JP2006095971A - セルロースエステルフィルムの製造方法 - Google Patents

セルロースエステルフィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 特に偏光板用保護フィルム及び位相差フィルムに有用なセルロースエステルフィルムの溶液流延製膜法による製造方法であって、流延支持体表面へのカルシウム及びマグネシウム化合物の析出及びこれらが蓄積した付着物(汚れ)の発生を防止する。偏光板の保護フィルムに適した品質の良いセルロースエステルフィルムを、きわめて生産性よく製造する。
【解決手段】 セルロースエステルのドープの作製後に、ドープを溶剤沸点より5℃以下の低い温度にしてから24時間以内に支持体上にドープを流延する。無限移行する無端の支持体のウェブ剥離点から、再びドープを流延する流延地点までの支持体表面近傍の空間に、ウェブを剥離した直後の支持体温度より2℃から10℃の範囲内で低い水露点に制御した風を供給し、かつウェブを支持体から剥離した後、再び支持体上にドープを流延までの時間を1〜5秒とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、液晶表示装置あるいは有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ等の各種の表示装置に有用な光学フィルムに用いられるセルロースエステルフィルム、特にこれらの表示装置に用いられる偏光板用保護フィルム及び位相差フィルムに有用なセルロースエステルフィルムの製造方法に関する。
従来、光学フィルムとしてのセルロースエステルフィルムは、一般に、溶液流延製膜法により製造されている。この方法は、まず、セルロースエステルを、例えばメチレンクロライド等のセルロースエステルに対する良溶媒と、例えばメタノール、エタノール、ブタノールあるいはシクロヘキサン等のセルロースエステルに対する貧溶媒とを加えた混合溶媒に溶解し、これに可塑剤や紫外線吸収剤を添加して、セルロースエステル溶液(以下、ドープとも呼ぶ)を調製し、ドープを、鏡面処理された表面を有する無限移行する無端の金属支持体(例えばベルトあるいはドラム、以下、支持体とも呼ぶ)上に流延ダイから均一に流延し、支持体上で溶媒を蒸発させ、ドープ膜(以下、ウェブとも呼ぶ)が固化した後、これを剥離ロールで剥離し、これを移送ロールで移送し、さらに乾燥装置あるいはテンターを通して乾燥させ、セルロースエステルフィルムを得るものである。
ところで、セルロースエステルフィルムの原料となるセルロースエステル(以下、酢綿と呼ぶ)は、パルプ及び綿から作られているが、どちらも気象状況などの影響を受けて品質にばらつきを生じやすい。また、酢綿への反応過程で用いられる添加物や水質の影響も受け、酢綿の結晶に含まれる成分は変化している。酢綿に含まれる微量成分では、特にカルシウム及びマグネシウムが多く、これらの元素は酢綿の中において硫酸塩、蓚酸塩として存在していると考えられている。
しかしながら、このようなセルロースエステル原料を用いて、従来の溶液流延製膜法によりセルロースエステルフィルムを製造すると、支持体の表面上に付着物(汚れ)が蓄積し、支持体からのウェブ(ドープ膜)の剥離性が極端に悪化するとともに、フィルムのベース自体のヘイズも大幅に上昇して、フィルム製品として使えなくなってしまうという問題があった。また、このような支持体の表面上に析出して蓄積した付着物(汚れ)を清掃で拭き取ろうとすると、付着物の析出結晶で支持体表面に傷が付くという問題があった。
本発明者は、上記の点に鑑み鋭意研究を重ねた結果、セルロースエステルフィルムの原料となる酢綿中に、上記のカルシウム及びマグネシウムの元素の化合物が多く含まれると、これらの元素の化合物が、ドープを流延する支持体の表面上に経時的に析出して、付着物(汚れ)として蓄積していくことを見い出した。
ここで、従来の偏光板用保護フィルムに用いられるセルロースエステルフィルム中に含まれるカルシウム及びマグネシウムに関わる先行特許文献には、つぎのようなものがある。
特開2000−313766号公報 本出願人は、先に、セルロースエステルフィルム中に含有されるカルシウム及びマグネシウムの量を規定したセルロースエステルフィルムの発明を提案した。 特開2000−314811号公報 また本出願人は、先に、液晶ディスプレイなどの偏光板の保護フィルムに適したセルロースエステルフィルムを含む光学フィルムの発明であって、光学フィルムに含有されるカルシウム及びマグネシウムの量を規定した発明を提案した。
しかしながら、上記特許文献1に記載の発明は、セルロースエステルフィルム中に含有されるカルシウム及びマグネシウムの量を規定することにより、偏光板用保護フィルムに用いられるセルロースエステルフィルムの輝点異物、特に偏光板の直交状態(クロスニコル状態)下で観察される輝点異物といわれる異物を減少させるというものであった。
また、上記特許文献2に記載の発明は、特に光学フィルムに含有されるカルシウム及びマグネシウムの量を規定することにより、フィルムの面品質及び光学的等方性の問題を改良すること、フィルムの加工性の改善、とりわけカッティング特性を改善するというものであった。
しかし、このように、セルロースエステルフィルムに含有されるカルシウム及びマグネシウムの量を規定しても、酢綿中のカルシウムやマグネシウムの含有量は極めて微量であることから、酢綿の製造工程におけるこれらの元素の低減化は、極めて困難であるという問題があった。
なお、従来より、溶液流延製膜法によるセルロースエステルフィルムの製造において、セルロースエステルを溶解する溶媒を、セルロースエステル中に微量に含まれるカルシウム及びマグネシウムの溶解度で規定した技術は、見当たらない。
本発明の目的は、上記の従来技術の問題を解決し、溶液流延製膜法によりセルロースエステルフィルムを製造する方法において、流延支持体表面へのカルシウム及びマグネシウム化合物の析出及びこれらが蓄積した付着物(汚れ)の発生を防止することができて、偏光板の保護フィルムに適した品質の良いセルロースエステルフィルムを、きわめて生産性よく製造し得る、セルロースエステルフィルムの製造方法を提供しようとすることにある。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明によるセルロースエステルフィルムの製造方法は、カルシウム及びマグネシウムのいずれかもしくは両方が、合計でセルロースエステル重量の5〜100ppm含まれるセルロースエステルを溶剤と混合した後、溶剤沸点より10℃以上高い温度に加温し、セルロースエステルを溶剤に溶解させてドープを作製し、その後ドープを、溶剤沸点より5℃以下の低い温度になるまで冷却してから、鏡面処理された表面を有する無限移行する無端の支持体(ベルトあるいはドラム、以下、支持体とも呼ぶ)上に流延し、支持体上で溶剤を蒸発させ、ドープ膜(以下、ウェブとも呼ぶ)が固化した後、これを剥離ロールで剥離し、これを移送ロールで移送し、さらに乾燥させることよりなる溶液流延製膜法によるセルロースエステルフィルムの製造方法において、ドープの作製後に、ドープを溶剤沸点より5℃以下の低い温度にしてから24時間以内に支持体上にドープを流延することを特徴とものである。
つぎに、請求項2の発明によるセルロースエステルフィルムの製造方法は、上記請求項1記載のセルロースエステルフィルムの製造方法であって、無限移行する無端の支持体のウェブ剥離点から、再びドープを流延する流延地点までの支持体表面近傍の空間に、ウェブを剥離した直後の支持体温度より2℃から10℃の範囲内で低い水露点に制御した風を供給するとともに、ウェブを支持体から剥離した後、再び支持体上にドープを流延までの時間を1〜5秒とすることを特徴とするものである。
請求項1の発明によれば、溶液流延製膜法によるセルロースエステルフィルムの製造方法において、ドープの作製後に、ドープを溶剤沸点より5℃以下の低い温度にしてから24時間以内に支持体上にドープを流延しているから、カルシウム及びマグネシウムを多く含む酢綿を使用しても、支持体表面へのカルシウム及びマグネシウム化合物の析出及びこれらが蓄積した付着物(汚れ)の発生を防止することができて、偏光板の保護フィルムに適した品質の良いセルロースエステルフィルムを、きわめて生産性よく製造し得るという効果を奏する。
請求項2の発明によれば、支持体のウェブ剥離点から、再びドープを流延する流延地点までの支持体表面近傍の空間に、ウェブを剥離した直後の支持体温度より2℃から10℃の範囲内で低い水露点に制御した風を供給することで、支持体表面への水分子の凝縮を防ぎ、それによってカルシウム及びマグネシウムの析出を防ぐことができる。また、ウェブを支持体から剥離した後、再び支持体上にドープを流延までの時間を1〜5秒としているから、支持体表面への水の凝縮する時間を与えず、コンデンスを防ぎ、それによりカルシウム及びマグネシウムの析出を抑制することができる。従って結局、支持体表面へのカルシウム及びマグネシウム化合物の析出及びこれらが蓄積した付着物(汚れ)の発生をより一層防止することができ、偏光板の保護フィルムに適した品質の良いセルロースエステルフィルムを、さらに生産性よく製造し得るという効果を奏する。
つぎに、本発明の実施の形態を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明のセルロースエステルフィルムの製造方法において使用するセルロースエステルとしては、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートプロピオネートブチレートなどが好ましく用いられる。セルローストリアセテートの場合は、特に重合度250〜400、結合酢酸量が54〜62.5%のセルローストリアセテートが好ましく、結合酢酸量が58〜62.5%がベース強度が強くより好ましい。特に好ましくは総アシル基置換度2.85未満のセルロースエステルである。
セルロースアセテートプロピオネートの場合は、アセチル基の置換度1.75から2.15かつプロピオニル基の置換度0.60から0.80が好ましい。このようなセルロースアセテートプロピオネートは、セルロースの水酸基を無水酢酸及び/又は無水プロピオン酸を用いて常法の反応によりアセチル基及び/又はプロピオニル基を上記の範囲内で置換することで得られる。アセチル基及び/又はプロピオニル基の置換度の測定方法は、ASTM−D817−96により測定することができる。アセチル基とプロピオニル基の置換度の好ましい範囲は、それぞれ1.75から1.95、0.61から0.76の範囲である。
セルローエステルは綿花リンターから合成されたセルローエステルと木材パルプから合成されたセルロースエステルのどちらかを単独あるいは混合して用いることができる。
本発明のセルロースエステルの具体的な製造方法については、例えば特開平10−45804号公報に記載されている方法により合成できる。
本発明において、セルロースエステルの数平均分子量は、低すぎると強度が低くなり、高すぎると溶液の粘度が高くなりすぎる場合があるので、70000〜300000が好ましく、さらに70000〜250000が好ましい。
エンドレスベルトやドラムからの剥離性が良い綿花リンターから合成されたセルロースエステルを多く使用した方が生産性効率が高く好ましい。綿花リンターから合成されたセルロースエステルの比率が60質量%以上で、剥離性の効果が顕著になるため60質量%以上が好ましく、より好ましくは85質量%以上、さらには、単独で使用することが最も好ましい。
本発明において、機械的強度や寸法安定性等の点から可塑剤を添加することが好ましく、その添加量としては、セルロースエステルフィルムあるいはセルロースをアセチル基及び炭素原子数3〜4のアシル基でアシル化したセルロースエステルフィルムに対する質量%で、3〜30質量%にすることが好ましく、10〜30質量%がより好ましく、15〜25質量%が特に好ましい。一般に、可塑剤添加量が増加すると寸法変化し易くなるが、本発明によれば寸法変化率を著しく低減させることができる。
本発明で用いることのできる可塑剤としては特に限定しないが、リン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸系可塑剤、グリコレート系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤などを好ましく用いることができる。
リン酸エステル系では、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等、フタル酸エステル系では、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ブチルベンジルフタレート等、トリメリット酸系可塑剤として、トリブチルトリメリテート、トリフェニルトリメリテート、トリエチルトリメリテート等、ピロメリット酸エステル系可塑剤として、テトラブチルピロメリテート、テトラフェニルピロメリテート、テトラエチルピロメリテート等、グリコール酸エステル系では、トリアセチン、トリブチリン、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等、クエン酸エステル系可塑剤として、トリエチルシトレート、トリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリ−n−(2−エチルヘキシル)シトレート等を好ましく用いることができる。ポリエステル系可塑剤として脂肪族二塩基酸、脂環式二塩基酸、芳香族二塩基酸等の二塩基酸とグリコールの共重合ポリマーを用いることができる。脂肪族二塩基酸としては特に限定されないが、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸などを用いることができる。
グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコールなどを用いることができる。これらの二塩基酸及びグリコールはそれぞれ単独で用いても良いし、二種以上混合して用いても良い。ポリエステルの分子量は重量平均分子量で500〜2000の範囲にあることが、セルロース樹脂との相溶性の点から好ましい。
また、本発明では特に200℃における蒸気圧が1333Pa未満の可塑剤を用いることが好ましく、より好ましくは蒸気圧666Pa以下、さらに好ましくは1〜133Paの化合物である。不揮発性を有する可塑剤は特に限定されないが、例えばアリーレンビス(ジアリールホスフェート)エステル、リン酸トリクレシル、トリメリット酸トリ(2−エチルヘキシル)等が上げられる。
これらの可塑剤は単独あるいは2種以上併用して用いることができる。
本発明において、セルロースエステルフィルムには、液晶材料の保護などのために紫外線吸収剤を用いることが好ましく、紫外線吸収剤としては、液晶の劣化防止の点より波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の点より波長400nm以上の可視光の吸収が可及的に少ないものが好ましく用いられる。
本発明では、膜厚が20〜250μmのフィルムにおいて、波長370nmでの透過率を10%以下にすることによって偏光板の耐久性を劣化させることなく好ましい偏光板を提供することができる。波長370nmの透過率は5%以下であることがより好ましく、2%以下であることが特に好ましい。
本発明において、セルロースエステルフィルムに添加される紫外線吸収剤は、分子内に芳香族環を2つ以上有する紫外線吸収剤が、特に好ましく用いられる。
一般に用いられるものとしては、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などがあげられるが、これらに限定されない。あるいは、特開平6−148430号公報、特開2000−273437号公報記載の高分子紫外線吸収剤も好ましく用いることができる。
本発明においてはこれら紫外線吸収剤を単独で用いても良いし、異なる2種以上の混合で用いても良い。
本発明で好ましく用いられる紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やベンゾフェノン系紫外線吸収剤等である。不要な着色がより少ないベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤をセルロースエステルフィルムに添加するという態様が特に好ましい。
紫外線吸収剤の添加方法はアルコールやメチレンクロライド、ジオキソランなどの有機溶媒に紫外線吸収剤を溶解してからドープに添加するか、または直接ドープ組成中に添加してもよい。無機粉体のように有機溶剤に溶解しないものは、有機溶剤とセルロースエステル中にデゾルバーやサンドミルを使用し、分散してからドープに添加する。
本発明に好ましく用いられる紫外線吸収剤の使用量は紫外線の吸収効果、透明性の観点からセルロースエステルに対する質量%で、0.1〜5質量%であることが好ましく、より好ましくは、0.5〜2.5質量%、さらに好ましくは0.8〜2.0質量%である。
本発明において、セルロースエステルフィルム中には、下記の一般式(1)で表わされるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が含有されることが好ましい。
Figure 2006095971
式中、R1、R2、R3、R4及びR5は同一又は異ってもよく、水素原子、ハロゲン原子(塩素、臭素、沃素、フッ素等の各原子)、ニトロ基、ヒドロキシル基、アルキル基(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、アミノプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、クロロブチル、n−アミル、iso−アミル、ヘキシル、オクチル、ノニル、ステアリルアミドブチル、デシル、ドデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、シクロヘキシル、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピルなどの各基)、アルケニル基(例えば、ビニル、アリル、メタアリル、ドデセニル、トリデセニル、テトラデセニル、オクタデセニルなどの各基)、アリール基(例えばフェニル、4−メチルフェニル、4−エトキシフェニル、2−ヘキソキシフェニル、3−ヘキソキシフェニルなどの各基)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、クロロブトキシ、デコキシ、ジアミノフェノキシ、エトキシ、ペンタデコキシ、オクタデコキシなどの各基)、オキシカルボニル基(例えば、カルボメトキシ、カルボブトキシ、カルボヘキソキシ、カルボペンタデコキシなどの各基)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、4−メチルフェノキシ、2−プロピルフェノキシ、3−アミルフェノキシなどの各基)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオ、t−ブチルチオ、t−オクチルチオ、ベンジルチオなどの各基)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ、メチルフェニルチオ、エチルフェニルチオ、メトキシフェニルチオ、エトキシフェニルチオ、ナフチルチオなどの各基)、モノ又はジアルキルアミノ基(例えば、N−エチルアミノ、N−t−オクチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N,N−ジ−t−ブチルアミノなどの各基)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、メタンスルホニルアミノなどの各基)、酸素原子又は窒素原子を含む5又は6員の複素環残基(例えば、ピペリジノ、モルホリノ、ピロリジノ、ピペラジノなどの複素環残基)を示し、R4はR5と共に炭素原子からなる5又は6員環を形成してもよい。
上記の一般式(1)において、R1〜R5で示される置換基は、炭素数5〜36を有するものであることが好ましく、アルキル基は炭素数1〜18であることが好ましい。
つぎに、上記一般式で表される化合物例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1−1)2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−ブチルフェニル)−ベンゾトリアゾール
(1−2)2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)−ベンゾトリアゾール
(1−3)2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール
(1−4)2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール
(1−5)2−(2′−ヒドロキシ−5′−イソオクチルフェニル)−ベンゾトリアゾール
(1−6)2−(2′−ヒドロキシ−5′−n−オクチルフェニル)−ベンゾトリアゾール
(1−7)2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−アミルフェニル)−ベンゾトリアゾール
(1−8)2−(2′−ヒドロキシ−5′−ドデシルフェニル)−ベンゾトリアゾール
(1−9)2−(2′−ヒドロキシ−5′−ヘキサデシルフェニル)−ベンゾトリアゾール
(1−10)2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−アミル−5′−ベンゾフェニル)−ベンゾトリアゾール
なお、本発明においては、上記の化合物を含めて本出願人による特開昭60−128434号公報第10頁〜第12頁に記載されている化合物例の(IV−1)〜(IV−39)を用いることができる。本発明に用いられる上記のベンゾトリアゾール系化合物は、例えば特公昭44−29620号公報に記載の方法、又はそれに準じた方法により容易に合成することができる。
また、本発明において、セルロースエステルフィルムには、必要に応じてマット剤として酸化珪素のような微粒子などを加えても支障はない。酸化珪素のような微粒子は有機物によって表面処理されていることが、フィルムのヘイズを低下できるため好ましい。表面処理で好ましい有機物としては、ハロシラン類、アルコキシシラン類、シラザン、シロキサンなどがあげられる。微粒子の平均径が大きい方がマット効果は大きく、平均径の小さい方は透明性に優れるため、好ましい微粒子の一次粒子の平均径は5〜50nmでより好ましくは7〜14nmである。
酸化珪素の微粒子としてはアエロジル(株)製のAEROSIL 200、200V、300、R972、R972V、R974、R202、R812,OX50、TT600などがあげられ、好ましくはAEROSIL 200、200V、R972、R972V、R974、R202、R812などがあげられる。
本発明において、溶液流延製膜法によるセルロースエステルフィルムの製造には、特に制限はなく、当業界で一般に用いられている方法でよい。例えば米国特許2,492,978号公報、同2,739,070号公報、同2,739,069号公報、同2,492,977号公報、同2,336,310号公報、同2,367,603号公報、同2,607,704号公報、英国特許64,071号公報、同735,892号公報、特公昭45−9074号公報、同49−4554号公報、同49−5614号公報、同60−27562号公報、同61−39890号公報、同62−4208号公報等に記載の方法を参考にすることができる。
本発明において、セルロスエステルの溶解には、単独溶媒もしくは混合溶媒のどちらでもよいが、セルロースエステルの良溶剤と貧溶剤を混合して使用することが生産効率の点で好ましく、良溶剤が多い方がセルロースエステルの溶解性の点で好ましい。良溶剤と貧溶剤の混合比率の好ましい範囲は、良溶剤が70〜98質量%であり、貧溶剤が30〜2質量%である。
本発明に用いられる良溶剤、貧溶剤とは、使用するセルロースエステルを単独で溶解するものを良溶剤、単独で膨潤するかまたは溶解しないものを貧溶剤と定義している。そのため、セルロースエステルの平均酢化度によっては、良溶剤、貧溶剤が変わり、例えばアセトンを溶剤として用いるときには、セルロースエステルの結合酢酸量55%では良溶剤になり、結合酢酸量60%では貧溶剤となってしまう。
本発明に用いられる良溶剤としては、特に限定されないが、例えばセルローストリアセテートの場合はメチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物やジオキソラン類、セルロースアセテートプロピオネートの場合はメチレンクロライド、アセトン、酢酸メチルなどが挙げられる。
また、本発明に用いられる貧溶剤としては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、i−プロピルアルコール、n−ブタノール、シクロヘキサン、アセトン、シクロヘキサノン等が好ましく用いられる。
上記のドープを調製する時の、セルロースエステルの溶解方法としては、常圧で行なう方法、主溶媒の沸点以下で行なう方法、主溶媒の沸点以上で加圧して行なう方法、特開平9−95544号公報、同9−95557号公報または同9−95538号公報に記載のような冷却溶解法で行なう方法、特開平11−21379号公報に記載の如き高圧で行なう方法等、種々の溶解方法がある。
加圧下で、溶剤の常圧での沸点以上でかつ溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱し、攪拌しながら溶解する方法が、ゲルやママコと呼ばれる塊状未溶解物の発生を防止するため、より好ましい。また、セルロースエステルを貧溶剤と混合し、湿潤あるいは膨潤させた後、さらに良溶剤と混合して溶解する方法も好ましく用いられる。
ここで、セルロースエステルフィルムを作製する溶液流延製膜法において、支持体表面が経時的に汚れていくメカニズムはよくわかっていないが、セルロースエステルを溶剤と混合して加温溶解する際、セルロースエステルに微小に含まれるカルシウム及びマグネシウム塩も溶解し、その後、ドープ温度が溶剤沸点より5℃以下まで冷却されたとき、有機溶剤への溶解度が低い前記塩が過飽和状態となる。この状態で24時間以上経過するときわめて析出しやすい状態になるのでは、と思われる。
ドープを溶解する加圧容器の種類は特に問うところではなく、所定の圧力に耐えることができ、加圧下で加熱、攪拌ができればよい。加圧容器はそのほか圧力計、温度計などの計器類を適宜配設する。加圧は窒素ガスなどの不活性気体を圧入する方法や、加熱による溶剤の蒸気圧の上昇によって行なってもよい。加熱は外部から行なうことが好ましく、例えばジャケットタイプのものは温度コントロールが容易で好ましい。
溶剤を添加しての加熱温度は、使用溶剤の常圧での沸点以上で、かつ該溶剤が沸騰しない範囲の温度がセルロースエステルの溶解性の観点から好ましいが、加熱温度が高すぎると必要とされる圧力が大きくなり生産性が悪くなる。好ましい加熱温度の範囲は45〜120℃であり、60〜110℃がより好ましく、70〜105℃の範囲がさらに好ましい。また、圧力は設定温度で、溶剤が沸騰しないように調整される。
セルロースエステルと溶剤のほかに必要な可塑剤、紫外線吸収剤等の添加剤は、予め溶剤と混合し、溶解または分散してからセルロースエステル溶解前の溶剤に投入しても、セルロースエステル溶解後のドープへ投入しても良い。
溶解釜中でセルロースエステルを攪拌しながら溶解し、ドープを調液した後、溶解後ドープを濾材で濾過し、脱泡してポンプで次工程に送る。
ドープは、加圧型定量ギヤポンプを通して流延ダイに送液され、流延位置において前記支持体上に押出し流延ダイからドープを流延する。
ドープを流延する支持体には、表面を鏡面に仕上げられたステンレス製のエンドレスベルトもしくはドラムが使用される。
製膜時のベルト温度は、一般的な温度範囲0℃〜溶剤の沸点未満の温度で流延することができるが溶媒沸点より5〜10℃低い温度が好ましい。
その他、流延方法としては、流延されたドープ膜をブレードで膜厚を調節するドクターブレード法、あるいは逆回転するロールで調節するリバースロールコーターによる方法等があるが、口金部分のスリット形状を調製でき、膜厚を均一にしやすい加圧ダイが好ましい。加圧ダイには、コートハンガーダイやTダイ等があるが、何れも好ましく用いられる。
製膜速度を上げるために加圧ダイを流延用支持体上に2基以上設け、ドープ量を分割して重層製膜してもよい。
支持体上でのウェブ(流延膜)の乾燥は、使用溶剤の低沸,混合溶剤では低沸溶剤の沸点未満に温度制御したドープを流延ダイから支持体上にほぼ均一な膜厚になるよう流延し、ウェブ中の残留溶媒量が対固形分重量200%以上ではウェブ温度が溶剤沸点以下に、また100〜200%の範囲では溶剤沸点+10℃以下、100%以下〜剥離までは溶剤沸点+20℃以下の範囲になるよう温風や温水あるいは赤外線ヒーターにてウェブを乾燥させる。
支持体上では、ウェブ中の残留溶媒量が150%以下まで乾燥させるのが望ましく、さらには支持体へのウェブの剥離残りの発生及び剥離する際のフィルム変形を低減できる点から120%以下が好ましい。
支持体からウェブを剥離するときのウェブ温度は、0〜30℃が大きなウェブ強度が得られる点で望ましく、空気中の水滴凝縮を防止するために5〜30℃がより好ましい。
本発明のセルロースエステルフィルムの製造方法では、無限移行する無端の金属支持体のウェブ剥離点から、その後、再び支持体上にドープを流延する流延地点までの支持体表面近傍の空間に、ウェブを剥離した直後の支持体温度より、水露点を2℃から10℃の範囲内で低く制御した風を供給することで、支持体表面への水分子の凝縮を防ぎ、それによってカルシウム及びマグネシウムの析出を防ぐために好ましい。水の露点は、支持体温度から2℃以下にすれば、コンデンス防止の効果は充分に得られ、また、10℃以下まで露点を下げるのは、設備コストが非常に高くなるとともに、ウェブが支持体から剥離する際に帯電でスパークしやすくなり、発火の危険が高まるため、好ましくない。
さらに、ウェブを支持体から剥離してから、再び支持体上にドープを流延までの時間を1〜5秒とするのが、支持体表面への水の凝縮する時間を与えず、コンデンスを防ぎ、それによりカルシウム及びマグネシウムの析出を抑制する意味で好ましい。剥離から再流延間での時間が1秒未満の場合、剥離点から流延点までがきわめて近接している設備状態にあるため、ウェブの端部が剥離時に裂けたりするトラブルが発生したときに、ダイスを上昇する安全策を取る時間がなくなる。また、剥離から再流延間での時間が5秒を超えるの場合、剥離点から流延点までが非常に離れており、この空間に供給する低露点ののガス(風)の量が増加するため、乾燥風供給の設備コストが大幅にかさむため望ましくない。
また、流延ダイスリットと支持体表面との間隙は0.3〜2mmの範囲が好ましい。また、支持体搬送速度が10m/分以上では、流延ダイスリットから出てくるウェブに減圧を掛けてエア混入や流延リボンのばたつき(フィルム幅手方向に横段状のスジをつくる)を抑制するのが望ましい。減圧チャンバの減圧は、ウェブの膜厚や支持体搬送速度によって適点が変わるが概ね50〜800Paの範囲が実用的である。
減圧チャンバ下端と支持体との間隙は、吸引風量が大きくなり過ぎず(大きくなり過ぎると、流延ダイスリット端部のドープの乾燥皮膜ができる)また十分な減圧値を得るために、0.5〜5mm程度が好ましく、減圧チャンバを−100Pa以上まで減圧する場合は、0.5〜3mmがより好ましい。
フィルムの後乾燥工程においては、支持体から剥離したフィルムをさらに乾燥し、巻き取り時の残留溶媒量を3質量%以下、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下にすることがフィルム寸法安定性及び環境の点で好ましい。
フィルムの乾燥工程では一般にロール懸垂方式か、ピンテンター方式または、クリップテンター方式でフィルムを搬送しながら乾燥する方式が採られる。液晶表示用部材用としては、テンター方式で幅を保持しながら乾燥させることが、平面性や寸法安定性を向上させるために好ましい。特に支持体より剥離した直後の残留溶媒量の多いところで幅保持を行なうことが、寸法安定性向上効果をより発揮する。
特に、支持体から剥離した後の乾燥工程では、溶媒の蒸発によってフィルムは幅方向に収縮しようとする。高温度で乾燥するほど収縮が大きくなる。この収縮は可能な限り抑制しながら乾燥することが、でき上がったフィルムの平面性を良好にする上で好ましい。この点から、例えば、特開昭62−46625号公報に示されているような乾燥全工程あるいは一部の工程を幅方向にクリップでウェブの幅両端を幅保持しつつ乾燥させる方法/テンター方式が好ましい。
残留溶媒量が10〜100質量%のときに80〜130℃及び/又は、残留溶媒量が5〜10質量%のときに110〜150℃に保持する場合、テンターで幅保持もしくはフィルム幅に対して1〜20%程度の延伸を行なうと、セルロースエステルフィルムの平面性の向上効果が大きく特に好ましい。
フィルムを乾燥させる手段は特に制限なく、一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等で行なう。簡便さの点で熱風で乾燥するのが好ましい。乾燥温度は40〜150℃の範囲で3〜5段階の温度に分けて、段々高くしていくことが好ましく、80〜150℃の範囲で行なうことが平面性、寸法安定性を良くするためさらに好ましい。
これら流延から後乾燥までの工程は、空気雰囲気下でもよいし窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下でもよい。乾燥雰囲気を溶媒の爆発限界濃度を考慮して実施することはもちろんのことである。
本発明のセルロースエステルフィルムの製造に係わる巻き取り機は一般的に使用されているものでよく、定テンション法、定トルク法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法などの巻き取り方法で巻き取ることができる。
本発明において、セルロースエステルフィルムの厚さは、LCDに使用される偏光板の薄肉化、軽量化が要望から、20〜200μmであり、好ましくは25〜150μmである。これ以上薄いとフィルムの腰の強さが低下するため、偏光板作製工程にてシワ発生、フィルム破断等によるトラブルが発生しやすく、また、これ以上厚い場合はLCDの薄膜化に対する寄与が少ない。
本発明において、セルロースエステルフィルム中に異物が少ない方が好ましい。特に偏光クロスニコル状態で認識される異物が少ない方が好ましい。
偏光クロスニコル状態で認識される異物とは、2枚の偏光板を直行(クロスニコル)状態にし、その間にセルロースエステルフィルムを置いて反対側から光源の光をあてて、観察される輝点をいう。このような異物は、異物の箇所のみ反対側からの光源の光が漏れて輝点として観察されるので、容易にその大きさと個数を識別することができる。
異物の個数としては、面積250mm当たり、偏光クロスニコル状態で認識される大きさが5〜50μmの異物が200個以下、50μm以上の異物が実質0個であることが好ましい。さらに好ましくは、5〜50μmの異物が100個以下、より好ましくは50個以下である。
上記のような異物の少ないセルロースエステルフィルムを得るには、特に手段を選ばないが、例えばセルロースエステルを溶媒に溶解したドープ組成物を以下のような濾紙を用いて濾過することで達成できる。
ここで、濾過材としては、不溶物などを除去するために絶対濾過精度が小さい方が好ましいが、絶対濾過精度が小さすぎると濾過材の目詰まりが発生しやすいという問題点ある。このため絶対濾過精度0.008mm以下の濾材が好ましく、0.001〜0.008mmの範囲の濾材がより好ましく、0.003〜0.006mmの範囲の濾材がさらに好ましい。
濾材の材質は特に制限はなく、通常の濾材を使用することができるが、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)等のプラスチック製の濾材やステンレス等の金属製の濾材が繊維の脱落等がなく好ましい。また、上記濾紙は、2枚以上重ねて用いると、より好ましい。
ドープ液の濾過は通常の方法で行なうことができるが、加圧下で、溶剤の常圧での沸点以上でかつ溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら濾過する方法が、濾過材前後の差圧(以下、濾圧とすることがある)の上昇が小さく、好ましい。好ましい温度範囲は45〜120℃であり、45〜70℃がより好ましく、45〜55℃の範囲であることがさらに好ましい。
濾圧は小さい方が好ましい。濾圧は1.6×10 Pa以下であることが好ましく、1.2×10 Pa以下であることがより好ましく、1.0×10 Pa以下であることがさらに好ましい。濾過圧力は、濾過流量と濾過面積を適宜選択することで、コントロールできる。
本発明の方法により製造したセルロースエステルフィルムは、光学素子や表示装置の部材として用いることができるが、この部材とは液晶表示装置に使用される部材のことで、例えば、偏光板、偏光板用保護フィルム、位相差板、反射板、視野角拡大フィルム、光学補償フィルム、防眩フィルム、無反射フィルム、帯電防止フィルムなどがあげられる。
その中でも寸法安定性に対して厳しい要求のある偏光板、偏光板用保護フィルム、位相差板、視野角拡大フィルムにおいて、本発明の方法により製造したセルロースエステルフィルムを適用することがより好ましい。
本発明の方法により製造したセルロースエステルフィルムを用いる偏光板の作製方法は特に限定されず、一般的な方法で作製することができる。例えば、セルローストリエステルフィルムをアルカリ処理し、沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光膜の両面に、完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法がある。アルカリ処理の代わりに、例えば特開平6−94915号公報、同6−118232号公報に記載されているような接着性を高める方法を使用しても良い。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1〜3
セルロースエステルフィルムの原料である酢綿は、綿花リンターから合成されたセルロースエステルを使用し、酢綿合成時の水洗浄回数等を変えて、カルシウム及びマグネシウム含有量の異なる3種類の酢綿を準備し、使用した。
この酢綿を、下記の原料とともに密封釜内で70℃まで攪拌しながら、完全に溶解させてドープを調製した。このドープの作製後に、ドープを溶剤沸点より5℃低い温度にしてから24時間以内に、該ドープを30℃に保温した流延ダイを通して、ステンレス鋼製のエンドレスベルト上に400μm程度の膜厚になるようドープ流量を制御して流延し、ベルトの表裏から温風を当てて、流延膜を乾燥させ、膜の残留溶媒量が約100%になったところで、支持体から剥離した。このとき、支持体温度は10℃で、剥離以降のベルト表面には膜の剥離残りは無く、きれいに剥がれる状態であった。この状態で、それぞれ12時間連続運転を行なった。
なお、フィルムは100℃で乾燥させて、最終的に膜厚80μmのフィルムを得た。また、ここで使用した混合溶剤の沸点は、42℃であった。
これらの実施例1〜3における酢綿中のカルシウム及びマグネシウム含有量、ドープを37℃以下にしてから流延まで要した時間(時)、剥離点〜流延点の空調露点(℃)、並びに剥離〜流延までの時間(秒)を、上記表1にまとめて示した。
(ドープ組成物)
セルロースエステル
セルロースアセテートプロピオネート 100重量部
アセチル置換度1.9、プロピオニル置換度0.73
Mn=70000、Mw=220000、Mw/Mn=3.14
2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−
ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール 1重量部
トリフェニルフォスフェート 8.5重量部
エチルフタリルエチルグリコレート 2重量部
AEROSIL 200V 0.1重量部
メチレンクロライド 420重量部
エタノール 30重量部
比較例1〜9
比較のために、上記実施例1〜3の場合と同様に実施するが、下記の表1に示すように、酢綿中のカルシウム及びマグネシウム含有量、ドープを37℃以下にしてから流延まで要した時間(時)、剥離点〜流延点の空調露点(℃)、並びに剥離〜流延までの時間(秒)の各条件を種々変えて、ドープの流延を12時間を行ない、セルロースアセテートプロピオネートフィルムを製造した。
Figure 2006095971
評価方法
上記実施例1〜3及び比較例1〜9で得られたセルロースアセテートプロピオネートフィルムについて、ベルト表面の汚れ観察、カルシウム及びマグネシウムの定量、フィルムのヘイズの測定を行ない、得られた結果を、下記の表2にまとめて示した。
<ベルト表面の汚れ観察>
流延停止後のベルト表面をハロゲンランプ照明下で目視にて、フィルムの汚れの程度を観察した。
<カルシウム及びマグネシウムの定量>
酢綿中及びベルト表面に付着したカルシウム及びマグネシウムの定量は、マイクロウエーブ式湿式分解装置(硫硝酸分解)で前処理で行なった後、ICP−AESで元素定量分析する方法にて行なった。また、ベルト表面の付着物は、純水を浸した不織布でベルト表面10m を拭き取って、サンプリングした。
<フィルムのヘイズ>
ベルト表面に汚れが付着した部分の乾燥後フィルムを、JIS K−6714の規定に従って、ヘイズメーター(1001DP型、日本電色工業株式会社製)を用いて測定した。
Figure 2006095971
この表2の結果から明らかなように、本発明の実施例1〜3では、カルシウム及びマグネシウム化合物による汚れの付着は実質的に確認されず、ベルト表面は、きれいな状態が維持されていたが、比較例1〜9では、わずか12時間という短い製膜時間でも、汚れが観察され、また、得られたフィルムもヘイズが1を超えるヘイジーな部分が、全面、あるいは部分的に班にあって非常に目立った。

Claims (2)

  1. カルシウム及びマグネシウムのいずれかもしくは両方が、合計でセルロースエステル重量の5〜100ppm含まれるセルロースエステルを溶剤と混合した後、溶剤沸点より10℃以上高い温度に加温し、セルロースエステルを溶剤に溶解させてドープを作製し、その後ドープを、溶剤沸点より5℃以下の低い温度になるまで冷却してから、鏡面処理された表面を有する無限移行する無端の支持体(ベルトあるいはドラム、以下、支持体とも呼ぶ)上に流延し、支持体上で溶剤を蒸発させ、ドープ膜(以下、ウェブとも呼ぶ)が固化した後、これを剥離ロールで剥離し、これを移送ロールで移送し、さらに乾燥させることよりなる溶液流延製膜法によるセルロースエステルフィルムの製造方法において、ドープの作製後に、ドープを溶剤沸点より5℃以下の低い温度にしてから24時間以内に支持体上にドープを流延することを特徴とする、セルロースエステルフィルムの製造方法。
  2. 無限移行する無端の支持体のウェブ剥離点から、再びドープを流延する流延地点までの支持体表面近傍の空間に、ウェブを剥離した直後の支持体温度より2℃から10℃の範囲内で低い水露点に制御した風を供給するとともに、ウェブを支持体から剥離した後、再び支持体上にドープを流延までの時間を1〜5秒とすることを特徴とする、請求項1記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
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