JP2003144023A - 魚釣用電動リール - Google Patents

魚釣用電動リール

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JP2003144023A JP2001388231A JP2001388231A JP2003144023A JP 2003144023 A JP2003144023 A JP 2003144023A JP 2001388231 A JP2001388231 A JP 2001388231A JP 2001388231 A JP2001388231 A JP 2001388231A JP 2003144023 A JP2003144023 A JP 2003144023A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】スプール駆動用モータをスプール内に水密状態
で収納できるとともに、モータ収納時にモータ駆動軸の
同心度を高精度且つ容易に得ることができるメンテナン
ス性に優れた魚釣用電動リールの提供を目的としてい
る。 【解決手段】スプール駆動用モータ10を収容体220
内に収容するとともに、この収容体220を介してスプ
ール駆動用モータ10をスプール8に内蔵して成る魚釣
用電動リール1において、収容体220は、リール本体
4の側枠4bからスプール8の軸方向に延びる円筒部材
として形成されるとともに、側枠4bと反対側に位置す
るその端部に、収容体220の径方向内側に突出する環
状の保持部220aを有し、この保持部220aと側枠
4bとの間でスプール駆動用モータ10を回転不能に挟
着保持することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リール本体に回転
自在に支持されたスプールを巻き取り駆動するスプール
駆動用モータを備えた魚釣用電動リールに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、魚釣用リールは、リール本体
と、釣糸が巻回されるスプールとを備えて成る。そし
て、リール本体の内部には、スプールに釣糸を巻き取る
巻取駆動機構、スプールに釣糸を平行に巻回するための
平行巻駆動機構、スプールに制動力を付与する制動機構
などが収容されている。
【0003】このような魚釣用リールは、他の技術分野
の製品と異なり、水(海水や淡水)や異物が付着し易い
過酷な環境下で使用されるため、実釣時にリール本体内
の駆動部に水や異物等が侵入しないようにしなければな
らない。とりわけ、電装部品が装備された電動リールに
あっては、防水の面での配慮が厳しく要求される。
【0004】そのため、スプールの糸巻き胴部内にスプ
ール駆動用モータを収納するスプールインタイプの電動
リールにおいては、スプール内に直接にモータを収納す
るのではなく、モータを筒状の収容体に収容し、この収
容体をモータとともにスプール内に収納するようにして
いる。例えば、実用新案登録第2530816号では、
モータをスプールの糸巻き胴部内に水密に収納するた
め、前記収容体をリール本体と一体的に形成する(リー
ル本体の一側部によって前記収容体を形成する)ととも
に、リール本体の前記一側部と反対側に位置する前記収
容体の端部から、収容体の径方向内側に向かう鍔状部を
延設し、この鍔状部にモータの一端を接触させてビスに
より固定するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、実用新
案登録第2530816号に開示された構造にあって
は、収容体の鍔状部にモータの一端をビスにより固定す
るため、モータ駆動軸の軸心の心出し精度が鍔状部によ
って規定されてしまう。すなわち、鍔状部に対するモー
タの固定位置に狂いが生じている場合には、モータ駆動
軸の軸心とスプールを含む回転駆動系の軸心とを高精度
に一致させること(同心度を高精度に得ること)が難し
い。また、モータを収容体に組み付ける際に、モータ駆
動軸の同心度を調整することも難しい。そのため、モー
タ駆動軸の軸心のズレによって、モータ駆動時に異音や
振動が発生したり、軸受や駆動部の摩耗が促進されると
いった問題が生じる。
【0006】また、実用新案登録第2530816号に
開示された構造にあっては、前述したように、モータを
収容する前記収容体がリール本体(リール本体の一側
部)と一体的に形成されており、しかも、このリール本
体の一側部と反対側に位置する前記収容体の鍔状部にモ
ータが固定されているため、モータのメンテナンス作業
(清掃や部品交換等)を行なう場合には、リール本体の
一側部と反対側にあるリール本体の他側部側からアクセ
スしてモータの固定状態を解除しなければならない。こ
の場合、リール本体の他側部側には、巻取駆動機構およ
び減速機構が設けられているため、メンテネンス作業が
非常に面倒である(メンテナンス性が劣る)。
【0007】本発明は前記事情に着目してなされたもの
であり、その目的とするところは、スプール駆動用モー
タをスプール内に水密状態で収納できるとともに、モー
タ収納時にモータ駆動軸の同心度を高精度且つ容易に得
ることができるメンテネンス性に優れた魚釣用電動リー
ルを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明の1つの形態は、リール本体に回転自在に支
持されたスプールと、前記スプールを回転駆動させるス
プール駆動用モータとを備え、前記スプール駆動用モー
タを収容体内に収容するとともに、この収容体を介して
前記スプール駆動用モータを前記スプールに内蔵して成
る魚釣用電動リールにおいて、前記収容体は、リール本
体の一側枠からスプールの軸方向に延びる円筒部材とし
て形成されるとともに、前記一側枠と反対側に位置する
その端部に、収容体の径方向内側に突出する環状の保持
部を有し、この保持部と前記一側枠との間で前記スプー
ル駆動用モータを回転不能に挟着保持することを特徴と
する。
【0009】また、本発明の他の形態は、リール本体に
回転自在に支持されたスプールと、前記スプールを回転
駆動させるスプール駆動用モータとを備え、前記スプー
ル駆動用モータを収容体内に収容するとともに、この収
容体を介して前記スプール駆動用モータを前記スプール
に内蔵して成る魚釣用電動リールにおいて、前記収容体
は、リール本体の一側枠からスプールの軸方向に延びる
円筒部材として形成されるととも、前記一側枠と反対側
に位置するその一端部内面に環状の凸部を有し、この凸
部は、前記スプール駆動用モータの端部外周面に当接し
てこれを保持することにより、前記スプール駆動用モー
タの駆動軸の軸心位置を規定し、また、前記収容体の前
記一端部の開口は、収容体内を水密に維持するシール材
によって閉塞されていることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
の一実施形態について説明する。図1および図2は本発
明の第1の実施形態を示している。図1に示すように、
本実施形態に係る魚釣用電動リール1は、左右両側に側
板4a,4a’が着脱自在に取り付けられたリール本体
4を有している。リール本体4には、図中向かって右側
に、後述する手動巻取り駆動部150を構成する手動ハ
ンドルHが取り付けられている。また、リール本体4の
上側には操作パネル93が設けられている。また、左側
板4aと右側板4a’との間には、釣糸が巻回されるス
プール8が回転自在に支持されている。
【0011】スプール8の内部には、スプール8を回転
駆動させるためのスプール駆動用モータ10が収容され
ている。このモータ10には、図示しないバッテリから
電力が供給されるようになっている。具体的には、モー
タ10の電気接点72に接続された電気ライン71がリ
ール本体4の図示しないコネクタに電気的に接続されて
おり、給電コード74を介して前記コネクタを図示しな
いバッテリに接続することにより、モータ10への給電
が行なわれるようになっている。
【0012】スプール駆動用モータ10は、スプール8
と同軸に配置されている。スプール駆動用モータ10の
左駆動軸10aには、スプール駆動用モータ10の逆回
転を防止するための一方向クラッチ90が連結されてお
り、また、右駆動軸10bには減速機構(遊星歯車伝達
機構)40が連結されている。
【0013】一方向クラッチ90は、スプール駆動用モ
ータ10が右側板4a’側から見て時計回りに回転(正
転駆動)した時に、フリー回転状態(駆動軸10a,1
0bを自由に回転させる状態)となってスプール8の巻
き取り駆動を可能とし、手動ハンドルHで巻き取り操作
された時に、駆動軸10a,10bの回転が阻止されて
手動ハンドルHの動力がスプール8に伝達されるように
設定構成されている。なお、以下において、時計回り、
反時計回りとは、全て右側板4a’側から見たものとす
る。
【0014】スプール駆動用モータ10の右駆動軸10
bと右側板4a’との間には、手動巻取り駆動部150
の動力を減速機構40に伝達する回転駆動軸45が、ス
プール駆動用モータ10の左右駆動軸10a,10bと
同軸に設けられている。この回転駆動軸45は、軸受1
00,101によって回転可能に支持されている。な
お、軸受101は、後述するように、回転駆動軸45の
軸方向に移動できる。
【0015】減速機構40は、第1ないし第3の遊星ギ
ヤ機構40A,40B,40Cから成り、スプール駆動
用モータ10の正転駆動時に右駆動軸10bの回転運動
を第1の遊星ギヤ機構40Aで減速させた後、更に、第
2および第3の遊星ギヤ機構40B,40Cで減速させ
てスプール8に伝達するように構成されている。
【0016】具体的には、第1の遊星ギヤ機構40A
は、スプール駆動用モータ10の右駆動軸10bと一体
回転する第1の太陽歯車50と、この第1の太陽歯車5
0に噛合した複数の第1の遊星歯車51と、これら第1
の遊星歯車51が常時噛合するようにスプール8の端面
に刻設された内歯歯車52とを備えている。
【0017】また、第2の遊星ギヤ機構40Bは、スプ
ール駆動用モータ10の右駆動軸10bに回転可能に支
持された第2の太陽歯車55と、この第2の太陽歯車5
5に噛合した複数の第2の遊星歯車57とを備えてお
り、複数の第2の遊星歯車57は内歯歯車52に常時噛
合するようになっている。
【0018】更に、第3の遊星ギヤ機構40Cは、スプ
ール駆動用モータ10の右駆動軸10bに回転可能に支
持された第3の太陽歯車58と、この第3の太陽歯車5
8に噛合した複数の第3の遊星歯車59とを備えてお
り、複数の第3の遊星歯車59は内歯歯車52に常時噛
合するようになっている。
【0019】また、複数の第1の遊星歯車51はそれぞ
れ第1のキャリア60に支持されており、この第1のキ
ャリア60は第2の太陽歯車55と一体回転するよう連
結されている。また、複数の第2の遊星歯車57はそれ
ぞれ第2のキャリア61に支持されており、この第2の
キャリア61は第3の太陽歯車58と一体回転するよう
連結されている。更に、複数の第3の遊星歯車59はそ
れぞれ第3のキャリア62に支持されており、この第3
のキャリア(支持体)62は、係止ピン103を介して
回転駆動軸45に連結され、回転駆動軸45と一体で回
転するようになっている。
【0020】また、本実施形態の魚釣用リール1は、釣
糸の繰り出しで回転するスプール3に制動力を付与しな
がらスプール3の釣糸繰り出し方向への回転を許容する
制動作用を与えるとともに、この制動作用を利用してス
プール8をフリー回転状態と釣糸巻取り状態とに切換え
るクラッチ作用を与えるドラグ機構160を備えてい
る。
【0021】具体的には、ドラグ機構160は、回転駆
動軸45に回転可能に嵌合支持された収容体20と、こ
の収容体20と噛み合ってこれと一体回転する複数の第
1の制動板(ワッシャ)21A,21Bと、回転駆動軸
45に回り止め支持(嵌合)されて回転駆動軸45と一
体に回転する第2の制動板(ワッシャ)22と、リール
本体4の右側板4a’に対して前後方向(図面の表裏方
向)に回動可能に取り付けられたドラグ操作部材(ドラ
グ力調節部材)27と、ドラグ操作部材27の回転によ
って制動板21A,21B,22を押圧するように移動
される押圧機構と、制動板21A,21B,22の摩擦
面(制動面)間に介在して設けられたライニング材23
とを備えている。この場合、各制動板21A,21B,
22およびライニング材23は、一括して収容体20の
凹状の収容部内に収容されるとともに、回転駆動軸45
の軸方向に移動自在となっている。
【0022】また、前記押圧機構は、ドラグ操作部材2
7に回り止め嵌合された第1のカム部材29と、第1の
カム部材29と係合し且つドラグ操作部材27の回動操
作に伴う第1のカム部材29の回転によって回転駆動軸
45の軸方向に移動する第2のカム部材30と、第2の
カム部材30に保持され且つ第2のカム部材30ととも
に軸方向に移動する押圧部材31と、回転駆動軸45お
よび前記軸受101に回転可能に嵌合支持されて制動板
21Bを押圧する押圧体24と、押圧部材31と押圧体
24との間に介挿され且つ押圧部材31によって押圧移
動される板ばね25および軸受28とから成る。
【0023】この場合、第1および第2のカム部材2
9,30は、リール本体4の右側板4a’に固定された
支持部材32内に収容され、この支持部材32によって
軸方向に移動可能に支持されている。また、第2のカム
部材30は、支持部材32の内面に軸方向に沿って形成
された回り止め溝33と係合することにより、その回転
が規制されている。また、軸受28は、回転駆動軸45
の端部を回転可能に支持するとともに、回転駆動軸45
に対して軸方向に移動できる。また、板バネ25は、回
転駆動軸45の外周に嵌合され、回転駆動軸45の軸方
向に移動できる。
【0024】なお、押圧部材31と回転駆動軸45の端
部との間には、押圧部材31の軸方向の移動を許容する
所定の空間Sが形成されるようになっている。また、収
容体20と第2の制動板22との間および第2の制動板
22と軸受101(押圧体24)との間には、圧縮コイ
ルバネ26が介挿されている。これらの圧縮コイルバネ
26は、回転駆動軸45の外周に巻装されており、制動
板22と収容体20と軸受101(押圧体24)とを互
いに軸方向に離間させる方向(押圧力を解除する方向)
で付勢している。また、収容体20の収容部20aの一
端開口には、収容体20内を水密に維持するためのシー
ル部材80が設けられている。
【0025】また、リール本体4の右側板4a’には、
右側板4a’からのドラグ操作部材27の抜けを防止す
る抜け止めプレート34が、止め輪35を介して、右側
板4a’に対して螺着されている。また、押圧部材31
には微調整用ノブ36が係合しており、この微調整用ノ
ブ36を回転させることによって押圧部材31を軸方向
に移動できるようになっている。なお、微調整用ノブ3
6の軸方向への移動量は抜け止めプレート34によって
制限されている。
【0026】また、押圧体24の外周面には、係止ピン
37を介して、ピニオンギヤ38が嵌合されている。す
なわち、ピニオンギヤ38は、押圧体24と一体的に回
転できるようになっている。また、ピニオンギヤ38に
は、手動巻取り駆動部150のドライブギヤ66が噛合
している。
【0027】手動巻取り駆動部150は、ハンドルH
と、ハンドルHと一体で回転するハンドル軸65と、ハ
ンドル軸65に回り止め嵌合されたドライブギヤ66と
を備えて成る。
【0028】また、ハンドル軸65の基端部には、スプ
ール駆動用モータ10によってスプール8を釣糸巻取方
向に回転させた際に、これに連動してハンドル軸65が
回転しないように、逆転防止機構が設けられている。こ
の逆転防止機構は、外周面にラチェット爪67aが所定
ピッチで形成されたラチェットギヤ67と、ラチェット
爪67aに対して一定の付勢力で常時係合している図示
しないストッパとを備えており、ラチェットギヤ67
は、ハンドル軸65に回り止め嵌合されている。このよ
うな逆転防止機構によれば、スプール駆動用モータ10
によってスプール8を釣糸巻取方向に回転させた場合、
その回転方向では、ラチェット爪67aに前記ストッパ
が係止方向で噛み合うため、ラチェットギヤ67の回転
が阻止され、スプール駆動用モータ10の回転に連動し
てハンドル軸65が回転することが防止される。したが
って、スプール駆動用モータ10の動力は減速機構40
を介してスプール8のみに伝達される。これに対し、手
動ハンドルHの回転操作によってスプール8を釣糸巻取
方向に回転させた場合、その回転方向では、ラチェット
爪67aに係合する前記ストッパはラチェットギヤ67
の回転を許容するため、手動ハンドルHの回転操作に連
動してハンドル軸54を回転させることができる。
【0029】なお、スプール8の前方には、スプール8
の回転に連動して動作するレベルワインド機構95が設
けられている。このレベルワインド機構95は、外周面
にトラバース溝が形成され且つ端部にギア121が取り
付けられたウォームシャフトと、このウォームシャフト
を収容する筒体120と、前記トラバース溝と係合して
前記ウォームシャフトの回転により筒体120に沿って
左右に摺動する係合子128とを有しており、係合子1
28に形成された孔128aを介してスプール8に巻回
された釣糸を案内する。したがって、ハンドルHを回転
操作すれば、スプール8の回転および係合子128の左
右の摺動により、スプール8には釣糸が均等に巻回され
る。
【0030】このような構成の魚釣用電動リール1にお
いては、まず、ドラグ操作部材27を一方向に回転操作
すると、ドラグ操作部材27に回り止め嵌合する第1の
カム部材29が回転し、それに伴って、第2のカム部材
30が回転駆動軸45の軸方向に移動する。その結果、
軸受28、板ばね25、押圧体24が圧縮コイルバネ2
6の付勢力に抗して軸方向に移動され、押圧体24によ
って制動板21A,21B,22が押圧される。これに
より、制動板21A,21B,22が回転駆動軸45の
軸方向に沿ってスライドされ、制動板21A,21B,
22の摩擦面同士がライニング材23を介して圧接され
るとともに、制動板21Aが収容体20に所定の押圧力
で押さえ付けられる。そして、この時の押圧力が制動板
22を介して回転駆動軸45に作用することにより、押
圧体24を含む押圧機構の構成要素が回転駆動軸45に
対して摩擦結合され、スプール8に所定のドラグ力が発
生する。
【0031】このように所定のドラグ力が形成された状
態で、手動ハンドルHを時計回りに回転操作すると、ド
ライブギヤ66およびドライブギヤ66と噛み合うピニ
オンギヤ38が回転され、ピニオンギヤ38と一体の押
圧体24が回転する。そして、この押圧体24の回転力
は、押圧機構による前記摩擦結合力に応じて、回転駆動
軸45に伝達され、回転駆動軸45に連結された第3の
キャリア62を反時計回りに回転させる。この時、遊星
歯車59は、反時計回りに自転すると共に公転し、内歯
歯車52を反時計回りに増速した状態で回転駆動する。
これにより、スプール8は、釣糸巻取り方向に回転駆動
される。なお、内歯歯車52の反時計回りの回転駆動に
より、第1の太陽歯車50は時計回りに回転しようとす
るが、その回転駆動は、モータ10に対して反対側に位
置する一方向クラッチ90によって規制される。
【0032】また、手動ハンドルHによらず、スプール
駆動用モータ10を正転駆動(時計回り)させると、第
1の太陽歯車50は時計回りに回転駆動される。この回
転駆動により、遊星歯車51は、反時計回りに回転する
と共に時計回りに公転し、第3の太陽歯車58が時計回
りに回転する。この回転方向では、前述した逆転防止機
構によってハンドル軸65の回転が規制されているた
め、ハンドル軸65にドライブギヤ66を介して連結し
たピニオンギヤ38(押圧体24)の回転(時計回りの
回転)が規制される。その結果、ピニオンギヤ38と摩
擦結合した回転駆動軸45および第3のキャリア62
は、回転することなく一定位置に静止した状態に維持さ
れる。したがって、第3の太陽歯車58が時計回りに回
転した際、第3のキャリア62に回転可能に支持された
複数の遊星歯車59は、第3の太陽歯車58の回りを公
転することなく一定位置で反時計回りに自転する。
【0033】この状態において、複数の遊星歯車59の
反時計回りの回転運動は、スプール8の端面に刻設され
た内歯歯車52に減速されて伝達され、この内歯歯車5
2を反時計回りに回転させる。そして、これに伴ってス
プール8は、釣糸巻取方向(反時計回り)に回転する。
この結果、釣糸は、図示しない釣糸案内機構を介してス
プール8に均一に巻き取られる。なお、このような電動
巻取時には、前記逆転防止機構が機能しているため、手
動ハンドルHが連動して高速で回転することはない。
【0034】一方、ドラグ操作部材27を他方向に回転
操作していくと、圧縮コイルバネ26の付勢力によって
押圧体24が押し戻され、制動板21A,21B,22
同士が互いに離間する。したがって、押圧体24を含む
押圧機構の構成要素と回転駆動軸45との摩擦結合力す
なわちドラグ力が弱まる。そして、ドラグ操作部材27
を他方向に十分回転操作すると、最終的に、スプール8
はフリー回転可能状態に維持される。この状態では、釣
糸を仕掛けの自由落下によってスプール8から繰り出す
ことができる。
【0035】次に、スプール8内にスプール駆動用モー
タ10を収納するための構造について説明する。
【0036】スプール駆動用モータ10は、リール本体
4とは別体の筒状の収容体220内に収容され、この収
容体220とともにスプール8内に収納されている。具
体的には、図2に拡大して示されるように、収容体22
0は、スプール8内に収納可能な筒状体として形成され
ている。収容体220の一端には、収容体220の径方
向外側に突出する環状のフランジ部220bが形成さ
れ、このフランジ部220bは、左側板4aに隣接する
リール本体4の側枠4bに対して止めネジ230により
固定されている。この場合、フランジ部220bと側枠
4bとの間には、弾性材料によって形成されたシール材
239が介挿されている。また、モータ10の端面と側
枠4bとの間にも弾性材料によって形成されたシール材
237が介挿されている。なお、モータ10の電気接点
72に接続された前述の電気ライン71は、側枠4bを
貫通して延びており、この電気ライン71と側枠4bと
の間にも、弾性材料によって形成されたシール材273
が介挿されている。
【0037】また、収容体220の他端には、収容体2
20の径方向内側に突出する環状の保持部220aが形
成されており、この環状の保持部220aの開口220
dを通じてモータ10の駆動軸10bが収容体220か
ら導出されている。また、環状の保持部220aの内周
縁からは、軸方向外側に突出する筒状のボス部220e
が延びている。このボス部220eは、収容体220と
減速機構40との間を仕切る環状の仕切板277の開口
277aに所定の間隙をもって挿入されている。
【0038】収容体220の環状の保持部220aの内
面には、収容体220の軸方向に突出する少なくとも1
つ(本実施形態では、収容体220の軸心に対して対称
に2つ)の凸部220cが形成されている。また、保持
部220aの内面と対向するモータ10の端面には、凸
部220cと対向する部位に、凸部220cが挿入可能
な凹部10cが形成されている。これらの凸部220c
および凹部10cは、互いに係合することによって、モ
ータ10の回転を防止する回り止め機構250を構成す
る。なお、凹部10cは、後述するようにモータ10の
駆動軸10a,10bの同心度を調整(モータ10の駆
動軸10a,10bの軸心とスプール8および回転駆動
軸45の軸心とを一致させる調整)し得る所定のクリア
ランスを凸部220cとの間に形成するような大きさで
設けられていることが望ましい。
【0039】また、収容体220の環状の保持部220
aとモータ10との間には、弾性材料からなる略筒状の
シール材225が介挿されている。このシール材225
は、保持部220の内面とモータ10の端面との間に介
挿される外端フランジ部225aと、モータ10の駆動
軸10bの外周面にシール状態で密着する内周縁部22
5bとを有している。
【0040】以上のような構造を用いてスプール駆動用
モータ10をスプール8内に収納する場合には、まず、
シール材225およびシール材237が装着されたモー
タ10を、シール材239が装着された収容体220内
に嵌挿するとともに、モータ10の凹部10cと環状保
持部220aの凸部220cとを係合させることによっ
て、モータ10を収容体220内にある程度位置決めし
た状態で収容する。この時、シール材225の外端フラ
ンジ部225aがモータ10の端面と保持部220aの
内面との間に挟まれ、また、保持部220aの開口22
0dからモータ10の駆動軸10bが所定の同心度をも
って導出される。
【0041】続いて、このようにしてモータ10が収容
された収容体220をスプール8内に挿入する。この
時、保持部220aのボス部220eを仕切板277の
開口277aに挿入するようにして、収容体220をス
プール8内である程度大まかに位置決めする。そして、
最終的に、収容体220のフランジ部220bをリール
本体4の側枠4bに対して当て付けて、止めネジ230
を捩じ込んでいくと、保持部220が側板4b側に引き
寄せられる。これにより、モータ10は、保持部220
aからの押圧作用により側板4bに対して押し付けら
れ、シール材225,237,239を介して保持部2
20aと側枠4bとの間でガタ付くこと無く挟持され
る。また、この止めネジ230を捩じ込んでいく過程
で、モータ10は、シール材225,237,239の
弾性作用により、その駆動軸10a,10bの軸心がス
プール8および回転駆動軸45の軸心と一致するように
微調整される。
【0042】以上説明したように、本実施形態の魚釣用
電動リール1は、スプール駆動用モータ10をスプール
8内に収納するための収容体220を備え、この収容体
220は、リール本体4の側枠4bからスプール8の軸
方向に延びる円筒部材として形成されるとともに、側枠
4bと反対側に位置するその端部に、収容体220の径
方向内側に突出する環状の保持部220aを有し、この
保持部220aと側枠4bとの間で弾性材225,23
7,239を介してスプール駆動用モータ10を回転不
能に挟着保持する。すなわち、収容体220の保持部2
20aと側枠4bとの間で直接にモータ10が挟持固定
されるのではなく、弾性材225,237,239を介
してモータ10が収容体220の保持部220aと側枠
4bとの間で弾性的に挟持される。そのため、モータ1
0は、シール材225,237,239の弾性作用によ
り、その駆動軸10a,10bの軸心がスプール8およ
び回転駆動軸45の軸心と一致するように調整される。
したがって、スプール8へのモータ10の収納時に、モ
ータ10の駆動軸10a,10bの同心度を高精度且つ
容易に得ることができ、モータ10の駆動時に異音や振
動が発生したり、軸受や駆動部の摩耗が促進されるとい
った不都合を回避することができる。
【0043】また、本実施形態において、軸心調整用の
弾性体225,237,239は、スプール駆動用モー
タ10が収容される収容体220内の防水を図るシール
材を兼ねているため、少ない部品点数で、防水および軸
心調整の両方を行なうことができる。
【0044】また、本実施形態において、収容体220
は、リール本体4と別体で形成され、リール本体4の側
枠4bに固定されている。したがって、収容体220の
製作が容易になるとともに、放熱性や強度等を考慮した
材料選択が可能になり、設計の自由度の拡大やコスト低
減が可能となる。
【0045】図3および図4は本発明の第2の実施形態
を示している。なお、本実施形態において、第1の実施
形態と共通する構成部分については、以下、同一符号を
付してその説明を省略する。
【0046】本実施形態の魚釣用電動リール1Aの収容
体220Aは、側枠4bと反対側に位置するその他端の
内面に、収容体220Aの径方向内側に突出する環状の
凸部220hを有している。この凸部220hは、減速
機構40および回転駆動軸45に結合される駆動軸10
bに近いモータ10の端部外周面に当接してこれを保持
し、減速機構40および回転駆動軸45等に対する駆動
軸10bの同心度を正確に確保する。
【0047】また、凸部220hが形成された収容体2
20Aの他端は、第1の実施形態のように径方向内側に
延びる環状の保持部220aを形成することなく、その
まま開口しており、その開口220fには、これを閉じ
るように弾性材料からな成るシール材280が装着され
ている。
【0048】シール材280は、収容体220Aの他端
外周に取り付けられる外端部280aと、モータ10の
駆動軸10bの外周面にシール状態で密着する内周縁部
280bと、収容体220Aの開口220fを閉塞する
本体部280cとを有している。シール材280の外端
部280aは、収容体220Aの他端外周面に形成され
た凹部220g内に嵌入されるとともに、その上側から
断面がC字型の弾性リング283を弾性的に広げて凹部
220gに嵌着することにより収容体220Aに抜け止
め固定される。
【0049】また、本実施形態の魚釣用電動リール1A
にも、モータ10の回転を防止する回り止め機構250
Aが設けられている。この回り止め機構250Aは、側
枠4bから軸方向に延びる支持体283と、この支持体
283と係合し得るようにモータ10の端面に形成され
た凹部10dとから成る。無論、この回り止め機構25
0Aは、側枠4bと反対側に位置する収容体220Aの
他端側に設けられていても良い。なお、それ以外の構成
は第1の実施形態と同一である。
【0050】以上のように、本実施形態の魚釣用電動リ
ール1Aの収容体220Aは、リール本体4の側枠4b
と反対側に位置するその他端部内面に環状の凸部220
hを有し、この凸部220hは、モータ10の端部外周
面に当接してこれを保持することにより、モータ10の
駆動軸10a,10bの軸心位置を規定し、減速機構4
0および回転駆動軸45等に対する駆動軸10a,10
bの同心度を正確に確保する。このように、減速機構4
0および回転駆動軸45に結合される駆動軸10bに近
いモータ10の端部を凸部220hによって径方向から
保持すれば、駆動軸10bの同心度を高精度に確保し易
い。すなわち、本実施形態は、駆動軸10bの同心度を
得易い収容体220Aの他端部内面(凸部220h)で
モータ10を支持する方式を採用することにより、モー
タ10の偏心に伴うモータ駆動時の異音発生や振動を効
果的に防止している。
【0051】また、本実施形態では、収容体220Aの
他端部開口がシール材によって閉塞されているため、収
容体220Aの内部の防水を図ることができる。
【0052】更に、本実施形態の収容体220Aには、
第1の実施形態のように径方向内側に延びる環状の保持
部220aが形成されていないため、保持部220aの
肉厚分だけリール全体の軸方向寸法を小さくすることが
できる。言い換えると、スプール8内の軸方向に保持部
220aのためのスペースを確保する必要がないため、
スプール8内に収容される減速機構40の配置スペース
が制約されないで済む。
【0053】図5には、第2の実施形態の変形例が示さ
れている。この変形例では、側枠4bがネジ300を介
してリール本体4に着脱自在に取り付けられている。な
お、それ以外の構成は第2の実施形態と同一であるた
め、同一符号を付してその説明を省略する。
【0054】したがって、このような構成では、左側板
4aをリール本体4から取り外すとともに、ネジ300
を外して一体化されている側枠4bをリール本体から取
り外せば、止めネジ230を介して側枠4bと一体にな
っている収容体220Aをスプール8内から抜き出すこ
とができるため、モータ10およびその駆動部のメンテ
ナンス(清掃や部品交換等)を容易に行なうことができ
る。すなわち、モータ10を取り出すために、巻取駆動
機構および減速機構が設けられている右側板4a’側か
らモータ10にアクセスしなくて済むため、メンテネン
ス性が良好である。このように、本変形例によれば、モ
ータの防水を図りながら、良好なメンテナンス性を得る
ことができる。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
スプール駆動用モータをスプール内に水密状態で収納で
きるとともに、モータ収納時にモータ駆動軸の同心度を
高精度且つ容易に得ることができるメンテネンス性に優
れた魚釣用電動リールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る魚釣用電動リー
ルの断面図である。
【図2】図1の魚釣用電動リールの要部拡大断面図であ
る。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る魚釣用電動リー
ルの断面図である。
【図4】図3の魚釣用電動リールの要部拡大断面図であ
る。
【図5】本発明の第2の実施形態の変形例に係る魚釣用
電動リールの断面図である。
【符号の説明】
1…魚釣用電動リール 4…リール本体 4a,4a’…側板 4b・・・側枠 8…スプール 10…スプール駆動用モータ 220…収容体 220a…保持部 220h…凸部 225,237,239…シール材(弾性体) 280…シール材

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リール本体に回転自在に支持されたスプ
    ールと、前記スプールを回転駆動させるスプール駆動用
    モータとを備え、前記スプール駆動用モータを収容体内
    に収容するとともに、この収容体を介して前記スプール
    駆動用モータを前記スプールに内蔵して成る魚釣用電動
    リールにおいて、 前記収容体は、リール本体の一側枠からスプールの軸方
    向に延びる円筒部材として形成されるとともに、前記一
    側枠と反対側に位置するその端部に、収容体の径方向内
    側に突出する環状の保持部を有し、この保持部と前記一
    側枠との間で前記スプール駆動用モータを回転不能に挟
    着保持することを特徴とする魚釣用電動リール。
  2. 【請求項2】 前記スプール駆動用モータは、前記保持
    部と前記一側枠との間で弾性材を介して回転不能に挟着
    保持されており、前記弾性材は、前記収容体内を水密に
    維持するシール材を兼ねていることを特徴とする請求項
    1に記載の魚釣用電動リール。
  3. 【請求項3】 リール本体に回転自在に支持されたスプ
    ールと、前記スプールを回転駆動させるスプール駆動用
    モータとを備え、前記スプール駆動用モータを収容体内
    に収容するとともに、この収容体を介して前記スプール
    駆動用モータを前記スプールに内蔵して成る魚釣用電動
    リールにおいて、 前記収容体は、リール本体の一側枠からスプールの軸方
    向に延びる円筒部材として形成されるととも、前記一側
    枠と反対側に位置するその一端部内面に環状の凸部を有
    し、この凸部は、前記スプール駆動用モータの端部外周
    面に当接してこれを保持することにより、前記スプール
    駆動用モータの駆動軸の軸心位置を規定し、また、前記
    収容体の前記一端部の開口は、収容体内を水密に維持す
    るシール材によって閉塞されていることを特徴とする魚
    釣用電動リール。
  4. 【請求項4】 前記収容体は、リール本体と別体で形成
    され、リール本体の前記一側枠に固定されていることを
    特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記
    載の魚釣用電動リール。
  5. 【請求項5】 前記収容体は、リール本体に着脱自在に
    取り付けられる前記一側枠と一体になっていることを特
    徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載
    の魚釣用電動リール。
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