JP2003160579A - 有機過酸化物、その誘導体、ラジカル重合開始剤およびそれらの製造方法 - Google Patents

有機過酸化物、その誘導体、ラジカル重合開始剤およびそれらの製造方法

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JP2003160579A
JP2003160579A JP2001364194A JP2001364194A JP2003160579A JP 2003160579 A JP2003160579 A JP 2003160579A JP 2001364194 A JP2001364194 A JP 2001364194A JP 2001364194 A JP2001364194 A JP 2001364194A JP 2003160579 A JP2003160579 A JP 2003160579A
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JP2001364194A
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English (en)
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Kazuya Oharu
一也 大春
Kunio Watanabe
邦夫 渡邉
Kunihiro Ohira
訓弘 大平
Hideki Nakagawa
秀樹 中川
Hideo Sawada
英夫 沢田
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Asahi Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】有機過酸化物、その誘導体、ラジカル重合開始
剤およびそれらの製造方法の提供。 【解決手段】特定のペルフルオロジオキソラン骨格含有
有機過酸化物、該有機過酸化物を用いて合成した、末端
にペルフルオロジオキソラン骨格を含有する誘導体、ま
たは、該有機過酸化物と芳香族化合物とを反応させて芳
香族環にペルフルオロジオキソラン骨格を導入した誘導
体。該有機過酸化物を必須成分とするラジカル重合開始
剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な有機過酸化
物、その誘導体、ラジカル重合開始剤およびそれらの製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】環状構造を分子内に有する含フッ素有機
過酸化物は、特開平11−49749号公報に記載があ
るが、ペルフルオロジオキソラン骨格を有する含フッ素
有機過酸化物は文献未載であり、該含フッ素有機過酸化
物は、酸素親和性に優れ、分離膜用途などへの応用が期
待される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第1の目的
は、新規な有機過酸化物を提供することにある。本発明
の第2の目的は、ペルフルオロジオキソラン骨格を有す
る酸ハライドと過酸化水素とを反応させる、前記有機過
酸化物の製造方法を提供することにある。
【0004】本発明の第3の目的は、前記有機過酸化物
の誘導体である、ペルフルオロジオキソラン骨格が末端
に導入された新規含フッ素有機化合物を提供することに
ある。
【0005】本発明の第4の目的は、該有機過酸化物を
有効成分とするエチレン性重合基のラジカル重合開始剤
を提供することにある。
【0006】さらに本発明の第5の目的は、反応触媒お
よび特殊な装置を用いず、高収率かつ容易に、ペルフル
オロジオキソラン骨格が末端に導入された前記有機過酸
化物の誘導体を製造できる製造方法を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題に鑑み鋭意検討した結果、新規な有機過酸化物を合成
し、該有機過酸化物が重合開始剤として有用であるこ
と、また有機過酸化物を用いて各種誘導体(ペルフルオ
ロジオキソラン骨格を含有する化合物など)が合成でき
ること、さらに該有機過酸化物と芳香族化合物との反応
により芳香族環にペルフルオロジオキソラン骨格を導入
できることを見出し、本発明を完成した。
【0008】すなわち、本発明は次の(1)〜(9)を
提供する。ただし、式[I]〜式[VIII]における
記号は、以下の意味を示す。 R、R:それぞれ独立に水素原子またはメチル基。 R、R:それぞれ独立にハロゲン原子、シアノ基、
−Si(R、− COまたは−CONR。ただし、Rは炭
素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のアルコキ
シ基であり、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原
子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜6のヒド
ロキシアルキル基または−CHCHCHSi(R
である。 Ar:ベンゼン、チオフェン、フラン、トルエン、キシ
レンまたはナフタレンの残基。 Ph:フェニレン基。 m1:1〜5000の整数。 m2:0〜5000の整数。
【0009】(1)下記式[I]で表される有機過酸化
物。
【0010】
【化6】
【0011】(2)下式[I−2]で表される化合物と
化酸化水素とを、塩基の存在下で反応させることを特徴
とする、前記有機過酸化物[I]の製造方法。
【0012】
【化7】
【0013】(3)下式[II]で表され、かつ、数平
均分子量が500〜1,000,0である前記有機過酸
化物[I]の誘導体。
【0014】
【化8】
【0015】(4)下式[III]で表される前記有機
過酸化物[I]の誘導体。
【0016】
【化9】
【0017】(5)下式[IV]で表される単位を少な
くとも1個含有する前記有機過酸化物の誘導体。
【0018】
【化10】
【0019】(6)前記有機過酸化物[I]を必須成分
とするエチレン性重合基のラジカル重合開始剤。
【0020】(7)前記有機過酸化物[I]と下式
[V]で表される化合物とを、必要により下式[VI]
で表される化合物の添加のもとに、反応させることを特
徴とする前記誘導体[II]の製造方法。 CH=CR・・・[V]、 CH=CR・・・[VI]。
【0021】(8)前記有機過酸化物[I]と下式[V
II]で表される芳香族化合物とを反応させることを特
徴とする誘導体[III]の製造方法。 Ar−H・・・[VII]。
【0022】(9)前記有機過酸化物[I]と下式[V
III]で表される単位を含有する芳香族化合物とを反
応させることを特徴とする、前記式[IV]で表される
単位を少なくとも1個含有する誘導体の製造方法。 −[CHCH(Ph−H)]−・・・[VIII]。
【0023】
【発明の実施の形態】本明細書において、ペルフルオロ
ジオキソラン骨格とは、基本的に炭素原子と酸素原子と
フッ素原子からなるものをいう。
【0024】本発明の有機過酸化物[I]は、対応する
酸ハライドを塩基(アルカリ性)の存在下、過酸化水素
と反応させることにより合成できる。該酸ハライドとし
ては、たとえば、4,5,5−トリフルオロ−2,2−
ビス(トリフルオロメチル)−1,3−ジオキソラン−
4−カルボニルフロリド(以下、TGと記す。)が挙げ
られる。
【0025】具体的な合成方法としては、たとえば次の
第1方法または第2方法がある。第1方法は、TGを、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウ
ム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリ
ウムからなる群より選択される1種以上の化合物(以
下、A成分と記す。)の存在下、過酸化水素と反応させ
る方法。第2方法は、TGを、過酸化ナトリウム、過酸
化カリウムおよび過酸化バリウムからなる群より選択さ
れる1種以上の化合物(以下、B成分と記す。)と反応
させる方法。
【0026】第1方法において、TG/過酸化水素/A
成分の仕込モル比は、1/0.3〜20/0.3〜10
であるのが好ましく、特に1/0.5〜10/0.5〜
7であるのが好ましい。また、第2方法において、TG
/B成分の仕込モル比は、1:0.3〜20であるのが
好ましく、特に1/0.5〜15であるのが好ましい。
【0027】第1方法で、TGに対する過酸化水素の仕
込モル比が20以下である場合、または同じくA成分の
仕込モル比が10以下である場合は、生成物である有機
過酸化物の収率が向上するので好ましい。また、前記仕
込モル比の過酸化水素が0.3以上の場合は、反応時間
が短くなり、反応物の収率も向上するので好ましい。
【0028】また第2方法で、TGに対するB成分の仕
込モル比が20以下の場合には、生成物である有機過酸
化物の収率が向上するので好ましい。また、前記仕込モ
ル比のB成分が0.3以上の場合は、反応時間が短くな
り、生成物の収率も向上するので好ましい。
【0029】さらに、A成分またはB成分は、水に溶解
して用いるのが好ましい。水溶液中のA成分またはB成
分の濃度は1〜60質量%が好ましく、特に5〜30質
量%が好ましい。濃度が前記範囲にある場合は、生成物
の収率が向上し、反応効率がよく工業的に採用できるた
め好ましい。
【0030】また、第1方法または第2方法における反
応温度は−30℃〜+50℃が好ましく、反応時間は
0.5〜10時間であるのが好ましい。得られた反応の
粗生成物は水等を用いた洗浄等の方法により精製しても
よい。
【0031】さらに、これらの反応において用いられる
溶媒は、前記TGが可溶な溶剤であれば特に限定されな
い。たとえば、ハロゲン化脂肪族溶媒、ハロゲン化芳香
族溶媒などの溶媒を用いるのが好ましい。
【0032】溶媒としては、たとえば以下の溶媒が好ま
しく挙げられる。塩化メチレン、クロロホルム、2−ク
ロロ−1,2−ジブロモ−1,1,2−トリフルオロエ
タン、1,2−ジブロモヘキサフルオロプロパン、1,
2−ジブロモテトラフルオロエタン、1,1−ジフルオ
ロテトラクロロエタン、1,2−ジフルオロテトラクロ
ロエタン、フルオロトリクロロメタン、ヘプタフルオロ
−2,3,3−トリクロロブタン、1,1,1,3−テ
トラクロロテトラフルオロプロパン、1,1,1−トリ
クロロペンタフルオロプロパン、1,1,2−トリクロ
ロトリフルオロエタン、1,1,1,2,2−ペンタフ
ルオロ−3、3−ジクロロプロパン、1,1,2,2,
3−ペンタフルオロ−1,3−ジクロロプロパン、トリ
デカフルオロヘキサン、1,1,1,2,2,3,4,
5,5,5−デカフルオロペンタン、ノナフルオロブチ
ルメチルエーテル、ノナフルオロブチルエチルエーテ
ル、ヘプタフルオロシクロペンタン、ベンゾトリフルオ
リド、ヘキサフルオロキシレン、ペンタフルオロベンゼ
ン等。
【0033】特に工業的には、1,1,1,2,2−ペ
ンタフルオロ−3、3−ジクロロプロパン、1,1,
2,2,3−ペンタフルオロ−1,3−ジクロロプロパ
ン、トリデカフルオロヘキサン、1,1,1,2,2,
3,4,5,5,5−デカフルオロペンタン、ノナフル
オロブチルメチルエーテル、ノナフルオロブチルエチル
エーテル、ヘプタフルオロシクロペンタン、ベンゾトリ
フルオリド等の溶媒、またはこれら溶媒が任意の割合で
混合された混合溶媒が好ましく用いられる。
【0034】本発明の有機過酸化物[I]は、特定のペ
ルフルオロシクロオキサアルキル基を有するために、1
0時間選定半減期温度が、通常の含フッ素有機過酸化物
に比べて高く、通常の直鎖状ペルフルオロアルキル基ま
たは直鎖状ペルフルオロオキサアルキル基を有する有機
過酸化物と同等であり、一般のエチレン性重合基のラジ
カル重合開始剤として有用である。エチレン性重合基を
有するモノマとしては特に限定されないが、後に例示さ
れるモノマが好ましく挙げられる。
【0035】本発明の有機過酸化物[I]の誘導体の一
つは誘導体[II]であり、誘導体[II]は、有機過
酸化物[I]をラジカル重合開始剤として、エチレン性
重合基を有するモノマを重合して得られる。エチレン性
重合基を有するモノマとしては、前記化合物[V]、前
記化合物[VI]が好ましく挙げられる。
【0036】本発明の誘導体[II]としては、重合体
の両末端にペルフルオロジオキソラン骨格があるものを
示したが、本発明において、有機過酸化物[I]の誘導
体としては、ラジカル反応で生じる重合体の片末端のみ
にペルフルオロジオキソラン骨格が導入された誘導体を
任意の割合で含んでいてもよい。また、ラジカルの連鎖
移動による溶媒などに由来する基、またはラジカル停止
反応による不均化反応に由来する基が片末端に導入され
た誘導体も任意に含んでいてもよい。
【0037】化合物[V]または化合物[VI]として
は、以下の化合物が好ましく挙げられる。塩化ビニル、
塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、ア
クリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪
酸ビニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メ
チル、(メタ)アクリル酸−t−ブチル、(メタ)アク
リル酸プロピル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)
アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エ
チルヘキシル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ
ート,2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、
トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラ
ン、ジアセチルオキシメチルビニルシラン、ジエトキシ
メチルビニルシラン、トリアセチルオキシビニルシラ
ン、トリイソプロポキシビニルシラン、トリメチルビニ
ルシラン、トリ−t−ブトキシビニルシラン、エトキシ
ジエチルビニルシラン、ジエチルメチルビニルシラン、
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−
メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタ
クリロキシプロピルジアセチルオキシメチルシラン、3
−メタクリロキシプロピルジエトキシメチルシラン、3
−メタクリロキシプロピルトリアセチルオキシシラン、
3−メタクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラ
ン、3−メタクリロキシプロピルトリメチルシラン、3
−メタクリロキシプロピルトリ−t−ブトキシシラン、
3−メタクリロキシプロピルエトキシジエチルシラン、
3−メタクリロキシプロピルジエチルメチルシラン、3
−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アク
リロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキ
シプロピルジアセチルオキシメチルシラン、3−アクリ
ロキシプロピルジエトキシメチルシラン、3−アクリロ
キシプロピルトリアセチルオキシシラン、3−アクリロ
キシプロピルトリイソプロポキシシラン、3−アクリロ
キシプロピルトリメチルシラン、3−アクリロキシプロ
ピルトリ−t−ブトキシシラン、3−アクリロキシプロ
ピルエトキシジエチルシラン、3−アクリロキシプロピ
ルジエチルメチルシラン、アクリロイルモルホリン、N
−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアク
リルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパン
スルホン酸、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチ
ル)アクリルアミド等。
【0038】誘導体[II]の数平均分子量は500〜
1,000,000であり、フッ素原子の特性をより顕
著に発現させるためには、700〜50,000が好ま
しい。数平均分子量が前記範囲であると製造がしやすい
ため好ましい。
【0039】誘導体[II]の製造方法は、有機過酸化
物[I]と特定の原料モノマとを反応させる方法が好ま
しい。有機過酸化物[I]と、原料モノマ(化合物
[V]、化合物[VI])との反応における、化合物
[V]と化合物[VI]との混合モル比は任意の割合で
よいが、化合物[V]/化合物[VI]の割合は1/
0.01〜100が好ましい。有機過酸化物[I]/化
合物[V]と化合物化合物[VI]との合量の仕込モル
比は、1/0.1〜5000が好ましく、特に1/0.
5〜1000が好ましい。
【0040】原料モノマの仕込モル比が前記範囲である
と、有機過酸化物[I]の自己分解に起因する生成物が
生成せず、目的とする誘導体[II]の収率が向上する
ため好ましい。また有機過酸化物[I]の仕込モル比を
調節することにより、得られる誘導体の分子量を調節で
きる。すなわち、有機過酸化物[I]の仕込モル比を原
料モノマに対して多くすれば、分子量の低い誘導体が得
られ、少なくすれば分子量の高い誘導体が得られる。
【0041】該反応は常圧で行うことができ、反応温度
は−20℃〜150℃が好ましく、特に0〜100℃が
好ましい。反応温度が前記範囲であると、反応時間が長
くならず、反応時の圧力が高くならず、反応操作が容易
であるので好ましい。反応時間は30分間〜20時間の
範囲が好ましく、実用的には1〜10時間になるように
条件を設定することが好ましい。
【0042】本発明の製造方法では、有機過酸化物
[I]と原料モノマとを種々の反応条件において反応さ
せることにより、誘導体[II]を直接1段階反応によ
り得ることができるが、反応をより円滑に行うためには
溶媒を用いることが好ましい。
【0043】該溶媒としては、ハロゲン化脂肪族溶媒、
ハロゲン化芳香族溶媒が好ましい。具体的には、塩化メ
チレン、クロロホルム、2−クロロ−1,2−ジブロモ
−1,1,2−トリフルオロエタン、1,2−ジブロモ
ヘキサフルオロプロパン、1,2−ジブロモテトラフル
オロエタン、1,1−ジフルオロテトラクロロエタン、
1,2−ジフルオロテトラクロロエタン、フルオロトリ
クロロメタン、ヘプタフルオロ−2,3,3−トリクロ
ロブタン、1,1,1,3−テトラクロロテトラフルオ
ロプロパン、1,1,1−トリクロロペンタフルオロプ
ロパン、1,1,2−トリクロロトリフルオロエタン、
1,1,1,2,2−ペンタフルオロ−3,3−ジクロ
ロプロパン、1,1,2,2,3−ペンタフルオロ−
1,3−ジクロロプロパン、トリデカフルオロヘキサ
ン、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフ
ルオロペンタン、ノナフルオロブチルメチルエーテル、
ノナフルオロブチルエチルエーテル、ヘプタフルオロシ
クロペンタン、ベンゾトリフルオリド、ヘキサフルオロ
キシレン、ペンタフルオロベンゼン等を用いることがで
きる。
【0044】特に工業的には、1,1,1,2,2−ペ
ンタフルオロ−3、3−ジクロロプロパン、1,1,
2,2,3−ペンタフルオロ−1,3−ジクロロプロパ
ン、トリデカフルオロヘキサン、1,1,1,2,2,
3,4,5,5,5−デカフルオロペンタン、ノナフル
オロブチルメチルエーテル、ノナフルオロブチルエチル
エーテル、ヘプタフルオロシクロペンタン、ベンゾトリ
フルオリド等の溶媒、またはこれらの溶媒が任意の割合
で混合された混合溶媒を好ましく挙げることができる。
【0045】溶媒を使用する場合、溶媒中の有機過酸化
物[I]の濃度は0.1〜30質量%が好ましい。本発
明の製造方法を用いて得られる誘導体[II]は、再沈
澱法、カラムクロマトグラフィー、透析等の公知の方法
で精製できる。
【0046】本発明の誘導体の2つめは、前記誘導体
[III]である。また、3つめは前記重合単位[I
V]を含有する誘導体である。重合単位[IV]を含有
する誘導体において、ポリスチレンの単位は分子量20
0〜2000000であるのが好ましい。
【0047】誘導体[III]または重合単位[IV]
を含有する誘導体の製造方法は、有機過酸化物[I]と
特定の芳香族化合物とを反応させる方法がある。
【0048】該反応における、有機過酸化物[I]/化
合物[VII]または重合単位[VIII]を含有する
芳香族化合物、の仕込モル比は任意の割合でよく、1/
0.01〜100が好ましく、特に1/0.5〜50が
好ましい。なお、重合単位[VIII]の場合は重合単
位に対するモル比を示す。原料の芳香族化合物の仕込モ
ル比が前記範囲にあると、有機過酸化物[I]の自己分
解に起因する生成物が生成せず、未反応物が残存しない
ため好ましい。
【0049】重合単位[IV]を含有する誘導体におい
て、重合単位[IV]は1〜10000個含まれるのが
好ましく、重合単位[VIII]は10000個以下含
まれるのが好ましい。
【0050】該反応は常圧で行うことができ、反応温度
は−50℃〜120℃が好ましく、特に−20℃〜80
℃が好ましい。反応温度が前記範囲であると、反応時間
が長くならず、反応時の圧力が高くならず、反応操作が
容易であるので好ましい。反応時間は30分間〜20時
間の範囲で行うのが好ましく、実用的には1〜10時間
になるように条件を設定することが好ましい。
【0051】本発明の製造方法においては、有機過酸化
物[I]と特定の芳香族化合物とを種々の反応条件で反
応させることにより、目的の誘導体を直接1段階反応に
より得ることができるが、反応をより円滑に行うために
は溶媒を用いることが好ましい。該溶媒としては、前記
のハロゲン化脂肪族溶媒、ハロゲン化芳香族溶媒が特に
好ましく挙げられる。
【0052】溶媒を使用する場合は、溶媒中の有機過酸
化物[I]の濃度が0.1〜30質量%であることが好
ましい。本発明の製造方法により得られる誘導体[II
I]または重合単位[IV]を有する誘導体は、蒸留、
再結晶、カラムクロマトグラフィー、再沈殿法、透析等
の公知の方法で精製できる。
【0053】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明す
る。 [例1]前記TGの28mmolを含むAK−225溶
液の387gを、水酸化ナトリウムの62mmolおよ
び30%過酸化水素水の62mmolを含む水溶液68
gに−5℃にて加え、撹拌しながら30分間反応させ
た。反応後、粗生成物を分液ロートにより分離し、有機
層を水にて2回洗浄して生成物を得た。
【0054】得られた生成物をヨウ素滴定により分析し
たところ、前記有機過酸化物[I]が248.1g(収
率12%)得られたことがわかった。また、得られた生
成物のAK−225中における熱分解速度をヨードメト
リー法により測定(以下、同様とする。)したところ、
以下の表1に示す結果が得られた。表1より、10時間
選定半減期温度が13.7℃であることがわかった。
【0055】
【表1】
【0056】[例2]例1で得られた生成物の1.71
mmolを含むAK−225溶液の244g中に、アク
リル酸の1.28g(18mmol)を加え、窒素気流
下、45℃にて5時間反応させた。反応後、粗生成物を
ヘキサンにて充分に洗浄して精製し、以下の生成物を
1.26g得た。得られた生成物は、水または汎用の極
性有機溶媒に可溶であった。 IR(ν/cm−1):3445(OH),1720
(C=O),1315(CF),1246(C
).
【0057】
【化11】
【0058】
【発明の効果】本発明の有機過酸化物[I]は、新規な
有機過酸化物である。該有機過酸化物は、種々のエチレ
ン性重合基を有するモノマの重合開始剤として、特には
フッ素系モノマの重合開始剤として有用である。
【0059】本発明の有機過酸化物の誘導体は、新規な
化合物である。該誘導体は、ペルフルオロジオキソラン
骨格がエステル結合ではなく、直接炭素−炭素結合によ
り結合されているため、フッ素原子に起因した性質を長
期間維持でき、耐候性に優れる化合物である。
【0060】したがって該誘導体は、フッ素系界面活性
剤として有用であり、また低表面張力、低屈折性、耐熱
性、耐寒性、耐油性、電気絶縁性、防曇性、防汚性、耐
薬品性等に優れた化合物として有用である。さらに、表
面処理剤、塗料、光学レンズ、プラスッチクファイバ
ー、眼鏡用レンズ、ガラス器具等の表面に前記の優れた
性能を付与できる材料として有用であり、化粧品等の原
料としても利用できる。また、酸素親和性も良好なこと
から、分離膜等の用途にも応用できる。
【0061】また本発明の製造方法によれば、前記有機
過酸化物またはその誘導体を、短時間で収率よくかつ容
易に、しかも反応触媒、特殊な装置を使用せずに、1段
階反応により製造できる。
フロントページの続き (72)発明者 中川 秀樹 東京都千代田区有楽町一丁目12番1号 旭 硝子株式会社内 (72)発明者 沢田 英夫 奈良県磯城郡田原本町八尾572−7 Fターム(参考) 4C063 AA01 BB01 CC81 CC92 DD75 DD81 EE05 4J015 BA06

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下式[I]で表される有機過酸化物。 【化1】
  2. 【請求項2】下式[I−2]で表される化合物と過酸化
    水素とを、塩基の存在下で反応させることを特徴とす
    る、前記式[I]で表される有機過酸化物の製造方法。 【化2】 ただし、式[I−2]において、Xはハロゲン原子であ
    る。
  3. 【請求項3】下式[II]で表され、かつ、数平均分子
    量が500〜1,000,000である前記有機過酸化
    物の誘導体。 【化3】 ただし、式[II]において、R、Rはそれぞれ独
    立に水素原子またはメチル基であり、R、Rはそれ
    ぞれ独立にハロゲン原子、シアノ基、−Si
    (R、−COまたは−CONR(R
    は炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のア
    ルコキシ基であり、R、R、Rはそれぞれ独立に
    水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜6
    のヒドロキシアルキル基または−CHCHCH
    i(Rである。)であり、m1は1〜5000の
    整数であり、m2は0〜5000の整数である。
  4. 【請求項4】下式[III]で表される前記有機過酸化
    物の誘導体。 【化4】 ただし、式[III]において、Arはベンゼン、チオ
    フェン、フラン、トルエン、キシレンまたはナフタレン
    の残基である。
  5. 【請求項5】下式[IV]で表される単位を少なくとも
    1個含有する前記有機過酸化物の誘導体。 【化5】
  6. 【請求項6】前記式[I]で表される有機過酸化物を必
    須成分とするエチレン性重合基のラジカル重合開始剤。
  7. 【請求項7】前記式[I]で表される有機過酸化物と下
    式[V]で表される化合物とを、必要により下式[V
    I]で表される化合物の添加のもとに、反応させること
    を特徴とする、前記式[II]で表される誘導体の製造
    方法。 CH=CR・・・[V] CH=CR・・・[VI] ただし、式[V]、式[VI]において、R、R
    それぞれ独立に水素原子またはメチル基であり、R
    はそれぞれ独立にハロゲン原子、シアノ基、−Si
    (R、−COまたは−CONR(R
    は炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のア
    ルコキシ基であり、R、R、Rはそれぞれ独立に
    水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜6
    のヒドロキシアルキル基または−CHCHCH
    i(Rである。)である。
  8. 【請求項8】前記式[I]で表される有機過酸化物と下
    式[VII]で表される芳香族化合物とを反応させるこ
    とを特徴とする、前記式[III]で表される誘導体の
    製造方法。 Ar−H・・・[VII] ただし、式[VII]において、Arはベンゼン、チオ
    フェン、フラン、トルエン、キシレンまたはナフタレン
    の残基である。
  9. 【請求項9】前記式[I]で表される有機過酸化物と下
    式[VIII]で表される単位を含有する芳香族化合物
    とを反応させることを特徴とする、前記式[IV]で表
    される単位を少なくとも1個含有する誘導体の製造方
    法。 −[CHCH(Ph−H)]−・・・[VIII] ただし、式[VIII]において、Phはフェニレン基
    である。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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