JP2009120839A - セルロースエステルフィルムの製造方法及びセルロースエステルフィルム - Google Patents

セルロースエステルフィルムの製造方法及びセルロースエステルフィルム Download PDF

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孝敏 矢島
Makoto Honda
本田  誠
Toshiaki Shibue
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Abstract

【課題】塩素系溶媒を使用することなくセルロースエステルドープを調製し、品質が良好で、かつウェブを流延用支持体から容易に剥離可能なセルロースエステルフィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】アセチル基の置換度をXとし、プロピオニル基及び/またはブチリル基の置換度をYとした時、下記式(I)及び(II)を同時に満たすセルロースエステルを、炭素原子数1〜4のものから選ばれるアルコールを全有機溶媒に対して0.1〜30質量%含有し、かつセルロースエステルに対して0.5〜5質量%の水を含有している、酢酸メチル、酢酸エチルおよびアセトンから選ばれる少なくとも一種の非塩素系有機溶媒に溶解してドープとし、該ドープを用いてフィルムを形成することを特徴とするセルロースエステルフィルムの製造方法。
(I) 2.6≦X+Y≦3.0
(II) 0≦X≦2.5
【選択図】なし

Description

本発明はハロゲン化銀写真感光材料及び液晶画像表示装置等に有用なセルロースエステルフィルムの製造方法及びセルロースエステルフィルムに関する。
現在、セルローストリアセテートフィルムは、その透明性や光学的欠点のない特性からハロゲン化銀写真感光材料や液晶画像表示装置に好ましく使用されており、その要求品質は年々高度化している。
従来、セルローストリアセテートフィルムが製造される過程で、ドープ溶解時、未溶解物がある場合、製膜後もフィルム表面に小さな異物として残り、また、ウェブと流延用支持体との密着力が強いとウェブを流延用支持体から剥離した時、横段状のムラやツレ等の欠陥を生じ、フィルムの面品質を著しく低下させるという問題があった。
また、セルローストリアセテートを代表とするセルロースエステルに対する良溶媒であるメチレンクロライドのような塩素系炭化水素溶媒は、環境的にその使用に制限が加えられる傾向があり、近年、メチレンクロライドを使用しない製造方法に対する要望がある。しかしながら、セルロースエステルの溶媒を非塩素系有機溶媒に代えて良好な品質のドープを得るのは難しい課題である。
上記の様な要求に対して、つぎのような提案がなされている。ウェブと流延用支持体との密着性を軽減する方法として、特開平4−277530号公報に記載されているような、セルローストリアセテートの原料である綿花リンターとパルプをそれぞれアセチル化してから特定の割合にする提案がある。
この方法は、メチレンクロライドのような塩素系有機溶媒を用いてセルローストリアセテートドープとする場合には、効果が認められるが、非塩素系有機溶媒を用いる場合には、必ずしも十分な効果が認められなかった。更にセルローストリアセテート以外のセルロースエステルにはあまり効果的ではなかった。
また、セルローストリアセテートドープを調製するのに、非塩素系有機溶媒を用いずに、メチレンクロライドのような塩素系有機溶媒に代えてアセトンや酢酸メチル等を用いて溶解する方法が提案されている。
例えば特開平9−95544号及び同9−95557号公報では、実質的にアセトンからなる有機溶媒を用いた、あるいは酢酸メチルやアセトンと他の非塩素系有機溶媒を使用する冷却溶解法が提案されている。
また、特開平9−95538号公報にはアセトン以外のエーテル類、ケトン類あるいはエステルから選ばれる有機溶媒を用いて冷却溶解する方法、特開平11−21379号公報では、セルローストリアセテートをアセトンと混合し、10〜5000kg/cmの圧力を加える方法が提案されている。また、特開平10−45804号公報では、アセトンや酢酸メチル等の溶媒に可溶で、アセチル基と炭素原子数3以上のアシル基が特定の関係にあるセルロースの混合脂肪酸エステルを用いて製膜する方法が提案されている。
特開平11−71464号公報 特開平8−231761号公報 特開平10−323853号公報 特開平10−278056号公報 特開平10−235664号公報
本発明の目的は、塩素系溶媒を使用することなくセルロースエステルドープを調製し、品質の良好なセルロースエステルフィルムを得る製造方法を提供すること、また、第2の目的はウェブを流延用支持体から容易に剥離出来、横段等の欠陥の発生がないセルロースエステルフィルムの製造方法を提供することにある。
本発明は、下記の構成よりなる。
1.炭素原子数2〜4のアシル基を置換基として有するセルロースエステルを用い、溶液流延製膜法によりセルロースエステルフィルムを製造する方法において、アセチル基の置換度をXとし、プロピオニル基及び/またはブチリル基の置換度をYとした時、下記式(I)及び(II)を同時に満たすセルロースエステルを、炭素原子数1〜4のものから選ばれるアルコールを全有機溶媒に対して0.1〜30質量%含有し、かつセルロースエステルに対して0.5〜5質量%の水を含有している、酢酸メチル、酢酸エチルおよびアセトンから選ばれる少なくとも一種の非塩素系有機溶媒に溶解してドープとし、該ドープを用いてフィルムを形成することを特徴とするセルロースエステルフィルムの製造方法。
(I) 2.6≦X+Y≦3.0
(II) 0≦X≦2.5
2.炭素原子数2〜4のアシル基を置換基として有するセルロースエステルを用い、溶液流延製膜法によりセルロースエステルフィルムを製造する方法において、アセチル基の置換度をXとし、プロピオニル基及び/またはブチリル基の置換度をYとした時、下記式(III)及び(IV)を同時に満たすセルロースエステルを、炭素原子数1〜4のものから選ばれるアルコールを全有機溶媒に対して1質量%以上10質量%未満含有し、かつセルロースエステルに対して0.5〜5質量%の水を含有している、酢酸メチル、酢酸エチルおよびアセトンから選ばれる少なくとも一種の非塩素系有機溶媒に溶解してドープとし、該ドープを用いてフィルムを形成することを特徴とするセルロースエステルフィルムの製造方法。
(III) 2.6≦X+Y≦3.0
(IV) 2.5<X≦3.0
3.前記非塩素系有機溶媒が酢酸メチルであり、前記アルコールがエタノールであることを特徴とする前記1または2に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
4.ドープが、セルロースエステルに対して1〜10質量%のアルキルフタリルアルキルグリコレートを含有することを特徴とする前記1〜3の何れか1項に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
5.前記1〜4の何れか1項に記載の方法により製造したことを特徴とするセルロースエステルフィルム。
本発明により、塩素系有機溶媒を使用しないセルロースエステル溶液を用いても、フィルムと支持体との密着力を低減することができた。これにより横段ムラのない面品質が良好なセルロースエステルフィルムを製造する方法及び液晶画像表示装置用フィルムを提供することが出来る。
以下に、本発明を詳述する。
本発明において、セルロースエステル溶液のことをセルロースエステルドープまたは単にドープという。
先ず、本発明に係わる溶液流延製膜法によるセルロースエステルフィルムの製膜方法について説明する。
(1)溶解工程:セルロースエステルのフレークに対する良溶媒を主とする有機溶媒に溶解釜中で該フレークを攪拌しながら溶解し、ドープを形成する工程である。溶解には、常圧で行う方法、主溶媒の沸点以下で行う方法、主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法、前記の如き冷却溶解法で行う方法、前記の如き高圧で行う方法等種々の溶解方法がある。溶解後ドープを濾材で濾過し、脱泡してポンプで次工程に送る。
ドープ中には、可塑剤、酸化防止剤、染料等も添加されることがある。ハロゲン化銀写真感光材料用には機械的性質の向上あるいは柔軟性を付与するために可塑剤が、またその他ライトパイピング防止用の着色剤あるいは紫外線防止剤等が添加される。
着色剤は、通常の写真用支持体に見られる様なグレーに着色出来るものが好ましく、含有量は、セルロースエステルに対する質量割合で10〜1000ppmが好ましく、50ppm〜500以下が更に好ましい。
この様に着色剤を含有させることにより、ハロゲン化銀写真感光材料にした場合のライトパイピングによるカブリ現象を無くすことが出来る。これらの化合物は、セルロースエステル溶液の調製の際に、セルロースエステルや溶媒と共に添加してもよいし、溶液調製中や調製後に添加してもよい。
また液晶画面表示装置用には耐熱耐湿性を付与する可塑剤、酸化防止剤や紫外線防止剤などを添加することが好ましい。
上記酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の化合物が好ましく用いられ、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト等が挙げられる。特に2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。また例えば、N,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン等のヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等のリン系加工安定剤を併用してもよい。
これらの化合物の添加量は、セルロースエステルに対して質量割合で1ppm〜1.0%が好ましく、10〜1000ppmが更に好ましい。
また、この他、カオリン、タルク、ケイソウ土、石英、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナ等の無機微粒子、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属の塩などの熱安定剤を加えてもよい。更に帯電防止剤、難燃剤、滑剤、油剤等も加える場合がある。
(2)流延工程:ドープを、加圧型定量ギヤポンプを通して加圧ダイに送液し、流延位置において、無限に移送する無端の金属ベルトあるいは回転する金属ドラムの流延用支持体(以降、単に支持体ということもある)上に加圧ダイからドープを流延する工程である。流延用支持体の表面は鏡面となっている。その他の流延する方法は流延されたドープ膜をブレードで膜厚を調節するドクターブレード法、あるいは逆回転するロールで調節するリバースロールコーターによる方法等があるが、口金部分のスリット形状を調製出来、膜厚を均一にし易い加圧ダイが好ましい。加圧ダイには、コートハンガーダイやTダイ等があるが、何れも好ましく用いられる。製膜速度を上げるために加圧ダイを流延用支持体上に2基以上設け、ドープ量を分割して重層してもよい。
(3)溶媒蒸発工程:ウェブ(流延用支持体上にドープを流延した以降のドープ膜の呼び方をウェブとする)を流延用支持体上で加熱し溶媒を蒸発させる工程である。溶媒を蒸発させるには、ウェブ側から風を吹かせる方法及び/または支持体の裏面から液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等があるが、裏面液体伝熱の方法が乾燥効率がよく好ましい。またそれらを組み合わせる方法も好ましい。
(4)剥離工程:支持体上で溶媒が蒸発したウェブを、剥離位置で剥離する工程である。剥離されたウェブは次工程に送られる。剥離する時点でのウェブの残留溶媒量(下記式)があまり大き過ぎると剥離し難かったり、逆に支持体上で充分に乾燥させてから剥離すると、途中でウェブの一部が剥がれたりする。
製膜速度を上げる方法(残留溶媒量が出来るだけ多いうちに剥離するため製膜速度を上げることが出来る)として、残留溶媒が多くとも剥離出来るゲル流延法(ゲルキャスティング)がある。それは、ドープ中にセルロースエステルに対する貧溶媒を加えて、ドープ流延後、ゲル化する方法、支持体の温度を低めてゲル化する方法等がある。
また、ドープ中に金属塩を加える方法もある。支持体上でゲル化させ膜を強くすることによって、剥離を早め製膜速度を上げることが出来るのである。残留溶媒量がより多い時点で剥離する場合、ウェブが柔らか過ぎると剥離時平面性を損なったり、剥離張力によるツレや縦スジが発生し易く、経済速度と品質との兼ね合いで剥離残留溶媒量を決められる。
(5)乾燥工程:ウェブを千鳥状に配置したロールに交互に通して搬送する乾燥装置及び/またはクリップでウェブの両端をクリップして搬送するテンター装置を用いてウェブを乾燥する工程である。乾燥の手段はウェブの両面に熱風を吹かせるのが一般的であるが、風の代わりにマイクロウエーブを当てて加熱する手段もある。あまり急激な乾燥は出来上がりのフィルムの平面性を損ね易い。
高温による乾燥は残留溶媒が8質量%以下くらいから行うのがよい。全体を通して、通常乾燥温度は40〜250℃で、70〜180℃が好ましい。使用する溶媒によって、乾燥温度、乾燥風量及び乾燥時間が異なり、使用溶媒の種類、組合せに応じて乾燥条件を適宜選べばよい。
流延用支持体面から剥離した後の乾燥工程では、溶媒の蒸発によってウェブは巾方向に収縮しようとする。高温度で急激に乾燥するほど収縮が大きくなる。この収縮を可能な限り抑制しながら乾燥することが、出来上がったフィルムの平面性を良好にする上で好ましい。この観点から、例えば、特開昭62−46625号公報に示されているような乾燥全工程あるいは一部の工程を巾方向にクリップでウェブの巾両端を巾保持しつつ乾燥させる方法(テンター方式)が好ましい。
(6)巻き取り工程:ウェブを残留溶媒量が2質量%以下となってからフィルムとして巻き取る工程である。残留溶媒量を0.4質量%以下にすることにより寸法安定性の良好なフィルムを得ることが出来る。巻き取り方法は、一般に使用されているものを用いればよく、定トルク法、定テンション法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法等があり、それらを使いわければよい。
残留溶媒量は下記の式で表せる。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
ここで、Mはウェブの任意時点での質量、NはMを110℃で3時間乾燥させた時の質量である。
セルロースエステルフィルムの膜厚は、使用目的によって異なるが、仕上がりフィルムとして、通常5〜500μmの範囲にあり、更に20〜250μmの範囲が好ましく、特に液晶画像表示装置用フィルムとしては25〜90μmの範囲が好ましい。
膜厚の調節には、所望の厚さになるように、ドープ濃度、ポンプの送液量、ダイの口金のスリット間隙、ダイの押し出し圧力、流延用支持体の速度等をコントロールするのがよい。また、膜厚を均一にする手段として、膜厚検出手段を用いて、プログラムされたフィードバック情報を上記各装置にフィードバックさせて調節するのが好ましい。
溶液流延製膜法を通しての流延直後からの乾燥までの工程において、乾燥装置内の雰囲気を、空気とするのもよいが、窒素ガスや炭酸ガス等の不活性ガス雰囲気で行ってもよい。ただ、乾燥雰囲気中の蒸発溶媒の爆発限界の危険性は常に考慮されなければならないことは勿論のことである。
本発明について説明する。
本発明は、2〜4のアシル基を置換基として有し、アセチル基の置換度をX、またプロピオニル基及び/またはブチリル基の置換度をYとして、下記式(I)及び(II)
(I) 2.6≦X+Y≦3.0
(II) 0≦X≦2.5
を同時に満足するセルロースエステルを、炭素原子数1〜4のアルコールを全有機溶媒に対して0.1〜30質量%含有している非塩素系有機溶媒に溶解させてセルロースエステルドープとし、該ドープを用いて溶液流延製膜法で製膜するセルロースエステルフィルムの製造方法である。
なお、本発明で用いる「及び/または」なる語の用法は「から選ばれる」あるいは「から選ばれる少なくとも一つ」と同義である。
本発明に用いられるセルロースエステルの原料のセルロースとしては、特に限定はないが、綿花リンター、木材パルプ、ケナフなどを挙げることが出来る。またそれらから得られたセルロースエステルはそれぞれ任意の割合で混合使用することが出来る。
本発明のセルロースエステルは、セルロース原料をアシル化剤が酸無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸)である場合には、酢酸のような有機酸やメチレンクロライド等の有機溶媒を用い、硫酸のようなプロトン性触媒を用いて反応される。
アシル化剤が酸クロライド(CHCOCl、CCOCl、CCOCl)の場合には、触媒としてアミンのような塩基性化合物を用いて反応が行われる。
具体的には特開平10−45804号公報に記載の方法で合成することが出来る。本発明のセルロースエステルは各置換度に合わせて上記アシル化剤量を調整混合して反応させたものである。セルロースエステルはこれらアシル基がセルロース分子の水酸基に反応する。
セルロース分子はグルコースユニットが多数連結したものからなっており、グルコースユニットに3個の水酸基がある。この3個の水酸基にアシル基が誘導された数を置換度(モル%)という。例えば、セルローストリアセテートはグルコースユニットの3個の水酸基全てがアセチル基が結合している(実際には2.6〜3.0)。
本発明のセルロースエステルはセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、またはセルロースアセテートプロピオネートブチレートのようなアセチル基の他にプロピオネート基あるいはブチレート基が結合したセルロースエステルである。
なお、プロピオネートは、n−の他に、iso−、ブチレートは、n−の他にiso−、sec−、tert−もそれぞれを含む。プロピオネート基の置換度が大きいセルロースアセテートプロピオネートは耐水性が優れ、液晶画像表示装置用のフィルムとして有用である。
アシル基の置換度の測定方法はASTM−D817−96に準じて測定することが出来る。
本発明に使用するセルロースエステルの数平均分子量は、70000〜300000の範囲が、成型した場合の機械的強度が強く好ましい。更に80000〜200000が好ましい。
本発明のドープ形成に有用な非塩素系有機溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン等を挙げることが出来、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトンを好ましく使用し得る。
本発明のセルロースエステルの特徴は、酢酸メチル、酢酸エチル及び/またはアセトンへ常温で溶解することが出来ることが特徴であり、特に酢酸メチルが好ましい。
本発明のセルロースエステルドープには、上記非塩素系有機溶媒の他に、0.1〜30質量%の炭素原子数1〜4のアルコールを含有させるが、これらはドープを流延用支持体に流延後溶媒が蒸発をし始めアルコールの比率が多くなるとウェブ(ドープ膜)がゲル化し、ウェブを丈夫にし、流延用支持体から剥離することを容易にするゲル化溶媒として用いられたり、これらが、割合が少ない時は非塩素系有機溶媒のセルロースエステルの溶解を促進する役割もある。
炭素原子数1〜4のアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールを挙げることが出来る。これらのうちドープの安定性、沸点も比較的低く、乾燥性も良く、且つ毒性がないこと等からエタノールが好ましい。
ドープの固形分濃度は通常10〜40質量%が好ましく、ドープ粘度は100〜500ポイズの範囲に調製される。
本発明は、2〜4のアシル基を置換基として有し、アセチル基の置換度をX、またプロピオニル基及び/またはブチリル基の置換度をYとして、下記式(III)及び(IV)
(III) 2.6≦X+Y≦3.0
(IV) 2.5<X≦3.0
を同時に満足するセルロースエステルを、炭素原子数1〜4のアルコールを全有機溶媒に対して1質量%以上10質量%未満含有している非塩素系有機溶媒に溶解させてセルロースエステルドープを形成させ、該ドープを溶液流延製膜法で製膜するセルロースエステルフィルムの製造方法である。
本発明の上記式(III)及び(IV)を同時に満足するセルロースエステルは、Yつまりプロピオニル基及び/またはブチリル基の置換度が低く、ほとんどがアセチル基で、好ましくはX=2.6〜3.0、実質的にY=0のセルローストリアセテート、あるいは、よりセルローストリアセテートに近いセルロースエステルである。セルローストリアセテートフィルムは機械的強度が大きく、ハロゲン化銀写真感光材料用フィルムや液晶画像表示装置用フィルムとして有用である。
本発明における炭素原子数3及び4のアシル基は、本発明においてプロピオニル基が好ましい。
本発明の非塩素系有機溶媒は前記有機溶媒を使用することが出来るが、酢酸メチル及び/またはアセトンが好ましく、特に酢酸メチルが好ましい。しかし、常温での溶解手段では、溶解し難く、高温溶解方法や冷却溶解方法を使用するのがよい。
特開平9−95538号、同9−95544号、同9−95557号公報に記載されているアセトン、酢酸メチル、ギ酸エチル等の溶媒を用いてドープを形成する方法を使用することが出来る。また、特開平11−21379号公報に記載の高圧溶解方法も好ましく使用出来る。
非塩素系溶媒に加えるアルコール類は、1質量%以上10質量%未満含有することにより、含有量の少ないところでは溶解性を助長し、また多いところではゲル化に効果を発揮する。しかし10質量%以上では溶解性が難しくなる。
なお、セルロースエステルの数平均分子量、ドープ濃度は前記で記載したのと同様である。
本発明は、セルロースエステルフィルム製造方法において、セルロースエステルに対して1〜10質量%の下記一般式のアルキルフタリルアルキルグリコレート(アルキルオキシフタロイルオキシ酢酸アルキルエステル)をセルロースエステルドープに含有させる方法である。
本発明者らは、アルキルフタリルアルキルグリコレートをドープ中に含有させることによって、ウェブを流延用支持体から剥離する際、流延用支持体とウェブとの密着力が低減出来(剥離する力を小さくすることが出来)、従って高残留溶媒量の状態でもウェブを剥離することが出来る方法を見出した。
このことは、製膜速度を向上することが出来るばかりでなく、剥離する力が小さいため出来上がりのフィルムの品質をも向上させ、更に別の面で、他の可塑剤よりフィルムの耐水性を著しく向上させることが出来る。
なお、従来、アルキルフタリルアルキルグリコレートはトリフェニルホスフェート等のリン酸エステルの補助の可塑剤として利用されていたがその効果ははっきりわからなかったが、積極的に使用することにより優れた効果があることを本発明者等は発見した。
アルキルフタリルアルキルグリコレートのアルキルは炭素原子数1〜8のアルキル基である。
アルキルフタリルアルキルグリコレートとしては、メチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルプロピルグリコレート、プロピルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルメチルグリコレート、ブチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルオクチルグリコレート、エチルフタリルオクチルグリコレート、オクチルフタリルメチルグリコレート、オクチルフタリルエチルグリコレート等を挙げることが出来、メチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレートが好ましく、特にエチルフタリルエチルグリコレートが好ましく用いられる。またこれらアルキルフタリルアルキルグリコレートを2種以上混合して使用してもよい。
アルキルフタリルアルキルグリコレートの添加量は剥離性向上及びフィルムからのブリードアウト抑制などの観点から、セルロースエステルに対して1〜10質量%が好ましい。
本発明においては、アルキルフタリルアルキルグリコレートと共に下記一般的な可塑剤を混合してもよいが、アルキルフタリルアルキルグリコレートの効果を阻害しない程度に、アルキルフタリルアルキルグリコレートより少ない量添加することが好ましい。
他の一般的な可塑剤としては、機械的性質向上、柔軟性を付与等の目的で添加してもよく、リン酸エステルやカルボン酸エステルが通常用いられている。
例えば、リン酸エステルとしては、例えばトリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、フェニルジフェニルホスフェート等を挙げることが出来る。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステル及びクエン酸エステル等、フタル酸エステルとしては、例えばジメチルフタレート、ジエチルホスフェート、ジオクチルフタレート及びジエチルヘキシルフタレート等、またクエン酸エステルとしてはクエン酸アセチルトリエチル及びクエン酸アセチルトリブチルを挙げることが出来る。
またその他、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバチン酸ジブチル、トリアセチン等も挙げられる。
これらの化合物は、セルロースエステル溶液の調製の際に、セルロースエステルや溶媒と共に添加してもよいし、溶液調製中や調製後に添加してもよい。
本発明は、セルロースエステルフィルムの製造方法において、溶液流延製膜法の流延用支持体の全面の温度範囲を10〜60℃とし、更に、セルロースエステルドープの温度を、該支持体のドープ流延位置の温度と同等以上にして流延する方法で、ドープ温度を5℃以上高く設定することが好ましい。
効率的に蒸発させるためには、ドープ温度を発泡させない程度の温度、つまり使用する主たる有機溶媒の沸点以下とすることがよく、30〜80℃が好ましい。本発明において好ましく使用する主たる有機溶媒の沸点を示すと、酢酸メチル(沸点56.32℃)、アセトン(56.3℃)、酢酸エチル(76.82℃)である。
本発明は、セルロースエステルフィルムの製造方法において、流延用支持体上にセルロースエステルドープを流延してウェブとし、該支持体上の剥離位置における温度を10〜40℃、好ましくは15〜30℃とし、且つ該剥離位置におけるウェブの残留溶媒量を20〜100質量%とした時点でウェブを剥離し、剥離を容易にして製膜する方法である。
このような剥離時の残留溶媒量とするには、流延後の流延用支持体の表面温度を制御し、ウェブからの有機溶媒の蒸発を効率的に行えるように上記温度範囲にする必要がある。支持体温度を制御するには、伝熱効率のよい伝熱方法を使用するのがよい。
例えば、液体による裏面伝熱方法が好ましい。輻射熱や熱風等による伝熱方法は支持体温度のコントロールが難しく、好ましい方法とはいえないが、ベルト(支持体)マシンにおいて、移送するベルトが下側に来た所の温度制御には、緩やかな風でベルト温度を調節することが出来る。
支持体の温度は、加熱手段を分割することによって、部分的に支持体温度を変えることが出来、流延用支持体の流延位置、乾燥部、剥離位置等異なる温度とすることが出来る。
特に、ウェッブ剥離条件とアルキルフタリルグリコレート及びドープ流延条件との組み合わせにより、剥離し易く、平面性の優れたセルロースエステルフィルムを得ることが出来る。
本発明は、セルロースエステルフィルムの製造方法において、ドープ中に水をセルロースエステルに対して0.5〜5質量%含有させることによって、剥離が容易になり、平面性の優れたフィルムを得ることが出来る。
水分は製造されたセルロースエステルフレーク中に通常0.5質量%以下混在しているが、それ以上に積極的に添加することによって剥離する際に、支持体とウェブの密着性が低減し、剥離し易くする。
乾燥後フィルム中には、水分も蒸発して、0.1質量%以下の水分量となり、その位の量では、セルロースエステルフィルムの性質には影響を与えることはない。
本発明は、セルロースエステルフィルムの製造方法において、ドープ中に酢酸をセルロースエステルに対して0.1〜2質量%含有させることによって、上記水同様、剥離が容易になり、平面性の優れたフィルムと得ることが出来る。
酢酸は、製造されたセルロースエステルフレーク中に0.01質量%以下遊離酸として混在しているが、それ以上に積極的に添加することによって剥離する際に、支持体とウェブの密着性が低減し、剥離し易くなる。
しかしながら、乾燥後フィルム中には、酢酸が蒸発して0.01質量%以下にすることが出来、フィルム中には出来るだけ酢酸を残さない方がよく、本発明においては0.005質量%以下とすることが出来る。
なお、水または酢酸は、溶媒にあらかじめ混合しておいてもよいし、溶解時にセルロースエステルと共に添加してもよい。更にドープ中に添加してもよい。
本発明の水、または酢酸は、アルキルフタリルアルキルグリコレートと共に用いることによって、更に密着力を低減出来る。更に水または酢酸は同時に使用してもよく、その効果を向上することが出来る。
本発明は、セルロースエステルフィルムの製造方法により製膜したセルロースフィルムである。特に本発明で製造されるセルロースエステルフィルムは液晶画像表示装置用フィルムとして特に有用である。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されるものではない。
実施例中の各測定及び評価方法は以下の方法で行った。
〈セルロースエステルの置換度〉
置換度は、ケン化法によって測定するものとする。乾燥したセルロースアシレートを精秤し、アセトンとジメチルスルホキシドとの混合溶媒(容量比4:1)に溶解した後、所定の1N水酸化ナトリウム水溶液を添加し、25℃で2時間ケン化する。フェノールフタレインを指示薬として添加し、1N硫酸で過剰の水酸化ナトリウムを滴定する。また、上記と同様な方法により、ブランクテストを行う。さらに滴定が終了した溶液の上澄み液を希釈し、イオンクロマトグラフを用いて、常法により有機酸の組成を測定する。そして、下記に従って置換度(%)を算出する。
TA=(Q−P)×F/(1000×W)
DSace=(162.14×TA)/{1−42.14×
TA+(1−56.06×TP)×(AL/AC)}
DSacy=Ssce×(AL/AC)
式中、Pは試料の滴定に要する1N硫酸量(ml)、Qはブランクテストに要する1N硫酸量(ml)、Fは1N硫酸の力価、Wは試料質量、TAは全有機酸量(mol/g)、AL/ACはイオンクロマトグラフで測定した酢酸(AC)と他の有機酸(AL)とのモル比、DSaceはアセチル基の置換度、DSacyは炭素原子量3または4のアシル基の置換度を示す。
〈セルロースエステルの数平均分子量〉
高速液体クロマトグラフィにより下記条件で測定する。
溶媒:アセトン
カラム:MPW×1(東ソー(株)製)
試料濃度:0.2W/v%
流量:1.0ml/分
試料注入量:300μl
標準試料:ポリメタクリル酸メチル(Mw=188,200)
温度:23℃。
〈フィルムと支持体との密着力〉
支持体に流延し、支持体上で乾燥したフィルムを、支持体に対して垂直方向に剥離する。幅100mmのフィルムを剥離するのに必要な力をばね秤を用いて求めた。
〈フィルムの横段ムラ〉
上記の測定で得られた剥離したフィルムを目視で観察し、横段状のムラのレベルを次のようにランク付けした。
A:横段状ムラらが全くなく平滑である
B:横段状ムラが僅かに見えるような感じがするが、全体的に平滑である
C:横段状ムラが僅かに見えるが、概して平滑である
D:横段状ムラが僅か見え、やや平滑性に欠ける
E:横段状ムラがはっきり見えるが、その量はあまり多くない
F:はっきりした横段状ムラが数多く見える。
実施例1〜12、比較例1、2及び4のセルロースエステルフィルムの作製。
表1に記載のセルロースエステルを表1に記載のドープ組成で、加圧密閉容器に投入し、80℃に加温して容器内圧力を2気圧とし、撹拌しながらセルロースエステルを完全に溶解させドープを得た。
ドープを流延する温度まで下げて一晩静置し、脱泡操作を施した後、溶液を安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し製膜に供した。
実施例13〜15、比較例3のセルロースエステルフィルムの作製。
表1に記載のセルローストリアセテートを表1に記載のドープ組成で、溶媒を導入してある容器に室温でセルローストリアセテートを投入し、膨潤させた。次ぎに、この混合物を二重構造の密閉容器に入れ、混合物をゆっくり攪拌しながら外側のジャケットに冷媒を導入した。
これにより内側容器内の混合物を−70℃まで冷却した。混合物が均一に冷却されるまで30分冷却した。密閉容器の外側のジャケット内の冷媒を排出し、代わりに温水をジャケットに導入。続いて内容物を攪拌し、40分かけて80℃まで上げた。容器内は2気圧となった。攪拌しながら50℃まで温度を下げ常圧に戻し、一晩そのまま放置しドープを得た。このドープを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、製膜に供した。
上記(実施例1〜15及び比較例1〜4)のドープを表1の温度に調整して、ダイからステンレスベルト上に表1の乾燥後の膜厚になるように流延した。
ステンレスベルトの裏面から表1の温度の温水を接触させて温度制御されたステンレスベルト上で5分間乾燥した後、更にステンレスベルトの裏面に、表1に記載の冷水を接触させて1分間保持した後、ステンレスから剥離した。この時、ベルト上で幅100mm間隔の切れ目を入れ、ばね秤を用いて密着力を測定した。
更に、上記密着力試験とは別の位置のウェブを、剥離する速度、剥離力を一定にしながらベルトから剥離し、その後、剥離中に起こる横段ムラを観察するために、剥離後の収縮等のノイズが入らないように、剥離したフィルムの両端を固定しながら130℃で30分間乾燥させた。
得られたフィルムについて剥離時に生じる横段ムラの評価をした。また、剥離時のウェブと仕上がり時のフィルムの残留溶媒量と膜厚を測定した。結果を表2に示した。
Figure 2009120839
Figure 2009120839
(結果)
表2から明らかなように、本発明のセルロースエステルフィルムの製造方法によれば、ウェブとベルトとの密着力が低く出来るので、横段ムラのない面品質の良好なフィルムが得られることがわかる。これに対して、アルコールを全く含有しないものでドープ温度がベルト温度より低いものは密着力が大きく横段が強く発生した。また、アルコールが非常に多く含有したものでは、未溶解物が多くドープを形成出来なかった。

Claims (5)

  1. 炭素原子数2〜4のアシル基を置換基として有するセルロースエステルを用い、溶液流延製膜法によりセルロースエステルフィルムを製造する方法において、アセチル基の置換度をXとし、プロピオニル基及び/またはブチリル基の置換度をYとした時、下記式(I)及び(II)を同時に満たすセルロースエステルを、炭素原子数1〜4のものから選ばれるアルコールを全有機溶媒に対して0.1〜30質量%含有し、かつセルロースエステルに対して0.5〜5質量%の水を含有している、酢酸メチル、酢酸エチルおよびアセトンから選ばれる少なくとも一種の非塩素系有機溶媒に溶解してドープとし、該ドープを用いてフィルムを形成することを特徴とするセルロースエステルフィルムの製造方法。
    (I) 2.6≦X+Y≦3.0
    (II) 0≦X≦2.5
  2. 炭素原子数2〜4のアシル基を置換基として有するセルロースエステルを用い、溶液流延製膜法によりセルロースエステルフィルムを製造する方法において、アセチル基の置換度をXとし、プロピオニル基及び/またはブチリル基の置換度をYとした時、下記式(III)及び(IV)を同時に満たすセルロースエステルを、炭素原子数1〜4のものから選ばれるアルコールを全有機溶媒に対して1質量%以上10質量%未満含有し、かつセルロースエステルに対して0.5〜5質量%の水を含有している、酢酸メチル、酢酸エチルおよびアセトンから選ばれる少なくとも一種の非塩素系有機溶媒に溶解してドープとし、該ドープを用いてフィルムを形成することを特徴とするセルロースエステルフィルムの製造方法。
    (III) 2.6≦X+Y≦3.0
    (IV) 2.5<X≦3.0
  3. 前記非塩素系有機溶媒が酢酸メチルであり、前記アルコールがエタノールであることを特徴とする請求項1または2に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
  4. ドープが、セルロースエステルに対して1〜10質量%のアルキルフタリルアルキルグリコレートを含有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
  5. 請求項1〜4の何れか1項に記載の方法により製造したことを特徴とするセルロースエステルフィルム。
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