JP3807314B2 - バルブタイミング調整装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の吸気バルブまたは排気バルブの開閉時期を可変するバルブタイミング調整装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、内燃機関の吸気バルブまたは排気バルブの位相を変化させて出力の向上や燃費を改善する技術が公知である。例えば、内燃機関の高回転域では、ピストンが上死点に向かい始めても、吸気が慣性により更にシリンダ内へ入り込もうとするため、吸気バルブの閉時期をピストン下死点より遅らせることにより、体積効率が向上して内燃機関の出力向上を図ることができる。
【0003】
しかし、ピストン下死点より遅く吸気バルブを閉じると、エンジン暖機後の出力は向上するが、エンジン始動時には、吸気に慣性がないため、圧縮比が上がらず(実圧縮比が不足する)、ピストン上死点での空気温度が十分上昇しないため、エンジンの始動が困難になる。また、アイドリングの安定性も悪くなるという問題がある。
即ち、吸気バルブの位相を変化させる場合に、冷間時の始動に適した最適なバルブタイミングと、エンジン暖機後の燃費及び出力向上に適した最適なバルブタイミングとは異なるのである。
【0004】
この問題を解決する従来技術として、例えば特開平9−324613号公報に記載された可変バルブタイミング機構がある。これは、ロータが最遅角位置から所定角度だけ進角側に回転した位置(中間位相位置と呼ぶ)でロータを保持できるロックピンを有している。このロックピンは、エンジン始動時にロック凹部に係合してロータを中間位相位置に保持することにより、エンジン始動時に適した所定のバルブタイミングが得られる。また、エンジン始動後は、ロックピンがロック凹部から離脱することでロータが中間位相位置より更に遅角側へ回転することが可能となり、遅角側及び進角側の双方にバルブタイミングを変更できる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記公報に記載されたロックピンは、エンジンが始動してロックピンに油圧が加わることでロック凹部から離脱する構造であり、一度ロック凹部から離脱すると、通常作動時においてロックピンが作用しなくなる。このため、アイドリング時には、ロータが最遅角位置まで回転しない様に、中間位相位置で保持する必要が生じる。しかし、回転数が低い時、特に高油温時には油圧が低下して、ロータを中間位相位置に保持するために必要な油圧を確保できない場合が生じる。
【0006】
また、エンジンストールを起こすと、ロータが最遅角位置まで移動して停止するため、エンジンの再始動が困難になるという問題があった。
本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、その目的は、内燃機関の始動性を確保でき、且つバルブタイミングの可変領域を拡大できるバルブタイミング調整装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
(請求項1の手段)
本発明のバルブタイミング調整装置は、ハウジング部材に対するロータの最進角位置と最遅角位置との間に中間位相位置が設定され、ロータが中間位相位置より遅角側へ回転することを阻止できるロータ回転制限手段を備えている。
このロータ回転制限手段は、ロータの回転軌道を遮る制限位置とロータの回転を許容する後退位置との間で移動可能に設けられた制限ピンと、この制限ピンを後退位置から制限位置へ押し出す方向に油圧が導入される第1制御室と、制限ピンを制限位置から後退位置へ押し下げる方向に油圧が導入される第2制御室とを有し、制限ピンに作用する第1制御室と第2制御室との圧力差に応じて制限ピンを動作させ、第1制御室及び第2制御室は、それぞれ前記遅角室と連通していることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、ロータ回転制限手段により、ロータが中間位相位置から遅角側へ回転することを阻止できるので、例えばエンジン始動時に適したバルブタイミングを実現できる。また、ロータ回転制限手段を解除することで、ロータを最遅角位置まで回転させることができるので、エンジン暖機後の燃費及び出力向上に適した最適なバルブタイミングを実現できる。
【0009】
更に、本発明では、制限ピンが制限位置に押し出されている状態で、制限ピンに作用する第1制御室と第2制御室との圧力バランスを維持することにより、制限ピンを制限位置に保持することが可能である。その結果、例えばアイドリング時や通常走行時等にロータが中間位相位置から遅角側へ回転することを防止できる。
また、第1制御室と第2制御室は、それぞれ遅角室と連通しているため、第1制御室と第2制御室に油圧を導入するための油圧経路を独立して設ける必要がなく、遅角室を介して第1制御室及び第2制御室に油圧を導入できるので、油圧経路を簡単に構成できる。
【0011】
(請求項の手段)
請求項に記載したバルブタイミング調整装置において、オイル制御弁は、第1制御室を大気に開放するドレイン通路と、このドレイン通路を開閉できる開閉部材とを有し、制限ピンを制限位置から後退位置へ押し下げる時に、開閉部材がドレイン通路を開くことを特徴とする。
ドレイン通路を開いて第1制御室が大気に開放されると、第1制御室の油圧が低下するため、制限ピンを押し出す油圧力が低下する。一方、第2制御室の油圧は維持されるため、第2制御室と第1制御室との油圧バランスがくずれて、制限ピンを制限位置から後退位置へ押し下げることができる。
【0012】
(請求項の手段)
請求項に記載したバルブタイミング調整装置において、遅角室から第1制御室に通じる油路に絞りが設けられている。
この構成では、遅角室から油路を通じて第1制御室に供給される作動油の量を絞りによって低減できるので、ドレイン通路を開いた時に、遅角室から第1制御室に流入する作動油の量より、第1制御室から流出する作動油の量の方が多くなるため、速やかに第1制御室の油圧を低下させることができる。
【0013】
(請求項の手段)
請求項に記載したバルブタイミング調整装置において、遅角室から第1制御室に通じる油路の絞りは、ハウジング部材に組付けられるスリーブにて形成され、そのスリーブ内に第1制御室及び第2制御室が形成されている。
この場合、例えばスリーブの壁面を貫通して第1制御室に開口する油圧導入口を絞りとして形成することも可能である。
【0014】
(請求項の手段)
請求項またはに記載したバルブタイミング調整装置において、オイル制御弁は、開閉部材がドレイン通路を閉じた状態で、遅角室に作動油を供給し、且つ進角室から作動油を排出する通常遅角モード、開閉部材がドレイン通路を閉じた状態で、進角室に作動油を供給し、且つ遅角室から作動油を排出する通常進角モード、及び開閉部材がドレイン通路を開いた状態で、遅角室に作動油を供給し、且つ進角室から作動油を排出する最遅角モードが設定され、これらのモードを開閉部材の移動によって選択的に切り替えることができる。
この構成によれば、1つのオイル制御弁によって、通常遅角モード、通常進角モード、及び最遅角モードを切り替えることができる。
【0015】
(請求項の手段)
請求項に記載したバルブタイミング調整装置において、オイル制御弁は、通常遅角モードから最遅角モードへ切り替える際に、通常遅角モードから一旦、通常進角モードを経由して最遅角モードへ切り替えている。
通常遅角モードでは、制限ピンが制限位置に押し出され、ロータが制限ピンに当接して中間位相位置に保持されているので、遅角室の油圧がロータを介して制限ピンに作用している。
【0016】
そこで、通常遅角モードから一旦、通常進角モードを経由して最遅角モードへ切り替えることで、一時的に進角室の油圧が増大し、その油圧がロータを進角側へ押し戻す方向に作用するため、ロータを介して制限ピンに加わる押し当て力をキャンセルでき、スムーズに制限ピンを後退位置へ押し下げることが可能となる。
【0017】
(請求項の手段)
請求項に記載したバルブタイミング調整装置において、オイル制御弁は、開閉部材を駆動する電磁式アクチュエータを具備し、この電磁式アクチュエータに通電される電流値のデューティー比に応じて開閉部材の移動量が制御される。
これにより、電磁式アクチュエータに通電される電流値のデューティー比を変えるだけで、容易に、通常遅角モードから一旦、通常進角モードを経由して最遅角モードへ切り替えることができる。
【0018】
(請求項の手段)
請求項1〜に記載した何れかのバルブタイミング調整装置において、制限ピンは、制限位置に押し出されている状態で、自身の動作方向に進角室の油圧を受ける第1の受圧面と第2の受圧面とを有し、その第1の受圧面と第2の受圧面とが自身の動作方向に対向して設けられている。
【0019】
制限ピンは、制限位置に押し出されている時に、進角室の油圧が作用していると、例えばロータを進角側へ回転させるために進角室に作動油を供給した場合、制限ピンに加わる進角室の油圧が増大するため、その油圧を受けて制限ピンが後退位置へ押し下げられることがある。その直後に、通常遅角モードに切り替えた場合、制限ピンが制限位置に押し出される前に、ロータが中間位相位置を通り過ぎてしまう可能性がある。そこで、制限ピンに第1の受圧面と第2の受圧面とを自身の動作方向に対向して設けることで、進角室の油圧が制限ピンの動作に影響を与えることがなくなり、制限ピンの誤作動を防止できる。
【0021】
(請求項の手段)
請求項1に記載したバルブタイミング調整装置において、第1制御室と第2制御室には、それぞれ油圧ポンプから油圧が導入される。
遅角室及び進角室には、油圧ポンプから圧送された油圧が供給されるので、その油圧ポンプから直接第1制御室及び第2制御室に油圧を導いても良い。
【0022】
(請求項10の手段)
本発明のバルブタイミング調整装置は、ハウジング部材に対するロータの最進角位置と最遅角位置との間に中間位相位置が設定され、ロータが中間位相位置より遅角側へ回転することを阻止する遅角制限ピンと、この遅角制限ピンをベーンから押し出す方向に付勢するスプリングと、油圧室に作動油を導入する油路とは別系統に設けられた専用油路を通じて作動油が導入され、その油圧が遅角制限ピンをベーン内部に押し下げる方向に作用する制御室と、この制御室の油圧を制御する油圧制御弁とを有している。
【0023】
この構成によれば、制御室に作動油が導入されて、制御室の油圧がスプリングの付勢力に打ち勝つと、遅角制限ピンがベーンの内部に押し下げられる。また、制御室から作動油を逃がすと、スプリングの付勢力によって遅角制限ピンがベーンから押し出される。即ち、制御室に導入される作動油は、遅角制限ピンをベーン内部に押し下げるために使用されるので、エンジン回転数が低い時、特に高油温時に油圧が低下している時でも、安定的に遅角制限ピンがベーンから押し出されている状態を維持することができ、ロータが中間位相位置から遅角側へ回転することを阻止できる。
【0024】
(請求項11の手段)
請求項10に記載したバルブタイミング調整装置において、ロックピンと遅角制限ピンは、同一のベーンに組み込まれ、且つ互いに逆方向に作動する様に構成されている。ロックピンと遅角制限ピンとを同一のベーンに組み込む場合は、各々のピンの作動方向を逆向きにした方が機能的に構成できる。
【0025】
(請求項12の手段)
請求項10または11に記載したバルブタイミング調整装置において、専用油路には、油圧を発生する油圧ポンプから油圧制御弁までの間に絞りが設けられている。
この場合、絞りを設けることで、エンジンの回転変動に伴う油圧の変動を抑えることができ、遅角制限ピンの作動を安定して制御できる。
【0026】
(請求項13の手段)
請求項1012に記載した何れかのバルブタイミング調整装置において、遅角制限ピンは、制御室の油圧を受ける受圧部を有し、この受圧部の受圧面積が遅角制限ピンの先端面の面積より大きく設けられている。
ベーンから突出した遅角制限ピンの端面に油圧室(進角室または遅角室)の油圧が加わる場合でも、上記の関係(受圧部の受圧面積の方が遅角制限ピンの先端面の面積より大きい)が成立すれば、遅角制限ピンの作動に対する進角室または遅角室の油圧の影響を小さくできる。
【0027】
(請求項14の手段)
請求項1013に記載した何れかのバルブタイミング調整装置において、ハウジング部材には、油圧室から遅角制限ピンの先端側に漏れ出た作動油をハウジング部材の外部に排出するオイル排出孔が設けられている。
本発明のバルブタイミング調整装置では、例えば高油温時に作動油の粘度が低くなると、油圧室から作動油が漏れ易くなり、この漏れた作動油がハウジング部材とベーンとの隙間を通って遅角制限ピンの先端側へ浸入する可能性がある。この場合、浸入した作動油の圧力が遅角制限ピンをベーン内部に押し下げる方向に作用するため、遅角制限ピンをベーンから押し出す時の作動に影響が生じる。
【0028】
また、常温時等のオイル粘度が高い場合は、遅角制限ピンの先端側に溜まった作動油が遅角制限ピンをベーンから押し出す時の抵抗となるため、遅角制限ピンの作動に影響が生じる。
これに対し、ハウジング部材にオイル排出孔を設けると、油圧室から遅角制限ピンの先端側に漏れ出た作動油をハウジング部材の外部に排出できるので、遅角制限ピンの作動に対する作動油圧の影響を排除できる。
【0029】
(請求項15の手段)
請求項14に記載したバルブタイミング調整装置において、ハウジング部材には、ロータが中間位相位置の手前から中間位相位置まで回転する時に、遅角制限ピンの先端部がベーンから突出した状態で移動できる遅角制限溝が設けられ、この遅角制限溝がオイル排出孔を介して大気に開放されている。
【0030】
この構成では、遅角制限ピンの先端部が遅角制限溝に嵌合して移動する際に、遅角制限ピンの先端側に漏れ出た作動油が遅角制限溝からオイル排出孔を介して大気に開放されるので、遅角制限ピンの作動に対する作動油圧の影響を排除できる。その結果、中間位相位置の手前から遅角制限ピンの先端部がベーンから突出して遅角制限溝に嵌合できるので、ロータが中間位相位置を通り過ぎることはなく、確実にロータを中間位相位置に静止させることができる。
【0031】
(請求項16の手段)
請求項1013に記載した何れかのバルブタイミング調整装置において、ベーンには、遅角制限ピンを進退可能に保持する円筒状の軸受部材が組み込まれており、この軸受部材の内周面に、遅角制限ピンの先端側と制御室とを連通する連通溝が凹設されている。
【0032】
この構成によれば、油圧室(進角室または遅角室)から遅角制限ピンの先端側に漏れ出た作動油が連通溝を介して制御室へ導入されるので、遅角制限ピンの作動に対する作動油圧の影響を排除できる。なお、制御室に導入された作動油は、外部に排出されることなく、再度使用されるので、作動油の外部漏れを低減できる。また、制御室に作動油を導入して遅角制限ピンをベーン内部に押し戻す時には、制御室に導入された作動油が連通溝を通って遅角制限ピンの先端側に流れ込み、遅角制限ピンをベーン内部へ押し下げる方向に作用するため、低油圧時のピン頭出し対策にも有効である。
【0033】
(請求項17の手段)
請求項16に記載したバルブタイミング調整装置において、ハウジング部材には、ロータが中間位相位置の手前から中間位相位置まで回転する時に、遅角制限ピンの先端部がベーンから突出した状態で移動できる遅角制限溝が設けられ、この遅角制限溝が連通溝を介して制御室と連通している。
【0034】
この構成では、遅角制限ピンの先端部が遅角制限溝に嵌合して移動する際に、遅角制限ピンの先端側に漏れ出た作動油が遅角制限溝から連通溝を介して制御室に導入されるので、遅角制限ピンの作動に対する作動油圧の影響を排除できる。その結果、中間位相位置の手前から遅角制限ピンの先端部がベーンから突出して遅角制限溝に嵌合できるので、ロータが中間位相位置を通り過ぎることはなく、確実にロータを中間位相位置に静止させることができる。
【0035】
(請求項18の手段)
請求項17に記載したバルブタイミング調整装置において、連通溝は、遅角制限ピンに対しロータの回転方向と略直交する方向に設けられている。この連通溝は、遅角制限ピンを保持する軸受部材の内周面に設けられるので、軸受部材と遅角制限ピンとの間で力が作用しない方向、即ちロータの回転方向と略直交する方向に設けることが望ましい。
【0036】
(請求項19の手段)
請求項1018に記載した何れかのバルブタイミング調整装置において、ハウジング部材には、制御室から遅角制限ピンの後端側に漏れ出た作動油を外部に排出する排圧孔が設けられている。
遅角制限ピンをベーン内部に押し戻す際に、制御室に導入された作動油が遅角制限ピンの後端側に漏れ出ると、その漏れ出た作動油が遅角制限ピンをベーンから押し出す方向に作用するため、遅角制限ピンをベーン内部に押し戻す時の作動に影響が生じる。これに対し、ハウジング部材に排圧孔を設けると、遅角制限ピンの後端側に漏れ出た作動油を排圧孔から外部に排出できるので、遅角制限ピンの作動に対する作動油圧の影響を排除できる。

【0037】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施例)
図1はバルブタイミング調整装置の断面図(図2のB−B断面図)、図2は図1のA−A断面図である。
バルブタイミング調整装置1(以下VVTと呼ぶ)は、エンジンの回転力が伝達されて回転するスプロケット2と、このスプロケット2と一体に回転するケース3と、エンジンのカム軸4に取り付けられるロータ5と、このロータ5の回転を阻止するロータ回転制限手段(後述する)とを具備している。
【0038】
スプロケット2は、カム軸4の端部に回転可能な状態で嵌合し、エンジンの駆動軸(図示しない)からチェーンを介して回転力が伝達され、駆動軸と同期して回転する。
ケース3は、例えばアルミニウム製で、スプロケット2との間にプレート6(図2参照)を挟持してスプロケット2にボルト(図示しない)で固定されている。このケース3には、図1に示す様に、内側に扇状の凹部3aが周方向に3箇所設けられ、この凹部3aとロータ5との間で油圧室(遅角室7と進角室8)を形成している。
【0039】
ロータ5は、ボス部5aの周囲に3枚のベーン9を有して構成され、カム軸4の端面にボス部5aを当接させて、ボス部5aの中央部に挿通されたボルト10によりカム軸4に固定されている。
ベーン9は、ケース3に設けられた扇状の凹部3aに収容されて、油圧室を遅角室7と進角室8とに二分している。この遅角室7と進角室8には、後述するオイル制御弁11(図3〜5参照)を介して作動油が供給される。これにより、エンジンの駆動軸からスプロケット2に伝達された回転が、遅角室7及び進角室8の作動油を介してベーン9に伝達されることにより、ロータ5と共にカム軸4を回転させる。
【0040】
1枚のベーン9には、エンジン停止時にロータ5のばたつきを防止するためのロックピン12(図2参照)が組み込まれている。
このロックピン12は、ベーン9に圧入されたスリーブ13内にスプリング14と共に組み込まれ、エンジン停止時にロックピン12がスプリング14に付勢されて押し出されると、図6に示す様に、ピン頭部がケース3に設けられたリング状のブッシュ15に嵌合してロータ5を「通常遅角位置」に拘束する。なお、「通常遅角位置」とは、本発明の中間位相位置であり、ロータ5の最遅角位置より所定角度α(図1参照)だけ進角側へロータ5が回転した位置である。
【0041】
また、ロックピン12には、エンジン運転中に遅角室7及び進角室8の少なくとも一方の油圧がロックピン12を押し下げる方向に作用し、この油圧がスプリング14の付勢力に打ち勝つことにより、ピン頭部がブッシュ15から離脱してロータ5の回転を許容している。なお、遅角室7の油圧は、ベーン9に設けられた連通孔9a(図7参照)を通じてスリーブ13の内部に導入され、ロックピン12に設けられた鍔部12aに作用してロックピン12を押し下げる方向に働いている。また、進角室8の油圧は、ケース3に設けられた連通溝3b(図1参照)を通じてロックピン12の頭部に作用し、ロックピン12を押し下げる方向に働いている。
【0042】
ロータ回転制限手段は、ロータ5が通常遅角位置から更に遅角側へ回転することを阻止するもので、遅角室7から油圧が導入される制御室(第1制御室16と第2制御室17)、この制御室の油圧を受けて可動する遅角制限ピン18、この遅角制限ピン18を付勢するスプリング19等によって構成される。
【0043】
制御室は、図6の模式図に示す様に、ケース3に組み込まれたスリーブ20によって形成され、進角室8と隣接して設けられている。スリーブ20には、制御室の下部と上部にそれぞれ油圧を導入する第1油圧導入口16aと第2油圧導入口16bとが設けられている。この第1油圧導入口16aと第2油圧導入口16bは、それぞれ油路21、22を介して遅角室7に連通している。但し、第1油圧導入口16aに通じる油路21には絞り21aが設けられている。
【0044】
遅角制限ピン18は、自身の後端部に鍔状の受圧部18aを有し、この受圧部18aが制御室を形成するスリーブ20の内周面に摺接してスリーブ20の内部に収容され、制御室を受圧部18aより下側の第1制御室16と、受圧部18aより上側の第2制御室17とに区画している。但し、受圧部18aは、第1制御室16に晒される受圧面積の方が第2制御室17に晒される受圧面積より大きく設けられている。
上記の第1油圧導入口16aは第1制御室16に開口し、第2油圧導入口16bは第2制御室17に開口している。
【0045】
この遅角制限ピン18は、ピン頭部が制御室から液密に突出して進角室8に露出し、ロータ5の回転軌道を遮る制限位置(図6に示す位置)とロータ5の回転を許容する後退位置(図8に示す位置)との間で進退可能に設けられている。
スプリング19は、第1制御室16に配されて、遅角制限ピン18を後退位置側から制限位置側へ付勢している。
【0046】
オイル制御弁11は、遅角室7及び進角室8に対する作動油の流れ方向(供給と排出)を切り替えると共に、その油量を調節するもので、図3〜5に示す様に、複数のポート23a〜23fを有するケーシング23と、このケーシング23内に往復動可能に収容されるスプール24と、このスプール24を一方向(図3の右方向)に付勢するスプリング25と、スプリング25の付勢力に抗してスプール24を駆動する電磁式アクチュエータ26等から構成される。
【0047】
ケーシング23は、図3に示す様に、油圧ポンプ27(図6参照)の吐出口に接続される流入ポート23a、作動油を貯留するオイルパン28(図6参照)に接続される2箇所の流出ポート(第1流出ポート23bと第2流出ポート23c)、VVT1の遅角室7に接続される第1油圧ポート23d、VVT1の進角室8に接続される第2油圧ポート23e、及び前述の油路21を介してロータ回転制限手段の第1制御室16に接続される第3油圧ポート23fを有している。
【0048】
スプール24は、ケーシング23内を移動して、流入ポート23a及び流出ポート23b、23cに通じる各油圧ポート23d、23e、23fの切り替えを行う。
電磁式アクチュエータ26は、内蔵するコイル29に磁力を発生させ、その磁力によりプランジャ30を移動させてスプール24を駆動するもので、コイル29を流れる電流値の大きさに応じてプランジャ30の移動量を可変する。コイル29を流れる電流値は、図示しないECU(電子制御装置)によってデューティ制御される。
【0049】
ここで、コイル29を流れる電流値の大きさ(デューティ比)とスプール24の位置(作動モード)との関係について説明する。
a)デューティ比=0%
コイル29に流れる電流値=0.1(A)
この場合、スプール24は、図3に示す様に、第3油圧ポート23fを閉じて、流入ポート23aと第1油圧ポート23dとを連通し、第2流出ポート23cと第2油圧ポート23eとを連通する位置に移動する。この作動モードを通常遅角モードと呼ぶ。
【0050】
b)デューティ比=75%
コイル29に流れる電流値=0.8(A)
この場合、スプール24は、図4に示す様に、第3油圧ポート23fを閉じて、流入ポート23aと第2油圧ポート23eとを連通し、第1流出ポート23bと第1油圧ポート23dとを連通する位置に移動する。この作動モードを通常進角モードと呼ぶ。
【0051】
c)デューティ比=100%
コイル29に流れる電流値=1.0(A)
この場合、スプール24は、図5に示す様に、流入ポート23aと第1油圧ポート23dとを連通し、第2流出ポート23cと第2油圧ポート23e及び第3油圧ポート23fとを連通する位置に移動する。この作動モードを最遅角モードと呼ぶ。なお、この最遅角モードの時に、ケーシング23に形成された第2流出ポート23cと第3油圧ポート23fとを連通する通路をドレイン通路と呼ぶ。
【0052】
次に、本実施例の作動を図6〜8に示す模式図に基づいて説明する。
a)エンジン停止時
オイル制御弁11は、通常遅角モード(図3参照)に保持されている。但し、油圧ポンプ27の作動が停止しているため、遅角室7に作動油が供給されることはない。
【0053】
ロータ回転制限手段は、遅角室7から第1制御室16及び第2制御室17へ油圧が導入されないので、遅角制限ピン18がスプリング19に付勢されてピン頭部が制御室から突出し、進角室8にてロータ5の回転軌道を遮る制限位置へ押し出されている。一方、ロータ5は、遅角室7及び進角室8の油圧を受けることなく、ベーン9が遅角制限ピン18に当接して通常遅角位置に停止し、且つロックピン12によって回転方向の移動が阻止されている(図6参照)。
【0054】
b)エンジン始動時
ECUは、電磁式アクチュエータ26をデューティ比=0%として、オイル制御弁11を通常遅角モードに制御し、且つ油圧ポンプ27を起動させる。
これにより、油圧ポンプ27から圧送された作動油が遅角室7に供給され、遅角室7の油圧が増大する。一方、進角室8は、オイル制御弁11の第2油圧ポート23eと第2流出ポート23cとが連通して大気に開放(オイルパン28に連通)されるため、進角室8の油圧は低下する。
【0055】
ロータ回転制限手段は、遅角室7を介して第1制御室16及び第2制御室17に油圧が導入される。この時、遅角制限ピン18の受圧部18aは、第1制御室16に晒される受圧面積の方が第2制御室17に晒される受圧面積より大きいので、第1制御室16と第2制御室17とに同じ遅角圧(遅角室7の油圧)が導入されても、受圧部18aに対し遅角制限ピン18を押し出す力の方が遅角制限ピン18を押し下げる力より大きくなる。その結果、遅角制限ピン18は、図6に示す様に、ピン頭部が制御室から突出して制限位置まで押し出された状態を維持する。
【0056】
これにより、ロータ5は、遅角室7に油圧が導入されても、遅角制限ピン18が制限位置に押し出された状態を維持しているので、通常遅角位置から更に遅角側へ回転することはなく、通常遅角位置に静止している。なお、油圧ポンプ27が起動して遅角室7からスリーブ13の内部に油圧が導入されると、ロックピン12に加わる油圧がスプリング14の付勢力に打ち勝つため、ロックピン12の頭部がブッシュ15から離脱してスリーブ13の内部に押し込まれることにより、ロータ5の回転が許容される。
【0057】
c)通常運転時(アイドリング時を含む)
ECUは、エンジンの運転状態に応じて、電磁式アクチュエータ26をデューティ比=0〜75%の間で通電制御する。
この場合、オイル制御弁11は、スプール24の位置がデューティ比に応じて通常遅角モードと通常進角モードとの間に設定され、流入ポート23aと第1油圧ポート23d及び第2油圧ポート23eの両方が連通する。
【0058】
上記の結果、エンジン始動時と比較して、遅角室7に供給される作動油の量が減少し、その分、進角室8へ作動油が供給される。これにより、ロータ5は、図7に示す様に、ECUによって演算された目標進角位置まで回転する。
ロータ回転制限手段は、エンジン始動時と同様、遅角制限ピン18が制限位置へ押し出された状態を維持している。
【0059】
d)高負荷運転時(高回転、高油圧時)
ECUは、電磁式アクチュエータ26をデューティ比=100%として、オイル制御弁11を最遅角モード(図5参照)に制御する。
この場合、オイル制御弁11は、通常運転時の作動モード(デューティ比=75%未満)から通常進角モード(デューティ比=75%)を経て最遅角モードに移行する。
【0060】
ロータ回転制限手段は、オイル制御弁11がドレイン通路(第3油圧ポート23fと第2流出ポート23cとを連通する通路)を開放するため、第1制御室16の油圧が低下し、遅角制限ピン18を押し出す力が低減する。一方、第2制御室17の油圧は維持されるので、遅角制限ピン18を押し下げる力が押し出す力を上回り、図8に示す様に、遅角制限ピン18が制限位置から後退位置へ押し下げられる。
VVT1は、オイル制御弁11が進角室8に通じる第2油圧ポート23eを開放し、且つ遅角室7に作動油が供給されるため、遅角室7の油圧が増大して、ロータ5が通常遅角位置より更に遅角側へ回転することができる。
【0061】
(第1実施例の効果)
本実施例では、ロータ5が通常遅角位置から遅角側へ回転することを阻止できるロータ回転制限手段を具備している。つまり、ロータ回転制限手段により、エンジン始動時にロータ5を通常遅角位置に保持できるので、エンジン始動時に適したバルブタイミングを実現できる。また、遅角制限ピン18を後退位置へ押し下げてロータ回転制限手段を解除することにより、ロータ5を最遅角位置まで回転させることが可能となるので、エンジン暖機後の燃費及び出力向上に適した最適なバルブタイミングを実現できる。
【0062】
更に、遅角制限ピン18が制限位置に押し出されている状態で、遅角制限ピン18に作用する第1制御室16と第2制御室17との圧力バランスを維持することにより、遅角制限ピン18を制限位置に保持することが可能である。その結果、例えばアイドリング時や通常走行時等にロータ5が通常遅角位置から更に遅角側へ回転することを防止できる。また、第1制御室16を大気に開放して油圧を逃がすことにより、遅角制限ピン18を制限位置から後退位置へ押し下げることができ、ロータ5の最遅角側への回転阻止を解除できる。
【0063】
即ち、本実施例のロータ回転制限手段によれば、ロータ5を最遅角位置まで回転させたい時(例えば高負荷運転時)のみ、遅角制限ピン18を後退位置へ押し下げてロータ5の回転阻止を解除することができ、エンジン始動時や通常運転時(アイドリング時も含む)には、遅角制限ピン18を制限位置に押し出した状態を維持できるので、不必要にロータ5が最遅角位置へ回転することを防止できる。
【0064】
なお、遅角室7から第1制御室16に通じる油路21に絞り21aを設けているので、最遅角モードにおいて第1制御室16を大気に開放して油圧を逃がす際に、遅角室7から油路21を通じて第1制御室16に供給される作動油の量を低減できる。つまり、遅角室7から第1制御室16に流入する作動油の量より、第1制御室16から流出する作動油の量の方が多くなるため、速やかに第1制御室16の油圧を低下させることができる。
以上の結果、エンジン始動時に適した最適なバルブタイミングと、エンジン暖機後の燃費及び出力向上に適した最適なバルブタイミングとを実現できる。
【0065】
また、本実施例では、オイル制御弁11を通常運転時(アイドリング時を含む)の作動モードから高負荷運転時の最遅角モードに切り替える際に、一旦、通常進角モードを経由して行われる。この場合、通常進角モードを経由する際に、一時的に進角室8の油圧が増大するため、その進角室8の油圧がロータ5を進角側へ押圧する方向に作用する。これにより、例えば通常遅角モードから最遅角モードへ切り替える場合に、ロータ5を介して遅角制限ピン18に加わる遅角室7の油圧をキャンセルできるので、スムーズに遅角制限ピン18を後退位置へ押し下げることが可能となる。
【0066】
なお、ロータ5が通常遅角位置にある時は、ロータ5が遅角室7の油圧を受けて遅角制限ピン18を押圧しているので、遅角制限ピン18の姿勢が傾く可能性がある。そこで、遅角制限ピン18が制限位置に押し出されている時に、遅角制限ピン18に対しロータ5が当接する方向と反対側に、遅角制限ピン18を支える壁部31(図2参照)を設けても良い。これによれば、遅角制限ピン18がロータ5から受ける押圧力を壁部31で受けることができるので、遅角制限ピン18の姿勢を安定させることができ、遅角制限ピン18の動作をスムーズに行わせることができる。
【0067】
上記の実施例では、ケース3に組み込まれたスリーブ20の内部に制御室(第1制御室16と第2制御室17)を形成しているので、遅角室7から第1制御室16に通じる油路21の絞り21aをスリーブ20に設けても良い。この場合、例えば図9に示す様に、第1制御室16に開口する第1油圧導入口16aを絞り21aとして形成することができる。
【0068】
(第2実施例)
図10はVVT1の断面図(図11のB−B断面図)、図11は図10のA−A断面図である。
本実施例のVVT1は、ロータ回転制限手段の遅角制限ピン18が径方向に可動する構成を有する一例である。
ロータ回転制限手段は、図10及び図11に示す様に、遅角制限ピン18がロータ5に対し径方向に可動し、ロータ5の回転軌道を遮る制限位置とロータ5の回転を許容する後退位置との間で進退可能に設けられている。
【0069】
ロータ5は、自身の外周面に所定の角度範囲で円弧状に逃げ溝32(図10参照)が設けられている。この逃げ溝32は、遅角制限ピン18が制限位置に押し出されている状態で、ロータ5の回転を許容するために設けられている。つまり、ロータ5は、遅角制限ピン18が制限位置に押し出されている状態で、逃げ溝32の周方向一端が遅角制限ピン18に当接する通常遅角位置(図10に示す位置)から、逃げ溝32の周方向他端が遅角制限ピン18に当接する通常進角位置までの間で、ケース3に対し相対回転できる。
【0070】
また、ロータ5は、遅角制限ピン18が後退位置に押し下げられることで、通常遅角位置から更に遅角側へ回転することができる。
なお、遅角制限ピン18と同様に、ロックピン12も径方向に可動する構成としても良い。本実施例の構成においても、ロータ回転制限手段によるロータ5の回転阻止及び阻止解除をオイル制御弁11の作動モードの切り替えによって実行でき、第1実施例と同様の効果を得ることができる。
【0071】
(第3実施例)
図12はVVT1の断面図(図13のB−B断面図)、図13は図12のA−A断面図、図14はロータ回転制限手段及びロックピン12周辺の断面図である。
本実施例のVVT1は、ロータ回転制限手段の遅角制限ピン18が進角室8の油圧に影響されない構造に関する一例である。
遅角制限ピン18は、図13に示す様に、制限位置に押し出されている状態で、自身の動作方向(図13の左右方向)に進角室8の油圧を受ける第1の受圧面18bと第2の受圧面18cとを有し、その第1の受圧面18bと第2の受圧面18cとが同一面積で、且つ自身の動作方向に対向して設けられている。
【0072】
第1実施例に記載したVVT1では、遅角制限ピン18が制限位置に押し出されている時に、進角室8の油圧が遅角制限ピン18を押し下げる方向に作用している。ここで、ロータ5を進角側へ回転させるために進角室8に作動油を供給すると、遅角制限ピン18に加わる進角室8の油圧が増大するため、その油圧を受けて遅角制限ピン18が後退位置へ押し下げられることがある。その直後に、通常遅角モードに切り替えた場合、遅角制限ピン18が制限位置に押し出される前に、ロータ5が通常遅角位置を通り過ぎて最遅角側へ回転する可能性がある。そこで、遅角制限ピン18に第1の受圧面18bと第2の受圧面18cとを自身の動作方向に対向して設けることで、進角室8の油圧が遅角制限ピン18の動作に影響を与えることがなくなり、遅角制限ピン18の誤作動を防止できる。
【0073】
なお、図14に示す構成は、図12及び図13に記載したVVT1とロックピン12の位置が異なる(ロータ5が通常遅角位置で遅角制限ピン18に当接するベーン9にロックピン12を設けている)だけで、遅角制限ピン18の構造は同じであり、同一の効果を得ることができる。
【0074】
(第4実施例)
図15はVVT1の軸方向正面図である。
本実施例のVVT1は、遅角制限ピン18がロックピン12と共に同一のベーン9に組み込まれ、且つ油圧室(遅角室7及び進角室8)の油圧を制御するオイル制御弁11とは別に、遅角制限ピン18を収納する制御室33(図16参照)の油圧を制御する油圧制御弁34(図18参照)を備えている。なお、遅角制限ピン18とロックピン12は、互いの動作方向が逆向きに設定されている。
【0075】
油圧制御弁34は、オイル制御弁11と同様に、内蔵するスプール(図示しない)を駆動して作動油の流れ方向(供給と排出)及び油量を調節するもので、電磁力によってスプールを駆動する電磁式アクチュエータ34Aを備える。
この油圧制御弁34は、図18に示す様に、油圧室に通じる油路35とは別系統に設けられた専用油路36を通じて制御室33の油圧を制御している。また、専用油路36(油圧ポンプ27と油圧制御弁34との間)には絞り37が設けられている。
【0076】
遅角制限ピン18は、図16に示す様に、自身の後端部に鍔状の受圧部18aを有し、この受圧部18aが制御室33の内周面に摺接して制御室33に収容され、ピン頭部が制御室33から液密に突出してベーン9に組み込まれている。なお、受圧部18aの面積の方がピン先端面の面積より大きく設けられている。
また、ケース3には、遅角制限ピン18のピン頭部がベーン9から突出した状態で、ロータ5が通常遅角位置から進角側へ所定の角度範囲だけ回転できる様に、遅角制限ピン18のピン頭部を案内する円弧状の遅角制限溝38(図15参照)が形成されている。
【0077】
ロックピン12は、第1実施例と同様に、エンジン停止時にスプリング14に付勢されて押し出されると、ピン頭部がブッシュ15に嵌合してロータ5を「通常遅角位置」に拘束する。
また、ロックピン12には、図17に示す様に、エンジン運転中に遅角室7及び進角室8の少なくとも一方の油圧がロックピン12を押し下げる方向に作用し、この油圧がスプリング14の付勢力に打ち勝つことにより、ピン頭部がブッシュ15から離脱してロータ5の回転を許容する。
【0078】
続いて、本実施例のVVT1の作動を説明する。
a)エンジン停止時(図19参照)。
エンジン停止時は、油圧室(遅角室7及び進角室8)から作動油が排出されているため、ロックピン12によりロータ5が通常遅角位置(中間位相)に拘束されて、ロータ5のばたつきが防止される。
【0079】
b)エンジン始動時及びアイドリング停止時(図20参照)。
オイル制御弁11により遅角室7に油圧が導入され、その油圧がロックピン12の鍔部12aに作用してロックピン12を押し下げることにより、ロックピン12によるロータ5の回転規制が解除される。但し、遅角制限ピン18は、スプリング19に付勢されてピン頭部がベーン9から突出し、ロータ5が通常遅角位置から更に遅角側へ回転することを阻止している。これにより、ロータ5が通常遅角位置に維持される。
【0080】
c)通常運転時(図21参照)。
エンジンの運転状態に応じて遅角室7と進角室8とに油圧が導入される。
これにより、ロータ5が通常遅角位置から進角側へ作動可能となる。但し、遅角制限ピン18は、スプリング19に付勢されてピン頭部がベーン9から突出した状態を維持しているので、ロータ5が通常遅角位置から更に遅角側へ回転することはできない。つまり、通常遅角位置から進角側のみにてロータ5の作動が可能となる。
【0081】
d)高負荷運転時(図22参照)。
通常運転時より遅角室7の油圧が増大され、且つ油圧制御弁34により制御室33に油圧が導入される。これにより、遅角制限ピン18がベーン9の内部に押し込まれるため、ロータ5が通常遅角位置から更に遅角側へ作動可能となる。
本実施例の構成においても、第1実施例と同様に、エンジン始動時に最適なバルブタイミングと、エンジン暖機後の燃費及び出力向上に最適なバルブタイミングを実現することが可能である。
【0082】
また、本実施例では、VVT1の油圧を制御するオイル制御弁11とは別に、専用油路36を通じて制御室33に導入される油圧を制御する油圧制御弁34を設けているので、ロータ5の位相制御と遅角制限ピン18の制御とを独立して行うことができる。これにより、高温油且つ低回転時の油圧力と遅角制限ピン18を付勢するスプリング力との関係において、スプリング力を小とすることで、位相変換中の遅角制限ピン18の引っ掛かりを防止することができる。
【0083】
更に、油圧制御弁34は、制御室33に導入される油圧のみを制御すれば良いので、例えばソレノイドに対するオン/オフを切り替えるだけの簡単な制御モードを持たせることができる。その結果、油圧制御弁34の構造を簡素化でき、信頼性を向上できる。
また、油圧ポンプ27から油圧制御弁34に通じる油路に絞り37を設けることにより、エンジンの回転変動に伴う制御室33の油圧変動を抑えることができ、遅角制限ピン18の作動を安定して制御できる。
遅角制限ピン18は、受圧部18aの面積がピン先端面の面積より大きく設けられているので、仮に遅角制限溝38に遅角圧または進角圧が導入されても、遅角制限ピン18の作動に与える進角圧または遅角圧の影響を小さくできる。
【0084】
(第5実施例)
本実施例は、第4実施例で説明したVVT1において、遅角制限ピン18の作動に対する作動油圧の影響を排除するためのオイル排出孔39(図23参照)と排圧孔40(図24参照)、及びロックピン12の作動に対する作動油圧の影響を排除するための排圧孔41(図25参照)を設けた一例である。
【0085】
オイル排出孔39は、遅角室7または進角室8から遅角制限溝38に漏れ出た作動油を外部に排出するために設けられ、図23に示す様に、遅角制限溝38に連通して遅角制限ピン18のピン頭部を大気に開放している。
排圧孔40は、制御室33から遅角制限ピン18の後端側に漏れ出た作動油を外部に排出するために設けられ、図24に示す様に、ピン後端側の空間42を大気に開放している。
ロックピン12の排圧孔41は、遅角室7または進角室8からロックピン12の後端側に漏れ出た作動油を外部に排出するために設けられ、図25に示す様に、ピン後端側の空間43を大気に開放している。
【0086】
次に、本実施例の作用効果について説明する。
例えば、高油温時に作動油の粘度が低くなると、油圧室から作動油が漏れ易くなり、この漏れた作動油がベーン9とケース3との隙間を通って遅角制限溝38へ浸入する可能性がある。
これに対し、遅角制限溝38に連通してオイル排出孔39を設けると、油圧室から遅角制限溝38に漏れ出た作動油をオイル排出孔39からVVT1の外部に排出できるので、遅角制限ピン18の作動(遅角制限ピン18をベーン9から押し出す時の作動)に対する作動油圧の影響を排除できる。
【0087】
また、遅角制限ピン18をベーン9内部に押し戻す際に、制御室33に導入された作動油が遅角制限ピン18の後端側に漏れ出ると、その漏れ出た作動油が遅角制限ピン18をベーン9から押し出す方向に作用するため、遅角制限ピン18をベーン9内部に押し戻す時の作動に影響が生じる。これに対し、ピン後端側の空間42を大気に開放する排圧孔40を設けることにより、遅角制限ピン18の後端側に漏れ出た作動油を排圧孔40からVVT1の外部に排出できるので、遅角制限ピン18の作動(遅角制限ピン18をベーン9内部へ押し戻す時の作動)に対する作動油圧の影響を排除できる。
【0088】
更に、ロックピン12の後端側空間43を大気に開放する排圧孔41を設けることにより、ロックピン12の後端側に漏れ出た作動油を排圧孔41からVVT1の外部に排出できるので、ロックピン12の作動(ロックピン12をベーン9内部へ押し戻す時の作動)に対する作動油圧の影響を排除できる。
なお、本実施例では、遅角制限ピン18とロックピン12を同一のベーン9に組み込んでいるため、ロータ5の作動範囲内において遅角制限溝38をベーン9によりシールするとベーン9の角度が非常に広くなり、ロータ5の作動範囲を大きくできない。
【0089】
そこで、本実施例では以下の構成を採用する。
▲1▼遅角制限溝38は、少なくとも遅角制限ピン18の作動応答性を考慮して、通常遅角位置の手前(遅角側)10°CAからシールする構造とする。
▲2▼遅角制限ピン18とロックピン12の配列は、進角側に遅角制限ピン18、遅角側にロックピン12とする(図26参照)。
▲3▼油圧室から遅角制限溝38に漏れ出た作動油を外部に排出するためにオイル排出孔39を設けているが、このオイル排出孔39を設ける代わりに、ロックピン12の排圧孔41を利用する。具体的には、図26に示す様に、遅角制限溝38と排圧孔41とを連通する連通溝44を設ける。
【0090】
(第6実施例)
図27は遅角制限ピン18及び遅角制限ピン18周辺の断面図、図28は遅角制限ピン18の先端側から見た平面図である。
本実施例は、第5実施例に示したオイル排出孔39の替わりに、遅角制限溝38と制御室33とを連通する連通溝45を設けた場合の一例である。
【0091】
ベーン9には、図28に示す様に、遅角制限ピン18を摺動自在に保持する円筒形の軸受部材46が組み込まれており、その軸受部材46の内周面に連通溝45が凹設されている。但し、この連通溝45は、軸受部材46と遅角制限ピン18との間で力が作用しない方向、即ちロータ5の回転方向(図中の矢印方向)と略直交する方向に設けられている。
これにより、油圧室(遅角室7または遅角室8)から遅角制限溝38に漏れ出た作動油が連通溝45を介して制御室33へ導入されるので、遅角制限ピン18の作動に対する作動油圧の影響を排除できる。
【0092】
また、連通溝45を介して制御室33に導入された作動油は、外部に排出されることなく、再度使用されるので、作動油の外部漏れを低減できる。
更に、制御室33に作動油を導入して遅角制限ピン18をベーン9内部に押し戻す時には、制御室33に導入された作動油が連通溝45を通って遅角制限ピン18の先端側に流れ込み、遅角制限ピン18をベーン9内部へ押し下げる方向に作用するため、低油圧時のピン頭出し対策にも有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】VVTの断面図である(第1実施例)。
【図2】図1のA−A断面図である(第1実施例)。
【図3】オイル制御弁の断面図(デューティ比=0%)である。
【図4】オイル制御弁の断面図(デューティ比=75%)である。
【図5】オイル制御弁の断面図(デューティ比=100%)である。
【図6】VVTの作動説明図(エンジン始動時)である。
【図7】VVTの作動説明図(通常運転時)である。
【図8】VVTの作動説明図(高負荷運転時)である。
【図9】ロータ回転制限手段の断面図である(第1実施例)。
【図10】VVTの断面図である(第2実施例)。
【図11】図10のA−A断面図である(第2実施例)。
【図12】VVTの断面図である(第3実施例)。
【図13】図12のA−A断面図である(第3実施例)。
【図14】ロータ回転制限手段及びロックピン周辺の断面図である(第3実施例)。
【図15】VVTの軸方向正面図である(第4実施例)。
【図16】図15のB−B断面図である。
【図17】図15のA−A断面図である。
【図18】VVTの油圧回路を示す全体図である(第4実施例)。
【図19】VVTの作動説明図(エンジン停止時)である。
【図20】VVTの作動説明図(エンジン始動時及びアイドリング停止時)である。
【図21】VVTの作動説明図(通常運転時)である。
【図22】VVTの作動説明図(高負荷運転時)である。
【図23】図15のB−B線に沿った断面図である(第5実施例)。
【図24】図15のC−C断面図である。
【図25】VVTの径方向断面図である。
【図26】VVTの軸方向正面図である。
【図27】遅角制限ピンとロックピンとの断面図である(第6実施例)。
【図28】遅角制限ピンの先端側から見た平面図である。
【符号の説明】
1 VVT(バルブタイミング調整装置)
2 スプロケット(ハウジング部材)
3 ケース(ハウジング部材)
4 カム軸
5 ロータ
7 遅角室(油圧室)
8 進角室(油圧室)
9 ベーン
11 オイル制御弁
12 ロックピン
16 第1制御室
17 第2制御室
18 遅角制限ピン(制限ピン)
18a 遅角制限ピンの受圧部
18b 第1の受圧面
18c 第2の受圧面
19 スプリング
20 スリーブ
21 遅角室から第1制御室に通じる油路
21a 絞り
24 スプール(開閉部材)
26 電磁式アクチュエータ
27 油圧ポンプ
31 壁部
33 制御室
34 油圧制御弁
36 専用油路
37 専用油路に設けられた絞り
38 遅角制限溝
39 オイル排出孔
40 排圧孔
45 連通溝
46 軸受部材

Claims (19)

  1. 内燃機関の駆動軸から回転力が伝達されて回転するハウジング部材と、
    前記内燃機関のカム軸に固定され、且つ前記ハウジング部材に対し所定の角度範囲で相対回転可能に設けられたロータと、
    前記ハウジング部材の内部で前記ロータとの間に形成される油圧室と、
    前記ロータと一体に設けられ、前記油圧室に収容されて前記油圧室を進角室と遅角室とに二分するベーンと、
    前記進角室及び遅角室に対し作動油が流れる方向を制御するオイル制御弁と、
    前記ハウジング部材に対する前記ロータの最進角位置と最遅角位置との間に中間位相位置が設定され、前記ロータが前記中間位相位置より遅角側へ回転することを阻止できるロータ回転制限手段とを備え、
    このロータ回転制限手段は、
    前記ロータの回転軌道を遮る制限位置と前記ロータの回転を許容する後退位置との間で移動可能に設けられた制限ピンと、
    この制限ピンを前記後退位置から前記制限位置へ押し出す方向に油圧が導入される第1制御室と、
    前記制限ピンを前記制限位置から前記後退位置へ押し下げる方向に油圧が導入される第2制御室とを有し、
    前記制限ピンに作用する前記第1制御室と第2制御室との圧力差に応じて前記制限ピンを動作させ
    前記第1制御室及び第2制御室は、それぞれ前記遅角室と連通していることを特徴とするバルブタイミング調整装置。
  2. 請求項に記載したバルブタイミング調整装置において、
    前記オイル制御弁は、前記第1制御室を大気に開放するドレイン通路と、このドレイン通路を開閉できる開閉部材とを有し、前記制限ピンを前記制限位置から前記後退位置へ押し下げる時に、前記開閉部材が前記ドレイン通路を開くことを特徴とするバルブタイミング調整装置。
  3. 請求項に記載したバルブタイミング調整装置において、
    前記遅角室から前記第1制御室に通じる油路に絞りが設けられていることを特徴とするバルブタイミング調整装置。
  4. 請求項に記載したバルブタイミング調整装置において、
    前記遅角室から前記第1制御室に通じる油路の絞りは、前記ハウジング部材に組付けられるスリーブにて形成され、そのスリーブ内に前記第1制御室及び第2制御室が形成されることを特徴とするバルブタイミング調整装置。
  5. 請求項またはに記載したバルブタイミング調整装置において、
    前記オイル制御弁は、前記開閉部材が前記ドレイン通路を閉じた状態で、前記遅角室に作動油を供給し、且つ前記進角室から作動油を排出する通常遅角モード、前記開閉部材が前記ドレイン通路を閉じた状態で、前記進角室に作動油を供給し、且つ前記遅角室から作動油を排出する通常進角モード、及び前記開閉部材が前記ドレイン通路を開いた状態で、前記遅角室に作動油を供給し、且つ前記進角室から作動油を排出する最遅角モードが設定され、これらのモードを前記開閉部材の移動によって選択的に切り替えることができることを特徴とするバルブタイミング調整装置。
  6. 請求項に記載したバルブタイミング調整装置において、
    前記オイル制御弁は、前記通常遅角モードから前記最遅角モードへ切り替える際に、前記通常遅角モードから一旦、前記通常進角モードを経由して前記最遅角モードへ切り替えていることを特徴とするバルブタイミング調整装置。
  7. 請求項に記載したバルブタイミング調整装置において、
    前記オイル制御弁は、前記開閉部材を駆動する電磁式アクチュエータを具備し、この電磁式アクチュエータに通電される電流値のデューティー比に応じて前記開閉部材の移動量が制御されることを特徴とするバルブタイミング調整装置。
  8. 請求項1〜に記載した何れかのバルブタイミング調整装置において、
    前記制限ピンは、前記制限位置に押し出されている状態で、自身の動作方向に前記進角室の油圧を受ける第1の受圧面と第2の受圧面とを有し、その第1の受圧面と第2の受圧面とが自身の動作方向に対向して設けられていることを特徴とするバルブタイミング調整装置。
  9. 請求項1に記載したバルブタイミング調整装置において、
    前記第1制御室と前記第2制御室には、それぞれ油圧ポンプから油圧が導入されることを特徴とするバルブタイミング調整装置。
  10. 内燃機関の駆動軸から回転力が伝達されて回転するハウジング部材と、
    前記内燃機関のカム軸に固定され、且つ前記ハウジング部材に対し所定の角度範囲で相対回転可能に設けられたロータと、
    前記ハウジング部材の内部で前記ロータとの間に形成される油圧室と、
    前記ロータと一体に設けられ、前記油圧室に収容されて前記油圧室を進角室と遅角室とに二分するベーンと、
    前記進角室及び遅角室に対し作動油が流れる方向を制御するオイル制御弁と、
    前記ハウジング部材に対する前記ロータの最進角位置と最遅角位置との間に中間位相位置が設定され、その中間位相位置に前記ロータを拘束するためのロックピンと、
    前記ベーンに進退可能に組み込まれ、自身の先端部が前記ベーンから突出して前記ハウジング部材と干渉することにより、前記ロータが前記中間位相位置より遅角側へ回転することを阻止する遅角制限ピンと、
    この遅角制限ピンを前記ベーンから押し出す方向に付勢するスプリングと、
    前記油圧室に作動油を導入する油路とは別系統に設けられた専用油路を通じて作動油が導入され、その油圧が前記遅角制限ピンを前記ベーン内部に押し下げる方向に作用する制御室と、
    この制御室の油圧を制御する油圧制御弁とを有していることを特徴とするバルブタイミング調整装置。
  11. 請求項10に記載したバルブタイミング調整装置において、
    前記ロックピンと前記遅角制限ピンは、同一のベーンに組み込まれ、且つ互いに逆方向に作動する様に構成されていることを特徴とするバルブタイミング調整装置。
  12. 請求項10または11に記載したバルブタイミング調整装置において、
    前記専用油路には、油圧を発生する油圧ポンプから前記油圧制御弁までの間に絞りが設けられていることを特徴とするバルブタイミング調整装置。
  13. 請求項1012に記載した何れかのバルブタイミング調整装置において、
    前記遅角制限ピンは、前記制御室の油圧を受ける受圧部を有し、この受圧部の受圧面積が前記遅角制限ピンの先端面の面積より大きく設けられていることを特徴とするバルブタイミング調整装置。
  14. 請求項1013に記載した何れかのバルブタイミング調整装置において、
    前記ハウジング部材には、前記油圧室から前記遅角制限ピンの先端側に漏れ出た作動油を外部に排出するオイル排出孔が設けられていることを特徴とするバルブタイミング調整装置。
  15. 請求項14に記載したバルブタイミング調整装置において、
    前記ハウジング部材には、前記ロータが前記中間位相位置の手前から前記中間位相位置まで回転する時に、前記遅角制限ピンの先端部が前記ベーンから突出した状態で移動できる遅角制限溝が設けられ、この遅角制限溝が前記オイル排出孔を介して大気に開放されていることを特徴とするバルブタイミング調整装置。
  16. 請求項1013に記載した何れかのバルブタイミング調整装置において、
    前記ベーンには、前記遅角制限ピンを進退可能に保持する円筒状の軸受部材が組み込まれており、この軸受部材の内周面に、前記遅角制限ピンの先端側と前記制御室とを連通する連通溝が凹設されていることを特徴とするバルブタイミング調整装置。
  17. 請求項16に記載したバルブタイミング調整装置において、
    前記ハウジング部材には、前記ロータが前記中間位相位置の手前から前記中間位相位置まで回転する時に、前記遅角制限ピンの先端部が前記ベーンから突出した状態で移動できる遅角制限溝が設けられ、この遅角制限溝が前記連通溝を介して前記制御室と連通していることを特徴とするバルブタイミング調整装置。
  18. 請求項17に記載したバルブタイミング調整装置において、
    前記連通溝は、前記遅角制限ピンに対し前記ロータの回転方向と略直交する方向に設けられていることを特徴とするバルブタイミング調整装置。
  19. 請求項1018に記載した何れかのバルブタイミング調整装置において、
    前記ハウジング部材には、前記制御室から前記遅角制限ピンの後端側に漏れ出た作動油を外部に排出する排圧孔が設けられていることを特徴とするバルブタイミング調整装置。
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