JP3691637B2 - セルロースアセテート溶液の調製方法およびセルロースアセテートフイルムの製造方法 - Google Patents

セルロースアセテート溶液の調製方法およびセルロースアセテートフイルムの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セルロースアセテート溶液の調製方法およびセルロースアセテートフイルムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
セルロースアセテートフイルムは、その強靭性と難燃性から各種の写真材料や光学材料に用いられている。セルロースアセテートフイルムは、代表的な写真感光材料の支持体である。また、セルロースアセテートフイルムは、その光学的等方性から、近年市場の拡大している液晶表示装置にも用いられている。液晶表示装置における具体的な用途としては、偏光板の保護フイルムおよびカラーフィルターが代表的である。
写真材料や光学材料として要求されるフイルムの品質を満足するためには、セルロースアセテートの平均酢化度が58.0乃至62.5%であることが必要である。平均酢化度が58%以上であるセルロースアセテートは、一般にトリアセチルセルロース(TAC)に分類される。
セルロースアセテートフイルムは、一般にソルベントキャスト法により製造する。ソルベントキャスト法では、セルロースアセテートを溶媒中に溶解した溶液(ドープ)を支持体上に流延し、溶媒を蒸発させてフイルムを形成する。
【0003】
ソルベントキャスト法については、多くの文献に記載がある。例えば、特公平5−17844号公報には、高濃度ドープを冷却ドラム上に流延することにより、流延後、剥ぎ取りまでの時間を短縮することが提案されている。
最近では、セルロースアセテートと有機溶媒の混合物を冷却し、さらに加温することによって、有機溶媒中にセルロースアセテートを溶解してセルロースアセテート溶液を調製する方法が提案されている(欧州特許出願0723986A1号および同0723993A1号の各明細書記載)。この冷却工程と加温工程を有する方法(以下、冷却溶解法と称する)によると、従来の方法では溶解することができなかった、セルロースアセテートと有機溶媒の組み合わせであっても、溶液を調製することができる。冷却溶解法は、溶解性が低いトリアセチルセルロース(平均酢化度が58%以上)からフイルムを製造する場合に特に有効である。
【0004】
冷却溶解法に使用する有機溶媒としては、アセトン(欧州特許出願0723986A1号明細書)、アセトンと炭素原子数が3乃至12のエーテル、炭素原子数が4乃至12のケトン、炭素原子数が3乃至12のエステルおよび炭素原子数が1乃至6のアルコールから選ばれる有機溶媒との混合溶媒、あるいは炭素原子数が3乃至12のエーテル、炭素原子数が4乃至12のケトンおよび炭素原子数が3乃至12のエステルから選ばれる有機溶媒(欧州特許出願0723993A1号明細書)が提案されている。欧州特許出願0723993A1号明細書には、エーテル、ケトンまたはエステルに加えて、炭素原子数が1乃至6のアルコールを併用してもよい旨の記載がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
有機溶媒としてエーテル、ケトンまたはエステルに加えて、アルコールを併用すると、調製したセルロースアセテート溶液が迅速にゲル化する。前述したように、ソルベントキャスト法によるセルロースアセテートフイルムの製造では、ドープ(溶液)の流延後、剥ぎ取りまでの時間を短縮することが重要な課題になっている。アルコールのようなセルロースアセテートの貧溶媒を他の有機溶媒と併用すると、溶液が迅速にゲル化して、セルロースアセテートフイルムの製造に要する時間を著しく短縮することができる。従って、セルロースアセテートフイルムの製造では、アルコールのような貧溶媒を他の有機溶媒と併用する方法が最も好ましいと考えられている。
【0006】
本発明者が、アルコールのような貧溶媒を他の有機溶媒と併用する方法について、さらに研究を進めたところ、貧溶媒の使用によって冷却溶解法に問題が生じていることが判明した。本発明者の研究によると、貧溶媒の使用する場合は、冷却溶解法における冷却温度を低めに設定するか、あるいは調製する溶液の濃度を低くする必要がある。
前述したように、冷却溶解法を使用するとセルロースアセテートの有機溶媒への溶解性が著しく向上する。しかし、貧溶媒を他の有機溶媒と併用すると、この冷却溶解法の効果が損なわれ、冷却温度を低めに設定しないと、高濃度溶液を調製することが難しくなる。冷却温度を低めに設定するためには、大型の強力な冷却装置を使用する必要がある。また、低めの冷却温度を維持するためには、多量のエネルギーを消費する必要がある。一方、セルロースアセテートフイルムの製造のためには、ある程度の高い濃度のセルロースアセテート溶液をドープとして使用する必要がある。
【0007】
本発明の目的は、迅速なゲル化が可能なセルロースアセテート溶液を、比較的高めの冷却温度で調製することである。
また、本発明の目的は、比較的簡単な装置を用いて短時間で、優れたセルロースアセテートフイルムを製造することでもある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記(1)〜(8)により達成された。
(1)58.0乃至62.5%の平均酢化度を有するセルロースアセテートと、炭素原子数が3乃至12のエステル、炭素原子数が3乃至12のケトンおよび炭素原子数が3乃至12のエーテルから選ばれる有機溶媒との混合物を−100乃至−10℃に冷却する工程、および冷却した混合物を0乃至150℃に加温して、有機溶媒中にセルロースアセテートを溶解する工程からなるセルロースアセテート溶液の調製方法であって、混合物を冷却する工程が終了してから、加温する工程前、工程中または工程後に、沸点が30乃至170℃のアルコールまたは沸点が30乃至170℃の炭化水素を混合物に添加することを特徴とするセルロースアセテート溶液の調製方法。
【0009】
(2)エステル、ケトンおよびエーテルから選ばれる有機溶媒50乃至95重量部に対して、沸点が30乃至170℃のアルコールまたは沸点が30乃至170℃の炭化水素を5乃至50重量部用いる(1)に記載のセルロースアセテート溶液の調製方法。
(3)58.0乃至62.5%の平均酢化度を有するセルロースアセテートと、炭素原子数が3乃至12のエステル、炭素原子数が3乃至12のケトンおよび炭素原子数が3乃至12のエーテルから選ばれる有機溶媒に、さらに炭素原子数が1乃至5の直鎖状一価アルコールを加えた混合物を冷却する(1)に記載のセルロースアセテート溶液の調製方法。
(4)エステル、ケトンおよびエーテルから選ばれる有機溶媒50乃至95重量部に対して、直鎖状一価アルコールを1乃至30重量部、そして沸点が30乃至170℃のアルコールまたは沸点が30乃至170℃の炭化水素を1乃至30重量部用いる(3)に記載のセルロースアセテート溶液の調製方法。
【0010】
(5)混合物を冷却する工程が終了してから、加温する工程前、工程中または工程後に、沸点が30乃至170℃のアルコールまたは沸点が30乃至170℃の炭化水素に加えて、炭素原子数が1乃至5の直鎖状一価アルコールを混合物に添加する(1)に記載のセルロースアセテート溶液の調製方法。
(6)エステル、ケトンおよびエーテルから選ばれる有機溶媒50乃至95重量部に対して、沸点が30乃至170℃のアルコールまたは沸点が30乃至170℃の炭化水素を1乃至30重量部、そして直鎖状一価アルコールを1乃至30重量部用いる(5)に記載のセルロースアセテート溶液の調製方法。
(7)加温する工程中または工程後に、沸点が30乃至170℃のアルコールまたは沸点が30乃至170℃の炭化水素を混合物に添加する(1)に記載のセルロースアセテート溶液の調製方法。
(8)(1)乃至(7)に記載の方法により調製したセルロースアセテート溶液を支持体上に流延する工程および溶媒を蒸発させてフイルムを形成する工程からなるセルロースアセテートフイルムの製造方法。
【0011】
【発明の効果】
本発明者の研究により、貧溶媒(沸点が30乃至170℃のアルコールまたは沸点が30乃至170℃の炭化水素)は、混合物を冷却する工程が終了してから混合物に添加しても、貧溶媒の効果(調製される溶液の迅速なゲル化)が得られることが判明した。そして、混合物を冷却する工程が終了してから貧溶媒を混合物に添加すると、冷却溶解法の効果(セルロースアセテートの有機溶媒への溶解性の向上)が損なわれない。
本発明の方法では、貧溶媒を使用しているにもかかわらず、比較的高めの冷却温度による冷却溶解法で、高濃度のセルロースアセテート溶液を調製することができる。さらに貧溶媒を使用した効果によって、短時間で優れたセルロースアセテートフイルムを製造することもできる。
【0012】
【発明の実施の形態】
[セルロースアセテート]
本発明に用いるセルロースアセテートは、平均酢化度(アセチル化度)が58.0から62.5%である。酢化度とは、セルロース単位重量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定および計算に従う。本発明が定義するセルロースアセテートの酢化度の範囲は、前述したように、写真用支持体や光学フイルムとして要求される品質を満足するために必要とされる値である。
【0013】
セルロースアセテートは、綿花リンターまたは木材パルプから合成することができる。綿花リンターと木材パルプを混合して用いてもよい。一般に木材パルプから合成する方が、コストが低く経済的である。ただし、綿花リンターを混合することにより、剥ぎ取り時の負荷を軽減できる。また、綿花リンターを混合すると、短時間に製膜しても、フイルムの面状があまり悪化しない。
セルロースアセテートは、一般に、酢酸−無水酢酸−硫酸でセルロースを酢化して合成する。工業的には、メチレンクロリドを溶媒とするメチクロ法あるいはセルロースアセテートの非溶媒(例、ベンゼン、トルエン)を添加して繊維状で酢化する繊維状酢化法が用いられる。
セルロースアセテートの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることがさらに好ましい。
【0014】
[有機溶媒(主溶媒、貧溶媒、補助溶媒)]
本発明では、セルロースアセテート溶液の調製に有機溶媒を使用する。有機溶媒は、メチレンクロリドのようなハロゲン化炭化水素を実質的に含まないことが好ましい。「実質的に含まない」とは、有機溶媒中のハロゲン化炭化水素の割合が5重量%未満(好ましくは2重量%未満)であることを意味する。なお、セルロースアセテートフイルムを製造する場合は、製造したフイルムからメチレンクロリドのようなハロゲン化炭化水素が全く検出されないことが好ましい。
本発明が使用する有機溶媒は、冷却工程前にセルロースアセテートと混合する溶媒(以下、主溶媒と称する)、冷却工程後に添加する貧溶媒および任意に添加できる補助溶媒の三種類に分類できる。
【0015】
主溶媒は、炭素原子数が3乃至12のエーテル、炭素原子数が3乃至12のケトンおよび炭素原子数が3乃至12のエステルから選ばれる。
エーテル、ケトンおよびエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケトンおよびエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、有機溶媒として用いることができる。エーテル、ケトンおよびエステルは、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。
炭素原子数が3乃至12のエーテルの例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが含まれる。
炭素原子数が3乃至12のケトンの例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが含まれる。
【0016】
炭素原子数が3乃至12のエステルの例には、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ペンチルおよび酢酸2−メトキシエチルが含まれる。
二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが含まれる。
二種類以上のエーテル、ケトンまたはエステルを主溶媒として併用してもよい。
エーテルよりも、ケトンおよびエステルの方が好ましい。ケトンよりもエステルの方が好ましい。エステルの炭素原子数は、3乃至10であることが好ましく、3乃至8であることがより好ましく、3乃至6であることがさらに好ましく、3乃至5であることが最も好ましい。酢酸メチルが特に好ましく用いられる。
【0017】
貧溶媒は、沸点が30乃至170℃のアルコールおよび沸点が30乃至170℃の炭化水素から選ばれる。
アルコールは一価であることが好ましい。アルコールの炭化水素部分は、直鎖であっても、分岐を有していても、環状であってもよい。炭化水素部分は、飽和脂肪族炭化水素であることが好ましい。アルコールの水酸基は、第一級〜第三級のいずれであってもよい。
アルコールの例には、メタノール(沸点:64.65℃)、エタノール(78.325℃)、1−プロパノール(97.15℃)、2−プロパノール(82.4℃)、1−ブタノール(117.9℃)、2−ブタノール(99.5℃)、t−ブタノール(82.45℃)、1−ペンタノール(137.5℃)、2−メチル−2−ブタノール(101.9℃)およびシクロヘキサノール(161℃)が含まれる。
【0018】
炭化水素は、直鎖であっても、分岐を有していても、環状であってもよい。芳香族炭化水素と脂肪族炭化水素のいずれも用いることができる。脂肪族炭化水素は、飽和であっても不飽和であってもよい
炭化水素の例には、シクロヘキサン(沸点:80.7℃)、ヘキサン(69℃)、ベンゼン(80.1℃)、トルエン(110.6℃)およびキシレン(138.4〜144.4℃)が含まれる。
貧溶媒は、混合物を冷却する工程が終了してから、加温する工程前、工程中または工程後に、混合物に添加する。加温する工程中または工程後に添加することが好ましい。貧溶媒の添加後、混合物は良く混合することが好ましい。
主溶媒と貧溶媒との比率は、主溶媒50乃至95重量部に対して貧溶媒を5乃至50重量部用いることが好ましく、主溶媒60乃至92重量部に対して貧溶媒を8乃至40重量部用いることがより好ましく、主溶媒65乃至90重量部に対して貧溶媒を10乃至35重量部用いることがさらに好ましく、主溶媒70乃至88重量部に対して貧溶媒を12乃至30重量部用いることが最も好ましい。
【0019】
任意に添加できる補助溶媒としては、炭素原子数が1乃至5の直鎖状一価アルコールを用いることが好ましい。アルコールの水酸基は、炭化水素直鎖の末端に結合してもよいし(第一級アルコール)、中間に結合してもよい(第二級アルコール)。補助溶媒は、具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノールおよび3−ペンタノールから選ばれる。直鎖状一価アルコールの炭素原子数は、1乃至4であることが好ましく、1乃至3であることがさらに好ましく、1または2であることが最も好ましい。エタノールが特に好ましく用いられる。
補助溶媒の定義は、前記貧溶媒のアルコールの定義と重複する。従って、貧溶媒として使用するアルコールと同じアルコールを、補助溶媒として使用してもよい。例えば、貧溶媒としてエタノールを使用する場合、エタノールをさらに補助溶媒としても使用することができる。また、貧溶媒として使用するアルコールとは異なる種類のアルコールを、補助溶媒として使用してもよい。例えば、貧溶媒としてエタノールを使用する場合、貧溶媒の定義に含まれる他のアルコールを補助溶媒として使用することができる。
補助溶媒の添加時期について、特に制限はない。補助溶媒を主溶媒と同時に使用してもよいし、補助溶媒を貧溶媒と同時に使用してもよい。
【0020】
補助溶媒を主溶媒および貧溶媒に加えて使用する場合、三種類の溶媒の比率は、主溶媒50乃至95重量部に対して貧溶媒を1乃至30重量部および補助溶媒を1乃至30重量部用いることが好ましく、主溶媒60乃至92重量部に対して貧溶媒を2乃至27重量部および補助溶媒を2乃至27重量部用いることがより好ましく、主溶媒65乃至90重量部に対して貧溶媒を3乃至24重量部および補助溶媒を3乃至24重量部用いることがさらに好ましく、主溶媒70乃至88重量部に対して貧溶媒を4乃至22重量部および補助溶媒を4乃至22重量部用いることが最も好ましい。
さらに他の有機溶媒を併用して、四種以上の混合溶媒としてもよい。四種以上の混合溶媒を用いる場合の4番目以降の溶媒も、前述した三種類の溶媒から選択することが好ましい。前述した三種類の溶媒以外の溶媒して、ニトロメタンを併用してもよい。
【0021】
[溶液調製(冷却溶解法)]
本発明では、冷却溶解法により、以上のような混合溶媒中にセルロースアセテートを溶解して、溶液(ドープ)を調製する。
溶液の調製においては、最初に、室温で有機溶媒(主溶媒)中にセルロースアセテートを攪拌しながら徐々に添加する。この段階では、セルロースアセテートは、一般に有機溶媒中で膨潤するが溶解しない。なお、室温でセルロースアセテートを溶解できる溶媒であっても、冷却溶解法によると迅速に均一な溶液が得られるとの効果がある。セルロースアセテートの量は、この混合物中に10乃至40重量%含まれるように調整する。セルロースアセテートの量は、10乃至30重量%であることがさらに好ましい。有機溶媒中には、後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
【0022】
次に、混合物を−100乃至−10℃(好ましくは−80乃至−10℃、さらに好ましくは−50乃至−20℃、最も好ましくは−50乃至−30℃)に冷却する。冷却は、例えば、ドライアイス・メタノール浴(−75℃)や冷却したジエチレングリコール溶液(−30乃至−20℃)中で実施できる。このように冷却すると、セルロースアセテートと有機溶媒の混合物は固化する。
冷却速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。冷却速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、冷却速度は、冷却を開始する時の温度と最終的な冷却温度との差を冷却を開始してから最終的な冷却温度に達するまでの時間で割った値である。
【0023】
さらに、これを0乃至150℃に加温すると、混合溶媒中にセルロースアセテートが溶解する。昇温は、室温中に放置するだけでもよし、温浴中で加温してもよい。このようにして、均一な溶液が得られる。なお、溶解が不充分である場合は、冷却、加温の操作を繰り返してもよい。溶解が充分であるかどうかは、目視により溶液の外観を観察するだけで判断することができる。
加温速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。加温速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、加温速度は、加温を開始する時の温度と最終的な加温温度との差を加温を開始してから最終的な加温温度に達するまでの時間で割った値である。
この加温工程前、工程中または工程後に、前述した貧溶媒を添加する。添加方法について特に制限はないが、生産性を考慮すると、可能な限り迅速に添加して混合することが好ましい。
【0024】
以上のようにして、均一な溶液が得られる。なお、溶解が不充分である場合は冷却、加温の操作を繰り返してもよい。溶解が充分であるかどうかは、目視により溶液の外観を観察するだけで判断することができる。
冷却溶解方法においては、冷却時の結露による水分混入を避けるため、密閉容器を用いることが望ましい。また、冷却加温操作において、冷却時に加圧し、加温時の減圧すると、溶解時間を短縮することができる。加圧および減圧を実施するためには、耐圧性容器を用いることが望ましい。
なお、セルロースアセテート(酢化度:60.9%、粘度平均重合度:299)を冷却溶解法によりメチルアセテート中に溶解した20重量%の溶液は、示差走査熱量測定(DSC)によると、33℃近傍にゾル状態とゲル状態との疑似相転移点が存在し、この温度以下では均一なゲル状態となる。従って、この溶液は疑似相転移温度以上、好ましくはゲル相転移温度プラス10℃程度の温度で保存する必要がある。ただし、この疑似相転移温度は、セルロースアセテートの平均酢化度、粘度平均重合度、溶液濃度や使用する有機溶媒により異なる。
【0025】
[フイルムの製造]
調製したセルロースエステル溶液は、フイルムの製造に用いることができる。具体的には、溶液をソルベントキャスト法におけるドープとして利用する。
ドープは、支持体上に流延し、溶媒を蒸発させてフイルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が18乃至35%となるように濃度を調整することが好ましい。支持体表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。支持体としては、ドラムまたはバンドが用いられる。ソルベントキャスト法における流延および乾燥方法については、米国特許2336310号、同2367603号、同2492078号、同2492977号、同2492978号、同2607704号、同2739069号、同2739070号、英国特許640731号、同736892号各明細書、特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号、同62−115035号各公報に記載がある。
【0026】
ドープは、表面温度が10℃以下の支持体上に流延することが好ましい。流延した後、2秒以上風に当てて乾燥することが好ましい。得られたフイルムを支持体から剥ぎ取り、さらに100から160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶剤を蒸発させることもできる。以上の方法は、特公平5−17844号公報に記載がある。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能である。この方法を実施するためには、流延時の支持体表面温度においてドープがゲル化することが必要である。本発明に従い製造したドープは、この条件を満足する。
本発明に従い製造するフイルムの厚さは、5乃至500μmであることが好ましく、20乃至200μmであることがさらに好ましく、60乃至120μmであることが最も好ましい。
【0027】
[その他の添加剤]
セルロースアセテートフイルムには、機械的物性を改良するため、または乾燥速度を向上するために、可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、リン酸エステルまたはカルボン酸エステルが用いられる。リン酸エステルの例には、トリフェニルフォスフェート(TPP)およびトリクレジルホスフェート(TCP)が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステルおよびクエン酸エステルが代表的である。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート、(DOP)およびジエチルヘキシルフタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸エステルの例には、クエン酸アセチルトリエチル(OACTE)およびクエン酸アセチルトリブチル(OACTB)が含まれる。その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。フタル酸エステル系可塑剤(DMP、DEP、DBP、DOP、DEHP)が好ましく用いられる。DEPが特に好ましい。
【0028】
さらに、一般に結晶核形成剤(核剤)として知られている化合物を添加してもよい。結晶核形成剤は、従来から、結晶性高分子(特にポリプロピレン)を溶融成型する場合に、その光学的性質、機械的性質、熱的性質や成型性の向上するための改質剤として使用されている。
本発明では、そのような化合物を結晶核形成剤として使用するのではなく、ドープのゲル化温度を高くするために使用することができる。上記化合物は、その両親媒性のある化学構造から、セルロースアセテートとの相互作用を有する。一方、上記化合物の自己凝集作用がアセチルセルロースよりも高いため、結果としてアセチルセルロースの凝集を促し、ゲル化温度が高くなると考えられる。
上記化合物は、ドープの粘度を下げる効果がある。上記化合物は、有機溶媒とセルロースアセテートの水酸基との溶媒和を妨害するため、ポリマーの広がりを抑えるためであると考えられる。
【0029】
結晶核形成剤(核剤)として知られている化合物の例には、リン酸2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウム(アデカスタブNA−11、旭電化(株)製)、リン酸ビス(4−t−ブチルフェニル)ナトリウム(アデカスタブNA−10、旭電化(株)製)、ビス(p−メチルベンジリデン)ソルビドール(ゲルオールMD、新日本理化(株)製)およびビス(p−エチルビンジリデン)ソルビトール(NC−4、三井東圧化学(株)製)が含まれる。
セルロースアセテートフイルムには、劣化防止剤(例、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤)や紫外線防止剤を添加してもよい。劣化防止剤については、特開平5−1907073号公報に記載がある。紫外線防止剤については、特開平7−11056号公報に記載がある。
【0030】
[製造装置]
本発明に好ましく用いられる製造装置について、図面を引用しながら説明する。図1は、本発明の方法の各工程および装置の組み合わせを示すフローチャートである。
膨潤工程において、セルロースアセテート(P)と主溶媒(S1)は、攪拌タンク(1)に加える。攪拌タンク内でセルロースアセテートと主溶媒とを混合し、セルロースアセテートを主溶媒により膨潤させる。
膨潤した混合物は、送液ポンプ(2)から、冷却装置(3)に送られる。送液ポンプ(2)としては、粘性のある液体の送液に適しているスネークポンプを用いる。
【0031】
冷却装置(3)は、筒状の容器、膨潤混合物を攪拌しながら筒状の容器内を搬送するため容器内に設けられている回転可能な螺旋状の搬送機構(3−1)、および容器内の膨潤混合物を冷却するため容器の周囲に設けられている冷却機構(3−2)からなる。螺旋状の搬送機構(3−1)が回転することにより、膨潤混合物を滞留することなく(例えば、容器の壁面に滞留している膨潤混合物もかきとられて)、剪断、混合かつ冷却しながら、送液する。図1に示す冷却機構(3−2)はジャケット状に容器の周囲に装着されている。冷却機構(3−2)の内部には、冷媒タンク(21)から送られてくる冷媒(24)が流れている。冷媒としては、例えば、メタノールと水の混合物が用いられる。
冷却に使用した冷媒は、冷媒タンク(21)に戻る。冷媒は冷凍機(22)で冷却される。この冷却により発生する熱は、クーリングタワー(23)で処理する。
図1に示す冷却装置(3)は、さらに−105乃至−15℃に冷却した主溶媒を容器内に補充する機構を有する。補充用主溶媒(S2)は、冷却ストックタンク(19)で必要な温度まで冷却され、送液ポンプ(20)により冷却装置(3)の容器に送られる。このように冷却された補充溶媒を添加することにより、膨潤混合物を極めて迅速に冷却することができる。
以上の冷却装置内で、膨潤混合物は迅速かつ均一に冷却される。冷却された膨潤混合物は、加温装置(4)に送られる。
【0032】
加温装置(4)は、筒状の容器、容器内での物質の流れを二つに分割し、分割された物質の流れの向きを容器内で回転させるため容器内に複数設けられている仕切りエレメント(4−1)、および容器内の膨潤混合物を加温するため容器の周囲に設けられている加温機構(4−2)からなる。容器内の仕切りエレメントを膨潤混合物が通過することにより、膨潤混合物が均一に加温される。図1に示す加温機構(4−2)はジャケット状に容器の周囲に装着されている。加温機構(4−2)の内部には、恒温槽(27)から送られてくる温水が流れている。
加温に使用された温水は、熱交換機(25)においてクーリングタワー(23)からの水との間で熱交換される。これにより、装置全体のエネルギー効率を高めることができる。熱交換された温水は、恒温槽(27)に戻る。
以上の加温装置内で、膨潤混合物は迅速かつ均一に加温され、セルロースアセテートが溶媒中に溶解する。得られた溶液は、送液ポンプ(5)により、ヒーター(6)、フィルター(7)、圧力調整バルブ(8)を通過し、温度調整、濾過および圧力調整が行なわれる。
【0033】
溶液は、さらに濃縮タンク(9)で濃縮される。すなわち、ヒーター(6)および圧力調整バルブ(8)により高温高圧状態となった溶液は、濃縮タンク(9)内で急激に圧力を低下させることにより溶媒が蒸発して、濃縮される。蒸発した溶媒は、液化装置(18)を経て、冷却ストックタンク(19)に送液される。液化した溶媒は、補充用主溶媒(S2)と共に、再びポンプ(20)により冷却装置(3)の容器に送られる。
濃縮された溶液は、送液ポンプ(10)により、温度調整装置(11)を経て、ストックタンク(12)に送られる。
以上の装置で本発明の方法を実施するためには、図1のA、BまたはCの個所で貧溶媒を添加することが好ましい。Aでは、冷却装置(3)と加温装置(4)の接続部分において貧溶媒を補充する。Bでは、加温装置(4)に設けた入口から貧溶媒を補充する。Cでは、ストックタンク(12)に貧溶媒を補充する。BまたはCの個所で貧溶媒を補充することが好ましい。なお、AまたはBの個所で貧溶媒を補充する場合は、濃縮タンク(9)から回収した主溶媒と貧溶媒との混合溶媒から、主溶媒を分離して再利用する。
【0034】
図1に示す装置には、さらにソルベントキャスト法によるセルロースアセテートフイルムの製造装置が付属している。
ストックタンク(12)内の溶液は、送液ポンプ(10)によりフィルター(14)を経て、スリット状のダイ(15)に送られる。溶液はダイ(15)によりフイルム状に押し出され、バンド状の支持体(16)上に流延され、乾燥後、はぎ取られ、フイルム(17)が製造される。フイルム(17)は、さらに乾燥して、巻き取られる。
【0035】
【実施例】
[実施例1]
(処方1、調製方法a、冷却温度−70℃)
室温において、下記の組成の混合物をタンクに投入し、1時間攪拌してセルロースアセテートを膨潤させた。膨潤混合物を−70℃まで冷却し(冷却速度:2℃/秒)、さらに50℃まで加温して(加温速度:1℃/秒)、セルロースアセテートを酢酸メチルに溶解した。さらに50℃で、エタノール16.6重量部(補助溶媒として12.45重量部+貧溶媒として4.15重量部)を添加してセルロースアセテート溶液を調製した。
【0036】
────────────────────────────────────
混合物組成(1a)
────────────────────────────────────
セルロースアセテート(平均酢化度:59.5%) 17重量部
酢酸メチル(主溶媒) 66.4重量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 1.81重量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 0.91重量部
────────────────────────────────────
【0037】
得られた溶液を観察したところ、セルロースアセテートが良く溶解しており、未溶解物は認められなかった。さらに、セルロースアセテート溶液を50℃にて2週間放置したところ、未溶解物の析出は認められなかった。
得られた溶液を、有効長が6mのバンド流延機を用いてバンド状に流延し、乾燥後、フイルムをバンドから剥ぎ取ったところ、良好なセルロースアセテートフイルムが得られた。
【0038】
(処方1、調製方法b、冷却温度−70℃)
室温において、下記の組成の混合物をタンクに投入し、1時間攪拌してセルロースアセテートを膨潤させた。膨潤混合物を−70℃まで冷却し(冷却速度:2℃/秒)、さらに50℃まで加温して(加温速度:1℃/秒)、セルロースアセテートを酢酸メチルに溶解した。さらに50℃で、エタノール(貧溶媒)4.15重量部を添加してセルロースアセテート溶液を調製した。
【0039】
────────────────────────────────────
混合物組成(1b)
────────────────────────────────────
セルロースアセテート(平均酢化度:59.5%) 17重量部
酢酸メチル(主溶媒) 66.4重量部
エタノール(補助溶媒) 12.4重量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 1.81重量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 0.91重量部
────────────────────────────────────
【0040】
得られた溶液を観察したところ、セルロースアセテートが良く溶解しており、未溶解物は認められなかった。さらに、セルロースアセテート溶液を50℃にて2週間放置したところ、未溶解物の析出は認められなかった。
【0041】
(処方1、調製方法x、冷却温度−70℃)
室温において、下記の組成の混合物をタンクに投入し、1時間攪拌してセルロースアセテートを膨潤させた。膨潤混合物を−70℃まで冷却し(冷却速度:2℃/秒)、さらに50℃まで加温して(加温速度:1℃/秒)、セルロースアセテートを酢酸メチルに溶解してセルロースアセテート溶液を調製した。
【0042】
────────────────────────────────────
混合物組成(1x)
────────────────────────────────────
セルロースアセテート(平均酢化度:59.5%) 17重量部
酢酸メチル(主溶媒) 66.4重量部
エタノール 16.6重量部
(補助溶媒として12.45重量部+貧溶媒として4.15重量部)
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 1.81重量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 0.91重量部
────────────────────────────────────
【0043】
得られた溶液を観察したところ、セルロースアセテートが良く溶解しており、未溶解物は認められなかった。セルロースアセテート溶液を50℃にて2週間放置したところ、未溶解物の析出が認められ、溶液に濁りが生じた。
【0044】
(処方、調製方法および冷却温度の変更)
処方(1〜6)、調製方法(a、b、x)および冷却温度(−70℃、−50℃、−30℃)を変更して、様々なセルロースアセテート溶液を調製した。処方2〜6は、処方1の貧溶媒であるエタノールを、以下の貧溶媒に変更しただけである。
処方2:1−プロパノール
処方3:イソプロパノール
処方4:1−ブタノール
処方5:t−ブタノール
処方6:シクロヘキサン
【0045】
また、調製方法a、bおよびxは、以下の方法である。
調製方法a:セルローストリアセテートを、可塑剤(トリフェニルホスフェートとビフェニルジフェニルホスフェート)を溶解した主溶媒(酢酸メチル)中に攪拌しながら徐々に添加し、1時間膨潤後、前記のように冷却した後、50℃まで加温し、攪拌しながら貧溶媒と補助溶媒(エタノール)とを添加する。
調製方法b:セルローストリアセテートを、可塑剤(トリフェニルホスフェートとビフェニルジフェニルホスフェート)を溶解した主溶媒(酢酸メチル)と補助溶媒(エタノール)との混合溶媒中に攪拌しながら徐々に添加し、1時間膨潤後、前記のように冷却した後、50℃まで加温し、攪拌しながら貧溶媒を添加する。
調製方法x:セルローストリアセテートを、可塑剤(トリフェニルホスフェートとビフェニルジフェニルホスフェート)を溶解した主溶媒(酢酸メチル)、補助溶媒(エタノール)と貧溶媒との混合溶媒中に攪拌しながら徐々に添加し、1時間膨潤後、前記のように冷却した後、50℃まで加温する。
【0046】
得られた溶液を観察し、セルロースアセテートの未溶解物が非常の多く認められるもの(評価:D)、未溶解物が少し認められるもの(評価:C)およびセルロースアセテートが良く溶解しており、未溶解物が認められないもの(評価:BまたはA)に分類した。未溶解物が認められないセルロースアセテート溶液は、さらに50℃にて2週間放置して、未溶解物の析出が認められ、溶液に濁りが生じたもの(評価:B)と未溶解物の析出が認められなかったもの(評価:A)に分類した。
以上の評価結果を下記第1表に示す。
【0047】
【表1】
Figure 0003691637
【0048】
[実施例2]
平均酢化度59.5%のセルロースアセテートに代えて、平均酢化度60.2%のセルロースアセテートを使用した以外は、実施例1と同様にして各種セルロースアセテート溶液を調製して評価した。
評価結果を下記第2表に示す。
【0049】
【表2】
Figure 0003691637
【0050】
[実施例3]
セルロースアセテートの使用量を、17重量部から20重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして各種セルロースアセテート溶液を調製して評価した。
評価結果を下記第3表に示す。
【0051】
【表3】
Figure 0003691637
【0052】
[実施例4]
セルロースアセテートの使用量を、17重量部から20重量部に変更した以外は、実施例2と同様にして各種セルロースアセテート溶液を調製して評価した。
評価結果を下記第4表に示す。
【0053】
【表4】
Figure 0003691637
【0054】
[実施例5]
実施例1の処方4(貧溶媒:1−ブタノール)、調製方法aまたはb、冷却温度−30℃に相当する方法で、図1に示す装置を用いてセルロースアセテート溶液を調製した。
調製方法aまたはbにより得られた溶液を観察したところ、いずれもセルロースアセテートが良く溶解しており、未溶解物は認められなかった。さらに、セルロースアセテート溶液を50℃にて2週間放置したところ、未溶解物の析出は認められなかった。
調製方法aまたはbにより得られた溶液を、図1に示す装置を用いてフイルムを製造したところ、いずれも良好なセルロースアセテートフイルムが得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】製造方法の各工程および装置の組み合わせを示すフローチャートである。
【符号の説明】
S1 主溶媒
P セルロースアセテート
S2 補充用主溶媒
A、B、C 貧溶媒の添加個所
1 攪拌タンク
2 送液ポンプ
3 冷却装置
3−1 螺旋状の搬送機構
3−2 ジャケット状の冷却機構
4 加温装置
4−1 仕切りエレメント
4−2 ジャケット状の加温機構
5 送液ポンプ
6 ヒーター
7 フィルター
8 圧力調整バルブ
9 濃縮タンク
10 送液ポンプ
11 温度調整装置
12 ストックタンク
13 送液ポンプ
14 フィルター
15 ダイ
16 ベルト状支持体
17 フイルム
18 液化装置
19 冷却ストックタンク
20 送液ポンプ
21 冷媒タンク
22 冷凍機
23 クーリングタワー
24 冷媒
25 熱交換機
27 恒温槽

Claims (8)

  1. 58.0乃至62.5%の平均酢化度を有するセルロースアセテートと、炭素原子数が3乃至12のエステル、炭素原子数が3乃至12のケトンおよび炭素原子数が3乃至12のエーテルから選ばれる有機溶媒との混合物を−100乃至−10℃に冷却する工程、および冷却した混合物を0乃至150℃に加温して、有機溶媒中にセルロースアセテートを溶解する工程からなるセルロースアセテート溶液の調製方法であって、混合物を冷却する工程が終了してから、加温する工程前、工程中または工程後に、沸点が30乃至170℃のアルコールまたは沸点が30乃至170℃の炭化水素を混合物に添加することを特徴とするセルロースアセテート溶液の調製方法。
  2. エステル、ケトンおよびエーテルから選ばれる有機溶媒50乃至95重量部に対して、沸点が30乃至170℃のアルコールまたは沸点が30乃至170℃の炭化水素を5乃至50重量部用いる請求項1に記載のセルロースアセテート溶液の調製方法。
  3. 58.0乃至62.5%の平均酢化度を有するセルロースアセテートと、炭素原子数が3乃至12のエステル、炭素原子数が3乃至12のケトンおよび炭素原子数が3乃至12のエーテルから選ばれる有機溶媒に、さらに炭素原子数が1乃至5の直鎖状一価アルコールを加えた混合物を冷却する請求項1に記載のセルロースアセテート溶液の調製方法。
  4. エステル、ケトンおよびエーテルから選ばれる有機溶媒50乃至95重量部に対して、直鎖状一価アルコールを1乃至30重量部、そして沸点が30乃至170℃のアルコールまたは沸点が30乃至170℃の炭化水素を1乃至30重量部用いる請求項3に記載のセルロースアセテート溶液の調製方法。
  5. 混合物を冷却する工程が終了してから、加温する工程前、工程中または工程後に、沸点が30乃至170℃のアルコールまたは沸点が30乃至170℃の炭化水素に加えて、炭素原子数が1乃至5の直鎖状一価アルコールを混合物に添加する請求項1に記載のセルロースアセテート溶液の調製方法。
  6. エステル、ケトンおよびエーテルから選ばれる有機溶媒50乃至95重量部に対して、沸点が30乃至170℃のアルコールまたは沸点が30乃至170℃の炭化水素を1乃至30重量部、そして直鎖状一価アルコールを1乃至30重量部用いる請求項5に記載のセルロースアセテート溶液の調製方法。
  7. 加温する工程中または工程後に、沸点が30乃至170℃のアルコールまたは沸点が30乃至170℃の炭化水素を混合物に添加する請求項1に記載のセルロースアセテート溶液の調製方法。
  8. 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法により調製したセルロースアセテート溶液を支持体上に流延する工程および溶媒を蒸発させてフイルムを形成する工程からなるセルロースアセテートフイルムの製造方法。
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