JP2002357106A - バルブタイミング調整装置 - Google Patents

バルブタイミング調整装置

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JP2002357106A JP2002013119A JP2002013119A JP2002357106A JP 2002357106 A JP2002357106 A JP 2002357106A JP 2002013119 A JP2002013119 A JP 2002013119A JP 2002013119 A JP2002013119 A JP 2002013119A JP 2002357106 A JP2002357106 A JP 2002357106A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 内燃機関の始動性を確保でき、且つバルブタ
イミングの可変領域を拡大できるバルブタイミング調整
装置を提供すること。 【解決手段】 ロータ回転制限手段は、ロータ5が通常
遅角位置から更に遅角側へ回転することを阻止するもの
で、VVT1の遅角室7から油圧が導入される制御室
(第1制御室16と第2制御室17)と、この制御室の
油圧を受けて可動する遅角制限ピン18とを具備してい
る。このロータ回転制限手段は、高負荷運転時以外に
は、両制御室16、17に遅角圧が導入されて、遅角制
限ピン18が制限位置に押し出されることにより、ロー
タ5が通常遅角位置より更に遅角側へ回転することを阻
止している。また、高負荷運転時には、第1制御室16
が大気に開放されて油圧が低下することにより、遅角制
限ピン18が後退位置に押し下げられて、ロータ5が最
遅角側へ回転することを許容する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関の吸気バ
ルブまたは排気バルブの開閉時期を可変するバルブタイ
ミング調整装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、内燃機関の吸気バルブまたは
排気バルブの位相を変化させて出力の向上や燃費を改善
する技術が公知である。例えば、内燃機関の高回転域で
は、ピストンが上死点に向かい始めても、吸気が慣性に
より更にシリンダ内へ入り込もうとするため、吸気バル
ブの閉時期をピストン下死点より遅らせることにより、
体積効率が向上して内燃機関の出力向上を図ることがで
きる。
【0003】しかし、ピストン下死点より遅く吸気バル
ブを閉じると、エンジン暖機後の出力は向上するが、エ
ンジン始動時には、吸気に慣性がないため、圧縮比が上
がらず(実圧縮比が不足する)、ピストン上死点での空
気温度が十分上昇しないため、エンジンの始動が困難に
なる。また、アイドリングの安定性も悪くなるという問
題がある。即ち、吸気バルブの位相を変化させる場合
に、冷間時の始動に適した最適なバルブタイミングと、
エンジン暖機後の燃費及び出力向上に適した最適なバル
ブタイミングとは異なるのである。
【0004】この問題を解決する従来技術として、例え
ば特開平9−324613号公報に記載された可変バル
ブタイミング機構がある。これは、ロータが最遅角位置
から所定角度だけ進角側に回転した位置(中間位相位置
と呼ぶ)でロータを保持できるロックピンを有してい
る。このロックピンは、エンジン始動時にロック凹部に
係合してロータを中間位相位置に保持することにより、
エンジン始動時に適した所定のバルブタイミングが得ら
れる。また、エンジン始動後は、ロックピンがロック凹
部から離脱することでロータが中間位相位置より更に遅
角側へ回転することが可能となり、遅角側及び進角側の
双方にバルブタイミングを変更できる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記公報に
記載されたロックピンは、エンジンが始動してロックピ
ンに油圧が加わることでロック凹部から離脱する構造で
あり、一度ロック凹部から離脱すると、通常作動時にお
いてロックピンが作用しなくなる。このため、アイドリ
ング時には、ロータが最遅角位置まで回転しない様に、
中間位相位置で保持する必要が生じる。しかし、回転数
が低い時、特に高油温時には油圧が低下して、ロータを
中間位相位置に保持するために必要な油圧を確保できな
い場合が生じる。
【0006】また、エンジンストールを起こすと、ロー
タが最遅角位置まで移動して停止するため、エンジンの
再始動が困難になるという問題があった。本発明は、上
記事情に基づいて成されたもので、その目的は、内燃機
関の始動性を確保でき、且つバルブタイミングの可変領
域を拡大できるバルブタイミング調整装置を提供するこ
とにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】(請求項1の手段)本発
明のバルブタイミング調整装置は、ハウジング部材に対
するロータの最進角位置と最遅角位置との間に中間位相
位置が設定され、ロータが中間位相位置より遅角側へ回
転することを阻止できるロータ回転制限手段を備えてい
る。このロータ回転制限手段は、ロータの回転軌道を遮
る制限位置とロータの回転を許容する後退位置との間で
移動可能に設けられた制限ピンと、この制限ピンを後退
位置から制限位置へ押し出す方向に油圧が導入される第
1制御室と、制限ピンを制限位置から後退位置へ押し下
げる方向に油圧が導入される第2制御室とを有し、制限
ピンに作用する第1制御室と第2制御室との圧力差に応
じて制限ピンを動作させることを特徴とする。
【0008】この構成によれば、ロータ回転制限手段に
より、ロータが中間位相位置から遅角側へ回転すること
を阻止できるので、例えばエンジン始動時に適したバル
ブタイミングを実現できる。また、ロータ回転制限手段
を解除することで、ロータを最遅角位置まで回転させる
ことができるので、エンジン暖機後の燃費及び出力向上
に適した最適なバルブタイミングを実現できる。
【0009】更に、本発明では、制限ピンが制限位置に
押し出されている状態で、制限ピンに作用する第1制御
室と第2制御室との圧力バランスを維持することによ
り、制限ピンを制限位置に保持することが可能である。
その結果、例えばアイドリング時や通常走行時等にロー
タが中間位相位置から遅角側へ回転することを防止でき
る。
【0010】(請求項2の手段)請求項1に記載したバ
ルブタイミング調整装置において、第1制御室と第2制
御室は、それぞれ遅角室と連通している。この場合、第
1制御室と第2制御室に油圧を導入するための油圧経路
を独立して設ける必要がなく、遅角室を介して第1制御
室及び第2制御室に油圧を導入できるので、油圧経路を
簡単に構成できる。
【0011】(請求項3の手段)請求項1または2に記
載したバルブタイミング調整装置において、オイル制御
弁は、第1制御室を大気に開放するドレイン通路と、こ
のドレイン通路を開閉できる開閉部材とを有し、制限ピ
ンを制限位置から後退位置へ押し下げる時に、開閉部材
がドレイン通路を開くことを特徴とする。ドレイン通路
を開いて第1制御室が大気に開放されると、第1制御室
の油圧が低下するため、制限ピンを押し出す油圧力が低
下する。一方、第2制御室の油圧は維持されるため、第
2制御室と第1制御室との油圧バランスがくずれて、制
限ピンを制限位置から後退位置へ押し下げることができ
る。
【0012】(請求項4の手段)請求項3に記載したバ
ルブタイミング調整装置において、遅角室から第1制御
室に通じる油路に絞りが設けられている。この構成で
は、遅角室から油路を通じて第1制御室に供給される作
動油の量を絞りによって低減できるので、ドレイン通路
を開いた時に、遅角室から第1制御室に流入する作動油
の量より、第1制御室から流出する作動油の量の方が多
くなるため、速やかに第1制御室の油圧を低下させるこ
とができる。
【0013】(請求項5の手段)請求項4に記載したバ
ルブタイミング調整装置において、遅角室から第1制御
室に通じる油路の絞りは、ハウジング部材に組付けられ
るスリーブにて形成され、そのスリーブ内に第1制御室
及び第2制御室が形成されている。この場合、例えばス
リーブの壁面を貫通して第1制御室に開口する油圧導入
口を絞りとして形成することも可能である。
【0014】(請求項6の手段)請求項3または4に記
載したバルブタイミング調整装置において、オイル制御
弁は、開閉部材がドレイン通路を閉じた状態で、遅角室
に作動油を供給し、且つ進角室から作動油を排出する通
常遅角モード、開閉部材がドレイン通路を閉じた状態
で、進角室に作動油を供給し、且つ遅角室から作動油を
排出する通常進角モード、及び開閉部材がドレイン通路
を開いた状態で、遅角室に作動油を供給し、且つ進角室
から作動油を排出する最遅角モードが設定され、これら
のモードを開閉部材の移動によって選択的に切り替える
ことができる。この構成によれば、1つのオイル制御弁
によって、通常遅角モード、通常進角モード、及び最遅
角モードを切り替えることができる。
【0015】(請求項7の手段)請求項6に記載したバ
ルブタイミング調整装置において、オイル制御弁は、通
常遅角モードから最遅角モードへ切り替える際に、通常
遅角モードから一旦、通常進角モードを経由して最遅角
モードへ切り替えている。通常遅角モードでは、制限ピ
ンが制限位置に押し出され、ロータが制限ピンに当接し
て中間位相位置に保持されているので、遅角室の油圧が
ロータを介して制限ピンに作用している。
【0016】そこで、通常遅角モードから一旦、通常進
角モードを経由して最遅角モードへ切り替えることで、
一時的に進角室の油圧が増大し、その油圧がロータを進
角側へ押し戻す方向に作用するため、ロータを介して制
限ピンに加わる押し当て力をキャンセルでき、スムーズ
に制限ピンを後退位置へ押し下げることが可能となる。
【0017】(請求項8の手段)請求項7に記載したバ
ルブタイミング調整装置において、オイル制御弁は、開
閉部材を駆動する電磁式アクチュエータを具備し、この
電磁式アクチュエータに通電される電流値のデューティ
ー比に応じて開閉部材の移動量が制御される。これによ
り、電磁式アクチュエータに通電される電流値のデュー
ティー比を変えるだけで、容易に、通常遅角モードから
一旦、通常進角モードを経由して最遅角モードへ切り替
えることができる。
【0018】(請求項9の手段)請求項1〜8に記載し
た何れかのバルブタイミング調整装置において、制限ピ
ンは、制限位置に押し出されている状態で、自身の動作
方向に進角室の油圧を受ける第1の受圧面と第2の受圧
面とを有し、その第1の受圧面と第2の受圧面とが自身
の動作方向に対向して設けられている。
【0019】制限ピンは、制限位置に押し出されている
時に、進角室の油圧が作用していると、例えばロータを
進角側へ回転させるために進角室に作動油を供給した場
合、制限ピンに加わる進角室の油圧が増大するため、そ
の油圧を受けて制限ピンが後退位置へ押し下げられるこ
とがある。その直後に、通常遅角モードに切り替えた場
合、制限ピンが制限位置に押し出される前に、ロータが
中間位相位置を通り過ぎてしまう可能性がある。そこ
で、制限ピンに第1の受圧面と第2の受圧面とを自身の
動作方向に対向して設けることで、進角室の油圧が制限
ピンの動作に影響を与えることがなくなり、制限ピンの
誤作動を防止できる。
【0020】(請求項10の手段)請求項1〜9に記載
した何れかのバルブタイミング調整装置において、制限
ピンが制限位置に押し出されている時に、制限ピンに対
しロータが当接する方向と反対側に、制限ピンを支える
壁部を設けている。この構成によれば、制限ピンがロー
タから受ける押圧力を壁部で受けることができるので、
制限ピンの姿勢を安定化させることができ、制限ピンの
動作をスムーズに行わせることができる。
【0021】(請求項11の手段)請求項1に記載した
バルブタイミング調整装置において、第1制御室と第2
制御室には、それぞれ油圧ポンプから油圧が導入され
る。遅角室及び進角室には、油圧ポンプから圧送された
油圧が供給されるので、その油圧ポンプから直接第1制
御室及び第2制御室に油圧を導いても良い。
【0022】(請求項12の手段)本発明のバルブタイ
ミング調整装置は、ハウジング部材に対するロータの最
進角位置と最遅角位置との間に中間位相位置が設定さ
れ、ロータが中間位相位置より遅角側へ回転することを
阻止する遅角制限ピンと、この遅角制限ピンをベーンか
ら押し出す方向に付勢するスプリングと、油圧室に作動
油を導入する油路とは別系統に設けられた専用油路を通
じて作動油が導入され、その油圧が遅角制限ピンをベー
ン内部に押し下げる方向に作用する制御室と、この制御
室の油圧を制御する油圧制御弁とを有している。
【0023】この構成によれば、制御室に作動油が導入
されて、制御室の油圧がスプリングの付勢力に打ち勝つ
と、遅角制限ピンがベーンの内部に押し下げられる。ま
た、制御室から作動油を逃がすと、スプリングの付勢力
によって遅角制限ピンがベーンから押し出される。即
ち、制御室に導入される作動油は、遅角制限ピンをベー
ン内部に押し下げるために使用されるので、エンジン回
転数が低い時、特に高油温時に油圧が低下している時で
も、安定的に遅角制限ピンがベーンから押し出されてい
る状態を維持することができ、ロータが中間位相位置か
ら遅角側へ回転することを阻止できる。
【0024】(請求項13の手段)請求項12に記載し
たバルブタイミング調整装置において、ロックピンと遅
角制限ピンは、同一のベーンに組み込まれ、且つ互いに
逆方向に作動する様に構成されている。ロックピンと遅
角制限ピンとを同一のベーンに組み込む場合は、各々の
ピンの作動方向を逆向きにした方が機能的に構成でき
る。
【0025】(請求項14の手段)請求項12または1
3に記載したバルブタイミング調整装置において、専用
油路には、油圧を発生する油圧ポンプから油圧制御弁ま
での間に絞りが設けられている。この場合、絞りを設け
ることで、エンジンの回転変動に伴う油圧の変動を抑え
ることができ、遅角制限ピンの作動を安定して制御でき
る。
【0026】(請求項15の手段)請求項12〜14に
記載した何れかのバルブタイミング調整装置において、
遅角制限ピンは、制御室の油圧を受ける受圧部を有し、
この受圧部の受圧面積が遅角制限ピンの先端面の面積よ
り大きく設けられている。ベーンから突出した遅角制限
ピンの端面に油圧室(進角室または遅角室)の油圧が加
わる場合でも、上記の関係(受圧部の受圧面積の方が遅
角制限ピンの先端面の面積より大きい)が成立すれば、
遅角制限ピンの作動に対する進角室または遅角室の油圧
の影響を小さくできる。
【0027】(請求項16の手段)請求項12〜15に
記載した何れかのバルブタイミング調整装置において、
ハウジング部材には、油圧室から遅角制限ピンの先端側
に漏れ出た作動油をハウジング部材の外部に排出するオ
イル排出孔が設けられている。本発明のバルブタイミン
グ調整装置では、例えば高油温時に作動油の粘度が低く
なると、油圧室から作動油が漏れ易くなり、この漏れた
作動油がハウジング部材とベーンとの隙間を通って遅角
制限ピンの先端側へ浸入する可能性がある。この場合、
浸入した作動油の圧力が遅角制限ピンをベーン内部に押
し下げる方向に作用するため、遅角制限ピンをベーンか
ら押し出す時の作動に影響が生じる。
【0028】また、常温時等のオイル粘度が高い場合
は、遅角制限ピンの先端側に溜まった作動油が遅角制限
ピンをベーンから押し出す時の抵抗となるため、遅角制
限ピンの作動に影響が生じる。これに対し、ハウジング
部材にオイル排出孔を設けると、油圧室から遅角制限ピ
ンの先端側に漏れ出た作動油をハウジング部材の外部に
排出できるので、遅角制限ピンの作動に対する作動油圧
の影響を排除できる。
【0029】(請求項17の手段)請求項16に記載し
たバルブタイミング調整装置において、ハウジング部材
には、ロータが中間位相位置の手前から中間位相位置ま
で回転する時に、遅角制限ピンの先端部がベーンから突
出した状態で移動できる遅角制限溝が設けられ、この遅
角制限溝がオイル排出孔を介して大気に開放されてい
る。
【0030】この構成では、遅角制限ピンの先端部が遅
角制限溝に嵌合して移動する際に、遅角制限ピンの先端
側に漏れ出た作動油が遅角制限溝からオイル排出孔を介
して大気に開放されるので、遅角制限ピンの作動に対す
る作動油圧の影響を排除できる。その結果、中間位相位
置の手前から遅角制限ピンの先端部がベーンから突出し
て遅角制限溝に嵌合できるので、ロータが中間位相位置
を通り過ぎることはなく、確実にロータを中間位相位置
に静止させることができる。
【0031】(請求項18の手段)請求項12〜15に
記載した何れかのバルブタイミング調整装置において、
ベーンには、遅角制限ピンを進退可能に保持する円筒状
の軸受部材が組み込まれており、この軸受部材の内周面
に、遅角制限ピンの先端側と制御室とを連通する連通溝
が凹設されている。
【0032】この構成によれば、油圧室(進角室または
遅角室)から遅角制限ピンの先端側に漏れ出た作動油が
連通溝を介して制御室へ導入されるので、遅角制限ピン
の作動に対する作動油圧の影響を排除できる。なお、制
御室に導入された作動油は、外部に排出されることな
く、再度使用されるので、作動油の外部漏れを低減でき
る。また、制御室に作動油を導入して遅角制限ピンをベ
ーン内部に押し戻す時には、制御室に導入された作動油
が連通溝を通って遅角制限ピンの先端側に流れ込み、遅
角制限ピンをベーン内部へ押し下げる方向に作用するた
め、低油圧時のピン頭出し対策にも有効である。
【0033】(請求項19の手段)請求項18に記載し
たバルブタイミング調整装置において、ハウジング部材
には、ロータが中間位相位置の手前から中間位相位置ま
で回転する時に、遅角制限ピンの先端部がベーンから突
出した状態で移動できる遅角制限溝が設けられ、この遅
角制限溝が連通溝を介して制御室と連通している。
【0034】この構成では、遅角制限ピンの先端部が遅
角制限溝に嵌合して移動する際に、遅角制限ピンの先端
側に漏れ出た作動油が遅角制限溝から連通溝を介して制
御室に導入されるので、遅角制限ピンの作動に対する作
動油圧の影響を排除できる。その結果、中間位相位置の
手前から遅角制限ピンの先端部がベーンから突出して遅
角制限溝に嵌合できるので、ロータが中間位相位置を通
り過ぎることはなく、確実にロータを中間位相位置に静
止させることができる。
【0035】(請求項20の手段)請求項19に記載し
たバルブタイミング調整装置において、連通溝は、遅角
制限ピンに対しロータの回転方向と略直交する方向に設
けられている。この連通溝は、遅角制限ピンを保持する
軸受部材の内周面に設けられるので、軸受部材と遅角制
限ピンとの間で力が作用しない方向、即ちロータの回転
方向と略直交する方向に設けることが望ましい。
【0036】(請求項21の手段)請求項12〜20に
記載した何れかのバルブタイミング調整装置において、
ハウジング部材には、制御室から遅角制限ピンの後端側
に漏れ出た作動油を外部に排出する排圧孔が設けられて
いる。遅角制限ピンをベーン内部に押し戻す際に、制御
室に導入された作動油が遅角制限ピンの後端側に漏れ出
ると、その漏れ出た作動油が遅角制限ピンをベーンから
押し出す方向に作用するため、遅角制限ピンをベーン内
部に押し戻す時の作動に影響が生じる。これに対し、ハ
ウジング部材に排圧孔を設けると、遅角制限ピンの後端
側に漏れ出た作動油を排圧孔から外部に排出できるの
で、遅角制限ピンの作動に対する作動油圧の影響を排除
できる。
【0037】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。 (第1実施例)図1はバルブタイミング調整装置の断面
図(図2のB−B断面図)、図2は図1のA−A断面図
である。バルブタイミング調整装置1(以下VVTと呼
ぶ)は、エンジンの回転力が伝達されて回転するスプロ
ケット2と、このスプロケット2と一体に回転するケー
ス3と、エンジンのカム軸4に取り付けられるロータ5
と、このロータ5の回転を阻止するロータ回転制限手段
(後述する)とを具備している。
【0038】スプロケット2は、カム軸4の端部に回転
可能な状態で嵌合し、エンジンの駆動軸(図示しない)
からチェーンを介して回転力が伝達され、駆動軸と同期
して回転する。ケース3は、例えばアルミニウム製で、
スプロケット2との間にプレート6(図2参照)を挟持
してスプロケット2にボルト(図示しない)で固定され
ている。このケース3には、図1に示す様に、内側に扇
状の凹部3aが周方向に3箇所設けられ、この凹部3a
とロータ5との間で油圧室(遅角室7と進角室8)を形
成している。
【0039】ロータ5は、ボス部5aの周囲に3枚のベ
ーン9を有して構成され、カム軸4の端面にボス部5a
を当接させて、ボス部5aの中央部に挿通されたボルト
10によりカム軸4に固定されている。ベーン9は、ケ
ース3に設けられた扇状の凹部3aに収容されて、油圧
室を遅角室7と進角室8とに二分している。この遅角室
7と進角室8には、後述するオイル制御弁11(図3〜
5参照)を介して作動油が供給される。これにより、エ
ンジンの駆動軸からスプロケット2に伝達された回転
が、遅角室7及び進角室8の作動油を介してベーン9に
伝達されることにより、ロータ5と共にカム軸4を回転
させる。
【0040】1枚のベーン9には、エンジン停止時にロ
ータ5のばたつきを防止するためのロックピン12(図
2参照)が組み込まれている。このロックピン12は、
ベーン9に圧入されたスリーブ13内にスプリング14
と共に組み込まれ、エンジン停止時にロックピン12が
スプリング14に付勢されて押し出されると、図6に示
す様に、ピン頭部がケース3に設けられたリング状のブ
ッシュ15に嵌合してロータ5を「通常遅角位置」に拘
束する。なお、「通常遅角位置」とは、本発明の中間位
相位置であり、ロータ5の最遅角位置より所定角度α
(図1参照)だけ進角側へロータ5が回転した位置であ
る。
【0041】また、ロックピン12には、エンジン運転
中に遅角室7及び進角室8の少なくとも一方の油圧がロ
ックピン12を押し下げる方向に作用し、この油圧がス
プリング14の付勢力に打ち勝つことにより、ピン頭部
がブッシュ15から離脱してロータ5の回転を許容して
いる。なお、遅角室7の油圧は、ベーン9に設けられた
連通孔9a(図7参照)を通じてスリーブ13の内部に
導入され、ロックピン12に設けられた鍔部12aに作
用してロックピン12を押し下げる方向に働いている。
また、進角室8の油圧は、ケース3に設けられた連通溝
3b(図1参照)を通じてロックピン12の頭部に作用
し、ロックピン12を押し下げる方向に働いている。
【0042】ロータ回転制限手段は、ロータ5が通常遅
角位置から更に遅角側へ回転することを阻止するもの
で、遅角室7から油圧が導入される制御室(第1制御室
16と第2制御室17)、この制御室の油圧を受けて可
動する遅角制限ピン18、この遅角制限ピン18を付勢
するスプリング19等によって構成される。
【0043】制御室は、図6の模式図に示す様に、ケー
ス3に組み込まれたスリーブ20によって形成され、進
角室8と隣接して設けられている。スリーブ20には、
制御室の下部と上部にそれぞれ油圧を導入する第1油圧
導入口16aと第2油圧導入口16bとが設けられてい
る。この第1油圧導入口16aと第2油圧導入口16b
は、それぞれ油路21、22を介して遅角室7に連通し
ている。但し、第1油圧導入口16aに通じる油路21
には絞り21aが設けられている。
【0044】遅角制限ピン18は、自身の後端部に鍔状
の受圧部18aを有し、この受圧部18aが制御室を形
成するスリーブ20の内周面に摺接してスリーブ20の
内部に収容され、制御室を受圧部18aより下側の第1
制御室16と、受圧部18aより上側の第2制御室17
とに区画している。但し、受圧部18aは、第1制御室
16に晒される受圧面積の方が第2制御室17に晒され
る受圧面積より大きく設けられている。上記の第1油圧
導入口16aは第1制御室16に開口し、第2油圧導入
口16bは第2制御室17に開口している。
【0045】この遅角制限ピン18は、ピン頭部が制御
室から液密に突出して進角室8に露出し、ロータ5の回
転軌道を遮る制限位置(図6に示す位置)とロータ5の
回転を許容する後退位置(図8に示す位置)との間で進
退可能に設けられている。スプリング19は、第1制御
室16に配されて、遅角制限ピン18を後退位置側から
制限位置側へ付勢している。
【0046】オイル制御弁11は、遅角室7及び進角室
8に対する作動油の流れ方向(供給と排出)を切り替え
ると共に、その油量を調節するもので、図3〜5に示す
様に、複数のポート23a〜23fを有するケーシング
23と、このケーシング23内に往復動可能に収容され
るスプール24と、このスプール24を一方向(図3の
右方向)に付勢するスプリング25と、スプリング25
の付勢力に抗してスプール24を駆動する電磁式アクチ
ュエータ26等から構成される。
【0047】ケーシング23は、図3に示す様に、油圧
ポンプ27(図6参照)の吐出口に接続される流入ポー
ト23a、作動油を貯留するオイルパン28(図6参
照)に接続される2箇所の流出ポート(第1流出ポート
23bと第2流出ポート23c)、VVT1の遅角室7
に接続される第1油圧ポート23d、VVT1の進角室
8に接続される第2油圧ポート23e、及び前述の油路
21を介してロータ回転制限手段の第1制御室16に接
続される第3油圧ポート23fを有している。
【0048】スプール24は、ケーシング23内を移動
して、流入ポート23a及び流出ポート23b、23c
に通じる各油圧ポート23d、23e、23fの切り替
えを行う。電磁式アクチュエータ26は、内蔵するコイ
ル29に磁力を発生させ、その磁力によりプランジャ3
0を移動させてスプール24を駆動するもので、コイル
29を流れる電流値の大きさに応じてプランジャ30の
移動量を可変する。コイル29を流れる電流値は、図示
しないECU(電子制御装置)によってデューティ制御
される。
【0049】ここで、コイル29を流れる電流値の大き
さ(デューティ比)とスプール24の位置(作動モー
ド)との関係について説明する。 a)デューティ比=0% コイル29に流れる電流値=0.1(A) この場合、スプール24は、図3に示す様に、第3油圧
ポート23fを閉じて、流入ポート23aと第1油圧ポ
ート23dとを連通し、第2流出ポート23cと第2油
圧ポート23eとを連通する位置に移動する。この作動
モードを通常遅角モードと呼ぶ。
【0050】b)デューティ比=75% コイル29に流れる電流値=0.8(A) この場合、スプール24は、図4に示す様に、第3油圧
ポート23fを閉じて、流入ポート23aと第2油圧ポ
ート23eとを連通し、第1流出ポート23bと第1油
圧ポート23dとを連通する位置に移動する。この作動
モードを通常進角モードと呼ぶ。
【0051】c)デューティ比=100% コイル29に流れる電流値=1.0(A) この場合、スプール24は、図5に示す様に、流入ポー
ト23aと第1油圧ポート23dとを連通し、第2流出
ポート23cと第2油圧ポート23e及び第3油圧ポー
ト23fとを連通する位置に移動する。この作動モード
を最遅角モードと呼ぶ。なお、この最遅角モードの時
に、ケーシング23に形成された第2流出ポート23c
と第3油圧ポート23fとを連通する通路をドレイン通
路と呼ぶ。
【0052】次に、本実施例の作動を図6〜8に示す模
式図に基づいて説明する。 a)エンジン停止時 オイル制御弁11は、通常遅角モード(図3参照)に保
持されている。但し、油圧ポンプ27の作動が停止して
いるため、遅角室7に作動油が供給されることはない。
【0053】ロータ回転制限手段は、遅角室7から第1
制御室16及び第2制御室17へ油圧が導入されないの
で、遅角制限ピン18がスプリング19に付勢されてピ
ン頭部が制御室から突出し、進角室8にてロータ5の回
転軌道を遮る制限位置へ押し出されている。一方、ロー
タ5は、遅角室7及び進角室8の油圧を受けることな
く、ベーン9が遅角制限ピン18に当接して通常遅角位
置に停止し、且つロックピン12によって回転方向の移
動が阻止されている(図6参照)。
【0054】b)エンジン始動時 ECUは、電磁式アクチュエータ26をデューティ比=
0%として、オイル制御弁11を通常遅角モードに制御
し、且つ油圧ポンプ27を起動させる。これにより、油
圧ポンプ27から圧送された作動油が遅角室7に供給さ
れ、遅角室7の油圧が増大する。一方、進角室8は、オ
イル制御弁11の第2油圧ポート23eと第2流出ポー
ト23cとが連通して大気に開放(オイルパン28に連
通)されるため、進角室8の油圧は低下する。
【0055】ロータ回転制限手段は、遅角室7を介して
第1制御室16及び第2制御室17に油圧が導入され
る。この時、遅角制限ピン18の受圧部18aは、第1
制御室16に晒される受圧面積の方が第2制御室17に
晒される受圧面積より大きいので、第1制御室16と第
2制御室17とに同じ遅角圧(遅角室7の油圧)が導入
されても、受圧部18aに対し遅角制限ピン18を押し
出す力の方が遅角制限ピン18を押し下げる力より大き
くなる。その結果、遅角制限ピン18は、図6に示す様
に、ピン頭部が制御室から突出して制限位置まで押し出
された状態を維持する。
【0056】これにより、ロータ5は、遅角室7に油圧
が導入されても、遅角制限ピン18が制限位置に押し出
された状態を維持しているので、通常遅角位置から更に
遅角側へ回転することはなく、通常遅角位置に静止して
いる。なお、油圧ポンプ27が起動して遅角室7からス
リーブ13の内部に油圧が導入されると、ロックピン1
2に加わる油圧がスプリング14の付勢力に打ち勝つた
め、ロックピン12の頭部がブッシュ15から離脱して
スリーブ13の内部に押し込まれることにより、ロータ
5の回転が許容される。
【0057】c)通常運転時(アイドリング時を含む) ECUは、エンジンの運転状態に応じて、電磁式アクチ
ュエータ26をデューティ比=0〜75%の間で通電制
御する。この場合、オイル制御弁11は、スプール24
の位置がデューティ比に応じて通常遅角モードと通常進
角モードとの間に設定され、流入ポート23aと第1油
圧ポート23d及び第2油圧ポート23eの両方が連通
する。
【0058】上記の結果、エンジン始動時と比較して、
遅角室7に供給される作動油の量が減少し、その分、進
角室8へ作動油が供給される。これにより、ロータ5
は、図7に示す様に、ECUによって演算された目標進
角位置まで回転する。ロータ回転制限手段は、エンジン
始動時と同様、遅角制限ピン18が制限位置へ押し出さ
れた状態を維持している。
【0059】d)高負荷運転時(高回転、高油圧時) ECUは、電磁式アクチュエータ26をデューティ比=
100%として、オイル制御弁11を最遅角モード(図
5参照)に制御する。この場合、オイル制御弁11は、
通常運転時の作動モード(デューティ比=75%未満)
から通常進角モード(デューティ比=75%)を経て最
遅角モードに移行する。
【0060】ロータ回転制限手段は、オイル制御弁11
がドレイン通路(第3油圧ポート23fと第2流出ポー
ト23cとを連通する通路)を開放するため、第1制御
室16の油圧が低下し、遅角制限ピン18を押し出す力
が低減する。一方、第2制御室17の油圧は維持される
ので、遅角制限ピン18を押し下げる力が押し出す力を
上回り、図8に示す様に、遅角制限ピン18が制限位置
から後退位置へ押し下げられる。VVT1は、オイル制
御弁11が進角室8に通じる第2油圧ポート23eを開
放し、且つ遅角室7に作動油が供給されるため、遅角室
7の油圧が増大して、ロータ5が通常遅角位置より更に
遅角側へ回転することができる。
【0061】(第1実施例の効果)本実施例では、ロー
タ5が通常遅角位置から遅角側へ回転することを阻止で
きるロータ回転制限手段を具備している。つまり、ロー
タ回転制限手段により、エンジン始動時にロータ5を通
常遅角位置に保持できるので、エンジン始動時に適した
バルブタイミングを実現できる。また、遅角制限ピン1
8を後退位置へ押し下げてロータ回転制限手段を解除す
ることにより、ロータ5を最遅角位置まで回転させるこ
とが可能となるので、エンジン暖機後の燃費及び出力向
上に適した最適なバルブタイミングを実現できる。
【0062】更に、遅角制限ピン18が制限位置に押し
出されている状態で、遅角制限ピン18に作用する第1
制御室16と第2制御室17との圧力バランスを維持す
ることにより、遅角制限ピン18を制限位置に保持する
ことが可能である。その結果、例えばアイドリング時や
通常走行時等にロータ5が通常遅角位置から更に遅角側
へ回転することを防止できる。また、第1制御室16を
大気に開放して油圧を逃がすことにより、遅角制限ピン
18を制限位置から後退位置へ押し下げることができ、
ロータ5の最遅角側への回転阻止を解除できる。
【0063】即ち、本実施例のロータ回転制限手段によ
れば、ロータ5を最遅角位置まで回転させたい時(例え
ば高負荷運転時)のみ、遅角制限ピン18を後退位置へ
押し下げてロータ5の回転阻止を解除することができ、
エンジン始動時や通常運転時(アイドリング時も含む)
には、遅角制限ピン18を制限位置に押し出した状態を
維持できるので、不必要にロータ5が最遅角位置へ回転
することを防止できる。
【0064】なお、遅角室7から第1制御室16に通じ
る油路21に絞り21aを設けているので、最遅角モー
ドにおいて第1制御室16を大気に開放して油圧を逃が
す際に、遅角室7から油路21を通じて第1制御室16
に供給される作動油の量を低減できる。つまり、遅角室
7から第1制御室16に流入する作動油の量より、第1
制御室16から流出する作動油の量の方が多くなるた
め、速やかに第1制御室16の油圧を低下させることが
できる。以上の結果、エンジン始動時に適した最適なバ
ルブタイミングと、エンジン暖機後の燃費及び出力向上
に適した最適なバルブタイミングとを実現できる。
【0065】また、本実施例では、オイル制御弁11を
通常運転時(アイドリング時を含む)の作動モードから
高負荷運転時の最遅角モードに切り替える際に、一旦、
通常進角モードを経由して行われる。この場合、通常進
角モードを経由する際に、一時的に進角室8の油圧が増
大するため、その進角室8の油圧がロータ5を進角側へ
押圧する方向に作用する。これにより、例えば通常遅角
モードから最遅角モードへ切り替える場合に、ロータ5
を介して遅角制限ピン18に加わる遅角室7の油圧をキ
ャンセルできるので、スムーズに遅角制限ピン18を後
退位置へ押し下げることが可能となる。
【0066】なお、ロータ5が通常遅角位置にある時
は、ロータ5が遅角室7の油圧を受けて遅角制限ピン1
8を押圧しているので、遅角制限ピン18の姿勢が傾く
可能性がある。そこで、遅角制限ピン18が制限位置に
押し出されている時に、遅角制限ピン18に対しロータ
5が当接する方向と反対側に、遅角制限ピン18を支え
る壁部31(図2参照)を設けても良い。これによれ
ば、遅角制限ピン18がロータ5から受ける押圧力を壁
部31で受けることができるので、遅角制限ピン18の
姿勢を安定させることができ、遅角制限ピン18の動作
をスムーズに行わせることができる。
【0067】上記の実施例では、ケース3に組み込まれ
たスリーブ20の内部に制御室(第1制御室16と第2
制御室17)を形成しているので、遅角室7から第1制
御室16に通じる油路21の絞り21aをスリーブ20
に設けても良い。この場合、例えば図9に示す様に、第
1制御室16に開口する第1油圧導入口16aを絞り2
1aとして形成することができる。
【0068】(第2実施例)図10はVVT1の断面図
(図11のB−B断面図)、図11は図10のA−A断
面図である。本実施例のVVT1は、ロータ回転制限手
段の遅角制限ピン18が径方向に可動する構成を有する
一例である。ロータ回転制限手段は、図10及び図11
に示す様に、遅角制限ピン18がロータ5に対し径方向
に可動し、ロータ5の回転軌道を遮る制限位置とロータ
5の回転を許容する後退位置との間で進退可能に設けら
れている。
【0069】ロータ5は、自身の外周面に所定の角度範
囲で円弧状に逃げ溝32(図10参照)が設けられてい
る。この逃げ溝32は、遅角制限ピン18が制限位置に
押し出されている状態で、ロータ5の回転を許容するた
めに設けられている。つまり、ロータ5は、遅角制限ピ
ン18が制限位置に押し出されている状態で、逃げ溝3
2の周方向一端が遅角制限ピン18に当接する通常遅角
位置(図10に示す位置)から、逃げ溝32の周方向他
端が遅角制限ピン18に当接する通常進角位置までの間
で、ケース3に対し相対回転できる。
【0070】また、ロータ5は、遅角制限ピン18が後
退位置に押し下げられることで、通常遅角位置から更に
遅角側へ回転することができる。なお、遅角制限ピン1
8と同様に、ロックピン12も径方向に可動する構成と
しても良い。本実施例の構成においても、ロータ回転制
限手段によるロータ5の回転阻止及び阻止解除をオイル
制御弁11の作動モードの切り替えによって実行でき、
第1実施例と同様の効果を得ることができる。
【0071】(第3実施例)図12はVVT1の断面図
(図13のB−B断面図)、図13は図12のA−A断
面図、図14はロータ回転制限手段及びロックピン12
周辺の断面図である。本実施例のVVT1は、ロータ回
転制限手段の遅角制限ピン18が進角室8の油圧に影響
されない構造に関する一例である。遅角制限ピン18
は、図13に示す様に、制限位置に押し出されている状
態で、自身の動作方向(図13の左右方向)に進角室8
の油圧を受ける第1の受圧面18bと第2の受圧面18
cとを有し、その第1の受圧面18bと第2の受圧面1
8cとが同一面積で、且つ自身の動作方向に対向して設
けられている。
【0072】第1実施例に記載したVVT1では、遅角
制限ピン18が制限位置に押し出されている時に、進角
室8の油圧が遅角制限ピン18を押し下げる方向に作用
している。ここで、ロータ5を進角側へ回転させるため
に進角室8に作動油を供給すると、遅角制限ピン18に
加わる進角室8の油圧が増大するため、その油圧を受け
て遅角制限ピン18が後退位置へ押し下げられることが
ある。その直後に、通常遅角モードに切り替えた場合、
遅角制限ピン18が制限位置に押し出される前に、ロー
タ5が通常遅角位置を通り過ぎて最遅角側へ回転する可
能性がある。そこで、遅角制限ピン18に第1の受圧面
18bと第2の受圧面18cとを自身の動作方向に対向
して設けることで、進角室8の油圧が遅角制限ピン18
の動作に影響を与えることがなくなり、遅角制限ピン1
8の誤作動を防止できる。
【0073】なお、図14に示す構成は、図12及び図
13に記載したVVT1とロックピン12の位置が異な
る(ロータ5が通常遅角位置で遅角制限ピン18に当接
するベーン9にロックピン12を設けている)だけで、
遅角制限ピン18の構造は同じであり、同一の効果を得
ることができる。
【0074】(第4実施例)図15はVVT1の軸方向
正面図である。本実施例のVVT1は、遅角制限ピン1
8がロックピン12と共に同一のベーン9に組み込ま
れ、且つ油圧室(遅角室7及び進角室8)の油圧を制御
するオイル制御弁11とは別に、遅角制限ピン18を収
納する制御室33(図16参照)の油圧を制御する油圧
制御弁34(図18参照)を備えている。なお、遅角制
限ピン18とロックピン12は、互いの動作方向が逆向
きに設定されている。
【0075】油圧制御弁34は、オイル制御弁11と同
様に、内蔵するスプール(図示しない)を駆動して作動
油の流れ方向(供給と排出)及び油量を調節するもの
で、電磁力によってスプールを駆動する電磁式アクチュ
エータ34Aを備える。この油圧制御弁34は、図18
に示す様に、油圧室に通じる油路35とは別系統に設け
られた専用油路36を通じて制御室33の油圧を制御し
ている。また、専用油路36(油圧ポンプ27と油圧制
御弁34との間)には絞り37が設けられている。
【0076】遅角制限ピン18は、図16に示す様に、
自身の後端部に鍔状の受圧部18aを有し、この受圧部
18aが制御室33の内周面に摺接して制御室33に収
容され、ピン頭部が制御室33から液密に突出してベー
ン9に組み込まれている。なお、受圧部18aの面積の
方がピン先端面の面積より大きく設けられている。ま
た、ケース3には、遅角制限ピン18のピン頭部がベー
ン9から突出した状態で、ロータ5が通常遅角位置から
進角側へ所定の角度範囲だけ回転できる様に、遅角制限
ピン18のピン頭部を案内する円弧状の遅角制限溝38
(図15参照)が形成されている。
【0077】ロックピン12は、第1実施例と同様に、
エンジン停止時にスプリング14に付勢されて押し出さ
れると、ピン頭部がブッシュ15に嵌合してロータ5を
「通常遅角位置」に拘束する。また、ロックピン12に
は、図17に示す様に、エンジン運転中に遅角室7及び
進角室8の少なくとも一方の油圧がロックピン12を押
し下げる方向に作用し、この油圧がスプリング14の付
勢力に打ち勝つことにより、ピン頭部がブッシュ15か
ら離脱してロータ5の回転を許容する。
【0078】続いて、本実施例のVVT1の作動を説明
する。 a)エンジン停止時(図19参照)。 エンジン停止時は、油圧室(遅角室7及び進角室8)か
ら作動油が排出されているため、ロックピン12により
ロータ5が通常遅角位置(中間位相)に拘束されて、ロ
ータ5のばたつきが防止される。
【0079】b)エンジン始動時及びアイドリング停止
時(図20参照)。 オイル制御弁11により遅角室7に油圧が導入され、そ
の油圧がロックピン12の鍔部12aに作用してロック
ピン12を押し下げることにより、ロックピン12によ
るロータ5の回転規制が解除される。但し、遅角制限ピ
ン18は、スプリング19に付勢されてピン頭部がベー
ン9から突出し、ロータ5が通常遅角位置から更に遅角
側へ回転することを阻止している。これにより、ロータ
5が通常遅角位置に維持される。
【0080】c)通常運転時(図21参照)。 エンジンの運転状態に応じて遅角室7と進角室8とに油
圧が導入される。これにより、ロータ5が通常遅角位置
から進角側へ作動可能となる。但し、遅角制限ピン18
は、スプリング19に付勢されてピン頭部がベーン9か
ら突出した状態を維持しているので、ロータ5が通常遅
角位置から更に遅角側へ回転することはできない。つま
り、通常遅角位置から進角側のみにてロータ5の作動が
可能となる。
【0081】d)高負荷運転時(図22参照)。 通常運転時より遅角室7の油圧が増大され、且つ油圧制
御弁34により制御室33に油圧が導入される。これに
より、遅角制限ピン18がベーン9の内部に押し込まれ
るため、ロータ5が通常遅角位置から更に遅角側へ作動
可能となる。本実施例の構成においても、第1実施例と
同様に、エンジン始動時に最適なバルブタイミングと、
エンジン暖機後の燃費及び出力向上に最適なバルブタイ
ミングを実現することが可能である。
【0082】また、本実施例では、VVT1の油圧を制
御するオイル制御弁11とは別に、専用油路36を通じ
て制御室33に導入される油圧を制御する油圧制御弁3
4を設けているので、ロータ5の位相制御と遅角制限ピ
ン18の制御とを独立して行うことができる。これによ
り、高温油且つ低回転時の油圧力と遅角制限ピン18を
付勢するスプリング力との関係において、スプリング力
を小とすることで、位相変換中の遅角制限ピン18の引
っ掛かりを防止することができる。
【0083】更に、油圧制御弁34は、制御室33に導
入される油圧のみを制御すれば良いので、例えばソレノ
イドに対するオン/オフを切り替えるだけの簡単な制御
モードを持たせることができる。その結果、油圧制御弁
34の構造を簡素化でき、信頼性を向上できる。また、
油圧ポンプ27から油圧制御弁34に通じる油路に絞り
37を設けることにより、エンジンの回転変動に伴う制
御室33の油圧変動を抑えることができ、遅角制限ピン
18の作動を安定して制御できる。遅角制限ピン18
は、受圧部18aの面積がピン先端面の面積より大きく
設けられているので、仮に遅角制限溝38に遅角圧また
は進角圧が導入されても、遅角制限ピン18の作動に与
える進角圧または遅角圧の影響を小さくできる。
【0084】(第5実施例)本実施例は、第4実施例で
説明したVVT1において、遅角制限ピン18の作動に
対する作動油圧の影響を排除するためのオイル排出孔3
9(図23参照)と排圧孔40(図24参照)、及びロ
ックピン12の作動に対する作動油圧の影響を排除する
ための排圧孔41(図25参照)を設けた一例である。
【0085】オイル排出孔39は、遅角室7または進角
室8から遅角制限溝38に漏れ出た作動油を外部に排出
するために設けられ、図23に示す様に、遅角制限溝3
8に連通して遅角制限ピン18のピン頭部を大気に開放
している。排圧孔40は、制御室33から遅角制限ピン
18の後端側に漏れ出た作動油を外部に排出するために
設けられ、図24に示す様に、ピン後端側の空間42を
大気に開放している。ロックピン12の排圧孔41は、
遅角室7または進角室8からロックピン12の後端側に
漏れ出た作動油を外部に排出するために設けられ、図2
5に示す様に、ピン後端側の空間43を大気に開放して
いる。
【0086】次に、本実施例の作用効果について説明す
る。例えば、高油温時に作動油の粘度が低くなると、油
圧室から作動油が漏れ易くなり、この漏れた作動油がベ
ーン9とケース3との隙間を通って遅角制限溝38へ浸
入する可能性がある。これに対し、遅角制限溝38に連
通してオイル排出孔39を設けると、油圧室から遅角制
限溝38に漏れ出た作動油をオイル排出孔39からVV
T1の外部に排出できるので、遅角制限ピン18の作動
(遅角制限ピン18をベーン9から押し出す時の作動)
に対する作動油圧の影響を排除できる。
【0087】また、遅角制限ピン18をベーン9内部に
押し戻す際に、制御室33に導入された作動油が遅角制
限ピン18の後端側に漏れ出ると、その漏れ出た作動油
が遅角制限ピン18をベーン9から押し出す方向に作用
するため、遅角制限ピン18をベーン9内部に押し戻す
時の作動に影響が生じる。これに対し、ピン後端側の空
間42を大気に開放する排圧孔40を設けることによ
り、遅角制限ピン18の後端側に漏れ出た作動油を排圧
孔40からVVT1の外部に排出できるので、遅角制限
ピン18の作動(遅角制限ピン18をベーン9内部へ押
し戻す時の作動)に対する作動油圧の影響を排除でき
る。
【0088】更に、ロックピン12の後端側空間43を
大気に開放する排圧孔41を設けることにより、ロック
ピン12の後端側に漏れ出た作動油を排圧孔41からV
VT1の外部に排出できるので、ロックピン12の作動
(ロックピン12をベーン9内部へ押し戻す時の作動)
に対する作動油圧の影響を排除できる。なお、本実施例
では、遅角制限ピン18とロックピン12を同一のベー
ン9に組み込んでいるため、ロータ5の作動範囲内にお
いて遅角制限溝38をベーン9によりシールするとベー
ン9の角度が非常に広くなり、ロータ5の作動範囲を大
きくできない。
【0089】そこで、本実施例では以下の構成を採用す
る。 遅角制限溝38は、少なくとも遅角制限ピン18の作
動応答性を考慮して、通常遅角位置の手前(遅角側)1
0°CAからシールする構造とする。 遅角制限ピン18とロックピン12の配列は、進角側
に遅角制限ピン18、遅角側にロックピン12とする
(図26参照)。 油圧室から遅角制限溝38に漏れ出た作動油を外部に
排出するためにオイル排出孔39を設けているが、この
オイル排出孔39を設ける代わりに、ロックピン12の
排圧孔41を利用する。具体的には、図26に示す様
に、遅角制限溝38と排圧孔41とを連通する連通溝4
4を設ける。
【0090】(第6実施例)図27は遅角制限ピン18
及び遅角制限ピン18周辺の断面図、図28は遅角制限
ピン18の先端側から見た平面図である。本実施例は、
第5実施例に示したオイル排出孔39の替わりに、遅角
制限溝38と制御室33とを連通する連通溝45を設け
た場合の一例である。
【0091】ベーン9には、図28に示す様に、遅角制
限ピン18を摺動自在に保持する円筒形の軸受部材46
が組み込まれており、その軸受部材46の内周面に連通
溝45が凹設されている。但し、この連通溝45は、軸
受部材46と遅角制限ピン18との間で力が作用しない
方向、即ちロータ5の回転方向(図中の矢印方向)と略
直交する方向に設けられている。これにより、油圧室
(遅角室7または遅角室8)から遅角制限溝38に漏れ
出た作動油が連通溝45を介して制御室33へ導入され
るので、遅角制限ピン18の作動に対する作動油圧の影
響を排除できる。
【0092】また、連通溝45を介して制御室33に導
入された作動油は、外部に排出されることなく、再度使
用されるので、作動油の外部漏れを低減できる。更に、
制御室33に作動油を導入して遅角制限ピン18をベー
ン9内部に押し戻す時には、制御室33に導入された作
動油が連通溝45を通って遅角制限ピン18の先端側に
流れ込み、遅角制限ピン18をベーン9内部へ押し下げ
る方向に作用するため、低油圧時のピン頭出し対策にも
有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】VVTの断面図である(第1実施例)。
【図2】図1のA−A断面図である(第1実施例)。
【図3】オイル制御弁の断面図(デューティ比=0%)
である。
【図4】オイル制御弁の断面図(デューティ比=75
%)である。
【図5】オイル制御弁の断面図(デューティ比=100
%)である。
【図6】VVTの作動説明図(エンジン始動時)であ
る。
【図7】VVTの作動説明図(通常運転時)である。
【図8】VVTの作動説明図(高負荷運転時)である。
【図9】ロータ回転制限手段の断面図である(第1実施
例)。
【図10】VVTの断面図である(第2実施例)。
【図11】図10のA−A断面図である(第2実施
例)。
【図12】VVTの断面図である(第3実施例)。
【図13】図12のA−A断面図である(第3実施
例)。
【図14】ロータ回転制限手段及びロックピン周辺の断
面図である(第3実施例)。
【図15】VVTの軸方向正面図である(第4実施
例)。
【図16】図15のB−B断面図である。
【図17】図15のA−A断面図である。
【図18】VVTの油圧回路を示す全体図である(第4
実施例)。
【図19】VVTの作動説明図(エンジン停止時)であ
る。
【図20】VVTの作動説明図(エンジン始動時及びア
イドリング停止時)である。
【図21】VVTの作動説明図(通常運転時)である。
【図22】VVTの作動説明図(高負荷運転時)であ
る。
【図23】図15のB−B線に沿った断面図である(第
5実施例)。
【図24】図15のC−C断面図である。
【図25】VVTの径方向断面図である。
【図26】VVTの軸方向正面図である。
【図27】遅角制限ピンとロックピンとの断面図である
(第6実施例)。
【図28】遅角制限ピンの先端側から見た平面図であ
る。
【符号の説明】
1 VVT(バルブタイミング調整装置) 2 スプロケット(ハウジング部材) 3 ケース(ハウジング部材) 4 カム軸 5 ロータ 7 遅角室(油圧室) 8 進角室(油圧室) 9 ベーン 11 オイル制御弁 12 ロックピン 16 第1制御室 17 第2制御室 18 遅角制限ピン(制限ピン) 18a 遅角制限ピンの受圧部 18b 第1の受圧面 18c 第2の受圧面 19 スプリング 20 スリーブ 21 遅角室から第1制御室に通じる油路 21a 絞り 24 スプール(開閉部材) 26 電磁式アクチュエータ 27 油圧ポンプ 31 壁部 33 制御室 34 油圧制御弁 36 専用油路 37 専用油路に設けられた絞り 38 遅角制限溝 39 オイル排出孔 40 排圧孔 45 連通溝 46 軸受部材

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内燃機関の駆動軸から回転力が伝達されて
    回転するハウジング部材と、 前記内燃機関のカム軸に固定され、且つ前記ハウジング
    部材に対し所定の角度範囲で相対回転可能に設けられた
    ロータと、 前記ハウジング部材の内部で前記ロータとの間に形成さ
    れる油圧室と、 前記ロータと一体に設けられ、前記油圧室に収容されて
    前記油圧室を進角室と遅角室とに二分するベーンと、 前記進角室及び遅角室に対し作動油が流れる方向を制御
    するオイル制御弁と、 前記ハウジング部材に対する前記ロータの最進角位置と
    最遅角位置との間に中間位相位置が設定され、前記ロー
    タが前記中間位相位置より遅角側へ回転することを阻止
    できるロータ回転制限手段とを備え、 このロータ回転制限手段は、 前記ロータの回転軌道を遮る制限位置と前記ロータの回
    転を許容する後退位置との間で移動可能に設けられた制
    限ピンと、 この制限ピンを前記後退位置から前記制限位置へ押し出
    す方向に油圧が導入される第1制御室と、 前記制限ピンを前記制限位置から前記後退位置へ押し下
    げる方向に油圧が導入される第2制御室とを有し、 前記制限ピンに作用する前記第1制御室と第2制御室と
    の圧力差に応じて前記制限ピンを動作させることを特徴
    とするバルブタイミング調整装置。
  2. 【請求項2】請求項1に記載したバルブタイミング調整
    装置において、 前記第1制御室及び第2制御室は、それぞれ前記遅角室
    と連通していることを特徴とするバルブタイミング調整
    装置。
  3. 【請求項3】請求項1または2に記載したバルブタイミ
    ング調整装置において、 前記オイル制御弁は、前記第1制御室を大気に開放する
    ドレイン通路と、このドレイン通路を開閉できる開閉部
    材とを有し、前記制限ピンを前記制限位置から前記後退
    位置へ押し下げる時に、前記開閉部材が前記ドレイン通
    路を開くことを特徴とするバルブタイミング調整装置。
  4. 【請求項4】請求項3に記載したバルブタイミング調整
    装置において、 前記遅角室から前記第1制御室に通じる油路に絞りが設
    けられていることを特徴とするバルブタイミング調整装
    置。
  5. 【請求項5】請求項4に記載したバルブタイミング調整
    装置において、 前記遅角室から前記第1制御室に通じる油路の絞りは、
    前記ハウジング部材に組付けられるスリーブにて形成さ
    れ、そのスリーブ内に前記第1制御室及び第2制御室が
    形成されることを特徴とするバルブタイミング調整装
    置。
  6. 【請求項6】請求項3または4に記載したバルブタイミ
    ング調整装置において、 前記オイル制御弁は、前記開閉部材が前記ドレイン通路
    を閉じた状態で、前記遅角室に作動油を供給し、且つ前
    記進角室から作動油を排出する通常遅角モード、前記開
    閉部材が前記ドレイン通路を閉じた状態で、前記進角室
    に作動油を供給し、且つ前記遅角室から作動油を排出す
    る通常進角モード、及び前記開閉部材が前記ドレイン通
    路を開いた状態で、前記遅角室に作動油を供給し、且つ
    前記進角室から作動油を排出する最遅角モードが設定さ
    れ、これらのモードを前記開閉部材の移動によって選択
    的に切り替えることができることを特徴とするバルブタ
    イミング調整装置。
  7. 【請求項7】請求項6に記載したバルブタイミング調整
    装置において、 前記オイル制御弁は、前記通常遅角モードから前記最遅
    角モードへ切り替える際に、前記通常遅角モードから一
    旦、前記通常進角モードを経由して前記最遅角モードへ
    切り替えていることを特徴とするバルブタイミング調整
    装置。
  8. 【請求項8】請求項7に記載したバルブタイミング調整
    装置において、 前記オイル制御弁は、前記開閉部材を駆動する電磁式ア
    クチュエータを具備し、この電磁式アクチュエータに通
    電される電流値のデューティー比に応じて前記開閉部材
    の移動量が制御されることを特徴とするバルブタイミン
    グ調整装置。
  9. 【請求項9】請求項1〜8に記載した何れかのバルブタ
    イミング調整装置において、 前記制限ピンは、前記制限位置に押し出されている状態
    で、自身の動作方向に前記進角室の油圧を受ける第1の
    受圧面と第2の受圧面とを有し、その第1の受圧面と第
    2の受圧面とが自身の動作方向に対向して設けられてい
    ることを特徴とするバルブタイミング調整装置。
  10. 【請求項10】請求項1〜9に記載した何れかのバルブ
    タイミング調整装置において、 前記制限ピンが前記制限位置に押し出されている時に、
    前記制限ピンに対し前記ロータが当接する方向と反対側
    に、前記制限ピンを支える壁部を設けていることを特徴
    とするバルブタイミング調整装置。
  11. 【請求項11】請求項1に記載したバルブタイミング調
    整装置において、 前記第1制御室と前記第2制御室には、それぞれ油圧ポ
    ンプから油圧が導入されることを特徴とするバルブタイ
    ミング調整装置。
  12. 【請求項12】内燃機関の駆動軸から回転力が伝達され
    て回転するハウジング部材と、 前記内燃機関のカム軸に固定され、且つ前記ハウジング
    部材に対し所定の角度範囲で相対回転可能に設けられた
    ロータと、 前記ハウジング部材の内部で前記ロータとの間に形成さ
    れる油圧室と、 前記ロータと一体に設けられ、前記油圧室に収容されて
    前記油圧室を進角室と遅角室とに二分するベーンと、 前記進角室及び遅角室に対し作動油が流れる方向を制御
    するオイル制御弁と、 前記ハウジング部材に対する前記ロータの最進角位置と
    最遅角位置との間に中間位相位置が設定され、その中間
    位相位置に前記ロータを拘束するためのロックピンと、 前記ベーンに進退可能に組み込まれ、自身の先端部が前
    記ベーンから突出して前記ハウジング部材と干渉するこ
    とにより、前記ロータが前記中間位相位置より遅角側へ
    回転することを阻止する遅角制限ピンと、 この遅角制限ピンを前記ベーンから押し出す方向に付勢
    するスプリングと、 前記油圧室に作動油を導入する油路とは別系統に設けら
    れた専用油路を通じて作動油が導入され、その油圧が前
    記遅角制限ピンを前記ベーン内部に押し下げる方向に作
    用する制御室と、 この制御室の油圧を制御する油圧制御弁とを有している
    ことを特徴とするバルブタイミング調整装置。
  13. 【請求項13】請求項12に記載したバルブタイミング
    調整装置において、 前記ロックピンと前記遅角制限ピンは、同一のベーンに
    組み込まれ、且つ互いに逆方向に作動する様に構成され
    ていることを特徴とするバルブタイミング調整装置。
  14. 【請求項14】請求項12または13に記載したバルブ
    タイミング調整装置において、 前記専用油路には、油圧を発生する油圧ポンプから前記
    油圧制御弁までの間に絞りが設けられていることを特徴
    とするバルブタイミング調整装置。
  15. 【請求項15】請求項12〜14に記載した何れかのバ
    ルブタイミング調整装置において、 前記遅角制限ピンは、前記制御室の油圧を受ける受圧部
    を有し、この受圧部の受圧面積が前記遅角制限ピンの先
    端面の面積より大きく設けられていることを特徴とする
    バルブタイミング調整装置。
  16. 【請求項16】請求項12〜15に記載した何れかのバ
    ルブタイミング調整装置において、 前記ハウジング部材には、前記油圧室から前記遅角制限
    ピンの先端側に漏れ出た作動油を外部に排出するオイル
    排出孔が設けられていることを特徴とするバルブタイミ
    ング調整装置。
  17. 【請求項17】請求項16に記載したバルブタイミング
    調整装置において、 前記ハウジング部材には、前記ロータが前記中間位相位
    置の手前から前記中間位相位置まで回転する時に、前記
    遅角制限ピンの先端部が前記ベーンから突出した状態で
    移動できる遅角制限溝が設けられ、この遅角制限溝が前
    記オイル排出孔を介して大気に開放されていることを特
    徴とするバルブタイミング調整装置。
  18. 【請求項18】請求項12〜15に記載した何れかのバ
    ルブタイミング調整装置において、 前記ベーンには、前記遅角制限ピンを進退可能に保持す
    る円筒状の軸受部材が組み込まれており、この軸受部材
    の内周面に、前記遅角制限ピンの先端側と前記制御室と
    を連通する連通溝が凹設されていることを特徴とするバ
    ルブタイミング調整装置。
  19. 【請求項19】請求項18に記載したバルブタイミング
    調整装置において、 前記ハウジング部材には、前記ロータが前記中間位相位
    置の手前から前記中間位相位置まで回転する時に、前記
    遅角制限ピンの先端部が前記ベーンから突出した状態で
    移動できる遅角制限溝が設けられ、この遅角制限溝が前
    記連通溝を介して前記制御室と連通していることを特徴
    とするバルブタイミング調整装置。
  20. 【請求項20】請求項19に記載したバルブタイミング
    調整装置において、 前記連通溝は、前記遅角制限ピンに対し前記ロータの回
    転方向と略直交する方向に設けられていることを特徴と
    するバルブタイミング調整装置。
  21. 【請求項21】請求項12〜20に記載した何れかのバ
    ルブタイミング調整装置において、 前記ハウジング部材には、前記制御室から前記遅角制限
    ピンの後端側に漏れ出た作動油を外部に排出する排圧孔
    が設けられていることを特徴とするバルブタイミング調
    整装置。
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