ
る。この結果、エンジンを停止させる際に、エンジン油
圧が大きく低下する前に、ロック位置である中間位相に
相対回転位相(ベーン5)が迅速に到達することがで
き、ロック部6,6Bをロック方向に移動させる作動を
迅速に実行することができる。なお図20(B)に示す
作動状況としても良い。
【0090】上記した油圧制御弁76は、ロック油通路
66をドレインを実行するとき、遅角室42および進角
室43の双方をドレインさせ得る両ドレインタイプのも
のである。しかし両ドレインタイプの油圧制御弁76に
限定されるものではなく、第3実施例のように、ロック
油通路66のドレインを実行するとき、遅角室42およ
び進角室43のうちのいずれか一方のみをドレインさせ
得る片ドレインタイプのものでも良い。
【0091】第3実施例は第1実施例と基本的には同様
の構成であり、第3実施例は図1〜図5を準用すること
ができる。第3実施例は第1実施例と基本的には同様の
作用効果を奏する。図21は第3実施例の形態1で用い
る油圧回路7の油圧制御弁76Dの作動状況を模式的に
示す。油圧制御弁76Dは、ロック油通路66のドレイ
ンを実行するとき、遅角室42および進角室43のうち
のいずれか一方のみをドレインさせ得る片ドレインタイ
プである。図21に示すように、横軸は油圧制御弁76
Dのソレノイド87への給電量、つまりスプール85の
ストロークを示す。給電量が0のときには、進角室43
の進角油圧はドレイン、遅角室42の遅角油圧は供給、
ロック油通路66のロック油圧はドレインとされてお
り、主ドレイン操作を実行できる。進角室43について
は、油圧制御弁76Dのソレノイド87への給電量が増
加してスプール85が移動するにつれて、進角室43の
ドレイン、進角室43の閉じ、進角室43への油供給に
設定されている。遅角室42については、油圧制御弁7
6Dのソレノイド87への給電量が増加するにつれて、
遅角室42への油供給、遅角室42の閉じ、遅角室42
のドレインに設定されている。ロック油通路66につい
ては、油圧制御弁76Dのソレノイド87への給電量が
増加するにつれて、ロック油通路66のドレイン、ロッ
ク油通路66の閉じ、ロック油通路66への油供給、ロ
ック油通路66の閉じ、ロック油通路66のドレインに
設定されている。
【0092】図22は第3実施例の形態2で用いる油圧
回路7の油圧制御弁76Eの作動状況を模式的に示す。
油圧制御弁76Eは、ロック油通路66のドレインを実
行するとき、遅角室42をドレインさせ得る片ドレイン
タイプである。図21に示すように、横軸は油圧制御弁
76Eのソレノイド87への給電量、つまりスプール8
5のストロークを示す。給電量が0のときには、進角室
43の進角油圧はドレイン、遅角室42の遅角油圧は供
給、ロック油通路66のロック油圧は供給とされてい
る。進角室43については、油圧制御弁76Eのソレノ
イド87への給電量が増加してスプール85が移動する
につれて、進角室43のドレイン、進角室43の閉じ、
進角室43への油供給に設定されている。遅角室42に
ついては、油圧制御弁76Eのソレノイド87への給電
量が増加するにつれて、遅角室42への油供給、遅角室
42の閉じ、遅角室42のドレインに設定されている。
ロック油通路66については、油圧制御弁76Eのソレ
ノイド87への給電量が増加するにつれて、ロック油通
路66への油供給、ロック油通路66の閉じ、ロック油
通路66のドレインに設定されている。
【0093】図23は第3実施例の形態3で用いる油圧
回路7の油圧制御弁76Fの作動状況を模式的に示す。
油圧制御弁76Fは、ロック油通路66のドレインを実
行するとき、進角室43をドレインさせ得る片ドレイン
タイプである。図21に示すように、横軸は油圧制御弁
76Fのソレノイド87への給電量、つまりスプール8
5のストロークを示す。給電量が0のときには、進角室
43の進角油圧はドレイン、遅角室42の遅角油圧は供
給、ロック油通路66のロック油圧はドレインとされて
いる。進角室43については、油圧制御弁76Fのソレ
ノイド87への給電量が増加してスプール85が移動す
るにつれて、進角室43のドレイン、進角室43の閉
じ、進角室43への油供給に設定されている。遅角室4
2については、油圧制御弁76Fのソレノイド87への
給電量が増加するにつれて、遅角室42への油供給、遅
角室42の閉じ、遅角室42のドレインに設定されてい
る。ロック油通路66については、油圧制御弁76Fの
ソレノイド87への給電量が増加するにつれて、ロック
油通路66のドレイン、ロック油通路66の閉じ、ロッ
ク油通路66への油供給に設定されている。
【0094】図24は、油圧制御弁76Dを用いたとき
のタイミングチャートを示す。図24は、相対回転位相
(ベーン5)が遅角側にあり、アイドリング状態のと
き、エンジンを停止させる制御形態のタイミングチャー
トを示す。図24に示すように、アイドリング状態にお
いて運転者によりIGキースイッチ90kが操作される
と、エンジン停止信号A7がECU9に入力される。す
るとエンジン回転数は特性線B7に示すように次第に低
下すると共に、エンジン油圧も次第に低減する。この場
合、ECU9はスプール85の制御値を含む制御信号C
7を油圧制御弁76のソレノイド87に出力する。制御
信号C7は、遅角側にある相対回転位相(ベーン5)を
進角方向に移動させる進角制御(進角油圧供給、遅角油
圧ドレイン、ロック油供給)と、ロック油通路66の排
出との双方を実行するものであり、図21の油圧制御弁
76において電流を大とする指令信号である。
【0095】図25は、油圧制御弁76Dを用いたとき
のタイミングチャートを示す。図25は、アイドリング
状態ではなく、相対回転位相(ベーン5)が中間位相の
近傍にあるとき、エンジンを停止させる制御形態のタイ
ミングチャートを示す。図25に示すように、アイドリ
ング状態において運転者によりIGキースイッチ90k
が操作されると、エンジン停止信号A8がECU9に入
力される。するとエンジン回転数は特性線B8に示すよ
うに次第に低下すると共に、エンジン油圧も次第に低減
する。この場合、ECU9はスプール85の制御値を含
む制御信号C8を油圧制御弁76のソレノイド87に出
力する。制御信号C8は、相対回転位相(ベーン5)を
進角方向に移動させる進角制御(進角室43に油供給、
遅角室42のドレイン、ロック油供給)を実行する信号
C81と、その後に遅角制御(進角室43にドレイン、
遅角室42に油供給)およびロック油通路66のドレイ
ン排出の双方を実行する信号C82とを含む。
【0096】ところで上記した弁開閉時期制御装置によ
れば、相対回転位相(ベーン5)が中間位相に対して一
定距離以内にあり、かなり接近しているときには、ロッ
ク油通路66の油が排出されてロックが行われる前に、
ロック位置である中間位相をベーン5が通過してしまう
おそれがある。そこで、相対回転位相(ベーン5)を遅
角方向に移動させて中間位相から一旦離す。その後に、
逆方向である進角方向に移動させる第1制御をおこなう
ことができる。あるいは、図25に示すように、相対回
転位相(ベーン5)を進角方向に移動させて相対回転位
相(ベーン5)を中間位相から一旦離し、その後に、逆
方向である遅角方向に相対回転位相(ベーン5)を移動
させる第2制御を実行することができる。このように相
対回転位相(ベーン5)を、ロック位置である中間位相
から一旦離している間に、ロック油通路66から油を排
出する時間を確保することができ、ロック油の排出性を
高めることができ、ロック部6,6Bの作動を迅速に実
行することができる。
【0097】また上記したように相対回転位相(ベーン
5)を一旦進角方向に移動させて中間位相から一旦離し
た後に、遅角方向に移動させる制御が行われる場合に
は、べーン5を確実に遅角方向に移動させ得ることが好
ましい。しかしエンジン停止に伴い油圧が次第に低下す
る。このため進角方向にベーン5を常に付勢するベーン
付勢バネ27の付勢力を、カム変動トルクの平均値より
も小さく設定することができる。故に油圧が低下してい
るときであっても、相対回転位相(ベーン5)を遅角方
向に移動させることができる利点が得られる。
【0098】ところで第1実施例〜第3実施例において
は、カム変動トルクの大きさは油の粘性に影響される。
使用が想定される油のうち、最も粘性が大きい油を用い
た場合のカム変動トルクの平均値をFTとする。FTよ
りも大きい付勢力を有するべーン付勢バネ27を用いる
ことができる。これによりベーン5を迅速に進角方向に
付勢させることができ、べーン付勢バネ27の本来の機
能を奏することができる。この場合、ベーン5を迅速に
進角方向に付勢させることができるものの、これに基づ
くノイズを相殺することが好ましい。このためエンジン
停止信号が出力され相対回転位相を中間位相に移動させ
る際には、ECU9は、相対回転位相の目標値を(中間
位相−α3)に変更する。−α3は相対回転位相(ベー
ン5)の位相が遅角方向に向かう設定値を意味し、実験
的または設計的に選択できる。これによりべーン付勢バ
ネ27に起因する進角方向へのノイズと−α3とが相殺
されまたは実質的に相殺される。この結果、ロック位置
である中間位相に相対回転位相(ベーン5)が迅速に到
達することができ、ロック部6,6Bによるロックを迅
速に実行することができる。
【0099】上記した各実施例では1個の油圧制御弁が
設けられているが、これに限らず、遅角路71に対して
油の給排を行う油圧制御弁と、進角路72に対して油の
給排を行う油圧制御弁とを設けることができる。その
他、本発明は上記した実施例のみに限定されるものでは
なく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施でき
るものである。
【0100】上記した記載から次の技術的思想も把握で
きる。 (付記項1)エンジンのクランクシャフトまたはカムシ
ャフトのうちの一方と一体回転する第1回転部材と、第
1回転部材との間に流体圧室を形成するように第1回転
部材に相対回転可能に嵌合され、エンジンのクランクシ
ャフトまたはカムシャフトのうちの他方と一体回転する
第2回転部材と、第1回転部材および/または第2回転
部材に設けられ、流体圧室を遅角室および進角室に仕切
るベーンと、遅角室および/または進角室に対して油の
供給または排出を実行することにより、第1回転部材お
よび第2回転部材の相対回転位相を最遅角位相と最進角
位相との間で移動させる第1経路と、第1回転部材およ
び第2回転部材の相対回転位相を最遅角位相と最進角位
相との間の中間位相にロックするロック部と、ロック部
をロック方向に移動させるバネと、バネに抗してロック
部をロック解除方向に作動させるロック油通路とを有す
る相対回転制御機構とを具備し、エンジン回転数が増加
するとバネに抗してロック部に作用する遠心力でロック
部がロック解除される弁開閉時期制御装置において、ロ
ック油通路に対して油の供給を実行することによりロッ
ク解除させる制御手段とを具備することを特徴とする弁
開閉時期制御装置。 (付記項2)付記項1において、前記制御手段は、ロッ
ク解除されている状態において、相対回転位相を最遅角
位相と最進角位相との間の中間位相に、遅角室及び進角
室の油圧で保持する指令を出力することを特徴とする弁
開閉時期制御装置。この場合、ロック解除されている状
態において、ベーンのがたつきが抑えられ、ひいては相
対回転位相をロック解除状態において中間位相に保持す
るのに有利となる。このため、次の制御のとき、相対回
転位相を遅角方向または進角方向に迅速に移動させるこ
とができる利点が得られる。
【0101】(付記項3)付記項1において、前記制御
手段は、ロック解除する直前において、相対回転位相を
最遅角位相と最進角位相との間の中間位相に、遅角室及
び進角室の油圧で保持する指令を出力することを特徴と
する弁開閉時期制御装置。この場合、ロック解除する直
前において、相対回転位相を中間位相に遅角室及び進角
室の油圧で保持する指令が出力されているため、ベーン
のがたつきが抑えられ、ひいては相対回転位相をロック
解除状態において中間位相に保持するのに有利となる。
このため、次の制御のとき、相対回転位相を遅角方向ま
たは進角方向に迅速に移動させることができる利点が得
られる。
【0102】(付記項4)付記項1において、前記相対
回転位相が中間位相でロックされているとき、前記制御
手段は、遅角室及び進角室をドレインすると共にロック
油通路をドレインする指令を出力することを特徴とする
弁開閉時期制御装置。
【0103】(付記項5)請求項1〜請求項4のいずれ
か一項において、前記遅角室および/または前記進角室
の油圧の変動の影響を抑えるように前記第1経路に独立
して設けられ前記ロック油通路に繋がり前記ロック油通
路に対して油の供給および/または排出を実行する第2
経路を具備することを特徴とする弁開閉時期制御装置。
(付記項6)エンジンのクランクシャフトまたはカムシ
ャフトのうちの一方と一体回転する第1回転部材と、第
1回転部材との間に流体圧室を形成するように第1回転
部材に相対回転可能に嵌合され、エンジンのクランクシ
ャフトまたはカムシャフトのうちの他方と一体回転する
第2回転部材と、第1回転部材および/または第2回転
部材に設けられ、流体圧室を遅角室および進角室に仕切
るベーンと、遅角室および/または進角室に対して油の
供給または排出を実行することにより、第1回転部材お
よび第2回転部材の相対回転位相を最遅角位相と最進角
位相との間で移動させる第1経路と、第1回転部材およ
び第2回転部材の相対回転位相を最遅角位相と最進角位
相との間の中間位相にロックするロック部を有する相対
回転制御機構とを具備し、エンジン回転数が増加すると
前記ロック部に作用する遠心力でロック部がロック解除
される弁開閉時期制御装置において、エンジンの回転数
を直接または間接的に検出するエンジン回転数検出手段
と、ロック解除させる遠心力が発生するときのエンジン
回転数よりも低いエンジン回転数に関する敷居値を採択
する敷居値採択手段と、前記エンジン回転数検出手段で
検出されたエンジン回転数が前記敷居値を越えるときに
ロック解除させる制御手段とを具備することを特徴とす
る弁開閉時期制御装置。後述の発明の効果が得られる。
【0104】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る弁開閉
時期制御装置によれば、エンジン回転数検出手段で検出
される実際のエンジン回転数が敷居値を越えるとき、相
対回転位相のロック状態が解除される。従って、相対回
転位相を中間位相にロック状態に保持したいときにおい
て、意図に反して遠心力でロック部が解除されてしまう
ことを防止できる。
【0105】更に実際のエンジン回転数が敷居値を越え
るとき相対回転位相のロックが解除されるため、ロック
部をロック方向に付勢するバネのスプリング力に公差が
あるときであっても、遠心力のみに頼って相対回転位相
のロック解除を行う場合に比較して、精密なロック解除
制御を行うのに有利である。
【0106】更に、次の特定の条件を満足する場合に
は、以下の効果も期待できる。 (1)ロック油通路に繋がる第2経路が第1経路に対し
て独立している場合には、ロック部を作動させるとき、
カム変動トルクに起因する遅角室および進角室の油の圧
力の変動の影響を抑えることができる利点が得られる。
更にロック油通路に繋がる第2経路が独立して設けられ
ている場合には、ロック油通路の油の供給性、排出性を
高めることができ、ロック部を迅速に作動させることが
できる。故に、エンジン停止信号に基づいてエンジンが
停止されたため、エンジン油圧が低下するときであって
も、相対回転位相を中間位相に迅速にロックさせること
ができ、エンジンの始動性を向上させ得る。 (2)エンジン停止信号に基づいて、遅角室および進角
室のうちの一方または双方の油を排出すると共にロック
油通路の油を排出する主ドレイン操作を油圧回路に実行
させ、実行に伴い前記相対回転位相を中間位相にロック
させる場合には、エンジン停止停止に基づいてエンジン
を停止させるとき、遅角室および進角室の一方または双
方の油の排出性を高めることができ、遅角室および進角
室の一方または双方が迅速に空または空に近い状態とな
る。よって、エンジン停止に伴い油圧が低下する場合で
あっても、第1回転部材および第2回転部材の相対回転
位相(つまり、ベーンの往復移動)の移動を迅速に実行
することができ、ひいては相対回転位相(ベーン)を中
間位相に迅速に到達させてロックさせ易い。
【図面の簡単な説明】
【図1】弁開閉時期制御装置の全体構成図である。
【図2】図1のIIーII線に沿った断面を示し、通常
始動時における弁開閉時期制御装置の断面図である。
【図3】進角制御時における弁開閉時期制御装置の断面
図である。
【図4】中間位相保持制御時における弁開閉時期制御装
置の断面図である。
【図5】遅角制御時における弁開閉時期制御装置の断面
図である。
【図6】油圧制御弁のスプールのストロークと作動との
関係の代表例を示す工程図である。
【図7】代表的な油圧制御弁の作動を説明する断面図で
ある。
【図8】代表的な油圧制御弁の作動を説明する断面図で
ある。
【図9】代表的な油圧制御弁の作動を説明する断面図で
ある。
【図10】代表的な油圧制御弁の作動を説明する断面図
である。
【図11】制御形態1を示すタイミングチャートであ
る。
【図12】制御形態2を示すタイミングチャートであ
る。
【図13】制御形態3を示すタイミングチャートであ
る。
【図14】制御形態4を示すタイミングチャートであ
る。
【図15】制御形態5を示すタイミングチャートであ
る。
【図16】制御形態6を示すグラフである。
【図17】制御形態7を示すグラフである。
【図18】制御形態8を示すグラフである。
【図19】カム変動トルクの変化を示すグラフである。
【図20】油圧制御弁のスプールのストロークと作動と
の関係を示す工程図である。
【図21】別の部の油圧制御弁の作動を説明する工程図
である。
【図22】他の別の油圧制御弁の作動を説明する工程図
である。
【図23】別の制御形態を示すタイミングチャートであ
る。
【図24】別の制御形態を示すタイミングチャートであ
る。
【図25】別の制御形態を示すタイミングチャートであ
る。
【図26】ECUのブロック図である。
【図27】敷居値回転数の採択形態を示すグラフであ
る。
【図28】摩擦抵抗を含むロック保持力がロック部に作
用するときにおける敷居値回転数の採択形態を示すグラ
フである。
【図29】敷居値回転数とエンジンの温度状態(冷却水
の水温)との関係を示すグラフである。
【図30】ロック解除判定処理を示すフローチャートで
ある。
【符号の説明】
図中、1はロータ(第1回転部材)、2は第2回転部
材、20はハウジング、3はカムシャフト、40は流体
圧室、42は遅角室、43は進角室、5はベーン、6,
6Bはロック部(相対回転制御機構)、61はバネ、7
は油圧回路(相対回転制御機構)、70はオイルポン
プ、76は油圧制御弁、77は第1経路(相対回転制御
機構)、9はECU(制御手段)、90fは回転数セン
サ(エンジン回転数検出手段)を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3G018 AB02 BA10 BA33 CA20 DA20 DA54 DA60 DA70 DA72 DA73 DA74 EA03 FA01 FA08 FA16 GA11 3G092 AA11 CA01 DA09 DA10 DA12 DF09 DG05 EA11 FA31 GA10 GA17 HE01Z

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エンジンのクランクシャフトまたはカムシ
    ャフトのうちの一方と一体回転する第1回転部材と、 前記第1回転部材との間に流体圧室を形成するように前
    記第1回転部材に相対回転可能に嵌合され、エンジンの
    クランクシャフトまたはカムシャフトのうちの他方と一
    体回転する第2回転部材と、 前記第1回転部材または前記第2回転部材に設けられ、
    前記流体圧室を遅角室および進角室に仕切るベーンと、 前記遅角室および/または前記進角室に対して油の供給
    または排出を実行することにより、前記第1回転部材お
    よび前記第2回転部材の前記相対回転位相を最遅角位相
    と最進角位相との間で移動させる第1経路と、前記第1
    回転部材および前記第2回転部材の前記相対回転位相を
    最遅角位相と最進角位相との間の中間位相にロックする
    ロック部と、前記ロック部をロック方向に移動させるバ
    ネと、前記バネに抗して前記ロック部をロック解除方向
    に作動させるロック油通路とを有する相対回転制御機構
    とを具備し、 エンジン回転数が増加すると前記バネに抗して前記ロッ
    ク部に作用する遠心力で前記ロック部がロック解除され
    る弁開閉時期制御装置において、 エンジンの回転数を直接または間接的に検出するエンジ
    ン回転数検出手段と、 ロック解除させる遠心力が発生するときのエンジン回転
    数よりも低いエンジン回転数に関する敷居値を採択する
    敷居値採択手段と、 前記エンジン回転数検出手段で検出されたエンジン回転
    数が前記敷居値を越えるときにロック解除させる制御手
    段とを具備することを特徴とする弁開閉時期制御装置。
  2. 【請求項2】請求項1において、前記制御手段は、前記
    エンジン回転数検出手段で検出されたエンジン回転数が
    前記敷居値を越えロック解除されている状態のとき、ロ
    ック解除状態のままで、前記相対回転位相を最遅角位相
    と最進角位相との間の中間位相に、前記遅角室及び前記
    進角室の油圧で保持する指令を出力することを特徴とす
    る弁開閉時期制御装置。
  3. 【請求項3】請求項1または請求項2において、前記相
    対回転位相が中間位相で前記ロック部によりロックされ
    ているとき、前記制御手段は、前記遅角室及び前記進角
    室をドレインすると共に前記ロック油通路をドレインす
    る指令を出力することを特徴とする弁開閉時期制御装
    置。
  4. 【請求項4】請求項1または請求項2において、前記相
    対回転位相が中間位相で前記ロック部によりロックされ
    ているとき、前記制御手段は、前記遅角室及び前記進角
    室のうちのいずれか一方に油を供給すると共に、前記遅
    角室及び前記進角室のうちの他方をドレインさせ、ロッ
    ク解除方向への抵抗となる摩擦抵抗力をロック部に発生
    させる指令を出力することを特徴とする弁開閉時期制御
    装置。
  5. 【請求項5】請求項1〜請求項4のいずれか一項におい
    て、前記敷居値は、アイドル状態のエンジン回転数を越
    え、且つ、ロック部が遠心力よりロック解除されるエン
    ジン回転数未満に設定されていることを特徴とする弁開
    閉時期制御装置。
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