JP3381711B2 - 永久磁石回転子の製造方法 - Google Patents

永久磁石回転子の製造方法

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JP3381711B2
JP3381711B2 JP2000227099A JP2000227099A JP3381711B2 JP 3381711 B2 JP3381711 B2 JP 3381711B2 JP 2000227099 A JP2000227099 A JP 2000227099A JP 2000227099 A JP2000227099 A JP 2000227099A JP 3381711 B2 JP3381711 B2 JP 3381711B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ロータヨークの磁
極の全磁極又は1つおきの基部に界磁用永久磁石を挿入
するようにした永久磁石回転子の製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】一般に、コンプレッサにおいて、冷媒と
オイルが流通する密閉容器の内部に、駆動モータと圧縮
装置とを直列的に配置し、前記駆動モータの回転子に界
磁用永久磁石が挿着されている技術が知られている。 【0003】図9は、従来の冷凍サイクル用コンプレッ
サの縦断面を示している。全体を符号500で示す冷凍
サイクル用コンプレッサは、冷媒が流通する密閉容器5
10を有している。この容器510の内部には、圧縮装
置(図示を省略)と駆動モータ520とが上下直列に配
置されている。 【0004】駆動モータ520は、回転子700、固定
子600及び回転軸710とから構成されている。前記
固定子600は、固定子鉄心610と励磁用コイル62
0とから構成される。前記回転子700は、ロータヨー
ク720、界磁用永久磁石730、スペーサ740及び
バランスウエイト750を有している。ロータヨーク7
20は、多数のけい素鋼板760を積層することによっ
て形成されている。ロータヨーク720の外周には磁極
770が設けられており、この磁極770の基部には、
界磁用永久磁石730を挿入するスロット780が設け
られている。 【0005】界磁用永久磁石730はスロット780に
収容可能な大きさに形成されており、界磁用永久磁石の
表面には一般に表面処理が施されていないものである。 【0006】冷凍サイクル用コンプレッサの組立に際し
ては、予め密閉容器510に設置された回転軸710
に、ロータヨーク720が焼き嵌め挿入される。すなわ
ち、ロータヨーク720を約450℃に加熱して、中心
の回転軸孔を膨張させて若干大径となし、熱いまま回転
軸710に挿入する。その後ロータヨーク720が冷却
すると、膨張していた回転軸孔が収縮し、当該貫通孔が
回転軸710を緊締保持することとなる。尚、コンプレ
ッサ使用時には、コンプレッサ自体の温度が上昇して、
約130℃に達するが、この場合は回転軸710も同時
に膨張するので、回転軸710に対するロータヨーク7
20の保持が減じられることはない。 【0007】そして、界磁用永久磁石730がロータヨ
ーク720に挿入される。すなわち、ロータヨーク71
0の冷却後に、防錆紙に包まれた無着磁で表面処理のさ
れていない界磁用永久磁石730がスロット780の内
部に挿入される。更に、界磁用永久磁石730の挿入
後、界磁用永久磁石の軸方向の固定として、非磁性のス
ペーサ740がロータヨーク720の端部まで圧入さ
れ、次いで、圧縮装置の動バランスをとる磁性のバラン
スウエイト750が、スペーサ740端部近傍まで圧入
される。図中矢印Qは界磁用永久磁石730の挿入方向
を示している。 【0008】前記各部品が挿着された後、密閉容器51
0の蓋(図示を省略)が閉められ、そして、励磁用コイ
ル620に高電流を流し、回転軸710をロックして界
磁用永久磁石730が着磁され、その後、密閉容器51
0の内部に温風を吹きかけて乾燥させ、内部水分を蒸発
させるものである。 【0009】【発明が解決しようとする課題】 前述した従来技術によ
ると、表面処理のされていない界磁用永久磁石をロータ
ヨークのスロットに挿入するものであるため、界磁用永
久磁石を組込むまでのサビの発生防止の管理が以外と大
変であり、また、スロット挿着後も、冷媒とオイルが加
圧され流通する圧力容器中でモータが作動するので、界
磁用永久磁石の素材の内部まで冷媒及びオイルが浸透し
て、磁石が溶解される問題があった。そこで、近時は、
コンプレッサに使われる界磁用永久磁石に表面処理のな
されるものが知られている。この場合の表面処理は、磁
石単品の対向する2面を針状の固定電極で挟み、これに
電流を流して、メッキ槽に浸漬してニッケルメッキが施
されるが、磁石素材表面の固定電極が接した部分にはメ
ッキがつかないため、磁石素材が露出する。 【0010】このような電気ニッケルメッキが施された
界磁用永久磁石をロータヨークのスロットに挿入する場
合は、電極跡から錆が発生することを防止するため、電
極跡に補修材を塗布する必要があり(電極跡に補修材を
塗布したものを、以下、電極跡つきニッケルメッキとも
称する。)、更に、このような補修を行っても、補修材
が冷媒又はオイルに解ける問題があった。加えて、焼き
嵌め及び温風乾燥の高 温に対して、補修材とメッキとの
膨張係数の違いにより、補修材の剥がれが生じ易く、ま
た、材質の違いにより耐熱強度の低下もあって、補修部
を含めた磁石の寸法管理も大変であった。 【0011】更に、電極跡つきニッケルメッキは、固定
電極のため、メッキ電流が界磁用永久磁石の端部に集中
して、一般に端部が中央部より厚くなる傾向(20μm
〜50μm増)があり、従って寸法管理が難しいと同時
に、メッキ膜が厚くなると、膜中の残留応力が増大する
ため、密着力も低下する不都合があった。 【0012】他方、前述した電気メッキを施した界磁用
永久磁石を用いるのでなく、無電解メッキを施した界磁
用永久磁石をロータヨークに挿入するものも存在する。
この場合は、無電解メッキを施した界磁用永久磁石の熱
処理を別途に行い、ロータヨークを回転軸に焼き嵌め挿
入した後に、熱処理後の界磁用永久磁石をロータヨーク
のスロットに挿着している。このような無電解メッキを
施した界磁用永久磁石を用いる場合は、無電解メッキを
施した界磁用永久磁石の熱処理、ロータヨークの回転軸
への焼き嵌め挿入、及び、その後の界磁用永久磁石のロ
ータヨークのスロットへの挿着、という3つの工程を採
っているため、工程時間が長くなるとともに、磁石の固
定が難しいという問題がある。 【0013】本発明は、電気メッキを施した界磁用永久
磁石が、ロータヨークのスロットに挿着されている永久
磁石回転子の製造方法を改良してメッキ層が界磁用永
久磁石の中央部と端部でほぼ均一でかつ電極跡がなく、
また、工程の簡易化及び製造時間の短縮化を図り得る永
久磁石回転子の製造方法を得ることにある。 【0014】 【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
回転子のヨークは多数の鋼板を積層して形成され、外周
上に2n倍(nは正整数)の磁極を有し、回転軸孔から
ほぼ等しい距離の全磁極又は1つおきの基部にスロット
を備え、このスロットには、予め電気メッキが施された
界磁用永久磁石を挿入してなる永久磁石回転子の製造方
法において、回転軸にロータヨークを挿着するにあた
り、ロータヨークのスロットに希土類の界磁用永久磁石
を挿入した後、界磁用永久磁石の前記キューリー点の温
度以上であって、界磁用永久磁石の素材の性能維持温度
未満の温度の間でロータヨークを加熱した後、このロー
タヨークを回転軸に挿着し、その後、着磁する永久磁石
回転子の製造方法である。 【0015】 【0016】 【0017】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例について添
付の図面を参照して説明する。 【0018】図1は、本発明の実施例に係る永久磁石回
転子を示す分解図である。本実施例の永久磁石回転子1
は、柱状に積層されたロータヨーク2と、二対の板状の
界磁用永久磁石3(3a,3b,3c,3d)とを有し
ている。前記ロータヨーク2は、多数のけい素鋼板4を
金型で抜きかつ一体に積層して形成されている。ロータ
ヨーク2は、外周面に放射方向に突出した4つの磁極5
(5a,5b,5c,5d)を有している。これら磁極
の基部には、界磁用永久磁石を挿着させるスロット6
(6a,6b,6c,6d)が設けられている。更に、
ロータヨーク2の中心部には、回転軸を貫通させる回転
軸孔が設けられている。また、スロットと回転軸孔との
最短距離の間に、界磁用永久磁石の軸方向の固定用リベ
ット貫通孔13aが設けられている。 【0019】界磁用永久磁石3a,3b,3c,3d
は、図2の(a)に示すように、断面矩形の6面体に形
成され、界磁用永久磁石の表面には、電気ニッケルメッ
キM1を施している。この電気ニッケルメッキM1は、
後述するメッキ手段によりメッキが施される。 【0020】更に、界磁用永久磁石3をスロット6に挿
入し、当該界磁用永久磁石の軸方向の固定として、非磁
性のスペーサsをロータヨーク2の両端に設置させ、圧
縮装置の動バランスをとるバランスウエイト11を被
せ、最後にロータヨーク2、スペーサs及びバランスウ
エイト11をまとめてリベット13で全体をかしめて固
定する。これにより、本実施例の永久磁石回転子1が組
み立てられる。 【0021】本発明において、前記電気ニッケルメッキ
は、メッキの皮膜厚が、図2の(b)に示す界磁用永久
磁石3の中央部3Aと、図2の(c)に示す端部3Bと
でほぼ均一で、且つ、電極跡がない電気メッキである。 【0022】このような電気ニッケルメッキM1は、例
えば図3に示すようにしてメッキが施される。すなわ
ち、溶液802を充填した容器801内に、その上面が
傾斜面804をなす治具803を設置し、この治具80
3の近傍に一対の球状の電極805,805を配置して
メッキ装置800を構成する。磁石3は、前記傾斜面8
04にセットされて斜下方に送られると、溶液802内
で磁石3が電極805,805に挟持されるとともに、
当該電極が回転して、磁石3は更に下方に送られる。電
極805,805は回転するもその位置を保持し、この
電極805,805にメッキ電源が導通されて磁石3に
電気ニッケルメッキがなされる。このとき、磁石3の電
極位置が変るので、磁石3の表面に万遍なくニッケルメ
ッキを施すことができる。更に、電極が球状であるた
め、磁石に対して点接触となり、メッキ厚みにバラツキ
を生じることが少なくなる。 【0023】発明者等の実験によれば、前述したように
電極を移動させて電気ニッケルメッキを行うことによ
り、界磁用永久磁石3の中央部3Aと端部3Bとがほぼ
均一で且つ、電極跡のない電気メッキが得られることを
確認している。とりわけ、鋭角の角部を保持している界
磁用永久磁石において、角部が丸くならずに、均一に磁
石素材の形状に沿ってメッキを施すことができた。尚、
本実施例でニッケルメッキとしているのは、これにより
高い硬度のメッキ層を得ることができ、摩耗しにくく疵
の付きにくい表面となるからである。もっとも、本発明
はニッケルメッキに限られるものでないことは勿論であ
る。 【0024】本実施例において、メッキ層は、図4に示
すように、5〜20μmが好ましい。更に、特に好まし
いのは5〜10μmである。図4において、横軸は磁石
の長手方向の間隔であって、tが端部、t/2が中央部
であり、また、縦軸は、メッキ層の厚みを示している。 【0025】界磁用永久磁石に施されるメッキ層は、薄
いほどよい。これは、メッキ層が厚くなると、界磁用永
久磁石とけい素鋼板との間のギャップが大きくなって磁
束の効率が悪くなるし、熱膨張や熱応力によりメッキ層
の割れや剥れを生じてしまう。この点、メッキ層の薄い
方が受ける熱応力が少なくてすみ、歪を小さくすること
ができるので、薄い方がよい。しかし、5μm未満であ
ると、振動に対する強度が不足し、例えばコンプレッサ
に用いられるモータの場合は、コンプレッサの運転範囲
(−20〜130℃)でメッキ層が剥がれてしまう不都
合を生じる。他方、20μmを超えると、熱膨張や熱応
力によりメッキ層の割れや剥れを生じることが判明して
いる。従って、前述したように、メッキ層は、5〜20
μmが好ましい。とりわけ、メッキ層を5〜10μmと
した場合は、磁石をコンプレッサ組み込み後に強制冷却
しても、メッキ層の割れは生じない。強制冷却しないと
きは、5〜20μmでよい。 【0026】図5は、本発明に用いる他の電気メッキ装
置を示す図で、この例の場合は、溶液802を充填した
容器801内に、ローラ状の治具803,803を設置
し、この治具803に沿って横方向に移動可能な一対の
ロール状の電極805,805を配置してメッキ装置8
00を構成する。電極805,805はスライダ806
に支持杆807を介して横方向に移動可能に設けられて
いる。磁石3は、溶液802内に浸漬され且つ前記治具
803,803に載置されて、電極805,805に挟
持される。この例では、電極805,805が回転して
横方向に移動し、磁石3に電気ニッケルメッキがなされ
る。この例でも磁石3の電極位置が変るので、磁石3の
表面に万遍なくニッケルメッキを施すことができる。ま
た、ローラ状の治具803,803は、これが磁石3を
載置する際に始終同じ位置で当接するとメッキのなされ
ない箇所を生じるので、ローラ状の治具803,803
は若干の正逆回動するようになされている。これによ
り、磁石3は左右方向に揺動し、前記電極805,80
5の磁石に対する電極位置が変ることにより、磁石3の
表面にニッケルメッキがほぼ均一で、且つ、電極跡が付
かずに施されることとなる。 【0027】図6は、本発明に用いる更に他の電気メッ
キ装置を示す図で、この例の場合は、溶液802を充填
した容器801内に、上下方向に移動可能な複数の電極
805,805を設けた治具803を設置し、他方、横
方向に移動可能な支持杆807の下部に、電極805が
突設されてメッキ装置800を構成する。磁石3は、溶
液802内に浸漬され且つ前記治具803,803に載
置され、この例では、治具803に設けられた電極80
5が磁石3の大きい表面積を有する面3Eに当接し、ま
た、支持杆807に設けられた電極805は磁石3の小
さい表面積を有する面3Dに当接するようにして、各電
極805,805のいずれかが磁石と導通することによ
り、磁石3に電気ニッケルメッキがなされる。つまりこ
の例では、適宜択一的に電極と磁石との接触・導通が図
られることにより、磁石3の電極位置が変るので、磁石
3の表面に万遍なくニッケルメッキを施すことができる
ようになされている。 【0028】このように、本発明においては、磁石と電
極が相対的に移動するので、電気メッキの際、磁石に対
する電流の集中がなくなって電極跡を生じない表面処理
がなされ、中央部及び端部に均一にメッキを施すことが
できる。更に、電極が移動する構成のため、鋭角の角部
を備えている界磁用永久磁石に対しても、当該角部が丸
くならずに均一に、磁石素材の形状に沿って、メッキ層
を形成することができるものである。 【0029】従って、従来の電気メッキによると、電極
補修部が前後端面にある場合は、ロータヨーク2と磁石
の軸方向の長さを同一に設定することができなかった
し、また、電極補修部が磁石の大きい表面積を有する面
3Eにある場合は、界磁用永久磁石とけい素鋼板との間
のギャップを大きくしなければならず従って磁束の効率
が悪くなる不都合があったのに対し、本発明によれば、
界磁用永久磁石3に従来のような電極補修部の突出部が
ないため、このような不都合を回避することができ、そ
の結果、寸法管理を簡単に行えるようになった。 【0030】次に、組み立てられた本実施例の永久磁石
回転子1は、界磁用永久磁石3のキューリー点から、メ
ッキの性能維持温度又は界磁用永久磁石の素材の性能維
持温度のどちらか低い温度の間で、数分以内、加熱がな
される。周知のように、磁石等の強磁性体は、それ自身
自発磁気を有し、この自発磁気が外部磁界の印加により
整列され、外部に磁気を顕すものであるが、この自発磁
気の消滅する温度をキューリー点という。 【0031】本実施例では、界磁用永久磁石の前記キュ
ーリー点の温度以上であって、界磁用永久磁石の素材の
性能維持温度未満の温度の間で永久磁石回転子1を数分
加熱した後、後述するように、この回転子1を冷凍サイ
クル用コンプレッサの回転軸に挿着する。 【0032】以上説明した本実施例によれば、電気メッ
キの際、磁石に対する電流の集中がなくなって電極跡を
生じない表面処理がなされ、中央部及び端部に均一にメ
ッキを施すことができる。更に、電極が移動する構成の
ため、鋭角の角部を備えている界磁用永久磁石に対して
も、当該角部が丸くならずに均一に、磁石素材の形状に
沿って、メッキ層を形成することができる。特に角部3
Cはメッキ自身の強度で保持されるため、界磁用永久磁
石自身の素材強度の必要性が少なくなった。また、電気
ニッケルメッキM1の厚みは、界磁用永久磁石のほぼ中
央部3Aにおいて、5μm以上20μm以下の厚みとな
し、界磁用永久磁石3をロータヨーク2に挿入後、界磁
用永久磁石のキューリー点より高い温度で焼き嵌めする
ことにより、わずかに着磁された磁石が混入していて
も、高い温度で消磁される。更に高温をかけることによ
り、メッキと界磁用永久磁石との境界面の結合力が向上
することも本発明者等が新しく得た知見である。また、
回転軸に回転子を挿入する場合、5μm以上20μm以
下の厚みは、界磁用永久磁石とメッキとの膨張係数の違
いによる歪みや割れが発生しにくい最低メッキ厚みであ
ると同時に、ロータヨーク2のスロットに挿入後、振動
によるメッキの剥がれが阻止できることも判明した。特
に好ましいのは、5〜10μmの厚みとすることであ
り、前述したように、強制冷却でメッキ割れを生じない
ものである。更に、電気メッキの材質がニッケルメッキ
であるため、磁石の素材より硬く、且つ軟磁性の性質を
有するので、ロータヨークに挿入前後においてキズが付
きにくく耐久性能も向上するものである。また、組み込
み後において、仮にメッキが剥がれても、メッキは磁性
体であるため、吸着されて磁石素材表面から飛散するこ
とがない。更に、本実施例のようにロータヨークのスロ
ットに界磁用永久磁石を挿入する回転子においては、磁
性体の電気メッキであるため、スロットと界磁用永久磁
石との磁気ギャプを少なく設定できることも大きな利点
である。 【0033】また、界磁用永久磁石に希土類磁石を用い
る場合は、次の実施例が参考になる。すなわち、ロータ
ヨークのスロットに希土類の界磁用永久磁石を挿入した
後、界磁用永久磁石の前記キューリー点の温度以上であ
って、界磁用永久磁石の素材の性能維持温度未満の温度
の間で永久磁石回転子1を数分加熱した後、この回転子
1を回転軸に挿着し、その後、着磁して、予備乾燥温度
(170℃前後)に入る。この点、従来において、界磁
用永久磁石は、モータ使用時に温度上昇して初期減磁す
ることが知られている。ところが、希土類磁石の場合
は、前記ロータヨークの回転軸への所謂焼き嵌めの際に
自発磁気の消滅(減磁)がなされ、そして、その後の着
磁そして予備乾燥というプロセスを経ると、将来モータ
が使用されて予備乾燥温度内に晒されても、前述した初
期減磁という事態を回避できることが判明している。 【0034】ところで、ニッケルメッキは、前述した電
気メッキのほか、無電解メッキも知られている。そし
て、従来においては、無電解ニッケルメッキが施された
界磁用永久磁石がロータヨークのスロットに挿着される
ものも用いられている。この場合は、ニッケルメッキを
施した界磁用永久磁石をロータヨークに挿着する前に、
ニッケルメッキの熱処理を行っている。 【0035】すなわち、ニッケルメッキを行った状態の
メッキ皮膜は、非晶質で非磁性であり、熱処理を施すこ
とにより、250℃付近から徐々に結晶化し、Niのほ
かにNi3−Pの共晶体が生じ、磁性も出てくる。ま
た、図7に示すように、400℃をピークにして硬度も
得られる。もっとも、更に高い温度では、一旦微細化し
た結晶粒が大きくなり硬度も低下する。 【0036】従って、従来は、無電解メッキを施した界
磁用永久磁石を用いる場合は、無電解メッキを施した界
磁用永久磁石の熱処理、ロータヨークの回転軸への焼き
嵌め挿入及び、その後の界磁用永久磁石のロータヨーク
のスロットへの挿着という3つの工程を採っているた
め、工程時間が長くなるとともに、磁石の固定が難しい
という問題があった。 【0037】本発明者等は、前記図7におけるピーク硬
度が350〜400℃、とりわけ400℃で得られるこ
とと、回転軸にロータヨークが焼き嵌め挿入されるとき
の温度が350〜400℃であることとの間で、350
〜400℃が共通することに着想を得て、前記ロータヨ
ークの回転軸への焼き嵌め挿入の際に、併せてニッケル
メッキの熱処理を同時に行うことを提案するものであ
る。このように、無電解ニッケルメッキが施された界磁
用永久磁石をロータヨークに挿入した後、前記ロータヨ
ークを、ニッケルメッキの熱処理温度とほぼ同一の温度
(約400℃内外)を加えることにより、今まで別工程
で行われていたニッケルメッキの熱処理と、焼き嵌め工
程とを、同時に行うことを可能としたものである。ニッ
ケルメッキの熱処理と、焼き嵌め工程の一体化により、
工程の簡易化及び時間の短縮化が図れるものである。ま
た、本実施例によると、メッキの割れが少なくなったこ
とを確認している。 【0038】図8は、コンプレッサにロータヨークを挿
入する断面図を示している。 【0039】全体を符号200で示す冷凍サイクル用コ
ンプレッサは、冷媒が流通する密閉容器210を有して
いる。この容器210の内部には、圧縮装置(図示を省
略)と駆動モータ220とが上下直列に配置されてい
る。 【0040】駆動モータ220は、回転子400、固定
子300及び回転軸230とから構成され、前記固定子
300は、固定子鉄芯310と励磁用コイル320とか
ら構成されている。前記回転子400は、ロータヨー
ク、界磁用永久磁石、スペーサs及びバランスウエイト
11を一体にしてリベット13でカシメている。 【0041】冷凍サイクル用コンプレッサの組み立てに
際しては、密閉容器210に設置された回転軸230
に、前述したように、回転子を界磁用永久磁石のキュー
リー温度以上で、界磁用永久磁石の素材の性能維持温度
(電気ニッケルメッキの場合)又はメッキの性能維持温
度(無電解ニッケルメッキの場合)のどちらか低い温度
の間で数分以内で加熱し、爾後、回転子400を回転軸
230に矢印Qの方向に挿入し、その後、冷却される。 【0042】更に、密閉容器210の蓋(図示を省略)
が閉められ、回転軸230を機械的に固定し、励磁コイ
ル320に高電流を流し、これにより界磁用永久磁石が
着磁され、その後、密閉容器210の内部に温風を吹き
かけて乾燥させ、内部水分を蒸発させる。 【0043】上記構成により、ロータの組み立て(界磁
用永久磁石のロータヨーク組み込み)と、ロータのコン
プレッサの回転軸への組み込みが個別に生産できるよう
になった。その結果、工程の簡易化及び時間の短縮化が
図れる。 【0044】 【発明の効果】本発明は以上説明したように、ロータヨ
ークの磁極の全磁極又は1つおきの基部に界磁用永久磁
石を挿入するようにした永久磁石回転子の製造方法にお
いて、電気メッキを施した界磁用永久磁石を用いる場合
に、メッキ層が界磁用永久磁石の中央部と端部でほぼ均
一でかつ電極跡がなく、しかも工程の簡易化及び製造時
間の短縮化を図り得る永久磁石回転子の製造方法を得る
ことができる。
【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の他の実施例に係る永久磁石回転子を
分解して示す斜視図である。 【図2】 本発明に用いる界磁用永久磁石を示す図で、
(a)はその斜視図、(b)はその中央部の断面図、
(c)はその端部の断面図である。 【図3】 本発明に用いる電気メッキ装置を示す概念構
成図である。 【図4】 磁石に施されるメッキ層の厚みを示す図であ
る。 【図5】 本発明に用いる他の電気メッキ装置を示す概
念構成図である。 【図6】 本発明に用いる他の電気メッキ装置を示す概
念構成図である。 【図7】 無電解ニッケルメッキの熱処理温度とビッカ
ース硬さとの関係を示す図である。 【図8】 コンプレッサに本発明に係る永久磁石回転子
のロータヨークを挿入する断面図である。 【図9】 従来の冷凍サイクル用コンプレッサを示す縦
断面図である。 【符号の説明】 1 永久磁石回転子 2 ロータヨーク 3 界磁用永久磁石 3A 界磁用永久磁石の中央部 3B 界磁用永久磁石の端部 4 けい素鋼板 5 磁極 6 スロット M1 電気ニッケルメッキ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−22881(JP,A) 特開 平3−82349(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02K 15/03,1/27

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 回転子のヨークは多数の鋼板を積層して
    形成され、外周上に2n倍(nは正整数)の磁極を有
    し、回転軸孔からほぼ等しい距離の全磁極又は1つおき
    の基部にスロットを備え、このスロットには、予め電気
    メッキが施された界磁用永久磁石を挿入してなる永久磁
    石回転子の製造方法において、 回転軸にロータヨークを挿着するにあたり、ロータヨー
    クのスロットに希土類の界磁用永久磁石を挿入した後、
    界磁用永久磁石の前記キューリー点の温度以上であっ
    て、界磁用永久磁石の素材の性能維持温度未満の温度の
    間でロータヨークを加熱した後、このロータヨークを回
    転軸に挿着し、その後、着磁することを特徴とする永久
    磁石回転子の製造方法。
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