JP2003125562A - 永久磁石回転子の製造方法 - Google Patents

永久磁石回転子の製造方法

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JP2003125562A JP2002298215A JP2002298215A JP2003125562A JP 2003125562 A JP2003125562 A JP 2003125562A JP 2002298215 A JP2002298215 A JP 2002298215A JP 2002298215 A JP2002298215 A JP 2002298215A JP 2003125562 A JP2003125562 A JP 2003125562A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 無電解メッキを施した界磁用永久磁石が、ロ
ータヨークのスロットに挿着されている永久磁石回転子
の製造方法を改良して、工程の簡易化及び製造時間の短
縮化を図り得るようにしたこと。 【解決手段】 回転子(1)のヨーク(2)は多数の鋼
板(4)を積層して形成され、外周上に2n倍(nは正
整数)の磁極(5)を有し、回転軸孔からほぼ等しい距
離の全磁極又は1つおきの基部にスロット(6)を備
え、このスロットには、無電解ニッケルメッキが施され
た界磁用永久磁石を挿入してなる永久磁石回転子の製造
方法において、前記ニッケルメッキの熱処理を、無電解
ニッケルメッキが施された界磁用永久磁石をロータヨー
クの前記スロットに挿着した後に行う永久磁石回転子の
製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】本発明は、ロータヨークの磁
極の全磁極又は1つおきの基部に界磁用永久磁石を挿入
するようにした永久磁石回転子の製造方法に関する。
【従来の技術】一般に、コンプレッサにおいて、冷媒と
オイルが流通する密閉容器の内部に、駆動モータと圧縮
装置とを直列的に配置し、前記駆動モータの回転子に界
磁用永久磁石が挿着されている技術が知られている。図
9は、従来の冷凍サイクル用コンプレッサの縦断面を示
している。全体を符号500で示す冷凍サイクル用コン
プレッサは、冷媒が流通する密閉容器510を有してい
る。この容器510の内部には、圧縮装置(図示を省
略)と駆動モータ520とが上下直列に配置されてい
る。駆動モータ520は、回転子700、固定子600
及び回転軸710とから構成されている。前記固定子6
00は、固定子鉄心610と励磁用コイル620とから
構成される。前記回転子700は、ロータヨーク72
0、界磁用永久磁石730、スペーサ740及びバラン
スウエイト750を有している。ロータヨーク720
は、多数のけい素鋼板760を積層することによって形
成されている。ロータヨーク720の外周には磁極77
0が設けられており、この磁極770の基部には、界磁
用永久磁石730を挿入するスロット780が設けられ
ている。界磁用永久磁石730はスロット780に収容
可能な大きさに形成されており、界磁用永久磁石の表面
には一般に表面処理が施されていないものである。冷凍
サイクル用コンプレッサの組立に際しては、予め密閉容
器510に設置された回転軸710に、ロータヨーク7
20が焼き嵌め挿入される。すなわち、ロータヨーク7
20を約450℃に加熱して、中心の回転軸孔を膨張さ
せて若干大径となし、熱いまま回転軸710に挿入す
る。その後ロータヨーク720が冷却すると、膨張して
いた回転軸孔が収縮し、当該貫通孔が回転軸710を緊
締保持することとなる。尚、コンプレッサ使用時には、
コンプレッサ自体の温度が上昇して、約130℃に達す
るが、この場合は回転軸710も同時に膨張するので、
回転軸710に対するロータヨーク720の保持が減じ
られることはない。そして、界磁用永久磁石730がロ
ータヨーク720に挿入される。すなわち、ロータヨー
ク710の冷却後に、防錆紙に包まれた無着磁で表面処
理のされていない界磁用永久磁石730がスロット78
0の内部に挿入される。更に、界磁用永久磁石730の
挿入後、界磁用永久磁石の軸方向の固定として、非磁性
のスペーサ740がロータヨーク720の端部まで圧入
され、次いで、圧縮装置の動バランスをとる磁性のバラ
ンスウエイト750が、スペーサ740端部近傍まで圧
入される。図中矢印Qは界磁用永久磁石730の挿入方
向を示している。前記各部品が挿着された後、密閉容器
510の蓋(図示を省略)が閉められ、そして、励磁用
コイル620に高電流を流し、回転軸710をロックし
て界磁用永久磁石730が着磁され、その後、密閉容器
510の内部に温風を吹きかけて乾燥させ、内部水分を
蒸発させるものである。前述した従来技術によると、表
面処理のされていない界磁用永久磁石をロータヨークの
スロットに挿入するものであるため、界磁用永久磁石を
組込むまでのサビの発生防止の管理が以外と大変であ
り、また、スロット挿着後も、冷媒とオイルが加圧され
流通する圧力容器中でモータが作動するので、界磁用永
久磁石の素材の内部まで冷媒及びオイルが浸透して、磁
石が溶解される問題があった。そこで、近時は、コンプ
レッサに使われる界磁用永久磁石に表面処理のなされる
ものが知られている。この場合の表面処理は、磁石単品
の対向する2面を針状の固定電極で挟み、これに電流を
流して、メッキ槽に浸漬してニッケルメッキが施される
が、磁石素材表面の固定電極が接した部分にはメッキが
つかないため、磁石素材が露出する。このような電気ニ
ッケルメッキが施された界磁用永久磁石をロータヨーク
のスロットに挿入する場合は、電極跡から錆が発生する
ことを防止するため、電極跡に補修材を塗布する必要が
あり(電極跡に補修材を塗布したものを、以下、電極跡
つきニッケルメッキとも称する。)、更に、このような
補修を行っても、補修材が冷媒又はオイルに解ける問題
があった。加えて、焼き嵌め及び温風乾燥の高温に対し
て、補修材とメッキとの膨張係数の違いにより、補修材
の剥がれが生じ易く、また、材質の違いにより耐熱強度
の低下もあって、補修部を含めた磁石の寸法管理も大変
であった。更に、電極跡つきニッケルメッキは、固定電
極のため、メッキ電流が界磁用永久磁石の端部に集中し
て、一般に端部が中央部より厚くなる傾向(20μm〜
50μm増)があり、従って寸法管理が難しいと同時
に、メッキ膜が厚くなると、膜中の残留応力が増大する
ため、密着力も低下する不都合があった。
【発明が解決しようとする課題】他方、前述した電気メ
ッキを施した界磁用永久磁石を用いるのでなく、無電解
メッキを施した界磁用永久磁石をロータヨークに挿入す
るものも存在する。この場合は、無電解メッキを施した
界磁用永久磁石の熱処理を別途に行い、ロータヨークを
回転軸に焼き嵌め挿入した後に、熱処理後の界磁用永久
磁石をロータヨークのスロットに挿着している。このよ
うな無電解メッキを施した界磁用永久磁石を用いる場合
は、無電解メッキを施した界磁用永久磁石の熱処理、ロ
ータヨークの回転軸への焼き嵌め挿入、及び、その後の
界磁用永久磁石のロータヨークのスロットへの挿着、と
いう3つの工程を採っているため、工程時間が長くなる
とともに、磁石の固定が難しいという問題がある。本発
明は、無電解メッキを施した界磁用永久磁石が、ロータ
ヨークのスロットに挿着されている永久磁石回転子の製
造方法を改良して、工程の簡易化及び製造時間の短縮化
を図り得る永久磁石回転子の製造方法を得ることにあ
る。
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
回転子のヨークは多数の鋼板を積層して形成され、外周
上に2n倍(nは正整数)の磁極を有し、回転軸孔から
ほぼ等しい距離の全磁極又は1つおきの基部にスロット
を備え、このスロットには、無電解ニッケルメッキが施
された界磁用永久磁石を挿入してなる永久磁石回転子の
製造方法において、前記ニッケルメッキの熱処理を、無
電解ニッケルメッキが施された界磁用永久磁石をロータ
ヨークの前記スロットに挿着した後に行う永久磁石回転
子の製造方法である。請求項2記載の発明は、請求項1
の発明において、前記熱処理温度が、350〜400℃
である永久磁石回転子の製造方法である。
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して説明する。
図1は、永久磁石回転子を示す分解図である。この永久
磁石回転子1は、柱状に積層されたロータヨーク2と、
二対の板状の界磁用永久磁石3(3a,3b,3c,3
d)とを有している。前記ロータヨーク2は、多数のけ
い素鋼板4を金型で抜きかつ一体に積層して形成されて
いる。ロータヨーク2は、外周面に放射方向に突出した
4つの磁極5(5a,5b,5c,5d)を有してい
る。これら磁極の基部には、界磁用永久磁石を挿着させ
るスロット6(6a,6b,6c,6d)が設けられて
いる。更に、ロータヨーク2の中心部には、回転軸を貫
通させる回転軸孔が設けられている。また、スロットと
回転軸孔との最短距離の間に、界磁用永久磁石の軸方向
の固定用リベット貫通孔13aが設けられている。界磁
用永久磁石3a,3b,3c,3dは、図2の(a)に
示すように、断面矩形の6面体に形成され、界磁用永久
磁石の表面には、電気ニッケルメッキM1を施してい
る。この電気ニッケルメッキM1は、後述するメッキ手
段によりメッキが施される。更に、界磁用永久磁石3を
スロット6に挿入し、当該界磁用永久磁石の軸方向の固
定として、非磁性のスペーサsをロータヨーク2の両端
に設置させ、圧縮装置の動バランスをとるバランスウエ
イト11を被せ、最後にロータヨーク2、スペーサs及
びバランスウエイト11をまとめてリベット13で全体
をかしめて固定する。これにより、本実施例の永久磁石
回転子1が組み立てられる。本例において、前記電気ニ
ッケルメッキは、メッキの皮膜厚が、図2の(b)に示
す界磁用永久磁石3の中央部3Aと、図2の(c)に示
す端部3Bとでほぼ均一で、且つ、電極跡がない電気メ
ッキである。このような電気ニッケルメッキM1は、例
えば図3に示すようにしてメッキが施される。すなわ
ち、溶液802を充填した容器801内に、その上面が
傾斜面804をなす治具803を設置し、この治具80
3の近傍に一対の球状の電極805,805を配置して
メッキ装置800を構成する。磁石3は、前記傾斜面8
04にセットされて斜下方に送られると、溶液802内
で磁石3が電極805,805に挟持されるとともに、
当該電極が回転して、磁石3は更に下方に送られる。電
極805,805は回転するもその位置を保持し、この
電極805,805にメッキ電源が導通されて磁石3に
電気ニッケルメッキがなされる。このとき、磁石3の電
極位置が変るので、磁石3の表面に万遍なくニッケルメ
ッキを施すことができる。更に、電極が球状であるた
め、磁石に対して点接触となり、メッキ厚みにバラツキ
を生じることが少なくなる。発明者等の実験によれば、
前述したように電極を移動させて電気ニッケルメッキを
行うことにより、界磁用永久磁石3の中央部3Aと端部
3Bとがほぼ均一で且つ、電極跡のない電気メッキが得
られることを確認している。とりわけ、鋭角の角部を保
持している界磁用永久磁石において、角部が丸くならず
に、均一に磁石素材の形状に沿ってメッキを施すことが
できた。尚、本実施例でニッケルメッキとしているの
は、これにより高い硬度のメッキ層を得ることができ、
摩耗しにくく疵の付きにくい表面となるからである。も
っとも、本発明はニッケルメッキに限られるものでない
ことは勿論である。本例において、メッキ層は、図4に
示すように、5〜20μmが好ましい。更に、特に好ま
しいのは5〜10μmである。図4において、横軸は磁
石の長手方向の間隔であって、tが端部、t/2が中央
部であり、また、縦軸は、メッキ層の厚みを示してい
る。界磁用永久磁石に施されるメッキ層は、薄いほどよ
い。これは、メッキ層が厚くなると、界磁用永久磁石と
けい素鋼板との間のギャップが大きくなって磁束の効率
が悪くなるし、熱膨張や熱応力によりメッキ層の割れや
剥れを生じてしまう。この点、メッキ層の薄い方が受け
る熱応力が少なくてすみ、歪を小さくすることができる
ので、薄い方がよい。しかし、5μm未満であると、振
動に対する強度が不足し、例えばコンプレッサに用いら
れるモータの場合は、コンプレッサの運転範囲(−20
〜130℃)でメッキ層が剥がれてしまう不都合を生じ
る。他方、20μmを超えると、熱膨張や熱応力により
メッキ層の割れや剥れを生じることが判明している。従
って、前述したように、メッキ層は、5〜20μmが好
ましい。とりわけ、メッキ層を5〜10μmとした場合
は、磁石をコンプレッサ組み込み後に強制冷却しても、
メッキ層の割れは生じない。強制冷却しないときは、5
〜20μmでよい。図5は、他の電気メッキ装置を示す
図で、この例の場合は、溶液802を充填した容器80
1内に、ローラ状の治具803,803を設置し、この
治具803に沿って横方向に移動可能な一対のロール状
の電極805,805を配置してメッキ装置800を構
成する。電極805,805はスライダ806に支持杆
807を介して横方向に移動可能に設けられている。磁
石3は、溶液802内に浸漬され且つ前記治具803,
803に載置されて、電極805,805に挟持され
る。この例では、電極805,805が回転して横方向
に移動し、磁石3に電気ニッケルメッキがなされる。こ
の例でも磁石3の電極位置が変るので、磁石3の表面に
万遍なくニッケルメッキを施すことができる。また、ロ
ーラ状の治具803,803は、これが磁石3を載置す
る際に始終同じ位置で当接するとメッキのなされない箇
所を生じるので、ローラ状の治具803,803は若干
の正逆回動するようになされている。これにより、磁石
3は左右方向に揺動し、前記電極805,805の磁石
に対する電極位置が変ることにより、磁石3の表面にニ
ッケルメッキがほぼ均一で、且つ、電極跡が付かずに施
されることとなる。図6は、更に他の電気メッキ装置を
示す図で、この例の場合は、溶液802を充填した容器
801内に、上下方向に移動可能な複数の電極805,
805を設けた治具803を設置し、他方、横方向に移
動可能な支持杆807の下部に、電極805が突設され
てメッキ装置800を構成する。磁石3は、溶液802
内に浸漬され且つ前記治具803,803に載置され、
この例では、治具803に設けられた電極805が磁石
3の大きい表面積を有する面3Eに当接し、また、支持
杆807に設けられた電極805は磁石3の小さい表面
積を有する面3Dに当接するようにして、各電極80
5,805のいずれかが磁石と導通することにより、磁
石3に電気ニッケルメッキがなされる。つまりこの例で
は、適宜択一的に電極と磁石との接触・導通が図られる
ことにより、磁石3の電極位置が変るので、磁石3の表
面に万遍なくニッケルメッキを施すことができるように
なされている。このように、磁石と電極が相対的に移動
するので、電気メッキの際、磁石に対する電流の集中が
なくなって電極跡を生じない表面処理がなされ、中央部
及び端部に均一にメッキを施すことができる。更に、電
極が移動する構成のため、鋭角の角部を備えている界磁
用永久磁石に対しても、当該角部が丸くならずに均一
に、磁石素材の形状に沿って、メッキ層を形成すること
ができるものである。従って、従来の電気メッキによる
と、電極補修部が前後端面にある場合は、ロータヨーク
2と磁石の軸方向の長さを同一に設定することができな
かったし、また、電極補修部が磁石の大きい表面積を有
する面3Eにある場合は、界磁用永久磁石とけい素鋼板
との間のギャップを大きくしなければならず従って磁束
の効率が悪くなる不都合があったのに対し、上述した手
段によれば、界磁用永久磁石3に従来のような電極補修
部の突出部がないため、このような不都合を回避するこ
とができ、その結果、寸法管理を簡単に行えるようにな
った。次に、組み立てられた永久磁石回転子1は、界磁
用永久磁石3のキューリー点から、メッキの性能維持温
度又は界磁用永久磁石の素材の性能維持温度のどちらか
低い温度の間で、数分以内、加熱がなされる。周知のよ
うに、磁石等の強磁性体は、それ自身自発磁気を有し、
この自発磁気が外部磁界の印加により整列され、外部に
磁気を顕すものであるが、この自発磁気の消滅する温度
をキューリー点という。本例では、界磁用永久磁石の前
記キューリー点の温度以上であって、界磁用永久磁石の
素材の性能維持温度未満の温度の間で永久磁石回転子1
を数分加熱した後、後述するように、この回転子1を冷
凍サイクル用コンプレッサの回転軸に挿着する。以上説
明した方法によれば、電気メッキの際、磁石に対する電
流の集中がなくなって電極跡を生じない表面処理がなさ
れ、中央部及び端部に均一にメッキを施すことができ
る。更に、電極が移動する構成のため、鋭角の角部を備
えている界磁用永久磁石に対しても、当該角部が丸くな
らずに均一に、磁石素材の形状に沿って、メッキ層を形
成することができる。特に角部3Cはメッキ自身の強度
で保持されるため、界磁用永久磁石自身の素材強度の必
要性が少なくなった。また、電気ニッケルメッキM1の
厚みは、界磁用永久磁石のほぼ中央部3Aにおいて、5
μm以上20μm以下の厚みとなし、界磁用永久磁石3
をロータヨーク2に挿入後、界磁用永久磁石のキューリ
ー点より高い温度で焼き嵌めすることにより、わずかに
着磁された磁石が混入していても、高い温度で消磁され
る。更に高温をかけることにより、メッキと界磁用永久
磁石との境界面の結合力が向上することも本発明者等が
新しく得た知見である。また、回転軸に回転子を挿入す
る場合、5μm以上20μm以下の厚みは、界磁用永久
磁石とメッキとの膨張係数の違いによる歪みや割れが発
生しにくい最低メッキ厚みであると同時に、ロータヨー
ク2のスロットに挿入後、振動によるメッキの剥がれが
阻止できることも判明した。特に好ましいのは、5〜1
0μmの厚みとすることであり、前述したように、強制
冷却でメッキ割れを生じないものである。更に、電気メ
ッキの材質がニッケルメッキであるため、磁石の素材よ
り硬く、且つ軟磁性の性質を有するので、ロータヨーク
に挿入前後においてキズが付きにくく耐久性能も向上す
るものである。また、組み込み後において、仮にメッキ
が剥がれても、メッキは磁性体であるため、吸着されて
磁石素材表面から飛散することがない。更に、本実施例
のようにロータヨークのスロットに界磁用永久磁石を挿
入する回転子においては、磁性体の電気メッキであるた
め、スロットと界磁用永久磁石との磁気ギャプを少なく
設定できることも大きな利点である。また、界磁用永久
磁石に希土類磁石を用いる場合は、次の実施例が参考に
なる。すなわち、ロータヨークのスロットに希土類の界
磁用永久磁石を挿入した後、界磁用永久磁石の前記キュ
ーリー点の温度以上であって、界磁用永久磁石の素材の
性能維持温度未満の温度の間で永久磁石回転子1を数分
加熱した後、この回転子1を回転軸に挿着し、その後、
着磁して、予備乾燥温度(170℃前後)に入る。この
点、従来において、界磁用永久磁石は、モータ使用時に
温度上昇して初期減磁することが知られている。ところ
が、希土類磁石の場合は、前記ロータヨークの回転軸へ
の所謂焼き嵌めの際に自発磁気の消滅(減磁)がなさ
れ、そして、その後の着磁そして予備乾燥というプロセ
スを経ると、将来モータが使用されて予備乾燥温度内に
晒されても、前述した初期減磁という事態を回避できる
ことが判明している。ところで、ニッケルメッキは、前
述した電気メッキのほか、無電解メッキも知られてい
る。そして、従来においては、無電解ニッケルメッキが
施された界磁用永久磁石がロータヨークのスロットに挿
着されるものも用いられている。この場合は、ニッケル
メッキを施した界磁用永久磁石をロータヨークに挿着す
る前に、ニッケルメッキの熱処理を行っている。すなわ
ち、ニッケルメッキを行った状態のメッキ皮膜は、非晶
質で非磁性であり、熱処理を施すことにより、250℃
付近から徐々に結晶化し、NiのほかにNi3−Pの共
晶体が生じ、磁性も出てくる。また、図7に示すよう
に、400℃をピークにして硬度も得られる。もっと
も、更に高い温度では、一旦微細化した結晶粒が大きく
なり硬度も低下する。従って、従来は、無電解メッキを
施した界磁用永久磁石を用いる場合は、無電解メッキを
施した界磁用永久磁石の熱処理、ロータヨークの回転軸
への焼き嵌め挿入及び、その後の界磁用永久磁石のロー
タヨークのスロットへの挿着という3つの工程を採って
いるため、工程時間が長くなるとともに、磁石の固定が
難しいという問題があった。本発明者等は、前記図7に
おけるピーク硬度が350〜400℃、とりわけ400
℃で得られることと、回転軸にロータヨークが焼き嵌め
挿入されるときの温度が350〜400℃であることと
の間で、350〜400℃が共通することに着想を得
て、前記ロータヨークの回転軸への焼き嵌め挿入の際
に、併せてニッケルメッキの熱処理を同時に行うことを
提案するものである。このように、無電解ニッケルメッ
キが施された界磁用永久磁石をロータヨークに挿入した
後、前記ロータヨークを、ニッケルメッキの熱処理温度
とほぼ同一の温度(約400℃内外)を加えることによ
り、今まで別工程で行われていたニッケルメッキの熱処
理と、焼き嵌め工程とを、同時に行うことを可能とした
ものである。ニッケルメッキの熱処理と、焼き嵌め工程
の一体化により、工程の簡易化及び時間の短縮化が図れ
るものである。また、本実施例によると、メッキの割れ
が少なくなったことを確認している。図8は、コンプレ
ッサにロータヨークを挿入する断面図を示している。全
体を符号200で示す冷凍サイクル用コンプレッサは、
冷媒が流通する密閉容器210を有している。この容器
210の内部には、圧縮装置(図示を省略)と駆動モー
タ220とが上下直列に配置されている。駆動モータ2
20は、回転子400、固定子300及び回転軸230
とから構成され、前記固定子300は、固定子鉄芯31
0と励磁用コイル320とから構成されている。前記回
転子400は、ロータヨーク、界磁用永久磁石、スペー
サs及びバランスウエイト11を一体にしてリベット1
3でカシメている。冷凍サイクル用コンプレッサの組み
立てに際しては、密閉容器210に設置された回転軸2
30に、前述したように、回転子を界磁用永久磁石のキ
ューリー温度以上で、界磁用永久磁石の素材の性能維持
温度(電気ニッケルメッキの場合)又はメッキの性能維
持温度(無電解ニッケルメッキの場合)のどちらか低い
温度の間で数分以内で加熱し、爾後、回転子400を回
転軸230に矢印Qの方向に挿入し、その後、冷却され
る。更に、密閉容器210の蓋(図示を省略)が閉めら
れ、回転軸230を機械的に固定し、励磁コイル320
に高電流を流し、これにより界磁用永久磁石が着磁さ
れ、その後、密閉容器210の内部に温風を吹きかけて
乾燥させ、内部水分を蒸発させる。上記構成により、ロ
ータの組み立て(界磁用永久磁石のロータヨーク組み込
み)と、ロータのコンプレッサの回転軸への組み込みが
個別に生産できるようになった。その結果、工程の簡易
化及び時間の短縮化が図れる。
【発明の効果】本発明は以上説明したように、回転子の
ヨークは多数の鋼板を積層して形成され、外周上に2n
倍(nは正整数)の磁極を有し、回転軸孔からほぼ等し
い距離の全磁極又は1つおきの基部にスロットを備え、
このスロットには、無電解ニッケルメッキが施された界
磁用永久磁石を挿入してなる永久磁石回転子の製造方法
において、前記ニッケルメッキの熱処理を、無電解ニッ
ケルメッキが施された界磁用永久磁石をロータヨークの
前記スロットに挿着した後に行う永久磁石回転子の製造
方法であり、これにより、工程の簡易化及び製造時間の
短縮化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 永久磁石回転子を分解して示す斜視図であ
る。
【図2】 界磁用永久磁石を示す図で、(a)はその斜
視図、(b)はその中央部の断面図、(c)はその端部
の断面図である。
【図3】 電気メッキ装置を示す概念構成図である。
【図4】 磁石に施されるメッキ層の厚みを示す図であ
る。
【図5】 電気メッキ装置を示す概念構成図である。
【図6】 電気メッキ装置を示す概念構成図である。
【図7】 無電解ニッケルメッキの熱処理温度とビッカ
ース硬さとの関係を示す図である。
【図8】 コンプレッサに永久磁石回転子のロータヨー
クを挿入する断面図である。
【図9】 従来の冷凍サイクル用コンプレッサを示す縦
断面図である。
【符号の説明】
1 永久磁石回転子 2 ロータヨーク 3 界磁用永久磁石 3A 界磁用永久磁石の中央部 3B 界磁用永久磁石の端部 4 けい素鋼板 5 磁極 6 スロット M1 電気ニッケルメッキ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山岸 善彦 長野県諏訪市大和3丁目3番5号セイコー エプソン株式会社内 Fターム(参考) 5H615 AA01 BB07 BB14 PP02 PP07 SS05 SS19 SS24 SS38 SS51 SS54 TT12 5H622 CA02 CA07 CA09 CA13 CB03 PP17 PP18 QA08 QB01

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転子のヨークは多数の鋼板を積層して
    形成され、外周上に2n倍(nは正整数)の磁極を有
    し、回転軸孔からほぼ等しい距離の全磁極又は1つおき
    の基部にスロットを備え、このスロットには、無電解ニ
    ッケルメッキが施された界磁用永久磁石を挿入してなる
    永久磁石回転子の製造方法において、 前記ニッケルメッキの熱処理を、無電解ニッケルメッキ
    が施された界磁用永久磁石をロータヨークの前記スロッ
    トに挿着した後に行うことを特徴とする永久磁石回転子
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記熱処理温度が、350〜400℃で
    あることを特徴とする請求項1記載の永久磁石回転子の
    製造方法。
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