JP4320903B2 - 弁開閉時期制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、内燃機関の吸排気弁の開閉時期を制御する弁開閉時期制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の弁開閉時期制御装置の1つとして、内燃機関のシリンダヘッドに回転自在に組付けられる弁開閉用の回転部材と、回転部材に所定範囲で相対回転可能に外装されクランク軸からの回転動力が伝達される回転伝達部材と、回転部材又は回転伝達部材の一方にベーン溝内に取り付けられたベーンと、ベーン溝の底部に配設されベーンを付勢する第1スプリングと、回転部材と回転伝達部材との間に形成されベーンによって進角用油室と遅角用油室とに二分される流体圧室と、進角用および遅角用油室にそれぞれ流体を給排する第1および第2流体通路とを備えたものがあり、例えば特開平10−030410号公報に開示されている。
【0003】
この弁開閉時期制御装置では、同公報の図3や図4に示されるように、ベーン底部が凹状に大きくえぐられて第1スプリングが配設されており、ベーン溝からこの凹部を介して進角用および遅角用油室が互いに連通し、作動油が一方から他方へと流れ込む可能性がある。このため、弁開閉時期制御装置の応答性が低下する恐れがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、弁開閉時期制御装置において進角用油室と遅角用油室との間のシール性を向上させることを技術的課題とする。
【0005】
上記技術的課題を解決するためになされた請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の発明は、内燃機関のシリンダヘッドに回転自在に組付けられる弁開閉用の回転部材と、該回転部材に所定範囲で相対回転可能に外装されクランク軸からの回転動力が伝達される回転伝達部材と、前記回転部材又は前記回転伝達部材の一方にベーン溝内に取り付けられたベーンと、前記ベーン溝の底部に配設され前記ベーンを付勢するスプリングと、前記回転部材と前記回転伝達部材との間に形成され前記ベーンによって進角用油室と遅角用油室とに二分される流体圧室と、前記進角用油室および前記遅角用油室にそれぞれ流体を給排する第1流体通路および第2流体通路とを備え、内燃機関の吸気弁又は排気弁の開閉時期を制御する弁開閉時期制御装置において、前記進角用室と前記遅角用室との間を液密的に区画するための前記ベーンが傾いて、前記ベーン溝内において前記ベーンと前記回転部材又は前記回転伝達部材の一方とが、2位置で接触してシール作用を果たすようにした。この手段によれば、ベーンが傾き可能とされることによりベーンと回転部材又は回転伝達部材との間で2位置でシール作用を果たし、ベーンと係合溝との間に隙間があっても、作動油が進角用室から遅角用室又は遅角用室から進角用室に漏れ出すことを抑制できる。
【0006】
上記技術的課題を解決するためになされた請求項6乃至請求項8のいずれか一項に記載の発明は、内燃機関のシリンダヘッドに回転自在に組付けられる弁開閉用の回転部材と、該回転部材に所定範囲で相対回転可能に外装されクランク軸からの回転動力が伝達される回転伝達部材と、前記回転部材又は前記回転伝達部材の一方にベーン溝内に取り付けられたベーンと、前記ベーン溝の底部に配設され前記ベーンを付勢するスプリングと、前記回転部材と前記回転伝達部材との間に形成され前記ベーンによって進角用油室と遅角用油室とに二分される流体圧室と、前記進角用油室および前記遅角用油室にそれぞれ流体を給排する第1流体通路および第2流体通路とを備え、内燃機関の吸気弁又は排気弁の開閉時期を制御する弁開閉時期制御装置において、前記ベーンの底面には係合溝が形成され、前記スプリングは、前記ベーンの前記進角用油室に対向する面と前記遅角用油室に対向する面との間の幅方向における前記係合溝の幅と略同一又は前記係合溝の幅よりも細い細幅部を備え、前記細幅部により前記スプリングは前記係合溝と係合する。この手段によれば、スプリングの細幅部をベーン底面の細溝に係合させて、ベーン溝内にスプリングをベーンごと組付けられる。ベーンには余分にえぐられた部分も無く、当該部分を介した作動油(油圧)の漏れも無い。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1、図2および図5に示した弁開閉時期制御装置は内燃機関のシリンダヘッド100に回転自在に支持されたカムシャフト10とその先端部にアダプタ19を介して一体的に組付けた内部ロータ20とからなる弁開閉用の回転部材と、内部ロータ20に所定範囲で相対回転可能に外装された外部ロータ30、フロントプレート40、リアプレート50及び外部ロータ30の外周に一体的に設けたタイミングスプロケット31から成る回転伝達部材と、内部ロータ20とフロントプレート40間に組付けたトーションスプリング60と、内部ロータ20に組付けた4枚のベーン70と、外部ロータ30に組付けたロックプレート80等によって構成されている。尚、タイミングスプロケット31には、周知のように、図示省略したクランク軸からクランクスプロケットとタイミングチェーンを介して図2の時計方向に回転動力が伝達されるように構成されている。
【0008】
カムシャフト10は、吸気弁(図示省略)を開閉する周知のカム(図示省略)を有しており、内部にはカムシャフト10の軸方向に延びる進角通路(第1流体通路)11と遅角通路(第2流体通路)12が設けられている。進角通路11は、カムシャフト10に設けた径方向の通路71及び環状溝14とシリンダヘッド100に設けた接続通路16を通して切換弁200の第1接続ポート201に接続されている。又、遅角通路12は、カムシャフト10に設けた径方向の通路72及び環状溝13とシリンダヘッド100に設けた接続通路15を通して切換弁200の第2接続ポート202に接続されている。尚、切換弁200はそのソレノイド203へ通電することによりスプール204を図示しないスプリングに抗して移動させる周知のものである。その非通電時には、内燃機関によって駆動されるオイルポンプ205に接続された供給ポート206が第2接続ポート202に連通すると共に、第1接続ポート201が排出ポート207に連通するように構成されている。また通電時には、図1に示すように供給ポート206が第1接続ポート201に連通すると共に、第2接続ポート202が排出ポート207に連通するように構成されている。このため切換弁200の非通電時には遅角通路12に作動油(油圧)が供給され、通電時には進角通路11に作動油(油圧)が供給される。切換弁200は単位時間当たりの通電と非通電の割合を変えるデューティ制御される。例えば、デューティ比50%で制御すると、第1及び第2ポート201,202と供給及び排出ポート206,207は互いに全く連通しない状態になる。
【0009】
内部ロータ20は単一の取り付けボルト91によってアダプタ19を介してカムシャフト10に一体的に固着されていて、4つのベーン溝21、受容溝(受容部)22(図5)、径方向に延びるそれぞれ4つの通路(第1・第2流体通路)23,24およびロータ20の外周面上に周方向に延びる通路(第3流体通路)25(図5)を備えている。各ベーン70によって区画された4つの遅角用油室R2には遅角通路12および通路24を介して作動油(油圧)が給排される。ベーン溝21の底部とベーン70の底面との間には板ばね73(図9)が配設されており、ベーン溝21には4枚の各ベーン70のそれぞれが径方向に移動可能に取り付けられている。図12に示すように板ばね(第1スプリング)73の軸方向の少なくとも一部、ここでは両端に細幅部90を設け、この細幅部90が係合する細溝(係合溝)93をベーン70の底面に形成した。ベーン70自身は予め細溝93が形成された引き抜き材を適宜長さ毎に切断して生産される。このため、弁開閉時期制御装置の製造時において、板ばね73はベーン70と一体的に保持され、この一体的な状態でベーン溝21の底部に組付けることができる。また、ベーン70の左右面とベーン溝21の左右壁間の間のクリアランスを小さくすることも兼ね合って、ベーン70は図11に示すようにベーン溝21内で傾きうるが、ベーン70は従来技術のような凹部を持たず、その底面は一直線となる。従って、ベーン70はベーン溝21内において2つの線上(2位置)75,76でシールするため両室R1,R2間が液密的に区画され、両室間で作動油(油圧)が連通することはない。受容溝22には、図2に示した状態、即ち、カムシャフト10および内部ロータ20と外部ロータ30の相対位相が所定の位相(最遅角位置)で同期したとき、プレート状のロックプレート80の頭部80dが所定量没入する。また、外部ロータ30の内周面上には溝17,18が形成されている。これら溝17,18間は図2及び図5に示す最遅角位置において通路25を介して互いに連通する。受容溝22には最遅角位置においてのみ進角通路11からの作動油(油圧)が通路25から溝18を介して供給される。ロックプレート80の内周側の頭部80dは、その断面がテーパ状(先しぼみ形状)のテーパ部80aとされ、これにあわせて受容溝22もその断面がテーパ状とされている。ロックプレート80の頭部80dが受容溝22へ没入する際、相対的に幅の狭い頭部80d先端と相対的に幅の広い受容溝22の入口端の関係から、大きな隙間をもって、頭部80dは受容溝22に没入しやすくなる。一旦、頭部80dが受容溝22に入ってしまうと、つまり最遅角位置においては図5から良く分かるように、頭部80dと受容溝22のテーパが合っているので、周方向の左右面(テーパ面)における両者の隙間が小さくなる。本実施形態ではロックプレート80および受容溝22の両方をテーパ状としたが、いずれか一方だけをテーパ状としてもよい。図7に示すようにロックプレート80のテーパ部80aは、その長手方向、即ち外部ロータ80の軸方向において、両端に切り欠き部80bが形成されている。作動油(油圧)はロックプレート80に対して、その切り欠き部80bを介して作用するため、この隙間は最小限に狭くできる。このため、最遅角位置のロック状態において内部ロータ20と外部ロータ30とのガタツキが少なくなる。なお、切り欠き部80bは両端でなくとも、一つでも、中央にあっても溝18からの作動油(油圧)が入り込みやすくなってれいれば、どのように形成されてもよい。ところで、各ベーン70によって区画された4つの進角用油室R1にも先の進角通路11および通路23を介して作動油(油圧)が給排可能とされている。ロックプレート80はベーン70と同じ幅に設定して、素材を共通化しているのでコストダウンが可能となる。
【0010】
外部ロータ30は、内部ロータ20の外周に所定角度範囲で相対回転可能に組付けられている。外部ロータ30の両側には、円筒部41を有する環状のフロントプレート40とリアプレート50が接合され、4本の連結ボルト92によって一体的に連結されている。外部ロータ30の、リアプレート50が接合される軸方向端部の外周にはタイミングスプロケット31が一体に形成されている。本実施形態では、外部ロータ30の外周面上にはスプロケット31以外には何もない。従って、その形成位置は本実施形態のように外部ロータ30の軸方向端部だけでなく、軸方向のどの位置に形成されてもよい。このため多様なスプロケット位置に適合し、内燃機関に対する弁開閉時期制御装置の適用に際しての自由度が高まる。
【0011】
外部ロータ30の内周には周方向に4個の凸部33が径方向内方に向けてそれぞれ突び出すように形成されている。これら凸部33の内周面は内部ロータ20の外周面上で滑る様に接しており、外部ロータ30が内部ロータ20に回転自在に支承される。ある一つの凸部33にはロックプレート80を収容する退避溝(退避部)34と、退避溝34と連通し、ロックプレート80を径方向内方へと付勢するコイルばね形式の第2トーションスプリング81を収容するスプリング収容孔35が形成されている。スプリング収容孔35は外部ロータ30の軸方向に延びており、連結ボルト92の一本はこの収容孔35内で第2トーションスプリング81のコイル部を貫通している。これによってスプリング81のずれ防止も達成でき、また、ボルト92の孔を別にあける必要も無い。別孔とすると凸部33の大型化が避けられず、弁開閉時期制御装置の小型化を妨げる。スプリング81はトーション力を与えることができれば、コイルばね形式以外であってもよい。内部ロータ20や外部ロータ30は以上のように複雑な形状をもつが、例えば粉末金属を焼結することで容易に製造できる。また、プレート状のロックプレート80は外部ロータ30の軸方向に長く配設されるために、内部ロータ20と外部ロータ30とがロック状態にある時、その荷重を広い(長い)範囲にわたって受けることができる。従って、ロックプレート80を薄板化でき、外部ロータの円周方向において退避溝34の幅も小さくできるので、外周ロータ30を小径化、ひいては弁開閉時期制御装置を小型化できる。また、トーションスプリング81のコイル部を外部ロータ30の軸方向に配設したことで、外部ロータ30の径方向に移動するロック部材80への付勢力を確保しつつ、スプリング81の外部ロータ30の径方向への収容スペースを小さくできた。この点も、弁開閉時期制御装置の小型化に貢献している。
【0012】
図5に示すように、第2トーションスプリング81の一端81aはスプリング収容孔35のリテーナ部35aに、他端81bはロックプレート80の背面端80cに、スプリング自身のトーション(ねじり)力によってそれぞれ押し付けられている。第2トーションスプリング81は横から見ると図8のようになっており、一端81aはその先端がスプリング81の軸方向に長く折り曲げられた第1折り曲げ部81cを持ち、他端81bはその先端がスプリング81の軸方向に短く折り曲げられた第2折り曲げ部81dをもつ。この第2折り曲げ部81dはロックプレート80の長手方向(外部ロータ30の軸方向)の略中心で、ロックプレート80の背面端80cと接している。これは、第1折り曲げ部81cの軸方向の長さを調整し、スプリング81の軸方向のずれを無くして行う。また、スプリング81の第2折り曲げ部81dは図10に示すようにコイル部の中心点81eを中心として円弧を描くように変位する。従って、ロックプレート80の背面端80cから第2トーションスプリング81の第2折り曲げ部81dが脱落しないように、ロックプレート80の幅方向(図5で左右方向、外部ロータ30の径方向)での第2折り曲げ部81dと背面端80cの接する位置が決められている。ここで、第2折り曲げ部81dの振れ幅(変位幅)はロックプレート80の幅(厚み幅)よりも小さく、図5の最遅角時には第2折り曲げ部81dはロックプレート80の幅方向中心より、スプリング81の振れ幅についてコイル部から遠ざかる方向において背面端80cと接している。一方、図6の位置でも第2折り曲げ部81dはロックプレート80の幅方向中心より、スプリング81の振れ幅についてコイル部から近づく方向において背面端80cと接している。なお、スプリング収容孔35は図示しない連通孔を介して外部ロータ30の外部と連通しており、ロックプレート80の背圧を常時大気圧とし、その円滑な作動を保証している。
【0013】
トーションスプリング60は、一端をフロントプレート40に係止し、他端を内部ロータ20に係止して組付けられており、各ベーン70の外部ロータ30、フロントプレート40およびリアプレート50に対する摩擦係合力(進角側への回転を阻害する力)を考慮して設けられている。つまり、トーションスプリング60は、内部ロータ20を外部ロータ30、フロントプレート40およびリアプレート50に対して進角側(図2の時計方向)に付勢している。従って、内部ロータ20の進角側への作動応答性の向上が図られる。
【0014】
各ベーン70は、軸方向では両プレート40、50の間に、径方向では外部ロータ30と内部ロータ20との間に、周方向では隣り合う凸部33の間に形成される流体圧室R0を前記のとおり進角用油室R1と遅角用油室R2とに区画している。内部ロータ20と外部ロータ30との相対回転量は、つまり、最遅角位置からの最大進角量は流体圧室R0の周方向幅(角度)に依存する。最進角側ではベーン70が凸部33の周方向の一側面に当接する位置で相対回転が規制され、最遅角側ではロックプレート80の頭部80dが受容溝22に入り込む位置で規制する。この実施形態では、後者の位置ではベーン70は凸部33の周方向の他側面に当接しないが、当接するように受容溝22の位置を形成することもできる。また、凸部33の側面と当接するベーン70の枚数は0枚から全て(4枚)の範囲で適宜選択すればよい。
【0015】
以上のように構成した本実施の弁開閉時期制御装置の作用を説明する。内燃機関が停止している時はオイルポンプ205が停止しており且つ切換弁200が非通電の状態にあるので、流体圧室R0には作動油(油圧)が供給されていない。このため、内部ロータ20と外部ロータ30とは遅角方向に働くカムフリクションにより、図2に示すように最遅角位置において同期している。ここでは、ロックプレート80の頭部80dが内部ロータ20の受容溝22に所定量嵌まり込んでおり、最遅角位置で内部ロータ20と外部ロータ30の相対回転が規制されている、いわゆるロック状態にある。内燃機関を始動してオイルポンプが駆動されても、切換弁200に通電するデューティ比が小さい(単位時間当たりの非通電時間に対する通電時間の割合が小さい)限り、オイルポンプから供給される作動油(油圧)は接続通路15、遅角通路12および通路24を通って実質的に遅角用油室R2に供給されるだけなので、弁開閉時期制御装置は依然として図2に示すロック状態に維持される。このとき、ベーン70は外部ロータ30に対して相対回転せず、凸部33の端面に衝突することも無く、ベーン70による打音は発生しない。
【0016】
内燃機関の運転条件によって、弁開閉時期に進角が必要となると、切換弁200に通電するデューティ比が大きくされ、スプール204の位置が切り換わるため、オイルポンプから供給される作動油(油圧)は、接続通路16、進角通路11および通路23を通って、あるいは通路23から更に通路25および溝17を通って進角用油室R1へと供給される。一方で遅角用油室R2にあった作動油(油圧)は、通路24、遅角通路12および接続通路15を介して切換弁200の排出ポートから排出される。従って、ロックプレート80がスプリング81に抗して移動し、その頭部が受容溝33から抜けて内部ロータ20と外部ロータ30のロックが解除されると共に、カムシャフト10と一体的に回転する内部ロータ20と各ベーン70が外部ロータ30およびプレート40,50等に対して進角側(図2の時計方向)に相対回転する。この相対回転は、図2の状態から図3の状態を経て図4の状態へまで至ることができる。制御弁200のデューティ比を制御することで、相対回転位置は任意の位置、例えば図3のような中間位置に止めることもできる。なお、図4の状態では左下にあるベーン70が外部ロータ30の凸部33の側面と当たっている。この時、その他3枚のベーン70は各々対向する凸部33の側面と当たっていないが、凸部33の側面と当るベーン70の枚数は1枚から全て(4枚)の範囲で適宜選択すればよい。尚、ロックプレート80の頭部が受容溝22から抜けた後、内部ロータ20と外部ロータ30が所定量以上相対回転すると、図6に示すように通路25と受容溝22の連通が遮断され、作動油(油圧)の脈動によるロックプレート80の振動が防止される。
【0017】
ロックプレート80が受容溝22から抜けた状態では、切換弁200に通電するデューティ比を小さくしていくと、各遅角用油室R2に作動油(油圧)を供給することができると共に、各進角用油室R1から作動油を排出することができる。従って、例えば図4の位置から図3の位置へや、図3の位置から図2の位置へなどと無段階に、内部ロータ20と各ベーン70を外部ロータ30、両プレート40、50等に対して遅角側(図2の反時計方向)に相対回転させることができる。
【0018】
上記実施形態は、吸気用のカムシャフト10に組付けられる弁開閉時期制御装置であって、進角用油室R1が最小容積となる状態(最遅角状態)において外部ロータ30に組付けたロックプレート80の頭部が内部ロータ20の受容溝22に嵌入されるように構成した。しかし、排気用のカムシャフトに組付けられる弁開閉時期制御装置として用いられる場合には、トーションスプリング60のトーション力(ねじり力)が強く設定されるので、遅角用油室R2が最小容積となる状態(最進角状態)において外部ロータに組付けたロックプレート80の頭部が内部ロータ20の受容溝25に嵌入されるように構成されることも可能である。
【0019】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の発明によれば、ベーンが傾き可能とされることによりベーンと回転部材又は回転伝達部材との間で2位置でシール作用を果たし、ベーンと係合溝との間に隙間があっても、作動油が進角用室から遅角用室又は遅角用室から進角用室に漏れ出すことを抑制できる。
【0020】
請求項6乃至請求項8のいずれか一項に記載の発明によれば、ベーンにはスプリングのために余分にえぐられた部分が無いので、当該部分を介した作動油(油圧)の漏れがなく、進角用油室と遅角用油室との間シール性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に従った弁開閉時期制御装置の縦断面図である。
【図2】弁開閉時期制御装置の最遅角状態であって、図1においてフロントプレート40を外した状態の正面図である。
【図3】弁開閉時期制御装置の中間進角状態であって、図2と同様の正面図である。
【図4】弁開閉時期制御装置の最進角状態であって、図2と同様の正面図である。
【図5】図2の要部拡大断面図である。
【図6】図3の要部拡大断面図である。
【図7】ロックプレート80の側面図である。
【図8】第2トーションスプリング81の縦断面図である。
【図9】ベーン70の縦断面図である。
【図10】第2トーションスプリング81の上面図である。
【図11】図3の要部拡大断面図である。
【図12】ベーン70の側面図である。
【符号の説明】
10・・・カムシャフト(回転部材)
11・・・進角通路(第1流体通路)
12・・・遅角通路(第2流体通路)
19・・・アダプタ(回転部材)
20・・・内部ベーン(回転部材)
22・・・受容溝(受容部)
23・・・通路(第1流体通路)
24・・・通路(第2流体通路)
25・・・通路(第3流体通路)
30・・・外部ロータ(回転伝達部材)
31・・・タイミングスプロケット(回転伝達部材)
34・・・退避溝(退避部)
40・・・フロントプレート(回転伝達部材)
50・・・リアプレート50(回転伝達部材)
70・・・ベーン
73・・・板ばね(スプリング)
80・・・ロック部材
80d・・・ロック部材の頭部
90・・・細幅部
93・・・細溝(係合溝)
R0・・・流体圧室
R1・・・進角用油室
R2・・・遅角用油室
Claims (12)
- 内燃機関のシリンダヘッドに回転自在に組付けられる弁開閉用の回転部材と、該回転部材に所定範囲で相対回転可能に外装されクランク軸からの回転動力が伝達される回転伝達部材と、前記回転部材又は前記回転伝達部材の一方にベーン溝内に取り付けられたベーンと、前記ベーン溝の底部に配設され前記ベーンを付勢するスプリングと、前記回転部材と前記回転伝達部材との間に形成され前記ベーンによって進角用油室と遅角用油室とに二分される流体圧室と、前記進角用油室および前記遅角用油室にそれぞれ流体を給排する第1流体通路および第2流体通路とを備え、内燃機関の吸気弁又は排気弁の開閉時期を制御する弁開閉時期制御装置において、
前記進角用室と前記遅角用室との間を液密的に区画するための前記ベーンが傾いて、前記ベーン溝内において前記ベーンと前記回転部材又は前記回転伝達部材の一方とが、2位置で接触してシール作用を果たすことを特徴とする弁開閉時期制御装置。 - 請求項1において、
前記ベーンが、前記進角用室側又は前記遅角用室側に傾くことを特徴とする弁開閉時期制御装置。 - 請求項1において、
前記ベーンが、前記回転部材又は前記回転伝達部材の周方向に傾くことを特徴とする弁開閉時期制御装置。 - 請求項1乃至請求項3のいずれか一項において、
前記ベーンが傾くことにより、前記ベーン溝の一側面と前記ベーンとが線接触し、前記ベーン溝の他側面と前記ベーンとが線接触することを特徴とする弁開閉時期制御装置。 - 請求項4において、
前記ベーン溝の一側面の底部側と前記ベーンとが線接触し、前記ベーン溝の他側面の開口側と前記ベーンとが線接触することを特徴とする弁開閉時期制御装置。 - 内燃機関のシリンダヘッドに回転自在に組付けられる弁開閉用の回転部材と、該回転部材に所定範囲で相対回転可能に外装されクランク軸からの回転動力が伝達される回転伝達部材と、前記回転部材又は前記回転伝達部材の一方にベーン溝内に取り付けられたベーンと、前記ベーン溝の底部に配設され前記ベーンを付勢するスプリングと、前記回転部材と前記回転伝達部材との間に形成され前記ベーンによって進角用油室と遅角用油室とに二分される流体圧室と、前記進角用油室および前記遅角用油室にそれぞれ流体を給排する第1流体通路および第2流体通路とを備え、内燃機関の吸気弁又は排気弁の開閉時期を制御する弁開閉時期制御装置において、
前記ベーンの底面には係合溝が形成され、
前記スプリングは、前記ベーンの前記進角用油室に対向する面と前記遅角用油室に対向する面との間の幅方向における前記係合溝の幅と略同一又は前記係合溝の幅よりも細い細幅部を備え、前記細幅部により前記スプリングは前記係合溝と係合することを特徴とする弁開閉時期制御装置。 - 請求項6において、
前記スプリングは、前記細幅部を、前記回転部材の軸方向の両側において備えることを特徴とする弁開閉時期制御装置。 - 請求項6において、
前記係合溝は、前記ベーンの底面において、前記回転部材の軸方向の幅全体に亘って形成されることを特徴とする弁開閉時期制御装置。 - 内燃機関のシリンダヘッドに回転自在に組付けられる弁開閉用の回転部材と、該回転部材に所定範囲で相対回転可能に外装されクランク軸からの回転動力が伝達される回転伝達部材と、前記回転部材又は前記回転伝達部材の一方にベーン溝内に取り付けられたベーンと、前記ベーン溝の底部に配設され前記ベーンを付勢するスプリングと、前記回転部材と前記回転伝達部材との間に形成され前記ベーンによって進角用油室と遅角用油室とに二分される流体圧室と、前記進角用油室および前記遅角用油室にそれぞれ流体を給排する第1流体通路および第2流体通路とを備え、内燃機関の吸気弁又は排気弁の開閉時期を制御する弁開閉時期制御装置において、
前記ベーンの底面には前記スプリングが係合する係合溝が形成され、
前記係合溝は、前記ベーンの前記進角用油室に対向する面と前記遅角用油室に対向する面との間の幅方向において開口しないことを特徴とする弁開閉時期制御装置。 - 請求項9において、
前記ベーンは、前記進角用油室に対向する面及び前記遅角用油室に対向する面の形状が四角であることを特徴とする弁開閉時期制御装置。 - 請求項9又は請求項10において、
前記スプリングは、前記係合溝に係合しない非係合部と、前記非係合部よりも細い幅の細幅部とを有することを特徴とする弁開閉時期制御装置。 - 請求項11において、
前記スプリングは、前記細幅部を、前記非係合部の前記回転部材の軸方向の両側に有することを特徴とする弁開閉時期制御装置。
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