JP2003170447A - セルロースアシレートフイルムの製造方法 - Google Patents

セルロースアシレートフイルムの製造方法

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JP2003170447A JP2002005115A JP2002005115A JP2003170447A JP 2003170447 A JP2003170447 A JP 2003170447A JP 2002005115 A JP2002005115 A JP 2002005115A JP 2002005115 A JP2002005115 A JP 2002005115A JP 2003170447 A JP2003170447 A JP 2003170447A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 面状の優れたセルロースアシレートフイ
ルムの製造方法を提供する。 【解決手段】 少なくとも1つ以上のセルロースアシレ
ート溶液を調製後、流延製膜するセルロースアシレート
フイルムの製造方法であって、セルロースアシレート溶
液が実質的に塩素系溶剤から構成される溶剤にセルロー
スアシレートを溶解したものであり、流延されるセルロ
ースアシレート溶液のうち少なくとも一つ以上の溶液が
塩素系溶剤の他に少なくともアルコールを含有し、少な
くとも1つのセルロースアシレート溶液へのアルコール
の添加が流延前の24時間以内に行なわれることを特徴
とする製造方法によりセルロースアシレートフイルムを
製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はハロゲン化銀写真感
光材料または液晶画像表示装置の偏光板保護膜に有用な
セルロースアシレートフイルムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ハロゲン化銀写真感光材料や液晶
画像表示装置の偏光板保護膜に使用されるセルロースア
シレートフイルムを製造する際に使用されるセルロース
アシレート溶液(ドープ)の有機溶媒としては、メチレ
ンクロリドのような塩素含有炭化水素が使用されてい
る。メチレンクロリド(沸点35℃)は、従来からセル
ロースアシレートの良溶媒として用いられ、製造工程の
製膜及び乾燥工程において沸点が低いことから乾燥させ
易いという利点により好ましく使用されている。近年環
境保全の観点で、低沸点である塩素系有機溶媒は、密閉
設備でも取り扱い工程での漏れを著しく低減されるよう
になった。例えば、徹底的なクローズドシステムによる
系からの漏れ防止、万が一漏れても外気に出す前にガス
吸収塔を設置し有機溶媒を吸着させて、処理する方法が
進めれた。さらに、排出する前に火力による燃焼あるい
は電子線ビームによる塩素系有機溶媒の分解などで、殆
ど有機溶媒を排出することはなくなった。一方、塩素系
有機溶媒として好ましく使用されてきたメチレンクロリ
ド以外のセルロースアシレートの溶媒の探索がなされて
きた。セルロースアシレート、特にセルローストリエス
テルに対する溶解性を示す有機溶媒として知られている
ものには、アセトン(沸点56℃)、酢酸メチル(沸点
56℃)、テトラヒドロフラン(沸点65℃)、1,3
−ジオキソラン(沸点75℃)、1,4−ジオキサン
(沸点101℃)などがある。しかしながら、これらの
有機溶媒は、従来の溶解方法では実際に実用できるに十
分な溶解性は得られていない。
【0003】この解決として、J.M.G.Cowie
等は、Makromol.chem.143巻、105
頁(1971)において、セルローストリアセテート
(酢化度60.1%から61.3%)をアセトン中で−
80℃から−70℃に冷却した後、加温することによっ
て、0.5から5質量%の希薄溶液が得られることを報
告している。このような低温でセルロースアシレートを
溶解する方法を冷却溶解法という。また、上出健二等は
繊維機械学会誌、34巻、57−61頁(1981)の
「三酢酸セルロースのアセトン溶液からの乾式紡糸」の
中で冷却溶解法を用いての紡糸技術について述べてい
る。また、特開平9−95538号、特開平9−955
44号及び特開平9−95557号の各公報では、上記
技術を背景に、非塩素系有機溶媒を用いて冷却溶解法に
よってセルロースアシレートを溶解することが開示され
ている。その際に用いられる非塩素系有機溶剤として
は、エーテル類、ケトン類あるいはエステルから選ばれ
る有機溶媒であり、特に冷却溶解法によりセルロースア
シレートを溶解してフイルムを作製している。これらの
具体的な有機溶媒としては、アセトン、2−メトキシエ
チルアセテート、シクロヘキサノン、エチルホルメー
ト、及びメチルアセテートなどが好ましいとしている。
しかしながら、これらの溶媒を用いても十分なセルロー
スアシレートの溶解を実現し、高速流延してセルロース
アシレートフイルムを得るにはまだ不十分である。
【0004】一方、セルロースアシレートフイルムは、
一般にソルベントキャスト法またはメルトキャスト法に
より製造される。ソルベントキャスト法では、セルロー
スアシレートを溶媒中に溶解した溶液(ドープ)を金属
支持体上に流延し、溶媒を蒸発させてフイルムを形成す
るものである。メルトキャスト法では、セルロースアシ
レートを加熱により溶融したものを金属支持体上に流延
し、冷却してフイルムを形成する。ソルベントキャスト
法の方が、メルトキャスト法よりも平面性の高い良好な
フイルムを製造することができる。このため、実用的に
はソルベントキャスト法の方が普通に採用されている。
最近のソルベントキャスト法では、ドープを金属支持体
上へ流延してから、金属支持体上の成形フイルムを剥離
するまでに要する時間を短縮して、製膜工程の生産性を
向上させることが課題になっている。特に、ソルベント
キャスト法によってセルロースアシレートフイルムを得
るに際して、前述の非塩素系有機溶媒を用いて室温、高
温あるいは冷却溶解したセルロースアシレート溶液の場
合に、その金属支持体からのセルロースアシレートフイ
ルムの剥離がし難くいことが問題になっている。また更
に、近年のセルロースアシレートフイルムの需要増大に
対して生産性を高めることが求められており、そのため
に高速度流延が切望されている。この観点でも、非塩素
系有機溶媒による溶液で生産されるセルロースアシレー
トフイルムは、高速流延性の劣るものであった。
【0005】これは、セルロースアシレートを金属支持
体であるバンド或いはドラム上に流延し、乾燥或いは冷
却して強度の強いゲル状フイルムとし、有機溶媒を含ん
だ状態で金属支持体から剥離され、しかる後に十分乾燥
される工程の際に、金属支持体からセルロースアシレー
ト膜の剥離が困難であること、および剥離した膜の自己
支持性弱いことが原因である。この改良の一方法とし
て、特開平10−316701号公報では、酸解離指数
pKa1.93〜4.50[好ましくは2.0〜4.
4、さらに好ましくは2.2〜4.3(例えば、2.5
〜4.0)、特に2.6〜4.3(例えば、2.6〜
4.0)程度]の酸またはその塩を剥離剤として用いる
ことが記載されている。しかし、この欠点として、セル
ロースアシレート溶液でセルロースアシレートが含有し
ているアルカリ土類金属と微小な塩を作製し、長時間の
流延工程において系に付着する問題を引き起こすことが
わかってきた。一方、剥離した膜の自己支持性を高める
ために、セルロースアシレート溶液のゲル化適性を高め
ることが有効であることが明らかになってきた。ゲル化
適性を高める一法としてアルコールの溶液への添加が有
効であるものの、同時に溶液の安定性が低下するという
問題が発生することがわかった。さらにはアルコール添
加後の溶液の35℃静的非ニュートン粘度n*が徐々に
上昇し、フイルムの面状が悪化するという問題があり、
その改良が望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、セルロースア
シレートを塩素系有機溶媒に溶解して溶液を調製する場
合、流延した後乾燥のために金属支持体から剥離が困難
な点を解決し、剥ぎ取りに優れるだけでなく良好な面状
のセルロースアシレートフイルムを作製することであ
る。特に流延速度を高速にしても剥ぎ取りや面状の良好
なセルロースアシレート溶液を形成し、優れたセルロー
スアシレートフイルムを作製することにある。本発明の
目的は、塩素系有機溶剤系において、金属支持体からの
剥離性および高速製造適性に優れたセルロースアシレー
ト溶液を提供することである。さらにまた本発明の目的
は、塩素系有機溶剤系において金属支持体から剥離され
たフイルムの自己支持性を高めて高速製造適性を付与
し、かつ面状の優れたセルロースアシレートフイルムの
製造方法を提供することでもある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、下記の
(1)〜(15)の製造方法により達成された。 (1)少なくとも1つ以上のセルロースアシレート溶液
を調製後、流延製膜するセルロースアシレートフイルム
の製造方法であって、セルロースアシレート溶液が実質
的に塩素系溶剤から構成される溶剤にセルロースアシレ
ートを溶解したものであり、流延されるセルロースアシ
レート溶液のうち少なくとも一つ以上の溶液が塩素系溶
剤の他に少なくともアルコールを含有し、少なくとも1
つのセルロースアシレート溶液へのアルコールの添加が
流延前の24時間以内に行なわれることを特徴とするセ
ルロースアシレートフイルムの製造方法。 (2)アルコールの添加量が、その溶液の全溶剤に対し
て2乃至40質量%の範囲にあることを特徴とする
(1)に記載のセルロースアシレートフイルムの製造方
法。 (3)アルコールが、炭素原子数6以下の脂肪族系アル
コールであることを特徴とする(1)もしくは(2)に
記載のセルロースアシレートフイルムの製造方法。
【0008】(4)アルコールの添加をインライン添加
で行うことを特徴とする(1)乃至(3)のうちのいず
れかに記載のセルロースアシレートフイルムの製造方
法。 (5)溶液を構成するアルコールが複数のアルコールか
らなり流延前の24時間以内に添加されるアルコールの
炭素数の方が、調液時に添加されるアルコールの炭素数
よりも小さいことを特徴とする(1)乃至(4)のうち
のいずれかに記載のセルロースアシレートフイルムの製
造方法。 (6)セルロースアシレート溶液の溶剤が実質的にメチ
レンクロリドまたは/およびクロロホルムからなること
を特徴とする(1)乃至(5)のうちのいずれかに記載
のセルロースアシレートフイルムの製造方法。
【0009】(7)流延が、共流延法により行われ、内
部層の溶液及び外部層の溶液の両方にアルコールを添加
することを特徴とする(1)乃至(6)のうちのいずれ
かに記載のセルロースアシレートフイルムの製造方法。 (8)流延が、共流延法により行われ、内部層のみにア
ルコールを流延前添加するか、または外部層に対して内
部層へのアルコール添加量が1.05倍乃至6.0倍で
あることを特徴とする(1)乃至(7)のうちのいずれ
かに記載のセルロースアシレートフイルムの製造方法。
【0010】(9)セルロースアシレートフイルムが二
層以上の多層構造を有し、該セルロースアシレートフイ
ルムの少なくとも一方の側の外部層の乾燥膜厚が1〜5
0μmの範囲にあることを特徴とする(1)乃至(8)
のうちのいずれかに記載のセルロースアシレートフイル
ムの製造方法。 (10)流延が共流延法により行われ、各層を同時に流
延製膜することを特徴とする(1)乃至(9)のうちの
いずれかに記載のセルロースアシレートフイルムの製造
方法。
【0011】(11)セルロースアシレート溶液が、可
塑剤、紫外線吸収剤、微粒子粉体、離型剤、中和剤、劣
化防止剤および光学異方性コントロール剤から選択され
る少なくとも一つの添加剤を含有する(1)乃至(1
0)のうちのいずれかに記載のセルロースアシレートフ
イルムの製造方法。 (12)酸中和剤が、pKaが4.50以上のアミン化
合物、または、実質的に揮散性を持たず、塩基性基1個
当たりの分子量が200以下のアミン化合物であること
を特徴と特徴とする(11)に記載のセルロースアシレ
ートフイルムの製造方法。 (13)金属支持体と接する外部層のみに剥離剤を含有
することを特徴とする(1)乃至(12)のうちのいず
れかに記載のセルロースアシレートフイルムの製造方
法。
【0012】(14)該セルロースアシレートのアシル
置換度が2.75乃至2.95の範囲にあり、6位アシ
ル置換度が0.92以上であることを特徴とする(1)
乃至(13)のうちのいずれかに記載のセルロースアシ
レートフイルムの製造方法。 (15)(1)乃至(14)のうちのいずれかに記載の
製造方法で製造されたセルロースアシレートフイルムか
ら形成されたことを特徴とする偏光板保護膜。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明に好ましく用いられるセル
ロースアシレート原料綿については、発明協会公開技報
2001−1745、7頁右段の26行目以降に記載の
「4.セルロースアシレート原料綿」に関する記載事項
を用いることができる。
【0014】セルロースアシレートの合成方法の基本的
な原理は、右田他、木材化学180〜190頁(共立出
版、1968年)に記載されている。代表的な合成方法
は、無水酢酸−酢酸−硫酸触媒による液相酢化法であ
る。具体的には、木材パルプ等のセルロース原料を適当
量の有機酸で前処理した後、予め冷却したアシル化混液
に投入してエステル化し、完全セルロースアシレート
(2位、3位および6位のアシル置換度の合計が、ほぼ
3.00)を合成する。上記アシル化混液は、一般に、
溶媒としての有機酸、エステル化剤としての無水有機酸
および触媒としての硫酸を含む。無水有機酸は、これと
反応するセルロースおよび系内に存在する水分の合計よ
りも、化学量論的に過剰量で使用することが普通であ
る。アシル化反応終了後に、系内に残存している過剰の
無水有機酸の加水分解およびエステル化触媒の一部の中
和のために、中和剤(例えば、カルシウム、マグネシウ
ム、鉄、アルミニウムまたは亜鉛の炭酸塩、酢酸塩また
は酸化物)の水溶液を添加する。
【0015】次に、得られた完全セルロースアシレート
を少量の酢化反応触媒(一般には、残存する硫酸)の存
在下で、50〜90℃に保つことにより、ケン化熟成
し、所望のアシル置換度および重合度を有するセルロー
スアシレートまで変化させる。所望のセルロースアシレ
ートが得られた時点で、系内に残存している触媒を前記
のような中和剤を用いて完全に中和するか、あるいは、
中和することなく、水または希硫酸中にセルロースアシ
レート溶液を投入(あるいは、セルロースアシレート溶
液中に、水または希硫酸を投入)してセルロースアシレ
ートを分離し、洗浄および安定化処理によりセルロース
アシレートを得る。
【0016】次に、本発明で好ましく用いられるアシル
置換度が2.75乃至2.95の範囲にあり、6位アシ
ル置換度が0.92以上のセルロースアシレートについ
て記載する。通常のセルロースアシレートの合成方法で
は、2位または3位のアシル置換度の方が、6位のアシ
ル置換度よりも高い値になる。該セルロースアシレート
は6位酢化度を特異的に高めたものであり、2位、3位
に対して6位のアシル置換度が高いものである。該セル
ロースアシレートの具体的な合成条件としては、通常の
セルロースアシレートのアシル化の工程において硫酸等
の酸触媒の量を減らし、アシル化反応の時間を長くする
ことが好ましい。硫酸触媒が多いと、アシル化反応の進
行が速くなるが、触媒量に応じてセルロースとの間に硫
酸エステルが生成し、反応終了時に遊離して残存水酸基
を生じる。硫酸エステルは、反応性が高い6位により多
く生成する。そのため、硫酸触媒が多いと6位のアシル
置換度が小さくなる。従って、その合成には、可能な限
り硫酸触媒の量を削減し、それにより低下した反応速度
を補うため、反応時間を延長する必要がある。該セルロ
ースアシレートは溶液の粘度が低い特徴があり、フイル
ムの面状を良化させるために有効である。
【0017】本発明では、ソルベントキャスト法により
セルロースアシレートフイルムを製造することが好まし
く、セルロースアシレートドープを用いてフイルムは製
造される。次に、セルロースアシレートの溶液を作製す
るに際して用いられる塩素系有機溶媒について記載する
が、セルロースアシレートが溶解し流延、製膜できる範
囲において、その目的が達成できる限りは、その塩素系
有機溶媒は特に限定されない。本発明で用いる塩素系有
機溶媒は、好ましくはメチレンクロリド、クロロホル
ム、1,2−ジクロロエタンである。特にメチレンクロ
リドが好ましい。本発明においては、これらの塩素系溶
剤の混合溶剤を用いることもでき、更には塩素系有機溶
媒以外の有機溶媒を混合することもできる。用いる有機
溶媒は実質的に塩素系溶剤であるが、少なくとも1以上
の溶液においてアルコール類の併用が必須である。好ま
しくは全溶液がアルコールを含有する。添加するアルコ
ールの量は全容剤に対して2乃至40質量%の範囲にあ
ることが好ましい。特に単層流延で用いる場合には2乃
至30質量%が好ましいが、アルコール量を添加しすぎ
ると溶液の粘度が上昇して製膜後の平面性が悪化するた
め、必要なゲル化適性を付与できる範囲で少ない方がよ
り好ましいからである。直前添加によるゲル化適性を十
分に付与するためには、8乃至30質量%の範囲にある
ことがより好ましく、15乃至30質量%の範囲にある
ことが更に好ましい。共流延においては、添加するアル
コールの量は、全容剤に対して2から40質量%の範囲
であることが好ましい。ただし、アルコール量を添加し
すぎると溶液の粘度が上昇して製膜後の平面性が悪化す
るため、外部層を構成する液と内部層を構成する液とで
より好ましい範囲が異なることになる。すなわち内部層
を構成する溶液のアルコールの添加量は全溶剤に対して
5乃至40質量%の範囲にあることがより好ましく、外
部層を構成する溶液のアルコール添加量は全溶剤に対し
て2乃至15質量%の範囲にあることがより好ましい。
さらには内部層を構成する溶液のアルコール添加量が外
部層を構成する溶液のアルコール添加量に対して1.0
5倍乃至20.0倍の範囲にあることが好ましい。
【0018】外部層に添加するアルコールはできる限り
低炭素数のアルコールであることが好ましい。これは炭
素数の大きなアルコールはゲル化性能を大きく向上させ
るため、平面性が悪化するためである。ただし内部層は
製膜後にはフイルムの内部を形成するものであるため平
面性の悪化はあまり問題とならず、剥離後の自己支持性
付与の観点からはむしろ炭素数の大きなアルコールを添
加した方が好ましい。
【0019】アルコールの例には、メタノール、エタノ
ール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタ
ノール、2−ブタノールおよびシクロヘキサノール、2
−フルオロエタノール、2,2,2−トリフルオロエタ
ノールなどが挙げられる。またエチレングリコール等の
2官能アルコールも好ましく用いることができる。これ
らのアルコールのうち特に好ましいのはメタノール、エ
タノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−
ブタノールである。用いる有機溶媒としては、少量であ
ればケトン類、エステル類を混合することにより、液特
性を調整することができる。これらのエステル類、ケト
ン類は環状構造を有していてもよく、2種類以上の官能
基を有するものでもよい。
【0020】また、単層流延の場合、アルコールの一部
を調液時に同時に添加しておくことは何ら問題はない。
炭素数1から3程度のアルコールは全容剤に対して2か
ら10質量%の添加では溶液の粘度を大きく上昇させる
ことはないので、この範囲であれば同時に調液しておい
ても何ら問題はない。ただし、流延直前の添加であって
も何ら問題はない。これに対して炭素数4以上のアルコ
ールはゲル化性能を大きく向上させる一方、溶液の粘度
を経時で上昇させ、フイルムの平面性を悪化させるた
め、同時ではなくできるだけ流延直前に添加することが
好ましい。
【0021】塩素系溶剤と併用可能な非塩素系溶剤につ
いては、発明協会公開技報2001−1745、12頁
左段の30行目から15頁左段の13行目に記載のもの
を挙げることができるが、特にこれに限定されない。
【0022】ところで、本発明でのセルロースアシレー
トの溶剤は実質的に塩素系溶剤から構成される。「実質
的に構成される」とは、有機溶媒中の塩素系溶剤の割合
が60質量%以上であり、好ましくは70質量%以上で
あり、より好ましくは80質量%以上であることを意味
する。
【0023】本発明で好ましいこれらの溶媒の組み合わ
せの具体例を以下に示すが、これらに限定されない。 S−01:メチレンクロリド/メタノール(75/2
5、質量部) S−02:メチレンクロリド/メタノール(70/3
0、質量部) S−03:メチレンクロリド/メタノール/n−ブタノ
ール(80/15/5、質量部) S−04:メチレンクロリド/クロロホルム/メタノー
ル(80/10/10、質量部) S−05:メチレンクロリド/1,2−ジクロロエタン
/エタノール(70/15/15、質量部) S−06:メチレンクロリド/アセトン/メタノール
(80/5/15、質量部) S−07:メチレンクロリド/酢酸メチル/n−プロパ
ノール(65/15/20、質量部) S−08:クロロホルム/酢酸メチル/n−プロパノー
ル(80/5/15、質量部) S−09:クロロホルム/1,2−ジクロロエチレン/
メチルエチルケトン/n−ブタノール(40/35/1
5/10、質量部) S−10:メチレンクロリド/メタノール/ブタノール
/シクロヘキサン(75/10/10/5、質量部) S−11:メチレンクロリド/シクロペンタノン/メタ
ノール/n−ヘキサン(80/5/5/10、質量部) S−12:1,2―ジクロロエタン/シクロペンタノン
/メタノール/n−ヘキサン(65/20/5/10、
質量部)
【0024】本発明で単層流延にて好ましいこれらの溶
媒の組み合わせの具体例をさらに示すが、これらに限定
されない。同時調液、流延前添加溶剤の組み合わせとし
て以下を挙げることができる。 T−01 同時調液:メチレンクロリド/メタノール
(75/5、質量部) 直前添加:1−ブタノール(20、質量部) T−02 同時調液:メチレンクロリド/エタノール
(80/10、質量部) 直前添加:1−ブタノール(10、質量部) T−03 同時調液:メチレンクロリド/メタノール
(70/10、質量部) 直前添加:メタノール(20、質量部) T−04 同時調液:メチレンクロリド/クロロホルム
/メタノール(75/10/5、質量部) 直前添加:1−ブタノール(10、質量部) T−05 同時調液:メチレンクロリド/1,2−ジク
ロロエタン/エタノール(70/15/5、質量部) 直前添加:シクロヘキサノール(10、質量部) T−06 同時調液:メチレンクロリド/アセトン/1
−プロパノール(80/5/5、質量部) 直前添加:1−ペンタノール(10、質量部) T−07 同時調液:メチレンクロリド/酢酸メチル/
1−プロパノール(65/15/10、質量部) 直前添加:1−ブタノール(10、質量部) T−08 同時調液:メチレンクロリド/酢酸メチル/
1−プロパノール(60/5/10、質量部) 直前添加:メチレンクロリド/1−ブタノール(10/
15、質量部) T−09 同時調液:クロロホルム/1,2−ジクロロ
エチレン/メチルエチルケトン(40/25/15、質
量部) 直前添加:メチレンクロリド/1−ブタノール(10/
10、質量部) T−10 同時調液:メチレンクロリド/メタノール
(65/10、質量部) 直前添加:メチレンクロリド/シクロヘキサン/1−ブ
タノール(10/10/5、質量部) T−11 同時調液:メチレンクロリド/シクロペンタ
ノン/メタノール/n−ヘキサン(70/5/10/
5、質量部) 直前添加:メチレンクロリド/1−ブタノール(5/
5、質量部)
【0025】本発明で共流延法にて好ましいこれらの溶
媒の組み合わせの具体例をさらに示すが、これらに限定
されない。まず、内部層を構成する溶剤の組み合わせと
して以下を挙げることができる。 I−01:メチレンクロリド/n−プロパノール(75
/25、質量部) I−02:メチレンクロリド/エタノール(70/3
0、質量部) I−03:メチレンクロリド/メタノール/n−ブタノ
ール(80/15/5、質量部) I−04:メチレンクロリド/クロロホルム/メタノー
ル(75/10/15、質量部) I−05:メチレンクロリド/1,2−ジクロロエタン
/エタノール(70/15/15、質量部) I−06:メチレンクロリド/アセトン/n−ブタノー
ル(80/5/15、質量部) I−07:メチレンクロリド/酢酸メチル/n−プロパ
ノール(65/15/20、質量部) I−08:クロロホルム/酢酸メチル/n−プロパノー
ル(80/5/15、質量部) I−09:クロロホルム/1,2−ジクロロエチレン/
メチルエチルケトン/n−ブタノール(40/35/1
5/10、質量部) I−10:メチレンクロリド/メタノール/n−ブタノ
ール/シクロヘキサン(75/10/10/5、質量
部) I−11:メチレンクロリド/シクロペンタノン/メタ
ノール/n−ヘキサン(80/5/10/5、質量部) I−12:1,2―ジクロロエタン/シクロペンタノン
/メタノール/n−ヘキサン(65/20/5/10、
質量部)
【0026】また、外部層を構成する溶剤組み合わせと
して、以下を挙げることができる。 O−01:メチレンクロリド/メタノール(95/5、
質量部) O−02:メチレンクロリド/メタノール(90/1
0、質量部) O−03:メチレンクロリド/メタノール/n−ブタノ
ール(85/10/5、質量部) O−04:メチレンクロリド/クロロホルム/メタノー
ル(80/10/10、質量部) O−05:メチレンクロリド/1,2−ジクロロエタン
/エタノール(70/20/10、質量部) O−06:メチレンクロリド/アセトン/メタノール
(80/10/10、質量部) O−07:メチレンクロリド/酢酸メチル/n−プロパ
ノール(70/25/5、質量部) O−08:クロロホルム/酢酸メチル/メタノール(8
0/5/15、質量部) O−09:クロロホルム/1,2−ジクロロエチレン/
メチルエチルケトン/n−ブタノール(40/35/2
0/5、質量部) O−10:メチレンクロリド/メタノール/n−ブタノ
ール/シクロヘキサン(85/5/5/5、質量部) O−11:メチレンクロリド/シクロペンタノン/メタ
ノール/n−ヘキサン(80/5/5/10、質量部) O−12:1,2―ジクロロエタン/シクロペンタノン
/メタノール/n−ヘキサン(68/20/2/10、
質量部) ただし、上記の例は外部層、内部層としてより好ましい
範囲を示したものであるため、外部層の組成の液を内部
層に用いても大きな問題はない。逆に内部層の液を外部
層に用いることもできる。
【0027】セルロースアシレート溶液を作製するに
は、室温下でタンク中の溶剤を撹拌しながら、上記セル
ロースアシレートを添加することでまず溶剤への膨潤を
行う。膨潤時間は最低10分以上が必要であり、10分
以下では不溶解物が残存する。また、セルロースアシレ
ートを十分膨潤させるためには溶剤の温度は0乃至35
℃が好ましい。0℃以下では膨潤速度が低下し不溶解物
が残存する傾向にある。35℃以上では膨潤が急激に起
こるために中心部分が十分膨潤しない。本発明ではアル
コール類を含む混合溶剤系で溶液を作製することが必要
であるが、基本的にはアルコール以外の溶剤で膨潤、溶
解をさせておき流延直前にアルコールを添加することが
好ましい。これは、上述のように内部層にアルコール類
を多量に添加することにより全体のゲル化が進行しやす
くなり、未乾燥状態での搬送性が向上することに起因す
るものである。しかしながらアルコール添加により液安
定性が低下するため、アルコール添加から直ちに流延す
ることにより、液が白濁、析出する前に製膜を行うこと
ができる。塩素系溶剤では溶液の安定性に優れるため、
実際にはアルコール添加から一日以内に流延を行うこと
が好ましいが、添加から流延までの時間としては5時間
以内がより好ましく、30分以内が更に好ましく、更に
は10分以内が好ましい。また、流延中にインラインで
添加することにより添加1分以内に流延が行えるため、
インライン添加が最も好ましい。また、複数の溶媒を用
いる場合は、アルコール類の添加を流延の一日以内に行
う以外は特に限定されない。その添加順は特に限定され
ない。例えば、主溶媒中にセルロースアシレートを添加
した後に、他の溶媒(例えばアルコールなど)を添加し
てもよいし、逆に他の溶媒を予めセルロースアシレート
に湿らせた後の主溶媒を加えてもよく、不均一溶解の防
止に有効である。セルロースアシレートの量は、この混
合物中に5〜40質量%含まれるように調整することが
好ましい。液の安定性や粘度等を考慮すると、セルロー
スアシレートの量は、10〜30質量%であることがさ
らに好ましい。さらに、混合物中には後述する任意の添
加剤を添加しておいてもよい。
【0028】ただし、共流延法において外部層を構成す
る溶剤に限り、アルコールが多く含まれない場合には、
アルコールを綿の膨潤時に他の溶剤と同時に添加してお
くことも問題ない。その添加方法は特に限定されず、例
えば、主溶媒中にセルロースアシレートを添加した後
に、アルコールを添加してもよいし、逆にアルコールを
予めセルロースアシレートに湿らせた後の主溶媒を加え
てもよく、不均一溶解の防止に有効である。セルロース
アシレートの量は、この混合物中に5〜40質量%含ま
れるように調整することが好ましい。セルロースアシレ
ートの量は、10〜30質量%であることがさらに好ま
しい。さらに、混合物中には後述する任意の添加剤を添
加しておいてもよい。
【0029】膨潤工程の後にセルロースアシレートを溶
解するには、冷却溶解法、高温溶解法のいずれか、ある
いは両方を用いることが好ましい。冷却溶解法、高温溶
解法に関する具体的な方法としては、発明協会公開技報
2001−1745、24頁左段の15行目から25頁
左段の9行目の(冷却溶解法)、(高温溶解法)に記載
のものを挙げることができる。
【0030】なお、溶解が不充分である場合は冷却、加
温の操作を繰り返してもよい。溶解が充分であるかどう
かは、目視により溶液の外観を観察するだけで判断する
ことができる。冷却溶解方法においては、冷却時の結露
による水分混入を避けるため、密閉容器を用いることが
望ましい。また、冷却加温操作において、冷却時に加圧
し、加温時に減圧すると溶解時間を短縮することができ
る。加圧および減圧を実施するためには、耐圧性容器を
用いることが望ましい。以上の冷却溶解方法について
は、特開平9−95544号、同10−95854号、
および同10−95854号の各公報に詳細に記載され
ている。
【0031】上記で得られたドープのセルロースアシレ
ートは場合により、更に溶解し易くするために低い濃度
で溶解してから、しかる後に濃縮手段を用いて濃縮して
もよい。具体的な方法としては、発明協会公開技報20
01−1745、25頁左段の10行目から同28行目
の(溶液濃縮)に記載がある。
【0032】溶液は流延に先だって金網、紙やネルなど
の適当な濾材を用いて、未溶解物やゴミ、不純物などの
異物を濾過除去しておくことが好ましい。具体的な方法
としては、発明協会公開技報2001−1745、25
頁左段の29行目から右段の33行目の(ろ過)に記載
がある。
【0033】セルロースアシレート溶液には、各調製工
程において用途に応じた種々の添加剤(例えば、可塑
剤、紫外線防止剤、劣化防止剤(例、酸化防止剤、過酸
化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲
剤、アミン)、光学異方性コントロール剤、微粒子、剥
離剤、赤外吸収剤など)を加えることができ、それらは
固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その融点や沸
点において特に限定されるものではない。例えば20℃
以下と20℃以上の紫外線吸収材料の混合や、同様に可
塑剤の混合などであり、例えば特開平2001−151
901号公報などに記載されている。さらにまた、赤外
吸収染料としては、例えば、特開平2001−1945
22号公報に記載されている。またその添加する時期は
ドープ作製工程において何れで添加しても良いが、ドー
プ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する
工程を加えて行ってもよい。更にまた、各素材の添加量
は、機能が発現する限りにおいて特に限定されない。ま
た、セルロースアシレートフイルムが多層から形成され
る場合、各層の添加物の種類や添加量が異なってもよ
い。例えば、特開平2001−151902号公報など
に記載されている。具体的には、発明協会公開技報20
01−1745、16頁左段の28行目から22頁右段
の下から5行目までに記載のものを挙げることができ
る。
【0034】次に、特に重要な添加剤である剥離剤につ
いて述べる。剥離剤としては水溶液中での酸解離指数p
Kaが1.93〜4.50である多塩基酸の部分エステ
ル体、そのアルカリ金属塩およびそのアルカリ土類金属
塩から選ばれる化合物であることが必要である。「部分
エステル」とは多塩基酸の酸の一部がエステル化された
ものを意味し、例えばクエン酸の場合、クエン酸モノエ
ステル体およびクエン酸ジエステル体を表す。本発明者
は、剥離剤として種々の酸(例えば、シュウ酸、コハク
酸、クエン酸等)を用いてきたが、これらの酸はアルカ
リ金属塩、アルカリ土類金属塩を形成すると溶液中での
析出が起こる。
【0035】以下に、用いられる剥離剤の種類をそのp
Kaとともに示すが、使用可能な剥離剤はこれに限定さ
れない。例えば、脂肪族多価カルボン酸[マロン酸モノ
エチル(2.65)およびモノメチル(2.65)、コ
ハク酸モノプロピル(4.00)、グルタル酸モノメチ
ル(4.13)、アジピン酸モノメチル(4.26)、
ピメリン酸モノエチル(4.31)、アゼライン酸モノ
メチル(4.39)、フマル酸モノブチル(2.85)
など]、オキシカルボン酸[酒石酸モノエチル(2.8
9)およびジエチル(2.82−2.99)、クエン酸
モノエチル(2.87)、クエン酸メチルエチルエステ
ル(2.87)など]、芳香族多価カルボン酸[フタル
酸モノエチル(2.75)、イソフタル酸モノプロピル
(3.50)、テレフタル酸モノブチル(3.54)な
ど]、複素環式多価カルボン酸[2,6−ピリジンジカ
ルボン酸モノエチル(2.09)など]、アミノ酸類
[グルタミン酸モノエチル(2.18)など]を挙げる
ことができる。
【0036】また、上記の剥離剤に、スルホン酸、リン
酸系素材を併用することにより剥離性の改良が期待でき
る。これらはその溶解性の観点から界面活性剤の形であ
ることが好ましい。具体的には、特開昭61−2438
37号公報に記載された素材を好適に用いることができ
る。具体例としては、C1225O−P(=O)−(O
K)2 、C1225OCH2 CH2 O−P(=O)−(O
K)2 、(iso−C9192 −C6 3 −O−(C
2 CH2 O)3 −(CH2 4 SO3 Naが挙げられ
る。
【0037】酸は遊離酸として用いてもよく、アルカリ
金属塩又はアルカリ土類金属塩として用いてもよい。ア
ルカリ金属としては、リチウム、カリウム、ナトリウム
などが例示でき、アルカリ土類金属としては、カルシウ
ム、マグネシウム、バリウム、ストロンチウムなどが例
示できる。好ましいアルカリ金属には、ナトリウムが含
まれ、好ましいアルカリ土類金属には、カルシウム、マ
グネシウムが含まれる。但し、アルカリ金属の方が、ア
ルカリ土類金属よりもより好ましい。これらのアルカリ
金属、アルカリ土類金属はそれぞれ単独で又は二種以上
組み合わせて使用でき、アルカリ金属とアルカリ土類金
属とを併用してもよい。
【0038】前記酸およびその金属塩の総含有量は、剥
離性、透明性などを損なわない範囲、例えば、セルロー
スアシレート1g当たり、1×10-9〜3×10-5
ル、好ましくは1×10-8〜2×10-5モル(例えば、
5×10-7〜1.5×10-5モル)、さらに好ましくは
1×10-7〜1×10-5モル(例えば、5×10-6〜8
×10-6モル)程度の範囲から選択でき、通常、5×1
-7〜5×10-6モル(例えば、6×10-7〜3×10
-6モル)程度である。
【0039】次に、酸中和剤について記載する。酸中和
剤として用いられるものとしては、pKaが4.50以
上のアミン化合物、または実質的に揮散性を持たず、塩
基性基1個当たりの分子量が200以下のアミン化合物
が特に有効でることが明らかになった。
【0040】本発明で用いるアミン化合物について更に
詳細に説明する。本発明で用いるアミン化合物はpKa
4.50以上であるが、本発明の効果の点でpKaが
4.50以上でかつ9.00以下が好ましく、さらに好
ましくは5.00以上でかつ8.00以下である。最も
好ましくはpKaが5.00以上かつ7.00以下のア
ミン化合物である。
【0041】本発明で用いるアミン化合物は親油性の化
合物が好ましく、炭素原子数の総和が8以上が好まし
く、さらに好ましくは15以上である。
【0042】本発明で用いるアミン化合物のうち、好ま
しいものは下記一般式(I)で表される3級アミンであ
り、親油性で、かつpKaが4.50以上の化合物であ
る。
【0043】
【化1】
【0044】式中、R1 、R2 およびR3 は同一でも異
なってもよく、水素原子、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ
環基、またはアミノ基を表す。R1 、R2 およびR3
うちの少なくとも2個の基が互いに結合して5〜8員環
を形成してもよい、またR1とR2 が互いに共同して不
飽和基となり、これとR3 が結合して5〜8員環を形成
してもよい。ただし、R1 、R2 およびR3 が同時に水
素原子であることはない。
【0045】本発明でいう脂肪族基とは、直鎖、分岐ま
たは環状のアルキル基(例えばメチル、エチル、プロピ
ル、i−プロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、t−
ヘキシル、t−オクチル、ドデシル、ヘキサデシル、オ
クタデシル、ベンジル)、アルケニル基(例えばビニ
ル、アリル、2−ペンテニル、シクロヘキセニル、ヘキ
セニル、ドデセニル、オクタデセニル)、アルキニル基
(例えばフロピニル、ヘキサデシニル)を表し、これら
の基は置換基で置換されていてもよい。本発明でいう芳
香族基とは、ベンゼン単環、縮合多環のアリール基(例
えばフェニル、ナフチル、アントラニル)を表す。これ
らの環には置換基を有してもよい。本発明でいうヘテロ
環とは環構成原子として窒素原子、イオウ原子、酸素原
子から選ばれる原子を少なくとも一つ含む5〜7員環状
の基(例えばフリル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジ
ル、プリニル、クロマニル、ピロリジル、モルホリニ
ル)を表す。本発明でいうアミノ基とは単なるアミノ基
であっても、置換基を有するN−置換アミノ基であって
もよい。アミノ基の置換基としては脂肪族基、芳香族
基、ヘテロ環基、アシル基、スルホニル基、スルファモ
イル基およびカルバモイル基等がある。R1 、R2 およ
びR3 のうちの少くとも2個の基が互いに結合して5〜
8員環(例えば、ピロリジン環、イミダゾリン環、イミ
ダゾリジン環、ピラゾリジン環、ピペラジン環、ピペリ
ジン環、モルホリン環、インドリン環、キヌクリジン
環)を形成してもよい。R1 とR2 が互いに共同して不
飽和基となり、これとR3 が結合して5〜8員環(例え
ばピリジン環、キノリン環、プテリジン環、フェナント
ロリン環)を形成してもよい。
【0046】一般式(I)で表される親油性化合物のう
ち、より好ましい化合物はpKaが4.50以上でかつ
9.00以下、さらに好ましくは5.00以上かつ8.
00以下、最も好ましくはpKaが5.00以上でかつ
7.00以下の化合物である。さらに一般式(I)で表
される化合物のうち、さらに好ましいものは一般式(I
I)で表されるpKa4.50以上の親油性化合物であ
る。本発明の一般式(II)で表されるアミン化合物にお
いて、最も好ましい化合物は分子量300以上の実質的
に揮散性を有しないものである。
【0047】
【化2】
【0048】式中、R1 およびR2 は一般式(I)と同
じ基を表す。R21〜R25は同一でも異なってもよく、そ
れぞれ水素原子、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基、脂
肪族オキシ基、ヘテロ環オキシ基、芳香族オキシ基、脂
肪族チオ基、芳香族チオ基、ヘテロ環チオ基、ヒドロキ
シ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換基を有
してよいアミノ基、スルホニル基、アシル基、アシルオ
キシ基、スルファモイル基、カルバモイル基、エステル
基を表す。R1 とR2 、R1 とR25、R2 とR 21または
21〜R25のうちの互いにオルト位にある基が結合し
て、5〜8員環を形成してもよい。
【0049】一般式(II)で表される化合物のうち、よ
り好ましくはpKaが4.50以上でかつ9.00以
下、さらに好ましくは5.00以上でかつ8.00以
下、最も好ましくはpKaが5.00以上でかつ7.0
0以下の化合物である。
【0050】好ましいアミン化合物の具体例としては特
開平5−194789号公報の段落番号0022以降に
示されているA−1〜A−73のうち、pKaが4.5
0以上でかつ9.00以下の値にはいるものが好まし
い。但し、これによって本発明が制限されることはな
い。
【0051】酸中和剤の添加量としては、溶液の安定
性、フイルムの透明性などを損なわない範囲、例えば、
セルロースアシレート1g当たり、1×10-9〜3×1
-5モル、好ましくは1×10-8〜2×10-5モル(例
えば、5×10-7〜1.5×10-5モル)、さらに好ま
しくは1×10-7〜1×10-5モル(例えば、5×10
-6〜8×10-6モル)程度の範囲から選択でき、通常、
5×10-7〜5×10-6モル(例えば、6×10-7〜3
×10-6モル)程度である。
【0052】上述の剥離剤、および酸中和剤は溶液中で
徐々に結合し、析出を起こすことがある。また、剥離剤
は溶液中に含まれるアルカリ土類金属と結合して単独で
も徐々に析出することがある。本発明者らは、剥離剤を
流延前に添加する溶剤中に添加することで、この析出を
防止できることを見いだした。すなわち、第一には、溶
剤中にアルカリ土類金属がないため結合して塩を形成し
ない点、第二に流延前添加溶剤中にはアルコールが多く
含まれるために剥離剤が良好に溶解する点、第三には酸
中和剤と混合されてからの時間が短いために析出が十分
進行しない点が挙げられる。
【0053】セルロースアシレート溶液を用いたフイル
ムの製造方法について述べる。本発明のセルロースアシ
レートフイルムを製造する方法及び設備は、従来セルロ
ーストリアセテートフイルム製造に供する溶液流延製膜
方法及び溶液流延製膜装置が用いられる。溶解タンク
(釜)から調製されたドープ(セルロースアシレート溶
液)をストックタンクで一旦貯蔵し、ドープに含まれて
いる泡を脱泡したり最終調製をする。ドープをドープ排
出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液でき
る加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ド
ープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに
走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延さ
れ、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドー
プ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。得
られるウェブの両端をクリップで挟み、幅保持しながら
テンターで搬送して乾燥し、続いて乾燥装置のロール群
で搬送し乾燥を終了して巻き取り機で所定の長さに巻き
取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせは
その目的により変わる。ハロゲン化銀写真感光材料や電
子ディスプレイ用機能性保護膜に用いる溶液流延製膜方
法においては、溶液流延製膜装置の他に、下引層、帯電
防止層、ハレーション防止層、保護層等のフイルムへの
表面加工のために、塗布装置が付加されることが多い。
【0054】本発明では、得られたセルロースアシレー
ト溶液を、金属支持体としての平滑なバンド上或いはド
ラム上にセルロースアシレート液を流延する。流延方法
として、ドープを加圧ダイから支持体上に均一に押し
出す方法、一旦支持体上に流延されたドープをブレー
ドで膜厚を調節するドクターブレードによる方法、或
いは逆回転するロールで調節するリバースロールコータ
ーによる方法等があるが、の加圧ダイによる方法が好
ましい。加圧ダイにはコートハンガータイプやTダイタ
イプ等があるがいずれも好ましく用いることができ、支
持体の上方設置される。
【0055】溶剤の流延前添加の方法は特に規定されな
いが、流延前のドープの貯蔵タンクに直接添加して攪拌
することで問題なく実施できる。また、インライン添加
の方法も全く規定されないが、例えば、特開平6−13
4933号公報に記載の方法の一方の流延口から溶剤の
みを吐出させることにより実現可能である。流延前に添
加する溶剤中に剥離剤を熔解することで、剥離剤の安定
性、ドープ中での析出、ドープの経時による増粘を防止
することが可能であり、できる限り後添加する溶剤中に
剥離剤を添加することが好ましい。
【0056】本発明では、得られたセルロースアシレー
ト溶液を、金属支持体としての平滑なバンド上或いはド
ラム上に単層あるいは2層以上の複数のセルロースアシ
レート液を共流延する。例えば、複数のセルロースアシ
レート溶液を流延する場合、金属支持体の進行方向に間
隔を置いて設けた複数の流延口からセルロースアシレー
トを含む溶液をそれぞれ流延させて積層させながらフイ
ルムを作製してもよく、例えば特開平11−19828
5号公報などに記載の方法が適応できる。また、2つの
流延口からセルロースアシレート溶液を流延することに
よってフイルム化する方法が挙げられ、特開平6−13
4933号公報に記載の方法で実施できる。また、特開
昭56−162617号公報に記載の高粘度セルロース
アシレート溶液の流れを低粘度のセルロースアシレート
溶液で包み込み、その高、低粘度のセルロースアシレー
ト溶液を同時に押出すセルロースアシレートフイルム流
延方法でもよい。このような共流延を行なうことによ
り、前述の様に表面の乾燥における平滑化が進行するた
め面状の大幅な改良が期待できる。共流延の場合、各層
の厚さは特に限定されないが、好ましくは外部層が内部
層より薄いことが好ましい。その際の外部層の膜厚は、
1〜50μmが好ましく、特に好ましくは1〜30μm
である。ここで、外部層とは、2層の場合はバンド面
(ドラム面)ではない面、3層以上の場合は完成したフ
イルムの両表面側の層を示す。内部層とは、2層の場合
はバンド面(ドラム面)、3層以上の場合は外部層より
内側に有る層を示す。さらにセルロースアシレート溶液
は、他の機能層(例えば、接着層、染料層、帯電防止
層、アンチハレーション層、UV吸収層、偏光層など)
を同時に流延することも実施できる。
【0057】本発明における、外部層、内部層を構成す
る溶液について記載する。単層流延の場合には外部層、
内部層の区別はないが、共流延の場合には前記のように
層を区別して考える。流延によって得られた未乾のフイ
ルムは、金属支持体からの剥離が必要であり、実際に
は、未乾フイルムを冷却してゲル化させ、剥離すること
になる。本発明者の鋭意検討の結果、内部層にアルコー
ル類を多量に添加することにより全体のゲル化が進行し
やすくなり、未乾燥状態での搬送性が向上することが明
らかとなった。しかしながらアルコール添加により液安
定性が低下するため、アルコール添加から直ちに流延す
ることにより、液が白濁、析出する前に製膜を行うこと
ができる。塩素系溶剤では、溶液の安定性に優れるた
め、実際にはアルコール添加から一日以内に流延を行う
ことが好ましいが、添加から流延までの時間としては5
時間以内がより好ましく、30分以内が更に好ましく、
更には10分以内が好ましい。また、流延中にインライ
ンで添加することにより、添加1分以内に流延が行える
ため、インライン添加が最も好ましい。
【0058】共流延の場合、アルコール添加量は内外層
同量であっても問題はないが、内部層のみにアルコール
を添加するか、内部層に多く添加することがフイルム全
体のゲル化適性、面状の観点から好ましい。
【0059】セルロースアシレートフイルムの製造に係
わる金属支持体上におけるドープの乾燥は、乾燥工程に
おける乾燥温度は30〜250℃、特に40〜180℃
が好ましく、特公平5−17844号公報に記載があ
る。更には、積極的に幅方向に延伸する方法もあり、本
発明では、例えば、特開昭62−115035号、特開
平4−152125号、同4−284211号、同4−
298310号、および同11−48271号の各公報
に記載の方法を用いることができる。フイルムの延伸
は、一軸延伸でもよく二軸延伸でもよい。フイルムの延
伸倍率(元の長さに対する延伸による増加分の比率)
は、10〜30%であることが好ましい。
【0060】乾燥後のセルロースアシレートフイルムの
厚さは、使用目的によって異なるが、通常5〜500μ
mの範囲であり、更に20〜250μmの範囲が好まし
く、特に30〜180μmの範囲が最も好ましい。な
お、光学用途としては30〜110μmの範囲が特に好
ましい。フイルム厚さの調製は、所望の厚さになるよう
に、ドープ中に含まれる固形分濃度、ダイの口金のスリ
ット間隙、ダイからの押し出し圧力、金属支持体速度等
を調節すればよい。
【0061】ここで場合により、セルロースアシレート
フイルムの表面処理を行うことによって、セルロースア
シレートフイルムと各機能層(例えば、下塗層およびバ
ック層)との接着の向上を達成することができる。具体
的には、発明協会公開技報2001−1745、32頁
左段の16行目から32頁右段の42行目に記載があ
る。
【0062】用途によっては、セルロースアシレートフ
イルムの少なくとも一層に帯電防止層を設けたり、偏光
子と接着するための親水性バインダー層が設けられるこ
とが好ましい。具体的には、発明協会公開技報2001
−1745、32頁右段の下から12行目から45頁左
段の下から3行目に記載がある。
【0063】セルロースアシレート溶液からなるセルロ
ースアシレートフイルムは、様々な用途で用いることが
できる。具体的には、発明協会公開技報2001−17
45、45頁右段の下から5行目以降に記載されている
「14.用途」の項目を挙げることができる。
【0064】
【実施例】各実施例において、セルロースアシレート、
溶液およびフイルムの化学的性質および物理的性質は、
以下のように測定および算出した。
【0065】[実施例1] (0)セルロースアシレートの置換度(%) 酢化度はケン化法により測定した。乾燥したセルロース
アシレートを精秤し、アセトンとジメチルスルホキシド
との混合溶媒(容量比4:1)に溶解した後、所定量の
1N−水酸化ナトリウム水溶液を添加し、25℃で2時
間ケン化した。フェノールフタレインを指示薬として添
加し、1N−硫酸(濃度ファクター:F)で過剰の水酸
化ナトリウムを滴定した。また、上記と同様の方法によ
り、ブランクテストを行った。そして、下記式に従っ
て、まず仮の酢化度を算出した。 仮の酢化度=(6.005×(B−A)×F)/W 式中、Aは試料の滴定に要した1N−硫酸量(ml)、
Bはブランクテストに要した1N−硫酸量(ml)、F
は1N−硫酸のファクター、Wは試料質量を示す。尚、
複数のアシル基を含有する系では、そのpKaの差を使
って、各アシル基の量を求めた。また、公知文献(T.Se
i,K.Ishitani,R.Suzuki,K.Ikematsu Polymer Journal 1
7 1065(1985))に記載の方法によっても同様に求め、そ
の値が正しいことを別途確認した。さらに、これらによ
り求められた仮の酢化度、その他のアシル基の量からモ
ル分子量を考慮して置換度に換算した。
【0066】(1)セルロースアシレートの粘度平均重
合度(DP) 絶乾したセルロースアシレート約0.2gを精秤し、メ
チレンクロリド:エタノール=9:1(質量比)の混合
溶剤100mlに溶解した。これをオストワルド粘度計
にて25℃で落下秒数を測定し、重合度を以下の式によ
り求めた。 ηrel=T/T0 T: 測定試料の落下秒数 [η]=(1nηrel)/C T0:溶剤単独の落下秒数 DP=[η]/Km C: 濃度(g/l) Km:6×10-4
【0067】(2)溶液の安定性 得られた溶液またはスラリーの状態を常温(23℃)で
20日間静置保存したまま観察し、以下のA、B、C、
Dの4段階に評価した。製造に於ける安定性評価である
ことを考慮し、アルコールを添加していない溶液は添加
をしないものの安定性を評価した。 A:透明性と液均一性を示す。 B:若干の溶け残りがある、または少し白濁が見られ
る。 C:明らかな溶け残りがある、または溶液がゲル化して
いる。 D:液は膨潤・溶解が見られず不透明性で不均一な溶液
状態である。
【0068】(3)溶液の粘度 作製したセルロースアシレート溶液の0℃および50℃
における見掛け粘度は、Cone−plate型のセン
サを用い、Rheometer(TA Instruments社製)
にて測定した。
【0069】(4)フイルム面状 フイルムを目視で観察し、その面状を以下の如く評価し
た。 A:フイルム表面は平滑であり、きわめて面状が良好で
ある。 B:フイルム表面は平滑であるが、まれに凹凸が認めら
れる。 C:フイルム表面は平滑であるが、弱い凹凸が比較的多
数見られる。 D:フイルム全面に弱い凹凸が認められる。 E:フイルムに強い凹凸が見られ、異物が見られる。
【0070】(5)フイルムのヘイズ ヘイズ計(1001DP型、日本電色工業(株)製)を
用いて測定した。
【0071】(6)フイルムの剥げ残り 得られたフイルムを金属支持体から剥ぎ取る際の支持体
表面を目視で観察し、セルロースアシレートフイルムの
剥げ残りを以下の如く評価した。 A:金属支持体に剥げ残りは認められない。 B:金属支持体に剥げ残りがわずかに認められた。 C:金属支持体に剥げ残りがかなり認められた。 D:金属支持体に剥げ残りが多量認められた。
【0072】(7)フイルムのブツ(ブツと略称) 得られたフイルムを目視で観察し、その表面上のブツを
以下の如く評価した。 A:フイルム表面にブツは認められなかった。 B:フイルム表面にブツがわずかに認められた。 C:フイルム表面にかなりのブツが認められた。 D:フイルム表面に凹凸が見られ、ブツが多数認められ
た。
【0073】(1−1)セルロースアシレート溶液の作
製 下記の2種の溶解方法にてセルロースアシレート溶液を
作製した。各本発明および比較例の詳細な溶剤組成につ
いては、第1表に記載した。なお、可塑剤A(ジトリメ
チロールプロパンテトラアセテート)、可塑剤B(トリ
フェニルフォスフェート)、UV剤a(2,4−ビス−
(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5
−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジ
ン)、UV剤b(2(2’−ヒドロキシ−3’,5‘−
ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリア
ゾール)、UV剤c(2(2’−ヒドロキシ−3’,5
‘−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロルベンゾト
リアゾール)、微粒子(二酸化ケイ素(粒径20n
m)、モース硬度:約7)を、それぞれセルロースアシ
レートの6質量%、6質量%、0.5質量%、0.5質
量%、0.5質量%、0.5質量%添加した。また、剥
離剤として、クエン酸モノメチルエステルをセルロース
アシレートに対して質量で2000ppmの割合で添加
した(但し、重層の場合には、金属支持体と接する外部
層にのみクエン酸モノメチルエステルを添加した)。
尚、本発明における共流延の内部層、外部層を形成する
液としてはアルコールを含まないでセルロースアシレー
ト溶液を作製し、直前または第1表に示す時間となるよ
うにアルコールを添加した。詳細は第1表に合わせて示
した。
【0074】(1−1a)冷却溶解(第1表に「冷却」
と記載) 溶剤中に、よく攪拌しつつ第1表記載のセルロースアシ
レートを徐々に添加し、室温(25℃)にて3時間放置
し膨潤させた。得られた膨潤混合物をゆっくり撹拌しな
がら、−8℃/分で−30℃まで冷却、その後第1表記
載の温度まで冷却し6時間経過した後、+8℃/分で昇
温し内容物のゾル化がある程度進んだ段階で、内容物の
撹拌を開始した。50℃まで加温しドープを得た。
【0075】(1−1b)高圧高温溶解(第1表に「高
温」と記載) 溶剤中に、よく攪拌しつつ第1表記載のセルロースアシ
レートを徐々に添加し、室温(25℃)にて3時間放置
し膨潤させた。得られた膨潤混合物を、二重構造のステ
ンレス製密閉容器に入れた。容器の外側のジャケットに
高圧水蒸気を通すことで+8℃/分で加温し1Mpa
下、第1表に記載の温度で5分間保持した。この後外側
のジャケットに50℃の水を通し−8℃/分で50℃ま
で冷却し、ドープを得た。
【0076】(1−2)セルロースアシレート溶液の濾
過 次に、得られたドープを50℃にて、絶対濾過精度0.
01mmの濾紙(東洋濾紙(株)製、#63)で濾過
し、さらに絶対濾過精度0.0025mmの濾紙(ポー
ル社製、FH025)にて濾過した。
【0077】(1−3)(1−2)の溶液を特開昭56
−162617号公報に記載の流延機を用いて流延し、
120℃の環境下で30分乾燥して溶剤を蒸発させセル
ロースアシレートフイルムを得た。層構成は、本発明に
おいては二層または三層であり、二層ではバンド面から
内部層/外部層の構成、三層では外部層/内部層/外部
層のサンドイッチ型構成であった。詳細は第1表に示し
た。また、一部の実施例については、インラインでアル
コールを添加し、流延直前で溶液を作製した。この系で
は、アルコール添加から1分以内に流延が行われている
ことになる(表中には「インライン」と記載)なお、同
時調液とはアルコールを含めた全容剤を同時に仕込むこ
とであり、バッチとはアルコール以外の溶剤で仕込みを
行った後に、アルコールのみを後添加することを意味し
ている。
【0078】
【表1】
【0079】(1−4)結果 得られたセルロースアシレートの溶液およびフイルムを
上述の項目に従って評価した。評価結果を第2表に示
す。本発明1〜5で作製したセルロースアシレート溶液
およびフイルムは、フイルムの機械物性、光学物性にお
いて特に問題は認められなかった。一方、比較例1、2
は液の不溶化が起こっており、溶液の安定性、フイルム
の面状、フイルムブツ、ヘイズに問題が認められた。比
較例3ではさらに剥離性が不良であり、剥げ残りが認め
られた。比較例4では液の安定性は問題なかったが、ゲ
ル化適性が不足であり、高速流延不能であった。
【0080】
【表2】
【0081】[実施例2]実施例1のセルロースアシレ
ート溶液の作製において、第3表のように、使用するセ
ルロースアシレート、溶剤組成、剥離剤、中和剤等を用
いた以外は同様にしてフイルムを作製し、評価を行っ
た。得られたセルロースアシレートの溶液およびフイル
ムを上述の項目に従って評価した。
【0082】
【表3】
【0083】
【表4】
【0084】評価結果を第4表に示す。本発明1〜7で
作製したセルロースアシレート溶液およびフイルムは、
フイルムの機械物性、光学物性において特に問題は認め
られなかった。一方、比較例1、2は液の不溶化が起こ
っており、溶液の安定性、フイルムの面状、フイルムブ
ツ、ヘイズに問題が認められた。比較例3ではさらに剥
離性が不良であり、剥げ残りが認められた。比較例4で
は液の安定性は問題なかったが、ゲル化適性が不足であ
り、高速流延不能であった。
【0085】
【表5】
【0086】[実施例3]実施例1のセルロースアシレ
ート溶液の作製において、第5表のように、使用するセ
ルロースアシレート、溶剤組成、剥離剤等を用いた以外
は同様にしてフイルムを作製し、評価を行った。尚、本
発明における共流延の内部層を形成する液としてはアル
コールを含まないでセルロースアシレート溶液を作製
し、直前または第5表に示す時間となるようにアルコー
ルを添加した。外部層を形成する液も同様にアルコール
を含まない形で溶液を作製しているが、一部の液は同時
調整を行った。詳細は第5表に合わせて示した。得られ
たセルロースアシレートの溶液およびフイルムを上述の
項目に従って評価した。
【0087】
【表6】
【0088】
【表7】
【0089】
【表8】
【0090】本発明1〜6で作製したセルロースアシレ
ート溶液およびフイルムは、フイルムの機械物性、光学
物性において特に問題は認められなかった。一方、比較
例1は溶液の安定性、フイルム面状に問題が認められ
た。比較例2では溶液の安定性は良好であるものの、剥
離性が不良であり得られたフイルムの面状は不良であっ
た。比較例3、4では内部層の溶液安定性が不良のため
フイルムのブツが不良であった。比較例4は更に剥離性
も不良であり面状は極めて悪いものであった。
【0091】
【表9】
【0092】また、これらのフイルムを、製膜工程中の
乾燥工程中にオンラインで、あるいはその後オフライン
で130℃にて10%〜30%MD、さらに10%〜3
0%TD延伸延伸した。これらは、延伸倍率に比例し4
0nm〜160nmにレターデーションを増加させるこ
とができた。このようにして得たセルロースアシレート
フイルムを、特開平10−48420号公報の実施例1
に記載の液晶表示装置、特開平9−26572号公報の
実施例1に記載のディスコティック液晶分子を含む光学
的異方性層、ポリビニルアルコールを塗布した配向膜、
特開2000−154261号公報の図2〜9に記載の
VA型液晶表示装置、特開2000−154261号公
報の図10〜15に記載のOCB型液晶表示装置に用い
たところ、良好な性能が得られた。さらに、特開昭54
−016575号公報に記載の偏光板として用いたとこ
ろ、良好な性能が得られた。
【0093】
【発明の効果】セルロースアシレートを実質的に塩素系
溶剤から構成される単独または複数の溶剤に溶解後、流
延製膜することを特徴とするセルロースアシレートフイ
ルムの製造方法であって、該セルロースアシレート溶液
が少なくとも5乃至40質量%のアルコールを含有し、
該アルコール添加を流延から一日以内に行うことを特徴
とするセルロースアシレートフイルムの製造方法によ
り、金属支持体からの剥離性および高速製造適性に優れ
たセルロースアシレート溶液を提供し、かつ面状の優れ
たセルロースアシレートフイルムの製造方法を提供でき
た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // B29K 1:00 B29K 1:00 B29L 7:00 B29L 7:00 C08L 1:12 C08L 1:12 Fターム(参考) 2H023 FA01 FA13 2H049 BA02 BB33 BC09 BC22 4F071 AA09 AH12 AH19 BB02 BC01 4F205 AA01 AB06 AB07 AB11 AB14 AC05 AG01 AG03 AH73 GA07 GB02 GB26 GC02 GC07 GE22 GE24 GF02

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも1つ以上のセルロースアシレ
    ート溶液を調製後、流延製膜するセルロースアシレート
    フイルムの製造方法であって、セルロースアシレート溶
    液が実質的に塩素系溶剤から構成される溶剤にセルロー
    スアシレートを溶解したものであり、流延されるセルロ
    ースアシレート溶液のうち少なくとも1つ以上の溶液が
    塩素系溶剤の他に少なくともアルコールを含有し、少な
    くとも1つのセルロースアシレート溶液へのアルコール
    の添加が流延前の24時間以内に行なわれることを特徴
    とするセルロースアシレートフイルムの製造方法。
  2. 【請求項2】 アルコールの添加量が、その溶液の全溶
    剤に対して2乃至40質量%の範囲にあることを特徴と
    する請求項1に記載のセルロースアシレートフイルムの
    製造方法。
  3. 【請求項3】 アルコールが、炭素原子数6以下の脂肪
    族系アルコールであることを特徴とする請求項1もしく
    は2に記載のセルロースアシレートフイルムの製造方
    法。
  4. 【請求項4】 アルコールの添加をインライン添加で行
    うことを特徴とする請求項1乃至3のうちのいずれかの
    項に記載のセルロースアシレートフイルムの製造方法。
  5. 【請求項5】 溶液を構成するアルコールが複数のアル
    コールからなり流延前の24時間以内に添加されるアル
    コールの炭素数の方が、調液時に添加されるアルコール
    の炭素数よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至4
    のうちのいずれかの項に記載のセルロースアシレートフ
    イルムの製造方法。
  6. 【請求項6】 セルロースアシレート溶液の溶剤が実質
    的にメチレンクロリドまたは/およびクロロホルムから
    なることを特徴とする請求項1乃至5のうちのいずれか
    の項に記載のセルロースアシレートフイルムの製造方
    法。
  7. 【請求項7】 流延が、共流延法により行われ、内部層
    の溶液及び外部層の溶液の両方にアルコールを添加する
    ことを特徴とする請求項1乃至6のうちのいずれかの項
    に記載のセルロースアシレートフイルムの製造方法。
  8. 【請求項8】 流延が、共流延法により行われ、内部層
    のみにアルコールを流延前添加するか、または外部層に
    対して内部層へのアルコール添加量が1.05倍乃至
    6.0倍であることを特徴とする請求項1乃至7のうち
    のいずれかの項に記載のセルロースアシレートフイルム
    の製造方法。
  9. 【請求項9】 セルロースアシレートフイルムが二層以
    上の多層構造を有し、該セルロースアシレートフイルム
    の少なくとも一方の側の外部層の乾燥膜厚が1〜50μ
    mの範囲にあることを特徴とする請求項1乃至8のうち
    のいずれかの項に記載のセルロースアシレートフイルム
    の製造方法。
  10. 【請求項10】 流延が共流延法により行われ、各層を
    同時に流延製膜することを特徴とする請求項1乃至9の
    うちのいずれかの項に記載のセルロースアシレートフイ
    ルムの製造方法。
  11. 【請求項11】 セルロースアシレート溶液が、可塑
    剤、紫外線吸収剤、微粒子粉体、離型剤、中和剤、劣化
    防止剤および光学異方性コントロール剤から選択される
    少なくとも一つの添加剤を含有する請求項1乃至10の
    うちのいずれかの項に記載のセルロースアシレートフイ
    ルムの製造方法。
  12. 【請求項12】 酸中和剤が、pKaが4.50以上の
    アミン化合物、または、実質的に揮散性を持たず、塩基
    性基1個当たりの分子量が200以下のアミン化合物で
    あることを特徴と特徴とする請求項11に記載のセルロ
    ースアシレートフイルムの製造方法。
  13. 【請求項13】 金属支持体と接する外部層のみに剥離
    剤を含有することを特徴とする請求項1乃至12のうち
    のいずれかの項に記載のセルロースアシレートフイルム
    の製造方法。
  14. 【請求項14】 該セルロースアシレートのアシル置換
    度が2.75乃至2.95の範囲にあり、6位アシル置
    換度が0.92以上であることを特徴とする請求項1乃
    至13のうちのいずれかの項に記載のセルロースアシレ
    ートフイルムの製造方法。
  15. 【請求項15】 請求項1乃至14のうちのいずれかの
    項に記載の製造方法で製造されたセルロースアシレート
    フイルムから形成されたことを特徴とする偏光板保護
    膜。
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