(第1実施形態)
図1〜図11を参照して、本発明の内燃機関の可変動弁装置をインテークバルブのバルブタイミングを変更する可変動弁装置として具体化した第1実施形態について説明する。本実施形態では、バルブタイミング可変機構30及び油圧供給装置50及び電子制御装置100を含めて可変動弁装置が構成されている。
図1に示されるように内燃機関1には、空気及び燃料からなる混合気の燃焼を通じて動力を得る機関本体10と、インテークバルブ21のバルブタイミングを変更するバルブタイミング可変機構30と、機関本体10及びバルブタイミング可変機構30に潤滑油を供給する油圧供給装置50と、これら装置を統括的に制御する電子制御装置100とが設けられている。
機関本体10には、インジェクタ17を通じて噴射された燃料と吸気通路を流れる空気との混合気を燃焼室14にて燃焼させ、これにともなうピストン15の直線運動をクランクシャフト16の回転運動に変換するシリンダブロック11が設けられている。このシリンダブロック11の下部には、内燃機関1の各部位に供給される潤滑油を貯留するオイルパン12が取り付けられている。シリンダブロック11の上部には、動弁系の部品が配置されるシリンダヘッド13が取り付けられている。
シリンダヘッド13には、燃焼室14を吸気通路に対して開閉するインテークバルブ21及びこれを開閉駆動するインテークカムシャフト22と、燃焼室14を排気通路に対して開閉するエキゾーストバルブ23及びこれを開閉駆動するエキゾーストカムシャフト24とが設けられている。
クランクシャフト16には、オイルパン12の潤滑油を汲み上げて吐出するオイルポンプ18が連結されている。オイルポンプ18により吐出された潤滑油は、潤滑油路52を通過して内燃機関1の各部位に供給され、その一部はオイルコントロールバルブ51を通じてバルブタイミング可変機構30に供給される。また、内燃機関1の各部位を流通した後の潤滑油及び、バルブタイミング可変機構30から排出された潤滑油は、再びオイルパン12に戻される。
電子制御装置100には、その制御を補助するための各種センサとして、クランクポジションセンサ101及びカムポジションセンサ102等が接続されている。クランクポジションセンサ101は、クランクシャフト16の付近に設けられて、同シャフトの回転角度に応じた信号を出力する。カムポジションセンサ102は、インテークカムシャフト22の付近に設けられて、同シャフトの回転角度に応じた信号を出力する。電子制御装置100は、クランクポジションセンサ101及びカムポジションセンサ102の出力に基づいてインテークバルブ21のバルブタイミング(以下、「バルブタイミングINVT」)を算出する。
電子制御装置100は、これらセンサの出力等に基づいて、インジェクタ17の制御を通じて燃料噴射量を調整する燃料噴射制御、及びオイルコントロールバルブ51の制御を通じてバルブタイミングINVTを調整するバルブタイミング制御等の各種制御を行う。
図2を参照して、バルブタイミング可変機構30の構成について説明する。なお図2(a)は、ハウジング31からカバー34を取り外した状態での同可変機構の平面構造を示す。また、同図において矢印Aは、インテークカムシャフト22及びバルブタイミング可変機構30の回転方向を示す。
バルブタイミング可変機構30は、タイミングチェーンを介してクランクシャフト16と連結されることにより同シャフトに同期して回転するスプロケット32と、インテークカムシャフト22の端部に固定されることにより同シャフトに同期して回転するベーンロータ33とにより構成されている。スプロケット32には、これと一体をなす態様で回転するハウジング31が設けられている。ベーンロータ33は、このハウジング31内の空間に配置されてハウジング31にカバー34が取り付けられることにより、同空間に収容される。
ハウジング31には、径方向においてベーンロータ33に向けて突出する3つの区画壁31Aが設けられている。またベーンロータ33には、ハウジング31に向けて突出する3つのベーン33Aが設けられている。隣り合う区画壁31Aの間にある空間は、対応する一のベーン33Aにより進角室35及び遅角室36に区画されている。
進角室35は、ベーン33Aを基準としたときにこれよりもインテークカムシャフト22の回転方向後方側に位置するものであり、油圧供給装置50によるバルブタイミング可変機構30に対する潤滑油の給排状態に応じて容積が変化する。一方の遅角室36は、ベーン33Aを基準としたときにこれよりもインテークカムシャフト22の回転方向前方側に位置するものであり、進角室35と同じく油圧供給装置50によるバルブタイミング可変機構30に対する潤滑油の給排状態に応じて容積が変化する。
バルブタイミング可変機構30は、上記の構成に基づいてハウジング31及びスプロケット32に対するベーンロータ33の相対的な回転位相を変更することにより、バルブタイミングINVTを変更する。同バルブタイミング可変機構30によるバルブタイミングINVTの変更は具体的には次のように行われる。
進角室35への潤滑油の供給及び遅角室36からの潤滑油の排出により、ベーンロータ33がハウジング31に対して進角側すなわちインテークカムシャフト22の回転方向前方側に回転するとき、バルブタイミングINVTは進角側に変化する。ベーンロータ33がハウジング31に対して最大限に進角側に回転したとき、バルブタイミングINVTは最も進角側のタイミング(以下、「最進角INVTmax」)に設定される。以降では、このときのハウジング31に対するベーンロータ33の回転位相を最進角位相PHとする。なお、最進角位相PHとしては、ベーンロータ33の進角側への回転にともないベーン33Aが区画壁31Aに突き当てられるときの位相、またはベーンロータ33がこの位相付近にあるときの位相が設定される。
進角室35からの潤滑油の排出及び遅角室36への潤滑油の供給により、ベーンロータ33がハウジング31に対して遅角側すなわちインテークカムシャフト22の回転方向後方側に回転するとき、バルブタイミングINVTは遅角側に変化する。ベーンロータ33がハウジング31に対して最大限に遅角側に回転したとき、バルブタイミングINVTは最も遅角側のタイミング(以下、「最遅角INVTmin」)に設定される。以降では、このときのハウジング31に対するベーンロータ33の回転位相を最遅角位相PLとする。なお、最遅角位相PLとしては、ベーンロータ33の遅角側への回転にともないベーン33Aが区画壁31Aに突き当てられるときの位相、またはベーンロータ33がこの位相付近にあるときの位相が設定される。
進角室35及び遅角室36のそれぞれと油圧供給装置50との間における潤滑油の流通が遮断されることにより、すなわち進角室35及び遅角室36のそれぞれに潤滑油が保持されることにより、ハウジング31とベーンロータ33との相対的な回転が不能となり、バルブタイミングINVTはそのときのタイミングに維持される。
バルブタイミング可変機構30には、進角室35及び遅角室36の油圧にかかわらずハウジング31に対するベーンロータ33の回転を規制して、バルブタイミングINVTを最進角INVTmaxと最遅角INVTminとの間にある特定のタイミング(以下、「中間角INVTmdl」)に固定する中間ロック機構40が設けられている。この中間角INVTmdlとしては機関始動に適したタイミングが設定されている。すなわち、機関始動時においてバルブタイミングINVTが中間角INVTmdlに設定された場合と、これよりも遅角側のタイミングに設定された場合とを比較したとき、前者の方がより高い始動性が確保されるようになる。
中間ロック機構40は、油圧供給装置50による当該中間ロック機構40に対する潤滑油の給排状態に基づいて動作し、ハウジング31に対するベーンロータ33の回転位相が中間角INVTmdlに対応する回転位相(以下、「中間位相PM」)にあるときに、ハウジング31とベーンロータ33とを互いに固定してバルブタイミングINVTを中間角INVTmdlに保持する。
具体的には、ベーン33Aに設けられたロックピン41と、同じくベーン33Aに設けられて油圧供給装置50により潤滑油が供給される中間室42と、また同じくベーン33Aに設けられてロックピン41を一方向に押すロックばね43と、ハウジング31に設けられたロック穴44とにより構成されている。
ロックピン41は、中間室42の潤滑油の力とロックばね43の力との関係に基づいて、ベーン33Aから突出する方向(以下、「突出方向ZA」)とベーン33Aに引込む方向(以下、「収容方向ZB」)との間で動作する。中間室42の油圧は、ロックピン41に対して収容方向ZBに作用し、ロックばね43の力は、ロックピン41に対して突出方向ZAに作用する。
油圧供給装置50により中間室42に対して潤滑油が供給されて中間室42が潤滑油にて満たされるとき、すなわち中間室42に対する潤滑油の給排状態が「第1給排状態」にあるとき、中間室42の潤滑油による収容方向ZBの力がロックばね43による突出方向ZAの力を上回るようになる。これにより、ロックピン41に対してはこれを収容方向ZBに動作させようとする力が生じるようになる。そしてロックピン41がロック穴44にはめ込まれた状態のもとで、ロックピン41に対して収容方向ZBの力が作用するとき、ロックピン41がロック穴44から離脱し解除位置に移動してベーン33A内に収容される。これにより、ロックピン41とロック穴44との係合によるハウジング31とベーンロータ33との固定が解除されて、ハウジング31に対するベーンロータ33の回転が許容される。
一方、油圧供給装置50により中間室42から潤滑油が排出されて中間室42が潤滑油により満たされないとき、すなわち中間室42に対する潤滑油の給排状態が「第2給排状態」にあるとき、ロックばね43による突出方向ZAの力により、ロックピン41に対してはこれを突出方向ZAに動作させようとする力が生じるようになる。そしてこの状態のもとで、ハウジング31に対するベーンロータ33の回転位相が中間位相PMにあるとき、すなわちロックピン41とロック穴44との周方向の位置が一致しているとき、ロックピン41がベーン33Aから固定位置にまで突出し、ロック穴44にはめ込まれる。これにより、ロックピン41とロック穴44との係合を通じてハウジング31とベーンロータ33とが互いに固定され、これらの相対的な回転位相は中間位相PMに保持される。
図3に、バルブタイミング可変機構30の断面構造を模式的に示す。なお同図は、図2(a)のA2−A2線に沿うバルブタイミング可変機構30の断面構造を平面上に展開したものについて、これを模式的に示している。
ハウジング31に対するベーンロータ33の回転位相について、これが図3(a)に示される最進角位相PHから図3(b)に示される最遅角位相PLまでの間で変更されるときには、ロックピン41はベーン33A内に収容された状態に維持される。また、ベーンロータ33の回転位相が中間位相PMにあるときであっても、中間室42への潤滑油の供給にともないロックピン41がベーン33A内に収容されている限りは、図3(c)に示されるようにベーンロータ33の回転位相が中間位相PMに固定されることはない。
一方、ベーンロータ33の回転位相が中間位相PMにあるときに、中間室42から潤滑油の排出が行われてロックピン41に対して突出方向ZAの力が作用するときには、図3(d)に示されるようにロックピン41がベーン33Aから突出してロック穴44にはめ込まれ、これによりベーンロータ33が中間位相PMに保持される。
このような構成により、ロックピン41に対して突出方向ZAの力が作用し且つロックピン41がロック穴44よりも遅角側の位置にある状況のもと、ベーンロータ33がハウジング31に対して進角側に駆動された場合には、これらの相対的な回転位相が中間位相PMに達したときにロックピン41の先端部がロック穴44にはめ込まれるようになる。
図4を参照して、バルブタイミング可変機構30と油圧供給装置50との間における潤滑油の流通態様について説明する。なお同図は、これら装置の間における油路の構成を模式的に示している。
油圧供給装置50は、オイルパン12及びオイルポンプ18及びオイルコントロールバルブ51と、これらの間で互いに潤滑油を流通させる潤滑油路52とを含めて構成されている。またこの潤滑油路52として、オイルパン12からオイルコントロールバルブ51に潤滑油を供給する供給油路53と、同コントロールバルブ51からオイルパン12に潤滑油を還流する排出油路54と、同コントロールバルブ51と各進角室35との間で潤滑油を流通する進角油路55と、同コントロールバルブ51と各遅角室36との間で潤滑油を流通する遅角油路56と、同コントロールバルブ51と中間室42との間で潤滑油を流通する中間油路57とが設けられている。
進角油路55及び遅角油路56及び中間油路57はそれぞれ、オイルコントロールバルブ51と進角室35及び遅角室36及び中間室42のいずれか対応するものとを直接的に接続している。すなわち中間油路57は、進角室35及び遅角室36のいずれも介することなく潤滑油をオイルコントロールバルブ51との間で流通させる油路として形成されている。
オイルコントロールバルブ51は、供給油路53及び排出油路54と進角油路55及び遅角油路56及び中間油路57との連通状態を切り替えることにより、進角室35及び遅角室36及び中間室42に対する潤滑油の給排状態を変更する。
図5及び図6を参照して、オイルコントロールバルブ51の構造及びその動作モードについて説明する。なお、図5及び図6はいずれも同バルブの軸方向に沿う断面構造を示すものであり、それぞれ異なる動作モードにあるときの断面構造を示す。また、各図中の矢印は潤滑油の流れを示す。
図5(a)に示されるように、オイルコントロールバルブ51は、複数のポートが設けられた単一のスリーブ70と、このスリーブ70内に設けられる単一のスプール60とにより構成されている。そして、このスプール60がスリーブ70に対して移動することにより、ポート同士の連通状態を切り替えて進角室35及び遅角室36及び中間室42に対する潤滑油の給排状態を変更する。
スリーブ70には、進角油路55に接続される進角ポート75と、遅角油路56に接続される遅角ポート76と、中間油路57に接続される中間ポート77とが形成されている。またこれらポートは、スリーブ70の軸方向に沿って、進角ポート75及び遅角ポート76及び中間ポート77の順に形成されている。
スリーブ70には、上記の各ポートに加えて、供給油路53に接続される第1供給ポート71と、この第1供給ポート71とは別に設けられて同じく供給油路53に接続される第2供給ポート72と、排出油路54に接続される第1排出ポート73と、この第1排出ポート73とは別に設けられて同じく排出油路54に接続される第2排出ポート74とが形成されている。さらに、スリーブ70の内壁において第2供給ポート72と第2排出ポート74との間には、壁面に沿う形状の溝としての中間連通路78が形成されている。
スプール60には、スリーブ70に対する当該スプール60の移動にともない各ポート71〜77のそれぞれについての開口面積を変更する次の各弁体が設けられている。すなわち、第1供給ポート71及び第1排出ポート73及び進角ポート75のそれぞれの開口面積を変更する進角弁61と、第1供給ポート71及び遅角ポート76のそれぞれの開口面積を変更する調整弁62と、第1供給ポート71及び第2排出ポート74及び遅角ポート76のそれぞれの開口面積を変更する遅角弁63と、第2排出ポート74及び中間ポート77のそれぞれの開口面積を変更する第1中間弁64と、第2供給ポート72及び中間ポート77のそれぞれの開口面積を変更する第2中間弁65と、第2供給ポート72及び中間ポート77のそれぞれの開口面積を変更する第3中間弁66とが設けられている。
こうした構造のオイルコントロールバルブ51においては、スリーブ70に対するスプール60の軸方向への移動にともない各ポート間の連通状態が変更されることにより、その駆動モードが以下に説明する第1モード〜第5モードのいずれかに設定される。
図5(b)に示されるように、スリーブ70に対するスプール60の位置が第1位置にあるとき、動作モードは第1モードに設定され、各ポート間が次の連通状態に維持される。すなわち進角ポート75については、第1排出ポート73との間が連通され、且つ第1供給ポート71との間が進角弁61により遮断される。また遅角ポート76については、第1供給ポート71との間が連通され、且つ第2排出ポート74との間が遅角弁63により遮断される。また中間ポート77については、第2供給ポート72との間が連通され、且つ第2排出ポート74との間が第1中間弁64により遮断される。
そして第1モードにおいてはこうしたポート同士の連通状態にあることにより、進角室35の潤滑油が進角油路55及び進角ポート75及び第1排出ポート73及び排出油路54の順に流通してオイルパン12に還流される。また、オイルポンプ18からの潤滑油が供給油路53及び第1供給ポート71及び遅角ポート76及び遅角油路56の順に流通して遅角室36に供給される。また、オイルポンプ18からの潤滑油が供給油路53及び第2供給ポート72及び中間ポート77及び中間油路57の順に流通して中間室42に供給される。
図5(c)に示されるように、スリーブ70に対するスプール60の位置が第2位置にあるとき、動作モードは第2モードに設定され、各ポート間が次の連通状態に維持される。すなわち進角ポート75については、第1供給ポート71との間が進角弁61により遮断され、且つ第1排出ポート73との間が進角弁61により遮断される。また遅角ポート76については、第1供給ポート71との間が遅角弁63により遮断され、且つ第2排出ポート74との間が遅角弁63により遮断される。また中間ポート77については、第2供給ポート72との間が連通され、且つ第2排出ポート74との間が第2中間弁65により遮断される。
そして第2モードにおいてはこうしたポート同士の連通状態にあることにより、オイルポンプ18からオイルコントロールバルブ51を通じての進角室35への潤滑油の流れ及び進角室35からオイルコントロールバルブ51を通じてのオイルパン12への潤滑油の流れはいずれも遮断される。また、オイルポンプ18から同コントロールバルブ51を通じての遅角室36への潤滑油の流れ及び遅角室36から同コントロールバルブ51を通じてのオイルパン12への潤滑油の流れはいずれも遮断される。中間室42については、オイルポンプ18からの潤滑油が供給油路53及び第2供給ポート72及び中間ポート77及び中間油路57の順に流通して供給される。
図6(a)に示されるように、スリーブ70に対するスプール60の位置が第3位置にあるとき、動作モードは第3モードに設定され、各ポート間が次の連通状態に維持される。すなわち進角ポート75については、第1供給ポート71との間が連通され、且つ第1排出ポート73との間が進角弁61により遮断される。また遅角ポート76については、第2排出ポート74との間が連通され、且つ第1供給ポート71との間が遅角弁63により遮断される。また中間ポート77については、第2供給ポート72との間が連通され、且つ第2排出ポート74との間が第2中間弁65により遮断される。
そして第3モードにおいてはこうしたポート同士の連通状態にあることにより、オイルポンプ18からの潤滑油が供給油路53及び第1供給ポート71及び進角ポート75及び進角油路55の順に流通して進角室35に供給される。また、遅角室36の潤滑油が遅角油路56及び遅角ポート76及び第2排出ポート74及び排出油路54の順に流通してオイルパン12に還流される。また、オイルポンプ18からの潤滑油が供給油路53及び第2供給ポート72及び中間ポート77及び中間油路57の順に流通して中間室42に供給される。
図6(b)に示されるように、スリーブ70に対するスプール60の位置が第4位置にあるとき、動作モードは第4モードに設定され、各ポート間が次の連通状態に維持される。すなわち進角ポート75については、第1供給ポート71との間が連通され、且つ第1排出ポート73との間が進角弁61により遮断される。また遅角ポート76については、第2排出ポート74との間が連通され、且つ第1供給ポート71との間が遅角弁63により遮断される。また中間ポート77については、中間連通路78を通じて第2排出ポート74との間が連通され、且つ第2供給ポート72との間が第3中間弁66により遮断される。
そして第4モードにおいてはこうしたポート同士の連通状態にあることにより、オイルポンプ18からの潤滑油が供給油路53及び第1供給ポート71及び進角ポート75及び進角油路55の順に流通して進角室35に供給される。また、遅角室36の潤滑油が遅角油路56及び遅角ポート76及び第2排出ポート74及び排出油路54の順に流通してオイルパン12に還流される。また、中間室42の潤滑油が中間油路57及び中間ポート77及び中間連通路78及び第2排出ポート74及び排出油路54の順に流通してオイルパン12に還流される。
図6(c)に示されるように、スリーブ70に対するスプール60の位置が第5位置にあるとき、動作モードは第5モードに設定され、各ポート間が次の連通状態に維持される。すなわち進角ポート75については第1供給ポート71との間が連通され、且つ第1排出ポート73との間が進角弁61により遮断される。また遅角ポート76については、第2排出ポート74との間が連通され、且つ第1供給ポート71との間が遅角弁63により遮断される。また中間ポート77については、中間連通路78を通じて第2排出ポート74との間が連通され且つ第2供給ポート72との間が第3中間弁66により遮断される。
そして第5モードにおいてはこうしたポート同士の連通状態にあることにより、オイルポンプ18からの潤滑油が供給油路53及び第1供給ポート71及び進角ポート75及び進角油路55の順に流通し且つ第3モード時よりも流量が絞られた状態で進角室35に供給される。また、遅角室36の潤滑油が遅角油路56及び遅角ポート76及び第2排出ポート74及び排出油路54の順に流通し且つ第3モード時よりも流量が絞られた状態でオイルパン12に還流される。また、中間室42の潤滑油が中間油路57及び中間ポート77及び中間連通路78及び第2排出ポート74及び排出油路54の順に流通してオイルパン12に還流される。
以上のように、オイルコントロールバルブ51は、複数のポートが設けられるスリーブ70と複数の弁体が設けられるスプール60とを含めて構成され、これらスリーブ70及びスプール60の相対的な移動にともない複数のポートのそれぞれの開口面積が複数の弁体のうちの対応する弁体により変更される。
第3モード〜第5モードのいずれかにあるときには、複数のポートのうちバルブタイミング可変機構30の進角室35につながる進角ポート75と潤滑油の供給源につながる第1供給ポート71とが互いに連通され、バルブタイミング可変機構30の進角室35に潤滑油を供給する進角室流路58が当該オイルコントロールバルブ51内に形成される。また、複数のポートのうち遅角ポート76と第2排出ポート74とが互いに連通され、バルブタイミング可変機構30の遅角室36から潤滑油を排出する遅角室流路59が当該オイルコントロールバルブ51内に形成される。
第4モードにあるときには、第1供給ポート71の開口面積は、第5モードにあるときの第1供給ポート71の開口面積よりも大きいことにより、第4モードにあるときの進角室流路58の潤滑油の流量は第5モードにあるときの進角室流路58の潤滑油の流量よりも多くなる。また、第2排出ポート74の開口面積は、第5モードにあるときの第2排出ポート74の開口面積よりも大きいことにより、第4モードにあるときの遅角室流路59の潤滑油の流量は第5モードにあるときの遅角室流路59の潤滑油の流量よりも多くなる。これにより第4モードにあるときの進角室35に対する潤滑油の供給量及び遅角室36に対する潤滑油の排出量は第5モードにあるときの同供給量及び同排出量よりも多くなるため、第4モードにあるときのバルブタイミング可変機構30の進角速度は第5モードにあるときのバルブタイミング可変機構30の進角速度よりも大きくなる。
第5モードにあるときには、第1供給ポート71の開口面積は、第3モードにあるときの第1供給ポート71の開口面積よりも小さいことにより、第5モードにあるときの進角室流路58の潤滑油の流量は第3モードにあるときの進角室流路58の潤滑油の流量よりも小さくなる。さらに、第5モードの第2排出ポート74の開口面積は、第3モードにあるときの第2排出ポート74の開口面積よりも小さいことにより、第5モードにあるときの遅角室流路59の潤滑油の流量は第3モードにあるときの遅角室流路59の潤滑油の流量よりも小さくなる。これにより、第5モードにあるときのバルブタイミング可変機構30の進角速度は第3モードにあるときの進角速度よりも小さくなる。
すなわち、第3モードにあるときには、バルブタイミング可変機構30が進角方向に回転し且つ中間ロック機構40に対する潤滑油の給排状態が供給状態に維持される。第4モードにあるときには、バルブタイミング可変機構30の進角室35に対する潤滑油の供給量が第5モードよりも多い状態且つ遅角室36からの潤滑油の排出量が第5モードよりも多い状態のもとバルブタイミング可変機構30が進角方向に回転し且つ中間ロック機構40に対する潤滑油の給排状態が排出状態に維持される。第5モードにあるときには、バルブタイミング可変機構30の進角室35に対する潤滑油の供給量が第3モードよりも少ない状態且つ遅角室36からの潤滑油の排出量が第3モードよりも少ない状態のもとバルブタイミング可変機構30が進角方向に回転し且つ中間ロック機構40に対する潤滑油の給排状態が排出状態に維持される。
図7を参照して、スリーブ70に対するスプール60の位置と進角室35及び遅角室36及び中間室42のそれぞれに対する潤滑油流量との関係について説明する。
(A)スプール60が第1位置にあるとき、進角ポート75の排出方向の流量は最も大きくなる。スプールが第1位置から第2位置に向かうにつれて、進角ポート75の排出方向の流量は次第に小さくなる。スプール60が第2位置及びその付近にあるとき、進角ポート75の供給方向及び排出方向の流量は「0」にとなる。スプール60が第2位置から第3位置に向かうにつれて、進角ポート75の供給方向の流量は次第に大きくなる。スプール60が第3位置付近の位置にあるとき、進角ポート75の供給方向の流量は最も大きくなる。スプール60が同位置から第4位置に向かうにつれて、進角ポート75の供給方向の流量は次第に小さくなり、同位置から第5位置に向かうにつれて、進角ポート75の供給方向の流量はさらに小さくなる。
(B)スプール60が第1位置にあるとき、遅角ポート76の供給方向の流量は最も大きくなる。スプール60が第1位置から第2位置に向かう過程において、遅角ポート76の供給方向の流量は次第に小さくなり、これらの間の位置で供給方向及び排出方向の流量は一旦「0」となる。そして、スプール60が同間の位置から第2位置に向かうにつれて、遅角ポート76の供給方向の流量は再び増大し、その後さらに第2位置に向かうにつれて、遅角ポート76の供給方向の流量は小さくなる。スプール60が第2位置及びその付近にあるとき、遅角ポート76の供給方向及び排出方向の流量は「0」にとなる。スプール60が第2位置から第3位置に向かうにつれて、遅角ポート76の排出方向の流量は次第に大きくなる。スプール60が第3位置及びその付近にあるとき、遅角ポート76の排出方向の流量は最も大きくなる。スプール60が同位置から第4位置に向かうにつれて、遅角ポート76の排出方向の流量は次第に小さくなり、同位置から第5位置に向かうにつれて、遅角ポート76の排出方向の流量はさらに小さくなる。
(C)スプール60が第1位置にあるとき、中間ポート77の供給方向の流量は最も大きくなる。スプール60が第1位置から第2位置に向かう過程において、中間ポート77の供給方向の流量は次第に小さくなり、これらの間の位置で供給方向及び排出方向の流量は一旦「0」となる。そして、スプール60が同間の位置から第2位置に向かうにつれて、中間ポート77の供給方向の流量は再び増大する。スプール60が第2位置及びその付近にあるとき、中間ポート77の供給方向の流量はスプール60が第1位置にあるときと略同じ大きさとなる。スプール60が第2位置から第3位置に向かうにつれて、中間ポート77の供給方向の流量は次第に小さくなる。スプール60が第3位置と第4位置との間の位置にあるとき、中間ポート77の供給方向及び排出方向の流量は「0」となる。スプール60が同位置から第4位置に向かうにつれて、中間ポート77の排出方向の流量は次第に大きくなる。さらに第4位置からスプール60が第5位置に向かうにつれて、中間ポート77の排出方向の流量はさらに大きくなり、第5位置に到達したとき、中間ポート77の排出方向の流量は最も大きくなる。
図8を参照して、オイルコントロールバルブ51の動作モードとバルブタイミング可変機構30及び中間ロック機構40との関係、及び機関運転状態に基づく動作モードの設定態様について説明する。なお、図8(b)の表記について、「VVT」はバルブタイミング可変機構30を、また「突出」は中間室42の油圧によりロックピン41に対して突出方向ZAの力が作用している状態を、また「収容」はロックばね43の力によりロックピン41に対して収容方向ZBの力が作用している状態をそれぞれ示している。
第1モードにあるとき、進角室35から潤滑油が排出され且つ遅角室36に潤滑油が供給され且つ中間室42に潤滑油が供給され、これによりバルブタイミング可変機構30が遅角方向に駆動されるとともにロックピン41に対して収容方向ZBの力が付与される。
第2モードにあるとき、進角室35の潤滑油が保持され且つ遅角室36の潤滑油が保持され且つ中間室42に潤滑油が供給され、これによりバルブタイミング可変機構30の動作状態が保持されるとともにロックピン41に対して収容方向ZBの力が付与される。
第3モードにあるとき、進角室35に潤滑油が供給され且つ遅角室36から潤滑油が排出され且つ中間室42に潤滑油が供給され、これによりバルブタイミング可変機構30が進角方向に駆動されるとともにロックピン41に対して収容方向ZBの力が付与される。
第4モードにあるとき、進角室35に潤滑油が供給され、且つ遅角室36から潤滑油が排出され、且つ中間室42から潤滑油が排出され、これによりバルブタイミング可変機構30が進角方向に駆動されるとともに、ロックピン41に対して突出方向ZAの力が付与される。
第5モードにあるとき、第3モードのときよりも小さい流量にて進角室35に潤滑油が供給され、且つ第3モードのときよりも小さい流量にて遅角室36から潤滑油が排出され、且つ中間室42から潤滑油が排出され、これによりバルブタイミング可変機構30が第3モードのときよりも小さい速度且つ第4モードのときよりも小さい速度にて進角方向に駆動されるとともに、ロックピン41に対して突出方向ZAの力が付与される。
図8(c)に示されるように、オイルコントロールバルブ51の駆動モードは機関運転状態に基づいて次のように切り替えられる。なお以降では、バルブタイミングINVTを中間角INVTmdlに固定する要求を「固定要求」とする。
機関始動時すなわち固定要求があるときには、第5モードに設定される。また、固定要求が解除されたときには、第5モードから第2モードに切り替えられる。また、機関運転中に固定要求が生じていないときには、機関運転状態に基づくバルブタイミングINVTの変更要求にともない第1モードと第2モードと第3モードとの間で切り替えられる。また、機関停止時及び機関アイドル運転時すなわち固定要求が生じたときには、第1モード及び第2モード及び第3モードのいずれかのモードから第5モードに切り替えられる。また、内燃機関1の非常停止等により機関停止直後に機関始動を開始すると考えられるときは、第1モード及び第2モード及び第3モードのいずれかのモードから第4モードに切り替えられる。
ところで、バルブタイミング可変機構30の制御を通じて良好な機関始動性を確保するためには、内燃機関1の始動動作が開始された時点においてバルブタイミングINVTが中間角INVTmdlにすでに保持されていることが要求される。そこで当該内燃機関1では、機関運転中にイグニッションスイッチの切替操作にともなう機関停止要求が生じたとき、次回の機関始動に備えて中間ロック機構40によるバルブタイミングINVTの固定を行うようにしている。すなわち、機関停止要求に基づいて内燃機関1の運転を停止する前に中間ロック機構40によりバルブタイミングINVTについて中間角INVTmdlに固定し、その後に機関停止要求に基づいて内燃機関1の運転を停止(以下、「機関通常停止」)するようにしている。
またさらに、機関運転状態がアイドル運転状態に移行したときにはその後に機関停止要求が生じる可能性が高いため、アイドル運転要求があることに基づいてバルブタイミングINVTの固定を行うようにもしている。この場合には、アイドル運転状態から通常の機関運転状態に移行する要求が生じたとき、これに基づいて中間ロック機構40によるバルブタイミングINVTの固定が解除される。
ここで、バルブタイミングINVTを中間角INVTmdlに固定するにあたり、バルブタイミング可変機構30の駆動速度(スプロケット32とベーンロータ33との相対回転速度)が過度に大きいときには、ロックピン41がロック穴44にはめ込まれることなく同ロック穴44を通過することが懸念される。
本実施形態の可変動弁装置では、この点に鑑み、図8(c)に示されるように機関停止要求またはアイドル運転要求に基づいてバルブタイミングINVTを固定するにあたり、オイルコントロールバルブ51の動作モードを第5モードに切り替えるようにしている。これにより、バルブタイミング可変機構30の進角方向への駆動速度が十分に小さい状態のもとで中間ロック機構40によるバルブタイミングINVTの固定が行われるため、上述したバルブタイミング可変機構30の駆動速度に起因する問題の発生を的確に抑制することができるようになる。
一方、エンジンストール等のようにイグニッションスイッチの切替操作に基づくことのない機関停止(以下、「機関非常停止」)が生じたときには、上述した機関通常停止前のバルブタイミングINVTの固定が行われないため、次回の機関始動時における始動性の低下が問題となる。
ここで、機関非常停止が生じた直後は混合気の燃焼がなされないとはいえ、内燃機関1自体は惰性による回転中の状態にあるため、バルブタイミング可変機構30を油圧供給装置50により駆動することはできる。すなわち、機関非常停止が発生したときにも中間ロック機構40によるバルブタイミングINVTの固定を試みることにより、次回の機関始動性の確保を図ることはできる。とはいえ、この場合は機関回転が停止する過渡状態にあるため、換言すれば、油圧供給装置50によりバルブタイミング可変機構30を駆動することのできる期間が限られた状態において同可変機構30の制御を行うことになるため、機関通常停止時と比較してより早期にバルブタイミングINVTを中間角INVTmdlに固定することが要求される。
そこで当該可変動弁装置では、機関非常停止の発生が確認されたときに中間ロック機構40によるバルブタイミングINVTの固定を行うとともに、このときのオイルコントロールバルブ51の動作モードとして第4モードを設定するようにしている。これにより、バルブタイミング可変機構30の進角方向への駆動速度が第5モードよりも大きい状態のもとで中間ロック機構40によるバルブタイミングINVTの固定が行われるため、機関非常停止直後の限られた期間においても好適にバルブタイミングINVTを中間角INVTmdlに固定することができるようになる。
なお、本実施形態のオイルコントロールバルブ51の上記各モードについて、第1モードは請求項に記載の駆動状態MDに相当し、また第3モードは請求項に記載の駆動状態MAに相当し、また第4モードは請求項に記載の駆動状態MCに相当し、第5モードは請求項に記載の駆動状態MBに相当する。
図9を参照して、中間ロック機構40によりバルブタイミングINVTを中間角INVTmdlに固定するための処理手順を定めた「通常停止時の中間ロック処理」について、その詳細を説明する。また図10を併せ参照して、同処理に基づくベーンロータ33及び中間ロック機構40の動作態様について、その一例を説明する。なお当該処理は、機関運転中に電子制御装置100により実行されるものであり、一旦終了のステップに到達した後は、機関運転中である限りステップS101から順に同様の処理が繰り返し行われる。
この処理ではまずステップS101において、固定要求が設定されているか否かを判定する。ここで固定要求は、電子制御装置100により別途実行される制御において、次の態様をもって設定または解除される。すなわち、機関始動要求、機関停止要求、及びアイドル運転要求がある旨判定されるとき、これに基づいて固定要求が設定される。またバルブタイミングINVTの変更要求がある旨判定されるとき、これに基づいて固定要求が解除される。
ステップS101の判定処理により固定要求が設定されていない旨判定したとき、所定の制御周期が経過した後に再び同判定処理を行う。一方、固定要求が設定されている旨判定したときには、次のステップS102においてハウジング31に対するベーンロータ33の回転位相が中間位相PMよりも遅角側にあるか否かを判定する。すなわち、クランクポジションセンサ101及びカムポジションセンサ102の出力から得られるバルブタイミングINVTが中間角INVTmldよりも遅角側にあるか否かを判定する。
ステップS102の判定処理により中間位相PMよりも遅角側にある旨判定したとき、すなわち例えば図10(b)に示される回転位相にあるとき、ステップS103の処理を省略してステップS105の処理に移行する。一方、中間位相PMよりも進角側にある旨判定したとき、すなわち例えば図10(a)に示される回転位相にあるとき、ステップS103の処理を経た後にステップS105の処理に移行する。
ステップS103においては、オイルコントロールバルブ51の動作モードを第1モードに切り替えることにより、ベーンロータ33を遅角側に駆動する。これにより、ステップS105の処理の実行前において、ベーンロータ33が図10(a)に例示される回転位相にあるとき、同ステップの処理が実行されることにともないベーンロータ33の回転位相は図10(b)に例示されるように、中間位相PMよりも遅角側の回転位相に変化する。
ステップS104においてベーンロータ33の回転位相が中間位相PMよりも遅角側にある旨判定したとき、すなわちバルブタイミングINVTが中間角INVTmdlよりも遅角側にある旨判定したとき、次のステップS105にてオイルコントロールバルブ51の動作モードを第5モードに切り替える。
これにより、進角室35に潤滑油が供給されるとともに遅角室36から潤滑油が排出され、図10(c)に示されるようにベーンロータ33が第3モード時よりも低速で進角側に駆動する。またこのとき、中間室42から潤滑油が排出されることにより、ロックピン41に対して突出方向ZAの力が付与される状態にあるため、ベーンロータ33の進角駆動にともないロックピン41がロック穴44と対応するところにまで移動したとき、図10(d)に示されるようにロックピン41がロック穴44に挿入される。これにより、ハウジング31に対するベーンロータ33の回転位相が中間位相PMに固定される。
次のステップS106では、固定要求が解除されたか否かを判定する。固定要求が設定されている旨判定したときには、所定の演算周期が経過した後に再び同判定処理を行う。これにより、ロックピン41がロック穴44にはめ込まれた後、固定要求が継続して設定される限りはオイルコントロールバルブ51の第5モードが維持されるため、ベーンロータ33を進角側に駆動させる力が進角室35の潤滑油により付与され続けるようになる。すなわちロックピン41は、その側面がロック穴44をなす壁面に押し付けられた状態に維持されるようになる。
一方、固定要求が解除された旨判定したときには、次のステップS107にてオイルコントロールバルブ51の動作モードを第2モードに切り替え、これによりロックピン41をロック穴44から引き抜く。その後、バルブタイミングINVTの進角要求があるときには第3モードを選択し、バルブタイミングINVTの遅角要求があるときには第1モードを選択しバルブタイミングINVTの保持要求があるときには第2モードを選択する。
図11を参照して、中間ロック機構40によりバルブタイミングINVTを中間角INVTmdlに固定するための処理手順を定めた「非常停止時の中間ロック処理」について、その詳細を説明する。なお当該処理は、電子制御装置100により実行される別途の処理を通じて機関非常停止の発生が確認されることにともない開始され、一旦終了に達した後は同様の条件が再び成立するまでその実行が保留される。
この処理ではまずステップS201においてハウジング31に対するベーンロータ33の回転位相が中間位相PMよりも遅角側にあるか否かを判定する。ステップS201の判定処理により中間位相PMよりも遅角側にある旨判定したとき、ステップS202の処理を省略してステップS204の処理に移行する。一方、中間位相PMよりも進角側にある旨判定したときステップS202の処理を経た後にステップS204の処理に移行する。
ステップS202においては、オイルコントロールバルブ51の動作モードを第1モードに切り替えることにより、ベーンロータ33を中間位相PMより遅角側に駆動する。これにより、ステップS204の処理の実行前において、中間位相PMよりも遅角側の回転位相に変化する。ステップS203においてバルブタイミングINVTが中間角INVTmdlよりも遅角側にある旨判定したとき、すなわちベーンロータ33の回転位相が中間位相PMよりも遅角側にあるとき、次のステップS204にてオイルコントロールバルブ51の動作モードを第4モードに切り替える。
これにより、進角室35に潤滑油が供給されるとともに遅角室36から潤滑油が排出され、ベーンロータ33が進角側に駆動する。このとき、進角側へ駆動する進角速度は、第5モードよりは高速で行われることになる。また、中間室42から潤滑油が排出されることにより、ロックピン41に対して突出方向ZAの力が付与される状態にあるため、ベーンロータ33が進角するにともないロックピン41がロック穴44と対応するところにまで移動したとき、ロックピン41がロック穴44に挿入される。これにより、ハウジング31に対するベーンロータ33の回転位相が中間位相PMに固定される。
次のステップS205では、中間ロックが完了しているか否かまたは機関非常停止が生じてからの経過時間が所定時間に達しているか否か判定を判定し、いずれかの条件の成立に基づいて当該処理を終了する。なお、機関非常停止からの経過時間が所定時間を超えて以降は、バルブタイミング可変機構30の油圧の低下により同可変機構30の操作を継続してもバルブタイミングINVTが中間角INVTmdlに固定される可能性は低いと考えられるため、当該中間ロック処理では、機関非常停止からの経過時間が所定時間に達したときにバルブタイミング可変機構30の制御を中止するようにしている。
本実施形態の内燃機関の可変動弁装置によれば以下の効果を奏することができる。
(1)本実施形態では、バルブタイミング可変機構30及び中間ロック機構40のそれぞれについての潤滑油の給排状態を単一のオイルコントロールバルブ51により制御する。このオイルコントロールバルブ51は、第3モードにあるとき、バルブタイミング可変機構30を進角方向に駆動し且つ中間ロック機構40についての潤滑油の給排状態を供給状態に維持し、第5モードにあるとき、バルブタイミング可変機構30の進角室35に対する潤滑油の供給量及びバルブタイミング可変機構30の遅角室36からの潤滑油の排出量を第3モードよりも少なくした状態のもと、バルブタイミング可変機構30を進角方向に駆動し且つ中間ロック機構40についての潤滑油の給排状態を排出状態に維持する。
この構成によれば、オイルコントロールバルブ51の駆動状態として第3モード及び第5モードが設定されているため、固定要求があるときにオイルコントロールバルブ51を第5モードに維持することにより、バルブタイミング可変機構30の進角速度に起因して中間ロック機構40によるバルブタイミングINVTの固定が行われない状況が生じることを抑制することができるようになる。すなわち、オイルコントロールバルブ51によりバルブタイミング可変機構30及び中間ロック機構40を制御することと、同中間ロック機構40によりバルブタイミングINVTを的確に固定することとを両立することができるようになる。
(2)本実施形態のオイルコントロールバルブ51は、第4モードにあるとき、バルブタイミング可変機構30の進角室35に対する潤滑油の供給量及びバルブタイミング可変機構30の遅角室36からの潤滑油の排出量を第5モードよりも多くした状態のもと、バルブタイミング可変機構30を進角方向に駆動し且つ中間ロック機構40についての潤滑油の給排状態を排出状態に維持する。
この構成によれば、バルブタイミングINVTを中間角INVTmdlに固定する要求があるときにオイルコントロールバルブ51を第4モードに維持することによりバルブタイミングINVTを速やかに中間角INVTmdlに固定することができるようになる。
(3)本実施形態では、機関非常停止の発生が確認されたときに中間ロック機構40によるバルブタイミングINVTの固定を行うとともに、このときのオイルコントロールバルブ51の動作モードとして第4モードを設定するようにしている。これにより、バルブタイミング可変機構30の進角方向への駆動速度が第5モードよりも大きい状態のもとで中間ロック機構40によるバルブタイミングINVTの固定が行われるため、機関非常停止直後の限られた期間においても好適にバルブタイミングINVTを中間角INVTmdlに固定することができるようになる。
(第2実施形態)
図12及び図13を参照して、本発明の内燃機関の可変動弁装置を具体化した第2実施形態について説明する。以下では、前記第1実施形態の構成からの変更点についての詳細を説明し同実施形態と共通する構成については同一の符合を付してその説明を省略する。
前記第1実施形態のオイルコントロールバルブ51では、進角弁61と第1中間弁64との間に調整弁62及び遅角弁63が設けられる構成を採用している。これに対して本実施形態のオイルコントロールバルブ51では、図12(a)に示されるように、調整弁62及び遅角弁63に代えて単一の弁体67を設けるようにしている。
オイルコントロールバルブ51の各動作モードについて説明する。
図12(b)に示されるように、スリーブ70に対するスプール60の位置が第1位置にあるとき、動作モードは第1モードに設定され、各ポート間が次の連通状態に維持される。すなわち進角ポート75については、第1排出ポート73との間が連通され、且つ第1供給ポート71との間が進角弁61により遮断される。また遅角ポート76については、第1供給ポート71との間が連通され、且つ第2排出ポート74との間が弁体67により遮断される。また中間ポート77については、第2供給ポート72との間が連通され、且つ第2排出ポート74との間が第1中間弁64により遮断される。この場合の潤滑油の流れは、上記第1実施形態での第1モード選択時と実質的に同じものとなる。
図12(c)に示されるように、スリーブ70に対するスプール60の位置が第2位置にあるとき、動作モードは第2モードに設定され、各ポート間が次の連通状態に維持される。すなわち進角ポート75については、第1供給ポート71との間が進角弁61により遮断され、且つ第1排出ポート73との間が進角弁61により遮断される。また遅角ポート76については、第1供給ポート71との間が弁体67により遮断され、且つ第2排出ポート74との間が弁体67により遮断される。また中間ポート77については、第2供給ポート72との間が連通され、且つ第2排出ポート74との間が第2中間弁65により遮断される。この場合の潤滑油の流れは、上記第1実施形態での第2モード選択時と実質的に同じものとなる。
図13(a)に示されるように、スリーブ70に対するスプール60の位置が第3位置にあるとき、動作モードは第3モードに設定され、各ポート間が次の連通状態に維持される。すなわち進角ポート75については、第1供給ポート71との間が連通され、且つ第1排出ポート73との間が進角弁61により遮断される。また遅角ポート76については、第2排出ポート74との間が連通され、且つ第1供給ポート71との間が弁体67により遮断される。また中間ポート77については、第2供給ポート72との間が連通され、且つ第2排出ポート74との間が第2中間弁65により遮断される。この場合の潤滑油の流れは、上記第1実施形態での第3モード選択時と実質的に同じものとなる。
図13(b)に示されるように、スリーブ70に対するスプール60の位置が第4位置にあるとき、動作モードは第4モードに設定され、各ポート間が次の連通状態に維持される。すなわち進角ポート75については、第1供給ポート71との間が連通され、且つ第1排出ポート73との間が進角弁61により遮断される。また遅角ポート76については、第2排出ポート74との間が連通され、且つ第1供給ポート71との間が弁体67により遮断される。また中間ポート77については、中間連通路78を通じて第2排出ポート74との間が連通され、且つ第2供給ポート72との間が第3中間弁66により遮断される。この場合の潤滑油の流れは、上記第1実施形態での第4モード選択時と実質的に同じものとなる。
図13(c)に示されるように、スリーブ70に対するスプール60の位置が第5位置にあるとき、動作モードは第5モードに設定され、各ポート間が次の連通状態に維持される。すなわち進角ポート75については、第1供給ポート71との間が連通され、且つ第1排出ポート73との間が進角弁61により遮断される。また遅角ポート76については、第2排出ポート74との間が連通され、且つ第1供給ポート71との間が弁体67により遮断される。また中間ポート77については、中間連通路78を通じて第2排出ポート74との間が連通され、且つ第2供給ポート72との間が第3中間弁66により遮断される。このときの進角室35に対する潤滑油の供給流量及び遅角室36からの潤滑油の排出流量は、第3モード時における進角室35に対する潤滑油の供給流量及び遅角室36からの潤滑油の排出流量よりも少なくなっている。すなわち、この場合の潤滑油の流量は、上記第1実施形態での第5モード選択時と実質的に同じものとなる。
上記構成のオイルコントロールバルブ51によれば、第3モードにあるときには、バルブタイミング可変機構30が進角方向に回転し且つ中間ロック機構40に対する潤滑油の給排状態が供給状態に維持される。第4モードにあるときには、バルブタイミング可変機構30が進角方向に回転し且つ中間ロック機構40に対する潤滑油の給排状態が排出状態に維持される。第5モードにあるときには、バルブタイミング可変機構30の進角室35に対する潤滑油の供給量が第3モードよりも少ない状態且つ遅角室36からの潤滑油の排出量が第3モードよりも少ない状態のもとバルブタイミング可変機構30が進角方向に回転し且つ中間ロック機構40に対する潤滑油の給排状態が排出状態に維持される。これにより、先の第1実施形態による前記(1)〜(3)の効果に準じた効果を奏することができる。
(第3実施形態)
図14及び図15を参照して、本発明の内燃機関の可変動弁装置を具体化した第3実施形態について説明する。以下では、前記第1実施形態の構成からの変更点についての詳細を説明し同実施形態と共通する構成については同一の符合を付してその説明を省略する。
前記第1実施形態のオイルコントロールバルブ51では、6つの弁体(進角弁61〜第3中間弁66)が設けられるスプール60と、2つの供給ポート及び2つの排出ポートが設けられるスリーブ70とを採用している。これに対して、本実施形態のオイルコントロールバルブ51では、図14(a)に示されるように、上記6つの弁体に代えて、これら弁体とは構造の異なる6つの弁体(第1弁体81〜第6弁体86)が設けられるスプール80と、3つの供給ポート及び3つの排出ポートが設けられるスリーブ90とを採用している。3つの供給ポート(進角供給ポート91及び遅角供給ポート93及び中間供給ポート95)はそれぞれ供給油路53に接続され、また3つの排出ポート(進角排出ポート92及び遅角排出ポート94及び中間排出ポート96)はそれぞれ排出油路54に接続されている。
オイルコントロールバルブ51の各動作モードについて説明する。
図14(b)に示されるように、スリーブ90に対するスプール80の位置が第1位置にあるとき、動作モードは第1モードに設定され、各ポート間が次の連通状態に維持される。すなわち進角ポート97については、進角排出ポート92の間が連通され、且つ進角供給ポート91との間が第2弁体82により遮断される。また遅角ポート98については、遅角供給ポート93との間が連通され、且つ遅角排出ポート94との間が第4弁体84により遮断される。また中間ポート99については、中間供給ポート95との間が連通され、且つ中間排出ポート96との間が第5弁体85により遮断される。この場合の潤滑油の流れは、上記第1実施形態での第1モード選択時と実質的に同じものとなる。
図14(c)に示されるように、スリーブ90に対するスプール80の位置が第2位置にあるとき、動作モードは第2モードに設定され、各ポート間が次の連通状態に維持される。すなわち進角ポート97については、進角供給ポート91との間が第2弁体82により遮断され、且つ進角排出ポート92との間が第2弁体82により遮断される。また遅角ポート98については、遅角供給ポート93との間が第4弁体84により遮断され、且つ遅角排出ポート94との間が第4弁体84により遮断される。また中間ポート99については、中間供給ポート95との間が連通され、且つ中間排出ポート96との間が第5弁体85により遮断される。この場合の潤滑油の流れは、上記第1実施形態での第2モード選択時と実質的に同じものとなる。
図15(a)に示されるように、スリーブ90に対するスプール80の位置が第3位置にあるとき、動作モードは第3モードに設定され、各ポート間が次の連通状態に維持される。すなわち進角ポート97については、進角供給ポート91との間が連通され、且つ進角排出ポート92との間が第2弁体82により遮断される。また遅角ポート98については、遅角排出ポート94との間が連通され、且つ遅角供給ポート93との間が第4弁体84により遮断される。また中間ポート99については、中間供給ポート95との間が連通され、且つ中間排出ポート96との間が第5弁体85により遮断される。この場合の潤滑油の流れは、上記第1実施形態での第3モード選択時と実質的に同じものとなる。
図15(b)に示されるように、スリーブ90に対するスプール80の位置が第4位置にあるとき、動作モードは第4モードに設定され、各ポート間が次の連通状態に維持される。すなわち進角ポート97については、進角供給ポート91との間が連通され、且つ進角排出ポート92との間が第2弁体82により遮断される。また遅角ポート98については、遅角排出ポート94との間が連通され、且つ遅角供給ポート93との間が第4弁体84により遮断される。また中間ポート99については、中間排出ポート96との間が連通され、且つ中間供給ポート95との間が第6弁体86により遮断される。この場合の潤滑油の流れは、上記第1実施形態での第4モード選択時と実質的に同じものとなる。
図15(c)に示されるように、スリーブ90に対するスプール80の位置が第5位置にあるとき、動作モードは第5モードに設定され、各ポート間が次の連通状態に維持される。すなわち進角ポート97については、第3弁体83により開口部の一部が封鎖されて進角供給ポート91との間が連通され、且つ進角排出ポート92との間が第2弁体82により遮断される。また遅角ポート98については、第5弁体85により開口部の一部が封鎖されて遅角排出ポート94との間が連通され、且つ遅角供給ポート93との間が第4弁体84により遮断される。また中間ポート99については、中間排出ポート96との間が連通され、且つ中間供給ポート95との間が第6弁体86により遮断される。この場合の潤滑油の流れは上記第1実施形態での第5モード選択時と実質的に同じものとなる。
上記構成のオイルコントロールバルブ51によれば、第3モードにあるときには、バルブタイミング可変機構30が進角方向に回転し且つ中間ロック機構40に対する潤滑油の給排状態が供給状態に維持される。第4モードにあるときには、バルブタイミング可変機構30が進角方向に回転し且つ中間ロック機構40に対する潤滑油の給排状態が排出状態に維持される。第5モードにあるときには、バルブタイミング可変機構30の進角室35に対する潤滑油の供給量が第3モードよりも少ない状態且つ遅角室36からの潤滑油の排出量が第3モードよりも少ない状態のもとバルブタイミング可変機構30が進角方向に回転し且つ中間ロック機構40に対する潤滑油の給排状態が排出状態に維持される。これにより、先の第1実施形態による前記(1)〜(3)の効果に準じた効果を奏することができる。
(第4実施形態)
図16を参照して、本発明の内燃機関の可変動弁装置を具体化した第4実施形態について説明する。以下では、前記第1実施形態の構成からの変更点についての詳細を説明し、同実施形態と共通する構成については同一の符合を付してその説明を省略する。
本実施形態のバルブタイミング可変機構30では、前記第1実施形態のバルブタイミング可変機構30のハウジング31に対して、ロック穴44に連続するロック溝45がさらに追加されている。
ロック溝45は、ロック穴44よりも浅く、且つ同ロック穴44からこれよりも遅角側の所定位置までにわたりロックピン41の周方向の軌跡に沿う態でハウジング31に形成されている。そして、中間ロック機構40がこのロック溝45も含めて構成されるものであることにより、ロックピン41は次の態様をもってロック穴44にはめ込まれるようになる。
通常停止時の中間ロック処理における中間ロック機構40の動作について説明する。
図16(a)に示されるように、機関運転中に固定要求が設定された場合において、ベーンロータ33の回転位相が中間位相PMよりも進角側にあるときには、同回転位相が中間位相PMよりも遅角側に変更される。
図16(b)に示されるように、固定要求にともないベーンロータ33の回転位相が中間位相PMよりも遅角側に変更された後、あるいはベーンロータ33の回転位相がすでに中間位相PMよりも遅角側にあるとき、オイルコントロールバルブ51の動作モードが第5モードに切り替えられる。これにより、進角室35に第3モード時よりも少量の潤滑油が供給されるとともに遅角室36から第3モード時よりも少量の潤滑油が排出され、ベーンロータ33がハウジング31に対して進角側に駆動する。またこのとき、中間室42から潤滑油が排出され、これによりロックピン41は突出方向ZAの力が付与された状態にある。
図16(c)に示されるように、ベーンロータ33の進角駆動にともないロックピン41がロック溝45と対応するところにまで移動したとき、ベーン33Aからロックピン41が突出してその先端部がロック溝45に挿入するようになる。すなわち、ベーンロータ33の回転位相が図16(b)に示される回転位相から図16(c)に示される回転位相に変化したことにともない、ロックピン41の先端部がロック溝45の底面に突き当てられる。
そして、ロックピン41の先端部がロック溝45内にある状態のもと、オイルコントロールバルブ51の第5モードが維持されていることにより、ベーンロータ33が引き続き進角側に駆動することにともないロックピン41もロック溝45上を進角側に移動する。
図16(d)に示されるように、ハウジング31に対するベーンロータ33の回転位相が中間位相PMに達したとき、ロックピン41の側面がロック穴44をなす壁面に突き当てられ、ロックピン41がベーン33Aから最大限に突出してロック穴44にはめ込まれるようになる。
本実施形態の内燃機関の可変動弁装置によれば、先の第1実施形態による前記(1)〜(3)の効果に加えて、さらに以下に示す効果を奏することができる。
(4)本実施形態では、ロック穴44と比較してロックピン41の先端部をはめ込むことのできる面積の大きいロック溝45が設けられている。
この構成によれば、ハウジング31とベーンロータ33との相対回転速度が比較的大きい状況においてもロックピン41は的確にロック溝45にはめ込まれるようになる。また、ロック溝45がロック穴44よりも深さの小さい空間として形成されていることにより、ロック溝45上をロック穴44に向けて移動するロックピン41の側面はロック穴44をなす壁面に自ずと突き当てられるようになる。すなわち、ロックピン41の先端部がロック溝45にはめ込まれた後は、ベーンロータ33をハウジング31に対していずれの速度で遅角側に駆動してもロックピン41がロック穴44を通過する状況が生じることは抑制される。したがって、ロックピン41の側面とロック穴44の壁面との接触を通じてロックピン41を的確にロック穴44にはめ込むことができるようになる。
(第5実施形態)
図17〜図20を参照して、本発明の内燃機関の可変動弁装置を具体化した第5実施形態について説明する。以下では、前記第1実施形態の構成からの変更点についての詳細を説明し、同実施形態と共通する構成については同一の符合を付してその説明を省略する。
前記第1実施形態のオイルコントロールバルブ51によれば、第3モードにあるとき、バルブタイミング可変機構30が進角方向に回転し且つ中間ロック機構40に対する潤滑油の給排状態が供給状態に維持される。第4モードにあるとき、バルブタイミング可変機構30が進角方向に回転し且つ中間ロック機構40に対する潤滑油の給排状態が排出状態に維持される。第5モードにあるとき、バルブタイミング可変機構30の進角室35に対する潤滑油の供給量及び遅角室36からの潤滑油の排出量が第3モードよりも少ない状態のもとバルブタイミング可変機構30が進角方向に回転し且つ中間ロック機構40に対する潤滑油の給排状態が排出状態に維持される。すなわち、バルブタイミングINVTの進角と中間ロック機構40の突出方向への動作とが併せて行われるモード構成が採用されている。
これに対して本実施形態のオイルコントロールバルブ151では、バルブタイミングINVTの遅角と中間ロック機構40の突出方向への動作とが併せて行われるモード構成を採用している。すなわち、上記第3モードに代わる第8モードにあるとき、バルブタイミング可変機構30が遅角方向に回転し且つ中間ロック機構40に対する潤滑油の給排状態が供給状態に維持される。上記第4モードに代わる第9モードにあるとき、バルブタイミング可変機構30が遅角方向に回転し且つ中間ロック機構40に対する潤滑油の給排状態が排出状態に維持されるようにしている。上記第5モードに代わる第10モードにあるとき、バルブタイミング可変機構30に対する潤滑油の供給量及び排出量が第8モードよりも少ない状態のもとバルブタイミング可変機構30が遅角方向に回転し且つ中間ロック機構40に対する潤滑油の給排状態が排出状態に維持される。
そして、前記第1実施形態のオイルコントロールバルブ51から進角ポートと遅角ポートとの位置が入れ替えられた構造のスリーブ170を採用することにより、上記モード構成を実現するようにしている。なお、オイルコントロールバルブ151のその他の構成については、前記第1実施形態のオイルコントロールバルブ51と実質的に同様となる。
図17を参照して、オイルコントロールバルブ151の動作について説明する。図17(a)は各ポート171〜177と各油路53〜57との関係を示している。
図17(b)に示されるように、スリーブ170に対するスプール160が第6位置にあるとき、動作モードは第6モードに設定され、各ポートの連通状態は次のように維持される。すなわち遅角ポート176については、第1排出ポート173との間が連通され、且つ第1供給ポート171との間が遅角弁161により遮断される。また進角ポート175については、第1供給ポート171との間が連通され、且つ第2排出ポート174との間が進角弁163により遮断される。また中間ポート177については、第2供給ポート172との間が連通され、且つ第2排出ポート174との間が第1中間弁164により遮断される。
図17(c)に示されるように、スリーブ170に対するスプール160が第7位置にあるとき、動作モードは第7モードに設定され、各ポートの連通状態は次のように維持される。すなわち遅角ポート176については、第1供給ポート171との間が遅角弁161により遮断され、且つ第1排出ポート173との間が遅角弁161により遮断される。また進角ポート175については、第1供給ポート171との間が進角弁163により遮断され、且つ第2排出ポート174との間が進角弁163により遮断される。また中間ポート177については、第2供給ポート172との間が連通され、且つ第2排出ポート174との間が第2中間弁165により遮断される。
図18(a)に示されるように、スリーブ170に対するスプール160が第8位置にあるとき、動作モードは第8モードに設定され、各ポートの連通状態は次のように維持される。すなわち遅角ポート176については、第1供給ポート171との間が連通され、且つ第1排出ポート173との間が遅角弁161により遮断される。また進角ポート175については、第2排出ポート174との間が連通され、且つ第1供給ポート171との間が進角弁163により遮断される。また中間ポート177については、第2供給ポート172との間が連通され、且つ第2排出ポート174との間が第2中間弁165により遮断される。
図18(b)に示されるように、スリーブ170に対するスプール160が第9位置にあるとき、動作モードは第9モードに設定され、各ポートの連通状態は次のように維持される。すなわち遅角ポート176については、第1供給ポート171との間が連通され、且つ第1排出ポート173との間が遅角弁161により遮断される。また進角ポート175については、第2排出ポート174との間が連通され、且つ第1供給ポート171との間が進角弁163により遮断される。また中間ポート177については、中間連通路178を通じて第2排出ポート174との間が連通され、且つ第2供給ポート172との間が第3中間弁166により遮断される。
図18(c)に示されるように、スリーブ170に対するスプール160が第10位置にあるとき、動作モードは第10モードに設定され、各ポートの連通状態は次のように維持される。すなわち遅角ポート176については、第1供給ポート171との間が連通され、且つ第1排出ポート173との間が遅角弁161により遮断される。また進角ポート175については、第2排出ポート174との間が連通され、且つ第1供給ポート171との間が進角弁163により遮断される。また中間ポート177については、中間連通路178を通じて第2排出ポート174との間が連通され、且つ第2供給ポート172との間が第3中間弁166により遮断される。
以上のように、オイルコントロールバルブ151は、複数のポートが設けられるスリーブ170と複数の弁体が設けられるスプール160とを含めて構成され、これらスリーブ170及びスプール160の相対的な移動にともない複数のポートのそれぞれの開口面積が複数の弁体のうちの対応する弁体により変更される。
また、第8モードにあるときには、複数のポートのうちバルブタイミング可変機構30の遅角室36につながる遅角ポート176と潤滑油の供給源につながる第1供給ポート171とが互いに連通され、バルブタイミング可変機構30の遅角室36に潤滑油を供給する遅角室流路159が当該オイルコントロールバルブ151内に形成される。また、進角ポート175と第2排出ポート174とが互いに連通され、バルブタイミング可変機構30の進角室35から潤滑油を排出する進角室流路158が当該オイルコントロールバルブ151内に形成される。
そして、第9モードにあるときには、第1供給ポート171の開口面積は、第10モードにあるときの第1供給ポート171の開口面積よりも大きいことにより、第9モードにあるときの遅角室流路159の潤滑油の流量は第10モードにあるときの遅角室流路159の潤滑油の流量よりも多くなる。また、第2排出ポート174の開口面積は、第10モードにあるときの第2排出ポート174の開口面積よりも大きいことにより、第9モードにあるときの進角室流路158の潤滑油の流量は第10モードにあるときの遅角室流路59の潤滑油の流量よりも多くなる。これにより、第9モードにあるときの進角室35に対する潤滑油の排出量及び遅角室36に対する潤滑油の供給量は第10モードにあるときの同供給量及び同排出量よりも多くなるため、第9モードにあるときのバルブタイミング可変機構30の遅角速度は第10モードにあるときのバルブタイミング可変機構30の遅角速度よりも大きくなる。
第10モードにあるときには、第1供給ポート171の開口面積は、第8モードにあるときの第1供給ポート171の開口面積よりも小さいことにより、第10モードにあるときの遅角室流路159の潤滑油の流量は第8モードにあるときの遅角室流路159の潤滑油の流量よりも小さくなる。さらに、第10モードの第2排出ポート174の開口面積は、第8モードにあるときの第2排出ポート174の開口面積よりも小さいことにより、第10モードにあるときの進角室流路158の潤滑油の流量は第8モードにあるときの進角室流路158の潤滑油の流量よりも小さくなる。これにより、第10モードにあるときのバルブタイミング可変機構30の遅角速度は第8モードにあるときの遅角速度よりも小さくなる。
すなわち、第8モードにあるときには、バルブタイミング可変機構30が遅角方向に回転し且つ中間ロック機構40に対する潤滑油の給排状態が供給状態に維持される。第9モードにあるときには、バルブタイミング可変機構30の進角室35に対する潤滑油の排出量が第10モードよりも多い状態且つ遅角室36からの潤滑油の供給量が第10モードよりも多い状態のもとバルブタイミング可変機構30が遅角方向に回転し且つ中間ロック機構40に対する潤滑油の給排状態が排出状態に維持される。第10モードにあるときには、バルブタイミング可変機構30の遅角室36に対する潤滑油の供給量が第8モードよりも少ない状態且つ進角室35からの潤滑油の排出量が第8モードよりも少ない状態のもとバルブタイミング可変機構30が遅角方向に回転し且つ中間ロック機構40に対する潤滑油の給排状態が排出状態に維持される。
図19を参照して、オイルコントロールバルブ151の動作モードとバルブタイミング可変機構30及び中間ロック機構40との関係、及び機関運転状態に基づく動作モードの設定態様について説明する。
第6モードにあるとき、進角室35に潤滑油が供給され、且つ遅角室36から潤滑油が排出され、且つ中間室42に潤滑油が供給され、これによりバルブタイミング可変機構30が進角方向に駆動されるとともにロックピン41に対して収容方向ZBの力が付与される。
第7モードにあるとき、進角室35の潤滑油が保持され、且つ遅角室36の潤滑油が保持され、且つ中間室42に潤滑油が供給され、これによりバルブタイミング可変機構30の動作状態が保持されるとともにロックピン41に対して収容方向ZBの力が付与される。
第8モードにあるとき、進角室35から潤滑油が排出され、且つ遅角室36に潤滑油が供給され、且つ中間室42に潤滑油が供給され、これによりバルブタイミング可変機構30が遅角方向に駆動されるとともにロックピン41に対して収容方向ZBの力が付与される。
第9モードにあるとき、進角室35から潤滑油が排出され、且つ遅角室36に潤滑油が供給され、且つ中間室42から潤滑油が排出され、これによりバルブタイミング可変機構30が遅角方向に駆動されるとともに、ロックピン41に対して突出方向ZAの力が付与される。
第10モードにあるとき、進角室35から第8モードのときよりも小さい流量にて潤滑油が排出され、且つ遅角室36に第8モードのときよりも小さい流量にて潤滑油が供給され、且つ中間室42から潤滑油が排出される。これによりバルブタイミング可変機構30が第8モードのときよりも小さい速度にて遅角方向に駆動されるとともに、ロックピン41に対して突出方向ZAの力が付与される。
図19(c)に示されるように、オイルコントロールバルブ151の駆動モードは機関運転状態に基づいて次のように切り替えられる。
機関始動時すなわち固定要求があるときには、第10モードに設定される。また、固定要求が解除されたときには、第10モードから第7モードに切り替えられる。また、機関運転中に固定要求が生じていないときには、機関運転状態に基づくバルブタイミングINVTの変更要求にともない第6モードと第7モードと第8モードとの間で切り替えられる。また、機関停止時及び機関アイドル運転時すなわち固定要求が生じたときには、第6モード及び第7モード及び第8モードのいずれかのモードから第10モードに切り替えられる。また、内燃機関1の非常停止等により機関停止直後に機関始動を開始すると考えられるときは、第6モード及び第7モード及び第8モードのいずれかのモードから第9モードに切り替えられる。
なお、本実施形態のオイルコントロールバルブ151の上記各モードについて、第6モードは請求項に記載の駆動状態NDに相当し、また第8モードは請求項に記載の駆動状態NAに相当し、また第9モードは請求項に記載の駆動状態NCに相当し、第10モードは請求項に記載の駆動状態NBに相当する。
図20を参照して、バルブタイミングINVTを中間角INVTmdlに固定するため中間ロック機構40の動作態様について、イグニッションキー操作による機関停止に実行される中間ロック処理の一例を説明する。
固定要求が設定された状態のもと、中間位相PMよりも遅角側にある旨判定されたとき、すなわち例えば図20(a)に示される回転位相にあるとき、オイルコントロールバルブ151の動作モードが第6モードに切り替えられる。これにより、ベーンロータ33が進角側に駆動される。
ベーンロータ33の回転位相が中間位相PMよりも進角側にある旨判定されたとき、すなわち例えば図20(b)に示される回転位相にあるとき、オイルコントロールバルブ151の動作モードが第10モードに切り替えられる。これにより、進角室35から潤滑油が排出されるとともに遅角室36に潤滑油が供給され、図20(c)に示されるようにベーンロータ33がハウジング31に対して第8モード時よりも低速で遅角側に駆動する。またこのとき、中間室42から潤滑油が排出されることによりロックピン41に対して突出方向ZAの力が付与される状態にあるため、ベーンロータ33の遅角駆動にともないロックピン41がロック穴44と対応するところにまで移動したとき、図20(d)に示されるようにロックピン41がロック穴44に挿入される。これにより、ハウジング31に対するベーンロータ33の回転位相が中間位相PMに固定される。
ロックピン41がロック穴44にはめ込まれた後、固定要求が継続して設定される限りはオイルコントロールバルブ151の第10モードが維持される。このため、ベーンロータ33を遅角側に駆動させる力が遅角室36の潤滑油により付与され続けるようになる。すなわちロックピン41は、その側面がロック穴44をなす壁面に押し付けられた状態に維持されるようになる。
一方、固定要求が解除されたときには、オイルコントロールバルブ151の動作モードが第7モードに切り替えられ、これによりロックピン41がロック穴44から引き抜かれる。その後、バルブタイミングINVTの遅角要求があるときには第8モードが選択され、バルブタイミングINVTの進角要求があるときには第6モードが選択され、バルブタイミングINVTの保持要求があるときには第7モードが選択される。
本実施形態の内燃機関の可変動弁装置によれば以下の効果を奏することができる。
(1)本実施形態では、バルブタイミング可変機構30及び中間ロック機構40のそれぞれについての潤滑油の給排状態を単一のオイルコントロールバルブ151により制御する。このオイルコントロールバルブ151は、第8モードにあるとき、バルブタイミング可変機構30を遅角方向に駆動し且つ中間ロック機構40についての潤滑油の給排状態を供給状態に維持し、第10モードにあるとき、バルブタイミング可変機構30の進角室35に対する潤滑油の排出量及びバルブタイミング可変機構30の遅角室36への潤滑油の供給量を第8モードよりも少なくした状態のもとバルブタイミング可変機構30を遅角方向に駆動し且つ中間ロック機構40についての潤滑油の給排状態を排出状態に維持する。
この構成によれば、オイルコントロールバルブ151の駆動状態として第8モード及び第10モードが設定されているため、固定要求があるときにオイルコントロールバルブ151を第10モードに維持することにより、バルブタイミング可変機構30の遅角速度に起因して中間ロック機構40によるバルブタイミングINVTの固定が行われない状況が生じることを抑制することができるようになる。すなわち、オイルコントロールバルブ151によりバルブタイミング可変機構30及び中間ロック機構40を制御することと、同中間ロック機構40によりバルブタイミングINVTを的確に固定することとを両立することができるようになる。
(2)本実施形態のオイルコントロールバルブ151は、第9モードにあるとき、バルブタイミング可変機構30の進角室35からの潤滑油の排出量及びバルブタイミング可変機構30の遅角室36に対する潤滑油の供給量を第10モードよりも多くした状態のもと、バルブタイミング可変機構30を遅角方向に駆動し且つ中間ロック機構40についての潤滑油の給排状態を排出状態に維持する。
この構成によればバルブタイミングINVTを中間角INVTmdlに固定する要求があるときにオイルコントロールバルブ151を第9モードに維持することによりバルブタイミングINVTを速やかに中間角INVTmdlに固定することができるようになる。
(3)本実施形態では、機関非常停止の発生が確認されたときに中間ロック機構40によるバルブタイミングINVTの固定を行うとともに、このときのオイルコントロールバルブ151の動作モードとして第9モードを設定するようにしている。これにより、バルブタイミング可変機構30の遅角方向への駆動速度が第10モードよりも大きい状態のもとで中間ロック機構40によるバルブタイミングINVTの固定が行われるため、機関非常停止直後の限られた期間においても好適にバルブタイミングINVTを中間角INVTmdlに固定することができるようになる。
(その他の実施形態)
なお、本発明の実施態様は上記各実施形態にて例示した態様に限られるものではなく、これを例えば以下に示すように変更して実施することもできる。また以下の各変形例は、上記実施形態についてのみ適用されるものではなく、異なる変形例同士を互いに組み合わせて実施することもできる。
・上記第5実施形態では、第10モード時の進角室流路158の開口面積を第8モード時よりも小さくすること且つ遅角室流路159の開口面積を第8モード時よりも小さくすることにより、第10モード時のバルブタイミングINVTの遅角速度を第8モード時よりも小さくするオイルコントロールバルブ151の構成を採用したが、同機能を実現するための構成はこれに限られるものではない。例えば、第10モード時の遅角室流路159を閉鎖し且つ進角室流路158の開口面積を第8モード時よりも小さくすることにより、または第10モード時の進角室流路158を閉鎖し且つ遅角室流路159の開口面積を第8モード時よりも小さくすることにより、第10モード時のバルブタイミング可変機構30の遅角速度を第8モード時よりも小さくすることもできる。なお、この変形後のモードは、予め設定されている第10モードに代えて採用すること、または同モードとは別のモードとしてさらに追加することができる。
・上記第5実施形態では、中間室42から潤滑油を排出するオイルコントロールバルブ151の動作モードとして第9モード及び第10モードを採用したが第9モードを省略することもできる。この場合にも上記第5実施形態の(1)の効果を奏することはできる。
・上記各実施形態では、ロックピン41に対する中間室42の油圧が解除されるときに同ピンがベーン33Aから突出し得る状態に維持される構成としたが、中間室42とロックばね43との関係を上記各実施形態とは反対のものに設定することもできる。すなわち、中間室42の油圧によりロックピン41を突出方向に動作させるとともに、ロックばね43の力によりロックピン41を収容方向に動作させる構成に変更することもできる。
・上記第1実施形態では、第5モード時の進角室流路58の開口面積を第3モード時よりも小さくすること且つ遅角室流路59の開口面積を第3モード時よりも小さくすることにより、第5モード時のバルブタイミング可変機構30の進角速度を第3モード時よりも小さくするオイルコントロールバルブ51の構成を採用したが、同機能を実現するための構成はこれに限られるものではない。例えば、第5モード時の進角室流路58を閉鎖し且つ遅角室流路59の開口面積を第3モード時よりも小さくすることにより、または第5モード時の遅角室流路59を閉鎖し且つ進角室流路58の開口面積を第3モード時よりも小さくすることにより、第5モード時のバルブタイミング可変機構30の進角速度を第3モード時よりも小さくすることもできる。なお、この変形後のモードは、予め設定されている第5モードに代えて採用すること、または同モードとは別のモードとしてさらに追加することができる。
・上記第1実施形態では、中間室42から潤滑油を排出するオイルコントロールバルブ51の動作モードとして第4モード及び第5モードを採用したが、第4モードを省略することもできる。この場合にも上記第1実施形態の(1)の効果を奏することはできる。
・上記各実施形態では、中間ロック機構40の構成として、収容側回転体としてのベーンロータ33にロックピン41等が設けるとともに、係合側回転体としてのハウジング31にロック穴44が設けられる構成を採用したが、中間ロック機構40の構成はこれに限られるものではない。例えば、ハウジング31にロックピン41等を設け、ベーンロータ33にロック穴44を設けることもできる。
・上記各実施形態では、インテークバルブ21のバルブタイミング可変機構30を備える可変動弁装置に対して本発明を適用したが、エキゾーストバルブ23のバルブタイミング可変機構を備える可変動弁装置に対しても上記実施形態に準じた態様をもって本発明を適用することはできる。
・バルブタイミング可変機構30及び中間ロック機構40の構成をはじめとして本発明の適用対象となる可変動弁装置の構成は上記各実施形態にて例示した内容に限られるものではない。要するに、バルブタイミングを変更するバルブタイミング可変機構と、バルブタイミングを特定の中間角に固定する中間ロック機構と、これら機構に対する潤滑油の給排状態をオイルコントロールバルブにより制御する油圧制御機構とを備えるものであれば、いずれの可変動弁装置に対しても本発明を適用することは可能であり、その場合にも上記実施形態の作用効果に準じた作用効果を奏することはできる。